(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】機械的な集積および再循環する空気流を備えた芝生掃除機
(51)【国際特許分類】
A01G 20/47 20180101AFI20240521BHJP
【FI】
A01G20/47
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020017246
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-10-21
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520043202
【氏名又は名称】ハーパー インダストリーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HARPER INDUSTRIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ケイシー エー. レイズ
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-175563(JP,A)
【文献】特開平05-331815(JP,A)
【文献】実開平03-108019(JP,U)
【文献】登録実用新案第3015891(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 20/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面上の残骸を回収するために、地面上を移動可能である掃除機であって、
ホッパー入口開口部を有するホッパーと、
前記掃除機が動かされる地面上方に間隔が近い状態で支持された吸入端において吸入開口部を有
する残骸集積ダクトであり、前記残骸集積ダクトの排出端において排出開口部を有する残骸集積ダクトであって、前記残骸集積ダクトは、前記残骸集積ダクトの前記排出端が前記ホッパー入口開口部に位置揃えされ、かつ前記排出開口部が前記ホッパー入口開口部と連通するように前記ホッパーに流体接続されている、残骸集積ダクトと、
ピックアップヘッド軸から半径方向外側に突出する複数のピックアップ部材を有し、前記吸入開口部の近くにある前記残骸集積ダクトの吸入部内に回転可能に設けられた回転ピックアップヘッドであって、前記回転ピックアップヘッドは前記残骸集積ダクトにわたって延びていることにより、前記回転ピックアップヘッドが回転すると前記ピックアップ部材は残骸に接触して地面から残骸集積ダクト内に持ち上げるように位置される、回転ピックアップヘッドと、
パドル軸から半径方向外側に突出し、前記残骸集積ダクトの移送部の内部にわたって回転可能に設けられた複数のパドルを有するパドルロータであって、前記パドルの先端の回転経路は前記ピックアップヘッドの前記ピックアップ部材の先端の回転経路に間隔が近い状態で延びており、前記パドルロータは前記回転ピックアップヘッドと同一方向に回転することにより、前記パドルは前記回転ピックアップヘッドによって持ち上げられた残骸を掻いて前記残骸集積ダクトの前記移送部中へ移送し、前記パドルロータの回転は残骸を前記残骸集積ダクトの前記排出開口部を通って移送させ、前記ホッパー入口開口部を通り前記ホッパー中へと移送させる、パドルロータと、
を備え
、
前記掃除機は、前記残骸集積ダクトの前記移送部を貫通する帰還空気開口部によって、帰還空気出口を前記ホッパーに流体接続する帰還空気ダクトをさらに備えている、掃除機。
【請求項2】
前記帰還空気開口部は前記パドルロータの軸端に位置揃えされている、請求項
1に記載の掃除機。
【請求項3】
各パドルの、前記移送部を貫通する前記帰還空気開口部に対向する端部は、前記帰還空気開口部から離れ前記パドル軸に向かう方向に傾斜している、請求項
2に記載の掃除機。
【請求項4】
地面上の残骸を回収するために、地面上を移動可能である掃除機であって、
ホッパー入口開口部を有するホッパーと、
前記掃除機が動かされる地面上方に間隔が近い状態で支持された吸入端において吸入開口部を有する残骸集積ダクトであり、前記残骸集積ダクトの排出端において排出開口部を有する残骸集積ダクトであって、前記残骸集積ダクトは、前記残骸集積ダクトの前記排出端が前記ホッパー入口開口部に位置揃えされ、かつ前記排出開口部が前記ホッパー入口開口部と連通するように前記ホッパーに流体接続されている、残骸集積ダクトと、
ピックアップヘッド軸から半径方向外側に突出する複数のピックアップ部材を有し、前記吸入開口部の近くにある前記残骸集積ダクトの吸入部内に回転可能に設けられた回転ピックアップヘッドであって、前記回転ピックアップヘッドは前記残骸集積ダクトにわたって延びていることにより、前記回転ピックアップヘッドが回転すると前記ピックアップ部材は残骸に接触して地面から残骸集積ダクト内に持ち上げるように位置される、回転ピックアップヘッドと、
パドル軸から半径方向外側に突出し、前記残骸集積ダクトの移送部の内部にわたって回転可能に設けられた複数のパドルを有するパドルロータであって、前記パドルの先端の回転経路は前記ピックアップヘッドの前記ピックアップ部材の先端の回転経路に間隔が近い状態で延びており、前記パドルロータは前記回転ピックアップヘッドと同一方向に回転することにより、前記パドルは前記回転ピックアップヘッドによって持ち上げられた残骸を掻いて前記残骸集積ダクトの前記移送部中へ移送し、前記パドルロータの回転は残骸を前記残骸集積ダクトの前記排出開口部を通って移送させ、前記ホッパー入口開口部を通り前記ホッパー中へと移送させる、パドルロータと、
を備え、
前記ホッパーは、残骸フィルタによって前記ホッパー入口開口部および前記ホッパー内の残骸閉じ込めスペースから分離された帰還空気出口を有し、前記掃除機は、前記残骸集積ダクトの前記移送部を通って前記帰還空気出口を帰還空気開口部に流体接続する帰還空気ダクトをさらに備えている
、掃除機。
【請求項5】
前記帰還空気開口部は前記パドルロータの軸端に位置揃えされている、請求項
4に記載の掃除機。
【請求項6】
地面上の残骸を回収するために、地面上を移動可能である掃除機であって、
ホッパー入口開口部を有するホッパーと、
前記掃除機が動かされる地面上方に間隔が近い状態で支持された吸入端において吸入開口部を有する残骸集積ダクトであり、前記残骸集積ダクトの排出端において排出開口部を有する残骸集積ダクトであって、前記残骸集積ダクトは、前記残骸集積ダクトの前記排出端が前記ホッパー入口開口部に位置揃えされ、かつ前記排出開口部が前記ホッパー入口開口部と連通するように前記ホッパーに流体接続されている、残骸集積ダクトと、
ピックアップヘッド軸から半径方向外側に突出する複数のピックアップ部材を有し、前記吸入開口部の近くにある前記残骸集積ダクトの吸入部内に回転可能に設けられた回転ピックアップヘッドであって、前記回転ピックアップヘッドは前記残骸集積ダクトにわたって延びていることにより、前記回転ピックアップヘッドが回転すると前記ピックアップ部材は残骸に接触して地面から残骸集積ダクト内に持ち上げるように位置される、回転ピックアップヘッドと、
パドル軸から半径方向外側に突出し、前記残骸集積ダクトの移送部の内部にわたって回転可能に設けられた複数のパドルを有するパドルロータであって、前記パドルの先端の回転経路は前記ピックアップヘッドの前記ピックアップ部材の先端の回転経路に間隔が近い状態で延びており、前記パドルロータは前記回転ピックアップヘッドと同一方向に回転することにより、前記パドルは前記回転ピックアップヘッドによって持ち上げられた残骸を掻いて前記残骸集積ダクトの前記移送部中へ移送し、前記パドルロータの回転は残骸を前記残骸集積ダクトの前記排出開口部を通って移送させ、前記ホッパー入口開口部を通り前記ホッパー中へと移送させる、パドルロータと、
を備え、
前記ホッパーは、少なくとも1つの残骸フィルタによって前記ホッパー入口開口部および前記ホッパー内の残骸閉じ込めスペースから分離された左右の帰還空気出口を有し、前記掃除機は、前記残骸集積ダクトの前記移送部を通って前記ホッパーからの前記左右の帰還空気出口をそれぞれ前記左右の帰還空気開口部に流体接続する左右の帰還空気ダクトをさらに備えている
、掃除機。
【請求項7】
前記左右の帰還空気開口部は前記パドルロータの左右の軸端に位置揃えされている、請求項
6に記載の掃除機。
【請求項8】
各パドルの左右端は、隣接する前記帰還空気開口部から離れ前記パドル軸に向かう方向に傾斜している、請求項
7に記載の掃除機。
【請求項9】
地面の表面上の残骸を回収するために、地面上を移動可能である掃除機であって、
ホッパー入口開口部を有し、少なくとも1つのリフトアームアセンブリによりフレームに接続されたホッパーであって、前記少なくとも1つのリフトアームアセンブリは、前記ホッパーを前記フレームに対して持ち上げ位置と退避位置との間で移動させるように動作可能である、ホッパーと、
前記フレームに接続され、前記掃除機が動かされる地面上方に間隔が近い状態で支持された吸入端において吸入開口部を有
する残骸集積ダクトであり、前記残骸集積ダクトの排出端において排出開口部を有する残骸集積ダクトであって、前記残骸集積ダクトは、前記退避位置において、前記残骸集積ダクトの前記排出端が前記ホッパー入口開口部に位置揃えされ、かつ前記排出開口部が前記ホッパー入口開口部と連通するように前記ホッパーに流体接続されている、残骸集積ダクトと、
箒部軸から半径方向外側に突出する複数のピックアップ部材を有し、前記吸入開口部の近くにある前記残骸集積ダクトの吸入部内に回転可能に設けられた回転ピックアップヘッドであって、前記回転ピックアップヘッドは前記残骸集積ダクトにわたって延びていることにより、前記回転ピックアップヘッドが回転すると前記ピックアップ部材は残骸に接触して前記残骸集積ダクト内に持ち上げるように位置される、回転ピックアップヘッドと、
パドル軸から半径方向外側に突出し、前記残骸集積ダクトの移送部の内部にわたって回転可能に設けられた複数のパドルを有するパドルロータであって、前記パドルの先端の回転経路は前記ピックアップヘッドの前記ピックアップ部材の先端の回転経路に間隔が近い状態で延びており、前記パドルロータは前記回転ピックアップヘッドと同一方向に回転することにより、前記パドルは前記回転ピックアップヘッドによって持ち上げられた残骸を掻いて前記残骸集積ダクトの前記移送部中へ移送し、前記パドルロータの回転は残骸を前記残骸集積ダクトの前記排出開口部を通って移送させ、前記ホッパー入口開口部を通り前記ホッパー中へと移送させる、パドルロータと、
前記残骸集積ダクトの前記移送部を通って前記ホッパーからの帰還空気出口を帰還空気開口部に流体接続させる帰還空気ダクトと、
を備える掃除機。
【請求項10】
前記帰還空気開口部は前記パドルロータの軸端に位置揃えされている、請求項
9に記載の掃除機。
【請求項11】
各パドルの、前記移送部を貫通する前記帰還空気開口部に対向する端部は、前記帰還空気開口部から離れ前記パドル軸に向かう方向に傾斜している、請求項
10に記載の掃除機。
【請求項12】
帰還空気出口は、残骸フィルタによって前記ホッパー入口開口部および前記ホッパー内の残骸閉じ込めスペースから分離されている、請求項
9に記載の掃除機。
【請求項13】
前記帰還空気出口は、少なくとも1つの残骸フィルタによって前記ホッパー入口開口部および前記ホッパー内の残骸閉じ込めスペースから分離された左右の帰還空気出口を有し、前記帰還空気ダクトは、前記残骸集積ダクトの前記移送部を通って前記ホッパーからの前記左右の帰還空気出口をそれぞれ左右の帰還空気開口部に流体接続する左右の帰還空気ダクトをさらに備えている、請求項
9に記載の掃除機。
【請求項14】
前記左右の帰還空気開口部は前記パドルロータの左右の軸端に位置揃えされている、請求項
13に記載の掃除機。
【請求項15】
各パドルの左右端は、隣接する前記帰還空気開口部から離れ前記パドル軸に向かう方向に傾斜している、請求項
14に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2019年2月5日付けで出願された米国仮特許出願第62/801,434号に基づく利益を主張するものである。この出願の内容を本願において援用する。
【0002】
本発明は、芝地または芝生表面から掃き出された残骸を回収するためのホッパーを有する芝生掃除機であって、残骸が機械的にかつ空気流を介して残骸回収ホッパー内に導かれ、この空気流が掃除機内において再循環される、芝生掃除機に関する。
【背景技術】
【0003】
芝地の残骸を回収するように構成された掃除機が当該分野において公知である。Harper Industries, Inc.を譲受人とする米国特許第7,191,485号は、芝生上の残骸を回収する真空型掃除機であって、掃除機によって大気中に排出される屑および粒状物の量を減らすための空気再循環システムを有する、真空型掃除機を開示している。この掃除機の自己推進型である実施形態が、米国特許第7,191,485号に開示され、Harper Industries, Inc.よりTV35芝生用真空掃除機として販売されている。ブロワーのパワー要求のため、TV35芝生用真空掃除機は、44~50馬力定格のエンジンを要求する。掃除機のコストを減少させるために、より低いパワー要求を有する芝生掃除機が依然として必要である。そのような芝生掃除機は、最大25馬力を生むエンジンを用いたときに効率的に動作するように設計されていることが好ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、回転箒部から残骸集積ダクトを通って取り付けられたホッパー内に残骸を動力学的かつ空気圧的に移送する、パドルロータを有する芝生掃除機に関する。残骸をホッパー中に移送することを助ける加圧空気は、ホッパーの両側部上にある帰還空気出口を通って、ホッパーから排出される。加圧空気は、残骸集積ダクトの両側部に沿って延びる帰還空気ダクトを通って導かれる。帰還空気ダクトは、パドルロータの軸端に隣接して残骸集積ダクトに開口している。パドルロータの回転により、帰還空気が残骸集積ダクト中に引き戻され、そしてパドルロータ上のパドルが、空気を再び残骸集積ダクトを通りホッパーへと移動および再循環させる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、自身が推進される地面上方の車輪によって支持されたフレーム上に設けられた、ホッパーおよび残骸集積アセンブリを有する、自己推進型芝生掃除機の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すホッパーおよび残骸集積アセンブリの、一部省略して内部詳細を示す前方左側斜視図である。矢印を付すことにより、残骸が、残骸集積アセンブリ内の回転箒部およびパドルロータによってホッパー中に移送される際の流れの方向および、ホッパーを出て帰還空気ダクトを通ってパドルロータに戻るように導かれる帰還空気の流れの方向を示している。
【
図3】
図3は、ホッパーおよび残骸集積アセンブリの、一部省略して帰還空気ダクトをより詳細に示す後方左側斜視図である。
【
図4】
図4は、ホッパーおよび残骸集積アセンブリの、
図2の4-4線に略沿った拡大断面図であり、
図3の斜視図に対応している。
【
図5】
図5は、ホッパーおよび残骸集積アセンブリ、
図2の5-5線に略沿った拡大断面図である。
【
図6】
図6は、パドルロータの拡大分解斜視図である。
【
図7】
図7は、ホッパーの部分的な左側立面図であり、覆い(shielding)を取り去ることにより、ホッパーのダンプドアをダンプドアアクチュエータによってホッパーのダンプ開口部に対して閉じた状態に保持するホッパードアラッチ/リフトアセンブリを示している。
【
図8】
図8は
図7と同様な図であり、ダンプドアアクチュエータが部分的に退避され、ダンプドア上のラッチピンに対しての非ラッチ位置にラッチを移動させているが、ダンプドアがダンプ開口部に対して依然として閉じたままの状態を示している。
【
図9】
図9は
図7および8と同様な図であり、ダンプドアアクチュエータが完全に退避され、ダンプドアが、ドアリフトリンク機構およびドアリフトアームによって、ダンプ開口部に対する開位置に持ち上げられた状態を示している。
【
図10】
図10は掃除機の斜視図であり、ホッパーが、ホッパーをフレームに接続するリフトアームによって、残骸集積アセンブリに対して持ち上げられた状態を示している。
【
図11】
図11は、
図5と同様な断面図であり、ホッパーが残骸集積アセンブリから分離された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
必要のため、本発明の詳細な実施形態を本明細書において開示する。しかし、開示した実施形態は単に本発明の例示であり、本発明は様々な形態で実施可能であることが理解されるべきである。したがって、本明細書において開示される具体的な構造的および機能的な詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に請求項の基礎として、また当業者に、本発明を実質的にあるゆる任意の適切な詳細を有する構造において様々に用い得ることを教示するための代表的な土台として、解釈されるべきである。図面は、本明細書の一部をなしており、本発明の例示的な実施形態を包含し、かつその様々な目的および特徴を例示している。
【0007】
以下の説明において、特定の用語を、言及の便宜上としてのみ用いるが、これは限定ではない。例えば、「上方向」、「下方向」、「右方向」、および「左方向」の語は、これらの言葉が指し示す図面内での方向をいう。「内側」および「外側」の語はそれぞれ、説明している実施形態、およびその中の指定部分、の幾何学的中心に向かう方向と離れる方向とをいう。これら用語とは、具体的に述べた上記の語ならびに、その派生語、および同様な意味の語を含む。
【0008】
図1を参照し、参照符号1は芝生掃除機を示しているが、これは図示する実施形態においては自己推進型である。本明細書に開示する改良点は、被牽引型の芝生掃除機に導入されてもよいことが理解される。掃除機1は、ゴルフコース、公園、オフィスパーク、ハイウェイ道路用地などに見られるような大きな芝生系表面2から出る、葉、芝地の刈りくず、葺きわら、およびコア通気のためのくり抜きなどの、残骸の回収に用いられるように設計されている。
【0009】
掃除機1は、前後車輪5および6によって、地面上方に支持されるメインフレームまたはシャーシ3を有している。操作者ステーション7がフレーム3の前方に設けられており、これは運転席8、操舵アセンブリ9および掃除機コントロール群10を有している。ロールバー12が運転席8上に延びており、その上に天蓋13が支持されていてもよい。本明細書において、掃除機1の左側と言うときは、運転席8に座る操作者に関する側について言うのであって、操作者の左側がマシンの左側に対応する。
【0010】
エンジン16が、運転席8の後ろかつ残骸集積アセンブリ18およびホッパー19(これらもまたフレーム3上に設けられている)の前において、フレーム3上に設けられている。図示の実施形態において、ホッパー19は、左右のリフトアーム21および22によってフレーム3に接続されている。左右のリフトアーム21および22は、左右の液圧アクチュエータ23および24によって旋回されることにより、ホッパー19を、残骸集積アセンブリ18と係合された退避位置と、残骸集積アセンブリ18から分離されかつフレーム3に対して持ち上げられた伸長位置との間で移動させる。伸長位置において、ホッパー19の中身はトラックまたはコンテナ(不図示)に投下(dump)される。
【0011】
残骸集積アセンブリ18は、フレームに接続された残骸集積ダクト27を有する。残骸集積ダクト27は、自身の中で回転可能に設けられた回転ピックアップヘッドまたは回転箒部28と、パドルロータ29とを有する。吸入開口部31が残骸集積ダクト27の吸入端32に形成されており、吸入端32は、掃除機1が動かされる地面2上方に間隔が近い状態で支持されている。排出開口部35が、残骸集積ダクト27の排出端36において形成されている。ホッパー19が退避あるいは集積位置にあるとき、残骸集積ダクト27はホッパー19に流体接続(flow connect)されて、残骸集積ダクト27の排出端36がホッパー19に形成されたホッパー入口開口部39に位置揃えされかつこれを囲み、また残骸集積ダクト27の排出開口部35がホッパー入口開口部39と連通するようにされる。
【0012】
回転箒部28は、複数の毛またはピックアップ部材41を有する。複数の毛またはピックアップ部材41は、残骸集積ダクト27の吸入部45(吸入開口部31の近くにある)内において回転可能に設けられた箒部軸43から、半径方向外側に突出している。回転箒部28は、残骸集積ダクト27にわたって延びており、回転箒部28が回転すると、毛41の先端は地面の残骸に接触して残骸集積ダクト27内に持ち上げるように位置される。回転箒部または回転ピックアップヘッド28の毛またはピックアップ部材41は、円柱状または平坦を含む様々な形状である、従来のファイバーストランドもしくはフィラメントまたはゴム製指状突起などの様々な形態を取り得る。
【0013】
パドルロータ29は、残骸集積ダクト27の移送部49の内部にわたって回転可能に設けられた、パドル軸48から半径方向外側に突出する複数のパドル47を有している。本明細書において、パドル軸48はパドル47と一体に形成され得、箒部軸43はピックアップ部材と一体に形成され得ることが理解される(ここで軸48または43が、ロータ29または箒部28がそれぞれ回転する軸を構成する)。パドル47の先端の回転経路は、回転箒部28の毛41の先端の回転経路に間隔が近い状態で延びている。パドルロータ29は、回転箒部28と同一方向に回転することにより、回転箒部28によって持ち上げられた残骸を、パドル47が掻いて(engage)残骸集積ダクト27の移送部49中へ移送する。回転するパドル47は残骸を掻き、そして残骸集積ダクト27中を通りホッパー19中へと、残骸を機械的に持ち上げあるいは投げ入れる。パドルロータ29は、好ましくは、空気を残骸集積ダクト27中を押し通すのに十分な速度で回転されることにより、パドルロータ29の回転が残骸を、残骸集積ダクト27の排出端36の排出開口部35を通り、ホッパー入口開口部39を通って、ホッパー19中へと動力学的かつ空気圧的に移送するようにする。
【0014】
ホッパー19中へ移送された残骸は、ホッパー19の底で残骸閉じ込めスペース51中に落ち着く。左右の帰還空気出口53および54がホッパー19に形成されており、残骸用格子、スクリーンまたはフィルタ55によって、そのホッパー入口開口部39および残骸閉じ込めスペース51から分離されている。残骸集積アセンブリ18は、残骸集積ダクト27の移送部49の左右側に沿って延びる左右の帰還空気ダクト57および58を有する。左右の帰還空気開口部61および62が、残骸集積ダクト27の移送部49を貫通して形成されており、これら左右の帰還空気開口部61および62は、パドルロータ29の左右の軸端63および64に対して位置揃えされている。ホッパー19が退避位置にあるとき、左右の帰還空気ダクト57および58は、ホッパー19の左右の帰還空気出口53および54に対して流体接続される。パドル47の回転によってホッパー19中へ吹き入れられた空気は、左右の帰還空気出口53および54を通ってホッパー19から出て、左右の帰還空気ダクト57および58を通り、左右の帰還空気開口部61および62を通って残骸集積ダクト27の移送部49へと導かれる。
【0015】
各パドル47の左右の軸端63および64は好ましくは、隣接する左右の帰還空気開口部61および62からそれぞれ離れる方向にかつパドル軸48に向かって傾斜されることにより、空気を残骸集積ダクト27の移送部49中およびパドル47の回転経路中へと移動または引き込むことを容易にし、そして、空気が残骸集積ダクト27を通って上がり、ホッパー19中へ戻るように移動させ、またそこに引き入れられた残骸があればそれとともに再循環させる。
図6に図示する実施形態において、パドルロータ29は、長軸方向に離された状態でパドル軸48上に設けられかつパドル軸48から半径方向外側に突出する4つのパドル支持部67上に支持された、4つのパドル47を備えている。各パドル支持部67は概して、4つの支持アーム68を備えた4肢の星形として形成されており、これら4つの支持アーム68は、パドル軸48に接続されかつパドル軸48を囲むハブ69から半径方向外側に突出している。パドル装着フランジ70が、各支持アーム68上に形成されかつこれを横切るように延びている。各パドル47は1つのシートメタル片から形成されており、このシートメタル片は、長軸方向および半径方向に位置揃えされた4つの支持アーム68のパドル装着フランジ70にボルト接続されている。リップ71が各パドル47の外縁に沿って形成されており、リップ71は、パドル47がボルト接続された支持アーム68および装着フランジ70の端部から張り出している。
【0016】
残骸集積アセンブリ18は、左右の外側壁73および74、ならびにフロントおよびリアパネル75および76から形成されており、これらは、残骸集積ダクト27の一部を閉じ囲み、箒部28およびパドルロータ29を閉じ囲んでいる。より具体的には、左右の外側壁73および74ならびにフロントおよびリアパネル75および76の下部が、残骸集積ダクト27の吸入部45を形成している。残骸集積ダクト27の吸入部45は、図示の実施形態においては残骸集積ダクト27の移送部49よりも幅広い。これは、回転箒部28の方がパドルロータ29よりも幅広なためである。フレキシブルなガードまたはカーテンウォールセグメント78が、左右の外側壁73および74ならびにフロントおよびリアパネル75および76の下端に接続されており、そこから下方向に、おおよそ回転箒部28の毛41の先端までかこれを超える距離まで延びている。カーテンウォールセグメント78は、回転箒部28の回転する毛41によって生成される屑を、残骸集積ダクト27から逃がさないようにする。
【0017】
回転箒部28の上方において、残骸集積ダクト27は移送部に沿って狭まっており、かつ左右のダクト側壁81および82によって規定される。左右のダクト側壁81および82は、左右の外側壁73および74から内側方向に離れている。左右の傾斜した遷移セグメント83および84は、回転箒部28の外側端のちょうど上の左右の外側壁73および74から、左右のダクト側壁81および82に向かって内側方向かつ上方向に傾斜しており、回転箒部28の端部によって拾われた残骸を、より狭いパドル47の回転経路に向かって内側方向に集中させる。回転箒部28の上方の左右のダクト側壁81および82ならびに左右の外側壁73および74は、回転箒部28の上方のフロントおよびリアパネル75および76と組み合わさって、左右の帰還空気ダクト57および58を形成する。
【0018】
図示の実施形態において、
図5のように掃除機1の左側から見たとき回転箒部28は時計回りに回転することにより、箒部の毛41の回転経路の下部に沿って、毛41は前方向に回転して地面2上の残骸を掻き、そして上方向そしてさらに後方に向かって遷移部49へと残骸を移動させる。パドルロータ29は同一方向(左側から見たとき時計回り)に回転することにより、パドル47の回転経路の下部に沿ってパドル47は前方向に回転し、箒部の毛41によって上方向に持ち上げられた残骸を掻き、そしてパドル47は残骸を残骸集積ダクト27を通って上方向に持ち上げ、排出開口部35から出し、ホッパー入口開口部39を通ってホッパー19中へ入れる。
【0019】
図5に最もよく示されるように、フロントパネル75は、回転箒部28の毛41の回転経路の前方上側の四分の一部分に比較的間隔が近い状態で、箒部の毛41の回転経路の頂部から約15度以内に延びる形状を有する。フロントパネル75の前方下側部分も同様な形状を有し、パドルロータ29のパドル47の回転経路に比較的間隔が近い状態で延びている。フロントパネル75が、箒部の毛41の回転経路の前方上側の四分の一に沿って後方に傾斜していることにより、箒部の毛41によって持ち上げられた残骸が累積してしまうようなデッドスペースを最小にし、その結果、残骸が箒部の毛41によって効率的に持ち上げられてパドル47の回転経路へと入るようにする。
【0020】
可調節ブラケット83が、リアパネル76の屈曲部に設けられており、パドルロータ29の回転経路上を下方向に向かって延びている。後方に屈曲してパドルロータ29の後部周りに延びる際の、パドル47の先端とリアパネル76の屈曲部との隙間を最小にするために、可調節ブラケット83の下端の垂直位置は調節可能である。可調節ブラケット83は、パドル47によって上方向に押された残骸および空気を、残骸集積ダクト27のうちのパドルロータ29を囲む部分内で再循環するのではなく、残骸集積ダクト27の上側部分および排出開口部35を通って導くように機能する。
【0021】
回転箒部28およびパドルロータ29は、左の外側壁73上またはその近くにおいて残骸集積ダクト27に接続されたモータマウント86上に設けられた、液圧モータ85によってチェーン駆動される。液圧モータは、フロントパネル75の前において、左の外側壁73から内側に向かって延びる。液圧モータ85は、エンジン16によって動力供給される、液圧ポンプ(不図示)によって駆動される。左の外側壁73を通って駆動モータシャフト88が延びており、主駆動スプロケット89がシャフト88の遠位端に接続されている。パドル駆動チェーン90が、主駆動スプロケット89と、パドル軸48のうち左の外側壁73を通って延びる一部分上のパドル駆動スプロケット91との間に接続されている。箒部駆動チェーン92が、パドル軸48上の移送スプロケット93と、左の外側壁73を通って延びる箒部軸43の端部上の箒部駆動スプロケット94との間に接続されている。スプロケット89、91および93は、パドルロータ29が回転箒部28よりも速く回転ようなサイズにされることにより、パドル47が残骸を、箒部28運ばれるよりも、移送部49から離れる方向により速く移動させるようにする。残骸を残骸集積ダクト27を通りホッパー19中へに移動させるための所望の速度でパドルロータ29および回転箒部28を駆動するためには、25馬力(またはそれ未満でもよい)の定格を有するエンジン16で十分な動力を供給することができる。
【0022】
ホッパー19は、下方向かつ後方に傾斜する床部101と、左右の外側壁102および103と、フロントパネルまたはセクション105に向かって前方向かつ下方向に傾斜する天板または屋根104とを有している。左右の外側壁102および103の端部と、屋根104と床部101との間に、ダンプ開口部107が形成されている。ホッパードアまたはダンプドア108が、ヒンジ110によって屋根104の後端に旋回可能に接続され、ドア開口部107を覆っている。
【0023】
図7~9に最もよく示されるように、ホッパードアラッチ/リフトアセンブリ115が、ホッパーの各側のドア開口部107の近くにおいて設けられている(左側のアセンブリ115のみを図示している)。各ホッパードアラッチ/リフトアセンブリ115について、ラッチピン117がダンプドア108の各側においてその下端から外側に突出している。ラッチ118が、下端の近くかつダンプ開口部107の近くにおいて、ホッパー側壁102および103の各々に旋回可能に設けられる。各ラッチ118は、液圧アクチュエータ119によって旋回されることにより、各ラッチピン117に対し係合および解除される。アクチュエータ119の第1の端部が、対応するラッチ118に旋回可能に接続され、また、第2の端部が、ホッパー19の各側壁102または103に旋回可能に設けられたドアリフトリンク機構122に旋回可能に接続される。ドアリフトアーム124が、第1の端部においてはドアリフトリンク機構122に旋回可能に接続され、また反対側の端部においてはヒンジ110の近くでダンプドア108に旋回可能に接続されている。
【0024】
ホッパー19の左側に示すラッチ/リフトアセンブリ115について、ダンプドア108が閉じている場合、アクチュエータ119は伸ばされ、ラッチ118がラッチピン117に係合し、ドア108を閉じた状態に保持する。アクチュエータ119は初期的には退避されているため、アクチュエータ119の第1の端部は、ラッチ118をラッチピン117から離れる方向に旋回させることにより、ドア108がホッパー19に対して動くことを可能にする。ラッチ118が旋回してラッチピン117との係合状態から外れた後、ラッチ118はストップピン126と係合することにより、ラッチ118がそれ以上旋回することを防ぐ。これにより、アクチュエータ119の第2の端部を第1の端部に向かって移動させ、ドアリフトリンク機構122を旋回させながらドアリフトアーム124を上方向に移動させることによりダンプドア108をホッパー19から離れる方向に旋回させ(
図9に示す)、その結果中身がドア開口部107から滑り出ることを可能にする。
【0025】
ダンプドア108は、アクチュエータ119を伸ばすことにより閉じられる。アクチュエータ119を伸ばすと、まずドアリフトリンク機構122が旋回され、リフトアーム124およびドアを下方向に引っぱる。アクチュエータ119をさらに伸ばすと、ラッチ118が旋回されてラッチピン117周りに延びるようになり、ドア108を完全に閉じた位置まで引っぱり、ドアを閉じた状態に固定する。
【0026】
ラッチ118を用いてドアを閉じた状態に保持する代わりに、各アクチュエータ119を各ホッパー側壁102または103上に設け、かつパイロット操作チェック弁(不図示)を各アクチュエータ119の基端に接続することにより、アクチュエータを伸長位置に選択的に保持し、ドアを固く閉じた状態に保持することが可能であることも考えられる。
【0027】
図2および3に最もよく示されるように、左右のホッパー排出ダクト131および132は、ホッパー19の左右の外側壁102および103とともに、左右の内側壁134および135によって形成される。2つの格子、スクリーンまたはフィルタ55が、フロントおよびリアフィルタ支持部137および138上に支持されている。フロントおよびリアフィルタ支持部137および138は、ホッパー19の左右の内側壁134および135の間に、ホッパー屋根104の下方において間隔を空けた状態で伸びている。フィルタ55と屋根との間の空間は、左右のホッパー排出ダクト131および132に開口する頭上空間と呼ぶことができる。左右のホッパー排出ダクト131および132は、ホッパー19の左右の帰還空気出口53および54へ延びる。ホッパー19中へ吹き入れられた空気は、フィルタ55を通り、頭上空間を通って、左右の帰還空気出口53および54を過ぎ左右のホッパー排出ダクト131および132中へ入り、そして残骸集積アセンブリ18の左右の帰還空気ダクト57および58中に入る。帰還空気はそして、回転するパドル47によって生み出される吸引力により、左右のダクト側壁81および82の左右の帰還空気開口部61および62を通って、残骸集積ダクト27の移送部49の中へと引き込まれる。
【0028】
残骸集積アセンブリ18は、フレーム3に対して調節可能に設けられることにより、掃除機1が移動する地面に対しての吸入開口部31の間隔の調節を可能にする。吸入間隔アセンブリ(左側のそれのみを図示している)141が、フレーム3と残骸集積アセンブリ18の残骸集積ダクト27の吸入端32との間に接続され、掃除機1が動かされる地面2に対して吸入開口部31を選択された高さに調節することを可能にする。地面と残骸集積ダクト27の底縁との間に最小の間隔を維持するために、左右の溝堀り防止輪143および144が残骸集積ダクト27の下端の前部コーナーに設けられることにより、平坦でない地面を掃除機1が移動する際に残骸集積ダクトが地面に溝を掘ってしまうことを防ぐ。
【0029】
本発明の所定の形態を本明細書において例示し説明してきたが、説明および図示した特定の形態または部材の構成に限定されるわけではないことが理解される。請求項の記載において、不定冠詞「a」もしくは「an」または「少なくとも1つ」の語句で要素を示したときは、言及されている要素の1つ以上を含む装置アセンブリを包含することが意図される。同様に、第1および第2の要素に言及するときも、請求項をそれら要素の2つのみを含むそのようなアセンブリに限定するのではなく、言及されている要素の2つ以上を包含することが意図される。ある要素について「単一の(a single)」または「1つだけ(only one)」などの限定的な文言を用いたときのみが、特定した要素1つ、または他の同様に限定された数の要素に限定することを意図した文言である。