(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】打楽器用スティック
(51)【国際特許分類】
G10D 13/12 20200101AFI20240521BHJP
【FI】
G10D13/12
(21)【出願番号】P 2019181950
(22)【出願日】2019-10-02
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519240731
【氏名又は名称】株式会社55gallon
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】飯野 顕
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09378713(US,B1)
【文献】特開2010-145571(JP,A)
【文献】特開2003-216142(JP,A)
【文献】登録実用新案第3060840(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0144975(US,A1)
【文献】米国特許第07855332(US,B1)
【文献】米国特許第06162979(US,A)
【文献】米国特許第05503057(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102010023775(DE,A1)
【文献】米国特許第07868237(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 13/00-13/24
G10H 1/00- 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打楽器の発音に用いられる打楽器用スティックであって、
端部に前記打楽器に接触する叩打部が設けられたスティック本体と、固定手段と、を備え、
前記スティック本体は、長さ方向に伸縮させることにより、その長さを調節可能に構成され、略筒状体の第一スティック構成体と、前記第一スティック構成体の内部に収容される第二スティック構成体と、を有し、
前記固定手段は、前記第一スティック構成体及び前記第二スティック構成体の外周面に設けられる、略筒状の固定手段本体と、前記第二スティック構成体の外周面に設けられ、前記固定手段本体の内部に収容される筒状体と、を有し、
前記第一スティック構成体は、その開口端部に設けられた雄ネジ部を含み、
前記固定手段本体は、その内周面に設けられた、前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、前記雌ネジ部より前記第二スティック構成体側に形成された傾斜面と、を含み、
前記筒状体は、その高さ方向全長に亘って切除された切り欠き部が設けられた可撓体であり、
前記傾斜面は、前記筒状体の端部に当接可能に構成されている、打楽器用スティック。
【請求項2】
打楽器の発音に用いられる打楽器用スティックであって、
端部に前記打楽器に接触する叩打部が設けられたスティック本体と、前記叩打部を、前記スティック本体に着脱自在に連結する着脱手段と、
固定手段と、を備え、
前記スティック本体は、長さ方向に伸縮させることにより、その長さを調節可能に構成され、
略筒状体の第一スティック構成体と、前記第一スティック構成体の内部に収容される第二スティック構成体と、を有し、
前記着脱手段は、外周面に前記叩打部が設けられる着脱手段本体と、前記着脱手段本体と前記スティック本体の端部との間で螺合する螺合手段と、を含
み、
前記固定手段は、前記第二スティック構成体の、前記第一スティック構成体からの突出長さを決定し、
前記第一スティック構成体は、前記スティック本体の基端を構成し、
前記第二スティック構成体の軸方向の長さが、前記第一スティック構成体の基端から前記固定手段の先端までの長さよりも小さく、前記第一スティック構成体の軸方向の長さよりも大きい、打楽器用スティック。
【請求項3】
前記固定手段本体は、その外周面に設けられる弾性部材を含む、請求項1に記載の打楽器用スティック。
【請求項4】
前記第二スティック構成体は、その外周面に設けられ、前記第一スティック構成体の内周面との隙間を埋めるパッキンを含む、請求項1に記載の打楽器用スティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器用スティックに係るものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、スティールパンやドラムセット、ティンパニ、トライアングル、マリンバ、グロッケン等の打楽器は、木材や樹脂素材等により所定の長さ及び太さの棒状体とした専用のスティックを用いることで、その打楽器独自の音色が発せられる。
【0003】
そして、この打楽器用スティックに関して、構造に工夫を施した発明が種々提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、中間部に弾性体を設けることで、ドラムの叩打力において微妙なコントロールを行うことができるとともに、奏者の手首に対する衝撃を緩衝することができる、打楽器用スティックに関する発明が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、中間部に回転可能なつまみ駒を設けることで、フィンガーショットの習得を迅速に行うことができる、打楽器用スティックに関する発明が記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、スティック本体に、この長さ方向に沿って摺動自在なマレットヘッドを設けることで、スティック本体のチップ部分のみならず、適宜マレットヘッドを用いた演奏を行うことができる、打楽器用スティックに関する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3811435号公報
【文献】特開2003-195855号公報
【文献】実用新案出願公開昭60-3889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1~3に記載の打楽器用スティックや、一般的な打楽器用スティックは、製造時点で、その長さが一義的に決定されている。
【0009】
この点、演奏技術やプレースタイル、手の大きさ等は、当然に奏者毎に異なるため、同一の打楽器用スティックを用いた場合であっても、扱う奏者によって、打感や演奏のし易さが異なってくる。
【0010】
このため、奏者は、自分の好みの演奏感を得ることができる打楽器用スティックを選定し、所有していることが通常である。
また、特に一流の奏者であれば、演奏する曲の曲調や譜面の指示等に合わせて、的確な表現を行う必要があるため、練習や本番では、キャラクターの異なる複数種類の打楽器用スティックを常備しておくことが通常である。
【0011】
しかしながら、必要となる打楽器用スティックの種類が増えると、持ち運びに不便であり、また、曲中での持ち替えを行う際にも、曲調や曲数等により難儀を要することがしばしばあり、奏者にとって負担となっていた。
【0012】
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、単体で演奏感を様々に変化させることができ、持ち運びも容易とすることで、利便性を大きく向上させた打楽器用スティックを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明は、打楽器の発音に用いられる打楽器用スティックであって、
端部に前記打楽器に接触する叩打部が設けられたスティック本体を備え、
前記スティック本体は、その長さを調節可能に構成されている。
【0014】
本発明によれば、奏者がスティック本体の長さを調節することで、単体で演奏感を様々に変化させることが可能となる。
また、スティック本体の長さを短くすれば、本打楽器用スティックがコンパクトな形態となり、持ち運びも容易となる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、前記スティック本体は、長さ方向に伸縮させることにより、その長さを調節可能に構成されている。
【0016】
このような構成とすることで、本打楽器用スティックが太さ方向に嵩張ることがないため、スティック本体の長さの調節を可能としつつ、本打楽器用スティックを、よりコンパクトに、扱い易いものとすることが可能となる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記スティック本体は、略筒状体の第一スティック構成体と、前記第一スティック構成体の内部に収容される第二スティック構成体と、を有している。
【0018】
このような構成とすることで、簡易な構成で、スティック本体の長さの調節が可能となり、本打楽器用スティックの製造性が向上する。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記第二スティック構成体の、前記第一スティック構成体からの突出長さを決定する固定手段を備えている。
【0020】
このような構成とすることで、スティック本体の、演奏中の不意の長さの変化を防止することが可能となる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記固定手段は、前記第一スティック構成体及び前記第二スティック構成体の外周面に設けられる、略筒状の固定手段本体と、前記第二スティック構成体の外周面に設けられ、前記固定手段本体の内部に収容される筒状体と、を有し、
前記第一スティック構成体は、その開口端部に設けられた雄ネジ部を含み、
前記固定手段本体は、その内周面に設けられた、前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部と、前記雌ネジ部より前記第二スティック構成体側に形成された傾斜面と、を含み、
前記筒状体は、その高さ方向全長に亘って切除された切り欠き部が設けられた可撓体であり、
前記傾斜面は、前記筒状体の端部に当接可能に構成されている。
【0022】
このような構成とすることで、固定手段本体を、その軸周りに回転させる簡易な動作で、第二スティック構成体の摺動動作を制御することが可能となり、本打楽器用スティックの利便性が向上する。
【0023】
本発明の好ましい形態では、前記固定手段本体には、その外周面に設けられた弾性部材を含む。
【0024】
このような構成とすることで、弾性部材の摩擦力により、少ない力で第二スティック構成体の摺動動作を制御することが可能となる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記第二スティック構成体は、その外周面に設けられ、前記第一スティック構成体の内周面との隙間を埋めるパッキンを含む。
【0026】
このような構成とすることで、第二スティック構成体の不要なブレを抑制すると共に、第二スティック構成体の、第一スティック構成体からの抜け落ちを防止することが可能となる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記スティック本体は、前記叩打部を、前記スティック本体に着脱自在に連結する着脱手段を有する。
【0028】
このような構成とすることで、奏者の好みの音色を発する叩打部を、自在に付け替えることが可能となる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、前記着脱手段は、外周面に前記叩打部が設けられる着脱手段本体と、前記着脱手段本体と前記スティック本体の端部との間で螺合する螺合手段と、を含む。
【0030】
このような構成とすることで、奏者の好みの音色を発する叩打部を、着脱手段本体を回転させる簡易な動作で、付け替えることが可能となり、本打楽器用スティックの利便性が向上する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、単体で演奏感を様々に変化させることができ、持ち運びも容易とすることで、利便性を大きく向上させた打楽器用スティックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックの分解斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックのAA´線断面斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る固定手段を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る着脱手段を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックの使用方法を説明するための図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックの使用方法を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る打楽器用スティックの変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、
図1~
図8を用いて、本発明の実施形態に係る打楽器用スティックについて説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、これらの図において、符号1は、本実施形態に係る打楽器用スティックを示す。
【0034】
図1に示すように、打楽器用スティック1は、端部に打楽器(図示せず)に接触する叩打部Xが設けられたスティック本体11を備えている。
【0035】
スティック本体11は、略筒状体の第一スティック構成体11aと、第一スティック構成体11aの内部に収容される、略筒状体の第二スティック構成体11bと、を有している。
【0036】
叩打部Xは、無底円筒状に構成され、第二スティック構成体11bの先端に設けられている。
【0037】
また、打楽器用スティック1は、第二スティック構成体11bの、第一スティック構成体11aからの突出長さを決定する固定手段12と、叩打部Xを、第二スティック構成体11bに着脱自在に連結する着脱手段13と、を備えている。
【0038】
図2及び
図3に示すように、第一スティック構成体11aは、無底円筒状に構成された第一スティック構成体本体11a1と、これの先端側の開口端部に設けられた固定用雄ネジ部11a2を含む。
また、第一スティック構成体本体11a1の基端には、その開口端を閉じるキャップ部Cが取付けられる。
【0039】
第二スティック構成体11bは、無底円筒状に構成された第二スティック構成体本体11b1と、第二スティック構成体本体11b1の先端側の開口端に設けられた螺合手段構成体Sと、第二スティック構成体本体11b1の外周面に設けられ、第一スティック構成体11aの内周面との隙間を埋めるパッキンPと、を含む。
【0040】
パッキンPは、無底円筒状に構成され、その高さ方向全長に亘って切除された切り欠き部P1が設けられた可撓体である。
また、パッキンPは、
図3に示すように、第二スティック構成体本体11b1に対して、互いの基端側の開口端を一致させ、接着剤等により接着することで設けられる。
【0041】
固定手段12は、第一スティック構成体11a及び第二スティック構成体11bの外周面に設けられる、略筒状の固定手段本体12aと、第二スティック構成体11bの外周面に設けられ、固定手段本体12aの内部に収容される筒状体12bと、を有している。
固定手段本体12aの外周面には、その軸方向に沿って延びる複数の凹凸が形成されている。
【0042】
着脱手段13は、外周面に叩打部Xが設けられる、略円筒状の着脱手段本体13aと、着脱手段本体13aと第二スティック構成体11bの端部との間で螺合する螺合手段13b(
図5参照)と、を含む、
着脱手段本体13aの外径と叩打部Xの内径とは、略同一に構成され、それぞれを嵌め合わせることで、着脱手段本体13aの外周面に叩打部Xが設けられる。
【0043】
図4は、固定手段12を説明するための図であり、(a)固定手段本体12aをスティック本体11から取外した拡大分解斜視図、(b)(a)の状態から固定手段本体12aをスティック本体11に取付けた拡大斜視図である。
なお、
図4では、固定手段本体12aのみをAA´線断面図で示している。
【0044】
図4(a)に示すように、固定手段本体12aは、その内周面に、固定用雄ネジ部11a2と螺合する固定用雌ネジ部12a1と、固定用雌ネジ部12a1より第二スティック構成体11b側に形成された傾斜面12a2と、を含む。
【0045】
また、固定手段本体12aは、その内部が、その内周面に接触する各部の外径に合わせて、段付き形状となっている。
詳述すれば、固定手段本体12aは、その内部に、第二スティック構成体本体11b1の外周面が接触可能に設けられた第一段部D1と、筒状体12bの外周面が接触可能に設けられた第二段部D2と、固定用雌ネジ部12a1が設けられた第三段部D3と、第一スティック構成体本体11a1の外周面が接触可能に設けられた第四段部D4と、が設けられている。
傾斜面12a2は、第一段部D1と第二段部D2との間に形成されている。
【0046】
また、固定手段本体12aは、その外周面に設けられる弾性部材12a3を含む。
弾性部材12a3は、ゴム素材により形成されたOリングであり、固定手段本体12aの軸方向に間隔を置いて、2つ設けられている。
なお、弾性部材12a3は、Oリングに限られず、例えば、固定手段本体12aの外周面を被覆するシート状の部材であっても良い。
【0047】
筒状体12bは、その高さ方向全長に亘って切除された切り欠き部12b1が設けられた可撓体である。
【0048】
また、筒状体12bは、その両端部に、開口端に向かうに伴って漸次縮径する縮径部12b2が設けられている。
【0049】
図4(b)に示すように、筒状体12bは、その一方の縮径部12b2が、第一スティック構成体11aの内部に挿入され、固定用雄ネジ部11a2の開口端に載置されるような態様で、第二スティック構成体本体11b1の外周面に設けられる。
【0050】
そして、固定用雄ネジ部11a2と固定用雌ネジ部12a1とを螺合させることで、固定手段本体12aが、第一スティック構成体11a及び第二スティック構成体11bの外周面に設けられ、筒状体12bが、固定手段本体12aの内部に収容される。
【0051】
ここで、固定手段本体12aを、その軸方向周りに回転させ(矢印a1)、基端側に移動させることで、傾斜面12a2が、筒状体12bの端部に当接する。これにより、筒状体12bに対して、内方に圧迫する力(矢印p)が加えられる。
筒状体12bは、切り欠き部12b1が設けられた可撓体であるため、この力により、切り欠き部12b1を形成している各端面pa、pbが接近し、筒状体12bの内周面が、第二スティック構成体11bの外周面を圧迫する。
【0052】
固定手段12を用いた上記一連の動作により、第二スティック構成体11bの、軸方向に沿った摺動動作が抑制され、第二スティック構成体11bの、第一スティック構成体11aからの突出長さが決定される。
【0053】
図5は、着脱手段13を説明するための図であり、(a)着脱手段本体13a及びOリングRをスティック本体11から取外した拡大分解斜視図、(b)(a)の状態から着脱手段本体13a及びOリングRをスティック本体11に取付けた拡大斜視図である。
なお、
図5では、着脱手段本体13aの内部に突出した着脱用雄ネジ部m以外を、AA´線断面図で示している。
【0054】
図5(a)に示すように、着脱手段本体13aは、先端側が閉口端とされた有底円筒状に構成されている。
また、着脱手段本体13aの上面には、ドライバー等の工具(図示せず)を挿入可能な、着脱用雄ネジ部mのネジ穴m1が露出している。
さらに、着脱手段本体13aの内部の底面周縁には、凹部13a1が設けられている。
【0055】
螺合手段13bは、着脱手段本体13aの内部の底面から開口端に向かって、突出して設けられた着脱用雄ネジ部mと、第二スティック構成体本体11b1の先端側に設けられた着脱用雌ネジ部fと、により構成されている。
【0056】
螺合手段構成体Sは、その内周面に着脱用雌ネジ部fが形成された無底円筒状の着脱用雌ネジ部構成体S1と、着脱用雌ネジ部構成体S1の外周面から先端側に突出して設けられた凸部S2と、により構成されている。
また、螺合手段構成体Sは、着脱用雌ネジ部構成体S1が第二スティック構成体本体11b1に挿通された状態で、第二スティック構成体本体11b1と一体となされている。
【0057】
着脱用雌ネジ部構成体S1は、その外径が、第二スティック構成体本体11b1の内径と略同一に構成されている。
また、着脱用雌ネジ部構成体S1の先端側の端面には、着脱手段本体13aの底面との隙間を埋めるOリングRが載置される。
【0058】
凸部S2は、その外径が、第二スティック構成体本体11b1の外径と略同一に構成されている。
【0059】
図5(b)に示すように、着脱手段本体13aは、着脱用雌ネジ部構成体S1にOリングRを載置し、着脱用雌ネジ部fに着脱用雄ネジ部mを螺合させることで、第二スティック構成体11bの先端に取付けられる。
また、このとき、凹部13a1が、凸部S2の端部に嵌め合わされる。
【0060】
以下、
図6及び
図7を用いて、打楽器用スティック1の使用方法について説明する。
【0061】
奏者が、スティック本体11の長さを調節したい場合、
図6(a)に示すように、固定手段本体12aを、
図3に示した矢印a1の方向と逆方向(矢印a2)に回転させることで、先端側に移動させる。
【0062】
これにより、筒状体12bを内方に圧迫する力が除荷され、
図6(b)に示すように、第二スティック構成体11bの、軸方向に沿った摺動動作(矢印a3)が可能となる。
奏者は、この状態で、第二スティック構成体11bの、第一スティック構成体11aからの突出長さを所望の長さに変更し、固定手段本体12aを、
図3に示した矢印a1の方向に回転させ、第二スティック構成体11bの摺動動作を抑制する。
【0063】
奏者が、叩打部Xの形状を変更したい場合、
図7(a)に示すように、螺合手段13bの螺合状態を解消させ、第二スティック構成体11bから着脱手段本体13aを取外す(矢印a4)。
そして、内部に着脱用雄ネジ部mが設けられ、着脱手段本体13aと異なる形状で構成された(本実施形態では、軸方向の長さがより長く構成された)着脱手段本体13a´を取付ける(矢印a5)。
なお、着脱手段本体13aの第二スティック構成体11bへの着脱は、ドライバー等の工具をネジ穴m1に挿入し、この工具を回転させることにより行っても良いし、直接着脱手段本体13aの外周面を手で把持して回転させることにより行っても良い。
【0064】
これにより、奏者は、
図7(b)に示すように、叩打部Xと異なり、着脱手段本体13a´の形状と適合する形状で構成された(本実施形態では、外径がより大きく、軸方向の長さがより長く構成された)叩打部X´を取付けることが可能となる。
【0065】
なお、着脱手段本体13a及び13a´の、叩打部X及びX´に対する着脱を容易とするために、例えば、着脱手段本体13a及び13a´の外周面に雄ネジ部を設け、叩打部X及びX´の内周面に、この雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を設けるような構成を採用しても良い。
また、着脱手段本体13a及び13a´の着脱動作は、それぞれに叩打部X及びX´を取付けた状態でも、当然に行うことができる。
さらに、着脱手段本体13a´の形状は、これに限定されず、例えば、着脱手段本体13aと比較して、軸方向の長さがより短く構成されたものであっても良い。
【0066】
本実施形態によれば、奏者がスティック本体11の長さを調節することで、単体で演奏感を様々に変化させることが可能となる。また、スティック本体11の長さを短くすれば、打楽器用スティック1がコンパクトな形態となり、持ち運びも容易となる。
【0067】
また、スティック本体11が、長さ方向に伸縮させることにより、その長さを調節可能に構成されていることで、打楽器用スティック1が太さ方向に嵩張ることがないため、スティック本体11の長さの調節を可能としつつ、打楽器用スティック1を、よりコンパクトに、扱い易いものとすることが可能となる。
【0068】
また、スティック本体11が、第一スティック構成体11aと、第一スティック構成体の内部に収容される第二スティック構成体11bと、を有していることで、簡易な構成で、スティック本体11の長さの調節が可能となり、打楽器用スティック1の製造性が向上する。
【0069】
また、固定手段12により、スティック本体11の、演奏中の不意の長さの変化を防止することが可能となる。
【0070】
また、固定手段本体12aを、その軸周りに回転させる簡易な動作で、第二スティック構成体11bの摺動動作を抑制することが可能となり、打楽器用スティック1の利便性が向上する。
【0071】
また、弾性部材12a3の摩擦力により、少ない力で第二スティック構成体11bの摺動動作を制御することが可能となる。
【0072】
また、パッキンPにより、第二スティック構成体11bの不要なブレを抑制すると共に、第二スティック構成体11bの、第一スティック構成体11aからの抜け落ちを防止することが可能となる。
【0073】
また、着脱手段13により、奏者の好みの音色を発する叩打部Xを、自在に付け替えることが可能となる。
【0074】
また、奏者の好みの音色を発する叩打部Xを、着脱手段本体13aを回転させる簡易な動作で、付け替えることが可能となり、打楽器用スティック1の利便性が向上する。
【0075】
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0076】
例えば、
図8(a)に示すように、着脱手段本体13aの外形状自体を、ドラムセット用スティックのチップのような形状としても良い。この態様で使用する場合、着脱手段本体13aが叩打部Xとなる。
なお、この場合における着脱手段本体13a(叩打部X)の形状は、
図8(a)に示すような、ティアドロップ型に限られず、丸型や樽型、卵型、円錐型等、種々の形状が採用され得る。
【0077】
また、
図8(b)に示すように、叩打部Xの外形状は球状であっても良いし、
図8(c)に示すように、叩打部Xの外周面に毛糸やフェルト等柔軟性のある素材を設けても良い。このようにすることで、打楽器用スティック1をマレットとして用いることができる。
【0078】
この他にも、叩打部Xを、
図8(a)に示すようなチップ形状としても良いし、着脱手段本体13aの形状自体を、
図8(b)、(c)に示すような球状とし、叩打部Xとして用いても良い。
また、叩打部X及び着脱手段本体13aの形状としては、上記の他に、細長形状や、四角柱形状、三角柱形状等、種々の形状が採用され得る。
さらに、叩打部X及び着脱手段本体13aの素材は、特に限定されず、対象の打楽器等に合わせて、木材やプラスチック素材、ゴム等弾性素材、金属素材、繊維素材等、種々の素材が採用され得る。
【0079】
上記した形状や素材に関する種々の変更を適用することで、打楽器用スティック1は、スティールパンやドラムセット、ティンパニ、トライアングル、マリンバ、グロッケン等様々な打楽器に対して用いることが可能となる。
【符号の説明】
【0080】
1 打楽器用スティック
X、X´ 叩打部
11 スティック本体
11a 第一スティック構成体
11a1 第一スティック構成体本体
11a2 固定用雄ネジ部
C キャップ部
11b 第二スティック構成体
11b1 第二スティック構成体本体
S 螺合手段構成体
S1 着脱用雌ネジ部構成体
S2 凸部
P パッキン
P1 切り欠き部
12 固定手段
12a 固定手段本体
12a1 固定用雌ネジ部
12a2 傾斜面
12a3 弾性部材
D1 第一段部
D2 第二段部
D3 第三段部
D4 第四段部
12b 筒状体
12b1 切り欠き部
12b2 縮径部
13 着脱手段
13a、13a´ 着脱手段本体
13a1 凹部
13b 螺合手段
m 着脱用雄ネジ部
m1 ネジ穴
f 着脱用雌ネジ部
R Oリング