(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】移送装置及び移送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/90 20060101AFI20240521BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B65G47/90 B
B25J15/08 Q
(21)【出願番号】P 2019233561
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 一人
(72)【発明者】
【氏名】清野 智昭
(72)【発明者】
【氏名】岸本 健一
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-086994(JP,U)
【文献】特開平10-291793(JP,A)
【文献】特開2000-185899(JP,A)
【文献】特開2018-176313(JP,A)
【文献】実開平07-009835(JP,U)
【文献】実開平06-039386(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/90
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送元の不定形品を移送先に移送する移送装置であって、
前記不定形品が載置される載置部(21)と、
前記載置部に載置された不定形品を押える押え機構(22)とを備え、
前記押え機構(22)は、エアシリンダ(27)と、前記エアシリンダのピストンロッドに固着される押圧板(28)と、前記押圧板に装着されるコイルばね(32)と、前記コイルばねの前記押圧板と対向する側に装着される押えパッド(31)とを具備する
ことを特徴とする移送装置。
【請求項2】
前記不定形品は布製品であることを特徴とする請求項1記載の移送装置。
【請求項3】
前記移送装置は
、前記押え機構を制御する制御部を備え、該制御部は、
前記押圧板を不定形品の上にある準備位置と、
不定形品の上にない非準備状態とに位置するように
前記押え機構を制御するとともに、
前記押圧板が準備位置にある状態で、
前記押圧板を不定形品を挟んで
前記載置部に対向する上下方向に移動させることにより、押え状態と非押え状態とを切替えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項4】
前記載置部に滑り止めが設けられて
いることを特徴とする請求項1又は2に記載の移送装置。
【請求項5】
コンベヤ上に載置されて供給される不定形品を、移送装置が先端に取付けられたロボットによって移載する移送方法において、前記移送装置は前記不定形品が載置される載置部と、前記不定形品を前記載置部に押さえつけて固定する押え機構と、前進させることで前記不定形品を前記載置部から押出す押出機構とを備え、前記押え機構は、エアシリンダと、前記エアシリンダのピストンロッドに固着される押圧板と、前記押圧板に装着されるコイルばねと、前記コイルばねの前記押圧板と対向する側に装着される押えパッドとを備える、不定形品の移送方法であって、
移送元の不定形品を
前記ロボットの持つロボットアームに設けられた
前記移送
装置に設けられた
前記載置部に載置する工程と、
前記載置部上の不定形品を前記移送
装置に設けられた
前記押え機構で押える工程と、
前記ロボットアームを旋回させて前記載置部上の不定形品を移送先に移送する工程と
を備えたことを特徴とする不定形品の移送方法。
【請求項6】
前記押える工程は、
前記押え機構が延びて、
前記押えパッドが下降する工程を含み、
前記移送する工程は
、前記ロボットを旋回させ
、移送先の上空に不定形品を運び、
前記押えパッドを上げ、
前記押え機構を戻し、前記押出
機構を
前記移送
装置から延ば
すことにより前記載置部を引き抜く工程を含むことを特徴とする請求項5記載の移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団、シーツ、カーテン、絨毯、衣類、リネン、タオル等の布製品、又は紙製品、プラスチックシート等のように形状が定めにくい不安定な物品(以下、不定形品と称す)を移送する移送装置及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物流施設においては、出荷すべき物品をコンベヤで搬送し、それを順序立てて台車などの搬送手段に積み込むことが行われている。そのために、コンベヤから流れてきた物品を把持して台車などに移載する移送装置が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、寸法が異なる多くの種類の物品に適切に対応し、移載対象の物品である対象物品の上面を吸着して対象物品を吊り下げて移載先に移動させる物品移載装置の技術思想が開示されている。
【0004】
特許文献1の方法によれば、少なくとも1つの吸着パッドを有する吸着ブロックを複数備えると共に、水平方向に沿って吸着ブロックの少なくとも1つが移動可能に構成された吸着ユニットと、対象物品の少なくとも上面の大きさに応じて吸着ブロックを移動させる制御装置とを備えることにより、適切な対象部品の移載が可能になるとされる。
【0005】
しかしながら、吸着パッドによる方式は、箱型の物品では吸着移送ができても、布製品のような不定形品の場合、吸着穴に物品が強く吸い込まれ送に適した吸着は困難であり、このような不定形品の移載ができる装置が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来技術の課題を解決し、布製品等のような不定形品を移送することができる移送装置及びその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移送装置は、移送元の布製品を移送先に移送する移送装置であって、移送部に設けられた載置部(21)と、前記載置部に載置された不定形品を押える押え機構(22)とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
前記不定形品は布製品であることが好ましい。
【0010】
前記移送装置は、移送部と押え機構を制御する制御部を備え、該制御部は、板部を不定形品の上にある準備位置と、移送部に戻された非準備状態とに位置するように押え機構を制御するとともに、板部が準備位置にある状態で、板部を不定形品を挟んで載置部に対向する上下方向に移動させることにより、押え状態と非押え状態とを切替えるように制御することが好ましい。
【0011】
前記載置部に滑り止めが設けられており、また、ロボットが回転移送する際に、載置部の先端が上がり、布製品が落ちにくくすることが好ましい。
【0012】
本発明の移送方法は、移送元の布製品をロボットアームに設けられた移送部に設けられた載置部に載置する工程と、前記載置部上の布製品を前記移送部に設けられた押え機構で押える工程と、前記ロボットアームを旋回させて前記載置部上の不定形品を移送先に移送する工程とを備えることが好ましい。
【0013】
前記前記押える工程は、押え機構が延びて、押さえ板が下降する工程を含み、前記移送する工程は、前記載置部の先端を上げて前記ロボットを旋回させ、前記載置部の上げた先端を戻し、移送先の上空に不定形品を運び、押え板を上げ、押え機構を戻し、前記押出部を移送部から延ばすとともに移送部を後退させることにより前記載置部を引き抜く工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の移送装置及び移送方法によれば、コンベアから搬送されてきた布製品のような不定形品を把持して台車に確実に移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る不定形品の移送装置を備えた物流システムの斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る不定形品の移送装置の斜視図である。
【
図3】(a)は載置部の平面図で、(b)は(a)のA-A線断面図である。
【
図6】不定形品の移送装置の動作を示す斜視図である。
【
図7】不定形品の移送装置の動作を示す斜視図である。
【
図8】不定形品の移送装置の動作を示す斜視図である。
【
図9】不定形品の移送装置の動作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の移送装置として、不定形品の一例である布製品を移送する移送装置を図面に表わした実施形態を用いて詳細に説明する。但し、本発明は、これら実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る不定形品の移送装置を備えた物流システムの斜視図である。
【0018】
布製品(不定形品)Wは、ローラコンベヤ10の上を、図中の矢印の方から搬送されてくる。この布製品Wは、自動倉庫から自動的に供給されるもの、あるいは、人手やロボットなどにより、ローラコンベヤ10に載置されて供給されるようになっている。
【0019】
ローラコンベヤ10の進行方向終端には、プッシャ11が設けられている。プッシャ11は、待機時にはローラコンベヤ10の外側に位置しており、ローラコンベヤ10の進行方向に直角に前進後退する押し板12と、押し板12を駆動するエアシリンダなどからなる押圧手段(図示せず)とを有している。
【0020】
ローラコンベヤ10の終端に、本発明に係る移送装置Aが配置されている。移送装置Aは、ローラコンベア10上のプッシャ12によって押し出された布製品Wを受け取って台車3に移送するようにローラコンベヤ10の側方に配置されている。移送装置は、ロボット本体1に旋回自在に設けられたロボットアーム2の先端に取付けられている。
【0021】
図2は、本発明の一実施形態に係る移送装置の要部拡大斜視図である。移送装置Aは、本体20の下部に設けられた不定形品の載置部21と、布製品の押え機構22と、布製品の押出機構23とを備えている。以下、これらの機構の詳細を説明する。
【0022】
図3に示すように、載置部21は、略水平に延伸する3本のフォーク、すなわち中央フォーク25aと両側フォーク25b、25cからなる。両側フォーク25b、25cは、上部に受板40が設けられ、この受板40の上面の滑り止め用の溝41が形成されている。この両側フォーク25b、25cは、載置部21の幅方向に可動して幅寸法を可変できるようになっており、これにより、布製品の幅寸法が変わっても最適の幅で載置できる。
【0023】
図2に示すように、押え機構22は、布製品Wを載置部21に押さえつけて固定するものであって、載置部21の上方中央に設けられている。
【0024】
図4、
図5は押え機構22の詳細を示す。この押え機構22は、前後に往復移動するラック板26の前端に固着されたエアシリンダ27と、このエアシリンダ27のピストンロッドに固着され
る押圧板(板部)28とを備えている。押圧板28には、上下方向に向くガイドロッド30が移動自在に挿入され、ガイドロッド30の下端には丸形の押えパッド31が固着されている。押圧板28と押えパッド31との間にコイルばね32が装着されている。ラック板26の側面のラックギヤ26aにピニオンギヤ37が噛合し、ピニオンギヤ37をモータ(図示せず)で回転させることによりラック板26が前後動し、エアシリンダ27を前後動させるようになっている。
【0025】
図2、
図5において、押え機構22の両側には押出し機構23が設けられている。押出し機構23は、前後移動する押出フレーム35の前部に取付けられた押出板36を備えている。押出フレーム35は、例えばラックアンドピニオン機構、エアシリンダ機構、あるいは電動機構など、周知の直線移動機構により前後移動するようになっている。
【0026】
次に、上記移送装置の動作を説明する。
図1、
図2において、ローラコンベヤ10から搬送されてきた、束ねられた布製品Wは、プッシャ12により待機している移送装置Aに向けて押し出され、載置部22に受け止められる。
【0027】
続いて、
図4、
図5に示すように、ピニオン37の回転により、ラック板26を介して押え機構22が前進する。
【0028】
続いて、
図6に示すように、押圧機構22のエアシリンダ27が前進し、押出パッド31が布製品Wの上方に位置する。
【0029】
続いて、
図7に示すように、エアシリンダ27のピストンロッドが突出し、押圧板28及びガイドロッド30を介して押圧パッド31が下降して布製品Wに当たり、さらに押圧板28がコイルバネ32を圧縮しつつ下降して押圧パッド31が布製品Wを弾力的に押圧し、これにより、布製品Wは載置部21上で固定され、安定的に保持される。
【0030】
続いて、
図8に示すように、ロボットアーム2が筐体20を持ち上げて旋回する。
【0031】
続いて、
図9に示すように、載置部21を運搬手段である台車3に隣接させる。そして、押圧機構22による押圧を解除して後退させた後、押出機構23を前進させ、布製品Wを載置部21から押出し、台車3に積み込む。以上の動作を繰り返すことにより、台車に布製品を積み上げていく。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の移送装置及び方法では、押え機構22により、布製品を載置部21に押さえつけて台車3まで移送することができ、布製品のほか紙製品、プラスチックシートのような従来困難であった不定形品の自動移送が可能となる。
【符号の説明】
【0033】
2 ロボットアーム
3 台車
10 ローラコンベア
20 本体
21 載置部
22 押え機構
23 押出機構
25a、25b フォーク
26 ラック板
27 エアシリンダ
28 押え板(板部)
30 ガイドロッド
31 押えパッド
32 コイルばね
40 受板
41 溝
W 布製品(不定形品)