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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】紙袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/08 20060101AFI20240521BHJP
   B65D 33/02 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B65D33/08
B65D33/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020163856
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056066
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000218409
【氏名又は名称】ネクスタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】山本 有美
(72)【発明者】
【氏名】大山 和芳
(72)【発明者】
【氏名】片岡 正幸
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-121597(JP,A)
【文献】特開2006-347576(JP,A)
【文献】登録実用新案第3160983(JP,U)
【文献】実開昭56-6749(JP,U)
【文献】特開2017-124028(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0315507(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00 - 33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に開口部が形成され、他端側に底部が形成された筒状の紙袋であって、
前記開口部の側の内周面が互いに当接可能とされる前面部及び後面部を備え、
前記前面部と前記後面部とにおける前記開口部には、前側又は後側に一体的に折り返される封止部が形成され、
前記前面部における前記開口部の近傍には、前記前面部を貫通する前面把持孔が開口され、
前記後面部における前記前面把持孔と対向する箇所には、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した後面切込により後面折り返し部が形成され、
前記後面折り返し部を前記封止部が折り返される側に折り返すことにより、前記後面部を貫通する後面把持孔が開口され、
前記後面折り返し部の少なくとも一部分は、前記封止部と重複し、
前記封止部が前側に折り返され、
前記後面折り返し部を、前記前面把持孔を通って前側に折り返すことにより、前記後面部に後面把持孔が開口され、
前記前面部における前記開口部の近傍には、前記後面折り返し部と略同形状の切込により前面折り返し部が形成され、
前記前面折り返し部を、前記後面折り返し部と一体的に前側に折り返すことにより、前記前面部に前記前面把持孔が開口され、
前記前面折り返し部は前記後面折り返し部よりも一回り大きな形状に形成される、紙袋。
【請求項2】
前記前面部の表面と、前記封止部における前記後面部側の面と、前記後面折り返し部における前記後面部側の面と、のそれぞれには、前記封止部と前記後面折り返し部とがそれぞれ前側に折り返された際に互いに連続する意匠が施される、請求項1に記載の紙袋。
【請求項3】
前記前面部又は前記後面部における前記開口部には、前記封止部の先端部と前記後面把持孔の上端部との中間位置に、前記封止部を折り返す際の折り目位置が表示される、請求項1又は請求項2に記載の紙袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等を持ち帰る際に用いられる紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や衣料品などを商品として持ち帰る際に使用される紙袋において、開口部の近傍に手提げ用の孔を開口する技術が採用されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、開口部寄りの前面と後面に手提げ用の孔を合計四箇所形成し、紙袋を平坦に畳んだ際は二個の孔がそれぞれ重なる紙袋が記載されている。そして、紙袋の上部を折り返したときには、四個の孔が全て重なって一個の手提げ用の孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3150081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の紙袋によれば、紙袋に収容物を収容した状態で使用する際に、手提げ用の孔の周囲に収容物の荷重が集中する。それぞれの孔は開口される際に紙を切断した切り口により形成されているため、収容物の荷重によって変形したり、破損したりする可能性があった。また、特許文献1に記載の紙袋によれば、上部を折り返す際に四個の孔の位置がずれてしまった場合、下側の孔に大きな荷重が加わることになり、変形や破損の可能性が高くなっていた。さらに、紙袋の製造工程において、手提げ用の孔を開口する際に切り取られた部分の廃棄コストが発生していた。
【0005】
本発明の目的は、収容物の荷重によって変形したり破損したりする可能性を低減させるとともに、製造コストを抑制することのできる紙袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)一端側に開口部が形成され、他端側に底部が形成された筒状の紙袋であって、前記開口部の側の内周面が互いに当接可能とされる前面部及び後面部を備え、前記前面部と前記後面部とにおける前記開口部には、前側又は後側に一体的に折り返される封止部が形成され、前記前面部における前記開口部の近傍には、前記前面部を貫通する前面把持孔が開口され、前記後面部における前記前面把持孔と対向する箇所には、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した後面切込により後面折り返し部が形成され、前記後面折り返し部を前記封止部が折り返される側に折り返すことにより、前記後面部を貫通する後面把持孔が開口され、前記後面折り返し部の少なくとも一部分は、前記封止部と重複し、前記封止部が前側に折り返され、前記後面折り返し部を、前記前面把持孔を通って前側に折り返すことにより、前記後面部に後面把持孔が開口され、前記前面部における前記開口部の近傍には、前記後面折り返し部と略同形状の切込により前面折り返し部が形成され、前記前面折り返し部を、前記後面折り返し部と一体的に前側に折り返すことにより、前記前面部に前記前面把持孔が開口され、前記前面折り返し部は前記後面折り返し部よりも一回り大きな形状に形成される、紙袋。
【0007】
(2)前記前面部の表面と、前記封止部における前記後面部側の面と、前記後面折り返し部における前記後面部側の面と、のそれぞれには、前記封止部と前記後面折り返し部とがそれぞれ前側に折り返された際に互いに連続する意匠が施される、(1)に記載の紙袋。
【0008】
(3)前記前面部又は前記後面部における前記開口部には、前記封止部の先端部と前記後面把持孔の上端部との中間位置に、前記封止部を折り返す際の折り目位置が表示される、(1)又は(2)に記載の紙袋。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る紙袋によれば、収容物の荷重によって変形したり破損したりする可能性を低減させるとともに、製造コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一実施形態に係る紙袋の斜視図。
図2】第一実施形態に係る紙袋の中央断面図。
図3】(a)は紙袋の切込形成工程後の状態を示した図、(b)は紙袋の第一の折り目形成工程後の状態を示した図。
図4】(a)は紙袋の糊付け工程後の状態を示した図、(b)は紙袋の底部形成工程後の状態を示した図。
図5】(a)は紙袋の折りたたみ工程後の状態を示した図、(b)は紙袋の第二の折り目形成工程後の状態を示した図。
図6】(a)は紙袋の組立工程後の状態を示した図、(b)は紙袋の封止工程後の状態を示した図。
図7】第二実施形態に係る紙袋の斜視図。
図8】第二実施形態に係る紙袋の中央断面図。
図9】第二実施形態に係る紙袋の展開図。
図10】第三実施形態に係る紙袋の斜視図。
図11】第三実施形態に係る紙袋の展開図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態に係る紙袋1について、図1から図6を参照しながら説明する。本実施形態においては、図1中に示す矢印の方向で紙袋1の方向を規定する。図1及び図4(b)に示す如く、紙袋1は、一端側である上端に開口部2が形成され、他端側である下端に底部3が形成された筒状に構成される。
【0012】
紙袋1の素材紙P(図3及び図4を参照)としては、新聞紙や古紙などを素材として形成される再生紙を用いることもできるし、非再生紙を用いることもできる。また、耐水性を向上させるため、パラフィン、油脂、シリコン樹脂、柿渋などを含浸したり塗布したりした耐水紙を用いることもできる。
【0013】
紙袋1は、開口部2の側の内周面が互いに当接可能とされる前面部11及び後面部12を備える。前面部11と後面部12とは、右側のマチ部13と左側のマチ部14とで互いに連結されている。紙袋1において、前面部11及び後面部12、マチ部13・14の幅方向の寸法及び上下方向の寸法は、紙袋1に収容する収容物の寸法に応じて任意に設定できる。
【0014】
図3から図5に示す如く、紙袋1は一枚の矩形用紙である素材紙Pにおいて、マチ部13に隣接して形成された糊代部15と前面部11とが接着されることにより筒形状に形成される。図4(a)に示す如く筒形状とされた紙袋1において、前面部11、後面部12、及び、マチ部13・14の下側が折りたたまれて接着剤で接着されることにより、図4(b)に示す如く底部3が形成される。
【0015】
なお、本実施形態に係る紙袋1(後述する別実施形態についても同様)においてはマチ部13・14を備える構成としているが、前面部11及び後面部12を備えていれば、マチ部13・14を設けない構成とすることも可能である。また、左右のマチ部13・14を設けた際の折り込み深さは、任意に設定することができる。また、糊代部15の位置はマチ部13の近傍に限定されるものではなく、紙袋1を構成する箇所であればどこに設けても差し支えない。
【0016】
紙袋1は、使用していないときには図5(a)及び(b)に示す如く、平板状に折り畳んで収納できる。また、食品や衣料品等の収容物を収容する使用時には、図4(b)に示すように、前面部11と後面部12とを相互に離間させて、開口部2から収容物を挿入する。
【0017】
本実施形態に係る紙袋1において、前面部11と後面部12とにおける開口部2には、前側の下方に一体的に折り返される封止部21が形成されている。具体的には図1及び図2に示す如く、前面部11と後面部12との間にマチ部13・14が折りたたまれて挿入された状態で、封止部21が前側に折り返されるのである。
【0018】
また、紙袋1において、前面部11における開口部2の近傍には、前面部11を貫通する前面把持孔33が開口されている。より詳細には、前面部11における開口部2の近傍には、図3(b)、図4(a)及び(b)に示す如く、上向きに凸形状であり、且つ、下側が離間した前面切込31により前面折り返し部32が形成されている。そして、前面折り返し部32を後側に折り返すことにより、前面部11を貫通する前面把持孔33が開口される。
【0019】
また、紙袋1において、後面部12における前面把持孔33と対向する箇所には、後面部12を貫通する後面把持孔43が開口されている。より詳細には、後面部12における開口部2の近傍には、図3(b)、図4(a)及び(b)に示す如く、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した後面切込41により後面折り返し部42が形成されている。そして、後面折り返し部42を、封止部21が折り返される側である前側に折り返すことにより、後面部12を貫通する後面把持孔43が開口される。
【0020】
図1及び図2に示す如く、前面把持孔33と後面把持孔43とは同じ箇所に開口されている。紙袋1の使用者は、前面把持孔33と後面把持孔43とに手を挿入して、手提げ用の孔として使用するのである。
【0021】
図1及び図2に示す如く、後面折り返し部42を前側に折り返した際に、後面折り返し部42は、前面部11の前側で封止部21と重複して配置される。本実施形態においては図1及び図2に示す如く、後面折り返し部42のほぼ全ての領域が封止部21と重複するように構成される。前側に折り返した後面折り返し部42は、使用者又は店員が適宜テープ等で封止部21に貼り付けても良い。
【0022】
本実施形態に係る紙袋1によれば、後面把持孔43の上側は紙の切り口ではなく、後面折り返し部42の折り返し辺として形成されている。このため、手提げ用の孔を切り口で形成する構成と比較して、後面把持孔43の強度を向上させることができる。また、後面折り返し部42と封止部21とが重ねられて構成されているため、封止部21により手提げ用の孔の周囲を補強することができる。即ち、本実施形態に係る紙袋1によれば、収容物を収容した状態で使用する際に、後面把持孔43が荷重によって変形したり、破損したりする可能性を低減させることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態に係る紙袋1によれば、前面把持孔33と後面把持孔43との二個の孔により手提げ用の孔を形成しているため、四個の孔により手提げ用の孔を形成する構成と比較して孔の位置を一致させやすい。このため、前面把持孔33と後面把持孔43との位置がずれにくくなるため、変形や破損の可能性をより低減させることができる。
【0024】
さらに、紙袋1の製造工程において、前面切込31及び後面切込41により前面折り返し部32及び後面折り返し部42を形成し、前面折り返し部32及び後面折り返し部42を折り返すことにより前面把持孔33と後面把持孔43とを形成する構成としている。このように、紙袋1においては、製造時に手提げ用の孔を開口する際に素材紙Pが切り取られることがなく、廃棄コストを削減することができるため、紙袋1の製造コストを抑制することが可能となる。
【0025】
本実施形態に係る紙袋1においては、図1図2、及び図6(b)に示す如く、封止部21が前側に折り返されるとともに、後面折り返し部42が前面把持孔33を通って前側に折り返されることにより、後面部12に後面把持孔43が開口される。これにより、図2に示す如く、前面把持孔33の上側の切り口は後面折り返し部42により被覆される。即ち、前面把持孔33の強度を向上させることができるため、前面把持孔33が荷重によって変形したり、破損したりする可能性を低減させることが可能となる。
【0026】
なお、本実施形態においては、封止部21及び後面折り返し部42を前側に折り返す構成としているが、これらを共に後側に折り返す構成とすることも可能である。この場合でも、後面把持孔43の上側が折り返した辺として形成されているため、後面把持孔43の強度を向上させることができる。また、後面折り返し部42と封止部21とが重ねられて構成されているため、手提げ用の孔の強度を高めることができる。
【0027】
また、本実施形態においては、後面折り返し部42のほぼ全ての領域が、前面部11の前側で封止部21と重複して配置されるが、後面折り返し部42の一部のみが封止部21と重複する構成とすることもできる。例えば、後面折り返し部42のうち、折り返した上半分又は1/3の領域のみが封止部21と重複する構成としても差し支えない。但し、後面把持孔43の強度を向上させるという観点からは、後面折り返し部42のほぼ全てが封止部21と重複することにより封止部21で後面把持孔43を補強する構成が好ましい。
【0028】
本実施形態に係る紙袋1において、前面部11における開口部2には、封止部21の先端部と後面把持孔43の上端部との中間位置に、封止部21を折り返す際の折り目位置が表示される。本実施形態においては図5(b)中の一点鎖線に示す如く、封止部21の先端部と後面把持孔43の上端部(図5(b)における前面切込31の上端部)との中間位置に、折り目が付けられる。
【0029】
上記の如く構成することにより、封止部21を折り返した際に封止部21の先端部(下端部)が後面折り返し部42の折り返し位置に配置されるため、後面折り返し部42のほぼ全ての領域を封止部21と重複して配置させることが可能となる。なお、折り目位置の表示は本実施形態の如く折り目を付ける構成以外に、線を表示する、彩色を変化させる等、他の方法で表示することも可能である。
【0030】
また、本実施形態に係る紙袋1において、前面部11における開口部2の近傍には、上向きに凸形状であり、且つ、下側が離間した前面切込31により前面折り返し部32が形成されている。そして、前面折り返し部32を後側に折り返すことにより、前面部11を貫通する前面把持孔33が開口される。この際、図1図2、及び図6(b)に示す如く、前面折り返し部32は後面把持孔43に挿入される。後側に折り返した前面折り返し部32は、使用者又は店員が適宜テープ等で後面部12に貼り付けても良い。
【0031】
本実施形態に係る紙袋1においては上記の如く構成することにより、紙袋1の密封性を向上させることができる。即ち、前面折り返し部32により紙袋1の内部と外部との連通を遮蔽することにより、紙袋1の内部空間を外部から遮断することができる。これにより、虫や埃などの異物が紙袋1に侵入したり、商品の冷気や暖気が外部に漏れたりすることを抑制することが可能となる。
【0032】
[紙袋1の製造・使用方法]
本実施形態に係る紙袋1を製造及び使用する際には、まず、図3(a)に示す如く、素材紙Pに前面切込31及び後面切込41を入れて、前面折り返し部32及び後面折り返し部42を形成する(切込形成工程)。次に、図3(b)に示す如く、素材紙Pをプレスすることにより折り目を付けて、前面部11、後面部12、マチ部13・14、糊代部15等を形成する(第一の折り目形成工程)。
【0033】
次に、図4(a)に示す如く、糊代部15と前面部11とを接着することにより筒形状に形成する(糊付け工程)。さらに、図4(b)に示す如く、前面部11、後面部12、及び、マチ部13・14の下側が折りたたまれて接着剤で接着することにより、底部3を形成する(底部形成工程)。
【0034】
次に、図5(a)に示す如く紙袋1を折りたたみ(折りたたみ工程)、その後プレスすることにより、図5(b)に示す如く封止部21を折り返す際の折り目位置に折り目を形成する(第二の折り目形成工程)。
【0035】
さらに、紙袋1を使用する際(例えば、商品の受け渡し時など)に、図6(a)に示す如く紙袋1を展開し(組立工程)、図6(b)に示す如く前面折り返し部32及び後面折り返し部42を折り返して、図1及び図2に示す紙袋1の使用状態とする(封止工程)。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る紙袋101について、図7から図9を参照しながら説明する。本実施形態においては、図7中に示す矢印の方向で紙袋1の方向を規定する。図7に示すように、紙袋101は、一端側である上端に開口部102が形成され、他端側である下端に底部103が形成された筒状に構成される。紙袋101は、前記第一実施形態における紙袋1と同じ素材が採用される。
【0037】
紙袋101は、開口部102の側の内周面が互いに当接可能とされる前面部111及び後面部112を備える。前面部111と後面部112とは、右側のマチ部113と左側のマチ部114とで互いに連結されている。紙袋101において、前面部111及び後面部112、マチ部113・114の幅方向の寸法及び上下方向の寸法は、紙袋101に収容する収容物の寸法に応じて任意に設定できる。
【0038】
本実施形態に係る紙袋101において、前面部111と後面部112とにおける開口部102には、前側の下方に一体的に折り返される封止部121が形成されている。具体的には図7及び図8に示す如く、前面部111と後面部112との間にマチ部113・114が折りたたまれて挿入された状態で、封止部121が前側に折り返されるのである。
【0039】
また、紙袋101において、前面部111における開口部102の近傍には、前面部111を貫通する前面把持孔133が開口されている。より詳細には、前面部111における開口部102の近傍には、図7及び図9に示す如く、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した前面切込131により前面折り返し部132が形成されている。そして、前面折り返し部132を前側に折り返すことにより、前面部111を貫通する前面把持孔133が開口される。
【0040】
また、紙袋101において、後面部112における前面把持孔133と対向する箇所には、後面部112を貫通する後面把持孔143が開口されている。より詳細には、後面部112における開口部102の近傍には、図7及び図9に示す如く、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した後面切込141により後面折り返し部142が形成されている。
【0041】
本実施形態において、前面切込131及び後面切込141はほぼ同形状に形成されている。即ち、前面折り返し部132と後面折り返し部142とはほぼ同形状に形成されている。そして、後面折り返し部142を前面把持孔133に通して、封止部121が折り返される側である前側に折り返すことにより、後面部112を貫通する後面把持孔143が開口される。
【0042】
図7に示す如く、前面把持孔133と後面把持孔143とは同じ箇所に開口されている。紙袋101の使用者は、前面把持孔133と後面把持孔143とに手を挿入して、手提げ用の孔として使用するのである。
【0043】
図7及び図8に示す如く、前面折り返し部132と後面折り返し部142とを一体的に前側に折り返した際に、前面折り返し部132及び後面折り返し部142は、前面部111の前側で封止部121と重複して配置される。本実施形態においては図7及び図8に示す如く、前面折り返し部132及び後面折り返し部142のほぼ全ての領域が封止部121と重複するように構成される。前側に折り返した後面折り返し部142は、使用者又は店員が適宜テープ等で封止部121に貼り付けても良い。
【0044】
本実施形態に係る紙袋101によれば、前面把持孔133及び後面把持孔143の上側が、前面折り返し部132及び後面折り返し部142による二重の折り返し辺として形成されている。このため、手提げ用の孔を切り口で形成する構成と比較して、前面把持孔133及び後面把持孔143の周囲の強度をより向上させることができる。
【0045】
また、前面折り返し部132、後面折り返し部142、及び封止部121が重ねられて構成されているため、封止部121により手提げ用の孔の周囲をより補強することができる。即ち、本実施形態に係る紙袋101によれば、収容物を収容した状態で使用する際に、前面把持孔133及び後面把持孔143が荷重によって変形したり、破損したりする可能性を低減させることが可能となる。
【0046】
また、本実施形態に係る紙袋101によれば図7に示す如く、前面折り返し部132は後面折り返し部142よりも一回り大きな形状に形成される。具体的には図9に示す如く、前面折り返し部132の幅方向の第一寸法(前面切込131の幅寸法)L1が後面折り返し部142の幅方向の第二寸法(後面切込141の幅寸法)L2よりも大きくなるように形成されている。
【0047】
上記の如く構成することにより、後面折り返し部142を前側に折り返す際に、後面折り返し部142が前面把持孔133の周囲に引っ掛かることを防止できる。即ち、後面把持孔143を形成する際の作業性を向上させることができる。また、店員が間違えて前面折り返し部132を後側に折り返そうとした場合に、前面折り返し部132が後面把持孔143の周囲に引掛かかるため、店員が折り返し方向の間違いに気づきやすくなる。即ち、本実施形態に係る紙袋101によれば、誤った方法で使用されることを防止できる。
【0048】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態に係る紙袋201について、図10及び図11を参照しながら説明する。図10に示すように、紙袋201は、一端側である上端に開口部202が形成され、他端側である下端に底部203が形成された筒状に構成される。紙袋201は、前記第1実施形態における紙袋1と同じ素材が採用される。
【0049】
紙袋201は、開口部202の側の内周面が互いに当接可能とされる前面部211及び後面部212を備える。前面部211と後面部212とは、右側のマチ部213と左側のマチ部214とで互いに連結されている。紙袋201において、前面部211及び後面部212、マチ部213・214の幅方向の寸法及び上下方向の寸法は、紙袋201に収容する収容物の寸法に応じて任意に設定できる。
【0050】
本実施形態に係る紙袋201において、前面部211と後面部212とにおける開口部202には、前側の下方に一体的に折り返される封止部221が形成されている。具体的には図10に示す如く、前面部211と後面部212との間にマチ部213・214が折りたたまれて挿入された状態で、封止部221が前側に折り返されるのである。
【0051】
また、紙袋201において、前面部211における開口部202の近傍には、前面部211を貫通する前面把持孔233が開口されている。より詳細には、前面部211における開口部202の近傍には、図11に示す如く、上向きに凸形状であり、且つ、下側が離間した前面切込231により前面折り返し部232が形成されている。そして、前面折り返し部232を後側に折り返すことにより、前面部211を貫通する前面把持孔233が開口される。
【0052】
また、紙袋201において、後面部212における前面把持孔233と対向する箇所には、後面部212を貫通する後面把持孔243が開口されている。より詳細には、後面部212における開口部202の近傍には、図11に示す如く、下向きに凸形状であり、且つ、上側が離間した後面切込241により後面折り返し部242が形成されている。そして、後面折り返し部242を、封止部221が折り返される側である前側に折り返すことにより、後面部212を貫通する後面把持孔243が開口される。
【0053】
図10に示す如く、前面把持孔233と後面把持孔243とは同じ箇所に開口されている。紙袋201の使用者は、前面把持孔233と後面把持孔243とに手を挿入して、手提げ用の孔として使用するのである。
【0054】
本実施形態に係る紙袋201においては、図10及び図11における網掛け部に示す如く、前面部211の表面と、封止部221における後面部212の側の面と、後面折り返し部242における後面部212の側の面と、のそれぞれには、封止部221と後面折り返し部242とがそれぞれ前側に折り返された際に互いに連続する意匠が施される。ここで、互いに連続する意匠とは、特定のキャラクター、絵画、色彩、模様、デザイン等、紙袋201の使用者が連続していると認識可能なものであれば良く、その態様は特に限定されるものではない。
【0055】
本実施形態に係る紙袋201においては上記の如く構成することにより、店員が封止部221及び後面折り返し部242の折り返す方向を間違えた場合に、前面部211の表面と、封止部221における後面部212の側の面と、後面折り返し部242における後面部212の側の面と、による連続する意匠が形成されないため、店員が折り返し方向の間違いに気づきやすくなる。即ち、本実施形態に係る紙袋201によれば、誤った方法で使用されることを防止できる。また、紙袋201の使用者に与える美感を向上させることができるとともに、紙袋201を使用した際の使用者の楽しさや高揚感を高めることができる。
【0056】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲においてその構成を変更し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
1 紙袋(第一実施形態) 2 開口部
3 底部 11 前面部
12 後面部 13 マチ部
14 マチ部 15 糊代部
21 封止部 31 前面切込
32 前面折り返し部 33 前面把持孔
41 後面切込 42 後面折り返し部
43 後面把持孔
101 紙袋(第二実施形態) 102 開口部
103 底部 111 前面部
112 後面部 113 マチ部
114 マチ部 121 封止部
131 前面切込 132 前面折り返し部
133 前面把持孔 141 後面切込
142 後面折り返し部 143 後面把持孔
201 紙袋(第三実施形態) 202 開口部
203 底部 211 前面部
212 後面部 213 マチ部
214 マチ部 221 封止部
231 前面切込 232 前面折り返し部
233 前面把持孔 241 後面切込
242 後面折り返し部 243 後面把持孔
L1 第一寸法 L2 第二寸法
P 素材紙
図1
図2
図3
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図9
図10
図11