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特許7491510mTOR阻害剤としての新規化合物及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】mTOR阻害剤としての新規化合物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/06 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240521BHJP
   C07D 417/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D417/06 CSP
A61K31/427
A61K31/4439
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/16
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/28
C07D417/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020560378
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 KR2019005108
(87)【国際公開番号】W WO2019209083
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0048774
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514070937
【氏名又は名称】メディシナル バイオコンバージェンス リサーチ センター
(73)【特許権者】
【識別番号】506327586
【氏名又は名称】インダストリー-アカデミック コオペレイション ファウンデーション,ヨンセイ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スンフン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ギュンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ジュン ミン
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョルホ
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/176040(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/063602(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/027307(WO,A1)
【文献】米国特許第03615608(US,A)
【文献】特表2011-507910(JP,A)
【文献】Molecules,2013年,18,5482-5497,doi:10.3390/molecules18055482
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 956449-38-0,2007年12月02日, [検索日 2023.02.07] (5Z)-5-[(1-Phenyl-1H-pyrazol-4-yl)methylene]-2-thioxo-4-thiazolidinone,Database: Ambinter SARL
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 1331492-84-2,2011年09月12日, [検索日 2023.02.07] , 5-[(1-Phenyl-1H-pyrazol-4-yl)methylene]-3-(2-propen-1-yl)-2-thioxo-4-thiazolidinone, Supplier: Ambinter SARL
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 1181460-20-7,2009年09月09日,[検索日 2023.02.07], 5-[[1-(4-Chlorophenyl)-1H-pyrazol-4-yl]methylene]-2-thioxo-4-thiazolidinone, Supplier: Enamine
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 1007045-20-6,2008年03月07日, [検索日 2023.02.07], 5-[(1-Phenyl-1H-pyrazol-4-yl)methylene]-2,4-thiazolidinedione, Supplier: Aurora Fine Chemicals
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 1007026-39-2,2008年03月07日, [検索日 2023.02.07], 5-[(1-Phenyl-1H-pyrazol-4-yl)methylene]-2-thioxo-4-thiazolidinone, Supplier: Aurora Fine Chemicals
【文献】REGISTRY(STN)[online] RN 902719-29-3,2006年08月18日,[検索日 2023.02.07], 5-[(3,5-Dimethyl-1-phenyl-1H-pyrazol-4-yl)methylene]-2-thioxo-4-thiazolidinone, Supplier: Scientific Exchange, Inc.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩:
【化1】
化学式1において、
R1は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C2~C5アルケニル;C3~C10ヘテロアリールアルキル;又はC1~C5ヒドロキシアルキルであり、
R2は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキルであり、
R3は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C6~C15アリール;又はC3~C15ヘテロアリールであり、
Xは、酸素;硫黄;又は窒素であり、
Y1及びY2は、それぞれ独立的に、酸素又は硫黄であり、
nは0、1、又は2であり、
前記化合物は、(5Z)-3-メチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-メチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(5-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-フェニルピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、及び(5Z)-5-[[1-(4-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンからなる群から選択されることを特徴とする。
【請求項2】
下記反応式による、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法:
【化2】
反応式1において、
R1、R2、R3、X、Y1、Y2、及びnは、請求項1で定義した通りである。
【請求項3】
下記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、mTOR(mechanistic target of rapamycin)経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物であって、前記mTOR経路関連脳疾患は、てんかん、アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ病、パーキンソン病、結節性硬化症(Tuberous sclerosis)、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder)、カウデン症候群(Cowden syndrome)、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(Bannayan-riley-rulvalcaba syndrome)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、神経線維腫症(Neurofibromatosis)、第1型の神経線維腫症(Neurofibromatosis type 1)、自閉症(Autism)、及び非症候群性自閉症(Nonsyndromic autism)からなる群から選択される、前記薬学的組成物
【化3】
化学式1において、
R1は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C2~C5アルケニル;C3~C10ヘテロアリールアルキル;又はC1~C5ヒドロキシアルキルであり、
R2は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキルであり、
R3は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C6~C15アリール;又はC3~C15ヘテロアリールであり、
Xは、酸素;硫黄;又は窒素であり、
Y1及びY2は、それぞれ独立的に、酸素又は硫黄であり、
nは0、1、又は2であり、
前記化合物は、(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-メチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-メチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(5-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-フェニルピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、及び(5Z)-5-[[1-(4-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンからなる群から選択されることを特徴とする。
【請求項4】
mTOR(mechanistic target of rapamycin)経路関連脳疾患の予防又は治療用製剤を製造するための、下記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用であって、前記mTOR経路関連脳疾患は、てんかん、アルツハイマー病、ハンチントン病、うつ病、パーキンソン病、結節性硬化症(Tuberous sclerosis)、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder)、カウデン症候群(Cowden syndrome)、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(Bannayan-riley-rulvalcaba syndrome)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、神経線維腫症(Neurofibromatosis)、第1型の神経線維腫症(Neurofibromatosis type 1)、自閉症(Autism)、及び非症候群性自閉症(Nonsyndromic autism)からなる群から選択される、前記使用
【化4】
化学式1において、
R1は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C2~C5アルケニル;C3~C10ヘテロアリールアルキル;又はC1~C5ヒドロキシアルキルであり、
R2は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキルであり、
R3は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C6~C15アリール;又はC3~C15ヘテロアリールであり、
Xは、酸素;硫黄;又は窒素であり、
Y1及びY2は、それぞれ独立的に、酸素又は硫黄であり、
nは0、1、又は2であり、
前記化合物は、(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-メチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-メチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-アリル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-エチル-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(5-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、(5Z)-5-[[1-フェニルピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、及び(5Z)-5-[[1-(4-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンからなる群から選択されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月26日に出願された韓国特許出願第10-2018-0048774号に基づく優先権を主張し、前記明細書全体は参照により本出願に援用する。
【0002】
本発明は、mTOR阻害剤としての新規化合物及びその用途に関するもので、より詳細には、mTORC1阻害活性を示す化学式1で表される新規化合物、及びこれを有効成分として含むmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
アミノ酸は、タンパク質合成の原料として使用されるだけでなく、タンパク質の代謝を調節する栄養素として作用する。細胞内で使用可能なアミノ酸の動作は、mTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)によって媒介され、mTORC1は、タンパク質の合成、自己消化作用、細胞の成長のような様々な細胞内反応を調節するだけではなく、癌、肥満、糖尿病や神経退行など、さまざまなヒトの病気とも密接に関連している。
【0004】
FRAP(FKBP12及びラパマイシン関連タンパク質)としても知られているmTOR(ラパマイシンの哺乳類ターゲット)は、リン脂質をリン酸化させないが、PIKK(ホスファチジルイノシトール-3-リン酸関連キナーゼ)ファミリーである289kDaのセリン/スレオニンキナーゼである。
【0005】
このタンパク質は、C-末端キナーゼドメイン、FKBP12-ラパマイシン結合ドメイン、タンパク質-タンパク質相互作用に関与する20N-末端HEATリピート、FAT(FRAP-ATM-TRRAP)ドメイン、及び他のPIKKにも存在するC-末端FATドメインを含む複数のドメインを含む。
【0006】
mTORキナーゼは、細胞の成長と増殖に対する中心的なレギュレーターであり、細胞の代謝及び血管形成にも重要な役割を果たす。mTORは、PI3K/Akt軸(axis)によって活性化され、続けて、PI3K/Aktシグナル伝達経路の下流エフェクターは、特に細胞タンパク質翻訳機構の二つの主レギュレーターであるリボソームタンパク質S6キナーゼ(S6K1)と真核開始因子4E結合タンパク質(4E-BP1)とをリン酸化する(mTORシグナル経路は非特許文献1に記載されている)。
【0007】
一方、mTORC1は、細胞の成長、タンパク質の合成、成長因子の調節などの様々な上流(upstream)信号を調節する。mTORC1の成長因子とエネルギー信号を送る結節性硬化症複合体(Tuberous Sclerosis Complex、TSC)とは、Ras様低分子量GTPアーゼ(Ras-like small GTPase)、Rhebに対するGTPアーゼ活性化タンパク質(GTPase-activating protein, GAP)であり、RhebのGTP加水分解を促進することにより、mTORC1を負に調節(negatively regulate)する。
【0008】
Rhebは、後期エンドソーム/リソソームに移動することができ、アミノ酸によって誘導されるmTORC1の活性化に必要である。リソソーム膜で、Rag GTPアーゼとレギュレーター複合体(Regulator complex)(MAPKSP1、ROBLD3、及びc11orf59)は、mTORC1のアミノ酸誘導性の結合サイトとして作用する。
【0009】
哺乳類は、4種類のRag GTPアーゼ(RagA、RagB、RagC、RagD)を発現する。Rag GTPアーゼは、実質的にRagA/C又はRagB/Dのヘテロダイマーを形成して、アミノ酸誘導性のmTORC1の活性化を媒介する。アミノ酸は、mTORC1をリソソームに移動するように誘導し、リソソームにおいては、GTPが結合されたRagBが含まれているRagヘテロダイマーがmTORC1と相互作用する。
【0010】
ロイシンとグルタミンは、それぞれRag GTPアーゼ依存性及び非依存性のメカニズムを通して、mTORC1を活性化することができる。RagA/Bが欠損された細胞でも、グルタミンは、ADP-リボシル化因子1(ADP ribosylation factor 1(ARF1))GTPアーゼを介して、mTORC1の活性化を維持することができる。従って、mTORC1は、グルタミンとロイシンによって別々に調節することができる。しかし、Rag GTPアーゼ-依存性のロイシン信号の機能的重要性はよく知られていない。
【0011】
ところが、このようなmTORが過度に活性化されると、発作、自閉症、軽度認知障害、皮質結節(cortical tuber)、腫瘍の発生を特徴とする、結節性硬化症が発生しうる。約90%の結節性硬化症の患者からてんかんが発生し、これは主に皮質結節(cortical tuber)によるものだと考えられているが、まだその正確なメカニズムは分からない状態である。
【0012】
mTORが過度に活性化されることによって誘発された、結節性硬化症によって発生しうるてんかん(epilepsy)は、慢性的な神経障害の一つで、脳神経細胞の不規則な興奮で脳から電気が発生し、発作や痙攣を起こす疾患である。てんかんは、いくつかの原因によって発生し、疫学研究では、患者の3分の1以上が、脳に生じた病理学的変化や脳損傷の既往歴があることが報告されており、主な原因としては、脳卒中、先天奇形、頭部外傷、脳炎、脳腫瘍、変性脳症(degenerative encephalopathy)、遺伝、未熟児、分娩前後の損傷などが挙げられる。
【0013】
てんかんの平均有病率は0.5~1%であり、慢性神経疾患の中で最も有病率が高い疾患の一つである。世界保健機関(WHO)の調査によると、全世界で約5千万人のてんかん患者がおり、これは全世界中の、全体的な病気の約1%に相当する。てんかんの有病率は、年齢によって差があるが、小児と高齢層での有病率が高いことが特徴である。近年、寿命の延長による高齢者人口の増加により、高齢層のてんかん患者が増加しており、全体的なてんかん患者の増加が予想される。未だてんかんの根本的な治療方法はなく、抗てんかん薬の投与が主な治療法である。慢性てんかん患者の約70%は、抗てんかん薬で調節することができるが、30%程度は、抗てんかん薬の複合療法(polytherapy)でさえ癲癇発作が調節できない、薬剤耐性てんかん(pharmacoresistant epilepsy)で進行する。これらの問題を解決するために、過去20年間、新しい種類の抗てんかん薬が持続的に開発され、市販されたが、薬剤耐性てんかん患者の割合は減っていないのが実情である。今後、高齢者人口の増加により、てんかん患者による社会的負担が大幅に増加すると予想される。
【0014】
一方、てんかん以外にも、アルツハイマー、パーキンソン病、及びハンチントン病も、mTOR経路と関連していることが報告されている。
【0015】
アミロイドベータ(Abeta)とタウ(tau)の蓄積は、直接的に、アルツハイマー病の段階的認識の欠陥を引き起こすか、あるいは寄与するものと考えられている。mTORがそのアミロイドベータとタウによる神経変性を誘導させる役割を果たすことが明らかになった。mTOR経路は、タンパク質の恒常性制御と、それに応じて神経機能の調節をするのに中心的な役割を果たす。実際に、mTORシグナル伝達は、異なる形態の学習と記憶を調節する。ラパマイシンは、認識の欠陥を治癒し、自己消化を増加させることで、アミロイドベータとタウの病理を緩和させる。同様に、いくつかのmTORシグナル伝達成分は、アルツハイマー病の臨床診断で損傷認識の潜在的なバイオマーカーとなることがある。したがって、自己消化リソソームタンパク質の変性調節を介して、mTOR-関連製剤は、アルツハイマー病の重要な治療製剤として開発される可能性が極めて高い。
【0016】
ハンチントン病の場合、ポリグルタミン領域の膨張によって引き起こされる、9個の遺伝性の神経変性疾患の一つである。膨張されたポリグルタミンタンパク質は、細胞内凝集体として異常に蓄積される。mTORは、細胞モデル、遺伝子移植マウス、及びヒトの脳のポリグルタミン凝集体から分離されることが明らかになった。mTORの分離は、そのキナーゼ活性を損傷させ、自己消化を誘導し、変異体ハンチンチン断片に対する主な除去経路である。ハンチントン病の突然変異タンパク質は、神経細胞で凝集され、神経細胞の損傷や毒性を引き起こしうる。mTOR阻害剤であるラパマイシンは、ハンチントン病の動物モデルで、ハンチンチン及び細胞死滅の蓄積を減衰させて、神経変性から保護するという報告がある(非特許文献2)。また、ラパマイシンは、ハンチンチン凝集体の掃除において一定の役割を果たすことが示唆された自己貪食反応を誘導する。
【0017】
パーキンソン病(PD)は、ミスフォールディングされた(misfolded)タンパク質の蓄積と凝集に関連する神経変性疾患である。凝集の防止やミスフォールディングされたタンパク質の分解は、PDの進行を遅らせたり、防止したりすることにより、治療への利益を提供することができる。ユビキチンプロテアソーム系(UPS)は、凝集されたタンパク質に作用する重要な分解メカニズムである。ラパマイシンが、プロテアソーム阻害剤であるラクタシスチン(lactacystin)によって誘導されたドーパミン作用性神経細胞死滅に対する神経保護を提供するということが報告された。ラパマイシンの効果は、ミスフォールディングされたタンパク質の向上された分解を通した自己貪食の促進により部分的に媒介されるということが示された(非特許文献3)。したがって、自己貪食を促進させるmTOR阻害剤化合物は、パーキンソン病患者を治療する、期待される戦略でもある。
【0018】
一方、アミノアシル-tRNA-合成酵素(ARS)は、タンパク質の合成に必要なだけでなく、様々な細胞の生理学的反応にも関連している。ARSは、対応するtRNAにアミノ酸が結合することを促進する。タンパク質の恒常性を維持するために、ARSはアミノ酸の有用性を感作させなければならない。ロイシン-tRNA-合成酵素(LRS)は、RagD GTPアーゼと相互作用してRagD GTPアーゼのGAPとして作用することにより、mTORC1活性化のためのロイシンセンサーとして機能する。
【0019】
したがって、LRSがロイシンセンサーとしての機能を阻害する物質を探索すれば、この物質がLRSとRagDとの結合を阻害し、mTORC1の活性化を阻害して、結果的にmTOR阻害剤に対する潜在的な治療適応症に効果を示すこととなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【文献】Zoncu et al., Nature Rev. Mol. Cell Biol. 12, 21-35 (2011)
【文献】Ravikumar et al., Nat Genet. 36(6): 585-95 (2004)
【文献】Pan et al., Neurobiol. Dis. 32(1): 16-25 (2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
[発明の詳細説明]
[技術的課題]
その上で、本発明者らは、mTORの活性を阻害し、mTOR経路に関連する脳疾患に対する治療効果を示しうる新規の化合物を発見するために努力を傾けた結果、本明細書において化学式1で表示される化合物が、mTOR活性を阻害する効果、及び血液脳関門(Blood-brain barrier、BBB)透過性が極めて優れ、mTOR経路に関連する脳疾患の治療効果を示せることを発見し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、下記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供することである。
【化1】
【0022】
前記化学式1において、
R1は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C2~C5アルケニル;C3~C10ヘテロアリールアルキル;又はC1~C5ヒドロキシアルキルであり、
R2は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキルであり、
R3は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C6~C15アリール;又はC3~C15ヘテロアリールであり、
Xは、酸素;硫黄;又は窒素であり、
Y1及びY2は、それぞれ独立的に、酸素又は硫黄であり、
nは0、1、又は2である。
【0023】
本発明の他の目的は、下記反応式によって製造される前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供することである。
【化2】
【0024】
前記反応式1において、
R1、R2、R3、X、Y1、Y2、及びnは、前記定義した通りである。
【0025】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物を有効成分として含むmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0026】
また、前記化学式1の化合物を有効成分として構成されているmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0027】
また、前記化学式1の化合物を有効成分として実質的に構成されているmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0028】
本発明の他の目的は、mTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用製剤を製造するための、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供することである。
【0029】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含むmTOR経路関連脳疾患の治療方法を提供することである。
[技術的解決方法]
前記した目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表示される化合物又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【化3】
【0030】
前記化学式1において、
R1は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C2~C5アルケニル;C3~C10ヘテロアリールアルキル;又はC1~C5ヒドロキシアルキルであり、
R2は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキルであり、
R3は、水素;置換又は無置換のC1~C5直鎖又は分岐アルキル;C6~C15アリール;又はC3~C15ヘテロアリールであり、
Xは、酸素;硫黄;又は窒素であり、
Y1及びY2は、それぞれ独立的に、酸素又は硫黄であり、
nは0、1、又は2である。
【0031】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、下記反応式で製造される前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供する。
【化4】
【0032】
前記反応式1において、
R1、R2、R3、X、Y1、Y2、及びnは、前記定義した通りである。
【0033】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記化学式1の化合物を有効成分として含むmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0034】
また、本発明は、前記化学式1の化合物を有効成分として構成されているmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0035】
また、本発明は、前記化学式1の化合物を有効成分として実質的に構成されているmTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0036】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、mTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用製剤を製造するための、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0037】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含むmTOR経路関連脳疾患の治療方法を提供する。
【0038】
以下、本発明に関して、より詳細に説明する。
【0039】
本発明では、前記「アルキル」は、鎖内に1~5つの炭素原子を含む、直鎖又は分岐である脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、前記鎖内に1~3つの炭素原子を含んでいる。より好ましいアルキル基は、前記鎖内に1つ、2つ又は3つの炭素原子を含んでいる。分岐型は、複数の低級アルキル基、例えば、メチル、エチル、又はプロピルが直鎖状アルキル鎖に付加されていることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖又は分岐である鎖内に1~5つの炭素原子を有するグループを意味する。「アルキル」は、置換されなくてもよく、又は、同一又は異なる1つ以上の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0040】
本発明では、前記「アルケニル」は、鎖内に2~5個の炭素原子及び1つ以上の二重結合を有する1価の直鎖又は分岐の炭化水素ラジカルを示し、その例としては、エテニル、プロペニル、1-ブテン-3-イル、1-ペンテン-3-イル、1-ヘキセン-5-イルなどがあるが、これに限定せず、ここでアルケニルラジカルは独立的に、本発明に記載された置換基からの複数の基により任意に置換ができ、これは「シス」及び「トランス」配向、又は別の方法では、「E」及び「Z」配向を有するラジカルを含む。「アルケニル」は、置換されなくてもよく、又は、同一又は異なる複数の置換基によって任意に置換されてもよい。
【0041】
本発明では、前記「アリール」は、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、又は多重に縮合された環(この中で複数のものが芳香族である;例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル)を有する1価の芳香族のカルボキシリックラジカルを示し、これは、任意の置換基で、一置換、二置換又は三置換されることができる。
【0042】
本発明では、前記「ヘテロアリール」は、窒素、酸素又は硫黄から選択された1~4つのヘテロ原子を含有し、5~15個の原子を有する縮合した環系(この中で複数のものが芳香族である)を含む5員環、6員環又は7員環を有する1価の芳香族ラジカルを示す。ヘテロアリール基の例としては、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルがある。スピロ残基も前記の定義の範囲に含まれる。ヘテロアリール基は、任意の置換基で一置換、二置換又は三置換されることができる。
【0043】
本発明では、前記「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリール基(前記定義と同様)で置換されたアルキル基(前記定義と同様)を意味する。より好ましいヘテロアリールアルキルラジカルは、5員環又は6員環のヘテロアリール-C1-3アルキルでもある。ヘテロアリールアルキルは、任意の置換基である一置換、二置換又は三置換されることができる。
【0044】
本発明では、前記「ヒドロキシアルキル」は、一つ又は二つのヒドロキシ基で置換され、1~5個の炭素原子を含む直鎖状又は分岐状の一価炭化水素ラジカルを意味して、例えば、これに限定されるものではないが、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシブチル、3,4-ジヒドロキシブチル、2-(ヒドロキシメチル)-3-ヒドロキシプロピルなどがある。
【0045】
本発明では、前記「ハロゲン」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。
【0046】
本発明に開示された基が「置換」と表現されるとき、この基は、任意の適切な置換基又は置換基に置換できるものである。置換基の例示のような例としては、本発明に開示された例示のような化合物と、具体例で見られるもの、そして、ハロゲン(クロロ、ヨード、ブロモ又はフルオロ基)、アルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アルキルアミノ、カルボキシ、ニトロ、アノール、チオール、チオエーテル、イミン、イミド、アミジン、グアニジン、エナミン、アミノカルボニル、アシルアミノ、フォスフォネート、ホスフィン、チオカルボニル、スルホニル、スルホン、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ユレア、ウレタン、オキシム、ヒドロキシルアミン、アルコキシアミン、アラルコキシアミン、N-オキシド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドラゾン、アジド、イソシアネート、イソチオシアネート、シアネート、チオシアネートなどが挙げられる。
【0047】
本発明の前記化学式1において、前記R1は、好ましくは、水素;置換又は無置換のC1~C3直鎖又は分岐アルキル;C2~C3アルケニル;C3~C6ヘテロアリールアルキル;又はC1~C3直鎖又は分岐ヒドロキシアルキルであり、より好ましくは、水素;置換又は無置換のC1~C2直鎖アルキル;C2~C3アルケニル;C3~C5ヘテロアリールアルキル;又はC1~C2直鎖ヒドロキシアルキルであり、最も好ましくは、水素、メチル、エチル、エテニル、プロペニル、フリルメチル、及びヒドロキシエチルからなる群から選択される。
【0048】
本発明の前記化学式1において、前記R2は、好ましくは、水素;又は置換又は無置換のC1~C3直鎖又は分岐アルキルであり、より好ましくは、置換又は無置換のC1~C2アルキルであり、最も好ましくは、水素、メチル及びエチルからなる群から選択される。
【0049】
本発明の前記化学式1において、前記R3は、好ましくは、置換又は無置換のC1~C3直鎖又は分岐アルキル;C6~C10アリール;又はC3~C10ヘテロアリールであり、より好ましくは、置換又は無置換のC1~C2アルキル;C6~C10アリール;又はC3~C5ヘテロアリールであり、最も好ましくは、置換又は無置換のメチル、フェニル、ナフチル、及びピリジルからなる群から選択される。
【0050】
本発明の前記化学式1において、前記R3が置換されている場合、その置換基は、好ましくは、ハロゲン;C1~C5直鎖又は分岐アルキル;及びC1~C5アルコキシからなる群から選択されることがあり、より好ましくは、ハロゲン;C1~C4直鎖又は分岐アルキル;及びC1~C3アルコキシからなる群から選択されることがあり、最も好ましくは、塩素、フッ素、メチル、ブチル、イソプロピル、及びメトキシからなる群から選択される。
【0051】
本発明の前記化学式1で、好ましくは、前記Y1は硫黄であり、Y2は、酸素である。
【0052】
本発明では前記化学式1の化合物は、下記の化合物から選択できる:
(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-(2-フリルメチル)-5-[(1-メチルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-メチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-エチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-アリル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-アリル-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-アリル-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-メチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-エチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-アリル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-エチル-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-エチル-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[(5-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2、4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[(3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オン、
(5Z)-5-[[1-フェニルピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、
(5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン、及び
(5Z)-5-[[1-(4-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオン
【0053】
前記の述べた化合物の構造式を下記表1にまとめて示した:
[表1]
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
本発明の前記化学式1の化合物は、薬学的に許容可能な塩の形態で使用できる。前記塩としては、薬学的にも生理学的にも許容できる様々な有機酸又は無機酸で形成された酸付加塩が有用である。適切な有機酸では、例えば、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、グリコール酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、フェニル酢酸、ベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、メチル硫酸、エチル硫酸、ドデシル硫酸などを使用ができ、適切な無機酸では、例えば、塩酸、硫酸又はリン酸などが使用できる。
【0062】
本発明の化学式1の化合物は、薬学的に許容可能な塩だけでなく、通常の方法で製造可能なすべての塩、水和物及び溶媒和物、ラセミ体、又は立体異性体を全部含むこともある。
本発明は、また、下記反応式によって製造される前記化学式1の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩の製造方法を提供する:
【化5】
【0063】
前記反応式1において、
R1、R2、R3、X、Y1、Y2、及びnは、前記定義した通りである。
【0064】
本発明の製造方法での前記反応は、化合物2及び化合物3を、ルイス(Lewis)又は光酸触媒の条件で、溶媒の存在下又は非存在下で混合及び加熱することで行うことができる。有用な触媒は、例えば、HCl、HBr、H2SO4、酢酸、トリフルオロ酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチルシリルクロライド、トリメチルシリルヨージド、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化銅(I)、塩化第二鉄、塩化インジウム(III)、イッテルビウムトリフラート、塩化セリウム(III)、塩化ジルコニウム(IV)、オキシ塩化ジルコニウム(IV)、臭化リチウム、フェニルピルビン酸、塩化カルシウム、ポリホスフェートエステル、又は固体粘土酸触媒、例えば、モンモリロン石KSFクレイ、又はこれらの触媒のコンポジットがある。
【0065】
有用な溶媒は、好ましくは、極性溶媒、例えば、アセトニトリル、酢酸、メタノール、エタノール、又は他のアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、又はジオキサンを包含できる。
【0066】
加熱は、通常の加熱条件又はマイクロ波の条件で行うことができる。
【0067】
好ましくは、本発明による前記製造方法は、前記化合物2と化合物3に通常の縮合反応を適用することにより、前記化学式1の化合物が製造できる。例えば、前記化合物2と化合物3を有機溶媒に入れて、酢酸ナトリウムを添加した後、50~80℃、10~20時間攪拌し、クネーフェナーゲル(knoevenagel)縮合反応により、前記化学式1の化合物が製造できる。
【0068】
前記反応式1に基づいて製造された生成物は、洗浄、濃縮、酢酸エチル抽出、乾燥、カラムクロマトグラフィーなどの追加の段階を通して精製でき、IR、NMR、融点(mp)の測定などを通して、構造及び物理化学的特性が分析できる。
【0069】
一方、前記反応式1での化合物2及び化合物3として、それぞれ、商業的に購入可能な化合物が利用でき、又は、例えば、前記化合物2は下記反応式2に基づいて、前記化合物3は下記反応式3に基づいて合成して利用できる:
【化6】
【0070】
【化7】
【0071】
前記反応式2及び3において、
R1、R2、R3、X、Y1、Y2、及びnは、前記定義した通りである。
【0072】
一方、本発明の一実施例によると、前記化学式1の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩は、LRSとRagDの結合を阻害することにより、mTORC1の活性を抑制する効果が極めて優れていることが確認された。
【0073】
mTORは、様々な生理学的及び病理学的シグナル伝達システムと関連があることが知られており、特に、てんかん発生(epileptogenesis)過程と極めて密接な関連があり、てんかんの治療のための重要なターゲットになることが報告されている(Pharmacological Reports, vol. 67, issue 3,636-646)。
【0074】
LRS(leucyl tRNA synthetase)は、mTORC1へのアミノ酸のシグナル伝達の重要なメディエーターとして機能する。つまり、LRSがアミノ酸依存的に、mTORC1への信号伝達のメディエーターである、Rag GTPアーゼに直接結合し、Rag GTPアーゼのGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の役割を果たして、Rag GTPアーゼがmTORC1を活性化する。また、ロイシル-tRNA合成酵素(leucyl tRNA synthetase、LRS)がアミノ酸から誘導されるmTORC1の活性化において重要な役割を果たし、LRSが細胞内のロイシン濃度を検出し、ロイシンで誘導されるmTORC1の活性化に影響を与える。Ragタンパク質は、Ras低分子量GTPアーゼのRag サブファミリーに属し、RagA、RagB、RagC、RagDの4種類を有する。その中で、AとBは、酵母のGtr1p GTPアーゼのオソルログ(ortholog)であり、CとDは、酵母のGtr2pのオソルログである。RagDは、AあるいはBと一緒に結合して二量体(dimer)を形成し、アミノ酸によるmTORC1活性を媒介する(Trends in Biochemical Sciences, 33: 565-568, 2008)。したがって、LRSとRagDとの間の結合を阻害すると、mTORC1の活性化が阻害され、mTOR経路に関連する脳疾患を治療する効果が現れる。
【0075】
一方、自己消化、又は細胞内自己消化は、タンパク質及び細胞小器官分解と関連する細胞経路であり、ヒトの病気や生理学と意外にも多数の関連性を有する。例えば、自己消化の誤作動は、癌、神経変性、微生物感染、及び老化と関連付けられる。逆説的に、自己消化は細胞に対する主要な保護過程であるが、これはまた、癌細胞で細胞死滅をする役割を果たすことができる。
【0076】
ところで、mTORは、自己消化の主な負の調節の軸である。mTORの直接阻害剤と、mTORを活性化する経路の阻害剤は、継続的な自己消化が誘導できる。mTORキナーゼは、成長因子及び栄養素レベルに反応して、細胞の成長及び自己消化を調節する。その結果、これらの自己消化は、細胞を、神経変性を誘導する損傷から保護する。細胞小器官及び長く生存したタンパク質に対する主要な分解経路である自己消化は、ニューロンの生存のために必須である。従来の報告によると、特に、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病のようないくつかの主要神経変性疾患の原因として自己消化の欠陥が提示されている。これらの研究者からの発見は、病気の初期段階で自己消化が変形され、自己消化の誤作動がアルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病などの神経変性性脳疾患の病理学的進行に重要な役割を果たすことを示している。
【0077】
また、mTOR経路は、うつ病の発生とも密接な関連があることが知られている。mTORシグナル伝達の減少が、うつ病の動物モデルを用いた研究で確認された。特に、うつ病患者から生じる神経生化学的変化と同様の変化を誘発させるストレスモデルである、長期予測不可能なストレス(chronic unpredictable stress、CUS)モデルを用いた研究で、mTORのシグナル伝達の変化が観察された。長期間のCUSは、げっ歯類から、うつ病患者の症状である快感消失と類似な報酬応答性障害(impaired reward salience)を引き起こすことが知られている。CUSにさらされたげっ歯類で観察される憂鬱な行動は、前前頭葉、海馬及び扁桃体(amygdala)でリン酸化されたmTORの減少と、mTORシグナル伝達の下位要素であるp70S6Kのリン酸化の程度の減少と関連があることがわかった。そして、mTOR遺伝子を除去したマウスからは、CUSによって発生した憂鬱行動とほぼ同様な行動が観察されたことがある(Neurosci Biobehav Rev 2012, 36: 2085-2117; J Psychiatry Neurosci 2013, 38: 306-316; Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry 2013, 40: 240-245)。
【0078】
つまり、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、うつ病などの神経変性脳疾患の病理機序も、mTOR経路に関連しており、(Bov'e et al., Nature Reviews Neuroscience 12 (2011), 437-452)、mTOR阻害剤が、これらの脳疾患に対する治療ターゲットになることがある。
【0079】
さらに、mTORシグナル伝達系の機能異常に関連する脳疾患で、結節性硬化症(Tuberous sclerosis)、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder)、カウデン症候群(Cowden syndrome)、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(Bannayan-riley- rulvalcaba syndrome)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、神経線維腫症(Neurofibromatosis)、第1型の神経線維腫症(Neurofibromatosis type 1)、自閉症(Autism)、非症候群性自閉症(Nonsyndromic autism)、統合失調症(Schizophrenia)などが報告された(Neuron 84, October 22, 2014)。
【0080】
したがって、本発明は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、mTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0081】
また、本発明は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として構成される、mTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0082】
また、本発明は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として実質的に構成される、mTOR経路関連脳疾患の予防又は治療用の薬学的組成物を提供する。
【0083】
本発明の一実施例によれば、本発明の化合物は、LRSとRagDとの結合を阻害し、mTORの活性を抑制する効果以外にも、血液脳関門(BBB)透過性が極めて高いことが示され、脳に直接作用して、脳疾患の治療に優れる効果を示すことを確認した。
【0084】
本発明では、前記mTOR経路関連脳疾患は、好ましくは、mTOR複合体1(mTORC1)経路に関連する脳疾患でもあり、より好ましくは、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、ハンチントン病、結節性硬化症(Tuberous sclerosis)、自閉症スペクトラム障害(Autism spectrum disorder)、カウデン症候群(Cowden syndrome)、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(Bannayan-riley-rulvalcaba syndrome)、レルミット・ダクロス病(Lhermitte-Duclos disease)、神経線維腫症(Neurofibromatosis)、第1型の神経線維腫症(Neurofibromatosis type 1)、自閉症(Autism)、非症候群性自閉症(Nonsyndromic autism)と統合失調症(Schizophrenia)からなる群から選択されることがあって、最も好ましくは、てんかんでもある。
【0085】
本発明に係る薬学的組成物は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を単独で含有するか、又は複数の薬学的に許容できる担体、賦形剤、又は希釈剤がさらに含有できる。
【0086】
薬学的に許容できる担体としては、例えば、経口投与用担体又は非経口投与用の担体をさらに包含できる。経口投与用担体には、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸などが含まれうる。また、非経口投与用担体には、水、エッセンシャルオイル、食塩水、水性グルコース、及びグリコールなどが含まれ、安定化剤、及び保存剤がさらに含まれうる。適切な安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、又はアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。適切な保存剤としては、ベンザルコニウムクロリド、メチル又はプロピルパラベン、及びクロロブタノールがある。その他の薬学的に許容できる担体としては、当業界に公知されていることを参考にすることができる。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、ヒトをはじめとする哺乳動物に、いかなる方法でも投与することができる。例えば、経口又は非経口的に投与できる。非経口的な投与方法としては、これに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下、又は直腸内に投与できる。例えば、本発明の薬学的組成物を、注射製剤で製造し、これを30ゲージの細い注射針で皮膚を軽く刺す(prick)方法、又は皮膚に直接塗布する方法で投与できる。
【0088】
本発明の薬学的組成物は、上述したような投与経路を通して、経口投与用又は非経口投与用の製剤として剤形できる。
【0089】
経口投与用製剤の場合に、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル化剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などであり、当業界に公知された方法を用いて調剤できる。例えば、経口用製剤は、活性成分を固体賦形剤と配合して、これを粉砕し、適切な補助剤を添加した後、顆粒の混合物で処理することにより、錠剤又は糖衣錠が取得できる。適切な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、及びマルチトールなどを含む糖類と、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、及びじゃがいも澱粉などを含む澱粉類と、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類と、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどの充填剤が含まれうる。また、場合によっては、架橋結合型ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、又はアルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤を添加できる。さらに、本発明の薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、及び防腐剤などをさらに含むこともある。
【0090】
非経口投与用製剤の場合には、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、保湿剤、ゲル化剤、エアロゾル、及び鼻腔吸入剤の形で、当業界に公知された方法で調剤できる。これらの剤形は、すべての製薬化学の一般的に公知された処方箋に記載されている。
【0091】
本発明の薬学的組成物の総有効量は、単回投与(single dose)で患者に投与でき、複数回投与(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)を用いて投与することもできる。本発明の薬学的組成物は、疾患の程度に応じて、有効成分の含有量を異にすることができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物の総容量は、1日当たり患者の体重1kg当たり約0.01μgないし1,000mg、最も好ましくは、0.1μgないし100mgでもある。しかし、前記本発明の薬学的組成物の投与用量は、投与経路、及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌、及び排泄率など、さまざまな要因を考えて、患者に対する有効投与量が決まるので、当分野の通常の知識を有する者であれば、これらの点を考慮して、前記本発明の薬学的組成物を神経変性疾患治療剤としての特定の用途に応じた適切な有効投与量を決定できる。本発明に係る薬学的組成物は、本発明の効果を示す限り、その剤形、投与経路、及び投与方法は、特に制限されない。
【0092】
本発明において、前記「治療」は、mTOR経路関連脳疾患の症状を改善することを包括的に指し、その好ましくは、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などを治癒したり、実質的に予防したり、又は状態を改善することが包含でき、これらの脳疾患をはじめにする一つの症状又はほとんどの症状を緩和し、治療し、予防することを含むが、これに制限するものではない。
【0093】
本発明は、mTOR(mechanistic target of rapamycin)経路関連脳疾患の予防又は治療用製剤を製造するための、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用を提供する。
【0094】
本発明は、前記化学式1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む組成物の有効量を、これを必要とする対象に投与する段階を含むmTOR(mechanistic target of rapamycin)経路関連脳疾患の治療方法を提供する。
【0095】
本発明の前記「有効量」とは、対象に投与したとき、mTOR経路関連脳疾患の改善、治療、予防、検出、診断、又はmTOR経路関連脳疾患の抑制又は減少効果を示す量を示し、前記「対象(object)」とは、動物、好ましくは、哺乳動物、特に、ヒトを含む動物でもあり、動物に由来する細胞、組織、器官等でもある。前記対象は、前記効果が必要な患者(patient)でもある。
【0096】
本発明の用語“~を含む(comprising)”とは、“含有する”又は“特徴とする”と同様に使われ、組成物又は方法において、言及されない追加的な成分要素又は方法段階等を排除しない。用語“~で構成される(consisting of)”とは、別途記載されない追加的要素、段階又は成分等を除外することを意味する。用語“実質的に構成される(consisting essentially of)”とは、組成物又は方法の範囲において、記載された成分要素又は段階と共にその基本的特性に実質的に影響を及ぼさない成分要素又は段階等を含むことを意味する。
【発明の効果】
【0097】
本発明による前記化学式1で表示される化合物は、mTORC1を阻害する効果、及び血液脳関門透過性が極めて優れてあり、mTOR経路に関連する脳疾患の予防又は治療に極めて有用に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1a図1aは、mTOR C1483Y突然変異を有するNIH3T3細胞に、実施例1-1の化合物又はその塩を処理した後、S6Kのリン酸化の可否を、免疫ブロッティングで確認した結果である(Leu:ロイシン)。
図1b図1bは、mTOR C1483Y突然変異を有するNIH3T3細胞に、実施例1-1の化合物又はその塩を処理した後、S6Kのリン酸化の可否を、免疫ブロッティングで確認した結果を定量化して示したグラフ(図1b)である(Leu:ロイシン)。
図2図2は、SW620細胞に、実施例1-1の化合物又はその塩を処理した後、RagDのGTP加水分解の可否を、免疫ブロッティングで確認した結果である(Leu:ロイシン)
図3図3は、SW620細胞に、実施例1-1の化合物又はその塩を処理した後、LRSとRagDの相互作用が阻害されるかを、免疫沈降法で確認した結果である。
図4図4は、本発明に係る化合物の血液脳関門(BBB)透過性をin vitro Pion BBB-PAMPA assay kitを用いて分析した結果である。
図5図5は、7週齢C57BL/6の雄マウスに、実施例1-1の化合物の塩(100mg/kg)、又はラパマイシン(Rapa、2mg/kg)を腹腔投与した後、脳の新皮質(Neocortex)及び海馬(hippocampus)でのS6Kのリン酸化の有無、及びタンパク質の発現を、免疫ブロッティングで確認した結果である。
図6図6は、7週齢C57BL/6雄マウスに、実施例1-1の化合物の塩を様々な濃度で腹腔投与した後、脳の新皮質(Neocortex)と海馬(hippocampus)でのS6Kのリン酸化の有無、及びタンパク質の発現を免疫ブロッティングで確認した結果である。
図7図7は、実施例1-1の化合物の塩(0、5、10又は20mg/kg)を7日間毎日腹腔投与したアルツハイマー病動物モデルのマウスの海馬で、アミロイドβプラークの生成程度をThS-染色で確認した結果である。
図8図8は、実施例1-1の化合物の塩(0、5、10又は20mg/kg)を7日間毎日腹腔投与したアルツハイマー病動物モデルのマウスの脳全体で、ThS-陽性であるアミロイドプラークを定量化して示した結果である。
図9図9は、TSC2 CKOてんかん動物モデルのマウスに、ラパマイシン(3mg/kg)又は実施例1-1の化合物の塩(10mg/kg)を4週間毎日腹腔投与した後、mTORC1の活性化(p-S6K(T389)の発現で表現)、mTORC2の活性化(p-AKT(S473)の発現で表現)、及び貪食マーカー(LC3 IIの増加又はp62の切断)の変化を、ウエスタンブロットで確認した結果である。発明を実施するための形態
【0099】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0100】
但し、下記の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
【0101】
実施例1:化合物の製造
実施例1-0 反応の出発物質の製造
【0102】
以下の実施例の製造に用いられる反応の出発物質を、前記反応式2及び反応式3に基づいて製造した。
【0103】
具体的には、N-置換されたロダニンを製造するために、2,2'-[チオカルボニルビス(スルファンジイル)]二酢酸(1eq)と水の懸濁液に、置換基を含むアミン(1eq)とトリエチルアミン(1eq)を加えた後、100℃で20時間攪拌した。反応の終了後、反応混合物を減圧濃縮した後、得られた濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1:1の体積比の混合液)の方法で精製して、前記化学式1の化合物2を得た(2-30%)。
【0104】
また、N-置換-ピラゾール-3-カルバルデヒドを製造するために、トルエン溶液に1H-ピラゾール-3-カルボキシ酸エチルエステルと様々な置換基(R3)を有するヨード誘導体(1.05eq)及びヨウ化銅(I)(cat.)と、リン酸カリウム(2.5eq)及びトランス-1,2-ジメチルアミノシクロヘキサン(0.2eq)を加えた後、110℃、2時間の条件で、マイクロ波反応器で反応を進行し、前記反応式3の化合物5を製造した。前記化合物5を丸底フラスコでアルゴン置換した後、無水テトラヒドロフランを加え、当該溶液を0℃に冷却した。反応溶液に水素化アルミニウムリチウム(テトラヒドロフラン2.5M溶液、1.5eq)を徐々に加えた後に、0℃で1時間攪拌した。反応の終了後に、ジエチルエーテル、精製水、及び15%(wt%)水酸化ナトリウム水溶液を加えて反応を終結させた後、生成された懸濁液を濾過し、濾過液を減圧濃縮させて前記反応式3の化合物6を合成し、追加的な精製過程を行わずに次の反応に使用した。前記化合物6は、ジクロロメタン溶液でピリジニウムクロロクロメート(3eq)を加えた後に、常温で2時間攪拌した。反応の終了後、反応懸濁液に多量のジエチルエーテルを加えた後にろ過した。得られた濾過液を減圧濃縮した後、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン1:1の体積比の混合液)の方法で精製して、前記反応式1の化合物3を得た。
【0105】
実施例1-1 (5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
丸底フラスコ中のエタノール溶液に、1H-1-フェニルピラゾール-4-カルボキシアルデヒド(1eq)、ロダニン(1.2eq)、及び酢酸ナトリウム(1.2eq)を加えた後、60℃で15時間攪拌した。反応が終了した後、反応懸濁液を常温に冷却し、反応過程で生成された沈殿のろ過をした後、多量の水、エタノール、及びジエチルエーテルで洗浄して、目的の化合物を89%の収率で得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.75(s、1H)、8.02(s、1H)、7.89(d、2H、J=8.1Hz)、7.54(t、2H、J=7.8Hz)、7.40-7.36(m、2H)。
【0106】
実施例1-1のカリウム塩 (5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンのカリウム塩の製造
前記実施例1-1の化合物(1eq)と水酸化カリウム(1.1eq)を、それぞれメタノール溶液に添加し、60℃で30分間攪拌をして完全に溶かした。前記混合物を1時間、60℃で撹拌し、反応の終了後、常温まで冷やした。反応生成物は、濾過を通じて得たもので、適量のメタノールで洗浄し、実施例1-1の化合物のカリウム塩(実施例1-1K)を得た。
【0107】
実施例1-2 (5Z)-3-(2-フリルメチル)-5-[(1-メチルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
反応式1から合成した3-(フラン-2-イルメチル)-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1の同様の方法で反応させて、目的の化合物を得た。
1H NMR(500 MHz、DMSO-d6)δ8.28(s、1H)、7.87(s、1H)、7.79(s、1H)、7.59(d、1H、J=1.0Hz)、6.40(s、2H)、5.20(s、2H)、3.92(s、3H);ESI(m/z)306(MH+)。
【0108】
実施例1-3 (5Z)-3-メチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-メチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.14(s、1H)、7.95(s、1H)、7.73(d、3H、J=8.0Hz)、7.52(t、2H、J=7.8Hz)、7.39(t、1H、J=7.4Hz)、3.53(s、3H)。
【0109】
実施例1-4 (5Z)-3-エチル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.91(s、1H)、8.18(s、1H)、7.94-7.91(m、2H)、7.80(s、1H)、7.58-7.56(m、2H)、7.44-7.39(m、1H)、4.07(q、2H、J=7.2Hz)、1.20(t、3H、J=7.2Hz)。
【0110】
実施例1-5 (5Z)-3-アリル-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-アリル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.13(s、1H)、7.94(s、1H)、7.74-7.70(m、3H)、7.51(t、2H、J=7.8Hz)、7.41-7.37(m、1H)、5.91-5.83(m、1H)、5.33-5.25(m、2H)、4.75(d、2H、J=5.6Hz)。
【0111】
実施例1-6 (5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.73(s、1H)、8.69-8.68(m、1H)、8.16(s、1H)、7.86-7.82(m、1H)、7.68(s、1H)、7.56-7.47(m、2H)、7.44-7.39(m、1H)。
【0112】
実施例1-7 (5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.73(s、1H)、8.89(s、1H)、8.15(s、1H)、7.87-7.79(m、2H)、7.62-7.56(m、2H)、7.27-7.22(m、1H)。
【0113】
実施例1-8 (5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.67(s、1H)、8.78(s、1H)、8.80(s、1H)、7.93-7.90(m、2H)、7.56(s、1H)、7.36(t、2H、J=8.8Hz);ESI(m/z)306(MH+)。
【0114】
実施例1-9 (5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ13.70(s、1H)、8.63(s、1H)、8.13(s、1H)、7.76-7.64(m、3H)、7.60-7.53(m、2H)。
【0115】
実施例1-10 (5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-メチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.14(s、1H)、7.96(s、1H)、7.73(s、1H)、7.63-7.57(m、2H)、7.46-7.40(m、2H)、3.53(s 、3H)。
【0116】
実施例1-11 (5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.69(s、1H)、8.18(s、1H)、7.85(s、1H)、7.77-7.64(m、2H)、7.62-7.52(m、2H)、4.07(q、2H、J=7.2Hz)、1.19(t、3H、J=7.2Hz)。
【0117】
実施例1-12 (5Z)-3-アリル-5-[[1-(2 -クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン] -2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-アリル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.71(s、1H)、8.19(s、1H)、7.86(s、1H)、7.77-7.65(m、2H)、7.61-7.53(m、2H)、5.92-5.79(m、1H)、5.21-5.10(m、2H)、4.66-4.63(m、2H)。
【0118】
実施例1-13 (5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ13.73(s、1H)、8.91(s、1H)、8.16(s、1H)、8.07-8.06(m、1H)、7.94-7.90(m、1H)、7.60-7.55(m、2H)、7.48-7.44(m、1H)。
【0119】
実施例1-14 (5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-メチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.12(s、1H)、7.94(s、1H)、7.78(s、1H)、7.69(s、1H)、7.63-7.61(m、1H)、7.45(t、1H、J=8.2Hz)、7.37-7.35(m、1H)、3.53(s、3H)。
【0120】
実施例1-15 (5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.95(s、1H)、8.20(s、1H)、8.08-8.07(m、1H)、7.94-7.91(m、1H)、7.75(s、1H)、7.61-7.55(m、1H)、7.48-7.45(m、1H)、4.06(q、2H、J=7.2Hz)、1.20(t、3H、J=7.1Hz)。
【0121】
実施例1-16 (5Z)-3-アリル-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-アリル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.96(s、1H)、8.22(s、1H)、8.08(s、1H)、7.94-7.92(m、1H)、7.77(s、1H)、7.58(t 、1H、J=8.0Hz)、7.48-7.46(m、1H)、5.90-5.81(m、1H)、5.21-5.12(m、2H)、4.65-4.64(m、2H)。
【0122】
実施例1-17 (5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ13.72(s、1H)、8.87(s、1H)、7.96(d、2H、J=6.6Hz)、7.62(d、2H、J=6.6Hz)、7.59(s、1H)。
【0123】
実施例1-18 (5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル ]メチレン]-3-メチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-メチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.92(s、1H)、8.20(s、1H)、7.97(d、2H、J=9.2Hz)、7.78(s、1H)、7.63(d、2H、J=8.8Hz)、3.40(s、3H)。
【0124】
実施例1-19 (5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.09(s、1H)、7.93(s、1H)、7.68(d、3H、J=8.0Hz)、7.48(d、2H、J=8.0Hz)、4.19(dd、 2H、J=14.2、7.2Hz)、1.30(t、3H、J=6.8Hz)。
【0125】
実施例1-20 (5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.71(s、1H)、8.80(s、1H)、8.09(s、1H)、7.80-7.78(m、2H)、7.60(s、1H)、7.36-7.34 (m、2H)、2.36(s、3H)。
【0126】
実施例1-21 (5Z)-3-メチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-メチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、CDCl3)δ8.09(s、1H)、7.92(s、1H)、7.71(s、1H)、7.61-7.58(m、2H)、7.31-7.29(m、2H)、3.53(s、3H)、2.42(s、3H)。
【0127】
実施例1-22 (5Z)-3-エチル-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.85(s、1H)、8.15(s、1H)、7.82-7.81(m、3H)、7.37-7.34(m、2H)、4.07(q、2H、J=7.2Hz)、2.37(s、3H)、1.29(t、3H、J=7.2Hz)。
【0128】
実施例1-23 (5Z)-3-アリル-5-[ [1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-アリル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.85(s、1H)、8.15(s、1H)、7.81-7.79(m、3H)、7.36-7.34(m、2H)、5.90-5.81(m、1H) 、5.21-5.11(m、2H)、4.65-4.63(m、2H)、2.36(s、3H)。
【0129】
実施例1-24 (5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-イソプロピルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.71(s、1H)、8.81(s、1H)、8.10(s、1H)、7.82-7.80(m、2H)、7.61(s、1H)、7.43-7.40 (m、2H)、3.01-2.91(m、1H)、1.24(d、6H、J=6.8Hz)。
【0130】
実施例1-25 (5Z)-3-エチル-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-イソプロピルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.86(s、1H)、8.15(s、1H)、7.82(d、2H、J=8.4Hz)、7.78(s、1H)、7.42(d、2H、J=8.4Hz)、4.06(q、2H、J=6.8Hz)、2.93-3.00(m、1H)、1.24(d、6H、J=6.8Hz)、1.19(t、3H、J=7.0Hz)。
【0131】
実施例1-26 (5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-ブチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.71(s、1H)、8.81(s、1H)、8.10(s、1H)、7.81-7.79(m、2H)、7.61(s、1H)、7.37-7.35 (m、2H)、2.63(t、2H、J=7.6Hz)、1.62-1.54(m、2H)、1.37-1.27(m、2H)、0.91(t、3H、J=7.4Hz)。
【0132】
実施例1-27 (5Z)-5-[[1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(4-ブチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.85(s、1H)、8.15(s、1H)、7.78-7.82(m、3H)、7.36(d、2H、J=8.4Hz)、4.06(q、2H 、J=7.2Hz)、2.64(t、2H、J=7.6Hz)、1.55-1.62(m、2H)、1.28-1.37(m、2H)、1.19(t、3H、J=7.0Hz)、0.91 (t、3H、J=7.4Hz)。
【0133】
実施例1-28 (5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.70(s、1H)、8.76(s、1H)、8.07(s、1H)、7.71(s、1H)、7.61-7.58(m、2H)、7.30-7.28 (m、1H)、2.31(s、3H)、2.26(s、3H)。
【0134】
実施例1-29 (5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-3-エチル-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.81(s、1H)、8.13(s、1H)、7.77(s、1H)、7.72(s、1H)、7.62-7.60(m、1H)、7.30-7.28 (m、1H)、4.06(q、2H、J=7.2Hz)、2.31(s、3H)、2.27(s、3H)、1.19(t、3H、J=7.0Hz)。
【0135】
実施例1-30 (5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(2-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.70(s、1H)、8.64(s、1H)、8.06(s、1H)、7.68-7.65(m、2H)、7.47-7.42(m、1H)、7.31-7.29(m、1H)、7.14-7.10(m、1H)、3.90(s、3H)。
【0136】
実施例1-31 (5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ13.73(s、1H)、8.98(s、1H)、8.48(s、1H)、8.19(s、1H)、8.11(s、1H) 、8.06-7.99(m、2H)、7.64-7.55(m、3H)。
【0137】
実施例1-32 (5Z)-3-エチル-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
3-エチル-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ9.03(s、1H)、8.49(s、1H)、8.25(s、1H)、8.13-8.12(m、2H)、8.07-7.99 (m、1H)、7.82(s、1H)、7.65-7.54(m、2H)、4.08(q、2H、J=7.2Hz)、1.21(t、3H、J=7.1Hz)。
【0138】
実施例1-33 (5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.75(s、1H)、9.01(s、1H)、8.56-8.55(m、1H)、8.17(s、1H)、8.08-8.04 (m、1H)、7.99-7.97(m、1H)、7.71(s、1H)、7.47-7.44(m、1H)。
【0139】
実施例1-34 (5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[ [1-(2-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
反応式1から合成した3-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと、1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ9.07(s、1H)、8.56-8.55(m、1H)、8.23(s、1H)、8.09-8.05(m、1H)、8.00-7.98(m、1H)、4.94(t、1H、J=6.0Hz)、4.12(t、2H、J=6.2Hz)、3.66(q、2H、J=6.4Hz)。
【0140】
実施例1-35 (5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.74(s、1H)、8.17(d、1H、J=2.4Hz)、8.94(s、1H)、8.62-8.60(m、1H)、8.35-8.31(m、1H)、8.21(s、1H)、7.62-7.59(m、2H)。
【0141】
実施例1-36 (5Z)-3-(2-ヒドロキシエチル)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
反応式1から合成した3-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオキソチアゾリジン-4-オンと、1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ9.19(d、1H、J=2.4Hz)、9.00(s、1H)、8.62-8.61(m、1H)、8.36-3.33(m 、1H)、8.26(s、1H)、7.78(s、1H)、7.63-7.60(m、1H)、4.94(t、1H、J=6.0Hz)、4.12(t、2H、J=6,2Hz)、3.66(q、2H、J=6.0Hz)。
【0142】
実施例1-37 (5Z)-5-[(5-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと5-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ13.70(s、1H)、8.54(s、1H)、7.97-7.94(m、2H)、7.54-7.49(m、2H)、7.41-7.34(m、2H)、2.42(s、3H)。
【0143】
実施例1-38 (5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと3,5-ジメチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ13.68(s、1H)、7.56-7.43(m、6H)、2.34(s、3H)、2.31(s、3H)。
【0144】
実施例1-39 (5Z)-5-[(1-フェニルピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ12.48(s、1H)、8.83(s、1H)、7.91-7.87(m、2H)、7.74(s、1H)、7.58-7.53(m、2H)、7.42-7.37(m、1H)。
【0145】
実施例1-40 (5Z)-5-[[1-(2-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.50(s、1H)、8.64-8.63(m、1H)、8.13(s、1H)、7.86-7.81(m、2H)、7.56-7.48(m、2H)、7.44-7.38(m、1H); ESI m / z 288 [M-H]。
【0146】
実施例1-41 (5Z)-5-[[1-(3-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(3-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.51(s、1H)、8.85(s、1H)、8.11(s、1H)、7.83-7.76(m、2H)、7.71(s、 1H)、7.62-7.56(m、1H)、7.26-7.21(m、1H); ESI m / z 288 [M-H]。
【0147】
実施例1-42 (5Z)-5-[[1-(4-フルオロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(4-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.67(s、1H)、8.00(s、1H)、7.96-7.87(m、2H)、7.45-7.35(m、3H)。
【0148】
実施例1-43 (5Z)-5-[[1-(2-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(2-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.42(s、1H)、8.01(s、1H)、7.74-7.65(m、2H)、7.55-7.50(m、3H)。
【0149】
実施例1-44 (5Z)-5-[[1-(3-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(3-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ8.76(s、1H)、8.03-8.01(m、2H)、7.89-7.87(m、1H)、7.58-7.54(m、1H)、 7.43-7.42(m、2H)。
【0150】
実施例1-45 (5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.71(s、1H)、8.02(s、1H)、7.93-7.90(d、2H)、7.62-7.59(m、2H)、7.45(s、1H)。
【0151】
実施例1-46 (5Z)-5-[[1-(p-トリル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.48(s、1H)、8.77(s、1H)、8.06(s、1H)、7.78-7.73(m、3H)、7.36-7.34(m、2H)、2.36(s、3H)。
【0152】
実施例1-47 (5Z)-5-[[1-(4-イソプロピルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(4-イソプロピルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.47(s、1H)、8.77(s、1H)、8.06(s、1H)、7.80-7.73(m、3H)、7.42-7.40(m、2H)、3.01-2.91(m、1H)、1.23(d、6H、J=6.8Hz)。
【0153】
実施例1-48 (5Z)-5-[ [1-(4-ブチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(4-ブチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300MHz、DMSO-d6)δ8.63(s、1H)、7.97(s、1H)、7.76(d、2H、J=8.7Hz)、7.45(s、1H)、7.45 (d、2H、J=8.4Hz)、2.63(t、2H、J=7.5Hz)、1.53-1.64(m、2H)、1.26-1.39(m、2H)、0.91(t、3H、J=7.4Hz)。
【0154】
実施例1-49 (5Z)-5-[[1-(3,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(3,4-ジメチルフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.48(s、1H)、8.74(s、1H)、8.04(s、1H)、7.72-7.69(m、2H)、7.60-7.57(m、1H)、7.30-7.28(m、1H)、2.31(s、3H)、2.26(s、3H)。
【0155】
実施例1-50 (5Z)-5-[[1-(2-メトキシフェニル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(2-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO-d6)δ12.46(s、1H)、8.59(s、1H)、8.03(s、1H)、7.80(s、1H)、7.68-7.65(m、1H)、7.46-7.42(m、1H)、7.30-7.28(m、1H)、7.14-7.10(m、1H)、3.90(s、3H)。
【0156】
実施例1-51 (5Z)-5-[[1-(2-ナフチル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ8.83(s、1H)、8.42(s、1H)、7.98-8.10(m、5H)、7.53-7.63(m、2H)、7.50 (s、1H)。
【0157】
実施例1-52 (5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ12.51(s、1H)、9.16-9.15(m、1H)、8.91(s、1H)、8.61-8.59(m、1H)、8.32-8.29(m、1H)、8.17(s、1H)、7.72(s、1H)、7.62-7.59(m、1H)。
【0158】
実施例1-53 (5Z)-5-[(3-メチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル)メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(300 MHz、DMSO-d6)δ12.49(s、1H)、8.49(s、1H)、7.92(d、2H、J=7.5Hz)、7.50-7.56(m、3H)、7.34-7.39(m、1H)、2.41(s、3H)。
【0159】
実施例1-54 (5Z)-5-[(3,5-ジメチル-1-フェニル-ピラゾール-4-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと3,5-ジメチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ8.57(s、1H)、7.81(s、1H)、7.52-7.49(m、2H)、7.44-7.43(m、3H)、2.38(s、3H)、2.34(s、3H); 13C NMR(100MHz、DMSO-d6)d 168.3、167.4、148.0、139.5、139.0、129.6(2)、128.4、125.4、125.0(2)、124.1、114.5、13.5、12.9。
【0160】
実施例1-55 (5Z)-5-[[1-(4-クロロフェニル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと、反応式2から合成した1-(4-クロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.72(s、1H)、8.73(d、1H、J=2.4Hz)、7.96(d、2H、J=8.8Hz)、7.67(d、2H、J=8.8 H)、7.58(s、1H)、7/02(d、1H、J=2.4Hz)。
【0161】
実施例1-56 (5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと、反応式2から合成した1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同じ方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.73(s、1H)、8.76(s、1H)、8.54-8.54(m、1H)、8.16-8.12(m、1H)、8.01-7.98(m、1H)、7.62(s、1H)、7.46(t、1H、J=5.6Hz)、7.03(s、1H)。
【0162】
実施例1-57 (5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]-2-チオキソ-チアゾリジン-4-オンの製造
2-チオキソチアゾリジン-4-オンと、反応式2から合成した1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同じ方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ13.66(s、1H)、9.14(s、1H)、8.73(s、1H)、8.55-8.54(m、1H)、8.27(d、1H、J=8.4Hz)、7.61-7.57(m、1H)、7.53(s、1H)、6.70(s、1H)。
【0163】
実施例1-58 (5Z)-5-[[1-フェニルピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと、反応式2から合成した1-フェニル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ12.5(s、1H)、8.69(s、1H)、7.94(d、2H、J=8.0Hz)、7.73(s、1H)、 7.58(t、2H、J=8.0Hz)、7.39(t、1H、J=7.4Hz)、6.97(s、1H)。
【0164】
実施例1-59 (5Z)-5-[[1-(2-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと、反応式2から合成した1-(ピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ12.49(s、1H)、8.75(s、1H)、8.53-8.53(m、1H)、8.12-8.09(m、1H)、7.99-7.97(m、1H)、7.75(s、1H)、7.45(t、1H、J=5.6Hz)、6.99(s、1H)。
【0165】
実施例1-60 (5Z)-5-[[1-(3-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと、反応式2から合成した1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ12.49(s、1H)、9.20(s、1H)、8.78(s、1H)、8.60-8.59(m、1H)、8.32(d、1H、J=8.4Hz)、7.73(s、1H)、7.65-7.62(m、1H)、7.02(s、1H)。
【0166】
実施例1-61 (5Z)-5-[[1-(4-ピリジル)ピラゾール-3-イル]メチレン]チアゾリジン-2,4-ジオンの製造
チアゾリジン-2,4-ジオンと、反応式2から合成した1-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアルデヒドを、前記実施例1-1と同様の方法で反応させて目的の化合物を得た。
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ12.51(s、1H)、8.86(s、1H)、8.73-8.72(m、2H)、7.94-7.93(m、2H)、7.71 (s、1H)、7.03(s、1H)。
【0167】
実施例2:mTORC1阻害活性の評価
2-1 mTORC1活性抑制効果の評価(1)
本発明に係る前記化合物のmTORC1に対する活性抑制効果を評価するために、下記のような方法で実験を行った。
【0168】
大腸癌の細胞株であるSW620は、American Type Culture Collection(ATCC)で購入した。細胞株を、24ウェルプレートに分注し、24時間培養後、アミノ酸としてロイシンが含まれていない培地で1時間30分処理してから、再度ロイシンが含有された培地で15分培養した。前記実施例1-1乃至1-62の化合物は、ロイシンが含有された培地で培養するときに最終濃度20μMで添加した。細胞溶解液20μgを電気泳動して分離し、mTORC1活性を見るために、p70S6キナーゼ(phospho-p70 S6 Kinase)(Thr380)抗体(#9206、Cell Signaling Technology社)を用いて、ウエスタンブロット法で分析した。各ウェルのDMSOのみを処理した陰性対照群と化合物を処理した群とを比較して、mTORC1活性抑制効果を評価した。
【表9】
【0169】
前記表2に示したように、本発明に係る前記化合物は、20μMで有意にmTORC1の活性を抑制することが確認できる。特に、実施例1-1、実施例1-1K(実施例1-1のカリウム塩)、実施例1-6、実施例1-7、実施例1-8、実施例1-9、実施例1-13、実施例1-17、実施例1-24、実施例1-30、実施例1-33、実施例1-35、実施例1-37、実施例1-39、実施例1-52、実施例1-56、実施例1-57、実施例1-59、及び実施例1-61の化合物は、20μMの濃度で85%以上の優れた抑制効果を示すことが確認できた。
【0170】
従って、本発明に係る化学式1の化合物は、てんかん発生(epileptogenesis)過程、及び自己消化に密接に関連するmTORを阻害する活性が優れていて、mTOR経路に関連する脳疾患の予防又は治療効果を示せると判断した。
【0171】
2-2 mTORC1活性抑制効果(IC50)評価(2)
前記実施例2-1で選別された化合物のmTORC1に対する活性抑制効果(IC50)を評価するために、下記のような方法で実験を行った。
【0172】
大腸癌細胞株であるSW620は、American Type Culture Collection(ATCC)で購入した。細胞株を、24ウェルプレートに分注し、24時間培養した後、選別された各種の化合物を(最終濃度0.1、0.5、1、 2、5、10、20μM)、10%FBSが含まれた培地で6時間培養する時に添加した。細胞溶解液20μgを電気泳動して分離し、mTORC1活性を見るために、p70S6キナーゼ(Thr380)抗体(#92 細胞溶解液06、Cell Signaling Technology社)を用いて、ウエスタンブロット法で分析した。各ウェルのDMSOのみを処理した陰性対照群と化合物を処理した群とを比較して、mTORC1活性抑制効果を評価した。
【表10】
【0173】
前記実施例1-1乃至1-61の化合物の中で、優れた阻害活性(20μMで85%以上の阻害活性)を示した化合物を選別して、さらにmTORC1の阻害活性を評価した。
【0174】
その結果、前記表3に示したように、各種の化合物は、IC50が1μM以下であることが確認でき、さらに、いくつかの化合物は、IC50の100nM以下である極めて優れた効果を示すことが確認できた。
【0175】
2-3 変異体mTORを発現する細胞でS6Kタンパク質のリン酸化の変化を確認
【0176】
mTOR経路の下位の調節因子であるS6Kは、mTOR活性と直接関連している。つまり、活性化されたmTORはS6KのT389残基をリン酸化させるため、S6Kのリン酸化の程度を評価することで、mTORの活性を確認することができる。
【0177】
これに関して、本発明者は、前記実施例2-1で最も優れたmTOR阻害活性を示すことで確認された、実施例1-1の化合物及びその塩を、てんかんを誘発することとして知られているmTOR突然変異(C1483Y)を保有する、NIH3T3細胞に処理した後、S6Kのリン酸化の程度を確認する実験を行った。陽性対照群としては、韓国公開特許第10-2017-0107404に記載された実施例1-214の化合物(図面で"0186"と表示)を使用した。
【0178】
具体的には、C1483Y突然変異を保有するNIH3T3細胞を、20μMの実施例1-1の化合物又はその塩で6時間処理し、90分間ロイシンを欠乏させた後、15分間ロイシンに再度刺激した。細胞溶解物を抗-ホスホS6K抗体(Cell Signaling Technology、#9205)で免疫ブロット法を行って、S6Kのリン酸化の程度を分析した。これに関する結果を図1a及び図1bに示した。
【0179】
図1a及び図1bに示したように、mTOR C1483Y突然変異を保有するNIH3T3細胞にロイシンを処理すると、野生型のNIH3T3細胞と比較して、S6Kのリン酸化が顕著に増加していることが確認できた。一方、ロイシンを処理した細胞に、実施例1-1の化合物又はその塩を処理した結果、S6Kのリン酸化が顕著に低下することが確認できてあり、これを通して、本発明に係る化合物がmTOR活性の強力な阻害剤であることが再度確認された。
【0180】
実施例3:LRSとRagDの結合阻害活性の評価
本発明者は、前記実施例2で、化学式1の化合物がmTORの活性を阻害する効果が極めて優れていることを確認した後、これらの化合物がmTORの活性を阻害する機序を確認した。
【0181】
前述したように、LRS(leucyl tRNA synthetase)は、mTORC1へのアミノ酸のシグナル伝達の重要なメディエーターとして機能する。LRSがアミノ酸依存的に、mTORC1への信号伝達媒介体であるRag GTPアーゼに直接結合して、Rag GTPアーゼのGTPアーゼ活性化タンパク質(GAP)の役割を果たして、Rag GTPアーゼがmTORC1を活性化する。
【0182】
このように、LRSとRagDとの結合が防がれると、RagDのGTP分解が低下し、結果的に、mTORの活性が抑制される効果が現れる。
【0183】
3-1 RagD GTP加水分解阻害活性(GTP-agarose Bead Pulldown Assay)
GTPと結合されたRagDを分析するためにGTP-アガロースビーズプルダウンアッセイを行った。
【0184】
SW620細胞を1時間10μMの実施例1-1の化合物又はその塩で処理し、90分間ロイシンを欠乏させた後、15分間ロイシンで再度刺激した。細胞を冷PBSで洗浄した後、GTP結合バッファー(20 mM Tris-HCl、pH 7.5、5 mM MgCl2 、2 mM PMSF、20μg/ml ロイペプチン、10μg/ml アプロチニン、150 mM NaCl、1% Triton X-100、 1xホスファターゼ阻害剤カクテル )で細胞を得た。15秒間細胞に超音波処理して溶解し、細胞溶解物を4℃で10分間、13000xgで遠心分離した後、上澄み液を得た。得られたタンパク質溶液(500μlのGTP結合バッファーに含まれている)に100ulのGPT-アガロースビーズ (シグマアルドリッチ、Cat no. G9768)を処理し、4℃で30分間放置した。その後、ビーズをGTP結合バッファーで洗浄し、上澄み液を回収した。回収された上澄み液で洗浄されたビーズを再び30分間処理した。ビーズを再度洗浄し、回収された上澄み液を4℃で夜通し放置した。含まれている可能性がある汚染源を分離するために、GTP結合バッファーで5回洗浄した後、抗-RagD又はARF1抗体を用いて、免疫ブロット分析を行うことにより、GTP結合タンパク質を分析した。ARF1は陰性対照群で使用した。陽性対照群としては、韓国公開特許第10-2017-0107404に記載された、実施例1-214の化合物(図面で"0186"と表示)を使用した。
【0185】
これに関する結果を図2に示した。
【0186】
図2に示したように、化合物を処理しなかった対照群(Con)では、ロイシンを処理したときにRagDが検出されなかった。つまり、LRSによって、RagDでGTPが加水分解されて検出されなかったことが確認できた。一方、前記実施例1-1の化合物又はその塩を処理した試験群では、RagDをロイシンで処理していない対照群と同様の検出が出て、これはつまり、実施例1-1の化合物又はその塩が、LRSの活性を阻害し、ロイシン処理によるRagDのGTP加水分解が阻害されたことを意味する。
【0187】
3-2 LRSとRagDの相互作用の直接阻害活性
前記実施例3-1で、本発明に係る化合物又はその塩が、LRSによるRagDのGTP加水分解を阻害する活性があることを確認した。
【0188】
これに関して、本発明者は、その次として、本発明に係る化合物がLRSとRagDの相互作用を直接阻害の有無で確認しようとした。
【0189】
SW620細胞を、10μMの実施例1-1の化合物又はその塩で1時間処理し、90分間ロイシンを欠乏させた後、15分間ロイシンで再度刺激した。細胞をプロテアーゼ阻害剤が含まれている溶解バッファーを用いて溶解し、免疫沈殿のための1次抗体を、前記細胞溶解物に添加し、4℃で2時間攪拌して放置した。50%のタンパク質アガロースG-セファローススラリーを添加して、また4時間放置した。冷溶解バッファーで3回洗浄した後、沈殿物をSDSサンプルバッファーに溶解させ、SDS-PAGEで分離し、抗-LRS又は抗-RagD抗体を用いて免疫ブロッティングを行った。陽性対照群としては、韓国公開特許第10-2017-0107404に記載された実施例1-214の化合物(図面で"0186"と表示)を使用した。
【0190】
これに関する結果を図3に示した。
【0191】
図3に示したように、化合物を処理しなかった対照群(Con)細胞では、RagDとLRS両方が検出されて、RagDとLRSが直接相互作用していることが確認できた。一方、本発明に係る実施例1-1の化合物又はその塩を処理した細胞では、抗-LRS抗体を用いた沈殿物からRagDがほとんど検出されず、抗-RagD抗体を用いた沈殿物では、LRSがほとんど検出されず、これらの相互作用が、実施例1-1の化合物又はその塩によって直接阻害されていることが示された。
【0192】
実施例4:血液脳関門(Blood-brain barrier、BBB)透過性の評価
本発明者は、前記実施例2で化学式1の化合物が極めて優れたmTOR阻害活性を示すことを確認した後、前記化合物がmTOR経路関連脳疾患の治療薬として開発され、血液脳関門に対する高い透過性を示すことに関して確認した。
【0193】
4-1 化合物の in silico物理化学的性質の分析
【0194】
本発明に係る化合物の血液脳関門(blood-brain barrier、BBB)透過性を評価する前に、in silico評価を用いて、各種の化合物の親油性(lipophilicity)を予測した。低分子化合物のBBB透過度を決定する最も重要な要素の一つが親油性であるので、実験的評価を行う前に各種の化合物の親油性を評価することは、事前にBBB透過度が予測できる1つの指標でもある。そのために、親油性 を測定するパラメータであるlogPと、分子の極性表面積(molecular polar surface area、PSA)をDiscovery Studio 2018(Dassault Systemes BIOVIA, Discovery Studio Modeling Environment, Release 2017, San Diego: Dassault Systemes, 2016)プログラムを利用して、予測した。
【0195】
LogP値は、化合物の脂溶性を示すための指標であり、混合しない二つの溶媒である水とオクタノール(octanol)に化合物を溶かしたときに水とオクタノール層に溶けている化合物の濃度の比率を分配係数で表した値である。例えば、特定の化合物のlogP値が3であれば、これは、水よりもオクタノールに1000倍ほど良く溶ける程度の親油性を有するということを意味する。特定の化合物が血液脳関門を通過するためには、脂溶性が高い必要があるが、脂溶性が過度に高い場合には、血漿タンパク質であるアルブミンなどの物質に、化合物が非特異的に結合するので、血液脳関門透過性が低下する恐れがある。血液脳関門を透過するために、適切なlogP値は、1~4のレベルであると報告されている。
【0196】
一方、親油性に加えて、分子の極性表面積(PSA)が、化合物の血液脳関門透過性を決定する重要な要因として作用しうる(J. Am. Soc. Exp. Neurother., Vol. 2 (2005), 541)。PSAは、低分子化合物の極性表面の程度を、2D近似(2D approximation)を通じて予測したパラメータであり、窒素と酸素原子、及びそれらに接続された極性水素によって占められる表面積として定義される。これは、水素結合能力と極性を強く反映する数値である。一般的に、極性の表面領域は、薬物が細胞内に透過する傾向を見るための、パラメータとして使用され、140Åを超える場合には、細胞膜をよく透過できない傾向がある。
【0197】
本発明の実施例1-1乃至1-61の化合物のlogPとPSAの数値を下記表4に示した。
【表11】
【0198】
4-2 in vitro血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)透過性の評価
具体的には、Pion BBB-PAMPA分析キットを受動的な細胞間透過性のin vitroモデルとして用いられた。フィルターに固定化された人工膜を、供与体と受容体の区画の間に置いた。選別したそれぞれの化合物をドナーの区画に導入した後、ドナーと受容体の区画内の薬物濃度を測定し、化学式1の化合物と陽性対照群のBBB透過性を評価した。
【0199】
これに対する結果を図4に示した。
【0200】
図4に示したように、本発明に係る化合物は、既存の脳疾患治療剤として用いられる、ヒドロキシクロロキン、プロゲステロン、コルチコステロン、リバスチグミン、カルバマゼピン、及び5-FUと比較しても、優れる人工膜透過度の結果を示しており、mTOR阻害剤(ラパマイシン、テムシロリムス、INK128)との比較でも、最も優れる透過度を示すことが確認できた。また、mTOR活性阻害効果を示すことが知られている、韓国公開特許第10-2017-0107404に記載された実施例1-214化合物(図面で"0186"と表示)と、同等又はそれ以上の透過度を示すことが確認できた。
【0201】
実施例5:in vivo mTOR阻害活性とBBB透過性の評価
7週齢のC57BL/6の雄マウスに、前記実施例1-1の化合物の塩(1-1K)又は陽性対照群としてラパマイシンを7日間毎日腹腔投与した後、脳の新皮質(neocortex)及び海馬(hippocampus)で、S6Kのリン酸化の程度を分析して、mTORの活性化に対する化合物の効果を評価した。
【0202】
実施例1-1の化合物の塩は、100mg/kg(in 10% DMAC、15% Tween 80、75% 0.1M Na2HPO4、pH9.4)で、ラパマイシンは、2mg/kg(in 10 % DMAC、15% Tween 80、75% saline)の容量で投与した。
【0203】
これに対する結果を図5に示した。
【0204】
図5に示したように、実施例1-1の化合物の塩を投与した動物で、リン酸化されたS6Kが検出されず、mTORC1の活性が化合物の処理によって阻害されたことが確認できた。
【0205】
一方、実施例1-1の化合物の塩処理によるAKTのリン酸化の程度には変化がないことから、mTORC2の活性は、阻害されなかったことが示され、LC3 II又はp62の分解から確認できる自己貪食(autophagy)作用は、化合物の処理によって増加したことが示された。
【0206】
一方、本発明者は、前記の結果に基づいて、実施例1-1の化合物の塩の濃度別mTOR阻害活性を評価した。つまり、前記の実験方法と同じ方法で実施例1-1の化合物の塩の0、1、2.5、5、10、20、及び50mg/kgを動物に投与した後、脳の新皮質と海馬での、S6Kのリン酸化の程度及びタンパク質の発現程度を分析した。
【0207】
これに関する結果を図6に示した。
【0208】
図6に示したように、実施例1-1の化合物の塩は、動物の脳で濃度依存的にS6Kのリン酸化を阻害することが確認できて、これはつまり、前記実施例1-1の化合物の塩が濃度依存的に動物の血液脳関門を透過して、mTOR阻害活性を示したと判断できた。
【0209】
以上、説明したように、本発明に係る前記化学式1の化合物は、優れたmTOR阻害活性、及び血液脳関門透過性を示し、mTOR経路に関連する脳疾患治療剤として極めて有用に活用できることを示した。
【0210】
実施例6:アルツハイマー病の動物モデルでのアミロイドプラーク除去能の評価
実験には、7ヵ月齢の雄B6C3H/APP/PS1マウスをJackson Lab(Bar Harbor、Maine、USA)から購入して用いた。このマウスは全部、キメラマウス/ヒトアミロイド前駆体タンパク質及び突然変異ヒトプレセニリン1を発現する二重形質転換マウスであり、両方ともCNSニューロンに関するものである。両方の突然変異は、全て初期発症アルツハイマー病と関連がある。
【0211】
前記製造された実施例1-1の化合物の塩(1-1K)を、マウスごとに0、5、10又は20mpk(mg/kg)で、7日間毎日1回ずつ腹腔投与した。溶媒は、10% DMAC、15% Tween 80、75% 0.1M Na2HPO4バッファーを用いた。
【0212】
免疫組織学的分析のために、マウスを2%アベルチン(20μg g -1、腹腔内)で麻酔し、0.9%食塩水で灌流した後、氷冷4%パラホルムアルデヒドで灌流した。B6C3H/APP/PS1マウスの切除された脳を、4%パラホルムアルデヒド(pH 7.4)で16時間固定した。固定された脳のサンプルを、凍結防止のために、30%スクロースに浸し、クリオスタット(Microm HM 525, Thermo Scientific, Waltham, MA, USA)を用いて、35μmの厚さでスライスした。Aβプラークを可視化するために、スライスされた脳切片をチオフラビンS(thioflavin S、ThS)で7分間染色した。チオフラビンSは、Sigma-Aldrich(カタログ番号T-1892)から購入した。500μMのチオフラビンS(ThS)を50%エタノールに溶解した。100%、95%、及び70%エタノールで連続的に洗浄した後、切片をPBSに移した。
【0213】
免疫蛍光のために、比較的厚い自由に浮遊する脳の区画を、ヤギの抗-GFAP抗体と一緒に4℃で7日間インキュベーションした。続いて、切片をAlexa Fluor 594-接合ロバ抗-ヤギIgG(1:200, Abcam, ab150132)と一緒に夜通しで、4℃でインキュベーションした。4'6'-ジアミノ-2-フェニルインドール二塩酸塩水和物(DAPI, 1mg/mL, 1:2000, Sigma)を用いて、核対比染色を行った。
【0214】
画像はLeica DM2500蛍光顕微鏡で撮影した。プラーク数は、ImageJソフトウェアプログラムを使用して、それぞれのマウスの単一の脳の画像から計算した。
【0215】
これに関する結果を図7及び図8に示す。
【0216】
APP/PS1マウスの脳のAβ沈着は6ヶ月齢で検出できる。Aβ沈着物に対する実施例1-1Kの影響を調べるために、固定された脳組織からのアミロイドプラークに対するThS染色を行った。
【0217】
図7及び図8で確認したように、アミロイドプラーク沈着物が、実施例1-1Kを処理したAPP/PS1マウスの脳で、溶媒投与対照群(vehicle)APP/PS1マウスの脳より顕著に減少していた。これにより、本発明の化合物の処理がアミロイドプラークの沈着を緩和することが確認できた。
【0218】
実施例7:TSC CKOてんかん動物モデルでmTORC1の阻害活性の評価
動物の管理は、ソウル大学の動物実験委員会が承認した動物プロトコルに基づいて行われた。TSC2GFAP1 CKOマウスを次のように生成した。TSC2flox/floxマウスを一次的に同様なGFAP-Creマウスのラインと交配させた。その結果、生成されたTSC2flox/+; GFAP-Creマウスを他のTSC2flox/floxマウスと交配させて、TSC2flox/flox; GFAP-Creマウスを生成した。ラパマイシン(3mg/kg)と実施例1-1K(10mg/kg)を毎日4回腹腔内注射(I.P.)した。ラパマイシン及び実施例1-1K化合物は、注射緩衝液(10% DMAC、15% TWEEN80、75% 0.1M Na2HPO4緩衝液)に溶解させた。
【0219】
ウエスタンブロット分析のために、マウス大脳新皮質(neocortex)と海馬を解剖し、細胞溶解緩衝液(Cell Signaling, Beverly, MA, USA)で超音波処理した。4℃で1時間15,000rpmで遠心分離した後、上澄み液を取得して、タンパク質濃度をBradford法(Pierce, Rockford, IL, USA)で測定した。同量の総タンパク質抽出物をSDS-PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に移した。1% TTBS緩衝液(10mMトリス(Tris)、10% トリス(Tris-HCl pH 7.5, 150 mM NaCl, 0.05% Tween 20)中の抗-p-S6K(T389)(Cell Signaling, #9205)、抗-S6K(Cell Signaling, #9202)、抗-アクチン(Santa Cruz Biotechnology, #sc-1616)、抗-p-AKT(S473)(Cell signaling, #4060)、抗-AKT(Cell signaling, #2920)、抗-p62/SQSTM1(Cell signaling, #39749)、及び抗-LC3A(Cell signaling, #4108)抗体でインキュベーションした後、膜をペルオキシダーゼ接合された2次抗体と反応させた。改良された化学発光試薬(Pierce, Rockford, IL, USA)を用いて信号を検出した。
【0220】
これに関する結果を図9に示した。
【0221】
図9は、それぞれの実験物質を4週間投与した、TSC2 CKOマウスの大脳皮質と海馬でのp-S6K(T389)レベルを示す。mTORC1活性化は、p-S6K(T389)の発現に反映したように、対照群に比べて、ラパマイシン又は実施例1-1Kを投与したマウスで減少したことが確認できた。mTORC2活性化は、p-AKT(S473)に反映したように、ラパマイシン又は実施例1-1Kの影響を受けなかった。mTORC1抑制と一致するように、自己貪食(LC3 II増加又はp62の切断)は、ラパマイシン又は実施例1-1Kによって誘導されることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明に係る前記化学式1で表示される化合物は、mTORC1を阻害する効果と血液脳関門透過性が極めて優れており、mTOR経路に関連する脳疾患の予防又は治療剤の開発に極めて有用に活用することができ、産業上の利用可能性が極めて優れている。

図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9