(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】植物から目的タンパク質を大量生産する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/82 20060101AFI20240521BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20240521BHJP
A01H 5/00 20180101ALI20240521BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240521BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240521BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240521BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C12N15/82 Z ZNA
C12P21/02 C
A01H5/00 A
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
(21)【出願番号】P 2022556552
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(86)【国際出願番号】 KR2021001283
(87)【国際公開番号】W WO2021187750
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034576
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】505282042
【氏名又は名称】ポステック・アカデミー‐インダストリー・ファウンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】519142114
【氏名又は名称】バイオアプリケーションズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOAPPLICATIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ファン,インファン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ヒャンジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジュンホ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,シジャン
(72)【発明者】
【氏名】ムタミル,セルヴァン・タンガラス
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2019-0030263(KR,A)
【文献】特表2020-503884(JP,A)
【文献】特表2011-504103(JP,A)
【文献】国際公開第2004/018682(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C12P
A01H
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)Macプロモーター;
(ii)目的タンパク質をコードする遺伝子;
及び
(iii)RD29B-tターミネーター;
を含む、植物から目的タンパク質
を生産するための組換えベクター。
【請求項2】
前記Macプロモーターの遺伝子配列は、配列番号1の塩基配列を含む、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項3】
前記Macプロモーターは、Macプロモーターの
配列番号1の塩基配列の3’末端塩基であるAをTに置換したMac Tプロモーターである、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項4】
前記Mac Tプロモーターは、配列番号2の塩基配列を含む、請求項3に記載の組換えベクター。
【請求項5】
前記RD29B-tターミネーターは、配列番号3の塩基配列を含む、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項6】
前記目的タンパク質は、水溶性緑色蛍光タンパク質、抗原、抗体
、構造タンパク質、調節タンパク質、転写因子
、ホルモン
、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、輸送タンパク質、レセプター
、貯蔵タンパク質、移動タンパク質
、成長因子及びリポータータンパク
質からなる群より選択されるいずれか1つ以上のタンパク質である、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項7】
前記ベクター
の骨格は、pCAMBIA1300である、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項8】
前記組換えベクターは、遺伝子サイレンシング抑制遺伝子をさらに含む、請求項1に記載の組換えベクター。
【請求項9】
前記遺伝子サイレンシング抑制遺伝子は、p38、P19、HC-Pro及びT
AV 2
bからなる群より選択されるいずれか1つ以上の
遺伝子である、請求項8に記載の組換えベクター。
【請求項10】
請求項1に記載の組換えベクターで形質転換された、形質転換体。
【請求項11】
前記形質転換体は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)である、請求項10に記載の形質転換体。
【請求項12】
(a)請求項1による組換えベクターを構築すること;
(b)前記組換えベクターを細胞に導入して形質転換体を製造すること;
(c)前記形質転換体を培養すること;
(d)前記
形質転換体の培養により得られた培養物を植物に浸潤させること;及び
(e)前記植物を粉砕して目的タンパク質を抽出すること;
を含む、植物から目的タンパク質を生産する方法。
【請求項13】
前記(d)工程に、p38を含む組換えベクターを細胞に導入した形質転換体をさらに植物に浸潤させることを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年03月20日に出願された大韓民国特許出願第10-2020-0034576号を優先権として主張し、上記明細書全体は本出願の参考文献である。
【0002】
本発明は、植物から目的タンパク質を大量生産する方法に関し、より詳しくは目的タンパク質(target gene)の高発現用発現カセットコンストラクト、及び遺伝子サイレンシング抑制因子(gene silencing suppressor)であるp38の高発現用発現カセットコンストラクトを製造した後、前記コンストラクトを共に有する植物細胞における一過性発現用(transient expression)のバイナリーベクター(binary vector)を製造した後、前記バイナリーベクターを単一のアグロバクテリウム培養により、アグロバクテリウム-媒介形質転換を用いることで、目的タンパク質を植物の葉から高レベルのタンパク質を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、植物から組換えタンパク質を低コストで生産できる可能性が提案されており、これによって様々な試みが進められている(Schillberg et al.、2003;Holtz et al.、2015;Marusic et al.、2016)。特に、様々な医療用タンパク質の生産可能性などを確認する研究が進行されている。植物から組換えタンパク質を生産する場合は様々な長所があり、その1つは大腸菌など微生物に存在する内毒素のような毒素がほぼ存在しないという点と、人体に感染する病原体がないという点である。また、プリオンのような有害なタンパク質もないことが知られていおり、動物細胞や微生物に比べて安全な組換えタンパク質を生産することができる。また製造コストも、動物細胞より非常に安価であり、植物を栽培する方法によって、大規模生産においては大腸菌などのような微生物よりさらに経済的である。このような可能性を実現するためにはいくつかの必須な技術の開発が必要である。そのうち最も重要な技術が、植物において遺伝子の高発現を誘導できる発現ベクターの開発である(Staub et al、2000;Regnard et al.、2010)。植物においては様々な方法により遺伝子の発現を誘導することができる。組換え遺伝子を植物体のゲノムに組み込む(integration)方法、葉緑体のゲノムに組み込む方法、アグロバクテリウム(Agrobacterium)を用いて一過性に遺伝子を発現させる方法など様々な方法が可能である(Arzola et al.、2011;Werner et al.、2011)。核ゲノム(Nuclear genome)や葉緑体ゲノムに組換え遺伝子を組み込む方法は、基本的に形質転換体を確保する過程を通じて植物からタンパク質を生産することになる。一方、アグロバクテリウムを植物組織に浸透させて遺伝子の一過性発現を誘導することによりタンパク質を生産する場合は、形質転換体の製造過程が含まれていないのでタンパク質の生産期間が短く、概して形質転換体を通じるタンパク質生産に比べてタンパク質の生産レベルが著しく高いという長所がある(Arzola et al.、2011)。また、植物が有している他の遺伝子の発現抑制機構を、遺伝子サイレンシング抑制因子を共浸潤(co-infiltration)することで抑制することができるので、タンパク質の発現レベルをさらに高く誘導することができる(Garabagi et al.、2011)。しかし、一過性発現をしようとする度に、目的タンパク質を含むバイナリーベクターを導入したアグロバクテリウム培養と、p38遺伝子サイレンシング抑制因子を発現するバイナリーベクターを導入したアグロバクテリウム培養とを別に製作し、これらを適切な比率で混ぜて共浸潤する過程を行わなければならないという短所がある。特に2つの種類のアグロバクテリウムを培養する場合は時間及び経済的な面で限界がある。
【0004】
本発明は、目的遺伝子の高発現用発現カセットを製造し、これを、目的タンパク質の発現阻害を抑制するp38である遺伝子サイレンシング抑制因子(gene silencing suppressor)を1つのバイナリーベクターに導入することで、植物体における一過性発現によりタンパク質を高レベルで生産する発現ベクターに関する。
【発明の概要】
【0005】
[発明の詳細な説明]
[技術的課題]
本発明は、植物から目的タンパク質を大量発現する方法に関し、植物における一過性発現を用いて目的タンパク質を植物に形質転換することで、目的遺伝子のタンパク質を高レベルで生産する目的タンパク質の発現用バイナリーベクター、及びこれを用いた植物から目的タンパク質を大量発現する方法に関する。上述した課題を解決するため、本発明者らは、目的タンパク質の高発現用発現カセット、及び遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38の高発現用発現カセットを開発し、前記2つの高発現用発現カセット(目的タンパク質及びp38高発現カセット)を共に有するバイナリーベクターを開発した。前記バイナリーベクターを用いて目的タンパク質とp38遺伝子とを1つのアグロバクテリウム培養を用いて植物細胞に伝達することで、目的遺伝子のタンパク質の高レベルの生産を確認した。詳しくは、目的タンパク質の高発現カセットを構築するために、Macプロモーターの3’末端に一塩基多型(AをT塩基に置換)を導入することにより、元のMacプロモーターより転写レベルの高いMacTプロモーターを製造し、シロイヌナズナの様々なターミネーターのシーケンスを実験した結果、RD29Bのターミネーターが高効率のターミネーターであることを確認し、前記MacTプロモーター及びRD29Bのターミネーターを構成要素として用いて高発現用発現カセットを製造した。また、これに加え、高効率翻訳を誘導する21塩基対長の翻訳の効率を高める翻訳増強配列(translation enhancing sequence)を目的タンパク質AUGコドン(AUG codon)のimmediate upstreamに5’-非翻訳領域(5’-UTR)で用いることで、目的タンパク質のタンパク質の生産レベルを高めるようにした。目的タンパク質と共にアグロバクテリウムによって植物細胞に導入されるp38遺伝子の発現レベルを高めるために、転写効率の高い21-塩基対長の翻訳増強配列を5’-UTRに導入することによりp38の発現を高めることで、遺伝子サイレンシング抑制因子の効率を高めた。前記2つの発現カセット(目的タンパク質とp38遺伝子)をpCAMBIA1300のオリジナル遺伝子発現カセット(original gene expression cassette)とハイグロマイシン発現カセット(hygromycin expression cassette)を置換する方法で導入してpTEX1Lベクターを完成した。このpTEX1Lを用いると、P38発現用ベクターを有するアグロバクテリウムと目的タンパク質を含むアグロバクテリウムと混合し、2つの種類のアグロバクテリウムを用いて共浸潤することなく、pTEX1Lバイナリーベクターを有する1つの種類のアグロバクテリウムによって、目的タンパク質とp38を同時に伝達し、これによって目的遺伝子のタンパク質レベルの高発現を誘導し、これによって高効率のタンパク質の生産を誘導できる効果を確認した。これによって、1つのバイナリーベクターが目的タンパク質及び遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38を同時に伝達できる二重伝達用発現ベクターを完成した。
【0006】
本発明は、植物から目的タンパク質を大量生産するための組換えベクターを提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、前記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供することである。
【0008】
本発明のまた他の目的は、下記のステップを含む、植物から目的タンパク質を大量生産するための方法を提供することである:
(a)上述の組換えベクターを構築すること;
(b)前記組換えベクターを細胞に導入して形質転換体を製造すること;
(c)前記形質転換体を培養すること;
(d)前記培養物を植物に浸潤させること;及び
(e)前記植物を粉砕して目的タンパク質を抽出すること。
【0009】
[技術的解決方法]
上述した課題を解決するため、本発明は、(i)Macプロモーター(Mac promoter);(ii)目的タンパク質をコードする遺伝子;及び(iii)RD29B-tターミネーターを含む、植物から目的タンパク質を大量生産するための組換えベクターを製造してもよい。
【0010】
本発明の好ましい一実施例によると、前記Macプロモーターの遺伝子配列は、配列番号1の塩基配列を含んでもよい。
【0011】
本発明の好ましい他の一実施例によると、Macプロモーターの3’末端塩基であるAをTに置換したMac Tプロモーターであってもよい。
【0012】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記Mac Tプロモーターは、配列番号2の塩基配列を含んでもよい。
【0013】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記RD29B-tターミネーターは、配列番号3の塩基配列を含んでもよい。
【0014】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記目的タンパク質は、水溶性緑色蛍光タンパク質(Soluble green fluorescent protein)、抗原、抗体、抗体断片、構造タンパク質、調節タンパク質、転写因子、毒素タンパク質、ホルモン、ホルモン類似体、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、輸送タンパク質、レセプター、レセプターの断片、生体防御誘導物質、貯蔵タンパク質、移動タンパク質(movement protein)、エクスプロイティブプロテイン(exploitive protein)、成長因子及びリポータータンパク質からからなる群より選択されるいずれか1つ以上のタンパク質であってもよい。
【0015】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記ベクターは、pCAMBIA1300であってもよい。
【0016】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記組換えベクターは、遺伝子サイレンシング抑制因子(gene silencing suppressor)遺伝子をさらに含んでもよい。
【0017】
本発明の好ましい他の一実施例によると、前記遺伝子サイレンシング抑制遺伝子は、p38、P19、HC-Pro及びTVA 2bからからなる群より選択されるいずれか1つであってもよい。
【0018】
さらに本発明は、前記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供してもよい。
【0019】
本発明の好ましい一実施例によると、前記形質転換体は、アグロバクテリウム(Agrobacterium)であってもよい。
【0020】
さらに本発明は、下記のステップを含む、植物から目的タンパク質を生産する方法を提供してもよい:
(a)上述の組換えベクターを構築すること;
(b)前記組換えベクターを細胞に導入して形質転換体を製造すること;
(c)前記形質転換体を培養すること;
(d)前記培養物を植物に浸潤させること;及び
(e)前記植物を粉砕して目的タンパク質を抽出すること。
【0021】
本発明の好ましい一実施例によると、前記(d)工程に、p38を含む組換えベクターを細胞に導入した形質転換体をさらに植物に浸潤させることを追加してもよい。
[発明の概要]
【発明の効果】
【0022】
本発明によるベクターは、目的遺伝子のタンパク質の発現レベルを高めることができるという効果がある。より詳しくは、Macプロモーターの3’末端に一塩基多型(AをT塩基に置換)を導入することで、元のMacプロモーターより転写レベルの高いMacTプロモーター、タンパク質の発現を高めるMドメイン、ERの高い蓄積を誘導するBiP、ERに高い蓄積率を誘導するHDEL、RD29Bのターミネーター、遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38、翻訳増強配列である5’-UTRを順に連結して製造したベクターである。前記組換えベクターをアグロバクテリウムに形質転換した後に培養し、真空浸潤法で植物から目的タンパク質を低コストかつ高効率で生産できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、3種のプロモーター(CaMV 35S、Mac又はMacT(Macプロモーターの3’末端に一塩基であるAからTに置換))の効率を比較分析した結果であって、(a)は、実験に用いられたコンストラクトの開裂地図であり、(b)は、前記プラスミドコンストラクトをプロトプラストに導入してからタンパク質を抽出した後、前記タンパク質とanti-GFPとを反応させてウエスタンブロット分析を行った結果であり、(c)は、前記メンブレンをクーマシーブルー染色ダイで染色した結果である。(NT、non-transformed control;M、タンパク質の大きさ(standard))
【
図2】
図2は、3種の3’末端のターミネーター(HSP-t、AtExt4-t又はRD29B-t)によるタンパク質の生産レベルを比較分析した結果であって、(a)は、実験に用いられたコンストラクトの開裂地図であり、(b)は、前記プラスミドコンストラクトをプロトプラストに導入してからタンパク質を抽出した後、前記タンパク質とanti-GFPとを反応させてウエスタンブロット分析を行った結果であり、(c)は、前記メンブレンをクーマシーブルー染色ダイで染色した結果である。(NT、non-transformed control;M、タンパク質の大きさ(standard))
【
図3】
図3は、2種のプロモーター(CaMV 35S又はMac T)及び3種のターミネーター(Nos-t、HSP-t又はRD29B-t)の組み合わせによるタンパク質の生産レベルを比較分析した結果であって、(a)は、実験に用いられたコンストラクトの開裂地図であり、(b)は、前記プラスミドコンストラクトをプロトプラストに導入してからタンパク質を抽出した後、前記タンパク質とanti-GFPとを反応させてウエスタンブロット分析を行った結果であり、(c)は、メンブレンをクーマシーブルー染色ダイで染色した結果である。(NT、non-transformed control;M、タンパク質の大きさ(standard))
【
図4】
図4は、pCAMBIA1300からハイグロマイシン遺伝子を除去すると共に、Acc65IとSalI制限部位(SalI restriction site)を導入し、double 35Sプロモーターの5’末端にBsrGI siteを導入してpM35Mを製作し、前記pM35MにAcc65IとSalIを用いてP38遺伝子を導入してpTEX0を製造し、pTEX0にまたMacT::BiP:sGFP:HDEL::RD29B-tをPstIとEcoRIとを用いて導入してpTEX1:GFPを製造した、pCAMBIA1300からpTEX1を製作する過程を整理した模式図である。
【
図5】
図5は、pmEGR又はpTEX1:GFPのP38によるタンパク質の生産レベルを比較分析した結果であって、(a)は、実験に用いられたコンストラクトの開裂地図であり、(b)は、pMEGR又はpTEX1:GFPをアグロバクテリウムを用いて単独で、又はP38を発現するバイナリーベクターを含むアグロバクテリウムを混ぜて共浸潤することで、ニコチアナベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)葉の組織でGFPの発現を誘導し、浸潤(Infiltration)した後から5日目にタンパク質を抽出し、SDS-ページ(SDS-page)を用いて展開した後、メンブレンをクーマシーブルー染色ダイで染色した結果であり、(c)は、前記タンパク質を、anti-GFPを反応させてウエスタンブロット分析を行った結果である。
【
図6】
図6は、pTEX1、pTEX1N又はpTEX1Lを用いてP38タンパク質の発現レベルを比較分析した結果であって、pTEX1はcoP38を有しており、pTEX1NとpTEX1Lは、original P38遺伝子を有しており、またpTEX1Lは、P38の前にL配列を有する21塩基対の5’UTRを含ませ、(a)は、前記pTEX1、pTEX1N又はpTEX1Lの開裂地図であり、(b)は、pTEX1、pTEXN1及びpTEX1Lをシロイヌナズナのプロトプラストに形質転換してP38の発現を誘導し、これを抗P38抗体を用いてウェスタンブロット分析でP38タンパク質の発現レベルを確認した結果である。(NT、non-transformed protoplasts;RbcL、タンパク質ローディングコントロール(loading control)として用いた。)
【
図7】
図7は、pTEX1Lによって誘導される目的タンパク質の発現レベルを比較分析した結果であって、(A)pTEX1Lの目的タンパク質の発現レベルを比較した結果であり、pTEX1L、pMERG、1300-BiP-GFP-HDELをアグロバクテリウム浸潤法でN.ベンサミアナ導入して発現レベルを比較し、P38を共形質転換(co-transformation)の有(+)、無(-)によって、目的タンパク質のER targeted GFPタンパク質の発現レベルを抗GFP抗体を用いて比較分析した結果であり、(B)は、P38の発現レベルを比較分析した結果であって、N.ベンサミアナ葉エキスを用いて、P38の発現レベルを抗P38抗体を用いてウェスタンブロット分析で比較分析した結果であり、(C)クマシーブルー染色P38及びRbcLのレベルを比較した結果であって、ウェスタンブロット分析後にメンブレンをクーマシーブルーで染色して、P38のレベルとローディングコントロールとして用いるためにRbcLのレベルを確認した結果である。
【0024】
[発明の実施のための形態]
以下で本発明をさらに詳しく説明する。
【0025】
上述したように、動物細胞又は微生物を用いてタンパク質を生産することは、ウイルス、がん遺伝子、腸毒素のような様々な汚染源のような問題を引き起こし、大量生産時に期間及びコストが多くかかるという限界を有する。これを克服するために植物からタンパク質を生産する方法が開発されているが、これもタンパク質の発現が低いという限界がある。
【0026】
このため、本発明者らは植物から目的タンパク質の発現量を増加させるための組換えベクターを製作した。本発明の組換えベクターは目的タンパク質を含み、前記目的タンパク質を含む組換えベクターを培養した後、前記培養液を植物に浸潤した後、前記植物から目的遺伝子のタンパク質の発現が高いレベルに増加するということを確認した。
【0027】
以下、添付した図面を参照として、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
【0028】
本願発明は、(i)Macプロモーター(Mac promoter);(ii)目的タンパク質をコードする遺伝子;及び(iii)RD29B-tターミネーター;を含む、植物から目的タンパク質を大量生産するための組換えベクターを提供することができる。
【0029】
本願発明者らは、高発現バイナリーベクターが含んでいる、CaMV 35Sプロモーター、又はダブルエンハンサー(double enhancer)を有する35Sプロモーターよりさらに発現の高い高発現プロモーターを開発しようとした。これによって、CaMV 35Sプロモーター、Macプロモーター(配列番号1)、Macプロモーター塩基配列の3’末端塩基であるAをTに置換したMac Tプロモーター(配列番号2)を含むベクターをデザインした後、GFPを発現させた結果、Mac Tプロモーターが約50%程度の発現効率が高いことを確認した(
図1)。
【0030】
前記Macプロモーターの遺伝子配列は、配列番号1の塩基配列を含むことができ、具体的に前記遺伝子は、配列番号1の塩基配列とそれぞれ70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有する塩基配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性の%」は、最適に配列された2つの配列と比較領域を比較することで確認され、比較領域におけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適配列に対する参照配列(追加又は削除を含まない)と比較して追加又は削除(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。
【0031】
前記Macプロモーターは、Macプロモーターの3’末端塩基であるAをTに置換したMac Tであってもよく、前記Mac Tプロモーターは、配列番号2の塩基配列を含んでもよく、具体的に前記遺伝子は、配列番号2の塩基配列とそれぞれ70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有する塩基配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性の%」は、最適に配列された2つの配列と比較領域を比較することで確認され、比較領域におけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適配列に対する参照配列(追加又は削除を含まない)と比較して追加又は削除(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。
【0032】
遺伝子の発現にはターミネーターの種類による発現レベルを確認した。シロイヌナズナの遺伝子のうちRD29Bの発現が普段は非常に低く維持されるが、植物が日照りのような非生物的ストレス(abiotic stress)を受けると、ABAのような物質によって発現が高くかつ迅速に誘導されると知られている。これによって、RD29Bが転写レベルを迅速に高く誘導するためには、転写のターミネーターも高効率で起きると仮定して、RD29Bのターミネーターが(RD29B-t;配列番号3)が遺伝子の発現レベルを高めるかを確認した。シロイヌナズナのAtExt4ターミネーター(AtExt4-t)、及び高発現を誘導すると知られたHSPターミネーターターミネーター(HSP-t)を参照ターミネーター(reference terminator)として用いて
図2でのような発現ベクターを製作した後、これをシロイヌナズナのプロトプラストに導入してsGFPの発現レベルを確認した(
図2)。その結果、RD29Bのターミネーターが2つの参照ターミネーターよりsGFPの発現を50%以上高く誘導することが確認された。
【0033】
前記RD29B-tターミネーターは、配列番号3の塩基配列を含んでもよく、具体的に前記遺伝子は、配列番号3の塩基配列とそれぞれ70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有する塩基配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性の%」は、最適に配列された2つの配列と比較領域を比較することで確認され、比較領域におけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適配列に対する参照配列(追加又は削除を含まない)と比較して追加又は削除(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。
【0034】
本願発明者らは、
図1及び
図2のように、MacTプロモーター及びRD29Bのターミネーター(RD29B-t)がそれぞれ遺伝子のタンパク質の発現レベルを増加させるということを独立に確認した。これに、前記構成要素の組み合わせが依然として遺伝子のタンパク質の発現レベルを高めるかを確認した。前記MacTプロモーターとRD29B-tをプロモーターとターミネーターとして用い、それらの間にBiP-sGFP-HDEL遺伝子(配列番号4)を挿入して発現カセットを製作した。BiP(配列番号5)は、小胞体ターゲティングのための配列であり、GFP(配列番号6)は、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein)の塩基配列であり、HDEL(配列番号7)は、タンパク質を小胞体とどめるための小胞体保留塩基配列として用いた。参照コンストラクト(Reference construct)は、
図3のように、35S::Nos-t、MacT::Nos-t、35S::HSP-t、MacT::HSP-t、35S::RD29B-tを製作した。これに、BiP-sGFP-HDELをレポーター遺伝子にして発現コンストラクト(expression construct)を完成した。これらをMacT::RD29B-tと比較するために、シロイヌナズナのプロトプラストを用いてGFPの発現を誘導して発現レベルを確認した結果、予想したように、MacT::RD29B-tが最も高いタンパク質レベルを有することを確認した。MacTとRD29B-tを新しい高発現用発現カセットのプロモーター及びターミネーターの配列と確立した。
【0035】
前記「目的タンパク質」は、発現しようとする外来産物をコードする遺伝子であり、組換えタンパク質で発現可能なあらゆる種類のタンパク質をコードする遺伝子である。代表的に、インスリン、サイトカイン(インターロイキン、腫瘍壊死因子、インターフェロン、コロニー刺激因子、ケモカインなど)、エリスロポエチン、抗原、抗体、抗体断片、構造タンパク質、調節タンパク質、転写因子、毒素タンパク質、ホルモン、ホルモン類似体、酵素、酵素阻害剤、輸送タンパク質、レセプター(例えば、チロシンキナーゼ受容体など)、レセプターの断片、生体防御誘導物質、貯蔵タンパク質、移動タンパク質(movement protein)、エクスプロイティブプロテイン(exploitive protein)、リポータータンパク質、成長因子、ワクチンを生産するためのウイルス遺伝子(viral genes)、バクテリア遺伝子などがあり、このような目的タンパク質は、前記ベクターに挿入できるように制限酵素認識又は切断部位が導入されている核酸配列である「クローニング部位」を含んでもよい。
【0036】
組換えタンパク質の遺伝子のN-とC-の末端にそれぞれBiPのシグナルシーケンス(signal sequence)と小胞体保留シグナル(ER retention signal)であるHDELとを含むことで、ER(小胞体)に高濃度で蓄積を誘導する効果を有することができる。前記組換えベクターは、BiP(チャペロン結合タンパク質;chaperone binding protein)及びHDEL(His-Asp-Glu-Leu)ペプチドからなる群より選択されるいずれか1つをさらに含んでもよく、前記BiPは配列番号5の塩基配列を含んでもよく、HDEL(His-Asp-Glu-Leu)は配列番号7の塩基配列を含んでもよい。
【0037】
また、前記組換えベクターに翻訳増強配列である5’-UTRをさらに含んでもよく、前記5’-UTRは配列番号6又は配列番号9の塩基配列を含んでもよい。
【0038】
前記組換えは、細胞が異種核酸を複製し、前記核酸を発現し、又はペプチド、異種ペプチド又は異種核酸によってコードされたタンパク質を発現する細胞を示す。組換え細胞は、前記細胞の天然形態では見出されない遺伝子又は遺伝子断片をセンス又はアンチセンス形態のいずれかとして発現してもよい。また、組換え細胞は、天然形態の細胞で見出される遺伝子を発現することができ、しかし前記遺伝子は変形されたものであり、人工的手段により細胞内に再導入されたものである。
【0039】
用語「組換え発現ベクター」は、細菌性プラスミド、ファージ、酵母プラスミド、植物細胞ウイルス、哺乳類細胞ウイルス又は他のベクターを意味する。概して、任意のプラスミド及びベクターは、宿主中で複製及び安定化できる限り用いられてもよい。前記発現ベクターの重要な特性は、複製起点、プロモーター、マーカー遺伝子及び翻訳調節要素(translation control element)を有することである。前記組換え発現ベクター及び適当な転写/翻訳調節信号を含む発現ベクターは当業者に周知の方法によって構築することができる。上記方法は、試験管内組換えDNA技術、DNA合成技術及び生体内組換え技術などを含む。
【0040】
本発明の組換えベクターの好ましい例としては、適当な宿主に存在するとき、それ自体の一部、いわゆるT-領域を植物細胞に転移させることができるTi-プラスミドベクターである。他の類型のTi-プラスミドベクターは、現在、植物細胞、又は雑種DNA植物のゲノム内に適宜挿入させる新しい植物が生産できるプロトプラストであって、雑種DNA配列を転移させるのに利用されている。Ti-プラスミドベクターの特に好ましい形態は、EP 0120 516 B1号及び米国特許第4,940,838号に請求されたような、いわゆるバイナリ(binary)ベクターである。本発明によるDNAを植物宿主に導入させるときに利用できる他の適合したベクターは、二本鎖植物ウイルス(例えば、CaMV)及び一本鎖ウイルス、ジェミニウイルス来由のウイルスベクター、例えば非完全性植物ウイルスベクターから選択できる。このようなベクターの使用は、特に植物宿主を適切に形質転換することが困難であるときに有利である。
【0041】
遺伝子サイレンシング抑制因子の発現と目的タンパク質の発現を誘導する2つのバイナリーベクターを用いて目的タンパク質の高発現を誘導する。一過性発現を用いてタンパク質を発現する場合は、遺伝子サイレンシング抑制因子の共発現(co-expression)が目的タンパク質の高発現に必須である。これによって、2つのバイナリーベクターは、それぞれがアグロバクテリウムに形質転換された後、それぞれアグロバクテリウム培養を製作し、これを、前記目的タンパク質及び遺伝子サイレンシング抑制因子をそれぞれ含むベクターを形質転換したアグロバクテリウム培養物を適当な比率で混合して共浸潤する。これには二倍の努力と二倍のコストがかかる。したがって、1つのバイナリーベクターが目的タンパク質と遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38とを同時に伝達するように発現ベクターを製作した。
図4のように、手順にしたがってtobacco codon optimized p38(coP38)遺伝子を、pCAMBIA1300のハイグロマイシン遺伝子を置換する方法で導入した。これによってpTEX0を構築し、これにMacT::M:BiP:sGFP:HDEL:RD29B-tを導入してpTEX1:GFPを構築した。このとき、BiPのimmediate upstream regionの5’-UTRで5’-ggcgtgtgtgtgtgttaaaga-3’(M 5’-UTR、配列番号6)を有するようにして翻訳効率を高く誘導した。このように構築した発現ベクター用の二重伝達用バイナリーベクターを用いて発現を確認しようとした。参照コンストラクトとして、pCAMBIA1300にMacT::BiP:sGFP:HDEL:RD29B-tを有する発現ベクター(pMEGR)を構築した。前記2つのコンストラクトを単独で又はp38を有するアグロバクテリウムを混ぜて共浸潤することで、sGFPの発現レベルを確認した(
図5)。pMEGRの場合は、p38の共浸潤によってsGFPの発現が高く誘導されることを確認した。同様に、pTEX1の場合も、p38のさらなる共浸潤によって発現が高まった(
図5)。これによって、pTEX1:GFPの場合、p38を内在的に有していても、依然として別にp38を共浸潤したときにsGFPの発現が高くなることから、pTEX1によって発現されるp38の量が十分でないと結論を下した。これは、1つのアグロバクテリウムによって導入したT-DNAにこの2つの遺伝子を同時に有するようになり、p38の発現量が十分でない可能性かあると推正した。したがって、pTEX1に含まれたp38の発現を高めるコンストラクトを再構築した。Original TCV-CPの塩基配列を含むpBINベースのバイナリーベクター(pBIN based binary vector)(韓国公開特許10-2012-0055831の35S:CP)からPCRによって35Sプロモーター-P38-35Sターミネーターを確保し、pTEX1-EMCCでBsrGIとAcc65Iを用いて該当フラグメントを置換した。これによって、pTEX1N-EMCCを構築した。またP38の発現レベルをさらに高めるために、翻訳効率(translation efficiency)を高める方法を採択した。これは、タンパク質の生産レベルを高める多くの方法のうちで細胞エネルギー(cellular energy)の面で最も効率的であると思われる。P38の5’-UTRに高効率の翻訳を誘導できる塩基配列である5’-attattacatcaaaacaaaaa-3’(配列番号9)を含むL:P38を導入してP38発現カセットを構築した(pTEX1L)(
図6)。これによってP38の発現レベルを高めようとした。pTEX1、pTEX1N及びpTEX1Lをシロイヌナズナのプロトプラストに形質転換した後、P38の発現レベルを比較した結果、pTEX1が最も低い発現レベルを示し、pTEX1NはpTEX1よりは2倍程度高く発現することが確認された。一方、pTEX1Lは、またこれらpTEX1Nよりも2倍程度高い発現を示した(
図6D)。最終的に、このpTEX1LにM::BiP:sGFP:HDELを含むコンストラクト(pTEX1L:sGFP)を構築し、これによって発現のレベルを確認した。対照群として、pCAMBIA1300ベクターに35Sプロモーター-sGFP-HSPターミネーターが含まれているベクターとpMEGRを用い、同時にそれぞれP38共浸潤する場合と比較した。その結果、先ずタバコでアグロ浸潤(agro-infiltration)による一過性発現も、シロイヌナズナのプロトプラストの形質転換(transformation)と同様に、MacTプロモーター-RD29BのターミネーターによるsGFPの発現が、35Sプロモーター-HSPターミネーターの組み合わせによる発現よりも2-3倍高いレベルと確認された(
図7)。また、P38共浸潤したpMEGRと、P38共浸潤していないpTEX1L:sGFPのsGFPの発現で大きい差がなく、pTEX1L:sGFPをP38と共形質転換する場合も、sGFPの発現にほぼ差がないことを確認した。これによって、1つのバイナリーベクターが目的タンパク質及び遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38を同時に伝達できる二重伝達用発現ベクターを完成した。
【0042】
前記ベクターはpCAMBIA1300であってもよく、pCAMBIA1300からハイグロマイシン遺伝子を除去すると共に、Acc65IとSalI制限部位を導入してもよく、double 35Sプロモーターの5’末端にBsrGI siteを導入して製作してもよい(
図4のpM35M)。前記ベクター(
図4のpM35M)にAcc65IとSalIを用いてP38遺伝子を導入して製作してもよい(
図4のpTEX0)。前記ベクターに(
図4のpTEX0)にまたMacT::BiP:sGFP:HDEL::RD29B-tを、PstIとEcoRIを用いて導入して製作してもよい(
図4のpTEX1)
【0043】
前記組換えベクターは、遺伝子サイレンシング抑制遺伝子をさらに含んでもよく、前記遺伝子サイレンシング抑制遺伝子は、p38、P19、HC-Pro及びTVA 2bからからなる群より選択されるいずれか1つ以上であってもよく、好ましくはp38をさらに含んでもよく、前記p38は配列番号9の塩基配列を含んでもよく、具体的に前記遺伝子は、配列番号9の塩基配列とそれぞれ70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有する塩基配列を含んでもよい。ポリヌクレオチドに対する「配列相同性の%」は、最適に配列された2つの配列と比較領域を比較することで確認され、比較領域におけるポリヌクレオチド配列の一部は、2つの配列の最適配列に対する参照配列(追加又は削除を含まない)と比較して追加又は削除(すなわち、ギャップ)を含んでもよい。
【0044】
また、本発明は、前記組換えベクターで形質転換された形質転換体を提供することができる。
【0045】
さらに、本発明のベクターを真核細胞に形質転換する場合は、宿主細胞として、酵母(Saccharomyce cerevisiae)、昆虫細胞、ヒト細胞(例えば、CHO細胞株(Chinese hamster ovary)、W138、BHK、COS-7、293、HepG2、3T3、RIN及びMDCK細胞株)及び植物細胞などを用いることができ、好ましくはアグロバクテリウムであってもよい。
【0046】
本発明のベクターを宿主細胞内に運搬する方法は、宿主細胞が原核細胞である場合、CaCl2法、ハナハン法(Hanahan、D.、J.Mol.Biol.、166:557-580(1983))、及び電気穿孔法などによって行うことができる。また、宿主細胞が真核細胞である場合は、微細注入法、カルシウムホスフェート沈殿法、電気穿孔法、リポソーム-媒介トランスフェクション法、DEAE-デキストラン処理法、及び遺伝子バンバードメントなどによってベクターを宿主細胞内に注入することができる。
【0047】
また、本発明は、(a)上述の組換えベクターを構築すること;(b)前記組換えベクターを細胞に導入して形質転換体を製造すること;(c)前記形質転換体を培養すること;(d)前記培養物を植物に浸潤させること;及び(e)前記植物を粉砕して目的タンパク質を抽出すること;を含む、植物から目的タンパク質を生産する方法を提供することができる。
【0048】
前記形質転換された植物から目的タンパク質を生産する方法は、本発明による組換えベクターで植物細胞を形質転換させた後、目的タンパク質が発現されるように適当な時間培養した後、形質転換された細胞から得ることができる。このとき、前記目的タンパク質を発現させる方法は当業界で公知の方法であればいずれも可能である。
【0049】
本発明は、(d)前記培養物を植物に浸潤させることに、本発明の炭酸無水化酵素を生産するための組換えベクター培養物に加えてP38を含む組換えベクターの培養物を同時に浸潤することができる。p38は、遺伝子サイレンシング抑制因子である。他にも遺伝子サイレンシング抑制因子P19、HC-Pro、TVA 2bなどであってもよい。
【0050】
前記植物に浸潤する方法は、化学電池法、真空又はシリンジ浸潤法があり、最も好ましくはシリンジ浸潤法であってもよいが、これらに制限されるのではない。
【0051】
前記植物は、稲、小麦、麦、とうもろこし、大豆、じゃがいも、小麦、小豆、オート麦、きびを含む食糧作物類;シロイヌナズナ、白菜、大根、唐辛子、いちご、トマト、すいか、きゅうり、キャベツ、マクワウリ、カボチャ、ネギ、たまねぎ、にんじんを含む野菜作物類;高麗人参、タバコ、ワタ、胡麻、砂糖黍、砂糖大根、えごま、ピーナッツ、菜の花を含む特用作物類;りんごの木、梨の木、なつめの木、桃、ぶどう、蜜柑、柿、スモモ、アンズ、バナナを含む果樹類;バラ、カーネーション、菊、ユリ、チューリップを含む花卉類から選択されるものであってもよい。
【0052】
以上で本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一の思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案することができ、これも本発明の思想範囲内に含まれると言えるであろう。
【0053】
[実施例1]最適の発現レベルを有するプロモーターの確認
図1に開示されたように、発現ベクターを製造した(
図1A)。プロモーターは、CaMV 35S、Mac、又はMacTを導入した。上記3種のそれぞれのプロモーター、水溶性緑色蛍光タンパク質(soluble green fluorescent protein;sGFP)、Nosターミネーターを連結して発現用バイナリーベクター(binary vector)を完成した。バイナリ(Binary)の基本構造(backbone)としてはpCAMBIA1300を用いた(
図1A)。上記のようにデザインされたバイナリーベクターをオーバーラッピングPCR(overlapping PCR)によって製作した。これらそれぞれのコンストラクトを電気穿孔法でシロイヌナズナ葉の組織から得られたプロトプラストに導入して発現を誘導した。形質注入した後、カナマイシンとリファンピシン(それぞれ50mg/L及び100mg/L)を含むLBプレート(LB plate)に28℃で2日間培養した。1つのコロニーを選択した後、5mLのカナマイシンとリファンピシンを含むLBメディア(LB media)で一晩培養した。24時間後、前記プロトプラストからタンパク質を抽出した。タンパク質抽出物は、抽出用バッファー(50mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.1%Triton X100、2mM DTT及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(protease inhibitor cocktail))を用いて製造し、これに5Хサンプルバッファー(sample buffer)(250mM Tris-HCl[pH6.8]、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロールv/v、及び500mM DTT)を最終1Хの濃度で添加して電気泳動タンパク質サンプル(sample)を製作した。タンパク質抽出物サンプルを5分間沸かしてから、10%SDS-ページによって分離した後、抗GFP抗体を用いてウェスタンブロット分析を行った。これによって、CaMV 35S、Mac、又はMacの各プロモーターの発現レベルを比較分析した。これによって、MacTプロモーターがCaMV 35Sよりは遥かに高く、Macプロモーターより少なくとも50%高いプロモーター強度(promoter strength)を示した(
図1)。
【0054】
[実施例2]最適の発現レベルを有するターミネーターの確認
図2の図式で見られるような発現コンストラクトを製作した。プロモーターはCaMV 35Sと固定し、ターミネーターとしては、効率の高いと知られたHSPターミネーター、シロイヌナズナのAtExt4遺伝子のターミネーター又はRD29Bのターミネーターを製作した。それらの間にERに発現を誘導して高いレベルで蓄積されるように、ER目的信号(targeting signal)であるBiP、水溶性GFP及びER保留シグナル(retention signal)であるHDELを含むBiP-sGFP-HDEL遺伝子を挿入して発現カセットを製作した。上記のようにデザインされたバイナリーベクターをオーバーラッピングPCRによって製作した。これらそれぞれのコンストラクトを電気穿孔法でシロイヌナズナ葉の組織から得られたプロトプラストに導入して発現を誘導した。形質注入した後、カナマイシンとリファンピシン(それぞれ50mg/L及び100mg/L)を含むLBプレートに28℃で2日間培養した。1つのコロニーを選択した後、5mLのカナマイシンとリファンピシンを含むLBメディアで一晩培養した。24時間後、前記プロトプラストからタンパク質を抽出した。タンパク質抽出物は、抽出用バッファー(50mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.1%Triton X100、2mM DTT及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル)を用いて製造し、これに5Хサンプルバッファー(250mM Tris-HCl[pH6.8]、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロールv/v、及び500mM DTT)を最終1Хの濃度で添加して電気泳動タンパク質サンプルを製作した。タンパク質抽出物サンプルを5分間沸かしてから、10%SDS-ページによって分離した後、抗GFP抗体でウェスタンブロット分析を行った。その後、前記メンブレンをクーマシーブルーで染色した。これによって、RD29Bのターミネーターが、前記3つの種類のターミネーターのうち最も発現レベルが高いことを確認した(
図2)。
【0055】
[実施例3]
図3に見られるように様々な組み合わせのプロモーター及びターミネーターを発現コンストラクト(35S::Nos-t、MacT::Nos-t、35S::HSP-t、MacT::HSP-t、35S::RD29B-t、MacT::RD29B-t)を製作した。それらの間にBiP-sGFP-HDEL遺伝子(配列番号4)を挿入して発現カセットを製作した。それらの間にERに発現を誘導して高いレベルで蓄積されるようにER目的信号であるBiP、sGFP及びER保留シグナルであるHDELを含むBiP-sGFP-HDEL遺伝子を挿入して発現カセットを製作した。上記のようにデザインされたバイナリーベクターをオーバーラッピングPCRによって製作した。これらそれぞれのコンストラクトを電気穿孔法でシロイヌナズナ葉の組織から得られたプロトプラストに導入して発現を誘導した。形質注入した後、カナマイシンとリファンピシン(それぞれ50mg/L及び100mg/L)を含むLBプレートに28℃で2日間培養した。1つのコロニーを選択した後、5mLのカナマイシンとリファンピシンを含むLBメディアで一晩培養した。24時間後、前記プロトプラストからタンパク質を抽出した。タンパク質抽出物は、抽出用バッファー(50mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.1%Triton X100、2mM DTT及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル)を用いて製造し、これに5Хサンプルバッファー(250mM Tris-HCl[pH6.8]、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロールv/v、及び500mM DTT)を最終1Хの濃度で添加して電気泳動タンパク質サンプルを製作した。タンパク質抽出物サンプルを5分間沸かしてから、10%SDS-ページによって分離した後、抗GFP抗体でウェスタンブロット分析を行ってsGFPのレベルを確認した。その結果、これらの6つのコンストラクトのうちMacTとRD29B-tをプロモーターと結晶部位として有する場合にsGFPの発現が最も高いことが確認された(
図3)。これによって、Mac TプロモーターとRD29B-tターミネーターを有する発現カセットが目的遺伝子のタンパク質の発現を増加させるということを確認した。
【0056】
[実施例4]pCAMBIA1300からpTEX1:GFPの構築過程
1つのバイナリーベクターが目的タンパク質と遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38を同時に伝達するように発現ベクターを製作した。
図4のように、pCAMBIA1300からハイグロマイシン遺伝子を除去すると共に、Acc65IとSalI制限部位を導入し、double 35Sプロモーターの5’末端にBsrGI siteを導入してpM35Mを製作し、前記pM35MにAcc65IとSalIを用いて、tobacco codon optimized p38(coP38)遺伝子を導入してpTEX0を製造し、pTEX0にまたMacT::BiP:sGFP:HDEL::RD29B-tをPstIとEcoRIを用いて導入してpTEX1:GFPを構築した。このとき、BiPのimmediate upstream regionの5’-UTRで5’-ggcgtgtgtgtgtgttaaaga-3’(M 5’-UTR、配列番号6)を有するようにして翻訳効率を高く誘導した。
【0057】
[実施例5]pMEGRのベクターマップ(vector map)と、これを用いた発現レベルの比較
上記実施例4に構築した発現ベクター用の二重伝達用バイナリーベクター(pTEX1:GFP)を用いて発現を確認しようとした。参照コンストラクトとしてpCAMBIA1300にMacT::BiP:sGFP:HDEL:RD29B-tを有する発現ベクター(pMEGR)を構築した。前記2種の発現ベクター(pTEX1:GFP又はpMEGR)のそれぞれをアグロバクテリウムに導入して培養した。mLのアグロバクテリウム培養液をカナマイシン及びリファンピシン(50mg/L及び100mg/L)を含む50ml LB培養液に添加した。16時間培養した後、アクロバクテリウムを8分間28℃で4000xgの条件で遠心分離して回収した。上澄み液は捨て、アクロバクテリウムの沈殿物は浸潤バッファー(10mM MES、10mM MgSO4. 7H2O;pH5.7)に溶解した。細胞の濃度は浸潤バッファーを用いてOD600で0.8になるようにした。その後、400μM アセトシリンゴン(acetosyringone)をアグロバクテリウム溶液に添加し、室温に2時間置いた。アグロバクテリウム-媒介浸潤のために、野生種のN.ベンサミアナを栽培した。植物は、種子を用いて24℃、40-65%相対湿度、長日条件(14h光/10h暗状態)で光強度が130-150μE m-2 sec-1の条件で栽培した。6株間育てた植物をアグロバクテリウム-媒介浸潤に用いた。シリンジを用いた浸潤は、注射針のない1mLサイズのシリンジを用いた。同時に遺伝子サイレンシング抑制(gene silencing suppression)遺伝子であるカブクリンクルウイルス(turnip crinkle virus)のコートタンパク質(coat protein)の遺伝子であるP38が入っているバイナリベクター(binary vector)を同時-浸潤した。このために2種の発現ベクター(pTEX1:sGFP又はpMEGR)とP38をそれぞれのアグロバクテリウムに導入した後、適切な濃度のアグロバクテリウム培養液を1:1の比率で混ぜてN.ベンサミアナ葉に浸潤した。浸潤後3日目に総タンパク質抽出物をN.ベンサミアナ葉の組織から確保してウエスタンブロット分析を行って発現レベルを確認した。総タンパク質抽出物は、抽出用バッファー(50mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.1%Triton X100、2mM DTT及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル)を用いて製造し、これに5Хサンプルバッファー(250mM Tris-HCl[pH6.8]、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロールv/v、及び500mM DTT)を最終1Хの濃度で添加して電気泳動タンパク質サンプルを製作した。タンパク質抽出物サンプル(50μg)を5分間沸かしてから、12.5%SDS-ページによって展開した後、クーマシーブルーで染色した。また抗GFP抗体でウェスタンブロット分析を行ってsGFPのレベルを確認した。その結果、前記発現ベクター(pMEGRとpTEX1:sGFP)はいずれも、P38を別に共浸潤しなくてもsGFPの発現を誘導した。しかし、P38をさらに共浸潤すると、さらに高いsGFPの発現を示した。また2つの発現ベクターはほぼ同じレベルのsGFPの発現を示した。これによって、P38を自体で有しているが、十分に高いレベルの遺伝子サイレンシング抑制因子のためには、P38がさらに必要であることが確認された。したがって、pTEX1に含まれたp38の発現を高めるコンストラクトを再構築した。
【0058】
[実施例6]pTEX1、pTEX1NとpTEX1Lの発現ベクターマップ
pTEX1が有しているP38の発現が十分な遺伝子サイレンシング抑制因子を与えていないため、P38の発現レベルを高めるコンストラクトを構築しようとした。Original TCV-CPの塩基配列を含むpBINベースのバイナリーベクターから、PCRによって35Sプロモーター-P38-35Sターミネーターを確保し、pTEX1-EMCCでBsrGIとAcc65Iを用いて該当fragmentを置換してpTEX1Nを構築した。P38の5’-UTRに高効率の翻訳を誘導できる塩基配列である5’-attattacatcaaaacaaaaa-3’(配列番号9)を含むL:P38を導入してpTEX1Lを構築した。pTEX1、pTEX1N及びpTEX1Lを用いてシロイヌナズナのプロトプラストに形質転換して発現を確認した。形質注入した後、カナマイシンとリファンピシン(それぞれ50mg/L及び100mg/L)を含むLBプレートに28℃で2日間培養した。1つのコロニーを選択した後、5mLのカナマイシンとリファンピシンを含むLBメディアで一晩培養した。24時間後、前記プロトプラストからタンパク質を抽出した。タンパク質抽出物は、抽出用バッファー(50mM Tris pH7.5、150mM NaCl、0.1%Triton X100、2mM DTT及び1%プロテアーゼ阻害剤カクテル)を用いて製造し、これに5Хサンプルバッファー(250mM Tris-HCl[pH6.8]、10%SDS、0.5%ブロモフェノールブルー、50%グリセロールv/v、及び500mM DTT)を最終1Хの濃度で添加して電気泳動タンパク質サンプルを製作した。タンパク質抽出物サンプルを5分間沸かしてから、10%SDS-ページによって分離した後、抗TCP-CP(P38)抗体でウェスタンブロット分析を行った。また、メンブレンをクーマシーブルーで染色した。pTEX1、pTEX1N及びpTEX1Lをシロイヌナズナのプロトプラストに形質転換した後、P38の発現レベルを比較した結果、pTEX1が最も低い発現レベルを示し、pTEX1NはpTEX1よりは2倍程度高く発現することが確認された。一方、pTEX1LはまたこれらpTEX1Nよりも2倍程度高い発現を示した(
図6D)。これによって、pTEX1Lの翻訳エンハンサー(translational enhancer)を有する発現ベクターのP38発現レベルが最も高いことが確認された。
【0059】
[実施例7]
pTEX1LにM::BiP:sGFP:HDELを含むコンストラクト(pTEX1L:sGFP)を構築し、これによって発現のレベルを確認した。pCAMBIA1300ベクターに35Sプロモーター-sGFP-HSPターミネーターが入っているベクター、pMEGRベクターとpTEX1Lベクターを運搬するアグロバクテリウムをタバコ(Nicotiana benthamiana)葉にシリンジで単独浸潤(infiltration)し、同時にp38と共浸潤させた後5日目、タバコ葉からタンパク質を抽出してGFP抗体とTCV CP抗体を用いてウエスタンブロット方法でBiP-sGFP-HDELとP38タンパク質の発現を確認した(
図7B)。その結果、先ず、タバコでアグロ浸潤による一過性発現もシロイヌナズナのプロトプラスト形質転換と同様に、MacTプロモーター-RD29BターミネーターによるsGFPの発現が、35Sプロモーター-HSPターミネーターの組み合わせによる発現より2-3倍高レベルと確認された(
図7)。また、P38と共浸潤したpMEGRとP38と共浸潤しないpTEX1L:sGFPのsGFPの発現で大きな差がなく、pTEX1L:sGFPをP38と共形質転換する場合も、sGFPの発現にほぼ差がないことを確認した。これによって、1つのバイナリーベクターが目的タンパク質及び遺伝子サイレンシング抑制因子であるp38を同時に伝達できる二重伝達用発現ベクターを完成した。
【0060】
[実施例8]
pTEX1Lに、M::BiP:sGFP:HDELでsGFPの代わりにtarget遺伝子としてヒトフリン(human Furin)遺伝子を置換し、pTEX1LにM::BiP:hFurin:Hisx5:HDELコンストラクトを導入したコンストラクトを構築し、これをアグロバクテリウムに導入した後、N.ベンサミアナに発現を誘導してFurin:Hisx5:HDELを高レベルで生産した。
【0061】
[実施例9]
pTEX1Lに、M::BiP:sGFP:HDELでsGFPの代わりにtarget遺伝子としてTryosinogen遺伝子を置換し、pTEX1LにM::BiP:Trysinogen:Hisx5:HDELコンストラクトを導入したコンストラクトを構築し、これをアグロバクテリウムに導入した後、N.ベンサミアナに発現を誘導してTrysinogen:Hisx5:HDELを高レベルで生産した。
【配列表】