(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ワサビ栽培システム
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240521BHJP
A01G 22/25 20180101ALI20240521BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240521BHJP
【FI】
A01G31/00 608
A01G31/00 601B
A01G22/25 F
A01G9/02 103G
(21)【出願番号】P 2019224646
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】519444487
【氏名又は名称】株式会社HTKライフ
(73)【特許権者】
【識別番号】523008336
【氏名又は名称】高木 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅章
(72)【発明者】
【氏名】高木 茂
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-060939(JP,A)
【文献】特開2011-004683(JP,A)
【文献】実開平05-031555(JP,U)
【文献】特開平11-300237(JP,A)
【文献】特開平05-284863(JP,A)
【文献】特開2017-112870(JP,A)
【文献】特開2008-118922(JP,A)
【文献】特開平11-151049(JP,A)
【文献】特開2019-149952(JP,A)
【文献】特開2001-145421(JP,A)
【文献】特開平03-266910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00-31/06
A01G 22/25
A01G 9/00- 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワサビ栽培装置は、
ワサビ栽培するために上方が開口した栽培容器と、
前記栽培容器に収容された作土と、
前記作土の上面よりも上方位置に配置された噴射用配管と、
前記噴射用配管における前記ワサビの葉よりも低い位置に配設された複数の噴射口部と、を備え、
前記噴射口部は、当該噴射口部から栽培水が下方に向かって広がるように
鈍角に噴射され、
当該噴射口部の先端部を時計方向又は反時計方向に回転させることにより、前記栽培水の広がり角度が調節可能とされ、隣り合う当該噴射口部から噴射される前記栽培水は、前記作土上において少なくとも一部が重なるように噴射されることで、前記複数の噴射口部から前記作土の略全面に前記栽培水が噴射されるように構成
され、
前記ワサビ栽培装置は、貯水部に複数個からなる列が一定間隔をあけた複数列で設置され、前記ワサビ栽培装置の各列には、前記噴射用配管がこれら列の長手方向に複数本互いに平行にそれぞれ配置されており、
前記平行な噴射用配管の前記複数の噴射口部それぞれの両側に前記ワサビが配設されるようになっていることを特徴とするワサビ栽培
システム。
【請求項2】
前記栽培容器は、その側壁部が折畳み可能に構成されていることを特徴とする請求項
1に記載のワサビ栽培
システム。
【請求項3】
前記作土の全体が砂利であって、その径を10~15mmとしたことを特徴とする請求項1
又は2に記載のワサビ栽培
システム。
【請求項4】
前記栽培容器は、前記作土が収容される底面部を有し、この底面部に前記砂利の径よりも小さく、かつ前記ワサビの根が通過する複数の孔が形成されていることを特徴とする請求項
3に記載のワサビ栽培
システム。
【請求項5】
前記栽培容器は、その最下部よりも上方の位置に前記作土が直接収容される底面部を有し、前記貯水部の水面の高さが前記栽培容器の底面の高さになるように設定されていることを特徴とする
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のワサビ栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワサビを栽培するためのワサビ栽培システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワサビは、清流が流れる山間地に形成したワサビ田で栽培されるのが一般的とされてきたが、近年ワサビの生産量を増やすために、例えば特許文献1に記載された技術が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、ワサビの栽培に適した箇所に多数の栽培容器を配列して、これら各栽培容器内に第1層から第4層の作土を層状に詰め、この作土の詰め作業中又は完了後に、ワサビ苗等を第2層に対して植え付けるか、あるいは、作土を詰めた各栽培容器をワサビの栽培に適した箇所に配列し、これら各栽培容器に対して養水(栽培水)の供給が行えるように配管して、この配管から各栽培容器内の表面に養水を供給して作土内を通過させるようにしたワサビの栽培方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、配管に一定間隔をおいて複数の孔が形成され、これらの孔から各栽培容器内の作土表面に養水を供給するようにしているので、養水が各栽培容器内の作土表面の一部しか供給されないことから、作土の温度が上昇する。そのため、ワサビの茎や根を通過する養水の温度が高くなり、軟腐病や、墨入病等の病害に侵されるという問題がある。
【0006】
また、特許文献1に記載された各栽培容器は、4層からなる作土を層状に詰めることから、ある程度の深い容器を用いる必要がある。このような深い容器は嵩張ることから、多数の栽培容器を運搬するに際し、手間がかかるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、ワサビ栽培に必要な量の栽培水を確実に供給することができ、ワサビ栽培に極めて良好な環境が得られるワサビ栽培システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ワサビ栽培装置は、ワサビ栽培するために上方が開口した栽培容器と、前記栽培容器に収容された作土と、前記作土の上面よりも上方位置に配置された噴射用配管と、前記噴射用配管における前記ワサビの葉よりも低い位置に配設された複数の噴射口部と、を備え、前記噴射口部は、当該噴射口部から栽培水が下方に向かって広がるように鈍角に噴射され、当該噴射口部の先端部を時計方向又は反時計方向に回転させることにより、前記栽培水の広がり角度が調節可能とされ、隣り合う当該噴射口部から噴射される前記栽培水は、前記作土上において少なくとも一部が重なるように噴射されることで、前記複数の噴射口部から前記作土の略全面に前記栽培水が噴射されるように構成され、前記ワサビ栽培装置は、貯水部に複数個からなる列が一定間隔をあけた複数列で設置され、前記ワサビ栽培装置の各列には、前記噴射用配管がこれら列の長手方向に複数本互いに平行にそれぞれ配置されており、前記平行な噴射用配管の前記複数の噴射口部それぞれの両側に前記ワサビが配設されるようになっていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記栽培容器は、その側壁部が折畳み可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記作土の全体が砂利であって、その径を10~15mmとしたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の構成に加え、前記栽培容器は、前記作土が収容される底面部を有し、この底面部に前記砂利の径よりも小さく、かつ前記ワサビの根が通過する複数の孔が形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の構成に加え、前記栽培容器は、その最下部よりも上方の位置に前記作土が直接収容される底面部を有し、前記貯水部の水面の高さが前記栽培容器の底面の高さになるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、噴射用配管の噴射口部は、当該噴射口部から栽培水が広がるように噴射されることで、複数の噴射口部から作土の略全面に栽培水が噴射されるように構成したことにより、ワサビ栽培に必要な量の栽培水を確実に供給することができ、ワサビ栽培に極めて良好な環境が得られることとなる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、栽培容器の側壁部が折畳み可能に構成されているので、運搬時に折り畳むことで小型化が図れ、多数の栽培容器を容易に輸送することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、作土の全体が砂利であって、その径を10~15mmとしたことにより、通水性及び水冷却性を極めて良好にすることができる。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、栽培容器は、作土が収容される底面部を有し、この底面部に砂利の径よりも小さく、かつワサビの根が通過する複数の孔が形成されているので、ワサビの根の成長を阻害することなく、ワサビの成長を促進することが可能となる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、栽培容器は、その最下部よりも上方の位置に作土が直接収容される底面部を有し、貯水部の水面の高さが栽培容器の底面の高さになるように設定されているので、ワサビの根が底面部よりも下方に伸びた場合でも、栽培水で浸すことになることから、ワサビの栽培に適した環境が得られ、ワサビの成長を促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態のワサビ栽培装置を貯水部に複数設置したワサビ栽培システムを示す概略平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るワサビ栽培装置における栽培容器を示す斜視図である。
【
図3】
図1の栽培容器を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図4】
図1の栽培容器に噴射用配管から栽培水を噴射している状態を示す概略平面図である。
【
図5】
図1の栽培容器に噴射用配管から栽培水を噴射している状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[一実施形態]
図1~
図5は、本発明の一実施形態を示す。
図1は、本発明の一実施形態のワサビ栽培装置を貯水部に複数設置したワサビ栽培システムを示す概略平面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るワサビ栽培装置における栽培容器を示す斜視図である。
図3は、
図1の栽培容器を折り畳んだ状態を示す斜視図である。
図4は、
図1の栽培容器に噴射用配管から栽培水を噴射している状態を示す概略平面図である。
図5は、
図1の栽培容器に噴射用配管から栽培水を噴射している状態を示す拡大断面図である。
【0021】
図1に示すように、ワサビ栽培システム1は、貯水部としての貯水プール2を有し、この貯水プール2内には、ビニールシート4(
図5に示す)が敷設され、このビニールシート4上に砂が略均一に撒かれている。貯水プール2には、内部を循環した地下水を排水するために図示しない排水管が設置されている。
【0022】
貯水プール2内には、ワサビ栽培するためのワサビ栽培装置5の栽培容器10が5つずつ接続され、これらの栽培容器10が一定間隔をおいて6列配置されている。各列の栽培容器10には、噴射用配管20が2本ずつ互いに平行に配置されている。これら各列の噴射用配管20は、25mmの塩化ビニル管が用いられる。各列の噴射用配管20は、それぞれ図示しない水量調整バルブを介して給水管3に接続されている。この給水管3には、図示しない井戸から汲み上げた栽培水が供給される。この栽培水は、例えば地下30m以上の深さの井戸から汲み上げられた、雑菌、大腸菌等の細菌を含まない地下水が使用される。
【0023】
本実施形態のワサビ栽培装置5は、栽培容器10と、この栽培容器10に収容された後述する作土14と、上記噴射用配管20と、この噴射用配管20に複数配設された噴射口部21(
図4、
図5に示す。)と、を備える。
【0024】
栽培容器10は、上方が開口された底面部11を有している。貯水プール2は、
図5に示すようにその深さD(水面の高さ)が栽培容器10の底面部11の高さH1になるように設定されている。本実施形態では、栽培容器10の底面部11の高さH1が例えば15cmに設定されている。
【0025】
次に、本実施形態のワサビ栽培装置5における栽培容器10の具体的な構成について説明する。
【0026】
図2及び
図3に示すように、栽培容器10は、上方が開口して平面視で正方形に形成され、1辺の長さが110cmに設定されている。栽培容器10は、底面側に平面視で正方形の基台部12を有し、この基台部12の4辺のうち対向する2辺上面にそれぞれ内側に向けて折畳み可能な側壁部13aが連続して設けられている。4辺のうち対向する他の2辺には、側壁部13bが垂直方向に固定されている。これら側壁部13a,13bの高さH2は、30cmに設定されている。
【0027】
栽培容器10には、
図5に示すように川砂利、人工骨材等の作土14が深さ30cm程度収容される。本実施形態では、作土14の全体が1種類の砂利であって、その径が10~15mmのものが用いられている。栽培容器10の底面部11には、図示しない多数の排水孔が形成され、底面部11上に例えば5メッシュのネット15が敷かれている。このネット15及び上記多数の排水孔は、砂利の径よりも小さく、かつワサビの根が通過する程度のものである。
【0028】
栽培容器10の作土14には、ワサビWの苗が植え付けられる。具体的には、本実施形態では、
図4に示すように1つの栽培容器10に対して12個のワサビWの苗が植え付けられる。上述したように1つの栽培容器10には、噴射用配管20が互いに平行に2本配置され、これら2本の噴射用配管20は、作土14の上面よりも5cm程度上方位置に水平に配置されている。これら噴射用配管20には、1つの栽培容器10に対して3つずつ計6つの噴射口部21が配設されている。これら6つの噴射口部21の先端は、ワサビWの葉よりも低い位置に配設されている。1つの栽培容器10に対して6つの噴射口部21からは、毎分1.5~2.5Lの栽培水が霧状に噴射されるように構成されている。
【0029】
12個のワサビWは、栽培容器10内において6つの噴射口部21を挟んで噴射用配管20の両側の位置に植え付けられている。各噴射口部21は、栽培水が大幅に広がるように広角(鈍角)に噴射され、その先端部を時計方向又は反時計方向に回転させることにより、栽培水の広がり角度が調節可能に構成されている。隣り合う噴射口部21から噴射される栽培水は、作土14上において少なくとも一部が重なるように噴射される。したがって、各噴射口部21からは、作土14の略全面にわたって栽培水が噴射される。
【0030】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では、貯水プール2内のビニールシート4上に5つずつ接続された栽培容器10が一定間隔をおいて6列配置される。この場合、各栽培容器10内には、作土14が収容されていても、後で収容するようにしてもよい。なお、本実施形態では、栽培容器10内に、多層の作土を詰め込むことなく、1層の作土14を詰め込むだけで済むため、作土14の詰め込み作業を極めて容易にすることができる。各列の栽培容器10には、噴射用配管20が2本ずつ互いに平行に配置され、これらの噴射用配管20は、図示しない水量調整バルブを介して給水管3に接続される。この給水管3に井戸から栽培水が供給される。
【0032】
次いで、1つの栽培容器10に対して12個のワサビWが植え付けられる。そして、井戸から地下水を汲み上げて給水管3に供給される。この地下水は、各噴射用配管20を経て各噴射口部21から
図4に示すように栽培容器10内の作土14に対して略全面にわたって栽培水が噴射される。
【0033】
なお、本実施形態では、各噴射口部21から作土14の略全面にわたって栽培水を噴射することが可能になるので、従来のように作土部を表土で覆うことなく、また作土14の略全面にわたって行き渡らせるために作土部を多数層設けることがなくなる。そのため、本実施形態では、作土14の目詰まりを未然に防止することができることから、軟腐病や、墨入病等の病害に侵されることがなくなる。
【0034】
また、本実施形態では、各噴射口部21は、ワサビWの葉よりも低い位置に配設されているので、噴射後に可及的に早い段階で低温のまま栽培水を直ちにワサビWの根に供給することができる。そのため、栽培水が暖かい空気に触れる時間が少なくなり、栽培水の高温化を未然に抑制することができる。
【0035】
そして、各噴射口部21をワサビWの葉よりも低い位置に配設したことで、作土14の上面から上方位置には噴射による保冷効果によって保冷空間が形成され、ワサビW周辺の気温も栽培に適した温度に保持することができる。
【0036】
さらに、作土14に噴射された栽培水は、作土14を流下するときに作土14に接触して冷却される。ここで、本実施形態では、作土14の全体が砂利であって、その径が10~15mmのものを用いたことにより、通水性及び水冷却性を極めて良好にすることができる。
【0037】
さらに、この栽培水は、貯水プール2内に15cmの深さDになるまで流れて栽培容器10の底面部11より下方に伸びたワサビWの根を栽培水で浸すことになる。
【0038】
このように本実施形態によれば、噴射用配管20の噴射口部21は、噴射口部21から栽培水が広がるように噴射されることで、複数の噴射口部21から作土14の略全面に栽培水が噴射されるように構成したことにより、ワサビWの栽培に必要な量の栽培水を確実に供給することができ、ワサビWの栽培に極めて良好な環境が得られることとなる。
【0039】
また、本実施形態によれば、栽培容器10の2面の側壁部13aが折畳み可能に構成されているので、運搬時に折り畳むことで小型化が図れ、多数の栽培容器10を容易に輸送することができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、作土14の全体が砂利であって、その径を10~15mmとしたことにより、通水性及び水冷却性を極めて良好にすることができる。
【0041】
さらに、本実施形態によれば、栽培容器10は、作土14が収容される底面部11を有し、この底面部14に砂利の径よりも小さく、かつワサビWの根が通過する複数の孔が形成されているので、ワサビWの根の成長を阻害することなく、ワサビWの成長を促進することが可能となる。
【0042】
そして、本実施形態によれば、ワサビ栽培装置5が貯水プール2に複数配置され、栽培容器10は、その最下部よりも上方の位置に作土14が直接収容される底面部11を有し、貯水プール2の水面の高さ、すなわち貯水プール2の深さDが栽培容器10の底面の高さH1になるように設定されているので、ワサビWの根が底面部11よりも下方に伸びた場合でも、栽培水で浸すことになることから、ワサビWの栽培に適した環境が得られ、ワサビWの成長を促進することが可能となる。
【0043】
[他の実施形態]
本発明の各実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0044】
例えば、上記実施形態では、栽培容器10が5つずつ接続され、これらの栽培容器10が一定間隔をおいて6列配置した例について説明したが、栽培容器10の接続数、配置する列の数、配置する方向は、設置するための貯水プール2の平面形状に基づいて適宜変更可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、栽培容器10の底面部11に5メッシュのネット15を敷いた例について説明したが、底面部11を砂利の径よりも小さく、かつワサビの根が通過する程度の孔を形成するようにしてもよい。この場合には、ネット15が不要になる。
【0046】
さらに、上記実施形態では、1つの栽培容器10に対して12個のワサビWが植え付け、1つの栽培容器10に対して3つずつ計6つの噴射口部21を配設した例について説明したが、ワサビWの栽培に必要な量の栽培水を確実に供給することができ、かつワサビWの栽培に良好な環境が得られれば、ワサビWの数及び噴射口部21の数も上記以外の数であってもよい。
【0047】
上記実施形態では、2辺の側壁部13bを固定した例について説明したが、これに限らずこれらの側壁部13bも2辺の側壁部13aと同様に折畳み可能に構成してもよい。これにより、運搬時に全ての側壁部側壁部13a,13bを折り畳むことで、一段と小型化が図れ、容易に輸送することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ワサビ栽培システム
2 貯水プール(貯水部)
3 給水管
4 ビニールシート
5 ワサビ栽培装置
10 栽培容器
11 底面部
12 基台部
13 側壁部
14 作土
15 ネット
20 噴射用配管
21 噴射口部
W ワサビ