(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】壁面移動ロボット
(51)【国際特許分類】
B64C 37/00 20060101AFI20240521BHJP
B62D 57/04 20060101ALI20240521BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20240521BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20240521BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20240521BHJP
B64U 50/14 20230101ALI20240521BHJP
B64U 50/18 20230101ALI20240521BHJP
B64U 101/26 20230101ALN20240521BHJP
【FI】
B64C37/00
B62D57/04
B64C13/20 Z
B64C39/02
B64U10/13
B64U50/14
B64U50/18
B64U101:26
(21)【出願番号】P 2020084497
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501165628
【氏名又は名称】株式会社ティ・エス・プランニング
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 文宏
(72)【発明者】
【氏名】正司 明夫
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 博
(72)【発明者】
【氏名】東 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】本庄 慧
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 智
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183219(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0012136(KR,A)
【文献】特開2018-108818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 37/00
B64C 13/20
B64C 39/02
B62D 57/04
B64U 10/13
B64U 50/14
B64U 50/18
B64U 101/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御が可能な壁面移動ロボットであって、
移動ロボット体と、
前記移動ロボット体に設けられた、3つのダクトファンと、を備え、
前記3つのダクトファンのうち、第1ダクトファン及び第2ダクトファンのそれぞれは、前記移動ロボット体を前記壁面に押し付け、
前記3つのダクトファンのうち、第3ダクトファンは、
前記第1ダクトファンと前記第2ダクトファンとの間に、前記第1ダクトファン及び前記第2ダクトファンの中心位置を結ぶ仮想線上に略直交する位置に設けられて回動可能に構成され、前記移動ロボット体の自重を支える
とともに、前記移動ロボット体を前記壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させ、
前記移動ロボット体に設けられ、移動ロボット体を駆動可能な駆動台車を、さらに備え、前記駆動台車は、全方向移動車輪駆動台車であり、前記移動ロボット体を前記壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させること
を特徴とする壁面移動ロボット。
【請求項2】
前記移動ロボット体に設けられた、制御装置と、
前記移動ロボット体に設けられた、有線又は無線通信によって前記制御装置を遠隔制御装置と接続させることが可能な通信装置と、を備え、
前記壁面移動ロボットは、遠隔制御可能であること
を特徴とする請求項1に記載の壁面移動ロボット。
【請求項3】
前記壁面移動ロボットは、有線で電力が供給されること
を特徴とする請求項1
又は2に記載の壁面移動ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、壁面移動ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、建築ビルの老朽化や経年変化に伴う建物の外壁やタイル等の検査のために、様々なタイプのロボットが開発されている。そのようなロボットの1つとして、壁面移動ロボットが知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された壁面移動ロボットは、例えば、壁面に吸着して壁面を移動し、壁面の検査、清掃、塗装、及び表面処理等の作業に従事する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【文献】日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会2018 講演論文集(DVD)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、非特許文献1の壁面移動ロボットでは、壁面における直進が難しい、という事情がある。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みて為されたもので、その目的は、壁面における直進性を向上させることが可能な壁面移動ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る壁面移動ロボットは、遠隔制御が可能な壁面移動ロボットであって、移動ロボット体と、前記移動ロボット体に設けられた、3つのダクトファンと、を備え、前記3つのダクトファンのうち、第1ダクトファン及び第2ダクトファンのそれぞれは、前記移動ロボット体を前記壁面に押し付け、前記3つのダクトファンのうち、第3ダクトファンは、前記第1ダクトファンと前記第2ダクトファンとの間に、前記第1ダクトファン及び前記第2ダクトファンの中心位置を結ぶ仮想線上に略直交する位置に設けられて前記移動ロボット体の自重を支えるように、前記移動ロボット体を前記壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させるとともに、前記移動ロボット体に設けられ、移動ロボット体を駆動可能な駆動台車を、さらに備え、前記駆動台車は、全方向移動車輪駆動台車であり、前記移動ロボット体を前記壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る壁面移動ロボットは、第1発明において、前記移動ロボット体に設けられた、制御装置と、前記移動ロボット体に設けられた、有線又は無線通信によって前記制御装置を遠隔制御装置と接続させることが可能な通信装置と、を備え、前記壁面移動ロボットは、遠隔制御可能であることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る壁面移動ロボットは、第1発明又は第2発明において、有線で電力が供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明~第3発明に係る壁面移動ロボットによれば、3つのダクトファンのうち、第1ダクトファン及び第2ダクトファンのそれぞれが、移動ロボット体を壁面に押し付ける。このため、例えば、1つのダクトファンが、移動ロボット体を壁面に押し付ける場合と比較して、移動ロボット体が、1つのダクトファンの回転方向に曲がろうとする現象を抑制できる。したがって、壁面における直進性を向上させることが可能な壁面移動ロボットを提供できる。
また、第1発明~第3発明に係る壁面移動ロボットによれば、移動ロボット体を駆動可能な駆動台車を備えている。駆動台車は、移動ロボット体を壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させる。したがって、壁面移動ロボットは、壁面に対して上下、左右、斜め方向に動くことが可能となる。
また、第1発明~第3発明に係る壁面移動ロボットによれば、第3ダクトファンは、移動ロボット体を壁面に対して上下、左右、斜め方向に推進させる。したがって、壁面移動ロボットは、壁面に対して上下、左右、斜め方向に動くことが可能となる。
また、第1発明~第3発明に係る壁面移動ロボットによれば、移動ロボット体を壁面に対して上方向及び下方向のそれぞれに推進させる第3ダクトファンが、第1ダクトファンと第2ダクトファンとの間に設けられている。しかも、第3ダクトファンは、第1ダクトファン及び第2ダクトファンの中心位置を結ぶ仮想線上に略直交する位置に設けられている。このため、移動ロボット体が、1つの第3ダクトファンによる推力によって曲がろうとする現象を抑制できる。したがって、移動ロボット体を壁面に対して上方向及び下方向のそれぞれに推進させる第3ダクトファンが1つであったとしても、壁面における直進性を、安定させることが可能な壁面移動ロボットを提供できる。
【0017】
特に、第3発明に係る壁面移動ロボットによれば、有線で電力が供給される。このため、壁面移動ロボットに電源装置を搭載する必要が無く、壁面移動ロボットの自重を軽くできる。したがって、第1~第3ダクトファンのそれぞれが負担すべき推力を抑制でき、第1~第3ダクトファンそれぞれの小型軽量化、更には壁面移動ロボットの小型軽量化を図ることが可能となる。また、長時間の連続稼働も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
【
図2】
図2は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式側面図である。
【
図3】
図3は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す別の模式側面図である。
【
図4】
図4は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
図4は、
図1に示した模式平面図と対応する。なお、
図4では、制御装置、通信装置、遠隔制御装置及び気流の方向は省略する。
【
図5】
図5は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの動きの例を示す模式平面図である。
【
図6】
図6は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの別の例を示す模式平面図である。
【
図7】
図7は、この発明の第3実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
【
図8】
図8は、この発明の第3実施形態に係る壁面移動ロボットの動きの例を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態のいくつかを、図面を参照しながら説明する。各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
図2は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式側面図である。
図3は、この発明の第1実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す別の模式側面図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、第1実施形態に係る壁面移動ロボット100は、遠隔制御が可能である。壁面移動ロボット100は、移動ロボット体1と、少なくとも3つのダクトファン11~13を備えている。第1ダクトファン11~13のそれぞれは、移動ロボット体1に設けられている。
【0022】
第1ダクトファン11及び第2ダクトファン12のそれぞれは、推力を、壁面200に対して略垂直な方向に及ぼす。これにより、第1ダクトファン11及び第2ダクトファン12のそれぞれは、移動ロボット体1を壁面200に押し付ける。第1ダクトファン11の回転方向及び第2ダクトファン12の回転方向はそれぞれ同一方向であっても良いし、互いに逆方向であっても良い。
【0023】
第3ダクトファン13は、推力を、壁面200に対して略水平な方向に及ぼす。これにより、第3ダクトファン13は、移動ロボット体1を壁面200に対して上方向及び下方向のそれぞれに推進させる。
【0024】
第3ダクトファン13は、第1ダクトファン11と第2ダクトファン12との間に設けられている。第3ダクトファン13は、例えば、第1ダクトファン11の中心位置11c及び第2ダクトファン12の中心位置12cを結ぶ第1仮想線21と略直交する第2仮想線22上に位置に設けられている。第2仮想線22は、例えば、移動ロボット体1の中心線である。
【0025】
移動ロボット体1には、転動体が設けられている。第1実施形態では、転動体として、移動ロボット体1を駆動可能な駆動台車31a~31dを用いている。駆動台車31a~31dは、移動ロボット体1と壁面200との間にある。駆動台車31a~31dは、駆動滑車、例えば、車輪である。これにより、移動ロボット体1が、壁面200上をスムーズに移動することが可能である。
【0026】
壁面移動ロボット100では、第1ダクトファン11及び第2ダクトファン12で移動ロボット体1を壁面200に押し付け、第3ダクトファン13で、壁面移動ロボット100の自重、少なくとも移動ロボット体1の自重を支える。この場合、駆動台車31a~31dの駆動力は、移動ロボット体1が壁面200を上昇していくための推力となる。このとき、第3ダクトファン13の推力は、壁面移動ロボット100の自重をキャンセルするように作用するので、駆動台車31a~31dにかかる負荷が小さくなる。このため、駆動台車31a~31dを小型で軽量の駆動機構として実現することができる。
【0027】
さらに、壁面移動ロボット100では、第1ダクトファン11及び第2ダクトファン12のそれぞれで、壁面移動ロボット100の自重、少なくとも移動ロボット体1の自重を支えることができれば、
図3に示すように、壁面200だけでなく、天井300の走行も可能である。
【0028】
なお、転動体に駆動力が無い場合には、移動ロボット体1は、第3ダクトファン13によって壁面200を上昇することとなる。このときの移動は、下記の式1を満たすことで可能となる。
W-Fv≦μFh ・・・式1
式1において、
W :移動ロボット体1の重量
Fv :第3ダクトファン13の推力
μFh:第1、第2ダクトファン11、12の推力Fhによる摩擦力
式1に示す関係を考慮しながら、第3ダクトファン13の推力を調整することにより、壁面移動ロボット100は、壁面200に対して上昇移動、下降移動及び停止が可能となる。
【0029】
移動ロボット体1は、制御装置41と、通信装置42とを備えている。制御装置41は、例えば、第1ダクトファン11~第3ダクトファン13を制御する。また、制御装置41は、転動体が駆動台車31a~31dであった場合には、これら駆動台車31a~31dを制御する。通信装置42は、移動ロボット体1から離れた位置にある遠隔制御装置51と、有線通信又は無線通信によって制御装置41と、遠隔制御装置とを接続させる。これにより、壁面移動ロボット100は、無線による遠隔制御が可能となる。
【0030】
このような第1実施形態に係る壁面移動ロボット100によれば、2つ以上の第1ダクトファン11及び第2ダクトファン12のそれぞれが、移動ロボット体1を壁面200に押し付ける。このため、例えば、1つのダクトファンが、移動ロボット体1を壁面200に押し付ける場合と比較して、移動ロボット体1が、移動ロボット体1を壁面200に押付けるダクトファンの、例えば、回転方向に曲がろうとする現象を抑制できる。
【0031】
したがって、第1実施形態によれば、壁面200における直進性を向上させることが可能な壁面移動ロボット100を提供できる。
【0032】
また、第1実施形態によれば、第3ダクトファン13は、第1ダクトファン11の中心位置及び第2ダクトファン12の中心位置を結ぶ第1仮想線21上に略直交する第2仮想線22上に位置に設けられている。第2仮想線22は、例えば、移動ロボット体1の左右の中心線である。このため、第3ダクトファン13の位置は、第3ダクトファン13の中心線から偏心することが抑制される。したがって、第3ダクトファン13の中心線からの偏心に起因した移動ロボット体1が曲がろうとする現象を、さらに抑制できる。したがって、移動ロボット体1を壁面200に対して上方向及び下方向のそれぞれに推進させる第3ダクトファン13が1つであったとしても、壁面200上における直進性を、安定させることが可能な壁面移動ロボット100を提供できる。
【0033】
第1実施形態に係る壁面移動ロボット100には、例えば、検査装置、保守装置、点検装置を搭載することにより、構造物の壁面等の検査、保守、点検に応用することができる。また、壁面移動ロボット100を利用した検査、保守、点検等は、災害等により倒壊の危険性が増した構造物であっても可能である。このため、倒壊の危険性が増した構造物の検査、保守、点検から作業員を開放でき、作業員の安全を確保することもできる。
【0034】
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
図5は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの動きの例を示す模式平面図である。
【0035】
図4に示すように、第2実施形態に係る壁面移動ロボット100bが、
図1に示した壁面移動ロボット100と異なるところは、駆動台車31a~31dが、全方向移動車輪駆動台車(例えばオムニホイール機構)を用いたことである。
【0036】
駆動台車31a~31dに、例えば、オムニホイール機構を用いた場合、壁面移動ロボット100は、
図5に示すように、壁面200又は天井300上を、前後、左右、右斜め上、左斜め上、右斜め下及び左斜め下のそれぞれに走行(全方向走行)することができる。また、駆動台車31a~31dは、クローラであっても良い。クローラであっても、全方向走行が可能である。
【0037】
図6は、この発明の第2実施形態に係る壁面移動ロボットの別の例を示す模式平面図である。
【0038】
図6に示すように、第3ダクトファン13を壁面200の下型において回動可能としても良い。この場合、壁面移動ロボット100は、壁面200又は天井300上を、少なくとも前後、左右、右斜め上及び左斜め上のそれぞれに走行することができる。この別の例は、
図4に示した壁面移動ロボット100bと併用しても良く、また、駆動台車31a~31dから駆動力を取り除き、転動体として、駆動力無しの全方向移動車輪を取り付けるようにしても良い。
【0039】
(第3実施形態)
図7は、この発明の第3実施形態に係る壁面移動ロボットの一例を示す模式平面図である。
図8及び
図9は、この発明の第3実施形態に係る壁面移動ロボットの動きの例を示す模式平面図である。
【0040】
図7及び
図8に示すように、第3実施形態に係る壁面移動ロボット100cが、
図1に示した壁面移動ロボット100と異なるところは、電源装置61を、外置き型としたことである。壁面移動ロボット100cには、電源ケーブル62を介して有線で電力が供給される。
【0041】
第3実施形態に係る壁面移動ロボット100cによれば、壁面移動ロボットに電源装置61を搭載する必要が無く、壁面移動ロボットの自重を軽くできる。したがって、第1~第3ダクトファンのそれぞれが負担すべき推力を抑制でき、第1~第3ダクトファンそれぞれの小型軽量化、更には壁面移動ロボットの小型軽量化を図ることが可能となる。また、長時間の連続稼働も可能となる。
【0042】
ただし、電源ケーブル62に高電流が流れる場合、電源ケーブル62の重量が重くなる。このため、移動ロボット体1の壁面200への押し付けに影響が出る。したがって、電源ケーブル62の長さは、例えば、第1、第2ダクトファン11、12の壁面200への押し付けに余裕あるだけの重さとなるように調節されることが良い。この長さ61Lは、電源ケーブル62の種類、第1ダクトファン11の推力、第2ダクトファン12の推力及び壁面移動ロボット100の自重等で変わるが、例えば10m以下とする。
【0043】
例えば、10mを超える部分の、例えば検査を行う場合には、
図8に示すように、上下に移動する移動足場71に電源装置61を設置し、移動足場71を上下に移動させる。これにより、10mを超える部分の、例えば検査を行うことができる。この際、移動足場71は、電源ケーブル62の長さの範囲内で、移動させる。
【0044】
このように、壁面移動ロボット100と、電源装置61と、移動足場71とを連携させることで、長時間の検査を休むことなく実施できる。このため、作業の効率化が可能となる。
【0045】
また、電源ケーブル62には、各種のセンサーからの計測データ等を送信する送信ケーブルを搭載することもできる。このため、作業階でのリアルタイムでのデータ解析も可能となる。
【0046】
上記第1実施形態~第3実施形態で説明した壁面移動ロボットは、構造物の壁面等の検査、保守、点検に限らず、構造物の、例えば、清掃、塗装、表面処理等に応用することも可能である。この場合には、壁面移動ロボットに、清掃装置、塗装装置、表面処理装置等を搭載すれば良い。
【0047】
さらに、上記第1実施形態~第3実施形態で説明した壁面移動ロボットは、移動ロボット体1を壁面に押し付けるダクトファンを2つ以上有するため、移動ロボット体1を壁面に押し付ける力が強い。このため、移動ロボット体1は、構造物の壁面だけでなく、
図3に示したように、構造物の天井300等にも押し付けることが可能である。このため、壁面移動ロボット100は、構造物の天井の検査、保守、点検、清掃、塗装、表面処理等にも利用することができる。
【0048】
以上、この発明をいくつかの実施形態を参照して説明したが、上記いくつかの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、上記いくつかの実施形態は、様々な新規な形態で実施することができ、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更も可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100、100b、100c:壁面移動ロボット
200:壁面
300:天井
1 :移動ロボット体
11 :第1ダクトファン
11c:第1ダクトファン11の中心位置
12 :第2ダクトファン
12c:第2ダクトファン12の中心位置
13 :第3ダクトファン
21 :第1仮想線
22 :第2仮想線
31a~31d:駆動台車(転動体)
41 :制御装置
42 :通信装置
51 :遠隔制御装置
61 :電源装置
62 :電源ケーブル
71 :移動足場