(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ポリマーフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/14 20060101AFI20240521BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20240521BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B32B27/14
B32B9/00 A
B32B27/18 Z
(21)【出願番号】P 2021558526
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 GB2020050789
(87)【国際公開番号】W WO2020201717
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-13
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510174727
【氏名又は名称】ソルツ ヘルスケア リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521437091
【氏名又は名称】スウォンジー ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー、 シリン
(72)【発明者】
【氏名】バロン、 アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、 ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】トレザウェイ、 リー
(72)【発明者】
【氏名】パウナー、 イアン
【審査官】山下 航永
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-535179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0075883(US,A1)
【文献】国際公開第2014/192402(WO,A1)
【文献】特開2017-170739(JP,A)
【文献】SHIRIN ALEXANDER; ET AL,BRANCHED HYDROCARBON LOW SURFACE ENERGY MATERIALS FOR SUPERHYDROPHOBIC NANOPARTICLE DERIVED SURFACES,ACS APPLIED MATERIALS & INTERFACES,2015年12月07日,VOL:8,PAGE(S):660-666,https://doi.org/10.1021/acsami.5b09784
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B65D 65/00 - 65/46
C09K 3/18
C01F 1/00 - 17/38
C08J 7/04 - 4/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性粒子で少なくとも部分的にコーティングされている基材を含むポリマーフィルム
であって、前記疎水性粒子は、
酸化アルミニウムコアと、
2~40個の炭素原子を有する炭化水素鎖とを含み、
前記炭化水素鎖は、前記酸化アルミニウムコアに化学的に結合し、前記疎水性粒子およ
び前記基材は、接着剤によって互いに固定され、前記疎水性粒子および前記接着剤の質量
比は、
1.0:1.0~2.0:1.0である、ポリマーフィルム。
【請求項2】
前記疎水性粒子の平均直径は、
200nm以下である、請求項1に記載のポリマーフィルム。
【請求項3】
前記疎水性粒子の平均直径は、
50nm以下である、請求項2に記載のポリマーフィルム。
【請求項4】
前記疎水性粒子の平均直径は、
8nm~20nmである、請求項3に記載のポリマーフィルム。
【請求項5】
前記炭化水素鎖は脂肪族である、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマーフィル
ム。
【請求項6】
前記炭化水素鎖は、直鎖または分岐である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリ
マーフィルム。
【請求項7】
前記炭化水素鎖は、6~32個の炭素を有する、請求項1~6のいずれか
一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項8】
前記炭化水素鎖は、6~24個の炭素を有する、請求項7に記載のポリマーフィルム。
【請求項9】
前記炭化水素鎖は、官能基を介して前記酸化アルミニウムコアに共有結合している、請
求項1~8のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項10】
前記官能基は、ヒドロキシド、カルボキシラート、ホスホナート、ホスフィナート、チ
オラート、およびチオカルボキシラートのいずれか1つまたは組み合わせを含む、請求項
9に記載のポリマーフィルム。
【請求項11】
前記疎水性粒子はフッ素を含まない、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマー
フィルム。
【請求項12】
前記基材は熱可塑性フィルムを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー
フィルム。
【請求項13】
前記熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ビニルポリマー、またはポリアセタールフ
ィルムを含む、請求項12に記載のポリマーフィルム。
【請求項14】
前記基材は、共押出しされた二層または多層フィルムを含む、請求項1~13のいずれ
か一項に記載のポリマーフィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムの、食品包装フィルムとして
の使用。
【請求項16】
表面を含み、前記表面に、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムが
積層されている、食品または液体容器。
【請求項17】
前記表面が、金属、合金、プラスチック、厚紙及び/又はガラスを含む、請求項16に
記載の食品または液体容器。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムが積層されている、ガラスシ
ート。
【請求項19】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムが積層されている、プラスチ
ックシート。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムが積層されている、布地シー
ト。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルムが積層されている、衣服また
はフットウェアの物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ポリマーフィルムに関するものであり、特に、約140°以上の水接触角(water contact angle)(WCA)を有するポリマーフィルムに関するものである。いくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは150°を超えるWCAを有する。本発明のポリマーフィルムは、非毒性であり、このことは、食品および液体包装(food and liquid packaging)などの幅広い用途に用いられることができることを意味する。
【背景技術】
【0002】
濡れにくい表面は、疎水性表面として知られる。このような表面は、いくつもの商業的に重要な性質を有する。例えば、濡れにくい表面は、くっつかず(non-stick)、セルフクリーニングで、および/または汚染に耐性であり得る。
【0003】
疎水性材料が、一般に、疎水性表面を形成するために用いられる。そのような疎水性材料は、典型的には、ワックス、フッ素化ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、オルガノシランなどを含む。例えば、シリコーン、シロキサン、および様々なフルオロアクリレートポリマーは、防水布地材料(water proofing fabric materials)用の配合物に使用される主要な材料である。疎水性配合物は、一般に、布地材料の表面上にスプレーされ、空気硬化または乾燥の後、雨、湿気に対する効果的な撥水性、ならびに様々な汚れおよびしみに対する保護を提供する。
【0004】
しかしながら、既知の疎水性材料は、典型的には、すべての表面に、特に熱可塑性フィルムに、十分に接着しない。
【0005】
また、既知の疎水性材料は、しばしばフッ素を含み、これらフッ素含有疎水性材料は毒性であり得る。
【0006】
したがって、改善の要求がある。特に、熱可塑性フィルムなどの表面に十分に付着する非毒性の疎水性材料であって、それにより、濡れにくい、セルフクリーニングである、および/または、汚染に耐性のあるポリマーフィルムを提供する、疎水性材料に対する要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態は、約140°以上のWCAを有し、先行技術に比べて、基材と疎水性粒子との間の接着が改善されたポリマーフィルムを提供しようとするものである。本発明の実施形態はまた、先行技術に比べて毒性が低いポリマーフィルムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、疎水性粒子で少なくとも部分的にコーティングされている基材を含むポリマーフィルムであって、前記疎水性粒子は、
金属酸化物コアと、
2~40個の炭素原子を有する炭化水素鎖とを含み、
前記炭化水素鎖は、前記金属酸化物コアに化学的に結合している、ポリマーフィルムが提供される。
【0009】
疎水性粒子の平均直径は、約200nm以下とすることができる。
【0010】
疎水性粒子の平均直径は、約50nm以下、例えば約20nm以下とすることができる。
【0011】
疎水性粒子の平均直径は、約8nm~約20nm、例えば約8nm~約15nmとすることができる。
【0012】
金属酸化物コアは、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、および酸化ケイ素のうちの1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0013】
炭化水素鎖は、脂肪族とすることができる。
【0014】
炭化水素鎖は、直鎖または分岐とすることができる。
【0015】
炭化水素鎖は、2~32個の炭素を有することができる。
【0016】
炭化水素鎖は、6~32個の炭素、例えば6~24個の炭素を有することができる。
【0017】
炭化水素鎖は、官能基、例えば陰イオン性官能基を介して、金属酸化物コアに共有結合することができる。
【0018】
官能基は、ヒドロキシド、カルボキシラート、ホスホナート、ホスフィナート、チオラート、およびチオカルボキシラートのうちのいずれか1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0019】
疎水性粒子は、フッ素を含まないものであってよい。
【0020】
基材は、熱可塑性フィルムを含むことができる。例えば、基材は、ポリオレフィン、ビニルポリマー、ポリエステル、およびポリアセタールフィルムのうちの任意の1つまたは複数を含むことができる。
【0021】
基材は、共押出しされた二層または多層フィルムを含むことができる。例えば、共押出しされた二層または多層フィルムは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、アセタール、アクリル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVDC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、およびポリカーボネート(PC)のうちの任意の1つまたは組み合わせの層を含むことができる。
【0022】
疎水性粒子は、基材上に堆積(例えば、スプレー)することができる。例えば、疎水性粒子を揮発性溶媒などのキャリアと混合することができ、得られた混合物を基材上にスプレーすることができる。疎水性粒子とキャリアの混合物は、溶液または懸濁液を形成することができる。混合物は、約0.5重量%~約20重量%、例えば、約0.5重量%~約10重量%、例えば、約0.5重量%~約5重量%、例えば、0.5重量%または1重量%または2重量%または3重量%または4重量%または5重量%の疎水性粒子濃度を有することができる。
【0023】
疎水性粒子は、基材に少なくとも部分的に埋め込まれていてもよい。
【0024】
基材を加熱して、疎水性粒子が少なくとも部分的に内部に埋め込まれ、疎水性の三次元表面を形成することを可能にすることができる。疎水性粒子の埋め込みは、加熱された基材をローラー間で転がすことなどの物理的手段によって強化することができる。処理中、揮発性溶媒(使用される場合)は自然に蒸発し、基材が冷却されると、疎水性粒子は基材に結合したままになるため、洗浄によって除去されない。
【0025】
基材が加熱される温度は、使用される基材のタイプに応じて変わる。一般的に、基材は、それが塑性変形し始める温度まで加熱される。当業者は、この温度を知っているか、または基本的な実験を通じてこの温度を決定することができることを理解すべきである。以下の実施例で使用されているEVA/EVA/PVDC/EVA/EVA5層共押出熱可塑性フィルムの場合、塑性変形温度は約80℃~約90℃の間であった。
【0026】
疎水性粒子と基材は、エポキシ樹脂などの接着剤によって互いに固定することができる。例えば、接着剤を基材上に堆積させ、続いて疎水性粒子を堆積させることができる。あるいはまた、疎水性粒子を基材上に堆積させ、続いて接着剤を堆積させることができる。疎水性粒子は、接着剤内に少なくとも部分的に埋め込まれることができ、それ自体が基材と疎水性粒子との間の結合を提供してもよい。接着剤が硬化すると、疎水性の三次元表面を有するポリマーフィルムが得られる。
【0027】
疎水性粒子と接着剤を混合することができ、得られた混合物を基材上に堆積させることができる。
【0028】
疎水性粒子と接着剤が混合される場合、疎水性粒子と接着剤の質量比は、約1.0:1.0~約2.0:1.0とすることができる。この範囲内の疎水性粒子と接着剤の質量比は、特に良好な疎水性表面を有するポリマーフィルムを生成することが見出された。
【0029】
疎水性粒子または疎水性粒子/接着剤混合物は、前述のように、キャリア、例えば、揮発性溶媒を使用して、基材上にスプレーすることができる。
【0030】
疎水性粒子を基材に付着させるすべての方法において、ポリマーフィルムが溶媒に浸漬または曝露された後でも、WCAは悪影響を受けないことが見出された。このような処理により、疎水性粒子の一部が基材から除去される可能性があるが、除去によるWCAへの影響は無視できる。
【0031】
ポリマーフィルムの疎水性は、その表面全体の異なる領域で調整することができる。これは、ポリマーフィルムの第1の領域が、関連する第1のWCA測定値を有することができ、ポリマーフィルムの第2の領域が、第1のWCA測定とは異なる関連する第2のWCA測定値を有することができることを意味する。
【0032】
ポリマーフィルムの疎水性の調整は、いくつかの方法で達成することができる。例えば、疎水性粒子のより多くの層を、第2の領域よりも第1の領域に堆積させことができる。したがって、第1の領域は、通常、第2の領域よりも高いWCA測定値を有するであろう。追加的または代替的に、疎水性粒子のより濃縮された混合物を、第2の領域よりも第1の領域に堆積させることができる。したがって、第1の領域は、通常、第2の領域よりも高いWCA測定値を有するであろう。混合物中の疎水性粒子の濃度は、溶媒による希釈および/または異なる種、例えば、親水性粒子および/または官能化されていない金属酸化物によって調整することができる。追加的または代替的に、異なるタイプの疎水性粒子をそれぞれの第1および第2の領域に堆積させることができる。したがって、第1および第2の領域は、通常、異なるWCA測定値を有するであろう。
【0033】
本発明は、セルフクリーニングポリマーフィルム及びセルフクリーニングポリマーフィルムの製造方法であって、ポリマーフィルムが、疎水性粒子を基材に固定することによって形成された疎水性表面を有する、セルフクリーニングポリマーフィルムおよびセルフクリーニングポリマーフィルムの製造方法を提供する。
【0034】
疎水性粒子を基材に付着させる方法は、約140°以上のWCAを達成することができる三次元表面構造を有するポリマーフィルムをもたらす。したがって、本発明のポリマーフィルムは、改善されたセルフクリーニング特性、および/または汚染への耐性を提供する。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムの、食品包装フィルムとしての使用が提供される。
【0036】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている表面を含む、食品または液体包装または容器(food or liquid packaging or container)が提供される。
【0037】
食品または液体包装または容器の表面は、金属、合金、プラスチック、厚紙(cardboard)及び/又はガラスを含んでよい。
【0038】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされているガラスシートが提供される。
【0039】
ガラスシートは、車両用ウィンドスクリーン等のウィンドスクリーンに用いてもよい。
【0040】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされているプラスチックシートが提供される。
【0041】
本発明の第6の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている布地シートが提供される。
【0042】
本発明の第7の態様によれば、本発明の第1の態様のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている、衣服またはフットウェアの物品が提供される。
【0043】
図面の簡単な説明
ここで、添付の図面を参照して本発明の実施形態を例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図2】疎水性粒子が少なくとも部分的に内部に埋め込まれている基材を含む、本発明の実施形態のポリマーフィルムを示す。
【
図3】本発明の実施形態のポリマーフィルムであって、基材と、接着剤によってそれに結合している疎水性粒子とを含む、ポリマーフィルムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1を参照すると、概して1で表される疎水性粒子が示されている。疎水性粒子1は、金属酸化物コア10および6個の炭化水素鎖12を含む。他の実施形態では、疎水性粒子1は、6個より多いまたは少ない炭化水素鎖12を有することができる。各々の炭化水素鎖12は、2~40個の炭素原子を有する。炭化水素鎖12は、分岐であるが、直鎖であってもよい。
【0046】
炭化水素鎖12は、金属酸化物コア10に化学的に結合している。いくつかの実施形態では、炭化水素鎖12は、官能基14を介して金属酸化物コア10に共有結合することができる。適切な金属酸化物コア10には、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、および酸化ケイ素が含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合の「酸化物」という用語は、酸化物-水酸化物、水酸化物、および複数の金属酸化状態を有する酸化物も含むことを意図している。例えば、酸化鉄は、Fe3O4またはFe2O3またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、疎水性粒子1は、カルボキシラート官能基14によってそれに共有結合している炭化水素鎖12を有する金属酸化物コア10を含む。他の実施形態では、安定した共有相互作用が金属酸化物コア10と炭化水素鎖12との間で形成される限り、代替官能基を使用することができる。代替官能基14は、ヒドロキシド、ホスホナート、ホスフィナート、チオラート、およびチオカルボキシラートのいずれか1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、炭化水素鎖12は脂肪族とすることができる。特に、炭化水素鎖12は、化学式CxHyによって定義されるような任意の適切なアルキル有機基から選択することができ、ここで、xおよびyは整数であり、xは2~40である。いくつかの実施形態では、炭化水素鎖12は6~32の炭素、例えば、6~24の炭素を有することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、炭化水素鎖12は直鎖とすることができる。例えば、疎水性粒子1は、オクタン酸(CH3(CH2)6CO2H)と金属酸化物コア10との反応によって生成することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、炭化水素鎖12は分岐とすることができる。例えば、疎水性粒子1は、イソステアリン酸(CH3(CH2)16COOH)および2-ヘキシルデカン酸(CH3(CH2)7CH[(CH2)5CH3]CO2H)のいずれか1つと金属酸化物コア10との反応によって生成することができる。
【0052】
本明細書に記載される炭化水素鎖12の作成は、得られる疎水性粒子1がフッ素を含まないという利点を提供することができる。これは、本発明の疎水性粒子1が、従来技術の材料と比較した場合に毒性が少ないという点で環境上の利点を有することを意味する。
【0053】
ここで
図2を参照すると、概して2で示されるポリマーフィルムが示されている。ポリマーフィルム2は、疎水性粒子1が少なくとも部分的に内部に埋め込まれている基材3を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、ポリマーフィルム2は、加熱された基材3上に疎水性粒子1を堆積する、例えば、スプレーすることによって調製される。疎水性粒子1は、溶媒に溶解または懸濁させることができる。基材3の露出面は、軟化するまで加熱され、続いて、軟化された表面上に溶液または懸濁液を堆積することができる。溶媒を蒸発させ、基材3を冷却した後、疎水性粒子1は、基材3に少なくとも部分的に埋め込まれるようになる。その結果、安定した、ざらざらの(textured)疎水性表面を有するポリマーフィルム2が得られる。いくつかの実施形態では、基材3は、照射によって(例えば、赤外線ランプによって)、または伝導によって(例えば、基材3をホットプレート上に置くことによって、または加熱された空気にさらすことによって)加熱することができる。その完全性を損なうことなく基材3を軟化させるのに十分な加熱を提供する任意の方法を使用できることを理解すべきである。
【0055】
溶媒の選択は、溶媒が基材3の表面から蒸発する必要性によってのみ限定される。適切な溶媒には、イソプロパノール、トルエン、およびエタノールが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
ここで
図3を参照すると、概して20で示されるポリマーフィルムが示されている。ポリマーフィルム20は基材30を含む。疎水性粒子1が接着剤40によって基材30に固定されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、接着剤40はエポキシ樹脂とすることができる。接着剤40を基材30に塗布し、続いて疎水性粒子1を含む溶液または懸濁液を堆積させるか、またはその逆を行うことができる。接着剤40を硬化させ、その時点で、疎水性粒子1は、接着剤40に少なくとも部分的に埋め込まれることにより、基材30に結合するようになる。
【0058】
いくつかの実施形態では、疎水性粒子1および接着剤40を混合することができ、得られた混合物を基材30上に堆積させる、例えば、スプレーすることができる。
【0059】
スプレーは、混合物を溶媒に溶解または懸濁し、業界でよく知られているような噴射剤(propellant)または圧縮機(compressor)を利用することによって行うことができる。
【実施例】
【0060】
材料
基材は、熱可塑性フィルム、例えば、ポリエチレン共重合体を含むことができる。この後のすべての実験に使用された基材は、75ミクロンの厚さを有するEVA/EVA/PVDC/EVA/EVA5層共押出し体(co-extrusion)であった。
【0061】
平均直径が13nmの酸化アルミニウム(Al2O3)粒子は、Sigma-Aldrichから購入した。
【0062】
平均直径が15~20nmの酸化鉄(Fe3O4)粒子は、Sigma-Aldrichから購入した。
【0063】
イソステアリン酸は、日産化学工業から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0064】
トルエンとイソプロパノールは、VWR Chemicalsから供給された。
【0065】
SP106多目的エポキシ樹脂システム1kg低速硬化剤(SP106 Multi-Purpose Epoxy Resin System 1 kg Slow Hardener)は、MB Fibreglassから購入した。
【0066】
スプレーコーティングには、Spraycraft Universal Airbrush Propellantを使用し、これは、Axminster Tools and Machineryから購入した。
【0067】
水接触角(WCA)測定
WCA測定値は、ポリマーフィルムの濡れ性を検討するために使用された。WCA測定値は、4μLのH2O液滴をポリマーフィルム上に堆積させることによって得られた。ここで報告されているWCAの値は、表面上の異なる位置で記録された3つの測定値の平均である。標準偏差は、これらの値に関連する不確実性を表すために使用される。
【0068】
比較例1
コーティングされていない基材(すなわち、クリーンなEVA/EVA/PVDC/EVA/EVAの5層共押出しフィルム)のWCAは88.3°±1.7°であった。
【0069】
比較例2
基材は、官能化されていないAl2O3粒子でコーティングされた。官能化されていないAl2O3粒子の基材上への堆積は、周囲温度で2重量%のイソプロパノール懸濁液からスプレーコーティングすることによって達成された。官能化されていないAl2O3粒子によるポリマーフィルムの最大被覆率を達成しようとするため、3つのスプレーを使用した。
【0070】
周囲温度で官能化されていないAl2O3粒子で基材をコーティングすると、ポリマーフィルムの表面が超親水性になった。したがって、得られたポリマーフィルムのWCAを正確に測定することはできなかった。
【0071】
比較例3
基材は、官能化されていないFe3O4粒子でコーティングされた。官能化されていないFe3O4粒子の基材上への堆積は、周囲温度で2重量%のイソプロパノール懸濁液からスプレーコーティングすることによって達成された。官能化されていないFe3O4粒子による基材の最大被覆率を達成しようとするため、3つのスプレーを使用した。
【0072】
得られたポリマーフィルムのWCAは、107.2°±3.4°であった。
【0073】
実施例1
官能化酸化アルミニウム(Al2O3)粒子は次のように合成された。酸化アルミニウム(Al2O3)粒子(d=13nm、10.0g、98.0mmol、1.0当量)をトルエン(250mL)中のイソステアリン酸(39.1g、137.3mmol、1.4当量)とともに24時間還流した。反応時間が経過したら、反応混合物を収集し、5000rpmで1時間遠心分離した。次に、固体を回収し、イソプロパノール中において5000rpmで1時間遠心分離した。これに続いて、固体をエタノール中において5000rpmで1時間さらに3回遠心分離し、次に80℃で6時間乾燥させた。
【0074】
基材は、官能化Al2O3粒子でコーティングされた。官能化Al2O3粒子の基材への堆積は、周囲温度で2重量%のイソプロパノール懸濁液からスプレーコーティングすることによって達成された。官能化Al2O3粒子による基材の最大被覆率を達成しようとするため、3つのスプレーを使用して、した。
【0075】
得られたポリマーフィルムのWCAは、151.1°±1.0°であった。
【0076】
実施例2
官能化酸化鉄(Fe3O4)粒子は次のように合成された。酸化鉄(Fe3O4)粒子(d=15~20nm、5.0g、21.6mmol、1.0当量)をトルエン(100mL)中でイソステアリン酸(18.4g、64.7mmol、3.0当量)とともに機械式攪拌下で約24時間還流した。反応時間が経過したら、混合物を5000rpmで1時間遠心分離した。これに続いて、固体を回収し、80℃で6時間乾燥させた。
【0077】
基材は、官能化Fe3O4粒子でコーティングされた。官能化Fe3O4粒子の基材上への堆積は、周囲温度で2重量%のイソプロパノール懸濁液からのスプレーコーティングによって達成された。官能化Fe3O4粒子による基材の最大被覆率を達成しようとするため、3つのスプレーを使用した。
【0078】
得られたポリマーフィルムのWCAは、151.9°±2.1°であった。
【0079】
実施例3
基材を加熱し、実施例1に記載の官能化Al2O3粒子でコーティングした。加熱の結果として軟化した後、官能化Al2O3粒子を基材上にスプレーコーティングした。基材の加熱は、以下のように達成された。最初に、基材はその縁部でガラスペトリ皿の表面に物理的に取り付けられた。これの目的は、加熱プロセス中に形状が変化する程度を制限するために、基材を固定することであった。次に、基材の物理的変形が観察されるまで、ペトリ皿に熱を加えた。基材の物理的変形が観察されると、官能化Al2O3粒子の基材への堆積がスプレーコーティングによって達成された。官能化Al2O3粒子は、2.0重量%の懸濁液からスプレーコーティングされた。官能化Al2O3粒子による基材の最大被覆率を達成しようとするため、5つのスプレーを使用した。各スプレーに続いて、イソプロパノールの除去を加速するために、基材を継続的に加熱した。表面に液体が観察されなかった場合は、基材にさらにスプレーコーティングを行った。基材の温度は、スプレーコーティングの前に測定されなかった。しかしながら、80~90℃の間に加熱すると、基材が塑性変形し始めることが観察された。
【0080】
得られたポリマーフィルムのWCAは、142.0°±3.9°であった。
【0081】
この値は、官能化Al2O3粒子が周囲温度で基材上に堆積されたとき(実施例1)よりもわずかに低いが、水滴がポリマーフィルムから容易に転がり落ちることは注目に値する。したがって、これは、疎水性粒子の塗布中の基材の加熱が、得られるポリマーフィルムの所望の疎水性の性質を過度に損なうことはないことを示唆している。
【0082】
官能化Al2O3疎水性粒子が基材にどの程度良好に結合しているかを調べるために、ポリマーフィルムをイソプロパノール中で約10分間超音波処理し、WCAを再テストした。
【0083】
超音波処理後、ポリマーフィルムのWCAは、137.7°±7.9°であった。超音波処理後にWCAが大幅に変化しなかったことは明らかであり、これは、基材内に官能化Al2O3疎水性粒子が強力に熱的に埋め込まれていることを示している。
【0084】
実施例4
基材を加熱し、実施例3に記載の方法に従って、実施例2に記載の官能化Fe3O4粒子でコーティングした。
【0085】
得られたポリマーフィルムのWCAは、151.9°±2.7°であった。
【0086】
官能化Fe3O4疎水性粒子が基材にどの程度良好に結合しているかを調べるために、ポリマーフィルムをイソプロパノール中で約10分間超音波処理し、WCAを再テストした。
【0087】
超音波処理後、ポリマーフィルムのWCAは、90.3°±0.5°であった。これは、コーティングされていない基材のWCAに近いWCAを表している。これは、官能化Fe3O4疎水性粒子のほとんどが超音波処理によって除去されたことを示している。特定の理論に拘束されることなく、官能化Fe3O4疎水性粒子は、例えば官能化Al2O3疎水性粒子よりも強く埋め込まれていない比較的大きな凝集体を基材上に形成することが理解される。したがって、官能化Fe3O4疎水性粒子は、官能化Al2O3疎水性粒子よりも容易に除去される。しかしながら、それは、官能化Fe3O4疎水性粒子を組み込んだ実施形態が商業的に実行可能ではないということではない。超音波処理テストは、疎水性粒子と基材の間の結合の程度を調べるために、非常に破壊的な環境を再現しようとしているだけである。疎水性フィルムは、通常の使用でこのような非常に破壊的な環境を経験する可能性は低い。
【0088】
実施例5~実施例9
エポキシ樹脂による官能化Al2O3粒子と基材の結合を実施例5~実施例9で検討した。
【0089】
実施例5では、官能化Al2O3粒子:エポキシ樹脂の質量比が約8.6:1.0となるように、0.08gのエポキシ樹脂を、実施例1に記載の官能化Al2O3粒子0.66gに添加し、40mLのイソプロパノールに懸濁した。基材上への混合物の堆積は、前述のように、周囲温度でスプレーコーティングすることによって実施された。この懸濁液を基材上にスプレーコーティングすると、144.3°±4.3°のWCAを有するポリマーフィルムが得られた。
【0090】
実施例6~実施例9では、官能化Al2O3粒子とエポキシ樹脂との比率が調整された。
【0091】
実施例5~実施例9のポリマーフィルムに対する官能化Al2O3粒子とエポキシ樹脂の比率ならびに対応するWCAを表1に要約する。表1はまた、イソプロパノール中で約10分間超音波処理した後のポリマーフィルムのWCAを示す。
【0092】
表1 官能化Al
2O
3粒子とエポキシ樹脂の比率の作用(function)としての超音波処理前後の水接触角(°)
【表1】
【0093】
実施例5~実施例9のすべてが高いWCAを達成したが、官能化Al2O3粒子とエポキシ樹脂の比率が約1.0:1.0(つまり、149.0±7.8°)~約2.0:1.0(すなわち、149.9±1.1°)、例えば、1.5:1.0(すなわち、150.7±1.2°)のときに、最高の疎水性を備えたポリマーフィルムが作成されたことは明らかである。
【0094】
さらに、実施例3と同様に、実施例5~実施例9のWCAは、超音波処理後に大きく変化しなかったことは明らかである。これは、エポキシ樹脂内に官能化Al2O3疎水性粒子が強く埋め込まれていることを示しているように思われる。
【0095】
実施例10~実施例14
エポキシ樹脂による官能化Fe3O4粒子と基材の結合を実施例10~実施例14で検討した。基材を、実施例2に記載のエポキシ樹脂と官能化Fe3O4粒子の混合物でコーティングした。これらの実施例では、エポキシ樹脂は、官能化Fe3O4粒子懸濁液に添加された。基材上への混合物の堆積は、前述のように、周囲温度でのスプレーコーティングすることによって実施された。
【0096】
実施例10~実施例14のポリマーフィルムに対する官能化Fe3O4粒子とエポキシ樹脂の比率および対応するWCAを表2に要約する。表2はまた、イソプロパノール中で約10分間超音波処理した後のポリマーフィルムのWCAを示す。
【0097】
表2 官能化Fe
3O
4粒子とエポキシ樹脂の比率の作用(function)としての超音波処理前後の水接触角(°)
【表2】
【0098】
実施例5~実施例9と比較すると、実施例10~実施例14のWCAはそれほど高くない。しかしながら、エポキシ樹脂に対する官能化Fe3O4粒子の比率を増やすと、WCAが増加するという明らかな傾向がある。したがって、官能化Fe3O4粒子とエポキシ樹脂の比が15:1を超える実施形態では、WCAが140°を超える可能性があると考えられる。
【0099】
要約すると、本発明は、2~40個の炭素原子の炭化水素鎖を有する金属酸化物コアを含む疎水性粒子を熱可塑性フィルムなどの基材に付着させることによって改善されたセルフクリーニング特性を有するポリマーフィルムに関するものである。これらのポリマーフィルムの表面エネルギーは非常に低く、非毒性であることが見出された。したがって、ポリマーフィルムは、食品および液体包装を含む幅広い用途に用いることができる。ポリマーフィルムはまた、疎水性を改善するために、ガラス、プラスチック、または布地シートに積層することができることが想定されている。
【0100】
ポリマーフィルムの異なる領域でWCAを調整することが有用となる場合がある。いくつかの実施形態において、ポリマーフィルムは、関連するWCA測定値を有する第1の領域と関連する測定値を有する第2の領域とを有し、これにより第1と第2の領域のWCA測定値が異なるものであってよい。これを達成できる1つの方法は、第1及び第2の領域に堆積する疎水性粒子の濃度を変えることである。例えば、4重量%のAl2O3疎水性粒子の溶液を、第1領域に堆積させることができ、2重量%のAl2O3疎水性粒子の溶液を、第2の領域に堆積させることができる。したがって、第1の領域は、高濃度のAl2O3疎水性粒子のために、第2の領域よりも高いWCAを有するであろう。
【0101】
本明細書で使用される場合、「炭化水素鎖」という用語は、その通常の意味、すなわち、完全に水素および炭素からなる分子を有することを意図している。
【0102】
代表的な構成は、以下の条項に記載されており、これらは、独立しているか、または任意の組み合わせで、本明細書の本文および/または図面に開示されている1つまたは複数の構成と組み合わせることができる。
【0103】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語およびそれらの変形は、指定された構成、ステップ、または整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の構成、ステップ、または構成要素の存在を除外するものと解釈されるべきではない。
【0104】
必要に応じて、特定の形態で、または開示された機能を実行するための手段、または開示された結果を達成するための方法またはプロセスの観点から表現された、前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示された構成は、別々に、またはそのような構成の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用することができる。
【0105】
本発明の特定の例示的な実施形態が説明されてきたが、添付の特許請求の範囲は、これらの実施形態のみに限定されることを意図するものではない。特許請求の範囲は、文字通り、目的にかなって、および/または均等物を包含するように解釈されるべきである。
<付記>
項1
疎水性粒子で少なくとも部分的にコーティングされている基材を含むポリマーフィルムであって、前記疎水性粒子は、
金属酸化物コアと、
2~40個の炭素原子を有する炭化水素鎖とを含み、
前記炭化水素鎖は、前記金属酸化物コアに化学的に結合している、ポリマーフィルム。
項2
前記疎水性粒子の平均直径は、約200nm以下である、項1に記載のポリマーフィルム。
項3
前記疎水性粒子の平均直径は、約50nm以下である、項2に記載のポリマーフィルム。
項4
前記疎水性粒子の平均直径は、約8nm~約20nmである、項3に記載のポリマーフィルム。
項5
前記金属酸化物コアは、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、および酸化ケイ素のうちの1つまたはそれらの組み合わせを含む、項1~4のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項6
前記炭化水素鎖は脂肪族である、項1~5のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項7
前記炭化水素鎖は、直鎖または分岐である、項1~6のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項8
前記炭化水素鎖は、6~32個の炭素を有する、項1~7のいずれか項に記載のポリマーフィルム。
項9
前記炭化水素鎖は、6~24個の炭素を有する、項8に記載のポリマーフィルム。
項10
前記炭化水素鎖は、官能基を介して前記金属酸化物コアに共有結合している、項1~9のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項11
前記官能基は、ヒドロキシド、カルボキシラート、ホスホナート、ホスフィナート、チオラート、およびチオカルボキシラートのいずれか1つまたは組み合わせを含む、項10に記載のポリマーフィルム。
項12
前記疎水性粒子はフッ素を含まない、項1~11のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項13
前記基材は熱可塑性フィルムを含む、項1~12のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項14
前記熱可塑性フィルムは、ポリオレフィン、ビニルポリマー、またはポリアセタールフィルムを含む、項13に記載のポリマーフィルム。
項15
前記基材は、共押出しされた二層または多層フィルムを含む、項1~14のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
求項16
前記疎水性粒子は、前記基材に少なくとも部分的に埋め込まれている、項1~15のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項17
前記疎水性粒子および前記基材は、接着剤によって互いに固定されている、項1~15のいずれか一項に記載のポリマーフィルム。
項18
前記疎水性粒子および前記接着剤の質量比は、約1.0:1.0~約2.0:1.0である、項17に記載のポリマーフィルム。
項19
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムの、食品包装フィルムとしての使用。
項20
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている表面を含む、食品または液体容器。
項21
前記表面が、金属、合金、プラスチック、厚紙及び/又はガラスを含む、項20に記載の食品または液体容器。
項22
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている、ガラスシート。
項23
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている、プラスチックシート。
項24
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている、布地シート。
項25
項1~18のいずれか一項に記載のポリマーフィルムで少なくとも部分的にコーティングされている、衣服またはフットウェアの物品。