(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20240521BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20240521BHJP
G01G 17/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
G01G19/387 D
B25J13/08 Z
G01G17/00 C
(21)【出願番号】P 2019175388
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(72)【発明者】
【氏名】北條 正晃
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-145773(JP,A)
【文献】特開2012-240182(JP,A)
【文献】特開2017-019100(JP,A)
【文献】特開2018-192543(JP,A)
【文献】特開2019-086398(JP,A)
【文献】特開2019-025646(JP,A)
【文献】特許第6438525(JP,B1)
【文献】特開2013-003102(JP,A)
【文献】特開2010-286251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166696(US,A1)
【文献】特開2017-095282(JP,A)
【文献】特開2018-153884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0333749(US,A1)
【文献】特開平11-292276(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189274(US,A1)
【文献】特開平07-032284(JP,A)
【文献】特開2003-200906(JP,A)
【文献】特表2017-527505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
B25J 1/00-21/02
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に取り付けられ、前記容器内の物品群から一部の物品を把持する
複数の把持部と、
複数の前記把持部が把持した物品の重量値
それぞれを計量する
複数の計量部と、
前記把持部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の前記把持部のうち、いずれかの把持部の動作状態および当該把持部に対応する前記計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、前記所定条件に該当する把持部が把持した物品を前記排出先に排出させずに前記容器に戻す、
計量装置。
【請求項2】
容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に取り付けられ、前記容器内の物品群から一部の物品を把持する複数の把持部と、
複数の前記把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する複数の計量部と、
前記把持部の動作を制御する制御部と、
前記把持部から排出される物品を受け取り排出する排出シュート
と、
を備え、
前記制御部は、複数の前記把持部それぞれが把持した物品の重量値を用いて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる組合せを選択し、
さらに前記制御部は、複数の前記把持部のうち、少なくともいずれかの把持部に対応する前記計量部の計量結果が所定条件に該当すると判断した場合、前記所定条件に該当する前記把持部が把持する物品を前記容器に戻し、その後、前記所定条件に該当しない前記把持部が把持する物品を前記排出シュートに排出させる、
計量装置。
【請求項3】
前記所定条件は、前記計量部が計量した前記物品の重量値が予め設定される目標重量値ではないこと、を含む、
請求項1又は請求項2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記所定条件は、前記把持部による前記物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、を含む、
請求項1又は請求項2に記載の計量装置。
【請求項5】
前記所定条件は、前記把持部による前記物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、を含む、
請求項1又は請求項2に記載の計量装置。
【請求項6】
前記把持部は前記物品を掴む少なくとも2つの爪を有し、
前記動作量は、前記2つの爪の開度である、
請求項
4又は請求項
5に記載の計量装置。
【請求項7】
前記所定条件は、前記計量結果が前記目標重量値となる組合せに選択されなかったこと、を含む、
請求項
2に記載の計量装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記目標重量値となる組合せがない場合は、全ての前記把持部が把持する前記物品を前記容器に排出させる、
請求項
7に記載の計量装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記把持部が把持した前記物品を前記容器に戻す際に、前記把持部と前記容器とを相対移動させる、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項10】
前記容器は、互いに直交する水平な第1方向と第2方向に移動可能であり、
前記制御部は、前記把持部が把持した前記物品を前記容器に戻す際に、前記把持部と前記容器とを前記第1方向および前記第2方向のいずれか一方に相対移動させる、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項11】
前記把持部及び前記容器の少なくとも一方は、鉛直軸周りに回転可能であり、
前記制御部は、前記把持部と前記容器とを、平面視で所定相対角度回転させる、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の計量装置。
【請求項12】
容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、
前記容器内の物品群から一部の物品を把持する
複数の把持部と、
複数の前記把持部が把持した物品の重量値
それぞれを計量する
複数の計量部と、
前記把持部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の前記把持部それぞれが把持した物品の重量値を用いて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる組合せを選択し、
さらに前記制御部は、
複数の前記把持部の動作状態および前記計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、
前記所定条件に該当する前記把持部が把持した物品を目標となる前記排出先に排出させずに前記容器に戻し、前記所定条件に該当しない前記把持部が把持する物品を前記排出先に排出させる、計量装置。
【請求項13】
前記容器は、互いに直交する水平な第1方向と第2方向のいずれか一方に移動可能である、
請求項
12に記載の計量装置。
【請求項14】
容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、
前記容器内の物品群から一部の物品を把持する複数の把持部と、
複数の前記把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する複数の計量部と、
前記把持部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の前記把持部のうち、いずれかの把持部の動作状態および当該把持部に対応する前記計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、前記所定条件に該当する把持部が把持した物品を前記排出先に排出させずに前記容器に戻す、
計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に収容されている物品群の物品を計量する計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
秤量して分配する装置として、例えば、特許文献1(特開平6-3182号公報)に、製品の一部分を把持して取り去る把持手段および、製品の一部分の重量を記録する秤量手段が各々に備えられている複数の採集ユニットを有する装置が開示されている。
【0003】
当該装置は、分配手段と、所定の合計重量のために予めプログラムされているコンピュータをさらに備え、把持手段により把持された物品の重量を秤量手段により計測し、計測した重量値に基づき、組合せ計量を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記装置では、物品が食材のようなこぼれ易いものの場合、組合せに参加しない把持手段から食材が落下する虞があり、かかる場合、落下した食材が組合せ計量後の食材と混ざり、計量精度を低下させる。
【0005】
本発明の課題は、把持手段から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことを抑制した計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係る計量装置は、容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、ロボットアームと、複数の把持部と、複数の計量部と、制御部とを備えている。複数の把持部は、ロボットアームの先端に取り付けられ、容器内の物品群から一部の物品を把持する。複数の計量部は、複数の把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する。制御部は、複数の把持部のうち、いずれかの把持部の動作状態および当該把持部に対応する計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、当該所定条件に該当する把持部が把持した物品を排出先に排出させずに容器に戻す。
【0007】
この計量装置では、「所定条件に該当する場合、把持部が把持した物品を目標となる排出先に排出せずに容器に戻す」という制御を行うことによって、把持部が「排出すべきでない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。
【0008】
本発明の第2観点に係る計量装置は、容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、ロボットアームと、複数の把持部と、複数の計量部と、制御部と、排出シュートとを備えている。複数の把持部は、ロボットアームの先端に取り付けられ、容器内の物品群から一部の物品を把持する。複数の計量部は、複数の把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する。排出シュートは、把持部から排出される物品を受け取り排出する。制御部は、複数の把持部それぞれが把持した物品の重量値を用いて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる組合せを選択する。さらに制御部は、複数の把持部のうち、少なくともいずれかの把持部に対応する計量部の計量結果が所定条件に該当すると判断した場合、当該所定条件に該当する把持部が把持する物品を容器に戻し、その後、所定条件に該当しない把持部が把持する物品を排出シュートに排出させる。
【0009】
本発明の第3観点に係る計量装置は、第1観点又は第2観点に係る計量装置であって、所定条件は、計量部が計量した物品の重量値が予め設定される目標重量値ではないこと、を含む。
【0010】
この計量装置では、把持部が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0011】
本発明の第4観点に係る計量装置は、第1観点又は第2観点に係る計量装置であって、所定条件は、把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、を含む。
【0012】
ここで、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」を具体的に説明する。例えば、把持部が複数の把持部材で物品を挟んで持つ場合、目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円と、目標重量値の上限値と一致する物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円と、によって囲まれた範囲は、目標重量値を満たす所定範囲である。
【0013】
したがって、目標重量値の上限値を超える物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲よりも外側に位置する。つまり、各把持部材の到達位置(座標)が目標重量値の上限値と一致する物品を挟んだ把持部材の到達位置(座標)よりも外側にあることを意味する。
【0014】
かかる場合、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」と判断する。
【0015】
一方、把持部材の把持動作開始時が全開状態である場合において、把持する物品の重量値が目標重量値よりも大きいときは、把持部材の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも小さくなる。このように、把持部材の全開状態を基準にして、動作量を「変位」で考えた場合、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。
【0016】
この計量装置では、把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいということは、その物品の重量値が目標重量値ではないことを意味する。それゆえ、把持部が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0017】
本発明の第5観点に係る計量装置は、第1観点又は第2観点に係る計量装置であって、所定条件は、把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、を含む。
【0018】
ここで、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」を具体的に説明する。例えば、把持部が複数の把持部材で物品を挟んで持つ場合、目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円と、目標重量値の上限値と一致する物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円と、によって囲まれた範囲は、目標重量値を満たす所定範囲である。
【0019】
したがって、目標重量値の下限値未満の物品を挟んだときの各把持部材に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲よりも内側に位置する。つまり、各把持部材の到達位置(座標)が目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだ把持部材の到達位置(座標)よりも内側にあることを意味する。
【0020】
かかる場合、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」と判断する。
【0021】
一方、把持部材の把持動作開始時が全開状態である場合において、把持する物品の重量値が目標重量値よりも小さいときは、把持部材の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも大きくなる。
【0022】
このように、把持部材の全開状態を基準にして、動作量を「変位」で考えた場合、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。
【0023】
この計量装置では、把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいということは、その物品の重量値が目標重量値ではないことを意味する。それゆえ、把持部が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0024】
本発明の第6観点に係る計量装置は、第4観点又は第5観点に係る計量装置であって、把持部が、物品を掴む少なくとも2つの爪を有している。動作量は、2つの爪の開度である。
【0025】
例えば、目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだときの各爪に対する最小内接円と、目標重量値の上限値と一致する物品を挟んだときの各爪に対する最小内接円と、によって囲まれた範囲は、目標重量値を満たす所定範囲である。
【0026】
したがって、目標重量値の上限値を超える物品を挟んだときの各爪に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲よりも外側に位置する。つまり、各爪の到達位置(座標)が、目標重量値の上限値と一致する物品を挟んだ爪の到達位置(座標)よりも外側にあることを意味する。かかる場合、「2つの爪の開度が所定範囲よりも大きい」と判断する。
【0027】
これに対し、目標重量値の下限値未満の物品を挟んだときの各爪に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲よりも内側に位置する。つまり、各爪の到達位置(座標)が目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだ爪の到達位置(座標)よりも内側にあることを意味する。かかる場合、「2つの爪の開度が所定範囲よりも小さい」と判断する。
【0028】
一方、2つの爪の把持動作開始時が全開状態である場合において、把持する物品の重量値が目標重量値よりも大きいときは、爪の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも小さくなる。このように、爪の全開状態を基準にして、動作量を「変位」で考えた場合、「爪による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。
【0029】
他方、2つの爪の把持動作開始時が全開状態である場合において、把持する物品の重量値が目標重量値よりも小さいときは、爪の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも大きくなる。
【0030】
このように、爪の全開状態を基準にして、動作量を「変位」で考えた場合、「爪による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。
【0031】
この計量装置では、2つの爪の開度が所定範囲よりも大きいということが、その物品の重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。また、2つの爪の開度が所定範囲よりも小さいということが、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。それゆえ、把持部が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0032】
本発明の第7観点に係る計量装置は、第2観点に係る計量装置であって、所定条件は、計量結果が目標重量値となる組合せに選択されなかったこと、を含む。
【0033】
この計量装置では、組合せに選択されなかった把持部が把持する物品を容器に戻してから、組合せに選択された把持部が把持する物品を排出シュートに排出させるので、組合せに選択されなかった把持部が把持する物品が把持部から零れ落ちて排出シュートに排出されることがなく、計量精度の向上を図ることができる。
【0034】
本発明の第8観点に係る計量装置は、第7観点に係る計量装置であって、制御部は、目標重量値となる組合せがない場合は、全ての把持部が把持する物品を容器に排出させる。
【0035】
本発明の第9観点に係る計量装置は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る計量装置であって、制御部は、把持部が把持した物品を容器に戻す際に、把持部と容器とを相対移動させる。
【0036】
この計量装置では、前回の物品を掴んだ場所に戻した場合、次に物品を掴んだときに適量が得られる可能性が低いので、把持部と容器とを相対移動させ、物品を戻す場所をずらすことによって、適量の物品を掴む可能性を高める。
【0037】
本発明の第10観点に係る計量装置は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る計量装置であって、容器が、互いに直交する水平な第1方向と第2方向に移動可能である。制御部は、把持部が把持した物品を容器に戻す際に、把持部と容器とを第1方向および第2方向のいずれか一方に相対移動させる。
【0038】
この計量装置では、把持部と容器との位置関係を平面座標で把握した上で物品を容器に戻すので、容器内の物品の分布を均すような物品の戻し方が可能となる。
【0039】
本発明の第11観点に係る計量装置は、第1観点から第8観点のいずれか1つに係る計量装置であって、把持部および容器の少なくとも一方が、鉛直軸周りに回転可能である。制御部は、把持部と容器とを、平面視で所定相対角度回転させる。
【0040】
本発明の第12観点に係る計量装置は、容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、複数の把持部と、複数の計量部と、制御部とを備えている。複数の把持部は、容器内の物品群から一部の物品を把持する。複数の計量部は、複数の把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する。制御部は、把持部の動作を制御する。また、制御部は、複数の把持部それぞれが把持した物品の重量値を用いて組合せ計算を行い、予め設定された目標重量値となる組合せを選択する。さらに制御部は、把持部の動作状態および計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、所定条件に該当する把持部が把持した物品を目標となる排出先に排出させずに容器に戻し、所定条件に該当しない把持部が把持する物品を排出先に排出させる。
【0041】
この計量装置では、把持した物品のうち、排除すべきでない物品が誤って排除されることを防ぎ、適切な物品を排出することができる。
【0042】
本発明の第13観点に係る計量装置は、第12観点の計量装置であって、容器が、互いに直交する水平な第1方向と第2方向のいずれか一方に移動可能である。
【0043】
本発明の第14観点に係る計量装置は、容器に収容されている物品群の物品を計量し、所定の排出先に排出させる計量装置であって、複数の把持部と、複数の計量部と、制御部とを備えている。複数の把持部は、容器内の物品群から一部の物品を把持する。複数の計量部は、複数の把持部が把持した物品の重量値それぞれを計量する。制御部は、複数の把持部のうち、いずれかの把持部の動作状態および当該把持部に対応する計量部の計量結果の少なくとも一つが所定条件に該当すると判断した場合、当該所定条件に該当する把持部が把持した物品を排出先に排出させずに容器に戻す。
【0044】
この計量装置では、「所定条件に該当する場合、把持部が把持した物品を目標となる排出先に排出せずに容器に戻す」という制御を行うことによって、把持部が「排出すべきでない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。
【発明の効果】
【0045】
本発明に係る計量装置では、「所定条件に該当する場合、把持部が把持した物品を目標となる排出先に排出せずに容器に戻す」という制御を行うことによって、把持部が「排出すべきでない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持部から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の一実施形態に係る計量装置の模式図。
【
図3】
図1の計量装置のロボット、可動部材、計量部及び把持器の概略斜視図。
【
図4】
図1の計量装置の可動部材、計量部及び把持器の概略斜視図。
【
図5A】
図1の計量装置の把持器が取り付けられた可動部材を、把持器の把持部材側から見た底面図。
【
図5B】
図5Aの把持器の1つについて、その把持器の把持部材を下方から見た底面図であり、物品を把持する前又は物品の把持を解除した状態の、遠隔位置に位置している把持部材を描画している図。
【
図5C】
図5Aの把持器の1つについて、その把持器の把持部材を下方から見た底面図であり、物品を把持する際の、近接位置に位置している把持部材を描画している図。
【
図5D】目標重量値の下限値と一致する仮想物品を挟む3つの把持部材を、把持部材の先端側から視たときの平面図。
【
図5E】目標重量値の上限値と一致する仮想物品を挟む3つの把持部材を、把持部材の先端側から視たときの平面図。
【
図5F】目標重量値の上限値を超える仮想物品を挟む3つの把持部材を、把持部材の先端側から視たときの平面図。
【
図5G】目標重量値の下限値未満の仮想物品を挟む3つの把持部材を、把持部材の先端側から視たときの平面図。
【
図6A】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、把持器が物品を把持する前の状態(初期状態)を描画している図。
【
図6B】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、物品の把持のため、把持器の把持部材が物品群に差し込まれた状態を描画している図。
【
図6C】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、物品を把持した把持器の把持部材が、物品群収容容器外に移動した状態を描画している図。
【
図6D】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、組合せに選択されなかった重量値に対応する把持器が物品を物品群収容容器に投下した状態を描画している図。
【
図6E】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、戴置部が第2位置に移動した状態を描画している図。
【
図6F】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、把持器が物品の排出のためシュートの近傍に移動した状態を描画している図。
【
図6G】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、把持器の一部が物品をシュートに投下した状態を描画している図。
【
図6H】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、把持器が鉛直上方に移動した状態を描画している図。
【
図6I】
図1の計量装置の動作を説明するための計量装置の主要部分の概略側面図であり、戴置部が第1位置に移動した状態を描画している図。
【
図7A】第1実施形態に係る計量装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図7B】第1実施形態の変形例に係る計量装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図8A】第2実施形態に係る計量装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図8B】第2実施形態の変形例に係る計量装置の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0048】
<第1実施形態>
(1)計量装置100の構成
図1は、計量装置100の模式図である。また、
図2は、計量装置100のブロック図である。
図1及び
図2において、計量装置100は、物品Aの集まりである物品群A1から一部の物品Aを取り出して排出する装置である。
【0049】
具体的には、計量装置100は、物品群A1から、重量が目標重量範囲となるように一部の物品Aを取り出して排出する。計量装置100が排出する物品Aは、例えば、計量装置100の後工程で袋に包装されたり、或いは、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0050】
計量装置100は、ロボットアーム10と、可動部材20と、把持器30と、計量部40と、戴置部50と、戴置部駆動部54と、排出シュート60と、制御部70とを備えている。制御部70は、各種演算を行うと共に、計量装置100の各部の動作を制御する。
【0051】
戴置部50には、物品群A1が戴置される。物品Aは、例えば、食品である。また、物品Aは、例えば、スパゲティ等の麺類や、糖類を多く含む食品等の、粘着性の高い食品である。
【0052】
戴置部50は、戴置部駆動部54により、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1の物品Aを把持する第1位置と、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1から物品Aを把持しない第2位置との間を移動させられる。
【0053】
各把持器30は、物品Aを把持する把持部材32を有する。可動部材20には、把持器30が取り付けられている。本実施形態では、可動部材20には、複数の把持器30が取り付けられている。
【0054】
ロボットアーム10は、把持器30が取り付けられている可動部材20を移動させる。計量部40は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を計量する。排出シュート60は、把持器30が把持を解除した物品Aを受けて排出する。
【0055】
制御部70は、戴置部駆動部54、把持部材駆動機構34及びロボットアーム10を含む計量装置100の各種構成の動作の制御や、計量部40の計量した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0056】
制御部70は、ロボットアーム10の動作を制御して可動部材20を移動させ、把持器30を、物品群A1の戴置されている第1位置に置かれた戴置部50へと近づける。制御部70は、各把持器30の把持部材駆動機構34をそれぞれ制御して、戴置部50に戴置された物品群A1の物品Aの一部を、各把持器30の把持部材32に把持させる。
【0057】
各計量部40は、その計量部40に対応する把持器30が把持する物品Aの重量値を計量する。制御部70は、各計量部40の計量した把持器30の把持する物品Aの重量値に基づいて組合せ計算を行う。
【0058】
組合せ計算は、把持器30のそれぞれが把持する物品Aの重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける処理である。制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30の把持部材32に、排出シュート60の上方で物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から目標重量範囲の物品Aを排出させる。
【0059】
(2)詳細構成
図3は、ロボットアーム10、可動部材20、計量部40及び把持器30の概略斜視図である。また、
図4は、可動部材20、計量部40及び把持器30の概略斜視図である。さらに、
図5Aは、把持器30が取り付けられた可動部材20を、把持器30の把持部材32側(下方)から見た底面図である。
図5B、及び
図5Cは、
図5Aの把持器30の1つについて、その把持器30の把持部材32を下方から見た底面図である。
【0060】
(2-1)可動部材20
可動部材20は、把持器30が取り付けられている部材である。本実施形態では、可動部材20には、複数の把持器30が取り付けられている。可動部材20は、把持器30を支持するフレームである。可動部材20は、ロボットアーム10により移動させられる部材である。
【0061】
なお、「把持器30が可動部材20に取り付けられている」という記載は、把持器30が可動部材20に直接取り付けられる態様だけを表すものではなく、把持器30が他の部材を介して可動部材20に取り付けられている態様も含む。本実施形態では、
図4に示すように、把持器30は、計量部40のセンサ部42を介して可動部材20に取り付けられている。
【0062】
(2-2)ロボットアーム10
ロボットアーム10は、可動部材20を支持し、可動部材20を移動させる装置である。本実施形態では、ロボットアーム10は、可動部材20を単一軸に沿って移動させる。具体的には、ロボットアーム10は、可動部材20を、鉛直方向に延びる単一軸に沿って上下に移動させる。
【0063】
本実施形態では、ロボットアーム10は、
図1に示すような多関節ロボットである。ただし、ロボットアーム10の種類は、多関節ロボットに限定されない。ロボットアーム10は、所定の方向に可動部材20を移動させることが可能な装置であればよい。
【0064】
また、計量装置100は、ロボットアーム10に代えて、可動部材20を所定の方向に移動させることが可能なシリンダを有してもよい。例えば、計量装置100は、ロボットアーム10に代えて、可動部材20を単一軸に沿って移動させることが可能なシリンダを有してもよい。
【0065】
(2-3)把持器30
把持器30は、物品Aを把持する装置である。各把持器30は、把持部材32と、把持部材32を駆動する駆動機構としての把持部材駆動機構34と、を有する。把持部材駆動機構34は、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持部材32を駆動する。
【0066】
本実施形態では、把持部材32は、
図4に示すように、棒状又は指状の部材である。各把持器30は、複数(例えば、3本)の把持部材32を有する。なお、
図4等に描画されている把持部材32の数や形状は例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0067】
本実施形態では、
図5Aに示すように、各把持器30を把持部材32側から見たとき、複数の把持部材32は周方向に並べて配置されている。また、各把持器30の把持部材32側から見たときに、複数の把持部材32は周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。さらに、各把持器30を把持部材32側から見たときに、把持部材32は径方向に移動可能である。
【0068】
また、
図5Bおよび
図5Cに示すように、把持器30は、互いに離れた状態にある把持部材32を、把持部材駆動機構34で径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることによって、複数の把持部材32の間に物品Aを挟み込んで物品Aを把持する。
【0069】
さらに、把持器30は、互いに近づいた状態にある把持部材32を、把持部材駆動機構34で径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることによって、物品Aの把持を解除する。
【0070】
図3、
図4及び
図5Aのように、複数の把持器30が可動部材20に取り付けられている。各把持器30は、計量部40のセンサ部42を介して、可動部材20に取り付けられている。計量部40のセンサ部42は、把持器30と、これを支持する可動部材20との間に配置されている。
【0071】
図3、
図4及び
図5Aに示す例では、11個の把持器30が可動部材20に取り付けられているが、一例であって、把持器30の数を限定するものではない。可動部材20に取り付けられた複数の把持器30は、ロボットアーム10が可動部材20を上下に移動させることで、一体的に上下に移動する。
【0072】
図5Aに示すように、各把持器30は、可動部材20に取り付けられた把持器30を把持部材32側から見ると略円形状を有する。本実施形態では、把持器30は、可動部材20に取り付けられた把持器30を把持部材32側から見たとき、概ね千鳥状に配置されている。但し、その配置は一例であって、千鳥状の配置に限定するものではない。
【0073】
(2-4)計量部40
計量装置100では、各把持器30に対して、1台の計量部40が設けられる。計量部40は、対応する把持器30の把持部材32が把持している物品Aの重量値を計量する。
【0074】
各計量部40は、センサ部42と、図示しない制御部と、を含む。各把持器30は、
図4に示すように、センサ部42を介して可動部材20に取り付けられている。センサ部42は、力センサと、加速度センサとを含む。力センサとして、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサが採用される。
【0075】
計量部40の制御部は、物品Aを把持した状態の把持器30が可動部材20の移動に伴い移動させられるとき、センサ部42で計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の把持している物品Aの質量を測定する。具体的には、計量部40の制御部は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持器30の把持している物品Aの質量を測定する。
【0076】
但し、計量部40は、把持器30の移動時に計測される力と加速度とに基づいて物品Aの質量を計量する方式に限定されるものではない。計量部40は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持器30が把持している物品Aの重量を計量するものであってもよい。
【0077】
(2-5)戴置部50及び戴置部駆動部54
戴置部50には、物品群A1が戴置される。具体的には、戴置部50は、物品A(物品群A1)が収容されている物品群収容容器52を含む。戴置部50では、戴置面52a(ここでは、物品群収容容器52の底面)に物品群A1が戴置されている。
【0078】
把持器30は、物品群収容容器52に収容されている物品群A1から、物品Aの一部を把持する。本実施形態では、物品群収容容器52は、上方が開いた直方体状の容器である。戴置部50は、物品群収容容器52の内部に収容される物品Aの量が減少すると、人又は機械が、内部の物品Aの量が減少した物品群収容容器52を、新たな(物品Aが多く収容されている)物品群収容容器52と交換可能に構成されている。
【0079】
なお、戴置部50は、物品群収容容器52が交換可能に構成される代わりに、物品群収容容器52に物品Aを供給するための物品供給機構を有してもよい。
【0080】
戴置部50は、戴置部駆動部54により、第1位置と、第2位置との間を移動する。戴置部駆動部54は、例えば、モータや流体圧を駆動源として、戴置部50を移動させる。第1位置は、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1の物品Aを把持する位置である。第2位置は、把持器30が戴置部50に戴置される物品群A1から物品Aを把持しない位置である。
【0081】
戴置部駆動部54は、戴置部50を、第1位置と第2位置との間で、可動部材20の移動方向と交差する方向に移動させる。本実施形態では、戴置部駆動部54は、戴置部50を、第1位置と第2位置との間で水平方向に移動させる。
【0082】
戴置部50の第1位置は、具体的には、把持器30の直下の位置である。戴置部50が第1位置にある時には、可動部材20がロボットアーム10により移動し、把持器30が戴置部50に対して所定の位置まで近づけられると、把持器30は戴置部50に戴置されている物品Aを把持することができる。また、戴置部50の第1位置は、排出シュート60の直上の位置である。
【0083】
一方、戴置部50の第2位置は、把持器30の直下を外れた位置である。本実施形態では、把持器30の取り付けられている可動部材20が鉛直方向にしか移動しないため、戴置部50が第2位置にある時には、把持器30は戴置部50に戴置されている物品Aを把持することができない。また、戴置部50の第2位置は、排出シュート60の直上を外れた位置である。
【0084】
(2-6)排出シュート60
排出シュート60は漏斗状の部材である。排出シュート60は、把持器30の直下に配置される。また、排出シュート60は、戴置部50が第1位置にあるとき、戴置部50の直下に配置される。言い換えれば、第1位置に位置する戴置部50は、把持器30と排出シュート60との間に配置される。
【0085】
一方、戴置部50が第2位置にあるとき、把持器30と排出シュート60との間には、戴置部50は存在しない。
【0086】
排出シュート60は、把持器30が把持を解除することで、把持器30から供給される物品Aを計量装置100の外に排出する。具体的には、排出シュート60は、戴置部50が第2位置に位置する時に、把持器30が把持を解除して落下させる物品Aを受けて計量装置100の外に排出する。
【0087】
(2-7)制御部70
制御部70は、図示を省略するCPUや、ROMやRAM等のメモリを有する。
図2に示すように、制御部70は、ロボットアーム10、把持部材駆動機構34、計量部40、戴置部駆動部54と電気的に接続されている。
【0088】
制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ロボットアーム10、把持部材駆動機構34、戴置部駆動部54等の計量装置100の各種構成の動作の制御や、計量部40の計量した物品Aの重量値を利用した組合せ計算等を行う。
【0089】
なお、制御部70の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0090】
(2-7-1)把持部材駆動機構34の動作の制御
制御部70は、把持部材駆動機構34の制御モードとして、第1制御モードと、第1制御モードとは異なる第2制御モードとを有する。
【0091】
第1制御モードでは、制御部70が、把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第1動作を実行させる。
【0092】
第1動作とは、把持部材32が、物品Aを把持し、その後に物品Aの把持を解除する動作である。ここでは、第1動作は、
図5Bに示すような互いに離れた位置にある複数の把持部材32が、径方向内向きに動き、
図5Cに示すような互いに近づいた位置に移動し、その後に再び、
図5Bに示すような互いに離れた位置に戻る、という一連の動作である。
【0093】
第2制御モードでは、制御部70は、把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。第2動作とは、把持部材32が、把持部材32に付着した付着物を除去する動作である。
【0094】
付着物は、例えば物品A自体や、物品Aに含まれている粘着性の物質等である。例えば、物品Aがスパゲティである場合、付着物は、麺又は具材や、スパゲティのソース等である。
【0095】
制御部70が、把持部材駆動機構34の制御モードとして第2制御モードを有することで以下のような効果が得られる。
【0096】
把持器30に対応する計量部40は、把持部材32が把持している物品Aの重量だけではなく、把持部材32に付着している付着物の重量も物品Aの重量として計量する。
【0097】
しかし、付着物は把持部材32が把持している物品Aではないため、把持部材32が物品Aの把持を解除しても、付着物は把持部材32から落下しないおそれがある。
【0098】
そのため、把持部材32に付着している付着物の重量が増加すると、把持器30の排出する物品Aの重量と、その把持器30と対応する計量部40が計量する物品Aの重量とは、乖離するおそれがある。
【0099】
また、逆に、落ちなかった付着物が、突然、排出シュート60へ落下して、計量精度を損なわせるおそれがある。
【0100】
さらに、付着物が把持部材32に長時間付着したままとなる状態は、衛生的に好ましくない。本実施形態では、制御部70が把持部材駆動機構34の制御モードとして第2制御モードを有し、把持部材32が把持部材32に付着した付着物を除去する第2動作を行うことで、この様な不具合を軽減することができる。
【0101】
把持部材32の第2動作は、第1動作と異なる動作である。なお、第1動作と第2動作とが異なるとは、第1動作における把持部材32の動きの態様と、第2動作における把持部材32の動きの態様とが異なる場合を含む。
【0102】
また、第1動作と第2動作とが異なるとは、把持部材32の動きの態様は同一で、第1動作と第2動作とで、把持部材32の動作速度及び動作の実行回数のいずれかが異なる場合を含む。
【0103】
把持部材32の第2動作の具体例を説明する。なお、以下で説明する一の例の把持部材32の第2動作の態様は、互いに矛盾のない範囲で他の例に係る第2動作の態様と適宜組み合わされてもよい。
【0104】
(a)把持部材32の第2動作の第1の例
説明の便宜上、
図5Bに描画されている複数の把持部材32の位置を遠隔位置と呼び、
図5Cに描画されている複数の把持部材32の位置を近接位置と呼ぶ。
【0105】
第1の例の把持部材32の第2動作は、第1動作と同様に、
図5Bのように互いに離れて遠隔位置に配置されている複数の把持部材32が、径方向内向きに動いて
図5Cのような近接位置へと移動し、その後に再び遠隔位置に戻る一連の動作である。
【0106】
ただし、第2動作時には、遠隔位置から近接位置へと把持部材32が移動する平均動作速度(以後、接近時速度という。)が、第1動作時の接近時速度より速い。これに加えて、又は、これに代えて、第2動作時には、近接位置から遠隔位置へと把持部材32が移動する平均動作速度(以後、離反時速度という。)が、第1動作時の離反時速度より速い。
【0107】
言い換えれば、第2動作時には、把持部材32の遠隔位置から近接位置への移動、及び/又は、把持部材32の近接位置から遠隔位置への移動が、第1動作時に比べて短時間で行われる。
【0108】
特に、本実施形態では、第2動作時の接近時速度及び離反時速度は、それぞれ、第1動作時の接近時速度及び離反時速度よりも速い。例えば、把持部材32の第2動作時の接近時速度及び離反時速度は、第1動作時の接近時速度及び離反時速度に比べて、2倍以上(さらに好ましくは、5倍以上)の高速である。
【0109】
また、第2動作時の、遠隔位置から近接位置へと把持部材32を移動させる際の把持部材32の最大加速度(以後、接近時加速度という。)は、第1動作時の接近時加速度より大きい。
【0110】
また、これに加えて、又は、これに代えて、第2動作時の、遠隔位置から近接位置へと把持部材32を移動させる際の把持部材32の最大減速度(減速の際の負の加速度の絶対値、以後、接近時減速度という。)は、第1動作時の接近時減速度より大きい。
【0111】
これに加えて、又は、これに代えて、第2動作時の、近接位置から遠隔位置へと把持部材32が移動させる際の把持部材32の最大加速度(以後、離反時加速度という。)は、第1動作時の離反時加速度より大きい。また、これに加えて、又は、これに代えて、第2動作時の、近接位置から遠隔位置へと把持部材32を移動させる際の把持部材32の最大減速度(減速の際の負の加速度の絶対値、以後、接近時減速度という。)は、第1動作時の離反時加速度より大きい。
【0112】
例えば、把持部材32の第2動作時の接近時加速度及び離反時加速度は、第1動作時の接近時加速度及び離反時加速度に比べて、2倍以上(さらに好ましくは、5倍以上)である。また、把持部材32の第2動作時の接近時減速度及び離反時減速度は、第1動作時の接近時減速度及び離反時減速度に比べて、2倍以上(さらに好ましくは、5倍以上)である。
【0113】
(b)把持部材32の第2動作の第2の例
第1の例の把持部材32の第2動作は、第1動作と同様に、
図5Bに示すような互いに離れて遠隔位置に配置されている複数の把持部材32が、径方向内向きに動いて
図5Cに示すような近接位置へと移動し、その後に再び遠隔位置に戻る一連の動作である。
【0114】
ただし、第2動作時には、遠隔位置から近接位置へと又は近接位置から遠隔位置へと把持部材32を動作させる回数が、第1動作時より多い。例えば、第1動作時には、把持部材32が遠隔位置から近接位置に移動し再び遠隔位置に戻る一連の動作が1回実行される。これに対し、第2動作時には、把持部材が遠隔位置から近接位置に移動し再び遠隔位置に戻る一連の動作が複数回実行される。例えば、第2動作時には、把持部材32が一連の動作を2回以上(さらに好ましくは4回以上)実行する。
【0115】
(c)把持部材32の第2動作の第3の例
把持部材32は、第2動作時には、第1動作時のように遠隔位置と近接位置との範囲を移動しなくてもよい。例えば、把持部材32は、第2動作時には、第1動作時より狭い範囲で移動してもよい。例えば、第2動作時の把持部材32の移動量は、第1動作時の把持部材32の移動量の3/4以下(さらに好ましくは1/2以下)に設定される。また、限定するものではないが、例えば、第2動作時の把持部材32の移動量は、第1動作時の把持部材32の移動量の1/8以上に設定される。
【0116】
例えば、制御部70は、第2制御モードにおいて、以上の第1~第3の例の態様を組合せて、把持部材32が狭い区間を高速で複数回往復動するように把持部材駆動機構34を制御する。このような制御部70の制御により、把持部材32は、高速振動することとなる。把持部材32がこのような動作を行うことで、把持部材32に付着した付着物の除去が促進されやすくなる。
【0117】
なお、上記の第2動作の第1~第3の例の態様は、全て同時に組み合わせられる必要はなく、適宜組み合わせられればよい。例えば他の形態では、制御部70は、第2制御モードにおいて、把持部材32が第1動作と同一の動き(遠隔位置から近接位置へ移動し、再び遠隔位置へと戻る動き)を、1回だけ、高速で行うように、把持部材駆動機構34を制御してもよい。
【0118】
(3)計量装置1の動作
制御部70により制御される計量装置100の動作について、
図6A~
図6I及び
図7Aを参照しながら説明する。なお、ここでは、複数の把持器30を備えた計量装置1を例に説明するが、単一の把持器30を備えた計量装置に適用することができる。
【0119】
図6A~
図6Iは、
図1の計量装置100の動作を説明するための計量装置100の概略側面図である。
【0120】
図6A~
図6Iでは、可動部材20を移動させるロボットアーム10の描画を省略している。
図7Aは、第1実施形態に係る計量装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0121】
図6Aは、把持器30が物品Aを把持する前の初期状態を描画している。
図6Aにおいて、可動部材20は、把持器30の把持部材32が戴置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、所定位置に配置されている。戴置部50は、把持器30の直下の第1位置に配置されている。各把持器30の把持部材32は、
図5Bのように遠隔位置に配置されている。
【0122】
(ステップS1)
計量装置100の運転中には、制御部70は、初期状態から、ロボットアーム10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を戴置部50に近づける。
【0123】
具体的には、制御部70は、把持器30の把持部材32が物品群収容容器52内の物品Aを把持可能な所定位置に配置されるように、ロボットアーム10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる(
図6B参照)。
【0124】
より具体的には、制御部70は、把持部材32の少なくとも一部が物品群A1に差し込まれた状態になるように、ロボットアーム10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる。
【0125】
(ステップS2)
次に、ステップS2では、制御部70は、各把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に物品Aを把持させる。好ましくは、制御部70は、複数の把持器30に同時に物品Aを把持させる。ただし、これに限定されるものではなく、制御部70は、複数の把持器30に、異なるタイミングで物品Aを把持させてもよい。
【0126】
(ステップS3)
次に、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態で、ロボットアーム10を制御して、把持器30の把持部材32が戴置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、可動部材20を鉛直上方に移動させる(
図6C参照)。ロボットアーム10が可動部材20を鉛直上方に移動させる際、各計量部40は、対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0127】
(ステップS4)
次に、制御部70は、各把持器30の動作状態および計量部40の計量結果の少なくとも一つが、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに物品群収容容器52に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0128】
ここで、所定条件について説明する。この判定の主目的は、計量部40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではない、又は目標重量値ではないと推定される場合は、物品群収容容器52を移動させる前に物品群収容容器52に戻しておくことによって、誤って物品Aを排出シュート60に排出させてしまうことを防止しようとするものである。
【0129】
それゆえ、「所定条件に該当する」とは、
(1)計量部40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではないこと、
(2)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、
(3)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、
の少なくとも1つに該当することである。
【0130】
特に、条件(2)の場合、把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいということは、その物品Aの重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。
【0131】
図5Dは、目標重量値の下限値と一致する仮想物品を挟む3つの把持部材32を把持部材32の先端側から視たときの平面図である。
図5Dにおいて、円C1は、3つの把持部材32に対する最小内接円である。
【0132】
図5Eは、目標重量値の上限値と一致する仮想物品を挟む3つの把持部材32を把持部材32の先端側から視たときの平面図である。
図5Eにおいて、円C2は、3つの把持部材32に対する最小内接円である。そして、円C1と円C2とで囲まれた範囲は、目標重量値を満たす所定範囲Rである。
【0133】
図5Fは、目標重量値の上限値を超える仮想物品を挟む3つの把持部材32を把持部材32の先端側から視たときの平面図である。
図5Fにおいて、円Caは、円中心から視て所定範囲Rよりも外側に位置する。つまり、各把持部材32の到達位置(座標)が目標重量値の上限値と一致する仮想物品を挟んだ把持部材の到達位置(座標)よりも外側にあることを意味する。
【0134】
かかる場合、「把持部材32による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」と判断する。
【0135】
また、条件(3)の場合、把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいということは、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。
【0136】
図5Gは、目標重量値の下限値未満の仮想物品を挟む3つの把持部材32を把持部材32の先端側から視たときの平面図である。
図5Gにおいて、円Cbは、円中心から視て所定範囲Rよりも内側に位置する。つまり、各把持部材32の到達位置(座標)が目標重量値の下限値と一致する仮想物品を挟んだ把持部材32の到達位置(座標)よりも内側にあることを意味する。
【0137】
かかる場合、「把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」と判断する。
【0138】
なお、上記所定条件(2)および(3)のいずれかに該当するか否かの判断は、ステップS2完了時に行うことができるので、
図7Bに示すように、ステップS2とステップS3との間に、上記所定条件(2)および(3)に該当するか否かの判断を行うステップを設けてもよい。詳細は、後段の[(5)第1実施形態の変形例]において説明する。
【0139】
制御部70は、各把持器30の動作状態および計量部40の計量結果の少なくとも一つが、所定条件に該当していると判定したときはステップS5へ進み、該当していないと判定したときはステップS6へ進む。
【0140】
(ステップS5)
次に、制御部70は、上記所定条件(1)、(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる(
図6D参照)。
【0141】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0142】
把持器30の把持していた物品Aは、第1位置に配置されている戴置部50の物品群収容容器52へと落下し、物品群A1の物品Aとして再利用される。この時点で、上記所定条件に該当した把持器30の把持部材32は、第1動作を完了する。
【0143】
また、制御部70は、把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0144】
条件(1)、(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の物品Aを物品群収容容器52に戻すことによって、「重量値が目標重量値ではない物品A」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持器30から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0145】
(ステップS6)
次に、制御部70は、戴置部駆動部54を制御して、戴置部50を第1位置から第2位置へと移動させる(
図6E参照)。戴置部50が第2位置へと移動することで、把持器30と排出シュート60との間には戴置部50が配置されない状態となる。
【0146】
(ステップS7)
次に、制御部70は、ロボットアーム10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を排出シュート60に近づける(
図6F参照)。
【0147】
なお、物品によっては、この「近づける動作」を実行させる必要のないものもあり、かかる場合は、可動部材20を鉛直下方に移動させることなく、当該物品を落下させてもよい。
【0148】
(ステップS8)
次に、制御部70は、ステップ5で所定条件(1)、(2)および(3)のいずれにも該当しなかった把持器30に物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から物品Aを排出する(
図6G参照)。これら把持器30の把持部材32は、この時点で第1動作を完了する。
【0149】
また、制御部70は、把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0150】
(ステップS9)
物品Aの排出が終了すると、制御部70は、ロボットアーム10を制御して、可動部材20を元の位置へと戻す(
図6H参照)。
【0151】
(ステップS10)
次に、制御部70は、戴置部駆動部54を制御して、戴置部50を第2位置から、把持器30の直下の第1位置に戻す(
図6I参照)。
【0152】
(ステップS11)
そして、制御部70は、運転停止指令の有無を判定する。制御部70は、運転停止指令が有ると判定したときは制御を停止し、運転停止指令が無いと判定したときはステップS1へ戻る。
【0153】
ここで説明した計量装置100の動作は、一例に過ぎず、矛盾しない範囲で適宜変更可能である。
【0154】
また、例えば、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態でロボットアーム10を制御して、可動部材20を、
図6Bに描画されている位置から
図6Cに描画されている位置へと上方に移動させる際、可動部材20を1回以上下方に移動させるようにロボットアーム10を制御してもよい。
【0155】
また、把持器30が把持解除する際にも、上記のような可動部材20の上下動作により、把持部材32に付着している物品をふるい落とすことができる。把持部材32に付着している物品は、把持部材32に把持されておらず、把持部材32の動作によらず落下するおそれのある物品である。可動部材20を下方に移動させて把持部材32に付着している物品を予めふるい落としておくことで、計量部40の計量する物品Aの重量を、把持部材32が把持している物品Aの重量に近づけて計量精度を向上することができる。
【0156】
(4)第1実施形態の特徴
(4-1)
計量装置100では、制御部70は、把持器30の動作状態および計量部40の計量結果の少なくとも一つが、(1)計量部40が計量した物品Aの重量値が予め設定される目標重量値ではないこと、(2)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、(3)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、という条件のいずれかに該当する場合、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに物品群収容容器52に戻す。
【0157】
把持器30による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいということは、その物品の重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。
【0158】
例えば、3つの把持部材32で物品Aを挟んで持つ場合、目標重量値の下限値と一致する物品を挟んだときの各把持部材32に対する最小内接円と、目標重量値の上限値と一致する物品Aを挟んだときの各把持部材32に対する最小内接円と、によって囲まれた範囲は、目標重量値を満たす所定範囲Rである。
【0159】
したがって、目標重量値の上限値を超える物品Aを挟んだときの各把持部材32に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲Rよりも外側に位置する。つまり、各把持部材の到達位置(座標)が目標重量値の上限値と一致する物品Aを挟んだ把持部材32の到達位置(座標)よりも外側にあることを意味する。
【0160】
かかる場合、「把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲Rよりも大きい」と判断する。それゆえ、把持器30が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。
【0161】
また、把持器30による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいということは、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。
【0162】
例えば、目標重量値の下限値未満の物品Aを挟んだときの各把持部材32に対する最小内接円は、円中心から視て所定範囲Rよりも内側に位置する。つまり、各把持部材32の到達位置(座標)が目標重量値の下限値と一致する物品Aを挟んだ把持部材32の到達位置(座標)よりも内側にあることを意味する。
【0163】
かかる場合、「把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲Rよりも小さい」と判断する。
【0164】
それゆえ、把持器30が「重量値が目標重量値ではない物品」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持器30から物品Aが落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。また、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0165】
(4-2)
計量装置100では、把持器30による物品Aを持つ動作の動作量は、把持部材32の開度である。把持部材32の開度が所定範囲よりも大きいということが、その物品Aの重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。また、把持部材32の開度が所定範囲よりも小さいということが、その物品Aの重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。
【0166】
(5)第1実施形態の変形例
図7Bは、第1実施形態の変形例に係る計量装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
図7Bにおいて、本変形例と
図7Aとの違いは、ステップS2とステップS3との間に、ステップS2a、ステップS2bを挿入している点である。
【0167】
図7BのステップS1、S2、S3~S11は
図7Aと同じであるので説明は省略し、ここでは、新たに挿入したステップS2a、ステップS2bについて説明する。
【0168】
(ステップS2a)
ステップS2aにおいて、制御部70は、各把持器30の動作状態が、把持器30が把持した物品Aを排出シュート60に排出せずに物品群収容容器52に戻すための、所定条件に該当しているか否かを判定する。
【0169】
ここで、「所定条件に該当する」とは、第1実施形態のステップS4で説明した所定条件(1)~(3)のうち(1)を除いた
(2)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、
(3)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、
の少なくとも1つに該当することである。
【0170】
そもそも、ステップS2において、制御部70が把持部材32に物品Aを把持させた時点において、把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいか小さいかを判定することができるので、第1実施形態のように、制御部70が可動部材20を鉛直上方に移動させるまで待つ必要がない。
【0171】
制御部70は、各把持器30の動作状態が、上記所定条件(2)又は(3)に該当していると判定したときはステップS2bへ進み、該当していないと判定したときはステップS3へ進む。
【0172】
(ステップS2b)
次に、制御部70は、上記所定条件(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる(
図6D参照)。
【0173】
言い換えれば、制御部70は、重量値が目標重量値ではない物品Aを把持している把持器30があれば、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0174】
把持器30の把持していた物品Aは、第1位置に配置されている戴置部50の物品群収容容器52へと落下し、物品群A1の物品Aとして再利用される。この時点で、上記所定条件に該当した把持器30の把持部材32は、第1動作を完了する。
【0175】
また、制御部70は、把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0176】
条件(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の物品Aを物品群収容容器52に戻すことによって、「重量値が目標重量値ではない物品A」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持器30から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0177】
<第2実施形態>
第1実施形態では、定量把持する計量装置を前提に説明した。第2実施形態では、組合せ計量する組合せ計量装置について説明する。
【0178】
なお、第2実施形態に係る計量装置の構造は、第1実施形態に係る計量装置の構造をそのまま利用して、制御のみを異ならせるので、各部の詳細な説明は省略する。
【0179】
(1)計量装置100の動作
制御部70により制御される計量装置100の動作について、
図6A~
図6I及び
図8Aを参照しながら説明する。
【0180】
図8Aは、第2実施形態に係る計量装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
【0181】
図6Aにおいて、可動部材20は、把持器30の把持部材32が戴置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、所定位置に配置されている。戴置部50は、把持器30の直下の第1位置に配置されている。各把持器30の把持部材32は、
図5Bのように遠隔位置に配置されている。
【0182】
(ステップS101)
計量装置100の運転中には、制御部70は、初期状態から、ロボットアーム10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を戴置部50に近づける。
【0183】
具体的には、制御部70は、把持器30の把持部材32が物品群収容容器52内の物品Aを把持可能な所定位置に配置されるように、ロボットアーム10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる(
図6B参照)。
【0184】
より具体的には、制御部70は、把持部材32の少なくとも一部が物品群A1に差し込まれた状態になるように、ロボットアーム10の動作を制御し、可動部材20を鉛直下方に移動させる。
【0185】
(ステップS102)
次に、制御部70は、各把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に物品Aを把持させる。好ましくは、制御部70は、複数の把持器30に同時に物品Aを把持させる。ただし、これに限定されるものではなく、制御部70は、複数の把持器30に、異なるタイミングで物品Aを把持させてもよい。
【0186】
なお、第1実施形態における所定条件(2)および(3)のいずれかに該当するか否かの判断を、ステップS102完了時に行うことができるので、ステップS102とステップS103との間に、上記所定条件(2)および(3)に該当するか否かの判断を行うステップを設けてもよい。詳細は、後段の[(3)第2実施形態の変形例]において説明する。
【0187】
(ステップS103)
次に、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態で、ロボットアーム10を制御して、把持器30の把持部材32が戴置部50の物品群収容容器52の外に配置されるように、可動部材20を鉛直上方に移動させる(
図6C参照)。ロボットアーム10が可動部材20を鉛直上方に移動させる際、各計量部40は、対応する把持器30が把持する物品Aの重量を計量する。
【0188】
(ステップS104)
次に、制御部70は、各計量部40から計量した各把持器30が把持する物品Aの重量値を用いた組合せ計算を行い、その合計値が目標重量範囲となる重量値の組合せを見つける。
【0189】
(ステップS105)
次に、制御部70は、把持器30のうち組合せに選択されていない把持器30があるか否かを判定する。
【0190】
制御部70は、組合せに選択されていない把持器30があると判定したときはステップS6へ進み、組合せに選択されていない把持器30がと判定したときはステップS7へ進む。
【0191】
(ステップS106)
次に、制御部70は、把持している物品Aの重量が組合せに選ばれなかった把持器30があれば、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御し、第1動作によって、その把持器30に物品Aの把持を解除させる(
図6D参照)。
【0192】
把持器30の把持していた物品Aは、第1位置に配置されている戴置部50の物品群収容容器52へと落下し、物品群A1の物品Aとして再利用される。この時点で、組合せに選択されていない把持器30の把持部材32は、第1動作を完了する。
【0193】
また、制御部70は、物品Aの把持を解除した把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0194】
(ステップS107)
次に、制御部70は、戴置部駆動部54を制御して、戴置部50を第1位置から第2位置へと移動させる(
図6E参照)。戴置部50が第2位置へと移動することで、把持器30と排出シュート60との間には戴置部50が配置されない状態となる。
【0195】
(ステップS108)
次に、制御部70は、ロボットアーム10を制御して可動部材20を鉛直下方に移動させ、複数の把持器30を排出シュート60に近づける(
図6F参照)。
【0196】
(ステップS109)
次に、制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、排出シュート60の上方で目標重量範囲となる重量値の組合せに対応する把持器30に物品Aの把持を解除させ、排出シュート60から物品Aを排出する(
図6G参照)。組合せに選択された把持器30の把持部材32は、この時点で第1動作を完了する。
【0197】
また、制御部70は、物品Aの把持を解除した把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0198】
(ステップS110)
目標重量範囲となる重量値の組合せの全てに対して物品Aの排出が終了すると、制御部70は、ロボットアーム10を制御して、可動部材20を元の位置へと戻す(
図6H参照)。
【0199】
(ステップS111)
次に、制御部70は、戴置部駆動部54を制御して、戴置部50を第2位置から、把持器30の直下の第1位置に戻す(
図6I参照)。
【0200】
(ステップS112)
そして、制御部70は、運転停止指令の有無を判定する。制御部70は、運転停止指令が有ると判定したときは制御を停止し、運転停止指令が無いと判定したときはステップS1へ戻る。
【0201】
ここで説明した計量装置100の動作は、一例に過ぎず、矛盾しない範囲で適宜変更可能である。
【0202】
また、例えば、制御部70は、複数の把持器30が物品Aを把持した状態でロボットアーム10を制御して、可動部材20を、
図6Bに描画されている位置から
図6Cに描画されている位置へと上方に移動させる際、可動部材20を1回以上下方に移動させるようにロボットアーム10を制御してもよい。
【0203】
また、把持器30が把持解除する際にも、上記のような可動部材20の上下動作により、把持部材32に付着している物品をふるい落とすことができる。把持部材32に付着している物品は、把持部材32に把持されておらず、把持部材32の動作によらず落下するおそれのある物品である。可動部材20を下方に移動させて把持部材32に付着している物品を予めふるい落としておくことで、計量部40の計量する物品Aの重量を、把持部材32が把持している物品Aの重量に近づけて計量精度を向上することができる。
【0204】
(2)第2実施形態の特徴
(2-1)
計量装置100では、把持している物品Aの重量が組合せに選択されなかった把持器30があれば、組合せに選択されなかった把持器30が把持する物品Aを物品群収容容器52に戻してから、組合せに選択された把持器30が把持する物品Aを排出シュート60に排出させる。その結果、組合せに選択されなかった把持器30が把持する物品Aが把持器30から零れ落ちて排出シュート60に排出されることがなく、計量精度の向上を図ることができる。
【0205】
(2-2)
計量装置100では、制御部70は、目標重量値となる組合せがない場合は、全ての把持部が把持する物品を物品群収容容器52に排出させる。
【0206】
(3)第2実施形態の変形例
図8Bは、第2実施形態の変形例に係る計量装置100の動作を説明するためのフローチャートである。
図8Bにおいて、本変形例と
図8Aとの違いは、ステップS102とステップS103との間に、ステップS102a、ステップS102bを挿入している点である。
【0207】
図8BのステップS101、S102、S103~S112は
図8Aと同じであるので説明は省略し、ここでは、新たに挿入したステップS102a、ステップS102bについて説明する。
【0208】
(ステップS102a)
ステップS102aにおいて、制御部70は、把持器30のうち組合せに選択されていない把持器30があるか否かを判定する。
【0209】
ここで、「把持器30のうち組合せに選択されていない」とは、第1実施形態のステップS4で説明した所定条件(1)~(3)のうち(1)を除いた
(2)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいこと、
(3)把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さいこと、
の少なくとも1つに該当することである。
【0210】
そもそも、ステップS102において、制御部70が把持部材32に物品Aを把持させた時点において、把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいか小さいかを判定することができるので、第1実施形態および第2実施形態のように、制御部70が可動部材20を鉛直上方に移動させるまで待つ必要がない。
【0211】
制御部70は、各把持器30の動作状態が、上記所定条件(2)又は(3)に該当していると判定したときはステップS102bへ進み、該当していないと判定したときはステップS3へ進む。
【0212】
(ステップS102b)
次に、制御部70は、上記所定条件(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、その把持器30に物品Aの把持を解除させる(
図6D参照)。
【0213】
言い換えれば、制御部70は、把持している物品Aの重量が組合せに選ばれなかった把持器30があれば、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御し、第1動作によって、その把持器30に物品Aの把持を解除させる。
【0214】
把持器30の把持していた物品Aは、第1位置に配置されている戴置部50の物品群収容容器52へと落下し、物品群A1の物品Aとして再利用される。この時点で、上記所定条件に該当した把持器30の把持部材32は、第1動作を完了する。
【0215】
また、制御部70は、把持器30の把持部材32が第1動作によって物品Aの把持を解除した直後に、その把持器30の把持部材駆動機構34を制御して、把持部材32に第2動作を実行させる。なお、物品Aが把持部材32に付着し難い物品の場合には、必ずしも第2動作を実行させる必要はない。
【0216】
条件(2)および(3)の少なくとも1つに該当する把持器30の物品Aを物品群収容容器52に戻すことによって、「組合せに選ばれなかった物品A」を持ったまま動作することが回避される。その結果、把持器30から物品が落下して計量精度を低下させてしまうことが抑制される。さらに、無駄な動作がなくなり、生産効率の向上を図ることができる。
【0217】
<その他の構成>
(A)
計量装置100では、制御部70は、把持器30が把持した物品Aを物品群収容容器52に戻す際に、把持器30と物品群収容容器52とを相対移動させる。
【0218】
かかる場合、前回の物品Aを掴んだ場所に戻した場合、次に物品Aを掴んだときに適量が得られる可能性が低いので、把持器30と物品群収容容器52とを相対移動させ、物品Aを戻す場所をずらすことによって、適量の物品Aを掴む可能性を高める。
【0219】
(B)
計量装置100では、物品群収容容器52が、互いに直交する水平な第1方向と第2方向に移動可能である。制御部70は、把持器30が把持した物品Aを物品群収容容器52に戻す際に、把持器30と物品群収容容器52とを第1方向および第2方向のいずれか一方に相対移動させる。
【0220】
かかる場合、把持器30と物品群収容容器52との位置関係を平面座標で把握した上で物品Aを物品群収容容器52に戻すので、容器内の物品の分布を均すような物品の戻し方が可能となる。
【0221】
(C)
計量装置100では、把持器30および物品群収容容器52の少なくとも一方が、鉛直軸周りに回転可能である。制御部70は、把持器30と物品群収容容器52とを、平面視で所定相対角度回転させる。これによって、物品Aを戻す場所をずらすことができ、適量の物品Aを掴む可能性を高めることができる。
【0222】
(D)
第1実施形態では、把持部材32による物品Aを持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きいか小さいかの判断を、物品Aを挟んだときの各把持部材32に対する最小内接円が所定範囲Rよりも外側にあるか内側にあるかによって、すなわち、把持部材32の到達位置(座標)によって判断した。
【0223】
しかしながら、把持部材32の把持動作開始時が全開状態である場合、把持する物品の重量値が目標重量値よりも小さいときは、把持部材32の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも大きくなる。
【0224】
逆に、把持する物品の重量値が目標重量値よりも大きいときは、把持部材32の動作量は目標重量値の物品を把持するときよりも小さくなる。
【0225】
このように、把持部材32の把持動作開始時が全開状態である場合において、把持部材32の全開状態を基準にして、動作量を「変位」で考えた場合、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも大きい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも小さいことを意味する。また、「把持部による物品を持つ動作の動作量が所定範囲よりも小さい」ということは、その物品の重量値が目標重量値よりも大きいことを意味する。
【符号の説明】
【0226】
10 ロボットアーム
30 把持器(把持部)
32 把持部材(爪)
40 計量部
52 物品群収容容器(容器)
60 排出シュート
70 制御部
100 計量装置
A 物品
【先行技術文献】
【特許文献】
【0227】