(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】信号出力回路及び表示装置駆動ドライバ
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240521BHJP
G09G 3/3225 20160101ALI20240521BHJP
G09G 3/3275 20160101ALI20240521BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240521BHJP
H03K 19/0175 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G09G3/20 612P
G09G3/20 680G
G09G3/20 621L
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 621F
G09G3/3225
G09G3/3275
H03K17/687 F
H03K19/0175 220
(21)【出願番号】P 2020021804
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】520333321
【氏名又は名称】深▲セン▼通鋭微電子技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山野 要
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-318714(JP,A)
【文献】特開2019-101067(JP,A)
【文献】特開2009-015286(JP,A)
【文献】特開2001-085985(JP,A)
【文献】米国特許第06166582(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1825767(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20-3/38
H03K 17/687
H03K 19/0175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジック回路と、
前記ロジック回路が出力するロジック信号のレベルをシフトするレベルシフトブロックと、
前記ロジック信号のレベルがシフトされたレベルシフト信号を出力するための出力バッファ回路とを備え、
前記出力バッファ回路が、
ハイレベルのレベルシフト信号を出力するための第1のN型トランジスタと、
ローレベルのレベルシフト信号を出力するための第2のN型トランジスタとを含み、
前記レベルシフトブロックが、
前記第1のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第1レベルシフタと、
前記第2のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第2レベルシフタとを含
み、
前記第1のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルが前記出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位であり、前記第2のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルが前記出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位であり、
前記ロジック回路が、2入力のAND論理ゲートを含み、
前記2入力のAND論理ゲートの入力の一方がHレベルで、かつ、前記2入力のAND論理ゲートの入力の他方がHレベルである場合には、前記2入力のAND論理ゲートの出力が前記第1レベルシフタに入力されると、前記第1のN型トランジスタはONし、
前記2入力のAND論理ゲートの入力の一方がHレベルで、かつ、前記2入力のAND論理ゲートの入力の他方がLレベルである場合には、前記2入力のAND論理ゲートの出力が前記第1レベルシフタに入力されると、前記第1のN型トランジスタはOFFし、
前記第1レベルシフタが、前記2入力のAND論理ゲートから出力された信号の振幅を拡大する第1レベルシフタ回路と、前記第1レベルシフタ回路の出力信号を正の電圧源とGNDとの間の振幅を有する信号に変換する第2レベルシフタ回路とを含むことを特徴とする信号出力回路。
【請求項2】
前記第1レベルシフタは、表示装置のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路に供給される電源電圧に基づいて、前記第1のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する請求項
1に記載の信号出力回路。
【請求項3】
前記第1レベルシフタにより正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧が、前記第1のN型トランジスタの耐圧を超えない電圧である請求項
1に記載の信号出力回路。
【請求項4】
前記第2レベルシフタは、表示装置のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路に供給される電源電圧に基づいて、前記第2のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する請求項
1に記載の信号出力回路。
【請求項5】
前記第2レベルシフタにより正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧が、前記第2のN型トランジスタの耐圧を超えない電圧である請求項
1に記載の信号出力回路。
【請求項6】
請求項
2又は4に記載の信号出力回路と、
前記階調電圧生成回路により生成された階調電圧に基づいて前記表示装置を駆動するソース駆動回路とを備えることを特徴とする表示装置駆動ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロジック信号を入出力信号にレベルシフトして出力する信号出力回路及びこれを用いた表示装置駆動ドライバに関し、特に、多電源を要する表示装置駆動ドライバに用いられる信号出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
演算や記憶を行う半導体素子は、低消費電力化や高速動作のため動作電圧が低下している。しかしながら、表示素子については、高電圧での駆動が一般的である。
【0003】
表示素子を駆動するディスプレイドライバICの場合、ロジック信号用の制御電源(例えば+1.1V)の他に、階調電圧用電源(例えば+8V)、パネル内トランジスタ駆動用電源(例えば+20Vや―10V)が必要となる。これに加え、表示装置の他のロジックデバイスと接続するための、入出力系電源(例えば1.8V)が必要となる。
【0004】
ところが、一般的なディスプレイドライバIC向けのプロセスでは、階調電圧用電源(例えば+8V)やパネル内トランジスタ駆動用電源(例えば+20Vや-10V)に適したトランジスタは用意されるものの、入出力系電源に最適な耐圧のトランジスタが用意されていない場合が多く、階調電圧用電源(例えば+8V)に適したトランジスタを使って入出力回路を設計せざるを得ない。そのため、出力バッファ回路を高速駆動させることが非常に困難になる。
【0005】
階調電圧用電源(例えば+8V)に適したトランジスタを使って出力バッファ回路を高速駆動させるために、信号出力するためのP(Positive charge、正電荷)型トランジスタとN(Negative charge、負電荷)型トランジスタとで構成される出力バッファ回路を備え、P型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルは出力バッファ回路の負側電源電位よりも低い電位であり、前記N型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルは出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位である信号出力回路が知られている(特許文献1)。
【0006】
そして、信号出力するためのP型トランジスタとN型トランジスタとで構成される出力バッファ回路を備え、P型トランジスタがプルアップ制御信号により導通されるとき、プルアップノードの電圧を負電圧に変化させる負電圧発生回路を含む信号出力回路が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-101067号公報(2019年6月24日公開)
【文献】特開2016-116157号公報(2016年6月23日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
出力バッファ回路に設けられるP型トランジスタ及びN型トランジスタは、一般的に階調電圧用電源(例えば+8V)に適したプロセスで生成されるが、実際には入出力系電源(例えば1.8V)により動作するので、高速駆動させることが非常に困難になるという課題が存在する。
【0009】
特許文献1の信号出力回路は、この課題を解決して高速駆動を可能にするが、負電圧を生成する必要が発生するので、当該負電圧を生成するための構成及び制御が追加的に必要になるという課題が発生する。
【0010】
特許文献2の信号出力回路では、出力バッファ回路を構成する最終段P型トランジスタのON時に、そのゲートをキャパシタ素子と遅延素子を用いて負電圧にして出力バッファ回路を高速駆動させる技術が説明されている。この信号出力回路は、負電圧を用意する必要がない利点があるものの、ロジック信号用の制御電源電圧が例えば+1.1Vであり、出力バッファ回路の入出力系電源電圧が+1.8Vであり、この出力バッファ回路を構成するトランジスタが階調電圧用電源(+8V)のプロセスで生成される場合には、出力バッファ回路を高速駆動させる効果を十分に上げることが難しいという課題が存在する。
【0011】
本発明の一態様は、出力バッファ回路専用に最適化されたプロセスを追加することの不要な簡素な構成で、ディスプレイドライバで用いられるプロセスで十分に駆動能力を引き上げることができる信号出力回路及び表示装置駆動ドライバを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る信号出力回路は、信号を出力するための出力バッファ回路を備え、前記出力バッファ回路が、ハイレベルの信号を出力するための第1のN型トランジスタと、ローレベルの信号を出力するための第2のN型トランジスタとを含むことを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る他の信号出力回路は、ロジック信号のレベルをシフトするレベルシフトブロックと、前記ロジック信号のレベルがシフトされたレベルシフト信号を出力するための出力バッファ回路とを備え、前記出力バッファ回路が、ハイレベルのレベルシフト信号を出力するための第1のN型トランジスタと、ローレベルのレベルシフト信号を出力するための第2のN型トランジスタとを含み、前記レベルシフトブロックが、前記第1のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第1レベルシフタと、前記第2のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第2レベルシフタとを含むことを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置駆動ドライバは、本発明の一態様に係る信号出力回路と、前記階調電圧生成回路により生成された階調電圧に基づいて前記表示装置を駆動するソース駆動回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、出力バッファ回路専用に最適化されたプロセスを追加することの不要な簡素な構成で、ディスプレイドライバで用いられるプロセスで十分に駆動能力を引き上げることができる信号出力回路及び表示装置駆動ドライバを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る表示装置のブロック図である。
【
図2】上記表示装置に設けられた駆動ドライバのブロック図である。
【
図3】上記駆動ドライバに設けられた信号出力回路のブロック図である。
【
図4】上記信号出力回路に設けられたレベルシフタの回路図である。
【
図5】比較例に係る信号出力回路のブロック図である。
【
図6】上記信号出力回路に設けられたレベルシフタの回路図である。
【
図7】他の比較例に係る信号出力回路のブロック図である。
【
図8】上記信号出力回路に設けられた第1レベルシフタの回路図である。
【
図9】上記信号出力回路に設けられた第2レベルシフタの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、アクティブマトリックス型有機ELディスプレイの表示装置101の要部を示すブロック図である。この表示装置101は、マトリックス状に形成された複数の画素102と、駆動ドライバ8と、Flashメモリー104とを備える。そして、各画素102は、ゲートライン121と、データライン122とに接続される。また、各画素102は、第1薄膜トランジスタ123と、キャパシタ124と、第2薄膜トランジスタ125と、有機発光ダイオード(発光素子)126とを含む。
【0018】
第1薄膜トランジスタ123は、N型トランジスタにより構成される。この第1薄膜トランジスタ123のゲートはゲートライン121に接続される。また、第1薄膜トランジスタ123のドレインはデータライン122に接続される。また、キャパシタ124は、第1薄膜トランジスタ123のソースに接続される。
【0019】
一方、第2薄膜トランジスタ125は、P型トランジスタにより構成される。この第2薄膜トランジスタ125のゲートは、キャパシタ124を介して、第1薄膜トランジスタ123のソースに接続される。そして、有機発光ダイオード126は、陽極が第2薄膜トランジスタ125のドレインに接続される。
【0020】
また、ゲートライン121は、駆動ドライバ8のゲート駆動信号(Gate drive signals)端子に接続され、データライン122は駆動ドライバ8のソース駆動信号(Source drive signals)端子に接続され、第2薄膜トランジスタ125のソースは有機発光ダイオード電源105の電圧Elvddの端子に接続され、有機発光ダイオード126の陰極は有機発光ダイオード電源105の電圧Elvssの端子に接続される。
【0021】
更に、駆動ドライバ8は、Flashメモリー104と接続され、同期信号CLK、出力信号DATA、高電圧源IOVCC、電圧AVDDが外部から供給される。
【0022】
図2に駆動ドライバ8のブロック図を示す。尚、記載する電圧の値は一例であり、本発明はこれらの値に限定されない。
【0023】
駆動ドライバ8は、外部から高電圧源IOVCCと電圧AVDDとが供給される。高電圧源IOVCCは制御回路系の電源であり、1.8Vの電圧が与えられる。電圧AVDDはディスプレイ駆動系の電源の電圧であり、例えば+8Vの電圧が与えられる。
【0024】
リニア・レギュレータ(LDO)201は高電圧源IOVCCからの電圧を駆動ドライバ8の内部のロジック動作電圧(VDDD)1.1Vに変換する。
【0025】
シリアル・ペリフェラル・インタフェース(Serial Peripheral Interface,SPI I/F)202は、接続されたFlashメモリー104とのインターフェースである。駆動ドライバ8の内部ロジックで作成されるロジック動作電圧(VDDD)レベルの信号(1.1V)をFlashメモリー104にアクセスする信号(Interface Signals)の信号レベル(IOVCC、1.8V)へレベルシフトしてシリアル・ペリフェラル・インタフェース202は出力する。シリアル・ペリフェラル・インタフェース202に設けられる信号出力回路1については後述する。
【0026】
MIPI(Mobile Industry Processor Interface)I/F204は、外部の画像処理用デバイスから表示データDATAと同期信号CLKを受けとるインターフェースである。
【0027】
階調電圧生成回路6(GAMMA VOLTAGE GENERATE BLK)は、画像データに対応した表示電圧(Gamma Voltage)を作成するブロックである。表示電圧は表示するパネルのガンマ特性に合わせて作成され、有機発光ダイオード126の陽極から陰極に流れる電流を制御する第2薄膜トランジスタ125のゲートに印加される。
図1に示すその他の画素102においても同様の接続となる。
【0028】
有機発光ダイオード126の陽極には第2薄膜トランジスタ125を介して有機発光ダイオード電源105の正側電源の端子である電圧Elvddの端子が接続され、陰極には負側電源の端子である電圧Elvssの端子が接続される。この正側の電圧Elvddの端子と負側の電圧Elvssの端子は複数ある画素102に共通に接続される。電圧Elvddと電圧Elvssとについては、本発明と密接な関係を有しないので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0029】
データラッチDAコンバータ(DATA LATCH、D/A converter)206は、表示電圧(Gamma Voltage)から画像データに合致する電圧をソース駆動回路(SOURCE DRIVER)7へ出力する。
【0030】
ソース駆動回路7は、データライン122を駆動するためのバッファを備える。GIP電圧生成ブロック(GIP(gate drivers in panel)VOLTAGE GENERATE BLK)208は、GIP電圧を作成する。GIP電圧は、第1薄膜トランジスタ123をオンできる電圧である。タイミングジェネレータ(Timing Generator)209は、第1薄膜トランジスタ123をオンするタイミングを作成する。
【0031】
GIPドライバ(GIP DRIVER)210は、ゲートライン121を駆動するためのバッファを備える。
【0032】
ロジックブロック(LOGIC BLK)212は、本発明と密接な関係を有しないので詳細な説明を省略する。
【0033】
係る構成において、各画素102の駆動は、次の様に行われる。まず、GIPドライバ210、ゲートライン121を介して、第1薄膜トランジスタ123のゲートにGIP電圧が印加される。これにより、第1薄膜トランジスタ123はオンになる。次に、ソース駆動回路7からソース駆動信号がデータライン122へ出力される。ソース駆動信号は、表示対象の画素102に対応するガンマ電圧である。データライン122の電圧は、第1薄膜トランジスタ123を通り、キャパシタ124を介して、第2薄膜トランジスタ125のゲートに印加され、第2薄膜トランジスタ125にゲート電圧に対応した電流が流れる。これにより、有機発光ダイオード126に電流が供給されて、有機発光ダイオード126が所望の輝度で発光する。
【0034】
次に、シリアル・ペリフェラル・インタフェース202に設けられる信号出力回路1を、
図3に示す。この信号出力回路1は、出力制御信号OEがイネーブルの場合、出力信号DATA及び同期信号CLKを外部へ出力する例を示している。
【0035】
信号出力回路1は、ロジック信号のレベルをシフトするレベルシフトブロック2と、ロジック信号のレベルがシフトされたレベルシフト信号を出力するための出力バッファ回路5とを備える。
【0036】
出力バッファ回路5は、ハイレベルのレベルシフト信号を出力するためのN型トランジスタN1(第1のN型トランジスタ)と、ローレベルのレベルシフト信号を出力するためのN型トランジスタN0(第2のN型トランジスタ)とを含む。
【0037】
レベルシフトブロック2は、N型トランジスタN1を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するレベルシフタ3(第1レベルシフタ)と、N型トランジスタN0を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するレベルシフタ4(第2レベルシフタ)とを含む。
【0038】
レベルシフタ3は、表示装置101のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路6に供給される電圧AVDD(電源電圧)に基づいて、N型トランジスタN1を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する。レベルシフタ3により正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧は、トランジスタN1の耐圧を超えない電圧である。
【0039】
第2レベルシフタ4は、表示装置101のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路6に供給される電圧AVDD(電源電圧)に基づいて、N型トランジスタN0を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する。レベルシフタ4により正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧は、N型トランジスタN0の耐圧を超えない電圧である。
【0040】
このように、最終段の出力バッファ回路5の電源電圧IOVCCにN型トランジスタN1が接続される。そして、N型トランジスタN1に供給されるゲート信号を駆動するレベルシフタ3の高電圧源VPOSの電圧を+8Vにしており、その低電圧源の電圧をGND(0V)にしている。さらに、レベルシフタ3へゲート信号を出力する論理ゲートは、AND論理ゲート12にしている。
【0041】
出力制御信号OE、出力信号DATA、及び同期信号CLKは、ロジック系の信号のVDD―GNDレベル(1.1V)である。このため、信号出力回路1のロジック回路10に設けられたインバータ11、AND論理ゲート12、及びNOR論理ゲート13は、制御ロジック用電源(1.1V)で最適な動作になるようなプロセスで作成される。レベルシフトブロック2、及び、出力バッファ回路5のN型トランジスタN1及びN型トランジスタN0は、ロジック系の信号(1.1V)を入出力系の信号(1.8V)へ変換し、出力を行う必要があるので、入出力系電源(1.8V)で最適な動作になるプロセスで作成することが望まれる。しかしながら、専用の当該プロセスが無いので、耐圧が1.8V以上で最適な動作電圧が入出力系電源(1.8V)に近い階調用電源(+8V)のプロセスで、レベルシフトブロック2、及び、出力バッファ回路5のN型トランジスタN1及びN型トランジスタN0は作成される。
【0042】
この信号出力回路1により、ロジック系の信号(1.1V)の出力信号DATA及び同期信号CLKが、レベルシフトブロック2および出力バッファ回路5により、入出力系の信号(1.8V)に変換されて外部へ出力される。
【0043】
出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN1とN型トランジスタN0とのそれぞれのゲート信号を供給するレベルシフタ3とレベルシフタ4とは同じ構成を有する。
【0044】
図4は信号出力回路1に設けられたレベルシフタ4の回路図である。なお、レベルシフタ3の回路図もレベルシフタ4の回路図と同様である。
【0045】
レベルシフタ4は、ロジック系信号(1.1V)の振幅を高電圧源IOVCC系電源電圧(1.8V)に拡大するレベルシフタ回路L700と、レベルシフタ回路L700の高電圧源IOVCC系出力信号(1.8V)を、高電圧源VPOS(+8V)とGNDとの間の振幅を有する信号に変換するレベルシフタ回路L710とを備える。
【0046】
レベルシフタ4は、出力バッファ回路5のN型トランジスタN0のオン動作を高速化する事を目的としているので、入力信号INがL(GND)からH(1.1V)に変化する場合を説明する。
【0047】
定常時で入力信号INがLレベルの時、レベルシフタ回路L700のN型トランジスタN701はOFFしており、N型トランジスタN702はONしている。この時、ノードW702はGNDレベルになっているので、P型トランジスタP701がONしてノードW701が高電圧源IOVCCレベルになっている。
【0048】
この時、ノードW701が接続されているN型トランジスタN712はONし、レベルシフタ回路L710の出力ノードOUTはGNDレベルとなる。
【0049】
さらに、出力ノードOUTが接続されているP型トランジスタP711はONし、ノードW711を高電圧源VPOSレベル(+8V)にするので、P型トランジスタP712はOFFする。また、高電圧源VPOSレベルとなっているノードW711が接続されているN型トランジスタN711はOFFしている。
【0050】
入力信号INがLレベルの定常時からHレベルに移行した時、レベルシフタ回路L700のN型トランジスタN702がOFFし、N型トランジスタN701がONする。この時、N型トランジスタN701に接続されるノードW701がGNDレベルになるので、P型トランジスタP702はONし、ノードW702が高電圧源IOVCCレベルになり、P型トランジスタP701はOFFする。
【0051】
さらに、ノードW701とノードW702とが接続されるレベルシフタ回路L710のN型トランジスタN711がONするので、接続されるノードW711がGNDレベルになる。そのため、ノードW711に接続されるP型トランジスタP712がONし、レベルシフタ回路L710の出力ノードOUTが高電圧源VPOSレベル(+8V)になる。
【0052】
一方、出力ノードOUTが接続されているP型トランジスタP711はOFFしており、高電圧VPOSレベル(+8V)になっている出力ノードOUTに接続されるN型トランジスタN712もOFFになる。
【0053】
この出力ノードOUTはソース電位をGNDに接続している
図3のN型トランジスタN0に接続されているので、ON動作時にはN型トランジスタN0のゲート電位が高電圧源VPOSレベル(+8V)となる。このため、N型トランジスタN0のゲートソース間電圧を十分に確保することができる。従って、駆動電流をN型トランジスタN0に多く流すことができる。この結果、出力バッファ回路5のトランジスタサイズを大きくすることなく、出力バッファ回路5を駆動するための仕様の駆動能力を確保する事が可能になる。
【0054】
ここで、高電圧源VPOSの電圧は一例として+8Vとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。高電圧源VPOSの電圧は、レベルシフタ4のGNDレベルとの差が、N型トランジスタN0の耐圧を超えなければよいことは言うまでもない。
【0055】
高電圧源VPOS(+8V)は、
図2のブロック図に示すように、外部から供給される電圧AVDDを使用して作成する。
【0056】
ロジック回路10に設けられたAND論理ゲート12の入力には、出力制御信号OE(出力イネーブル)、出力信号DATA(データ)、及び同期信号CLKが供給される。出力信号OE(出力イネーブル)がHレベル(1.1V)で、出力信号DATA、及び同期信号CLKがHレベル(1.1V)ならば、2入力のAND論理ゲート12の出力は高電圧源IOVCCのレベル(1.8V)となり、これを入力とするレベルシフタ3の出力は高電圧源VPOSのレベル(+8V)となり、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN1はONする。
【0057】
また、レベルシフタ4の入力は、2入力のNOR論理ゲート13が出力しており、この場合、2入力のNOR論理ゲート13の出力はGNDレベル(0V)となり、これを入力とするレベルシフタ4の出力はGNDレベル(0V)となり、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN0はOFFする。
【0058】
一方、出力信号OE(出力イネーブル)がHレベル(1.1V)で、出力信号DATA、及び同期信号CLKがLレベル(0V)ならば、2入力のAND論理ゲート12の出力はGNDレベル(0V)となり、これを入力とするレベルシフタ3の出力はGNDレベル(0V)となり、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN1はOFFする。
【0059】
また、2入力のNOR論理ゲート13の出力はHレベル(1.1V)となり、これを入力とするレベルシフタ4の出力は高電圧源VPOSレベル(+8V)となり、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN0はONする。
【0060】
先に説明した出力バッファ回路5がHレベルを出力する状態では、高電圧源IOVCCレベル(1.8V)に対して、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN1のゲート電位が、高電圧源VPOSレベル(+8V)と高く、N型トランジスタN1のゲートソース間電圧を十分に確保することができる。従って、駆動電流をN型トランジスタN1に多く流すことができる。この結果、出力バッファ回路5のトランジスタサイズを大きくすることなく、出力バッファ回路5を駆動する駆動能力を確保する事が可能になる。
【0061】
また、出力バッファ回路5がLレベルを出力する状態では、GNDレベル(0V)に対して、出力バッファ回路5を構成するN型トランジスタN0のゲート電位が、高電圧源VPOSレベル(+8V)と高く、N型トランジスタN0のゲートソース間電圧を十分に確保することができる。従って、駆動電流をN型トランジスタN0に多く流すことができる。この結果、出力バッファ回路5のトランジスタサイズを大きくすることなく、出力バッファ回路5を駆動する駆動能力を確保する事が可能になる。
【0062】
ここで、高電圧源VPOSの電圧は一例として+8Vとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。高電圧源VPOSの電圧は、レベルシフタ3、及びレベルシフタ4のGNDレベルとの差が、N型トランジスタN1、及びN型トランジスタN0の耐圧を超えなければよいことは言うまでもない。
【0063】
高電圧源VPOS(+8V)は、
図2のブロック図に示すように、外部から供給される電圧AVDDを使用して作成する。また、ロジック信号の電圧レベルを1.1Vとしてこれまで説明しているが、プロセスによっては異なるため、これに限らない。
【0064】
このように高電圧源VPOS(+8V)は外部から供給される電圧AVDDを使用して作成するので、本実施形態に係る信号出力回路1は新たな電源を必要としない。信号出力回路1は、表示装置101に必要な電圧(電圧AVDD)を利用して構成するため、回路が新たな電源のために増大せずチップ面積へのインパクトを最小にすることができる。また、入出力に最適なトランジスタを用意することなく、表示装置を駆動するためのこれまでのデバイスの製造プロセスで信号出力回路1を作成できるので、製造プロセスを追加することもなく製造TAT(ターンアラウンド・タイム、Turn Around Time)への影響も無くなる。
【0065】
また、出力バッファ回路5の正側の高電圧源IOVCCを一例として1.8Vとして説明しているが、本発明はこれに限定されない。N型トランジスタN1の電流供給能力を引き出すには、N型トランジスタN1の耐圧を超えない範囲でゲート電圧と高電圧源IOVCCレベルとの間の電圧差を最大限に確保することが望ましい。高電圧源IOVCCが1.8Vでは、効果を十分に得られるものの、例えば、高電圧源IOVCCが3.3Vになると、ゲート電圧との間の電圧差が小さくなり効果が減少してしまう。しかしながら、近年は高電圧源IOVCC1.8VはディスプレイドライバICでは一般的であり、本実施形態のレベルシフト回路1の構成は十分に効果を発揮できる。
【0066】
(比較例)
図5は比較例に係る信号出力回路31のブロック図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0067】
信号出力回路31は一般的な信号出力回路である。
図5は出力制御信号OEがイネーブルの場合、出力信号DATA及びCLKを外部へ出力する例を示している。
図3で前述した信号出力回路1と異なる点は、出力バッファ回路35にP型トランジスタP30及びN型トランジスタN30が設けられている点、レベルシフトブロック32にレベルシフタ33・34が設けられている点、及び、ロジック回路90にNAND論理ゲート92が設けられている点である。
【0068】
出力制御信号OEおよび出力信号DATA及び同期信号CLKは、ロジック系の信号のVDD―GNDレベル(1.1V)である。このため、信号出力回路31のインバータ11、NAND論理ゲート92、及びNOR論理ゲート13は制御ロジック用電源(1.1V)で最適な動作になるようなプロセスで作成される。レベルシフトブロック32、及び、出力バッファ回路35のP型トランジスタP30及びN型トランジスタN30は、ロジック系の信号(1.1V)を入出力系の信号(1.8V)へ変換し、出力を行う必要があるので、入出力系電源(1.8V)で最適な動作になるプロセスで作成することが望ましい。しかしながら、専用のプロセスが無いので、耐圧が1.8V以上で最適な動作電圧が入出力系電源(1.8V)に近い階調用電源(+8V)用のプロセスで上記レベルシフトブロック32、及び、P型トランジスタP30及びN型トランジスタN30を作成する。
【0069】
この信号出力回路31により、ロジック系の信号(1.1V)の出力信号DATA及びCLKが、レベルシフトブロック32および出力バッファ35で入出力系の信号(1.8V)に変換されて外部へ出力される。
【0070】
図6は信号出力回路31に設けられたレベルシフタ33の回路図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0071】
レベルシフタ33は、レベルシフタ34と同様の構成を有する。レベルシフタ33は、2個のN型トランジスタN41、N42と、ゲートが互いに双方のドレインに接続されるクロスカップル型の2個のP型トランジスタP41、P42と、インバータINV40とを備える。このインバータINV40は入力端子INの入力信号を反転し、1.1Vの低電圧源VDD(図示せず)で動作する。インバータINV40以外の素子は、1.8Vの高電圧源IOVCCで動作する高電圧側の素子である。
【0072】
2個のN型トランジスタN41、N42は、ソースが接地されると共に、互いに相補の信号、すなわち入力端子INの入力信号、及びインバータINV40からの入力信号の反転信号をそれぞれ受け取る。2個のP型トランジスタP41とP42とは、ソースが高電圧源IOVCCに接続され、ゲートは互いに相手方のドレインにクロスカップル接続され、ドレインが各々N型トランジスタN41、N42のドレインにそれぞれ接続される。P型トランジスタP41とN型トランジスタN41との接続点をノードW41とし、P型トランジスタP42とN型トランジスタN42との接続点をノードW42とする。更に、出力端子OUTは、ノードW42に接続される。
【0073】
次に、このレベルシフタ33の動作を説明する。定常時では、例えば入力信号がH(VDD)レベル、その反転信号がL(GND=0V)レベルの時、N型トランジスタN41はON、N型トランジスタ42はOFF、P型トランジスタP41はOFF、P型トランジスタP42はON状態にある。また、一方のノードであるノードW41はL(GND)レベル、他方のノードであるノードW42はH(IOVCC)レベルにある。N型トランジスタN41とP型トランジスタP41とは相補的な関係にあり、N型トランジスタN42とP型トランジスタP42とは相補的な関係にあるので、この定常時では各トランジスタN41・P41及びN42・P42に電流は流れない。
【0074】
その後、入力信号がL(GND)レベルに変化し、状態遷移時になると、N型トランジスタN41がOFF、N型トランジスタN42はONする。従って、高電圧源IOVCCからON状態のP型トランジスタP42及びN型トランジスタN42を経てGNDへ貫通電流が流れ、ノードW42の電位はH(IOVCC)レベルから低下し始める。ノードW42の電位がIOVCC-Vtp(VtpはP型トランジスタP42の閾値電圧)以下に低下すると、P型トランジスタP41がONし始め、ノードW41の電位(P型トランジスタP42のゲートの電位)は上昇して、P型トランジスタP42のドレイン電流は少なくなり、ノードW42の電位は一層低くなる。
【0075】
最終的に、ノードW41の電位はH(IOVCC)レベル、ノードW42の電位はL(GND)レベルになり、貫通電流は流れなくなって、出力論理が反転し、次の入力信号の変化待ち状態となる。以上、入力信号がHレベル(VDD)からLレベル(GND)に変化した場合について説明したが、その逆の場合もこのレベルシフタ33は同様に動作する。
【0076】
ここまで、比較例に係る信号出力回路31の構成、動作について説明したが、ディスプレイドライバICの入出力系の電源電圧が一般的に1.8V、もしくは3.3Vであることから、階調電圧用電源(例えば+8V)に適したプロセスにより生成したトランジスタで出力信号DATAや同期信号CLK信号を高速で出力するような高速駆動の可能な信号出力回路31を構成することは容易でないことは明らかである。
【0077】
上記比較例に係る
図5の信号出力回路31において、最終段出力バッファ回路35を構成するP型トランジスタP30をONする場合(この時N型トランジスタN30はOFF)、P型トランジスタP30のソース端子であるIOVCC電源(1.8V)に対して、ゲート端子レベルは0Vとするが、このP型トランジスタP30は階調用電源(+8V)のプロセスで生成しているため、閾値電圧Vtpが大きく電流量が小さくなる。また、N型トランジスタN30をONする場合(この時P型トランジスタP30はOFF)、N型トランジスタN30のソース端子であるGND電源(0V)に対して、ゲート端子レベルはIOVCCレベル(1.8V)とするが、このN型トランジスタN30も階調用電源(+8V)のプロセスで生成しているため、閾値電圧Vtnが大きく電流量が小さくなる。従って、
図5の信号出力回路31は高速駆動に適していない。
【0078】
図7は他の比較例に係る信号出力回路51のブロック図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0079】
上記高速駆動を可能にすべく、
図7に示す出力バッファ回路55を備えた信号出力回路51が開示されおり(特許文献1)、これについて説明する。
【0080】
他の比較例に係る信号出力回路51の構成は、比較例として
図5及び
図6を参照して説明した信号出力回路31の構成と類似するが、特にレベルシフトブロック52の構成が信号出力回路31の構成と異なる。出力バッファ回路55のP型トランジスタP50を駆動するレベルシフタ53の低電圧側の電源を低電圧源VNEG(-4V)にし、出力バッファ回路55のN型トランジスタN50を駆動するレベルシフタ54の高電圧側の電源を高電圧源VPOS(+8V)にしている。
【0081】
図8は信号出力回路51に設けられたレベルシフタ53の回路図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0082】
【0083】
レベルシフタ53は、ロジック系信号(1.1V)の振幅を高電圧源IOVCC系電源電圧(1.8V)に拡大するレベルシフタ回路L600と、レベルシフタ回路L600の高電圧源IOVCC系出力信号(1.8V)を、高電圧源IOVCC系電源電圧と低電圧源VNEG(-4V)との間で振幅する信号に変換するレベルシフタ回路L610とで構成される。
【0084】
レベルシフタ53は、出力バッファ回路55のP型トランジスタP50のオン動作を高速化する事を目的とするので、入力信号INがH(1.1V)からL(GND)に変化する場合を説明する。
【0085】
定常時で入力信号INがHレベルの時、レベルシフタ回路L600のN型トランジスタN602はOFFしており、N型トランジスタN601はONしている。この時、ノードW601はGNDレベルになっているので、P型トランジスタP602がONしてノードW602が高電圧源IOVCCレベルになっている。
【0086】
この時、ノードW601が接続されているP型トランジスタP612はONし、レベルシフタ回路L610の出力ノードOUTは高電圧源IOVCCレベルとなる。
【0087】
さらに、出力ノードOUTが接続されているN型トランジスタN611はONし、ノードW611を低電圧源VNEGレベル(-4V)にするので、N型トランジスタN612はOFFする。また、高電圧源IOVCCレベルとなっているノードW602が接続されているP型トランジスタP611はOFFしている。
【0088】
入力信号INがHレベルの定常時からLレベルに移行した時、レベルシフタ回路L600のN型トランジスタN601がOFFし、N型トランジスタN602がONする。この時、N型トランジスタN602に接続されるノードW602がGNDレベルになるので、P型トランジスタP601はONし、ノードW601が高電圧源IOVCCレベルになり、P型トランジスタP602はOFFする。
【0089】
さらに、ノードW601とノードW602とが接続されるレベルシフタ回路L610のP型トランジスタP611がONするので、接続されるノードW611が高電圧源IOVCCレベルになる。そのため、ノードW611に接続されるN型トランジスタN612がONし、レベルシフタ回路L610の出力ノードOUTが低電圧源VNEGレベル(-4V)になる。一方、出力ノードOUTが接続されているN型トランジスタN611はOFFしており、高電圧源IOVCCレベルになっているノードW611に接続されるP型トランジスタP612もOFFになる。
【0090】
この出力ノードOUTは
図7に示されるソース電位を高電圧源IOVCCに接続しているP型トランジスタP50に接続されているので、ON動作時にはゲート電位が低電圧源VNEGレベル(-4V)となり、ゲートソース間電圧を十分に確保することができる。このため、駆動電流をP型トランジスタP50に多く流すことができ、出力バッファ回路55のトランジスタサイズを大きくすることなく、仕様の駆動能力を確保する事が可能になる。ここで、低電圧源VNEGは一例として―4Vとして説明しているが、これに限定されない。
【0091】
レベルシフトブロック52の高電圧源IOVCCと低電圧源VNEGレベルとの間の差が、P型トランジスタP50の耐圧を超えなければよいことは言うまでもない。
【0092】
図9は信号出力回路51に設けられたレベルシフタ54の回路図である。前述した構成要素と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、その詳細な説明は繰り返さない。
【0093】
【0094】
レベルシフタ54は、ロジック系信号(1.1V)の振幅を高電圧源IOVCC系電源電圧(1.8V)に拡大するレベルシフタ回路L700と、レベルシフタ回路L700の高電圧源IOVCC系出力信号(1.8V)を、高電圧源VPOS(+8V)とGNDとの間の振幅を有する信号に変換するレベルシフタ回路L710とで構成される。
【0095】
レベルシフタ54は出力バッファ回路55のN型トランジスタN50のオン動作を高速化する事を目的としているので、入力信号INがL(GND)からH(1.1V)に変化する場合を説明する。
【0096】
定常時で入力信号INがLレベルの時、レベルシフタ回路L700のN型トランジスタN701はOFFしており、N型トランジスタN702はONしている。この時、ノードW702はGNDレベルになっているので、P型トランジスタP701がONしてノードW701が高電圧源IOVCCレベルになっている。
【0097】
この時、ノードW701が接続されているN型トランジスタN712はONし、レベルシフタ回路L710の出力ノードOUTはGNDレベルとなる。
【0098】
さらに、出力ノードOUTが接続されているP型トランジスタP711はONし、ノードW711を高電圧源VPOSレベル(+8V)にするので、P型トランジスタP712はOFFする。また、高電圧源VPOSレベルとなっているノードW711が接続されているN型トランジスタN711はOFFしている。
【0099】
入力信号INがLレベルの定常時からHレベルに移行した時、レベルシフタ回路L700のN型トランジスタN702がOFFし、N型トランジスタN701がONする。この時、N型トランジスタN701に接続されるノードW701がGNDレベルになるので、P型トランジスタP702はONし、ノードW702が高電圧源IOVCCレベルになり、P型トランジスタP701はOFFする。
【0100】
さらに、ノードW701とノードW702とが接続されるレベルシフタ回路L710のN型トランジスタN711がONするので、接続されるノードW711がGNDレベルになる。そのため、ノードW711に接続されるP型トランジスタP712がONし、レベルシフタ回路L710の出力ノードOUTが高電圧源VPOSレベル(+8V)になる。
【0101】
一方、出力ノードOUTが接続されているP型トランジスタP711はOFFしており、高電圧源VPOSレベル(+8V)になっている出力ノードOUTに接続されるN型トランジスタN712もOFFになる。
【0102】
この出力ノードOUTはソース電位をGNDに接続している
図7のN型トランジスタN50に接続されているので、ON動作時にはN型トランジスタN50のゲート電位が高電圧源VPOSレベル(+8V)となる。このため、N型トランジスタN50のゲートソース間電圧を十分に確保することができる。従って、駆動電流をN型トランジスタN50に多く流すことができる。この結果、出力バッファ回路55のトランジスタサイズを大きくすることなく、出力バッファ回路55を駆動するための駆動能力を確保する事が可能になる。
【0103】
しかしながら、
図7~
図9で説明した信号出力回路51のような構成では、最終段の出力バッファ回路55を構成するP型トランジスタP50を駆動するために、-4Vのような負電圧がないと高速駆動に対応できない。この負電圧は、
図2に示す内部電圧AVEERから供給するが、この負電圧は、
図7に示すような出力バッファ回路55及びレベルシフトブロック52が動作する前に、起動させる制御が必要であり、また所望の電圧に達するまで待ち時間も必要となる。この負電圧を駆動ドライバ8の外部から印加しても構わないが、やはりその負電圧を発生するデバイスや、そのデバイスの制御が追加で必要となってしまう。
【0104】
このように、
図7に示される他の比較例に係る信号出力回路51は、出力バッファ回路55を構成するP型トランジスタP50の電流能力を確保するために、P型トランジスタP50のゲート端子を駆動するレベルシフタ53の電源に、例えば-4Vのような負電圧を用意する必要があるという問題が存在するし、且つ、負電圧の起動を待ってからでないと出力バッファ回路55及びレベルシフトブロック52の動作を開始できないという問題が存在する。
【0105】
(実施形態の効果)
これに対して、本実施形態に係る信号出力回路1は、出力バッファ回路5が、ハイレベルの信号を出力するためのN型トランジスタN1と、ローレベルの信号を出力するためのN型トランジスタN0とを含み、レベルシフトブロック2が、N型トランジスタN1を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するレベルシフタ3と、N型トランジスタN0を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するレベルシフタ4とを含むので、負電圧を用意する必要が消滅し、上記問題が解決する。
【0106】
このように、本実施形態に係る信号出力回路1は、出力バッファ回路5専用に最適化されたプロセスを追加することの不要な簡素な構成で、駆動ドライバ8の駆動能力を引き上げることが可能となり、表示装置101を駆動する駆動ドライバ8と接続されるFlashメモリー104との通信時間を大幅に短縮することができる。
【0107】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る信号出力回路1は、信号を出力するための出力バッファ回路5を備え、前記出力バッファ回路5が、ハイレベルの信号を出力するための第1のN型トランジスタN1と、ローレベルの信号を出力するための第2のN型トランジスタN0とを含んでいる。
【0108】
上記の構成によれば、第1のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルを出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位にすることができ、第2のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルを出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位にすることができる。このため、負電圧を用意する必要がない簡素な構成で、出力バッファ回路専用に最適化されたプロセスを追加することなく、ディスプレイドライバで用いられるプロセスで十分に駆動能力を引き上げることができる。
【0109】
本発明の態様2に係る信号出力回路1は、ロジック信号のレベルをシフトするレベルシフトブロック2と、前記ロジック信号のレベルがシフトされたレベルシフト信号を出力するための出力バッファ回路5とを備え、前記出力バッファ回路5が、ハイレベルのレベルシフト信号を出力するための第1のN型トランジスタN1と、ローレベルのレベルシフト信号を出力するための第2のN型トランジスタN0とを含み、前記レベルシフトブロック2が、前記第1のN型トランジスタN1を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第1レベルシフタ(レベルシフタ3)と、前記第2のN型トランジスタN0を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張する第2レベルシフタ(レベルシフタ4)とを含む。
【0110】
上記の構成によれば、第1のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルを出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位にすることができ、第2のN型トランジスタをオンさせるゲート信号レベルを出力バッファ回路の正側電源電位よりも高い電位にすることができる。このため、負電圧を用意する必要がない簡素な構成で、出力バッファ回路専用に最適化されたプロセスを追加することなく、ディスプレイドライバで用いられるプロセスで十分に駆動能力を引き上げることができる。
【0111】
本発明の態様3に係る信号出力回路1は、上記態様2において、前記第1レベルシフタ(レベルシフタ3)は、表示装置101のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路6に供給される電源電圧(電圧AVDD)に基づいて、前記第1のN型トランジスタN1を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張することが好ましい。
【0112】
上記の構成によれば、第1のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するための新たな電源が不要になる。このため、表示装置の回路が新たな電源のために増大せずチップ面積へのインパクトを最小にすることができる。また、表示装置を駆動するためのこれまでのデバイスの製造プロセスで信号出力回路を作成できるので、製造プロセスを追加することもなく製造TATへの影響も無くなる。
【0113】
本発明の態様4に係る信号出力回路1は、上記態様2において、前記第1レベルシフタ(レベルシフタ3)により正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧が、前記第1のN型トランジスタN1の耐圧を超えない電圧であることが好ましい。
【0114】
上記の構成によれば、第1レベルシフタが振幅レベルを正側に拡張した信号により、第1のN型トランジスタを良好に駆動することができる。
【0115】
本発明の態様5に係る信号出力回路1は、上記態様2において、前記第2レベルシフタ(レベルシフタ4)は、表示装置101のための階調電圧を生成する階調電圧生成回路6に供給される電源電圧(電圧AVDD)に基づいて、前記第2のN型トランジスタN0を駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張することが好ましい。
【0116】
上記の構成によれば、第2のN型トランジスタを駆動する信号の振幅レベルを正側に拡張するための新たな電源が不要になる。このため、表示装置の回路が新たな電源のために増大せずチップ面積へのインパクトを最小にすることができる。また、表示装置を駆動するためのこれまでのデバイスの製造プロセスで信号出力回路を作成できるので、製造プロセスを追加することもなく製造TATへの影響も無くなる。
【0117】
本発明の態様6に係る信号出力回路1は、上記態様2において、前記第2レベルシフタ(レベルシフタ4)により正側に拡張された振幅レベルに対応する電圧が、前記第2のN型トランジスタN0の耐圧を超えない電圧であることが好ましい。
【0118】
上記の構成によれば、第2レベルシフタが振幅レベルを正側に拡張した信号により、第2のN型トランジスタを良好に駆動することができる。
【0119】
本発明の態様7に係る表示装置駆動ドライバ(駆動ドライバ8)は、上記態様3又は5に係る信号出力回路1と、前記階調電圧生成回路6により生成された階調電圧に基づいて前記表示装置101を駆動するソース駆動回路7とを備える。
【0120】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 信号出力回路
2 レベルシフトブロック
3 レベルシフタ(第1レベルシフタ)
4 レベルシフタ(第2レベルシフタ)
5 出力バッファ回路
6 階調電圧生成回路
7 ソース駆動回路
8 駆動ドライバ(表示装置駆動ドライバ)
31 従来の信号出力回路
32 レベルシフトブロック
33 レベルシフタ
34 レベルシフタ
35 出力バッファ回路
51 信号出力回路
52 レベルシフトブロック
53 レベルシフタ(第1レベルシフタ)
54 レベルシフタ(第2レベルシフタ)
55 出力バッファ回路
N1 N型トランジスタ(第1のN型トランジスタ)
N0 N型トランジスタ(第2のN型トランジスタ)
L600 レベルシフタ回路53を構成する第1段目のレベルシフタ
L610 レベルシフタ回路53を構成する第2段目のレベルシフタ
L700 レベルシフタ回路54を構成する第1段目のレベルシフタ
L710 レベルシフタ回路54を構成する第2段目のレベルシフタ
IOVCC 高電圧源
VPOS 高電圧源
VNEG 負電圧源
GND 接地電圧源
AVDD 電圧(電源電圧)