(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/16 20060101AFI20240521BHJP
A01N 25/02 20060101ALI20240521BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20240521BHJP
A01N 31/04 20060101ALI20240521BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240521BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/14 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/52 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/68 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/755 20060101ALI20240521BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20240521BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20240521BHJP
C11D 3/06 20060101ALI20240521BHJP
C11D 3/10 20060101ALI20240521BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240521BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A01N25/16
A01N25/02
A01N25/30
A01N31/04
A01P1/00
A01P3/00
C11D1/04
C11D1/14
C11D1/22
C11D1/28
C11D1/29
C11D1/52
C11D1/68
C11D1/72
C11D1/75
C11D1/755
C11D1/90
C11D3/04
C11D3/06
C11D3/10
C11D3/20
C11D17/04
(21)【出願番号】P 2020046548
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】守屋 貴弘
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182854(JP,A)
【文献】特開2019-182762(JP,A)
【文献】特開2019-156999(JP,A)
【文献】特開2019-182761(JP,A)
【文献】特表2005-527609(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002522(WO,A1)
【文献】特開2003-336098(JP,A)
【文献】特開2000-178107(JP,A)
【文献】特開2014-9201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/16
A01N 25/02
A01N 25/30
A01N 31/04
A01P 1/00
A01P 3/00
C11D 1/04
C11D 1/14
C11D 1/22
C11D 1/28
C11D 1/29
C11D 1/52
C11D 1/68
C11D 1/72
C11D 1/75
C11D 1/755
C11D 1/90
C11D 3/04
C11D 3/06
C11D 3/10
C11D 3/20
C11D 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20~45質量%のエタノールと、
アルカンスルホン酸(塩)、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸(塩)、α-オレフィンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)
(ただし、オレイン酸ナトリウムを除く)、脂肪酸ジエタノールアミド、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)、及び、ラウロイルサルコシン(塩)からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、
アルカリ剤とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00質量%である請求項1に記載のフォーマー用組成物。
【請求項3】
前記アルカリ剤の濃度は、0.10~10.00質量%である請求項1又は2に記載のフォーマー用組成物。
【請求項4】
前記アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、及び、リン酸三塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1~3のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項5】
前記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、及び、リン酸三アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1~4のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項6】
ウイルス不活性化用である請求項1~5のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項7】
ノロウイルス不活性化用である請求項1~6のいずれかに記載のフォーマー用組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のフォーマー用組成物を収容することを特徴とするフォーマー。
【請求項9】
請求項1~7のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーマー用組成物、該フォーマー用組成物入りフォーマー、該フォーマー用組成物を用いた消毒方法、及び、該フォーマー用組成物を用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エタノール消毒剤組成物は、手先等の生体部位を消毒する目的や、機器や設備等を消毒する目的で使用される。
このようなエタノール消毒剤組成物を使用する方法として、エタノール消毒剤組成物をスプレー等により霧状に噴霧し、消毒対象にエタノール消毒剤組成物を付着させる方法が知られている。
【0003】
エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧する場合、空気も大きく移動することになるので、消毒対象に付着していたウイルス等が、エタノール消毒剤組成物に触れる前に飛散してしまうことがあった。
また、エタノール消毒剤組成物を霧状に噴霧すると、エタノール消毒剤組成物が広範囲に拡散するので、その一部が無駄になることがあった。また、拡散したエタノール消毒剤組成物が、周囲の人に吸引され健康被害につながるおそれもある。さらに、着火源が近くにあると、火災の原因にもなる。
【0004】
このような問題を解消するために、エタノール消毒剤組成物をフォーマー等により泡状にして、消毒対象に噴射する方法も検討されていた。
【0005】
エタノール消毒剤組成物は、エタノールの濃度が高い程、ウイルス不活性化効果が強いとされている。
しかし、エタノールは、表面張力が低く消泡効果を有する。そのため、強いウイルス不活性化効果を得るためにエタノール消毒剤組成物中のエタノール濃度を高くすると、泡状になりにくいという問題があった。
【0006】
このような問題を解決するための手段として、特許文献1では、泡状にしやすく、充分なウイルス不活性化効果を有するフォーマー用組成物が記載されている。
すなわち、特許文献1には、20~45重量%のエタノールと、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オレイン酸ナトリウム、レシチン、ステアロイル乳酸カルシウム、植物ステロール及びキラヤサポニンからなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とするフォーマー用組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のフォーマー用組成物に含まれる界面活性剤、特にエステル化合物は、アルカリ剤を含むフォーマー用組成物中においては、ある程度の加水分解が生じてしまうことを本発明者は見出した。
【0009】
そのため、特許文献1に記載のフォーマー用組成物は、泡状にしやすく、洗浄力及びウイルス不活性化効果を有し、充分な実用性を備えるものの、当該組成物に含まれる界面活性剤の安定性をより優れたものとし、組成物をより安定なものとするための更なる工夫の余地があった。
【0010】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされた発明であり、本発明の目的は、充分な洗浄力及びウイルス不活性化効果を有するとともに、安定なフォーマー用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、20~45質量%のエタノールと、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸(塩)、α-オレフィンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)、脂肪酸ジエタノールアミド、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)、及び、ラウロイルサルコシン(塩)からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明のフォーマー用組成物は、20~45質量%のエタノールを含む。
エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。
また、後述するアルカリ剤の効果により充分なウイルス不活性化効果を示す。
エタノールの濃度が20質量%未満であると、充分なウイルス不活性化効果が得られにくくなる。
エタノールの濃度が45質量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。
【0013】
本発明のフォーマー用組成物は、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸(塩)、α-オレフィンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)、脂肪酸ジエタノールアミド、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)、及び、ラウロイルサルコシン(塩)からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。これらの界面活性剤は、アルカリ剤併用下でも安定であり、これらの作用効果を充分に発揮できる。
【0014】
本発明のフォーマー用組成物は、アルカリ剤を含む。
本発明のフォーマー用組成物をウイルスに使用した際に、アルカリ剤は、ウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。そのため、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルス不活性化効果が向上すると考えられる。
【0015】
本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00質量%であることが望ましい。
界面活性剤の濃度が0.10質量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。
界面活性剤の濃度が5.00質量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0016】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカリ剤の濃度は、0.10~10.00質量%であることが望ましい。
アルカリ剤の濃度が、0.10質量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アルカリ剤の濃度が、10.00質量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
【0017】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩及びリン酸三塩からなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが望ましい。また、上記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、及び、リン酸三アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが望ましい。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
【0018】
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化用であってもよく、ノロウイルス不活性化用であってもよい。
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化効果を有する。
特に、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルス不活性化効果に優れる。
【0019】
本発明のフォーマーは、本発明のフォーマー用組成物を収容することを特徴とする。
本発明のフォーマーを用いることにより、本発明のフォーマー用組成物を泡状に噴射することができる。
【0020】
本発明は、本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする消毒方法でもある。
本発明はまた、本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする洗浄方法でもある。
上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。
そのため、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のフォーマー用組成物は、充分な洗浄力及びウイルス不活性化効果を示し、アルカリ剤を含みながらも保存安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のフォーマー用組成物について具体的な実施形態を示しながら説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0023】
本発明のフォーマー用組成物は、20~45質量%のエタノールと、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸(塩)、α-オレフィンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)、脂肪酸ジエタノールアミド、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)、及び、ラウロイルサルコシン(塩)からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤と、アルカリ剤とを含むことを特徴とする。
以下の本発明のフォーマー用組成物の各構成材料について説明する。
【0024】
(エタノール)
本発明のフォーマー用組成物は、20~45質量%のエタノールを含む。エタノールの濃度は、25~45質量%であることが望ましく、30~40質量%であることがより望ましい。
エタノールの濃度がこの範囲であると、フォーマー用組成物が泡状になりやすい。
また、後述するアルカリ剤の効果により、充分なウイルス不活性化効果も示す。
エタノールの濃度が20質量%未満であると、充分なウイルス不活性化効果が得られにくくなる。
エタノールの濃度が45質量%を超えると、エタノールの消泡効果により、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。フォーマー用組成物が泡状とならない場合、液だれ等により、所望の位置以外の位置に、フォーマー用組成物が落下、飛散又は付着してしまう。
【0025】
(界面活性剤)
本発明のフォーマー用組成物は、アルカンスルホン酸(塩)、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルグルコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)、アルキル硫酸(塩)、α-オレフィンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)、脂肪酸ジエタノールアミド、スルホベタイン、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)、及び、ラウロイルサルコシン(塩)からなる群から選択される少なくとも1種の界面活性剤を含む。
これらの界面活性剤の界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。
【0026】
本発明のフォーマー用組成物では、上記界面活性剤の濃度は、0.10~5.00質量%であることが望ましく、0.20~3.00質量%であることがより望ましい。
界面活性剤の濃度が0.10質量%未満であると、フォーマー用組成物が泡状になりにくくなる。
界面活性剤の濃度が5.00質量%を超えると、界面活性剤が対象物に残りやすくなる。また、性能が頭打ちになり、費用対効果が低下してしまう。
【0027】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカンスルホン酸(塩)は、アルカンスルホン酸及び/又はその塩を意味する。
【0028】
上記アルカンスルホン酸(塩)におけるアルキル基は、その炭素数は特に限定されないが、8以上、18以下であることが好ましい。
上記アルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基であることが好ましい。
なお、第二級アルキル基は、スルホン酸(塩)基と直接結合する炭素原子に2つのn-アルキル基が結合した構造を有することが好ましい。
【0029】
上記アルカンスルホン酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩がより望ましく、ナトリウム塩が更に望ましい。
上記アルカンスルホン酸(塩)としては、例えば、アルカンスルホン酸ナトリウムが好適なものとして挙げられる。
【0030】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキルアミドプロピルベタインは、アルキルアミドプロピル基をもち、正電荷と負電荷を同一分子内で隣り合わない位置にもつ(例えば、-N+(CH3)2-CH2COO-基をもつ)ものであり、アルキルアミドプロピル基中のアルキル基の炭素数が8~16であるものが好ましい。また、アルキル基は、第一級アルキル基であることが好ましい。アルキルアミドプロピルベタインとしては、例えば、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0031】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキルグルコシドは、アルキル基の炭素数が8~16であるものが好ましい。また、アルキル基は、第一級アルキル基であることが好ましい。アルキルグルコシドとしては、例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ヤシ油アルキルグルコシドが好適なものとして挙げられる。
【0032】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキルジメチルアミンオキシドは、アルキル基の炭素数が8~16であるものが好ましい。また、アルキル基は、第一級アルキル基であることが好ましい。アルキルジメチルアミンオキシドとしては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドが好適なものとして挙げられる。
【0033】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキルベタインは、アルキル基をもち、正電荷と負電荷を同一分子内で隣り合わない位置にもつ(例えば、-N+(CH3)2-CH2COO-基をもつ)ものであり、アルキル基の炭素数が8~24であるものが好ましい。また、アルキル基は、第一級アルキル基であることが好ましい。アルキルベタインとしては、例えば、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ヤシ油アルキルベタインが挙げられる。
【0034】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキルベンゼンスルホン酸(塩)は、アルキルベンゼンスルホン酸及び/又はその塩を意味する。
【0035】
上記アルキルベンゼンスルホン酸(塩)におけるアルキル基は、その炭素数は特に限定されないが、8以上、18以下であることが好ましい。
上記アルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基であることが好ましい。
【0036】
上記アルキルベンゼンスルホン酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩がより望ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
上記アルキルベンゼンスルホン酸(塩)としては、例えば、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好適なものとして挙げられる。
【0037】
本発明のフォーマー用組成物では、アルキル硫酸(塩)は、アルキル硫酸及び/又はその塩を意味する。
【0038】
上記アルキル硫酸(塩)におけるアルキル基は、その炭素数は特に限定されないが、8以上、18以下であることが好ましい。
上記アルキル基は、第一級アルキル基であってもよく、第二級アルキル基であってもよく、第三級アルキル基であってもよいが、第一級アルキル基又は第二級アルキル基であることが好ましい。
【0039】
上記アルキル硫酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、ナトリウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩がより好ましい。
上記アルキル硫酸(塩)としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミンが好適なものとして挙げられる。
【0040】
本発明のフォーマー用組成物では、α-オレフィンスルホン酸(塩)は、α-オレフィンスルホン酸及び/又はその塩を意味する。
【0041】
上記α-オレフィンスルホン酸(塩)におけるα-オレフィン基は、炭素数8~18であることが好ましい。
【0042】
上記α-オレフィンスルホン酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩がより望ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
上記α-オレフィンスルホン酸(塩)としては、α-オレフィンスルホン酸ナトリウムが好適なものとして挙げられる。
【0043】
本発明のフォーマー用組成物では、脂肪酸(塩)は、脂肪酸及び/又はその塩を意味する。
【0044】
上記脂肪酸(塩)は、炭素数8~24であることが好ましい。
【0045】
上記脂肪酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩がより望ましく、ナトリウム塩、カリウム塩が更に望ましい。
上記脂肪酸(塩)としては、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸カリウム、パーム核油脂肪酸ナトリウム、パーム核油脂肪酸カリウムが好適なものとして挙げられる。
【0046】
本発明のフォーマー用組成物では、脂肪酸ジエタノールアミドは、脂肪酸由来の部分の炭素数が8~16であるものが好ましい。
上記脂肪酸ジエタノールアミドとしては、例えば、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドが好適なものとして挙げられる。
【0047】
本発明のフォーマー用組成物では、スルホベタインは、スルホ基(-SO3
-)と、スルホ基の負電荷と隣り合わない位置に正電荷をもつものであり、例えば、スルホ基(-SO3
-)とアルキルジメチルアンモニウム基又はピリジニウム基とを有機基を介して有することが好ましい。
上記アルキルジメチルアンモニウム基中のアルキル基は、その炭素数は特に限定されないが、8以上、18以下であることが好ましい。
上記有機基は、例えば、ヒドロキシ基を有する炭素数1~3のアルキレン基が好ましい。
上記スルホベタインとしては、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタインが好適なものとして挙げられる。
【0048】
本発明のフォーマー用組成物では、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)は、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル及び/又はノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル塩を意味する。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩、アンモニウム塩がより望ましい。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)としては、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステルナトリウム、ノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウムが好適なものとして挙げられる。
【0049】
本発明のフォーマー用組成物では、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)は、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル及び/又はノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩を意味する。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩、アンモニウム塩がより望ましい。
ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)としては、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルナトリウム、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステルアンモニウムが挙げられる。
【0050】
本発明のフォーマー用組成物では、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、そのアルキル基の炭素数が8~18であることが好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルが好適なものとして挙げられる。
【0051】
本発明のフォーマー用組成物では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)は、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩を意味する。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)におけるアルキル基の炭素数は、8~18であることが好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、金属塩がより望ましく、ナトリウム塩がより望ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムが挙げられる。
【0052】
本発明のフォーマー用組成物では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)は、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を意味する。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)におけるアルキル基の炭素数は、8~18であることが好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩がより好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンが挙げられる。
【0053】
なお、上述したノニルフェニルポリオキシエチレンエタン硫酸エステル(塩)、ノニルフェニルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸(塩)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸(塩)において、ポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン基の繰り返し単位数は、1~20であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。また、上述したポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいて、ポリオキシエチレン鎖におけるオキシエチレン基の繰り返し単位数は、2~100であることが好ましく、3~50であることがより好ましい。
【0054】
本発明のフォーマー用組成物では、ラウロイルサルコシン(塩)は、ラウロイルサルコシン及び/又はラウロイルサルコシン塩を意味する。
上記ラウロイルサルコシン塩は、金属塩、アンモニウム塩、及び、有機アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、有機アミン塩がより好ましい。
上記ラウロイルサルコシン塩としては、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルサルコシンカリウム、ラウロイルサルコシントリエタノールアミンが挙げられる。
【0055】
これらの界面活性剤は、アルカリ剤を含むフォーマー用組成物中で長期間安定であり、分解しにくい。また、これらの界面活性剤は、界面活性作用により、フォーマー用組成物を泡状にすることができる。さらに、本発明のフォーマー用組成物の使用時に、対象物を洗浄することもできる。
【0056】
(アルカリ剤)
本発明のフォーマー用組成物は、アルカリ剤を含む。
アルカリ剤は、ウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
そのため、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
また、アルカリ剤は、油汚れに対する洗浄力を向上させることができる。
【0057】
また、アルカリ剤により、フォーマー用組成物のpHを調整することができる。
【0058】
本発明のフォーマー用組成物では、アルカリ剤の濃度は、0.10~10.00質量%であることが望ましく、0.10~5.00質量%であることがより望ましく、0.10~3.00質量%であることがさらに望ましく、0.20~2.00質量%であることがよりさらに望ましい。
アルカリ剤の濃度が、0.10質量%未満であると、アルカリ剤を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アルカリ剤の濃度が、10.00質量%を超えると、pHが強アルカリ性になりやすく、また、保管中にアルカリ剤が析出しやすくなり、扱いにくくなる。
【0059】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アルカリ剤は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸二水素塩、リン酸水素二塩、及び、リン酸三塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
また、上記アルカリ剤は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種の塩であることが望ましい。
より具体的には、上記アルカリ剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、及び、リン酸三アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることがより望ましい。
これらのアルカリ剤は、ウイルス不活性化効果を向上させることができる。
【0060】
(アミノ酸)
本発明のフォーマー用組成物は、さらにアミノ酸を含むことが望ましい。
アミノ酸の分子内の窒素原子の非共有電子対は、上記アルカリ剤との相乗効果によってウイルスの膜構造を変化させることができると考えられる。
このような作用により、エタノールがウイルスに接触しやすくなり、ウイルスを不活性化することができると考えられる。
【0061】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸の濃度は、0.05~5.00質量%であることが望ましく、0.05~3.00質量%であることがより望ましく、0.10~2.00質量%であることがさらに望ましい。
アミノ酸の濃度が、0.05質量%未満であると、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果が発揮されにくい。
アミノ酸の濃度が、5.00質量%を超えると、保管中にアミノ酸が析出しやすくなる。また、アミノ酸を含むことによるウイルス不活性化効果の向上が上限に近づき経済的でない。
【0062】
本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、トレオニン(スレオニン)、システイン、メチオニン、プロリン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジン、リシン、シスチン、テアニン、タウリン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アルギニングルタミン酸塩、リシンアスパラギン酸塩及びリシングルタミン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
これらのアミノ酸は、アルカリ剤との相乗効果によってウイルスを不活性化するのに適している。
【0063】
また、本発明のフォーマー用組成物では、上記アミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン及びこれらのアミノ酸は塩基性アミノ酸である。リシンからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
塩基性アミノ酸は、分子内に複数の窒素原子を有する。そのため、アルカリ剤との相乗効果によるウイルスの膜構造の変化を、より効果的に起こすことができる。
【0064】
なお、本発明のフォーマー用組成物を製造する際に、アミノ酸は、アミノ酸塩の態様で使用してもよい。特に、アミノ酸塩を構成するアミノ酸が塩基性アミノ酸である場合、アミノ酸塩は塩酸塩であることが望ましい。
【0065】
(酸剤)
本発明のフォーマー用組成物は、さらに酸剤を含むことが望ましい。また、上記酸剤としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、リン酸、酒石酸、フィチン酸、アジピン酸、グルコン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
フォーマー用組成物が酸剤を含むことで、ウイルス不活性化効果がさらに向上する。また、酸剤を用いることにより、フォーマー用組成物のpHを調整することができる。
【0066】
本発明のフォーマー用組成物では、上記酸剤の濃度は、0.001~2.00質量%であることが望ましく、0.01~1.00質量%であることがより望ましい。
酸剤の濃度が、0.001質量%未満であると、酸剤の濃度が低すぎ、エタノールのウイルス不活性化効果を充分に増強させにくい。
酸剤の濃度が、2.00質量%を超えると、酸剤の濃度が高すぎ、フォーマー用組成物を噴射等した際に、べとつきやすくなり、また、酸剤の析出が生じやすくなる。また、pHが低くなりやすく身体に使用した際、又は、身体に付着した際に刺激性が現れる。
【0067】
また、本発明のフォーマー用組成物は、上記酸剤の塩を含んでいてもよい。
【0068】
(その他の添加物)
本発明のフォーマー用組成物は、さらに、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、カラギナン、タマリンド及びアルギン酸からなる群から選択される少なくとも1種の増粘剤を含んでいてもよい。
フォーマー用組成物が増粘剤を含むことにより、フォーマー用組成物の粘度を調整しやすくなる。
【0069】
本発明のフォーマー用組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アンモニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム、ヨウ化ナトリウム等の無機塩を含んでいてもよい。
【0070】
本発明のフォーマー用組成物は、さらに、グリセリン、酢酸トコフェロール等の化合物や、粘度調整剤等の添加物を含んでいてもよい。
【0071】
(フォーマー用組成物のpH)
本発明のフォーマー用組成物のpHは、特に限定されない。
例えば、本発明のフォーマー用組成物がアミノ酸を含まない場合には、本発明のフォーマー用組成物のpHは、7~14であることが望ましく、8~13であることがより望ましい。
このような範囲であると、フォーマー用組成物のウイルス不活性化効果が向上する。
【0072】
また、本発明のフォーマー用組成物が、アミノ酸を含む場合には、本発明のフォーマー用組成物のpHは、3~12であることが望ましく、6~11であることがより望ましい。
上記の通り、本発明のフォーマー用組成物がアミノ酸を含む場合、アルカリ剤及びアミノ酸の相乗効果により、本発明のフォーマー用組成物は、充分なウイルス不活性化効果を示す。
特にpHが6~11であると、作業者の手等に本発明のフォーマー用組成物が付着したとしても安全である。さらに、中性であればより安全である。
【0073】
なお、本発明のフォーマー用組成物のpHは、アルカリ剤、酸剤及び無機塩の配合比率を変えることにより調整することができる。
【0074】
なお、本発明のフォーマー用組成物は、上述した本発明に係る界面活性剤等の、食品又は食品添加物として認められていない化合物を含んでいても構わない。
本発明のフォーマー用組成物は、洗浄とウイルス対策のために充分に使用できるものである。
なお、本明細書において「食品添加物として認められている化合物」とは、食品衛生法施行規則(平成二七年九月一八日厚生労働省令第一四三号による改正)の別表1に記載された指定添加物、既存添加物、天然香料及び一般飲食添加物を意味する。
【0075】
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルスに対し使用されることが望ましい。すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化用であることが望ましい。
本発明のフォーマー用組成物は、ウイルス不活性化効果を有する。
【0076】
また、使用対象であるウイルスの種類としては、特に限定されず、エンベロープウイルスであってもよく、ノンエンベロープウイルスであってもよい。
エンベロープウイルスとしては、インフルエンザウイルス、コロナウイルス等が挙げられる。
ノンエンベロープウイルスとしては、ノロウイルス等が挙げられる、
【0077】
本発明のフォーマー用組成物は、インフルエンザウイルスを試験ウイルスとした下記インフルエンザウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上小さいことが望ましく、4.0以上小さいことがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、インフルエンザウイルスの感染を防止することができる。
【0078】
(インフルエンザウイルス感染力価測定)
(1)インフルエンザウイルスを、イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来株化細胞であるMDCK細胞に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、インフルエンザウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)フォーマー用組成物と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、2μg/mLトリプシン(牛脾臓由来結晶)を含むEMEM培地(以下、トリプシン含有EMEM培地)で100倍希釈することにより、フォーマー用組成物のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液を1分作用ウイルス溶液とする。
(5)トリプシン含有EMEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、トリプシン含有EMEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液を0分作用ウイルス溶液とする。
(6)0分作用ウイルス溶液、1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、トリプシン含有EMEM培地により10倍段階希釈した。MDCK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加えた。
(7)0分作用ウイルス溶液及び1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたMDCK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養する。
(8)培養したMDCK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
【0079】
本発明のフォーマー用組成物は、ネコカリシウイルスを試験ウイルスとした下記ネコカリシウイルス感染力価測定において、作用時間1分におけるウイルス感染力価(対数)の値が、作用時間0分におけるウイルス感染力価(対数)の値より2.0以上減少していることが望ましく、4.0以上減少していることがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物が、このようなウイルス不活性化効果を奏すると、カリシウイルス科ウイルスの感染を防止することができる。
【0080】
(ネコカリシウイルス感染力価測定)
(1)ネコカリシウイルスを、ネコ腎由来株化細胞であるCRFK細胞(ATCC CCL-94)に感染させて細胞を培養する。
(2)次に、ネコカリシウイルスが感染したかどうかを細胞変性効果(Cytopathic effect:CPE)により確認する。
細胞変性効果を確認した後、培養細胞の凍結融解を繰り返すことにより、培養細胞を破砕する。
(3)次に、得られた培養細胞破砕液を遠心分離し、上清をウイルス溶液とする。
(4)ウイルス不活性化剤と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合し、室温で1分経過後、OPTI-MEM培地で100倍希釈することにより、ウイルス不活性化剤のウイルスに対する作用を停止させる。
この工程により得られた溶液をウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液とする。
(5)OPTI-MEM培地と、ウイルス溶液とを9:1の割合(容量)で混合した直後、OPTI-MEM培地で100倍希釈することにより、得られた溶液をウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液とする。
(6)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を、それぞれ、OPTI-MEM培地により10倍段階希釈する。CRFK細胞を培養した96wellマイクロプレートの培地を捨て、段階希釈液を100μLずつ加える。
(7)ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液及びウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液の段階希釈液が加えられたCRFK細胞を37℃、5%CO2の条件で、4日間培養する。
(8)培養したCRFK細胞のCPEを指標にTCID50(Tissue Culture Infectious Dose 50%)により各ウイルス溶液のウイルス感染力価(対数)を定量する。
(9)上記(1)~(8)の工程を3回独立に行い、ウイルス不活性化剤0分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間0分におけるウイルス感染力価とし、ウイルス不活性化剤1分作用ウイルス溶液を用いて算出されたウイルス感染力価の平均値を、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値とする。
【0081】
中でも、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルスに対し使用されることがより望ましい。すなわち、本発明のフォーマー用組成物は、ノロウイルス不活性化用であることがより望ましい。
本発明のフォーマー用組成物は、特に、ノロウイルス不活性化効果に優れる。
【0082】
本明細書において、「ノロウイルス用のフォーマー用組成物」とは、ネコカリシウイルス、マウスノロウイルス及びヒトノロウイルスからなる群から選択される少なくとも1種のウイルスに対してウイルス不活性化効果を有するフォーマー用組成物の事を意味する。
なお、ヒトノロウイルスは、培養細胞を用いて増殖させる方法は確立されていない。
そのため、ヒトノロウイルスの不活性化に対するウイルス不活性化効果の検証には、代替ウイルスとして上述したネコカリシウイルス(FCV)等が広く用いられている。FCVは、形態的特徴やゲノムの構造から、ヒトノロウイルスに近縁なウイルスであることが明らかにされている。
【0083】
次に、本発明のフォーマー用組成物の使用方法、すなわち、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法について説明する。
本発明の消毒方法は、上記本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の洗浄方法は、上記本発明のフォーマー用組成物を、泡状にして対象物に噴射する工程を含むことを特徴とする。
【0084】
上記の通り本発明のフォーマー用組成物は、泡状に噴射するのに適している。
そのため、本発明の消毒方法及び本発明の洗浄方法では、上記本発明のフォーマー用組成物を泡状にして対象物に噴射するので、対象物に確実にフォーマー用組成物を接触させることができる。
【0085】
本発明のフォーマー用組成物を、泡状に噴射する手段として、ハンドガンタイプのフォーマー、泡ポンプタイプのフォーマー等、通常のフォーマーを用いることができる。
このようなフォーマーは、キャニヨン株式会社、株式会社吉野工業所、株式会社ライフプラテック、竹本容器株式会社、AFA Dispensing社等から購入することができる。
【0086】
また、本発明のフォーマー用組成物を収容するフォーマーは本発明のフォーマーでもある。
【0087】
本発明の消毒方法において、消毒の対象物としては、手先等の生体部位や、テーブル、椅子、床、ショーケース、厨房部材、調理器具、食品製造時に使用する機器や設備等が挙げられ、特に限定されるものではない。
【0088】
また、本発明のフォーマー用組成物を対象物に噴射した後、カウンタークロス等の布により、本発明のフォーマー用組成物を拭き取ってもよい。
【実施例】
【0089】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例において特に断らない限り「部」は「重量部」を「%」は「質量%」をそれぞれ意味する。
【0090】
(実施例1~12)及び(比較例1~6)
表1及び表2に示す配合で、実施例1~12及び比較例1~6のフォーマー用組成物を作製した。
なお、表1及び表2中、化合物の製造元等は以下の通りである。
エタノール:発酵アルコール95度1級(第一アルコール株式会社製)
アルカンスルホン酸ナトリウム:HOSTAPUR SAS 30(クラリアントジャパン株式会社製)
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン:GENAGEN CAB-818J(グローバルアミンズジャパン株式会社製)
ラウリルグルコシド:マイドール12(花王株式会社製)
ラウリルジメチルアミンオキシド:Genaminox K-12(グローバルアミンズジャパン株式会社製)
ラウリルベタイン:ニッサンアノンBL(日油株式会社製)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:テイカパワーL-124(テイカ株式会社製)
ラウリル硫酸ナトリウム:NIKKOL SLS(日光ケミカルズ株式会社製)
α-オレフィンスルホン酸ナトリウム:リポランLJ-441(ライオンスペシャリティケミカルズ株式会社製)
ラウリン酸カリウム:ノンサールLK-2(日油株式会社製)
オレイン酸ナトリウム:ノンサールON-A(日油株式会社製)
ラウリン酸ジエタノールアミド:アミコールLDE-1(ミヨシ油脂株式会社製)
ラウロイルヒドロキシスルホベタイン:アンヒトール20HD(花王株式会社製)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル:ノイゲンLP-100(第一工業製薬株式会社製)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:アルスコープTH-330K(東邦化学工業株式会社製)
ラウロイルサルコシンナトリウム:ソイポンSLE(川研ファインケミカル株式会社製)
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル:ウィルサーフTF-20(日油株式会社製)
ショ糖脂肪酸エステル:リョートーシュガーエステルL-1695(三菱化学フーズ株式会社製)
ポリグリセリン脂肪酸エステル:SYグリスターML-500(阪本薬品工業株式会社製)
水酸化ナトリウム:トーソーパール(東ソー株式会社製)
水酸化カリウム:カセイカリ(旭硝子株式会社製)
水酸化カルシウム:水酸化カルシウム(富田製薬株式会社製)
炭酸水素ナトリウム:重炭酸ナトリウム(東ソー株式会社製)
炭酸ナトリウム:ソーダ灰(ライト)(株式会社トクヤマ製)
炭酸カリウム:炭酸カリウム(旭硝子株式会社製)
アルギニン:L-アルギニン(株式会社サンクト製)
ヒスチジン:L-ヒスチジン(株式会社サンクト製)
リシン塩酸塩:L-リシン塩酸塩(株式会社サンクト製)
グリシン:ユーキのグリシン(有機合成薬品工業株式会社製)
アラニン:DL-アラニン(株式会社武蔵野化学研究所製)
バリン:L-バリン(協和発酵バイオ株式会社製)
ロイシン:L-ロイシン(株式会社サンクト製)
クエン酸:精製クエン酸(無水)(扶桑化学工業株式会社製)
【0091】
【0092】
【0093】
(界面活性剤の残存率)
各実施例及び各比較例のフォーマー用組成物を、45℃で1週間又は2週間放置した。
アルカンスルホン酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルグルコシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリルベタイン、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウロイルヒドロキシスルホベタイン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウムを含む各実施例のフォーマー用組成物においては、液体クロマトグラフ分析装置を用いて、各界面活性剤成分の標準液から作成した検量線により、各フォーマー用組成物中の界面活性剤残存率を算出した。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む各比較例のフォーマー用組成物においては、エステル化合物のままでは液体クロマトグラフ分析装置で定量できないことから、これを定量可能な脂肪酸に変換したうえで残存率を測定した。すなわち、残存率確認用の試料として、各フォーマー用組成物を0.5%水酸化ナトリウム水溶液で希釈して、室温で3時間放置後完全に分解させ、その脂肪酸量と、各フォーマー用組成物中の脂肪酸量を、実施例と同様に液体クロマトグラフ質量分析法(LC/MS)で測定し、得られた脂肪酸の含量を比較することで、各比較例のフォーマー用組成物中の界面活性剤の残存率を算出した。
【0094】
結果を表1及び表2に示す。評価基準は以下の通りである。
残存率が90%以上:A
残存率が50%以上、90%未満:B
残存率が50%未満:C
【0095】
(インフルエンザウイルス感染力価測定)
各実施例に係るフォーマー用組成物を用い、上記(インフルエンザウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0096】
(ネコカリシウイルス感染力価測定)
各実施例に係るフォーマー用組成物を用い、上記(ネコカリシウイルス感染力価測定)の方法に基づき、作用時間0分におけるウイルス感染力価の値と、作用時間1分におけるウイルス感染力価の値との差を算出して評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:4.0以上の感染力価の減少(充分な効果あり)
B:2.0以上、4.0未満の感染力価の減少(効果あり)
C:2.0未満の感染力価の減少(効果なし)
【0097】
(洗浄力の評価)
黒色のポリプロピレン製ダンボール(10cm×10cm)に油汚れを想定した大豆白絞油0.3gと、手垢汚れを想定した人口皮脂(トリオレイン30%、トリパルミチン30%、オレイン酸15%、パルミチン酸15%、スクアレン10%)0.15gをそれぞれ塗布し、マグネチックスターラーの上に設置した。
それぞれの塗布した汚れの上に、各実施例のフォーマー用組成物を0.5mL滴下した。円盤型撹拌子(直径4cm)をレーヨン100%不織布(10cm×10cm)で包み、上部をクリップで固定した。それを滴下した各実施例に係るフォーマー用組成物の上に置き、40rpmの回転数で30秒間回転させた。回転後、円盤型撹拌子を取り除き、目視でポリプロピレン製ダンボール表面に残った汚れの落ち度合いを評価した。評価基準は以下の通りである。結果を表1に示す。
A:油汚れ、手垢汚れともに大部分の汚れが除去された。
B:油汚れ、手垢汚れの一部の汚れが除去された。
C:油汚れ、手垢汚れともに汚れがほとんど除去されなかった。
【0098】
本発明に係る界面活性剤を含む実施例1~12のフォーマー用組成物は、表1に示すように、「インフルエンザウイルス感染力価測定」、「ネコカリシウイルス感染力価測定」、及び、「洗浄力の評価」のいずれの評価も良好であった。また、45℃の条件下で界面活性剤が分解しにくく、保存安定性に非常に優れるものであった。一方、本発明に係る界面活性剤を含まない比較例1~6のフォーマー用組成物は、表2に示すように、45℃の条件下では界面活性剤が分解しやすく、実用的な保存安定性を有するものの、本発明のフォーマー用組成物ほどの良好な保存安定性は発揮できなかった。