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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】照明システム
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240521BHJP
   F21V 21/26 20060101ALI20240521BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20240521BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240521BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20240521BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20240521BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240521BHJP
【FI】
F21S2/00 365
F21V21/26 370
F21V21/30 300
F21V23/00 140
F21V14/02 200
F21Y113:13
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020089457
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184346
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 オーデリック株式会社が令和元年5月24日に発行した刊行物「HABITATION STRUCTURAL LIGHTING 2019-2020 Vol.178」に掲載 オーデリック株式会社が令和元年10月7日に発行した刊行物「TUMBLER MOTOR DRIVEN SPOT LIGHT」に掲載 オーデリック株式会社が令和元年11月6日に発行した刊行物「CONNECTED LIGHTING Vol.2」に掲載 オーデリック株式会社が令和元年7月17日に宮城県仙台市の産業見本市会館サンフェスタ 4F レセプションホールにて展示 オーデリック株式会社が令和元年7月24日及び25日に東京都杉並区のオーデリック株式会社 2F ショールームにて展示 オーデリック株式会社が令和元年7月10日に愛知県名古屋市の名古屋コンベンションホール 3F メインホールにて展示 オーデリック株式会社が令和元年8月7日に大阪府大阪市のOMM 2F 展示ホールAにて展示 オーデリック株式会社が令和元年8月28日に福岡県福岡市の福岡ファッションビル 8F Aホールにて展示 オーデリック株式会社が令和元年10月1日から令和2年5月22日の間に計44店舗に対し販売 オーデリック株式会社が令和元年6月17日、令和元年10月11日、令和元年10月26日及び令和元年12月4日に自らのウェブサイトにて公開 オーデリック株式会社が令和元年10月1日にYouTubeにて公開 テレビ東京系列局が令和2年4月25日にテレビ放送にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000103633
【氏名又は名称】オーデリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 敦史
(72)【発明者】
【氏名】日輪 孝明
(72)【発明者】
【氏名】楠本 裕介
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-517622(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0116635(US,A1)
【文献】特開平07-078692(JP,A)
【文献】実開平04-127912(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0016106(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 21/26
F21V 21/30
F21V 23/00
F21V 14/02
F21Y 113/13
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光の照射方向を可変制御することが可能な可変照明装置と、
前記可変照明装置に対して制御信号を出力可能な遠隔式操作端末と
を備える照明システムであって、
予め設定したタイマ実行時間が到来した際に、予め設定した照射方向となるよう前記可変照明装置を動作させるよう構成されており、
前記可変照明装置は、照射方向に関する情報を前記遠隔式操作端末に対して出力可能に構成されており、
前記遠隔式操作端末は、前記可変照明装置から受信した前記照射方向に関する情報を表示可能な操作表示画面を備える
ことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記可変照明装置は、複数設けられており、
各可変照明装置は、他の可変照明装置との間で相互に双方向無線通信が可能であり、
複数の前記可変照明装置によりメッシュ型ネットワークを構築可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記可変照明装置は、旋回動作可能に構成されており、
前記可変照明装置は、旋回角度検出センサを備えるとともに、該旋回角度検出センサから検出された旋回角度検出信号を前記遠隔式操作端末に対して出力可能に構成されており、
前記遠隔式操作端末は、前記可変照明装置から受信した前記旋回角度検出信号に基づいて、前記操作表示画面に前記可変照明装置の旋回角度に関する情報を表示可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記可変照明装置は、首振動作可能に構成されており、
前記可変照明装置は、首振角度検出センサを備えるとともに、該首振角度検出センサから検出された首振角度検出信号を前記遠隔式操作端末に対して出力可能に構成されており、
前記遠隔式操作端末は、前記可変照明装置から受信した前記首振角度検出信号に基づいて、前記操作表示画面に前記可変照明装置の首振角度に関する情報を表示可能に構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗や展示場等には各種の照明装置が設置されている。例えば、照明装置としては、スポットライトやシーリングライトやダウンライトやペンダントライトやブラケットライト等がある。これら照明装置の中には、遠隔操作により、点灯・消灯、調光(輝度の調整)及び調色(色温度の調整)の制御ができるものがある。照明装置を遠隔操作する際には、近距離無線通信方式を用いて、遠隔式操作端末から照明装置に制御信号を送っている(特許文献1参照)。
【0003】
スポットライトの中には、モータ駆動タイプの可変照明装置(ムービングスポットライト)がある。この可変照明装置では、モータの駆動状態を遠隔操作することにより、照射方向をパン(Pan、水平面内での旋回)したりチルト(Tilt、鉛直面内での首振)したりする照射方向の制御や、配光角度の制御をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-289369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の照明システムでは、照射方向や配光角度の制御を操作者が都度手動で調整する必要があり、タイマ機能によるタイマ制御により実行させることはできなかった。
【0006】
本発明は、タイマ機能によるタイマ制御により照射方向の制御を実行させることができる照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明システムは、照明光の照射方向を可変制御することが可能な可変照明装置と、前記可変照明装置に対して制御信号を出力可能な遠隔式操作端末とを備える照明システムであって、予め設定したタイマ実行時間が到来した際に、予め設定した照射方向となるよう前記可変照明装置を動作させるよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る照明システムは、前記可変照明装置は、複数設けられており、各可変照明装置は、他の可変照明装置との間で相互に双方向無線通信が可能であり、複数の前記可変照明装置によりメッシュ型ネットワークを構築可能であるよう構成されていても良い。
【0009】
さらに、本発明に係る照明システムにおいて、前記遠隔式操作端末は、前記タイマ実行時間を設定可能に構成されており、前記タイマ実行時間が到来した際に、前記制御信号を出力するよう構成されていても良い。
【0010】
またさらに、本発明に係る照明システムは、前記遠隔式操作端末から出力された前記制御信号が、該制御信号を受信した可変制御装置及び前記メッシュ型ネットワークを介して、該メッシュ型ネットワークを構築する全ての可変照明装置に伝送されるよう構成されていても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイマ機能によるタイマ制御により照射方向の制御を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る照明システムを示す構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る照明システムに用いる可変照明装置を、ライティングダクトレールに備えた状態で示す正面図である。
図3】本発明の実施形態に係る照明システムに用いる可変照明装置を、ライティングダクトレールに備えた状態で示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る照明システムに用いる可変照明装置を、ライティングダクトレールに備えた状態で示す斜視図である。
図5図2のV-V断面図である。
図6】灯具の後側筒部を示す正面図である。
図7】第1駆動部を、磁気式エンコーダを取り外した状態で、分解して示す斜視図である。
図8】第1駆動部を示す斜視図である。
図9】第1駆動部に備えた旋回角度検出センサを示す斜視図である。
図10】旋回角度検出センサの磁石を示す斜視図である。
図11】第2駆動部を示す斜視図である。
図12】ケーブルを、保護チューブを一部破断した状態で示す構成図である。
図13】可変照明装置の制御系及びタブレットを示すブロック構成図である。
図14】タブレットの操作表示画面に表示したアングル設定画面を示す画面図である。
図15】タブレットの操作表示画面に表示したシーン設定画面を示す画面図である。
図16】タブレットの操作表示画面に表示した別のシーン設定画面を示す画面図である。
図17】タブレットの操作表示画面に表示したタイマ設定画面を示す画面図である。
図18】タブレットの操作表示画面に表示した別のタイマ設定画面を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態に係る照明システムを詳細に説明する。
【0014】
[照明システムの全体構成の説明]
まず、本実施形態に係る照明システムの全体構成を、図1を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る照明システムLSは、複数台(例えば、12台)の可変照明装置(ムービングスポットライト)10と、遠隔式操作端末であるタブレット90により構成されている。
【0015】
各可変照明装置10は、点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向及び配光角度の制御ができる、モータ駆動タイプのムービングスポットライトである。
【0016】
本明細書において、「調光」とは、可変照明装置10の照明光の明るさを段階的又は無段階的(連続的)に調整することをいい、「調色」とは、可変照明装置10の照明光の色(色温度)を段階的又は無段階的(連続的)に調整することをいう。また、「照射方向の制御」とは、可変照明装置10の照明光の照射方向をパン(Pan、水平面内での旋回)したりチルト(Tilt、鉛直面内での首振)したりすることにより段階的又は無段階的(連続的)に可変制御することをいう。さらに、「配光角度」とは、可変照明装置10の照明光の広がり角度、すなわち、照明光の照明範囲をいい、「配光角度の制御」とは、該配光角度を段階的又は無段階的(連続的)に可変制御することをいう。
【0017】
各可変照明装置10は通信モジュール(後述)を内蔵しており、近距離無線通信方式、例えばブルートゥース(Bluetooth 5.0:登録商標)により、隣接するもの同士で相互に送信・受信ができ、隣接する一方をマスタとし隣接する他方をスレイブとするコネクションによって接続されている。これにより、各可変照明装置10同士は双方向無線通信が可能となり、これら12台の可変照明装置10により、メッシュ型ネットワークMNが構築されている。なお、図1では、屈曲した両矢印により「コネクション」を示している。
【0018】
12台の各可変照明装置10は、これらを識別するため、デバイスID(identification)としてNо.1~Nо.12を有している。
また、図1に示す実施形態では、Nо.1~Nо.12の可変照明装置10は、第1グループと第2グループに分かれている。第1グループに属しているNо.1~Nо.6の各可変照明装置10は、グループIDとしてG1を有しており、第2グループに属しているNо.7~Nо.12の各可変照明装置10は、グループIDとしてG2を有している。つまり、各可変照明装置10は、各装置に備えられているメモリに、各装置が属するグループのグループIDが記憶されている。
【0019】
タブレット90は、通信機能を有しており、近距離無線通信方式、例えばブルートゥース(Bluetooth 5.0:登録商標)により、複数の可変照明装置10のうちの1つ(例えば、最も距離的に近いもの又は最も通信強度が高いもの等)との間で相互に送信・受信ができるように構成されている。図1の例では、タブレット90とNо.1の可変照明装置10とがコネクションによって接続されており、タブレット90とNо.1の可変照明装置10との間で、双方向無線通信が可能となっている。なお、タブレット90は、常にNо.1の可変照明装置10と接続しているとは限らず、タブレット90の移動等に応じてNо.1の可変照明装置10以外の可変照明装置10と接続することもあり得る。
【0020】
タブレット90は、点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向(旋回(パン)及び首振(チルト))及び配光角度の制御等をするために、各種の制御信号等を出力する。更にタブレット90はタイマ機能を有している。
【0021】
本実施形態では、上述したように、タブレット90と可変照明装置10との間や、メッシュ型ネットワークMNを構成する各可変照明装置10の相互間において、双方向無線通信をする通信方式として、ブルートゥース(Bluetooth 5.0:登録商標)を用いている。このため、通信の信頼性が高く、且つ、多種類の信号の送信・受信が可能になっている。つまり、ブルートゥース(Bluetooth 5.0:登録商標)では、2.4GHz帯の40チャネルのうち、使用している1つのチャネルが電波干渉などにより繋がらなくなった場合に、他のチャネルの中から電波干渉が発生していないチャネルを選択し、使用するチャネルを、電波干渉が発生していない安定したチャネルにホッピングする動作を、通信を遮断することなく行うことができるため、通信信頼性が高い。また、ブルートゥース(Bluetooth 5.0:登録商標)では、信号発生部を多く設定することができるため、多種類の信号の送信・受信ができ、これにより後述するように、タイマ機能により、「点灯・消灯、調光及び調色の制御」のみならず「照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の制御」をもタイマ制御により実行することができる。
【0022】
なお、可変照明装置10の機械構成及び制御構成の詳細や、タブレット90の操作画面や各信号の設定方法等の詳細については後述する。
【0023】
[リアルタイムの制御動作の説明]
リアルタイムの制御動作の概要を先に説明すると、次のとおりである。即ち、リアルタイムの制御動作では、操作者は、可変照明装置10の光源が発する光の発光状態である点灯・消灯、調光及び調色の状態や、可変照明装置10から出射される出射光(照明光)の照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を視認しながら、タブレット90を操作して制御信号を出力する。このように、操作者は、各状態を視認しながら制御信号を出力して、「点灯・消灯、調光及び調色の制御」並びに「照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の制御」を行う。そして、適切な「点灯・消灯、調光及び調色の状態」及び「照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態」になったところでタブレット90による制御を終了する。
以下に、リアルタイムの制御動作を順に説明する。
【0024】
まず、操作者は、複数の可変照明装置10のうち、例えば第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10を特定して制御したい場合には、グループIDとしてG1をタブレット90に設定する。
【0025】
その後、操作者はタブレット90を操作して、例えば、後述する各制御信号をタブレット90から出力することにより、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10の光源の点灯・消灯、調光及び調色の制御や、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10から出射される出射光の照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の制御をする。これにより、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態や、照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を、同時に連動して制御することができる。
【0026】
なお、この例では、第1グループのグループIDを示すG1がタブレット90に設定されているため、タブレット90から出力される各制御信号には、グループID=G1というグループID情報が紐づけされている。つまり、各制御信号は、グループID=G1というグループID情報が付加された状態で、タブレット90から出力される。
各制御信号がタブレット90から出力されたときの制御状態は、次のとおりである。
【0027】
点灯指示を情報として有している点灯・消灯制御信号C4がタブレット90から出力されると、この点灯・消灯制御信号C4は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された点灯・消灯制御信号C4は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている点灯・消灯制御信号C4を受信したら、この点灯・消灯制御信号C4を取り込み、取り込んだ点灯・消灯制御信号C4に応じて当該可変照明装置10の光源を点灯させる制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、点灯・消灯制御信号C4を受信しても、この点灯・消灯制御信号C4にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この点灯・消灯制御信号C4を取り込むことなく、点灯動作はしない。
【0028】
消灯指示を情報として有している点灯・消灯制御信号C4がタブレット90から出力されると、上述したのと同様に点灯・消灯制御信号C4の伝送や取り込みが行われて、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10において光源の消灯制御がされる。
なお、次に説明する調光制御及び調色制御は、対象とするNо.1~Nо.6の可変照明装置10が点灯していることを前提としている。
【0029】
調光度を情報として有している調光制御信号C5がタブレット90から出力されると、この調光制御信号C5は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された調光制御信号C5は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている調光制御信号C5を受信したら、この調光制御信号C5を取り込み、取り込んだ調光制御信号C5に応じて当該可変照明装置10の光源の調光度を制御する制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、調光制御信号C5を受信しても、この調光制御信号C5にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この調光制御信号C5を取り込むことなく、調光度の制御動作はしない。
【0030】
調色度を情報として有している調色制御信号C6がタブレット90から出力されると、この調色制御信号C6は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された調色制御信号C6は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている調色制御信号C6を受信したら、この調色制御信号C6を取り込み、取り込んだ調色制御信号C6に応じて当該可変照明装置10の光源の調色度を制御する制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、調色制御信号C6を受信しても、この調色制御信号C6にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この調色制御信号C6を取り込むことなく、調色度の制御動作はしない。
【0031】
旋回角度を情報として有している旋回制御信号C1がタブレット90から出力されると、この旋回制御信号C1は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された旋回制御信号C1は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている旋回制御信号C1を受信したら、この旋回制御信号C1を取り込み、取り込んだ旋回制御信号C1に応じて当該可変照明装置10の旋回角度を制御する制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、旋回制御信号C1を受信しても、この旋回制御信号C1にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この旋回制御信号C1を取り込むことなく、旋回角度の制御動作はしない。
【0032】
首振角度を情報として有している首振制御信号C2がタブレット90から出力されると、この首振制御信号C2は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された首振制御信号C2は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている首振制御信号C2を受信したら、この首振制御信号C2を取り込み、取り込んだ首振制御信号C2に応じて当該可変照明装置10の首振角度を制御する制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、首振制御信号C2を受信しても、この首振制御信号C2にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この首振制御信号C2を取り込むことなく、首振角度の制御動作はしない。
【0033】
なお、旋回制御信号C1及び首振制御信号C2により、可変照明装置10の旋回角度及び首振角度が制御されて照射方向が決まるので、両信号C1,C2が、照射方向制御信号になる。
【0034】
配光角度を情報として有している配光角度制御信号C3がタブレット90から出力されると、この配光角度制御信号C3は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された配光角度制御信号C3は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている配光角度制御信号C3を受信したら、この配光角度制御信号C3を取り込み、取り込んだ配光角度制御信号C3に応じて当該可変照明装置10から出射される出射光の配光角度を制御する制御動作をする。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、配光角度制御信号C3を受信しても、この配光角度制御信号C3にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この配光角度制御信号C3を取り込むことなく、配光角度の制御動作はしない。
【0035】
上述したように、グループIDとしてG1をタブレット90に設定して、点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向(旋回(パン)及び首振(チルト))及び配光角度の制御をする場合には、各制御信号C1~C6は、グループID=G1というグループID情報が紐づけ(付加)されて出力される。このため、グループIDとしてG1を有している第1グループのNо.1~Nо.6の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態を同一状態にする制御や、照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を同一状態にする制御を、同時に連動して実施することができる。この結果、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態を連動して容易に同一状態に設定することができると共に、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10の照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を連動して容易に同一状態に設定することができる。
【0036】
なお、グループIDとしてG2をタブレット90に設定して、点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向(旋回(パン)及び首振(チルト))及び配光角度の制御をする場合には、各制御信号C1~C6は、グループID=G2というグループID情報が紐づけ(付加)されて出力される。このため、第1グループでの制御と同様にして、各制御信号C1~C6を出力することにより、グループIDとしてG2を有している第2グループのNо.7~Nо.12の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態を同一状態にする制御や、照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を同一状態にする制御を、同時に連動して実施することができる。この結果、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態を連動して容易に同一状態に設定することができると共に、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10の照射方向(パン及びチルト)及び配光角度の状態を連動して容易に同一状態に設定することができる。
【0037】
なお上記の例では、第1グループと第2グループの2つのグループを設定したが、設定できるグループの数は更に多くすることができる。各グループ(1つのグループ)には、1~複数のデバイスIDを設定することができる。
【0038】
したがって、例えば、1グループに1つの可変照明装置10(デバイスID)を設定した場合、つまり、第1グループ~第12グループに、12台の可変照明装置のデバイスIDを1対1の状態で設定した場合には、1台(1グループ)の可変照明装置10ごとに、点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向(旋回(パン)及び首振(チルト))及び配光角度の制御をすることができる。この結果、図1に示すようにメッシュ型ネットワークMNが構築されていても、各可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の制御、並びに、照射方向(旋回(パン)及び首振(チルト))及び配光角度の制御を個別に行うこともできる。
【0039】
[登録・再生による制御動作の説明]
この登録・再生による制御動作においても、第1グループのグループIDを示すG1をタブレット90に設定している。このため、タブレット90から出力される各制御信号C1~C6、各登録指令信号α,γ及び各再生指令信号β,δは、グループID=G1というグループID情報が紐づけ(付加)されて出力される。
【0040】
登録・再生による制御動作では、操作者は、まず、前述したリアルタイムの制御動作により、タブレット90から点灯・消灯制御信号C4、調光制御信号C5及び調色制御信号C6を出力して、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態(これら状態を「シーン」と称する。)を、所定のシーンに設定する。この状態になったところで、操作者がタブレット90を操作してシーン登録指令信号γ1を出力すると、シーン登録指令信号γ1は、Nо.1の可変照明装置10で受信され、更にメッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介してNо.2~Nо.12の可変照明装置10に伝送される。この例では、シーン登録指令信号γ1にグループID=G1というグループID情報が紐づけ(付加)されているため、Nо.1~Nо.12の可変照明装置10のうちNо.1~Nо.6の可変照明装置10において、シーン登録指令信号γ1が取り込まれて自己の前述の所定のシーンがシーン登録1としてそれぞれ登録される。
【0041】
また、操作者は、前述したリアルタイムの制御動作により、タブレット90から旋回制御信号C1、首振制御信号C2及び配光角度制御信号C3を出力して、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10の旋回角度、首振角度及び配光角度(これら状態を「アングル」と称する。)を、所定のアングルに設定する。この状態になったところで、操作者がタブレット90を操作してアングル登録指令信号αAを出力すると、アングル登録指令信号αAは、Nо.1の可変照明装置10で受信され、更にメッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介してNо.2~Nо.12の可変照明装置10に伝送される。この例では、アングル登録指令信号αAにグループID=G1というグループID情報が紐づけ(付加)されているため、Nо.1~Nо.12の可変照明装置10のうちNо.1~Nо.6の可変照明装置10において、アングル登録指令信号αAが取り込まれて自己の前述の所定のアングルがアングル登録Aとしてそれぞれ登録される。
【0042】
その後、リアルタイムの制御動作を行うと、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のシーンがシーン登録1からずれると共に、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のアングルがアングル登録Aからずれる。
【0043】
Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のシーンがシーン登録1からずれた状態において、操作者がタブレット90を操作して、シーン登録1を再生するよう指示する登録シーン再生指令信号δ1を出力すると、この登録シーン再生指令信号δ1は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された登録シーン再生指令信号δ1は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている登録シーン再生指令信号δ1を受信したら、この登録シーン再生指令信号δ1を取り込む。登録シーン再生指令信号δ1を取り込んだNо.1~Nо.6の可変照明装置10は、当該装置のシーンが、シーン登録1として登録されたシーンに一致するように(該シーンを再現/復元するように)、点灯・消灯、調光及び調色の制御をそれぞれ行う。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、登録シーン再生指令信号δ1を受信しても、この登録シーン再生指令信号δ1にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この登録シーン再生指令信号δ1を取り込むことなく、点灯・消灯、調光及び調色の制御はしない。
【0044】
Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のアングルがアングル登録Aからずれた状態において、操作者がタブレット90を操作して、アングル登録Aを再生するよう指示する登録アングル再生指令信号βAを出力すると、この登録アングル再生指令信号βAは、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された登録アングル再生指令信号βAは、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属している(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている登録アングル再生指令信号βAを受信したら、この登録アングル再生指令信号βAを取り込む。登録アングル再生指令信号βAを取り込んだNо.1~Nо.6の可変照明装置10は、当該装置のアングルが、アングル登録Aとして登録されたアングルに一致するように(該アングルを再現/復元するように)、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御をそれぞれ行う。
一方、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、登録アングル再生指令信号βAを受信しても、この登録アングル再生指令信号βAにグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この登録アングル再生指令信号βAを取り込むことなく、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御はしない。
【0045】
なお、グループIDとしてG2をタブレット90に設定しておけば、第1グループでの制御と同様にして、グループIDとしてG2を有している第2グループのNо.7~Nо.12の可変照明装置10に対して、登録・再生による制御動作を行うことができる。
【0046】
例えば、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のシーンを所定のシーンに設定した後に、操作者がタブレット90を操作してシーン登録指令信号γ2を出力すると、シーン登録指令信号γ2にグループID=G2というグループID情報が紐づけ(付加)されているため、自己の前述の所定のシーンがシーン登録2としてNо.7~Nо.12の可変照明装置10にそれぞれ登録される。
また、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のアングルを所定のアングルに設定した後に、操作者がタブレット90を操作してアングル登録指令信号αBを出力すると、アングル登録指令信号αBにグループID=G2というグループID情報が紐づけ(付加)されているため、自己の前述の所定のアングルがアングル登録BとしてNо.7~Nо.12の可変照明装置10にそれぞれ登録される。
【0047】
その後、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のシーンがシーン登録2からずれた状態において、操作者がタブレット90を操作して、シーン登録2を再生するよう指示する登録シーン再生指令信号δ2を出力すると、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、グループID=G2というグループID情報が付加されている登録シーン再生指令信号δ2を受信して取り込み、当該装置のシーンがシーン登録2として登録されたシーンに一致するように(該シーンを再現/復元するように)、点灯・消灯、調光及び調色の制御をそれぞれ行う。
また、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のアングルがアングル登録Bからずれた状態において、操作者がタブレット90を操作して、アングル登録Bを再生するよう指示する登録アングル再生指令信号βBを出力すると、第2グループに属している(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、グループID=G2というグループID情報が付加されている登録アングル再生指令信号βBを受信して取り込み、当該装置のアングルがアングル登録Bとして登録されたアングルに一致するように(該アングルを再現/復元するように)、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御をそれぞれ行う。
【0048】
[タイマ設定制御動作の説明]
タイマ設定制御動作では、タブレット90に組み込まれたタイマ機能により、登録シーン再生指令信号δ1,δ2や登録アングル再生指令信号βA,βBが、タブレット90から自動的に出力される時間(タイマ実行時間T)を設定することができる。例えば、タイマ実行時間T1が到来した時点において、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のシーン及びアングルを制御するために、グループID=G1というグループID情報が付加された登録シーン再生指令信号δ1及び登録アングル再生指令信号βAが、タブレット90から自動的に出力されるように設定することができる。また、タイマ実行時間T2が到来した時点において、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のシーン及びアングルを制御するために、グループID=G2というグループID情報が付加された登録シーン再生指令信号δ2及び登録アングル再生指令信号βBが、タブレット90から自動的に出力されるように設定することができる。
【0049】
このタイマ設定制御動作を行うには、タイマ実行時間Tを設定するのに先立ち、予め、例えば、シーン登録1及びアングル登録Aを、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10に登録しておくと共に、シーン登録2及びアングル登録Bを、第2グループに属するNо.7~Nо.12の可変照明装置10に登録しておく。また、例えば、タイマ実行時間T1は、シーン登録1及びアングル登録Aが紐づけして設定され、タイマ実行時間T2は、シーン登録2及びアングル登録Bが紐づけして設定されている。
これにより、タイマ実行時間T1、シーン登録1及びアングル登録A、並びにグループID=G1というグループID情報が紐づけして設定され、タイマ実行時間T2、シーン登録2及びアングル登録B、並びにグループID=G2というグループID情報が紐づけして設定される。
【0050】
なお、タブレット90に組み込まれたタイマ機能により、次のような制御動作を行うことも可能である。
例えば、上述したシーン登録1,2で示されたシーンとは「異なるシーン状態」に制御する点灯・消灯制御信号C4、調光制御信号C5及び調色制御信号C6や、上述したアングル登録A,Bとは「異なるアングル状態」に制御する旋回制御信号C1、首振制御信号C2及び配光角度制御信号C3をタブレット90に事前に設定しておく。そして、例えば、タイマ実行時間T3が到来した時点で、事前に設定した上記の点灯・消灯制御信号C4、調光制御信号C5及び調色制御信号C6や、事前に設定した上記の旋回制御信号C1、首振制御信号C2及び配光角度制御信号C3をタブレット90から出力することにより、可変照明装置10のシーンやアングルを前述した「異なるシーン状態」や「異なるアングル状態」にすることも可能である。
【0051】
[登録・再生による制御動作とタイマ設定制御動作を組み合わせた動作の説明]
次に、図1に示す照明システムLSにおいて、登録・再生による制御動作とタイマ設定制御動作を組み合わせた動作を行う手順を説明する。
【0052】
まず、操作者は、複数(Nо.1~Nо.12)の可変照明装置10のうち制御したい可変照明装置10として、例えばNо.1~Nо.6の可変照明装置10を特定するため、グループIDとしてG1をタブレット90に設定する。
【0053】
この例では、第1グループのグループIDを示すG1がタブレット90に設定されているため、タブレット90から出力される各制御信号C1~C6、各登録指令信号αA,γ1及び各再生指令信号βA,δ1には、グループID=G1というグループID情報が紐づけされている。つまり、各制御信号C1~C6、各登録指令信号αA,γ1及び各再生指令信号βA,δ1は、グループID=G1というグループID情報が付加された状態で、タブレット90から出力される。
【0054】
操作者は、前述したリアルタイムの制御動作により、タブレット90から点灯・消灯制御信号C4、調光制御信号C5及び調色制御信号C6を出力して、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10の点灯・消灯、調光及び調色の状態である「シーン」を、目的とする所定のシーンに設定する。
また、操作者は、前述したリアルタイムの制御動作により、タブレット90から旋回制御信号C1、首振制御信号C2及び配光角度制御信号C3を出力して、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10の旋回角度、首振角度及び配光角度である「アングル」を、目的とする所定のアングルに設定する。
【0055】
第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10のシーンを、目的とする所定のシーンに設定した後に、操作者がタブレット90を操作してシーン登録指令信号γ1を出力すると、このシーン登録指令信号γ1は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信されたシーン登録指令信号γ1は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属する(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されているシーン登録指令信号γ1を受信したら、このシーン登録指令信号γ1を取り込み、自己の前述の所定のシーンをシーン登録1としてそれぞれ登録する。
第2グループに属する(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、シーン登録指令信号γ1を受信しても、このシーン登録指令信号γ1にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この調光制御信号C5を取り込むことなく、シーン登録はしない。
【0056】
第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10のアングルを、目的とする所定のアングルに設定した後に、操作者がタブレット90を操作してアングル登録指令信号αAを出力すると、このアングル登録指令信号αAは、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信されたアングル登録指令信号αAは、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属する(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されているアングル登録指令信号αAを受信したら、このアングル登録指令信号αAを取り込み、自己の前述の所定のアングルをアングル登録Aとしてそれぞれ登録する。
第2グループに属する(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、アングル登録指令信号αAを受信しても、このアングル登録指令信号αAにグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この調光制御信号C5を取り込むことなく、アングル登録はしない。
【0057】
上述したようにして、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10に、シーン登録1及びアングル登録Aを登録した後、操作者は、シーン登録1及びアングル登録Aを再生するタイマ実行時間T1をタブレット90に設定する。このタイマ実行時間T1は、シーン登録1及びアングル登録A並びにグループID=G1というグループID情報が紐づけ(付加)された状態でタブレット90に設定される。
【0058】
その後、リアルタイムの制御動作を行って、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のシーンがシーン登録1からずれると共に、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10のアングルがアングル登録Aからずれたとする。
【0059】
タイマ実行時間T1を設定した後にタイマ実行時間T1が到来すると、操作者がタブレット90を操作しなくても、タイマ機能により、タブレット90から、シーン登録1を再生するよう指示する登録シーン再生指令信号δ1、及び、アングル登録Aを再生するよう指示する登録アングル再生指令信号βAがタブレット90から自動的に出力される。
【0060】
タイマ実行時間T1が到来したことによりタブレット90から出力された登録シーン再生指令信号δ1は、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された登録シーン再生指令信号δ1は、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属する(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている登録シーン再生指令信号δ1を受信したら、この登録シーン再生指令信号δ1を取り込む。登録シーン再生指令信号δ1を取り込んだNо.1~Nо.6の可変照明装置10は、当該装置のシーンが、シーン登録1として登録されたシーンに一致するように(該シーンを再現/復元するように)、点灯・消灯、調光及び調色の制御をそれぞれ行う。
このため、タイマ実行時間T1が到来すると、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10において点灯・消灯、調光及び調色の制御が行われて、当該装置のシーンが自動的に、シーン登録1で示されたシーンになる。
一方、第2グループに属する(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、登録シーン再生指令信号δ1を受信しても、この登録シーン再生指令信号δ1にグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この登録シーン再生指令信号δ1を取り込むことなく、点灯・消灯、調光及び調色の制御はしない。
【0061】
タイマ実行時間T1が到来したことによりタブレット90から出力された登録アングル再生指令信号βAは、Nо.1の可変照明装置10で受信される。更に、Nо.1の可変照明装置10で受信された登録アングル再生指令信号βAは、メッシュ型ネットワークMNの各コネクションを介して、Nо.1の可変照明装置10からNо.2~Nо.12の各可変照明装置10に順次に伝送される。
第1グループに属する(グループIDとしてG1を有している)Nо.1~Nо.6の可変照明装置10は、グループID=G1というグループID情報が付加されている登録アングル再生指令信号βAを受信したら、この登録アングル再生指令信号βAを取り込む。登録アングル再生指令信号βAを取り込んだNо.1~Nо.6の可変照明装置10は、当該装置のアングルが、アングル登録Aとして登録されたアングルに一致するように(該アングルを再現/復元するように)、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御をそれぞれ行う。
このため、タイマ実行時間T1が到来すると、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10において旋回角度、首振角度及び配光角度の制御が行われて、当該装置のアングルが自動的に、アングル登録Aで示されたアングルになる。
一方、第2グループに属する(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、登録アングル再生指令信号βAを受信しても、この登録アングル再生指令信号βAにグループID=G2というグループID情報が付加されていないので、この登録アングル再生指令信号βAを取り組むことなく、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御はしない。
【0062】
以上のように、タイマ実行時間T1が到来すると、タブレット90から登録シーン再生指令信号δ1及び登録アングル再生指令信号βAが出力され、第1グループに属するNо.1~Nо.6の可変照明装置10では、そのシーン(点灯・消灯、調光、調色の状態)がシーン登録1で示されたシーンになり、そのアングル(旋回角度、首振角度、配光角度の状態)がアングル登録Aで示されたアングルになる。
【0063】
なお、第2グループに属するNо.7~Nо.12の可変照明装置10においても、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10と同様に、登録・再生による制御動作にタイマ設定制御動作を組み合わせた動作を行わせることができる。
この場合には、まずグループIDとしてG2をタブレット90に設定する。
次に、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のシーンを、目的とするある所定のシーンに設定し、タブレット90からシーン登録指令信号γ2を出力して、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10に、自己の前述の所定のシーンをシーン登録2としてそれぞれ登録する。
また、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10のアングルを、目的とするある所定のアングルに設定し、タブレット90からアングル登録指令信号αBを出力して、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10に、自己の前述の所定のアングルをアングル登録Bとしてそれぞれ登録する。
【0064】
更に、シーン登録2及びアングル登録Bを再生するタイマ実行時間T2をタブレット90に設定する。このタイマ実行時間T2は、シーン登録2及びアングル登録B並びにグループID=G2というグループID情報が紐づけ(付加)された状態でタブレット90に設定される。
【0065】
タイマ実行時間T2が到来すると、タブレット90から、シーン登録2を再生するよう指示する登録シーン再生指令信号δ2、及び、アングル登録Bを再生するよう指示する登録アングル再生指令信号βBがタブレット90から自動的に出力される。
第2グループに属する(グループIDとしてG2を有している)Nо.7~Nо.12の可変照明装置10は、グループID=G2というグループID情報が付加されている登録シーン再生指令信号δ2及び登録アングル再生指令信号βBを受信して取り込む。これにより、Nо.7~Nо.12の可変照明装置10において点灯・消灯、調光及び調色の制御が行われて、当該装置のシーンが自動的に、シーン登録2で示されたシーンになると共に、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御が行われて、当該装置のアングルが自動的に、アングル登録Bで示されたアングルになる。
【0066】
なお上述した例では、第1及び第2の2つのグループを設定すると共に、各グループに1つのタイマ実行時間を設定したが、設定するグループの数や、各グループに設定するタイマ実行時間の数は、これに限定されるものではない。また、各グループには、1~複数のデバイスIDを設定することができる。
【0067】
例えば、第1グループとしてNо.1の可変照明装置10のデバイスIDを設定し、第2グループとしてNо.2~Nо.10の可変照明装置10のデバイスIDを設定し、第3のグループとしてNо.11~Nо.12の可変照明装置10のデバイスIDを設定することもできる。
そして、第1グループのNо.1の可変照明装置10が、タイマ実行時間T1とタイマ実行時間T2において(つまり2回のタイマ実行時間において)、そのシーンがシーン登録1で示されたシーンになり、そのアングルがアングル登録Aで示されたアングルになり、第2グループのNо.2~Nо.10の可変照明装置10が、タイマ実行時間T3において、そのシーンがシーン登録2で示されたシーンになり、そのアングルがアングル登録Bで示されたアングルになり、第3のグループのNо.11~Nо.12の可変照明装置10が、タイマ実行時間T4において、そのシーンがシーン登録3で示されたシーンになり、そのアングルがアングル登録Cで示されたアングルになるように設定することができる。
【0068】
[可変照明装置の機械構成の説明]
ここで、メッシュ型ネットワークMNを構成する可変照明装置10の機械構成について、図2図4を参照して概略説明する。
【0069】
可変照明装置10は、例えば天井面に配置されたライティングダクトレール1に取り付けられて照明を行う照明装置である。
この可変照明装置10は、基体部20と、光源を有する灯具30と、アーム40と、基体部20に対して灯具30及びアーム40を旋回動作させる第1駆動部50と、基体部20及びアーム40に対して灯具30を首振動作させる第2駆動部60と、アーム40に対して灯具30が旋回動作できるように灯具30を支持する回動支持部70と、器具内電線を保護チューブで覆って成るケーブル80(図3及び図4参照)を有している。
【0070】
第1駆動部50及び第2駆動部60は、それぞれ、モータと、減速歯車機構(ウォームギヤ)と、出力軸と、トルクリミッタ構造とを有している。
モータとしては、ステッピングモータやサーボモータに比べて安価で小型のモータ、例えば、ブラシ付き直流モータを用いている。このように、安価で小型のモータを用いているため、消費電力を低減することができると共に、モータを含む駆動部50,60ひいては可変照明装置10を、安価に製造することができると共に小型化することができる。
【0071】
トルクリミッタ構造は、予め設定した規定トルク以下のトルクが付与されたときには、モータと出力軸との間のトルク伝達を行うが、規定トルクを越える過大トルクが付与されたときには、スリップが発生してモータと出力軸との間のトルク伝達を行わない(トルク伝達が遮断される)構造になっている。
【0072】
このため、例えば、モータが駆動することにより灯具30やアーム40が移動している際に、灯具30やアーム40が障害物等に衝突して動けなくなった際には、過大トルクがトルクリミッタ構造に付与されるため、トルクリミッタ構造にスリップが発生し、モータと出力軸との間のトルク伝達が遮断される。これにより、モータや減速歯車機構が保護される。
モータが停止しているときに、手動操作により灯具30やアーム40を動かしたときには、過大トルクがトルクリミッタ構造に付与されるため、トルクリミッタ構造にスリップが発生し、モータと出力軸との間のトルク伝達が遮断される。これにより、モータや減速歯車機構が保護されると共に、灯具30の姿勢(旋回角度、首振角度)を手動により調整できる。
【0073】
また、灯具30の旋回角度を検出する旋回角度検出センサ(後述)と、灯具30の首振角度を検出する首振角度検出センサ(後述)が配置されている。これにより、灯具30の姿勢(旋回角度、首振角度)を検出する検出制御系を、第1及び第2駆動部50,60のモータの駆動制御を行う駆動制御系に対して、独立した制御系とすることができる。
【0074】
更に、回動支持部70は、略筒状の灯具30の軸方向に沿う各位置のうち灯具30の重心位置において、灯具30を首振可能に支持している。これにより灯具30の首振動作をスムーズに行うことができ、灯具30を首振動作させる第2駆動部60のモータを小型化することができる。
【0075】
[可変照明装置の各部の機械構成の説明]
次に、可変照明装置10の各部の機械構成について説明する。
【0076】
[基体部の構成等]
基体部20は、天井面などの設置箇所に設置されるものであり、その内部には、後述するように、通信モジュールや、各種の制御部や、電源部や、メモリを備えている。
【0077】
[灯具の構成等]
灯具30は、図2のV-V断面である図5にも示すように、樹脂で形成した前側筒部31とアルミダイキャストにより形成した後側筒部32を、同軸状態で連結して形成されている。前側筒部31の内部には、レンズ33が軸方向に沿い移動可能に取り付けられている。後側筒部32の内部には、その後側(図5では右側)に放熱フィン34が形成され、その前側(図5では左側)に光源取付台35が形成されている。光源取付台35のうちレンズ33に対向する面には光源(発光ダイオード、LED)36が配置されている。光源36は、色調の異なる2系統のLED、例えば電球色光を発生する電球色LEDと白色光を発生する白色LEDを備えている。レンズ33は、後述するレンズ移動用モータの駆動により、灯具30の軸方向に沿い移動できるように構成されている。このようにレンズ33が移動することにより、光源36から発生した光の配光角度を調整することができる。レンズ33の移動位置は、後述するレンズ位置検出センサにより検出されるようになっている。
【0078】
図6に示すように、後側筒部32の外周面には、2つの軸取付穴37が形成されている。軸取付穴37は、後側筒部32の周方向に関して180°ずれた位置に形成されると共に、前側筒部31と後側筒部32が連結して成る灯具30の軸方向に関して、灯具30の重心位置に形成されている。
【0079】
[アームの構成等]
図2図4に示すように、アーム40は、横軸部41と、横軸部41の両端から下垂する2つの縦軸部42a,42bを有している。横軸部41は、第1駆動部50の第1出力軸(後述)に連結されている。縦軸部42a,42bの先端(下端)は、回動支持部70を介して、灯具30を首振可能に支持している。灯具30は、2本の縦軸部42a,42bに挟まれる位置に配置されている。
【0080】
[回動支持部の構成等]
図5に示すように、回動支持部70は、支持軸71及び支持軸72を有している。支持軸71は、後側筒部32の周面に形成された一方の軸取付穴37に挿入されている。支持軸72は、後側筒部32の周面に形成された他方の軸取付穴37に挿入されている。支持軸71は、アーム40の縦軸部42aの下端部に位置しており、支持軸72は、アーム40の縦軸部42bの下端部に位置している。このため灯具30は、支持軸71,72が挿入された軸取付穴37,37を回動中心として、アーム40に対して回動して首振動作することができる。つまり、灯具30は、回動支持部70を介して、アーム40に首振可能に支持されて、首振動作が可能になっている。
このように、灯具30の重心位置に形成された軸取付穴37,37に、回動支持部70の支持軸71,72が挿入されているので、灯具30は、その重心位置を回動中心として首振動作が可能になっている。
なお、支持軸71は、第2駆動部60の出力軸(後述)に対して、同軸状態となる位置に配置されている。
【0081】
[第1駆動部の構成等]
図2図4に示すように、第1駆動部50は、基体部20に取り付けられている。つまり、第1駆動部50の筐体50aが、基体部20の筐体20aに取り付けられている。この第1駆動部50は、図7及び図8に示すように、筐体50aの内部に配置された、ブラシ付き直流モータである旋回用モータ51と、減速歯車機構であるウォームギヤ52と、雄ねじが形成された第1出力軸53と、ナット54と、波ワッシャ55を有している。
【0082】
ウォームギヤ52は、旋回用モータ51の回転軸に連結されたウォーム52aと、ウォーム52aに噛合するウォームホイール52bにより構成されている。
【0083】
第1出力軸53は、軸方向に延びる挿通孔を有するパイプ状の部材である。第1出力軸53は、図3及び図4に示すように可変照明装置10がライティングダクトレール1に取り付けられている状態において、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置されている。この第1出力軸53は、第1駆動部50の筐体50aを貫通すると共に、筐体50aに配置された軸受56により回転自在に支持されている。第1出力軸53の外周面のうち、筐体50aの内部に位置する部分には、雄ねじ53aが形成されている。また、第1出力軸53の端部のうち、筐体50aの外部に位置する端部が、アーム40の横軸部41の長手方向の中央に位置している。なお、第1出力軸53の挿通孔には、ケーブル80(後述)が挿通される。
【0084】
ナット54は、ウォームホイール52bとの間に波ワッシャ55を介在させた状態で、第1出力軸53に螺合されている。ナット54の内径及び外径は、ほぼ、波ワッシャ55の内径及び外径と一致している。
【0085】
波ワッシャ55は、平座金を弓状(波状)に曲げたような形状になっている座金である。本実施形態では、座金の本来的機能である「ゆるみ止め機能」を発揮させるためではなく、後述するように、座金が板厚方向に圧縮されてその形状が変形することにより発生する弾発力を利用した「トルクリミッタ機能」を発揮させるために、波ワッシャ55を用いている。なお、波ワッシャ55は、弾発力を発生する例えばスプリングコイル等に比べて、その軸方向寸法が小さく、この点からも、第1駆動部50の小型化ひいては可変照明装置10の小型化に寄与する。
【0086】
このような第1駆動部50は、図8に示すような組み立て完了状態では、軸受56の上にウォームホイール52bが配置され、ウォームホイール52bの上に波ワッシャ55が配置され、波ワッシャ55の上にナット54が配置されている。即ち、ウォームホイール52b及び波ワッシャ55が、第1出力軸53に嵌入され、ナット54が第1出力軸53に螺合され、軸受56、ウォームホイール52b、波ワッシャ55及びナット54の軸芯位置が、第1出力軸53の軸芯位置に一致した状態で配置されている。
【0087】
しかも、ナット54が第1出力軸53に螺合されて締め込まれているため、ナット54と軸受56との間で、ウォームホイール52b及び波ワッシャ55が挟持されている。この結果、ウォームホイール52bの上側端面に波ワッシャ55の下側端面が摺接し、波ワッシャ55の上側端面にナット54の下側端面が摺接している。なお、ここにおいて「上側」とは筐体50aから離れた側、「下側」とは筐体50aに近い側をいう。
【0088】
第1駆動部50の組立時においては、ナット54と軸受56との間に、ウォームホイール52b及び波ワッシャ55を介在させた状態で、ナット54を第1出力軸53に螺合して(締め込んで)いく。ナット54の締め込みが進んでいくと、波ワッシャ55は、ナット54とウォームホイール52bとの間で挟持されて軸方向(座金の板厚方向)に圧縮されて座金形状が変形し、これにより波ワッシャ55は軸方向に沿う弾発力を発生する。波ワッシャ55による弾発力により、波ワッシャ55とナット54とが適正な接触圧力で圧接し、波ワッシャ55とウォームホイール52bとが適正な接触圧力で圧接する。このようにして適正な圧接状態になったところで、ナット54の締め込みを止め、ナット54に形成されている横孔54a(図7)に止めねじ54b(図8)をねじ込んで、ナット54が第1出力軸53に対して回らないように、ナット54を第1出力軸53に固定している。
【0089】
この第1駆動部50では、ナット54を第1出力軸53に螺合していく量(締め込んでいく量)を変更するだけで、波ワッシャ55の圧縮状態、ひいては、波ワッシャ55の形状変化に応じて波ワッシャ55が発生する弾発力が変化し、波ワッシャ55とナット54との接触圧力、及び、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの接触圧力が変化する。つまり、雄ねじが形成された第1出力軸53にナット54を螺合した「ねじ込み式の圧縮構造」により、波ワッシャ55の圧縮状態ひいては波ワッシャ55が発生する弾発力を容易に調整することが可能である。
【0090】
このため、ナット54を第1出力軸53に螺合していく量(締め込んでいく量)を調整するだけで、波ワッシャ55とナット54との接触圧力、及び、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの接触圧力を、適正な接触圧力に容易に設定(調整)することができる。
また、一旦、接触圧力を設定した後であっても、止めねじ54b(図8)を横孔54a(図7)から抜いて、第1出力軸53に対するナット54の螺合量(締め込み量)を変更することにより、波ワッシャ55とナット54との接触圧力、及び、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの接触圧力を容易に変更することができる。
【0091】
上述したように、波ワッシャ55とナット54とが圧接し、波ワッシャ55とウォームホイール52bとが圧接した構成になっているため、旋回用モータ51により発生した回転力は、ウォーム52a→ウォームホイール52b→波ワッシャ55→ナット54という経路を経て、第1出力軸53に伝達され、第1出力軸53が回転する。第1出力軸53の回転力はアーム40ひいては灯具30に伝達され、アーム40ひいては灯具30が、基体部20に対して旋回動作する。
【0092】
一方、旋回用モータ51が回転駆動して灯具30等が旋回動作しているときに、灯具30やアーム40が障害物等に衝突して動けなくなった際には、予め設定した第1規定トルク(後述)を越える過大トルクが第1駆動部50に付与される。また、旋回用モータ51を停止しているときに、手動操作により灯具30やアーム40を旋回動作させたときには、予め設定した第1規定トルクを越える過大トルクが第1駆動部50に付与される。このように第1規定トルクを越える過大トルクが第1駆動部50に付与されたときには、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの間や、波ワッシャ55とナット54との間でスリップが発生する。つまり、波ワッシャ55を備えた構造により、第1トルクリミッタ構造が構成され、この第1トルクリミッタ構造が旋回用モータ51と第1出力軸53の間に介在されている。
【0093】
上述したように、ナット54とウォームホイール52bとの間に、波ワッシャ55を圧縮状態で挟持することにより、第1トルクリミッタ構造が構成されている。この第1トルクリミッタ構造には、波ワッシャ55の圧縮状態に応じた第1規定トルクが設定される。第1規定トルクは、第1出力軸53を介して伝達される旋回用モータ51の出力トルクよりも大きく、かつ、操作者が灯具30等の旋回角度を手動で調整したときや、灯具30等が旋回動作しているときに灯具30等が障害物等に衝突して動けなくなったときに、第1トルクリミッタ構造に付与されるトルクよりも小さくしている。
【0094】
第1規定トルクは、上述したように、第1出力軸53を介して伝達される旋回用モータ51の出力トルク(下限トルク)よりも大きく、灯具30等の旋回角度を手動調整すること等により第1トルクリミッタ構造に付与されるトルク(上限トルク)よりも小さく設定していればよい。このため、例えば、手動調整により灯具30等の旋回角度をスムーズに変更したい場合には、第1規定トルクを、なるべく下限トルクに近いトルク値に設定しておけば、手動調整を容易に行うことができる。また、例えば、灯具30等が旋回動作しているときに灯具30等が障害物等に軽く接触等しても、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの接触状態や、波ワッシャ55とナット54との接触状態を保持したい場合には、第1規定トルクを、なるべく上限トルクに近いトルク値に設定しておけばよい。
【0095】
また、経年変化等により波ワッシャ55が発生する弾発力が減衰してきたときには、第1出力軸53に対するナット54の締め込み量を増加することにより、波ワッシャ55が発生する弾発力を適正な弾発力にまで容易に戻すことができる。
【0096】
なお、波ワッシャ55の代わりに、スプリングワッシャ(平座金の一部が切れてねじれているような形状になっている座金)や、皿バネワッシャを用いることもできる。つまり、板厚方向に圧縮されることにより座金形状が変形して弾発力を発生するタイプの座金を使用することができる。また、波ワッシャ55等のような座金の代わりに、コイルばねや板ばね等、他の弾性部材を用いることもできる。更に、波ワッシャ55等を用いる代わりに、市販の機械式トルクリミッタ(バネ材を用いたトルクリミッタ)やマグネット式トルクリミッタを組み込んでもよい。
【0097】
[旋回角度検出センサの構成等]
図8及び図9に示すように、ナット54には磁石取付アーム57が一体化されている。磁石取付アーム57は、ナット54から上方に立ち上がりつつ複数個所で屈曲した折れ曲がり形状を成しており、その先端部57aは、回転部材である第1出力軸53、ウォームホイール52b、波ワッシャ55及びナット54の回転軸芯の上方に位置している。この磁石取付アーム57の先端部57aには、円板状の磁石58aが取り付けられている。磁石58aは、図10に示すように、2極磁石であり、その半円部分がN極、残りの半円部分がS極になっている。更に、図9に示すように、磁石58aに対向して磁気式エンコーダ58bが配置されている。つまり、磁石58aと磁気式エンコーダ58bにより、第1出力軸53ひいてはアーム40及び灯具30の旋回角度を検出する旋回角度検出センサ58が形成されている。
【0098】
磁気式エンコーダ58bは、基板にエンコーダ部を備えて構成されており、エンコーダ部には、ホール素子やMR素子(磁気抵抗効果素子: Magneto Resistive Sensor)などの磁気センサが内蔵されており、磁気センサは磁石58aの回転に伴う磁界変化を検出して電気信号に変換する。旋回角度検出センサ58は、磁気センサから出力される電気信号を基に、基体部20に対する、アーム40(第1出力軸53)並びに灯具30の回転角度に対応した旋回角度検出信号を出力する。
【0099】
[第2駆動部の構成等]
図2図4に示すように、第2駆動部60は灯具30に取り付けられている。つまり、第2駆動部60の筐体60aが、灯具30の前側筒部31に取り付けられている。この第2駆動部60は、第1駆動部50と同様な構成になっている。つまり、第2駆動部60は、図11に示すように、筐体60a内に備えられた、ブラシ付き直流モータである首振用モータ61と、ウォーム62a及びウォームホイール62bから成るウォームギヤ62と、雄ねじが形成された第2出力軸63と、横孔64a及び止めねじ64bを有するナット64と、波ワッシャ65(図示省略)を有している。
【0100】
つまり、第2駆動部60は、旋回用モータ51に相当する首振用モータ61、ウォーム52a及びウォームホイール52bから成るウォームギヤ52に相当するウォーム62a及びウォームホイール62bから成るウォームギヤ62、第1出力軸53に相当する第2出力軸63、横孔54a及び止めねじ54bを有するナット54に相当する横孔64a及び止めねじ64bを有するナット64、波ワッシャ55に相当する波ワッシャ65(図示省略)、軸受56に相当する軸受66(図示省略)を有している。
【0101】
結局、第2駆動部60は、第1駆動部50と同様に、軸受66(図示省略)の上にウォームホイール62bが配置され、ウォームホイール62bの上に波ワッシャ65(図示省略)が配置され、波ワッシャ65(図示省略)の上にナット64が配置されている。即ち、ウォームホイール62b及び波ワッシャ65(図示省略)が、第2出力軸63に嵌入され、ナット64が第2出力軸63に螺合され、軸受66(図示省略)、ウォームホイール62b、波ワッシャ65(図示省略)及びナット64の軸芯位置が、第2出力軸63の軸芯位置に一致した状態で配置されている。
【0102】
第2駆動部60の第2出力軸63は、回動支持部70の支持軸71(図5)に対して同軸状態となる位置に配置されると共に、アーム40の縦軸部42a(図5)と一体化されている。
【0103】
このような構成になっているため、首振用モータ61により発生した回転力は、ウォーム62a→ウォームホイール62b→波ワッシャ65(図示省略)→ナット64という経路を経て、第2出力軸63に伝達される。第2出力軸63はアーム40の縦軸部42aと一体なので、第2出力軸63(アーム40)に対して、第2駆動部60(首振用モータ61)側が回動(首振動作)する。つまり第2駆動部60が取り付けられている灯具30が、アーム40に対して回動(首振動作)する。
【0104】
一方、首振用モータ61が回転駆動して灯具30等が首振動作しているときに、灯具30が障害物等に衝突して動けなくなった際には、予め設定した第2規定トルク(後述)を越える過大トルクが第2駆動部60に付与される。また、首振用モータ61を停止しているときに、手動操作により灯具30を首振動作させたときには、予め設定した第2規定トルクを越える過大トルクが第2駆動部60に付与される。このように第2規定トルクを越える過大トルクが第2駆動部60に付与されたときには、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの間や、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との間でスリップが発生する。つまり、波ワッシャ65(図示省略)を備えた構造により、第2トルクリミッタ構造が構成され、この第2トルクリミッタ構造が首振用モータ61と第2出力軸63の間に介在されている。
【0105】
第2駆動部60においても、第1駆動部50と同様に、ナット64とウォームホイール62bとの間に、波ワッシャ65(図示省略)を圧縮状態で挟持することにより、第2トルクリミッタ構造が構成されている。この第2トルクリミッタ構造には、波ワッシャ65(図示省略)の圧縮状態に応じた第2規定トルクが設定される。第2規定トルクは、第2出力軸63を介して伝達される首振用モータ61の出力トルクよりも大きく、かつ、操作者が灯具30の首振り角度を手動で調整したときや、灯具30が首振り動作しているときに灯具30が障害物等に衝突して動けなくなったときに、第2トルクリミッタ構造に付与されるトルクよりも小さくしている。
【0106】
第2駆動部60においても、第1駆動部50と同様に、ナット64を第2出力軸63に螺合していく量(締め込んでいく量)を変更するだけで、波ワッシャ65(図示省略)が発生する弾発力が変化し、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との接触圧力、及び、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの接触圧力が変化する。
【0107】
このため、ナット64を第2出力軸63に螺合していく量(締め込んでいく量)を調整するだけで、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との接触圧力、及び、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの接触圧力を、適正な接触圧力に容易に設定することができる。
また、一旦、接触圧力を設定した後であっても、止めねじ64b(図11)を横孔64a(図11)から抜いて、第2出力軸63に対するナット64の螺合量(締め込み量)を変更することにより、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との接触圧力、及び、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの接触圧力を容易に変更することができる。
【0108】
第2規定トルクは、上述したように、第2出力軸63を介して伝達される首振用モータ61の出力トルク(下限トルク)よりも大きく、灯具30の首振角度を手動調整することにより第2トルクリミッタ構造に付与されるトルク(上限トルク)よりも小さく設定していればよい。このため、例えば、手動調整により灯具30の首振角度をスムーズに変更したい場合には、第2規定トルクを、なるべく下限トルクに近いトルク値に設定しておけば、手動調整を容易に行うことができる。また、例えば、灯具30が首振回動作しているときに灯具30が障害物等に軽く接触等しても、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの接触状態や、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との接触状態を保持したい場合には、第2規定トルクを、なるべく上限トルクに近いトルク値に設定しておけばよい。
【0109】
また、経年変化等により波ワッシャ65(図示省略)が発生する弾発力が減衰してきたときには、第2出力軸63に対するナット64の締め込み量を増加することにより、波ワッシャ65(図示省略)が発生する弾発力を適正な弾発力にまで容易に戻すことができる。
【0110】
なお、波ワッシャ65(図示省略)の代わりに、スプリングワッシャ(平座金の一部が切れてねじれているような形状になっている座金)や、皿バネワッシャを用いることもできる。つまり、板厚方向に圧縮されることにより座金形状が変形して弾発力を発生するタイプの座金を使用することができる。また、波ワッシャ65(図示省略)等のような座金の代わりに、コイルばねや板ばね等、他の弾性部材を用いることもできる。更に、波ワッシャ65(図示省略)等のような座金の代わりに、市販の機械式トルクリミッタ(バネ材を用いたトルクリミッタ)やマグネット式トルクリミッタを組み込んでもよい。
【0111】
[首振角度検出センサの構成等]
図11に示すように、首振角度検出センサ68は、第2出力軸63の先端面に取り付けられた磁石68aと、磁石68aに対して所定距離を開けて対向した磁気式エンコーダ68b(図示省略)を有している。首振角度検出センサ68は、アーム40(第2出力軸63、支持軸71)並びに基体部20に対する、灯具30の回転角度に対応した首振角度検出信号を出力する。
【0112】
[ケーブルの構成等]
ケーブル80は、図3及び図4に示すように、基体部20の内部から第1駆動部50の第1出力軸53に形成された挿通孔を通り、更に外部空間に出て、灯具30の内部に入るように配線されている。このケーブル80は、図12に示すように、基体部20と灯具30や第2駆動部60との間で電流や信号を伝送する10数本の器具内電線81を、保護チューブ82で覆ったものである。保護チューブ82は、ナイロン66製の糸とポリエチレンテレフタレート(PET)製の糸とを撚り合わせた撚糸を、編み込んで編組構造としたチューブ状の部材、または、ナイロン66製の撚糸とポリエチレンテレフタレート(PET)製の撚糸とを編み込んで編組構造としたチューブ状の部材である。この保護チューブ82は、ナイロン66製とポリエチレンテレフタレート(PET)製の素材で形成されているため、滑り性が高く、形状保持力があり、伸縮性及び屈曲性がある。このため、灯具30が旋回動作したり首振動作したりしても、保護チューブ82は、このような動きに柔軟に対応して変形し、しかも、このとき、器具内電線81が保護チューブ82に対して容易に滑ることができる。このため器具内電線81に、よじれ、引張、座曲等が発生しにくくなり、器具内電線81に与えるダメージが低減し、器具内電線81の断線を防止することができる。
【0113】
[可変照明装置に内蔵した制御系等の説明]
図13に示すように、可変照明装置10の基体部20の内部には、通信モジュール201、制御部202、メモリ203、電源部204、電源制御部205の他、各種の制御部210~213、220~223を有している。
【0114】
通信モジュール201は、遠隔式操作端末であるタブレット90との間で、双方向の無線通信をすることができる。更に、図1に示す照明システムLSでは、12台の可変照明装置10の通信モジュール201は、隣接するもの同士で双方向の無線通信が可能であり、これによりメッシュ型ネットワークMNが構築されている。
【0115】
制御部202は、通信モジュール201との間で情報の送受をして、可変照明装置10の全体的な制御をする。
メモリ203は、制御部202を介して通信モジュール201から送られてきた情報等を記憶すると共に、可変照明装置10を作動させるために必要な各種の情報やプログラム等を記憶している。更に、メモリ203には、当該可変照明装置10が属するグループのグループIDが記憶されている。
【0116】
電源部204は、ダクトプラグ(図示省略)等から給電された交流電圧を直流電圧に変換し、適切な電圧値に変換した直流電圧を、光源36や、各種のモータ38,51,61に供給する。
電源制御部205は電源部204の動作を制御する。
【0117】
制御部210~213は光源36の制御をする。より具体的には、点灯・消灯制御部211により光源36の点灯・消灯制御が行われ、調光制御部212により光源36の調光制御が行われ、調色制御部213により光源36の調色制御が行われる。
【0118】
制御部220~223は、各モータ38,51,61を制御して、旋回動作制御や首振動作制御や配光角度制御をする。具体的には、パン制御部221により旋回用モータ51の駆動制御が行われて灯具30の旋回動作制御がされ、チルト制御部222により首振用モータ61の駆動制御が行われて灯具30の首振動作制御がされ、配光角度制御部223によりレンズ移動用モータ38の駆動制御が行われて配光角度制御がされる。
【0119】
可変照明装置10は、通信モジュール201を介して、例えば、次のような検出信号をタブレット90に送る。
・旋回角度検出信号D1
旋回角度検出信号D1は、第1駆動部50に備えた旋回角度検出センサ58から出力される。この旋回角度検出信号D1は、基体部20に対する灯具30の旋回角度を情報として有している。
・首振角度検出信号D2
首振角度検出信号D2は、第2駆動部60に備えた首振角度検出センサ68から出力される。この首振角度検出信号D2は、基体部20に対する灯具30の首振角度を情報として有している。
・配光角度検出信号D3
配光角度検出信号D3は、灯具30に備えたレンズ位置検出センサ39から出力される。レンズ33の移動位置と配光角度が対応しているので、レンズ位置検出センサ39は、検出したレンズ33の移動位置を基に配光角度を情報として有する配光角度検出信号D3を出力する。
【0120】
[タブレットの説明]
タブレット90は、例えば、タッチパネルディスプレイ式の遠隔式操作端末であり、例えば、次のような制御信号を、可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201に送る。
・旋回制御信号C1
旋回制御信号C1は、灯具30の旋回角度(例えば、0°~360°)を情報として有している。旋回角度0°は、灯具30が旋回面において原点位置に位置している角度である。なお、「灯具30が旋回面において原点位置に位置している」状態については後述する。
・首振制御信号C2
首振制御信号C2は、灯具30の首振角度(例えば、0°~90°)を情報として有している。首振角度0°は、灯具30から出射された光が天井面側から床面側に向かい鉛直に進む角度であり、首振角度90°は、図2に示すように、灯具30から出射された光が天井面と並行な方向に進む角度である。
・配光角度制御信号C3
配光角度制御信号C3は、灯具30から出射される光の配光角度(例えば、16°~47°)を情報として有している。
・点灯・消灯制御信号C4
点灯・消灯制御信号C4は、灯具30に備えた光源(LED)36を点灯させるか消灯させるかを指示する点灯指示または消灯指示を情報として有している。
・調光制御信号C5
調光制御信号C5は、調光度(例えば、100%~1%)を情報として有している。
・調色制御信号C6
調色制御信号C6は、調色度(例えば、昼白色(5000k)~電球色(2700k))を情報として有している。
【0121】
ここで、「灯具30が旋回面において原点位置に位置している」状態について説明する。灯具30は水平面内で旋回動作するが、灯具30が旋回面(水平面)内で原点位置(旋回角度0°)に位置している状態とは、次のとおりのものである。
図2に示すように、灯具30の前側筒部31側が基体部20の左側に向き、灯具30の後側筒部32側が基体部20の右側に向いており、且つ、平面視において(図2に示す可変照明装置10を上方から見たとき)灯具30の軸方向と基体部20の長手方向とが一致している状態を、灯具30が旋回面において原点位置に位置しているという。
【0122】
更に、タブレット90は、アングル登録(後述)をする際にアングル登録指令信号αを出力し、登録したアングルを再生(後述)する際に登録アングル再生指令信号βを出力し、シーン登録(後述)をする際にシーン登録指令信号γを出力し、登録したシーンを再生(後述)する際に登録シーン再生指令信号δを出力する。
【0123】
なお、図1に示す照明システムLSにおいて、複数(12台)の可変照明装置10は、前述したように、これらを識別するために、デバイスIDとしてNо.1~Nо.12を有している。これらの可変照明装置10は、所定のグループに属しており、各可変照明装置10は、その装置が属するグループのグループIDを有している。特定のグループに属している可変照明装置10を制御したい場合には、そのグループのグループIDをタブレット90に設定する。このように特定のグループのグループIDをタブレット90に設定した場合には、上述の各制御信号C1~C6、アングル登録指令信号α及びシーン登録指令信号γ、登録アングル再生指令信号β及び登録シーン再生指令信号δは、設定したグループIDを表すグループID情報が紐づけ(付加)されて出力される。
【0124】
[タブレットの操作画面の説明]
タブレット90の操作表示画面91には、表示画面の切り替えをすることにより複数の設定画面を表示することができる。ここでは、旋回角度、首振角度及び配光角度を設定するアングル設定画面と、調光、調色及び点灯・消灯を設定するシーン設定画面と、タイマ実行時間を設定するタイマ設定画面について説明する。
【0125】
[アングル設定画面]
図14はアングル設定画面である。このアングル設定画面において、GUI(Graphical User Interface)コントロール901を操作することにより、灯具30の旋回角度を設定することができ、設定した旋回角度を情報として有する旋回制御信号C1が出力される。GUIコントロール901としては、0°~360°までを円環状にグラフィック表示(図形表示)したものと、上向き及び下向きの三角矢印のものがあるが、どちらを使用してもよい。このGUIコントロール901には、設定した旋回角度が数字で表示される。
【0126】
GUIコントロール902を操作することにより、灯具30の首振角度を設定することができ、設定した首振角度を情報として有する首振制御信号C2が出力される。GUIコントロール902としては、0°~90°までを円弧上にグラフィック表示(図形表示)したものと、上向き及び下向きの三角矢印のものがあるが、どちらを使用してもよい。このGUIコントロール902には、設定した首振角度が数字で表示される。
【0127】
GUIコントロール903を操作することにより、灯具30から出力される光の配光角度を設定することができ、設定した配光角度を情報として有する配光角度制御信号C3が出力される。GUIコントロール903としては配光角度状態を図示した放射状のグラフィック表示(図形表示)したものと、上向き及び下向きの三角矢印のものがあるが、どちらを使用してもよい。このGUIコントロール903には、設定した配光角度が数字で表示される。
【0128】
更に、旋回角度、首振角度及び配光角度を設定した後に、アングル保存用のGUIコントロール904をタップすることにより、設定した旋回角度、首振角度及び配光角度をアングル登録Aとしてタブレット90に登録(記憶)することができる。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10にアングル登録指令信号αAが送られる。
旋回角度、首振角度及び配光角度を別の値に設定した後に、アングル保存用のGUIコントロール904をタップすることにより、別の値に設定した旋回角度、首振角度及び配光角度をアングル登録Bとしてタブレット90に登録(記憶)することができる。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10にアングル登録指令信号αBが送られる。
同様にして、別のアングル登録C等を登録(記憶)することができる。このようにしてアングル登録をしていくと、GUIコントロール905,906,907等にA,B,C等が表示される。
【0129】
なお、図1に示す照明システムLSにおいて、タブレット90からアングル登録指令信号αAが出力されると、例えば、第1グループの可変照明装置10にアングル登録Aが登録される。また、タブレット90からアングル登録指令信号αBが出力されると、例えば、第2グループの可変照明装置10にアングル登録Bが登録される。
【0130】
アングル登録Aを登録した後に、アングル登録Aを示すGUIコントロール905をタップすると、アングル登録Aとして設定登録された旋回角度、首振角度及び配光角度が各GUIコントロール901,902,903に表示される。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10に、登録アングル再生指令信号βAが送られる。
同様に、アングル登録Bを登録した後に、アングル登録Bを示すGUIコントロール906をタップすると、アングル登録Bとして設定登録された旋回角度、首振角度及び配光角度が各GUIコントロール901,902,903に表示される。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10に、登録アングル再生指令信号βBが送られる。
【0131】
なお、図1に示す照明システムLSにおいて、タブレット90から登録アングル再生指令信号βAが出力されると、登録アングル再生指令信号βAは、例えば、第1グループの可変照明装置10で受信して取り込まれる。そうすると、第1グループの可変照明装置10では、当該装置のアングルが、アングル登録Aとして登録されたアングルに一致するように、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御をする。
また、タブレット90から登録アングル再生指令信号βBが出力されると、登録アングル再生指令信号βBは、例えば、第2グループの可変照明装置10で受信して取り込まれる。そうすると、第2グループの可変照明装置10では、当該装置のアングルが、アングル登録Bとして登録されたアングルに一致するように、旋回角度、首振角度及び配光角度の制御をする。
【0132】
[シーン設定画面]
図15はシーン設定画面のうち調光を設定する調光設定画面である。この調光設定画面において、GUIコントロール921を操作することにより、調光度(100%~1%)を設定することができ、設定した調光度を情報として有する調光制御信号C5が出力される。GUIコントロール921は、上下に延びる直線に沿って丸点状のノブをスライドさせるグラフィック表示(図形表示)になっている。このGUIコントロール921には、設定した調光度が数字で表示される。
【0133】
図16はシーン設定画面のうち調色、調光と点灯・消灯を設定する画面である。この設定画面において、GUIコントロール922を操作することにより、調色度(500k~2700k)を設定することができ、設定した調色度を情報として有する調色制御信号C6が出力される。GUIコントロール922は四角枠状の内部に二重丸のノブを配置したグラフィック表示(図形表示)であり、二重丸のノブを右側に向かわせるほど昼白色を濃く設定でき、左側に向かわせるほど電球色を濃く設定することができる。また、このGUIコントロール922は、調色の他に調光も同時に設定することができ、二重丸のノブを上側に向かわせるほど明るさを強く設定することができ、下側に向かわせるほど明るさを弱く設定することができる。このGUIコントロール922では、二重丸のノブの左右位置により調色度が、二重丸のノブの上下位置により調光度が表示されると共に、調光度が数字で表示される。
GUIコントロール923a,923bを操作(タップ)することにより点灯・消灯を設定することができ、点灯指示または消灯指示を情報として有する点灯・消灯制御信号C4が出力される。
【0134】
更に、調光度及び調色度を設定した後に、シーン保存用のGUIコントロール924(図15)をタップすることにより、設定した調光度及び調色度をシーン登録1としてタブレット90に登録(記憶)することができる。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10にシーン登録指令信号γ1が送られる。
調光度及び調色度を別の値に設定した後に、GUIコントロール924をタップすることにより、別の値に設定した調光度及び調色度をシーン登録2としてタブレット90に登録(記憶)することができる。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10にシーン登録指令信号γ2が送られる。
このようにしてシーン登録をしていくと、シーン登録1,2等を表示するGUIコントロール925,926の部分の表示が「未設定」から「設定」に表示が変更される。
【0135】
なお、図1に示す照明システムLSにおいて、タブレット90からシーン登録指令信号γ1が出力されると、例えば、第1グループの可変照明装置10にシーン登録1が登録される。また、タブレット90からシーン登録指令信号γ2が出力されると、例えば、第2グループの可変照明装置10にシーン登録2が登録される。
【0136】
シーン登録1を登録した後に、シーン登録1を示すGUIコントロール925をタップすると、シーン登録1として設定登録された調光度及び調色度が各GUIコントロール921,922に表示される。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10に、登録シーン再生指令信号δ1が送られる。
同様に、シーン登録2を登録した後に、シーン登録2を示すGUIコントロール926をタップすると、シーン登録2として設定登録された調光度及び調色度が各GUIコントロール921,922に表示される。このとき、タブレット90からメッシュ型ネットワークMNの各可変照明装置10に、登録シーン再生指令信号δ2が送られる。
【0137】
なお、図1に示す照明システムLSにおいて、タブレット90から登録シーン再生指令信号δ1が出力されると、登録シーン再生指令信号δ1は、例えば、第1グループの可変照明装置10で受信して取り込まれる。そうすると、第1グループの可変照明装置10では、当該装置のシーンが、シーン登録1として登録されたシーンに一致するように、点灯・消灯、調光及び調色の制御をする。
また、タブレット90から登録シーン再生指令信号δ2が出力されると、登録シーン再生指令信号δ2は、例えば、第2グループの可変照明装置10で受信される。そうすると、第2グループの可変照明装置10では、当該装置のシーンが、シーン登録2として登録されたシーンに一致するように、点灯・消灯、調光及び調色の制御をする。
【0138】
[設定したグループID情報などの表示]
操作者はタブレット90を操作して、「プレイス(PLACE)」や「グループID情報」をタブレット90に設定することができる。
プレイスとは、例えば、図1に示すメッシュ型ネットワークMNをプレイスP1として設定することができ、図示しない他のネットワーク等をプレイスP2として設定することができる。
各プレイス(メッシュ型ネットワークMN)の中には、複数のグループが存在することがある。例えば、プレイスP1(メッシュ型ネットワークMN)において、Nо.1~Nо.6の可変照明装置10が第1グループであり、Nо.7~Nо.12が第2グループであることがある。この場合に、グループID=G1やグループID=G2というグループID情報を、タブレット90に設定することができる。
【0139】
プレイスPを設定した場合には、図14のアングル設定画面、図15のシーン設定画面及び図16のシーン設定画面において、表示部DPに、設定したプレイスが「P1」,「P2」として表示される。
また、例えば、2つのグループID情報を設定した場合には、図14のアングル設定画面及び図15のシーン設定画面において、表示部DGに、設定したグループID情報が「G1」,「G2」として表示される。
また、例えば、第1グループのグループID情報を設定した場合には、図14のアングル設定画面において、表示部DMに、第1グループを構成する各可変照明装置10のデバイスIDに対応するMACアドレス(Media Access Control Address)が表示される。
【0140】
[タイマ設定画面]
図17及び図18はタイマ設定画面である。
まず、シーンを選択するため、図17のシーン選択ボタン931により、点灯状態を指定するALL ON/ALL OFF、または、事前に登録しておいたシーン登録1~5の中から、希望するものを選択する。ここでは、シーン登録1を選択したものとして、以降の説明をする。
次に、アングルを選択するため、図18のアングル選択ボタン932により、事前に登録していたアングル登録A~Cの中から、希望するものを選択する。ここでは、アングル登録Aを選択したものとして、以降の説明をする。
【0141】
例えば、シーン登録1及びアングル登録Aを選択した後に、時間指定部933により、24時間制の時間軸を使用してタイマ実行時間を指定したり、時間指定部934により、上下に最少単位ずつスクロールする時間、分によりタイマ実行時間(例えば、タイマ実行時間T1)を指定したりする。
更に、タイマ実行日指定部935により、日曜日~土曜日を個別に指定したり、毎日を指定したり、タイマの繰り返し実行指定か、繰り返し実行指定なしを指定することができる。
【0142】
保存ボタン936を押すと、上述したようにして選択等したタイマ設定条件(例えば、
月曜日のタイマ実行時間T1に、シーン登録1及びアングル登録Aを紐づけ(付加)した条件)が確定し、指定したタイマ設定条件がタブレット90のメモリに保持される。キャンセルボタン937を押すと、タイマ設定条件がキャンセルされる。
上述したタイマ設定条件は、1つだけでも、複数個でも設定することができる。
【0143】
このようにしてタイマ設定条件を設定した後に、タイマ実行時間が到来すると、シーン登録1に対応する登録シーン再生指令信号δ1、及び、アングル登録Aに対応する登録アングル再生指令信号βAが、タブレット90から出力される。
【0144】
[タブレットによる可変照明装置の遠隔操作の説明]
タブレット90により可変照明装置10を遠隔操作する制御動作を説明する。なお以降の説明では、図1に示す照明システムLSにおいて、タブレット90と、複数の可変照明装置10のうち所定のグループに属する可変照明装置10との間で行われる制御動作を示したものである。
【0145】
GUIコントロール901(図14)を操作することにより、設定した旋回角度を情報として有する旋回制御信号C1がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された旋回制御信号C1を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、旋回制御信号C1が持っている設定旋回角度の情報を受け取り、これを姿勢制御部220に送る。姿勢制御部220は、パン制御部221により旋回用モータ51を設定旋回角度に合わせて駆動させ、これによりアーム40ひいては灯具30が旋回動作する。灯具30が旋回動作すると、旋回角度検出センサ58から旋回角度検出信号D1がパン制御部221にフィードバックされ、灯具30の旋回角度が設定旋回角度になったところで、旋回用モータ51の駆動を停止する。
【0146】
GUIコントロール902(図14)を操作することにより、設定した首振角度を情報として有する首振制御信号C2がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された首振制御信号C2を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、首振制御信号C2が持っている設定首振角度の情報を受け取り、これを姿勢制御部220に送る。姿勢制御部220は、チルト制御部222により首振用モータ61を設定首振角度に合わせて駆動させ、これにより灯具30が首振動作する。灯具30が首振動作すると、首振角度検出センサ68から首振角度検出信号D2がチルト制御部222にフィードバックされ、灯具30の首振角度が設定首振角度になったところで、首振用モータ61の駆動を停止する。
【0147】
GUIコントロール903(図14)を操作することにより、設定した配光角度を情報として有する配光角度制御信号C3がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された配光角度制御信号C3を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、配光角度制御信号C3が持っている設定配光角度の情報を受け取り、これを姿勢制御部220に送る。姿勢制御部220は、配光角度制御部223によりレンズ移動用モータ38を設定配光角度に合わせて駆動させ、これによりレンズ33が移動する。レンズ33が移動すると、レンズ位置検出センサ39から配光角度検出信号D3が配光角度制御部223にフィードバックされ、灯具30から出射される光の配光角度が設定配光角度になったところで、レンズ移動用モータ38の駆動を停止する。
【0148】
GUIコントロール923a(図16)を操作することにより、点灯指示を情報として有するパン及びチルトがタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された点灯・消灯制御信号C4を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、点灯・消灯制御信号C4が持っている点灯指示の情報を受け取り、これを光源制御部210に送る。光源制御部210は、点灯・消灯制御部211により光源(LED)36を点灯させる。
【0149】
GUIコントロール923b(図16)を操作することにより、消灯指示を情報として有する点灯・消灯制御信号C4がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された点灯・消灯制御信号C4を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、点灯・消灯制御信号C4が持っている消灯指示の情報を受け取り、これを光源制御部210に送る。光源制御部210は、点灯・消灯制御部211により光源(LED)36を消灯させる。
【0150】
GUIコントロール921(図15)またはGUIコントロール922(図16)を操作することにより、設定した調光度を情報として有する調光制御信号C5がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された調光制御信号C5を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、調光制御信号C5が持っている調光度を示す情報を受け取り、これを光源制御部210に送る。光源制御部210は、調光制御部212により光源(LED)36の調光度を、設定された調光度に制御する。
【0151】
GUIコントロール922(図16)を操作することにより、設定した調色度を情報として有する調色制御信号C6がタブレット90から送出される。可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送出された調色制御信号C6を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201から、調色制御信号C6が持っている調色度を示す情報を受け取り、これを光源制御部210に送る。光源制御部210は、調色制御部213により光源(LED)36の調色度を、設定された調色度に制御する。
【0152】
制御部202(図13)は、制御部220~223により制御して設定した最終的な灯具30の旋回角度、首振角度及び配光角度をメモリ203に記憶すると共に、制御部210~213により制御して設定した最終的な光源36の点灯・消灯状態、調光度及び調色度をメモリ203に記憶する。
【0153】
また、旋回角度検出センサ58から出力される旋回角度検出信号D1、首振角度検出センサ68から出力される首振角度検出信号D2及びレンズ位置検出センサ39から出力される配光角度検出信号D3は、制御部202により、通信モジュール201(可変照明装置10)からタブレット90に送出される。この信号送出は、例えば時間的に連続して、または所定の時間間隔ごとに行われる。
タブレット90側では、可変照明装置10から送られてきた旋回角度検出信号D1、首振角度検出信号D2及び配光角度検出信号D3を受信することにより、灯具30の旋回角度、首振角度及び配光角度を認識している。
【0154】
[アングル登録をする際の動作状態の説明]
アングル登録をするには、まず、灯具30のポジションである姿勢(旋回角度及び首振角度)や配光角度をプリセットする。具体的には、タブレット90により可変照明装置10を遠隔操作して灯具30の姿勢(旋回角度及び首振角度)や出射される光の配光角度を調整したり、手動調整により可変照明装置10の灯具30の姿勢(旋回角度及び首振角度)を調整したりして、灯具30から出射された光を、被照射体の目標位置に当てる。
この状態でアングル保存用のGUIコントロール904(図14)をタップすることにより、このときの旋回角度、首振角度及び配光角度が、アングル登録Aとしてタブレット90に記憶される。これと同時に、タブレット90は可変照明装置10にアングル登録指令信号αAを送る。
【0155】
可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送られてきたアングル登録指令信号αAを受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201がアングル登録指令信号αAを受信した時点において、旋回角度検出信号D1から得た旋回角度、首振角度検出信号D2から得た首振角度、配光角度検出信号D3から得た配光角度を取り込んで、これらをアングル登録Aの旋回角度、首振角度及び配光角度としてメモリ203のアングル記憶領域に記憶する。
【0156】
旋回角度、首振角度及び配光角度を別の値に設定した後に、アングル保存用のGUIコントロール904をタップすることにより、別の値に設定した旋回角度、首振角度及び配光角度がアングル登録Bとしてタブレット90に記憶されると同時に、アングル登録指令信号αBがタブレット90から可変照明装置10に送られる。
可変照明装置10の制御部202は、通信モジュール201がアングル登録指令信号αBを受信した時点において、旋回角度検出信号D1から得た旋回角度、首振角度検出信号D2から得た首振角度、配光角度検出信号D3から得た配光角度を取り込んで、これらをアングル登録Bの旋回角度、首振角度及び配光角度としてメモリ203のアングル記憶領域に記憶する。
【0157】
[アングル登録を再生する際の動作状態の説明]
アングル登録Aを登録した後に、アングル登録Aを示すGUIコントロール905(図14)をタップすると、アングル登録Aとして記憶された旋回角度、首振角度及び配光角度が各GUIコントロール901,902,903に表示される。これと同時に、タブレット90は可変照明装置10に登録アングル再生指令信号βAを送る。
【0158】
可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送られてきた登録アングル再生指令信号βAを受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201が登録アングル再生指令信号βAを受信したら、メモリ203のアングル記憶領域に記憶していた、アングル登録Aの旋回角度、首振角度及び配光角度を読み出す。
【0159】
制御部202は、読み出したアングル登録Aの旋回角度、首振角度及び配光角度を姿勢制御部220に送る。
姿勢制御部220は、まず最初に、パン制御部221により旋回用モータ51を駆動して、灯具30を旋回させて旋回面において原点位置に位置させる。このように灯具30が旋回面において原点位置に位置した状態になったところで、姿勢制御部220はチルト制御部222により首振用モータ61を駆動して灯具30の首振角度をアングル登録Aの首振角度にする。
次に、姿勢制御部220はパン制御部221により旋回用モータ51を駆動して、灯具30の旋回角度をアングル登録Aの旋回角度にする。
その後、姿勢制御部220は配光角度制御部223により、灯具30から出射される光の配光角度をアングル登録Aの配光角度にする。
【0160】
アングル登録Bを登録した後に、アングル登録Bを示すGUIコントロール906(図14)をタップした際にも、アングル登録Aの再生時と同様な動作が行われる。
【0161】
このように、アングル登録の再生時においては、旋回動作と首振動作が時間的にずれて行われると共に、首振動作は、灯具30が旋回面において原点位置に位置している状態のみで行われる。このため、ケーブル80(図3図4図12)の保護チューブ82内に収容された器具内電線81に、よじれ、引張、座曲等が発生しにくくなり、器具内電線81に与えるダメージが低減し、器具内電線81の断線を防止することができる。
【0162】
[シーン登録をする際の動作状態の説明]
シーン登録をするには、まず、タブレット90により可変照明装置10を遠隔操作して、灯具30から出射される光の調光度及び調色度を目標の調光度及び調色度に設定する。
この状態でシーン保存用のGUIコントロール924(図15)をタップすることにより、このときの調光度及び調色度が、シーン登録1としてタブレット90に記憶される。これと同時に、タブレット90は可変照明装置10にシーン登録指令信号γ1を送る。
【0163】
可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送られてきたシーン登録指令信号γ1を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201がシーン登録指令信号γ1を受信した時点において、光源36から出射される光の調光度及び調色度を、調光制御部212及び調色制御部213から取り込んで、これらをシーン登録1の調光度及び調色度としてメモリ203のシーン記憶領域に記憶する。
【0164】
調光度及び調色度を別の値に設定した後に、シーン保存用のGUIコントロール924をタップすることにより、別の値に設定した調光度及び調色度がシーン登録2としてタブレット90に記憶されると同時に、シーン登録指令信号γ2がタブレット90から可変照明装置10に送られる。
可変照明装置10の制御部202は、通信モジュール201がシーン登録指令信号γ2を受信した時点において、光源36から出射される光の調光度及び調色度を、調光制御部212及び調色制御部213から取り込んで、これらをシーン登録2の調光度及び調色度としてメモリ203のシーン記憶領域に記憶する。
【0165】
[シーン登録を再生する際の動作状態の説明]
シーン登録1を登録した後に、シーン登録1を示すGUIコントロール925(図15)をタップすると、シーン登録1として記憶された調光度及び調色度が各GUIコントロール921,922に表示される。これと同時に、タブレット90は可変照明装置10に登録シーン再生指令信号δ1を送る。
【0166】
可変照明装置10の基体部20に備えた通信モジュール201(図13)は、タブレット90から送られてきた登録シーン再生指令信号δ1を受信する。
制御部202(図13)は、通信モジュール201が登録シーン再生指令信号δ1を受信したら、メモリ203のシーン記憶領域に記憶していた、シーン登録1の調光度及び調色度を読み出す。
【0167】
制御部202は、読み出したシーン登録1の調光度及び調色度を光源制御部210に送る。光源制御部210は、調光制御部212により光源36の調光度をシーン登録1の調光度に調整する。また、光源制御部210は、調色制御部213により光源36の調色度をシーン登録1の調色度に調整する。
【0168】
シーン登録2を登録した後に、シーン登録2を示すGUIコントロール926(図15)をタップした際にも、シーン登録1の再生時と同様な動作が行われる。
【0169】
[灯具等が障害物に衝突したときの動作状態の説明]
旋回動作中にアーム40や灯具30が、障害物に衝突等して旋回動作ができなくなったときや、首振動作中に灯具30が、障害物に衝突等して首振動作ができなくなったときの動作状態を説明する。
【0170】
タブレット90(図13)から旋回制御信号C1を可変照明装置10に送って、アーム40や灯具30が旋回動作している途中で、アーム40や灯具30が障害物に衝突等して旋回動作ができなくなったときの動作状態を説明する。
この場合には、アーム40側から第1駆動部50(図7図8)の第1出力軸53側に第1規定トルクを越える過大トルクが付与され、波ワッシャ55とウォームホイール52bとの間や、波ワッシャ55とナット54との間でスリップが発生する。このため、過大トルクがウォームギヤ52や旋回用モータ51に作用することはなく、ウォームギヤ52や旋回用モータ51が保護される。
【0171】
また、障害物に衝突することにより、旋回角度が衝突位置で固定されてしまう。このため、可変照明装置10からタブレット90に送られる旋回角度検出信号D1で示される旋回角度は、衝突した位置での旋回角度となる。このため、タブレット90側では、旋回角度は、衝突した位置での旋回角度であることを認識でき、旋回角度を設定するGUIコントロール901(図14)に表示される旋回角度は、衝突した位置での旋回角度が表示される。
これにより、衝突が発生したとしても、可変照明装置10の灯具30の旋回角度と、タブレット90が認識している灯具30の旋回角度が一致する。このため、衝突状態を解消した後においても、タブレット90による灯具30の旋回制御動作を正常に行うことができる。
【0172】
タブレット90(図13)から首振制御信号C2を可変照明装置10に送って、灯具30が首振動作している途中で、灯具30が障害物に衝突等して首振動作ができなくなったときの動作状態を説明する。
この場合には、灯具30側から第2駆動部60(図11)の首振用モータ61側に第2規定トルクを越える過大トルクが付与され、波ワッシャ65(図示省略)とウォームホイール62bとの間や、波ワッシャ65(図示省略)とナット64との間でスリップが発生する。このため、過大トルクがウォームギヤ62や首振用モータ61に作用することはなく、ウォームギヤ62や首振用モータ61が保護される。
【0173】
また、障害物に衝突することにより、首振角度が衝突位置で固定されてしまう。このため、可変照明装置10からタブレット90に送られる首振角度検出信号D2で示される首振角度は、衝突した位置での首振角度となる。このため、タブレット90側では、首振角度は、衝突した位置での首振角度であることを認識でき、首振角度を設定するGUIコントロール902(図14)に表示される首振角度は、衝突した位置での首振角度が表示される。
これにより、衝突が発生したとしても、可変照明装置10の灯具30の首振角度と、タブレット90が認識している灯具30の首振角度が一致する。このため、衝突状態を解消した後においても、タブレット90による灯具30の首振制御動作を正常に行うことができる。
【0174】
[灯具の姿勢を操作者が手動で調整したときの動作状態の説明]
灯具30のポジションである姿勢(旋回角度及び首振角度)をプリセットして、灯具30から出射された光を、被照射体の予め決めた目標位置に当てるために、操作者が灯具30を手で把持した状態で力を加えて灯具30の姿勢を手動で調整したときの動作状態を説明する。
【0175】
操作者は事前に、点灯指示を情報として有する点灯・消灯制御信号C4を、タブレット90から可変照明装置10に送って光源36を点灯状態にして、灯具30から光を出射させた状態にしておく。
【0176】
次に操作者は、出射された光が被照射体の予め決めた目標位置に当たるように、灯具30を旋回方向及び首振方向に手動で動かして灯具30の姿勢を手動で調整する。
灯具30を手動により旋回方向に動かしたときには、第1駆動部50(図7図8)に第1規定トルクを越える過大トルクが付与されるが、第1駆動部50においてスリップが発生して、灯具30を旋回方向に移動させることができる。このとき、第1駆動部50においてスリップが発生するため、ウォームギヤ52や旋回用モータ51が保護される。
灯具30を手動により首振方向に動かしたときには、第2駆動部60(図11)に第2規定トルクを越える過大トルクが付与されるが、第2駆動部60においてスリップが発生して、灯具30を首振方向に移動させることができる。このとき、第2駆動部60においてスリップが発生するため、ウォームギヤ62や首振用モータ61が保護される。
【0177】
灯具30を手動により旋回方向に動かしたときには、可変照明装置10からタブレット90に送られる旋回角度検出信号D1で示される旋回角度は、灯具30の旋回動作に応じて変化していく。また、灯具30を手動により首振方向に動かしたときには、可変照明装置10からタブレット90に送られる首振角度検出信号D2で示される首振角度は、灯具30の首振動作に応じて変化していく。
これにより、灯具30を手動により旋回方向や首振方向に動かしても、可変照明装置10の灯具30の旋回角度及び首振角度と、タブレット90が認識している灯具30の旋回角度の首振角度及び旋回角度が一致する。このため、灯具30の姿勢を手動により調整した後においても、タブレット90による灯具30の旋回制御動作及び首振制御動作を正常に行うことができる。
【0178】
[変形例]
なお、図1に示す実施形態では、可変照明装置が複数台設置されるものとして説明したが、これに限定されず、1台の可変照明装置を1台のタブレット(遠隔式操作端末)で制御する構成としてもよい。
【0179】
さらに、上述した実施形態では、照射方向に加えて調光、調色及び配光角度も制御可能であるものとして説明したが、これに限定されず、少なくとも照射方向を制御可能であれば良い。
【0180】
また、上述した実施形態では、各可変照明装置においてシーン登録及びアングル登録を記憶しておき、所定のタイマ時間が到来した際に遠隔式操作端末(タブレット)から制御信号が出力され、これをキーとして、各可変照明装置がシーン登録及びアングル登録に示す状態となるよう動作するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、所定のタイマ時間が到来した際に遠隔式操作端末(タブレット)から出力される制御信号に、各可変照明装置のシーン登録及びアングル登録の情報も含めることにより、各可変照明装置においてシーン登録及びアングル登録を記憶しない態様としても良い。
【0181】
さらに、上述した実施形態では、遠隔式操作端末(タブレット)がタイマ機能を有する構成と、複数の可変照明装置がメッシュ型ネットワークを構築する構成とが相俟って、全ての可変照明装置を精度よく連動制御することが可能であるが、これに限定されるものではない。例えば、遠隔式操作端末(タブレット)がタイマ機能を有する構成に代えて、複数の可変照明装置のうちの1台がタイマ機能を有する構成を採用することも可能であるし、各可変照明装置がタイマ機能を有する構成を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0182】
1 ライティングダクトレール
10 可変照明装置
20 基体部
20a 筐体
201 通信モジュール
202 制御部
203 メモリ
204 電源部
205 電源制御部
210 光源制御部
211 点灯・消灯制御部
212 調光制御部
213 調色制御部
220 姿勢制御部
221 パン制御部
222 チルト制御部
223 配光角度制御部
30 灯具
31 前側筒部
32 後側筒部
33 レンズ
34 放熱フィン
35 光源取付台
36 光源(発光ダイオード)
37 軸取付穴
38 レンズ移動用モータ
39 レンズ位置検出センサ
40 アーム
41 横軸部
42a,42b 縦軸部
50 第1駆動部
50a 筐体
51 旋回用モータ
52 ウォームギヤ
52a ウォーム
52b ウォームホイール
53 第1出力軸
53a 雄ねじ
54 ナット
54a 横孔
54b 止めねじ
55 波ワッシャ
56 軸受
57 磁石取付アーム
57a 先端部
58 旋回角度検出センサ
58a 磁石
58b 磁気式エンコーダ
60 第2駆動部
60a 筐体
61 首振用モータ
62 ウォームギヤ
62a ウォーム
62b ウォームホイール
63 第2出力軸
64 ナット
64a 横孔
64b 止めねじ
68 首振角度検出センサ
68a 磁石
70 回動支持部
71,72 支持軸
80 ケーブル
81 器具内電線
82 保護チューブ
90 タブレット
91 操作表示画面
901~907、921~926 GUIコントロール
LS 照明システム
MN メッシュ型ネットワーク
C1 旋回制御信号
C2 首振制御信号
C3 配光角度制御信号
C4 点灯・消灯制御信号
C5 調光制御信号
C6 調色制御信号
D1 旋回角度検出信号
D2 首振角度検出信号
D3 配光角度検出信号
αA,αB アングル登録指令信号
βA,βB 登録アングル再生指令信号
γ1,γ2 シーン登録指令信号
δ1,δ2 登録シーン再生指令信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18