(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ロック装置およびロック装置を備える処理装置
(51)【国際特許分類】
F27D 1/18 20060101AFI20240521BHJP
E05C 3/10 20060101ALI20240521BHJP
E05C 1/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
F27D1/18 N
E05C3/10
E05C1/06 A
(21)【出願番号】P 2020115104
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390008431
【氏名又は名称】高砂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100195545
【氏名又は名称】鮎沢 輝万
(74)【代理人】
【識別番号】100221327
【氏名又は名称】大川 亮
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 司
(72)【発明者】
【氏名】三岡 雅尚
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-155359(JP,U)
【文献】特開2006-328911(JP,A)
【文献】特開平09-078125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 1/18
E05C 3/10
E05C 1/06
F16J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。
【請求項2】
前記支持手段と前記可動部材は、前記壁面方向に平行に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記扉のロック状態において、前記支持手段と、前記可動部材と、前記変換手段とが、前記押圧方向にこの順番で並び配置される、ことを特徴とする請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記可動部材に連結するロッドを備え、
前記ロッドは、保持手段によって保持されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項5】
前記支持手段は、前記可動部材と前記壁部との間に配置される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
前記可動部材は、傾斜部を有し、
前記可動部材の進退によって、前記傾斜部を前記変換手段が移動し、前記可動部材の前記壁面方向の運動の力が前記押圧部材の押圧方向の力に変換される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
前記変換手段は、前記壁部に固定された支持部と、前記支持部により前記壁面方向における略中心を支持される本体部と、を有し、前記変換手段は、シーソ運動可能に構成される、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
ロック装置は、さらにリンクを有し、
前記変換手段は、前記可動部材と前記リンクを介して連結される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項9】
壁部と、前記壁部に形成された開口部を開閉する扉と、を有する処理装置であって、
請求項1から8のいずれか一項に記載のロック装置を備える、ことを特徴とする処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置およびロック装置を備える処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理物に対して冷却処理や加熱処理等を行う処理装置おいて、被処理物を室内へ搬入した後、開閉扉を閉じて所定の温度まで冷却または加熱し、冷却または加熱処理の終了後に開閉扉を開いて被処理物を搬出している。この処理の際、被処理物を均一かつ短時間で冷却または加熱するために、室内の温度や圧力が制御されており、外気の流入による影響を排除するため、開閉扉により開口部が気密に閉塞される。また、処理室の処理雰囲気を加圧雰囲気や減圧(真空)雰囲気にする圧力容器で構成された処理室では、開閉扉により開口部が気密に閉塞される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、トグル機構を有する扉開閉装置を開示している。具体的には、扉11が閉位置に移動後、ロック機構20内のリンク機構25がシリンダ機構24にて稼働され、リンク機構25に連結された押圧端26aにて扉11が開口部4に押し当てられ、密着されている。また、リンク機構25は、リンク28aおよび28bと、ロッド24aとによりトグル機構を構成している。
【0005】
トグル機構を有する扉開閉装置では、シリンダのロッド先端部は、トグルクランプのリンク機構に連結されており、ロッド先端部の軌道は、ロッドの進退方向の直線でなく、円弧となる。そのため、ロッド先端部には強い横荷重が加わり、この横荷重を受けながらの動作を繰り返すことで、ロッドのスラスト軸受が摩耗し、ガタが生じることがあった。また、シリンダは熱に弱いため、処理装置外に設けられ、外気を遮断するシール(真空シール)を介して処理装置内に延長ロッドで駆動を伝える構造が一般的であるが、ロッドに横荷重が加わり、シールを横に捻るとリーク発生の原因となることがあった。そのため、扉閉鎖装置の定期メンテナンスおよび部品交換等を頻繁に行う必要があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、メンテナンスおよび部品交換等の頻度を低減し、維持管理が容易なロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
壁部に形成された開口部を開閉する扉を閉位置にロックするロック装置であって、
前記閉位置において前記扉を前記開口部側に押圧する押圧部材と、
前記壁部の壁面方向に進退する可動部材を備え、前記押圧部材の押圧力を発揮する駆動手段と、
前記可動部材の前記壁面方向の運動の力を前記押圧部材の押圧方向の力に変換する変換手段と、
前記可動部材に対して、前記可動部材に作用する前記変換手段からの反力の側に配置され、前記可動部材を摺動可能に支持する支持手段と、
を備えるロック装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メンテナンスおよび部品交換等の頻度を低減し、維持管理が容易なロック装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1のX方向より見た本実施形態に係るロック装置の解除時の概略図。
【
図3】
図1のX方向より見た本実施形態に係るロック装置のロック時の概略図。
【
図6】
図5に示す別の実施形態に係るロック装置のa-a断面の概略図。
【
図7】
図5に示す別の実施形態に係るロック装置の解除時のb-b断面の概略図。
【
図8】
図5に示す別の実施形態に係るロック装置のロック時のb-b断面の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<本実施形態に係るロック装置>
図1は、本実施形態に係るロック装置の概略図である。
図2および
図3は、
図1に示すロック装置をX方向から見た図であり、
図2は、本実施形態に係るロック装置のロック解除時の概略図であり、
図3は、本実施形態に係るロック装置のロック時の概略図である。以降の説明では、
図1のロック装置において、紙面手前を「前」、紙面奥を「後」、紙面右を「右」、紙面左を「左」、紙面上を「上」、紙面下を「下」と称することもある。
【0012】
本実施形態に係るロック装置10は、押圧部材20と、可動部材31を備え、押圧部材20の押圧力を発揮する駆動手段30と、可動部材31の壁面方向の運動の力を押圧部材20の押圧方向の力に変換する変換手段40と、を備え、さらに、可動部材31に対して、可動部材31に作用する変換手段40からの反力の側に配置され、可動部材31を摺動可能に支持する支持手段50を備えている。以下、各構成要素について順次説明する。
【0013】
まず、ロック装置10は、冷却室や、加熱室等の処理室を有する処理装置の扉や、各処理室の扉等を閉鎖するように扉に近接して設けられる。また、処理室の扉は、処理雰囲気を加圧雰囲気や減圧(真空)雰囲気に耐え得る耐圧性を有する金属等で形成され得る。
【0014】
図1は、処理装置内の処理室100の壁部200に形成された開口部300を閉鎖する扉400に近接して設けられたロック装置10を示している。また、ロック装置10は、
図1に示すように扉400の左側に設けても、
図4に示す別の実施形態に係るロック装置10のように扉400の右側に設けてもよい。また、
図2および
図3では、開口部300が形成された壁部200とロック装置10を支持する壁部200とが段差を有して形成されているが、面一で形成することもできる。壁部200には、処理室の気密性を確保するために、開口部300の周囲にOリング等のシール部材が設けられてもよい。
【0015】
(押圧部材)
押圧部材20は、閉位置において扉400の外面を開口部300側(前から後側)に押圧するものである。一実施形態において、押圧部材20は、壁面方向(A矢印)において、変換手段40の可動部材31接触する端部と反対側の端部付近に設けられる。押圧部材20は、押圧方向に変換された力で扉400を開口部300側に押圧できれば、その形状、材質等は特に限定されるものでない。例えば、円柱状、筒状、角柱状、ヘッドを有する円柱状(くぎ状)等有する金属等が例示される。
【0016】
(駆動手段)
駆動手段30は、壁部200の壁面方向(A矢印)に進退する可動部材31を備え、押圧力を発揮するものである。可動部材31は、壁面方向の運動可能で、変換手段40に接触可能に構成されれば、その形状、材質等は、特に限定されるものでない。例えば、角柱状、円柱状、円筒状等の金属等が例示される。
【0017】
一実施形態において、駆動手段30は、動力源からの力で可動部材31を進退させる進退機構(32、33、34)を備えている。可動部材31は、進退機構の前進側の端部に設けられており、角柱状(直方体状)で、可動部材31の前進側の端部に傾斜部31aを有し、さらに、可動部材31の長手方向(壁面方向)に略平行に、傾斜部31aに続く平坦部31bを有する。以下、この形状を「クサビ型形状」と称することもある。この可動部材31の前進によって、傾斜部31aを変換手段40が移動し、平坦部31bに変換手段40が乗り込み安定した位置に保持され、可動部材31の壁面方向(A矢印)の運動の力が押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換される。
【0018】
一実施形態において、傾斜部31aは、可動部材31の前進側に設けられているが、可動部材31の後退側に設けてもよい。この場合、変換手段40の壁面方向における駆動手段側を、可動部材31の後退側に位置するように構成し、進退機構を後退させることで、傾斜部31aを変換手段40が移動し、平坦部31bに変換手段40が乗り込み安定した位置に保持され、可動部材31の壁面方向(A矢印と反対向き)の運動の力が押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換される。
【0019】
進退機構は、特に限定されるものでなく、シリンダ機構、ラックアンドピニオン機構等が例示される。本実施形態に係るロック装置では、進退機構としてシリンダ機構が設けられている。シリンダ機構は、シリンダ34と、シリンダ34に設けられたロッド32と、ロッド32を保持する保持手段33と、を備え、可動部材31は、ロッド32におけるシリンダ34と反対側の端部に設けられている。また、一実施形態において、保持手段33は、軸受、Oリングのようなシール部材等を有している。
【0020】
(変換手段)
変換手段40は、可動部材31の壁面方向の運動の力を押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換するものである。一実施形態において、変換手段40は、壁部200に固定された支持部41と、支持部41により壁面方向における略中心を支持される本体部42と、を有し、変換手段40は、シーソ運動可能に構成される。また、変換手段40は、可動部材31の傾斜部31aの移動を容易にするローラ43を有することができる。
【0021】
(支持手段)
支持手段50は、可動部材31に対して、可動部材31に作用する変換手段40からの反力の側に配置され、可動部材31を摺動可能に支持している。これにより、シリンダ34は、変換手段40から、軸線方向に斜めの荷重を受けないため、保持手段33の軸受の摩耗やガタ、および保持手段33のシール部材からのリーク発生を抑制することができる。支持手段50は、可動部材31を摺動可能に支持できれば、その形状、材質等は、特に限定されるものでなく、角柱状(板状)の金属等が例示され、貫通孔を有していてもよい。
【0022】
支持手段50は、可動部材31と、壁面方向に平行に配置される。また、支持手段50は、可動部材31と壁部200との間に配置され、可動部材31は、壁部200の剛性を利用して、反力を受けられる。
図3に示すように、扉400のロック状態において、支持手段50と、可動部31と、変換手段40とは、押圧方向にこの順番で並び配置される。これにより、扉400への押圧力は進退機構の推進力に依存せず、可動部材31を構成する材料の強度に依存する。そのため、この配置を維持できている限り、ロック状態が維持でき、停電時に電力供給が無くなった場合でも、ロック機構が解除されることはない。
【0023】
<本実施形態に係るロック装置の動作>
本実施形態に係るロック装置の動作について、
図2および3を参照して説明する。なお、
図1のX方向から見た場合、開口部300は確認できないが、
図2および
図3には説明の便宜上、斜線で開口部300を示してある。
【0024】
一実施形態において、扉400は、水平方向(
図2の紙面右側から左側の方向)に移動するもので、処理室100は、扉400の下側(
図2の紙面奥行側)にローラ(不図示)を備え、かつその上側(
図2の紙面手前側)に扉400が外れないようにガイドローラ(不図示)を備えている。
【0025】
被処理物は、コンベア等の搬送装置によって、B方向から処理室100に搬入される。解放状態の扉400は、チェーン等で連結されているモータ等の推進力により、
図2に示される閉位置にスライド移動させられる。扉400が閉位置に移動させられる際、扉400の右側は壁部200と押え部500の間に挿入され、押え部500により壁部200に密着する(押し込まれる)よう構成されている。なお、扉400は、一方を押え部500により押え、他方を押圧部材20によって押圧されると回動するコの字型の作動バーを備えることもできる。
【0026】
扉400が閉位置で停止すると、駆動手段30のシリンダ機構が駆動される。シリンダ34のロッド32の先端に設けられた可動部材31が、ロッド32の前進に伴って支持手段50上を前進し、その動きに伴い、シーソ型の変換手段40のローラ43が傾斜部31aに沿って移動する。ローラ43が可動部材31の傾斜部31aを超え、平坦部31bに到達すると、シーソ型の変換手段40と可動部材31が平行をなす。これにより、押圧部材20が扉400へ与える押圧力が最大となり、扉400が開口部300をロックする。
【0027】
また、ロック解除は、ロック動作を逆に行えばよく、ローラ43が可動部材31の後退に伴って、可動部材31の傾斜部31aに戻り、容易にロック状態が解除される。また、水平方向に移動する扉400を有する装置を例として説明したが、他の方向、例えば、垂直方向(上側から下側方向)に移動する扉を有する装置や、扉の一端が蝶番等で固定され、蝶番を支点として回動させて開閉する扉を有する装置であってもよい。
【0028】
<別の実施形態に係るロック装置>
図4は、別の実施形態に係るロック装置の概略図である。
図5は、別の実施形態に係るロック装置の概略図であり、壁部の一部を省略している。
図6は、
図5に示す別の実施形態に係るロック装置のa-a断面の概略図である。
図7および
図8は、
図5に示す別の実施形態に係るロック装置のb-b断面の概略図であり、
図7は、別の実施形態に係るロック装置のロック解除時の概略図であり、
図8は、別の実施形態に係るロック装置のロック時の概略図である。
【0029】
以降の説明において、
図4のロック装置において、紙面手前を「前」、紙面奥を「後」、紙面右を「右」、紙面左を「左」、紙面上を「上」、紙面下を「下」と称することもある。また、本実施形態に係るロック装置と同一若しくは同様の構成には、同一の参照番号を付し、重複した説明を省略する。
【0030】
別の実施形態に係るロック装置10は、押圧部材20と、可動部材31を備え、押圧部材20の押圧力を発揮する駆動手段30と、可動部材31の壁面方向の運動の力を押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換する変換手段40と、を備え、さらに、可動部材31に対して、可動部材31に作用する変換手段40からの反力の側に配置され、可動部材31を摺動可能に支持する支持手段50と、を備えている。別の実施形態に係るロック装置10は、リンク60をさらに備える点で、本実施形態に係るロック装置と異なる。以下、各構成要素について順次説明する。
【0031】
まず、ロック装置10は、処理装置または処理室の壁部200に形成された開口部300を閉鎖する扉400に近接して設けられており、壁部200および閉位置の扉400に略平行で、前側から見たとき、扉400の一部を覆うように配置された処理装置の壁部202に支持されている。
図5は、ロック装置10を支持する壁部202と、押え部500を支持する壁部204とを省略したものである。また、ロック装置10は、
図4に示すロック装置10のように扉400の右側に設けても、
図1に示す本実施形態に係るロック装置10のように扉400の左側に設けてもよい。
【0032】
(押圧部材)
押圧部材20は、閉位置において扉400の外面を開口部300側(前から後側)に押圧するものである。一実施形態において、押圧部材20は、B矢印の方向において、変換手段40の可動部材31側と反対の端部に設けられている。押圧部材20の形状、材質等は、本実施形態に係るロック装置10と同様のものとすることができる。
【0033】
(駆動手段)
駆動手段30は、壁部202の壁面方向(A矢印)に進退する可動部材31を備え、押圧力を発揮するものである。可動部材31は、壁面方向の運動可能で、リンク60に連結可能に構成されれば、その形状、材質等は、特に限定されるものでない。例えば、角柱状、円柱状、円筒状等の金属等が例示される。一実施形態において、駆動手段30は、動力源からの力で可動部材31を進退させる進退機構(32、33、34)を備えており、進退機構としてシリンダ機構が例示される。シリンダ機構は本実施形態に係るロック装置10と同様のものとすることができる。また、保持手段33は、軸受、シール部材等を有している。
【0034】
(変換手段)
変換手段40は、可動部材31の壁面方向の運動の力を押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換するものである。変換手段40は、リンク60および押圧部材20に連結可能に構成されれば、その形状、材質等は、特に限定されるものでな。例えば、角柱状、円柱状、円筒状等の金属等が例示される。
【0035】
(支持手段)
支持手段50は、可動部材31に対して、可動部材31に作用する変換手段40からの反力の側に配置され、可動部材31を摺動可能に支持している。これにより、シリンダ34は、変換手段40から、軸線方向に斜めの荷重を受けないため、保持手段33の軸受の摩耗やガタ、および保持手段33のシール部材からのリーク発生を抑制することができる。支持手段50の形状、材質等は、本実施形態に係るロック装置10と同様のものとすることができる。
【0036】
別の実施形態に係るロック装置においても、支持手段50は、可動部材31と、壁面方向に平行に配置され、また、支持手段50は、可動部材31と壁部202との間に配置され、可動部材31は、壁部202の剛性を利用して、反力を受けられる。
図6および8に示すように、扉400のロック状態において、支持手段50と、可動部31と、リンク60と、変換手段40とは、押圧方向にこの順番で並び配置される。これにより、扉400への押圧力は進退機構の推進力に依存せず、可動部材31を構成する材料の強度に依存する。そのため、この配置を維持できている限り、ロック状態が維持でき、停電時に電力供給が無くなった場合でも、ロック機構が解除されることはない。
【0037】
(リンク)
別の実施形態に係るロック装置は、リンク60を備える。変換手段40は、リンク60を介して、可動部材31と連結される。リンク60は、可動部材31と変換手段40とを連結できれば、特に限定されるものでなく、板状部材、リング状部材等を使用することができ、例えば、チェーンリンクを使用することができる。
【0038】
変換手段40は、リンク60を介して、可動部材31の壁面方向(A矢印)の運動の力を押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換する。リンク60は、可動部材31の前進側の端部に連結されているが、別の実施形態において、リンク60は、可動部材31の後退側の端部に連結されてもよい。この場合、変換手段40および押圧部材20も可動部材31に対して、可動部材31の後退側に位置するよう配置し、進退機構を後退させることで、変換手段40は、可動部材31の壁面方向(A矢印と反対向き)の運動の力を押圧部材20の押圧方向(B矢印)の力に変換する。
【0039】
<別の実施形態に係るロック装置の動作>
本実施形態に係るロック装置の動作について、
図6、
図7および8を参照して説明する。一実施形態において、扉400は、水平方向(
図6の右側から左側の方向)に移動するもので、処理室100は、扉400の下側(
図6の紙面奥行側)にローラ(不図示)を備え、かつその上側(
図6の紙面手前側)に扉400が外れないようにガイドローラ(不図示)を備えている。
【0040】
被処理物は、コンベア等の搬送装置によって、B方向から処理室100に搬入される。解放状態の扉400は、チェーン等で連結されているモータ等の推進力により、
図7に示される閉位置にスライド移動される。扉400が閉位置に移動させられる際、
図6に示されるように、扉400の左側は壁部200と押え部500の間に挿入され、押え部500により壁部200に密着する(押し込まれる)よう構成されている。なお、扉400は、一方を押え部500により押え、他方を押圧部材20によって押圧されると回動するコの字型の作動バーを備えることもできる。
【0041】
扉400が閉位置で停止すると、駆動手段30のシリンダ機構を駆動する。シリンダ34のロッド32の先端に備えた可動部材31が、ロッド32の前進に伴って支持手段50上を前進し、その動きに伴い、リンク60が変換手段40を押圧方向(B矢印)に移動させ、可動部材31と、リンク60と、変換手段40とが略直線状配置をなす。これにより、押圧部材20が扉400へ与える押圧力が最大となり、扉400が開口部300をロックする。
【0042】
また、ロック解除は、ロック動作を逆に行えばよく、リンク60が可動部材31の後退に伴って、変換手段40を押圧方向(B矢印と反対向き)に移動させ、容易にロック状態が解除される。また、水平方向に移動する扉400を有する装置を例として説明したが、他の方向、例えば、垂直方向(上側から下側方向)に移動する扉を有する装置であってもよい。
【0043】
以上説明したように、本発明のロック装置では、従来のロック装置と違い、ロッド32の先端に位置する可動部材31が円弧運動しないため、保持手段33の軸受やシール部材に対して径方向の負荷がかからない。さらに、可動部材31に作用する変換手段40からの反力の側に支持手段50が配置されているので、シリンダ34が変換手段40から斜め荷重(径方向に荷重)を受けない。これにより、保持手段33の軸受の摩耗やガタ、シール部材の捻りが抑制され、保持手段33の寿命が延び、メンテナンスおよび部品交換等の頻度を低減し、ロック装置の維持管理が容易となる。さらに、保持手段33のシール部材からのリーク発生を抑制することができるため、本発明のロック装置を備える処理装置は高い気密性を維持することができる。
【0044】
図3に示すように、シーソ型の変換手段40と可動部材31が平行をなし、または、
図8に示すように、可動部材31と、リンク60と、変換手段40とが略直線状配置をなし、扉400が開口部300をロックするので、扉400への押圧力は進退機構の推進力に依存せず、可動部材31を構成する材料の強度に依存する。そのため、この配置を維持できている限り、ロック状態が維持でき、停電時に電力供給が無くなった場合でも、ロック機構が解除されることはない。
【0045】
また、トグル機構を有するロック装置では、トグル機構の2つリンクとスライダが一直線上に位置することで、押圧力を得ているため、ピンポイントで進退機構の位置を決める必要がある。それに対して、本発明のロック装置では、シーソ型の変換手段40と可動部材31が平行をなすこと、または可動部材31と、リンク60と、変換手段40とが略直線状配置をなすことで、押圧力を得ているので、調整が容易であり、安定したロック状態を維持できる。
【0046】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 ロック装置、20 押圧部材、30 駆動手段、31 可動部材、傾斜部 31a、平坦部 31b、32 ロッド、33 保持手段、34 シリンダ、40 変換手段、41 支持部、42 本体部、43 ローラ、50 支持手段、60 リンク 100 処理室、200、201、202、203、204 壁部、300 開口部、400 扉、500 押え部