(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】誘導発熱ローラ装置、及び、誘導発熱ローラ装置に用いられる信号伝送装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/14 20060101AFI20240521BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20240521BHJP
H05B 6/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H05B6/14
G08C17/00 B
H05B6/06 393
(21)【出願番号】P 2020163017
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000110158
【氏名又は名称】トクデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌義
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-178862(JP,A)
【文献】特開昭58-114195(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012190(WO,A1)
【文献】特開平10-311844(JP,A)
【文献】特開平06-006993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/14
G08C 17/00
H05B 6/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられた中空のローラと、
前記ローラの中空内に配置された誘導発熱機構と、
前記ローラに設けられ、前記ローラの温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出信号を静止側の温度制御装置に非接触で伝送する信号伝送装置とを備え、
前記信号伝送装置は、
回転側に設けられて、前記検出信号に応じた光を出力する光送信部と、
静止側に設けられて、前記光送信部からの光を受光する光受信部と、
前記ローラの回転軸に沿って設けられた静止側コイル及び回転側コイルが電磁結合されて、前記光送信部に非接触で給電する回転トランスとを有し、
前記光送信部及び前記光受信部は、前記ローラの回転軸に沿って前記回転トランスを挟んで配置されるとともに、前記静止側コイル及び前記回転側コイルの間を通じて光の送受信を行う、誘導発熱ローラ装置。
【請求項2】
前記静止側コイル及び前記回転側コイルは、前記ローラの回転軸に沿って巻回された円筒状をなすものであり、
前記静止側コイル及び前記回転側コイルの間には、前記ローラの回転軸に沿った円筒状の隙間が形成されている、請求項1に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項3】
前記光送信部は、前記ローラの回転軸周りに複数の発光素子を有している、請求項1又は2に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項4】
前記光受信部は、前記ローラの回転軸周りに複数の受光素子を有している、請求項1乃至3の何れか一項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項5】
前記信号伝送装置は、
前記回転側コイル及び前記光送信部を保持する円筒状の回転側保持体と、
前記静止側コイル及び前記光受信部を保持する円筒状の静止側保持体とを有し、
前記回転側コイル及び前記光送信部を保持した前記回転側保持体と、前記静止側コイル及び前記光受信部を保持した前記静止側保持体とは、前記ローラの回転軸方向沿って分離可能である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項6】
前記ローラは、中空円筒状をなすローラ本体と、当該ローラ本体の両端部に設けられた中空のジャーナル軸とを有し、
前記信号伝送装置の外形寸法が、前記ジャーナル軸の外径寸法内に収まるように構成されている、請求項1乃至5の何れか一項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【請求項7】
前記光送信部又は前記光受信部の少なくとも一方は、複数の基板を用いて構成されており、それら複数の基板が前記ローラの回転軸に沿って配置されている、請求項1乃至6の何れか一項に記載の誘導発熱ローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導発熱ローラ装置、及び、誘導発熱ローラ装置に用いられる信号伝送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、誘導発熱ローラ装置においてローラの発熱温度を制御するために、ローラの内部に温度センサを設け、当該温度センサの検出信号を非接触伝送装置によって静止側に設けた温度制御装置に送信するものが考えられている。
【0003】
この非接触伝送装置は、回転トランスを用いたものであり、温度センサの信号を送信するためのロータコイルと、当該ロータコイルと電磁的に結合されたステータコイルとを備えている。また、非接触伝送装置には、温度センサを処理するための処理回路に電力を供給するための電源用のステータコイルと、当該電源用のステータコイルと電磁的に結合された電源用のロータコイルとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、信号伝送用のコイルと電源用のコイルとを設ける構成では、非接触伝送装置を小型化することが難しく、誘導発熱ローラ装置のメンテナンス時などに邪魔になってしまう。なお、上記の特許文献1では、信号伝送用のコイルを用いた回転トランスではなく、赤外線を含む光信号による光伝送装置を利用することも記載されているが、信号伝送装置の小型化については、一切考慮されていない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、ローラに設けられた温度センサの検出信号を静止側に伝送する信号伝送装置を小型化することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る誘導発熱ローラ装置は、回転自在に設けられた中空のローラと、前記ローラの中空内に配置された誘導発熱機構と、前記ローラに設けられ、前記ローラの温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出信号を静止側の温度制御装置に非接触で伝送する信号伝送装置とを備え、前記信号伝送装置は、回転側に設けられて、前記検出信号に応じた光を出力する光送信部と、静止側に設けられて、前記光送信部からの光を受光する光受信部と、前記ローラの回転軸に沿って設けられた回転側コイル及び静止側コイルが電磁結合されて、前記光送信部に非接触で給電する回転トランスとを有し、前記光送信部及び前記光受信部は、前記ローラの回転軸に沿って前記回転トランスを挟んで配置されるとともに、前記回転側コイル及び前記静止側コイルの間を通じて光の送受信を行うことを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、光送信部及び光受信部を用いて温度センサの検出信号を非接触で伝送するので、信号伝送用のコイルを不要にすることができ、信号伝送装置を小型化することができる。
本発明では、光送信部に非接触で給電する回転トランスを有しており、当該回転トランスの回転側コイルと静止側コイルとは物理的接触を避けるためにクリアランス(隙間)が設けられている。ここで、光送信部及び光受信部をローラの回転軸に沿って回転トランスを挟んで配置し、回転トランスの回転側コイル及び静止側コイルの間を通じて光の送受信を行うように構成しているので、回転側コイルと静止側コイルとの間の隙間を有効活用することができ、これによっても信号伝送装置を小型化することができる。
【0009】
具体的には前記回転側コイル及び前記静止側コイルは、前記ローラの回転軸に沿って巻回された円筒状をなすものであることから、前記回転側コイル及び前記静止側コイルの間には、前記ローラの回転軸に沿った円筒状の隙間が形成されている。
この構成であれば、円筒状の隙間を介して光送信部及び光受信部を対向配置することで、信号伝送装置を小型化することができる。
【0010】
温度センサの検出信号を静止側に伝送する伝送頻度を多くして、ローラの温度の制御性を向上するためには、前記光送信部は、前記ローラの回転軸周りに複数の発光素子を有していることが望ましい。また、光送信部が複数の発光素子を有することにより、光受信部による光の受信を確実に行うことができる。
【0011】
温度センサの検出信号を静止側に伝送する伝送頻度を多くして、ローラの温度の制御性を向上するためには、前記光受信部は、前記ローラの回転軸周りに複数の受光素子を有していることが望ましい。また、光受信部が複数の受光素子を有することにより、光受信部による光の受信を確実に行うことができる。
【0012】
信号伝送装置の具体的な実施の態様としては、前記信号伝送装置は、前記回転側コイル及び前記光送信部を保持する円筒状の回転側保持体と、前記静止側コイル及び前記光受信部を保持する円筒状の静止側保持体とを有することが考えられる。
この構成において、信号伝送装置などのメンテナンス性を向上するためには、前記回転側コイル及び前記光送信部を保持した前記回転側保持体と、前記静止側コイル及び前記光受信部を保持した前記静止側保持体とは、前記ローラの回転軸方向に沿って分離可能であることが望ましい。
【0013】
具体的に前記ローラは、中空円筒状をなすローラ本体と、当該ローラ本体の両端部に設けられた中空のジャーナル軸とを有している。
この構成において、前記信号伝送装置の外形寸法が、前記ジャーナル軸の外径寸法内に収まるように構成されていることが望ましい。
この構成であれば、ジャーナル軸を回転自在に支持する軸受を交換する際に、信号伝送装置を取り外すことなく、軸受を交換することができる。
【0014】
前記光送信部又は前記光受信部の少なくとも一方は、複数の基板を用いて構成されており、それら複数の基板が前記ローラの回転軸に沿って配置されていることが望ましい。
この構成であれば、基板のサイズを大きくすることなく、基板面積を大きくすることができるとともに、信号伝送装置のローラの軸方向に直交する径方向の寸法を小さくすることができる。
【0015】
また、本発明に係る信号伝送装置は、回転自在に設けられた中空のローラと、前記ローラの中空内に配置された誘導発熱機構と、前記ローラに設けられ、前記ローラの温度を検出する温度センサとを備える誘導発熱ローラ装置に用いられ、前記温度センサの検出信号を静止側の温度制御装置に非接触で伝送する信号伝送装置であって、
回転側に設けられて、前記検出信号に応じた光を出力する光送信部と、静止側に設けられて、前記光送信部からの光を受光する光受信部と、前記ローラの回転軸に沿って設けられた回転側コイル及び静止側コイルが電磁結合されて、前記光送信部に非接触で給電する回転トランスとを有し、前記光送信部及び前記光受信部は、前記ローラの回転軸に沿って前記回転トランスを挟んで配置されるとともに、前記回転側コイル及び前記静止側コイルの間を通じて光の送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
このように構成した本発明によれば、ローラに設けられた温度センサの検出信号を静止側に伝送する信号伝送装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る誘導発熱ローラ装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図2】同実施形態の信号伝送装置の構成を模式的に示す断面図である。
【
図3】変形実施形態の信号伝送装置の構成を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明に係る誘導発熱ローラ装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
<1.装置構成>
本実施形態に係る誘導発熱ローラ装置100は、誘導発熱ローラ装置100は、例えばプラスチックフィルム、紙、布、不織布、合成繊維、金属箔等のシート材又はウェブ材、線(糸)材等の連続材の連続熱処理工程等において用いられるものである。
【0020】
具体的にこの誘導発熱ローラ装置100は、
図1に示すように、回転自在に支持された中空のローラ2と、このローラ2の中空内に静止状態で配置される誘導発熱機構3とを備えている。
【0021】
ローラ2は、円筒状をなすローラ本体21と、当該ローラ本体21の両端部に設けられた一対のジャーナル部22とを有している。このジャーナル部22は、ローラ本体21の端部開口を覆うフランジ部221と、当該フランジ部221に一体形成された中空のジャーナル軸222とを有している。また、ジャーナル軸222は、転がり軸受等の軸受41、42を介して機台51、52に回転自在に支持されている。そして、ローラ2は、例えばモータ等の回転駆動機構(不図示)により外部から与えられる駆動力によって回転されるように構成されている。
【0022】
なお、ローラ2のローラ本体21には、長手方向(軸方向)に延びる気液二相の熱媒体を封入するジャケット室が、周方向全体に間隔を空けて例えば等間隔に複数形成されていても良い。このジャケット室内に封入された気液二相の熱媒体の潜熱移動によりローラ本体21の表面温度が均一化される。
【0023】
誘導発熱機構3は、円筒形状をなす円筒状鉄心31と、当該円筒状鉄心31の外側周面に巻装された誘導コイル32と、それらを支持する支持軸33とを有する。支持軸33は、円筒状鉄心31の両端部それぞれに設けられている。この支持軸33は、それぞれジャーナル軸222の内部に挿通されており、転がり軸受等の軸受61、62を介してジャーナル軸222に対して回転自在に支持されている。これにより、誘導発熱機構3は、回転するローラ2の内部において、ローラ2に対して静止状態に保持される。誘導コイル32には、リード線L1が接続されており、このリード線L1には、交流電圧を印加するための交流電源7が電力調整装置8を介して接続されている。
【0024】
このような誘導発熱機構3により、誘導コイル32に交流電圧が印加されると交番磁束が発生し、その交番磁束はローラ2のローラ本体21を通過する。この通過によりローラ本体21に誘導電流が発生し、その誘導電流でローラ本体21はジュール発熱する。
【0025】
そして、本実施形態の誘導発熱ローラ装置において、ローラ本体21には、ローラ本体21の温度を検出するための温度センサT1が設けられている。この温度センサT1に接続された信号線L2は、ジャーナル軸222の端部に設けられた信号伝送装置10に接続されており、信号伝送装置10から外部の温度制御装置9に出力される。温度制御装置9は、取得した温度情報に基づいてローラ本体21の温度が所望の温度となるように電力調整装置8を制御する。
【0026】
信号伝送装置10は、温度センサT1の検出信号を静止側の温度制御装置9に非接触で伝送するものであり、
図2に示すように、回転側に設けられて、検出信号に応じた光を出力する光送信部11と、静止側に設けられて、光送信部11からの光を受光する光受信部12と、光送信部11に非接触で給電する回転トランス13とを有している。
【0027】
光送信部11は、温度センサT1の検出信号を処理する処理回路部111と、当該処理回路部により得られた信号に基づいて発光する発光素子112とを有している。処理回路部111としては、例えば、温度センサT1の検出信号を増幅する増幅回路、増幅された検出信号をデジタル信号に変換するAD変換回路、AD変換回路により得られたデジタル信号に基づいて発光素子112を制御する制御回路などを有している。その他、光送信部11には、回転トランス13からの電力を受け取り、光送信部11の各部に供給する電源回路(不図示)も有している。
【0028】
光受信部12は、光送信部11からの光を受光する受光素子121と、受光素子121から出力される光強度信号を処理する処理回路部122とを有している。処理回路部122としては、例えば、受光素子121の光強度信号を増幅する増幅回路、増幅された光強度信号をデジタル信号に変換するAD変換回路、AD変換回路により得られたデジタル信号を温度データに変換する温度変換回路などを有している。その他、光受信部12には、回転トランス13へ電力を送る電源回路(不図示)も有している。
【0029】
回転トランス13は、ローラ2の回転軸に沿って設けられた静止側コイル131及び回転側コイル132が電磁結合されて構成されたものである。静止側コイル131及び回転側コイル132は、ローラ2の回転軸に沿って巻回された円筒状をなすものであり、本実施形態では、静止側コイル131が内側、回転側コイル132が外側に配置されている。このように配置されていることから、静止側コイル131の外側周面と回転側コイル132の内側周面との間には、ローラ2の回転軸に沿った円筒状の隙間Sが形成されている。
【0030】
そして、本実施形態では、光送信部11及び光受信部12は、ローラ2の回転軸に沿って回転トランス13を挟んで配置されるとともに、静止側コイル131及び回転側コイル132の間の隙間Sを通じて光の送受信を行う。具体的に光送信部11の発光素子112及び光受信部12の受光素子121は、円筒状の隙間Sを介して対向配置されており、発光素子112から出た光がローラ2の中心軸に沿って隙間Sを通過して受光素子121に受光されるように構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、光送信部11及び光受信部12はそれぞれ複数の基板K1~K4を用いて構成されており、それら複数の基板K1~K4がローラ2の回転軸に沿って配置されている。各基板K1~K4は、中心部に支持軸33が通される例えば円形の貫通孔が形成された例えば円環状をなすものである。なお、
図2では、光送信部11及び光受信部12はそれぞれ2枚の基板K1~K4を用いて構成されているが、それぞれ3枚以上の基板を用いて構成しても良い。
【0032】
光送信部11の複数の基板K1、K2において、回転トランス13側に位置する基板K1には、少なくとも発光素子112が設けられている。また、光送信部11の処理回路部111及び電源回路はそれぞれ、複数の基板K1、K2に分けて搭載されている。一方、光受信部12の複数の基板K3、K4において、回転トランス13側に位置する基板K3には、少なくとも受光素子121が設けられている。また、光受信部12の処理回路部122及び電源回路はそれぞれ、複数の基板K3、K4に分けて搭載されている。
【0033】
さらに、本実施形態の信号伝送装置10は、回転トランス13の回転側コイル132及び光送信部11を保持する円筒状の回転側保持体10aと、回転トランス13の静止側コイル131及び光受信部12を保持する円筒状の静止側保持体10bとを有している。本実施形態の回転側保持体10aは、一方のジャーナル軸222の端部に設けられている。また、静止側保持体10bは、一方の支持軸33において、静止側コイル131が回転側コイル132と対向するように設けられている。
【0034】
そして、回転側コイル132及び光送信部11を保持した回転側保持体10aと、静止側コイル131及び光受信部12を保持した静止側保持体10bとは、ローラ2の回転軸方向に沿って分離可能である。本実施形態では、回転側保持体10a又は静止側保持体10bの一方をローラ2に対して外側に分離させるときに、回転側保持体10a及び静止側保持体10bが互いに干渉しないように構成されている。
【0035】
その上、本実施形態の信号伝送装置10は、その外形寸法が、ジャーナル軸222の外径寸法内に収まるように構成されている。つまり、信号伝送装置10は、ジャーナル軸222を軸方向から視た側面視において、ジャーナル軸222の外側周面よりも内側に位置するように構成されている。本実施形態では、信号伝送装置10の外形は、回転側保持体10aの外側周面で決まることから、回転側保持体10aの外径寸法がジャーナル軸222の外径寸法と同じか小さくなるように構成されている。
【0036】
<2.本実施形態の効果>
このように構成された本実施形態に係る誘導発熱ローラ装置100によれば、光送信部11及び光受信部12を用いて温度センサT1の検出信号を非接触で伝送するので、信号伝送用のコイルを不要にすることができ、信号伝送装置10を小型化することができる。
【0037】
本実施形態では、光送信部11及び光受信部12をローラ2の回転軸に沿って回転トランス13を挟んで配置し、回転トランス13の静止側コイル131及び回転側コイル132の間を通じて光の送受信を行うように構成しているので、静止側コイル131及び回転側コイル132の間の隙間Sを有効活用することができ、これによっても信号伝送装置10を小型化することができる。
【0038】
また、本実施形態では、信号伝送装置10の外形寸法が、ジャーナル軸222の外径寸法内に収まるように構成されているので、ジャーナル軸222を回転自在に支持する軸受42を交換する際に、信号伝送装置10を取り外すことなく、軸受42を交換することができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、光送信部11及び光受信部12が複数の基板K1~K4を用いて構成されており、それら複数の基板K1~K4がローラ2の回転軸に沿って配置されているので、基板K1~K4のサイズを大きくすることなく、基板面積を大きくすることができるとともに、信号伝送装置10のローラ2の軸方向に直交する径方向の寸法を小さくすることができる。
【0040】
<3.その他の変形実施形態>
例えば、前記実施形態では、静止側コイル131が径方向内側に配置され、回転側コイル132が径方向外側に配置された構成であったが、逆の構成、つまり回転側コイル132が径方向内側に配置され、静止側コイル131が径方向外側に配置された構成であっても良い。
【0041】
また、
図3に示すように、光送信部11は、複数の発光素子112を有する構成であっても良いし、光受信部12は、複数の受光素子121を有する構成であっても良い。この場合、複数の発光素子112は周方向に等間隔に設けることが考えられ、複数の受光素子121も周方向に等間隔に設けることが考えられる。複数の発光素子112又は複数の受光素子121を有する構成にすることにより、温度センサT1の検出信号を静止側に伝送する伝送頻度を多くして、ローラ2の温度の制御性を向上することができる。また、光受信部12による光の受信を確実に行うことができる。
【0042】
さらに、前記実施形態の光送信部11及び光受信部12は複数(2枚以上)の基板を有する構成であったが、それぞれ1枚の基板を有する構成としても良い。
【0043】
その上、発光素子112からの光を受光素子121に受光されやすくするために、光が通過する空間を形成する側面(例えば静止側コイル131の外側周面及び回転側コイル132の内側周面、又は、保持体10a、10bの内面等)に鏡面加工を施しても良い。
【0044】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
100・・・誘導発熱ローラ装置
2・・・ローラ
222・・・ジャーナル軸
3・・・誘導発熱機構
T1・・・温度センサ
9・・・温度制御装置
10・・・信号伝送装置
11・・・光送信部
12・・・光受信部
13・・・回転トランス
131・・・静止側コイル
132・・・回転側コイル
S・・・円筒状の隙間
112・・・発光素子
121・・・受光素子
10a・・・回転側保持体
10b・・・静止側保持体
K1~K4・・・基板