(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ソリッドイマージョンメニスカスレンズのための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20240521BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240521BHJP
G02B 21/00 20060101ALI20240521BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20240521BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/64 E
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/36
(21)【出願番号】P 2021540516
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020013512
(87)【国際公開番号】W WO2020150239
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-13
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ティー.シー. リウ
(72)【発明者】
【氏名】リンジー エイ. バーナー
(72)【発明者】
【氏名】アダム ケー. グレーサー
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-521385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088308(US,A1)
【文献】国際公開第2018/111722(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/006836(WO,A1)
【文献】特開2018-189946(JP,A)
【文献】特開2018-185456(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167484(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092109(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/051283(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/049306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/83
G02B 21/00-G02B 21/36
G02B 3/00-G02B 3/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
Science Direct
ACS PUBLICATIONS
Nature
SCIENCE
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを支持するように構成されている第1の側面、及び、前記第1の側面の反対側の第2の側面を有するサンプルホルダと、
前記サンプルホルダの前記第2の側面に隣接する浸漬流体を保持するように構成されている浸漬チャンバと、
前記浸漬流体の外側に配置され、前記サンプル内に
焦点を有するように構成されている照明用対物レンズと、
前記浸漬流体の外側に配置され、前記サンプル内に
焦点を有するように構成されている収集用対物レンズと、
前記照明用対物レンズと前記浸漬流体との間に配置された第1のソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)と、
前記収集用対物レンズと前記浸漬流体との間に配置された第2のソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)と、
を備える装置であって、
前記第2のSIMレンズは、前記第1のSIMレンズから独立しており、各SIMレンズは、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを有しており、前記第2の表面は、前記浸漬流体に隣接しており、前記対物レンズと前記
焦点との間を通過する光は、前記第1の表面と前記第2の表面とに対してほぼ垂直である、装置。
【請求項2】
前記第1のSIMレンズ及び前記第2のSIMレンズの前記第1の表面及び前記第2の表面は、前記SIMレンズを通過する光の波面と調和するように、それぞれ湾曲させられている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のSIMレンズの前記第1の表面は、第1の曲率を有しており、前記第1のSIMレンズの前記第2の表面は、第2の曲率を有しており、前記第2のSIMレンズの前記第1の表面は、第3の曲率を有しており、前記第2のSIMレンズの前記第2の表面は、第4の曲率を有しており、前記第1の曲率、前記第2の曲率、前記第3の曲率及び前記第4の曲率は、互いに等しくない、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のSIMレンズ及び前記第2のSIMレンズのそれぞれの前記第1の表面は、前記第1の表面から前記
焦点までの距離の曲率半径を有しており、前記第1のSIMレンズ及び前記第2のSIMレンズのそれぞれの前記第2の表面は、前記第2の表面から前記
焦点までの距離の曲率半径を有している、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のSIMレンズの前記第1の表面は、第1の曲率半径を有しており、前記第1のSIMレンズの前記第2の表面は、第2の曲率半径を有しており、前記第2のSIMレンズの前記第1の表面は、第3の曲率半径を有しており、前記第2のSIMレンズの前記第2の表面は、第4の曲率半径を有しており、前記第1の曲率半径、前記第2の曲率半径、前記第3の曲率半径及び前記第4の曲率半径は互いに等しくない、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記浸漬チャンバに対して3次元で前記サンプルホルダを動かすように構成されているアクチュエータをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
照明光を生成するように構成されている光源と、
収集された光を受け取るように構成されている検出器と、
をさらに備え、
前記第1の対物レンズは、照明ビームとして前記照明光を前記
焦点に向けて配向するように構成されており、前記第2の対物レンズは、前記
焦点からの光を受け取るように構成されている、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記対物レンズは、第1の光軸を有しており、前記第2の対物レンズは、第2の光軸を有しており、前記第1の光軸は、前記第2の光軸に対してほぼ直交している、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記対物レンズと少なくとも1つの追加の対物レンズとを保持するように構成されているレンズタレットであって、前記
焦点を含む光路に沿って、前記対物レンズ及び前記少なくとも1つの追加の対物レンズのうちの1つを選択的に配置するように構成されているレンズタレットをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記照明用対物レンズは、
前記浸漬流体と非接触である、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記収集用対物レンズは、前記浸漬流体と接触している浸漬対物レンズである、
請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月14日に出願された米国仮出願シリアル番号62/792,138の以前の出願日の米国特許法第119条に基づく利益を主張し、その全内容は、あらゆる目的のために、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
研究開発に関する声明
本発明は、アメリカ国立衛生研究所によって授与されたK99 CA240681、国防総省、連邦議会管理医療プログラム(CDMRP)、前立腺癌研究プログラム(PCRP)によって授与されたW81XWH-18-10358及びアメリカ国立科学財団(NSF)によって授与された大学院研究フェローシップ賞の下での政府の支援を受けてなされた。政府は本発明において一定の権利を有している。
【0003】
技術分野
本発明の実施形態は、全般的に、光学イメージング、特に顕微鏡検査に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
顕微鏡検査は全般的に、光をサンプルに向け、次いで、サンプルから受け取った光に基づいてサンプルを画像化することを含み得る。一部の顕微鏡は、システムの光学系を、サンプルに対してサンプルホルダの反対側(下側)に配置する。これによって、サンプルへのアクセス、サンプルの準備/取り付けの容易さ等が向上する可能性がある。したがって、照明光と収集光とは、サンプルホルダの材料を通過して光学系とサンプルとの間を通過し得る。対物レンズが配置されている周囲環境の屈折率と、サンプルホルダの屈折率との違いによる収差等、様々な収差のため、画像を歪ませずにサンプル内へ光を結合すること/サンプルから光を取り出すことが困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
少なくとも1つの態様において、本開示は、サンプルホルダ、浸漬チャンバ、照明用対物レンズ、収集用対物レンズ、第1のソリッドイマージョンメニスカスレンズ及び第2のソリッドイマージョンメニスカスレンズを備える装置に関する。サンプルホルダは、サンプルを支持するように構成されている第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを有している。浸漬チャンバは浸漬流体を保持し、サンプルホルダの第2の側面は浸漬流体に隣接している。照明用対物レンズは、浸漬流体の外側に配置されており、サンプル内に焦点領域を有している。収集用対物レンズは、浸漬流体の外側に配置されており、サンプル内に焦点領域を有している。第1のソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)は、照明用対物レンズと浸漬流体との間に配置されている。第2のSIMレンズは、収集用対物レンズと浸漬流体との間に配置されており、第1のSIMレンズから独立している。各SIMレンズは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを有しており、第2の表面は浸漬流体に隣接している。対物レンズと焦点領域との間を通過する光は、各SIMレンズの第1の表面と第2の表面とに対してほぼ垂直である。
【0006】
第1のSIMレンズ及び第2のSIMレンズの第1の表面及び第2の表面はそれぞれ、SIMレンズを通過する光の波面と調和するように湾曲し得る。第1のSIMレンズの第1の表面は第1の曲率を有していてよく、第1のSIMレンズの第2の表面は第2の曲率を有していてよく、第2のSIMレンズの第1の表面は第3の曲率を有していてよく、第2のSIMレンズの第2の表面は第4の曲率を有していてよく、第1の曲率、第2の曲率、第3の曲率及び第4の曲率は互いに等しくない場合がある。
【0007】
第1のSIMレンズ及び第2のSIMレンズのそれぞれの第1の表面は、第1の表面から焦点領域までの距離の曲率半径を有していてよく、第1のSIMレンズ及び第2のSIMレンズのそれぞれの第2の表面は、第2の表面から焦点領域までの距離の曲率半径を有していてよい。第1のSIMレンズの第1の表面は第1の曲率半径を有していてよく、第1のSIMレンズの第2の表面は第2の曲率半径を有していてよく、第2のSIMレンズの第1の表面は第3の曲率半径を有していてよく、第2のSIMレンズの第2の表面は第4の曲率半径を有していてよく、第1の曲率半径、第2の曲率半径、第3の曲率半径及び第4の曲率半径は互いに等しくない場合がある。
【0008】
装置は、浸漬チャンバに対して3次元でサンプルホルダを動かすことができるアクチュエータを含み得る。装置は、照明光を生成することができる光源を含み得る。第1の対物レンズは、照明ビームとして照明光を焦点領域に向けて配向するように構成されていてよい。検出器は収集された光を受け取ることができ、第2の対物レンズは焦点領域からの光を受け取ることができる。対物レンズは第1の光軸を有していてよく、第2の対物レンズは第2の光軸を有していてよい。第1の光軸は、第2の光軸に対して直交していてよい。装置は、対物レンズと少なくとも1つの追加の対物レンズとを保持することができるレンズタレットを含み得る。レンズタレットは、焦点領域を含む光路に沿って、対物レンズ及び少なくとも1つの追加の対物レンズのうちの1つを選択的に配置することができる。
【0009】
少なくとも1つの態様において、本開示は、サンプルホルダ、浸漬チャンバ、第1の対物レンズ、第2の対物レンズ及びソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)を含む装置に関する。サンプルホルダは、サンプルを支持するように構成されている第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを有している。浸漬チャンバは浸漬流体を保持する。サンプルホルダの第2の側面は浸漬流体に隣接している。第1の対物レンズは、周囲環境において、浸漬流体の外側に配置されており、サンプルの焦点領域に光を集束させる。第2の対物レンズは、周囲環境において、浸漬流体の外側に配置されており、サンプルの焦点領域に光を集束させる。SIMレンズは第1の対物レンズと浸漬流体との間に配置されているが、第2の対物レンズと浸漬流体との間には配置されていない。周囲環境は第1の屈折率を有しており、SIMレンズは第1の屈折率とは異なる第2の屈折率を有しており、サンプル、サンプルホルダ及び浸漬流体は第1の屈折率及び第2の屈折率とは異なる第3の屈折率を有している。
【0010】
周囲環境は空気であってよく、第1の対物レンズは、空気対物レンズ(air objective)であってよい。SIMレンズは、第1の湾曲表面と、第1の湾曲表面の反対側の第2の湾曲表面とを有していてよい。第1の湾曲表面及び第2の湾曲表面は、サンプルと第1の対物レンズとの間を通過する光の波面と調和するように成形されていてよい。第1の湾曲表面は、第1の湾曲表面と対物レンズの焦点領域との間の距離の曲率半径を有していてよく、第2の湾曲表面は、第2の湾曲表面と焦点領域との間の距離の曲率半径を有していてよい。第2の対物レンズは、浸漬流体と接触している浸漬対物レンズであってよい。
【0011】
装置は、第2の対物レンズと浸漬流体との間に配置されている第2のSIMレンズも含み得る。第2のSIMレンズは、第1のSIMレンズから独立していてよい。第2のSIMレンズは、第2の屈折率を有していてよい。第1の対物レンズは、照明ビームをサンプルの焦点領域に向けて配向することができ、第2の対物レンズは、焦点領域から光を収集することができる。
【0012】
少なくとも1つの態様において、本開示は方法に関する。この方法は、照明経路に沿って、第1の対物レンズを通ってサンプルに向けて照明光を配向することを含み、ここで、照明光は、浸漬流体を通過し、サンプルホルダを通過し、サンプルに入る。この方法は、収集経路に沿って、第2の対物レンズでサンプルから、収集された光を受け取ることを含み、受け取った光は、サンプルホルダ、浸漬流体及びソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)を通過する。SIMレンズは、収集された光の波面と調和するようにそれぞれ構成されている第1の湾曲表面と第2の湾曲表面とを有している。第2の湾曲表面は、浸漬媒体に隣接している。照明光はSIMレンズを通過しない。
【0013】
照明経路は、第1の対物レンズと浸漬流体との間に配置されている第2のSIMレンズを含み得る。この方法は、浸漬流体の屈折率をサンプルの屈折率に調和させることも含み得る。この方法は、収集された光に基づいてサンプルを画像化することも含み得る。サンプルホルダは、サンプルを支持し得る第1の側面と、第1の側面の反対側の第2の側面とを有していてよく、第2の側面は、浸漬流体に隣接していてよい。この方法は、画像の深度スタックを生成するために、第1の側面から第2の側面へと、軸線に沿ってサンプルホルダを走査することをさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、ソリッドイマージョンメニスカスレンズを備えた頂部開口型顕微鏡のブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による光学システムの一部の概略図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による光学システムを通る光路の概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による光学システムの概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、交換可能な対物レンズマウントを備えた光学システムの概略図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、サンプルを画像化する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
特定の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示又はその適用又は使用の範囲を制限することを決して意図するものではない。本システム及び方法の実施形態の以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、説明されたシステム及び方法が実施され得る特定の実施形態を例示するために示される添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が現在開示されているシステム及び方法を実践することを可能にするのに十分詳細に説明されており、他の実施形態が利用されてよく、構造的及び論理的変更が開示の精神及び範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。さらに、明確にするために、特定の特徴の詳細な説明は、それらが本開示の実施形態の説明を曖昧にしないように、当業者に明らかである場合には議論されない。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0016】
様々な例示的な値が本明細書全体に与えられている。実際のシステムでは完全な位置合わせが不可能な場合があるため、これらの値は概算値であることを理解する必要がある。したがって、「垂直」又は「直交」等の値を、実際の値が目的の角度の許容範囲内にある可能性がある「ほぼ90°」と解釈する必要がある。たとえば、直交していると説明されている2つのものが、互いに対して85°乃至95°の範囲で配置されてよい。他の角度及び測定値も同様に解釈されるべきである。
【0017】
顕微鏡検査は、通常、典型的には肉眼では見えない視野及び/又は解像度を有するサンプルの画像を生成するために、広範囲の用途で使用され得る。照明光は、照明用光学系を備えたサンプルに向かって配向されていてよい。収集用光学系は、サンプルから検出器(たとえば、CCD検出器、CMOS検出器又はユーザの眼)に光を収集するために使用され得る。場合によっては、検出器に到達する光は、照明光の一部を含み得る。場合によっては、検出器に到達する光は、発光するように照明光によって刺激された後、(たとえば、蛍光を介して)サンプルから放出されてよい。視野が均一な照明を受けることを保証すること、及び、照明がサンプルの深さを透過することを保証することが望ましい場合がある。
【0018】
ライトシート顕微鏡検査法は、検出器によって画像化されるサンプル内の薄い2次元照明「ライトシート」に沿って蛍光を励起することによって、均一な照明と光学セクショニング(焦点外光の除去)との両方を達成する。照明用光学系と収集用光学系とは互いに分離されており、それぞれを個別に最適化して画像化性能を向上させることができる。照明用光学系と収集用光学系との分割は、収集用光学系に直接的に到達する照明光の量を減らすのに役立つ場合がある。したがって、これは、光顕微鏡検査法又は暗視野顕微鏡検査法等の特定のタイプの顕微鏡検査法に役立つ場合がある。
【0019】
照明用光学系及び/又は収集用光学系は、サンプルホルダ(たとえば、サンプルを支持する透明なプレート)に対してある角度で配置されていてよい。たとえば、照明用光学系及び収集用光学系は、それぞれ、サンプルホルダに対して45°の角度であってよい。これは、画像化パラメータ及び画像化の深さの最適化に利点を提供する可能性があるが、サンプルホルダによる照明光及び/又は収集光の非垂直入射は、様々な収差をもたらし得る。ソリッドイマージョンレンズ(SIL)は、サンプルに出入りする光線が垂直角度でSILに入射するように、照明光又は収集光の波面と調和する表面を含み得る。しかし、SILを使用すると、制限が生じる場合がある。これらはたとえば、サンプルの屈折率をSILの屈折率に調和させる必要が生じる、又は、サンプルホルダ及びサンプルに対して相対的に、SILを通る照明光及び収集された光の幾何学的形状を維持するためにSILに対して相対的なサンプルホルダの動きが制限される等である。
【0020】
本開示は、ソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)に関する。顕微鏡は、第1の側面及び第2の側面を備えたサンプルホルダを有していてよい。第1の側面はサンプルを支持することができ、他方で第2の側面は浸漬媒体(たとえば、浸漬流体)と接触している。収集用対物レンズ又は照明用対物レンズ等の対物レンズは、サンプルホルダの第2の側面に配置されていてよい。SIMレンズが対物レンズと浸漬媒体との間に配置されてよく、これによってSIMレンズの第1の湾曲表面は浸漬媒体と接触し、他方で、SIMレンズの第2の湾曲表面は浸漬媒体と接触しない(たとえば、反対側は、空気と接触していてよい)。SIMレンズの第1の湾曲表面及び第2の湾曲表面は、その表面を通過する光の波面と調和するように成形されていてよい。たとえば、第1の湾曲表面及び第2の湾曲表面は、光線が(たとえば、照明経路又は収集経路に沿って)、SIMレンズの表面に垂直に、SIMレンズの材料を横切るように成形されていてよい。これによって、光が対物レンズを含む周囲環境から浸漬流体へ入るときに屈折が減少する場合がある。いくつかの実施形態では、サンプル、サンプルホルダ及び浸漬媒体は、同等の屈折率を有し得るが、SIMレンズの材料は、異なる屈折率を有し得る。SIMレンズの使用は、浸漬材料/サンプルと調和させられる必要がないSIMレンズ材料の使用を可能にすることができ、SIMレンズに対して相対的なサンプルホルダの3次元の動きを容易にすることができる。
【0021】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、ソリッドイマージョンメニスカスレンズを備えた頂部開口型顕微鏡のブロック図である。
図1は、頂部開口型顕微鏡102と、オプションのコントローラ104とを含む光学システム100を示している。コントローラ104は、顕微鏡102を操作することができ、及び/又は、顕微鏡102からの情報を解釈することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ104の1つ又は複数の部分が省略されてよく、顕微鏡102は、手動で操作されてよい。いくつかの実施形態では、コントローラ104の1つ又は複数の部分は、顕微鏡102に統合されていてよい。
【0022】
顕微鏡102は、サンプルホルダ108の頂部面に沿ってサンプル106を支持するサンプルホルダ108を含む。サンプルホルダ108の底面は、浸漬チャンバ110内に含まれる浸漬流体112と接触している。
図1の顕微鏡102は、互いに分離された照明経路及び収集経路を有している。照明経路は、光源118、照明用光学系120及び照明用対物レンズ122を含む。照明経路は、浸漬媒体112及びサンプルホルダ108を通過してサンプル106を照明する照明ビーム124を提供する。収集経路は、収集用対物レンズ128、収集用光学系130及び検出器132を含む。収集経路は、照明ビーム124によって照明される焦点領域126から光を収集することができる。
【0023】
ソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)は、照明経路及び/又は収集経路に沿って配置されていてよい。
図1の実施形態では、照明用SIMレンズ114は照明経路の一部として示され、収集用SIMレンズ116は収集経路の一部として示されている。SIMレンズ114及びSIMレンズ116は、それぞれ照明経路又は収集経路に沿って通過する光が、浸漬流体112と、SIMレンズ114又はSIMレンズ116の材料と、顕微鏡102の周囲環境との間を通過する際に屈折することを防止するように成形されていてよい。いくつかの実施形態では、単一のSIMレンズが(たとえば、照明用SIMレンズ114と同様に)照明経路の一部として使用されてよく、他方でSIMレンズは、収集経路の一部として使用されない。いくつかの実施形態では、単一のSIMレンズは(たとえば、収集用SIMレンズ116と同様に)収集経路の一部として使用されてよく、他方でSIMレンズは、照明経路の一部として使用されない。
【0024】
光源118は、照明経路に沿って照明光を提供して、サンプル106の焦点領域126を照明する。光源118は、狭いスペクトルにおいて光を放出することができるレーザー又は発光ダイオード(LED)等の狭帯域光源であり得る。いくつかの実施形態では、光は、広いスペクトル(たとえば、白色)照明を生成し得る広帯域光源(たとえば、白熱光源、アーク光源)であり得る。いくつかの実施形態では、照明光の1つ又は複数の部分は、可視範囲の外にあってよい。いくつかの実施形態では、フィルタ(図示せず)を照明経路の一部として使用して、照明光の波長をさらに洗練することができる。たとえば、バンドパスフィルタは、光源118から広帯域照明を受け取り、より狭いスペクトルで照明光を提供することができる。いくつかの実施形態では、光源118はレーザーであってよく、コリメート光を生成し得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、光学システム100は、サンプル106内の蛍光を画像化するために用いられてよい。照明ビーム124は、サンプル106内の蛍光体を励起できる特定の励起波長での光を含み得る。照明ビーム124は、励起波長を含む広いスペクトルの光を含み得るものであり、又は、励起波長を中心とする狭帯域であり得る。いくつかの実施形態では、光源118は、励起波長を中心とする(又は励起波長に近い)狭いスペクトルの光を生成することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ(図示せず)を照明用光学系120において使用して、照明ビーム124を励起波長に近い波長に制限することができる。照明シートによって励起されると、サンプル106内の蛍光体は、光を放出することができる(これは、所与の発光波長を中心としてよい)。収集経路(たとえば、収集用光学系130)は、検出器132に到達する光を発光波長に近い光の波長に制限するために使用され得る1つ又は複数のフィルタを含み得る。
【0026】
照明用光学系120は、光源118からの光を照明用対物レンズ122へ結合してよい。たとえば、照明用光学系120は、光ファイバを含み得るものであり、これは、照明用対物レンズ122の背面側に光源118からの光を伝送する。いくつかの実施形態では、照明用光学系120は、光源118によって提供された光を実質的に変更することなく、光源118と対物レンズ122との間で光を結合することができる。いくつかの実施形態では、照明用光学系120は、光源118によって提供された光の形状、波長、強度及び/又は他の特性を変え得る。たとえば、照明用光学系120は、光源118から広帯域光を受け取り、対物レンズ122に狭帯域光を提供するために、光をフィルタリングすることができる(たとえば、フィルタ、回折格子、音響光学変調器等を用いて)。
【0027】
いくつかの実施形態では、照明経路は、ライトシート顕微鏡又はライトシート蛍光顕微鏡(LSFM)の一部であるライトシートである照明ビーム124を提供することができる。ライトシートは、第1の軸(たとえば、y軸)に沿った第1の開口数と、第1の軸に直交する第2の軸に沿った、第1の開口数よりも大きい第2の開口数とを備える、ほぼ楕円形の断面を有し得る。照明用光学系120は、光源118から受け取った光を照明シートに再成形する光学系を含み得る。たとえば、照明用光学系120は、直交軸ではない1つの軸に光を集束させる1つ又は複数の円筒形光学系を含み得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、照明用光学系120は、サンプル106に対して相対的に照明ビーム124を走査するために使用され得る走査光学系を含み得る。たとえば、照明ビームによって照明される領域は、所望の焦点領域126よりも小さくてよい。この場合、照明用光学系120は、焦点領域126の照明を確実にするために、所望の焦点領域126を横切って照明ビーム124を急速に振動させることができる。
【0029】
照明用対物レンズ122は、照明ビーム124を提供する1つ又は複数のレンズを含み得る。たとえば、照明用対物レンズ122は、照明ビーム124を焦点領域126に向けて集束させることができる。焦点領域126が、全般的に、サンプル106内にあるように、サンプルホルダ108がサンプル106を配置してよい。照明用対物レンズは、いくつかの実施形態では、1つ又は複数の内部光学要素を含む市販の対物レンズであり得る。いくつかの実施形態では、照明用対物レンズ122は、周囲環境(たとえば、空気)によって取り囲まれていてよく、照明用対物レンズ122は空気対物レンズであり得る。照明用対物レンズ122は、1つ又は複数の開口数によって特徴付けられていてよく、この開口数は、光が焦点領域126で収束する角度に基づいていてよい。いくつかの実施形態では、焦点領域126は、焦点として理想化され得る。
【0030】
照明ビーム124を、照明用SIMレンズ114を通過し、浸漬流体112へ入るように配向することができる。照明用SIMレンズ114は、照明用対物レンズ122を含む周囲環境(たとえば、空気)から照明用SIMレンズ114の材料を通って浸漬流体112へ入る光の屈折を最小にするように成形されていてよい。次に、照明ビーム124は、サンプル106及びサンプルホルダ108に向かって浸漬流体112を通過してよい。光と、SIMレンズ114及び浸漬流体112との相互作用は、
図2乃至
図3でより詳細に説明されている。
【0031】
照明ビーム124は、サンプル106へと配向されてよい。サンプル106は、サンプルホルダ108の上面によって支持され得る。いくつかの実施形態では、サンプル106は、サンプルホルダ108の上面に直接的に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、サンプル106は、容器(たとえば、スライドガラス、ウェルプレート、組織培養フラスコ等)内にパッケージされてよく、この容器は、サンプルホルダ108上に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、容器は、サンプルホルダ108に統合されていてよい。いくつかの実施形態では、サンプル106は、光学システム100上での画像化の前に処理されてよい。たとえば、サンプル106は、画像化の前に洗浄、スライス及び/又はラベル付けされてよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、サンプル106は、生物学的サンプルであり得る。たとえば、サンプル106は、疑わしい疾患(たとえば、癌)の領域から生検された組織であり得る。いくつかの実施形態では、組織は、光学システム100によって検査される前に、光学的クリアランス、組織スライス及び/又はラベル付け等の様々な処理を受けることがある。いくつかの実施形態では、治療の進行状況を判断する、病気の進行状況を監視する等のために、光学システム100による組織の検査が診断に使用されることがある。
【0033】
いくつかの実施形態では、サンプル106は非生物学的サンプルであり得る。たとえば、サンプル106は流体であってよく、調査のための1つ又は複数の成分を含み得る。たとえば、サンプル106は燃焼ガスであってよく、光学システム100は、粒子画像流速測定法(PIV)を実行して、ガスの成分を特徴付けることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、サンプル106は、1つ又は複数のタイプの蛍光体を含み得る。蛍光体は、サンプル106に固有であってもよく(たとえば、生物学的サンプル中のDNA及びタンパク質)、又は、サンプル106に適用される蛍光標識(たとえば、アクリジンオレンジ、エオシン)であってもよい。いくつかのサンプル106は固有のタイプの蛍光体と蛍光標識との組合せを含み得る。各タイプの蛍光体は、励起波長を中心とすることができる励起スペクトルを有していてよい。蛍光体が励起スペクトルにおける光によって励起されると、これは、励起波長とは異なる(たとえば、赤方偏移された)発光波長を中心とし得る発光スペクトルにおける光を放出する可能性がある。
【0035】
サンプルホルダ108は、照明ビーム124及びサンプル106の焦点領域126から収集された光に対して全般的に透明である材料上でサンプル106を支持することができる。いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108は、サンプル106をその上に配置することができる透明材料から形成されている窓を有していてよく、サンプルホルダ108の残りの部分は、不透明な材料から形成されていてよい。いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108は、透明な材料から作製されてよい。たとえば、サンプルホルダ108はガラス板であり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108は、サンプル106を支持するための1つ又は複数の構造を含み得る。たとえば、サンプルホルダ108は、クリップ又はウェルを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108はシステム100のモジュラーコンポーネントであってよく、異なるサンプルホルダ108が、サンプルの種類、画像化の種類、照明光/収集された光の波長及びそれらの組合せに関連して、交換のために出し入れされてよい。
【0037】
サンプルホルダ108は、サンプル106を支持するサンプルホルダ108の表面の反対側の第2の表面(たとえば、下面)を有していてよい。浸漬流体112を保持する浸漬チャンバ110が、サンプルホルダ108の第2の表面の下に配置されてよい。いくつかの実施形態では、浸漬チャンバ110は、開いた頂部を有していてよく、浸漬流体112は、サンプルホルダ108の第2の表面と接触していてよい。いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108の第2の表面が浸漬流体112と接触していてよく、(サンプル106を支持する)サンプルホルダ108の第1の表面は、対物レンズ122及び128と同様の環境(たとえば、空気)と接触していてよい。
【0038】
サンプルホルダ108は、サンプルホルダ108を1つ又は複数の方向に動かすことができるアクチュエータ109に結合されていてよい。いくつかの実施形態では、サンプルホルダ108は、浸漬チャンバ110及び対物レンズ122及び対物レンズ128に対して相対的に、最大3つの次元(たとえば、x、y及びz軸に沿って)移動可能であってよい。サンプルホルダ108は、サンプル106内の焦点領域126の位置を変更するために、及び/又は、サンプルホルダ108を装填位置と画像化位置との間で移動させるために、移動され得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、ねじ又は粗い/細かい調整ノブ等の手動アクチュエータであってよい。いくつかの実施形態では、アクチュエータは自動化されていてよく、これはたとえば、手動入力及び/又はコントローラ104からの指示に応答し得る電気モータである。いくつかの実施形態では、アクチュエータ109は、手動調整及び自動コントロールの両方に応答し得る(たとえば、手動調整とコントローラ104からの指示との両方に応答するノブ)。
【0039】
浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を含む。いくつかの実施形態では、浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を交換するのに有用であり得るソース及び/又はシンクを含み得る。たとえば、浸漬チャンバ110は、浸漬流体112を提供する流体入力ライン(これはその後、ポンプ及び/又はリザーバに結合され得る)と、浸漬チャンバ110から浸漬流体112を除去するために開くことができるドレインとに結合されていてよい。本明細書でより詳細に記述されるように、浸漬流体のタイプは、サンプル106及び/又はサンプルホルダ108の屈折率に基づいて選択されてよい。
【0040】
収集経路は、焦点領域126から光を受け取り、受け取った光を検出器132に配向することができる。検出器132は、受け取った光を画像化し、及び/又は、さもなければ測定することができる。焦点領域126からの光は、照明ビーム124の、方向を変えられた部分であり得る(たとえば、散乱光及び/又は反射光)、照明ビーム124に応答して(たとえば、蛍光を介して)焦点領域126から放出される光であり得る、又は、それらの組合せであり得る。収集された光は、収集用SIMレンズ116を通過する前に、サンプルホルダ108及び浸漬流体112を通過して、収集用対物レンズ128を含む周囲環境(たとえば、空気)へ入ることができる。収集用SIMレンズ116は、収集された光が通過するときに、屈折を最小化にするように成形されていてよい。光とSIMレンズとの相互作用については、
図2乃至
図3において詳細に説明する。収集用SIMレンズ116は、照明用SIMレンズ114とは別個の光学コンポーネントであり得る。いくつかの実施形態では、収集用SIMレンズ116は、照明用SIMレンズ114とは異なる材料から作製されていてよい。
【0041】
照明用SIMレンズ114及び収集用SIMレンズ116は、それぞれ、照明ビーム124及び収集された光の波面と調和するように独立して成形されていてよい。たとえば、照明ビーム124の波面は、照明経路の光学系に基づいていてよく、他方で、収集された光の波面は、収集経路の光学系に基づいていてよい。照明経路の光学系と収集経路の光学系とは互いに独立しているため、照明光の波面の形状と、収集された光の波面の形状とが異なる場合がある。2つのSIMレンズ114及びSIMレンズ116は別個の光学要素であり得るので、照明用SIMレンズ114の形状(たとえば、前面及び背面の曲率)は、収集用SIMレンズ116の形状(たとえば、前面及び背面の曲率)とは異なっていてよい。このように、照明用SIMレンズ114は照明ビーム124に基づいた形状を有していてよく、収集用SIMレンズ116は、収集された光に基づいた形状を有していてよい。
【0042】
焦点領域126の幾何学的形状は、収集経路の視野によって部分的に規定されていてよく、これはまた、収集用対物レンズ128の開口数に部分的に関連していてよい。照明用対物レンズ122と同様に、収集用対物レンズ128は、1つ又は複数のレンズを含む市販の対物レンズであり得る。いくつかの実施形態では、収集用対物レンズ128は、空気対物レンズであり得る。いくつかの実施形態では、収集経路が焦点合わせされる焦点領域と、照明経路が焦点合わせされる焦点領域とは、全般的に、焦点領域126で重複し得る。いくつかの実施形態では、照明経路と収集経路とは、自身の各焦点領域の異なる形状、異なるサイズ及び/又は異なる位置を有していてよい。
【0043】
収集経路は、収集用対物レンズから検出器132に光を向け直すことができる収集用光学系130を含む。たとえば、収集用光学系130は、収集用対物レンズの後端からの光を、検出器132上に投影された画像に集束させるように設計されたチューブレンズであり得る。いくつかの実施形態では、収集用光学系130は、収集用対物レンズ128から受け取った光を変更する1つ又は複数の要素を含み得る。たとえば、収集用光学系130は、フィルタ、ミラー、走査除去(de-scanning)光学系又はそれらの組合せを含み得る。
【0044】
検出器132は、焦点領域126を画像化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、検出器132は、ユーザが焦点領域126を観察することができるように、接眼鏡を表していてよい。いくつかの実施形態では、検出器132は、焦点領域126の画像を記録するために信号を生成することができる。たとえば、検出器132は、アレイに入射する光に基づいて電子信号を生成することができるCCDアレイ又はCMOSアレイを含み得る。
【0045】
照明経路は、第1の光軸に沿って光を配向することができる。収集経路は、第2の光軸に沿って光を収集することができる。
図1に示されたもの等のいくつかの実施形態では、第1の光軸と第2の光軸とは、互いに直交し得る。第1の光軸及び第2の光軸のそれぞれが、サンプルホルダに対して非直交であってもよい。たとえば、第1の光軸は、サンプルホルダ108の底面に対して45°の角度であってよく、第2の光軸も、サンプルホルダ108の底面に対して45°の角度であってよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、照明経路及び収集経路は、互いに非直交であってよい。たとえば、照明光路は、サンプルホルダの底面に対して45°の角度である第1の光軸に追従することができ、収集経路は、サンプルホルダの底面に対して90°の角度である第2の光軸に追従することができ、したがって、第1の光軸と第2の光軸との間に約45°の角度があってよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、対物レンズ122及び対物レンズ128のうちの1つは、空気対物レンズ(air objective)であり得るが、他の対物レンズは、非空気対物レンズ(たとえば、浸漬対物レンズ)であり得る。非空気対物レンズは、いくつかの実施形態では、浸漬流体112に浸漬していてよい(又は浸漬流体112に接触する前面を有していてよい)。いくつかの実施形態では、空気対物レンズは、対物レンズと浸漬流体との間に配置されているSIMレンズを有していてよく、他方でSIMレンズを、非空気対物レンズとともに使用することはできない。たとえば、照明用対物レンズ122は、照明ビーム124を、照明用SIMレンズ114を通って浸漬流体112へ入るように配向してよく、他方で、収集用対物レンズ128は、浸漬流体112に隣接していてよい(たとえば、接触していてよい)。
【0048】
顕微鏡102は、コントローラ104に結合されていてよく、コントローラ104は、顕微鏡102の1つ又は複数の部分を操作し、顕微鏡102からのデータを表示し、顕微鏡102からのデータを解釈するために、又は、それらの組合せに使用され得る。いくつかの実施形態では、コントローラ104は、顕微鏡から分離されていてよく、これはたとえば汎用コンピュータである。いくつかの実施形態では、コントローラ104の1つ又は複数の部分は、顕微鏡102と一体であり得る。
【0049】
コントローラ104は、1つ又は複数の入力/出力デバイス142を含み、これによって、ユーザは、コントローラ104からのフィードバック、顕微鏡102からのデータを見ることができ、コントローラ104に指示を提供し、顕微鏡102に指示を提供することができ、又は、それらの組合せを行うことができる。たとえば、入力/出力デバイス142は、デジタルディスプレイ、タッチスクリーン、マウス、キーボード、又は、それらの組合せを含み得る。
【0050】
コントローラ104は、メモリ144に格納された1つ又は複数の命令を実行し得るプロセッサ140を含む。命令は、顕微鏡102をコントロールする方法に関する命令を含み得るコントロールソフトウェア152を含み得る。コントロールソフトウェア152に基づいて、プロセッサ140は、コントローラ104に、アクチュエータ109等の、顕微鏡102の様々なコンポーネントに信号を送信させることができる。命令は、検出器132からの「ライブ」の画像146又は事前にメモリ144に格納されている画像146のいずれかを処理するために使用され得る画像処理ソフトウェア150を含み得る。画像処理ソフトウェア150は、たとえば、画像146から背景ノイズを除去することができる。命令は、画像146の1つ又は複数の特性を決定するためにプロセッサ140によって実行され得る分析ソフトウェア148を含み得る。たとえば、分析ソフトウェア148は、画像146内の細胞核を強調表示することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、コントローラ104は、サンプル内のいくつかの異なる視野から画像を収集するように顕微鏡に指示することができる。たとえば、コントローラ104は、画像の深度スタックを収集するための命令を含み得る。コントローラ104は、検出器132に第1の画像を収集するように指示し、次に、アクチュエータ109に、サンプルホルダ108を垂直方向に(たとえば、z軸に沿って)設定された距離だけ動かすように指示することができる。これはまた、焦点領域126に対してサンプル106を移動させることができ、これは、焦点領域126が配置されるサンプル内の高さを変えることができる。次に、コントローラ104は、検出器132に他の画像を収集するように指示し、次に、スタック内の設定された数の画像及び/又はz方向の設定された総変位が達成されるまでプロセスを繰り返すことができる。次に、分析ソフトウェア148は、サンプル106の3D(又は疑似3D)画像化を実現するために、画像の深度スタックを組み合わせてよい。
【0052】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による光学システムの一部の概略図である。
図2は、いくつかの実施形態では、
図1の顕微鏡102の一部を表していてよい。
図2は、サンプル206、サンプルホルダ208、浸漬チャンバ210、浸漬流体212、SIMレンズ214及びSIMレンズ216並びに対物レンズ222及び対物レンズ228の図を示している。
【0053】
照明用対物レンズ222は、照明用対物レンズ222の前端を出て、照明用対物レンズ222を取り囲む媒体を通過する照明ビーム224を提供する。照明用対物レンズ222を取り囲む媒体は、顕微鏡が配置されている周囲環境の一部であり得る。たとえば、周囲媒体は空気であってよい。周囲媒体を通過した後、照明ビームは、照明用SIMレンズ214を通過して、浸漬流体212へ入る。
【0054】
照明用SIMレンズ214は、第1の湾曲表面を有していてよく、照明用SIMレンズ214の、第1の湾曲表面の反対側に第2の湾曲表面を有していてよい。いくつかの実施形態では、第1の湾曲表面は、周囲媒体と接触していてよい。他方で、第2の湾曲表面は浸漬流体と接触していてよい。SIMレンズ214の縁部が浸漬チャンバ210の壁に取り付けられていてよく、SIMレンズ214は、チャンバ210内の浸漬流体212を含包するのに役立ち得る。SIMレンズ214は、光が浸漬チャンバ210の外部と浸漬チャンバ210の内部との間を通過するための窓として作用してよい。照明ビームが照明用SIMレンズ214と相互作用する場所で、照明用SIMレンズ214の第1の湾曲表面及び第2の湾曲表面はそれぞれ照明ビームの波面と調和するように成形されていてよい。
【0055】
たとえば、照明ビーム224を、照明用対物レンズの表面を横切って放出され、焦点領域226に向かって収束する光線の束と見なすことができる。第1の湾曲表面は、各光線が、その光線が第1の湾曲表面に入射するポイントで第1の湾曲表面に対して垂直である(たとえば、90°の入射角を有する)ように成形されていてよい。第2の湾曲表面は、同様の形状であってよい。このように、照明ビームは、それが照明用SIMレンズ214を通過する際に、屈折しなくてよい(又は最小量の屈折を有していてよい)。SIMレンズための例示的な形状は
図3においてより詳細に議論される。
【0056】
照明ビーム224は、周囲媒体(たとえば、空気)から、SIMレンズ214の材料を通過するときに屈折を受けない(又は最小の屈折を受ける)ので、照明ビーム224は、最小の屈折又は収差で浸漬流体に入ることができる。照明経路は、SIMレンズ214材料の屈折率と浸漬流体212の屈折率との間の差に比較的鈍感であり得る。いくつかの実施形態では、照明経路は、サンプルホルダと比較して「オフ軸」であってよい。言い換えれば、照明ビームの光軸は、サンプルホルダ208に対して非垂直であり得る。浸漬流体212は、浸漬流体212の屈折率が、サンプルホルダ208の材料の屈折率と調和するように選択され得る。このようにして、照明ビームがサンプルホルダの表面に垂直でなくても、照明ビーム224が浸漬流体212からサンプルホルダ208の材料へ通過するときに屈折は存在しない(又は最小である)。次に、サンプルホルダ208の材料は、サンプル206の屈折率と調和し得るので、照明ビーム224はまた、サンプルホルダ208の材料からサンプル206へ通過するときに最小の屈折を受け得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、サンプルホルダ208の材料及び浸漬流体212は、所望のサンプル206の屈折率と調和するように選択されてよい。サンプルホルダ208はモジュール式であってよく、浸漬チャンバ210を異なる浸漬流体で満たすことが比較的容易であり得るので、サンプル206の広範囲の屈折率が受け入れられてよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の処理ステップがサンプル206に対して、その屈折率をサンプルホルダ208の屈折率と調和させるために実行されてよい。
【0058】
照明ビーム224は、サンプル206内の焦点領域に集束され得る。反射光、散乱光、放出光又はそれらの組合せ等の照明された焦点領域226からの光は、収集経路によって収集され得る。照明経路と同様に、サンプル206、サンプルホルダ208及び浸漬流体212の屈折率調和のために、並びに、収集用SIMレンズ216波面調和曲率のために、収集用対物レンズ228への収集経路に沿って最小の回折又は収差が存在し得る。たとえば、光がサンプル206からサンプルホルダ208に遷移するとき、光は界面に対して垂直ではないかもしれないが、同様の屈折率が光の回折を妨げる可能性がある。同様の方法で、光はまた、サンプルホルダ208の材料から浸漬流体212に通過するときに回折しない場合がある。
【0059】
収集用対物レンズ228は、ある範囲の角度にわたって光を収集することができ、これは、収集用対物レンズ228の焦点領域に向かって収束する光線の束を含む収集された光225と考えることができる。したがって収集用対物レンズ228によって収集された、収集された光225は、この光線の束に沿って通過する光であり得る。収集用対物レンズ228は、その倍率及び/又は開口数(NA)によって特徴付けられてよい。たとえば、収集用対物レンズ228は、倍率が10倍の対物レンズ(NA=0.21)又は倍率が20倍の対物レンズ(NA=0.35)であってよい。
【0060】
照明用SIMレンズ214と同様に、収集用SIMレンズ216は、第1の湾曲表面と第2の湾曲表面とを有していてよく、これらのそれぞれは、収集された光225の波面に調和するように成形されていてよい。たとえば第1の湾曲表面及び第2の湾曲表面は、各表面に入射する、収集された光の光線が収集用SIMレンズ216の表面に対して垂直であるように成形されていてよい。このようにして、収集された光が浸漬流体212から収集用SIMレンズ216の材料へ通過する際に、及び、収集用SIMレンズ216の材料から、収集用対物レンズ228を含む周囲環境へ通過する際に、屈折が最小になり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、収集用SIMレンズ216は、照明用SIMレンズ214の屈折率に調和する屈折率を有していてよい。いくつかの実施形態では、2つのSIMレンズ214及びSIMレンズ216は、互いに異なる屈折率を有していてよい。SIMレンズ214及びSIMレンズ216のそれぞれの2つの表面の曲率は、それぞれ、照明光及び収集された光の波面に基づいていてよく、したがって、この波面は、照明用対物レンズ222及び収集用対物レンズ228の光学系に基づいていてよい。たとえば開口数を使用して、照明用対物レンズ222及び収集用対物レンズ228を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、照明用対物レンズ222及び収集用対物レンズ228は、互いに異なる開口数を有していてよく、したがって、照明用SIMレンズ214の曲率は、収集用SIMレンズ216の曲率とは異なっていてよい。
【0062】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、光学システムを通る光路の概略図である。
図3は、
図1の光学システム100及び/又は
図2の光学システム200に含まれ得る光学システム300の一部を示している。
図3の光学システム300は、光が対物レンズ322と焦点領域326との間で遭遇し得る屈折率に基づいて、複数の領域に分割されている。特に、光は焦点領域326から到来して、対物レンズ322に入るように描かれているので、
図3に示されているような対物レンズ322は、収集用対物レンズであり得る(たとえば、
図1の122及び/又は
図2の222)。光学系は全般的に可逆的であるため、
図3に関して説明した原理は、照明ビーム及び照明用対物レンズにも同様に適用できることを理解されたい。
【0063】
対物レンズ322は、第1の屈折率n1を有している第1の媒体340に配置されている。SIMレンズ316は、第2の屈折率n2を有している材料で製造されている。SIMレンズ316は、第3の屈折率n3を有している領域312から第1の媒体340を分離させる。収集された光は、領域312内にある焦点領域326から到来して、SIMレンズ316を通過して第1の媒体340へ入り、次に対物レンズ322に入ってよい。表現を容易にするために、焦点領域326は焦点として示されているが、いくつかの実施形態では、非点焦点領域が使用され得ることを理解されたい。
【0064】
領域312は、同一(又は類似の)屈折率を有する光学システムの複数のコンポーネントを表していてよい。たとえば、領域312は、浸漬流体、サンプルホルダ及びサンプルを表していてよい。これらのコンポーネントは、全般的に同等の屈折率を有している可能性があるため(又はそれらの屈折率が類似している可能性があるため)、これらの材料間を通過するときに光は全般的に有意な量の屈折をしない可能性がある。明確にするために、これらのコンポーネントは単一の領域312として示されている。
【0065】
焦点領域326によって提供され、対物レンズ322に入る、収集された光を表すために、3つの光線が使用される。焦点領域326から対物レンズ322の中心まで延びる中心光線及び焦点領域326から、光を受け取る対物レンズ322の縁部上の最も遠い点まで延びる2つの周辺光線が示されている。
図3の実施形態では、対物レンズ322は、(たとえば、全般的に円形による)半径方向の対称性を有していてよく、したがって、中心光線と周辺光線との間の開きは、角度θによって特徴付けられてよい。
【0066】
対物レンズは、以下の式1によって与えられ得る、その開口数NAによって定義され得る。
NA=n*sin(θ) 式1
【0067】
第1の媒体340は、光学システム300が配置されている周囲環境を表していてよい。たとえば、第1の媒体340は、光学システム300が配置されている部屋の空気を表していてよい。第1の媒体340が空気である実施形態では、第1の屈折率n1は約1であり得る。対物レンズは、空気対物レンズであってよく、また、対物レンズは、以下の式2によって与えられるように、空気によって囲まれていることに基づいて、特定のNAを有することができる。
NAair=n1*sin(θ) 式2
【0068】
n1は約1であり得るので、対物レンズのNAairは角度θに基づいていてよい。しかし、対物レンズの有効開口数NAeffは、光と焦点領域326との相互作用に基づいていてよく、これは、以下の式3によって表されてよい。
NAeff=n3*sin(θ) 式3
【0069】
領域312の屈折率は、全般的に、媒体340の屈折率よりも大きい場合があるので(たとえば、n3>n1)、有効開口数は、対物レンズの指定された開口数と比較して増加し得る。これは、焦点領域326が媒体340と同等の屈折率を有する領域に位置する場合と比較して、画像解像度の増加等の性能の向上を生じさせる可能性がある。
【0070】
いくつかの実施形態では、約1乃至1.56の屈折率n3を有する浸漬流体312が選択されてよい。たとえば、浸漬流体として空気を使用すると、約1の屈折率を与えることができ、水は約1.33の屈折率を与えることができ、ケイ皮酸エチルは約1.56の屈折率を与えることができる。いくつかの例では、材料を混合して、浸漬流体において異なる屈折率を達成することができる。たとえば、約1.33の屈折率は水のみであってよく、約1.44の屈折率は60%のTDE(2,2’-チオジエタノール)/40%の水であってよく、約90%の屈折率は90%のTDE/10%の水であってよい。
【0071】
SIMレンズ316は次のように湾曲させられていてよい。すなわち、焦点領域326と対物レンズ322との間を移動する光線が、それらが領域312からSIMレンズ316の材料へ通過するときに、又は、それらがSIMレンズ316の材料から媒体340へ通過するときに、屈折しないように湾曲させられていてよい。SIMレンズ316の第1の表面が、媒体340と接触するように配置されていてよく、他方で、第1の表面と反対側のSIMレンズの第2の表面は、領域312と接触して(たとえば浸漬流体と接触して)配置されていてよい。
【0072】
焦点を焦点領域326(又は、対物レンズ322までの距離と比較してそれが点と見なされ得るほど十分に小さい焦点領域)として示す
図3の実施形態では、SIMレンズ316は、球体の曲率に従う表面を有していてよい。たとえば、第2の表面は、焦点からSIMレンズ316の第2の表面までの距離である曲率半径Rを有していてよい。第1の表面は、焦点からSIMレンズ316の第1の表面までの距離である曲率半径R’を有していてよい。距離R及びR’は、SIMレンズ316の厚さによって異なっていてもよい。たとえば、SIMレンズ316が2mmの厚さであり、第1の表面が焦点領域から17mmである場合には、第1の表面は17mmの曲率半径を有していてよく、第2の表面は15mmの曲率半径を有していてよい。いくつかの実施形態では、焦点領域は正確な点ではない場合があり、したがって、曲率半径(たとえば、距離)は、視野と比較して曲率半径を大きくするように部分的に選択されてよく、したがって、これは、正確な焦点からではない光の回折による収差の影響を減少させ得る。
【0073】
各表面の曲率半径は、焦点領域326までの距離に基づいているので、焦点領域326から延びる光線は、湾曲表面の半径に追従していてよく、90°の角度で表面と交差していてよい。光線の入射角は、SIMレンズ316の両方の表面の作業領域を横切って表面に垂直であり得るので、SIMレンズ316の材料に出入りするときの光の屈折は最小であり得る。
【0074】
対物レンズが半径方向の対称性を有する(たとえば、円形である)実施形態では、SIMレンズ316は、球殻の一部であり得る。いくつかの実施形態では、SIMレンズ316の表面は、SIMレンズ316を通過する光の断面に基づいて、より複雑な幾何学的形状を有していてよく、これは、したがって、光の提供/収集を伴う光路に基づいてよい。たとえば、光がライトシートの一部であり、ここで第1の軸に沿った開口数が、第1の軸に直交する第2の軸に沿った開口数とは異なる場合、SIMレンズ316の表面は、球体ではなく楕円体の形状に従ってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、光学システムは、別々に最適化及び成形され得る2つ以上のSIMレンズ(たとえば、照明用SIMレンズ及び収集用SIMレンズ)を含み得る。たとえば、第1のSIMレンズは、焦点領域から第1の距離R1である第1の表面と、焦点領域から第2の距離R1’である第2の表面とを有し得る。第2のSIMレンズは、焦点領域から第3の距離R2である第1の表面と、焦点領域から第4の距離R2’である第2の表面とを有していてよい。距離の少なくとも1つの対が互いに調和しない場合がある(たとえば、R1≠R2及び/又はR1’≠R2’)。したがって、距離のいずれもが互いに等しくない場合、第1のSIMレンズの第1の表面は第1の曲率半径を有していてよく、第1のSIMレンズの第2の表面は第2の曲率半径を有していてよく、第2のSIMレンズの第1の表面は第3の曲率半径を有していてよく、第2のSIMレンズの第2の表面は第4の曲率半径を有していてよい。第1の曲率半径、第2の曲率半径、第3の曲率半径及び第4の曲率半径は互いに等しくない場合がある。
【0076】
いくつかの実施形態では、照明光及び収集光の波面は、他の方法で異なる場合があり、第1のSIMレンズ及び第2のSIMレンズの形状もそれに応じて異なる場合がある。たとえば、第1のSIMレンズは、円筒形光学系を使用する照明経路に沿っていてよく、他方で、第2のSIMレンズは、円形光学系を使用する収集経路に沿っていてよい。したがって、第1のSIMレンズは、全般的に、照明光の波面に調和するように円筒形であり得るが、第2のSIMレンズは、全般的に、球殻セクションであり得る。いくつかの実施形態では、2つのSIMレンズは、異なるサイズであってよい。たとえば、第1のSIMレンズは第1の直径を有していてよく、第2のSIMレンズは第1の直径とは異なる第2の直径を有していてよい。
【0077】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による光学システムの概略図である。光学システム400は、収集経路に沿ってSIMレンズ416を使用するが、照明経路に沿ってSIMレンズを使用しないシステムを表している。光学システム400は、
図1の光学システム100内の同様のコンポーネントに概ね類似するコンポーネントを含み得る。簡潔にするために、
図1に関して前述した特徴及び動作は、
図4に関して繰り返されない。
【0078】
光学システム400は、サンプル406に向けて照明ビーム424を配向する照明用対物レンズ422含む。サンプル406は、浸漬チャンバ410内に収容された浸漬流体412内に配置されていてよい。
図4の実施形態では、照明ビーム424は、浸漬チャンバ410の壁を通過してサンプル406に到達することができる。浸漬チャンバ410の壁は、透明であるものとするとよく、及び/又は、照明ビーム424が通過することを可能にするために、窓が配置されているものとするとよい。
【0079】
サンプル406からの収集された光425は、浸漬流体412を通過し、浸漬流体412と収集用対物レンズ428との間に配置されているSIMレンズ416を通って浸漬チャンバ410を離れてよい。SIMレンズ416は、第1の湾曲表面と、第1の湾曲表面の反対側にある第2の湾曲表面とを有しており、これらは両方とも、SIMレンズ416と交差する、収集された光425の波面に調和するように成形されている。したがって、浸漬流体412とSIMレンズ416の材料との間(及びSIMレンズ416の材料と浸漬チャンバ410の外側の周囲環境との間)に屈折率の不調和があり得るとしても、収集された光425がSIMレンズ416を通過するとき、収集された光425の屈折がない(又は屈折が最小である)可能性がある。チューブレンズ430は、収集用対物レンズ428からの光を検出器432に集束させて、サンプル406の画像を生成することができる。
【0080】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、交換可能な対物レンズマウントを備えた光学システムの概略図である。
図5の光学システム500は、光学システム500が、交換可能な対物レンズマウント529に取り付けられたいくつかの収集用対物レンズ528a乃至528cを有することを除いて、
図1の顕微鏡102と概ね同様であり得る。簡潔にするために、
図1に関して以前に説明された特徴及びコンポーネントは、
図5に関して再び説明されないだろう。
【0081】
光学システム500は、いくつかの対物レンズ528a乃至528cが取り付けられている交換可能な対物レンズマウント529を含む。たとえば、対物レンズ528a乃至528cは、市販の対物レンズであってよく、スレッディング等の標準的な取り付け装置を有していてよい。交換可能な対物レンズマウント529は、(たとえば、手動及び/又は自動のいずれかで)移動して、マウントされた対物レンズ528a乃至528cの1つを収集経路に沿って配置することができる。たとえば、交換可能な対物レンズマウント529は、第1の位置、第2の位置及び第3の位置の間で移動可能であり得る。第1の位置では、対物レンズ528aは、焦点領域526から(たとえば、SIMレンズ516を介して)光を受け取り、その受け取った光を(たとえば、収集用光学系530を介して)検出器に提供し、他方で、対物レンズ528b及び528cは光学システムの収集経路に沿っていない。第2の位置では、対物レンズ528bは収集経路に沿っていてもよく、他方で対物レンズ528a及び528cはそうではない、等々である。いくつかの実施形態では、交換可能な対物レンズマウントは、位置間で回転することができるタレット(市販の顕微鏡対物レンズタレット等)であってよい。いくつかの実施形態では、交換可能な対物レンズマウント529は、1つ又は複数の「開」位置を有し得る。
【0082】
異なる特性を有する対物レンズが、異なる画像化の必要性(又は予想される画像化モード)に基づいて、交換可能な対物レンズマウント529にマウントされていてよい。たとえば、異なる対物レンズ528a乃至528cのそれぞれは、開口数及び/又は倍率等の異なる光学特性を有していてよい。たとえば、第1の対物レンズ528aは、倍率が10倍の対物レンズ(NA=0.21)であってよく、第2の対物レンズ528bは、倍率が20倍の対物レンズ(NA=0.35)であってよい。いくつかの実施形態では、サンプルによって放出され得る異なる蛍光波長を画像化するのに有用であり得る異なるフィルタ等の追加の光学系が、交換可能な対物レンズマウント529に含まれていてよい。たとえば、第1の対物レンズ528aは、第1の蛍光体の発光波長を含む第1のフィルタを有していてよく、第2の対物レンズ528bは、第2の蛍光体の発光波長を含む第2のフィルタを有していてよい。
【0083】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、サンプルを画像化する方法のフローチャートである。方法600は、本明細書に記載の光学システムのうちの1つ又は複数によって実施されてよい。
【0084】
この方法は、全般的に、光源で照明光を生成することを説明するボックス610から開始されてよい。光源(たとえば、
図1の場合には光源118)は、コヒーレント光源又は非コヒーレント光源であってよく、また、比較的広い又は狭い帯域幅にわたって光を生成してよい。
【0085】
ボックス610には、全般的に、ボックス620が続いてよく、ボックス620は、照明経路に沿って、第1の対物レンズを通ってサンプルに向けて照明光を配向することを説明している。1つ又は複数の照明用光学系(たとえば、
図1の120)を使用して、光源からの照明光を第1の対物レンズに結合することができる。いくつかの実施形態では、ボックス620のステップは、照明用光学系を用いて照明光の1つ又は複数の特性を変更することを含み得る。たとえば、ボックス620は、光のフィルタリング、(たとえば、ライトシートへの)光の再成形、光の分割、光の結合又はそれらの組合せを含み得る。第1の対物レンズは、照明用対物レンズ(たとえば、
図1の122)であってよく、サンプルの焦点領域に向けられる照明ビームを生成し得る。
【0086】
ボックス620の後には、全般的に、照明光を、ソリッドイマージョンメニスカスレンズ(SIMレンズ)を通過させて浸漬流体に入れることを説明するボックス630が続いてよい。SIMレンズ(たとえば、
図1の114)は、浸漬チャンバの壁に沿って配置されよく、浸漬チャンバへの窓として機能してよい。第1の対物レンズは、浸漬流体の外側の周囲環境に配置されてよい。SIMレンズは、それぞれが照明光の波面と調和し得る第1の湾曲表面と第2の湾曲表面とを有していてよい。浸漬流体に入った後、照明光は浸漬流体を通過し、サンプルホルダの材料に入り、サンプルホルダからサンプルへ入ることができる。いくつかの実施形態では、浸漬流体、第1のSIMレンズ及び周囲環境はすべて、異なる屈折率を有し得る。
【0087】
ボックス630には、全般的に、ボックス640が続いてよく、ボックス640は、収集された光を、収集経路に沿って、第2のSIMレンズを通って、浸漬流体から第2の対物レンズに通すことを説明する。収集経路は、焦点領域から発生してよい。収集経路に沿った光は、焦点領域でのサンプルからの反射、散乱、放出又はそれらの組合せであり得る。収集された光は、サンプル及びサンプルホルダを通過して浸漬流体へ入ってよい。収集された光は、第2のSIMレンズを通過することによって浸漬流体を出ることができる。第2のSIMレンズは、第1の湾曲表面と、第1の湾曲表面の反対側にある第2の湾曲表面とを有し得る。湾曲表面のそれぞれは、収集経路に沿った光の波面と調和し得る。したがって、収集された光が浸漬流体からSIMレンズの材料を通って、第2の対物レンズを含む周囲環境へ通過するとき、最小の屈折が存在し得る(又は屈折が存在しない)。いくつかの実施形態では、浸漬流体、第2のSIMレンズの材料及び周囲環境はすべて、異なる屈折率を有していてよい。いくつかの実施形態では、第2のSIMレンズの材料は、第1のSIMレンズの材料と同等の屈折率を有していてよい。いくつかの実施形態では、第1のSIMレンズ及び第2のSIMレンズは、同一の材料から作製されてよい。
【0088】
ボックス640には、全般的に、第2の対物レンズで、サンプルからの収集された光を受け取ることを説明するボックス650が続いてよい。第2の対物レンズは、収集された光を検出器に提供してよい。第2の対物レンズと検出器との間の1つ又は複数の収集用光学系は、方向、波長、ビーム形状及びそれらの組合せ等の光の1つ又は複数の特性を変更することができる。
【0089】
方法600は、収集された光が検出器に到達した後に、収集された光に基づいてサンプルを画像化することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法600は、サンプルホルダを移動させて、サンプルに対して相対的に焦点領域を移動させることを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、サンプルを支持するサンプルホルダの第1の側面とサンプルホルダの第2の側面との間の軸線に沿ってサンプルホルダを移動させて、画像の深度スタックを生成することを含み得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、方法600は、浸漬流体の屈折率をサンプル又はサンプルホルダの屈折率に調和させることを含み得る。たとえば、サンプルホルダの屈折率が既知である場合、サンプルホルダの屈折率に調和する浸漬流体を選択することができ、方法600は、選択された浸漬流体で浸漬チャンバを満たすことを含み得る。いくつかの実施形態では、サンプル、サンプルホルダの材料及び浸漬流体の屈折率は、互いに調和し得る。
【0091】
当然、本明細書に記載の例、実施形態又はプロセスのいずれか1つを、1つ又は複数の他の例、実施形態及び/又はプロセスと組み合わせることができ、又は、本システム、デバイス及び方法に従って、別個のデバイス又はデバイス部分間で分離及び/又は実行することができることを理解されたい。
【0092】
「頂部」及び「側面」のような用語は、説明を容易にするために使用され、様々なコンポーネントの相対的な位置を示すことのみを意味することを理解されたい。他の実施形態は、コンポーネントの他の配置を使用することができる。特定の波長の光に関して、様々なコンポーネント及び動作を説明することができる。他の波長(可視スペクトル外の波長等)が使用され、本明細書で使用される光が任意の電磁放射を表し得ることを理解されたい。特定の材料を、それらの光学特性(たとえば、透過性)の観点から説明することができ、システムによって使用される光の任意の波長に対して、所望の特性を有する材料を選択できることを理解されたい。
【0093】
最後に、上記の議論は、本システムを単に例示することを意図しており、添付の特許請求の範囲を任意の特定の実施形態又は実施形態のグループに限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、本システムは、例示的な実施形態を参照して特に詳細に説明されてきたが、以下の特許請求の範囲に記載されている本システムのより広い、意図された精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多数の修正及び代替の実施形態が考案され得ることも理解されたい。したがって、明細書及び図面は、例示的な方法で見なされるべきであり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。