(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240521BHJP
B62B 3/00 20060101ALI20240521BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B62B5/00 F
B62B3/00 D
B62B3/02 B
B62B3/02 C
(21)【出願番号】P 2022177864
(22)【出願日】2022-11-07
【審査請求日】2023-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】322010796
【氏名又は名称】有限会社サンコー内装
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】畠山 忠孝
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0054806(US,A1)
【文献】特開2004-338786(JP,A)
【文献】特開2000-302047(JP,A)
【文献】特開2006-111067(JP,A)
【文献】特開2021-165146(JP,A)
【文献】特開2009-227010(JP,A)
【文献】特開2001-253348(JP,A)
【文献】特開2022-075301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
B62B 3/00
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬対象物を載置する荷台フレーム部と、前記荷台フレーム部の下部に取り付けられたキャスターと、前記荷台フレーム部に設けられた支柱フレーム部と、を備える運搬台車であって、
前記荷台フレーム部は、一対の側部フレームと、各側部フレームの前端部を連結している前端部フレームと、各側部フレームの後端部を連結している後端部フレームと、
各側部フレームの前記前端部と前記後端部との間の中間部を連結している載置部と、を備え、
前記載置部は、前記キャスターの地面との接地面より上方で、前記キャスターの直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成され、後端側が前記後端部フレームにかけて斜め上方に屈曲している
ことを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
各側部フレームは、前記後端部から前記中間部にかけて斜め下方に屈曲し、前記中間部から前記前端部にかけて斜め上方に屈曲して形成され、
前記中間部は、前記キャスターの地面との接地面より上方で、前記キャスターの直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の運搬台車。
【請求項3】
前記支柱フレーム部は、第一フレームと、スライドフレームと、を備え、
前記スライドフレームは前記第一フレームに対して上下方向にスライド可能に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【請求項4】
前記支柱フレーム部は、第一フレームと、第二フレームと、を備え、
前記第一フレームと前記第二フレームは第一軸体で連結され、
前記第二フレームと前記後端部フレームは第二軸体で連結されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【請求項5】
前記支柱フレーム部は、第一フレームと、第二フレームと、スライドフレームと、を備え、
前記スライドフレームは前記第一フレームに対して上下方向にスライド可能に取り付けられ、
前記第一フレームと前記第二フレームは第一軸体で連結され、
前記第二フレームと前記後端部フレームは第二軸体で連結されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建築現場や既設の建物の改修工事の現場、等において、建材を運搬する手段の一つとして台車が使用されている。上記建築現場や改修工事の現場、等の環境に応じて寸法の異なる様々な種類の建材を運搬するのに適した運搬台車が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、搬送作業時に押し操作や引き操作を行う際に手を掛ける部材を合理的に配設できる建材用搬送台車が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、3×6サイズの建材用のパネルを運搬するのに適した運搬台車が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-165146号公報
【文献】特開2010-95168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で提案されているものの他、上記建築現場や改修工事の現場、等の環境に応じて寸法の異なる様々な種類の建材を運搬するのに適した新規な構造の運搬台車の提案が望まれている。例えば、エレベータの通過時、間仕切りの出入り口の通過時に、建材をより運びやすい運搬台車の提案が望まれている。
【0007】
この発明は、建物の建築現場や既設の建物の改修工事の現場、等の環境に応じて作業性のよい新規な構造の運搬台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]
運搬対象物を載置する荷台フレーム部と、前記荷台フレーム部の下部に取り付けられたキャスターと、前記荷台フレーム部に設けられた支柱フレーム部と、を備える運搬台車であって、
前記荷台フレーム部は、一対の側部フレームと、各側部フレームの前端部を連結している前端部フレームと、各側部フレームの後端部を連結している後端部フレームと、各側部フレームの前記前端部と前記後端部との間の中間部を連結している載置部と、を備え、
前記載置部は、前記キャスターの地面との接地面より上方で、前記キャスターの直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成され、後端側が前記後端部フレームにかけて斜め上方に屈曲している
ことを特徴とする運搬台車。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、建物の建築現場や既設の建物の改修工事の現場、等の環境に応じて作業性のよい新規な構造の運搬台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】本実施形態の運搬台車の(a)正面図であって一部の構成を省略した図、(b)平面図であって一部の構成を省略した図、(c)底面図であって一部の構成を省略した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。本実施形態の運搬台車は、建物の建築現場や既設の建物の改修工事の現場、等 においてボード、パネルなどの建材を運搬する際に使用されるものである。また、本実施形態の運搬台車は、最小の寸法の建材から、長さ1820mm×幅910mmのいわゆる3×6サイズまでの建材を運搬することができるものとなっている。
【0012】
図1から
図3に示す運搬台車1は、運搬対象物である上記種々の建材を載置する荷台フレーム部2と、荷台フレーム部2の下部に取り付けられたキャスター3と、荷台フレーム部2に設けられた支柱フレーム部4と、を備えている。上記建材は荷台フレーム部2及び支柱フレーム部3で保持され、支柱フレーム部4を押し引きすることによってキャスター3が連動し運搬台車1を前後方向に移動させることができる。
【0013】
[荷台フレーム部]
本実施形態の荷台フレーム部2は、基本構成として少なくとも一対の側部フレームと、各側部フレームの前端部を連結している前端部フレームと、各側部フレームの後端部を連結している後端部フレームと、を備えている。
【0014】
側部フレームは、運搬台車1の進行方向(以下、本実施形態で「前後方向」ということがある。)を長辺とし、上下方向を短辺とする板状体形状あるいは直方体形状で形成される。
【0015】
図1に示すように本実施形態では側部フレーム5、5はアルミニウム製の板状体で、
図1に示すように略コ字状に形成され、前端部の上下方向の高さが後端部の上下方向の高さよりも低くなっている。また、側部フレーム5、5の前端部と後端部との間の中間部8は、キャスター3の地面との接地面より上方で、キャスター3の直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成されている。側部フレーム5、5の中間部8は、建材を縦置きあるいは横置きする際の載置面となる。
【0016】
側部フレーム5、5は、
図1に示すような長辺の後端部から中間部8にかけて斜め下方に屈曲され、中間部8から前端部にかけて斜め上方に屈曲されて形成され、中間部8がキャスター3の地面との接地面より上方で、キャスター3の直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成されていることにより、中間部8から後端部までの高さの分だけ建材の載置高さを確保することができる。また、側部フレーム5、5の中間部8から前端部にかけて斜め上方に屈曲している部分が、建材の運搬台車1からの滑り落ちを防止するストッパーの役割を果たしている。
【0017】
前端部フレームは、前後方向を短辺とし、当該前後方向と直交し運搬台車1の幅方向を長辺とした板状体形状あるいは直方体形状で形成される。
【0018】
図1及び
図3に示すように本実施形態では前端部フレーム6はアルミニウム製の直方体形状で形成され、側部フレーム5、5の前端部を連結している。
【0019】
後端部フレームは、前後方向を短辺とし、当該前後方向と直交し運搬台車1の幅方向を長辺とした板状体形状あるいは直方体形状で形成される。
【0020】
図1及び
図2に示すように本実施形態では後端部フレーム7はアルミニウム製の板状体形状で形成され、側部フレーム5、5の後端部を連結している。また、
図1から
図3に示すように後端部フレーム7の運搬台車1の幅方向の両端部には、後述する支柱フレーム部4を取り付けるためのL字状の固定用突片17が設けられている。
【0021】
また、
図1から
図3に示すように、前端部フレーム6の下部の2か所及び後端部フレーム7の下部の2か所それぞれに従来公知のキャスター3が取り付けられている。
【0022】
荷台フレーム部2は上記の構成の他、各側部フレームの中間部を連結する板状体形状あるいは直方体形状の載置部を備えていてもよい。
【0023】
図1から
図3に示すように本実施形態では載置部9はアルミニウム製の板状体形状で形成され、キャスター3の地面との接地面より上方で、キャスター3の直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成され、後端部フレーム7にかけて斜め上方に屈曲して後端部フレーム7と接続されている。載置部9は、側部フレーム5、5の中間部8と同様に、建材を縦置きあるいは横置きする際の載置面となる。
【0024】
[支柱フレーム部]
本実施形態の支柱フレーム部4は、基本構成の一つとして少なくとも第一フレームと、第一フレームに対して上下方向にスライド可能なスライドフレームと、を備えている。
【0025】
第一フレームは板状体、筒状体あるいは柱状体で形成され、荷台フレーム部2の後端部フレーム7に立設される。
【0026】
スライドフレームは板状体、筒状体あるいは柱状体で形成され、第一フレームに対して上下方向にスライド可能に取り付けられている。
【0027】
図1及び
図2に示すように本実施形態では、第一フレーム10、10及びスライドフレーム11、11をそれぞれアルミニウム製の中空の筒状体で形成し、スライドフレーム11、11はアルミニウム製の上部連結部材12で連結されている。
【0028】
スライドフレーム11、11は第一フレーム10、10の内部に収容され、軸体18によってスライドフレーム11、11の位置が固定される。軸体18を取り外し、スライドフレーム11の高さ(
図1の矢印A)を調節し再度軸体18で第一フレーム10、10に固定することができる。
【0029】
支柱フレーム部4について、
図1及び
図2に示すようなスライドフレーム11、11が第一フレーム10、10に対して上下方向にスライド可能に取り付けられていることにより、建材の高さ方向の種々の寸法に合わせてスライドフレーム11、11の高さを調節することができる。
【0030】
また、本実施形態の支柱フレーム部4は、他の基本構成として少なくとも第一フレームと、第二フレームと、を備えている。
【0031】
第一フレームは板状体、筒状体あるいは柱状体で形成される。
【0032】
第二フレームは板状体、筒状体あるいは柱状体で形成され、荷台フレーム部2の後端部フレーム7に設けられる。
【0033】
図1から
図3に示すように本実施形態では、第一フレーム10、10をアルミニウム製の中空の筒状体で形成し、第二フレーム14、14をアルミニウム製の板状体で形成し、第一フレーム10、10の中間部と第二フレーム14、14の上端部と、が第一軸体15、15で連結されている。
【0034】
図1及び
図2に示すように第一フレーム10、10の下端部はヒンジ機構を有する下部連結部材13で連結され、第一フレーム10、10は第一軸体15、15を中心として矢印Bの方向へ回動可能となっている。
【0035】
図1から
図3に示すように第二フレーム14、14の下端部と後端部フレーム7の固定用突片17、17と、が第二軸体16、16で連結されている。第二フレーム14、14は第二軸体16、16を中心として矢印Bの方向へ回動可能となっている。
【0036】
支柱フレーム部4について、
図1から
図3に示すような第一フレーム10、10の中間部と第二フレーム14、14の上端部と、が第一軸体15、15で連結され、第二フレーム14、14の下端部と後端部フレーム7の固定用突片17と、が第二軸体16、16で連結されていることにより、第二軸体16、16を中心として第二フレーム14、14を下方向に回動させながら、第一軸体15、15を中心として第一フレーム10、10を下方向に回動させて支柱フレーム部4を折畳む、あるいは立ち上げることができる。
【0037】
また、本実施形態の支柱フレーム部4は、上記二つの基本構成を組み合わせることができる。これにより建材の高さ方向の種々の寸法に合わせてスライドフレーム11、11の高さを調節することができるとともに、第二軸体16、16を中心として第二フレーム14、14を下方向に回動させながら、第一軸体15、15を中心として第一フレーム10、10を下方向に回動させて支柱フレーム部4を折畳む、あるいは立ち上げることができる。
【0038】
このように、本実施形態の運搬台車1は、荷台フレーム部2の側部フレーム5、5について、
図1に示すような長辺の後端部から中間部8にかけて斜め下方に屈曲され、中間部8から前端部にかけて斜め上方に屈曲されて形成され、中間部8がキャスター3の地面との接地面より上方で、キャスター3の直径の長さの範囲内の高さに位置するように形成されている構成を採用している。したがって、3×6サイズの建材を運搬台車に載置してもエレベータや間仕切りの出入り口を容易に通過でき建材の運搬の作業性が向上する。
【0039】
また、本実施形態の運搬台車1は、支柱フレーム部4について、
図1及び
図2に示すようなスライドフレーム11、11が第一フレーム10、10に対して上下方向にスライド可能に取り付けられている構成を採用している。したがって、エレベータや間仕切りの出入り口の高さ、建材の高さ方向の種々の寸法に合わせてスライドフレーム11、11の高さを調節することができる。
【0040】
また、本実施形態の運搬台車1は、支柱フレーム部4について、
図1から
図3に示すような第一フレーム10、10の中間部と第二フレーム14、14の上端部と、が第一軸体15、15で連結され、第二フレーム14、14の下端部と後端部フレーム7の固定用突片17と、が第二軸体16、16で連結されている構成を採用している。したがって、運搬作業終了時には支柱フレーム部4を折りたたみ、運搬作業時は支柱フレーム部4を立ち上げることができ運搬作業全体の効率が向上する。
【符号の説明】
【0041】
1 運搬台車
2 荷台フレーム部
3 キャスター
4 支柱フレーム部
5 側部フレーム
6 前端部フレーム
7 後端部フレーム
8 中間部
9 載置部
10 第一フレーム
11 スライドフレーム
12 上部連結部材
13 下部連結部材
14 第二フレーム
15 第一軸体
16 第二軸体
17 固定用突片
18 軸体