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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】エキセナチド類似体
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/605 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K38/26
A61P3/10
A61P3/04
A61P9/12
A61P9/10
A61P25/28
A61P9/00
A61P1/04
A61P43/00 105
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022519514
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020115222
(87)【国際公開番号】W WO2021057541
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】201910908468.3
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522120657
【氏名又は名称】成都奥▲達▼生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】周 述▲リアン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ ▲嵐▼
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110551203(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106554404(CN,A)
【文献】特表2008-500262(JP,A)
【文献】特表2006-514035(JP,A)
【文献】国際公開第2017/178829(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109641035(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造Iを有するエキセナチド類似体。
[構造I]
AA1-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-AA2(R)-AA3
[構造IのAA1は、
【化1】
であり、
式中、 は、CH であり、X は、Hであり、
構造IのAA2は、Lysであり、
構造IのAA3は、NH あり、
構造IのRは、HOC(CHn1CO-(γGlu)n2-(PEGn3(CH2)n4CO)n5-であり、
ここで、n1は、10から20の整数であり、
n2は、1から5の整数であり、
n3は、1から30の整数であり、
n4は、1から5の整数であり、
n5は、1から5の整数である。]
【請求項2】
その薬学的に許容される塩、その溶媒和物、そのキレート若しくはその非共有複合体、又はその任意の混合物である、請求項1に記載のエキセナチド類似体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエキセナチド類似体を含む、疾患を治療するための医薬組成物であって、前記疾患が、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、脳卒中、炎症性腸症候群、消化不良、胃潰瘍、肝線維症、肺線維症、及びそれらの組合せからなる群から選択される、医薬組成物。
【請求項4】
前記疾患が、2型糖尿病である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のエキセナチド類似体を含む、2型糖尿病の悪化を予防するための医薬組成物。
【請求項6】
β-細胞アポトーシスを減らし、膵島β細胞機能を高め、β-細胞塊を増やし、及び/又はグルコースに対するβ-細胞の感受性を回復させるための医薬組成物であって、請求項1又は2に記載のエキセナチド類似体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載のエキセナチド類似体を含む、インビボで血糖を調節するための医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、発明の名称が「エキセナチド類似体」である、2019年9月25日に中国特許庁へ提出された中国特許出願201910908468.3に基づく優先権を主張し、その全内容は、全体として援用により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体であるエキセナチド類似体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
糖尿病は、心臓・脳血管疾患及び腫瘍に続く3番目の非感染性疾患となっており、世界保健機関(WHO)により、2030年に世界中で糖尿病患者が3億6000万人以上も超え、そのうちの90%以上は2型糖尿病であると予測する。GLP-1は、腸のL細胞から分泌されるセクレチンであり、インスリン分泌を促進し、グルカゴン放出を抑制し、膵島B細胞増殖を刺激し、膵島B細胞再生を誘導し、膵島Bアポトーシスを阻害し、インスリン感受性を改善し、及びグルコース利用を向上させるなど機能を有し、2型糖尿病の発生と発症における重要な役割を果たす。2型糖尿病患者は、「インクレチン効果」が損なわれ、主に食後のGLP-1濃度の上昇が健常者より低いと表され、インスリン分泌の促進及び血糖降下の作用はそれほど損なわれていないため、GLP-1は、2型糖尿病治療の重要な標的となることができる。また、GLP-1は、グルコース濃度依存性を有し、その血糖降下特性がその臨床応用の安全性の基礎と保証であるため、既存の糖尿病治療薬及びプログラムが患者に重度の低血糖を引き起こす心配を排除し、糖尿病治療の領域においては幅広い応用の見通しがある。
【0004】
しかしながら、GLP-1の臨床応用にも大きな問題があり、人体が産生するGLP-1が非常に不安定であり、体内のジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)により分解されやすく、その血漿半減期が短く、GLP-1の臨床応用が限られている。また、多くの2型糖尿病患者が毎日の注射投薬に消極的であるため、週に1回投与できる安全で効果的なGLP-1類似体の開発にはより大きな展望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体であるエキセナチド類似体及びその使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、まず、本発明は、構造Iで示される化合物、この化合物により形成される薬学的に許容される塩、溶媒和物、キレート、又は非共有複合体;この化合物に基づくプロドラッグ、又はそれらの形態の任意的な混合物を提供する。
【0007】
[構造I]
AA1-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Leu-Ser-Lys-Gln-Met-Glu-Glu-Glu-Ala-Val-Arg-Leu-Phe-Ile-Glu-Trp-Leu-Lys-Asn-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-AA2(R)-AA3
【0008】
構造I中、
AA1は、
【化1】
であり、
[式中、X及びXは、Hであり、
又はCH、CH(CH、C(CH、CH(CHCH、C(CHCH、CH(CHCHCH、C(CHCHCH、CH(CH(CH))、C(CH(CH))であり、
又はCHCH、CHCH(CH、CHC(CH、CHCH(CHCH、CHC(CHCH、CHCH(CHCHCH、CHC(CHCHCH、CHCH(CH(CH))、CHC(CH(CH))であり、
AA2は、Lys、又はDah、又はOrn、又はDab、又はDapであり、
AA3は、NH、又はOHであり、
Rは、HOC(CHn1CO-(γGlu)n2-(PEGn3(CH2)n4CO)n5-であり、
ここで、n1は、10から20の整数であり、
n2は、1から5の整数であり、
n3は、1から30の整数であり、
n4は、1から5の整数であり、
n5は、1から5の整数である。]
【0009】
さらに、本発明は、本発明に係る化合物による医薬組成物、及び疾患を治療するための医薬品の調製における本発明に係る化合物の医薬組成物の使用を提供する。
【0010】
好ましくは、前記医薬組成物は、2型糖尿病、耐糖能異常、1型糖尿病、肥満、高血圧、メタボリックシンドローム、脂質異常症、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠状動脈性心疾患、心血管疾患、脳卒中、炎症性腸症候群及び/又は消化不良或胃潰瘍、肝線維症及び肺線維症を含む疾患の少なくとも1つを治療するための医薬品を調製するために使用される。
【0011】
好ましくは、前記医薬組成物は、2型糖尿病の薬効遅延を治療する、及び/又は2型糖尿病の悪化を予防するための医薬品を調製するために使用される。
【0012】
好ましくは、前記医薬組成物は、食物摂取量を減らし、βアポトーシスを減らし、膵島β細胞機能を向上させ、β-細胞塊を増やし、及び/又はグルコースに対するβ-細胞の感受性を回復させる医薬品を調製するために使用される。
【0013】
さらに、本発明は、インビボで血糖を調節するために治療対象に前記化合物を投与する方法を提供する。
【0014】
本発明に係るより多くの内容は、以下に詳細に説明するか、又はそれらのいくつかを本発明の実施例で実現することもできる。
【0015】
特に断りのない限り、本明細書に用いられる様々な成分の量および反応条件は、いずれの場合も「略」または「おおよそ」の意味と解釈することができる。同様に、特に明記しない限り、以下及び特許請求の範囲に引用される数値パラメータは、いずれも近似パラメータであり、それぞれの実験条件下での標準誤差の違いにより、異なる数値のパラメータが得られる可能性がある。
【0016】
本明細書では、化合物の化学構造式と化学名称の間に不一致や疑いがある場合、化学構造式によって該化合物が正確に定義される。本明細書に記載されている化合物は、1つ又は複数のキラル中心、及び/又は二重結合、並びにその類似構造を含み得、二重結合異性体(例えば、幾何異性体)、光学エナンチオ異性体又はジアステレオ異性体を含む立体異性体としても存在し得る。したがって、本明細書の範囲内の任意の化学構造は、その一部または全体に上記の類似構造を含むか関わらず、この化合物の全ての可能なエナンチオ異性体とジアステレオ異性体を含み、純粋な任意の立体異性体(例えば、純粋な幾何異性体、純粋なエナンチオ異性体、又は純粋なジアステレオ異性体)、及びそれらの異性体の任意の混合物も含む。これらのラセミ体及び立体異性体の混合物は、さらに当業者がよく用いられている分離手段またはキラル分子の合成手段によりそれらの構成成分であるエナンチオ異性体または立体異性体に分割することができる。
【0017】
構造式Iの化合物には、これらの化合物の光学異性体、ラセミ体及び/又は他の混合物が含まれるが、これらに限られない。上記の場合、例えば光学活性異性体などの単純のエナンチオ異性体又はジアステレオ異性体は、不斉合成法又はラセミ体分離法によって得ることができる。ラセミ体の分割は、例えば、分離促進剤を用いた従来の再結晶やクロマトグラフィーなどの様々な方法により実現される。また、構造式Iの化合物には、二重結合を持つシス及び/又はトランス異性体も含まれる。
【0018】
本発明に係る化合物には、構造式Iで示される化合物及びそれらの薬学的に使用可能な全ての形態が含まれるが、これらに限られない。これらの化合物の薬学的に使用可能な様々形態には、様々な薬学的に許容される塩、溶媒和物、錯体、キレート、非共有結合複合体、上記の物質に基づくプロドラッグ、及びこれらの形態の任意の混合物が含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明で提供される構造Iで示される化合物は、性質が安定であり、インビボでジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)に分解されにくく、長時間作用型GLP-I類似体であり、有意な血糖降下作用を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)類似体及びその使用を開示し、当業者が本明細書の内容を参照し、関連するパラメータを適切に調整することで達成することができる。なお、全ての類似の置換および改変が当業者にとって明らかであり、それらは本発明に含まれるとみなされることことを特に指摘すべきである。本発明に係る方法を好ましい実施例を通じて説明したが、関係者は、本発明の内容、精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載された化合物及び調製方法を修正または適切な変更および組み合わせを行うことで、本発明の技術を実施および適用できることが明らかである。
【0021】
本発明に言及される英語の略語に対応する日本語の名称は、下表に示す。
【表1】
【0022】
実施例1 化合物1の調製
【化2】
【0023】
調製方法:ポリペプチド固相合成法によりペプチド樹脂を調製し、ペプチド樹脂を酸分解して粗生成物を得、最後に粗生成物を精製して純粋な生成物を得た。ここで、ポリペプチド固相合成法によりペプチド樹脂を調製するステップは、カップリング固相合成法により担体樹脂上に下記の配列における対応する保護アミノ酸又は断片を順に連結し、ペプチド樹脂を調製する。
【0024】
上記の調製方法では、前記Fmoc-保護アミノ酸又は保護アミノ酸断片の使用量が使用された樹脂の総モル数の1.2~6倍であり、好ましくは2.5~3.5倍である。
【0025】
上記の調製方法では、前記担体樹脂の置換値は、0.2~1.0mmol/gの樹脂であり、好ましくは0.3~0.5mmol/gの樹脂である。
【0026】
本発明の好適な実施形態としては、前記カップリング固相合成法は、前のステップで得られた保護アミノ酸-樹脂がFmoc保護基を除去した後、次の保護アミノ酸とカップリング反応させる。前記のFmoc保護を除去する脱保護時間は、10~60分であり、好ましくは15~25分である。前記のカップリング反応時間は、60~300分であり、好ましくは100~140分である。
【0027】
前記のカップリング反応は縮合試薬を添加する必要がある。縮合試薬は、DIC(N,N-ジイソプロピルカルボジイミド)、N,N-ジシクロヘキシルカルボジイミド、ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム、2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、又はO-ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートから選ばれた1つであり、好ましくは、N,N-ジイソプロピルカルボジイミドである。前記縮合試薬のモル使用量は、アミノ樹脂中のアミノ基の総モル数の1.2~6倍であり、好ましくは、2.5~3.5倍である。
【0028】
前記のカップリング反応は、活性化試薬を添加する必要がある。活性化試薬は、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール又はN-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾールから選ばれ、好ましくは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールである。活性化試薬の使用量は、アミノ樹脂のアミノ基の総モル数の1.2~6倍であり、好ましくは2.5~3.5倍である。
【0029】
本発明の好適な実施形態としては、前記のFmoc保護を除去する試薬は、PIP/DMF(ピペリジン/N,N-ジメチルホルムアミド)の混合溶液である。混合溶液はピペリジンを10~30%(V)含む。Fmoc保護を除去する試薬の使用量は、アミノ樹脂1グラムあたり5~15mLであり、好ましくはアミノ樹脂1グラムあたり8~12mLである。
【0030】
好ましくは、ペプチド樹脂を酸分解することで、樹脂および側鎖の保護基を同時に除去して粗生成物を得る。
【0031】
さらに好ましくは、前記ペプチド樹脂の酸分解中に使用される酸分解剤は、トリフルオロ酢酸(TFA)と1,2-エタンジチオール(EDT)と水の混合溶媒である。混合溶媒の体積比は、TFAが80~95%、EDTが1~10%、残部が水である。
【0032】
より好ましくは、該混合溶媒の体積比は、TFAが89~91%、EDTが4~6%、残部が水である。最も好ましくは、混合溶媒の体積比は、TFAが90%、EDTが5%、残部が水である。
【0033】
前記酸分解剤の使用量は、ペプチド樹脂1グラムあたり4~15mLの酸分解剤が必要であり、好ましくは、ペプチド樹脂1グラムあたり7~10mLの酸分解剤が必要である。
【0034】
酸分解剤を用いた分解時間は、室温条件下で1~6時間であり、好ましくは3~4時間である。
【0035】
さらには、粗生成物を高速液体クロマトグラフィーで精製し、凍結乾燥して純粋な生成物を得る。
【0036】
1.ペプチド樹脂の合成
Rink Amide BHHA樹脂を担体樹脂として使用し、Fmocの脱保護とカップリング反応を通じて、下表に示される保護アミノ酸と順にカップリングさせて、ペプチド樹脂を得る。本実施例に使用された保護アミノ酸に対応する保護アミノ酸は、以下の通りである。
【表2】
【表2-2】
【0037】
(1)主鎖の第1の保護アミノ酸の連結
第1の保護アミノ酸0.03molとHOBt0.03molを取り、適量のDMFで溶解し、別にDIC0.03molを取り、撹拌しながら保護アミノ酸のDMF溶液にゆっくりと加え、室温で攪拌しながら30分間反応させ、活性化した保護アミノ酸溶液を得て用意した。
【0038】
Rink amide MBHA樹脂0.01mol(置換値が約0.4mmol/g)を取り、20% PIP/DMF溶液で25分間脱保護し、洗浄、ろ過し、Fmocを除去した樹脂を得た。
【0039】
活性化した第1の保護アミノ酸溶液をFmocを除去した樹脂に加え、60~300分間カップリング反応させ、ろ過、洗浄し、1個の保護アミノ酸を含む樹脂を得た。
【0040】
(2)主鎖の第2~40の保護アミノ酸の連結
上記の主鎖の第1の保護アミノ酸を連結する方法と同じ方法を使用して順に上記の対応する第2~40の保護アミノ酸を連結し、主鎖に40個のアミノ酸を含む樹脂を得た。
【0041】
(3)側鎖の第1の保護アミノ酸の連結
側鎖の第1の保護アミノ酸0.03molとHOBt0.03molを取り、適量のDMFで溶解し、DIC0.03molを取り、撹拌しながら保護アミノ酸DMF溶液にゆっくりと加え、室温で攪拌しながら30分間反応させ、活性化した保護アミノ酸溶液を得た。
【0042】
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.5mmolとフェニルシラン25mmolを取り、適量のジクロロメタンに溶解し、4時間脱保護し、ろ過、洗浄し、Allocを除去した樹脂を得て用意した。
【0043】
活性化した側鎖の第1の保護アミノ酸溶液をAllocを除去した樹脂に加え、60~300分間カップリング反応させ、ろ過、洗浄し、側鎖の第1の保護アミノ酸を含む樹脂を得た。
【0044】
(4)側鎖の第2~4の保護アミノ酸の連結
上記の主鎖第1の保護アミノ酸を連結する方法と同じ方法を使用し、側鎖に対応する第2~4の保護アミノ酸と単保護脂肪酸を順に連結し、ペプチド樹脂を得た。
【0045】
2.粗生成物の調製
上記のペプチド樹脂を取り、体積比がTFA:水:EDT=95:5:5の切断試薬(切断試薬10mL/gの樹脂)に加え、よく攪拌し、室温で攪拌しながら3時間反応させ、反応混合物をサンドコアファンネルでろ過し、ろ液を収集し、樹脂を少量のTFAで3回洗浄し、ろ液を合わせた後、減圧下で濃縮させ、ジエチルエーテル(無水)を加えて沈殿させ、沈殿物をジエチルエーテル(無水)で3回洗浄し、真空乾燥し、白ぽい粉末、即ち粗生成物を得た。
【0046】
3.純粋な生成物の調製
上記の粗生成物を取り、水を加えて攪拌し、アンモニア水でpH8.0に調整して完全に溶解し、溶液を0.45μmの混合ミクロポーラス膜でろ過し、精製し、用意した。
【0047】
精製には、高速液体クロマトグラフィーを使用し、10μmの逆相C18を精製用クロマトグラフィーパッキングとして使用し、0.1%TFA/水溶液-0.1%TFA/アセトニトリル溶液を移動相システムとし、30mm×250mmのクロマトカラムの流速を20mL/minとし、グラジエント溶離を使用し、サイクリックサンプルローディング法で精製した。粗生成物の溶液を取り、クロマトカラムに注入し、移動相溶離を開始し、メインピークを収集し、アセトニトリルを蒸発させた後、精製された中間体濃縮液を得た。
【0048】
精製された中間体濃縮液を0.45μmのフィルター膜でろ過して用意した。高速液体クロマトグラフィーにより塩交換を行い、移動相システムを1%酢酸/水溶液-アセトニトリルとし、精製用クロマトグラフィーパッキングを10μmの逆相C18とし、30mm×250mmのクロマトカラムの流速を20mL/min(クロマトカラムの仕様に応じて流速を調整できる)とした。グラジエント溶離及びサイクリックサンプルローディング法でクロマトカラムにロードし、移動相溶離を開始し、クロマトグラフを収集し、吸光度の変化を観察し、塩交換のメインピークを収集し、液相を分析して純度を検出し、塩交換のメインピーク溶液を合わせ、減圧下で濃縮させ、純粋な酢酸水溶液を得、凍結乾燥させ、純粋な生成物7.7gを得た。純度は95.8%、総収率は15.2%、分子量は5056.2(100%M+H)であった。
【0049】
実施例2 化合物2の調製
【化3】
【0050】
調製方法を実施例1と同様にし、下表に示す保護アミノ酸を使用した。
【表3】
【0051】
純粋な生成物6.2gを得た。純度は95.8%、総収率は12.2%、分子量は5070.6(100%M+H)であった。
【0052】
実施例3 化合物3の調製
【化4】
【0053】
調製方法を実施例1と同様にし、下表に示す保護アミノ酸を使用した。
【表4】
【0054】
純粋な生成物8.9gを得た。純度が98.5%、総収率が17.6%、分子量が5043.2(100%M+H)であった。
【0055】
実施例4 化合物4の調製
【化5】
【0056】
調製方法を実施例1と同様にし、下表に示す保護アミノ酸を使用した。
【表5】
【0057】
純粋な生成物5.2gを得た。純度は96.3%、総収率は10.3%、分子量は5057.6(100%M+H)であった。
【0058】
実施例5 化合物5の調製
【化6】
【0059】
調製方法を実施例1と同様にし、下表に示す保護アミノ酸を使用した。
【表6】
【0060】
純粋な生成物5.6gを得た。純度は97.6%、総収率は10.6%、分子量は5263.8(100%M+H)であった。
【0061】
実施例6 化合物6の調製
【化7】
【0062】
調製方法を実施例1と同様にし、下表に示す保護アミノ酸を使用した。
【表7】
【0063】
純粋な生成物4.5gを得た。純度は97.1%、総収率は8.5%、分子量は5277.6(100%M+H)であった。
【0064】
実施例7 活性測定
1.測定方法
GLP-1Rは、主に膵島β細胞の表面に存在し、Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)である。GLP-1Rは、特異的なアゴニストの刺激下で細胞内のアデニル酸シクラーゼ経路を活性化し、cAMPのレベルを増加させ、最終的にインスリンの産生と放出をもたらすことができる。GLP-1Rを安定的にトランスフェクトされた細胞株を被検物で刺激することで、細胞内のcAMPレベルを急速に上昇させ、化学発光法により各投与量で細胞を刺激した後の相対発光単位(RLU)を測定し、アゴニストのEC50を算出した。この活性測定方法は、現在、国内外で一般的に使用されているGLP-1受容体アゴニストの活性アッセイ法である。
【0065】
GLP-1Rを安定して発現するCHO-K1細胞株を使用し、安定的にトランスフェクションされた細胞を異なる濃度のアゴニストで刺激した。各投与量で刺激した後の細胞の相対発光単位を測定することにより、アゴニストの生物活性を得た。
【0066】
2.測定結果
測定結果を下表に示す。
【表8】
【0067】
実施例8 初歩の薬物動態特性の測定
各化合物を2つの投与群に分け、SDラットであり、各群に4匹の雄ラット、合計8匹であった。
【0068】
尾静脈静注群:投与量は1mg/kgであり、それぞれ投与前(0h)、及び投与後の30min、1h、2h、4h、8h、24h、48h、96h、144hの時点でラットの眼窩静脈から採血した。血漿サンプルを遠心分離した。
【0069】
皮下投与群:投与量は1mg/kgであり、それぞれ投与前(0h)、及び投与後の1h、2h、3h、4h、8h、24h、48h、96h、144hの時点でラットの眼窩静脈から採血した。血漿サンプルを遠心分離した。
【0070】
液体クロマトグラフィー-質量分析法でそれぞれSDラットの血漿サンプル中に対応する化合物の血中薬物濃度を測定した。静脈及び皮下投与後の、SDラット皮下(SC)投与場合の化合物の半減期を下表に示す。
【表9】