(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】シアノ置換ピリジンおよびシアノ置換ピリミジン系化合物、製造方法およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07D 239/48 20060101AFI20240521BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240521BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240521BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240521BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240521BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240521BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240521BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240521BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240521BHJP
C07D 401/12 20060101ALI20240521BHJP
C07D 401/14 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240521BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D239/48 CSP
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P27/02
A61P17/06
A61P17/00
A61P29/00
A61P17/14
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/04
A61P25/00
A61P9/10
A61P11/00
A61P1/16
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/506
C07D401/12
C07D401/14
A61K31/5377
C07D405/14
(21)【出願番号】P 2022538861
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2020137938
(87)【国際公開番号】W WO2021129561
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】201911337644.9
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517185908
【氏名又は名称】北京賽特明強医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, チャン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, レイフー
(72)【発明者】
【氏名】ジォン, ナンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シャンナン
(72)【発明者】
【氏名】スン, ユェミン
(72)【発明者】
【氏名】グオ, ジェンクウ
【審査官】伊佐地 公美
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-535000(JP,A)
【文献】国際公開第2016/164703(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/072707(WO,A1)
【文献】特表2015-523383(JP,A)
【文献】特表2016-523973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
式(I)において、
XはNまたはCHであり;
Lは、-O-、-S-、
【化2】
または-NR
5-であり、ここで、R
5とR
6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルであり;
R
1は
【化3】
であり;
R
2は、水素、ハロゲン、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3アルキルであり;
R
3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、カルボキシル、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
3ハロアルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、C
2-C
3アルキニル、C
2-C
3アルケニル、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3アルキルチオ、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキルアミノ、C
3-C
4シクロアルキルオキシ、C
3-C
4シクロアルキル置換C
1-C
3アルキル、シアノ置換C
1-C
3アルキル、カルバモイル置換C
1-C
3アルキル、または以下の基:
【化4】
からなる群から選択され、
qは1~3の整数であり、
R
sは、-H、C
1-C
3アルキルからなる群から選択され、R
pは、-H、C
1-C
3アルキルからなる群から選択され、
R’、R’’は、それぞれ独立して-H、C
1-C
3アルキル、C
3-C
4シクロアルキルであり、
R
7は、-H、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、カルボキシル、C
1-C
3アルキル、C
3-C
4シクロアルキル、C
1-C
3アルコキシ、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキル置換アミノからなる群から選択され;
R
4は、-T
1-R
8であり、
T
1が
【化5】
からなる群から選択され、
p1が0であり、p2が2~3の整数であり;
R
pが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8が、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化6】
からなる群から選択され、
R
12が、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13が、-H、-NR
15R
16であり、
R
14が、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化7】
であり、ここで、R
17が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2が、それぞれ独立してH、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16が、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化8】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18が、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択され、
且つ、R
1が
【化9】
であり、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化10】
である場合、R
2とR
3がともに水素であることはない、
式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
2が、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシである、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R
3が、-H、-F、-Cl、-Br、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エチニル、エテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化11】
からなる群から選択され、
qが2~3の整数であり、
R
sが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、R
pが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、
R’、R’’が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチルからなる群から選択され、
R
7が、-H、-F、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノからなる群から選択される、
請求項1または2に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
4が
【化12】
であり、
R
12が、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13が、-H、-NR
15R
16であり、
R
s1、R
s2がHであり、
R
15、R
16が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16が、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化13】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18が、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロからなる群から選択される、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
XがNまたはCHであり;
Lが、-O-、-S-、
【化14】
または-NR
5-であり、ここで、R
5とR
6が、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルであり;
R
1が
【化15】
であり;
R
2が、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシであり;
R
3が、-H、-F、-Cl、-Br、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エチニル、エテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化16】
からなる群から選択され、
qが2~3の整数であり、
R
sが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、R
pが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、
R’、R’’が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチルからなる群から選択され、
R
7が、-H、-F、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノからなる群から選択され;
R
4が-T
1-R
8であり、
T
1が
【化17】
からなる群から選択され、
p1が0であり、p2は2~3の整数であり;
R
pが、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8が、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化18】
からなる群から選択され、
R
12が、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13が、-Hまたは-NR
15R
16であり、
R
14が、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化19】
であり、ここで、R
17が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2が、それぞれ独立して-H、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16が、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化20】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18が、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20が、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択され、
且つ、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化21】
である場合、R
2とR
3がともに水素であることはない、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Lが-O-であり、且つ、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルである場合、R
2とR
3がともに水素であることはない、
請求項5に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記の化合物が、
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
からなる群から選択される、
請求項1に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、またはその溶媒和物と、
薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む医薬組成物。
【請求項9】
1つまたは複数の他の治療剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
チロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患の治療のための医薬品の調製における、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、水和物、または溶媒和物、或いは請求項8または9に記載の医薬組成物の使用。
【請求項11】
前記のチロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患が、眼底疾患、眼球乾燥症、乾癬、白斑、皮膚炎、円形脱毛症、関節リウマチ、結腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、アテローム性動脈硬化、肺線維症、肝線維症、骨髄線維症、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、白血病、胃癌、肝臓癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、鼻咽頭癌、食道癌、脳腫瘍、B細胞およびT細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、胆管癌肉腫、胆管癌を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、その水和物、またはその溶媒和物を含む、チロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項13】
前記のチロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患が、眼底疾患、眼球乾燥症、乾癬、白斑、皮膚炎、円形脱毛症、関節リウマチ、結腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、アテローム性動脈硬化、肺線維症、肝線維症、骨髄線維症、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、白血病、胃癌、肝臓癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、鼻咽頭癌、食道癌、脳腫瘍、B細胞およびT細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、胆管癌肉腫、胆管癌を含む、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
【化26】
XがNであり;
Lが-O-であり;
R
1が
【化27】
であり;
R
2が水素またはC
1-C
3アルコキシであり;
R
3が水素またはハロゲンからなる群から選択され;
R
4が-T
1-R
8であり;
T
1が
【化28】
であり;
p1が0であり;
R
8が4~6員ヘテロ脂環式基であり、ここで、前記の4~6員ヘテロ脂環式基が、非置換のものであるか、或いは-NR
10R
11で置換されたものであり;
R
10、R
11が、それぞれ独立して、-H、C
1-C
6アルキルまたはヒドロキシル置換C
2-C
6アルキルからなる群から選択されるか、或いは、R
10、R
11が、それらが結合している窒素原子とともに、4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、ここで、前記の4~6員ヘテロ脂環式基が、非置換のものであるか、或いはC
1-C
3アルキルで置換されたものであ
り、
R
1
が
【化29】
であり、R
4
が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化30】
である場合、R
2
とR
3
がともに水素であることはない、
式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R
4が
【化31】
であり;
R
12が-Hであり、
R
13が-NR
15R
16であり、
R
s1、R
s2がHであり、
R
15、R
16がそれぞれ独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピルまたは3-ヒドロキシ-3-メチルブチルであるか、或いは、R
15、R
16が、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化32】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18が-H、メチルまたはエチルからなる群から選択され
、
R
1
が
【化33】
であり、R
4
が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化34】
である場合、R
2
とR
3
がともに水素であることはない、
請求項14に記載の式(I)で表される化合物、その
立体異性体、水和物、溶媒和物、およびその薬学的に許容される塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアノ置換ピリジンおよびシアノ置換ピリミジン系化合物、それらの薬学的に許容される塩、異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグ、ならびにそれらの製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞におけるFGFRの突然変異の活性化または増幅は、FGF-FGFRシグナル伝達経路の過剰活性化につながり、細胞に、過剰増殖、アポトーシス回避、および転移容易性などの発癌特性を付与することを可能にする。したがって、FGFRは、直接的または間接的な腫瘍治療の標的として利用される。FGFRは、FGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4の4つのサブタイプに主に分けられる。各サブタイプは、リガンドに結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および受容体をリン酸化する細胞内ドメインを有する受容体チロシンキナーゼの一般的な構造的特徴を持つ。リガンドが受容体に特異的に結合すると、FGFRの自己リン酸化を誘導し、二量体化し、そのドメインを不活性状態から活性状態に変化させる。活性化されたFGFRと細胞内のキナーゼは互いに近くにあり、互いにリン酸化することで、一連の下流関連シグナル伝達経路を活性化させ、最終的に細胞の増殖や分化を刺激し、細胞のアポトーシスを阻害する。FGFRは腫瘍の発生に重要な役割を果たしているため、FGFRに対する標的療法は臨床研究のホットスポットになる。FGFRを標的とする既存の医薬品は、その由来に応じて以下の2つのカテゴリーに分ける。1番目のカテゴリーは、FGFRの細胞内キナーゼドメインに競合的または非競合的に結合し、FGFRの自己リン酸化、二量体化、および下流タンパク質のリン酸化を触媒する能力を阻害することによって、FGFRシグナル伝達経路を阻害できる低分子化学阻害剤である。2番目のカテゴリーは、FGFRの細胞外ドメインに結合し、FGFのFGFRへの結合を遮断することによって、FGFRの活性化を阻害し、FGFRシグナル伝達を遮断できるモノクローナル抗体またはポリペプチド阻害剤である(非特許文献1)。
【0003】
低分子チロシンキナーゼ阻害剤は、細胞内キナーゼのATPへの結合を遮断する活性を有することで、細胞増殖シグナル伝達を遮断する。FGFR1、FGFR2およびFGFR3のキナーゼドメインの構造が類似しているため、現在開発されたこれらの3つのキナーゼに対する阻害剤の効果は、それほど相違しない。ただし、FGFR4キナーゼドメインは、FGFR1-3キナーゼドメインと多少異なるため、FGFR1-3を効果的に阻害できる多くの阻害剤は、FGFR4に対して効果がよくない。例えば、近年、臨床試験の段階にあるAZD-4547、Infigratinib、CH-5183284、E-7090、BAY-1163877、INCB-54828などは、FGFR1/2/3を標的とし、FGF-401やBLU-554は、FGFR4を標的とする。低分子FGFR阻害剤は、1)ATP競合可逆阻害剤、2)共有結合不可逆阻害剤、3)ATP非競合阻害剤に分けられる(非特許文献2)。
【0004】
AZD-4547は、FGFRに作用する、選択性を有する線状低分子ATP可逆的競合阻害剤である。FGFR1/AZD-4547のタンパク質-リガンド複合体の共結晶構造から、以下のことが明らかになる。即ち、AZD-4547の3-アミノピラゾール親環は、ヒンジ領域のAla564およびGlu562と3つの水素結合で相互作用し、3,5-ジメトキシフェニル側鎖は、ヒンジ領域の内側の疎水性ポケットに伸びており、パラ位のキラルのピペラジン置換ベンゾイル基は、ヒンジ領域から伸びる近溶媒末端ドメイン(near-solvent end domain)と親水性または疎水性の相互作用をする。これらの作用により、分子全体が線状配置でFGFR1のATP結合領域に挿入され、FGFR1タンパク質にしっかりと結合する。このような線状の作用を持つ化合物としては、BGJ-398、CH-5183284、およびASP-5878を含む。
【0005】
JNJ-42756493は、FGFRに作用する、選択性を有するT字型の低分子ATP可逆的競合阻害剤である。JNJ-42756493/FGFR1の共結晶構造から、以下のことが明らかになる。即ち、JNJ-42756493のキノキサリン親環の1位のNがヒンジ領域のAla564と1つの水素結合を形成する。3,5-ジメトキシフェニル側鎖はヒンジ領域の内側の疎水性ポケットを占有し、イソプロピルアミン側鎖はヒンジ領域の下向きポケットと親水性または疎水性の相互作用をし、また、イソプロピルアミンのNHもAsp641と1つの水素結合で相互作用をする。
【0006】
タンパク質のATP結合部位のヒンジ領域は、FGFR1、2および3と比較し、1つの異なるシステイン残基を有し、FGFR1、2および3は、この部位にチロシン残基を有する。このわずかな構造の違いから、ナノモルレベルの阻害活性を持つ選択的FGFR阻害剤であるPD173074を発見した。これに基づいて、FGFR4を特異的に阻害できる2-アミノキナゾリン誘導体を見出した。ここで、1つのアクリルアミド置換基をアミノ基のβ位置に導入すると、化合物BLU-9931を得た。BLU-9931は、そのアクリルアミド基がFGFR4のCys552に不可逆的に共有結合することができ、そのFGFR4阻害活性のIC50が3nmol/Lで、その選択性がFGFR1/2/3によりもそれぞれ297倍、184倍および50倍高いである。BLU-9931の構造をさらに最適化することにより、BLU-554は、選択性を有するFGFR4の共有結合不可逆阻害剤であることが判明し、2015年9月に肝細胞癌の治療の臨床試験における使用をFDAによって承認された。TAS-120およびPRN-1371もFGFRの共有結合阻害剤であり、FGFRの各サブタイプの酵素に対して、両方ともナノモルレベルの阻害活性を示す。
【0007】
ARQ-087は、FGFR4よりも、FGFR1、2および3に対して8倍以上の選択性を持つ非ATP競合阻害剤である。
【0008】
FGFRの変化は、骨髄腫、乳癌、胃癌、結腸癌、膀胱癌、膵臓癌および肝細胞癌などのさまざまなヒトの癌に関連している。FGFRの低分子阻害剤は、汎FGFRおよびFGFR4特異的低分子阻害剤に分けられる。FGFR1、FGFR2、およびFGFR3のキナーゼドメインの構造が類似しているため、現在開発されたこれらの3つのキナーゼに対する阻害剤の効果は、それほど相違しない。FGFR4は、特に肝臓癌において重要な役割を果たすことが報告されている(非特許文献3)。FGFR4キナーゼドメインは、FGFR1-3キナーゼドメインと多少異なるため、FGFR1-3を効果的に阻害できる多くの阻害剤は、FGFR4に対して効果がよくない。
【0009】
FGFR4キナーゼドメインに対する低分子阻害剤の選択性を改善し、副作用を軽減するために、H3 Biopharmaceutical社は、特許文献1(Pyrimidines as FGFR4 inhibitors and their preparation)、および特許文献2(N-Aryl-heteroarylamines as FGFR4 inhibitors and their preparation)で、FGFR4特異的阻害剤を開示した。そのうち、H3B-6527はFDA第I相臨床段階に入り、希少疾病用医薬品認定を取得した。その構造は次のとおりである。
【化1】
【0010】
H3B6527は、FGF19遺伝子増幅の細胞に対して強力な抗腫瘍活性を示し、且つマウスおよびサルの動物モデルにおいて胆汁酸に関連する悪影響はない。しかしながら、H3B-6527の単独投与は、癌細胞の増殖を制御するのみで、癌細胞を除去することはできない(非特許文献4)。また、重要な部位であるV550LまたはV550の変異に起因する薬剤耐性は、H3B-6527の有効性を低下または無効にする。従って、薬剤耐性につながるこれらの遺伝子変異の限界をどのように克服することが、FGFR4阻害剤の研究の次の段階の重点となる。
【0011】
FGFR4を標的とする阻害剤は多くの利点があり、特に優れた選択性と変異誘発に対する耐性がある。現在、市販の医薬品は非常に少ないため、FGFR4を標的とするこのような低分子阻害剤の発見は、より優れた治療効果および応用の可能性があると考えられる。FGFR4に対して高い選択性を持つ強力な新規阻害剤の開発は、臨床において早急に解決すべき問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】国際公開第2015057938号(A1)(公開日2015/04/23)
【文献】国際公開第2015057963号(A1)(公開日2015/04/23)
【非特許文献】
【0013】
【文献】Seiji Mori,Yoshikazu Takada,Med.Sci.2013,1,20-36
【文献】Wu Daichao et al.,Cancer Prevention and Treatment Research 2017,44(1):61-65
【文献】PLoS One,2012,Vol.7,36713
【文献】Cancer Res;77(24)December 15,2017
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明で提供される式(I)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、異性体、水和物、溶媒和物またはプロドラッグは、チロシンキナーゼFGFR4受容体の一部の変異体を含むチロシンキナーゼFGFR4によって引き起こされる疾患の治療または予防に使用できる。
【化2】
【0015】
式(I)において、
XはNまたはCHであり;
Lは、-O-、-S-、
【化3】
または-NR
5-であり、ここで、R
5とR
6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルであり;
R
1は
【化4】
であり;
R
2は、水素、ハロゲン、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3アルキルであり;
R
3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、カルボキシル、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
3ハロアルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、C
2-C
3アルキニル、C
2-C
3アルケニル、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3アルキルチオ、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキルアミノ、C
3-C
4シクロアルキルオキシ、C
3-C
4シクロアルキル置換C
1-C
3アルキル、シアノ置換C
1-C
3アルキル、カルバモイル置換C
1-C
3アルキル、または以下の基:
【化5】
からなる群から選択され、
qは1~3の整数であり、
R
sは、-H、C
1-C
3アルキルからなる群から選択され、R
pは、-H、C
1-C
3アルキルからなる群から選択され、
R’、R’’は、それぞれ独立して-H、C
1-C
3アルキル、C
3-C
4シクロアルキルであり、
R
7は、-H、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、アミノ、カルボキシル、C
1-C
3アルキル、C
3-C
4シクロアルキル、C
1-C
3アルコキシ、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキル置換アミノからなる群から選択され;
R
4は、-T
1-R
8または-T
2-R
9であり、
T
1は、
【化6】
であり、
T
2は、
【化7】
であり、
p1は0~4の整数であり、p2は2~4の整数であり、p3は0~1の整数であり、
R
pは、-HまたはC
1-C
3アルキルであり、
R
8は、-H、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
3ハロアルコキシ、C
3-C
6シクロアルキル、C
1-C
3アルコキシ、C
1-C
3アルキルチオ、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキルアミノ、または4~6員ヘテロ脂環式基からなる群から選択され、ここで、前記の4~6員ヘテロ脂環式基は、非置換のものであるか、或いはヒドロキシル、C
1-C
6アルキル、C
1-C
3アルコキシ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ヒドロキシル置換C
1-C
3アルキル、カルボキシル置換C
1-C
3アルキル、オキソ、C
1-C
3アルキル置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基、または-NR
10R
11からなる群から選択される1~2個の同一または異なる置換基で置換されたものであり、
R
10、R
11は、それぞれ独立して、-H、C
1-C
6アルキル、C
3-C
4シクロアルキル、ヒドロキシル置換C
2-C
6アルキル、シアノ置換C
1-C
2アルキル、C
1-C
3アルコキシ置換C
1-C
3アルキル、C
1-C
3アルキルチオ置換C
1-C
3アルキル、C
1-C
3ハロアルキル、メチルスルホニル置換C
1-C
3アルキル、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキルアミノ置換C
1-C
3アルキル、C
1-C
3アルキル置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基からなる群から選択されるか、或いは、R
10、R
11は、それらが結合している窒素原子とともに、4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、ここで、前記の4~6員ヘテロ脂環式基は、非置換のものであるか、或いは-H、ヒドロキシル、オキソ、ハロゲン、C
1-C
3アルコキシ置換C
1-C
3アルキル、C
1-C
3アルキルスルホニル、シアノ、アミノ、C
1-C
3アシル、C
1-C
3アルキル、モノ-またはジ-C
1-C
3アルキルアミノ、ヒドロキシル置換C
2-C
3アルキル、C
1-C
3アルコキシからなる群から選択される1~2個の同一または異なる置換基で置換されたものであり、
前記の4~6員ヘテロ脂環式基は、N、OまたはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含み;
R
9は、-H、C
1-C
6アルキル、C
3-C
6シクロアルキル、4~6員ヘテロ脂環式基からなる群から選択され、ここで、前記の4~6員ヘテロ脂環式基は、非置換のものであるか、或いはヒドロキシル、C
1-C
3アルキル、C
1-C
3アルコキシ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニルからなる群から選択される1~2個の同一または異なる置換基で置換されたものであり、
R
9における4~6員ヘテロ脂環式基は、N、OまたはSから選択される1~2個のヘテロ原子を含み;
且つ、R
1が
【化8】
であり、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化9】
である場合、R
2とR
3がともに水素であることはない。
【0016】
好ましい実施形態において、R2は、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシである。
【0017】
好ましい実施形態において、R
3は、-H、-F、-Cl、-Br、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エチニル、エテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化10】
からなる群から選択され、
qは2~3の整数であり、
R
sは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、
R’、R’’は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチルからなる群から選択され、
R
7は、-H、-F、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノからなる群から選択される。
【0018】
より好ましい実施形態において、R
3は、-H、-F、-Cl、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、カルバモイル(NH
2CO-)、メチルスルホニルからなる群から選択される。
好ましい実施形態において、R
4は-T
1-R
8であり、
T
1は
【化11】
からなる群から選択され、
p1は0~3の整数であり、p2は2~3の整数であり;
R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8は、-H、F、-Cl、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、イソプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化12】
からなる群から選択され、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-F、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、または-NR
15R
16であり、
R
14は、-H、-F、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化13】
であり、ここで、R
17は、-H、-F、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2は、それぞれ独立してH、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化14】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択される。
【0019】
より好ましい実施形態において、R
4は-T
1-R
8であり
T
1は、
【化15】
からなる群から選択され、
p1は0であり、p2は2~3の整数であり;
R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化16】
からなる群から選択され、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-NR
15R
16であり、
R
14は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化17】
であり、ここで、R
17は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2は、それぞれ独立してH、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化18】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択される。
【0020】
より好ましい実施形態において、R
4は
【化19】
であり、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-NR
15R
16であり、
R
s1、R
s2はHであり、
R
15、R
16は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化20】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロからなる群から選択される。
【0021】
本発明の一態様によれば、式(I)で表される化合物、その異性体、水和物、溶媒和物、その薬学的に許容される塩およびそのプロドラッグを提供する。
【化21】
【0022】
式(I)において、
XはNまたはCHであり;
Lは、-O-、-S-、
【化22】
または-NR
5-であり、ここで、R
5とR
6は、それぞれ独立して水素、メチル、エチル、プロピル、またはイソプロピルであり;
R
1は
【化23】
であり;
R
2は、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシであり;
R
3は、-H、-F、-Cl、-Br、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エチニル、エテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化24】
からなる群から選択され、
qは2~3の整数であり、
R
sは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され、
R’、R’’は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、シクロブチルからなる群から選択され、
R
7は、-H、-F、ヒドロキシル、シアノ、カルボキシル、アミノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノからなる群から選択され;
R
4は-T
1-R
8であり、
T
1は、
【化25】
からなる群から選択され、
p1は0~3の整数であり、p2は2~3の整数であり;
R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8は、-H、F、-Cl、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、イソプロピル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化26】
からなる群から選択され、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-F、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、または-NR
15R
16であり、
R
14は、-H、-F、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化27】
であり、ここで、R
17は、-H、-F、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2は、それぞれ独立して-H、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化28】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択され、
且つ、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化29】
である場合、R
2とR
3がともに水素であることはない。
【0023】
好ましい実施形態において、Lが-O-であり、且つR4が4-エチル-ピペラジン-1-イルである場合、R2とR3がともに水素であることはない。
【0024】
より好ましい実施形態では、XはNであり;
Lは-O-であり;
R
1は
【化30】
であり;
R
2は、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシであり;
R
3は、-H、-F、-Cl、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、カルバモイル(NH
2CO-)、メチルスルホニルからなる群から選択され;
R
4は-T
1-R
8であり、
T
1は、
【化31】
からなる群から選択され、
p1は0であり、p2は2~3の整数であり;
R
pは、-H、メチル、エチルからなる群から選択され;
R
8は、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、または以下の基:
【化32】
からなる群から選択され、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-NR
15R
16であり、
R
14は、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、
【化33】
であり、ここで、R
17は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルであり、
R
s1、R
s2は、それぞれ独立して、H、メチルからなる群から選択され;
R
15、R
16は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化34】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロ、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、メトキシ、エトキシからなる群から選択され;
且つ、R
4が4-エチル-ピペラジン-1-イルであり、Lが-O-または
【化35】
である場合、R
2とR
3がともに水素であることはない。
【0025】
より好ましい実施形態では、XはNであり;
Lは-O-であり;
R
1は
【化36】
であり;
R
2は、-H、-F、-Cl、メチル、またはメトキシであり;
R
3は、-H、-F、-Cl、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、N-メチル-N-エチルアミノ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、カルバモイル(NH
2CO-)、メチルスルホニルからなる群から選択され;
R
4は
【化37】
であり、
R
12は、-H、-F、メチル、エチルであり、
R
13は、-H、-NR
15R
16であり、
R
s1、R
s2はHであり、
R
15、R
16は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、シアノメチル、シアノエチル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、イソプロポキシエチル、イソプロポキシプロピル、シクロプロピル、シクロブチル、ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノプロピル、ジエチルアミノエチル、ジエチルアミノプロピル、メチルエチルアミノエチル、メチルエチルアミノプロピル、フルオロエチル、フルオロプロピル、メチルチオエチル、メチルチオプロピル、エチルチオエチル、エチルチオプロピル、イソプロピルチオエチル、イソプロピルチオプロピル、メチルスルホニルエチル、メチルスルホニルプロピル、エチルスルホニルエチル、エチルスルホニルプロピル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル、オキセタン-3-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルであるか、或いは、R
15、R
16は、それらが結合している窒素原子とともに、以下の基:
【化38】
からなる群から選択される置換または非置換の4~6員ヘテロ脂環式基を形成し、
R
18は、-H、メチル、エチル、ホルミル、アセチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、メチルスルホニル、エチルスルホニルからなる群から選択され、
R
19とR
20は、それぞれ独立して、-H、メチル、エチル、ヒドロキシル、シアノ、フルオロからなる群から選択される。
【0026】
本発明の一部の実施形態において、前記化合物の薬学的に許容される塩は、前記化合物の、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、イセチオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルアミノスルホン酸塩、サリチル酸塩、ヘキソン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、クロロプロカイン塩、コリン塩、ジエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および亜鉛塩から選択される1種以上である。
【0027】
本発明の他の局面は、チロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患の治療のための医薬品の調製における、式(I)で表される化合物、その異性体、水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、またはプロドラッグの使用に関する。ここで、前記のチロシンキナーゼFGFR4に関連する疾患または自己免疫疾患としては、眼底疾患、眼球乾燥症、乾癬、白斑、皮膚炎、円形脱毛症、関節リウマチ、結腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、クローン病、アテローム性動脈硬化、肺線維症、肝線維症、骨髄線維症、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、白血病、胃癌、肝臓癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、鼻咽頭癌、食道癌、脳腫瘍、B細胞およびT細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、胆管癌肉腫、胆管癌が挙げられる。
【0028】
本発明の他の局面は、本発明の式(I)で表される化合物、その異性体、水和物、溶媒和物、薬学的に許容される塩、またはプロドラッグと、1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0029】
本発明の一部の実施形態において、この医薬組成物は、1種以上の他の治療剤をさらに含んでも良い。
【0030】
さらに、本発明は、必要とする患者(ヒトまたは他の哺乳動物、特にヒト)に、式(I)で表される化合物またはその塩を治療有效量で投与することを含む、チロシンキナーゼFGFR4によって媒介される疾患または病症を治療する方法に関する。前記のチロシンキナーゼFGFR4によって媒介される疾患または病症には、前記のものを含む。
【0031】
発明の詳細な説明
特に明記しない限り、本発明において、次の用語(明細書および請求の範囲を含む)は、以下に示す定義を有する。本発明において、特に明記しない限り、「または」或いは「および」の使用は、「及び/又は」を意味する。さらに、例えば、「含む」、「含有する」および「有する」のような用語および他の形態は、限定的なものではない。本明細書で使用されるセクションの見出しは、整理を目的にしたものであり、前記のトピックを制限するものではない。
【0032】
特に明記しない限り、アルキルは、所定の数の炭素原子を有する飽和直鎖または分岐鎖炭化水素基を表す。C1-C6アルキルという用語は、1~6個の炭素原子を含むアルキル部分を表し、同様に、C1-C3アルキルは、1~3個の炭素原子を含むアルキル部分を表す。例えば、C1-C6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、3-(2-メチル)ブチル、2-ペンチル、2-メチルブチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-ヘキシルおよび2-メチルペンチルなどを表す。
【0033】
「アルキル」のような置換基用語が他の置換基用語と組み合わせて使用される場合、例えば、「C1-C3アルコキシで置換されたC1-C3アルキル」または「ヒドロキシルで置換されたC2-C6アルキル」という用語において、この接続置換基の用語(例えばアルキル)は、接続点が前記の接続置換基を介している二価部分を含む。「C1-C3アルコキシで置換されたC1-C3アルキル」の例には、メトキシメチル、メトキシエチルおよびエトキシプロピルなどが含まれるが、これらに限定されない。「ヒドロキシルで置換されたC2-C6アルキル」の例には、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、およびヒドロキシイソプロピルが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
アルコキシは、前述の直鎖または分岐アルキル基と-O-からなるアルキル-O-基(例えば、メトキシ、エトキシなど)である。同様に、アルキルチオは、前述の直鎖または分岐アルキル基と-S-からなるアルキル-S-基(例えば、メチルチオ、エチルチオなど)である。
【0035】
アルキルおよびアルキニルは、直鎖または分岐アルケニル/アルキニルを含み、用語C2-C3アルケニルまたはC2-C3アルキニルは、少なくとも1つのアルケニルまたはアルキニルを有する直鎖または分岐鎖のC2-C3炭化水素基を表す。
【0036】
「ハロゲン化C1-C6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を含むアルキル部分の1つ以上の炭素原子上に、同じであっても異なっていてもよい1つ以上のハロゲン原子を有する基を表す。「ハロゲン化C1-C6アルキル」の例には、-CF3(トリフルオロメチル)、-CCl3(トリクロロメチル)、1,1-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチルおよびヘキサフルオロイソプロピルなどが含まれ得るが、これらに限定されない。同様に、「ハロゲン化C1-C6アルコキシ」という用語は、ハロゲン化C1-C6アルキルと-O-とからなるハロアルキル-O-基(例えば、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシなど)を表す。
【0037】
「C1-C3アシル」という用語は、ホルミル(-CHO)、アセチル(CH3CO-)、プロピオニル(C2H5CO-)を含む。
【0038】
「シクロアルキル」は、所定の数の炭素原子を含む非芳香族の飽和環状炭化水素基を表す。例えば、「(C3-C6)シクロアルキル」という用語は、3~6個の環炭素原子を有する非芳香族環状炭化水素環を表す。例示的な「(C3-C6)シクロアルキル」には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。
【0039】
「アリール」という用語は、6~12個の炭素環原子を含み、少なくとも1つの芳香環を有する、芳香族単環式または二環式炭化水素原子団を含む基または部分を表す。「アリール」の例は、フェニル、ナフチル、インデニルおよびインダニル(indanyl)である。一般に、本発明の化合物において、好ましくは、アリール基はフェニル基である。
【0040】
本発明で使用される「4~6員ヘテロ脂環式基」という用語は、特に明記しない限り、N、O、Sから選択される1~2個のヘテロ原子および炭素原子からなる非置換または置換の安定した4~6員単環式飽和環系を表す。ここで、ヘテロ原子N、Sは、任意に酸化され、また、ヘテロ原子Nは、任意に四級アンモニウム化されていてもよい。このようなヘテロ環の例として、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、1,3-ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3- オキサチオラニル、1,3-オキサチアニル、1,3-ジチアニル、1,4-オキサチオラニル、1,4-オキサチアニル、1,4-ジチアニル、モルホリニル、チオモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「カルボニル」という用語は、-C(O)-基を指す。「ハロゲン」および「ハロ」という用語は、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素の置換基を表す。「オキソ」は、二重結合を有する酸素部分を表す。例えば、炭素原子に直接結合すると、カルボニル部分(C=O)を形成する。「ヒドロキシ」は、-OH原子団を表す。本明細書で使用される「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0042】
「それぞれ独立して」という用語は、複数の可能な置換基から1つ以上の置換基が選択される場合、それらの置換基は同じであっても異なっていてもよいことを意味する。
【0043】
式(I)で表される化合物、異性体、結晶形またはプロドラッグ、およびそれらの薬学的に許容される塩が、溶媒和の形態および非溶媒和の形態の両方で存在してもよいことは明らかである。例えば、溶媒和の形態は水和物形態であってもよい。本発明は、溶媒和の形態および非溶媒和の形態の両方を含む。
【0044】
本明細書において、「異性体」という用語は、同じ分子式を有する異なる化合物を指し、立体異性体および互変異性体などの様々な異性体形態を含む。「立体異性体」は、空間における原子の配置のみが異なる異性体である。本明細書に記載される一部の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含み、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学配置に基づいて(R)-または(S)-として定義される他の立体異性体がある。本発明の化学物質、医薬組成物、および方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、および中間混合物を含むこれらの可能な異性体のすべてを含むことが意図される。光学活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンまたはキラル試薬を使用して調製するか、従来の技術を使用して分割することができる。化合物の光学活性は、任意の適切な方法によって分析し、他の異性体に対するある立体異性体の優位性を決定することができる。上記の方法は、キラルクロマトグラフィーおよび偏光分析を含むが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の化合物の個々の異性体(または異性体が濃化した混合物)は、当業者に知られている方法を使用して分割することができる。例えば、このような分割は、(1)ジアステレオマー塩、複合体または他の誘導体を形成すること;(2)例えば酵素による酸化または還元のような立体異性体特異的試薬との選択的反応をすること;または、(3)例えばキラル担体(例えば、キラルリガンドが結合したシリカなど)またはキラル溶媒の存在下のようなキラル環境で気液クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーをすること、により実施される。当業者は、所望の立体異性体が上記の分離方法の1つによって別の化学物質に変換される場合、所望の形態を遊離するためにさらなる工程が必要であることを理解する。あるいは、特異的立体異性体は、光学活性試薬、基質、触媒または溶媒を使用する不斉合成によって、または不斉変換によって一方のエナンチオマーを他方に変換することにより合成される。
【0046】
本発明の化合物がエチレン性二重結合を含む場合、特に明記しない限り、それは、この化合物が様々なシス異性体またはトランス異性体を含むことを意味する。
【0047】
「互変異性体」は、互変異性化によって互いに変換することができる構造的に異なる異性体である。「互変異性化」は、異性化の一形態であり、プロトン互変異性化を含み、酸塩基化学のサブセットと見なすことができる。「プロトン互変異性化」は、結合レベルの変換を伴うプロトンの移動に関し、一般的に、単結合と、隣接する二重結合との交換である。互変異性化が可能である場合(例えば、溶液中で)、互変異性体の化学平衡に到達できる。互変異性化の例としては、ケト-エノール互変異性化が挙げられる。
【0048】
活性成分としての本発明の化合物、およびその調製方法は、ともに本発明に含まれる。また、一部の化合物の結晶形は、結晶多形として存在する可能性があり、このような形態も本発明に含まれる。さらに、一部の化合物は、水(即ち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成してもよく、このような溶媒和物も本発明の範囲内に含まれる。
【0049】
本発明化合物は、遊離体として治療に使用しても良く、または適切な場合、薬学的に許容される塩または他の誘導体そして治療に使用しても良い。本明細書において、「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明化合物の有機塩および無機塩を意味し、ヒトおよび動物に適しており、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、合理的な利益/リスク比を有する。アミン塩、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、および他のタイプの化合物の薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。このような塩は、本発明の化合物と適切な遊離塩基または酸と反応させることによって形成される。塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸などの有機酸から形成される塩、或いはイオン交換法などの当技術分野で周知の方法を使用して得られる塩を含むが、これらに限定されない。他の薬学的に許容される塩として、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-イセチオン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルペルプロピオネート、リン酸塩、ピクリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカノエートなどが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩として、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。他の薬学的に許容される塩には、適切な無毒のアンモニウム、4級アンモニウム、およびハロゲンイオン、水酸基、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基、硝酸基、低級アルキルスルホン酸基、アリールスルホン酸基などを使用して形成されたアミンカチオンが含まれる。
【0050】
さらに、本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで本発明の式(I)で表される化合物に変換することができる化合物を意味する。この変換は、プロドラッグの血中での加水分解または血液や組織での酵素による親化合物への変換によって影響を受ける。
【0051】
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されている式(I)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩;キナーゼ阻害剤(低分子、ポリペプチド、抗体など)、免疫阻害剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗生物質、または抗血管過増殖の化合物から選択される他の薬物;および、任意の薬学的に許容される担体、アジュバントまたは賦形剤を含む。
【0052】
本発明の化合物は、単独で使用してもよく、1つ以上の本発明の他の化合物または1つ以上の他の薬剤と併用してもよい。併用の場合、治療薬は、同時投与または異なる時間での逐次投与をするように処方されるか、または前記の治療薬は、単一の組成物として投与される。前記の「併用療法」とは、最も優れた効果を達成する目的で、各薬剤の同時投与または各薬剤の逐次投与をすることで、本発明の化合物と別の薬剤と併用することを指す。同時投与は、同時送達の剤形、および各化合物の別々の剤形が含まれる。したがって、本発明の化合物の投与は、例えば、癌の治療に使用される放射線療法または細胞増殖阻害剤、細胞毒性剤、他の抗癌剤などの追加療法のような当技術分野で既知の他の治療法と同時に使用して、癌の症状を改善することができる。本発明において、投与順序は限定されない。本発明の化合物は、他の抗癌剤または細胞毒性剤の前に、同時に、または後に投与することができる。
【0053】
本発明の医薬成分を調製するために、その活性成分としての式(I)で表される1つ以上の化合物またはその塩を、医薬担体と緊密に混合することは、従来の医薬製剤技術に従って行われる。ここで、担体は、異なる投与形式(例えば、経口投与または非経口投与)に設計された製剤の形態に応じて、多種多様な形態で使用される。適切な薬学的に許容される担体は、当技術分野でよく知られている。これらの薬学的に許容される担体の説明は、米国製薬協会と英国製薬協会が共同で発行する「薬学賦形剤ハンドブック」に記載されている。
【0054】
本発明の医薬組成物は、以下の形態であってもよい。例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、徐放形態、溶液または懸濁液などの経口投与に適したもの;透明な溶液、懸濁液、乳濁液などの非経口注射用のもの;または、軟膏、クリームなどの局所使用のためのもの;または、直腸投与用の坐剤がある。また、医薬成分は、正確な用量での単回投与のための単位剤形で提供されてもよい。医薬成分は、従来の医薬担体または賦形剤、および本発明に従って調製される活性成分としての化合物を含み、さらに、他の医学または薬学製剤、担体、アジュバントなども含んでもよい。
【0055】
治療用化合物は、ヒト以外の哺乳動物に投与することもできる。哺乳動物の薬物投与量は、動物の種およびその疾患状態またはその障害状態に依存する。治療用化合物は、カプセル、ボーラス、錠剤や液剤の形態で動物に投与することができる。また、治療用化合物は、注射または輸液によって動物に導入することもできる。これらの薬物の形態は、獣医診療の基準を満たす伝統的な方法で調製される。別の方法として、治療用化合物を動物の飼料と混合して動物に与えることができるので、濃縮された飼料添加物またはプレミックスは、通常の動物の飼料を混合することによって調製することができる。
【0056】
本発明の他の目的は、本発明の化合物を含む組成物を治療有効量で被験者に投与することを含む、必要とする被験者における癌の治療方法を提供することである。
【0057】
本発明の化合物は、FGFR4に対して、他の受容体よりも、特にFGFR1、FGFR2およびFGFR3などの他のFGF受容体よりも優れた選択性を有する。したがって、本発明は、選択的FGFR4阻害剤としての化合物に関する。
【0058】
FGFR4の阻害剤としての活性を考慮すると、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の式(I)で表される化合物は、FGFR4タンパク質の活性によって媒介される病状(例えば癌)および/またはFGFR4の阻害に対して応答性(特に治療的に有益な方式)を有する病状の治療に適している。特に、後述するような疾患または障害に適している。
【0059】
本発明の化合物は、癌の治療に用いられる。具体的に、本発明の化合物は、肝臓癌、乳癌、神経膠芽腫、前立腺癌、横紋筋肉腫、胃癌、卵巣癌、肺癌、および結腸癌からなる群から選択される適応症の治療に使用することができる。
【0060】
また、本発明の化合物は、FGFR4発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0061】
また、本発明の化合物は、KLB(β-klotho)発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0062】
また、本発明の化合物は、FGF19発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0063】
また、本発明の化合物は、FGFR4とKLB発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0064】
また、本発明の化合物は、FGFR4とFGF19発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0065】
また、本発明の化合物は、FGFR4、KLBおよびFGF19発現陽性を特徴とする固形悪性腫瘍の治療のために使用することができる。
【0066】
前記のFGFR4、KLBおよび/またはFGF19の任意の発現の陽性は、例えば、RT-qPCR、ウェスタンブロッティング、ELISA、および免疫組織化学などの当業者に公知の方法によって評価することができる。
【0067】
したがって、他の実施形態として、本発明は、疾患の治療における式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。他の実施形態において、上記の疾患は、FGFR4を阻害することによって治療できる疾患から選択される。他の実施形態において、上記の疾患は、上記のリストから選択される。ここで、肝臓癌に適する。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、治療上許容される量の式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、FGFR4の阻害によって治療できる疾患を治療する方法を提供する。別の実施形態において、上記の疾患は、上記のリストから選択される。ここで、肝臓癌に適する。
【0069】
したがって、他の実施形態として、本発明は、医薬品の製造における式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。他の実施形態において、上記の医薬品は、FGFR4を阻害することによって治療できる疾患の治療のために使用される。他の実施形態において、上記の疾患は、上記のリストから選択される。ここで、肝臓癌に適する。
【0070】
また、本発明は、対応する化合物の調製方法を提供する。後述の実施例に記載する方法を含む様々な合成方法を使用して、本明細書に記載の化合物を調製することができる。本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩、異性体または水和物は、以下の方法、有機化学合成の分野で知られている合成方法、または当業者の理解によるこれらの方法の変形を使用して合成することができる。好ましい方法には、以下の方法が含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の最終生成物は、以下のスキームによって調製することができ、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、X、Lは上記で定義したとおりである。
【化39】
【0072】
中間体Aにおいて、Qはハロゲン(好ましくは塩素)またはメチルスルホニル(スルフィニル)であってもよい。MがBocNH-である中間体Bシリーズの場合、工程1の反応では、酸触媒下、中性条件下または塩基性条件下で加熱して置換反応を行い、化合物(I’)を合成することができる。中間体AにおけるQが塩素の場合、化合物(I’)はBuchwaldカップリング反応によって合成し、次に、酸性条件下で処理して保護基tert-ブチルオキシカルボニルを除去し、さらに塩化アクリロイルと反応させて最終生成物(I)を合成することもできる。
【0073】
本発明の化合物の調製方法は、上記の各中間体の調製を含む。
ここで、中間体(B)の製造方法は、以下の通りである。
【化40】
【0074】
工程1:化合物(B2)を(Boc)2Oと反応させて化合物(B3)を得る。ここで、X’は、Cl、F、BrまたはIであってもよい。
【0075】
工程2:化合物(B3)をR4-H(アミンまたはアルコール)を塩基性または中性条件下で反応させて化合物(B4)を得る。X’がCl、BrまたはIである場合、Buchwaldカップリング反応によっても化合物(B4)を得ることができる。
【0076】
工程3:化合物(B4)を還元剤と反応させて中間体(B)を生成する。
【0077】
工程2に記載の塩基は、炭酸セシウム、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの無機塩基または有機塩基からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせであり、好ましくは、Buchwaldの条件は、Pd2(dba)3、XantPhosおよび炭酸セシウムの組み合わせである。
【0078】
工程3に記載の還元剤は、塩化第一スズ、水素ガスおよびパラジウム炭素の組み合わせ、水素ガスとラネーニッケルの組み合わせ、亜鉛粉末と酸の組み合わせ、鉄粉と酸の組み合わせなどの還元剤系からなる群から選択される。
【0079】
中間体(A)の製造方法の1つは、以下の通りである。
【化41】
【0080】
工程1:化合物(A2)を塩基の存在下でA1と置換反応させて(A3)を得る。
【0081】
工程2:化合物(A3)は、脱水剤条件下でアミドを脱水させ、化合物(A)を得る。
【0082】
本発明は、前記の反応の好ましい実施形態を提供する。
好ましくは、工程1において、前記の塩基は、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、水素化ナトリウム、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、およびn-ブチルリチウムなどの有機塩基または無機塩基からなる群から選択される1つまたは2つ以上の組み合わせである。
好ましくは、前記の脱水剤は、塩化ホスホリル、三塩化アルミニウム、五酸化リン、塩化リン(五塩化リンまたは三塩化リン)などからなる群から選択される。
【0083】
以下、本発明の目的、技術構成および利点をより明確にするために、本発明は、具体的な実施例と合わせてより詳細に説明する。本明細書に記載の具体的な実施例は、本発明の説明のみに使用され、本発明を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。実施例において、具体的な技術や条件が示されていない場合は、当該技術分野における文献または製品仕様書に記載されている技術または条件に従うものとする。使用される試薬または機器のメーカーを示さない場合、それらはすべて市販されている通常の製品である。本明細書で使用される「および/または」という用語は、1つまたは複数の関連する項目の任意およびあらゆる組み合わせを含む。本発明における一部の化合物の化合物名は、Chemdrawによって生成され、中国語に翻訳されている。
【発明を実施するための形態】
【0084】
1.化学試薬の供給源
反応溶媒は、Sinopharm Chemical Reagent社から提供された。
通常の化学原料は、Innochem、Energy、Macklin、J&K、PharmaBlockなどの供給業者によって提供された。
薄層クロマトグラフィーシリカゲルプレート(厚さ0.5mm、1mm、200×200mm)は、Yantai Xinnuo Chemical社から提供された。
シリカゲル(200~300メッシュ)は、Sinopharm Chemical Reagent社から提供された。
【0085】
2.化学略語
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
NMP:N-メチルピロリドン
Pd(OAc)2:酢酸パラジウム
Pd2(dba)3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム
Xantphos:4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
Binap:2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル
(Boc)2O:二炭酸ジ-tert-ブチル
【0086】
3.中間体の調製
中間体Aシリーズ
中間体A1. 2-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル
【化42】
【0087】
工程1). 2-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドの合成
2,4-ジクロロピリミジン-5-カルボキサミド(1.9g,10mmol)、2-イソプロポキシアニリン(1.65g,11mmol)およびトリエチルアミン(2g,20mmol)をそれぞれDMF(10mL)に加え、室温で撹拌しながら2時間反応させ、水でスラリー化し、濾過し、乾燥させ、白色固体として生成物2.5gを得た。収率82%。MS:307[M+H]+;
【0088】
工程2). 2-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリルの合成
2-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボキサミド(307mg,1mmol)を塩化ホスホリル(2mL)に加え、120℃に加熱し、撹拌しながら5時間反応させ、濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、黄色がかった固体として生成物220mgを得た。収率76%。MS:289[M+H]+。
【0089】
上記工程1の2-イソプロポキシアニリンの代わりに、異なる置換基を有するアニリン系化合物を使用し、中間体A1の反応工程と同様にして反応させ、以下の中間体A2~A23を得た。中間体A2~A23の構造、名称および質量スペクトルデータを以下の表1に示す。
【0090】
【0091】
中間体Bシリーズ
中間体B1. (2-シアノ-5-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの調製
【化43】
【0092】
工程1)N,N-ジ-tert-ブトキシカルボニル-2-ニトロ-5-フルオロアニリンの調製
5-フルオロ-2-ニトロアニリン(1.6g,10mmol)、(Boc)2O(4.7g,22mmol)およびDMAP(0.37g,3mmol)をそれぞれジクロロメタン溶液に加え、室温で一晩撹拌し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、移動相:石油エーテル/酢酸エチル=10/1)により精製し、明黄色固体として生成物3.3gを得た。MS:357[M+H]+。
【0093】
工程2)(5-(4-エチルピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)カルバミン酸tert-ブチルの調製
N,N-ジ-tert-ブトキシカルボニル-2-ニトロ-5-フルオロアニリン(3.3g,9.2mmol)およびエチルピペラジン(3mL)をそれぞれDMFに加え、120℃に加熱し、8時間反応させ、冷却し、濃縮し、カラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色固体3.1gを得た。MS:351[M+H]+。
【0094】
工程3)(2-アミノ-5-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの調製
(5-(4-エチルピペラジン-1-イル)-2-ニトロフェニル)カルバミン酸tert-ブチル(3.1g,8.9mmol)をPd/Cのメタノール溶液に加え、水素ガスで2回置換し、室温で撹拌しながら3時間反応させ、濾過し、濃縮し、ジクロロメタンでスラリー化し、濾過して白色固体として2.5gを得た。MS:321[M+H]+。
【0095】
上記工程1の5-フルオロ2-ニトロアニリンの代わりに、5-フルオロ2-ニトロアニリン系化合物を使用し、異なる塩基で置換された工程2のエチルピペラジンと反応させ、中間体B1の反応と同様の工程により、以下の中間体B2~B56を得た。中間体B2~B56の構造、名称および質量スペクトルデータを以下の表2に示す。
【0096】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0097】
4.具体的な実施例の調製
実施例1:N-(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド
【化44】
【0098】
工程1:(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの合成
中間体2-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-5-カルボニトリル(160mg,0.55mmol)、(2-アミノ-5-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチル(155mg,0.5mmol)およびトリフルオロ酢酸(触媒量、20μl)を、sec-ブタノールに加え、加熱しながら12時間反応させ、冷却し、濃縮し、飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、有機相を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、白色固体として生成物240mgを得た。収率86%。MS: 559[M+H]+。
【0099】
工程2:N-(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)アクリルアミドの合成
(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリミジン-2-イル)アミノ)-5-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチル(120mg,0.2mmol)を、トリフルオロ酢酸(1mL)およびジクロロメタン(2mL)の溶媒に加え、室温で撹拌しながら3時間反応させ、濃縮し、灰色の油状物を得た。それを、乾燥テトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、氷水浴の条件下で、塩化アクリロイル(28mg,0.3mmol)をゆっくりと滴下し、さらに撹拌しながら0.5時間反応させた。水でクエンチし、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相で乾燥させ、濃縮し、分取シリカゲルプレート(移動相:メタノール/ジクロロメタン体積比8/100)により精製して、白色固体として生成物45mgを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 9.66(s,1H),8.97(s,1H),8.47(s,1H),8.24(s,1H),7.94(s,1H),7.33(d,J=25.8Hz,2H),7.08(s,2H),6.82(d,J=9.1Hz,1H),6.72(s,1H),6.50(dd,J=16.9,10.2Hz,1H),6.24(dd,J=17.0,2.0Hz,1H),5.78-5.70(m,1H),4.74-4.47(m,1H),3.14(s,4H),2.47(d,J=5.2Hz,4H),2.24(s,3H),1.33-1.21(m,6H).MS:513[M+H]+。
【0100】
以下の表の化合物は、対応する中間体を使用して、実施例1の調製方法を参照して調製した。実施例2~81で調製した化合物の構造、名称、ならびに水素NMRおよび質量分析の特性データを以下の表3に示す。
【0101】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【0102】
実施例82:N-(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド
【化45】
【0103】
工程1)6-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ニコチンアミドの調製
氷塩浴の条件下で、2-イソプロポキシアニリン(300mg,2mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、HMDSNa(2N,1mL)をゆっくりと滴下し、さらに撹拌しながら0.5時間反応させた。次に、2,4-ジクロロ-5-ニコチンアミド(190mg,1mmol)のテトラヒドロフラン(1mL)溶液を滴下し、氷水浴の条件下で撹拌しながら一晩反応させた。水でクエンチし、スラリー化し、濾過し、淡黄色固体を得た230mg。収率75%。MS: 306 [M+H]+。
【0104】
工程2)6-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ニコチノニトリルの調製
6-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ニコチンアミド(220mg,0.8mmol)の塩化ホスホリル(2mL)溶液を加熱し、還流しながら3時間反応させ、冷却し、濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、ジクロロメタンで抽出し、有機相で乾燥させ、濃縮し、黄色固体160mgを得た。MS: 288 [M+H]+。
【0105】
工程3)(2-((5-シアノ-4 -((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの調製
6-クロロ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ニコチノニトリル(120mg,0.4mmol)、(2-アミノ-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチル(135mg,0.4mmol)、Pd2(dba)3(10mg)、Xantphos(10mg)および炭酸ナトリウム(110mg,1mmol)を、ジオキサン(5mL)および水(0.5mL)を入れた封管中に溶解した。反応系をアルゴンガスで置換した後、120℃で加熱しながら10時間反応させ、冷却し、濾過し、濾液を濃縮した後、そのまま分取薄層プレート(1mm、シリカゲル)により精製して、浅黄色固体として生成物104mgを得た。MS: 586 [M+H]+。
【0106】
工程4):(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチル(88mg,0.15mmol)を、トリフルオロ酢酸(1mL)を含むジクロロメタン(3mL)溶液に加え、室温で1時間撹拌し、濃縮し、無水テトラヒドロフラン(2mL)を添加し、氷水浴の条件下で塩化アクリロイル(40μl)を滴下し、さらに0.5時間撹拌した。水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、有機相で乾燥させ、濃縮し、分取薄層プレート(0.5mm、シリカゲルを装填した)により精製(溶出系Vジクロロメタン/メタノール=11/1)して、白色固体として生成物33mgを得た。1H NMR(400MHz,DMSO-d6) δ 9.53(s,1H),8.23(s,1H),8.18(s,1H),7.80(s,1H),7.30(d,J=2.7Hz,1H),7.26-7.05(m,4H),6.93(td,J=7.5,1.5Hz,1H),6.74(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),6.45(dd,J=17.0,10.1Hz,1H),6.20(dd,J=17.0,2.0Hz,1H),5.85(s,1H),5.72(dd,J=10.1,2.0Hz,1H),4.56(p,J=6.1Hz,1H),3.66(d,J=12.4Hz,2H),2.71-2.60(m,2H),2.53(s,1H),2.37(s,6H),1.89(d,J=11.1Hz,2H),1.54(dd,J=13.8,10.0Hz,2H),1.20(d,J=6.0Hz,6H).MS:540[M+H]+。
【0107】
実施例83:N-(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド
【化46】
実施例82と同様の操作により、実施例82の工程3)の(2-アミノ-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの代わりに、(2-アミノ-5-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルを使用して反応させ、目的生成物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 9.53(s,1H),8.21(s,1H),8.16(s,1H),7.80(s,1H),7.29(d,J=2.8Hz,1H),7.25-7.05(m,4H),6.93(td,J=7.5,1.5Hz,1H),6.72(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),6.45(dd,J=16.9,10.2Hz,1H),6.20(dd,J=17.0,2.1Hz,1H),5.83(s,1H),5.72(dd,J=10.1,2.0Hz,1H),4.61-4.50(m,1H),3.63(d,J=12.3Hz,2H),3.35(br,4H),2.65(td,J=12.2,2.2Hz,2H),2.55-2.50(m,1H),2.41-2.21(m,4H),2.16(s,3H),1.83(d,J=12.3Hz,2H),1.47(dd,J=11.7,3.6Hz,2H),1.20(d,J=6.1Hz,6H).MS:595[M+H]
+。
【0108】
実施例84:N-(2-((5-シアノ-4-((2-イソプロポキシフェニル)アミノ)ピリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド
【化47】
実施例82と同様の操作により、実施例82の工程3)の(2-アミノ-5-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルの代わりに、(2-アミノ-5-(4-エチルピペラジン-1-イル)フェニル)カルバミン酸tert-ブチルを使用して反応させ、目的生成物を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d
6) δ 9.55(s,1H),8.22-8.14(m,2H),7.80(s,1H),7.31-7.05(m,5H),6.93(td,J=7.5,1.5Hz,1H),6.74(dd,J=8.9,2.8Hz,1H),6.45(dd,J=17.0,10.1Hz,1H),6.20(dd,J=17.0,2.0Hz,1H),5.85(s,1H),5.72(dd,J=10.1,2.0Hz,1H),4.56(p,J=6.0Hz,1H),3.08(t,J=5.0Hz,4H),2.50(br,4H),2.38(q,J=7.2Hz,2H),1.20(d,J=6.0Hz,6H),1.04(t,J=7.2Hz,3H).MS:526[M+H]
+。
【0109】
実験例1.
FGFR4キナーゼの活性およびFGFR4 V550L突然変異キナーゼの活性に対する低分子化合物の阻害実験。実験方法は次の通りである。
1)化合物の希釈:
96ウェルプレートaでは、化合物をDMSOで3倍に連続希釈し、11個の濃度を作成した。なお、12番目の濃度は純粋なDMSO溶液であった(陽性対照として)。新しい96ウェルプレートbでは、上記の溶液を超純水で25倍に希釈した(DMSO濃度は4%)。
2)化合物を384ウェルプレートに移す。
前記の96ウェルプレートbでは、超純水で希釈された化合物溶液を、384ウェルプレートの対応するウェルに移した。
3)4×キナーゼ溶液の添加:2.5μlの前記の4×キナーゼ溶液をマルチチャネルピペットで384ウェルプレートの対応する反応ウェルに移し、均一に混合し、室温で5分間予備反応させた。
4)2×基質/ATP混合液の添加:5μlの前記2×基質/ATP混合液をマルチチャネルピペットで384ウェルプレートの対応する反応ウェルに移した。
5)陰性対照:384ウェルプレートに陰性対照ウェルを設置した。ここで、各ウェルに、2.5μlの4×基質、2.5μlの4×酵素溶液、2.5μlの1×Kinase Assay Bufferおよび2.5μlの4%DMSOを含む超純水を添加した。
6)遠心分離し、均一に混合し、暗所、室温で2時間反応させた。
7)酵素反応の停止:
前記の4×停止溶液5μlを384ウェルプレートの対応するウェルに移し、混合物を遠心分離し、均一に混合し、室温で5分間反応させた。
8)呈色反応:
前記の4×検出溶液5μlを384ウェルプレートの対応するウェルに移し、混合物を遠心分離し、均一に混合し、室温で1時間反応させた。
9)384ウェルプレートをプレートリーダーに設置し、適切なプログラムを使用してシグナルを検出した。
10)IC50の解析:
ウェルの読み取り値=10000×EU665値/EU615値
阻害率=(陽性対照ウェルの読み取り値-実験ウェルの読み取り値)/(陽性対照ウェルの読み取り値-陰性対照ウェルの読み取り値)×100%
薬物濃度および対応する阻害率をGraphPad Prism 5に入力し、処理することによって、対応するIC50を算出した。
【0110】
FGFR4キナーゼの活性を阻害する分子のスクリーニングの実験条件:
反応系におけるFGFR4キナーゼの最終濃度は3.85nMであり、ATPの最終濃度は100μMであり、基質ULight(商標)-labeled JAK-1(tyr1023) Peptideの最終濃度は100nMであり、酵素反応の時間は2時間であった。
反応系における化合物の最高最終濃度は2.5μMであった。3倍連続希釈の後、合計11個の濃度を作成した。最低最終濃度は0.042nMであり、DMSO最終濃度は1%であった。
【0111】
FGFR4 V550Lキナーゼの活性を阻害する分子のスクリーニングの実験条件:
反応系におけるFGFR4 V550Lキナーゼの最終濃度は1nMであり、ATPの最終濃度は10μMであり、基質ULight(商標)-labeled PolyGTの最終濃度は100nMであり、酵素反応の時間は2時間であった。
反応系における化合物の最高最終濃度は2.5μMであった。3倍連続希釈の後、合計11個の濃度を作成した。最低最終濃度は0.042nMであり、DMSO最終濃度は1%であった。
【0112】
チロシンキナーゼFGFR4およびV550L突然変異を有するチロシンキナーゼFGFR4に対する本発明に開示される一部の化合物の阻害活性の測定結果を表4に示す。ここで、AはIC50が10nM以下であることを示し、BはIC50が10nM超、50nM以下であることを示し、CはIC50が50nM超、100nM以下であることを示し、DはIC50が100nM超、1000nM以下であることを示す。NTは、関連する値がないことを意味する。
【0113】
【0114】
実験例2.
細胞増殖に対する化合物の阻害を検出した。具体的な方法は次の通りである
1. 細胞を対数増殖期まで培養し、均一にピペッティングし、15mLの遠心管に移し、室温、1000rpmで4分間遠心分離した。
2. 上澄みを廃棄した。5mLの完全培地を添加し、均一にピペッティングし、10μLの細胞懸濁液を10μLの0.4%トリパンブルーと均一に混合し、セルカウンターでカウントし、生細胞の割合が90%を超えることを保証するようにした。
3. 表5に示される条件に従って、1ウェルあたり80μLの細胞懸濁液を96ウェルプレートに播種した。96ウェルプレートの外側の36ウェルに、細胞を添加せず、滅菌水のみを添加した。内側の60ウェルのみは細胞実験および対照に使用された。
4. 5×化合物希釈:化合物を4倍で連続希釈して、合計9個の濃度を作成した。完全培地で全体の80倍希釈した。得られた濃度は最終薬物濃度の5倍であり、DMSO濃度は1.25%であった。
5. 96ウェルプレートの各実験ウェルに、20μLの異なる濃度の対応する化合物を添加した。陽性および陰性対照ウェルに20μLの完全培地を加え、均一に混合した。各ウェルのDMSOの最終濃度は0.25%であった。
6. 72時間のインキュベーション後、10μLのCCK-8試薬を各ウェルに添加し、さらに37℃で1~2時間インキュベートし、450nmでOD値を読み取った。
7. 細胞生存率(%)=[(As-Ab)/(Ac-Ab)]*100%
As:実験ウェル(細胞を含む培地、CCK-8、化合物)
Ac:対照ウェル(細胞を含む培地、CCK-8)
Ab:ブランクウェル(細胞および化合物を含まない培地、CCK-8)
8. 数値をGraphpad Prism5ソフトウェアにインポートしてIC50を算出した。
【0115】
【0116】
Ba/F3 ETV6-FGFR4細胞およびBa/F3 ETV6-FGFR4-V550L細胞の増殖に対する本発明に開示される一部の化合物の阻害活性の測定結果を表6に示す。ここで、AはIC50が10nM以下であることを示し、BはIC50が10nM超、50nM以下であることを示し、CはIC50が50nM超、100nM以下であることを示し、DはIC50が100nM超、1000nM以下であることを示す。NTは、関連する値がないことを意味する。
【0117】
【0118】
本発明によって提供される生物学的実験データは、本発明の化合物が、FGFR4遺伝子変異(V550L、V550Mなど)による疾患を含む、FGFR4キナーゼの異常による疾患(固形腫瘍を含む原発性および転移性の癌を含む)の治療または予防に対して有用であることを示している。このような癌としては、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、膠芽腫、卵巣癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、黒色腫、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、白血病、胃癌、肝臓癌、消化管間質腫瘍、甲状腺癌、慢性顆粒球性白血病、急性骨髄性白血病、非ホジキンリンパ腫、鼻咽頭癌、食道癌、脳腫瘍、B細胞およびT細胞リンパ腫、リンパ腫、多発性骨髄腫、胆管癌肉腫、胆管癌が挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明の化合物は、1つまたは複数の他の治療法に耐性のある癌を治療することができる。本発明の化合物は、癌以外のFGFR4キナーゼ関連疾患の治療にも有用であり、このような疾患は、眼底疾患、乾癬、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化、肺線維症、肝線維症を含むが、これらに限定されない。本発明の化合物は、単剤療法または併用療法として使用することができ、複数の本発明化合物と併用し、または本発明化合物以外の他の医薬品と併用することができる。
【0119】
上記の実施形態は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者にとって、本発明の主旨から逸脱することなく、本発明の実施形態に対していくつかの改良や修正を行うこともできる。これらの改良や修正も本発明の保護範囲内であると見なされるべきである。