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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B65H5/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024514723
(86)(22)【出願日】2024-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2024008367
【審査請求日】2024-03-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392009342
【氏名又は名称】株式会社レヨーン工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 隆明
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-92650(JP,A)
【文献】特開2023-117421(JP,A)
【文献】特開2007-161362(JP,A)
【文献】特開平8-1824(JP,A)
【文献】特開2021-42044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 19/00-19/30
B65H 21/00-21/02
B65H 35/00-35/10
H01L 21/68
H05K 3/10-3/26
H05K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの除塵を行うための除塵装置であって、
前記ワークの表面に付着している塵埃を吸着する除塵ローラと、
前記除塵ローラに付着した前記塵埃を転写すると共に、所定長さ毎に切れ目を有する粘着テープを巻回している粘着テープロールを保持する粘着テープホルダと、
前記粘着テープロールにおける最外周の前記粘着テープの端部を検出するテープ端部検出機構と、
前記テープ端部検出機構の作動を制御する制御部と、
を備え、
前記テープ端部検出機構は、
保持フレームと、
前記保持フレームに取り付けられ、前記粘着テープロールにおける最外周の前記粘着テープの端部を検出する端部検出センサと、
前記保持フレームに取り付けられている検出用モータと、
前記保持フレームに回転自在に保持され、前記検出用モータから駆動力を与えられると共に、検出時には最外周の前記粘着テープの端部に当接状態で回転する端部検出ローラと、
前記端部検出ローラを最外周の前記粘着テープに接離させるローラ昇降シリンダと、
を有し、
前記制御部は、
最外周の前記粘着テープの更新タイミングであると判断した場合に、前記ローラ昇降シリンダを作動させて前記端部検出ローラを最外周の前記粘着テープに押し当て、
その押し当て状態で前記検出用モータを作動させて前記端部検出ローラを介して前記粘着テープロールを回転させ、
その回転状態で前記端部検出センサが最外周の前記粘着テープの端部を検出する、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
請求項1記載の除塵装置であって、
前記検出用モータは、ステッピングモータである、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項3】
請求項2記載の除塵装置であって、
使用済みの前記粘着テープを巻き取る巻取筒と、前記粘着テープロールから最外周の前記粘着テープを剥がすための剥がし用テープが巻回された剥がし用テープロールを保持する剥がしテープ保持筒と、前記剥がし用テープロールから引き出された前記剥がし用テープを前記粘着テープロールに向けて押し当てるための剥がし用ローラとを備える巻取カートリッジと、
前記巻取筒を回転させる駆動力を与える巻取モータと、
前記巻取カートリッジを昇降させるカートリッジ昇降機構と、
を備え、
前記制御部は、
前記端部検出センサで最外周の前記粘着テープの端部が検出された場合、当該端部から所定だけ離れた待機位置に前記端部を位置させた後に前記検出用モータの駆動を停止し、
前記検出用モータの停止後、前記カートリッジ昇降機構を作動させて前記剥がし用ローラを介して、前記剥がし用テープを最外周の前記粘着テープに押し当て、
前記剥がし用テープの押し当て後に、前記ローラ昇降シリンダを作動させて、最外周の前記粘着テープに押し付けられている前記端部検出ローラを、当該粘着テープから離す向きに移動させ、
この移動後に、前記巻取モータを駆動させて、前記剥がし用ローラに押し当てられている前記剥がし用テープが、最外周の前記粘着テープの端部を超える超過位置まで、前記粘着テープロールを回転させ、
前記超過位置を超えた後に、前記巻取モータの作動を継続させつつ、前記カートリッジ昇降機構を作動させて、前記巻取カートリッジを前記粘着テープロールから離す位置に向けて移動させて前記粘着テープを剥がす更新動作を行う、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項4】
請求項3記載の除塵装置であって、
前記カートリッジ昇降機構の作動によって、最外周の前記粘着テープに前記剥がし用テープが押し当てられて、最外周の前記粘着テープが前記粘着テープロールから剥がされた場合に、当該粘着テープの送りの先端を検出する剥離開始検出センサと、
前記巻取筒に向けて、前記剥がし用テープと共に送られている前記粘着テープの送り方向の終端を検出する剥離終了検出センサと、
を備え、
前記制御部は、
前記巻取カートリッジを前記粘着テープロールから離す位置に向けて移動させている場合において、前記粘着テープの送り方向の先端を前記剥離開始検出センサによって検出した際に、正常な剥離動作が実行されていると判断して、前記巻取モータの駆動を継続するように制御し、
前記剥離終了検出センサが、前記粘着テープの送りの後端を検出した後に、前記巻取モータの回転を停止させる、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の除塵装置であって、
前記除塵ローラ、前記粘着テープホルダ、および前記テープ端部検出機構が1つのクリーンユニットを構成するとしたときに、前記クリーンユニットは、複数設けられていて、
前記制御部は、複数のうちのいずれかの前記クリーンユニットの前記更新動作は、他の前記クリーンユニットの前記更新動作に対して、異なるタイミングで実行するように制御する、
ことを特徴とする除塵装置。
【請求項6】
ワークの表面の塵埃を吸着する除塵ローラから転写される前記塵埃が転写されると共に、所定長さ毎に切れ目を有する状態で巻回されている粘着テープの更新を行うための粘着テープ更新方法であって、
最外周の前記粘着テープの端部は、テープ端部検出機構で検出され、このテープ端部検出機構は、
保持フレームと、
前記保持フレームに取り付けられ、前記粘着テープを巻回している粘着テープロールにおける最外周の前記粘着テープの端部を検出する端部検出センサと、
前記保持フレームに取り付けられている検出用モータと、
前記保持フレームに回転自在に保持され、前記検出用モータから駆動力を与えられると共に、検出時には最外周の前記粘着テープの端部に当接状態で回転する端部検出ローラと、
前記端部検出ローラを最外周の前記粘着テープに接離させるローラ昇降シリンダと、
を有するものであり、
最外周の前記粘着テープの更新タイミングが到来した場合に、前記ローラ昇降シリンダを作動させて前記端部検出ローラを最外周の前記粘着テープに押し当てるローラ押し当てステップと、
前記端部検出ローラの最外周の前記粘着テープへの押し当て状態で、前記検出用モータを作動させて前記端部検出ローラを介して前記粘着テープが巻回された粘着テープロールを回転させる回転ステップと、
前記粘着テープロールの回転状態で前記端部検出センサが最外周の前記粘着テープの端部を検出する検出ステップと、
を実行することを特徴とする粘着テープ更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに付着した塵埃を除去するための除塵装置および粘着テープ更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板や半導体基板等のような各種のワークに付着した塵埃を取り除くために、除塵装置が用いられている。この除塵装置は、ワークに接触する粘着ロールと、粘着ロールに接触する粘着テープロールとを具備していて、粘着ロールに付着している塵埃は、粘着テープに転写される。
【0003】
ところで、粘着テープを作業者の人手で剥がす場合には、作業者由来の塵埃が入り込んで、ワークに付着してしまう虞がある。このため、例えば特許文献1には、粘着テープロール(T1R)を収納している巻取カートリッジ(100)を備える除塵装置(10)について開示されている。この除塵装置(10)においては、粘着テープロール(T1R)の最外周の粘着テープ(T1)に対し、バネ部材(232)の付勢力によって、剥がし用ローラ(222)に掛け回された剥がし用テープ(T2)を押し当てるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-015968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、剥がし用テープロール(T2R)の保持(保持工程)や、剥がし用テープ(T2)の先端側を、巻取筒200に貼り付ける(貼付工程)といった、除塵装置(10)のセッティング方法については開示されている。しかしながら、特許文献1では、最外周の粘着テープ(T1)の端部(段差)を、どのようにして精度良く検出するのかについて、何ら開示していない。
【0006】
また、特許文献1は、剥がし用テープ(T2)を、更新すべき(剥がすべき)粘着テープ(T1)に対して、具滝的に各部をどのように駆動させて、どのように制御するのかにつき、そのメカニズムも含めて開示していない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、更新対象の粘着テープの端部を精度よく検出可能な除塵装置および粘着テープ更新方法を提供することを目的とする。好ましくは、更新対象の粘着テープを、粘着テープロールから良好に剥がす動作を実行可能な除塵装置および粘着テープ更新方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、ワークの除塵を行うための除塵装置であって、ワークの表面に付着している塵埃を吸着する除塵ローラと、除塵ローラに付着した塵埃を転写すると共に、所定長さ毎に切れ目を有する粘着テープを巻回している粘着テープロールを保持する粘着テープホルダと、粘着テープロールにおける最外周の粘着テープの端部を検出するテープ端部検出機構と、テープ端部検出機構の作動を制御する制御部と、を備え、テープ端部検出機構は、保持フレームと、保持フレームに取り付けられ、粘着テープロールにおける最外周の粘着テープの端部を検出する端部検出センサと、保持フレームに取り付けられている検出用モータと、保持フレームに回転自在に保持され、検出用モータから駆動力を与えられると共に、検出時には最外周の粘着テープの端部に当接状態で回転する端部検出ローラと、端部検出ローラを最外周の粘着テープに接離させるローラ昇降シリンダと、を有し、制御部は、最外周の粘着テープの更新タイミングであると判断した場合に、ローラ昇降シリンダを作動させて端部検出ローラを最外周の粘着テープに押し当て、その押し当て状態で検出用モータを作動させて端部検出ローラを介して粘着テープロールを回転させ、その回転状態で端部検出センサが最外周の粘着テープの端部を検出する、ことを特徴とする除塵装置が提供される。
【0009】
[2]また、本発明の他の側面は、上述の[1]の発明において、検出用モータは、ステッピングモータである、としても良い。
【0010】
[3]また、本発明の他の側面は、上述の[2]の発明において、使用済みの粘着テープを巻き取る巻取筒と、粘着テープロールから最外周の粘着テープを剥がすための剥がし用テープが巻回された剥がし用テープロールを保持する剥がしテープ保持筒と、剥がし用テープロールから引き出された剥がし用テープを粘着テープロールに向けて押し当てるための剥がし用ローラとを備える巻取カートリッジと、巻取筒を回転させる駆動力を与える巻取モータと、巻取カートリッジを昇降させるカートリッジ昇降機構と、を備え、制御部は、端部検出センサで最外周の粘着テープの端部が検出された場合、当該端部から所定だけ離れた待機位置に端部を位置させた後に検出用モータの駆動を停止し、検出用モータの停止後、カートリッジ昇降機構を作動させて剥がし用ローラを介して、剥がし用テープを最外周の粘着テープに押し当て、剥がし用テープの押し当て後に、ローラ昇降シリンダを作動させて、最外周の粘着テープに押し付けられている端部検出ローラを、当該粘着テープから離す向きに移動させ、この移動後に、巻取モータを駆動させて、剥がし用ローラに押し当てられている剥がし用テープが、最外周の粘着テープの端部を超える超過位置まで、粘着テープロールを回転させ、超過位置を超えた後に、巻取モータの作動を継続させつつ、カートリッジ昇降機構を作動させて、巻取カートリッジを粘着テープロールから離す位置に向けて移動させて粘着テープを剥がす更新動作を行う、ようにしても良い。
【0011】
[4]また、本発明の他の側面は、上述の[3]の発明において、カートリッジ昇降機構の作動によって、最外周の粘着テープに剥がし用テープが押し当てられて、最外周の粘着テープが粘着テープロールから剥がされた場合に、当該粘着テープの送りの先端を検出する剥離開始検出センサと、巻取筒に向けて、剥がし用テープと共に送られている粘着テープの送り方向の終端を検出する剥離終了検出センサと、を備え、制御部は、巻取カートリッジを粘着テープロールから離す位置に向けて移動させている場合において、粘着テープの送り方向の先端を剥離開始検出センサによって検出した際に、正常な剥離動作が実行されていると判断して、巻取モータの駆動を継続するように制御し、剥離終了検出センサが、粘着テープの送りの後端を検出した後に、巻取モータの回転を停止させる、ようにしても良い。
【0012】
[5]また、本発明の他の側面は、上述の[3]または[4]の発明において、除塵ローラ、粘着テープホルダ、およびテープ端部検出機構が1つのクリーンユニットを構成するとしたときに、クリーンユニットは、複数設けられていて、制御部は、複数のうちのいずれかのクリーンユニットの更新動作は、他のクリーンユニットの更新動作に対して、異なるタイミングで実行するように制御する、ようにしても良い。
【0013】
[6]また、上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によると、ワークの表面の塵埃を吸着する除塵ローラから転写される塵埃が転写されると共に、所定長さ毎に切れ目を有する状態で巻回されている粘着テープの更新を行うための粘着テープ更新方法であって、最外周の粘着テープの端部は、テープ端部検出機構で検出され、このテープ端部検出機構は、保持フレームと、保持フレームに取り付けられ、粘着テープを巻回している粘着テープロールにおける最外周の粘着テープの端部を検出する端部検出センサと、保持フレームに取り付けられている検出用モータと、保持フレームに回転自在に保持され、検出用モータから駆動力を与えられると共に、検出時には最外周の粘着テープの端部に当接状態で回転する端部検出ローラと、端部検出ローラを最外周の粘着テープに接離させるローラ昇降シリンダと、を有するものであり、最外周の粘着テープの更新タイミングが到来した場合に、ローラ昇降シリンダを作動させて端部検出ローラを最外周の粘着テープに押し当てるローラ押し当てステップと、端部検出ローラの最外周の粘着テープへの押し当て状態で、検出用モータを作動させて端部検出ローラを介して粘着テープが巻回された粘着テープロールを回転させる回転ステップと、粘着テープロールの回転状態で端部検出センサが最外周の粘着テープの端部を検出する検出ステップと、を実行することを特徴とする粘着テープ更新方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、更新対象の粘着テープの端部を精度よく検出可能な除塵装置および粘着テープ更新方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置の一部の構成を透過的に示す側面図である。
図2図1に示す除塵装置の概略的な構成を示す図である。
図3図1に示す除塵装置に収納される巻取カートリッジおよび巻取カートリッジを昇降させる上カートリッジ昇降機構の構成を示す斜視図である。
図4図1に示す除塵装置が備えるテープ端部検出機構と粘着テープロールを示す斜視図である。
図5図3に示す巻取カートリッジの構成を示す斜視図であり、開口側から見た状態を示す図である。
図6図3に示す巻取カートリッジの構成を示す断面図である。
図7図3に示す巻取カートリッジが有する後蓋パネルおよび巻取押さえ機構を切断した状態を示す斜視図である。
図8図3に示す巻取カートリッジが有する巻取筒の構成を示す斜視図である。
図9図1に示す除塵装置における、粘着テープの更新の際の動作について説明する図であり、(A)はステップS01、(B)はステップS02、(C)はステップS03,S04を示す図である。
図10図1に示す除塵装置における、粘着テープの更新の際の動作について説明する図であり、(A)はステップS05,S06、(B)はステップS07、(C)はステップS08を示す図である。
図11図1に示す除塵装置における、粘着テープの更新の際の動作について説明する図であり、(A)はステップS09、(B)はステップS10、(C)はステップS11を示す図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る除塵装置の主要部分の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置10、および除塵装置10における粘着テープ更新方法について、図面に基づいて説明する。
【0017】
<除塵装置10の全体的な構成について>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る除塵装置10の一部の構成を透過的に示す側面図である。図2は、除塵装置10の概略的な構成を示す図である。本実施の形態に係る除塵装置10は、ワークWの表面に付着した塵埃を除去するための装置である。なお、ワークWとしては、たとえば、電子部品が実装されるプリント基板、液晶パネル等の基板、あるいは基板の原材料となるシート状部材等が挙げられるが、これら以外の平面状の部材がワークWであっても良い。
【0018】
本実施の形態の除塵装置10は、ワークWを、たとえば図1の左方から右方に向かって搬送しながら、ワークWの表面に付着した塵埃を除去する。ただし、これとは逆に、図1の右方から左方に向かってワークWを搬送しながら、ワークWの表面に付着した塵埃を除去しても良い。この除塵装置10は、筐体部20と、搬送機構25と、クリーンユニット30と、巻取モータ60と、上カートリッジ昇降機構70Tと、下カートリッジ昇降機構70Bと、テープ端部検出機構80と、剥離開始検出センサS1と、剥離終了検出センサS2と、制御部90と、巻取カートリッジ収納部21に収納される巻取カートリッジ100と、を主要な構成要素としている。
【0019】
<筐体部20>
筐体部20は、金属製の支柱といった構造部材が組み合わされると共に、その支柱の間に必要に応じて外壁が取り付けられることで、構成されている。この筐体部20は、搬送機構25、クリーンユニット30や制御部90等の各種の構成を支持している。
【0020】
また、筐体部20には、巻取カートリッジ収納部21が設けられている。巻取カートリッジ収納部21は、巻取カートリッジ100を収納する部分である。図1に示すように、巻取カートリッジ収納部21は、筐体部20において、ワークWを挟んで上下にそれぞれ設けられている。具体的には、ワークWよりも上側に位置する巻取カートリッジ収納部21は、筐体部20のうち、テープユニット50よりも、さらに上側に設けられている。また、ワークWよりも下側に位置する巻取カートリッジ収納部21は、筐体部20のうち、テープユニット50よりも、さらに下側に設けられている。
【0021】
<搬送機構25>
また、搬送機構25は、ワークWを搬送する駆動力を与える部分である。搬送機構25としては、図1に概略的に示されるモータ26と、そのモータ26からの駆動力を伝達させる不図示の伝達機構と、伝達機構からの駆動力の伝達によって外部から搬送されるワークWを搬送する搬送ローラ27と、を有している。
【0022】
なお、モータ26は、制御部90の指令により、回転駆動させられる部分である。なお、本実施の形態では、伝達機構として、マグネット式のカップリング部、マグネット式のギヤおよびギヤ輪列を有している。しかしながら、伝達機構は、これらには限られず、マグネット式のカップリング部やマグネット式のギヤに代えて、歯車式のギヤやベルトを用いるようにしても良い。
【0023】
また、図2においては、搬送ローラ27は複数設けられているが、モータ26は、いずれの搬送ローラ27に駆動力を与えても良い。また、モータ26は、除塵ローラ41に駆動力を伝達しても良い。
【0024】
<クリーンユニット30>
また、クリーンユニット30は、ワークWから塵埃を除去するための部分であり、除塵ロールユニット40と、テープユニット50と、後述するテープ端部検出機構80とを主要な構成要素としている。除塵ロールユニット40は、複数の除塵ローラ41を有している。図2に示す構成では、除塵ローラ41は、ワークWを挟んで上下方向(Z方向)に対称な位置に配置されている。そのため、ワークWの上下両面を、上記の除塵ローラ41で除塵可能となっている。なお、図1および図2に示す構成では、除塵ローラ41は、ワークWの上面側と、ワークWの下面側のそれぞれに2つずつ配置されている。しかしながら、除塵ローラ41は、ワークWの上面側と、ワークWの下面側のそれぞれに1つずつ配置しても良く、3つ以上配置しても良い。
【0025】
図2に示すように、除塵ローラ41は、回転軸41aと、粘着ラバー層41bとを有している。粘着ラバー層41bは、回転軸41aの外側に、軸方向において所定の長さ範囲に亘るように設けられている。この粘着ラバー層41bは、塵埃を吸着可能な粘着ラバーを材質として形成されている。なお、粘着ラバー層41bは、その表面側に吸着層(図示省略)が設けられていて、その吸着層は、シリコンゴム等のような、塵埃の吸着性に優れた材質から構成されている。なお、吸着層の下層側には、たとえばニトリルゴムやカーボンゴム等のような導電層を設けるように構成しても良い。
【0026】
また、テープユニット50は、粘着テープホルダ51を備えている。粘着テープホルダ51は、粘着テープロールT1Rの両端側を回転自在に保持する部分である。粘着テープホルダ51は、テープ昇降シリンダ52によって、上下方向に昇降可能となっている。なお、テープ昇降シリンダ52としては、たとえばエアシリンダが用いられていて、このテープ昇降シリンダ52の駆動により、除塵ローラ41に対して接離する方向に粘着テープロールT1Rを移動させることが可能となっている。なお、テープ昇降シリンダ52は、粘着テープT1を介して除塵ローラ41をワークWに向けて移動させることも可能となっている。
【0027】
なお、粘着テープホルダ51は、粘着テープロールT1Rを保持するのみとしても良い(すなわち、粘着テープロールT1Rは、ワークWの送り込みによって従動的に回転させられるものとしても良い)。しかしながら、駆動モータ等の駆動源により、粘着テープロールT1Rを回転させる駆動力を与えられる構成としても良い。また、粘着テープロールT1Rを駆動させる駆動モータに代えて、直径が一定の状態を維持できる除塵ローラ41を駆動モータによって回転させる構成としても良い。
【0028】
ここで、粘着テープT1の表面は、粘着面となっている。粘着面は、上述した除塵ローラ41に吸着されている塵埃を保持可能となっている。このため、粘着テープT1の粘着面の塵埃に対する粘着力は、除塵ローラ41の塵埃に対する粘着力よりも大きくなっている。それにより、除塵ローラ41から粘着テープT1の粘着面へと、塵埃を良好に転写可能となっている。なお、シート状の粘着テープT1には、切れ目が存在してシート状に切り離すことを可能としていると共に、その粘着テープT1はロール状に巻回されて、粘着テープロールT1Rを構成している。このため、粘着テープロールT1Rから粘着テープT1を引き出した後に切れ目で切断することで、汚れた粘着テープT1を、汚れていない粘着テープT1へと容易に更新することができる。
【0029】
なお、粘着テープT1の切れ目は、軸方向に対して平行ではなく傾斜している。このため、粘着テープロールT1Rにおいて、最外周に位置する粘着テープT1の端部(段差)も、軸方向に対して傾斜している。しかしながら、粘着テープT1の切れ目は、軸方向に対して平行であっても良い。
【0030】
<巻取モータ60>
巻取モータ60は、後述する巻取筒200に対して駆動力を与えるためのモータである。この巻取モータ60の回転軸には、不図示の連結部材が連結されていて、この連結部材が挿通孔121dに差し込まれて、継手蓋202の連結凹部202aに嵌まり込むことで、巻取モータ60の駆動力を巻取筒200に伝達可能としている。
【0031】
<上カートリッジ昇降機構70Tおよび下カートリッジ昇降機構70B>
図3は、巻取カートリッジ100および巻取カートリッジ100を昇降させる上カートリッジ昇降機構70Tの構成を示す斜視図である。上カートリッジ昇降機構70Tは、上側の粘着テープロールT1Rよりも上方に位置する巻取カートリッジ100を上下方向に移動させる部分であり、上記の筐体部20の所定部位に配置されている。この上カートリッジ昇降機構70Tは、昇降シリンダ71と、連結板72とを備えている。なお、昇降シリンダ71は、カートリッジ昇降シリンダに対応する。
【0032】
昇降シリンダ71は、シリンダ(符号省略)内に導入されるエアによってピストン(符号省略)を駆動するアクチュエータである。この昇降シリンダ71のピストン上端には、連結板72が取り付けられている。連結板72は、巻取カートリッジ100を昇降させるために、巻取カートリッジ100と昇降シリンダ71とを連結するための部材である。なお、本実施の形態では、連結板72は、巻取カートリッジ100のフランジ部130cに連結されている。それにより、連結板72を巻取カートリッジ100の上端よりも下方に位置させることができ、上カートリッジ昇降機構70Tの上方への突出寸法を低減している。
【0033】
また、下カートリッジ昇降機構70Bは、下側の粘着テープロールT1Rよりも下方に位置する巻取カートリッジ100を上下方向に移動させる部分であり、上記の筐体部20の所定部位に配置されている。この下カートリッジ昇降機構70Bは、昇降シリンダ71と、連結板72とを備えているが、これらの構成は、上述した上カートリッジ昇降機構70Tと同様であるため、詳細な構成を示す図面および説明を省略する。
【0034】
なお、上カートリッジ昇降機構70Tと下カートリッジ昇降機構70Bは、カートリッジ昇降機構に対応する。
【0035】
また、本実施の形態では、下カートリッジ昇降機構70Bの連結板72は、巻取カートリッジ100のフランジ部130cに連結されている。それにより、連結板72を巻取カートリッジ100の上端よりも上方に位置させることができ、下カートリッジ昇降機構70Bの下方への突出寸法を低減している。
【0036】
<テープ端部検出機構80>
次に、テープ端部検出機構80について説明する。図4は、テープ端部検出機構80と粘着テープロールT1Rを示す斜視図である。なお、図4では、粘着テープロールT1Rは、その一部のみを示している。図4に示すように、本実施の形態の除塵装置10は、テープ端部検出機構80を備えている。このテープ端部検出機構80は、固定プレート81と、昇降シリンダ82と、連結板83と、保持フレーム84と、モータ85と、駆動軸86と、端部検出ローラ87と、端部検出センサ88と、を備えている。
【0037】
固定プレート81は、テープ端部検出機構80を筐体部20の所定位置に取り付けるための部材である。また、昇降シリンダ82は、上記の昇降シリンダ71と同様に、シリンダ(符号省略)内に導入されるエアによってピストン(符号省略)を駆動するアクチュエータである。なお、昇降シリンダ82は、ローラ昇降シリンダに対応する。
【0038】
この昇降シリンダ82のピストンの突出端部には、連結板83が取り付けられている。連結板83は、テープ端部検出機構80を昇降させるべく、保持フレーム84と昇降シリンダ82とを連結するための部材である。
【0039】
また、保持フレーム84は、モータ85、駆動軸86、端部検出ローラ87および端部検出センサ88を保持するためのフレーム部材である。すなわち、保持フレーム84には、取付金具(符号省略)を介してモータ85や端部検出センサ88が取り付けられている。また、保持フレーム84は、軸支用部材(符号省略)を介して駆動軸86の他端側を軸支している。なお、軸支用部材には駆動軸86を挿通させる孔部が設けられると共に、この孔部にはベアリングが配置されている。
【0040】
また、モータ85は、端部検出ローラ87を回転させる駆動力を与えるモータであり、本実施の形態では、ステッピングモータを用いている。したがって、端部検出ローラ87の回転数を入力するパルス数に応じて正確に制御することが可能となっている。また、モータ85がステッピングモータであるため、通電状態での停止時の自己保持力により、端部検出ローラ87の停止状態を保持可能となっている。それにより、端部検出ローラ87が最外周の粘着テープT1に接触している場合に、粘着テープロールT1Rの回転による位置ずれを防止可能となっている。なお、モータ85は、検出用モータに対応する。
【0041】
駆動軸86は、モータ85の出力軸に連結されていると共に、その端部側に端部検出ローラ87が取り付けられているシャフトである。また、端部検出ローラ87は、最外周の粘着テープT1に接触するローラ部材である。この接触により、端部検出ローラ87は、モータ85の駆動力に際して、粘着テープロールT1Rを回転させる駆動力を与えることが可能となっている。また、上記の接触により、端部検出ローラ87は、モータ85の停止時の自己保持力によって、粘着テープロールT1Rが回転しない位置保持状態とすることが可能となっている。
【0042】
また、端部検出センサ88は、最外周の粘着テープT1のエッジを検出するためのセンサである。この端部検出センサ88は、例えば、投受光方式の光学センサが用いられている。かかる光の投受光によって、端部検出センサ88は、最外周の粘着テープT1との間の距離を測定する。すなわち、モータ85の駆動による粘着テープロールT1Rの回転状態で、最外周の粘着テープT1のエッジと、それよりも内周の粘着テープT1との間の端部(段差)を端部検出センサ88が通過した際に、検出される距離が変動する。その距離の変動をもって、最外周の粘着テープT1のエッジを端部検出センサ88が通過したか否かを検出することができる。
【0043】
以上のようなテープ端部検出機構80では、保持フレーム84に対し、駆動軸86、端部検出ローラ87および端部検出センサ88等が支持されている。このため、端部検出ローラ87が最外周の粘着テープT1に存在する凹凸に追従して上下動した際に、同時に端部検出センサ88も上下動する。このため、端部検出ローラ87に対して端部検出センサ88が別箇に取り付けられている場合と比較して、検出誤差を低減可能となっている。
【0044】
<剥離開始検出センサS1および剥離終了検出センサS2について>
次に、剥離開始検出センサS1および剥離終了検出センサS2について説明する。剥離開始検出センサS1は、上カートリッジ昇降機構70Tおよび下カートリッジ昇降機構70Bの駆動によって、最外周の粘着テープT1に剥がし用テープT2が押し当てられて、最外周の粘着テープT1が粘着テープロールT1Rから剥がされた場合に、その粘着テープT1の送りの先端を検出するためのセンサである。
【0045】
この剥離開始検出センサS1は、取付金具(符号省略)を介して、巻取カートリッジ100と粘着テープロールT1Rの間における筐体部20の所定部位に取り付けられている。この剥離開始検出センサS1も、上記の端部検出センサ88と同様に、例えば、投受光方式の光学センサが用いられている。
【0046】
剥がし用テープT2が最外周の粘着テープT1に押し当てられると、粘着テープロールT1Rから最外周の粘着テープT1が剥がされる。そして、剥がされた粘着テープT1が剥がし用テープT2と共に後述する巻取筒200に向かって送られると、粘着テープT1の先端が剥離開始検出センサS1の検出部位を通過する。その際に、剥離開始検出センサS1は、粘着テープT1が粘着テープロールT1Rから剥がされたことを検出可能となっている。
【0047】
また、剥離終了検出センサS2は、巻取筒200に向けて、剥がし用テープT2と共に送られている粘着テープT1の送り方向の終端を検出するためのセンサである。この剥離終了検出センサS2は、取付金具(符号省略)を介して、上記の剥離開始検出センサS1よりも上部側の筐体部20の所定部位に取り付けられている。
【0048】
なお、この所定部位とは、本実施の形態では、巻取カートリッジ100の外壁パネル130のスリットと対向する部位である。また、剥離終了検出センサS2も、上記の端部検出センサ88と同様に、例えば、投受光方式の光学センサが用いられている。そのため、上記の外壁パネル130のスリットを介して、剥離終了検出センサS2からの光の投受光を行えることで、巻取カートリッジ100の内部において、粘着テープT1が巻取筒200に巻き取られたか否かを検出可能となっている。
【0049】
なお、本実施の形態の除塵装置10には、粘着テープロールT1Rが空になっているか否か(粘着テープT1が残存しているか否か)を検出するための空検出センサS3も設けられている(図9等参照)。
【0050】
<制御部90について>
制御部90は、各検出センサからの検出信号に基づいて、または所定の制御プログラムに基づいて、モータ26、巻取モータ60またはモータ85の駆動を制御することができる。また、制御部90は、所定の移動タイミングが到来した際に、上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70Bを作動させて、剥がし用テープT2を最外周の粘着テープT1に押し当てたり、押し当てられた状態から剥がし用テープT2を持ち上げることで最外周の粘着テープT1を粘着テープロールT1Rから剥がすことを可能としている。また、制御部90は、所定の移動タイミングが到来した際に、テープ昇降シリンダ52を作動させて、粘着テープT1をワークWに押し当てたり、粘着テープT1をワークWから退避させることを可能としている。
【0051】
<巻取カートリッジ100について>
図5は、巻取カートリッジ100の構成を示す斜視図であり、開口160側から見た状態を示す図である。図6は、巻取カートリッジ100の構成を示す断面図である。なお、図5および図6は、巻取カートリッジ収納部21から巻取カートリッジ100が取り出された状態の、巻取カートリッジ100を示している。
【0052】
図3図5および図6に示すように、巻取カートリッジ100は、ハウジング110と、巻取筒200と、剥がしテープ保持筒210と、貼付機構220と、巻取押さえ機構240とを主要な構成要素としている。
【0053】
ハウジング110は、巻取カートリッジ100の全体を支持すると共に、巻取筒200で巻き取った粘着テープT1を収納したり、剥がしテープ保持筒210に保持されている剥がし用テープT2を収納する部材である。このため、ハウジング110は、巻取筒200で巻き取った粘着テープT1を外部から隔離することで、その粘着テープT1から塵埃が何らかの拍子に脱落して外部環境に飛散するのを防止可能となっている。また、ハウジング110は、剥がし用テープT2に塵埃が付着するのを防止可能となっている。
【0054】
このハウジング110は、側板部材120と、外壁パネル130と、前蓋パネル140と、後蓋パネル150とを主要な構成要素としている。
【0055】
側板部材120は、巻取カートリッジ100の長手方向(Y方向)における両端側に配置されている部材である。側板部材120は、たとえばPOM(ポリアセタール樹脂)のような、耐衝撃性に優れ、摩擦係数が小さく自己潤滑性に優れている材質から形成されているが、このような特質を備えている材質であれば、側板部材120は、POM以外の材質(たとえばフッ素樹脂等)から形成されても良い。
【0056】
側板部材120は、巻取軸支部121と、剥がし軸支部122と、貼付軸支部123とを有している。巻取軸支部121は、巻取筒200の端部を支持するための部分であり、第2軸支部に対応する。この巻取軸支部121は、側板部材120における肉厚部分(他の部分よりも肉厚に設けられている部分)を略U字形状に窪ませた溝状の部分である。したがって、巻取軸支部121の一端側は、開口された状態となっていて、この開口から巻取筒200の端部を挿入可能となっている。
【0057】
この巻取軸支部121には、略U字形状の溝の内壁から、その略U字形状の溝の内側に向かって突出する抜止突起(不図示)が設けられていて、巻取筒200の端部が抜けるのを防止している。なお、巻取軸支部121には、ベアリング等が配置されて巻取筒200の回転抵抗を低減できることが好ましい。
【0058】
また、図5に示すように、側板部材120には、当該側板部材120を貫く挿通孔121dが設けられている。この挿通孔121dには、巻取モータ60の連結部材が差し込み可能となっている。それにより、挿通孔121dに差し込まれる連結部材を介して、巻取モータ60の駆動力を、巻取筒200に伝達可能となっている。
【0059】
また、剥がし軸支部122は、剥がしテープ保持筒210の端部を支持するための部分である。この剥がし軸支部122も、側板部材120における肉厚部分124(他の部分よりも肉厚に設けられている部分)を略U字形状に窪ませた溝状の部分である。したがって、剥がし軸支部122の一端側も、開口された状態となっていて、この開口から剥がしテープ保持筒210の端部を挿入可能となっている。
【0060】
この剥がし軸支部122には、略U字形状の溝の内壁から、その略U字形状の溝の内側に向かって突出する抜止突起(不図示)が設けられていて、剥がしテープ保持筒210の端部が抜けるのを防止している。なお、剥がし軸支部122には、上記の挿通孔121dに対応する挿通孔は設けられていないが、挿通孔を設けるようにしても良い。
【0061】
また、側板部材120には、貼付軸支部123が設けられている。貼付軸支部123は、貼付機構220の剥がし用支持軸221を支持する部分であるが、この剥がし用支持軸221を回転自在とはせずに回転不能な状態で支持している。
【0062】
この貼付軸支部123は、側板部材120における肉厚部分を略U字形状に窪ませた溝状の部分であり、その貼付軸支部123の一端側は開口されている。しかしながら、上記の巻取軸支部121および剥がし軸支部122とは異なり、抜止突起に相当する突起状の部分は設けられていない。また、貼付軸支部123の溝幅は、上述した巻取軸支部121の溝幅および剥がし軸支部122の溝幅よりも小さく設けられているが、貼付軸支部123の溝幅は、巻取軸支部121の溝幅および剥がし軸支部122の溝幅と同程度としても良い。
【0063】
この貼付軸支部123には、貼付機構220の、後述する押圧機構230が配置されている。具体的には、貼付軸支部123には、摺動溝123aと、軸孔123bとが設けられている。摺動溝123aは、押圧機構230を構成するバネ部材232が配置されていて、その一端部を摺動溝123aの底部で受け止めることが可能となっている。また、軸孔123bには、バネ軸231が自由に摺動可能な状態で挿通され、摺動溝123aの内部にバネ軸231が突出しているが、バネ軸231の頭部231aは、摺動溝123aとは反対側の壁面に受け止められている。
【0064】
また、側板部材120には、取手125が設けられている。取手125は、作業者が手の指を差し込むことが可能な長孔状の部分であり、側板部材120を貫くように設けられている。
【0065】
また、図3図5および図6に示すように、ハウジング110を構成する外壁パネル130は、金属板が折り曲げられた部材であり、当該外壁パネル130の長手方向の両端側はそれぞれ側板部材120に固定されている。この外壁パネル130は、上面部130a、側面部130bおよびフランジ部130cを有するように折り曲げられている。上面部130aは、ハウジング110において後述する開口とは反対側に位置する壁面である。側面部130bは、上面部130aから略90度をなして折り曲げられている壁面である。
【0066】
また、フランジ部130cは、上面部130aと略平行となるように側面部130bから略90度をなして折り曲げられている部分であるが、その幅は、上記の上面部130aおよび側面部130bよりも小さく設けられている。上記の折り曲げにより、フランジ部130cは、側面部130bよりも搬送方向の前側に向かって突出している。かかる側面部130bおよびフランジ部130cの存在により、作業者の手を取手125から容易に差し込むことが可能な凹形状がハウジング110に存在している。
【0067】
また、フランジ部130cには、上述した上カートリッジ昇降機構70Tの連結板72、または下カートリッジ昇降機構70Bの連結板72が連結されている。この連結により、上カートリッジ昇降機構70Tまたは下カートリッジ昇降機構70Bが作動した際に、巻取カートリッジ100を上下方向に昇降させることが可能となっている。
【0068】
また、前蓋パネル140(蓋部材に対応)は、フランジ部130cに対して複数のヒンジH1を介して回動可能に取り付けられているパネル状の部材である。すなわち、前蓋パネル140は、ハウジング110の前側(X1側)に位置する開閉可能な蓋状の部材である。また、前蓋パネル140は、側板部材120に対して、ロック部材R1を介して閉じた状態をロック可能に取り付けられている。
【0069】
この前蓋パネル140は、図3および図5に示すような側面部140aと、ガイド斜面部140bとを有している。側面部140aは、上記の側面部130bに対して面一ではないが平行をなす壁面である。また、ガイド斜面部140bは、ワークWの搬送方向(X方向)において、前側(X1側)から後側(X2側)に向かうにつれて、徐々にワークWに近接するように傾斜している壁面であるが、後述する剥がし用ローラ222よりも下方側(Z2側)に突出しないように設けられている。
【0070】
図7は、後蓋パネル150および巻取押さえ機構240を切断した状態を示す斜視図である。図5に示すように、後蓋パネル150(蓋部材に対応)は、外壁パネル130の上面部130aの後側(X2側)に対して、複数のヒンジH2を介して回動可能に取り付けられているパネル状の部材である。すなわち、後蓋パネル150は、ハウジング110の後側(X2側)に位置する開閉可能な蓋状の部材である。また、後蓋パネル150は、側板部材120に対して、ロック部材R2を介して閉じた状態をロック可能に取り付けられている。
【0071】
この後蓋パネル150も、上記の前蓋パネル140と同様に、図3図5および図7に示す側面部150aを有していて、その側面部150aは、上面部130aに対して直交している。また、後蓋パネル150は、急斜面部150bを有している。急斜面部150bは、ガイド斜面部140bよりも水平方向に対してなす角度が大きく設けられている壁面である。かかる急斜面部150bの存在により、巻取カートリッジ100の搬送方向(X方向)における前後を区別可能としていると共に、巻取カートリッジ100の搬送方向(X方向)に沿う寸法(幅寸法)を小さくしている。
【0072】
この後蓋パネル150の側面部150aには、ロール支持部材241が取り付けられている。ロール支持部材241は、後述する巻取押さえ機構240を構成する部材であり、押さえローラ242を支持する部材である。また、前蓋パネル140と同様に、後蓋パネル150も、側板部材120に対して、ロック部材R2を介して閉じた状態をロック可能に取り付けられている。
【0073】
また、前蓋パネル140のガイド斜面部140bの端部と、後蓋パネル150の端部の間には、開口160が設けられている。開口160は、後述する剥がし用ローラ222およびこの剥がし用ローラ222に巻回されている剥がし用テープT2がハウジング110から突出する開口部分であると共に、粘着テープT1がハウジング110に収納されるための開口部分である。
【0074】
<巻取筒200について>
次に、巻取筒200について説明する。図8は、巻取筒200の構成を示す斜視図である。巻取筒200は、上記の粘着テープT1と後述する剥がし用テープT2を巻き取るための筒状の部材であり、上述した巻取軸支部121の軸受部121cに回転自在な状態で支持されている。この巻取筒200は、パイプ状部201を備えており、このパイプ状部201は、たとえば塩化ビニル樹脂等のような樹脂を材質としている。しかしながら、パイプ状部201は、たとえばアルミニウム系金属のような金属を材質としても良い。
【0075】
図8に示すように、パイプ状部201の両端側には、継手蓋202が取り付けられている。継手蓋202は、駆動モータからの駆動力を巻取筒200に伝達させるために取り付けられる蓋状の部材であり、パイプ状部201と一体的に回転するようにパイプ状部201に係止されている。
【0076】
継手蓋202には、連結凹部202aと、ガイド突起202bとが設けられている。連結凹部202aは、上述した巻取モータ60の連結部材が差し込まれる凹状または孔状の部分である。図8に示す構成では、連結凹部202aは2つ設けられているが、3つ以上設けるようにしても良い。
【0077】
また、ガイド突起202bは、隣り合う連結凹部202aの間に位置する突起状の部材であり、たとえば三角錐状のような斜面を有する形状に設けられている。したがって、巻取モータ60の連結部材が挿通孔121dを通過して連結凹部202aに向かって進行した際に、連結凹部202aから回転方向にずれた位置に進行してガイド突起202bに衝突すると、その連結部材か、または巻取筒200が連結部材の進行によって回転する。そのため、位置ずれを防止するためのセンサを設けなくても、連結部材を連結凹部202aに差し込むことが可能となっている。
【0078】
また、図6に示すように、剥がしテープ保持筒210は、剥がし用テープT2をロール状に巻回した剥がし用テープロールT2Rを保持する部分である。この剥がしテープ保持筒210の材質は、上記の巻取筒200のパイプ状部201と同様となっている。
【0079】
また、貼付機構220は、剥がしテープ保持筒210から送り出される剥がし用テープT2を、粘着テープロールT1Rに対し弾性的に押し付けるための機構である。この貼付機構220は、剥がし用支持軸221と、剥がし用ローラ222と、押圧機構230とを備えている。剥がし用支持軸221は、巻取カートリッジ100の長手方向(Y方向)に沿って遠心する長尺状の部材であるが、この剥がし用支持軸221は回転不能に設けられている。また、剥がし用支持軸221の両端側には、後述するバネ軸231のネジ山を捻じ込むためのネジ孔(図示省略)が形成されている。
【0080】
また、剥がし用ローラ222は、剥がし用支持軸221に対して軸受B1を介して回転可能に設けられているローラである。また、剥がし用ローラ222は、剥がし用テープT2が巻回された状態で剥がし用テープT2を粘着テープロールT1Rに対して押し付けることで、粘着テープロールT1Rの最外周の粘着テープT1を粘着テープロールT1Rから剥がすためのローラである。この剥がし用ローラ222は、剥がし用テープT2の幅に対応した幅を有しているため、剥がし用支持軸221の長手方向に沿って複数(図5に示す構成では3つ)配置されている。また、剥がし用ローラ222は、押圧機構230での押圧によって、開口160から突出するように設けられている。
【0081】
また、押圧機構230は、一対の側板部材120のそれぞれに設けられている。この押圧機構230は、バネ軸231と、バネ部材232とを有している。バネ軸231は、上述した軸孔123bに差し込まれる軸状の部材であるが、図6に示す構成では、バネ軸231の先端側には、ネジ山(符号省略)が形成されている。したがって、バネ軸231の先端側を、剥がし用支持軸221のネジ孔に捻じ込むことで、バネ軸231と剥がし用支持軸221とは、一体的に移動する構成となっている。
【0082】
上記のバネ軸231の外周側には、バネ部材232が設けられているが、このバネ部材232は、摺動溝123aの内部に配置されている。バネ部材232は、たとえばコイルバネであり、その一端側が摺動溝123aの底部に受け止められると共に、その他端側が剥がし用支持軸221に受け止められている。そして、バネ軸231の頭部231aが、摺動溝123aとは反対側の壁面に受け止められた状態で、バネ部材232は、摺動溝123aの底部と、剥がし用支持軸221の双方に付勢力を及ぼす。したがって、剥がし用ローラ222が粘着テープロールT1R側に強く押し付けられると、その押し付け力に応じてバネ部材232が収縮することで、剥がし用ローラ222がハウジング110の内部に向かって移動可能となっている。このため、剥がし用ローラ222は、剥がし用テープロールT2Rの外周面に対して付勢力を及ぼしながら、良好に追従可能となっている。
【0083】
次に、巻取押さえ機構240について説明する。図6および図7に示すように、後蓋パネル150には、巻取押さえ機構240が取り付けられている。この巻取押さえ機構240は、ロール支持部材241と、押さえローラ242と、付勢バネ243とを有している。ロール支持部材241は、側面部150aに対して、たとえばネジ等で固定されており、その材質を樹脂または金属としている。なお、樹脂を材質とする場合、側板部材120と同様に、たとえばPOM(ポリアセタール樹脂)のような、耐衝撃性に優れ、摩擦係数が小さく自己潤滑性に優れている樹脂としても良い。
【0084】
このロール支持部材241には、軸支スリット241aと、バネ取付軸241bと、バネ係止部241cが設けられている。軸支スリット241aは、押さえローラ242の軸部(符号省略)を挿入しつつ、その押さえローラ242の回転を許容する溝部分である。この軸支スリット241aは、たとえば円弧を描くように形成されているが、その円弧の中心は、側面部150aに近接する側に位置している。しかも、軸支スリット241aの端部の上側(Z1側)には、巻取筒200が近接して設けられている。このため、押さえローラ242が軸支スリット241aに沿って移動することで、その押さえローラ242は巻取筒200に対して近接または離間可能となっている。
【0085】
また、バネ取付軸241bは、後述する付勢バネ243の巻回部分をロール支持部材241に取り付けるための軸部分である。また、バネ係止部241cは、後述する付勢バネ243の他端側を係止する部分であり、その他端部が係止し易いように凸部状に設けられている。
【0086】
また、押さえローラ242は、その端部に軸部(符号省略)と、ローラ部242aとが設けられている。軸部は、ローラ部242aよりも小径に設けられていて、この軸部が上記の軸支スリット241aに挿入されている。また、ローラ部242aは、巻取筒200に剥がし用テープT2と共に粘着テープT1が巻き取られた際に、その粘着テープT1が外径側に膨らもうとするのを抑えるためのローラである。
【0087】
上記のような、粘着テープT1が外径側に膨らむのを抑えるための付勢力を押さえローラ242に与えるために、付勢バネ243が設けられている。付勢バネ243は、たとえばトーションバネであり、その一端部は軸部に係止されている。また、付勢バネ243の他端側は、上述したバネ係止部241cに係止されている。そして、付勢バネ243は、巻取筒200に向けて付勢している。したがって、後蓋パネル150を閉じると、押さえローラ242は巻取筒200に付勢された状態となる。
【0088】
以上のような構成の除塵装置10においては、巻取カートリッジ100が筐体部20の巻取カートリッジ収納部21から取り外し可能となっている。このため、取り外した巻取カートリッジ100のセッティング作業を容易に行うことが可能となっている。
【0089】
<除塵装置10における、粘着テープT1の更新の際の動作について>
以上のような構成の除塵装置10における、粘着テープT1の更新の際の動作について説明する。なお、この動作に関しては、図9から図11に基づいて説明する。
【0090】
図9(A)に示すように、ワークWを除塵している状態では、制御部90は、モータ26を駆動させて、搬送機構25を介してワークWを除塵ローラ41へと送り込む。このとき、制御部90は、粘着テープロールT1Rを除塵ローラ41へと押し付けるように、テープ昇降シリンダ52を作動させる(ステップS01)。
【0091】
その状態で、ワークWの除塵を所定時間継続し、最外周の粘着テープT1が汚れて剥がす(更新する)タイミングが到来したと判断される場合、制御部90は、図9(B)に示すように、粘着テープロールT1Rを除塵ローラ41から離すように、テープ昇降シリンダ52を作動させる(ステップS02)。
【0092】
なお、この状態では、制御部90は、モータ26の駆動を継続させて、除塵ローラ41によるワークWの除塵を継続する。比較的短時間であれば、除塵ローラ41から粘着テープT1に塵埃を転写しなくても、特段、問題は生じないと考えられるためである。しかしながら、制御部90は、モータ26の駆動を停止させて、ワークWの除塵を行わないようにしても良い。
【0093】
次に、図9(C)に示すように、制御部90は、テープ端部検出機構80の昇降シリンダ82を作動させて、端部検出ローラ87を最外周の粘着テープT1に押し当てる(ステップS03;ローラ押し当てステップに対応)。そして、この押し付け動作後に、制御部90は、モータ85を作動させる(ステップS04;回転ステップに対応)。このとき、端部検出センサ88は、最外周の粘着テープT1における段差を検出する(検出ステップに対応)。
【0094】
この状態で、端部検出センサ88が段差を検出すると、図10(A)に示すように、制御部90は、モータ85をさらに所定のパルス数だけ駆動させ、その後にモータ85を通電状態で停止させる(ステップS05)。すなわち、モータ85は、端部検出ローラ87を介して、粘着テープロールT1Rを回転させるための駆動力を与え、その後、モータ85が停止することで、粘着テープロールT1Rが回転せずに停止状態となる。この停止位置は、軸方向に対して傾斜している段差に差し掛かっている位置ではなく、その斜めの段差に差し掛からずに所定距離だけ離れた位置となっている。
【0095】
なお、本実施の形態では、モータ85は、ステッピングモータである。このため、モータ85が通電状態で停止した場合、粘着テープロールT1Rの回転を阻止した、位置保持が可能となっている。
【0096】
次に、制御部90は、昇降シリンダ71を作動させて、巻取カートリッジ100を粘着テープロールT1Rに向けて移動させる。そして、剥がし用ローラ222を介して、剥がし用テープT2が最外周の粘着テープT1に押し当てられる(ステップS06)。
【0097】
上記の後に、図10(B)に示すように、制御部90は、昇降シリンダ82を作動させて、最外周の粘着テープT1に押し付けられている端部検出ローラ87を、当該粘着テープT1から離す向きに移動させる(ステップS07)。したがって、モータ85による位置保持状態が解除され、以後は、巻取モータ60の駆動による、剥がし用ローラ222の回転に追従する状態となる。
【0098】
次に、図10(C)に示すように、制御部90は、巻取モータ60を所定の距離だけ回転させる。このとき、剥がし用ローラ222に押し当てられている剥がし用テープT2が、最外周の粘着テープT1の段差を超える超過位置まで、粘着テープロールT1Rを回転させる(ステップS08)。
【0099】
ここで、剥がし用テープT2の粘着力は、粘着テープロールT1Rにおける粘着テープT1の粘着力よりも強くなるように設けられている。したがって、剥がし用テープT2が最外周の粘着テープT1の段差に到達して当該段差を乗り上げた際には、その乗り上げた部位を起点として、最外周の粘着テープT1を剥がせる状態となる。したがって、上記の乗り上げ後(すなわち段差に到達後)、さらに段差を完全に超える超過位置まで巻取モータ60を駆動させることで、最外周の粘着テープT1は、剥がし用テープT2の粘着力によって、粘着テープロールT1Rから剥がされ始める。
【0100】
なお、本実施の形態では、剥がし用ローラ222は、剥がし用支持軸221の長手方向に沿って複数(図5に示す構成では3つ)配置されている。このため、3つの剥がし用ローラ222によって押し当てられている剥がし用テープT2の全てが、最外周の粘着テープT1の段差を超える位置まで、粘着テープロールT1Rが回転させられる。
【0101】
次に、図11(A)に示すように、制御部90は、巻取モータ60の作動を継続させつつ、昇降シリンダ71を作動させて、巻取カートリッジ100を粘着テープロールT1Rから離す位置(すなわち元の位置)に向けて移動させる(ステップS09)。すると、剥がし用テープT2に接着している最外周の粘着テープT1は、剥がし用テープT2の移動および剥がし用テープT2の巻取筒200への巻き取りに伴って、粘着テープロールT1Rから剥がされていく。
【0102】
なお、上記のように、粘着テープロールT1Rから剥がされた粘着テープT1が巻取筒200へ向かう際に、粘着テープT1の送りの先端は、剥離開始検出センサS1によって検出される。このとき、制御部90は、剥がし動作が正常に実行されたと判断して、昇降シリンダ71および巻取モータ60の作動を継続するように制御する。なお、既に巻取カートリッジ100が、粘着テープロールT1Rから離れた元の位置に戻っていて昇降シリンダ71が停止している場合には、制御部90は、昇降シリンダ71の停止を維持しつつ巻取モータ60の作動を継続するように制御する。
【0103】
次に、制御部90は、剥離終了検出センサS2が、剥がされて巻取筒200に送られている粘着テープT1の送りの後端を検出したか否かを判定する。そして、図11(B)に示すように、剥離終了検出センサS2が粘着テープT1の後端を検出したと判定される場合、粘着テープT1の剥がし作業が終了に近づいていることになる。このとき、制御部90は、その検出後に巻取モータ60の回転を停止させる(ステップS10)。このとき、粘着テープT1をシート毎に区切る(切断)するための切れ目が粘着テープロールT1Rに存在することにより、更新対象の粘着テープT1は、粘着テープロールT1Rから分離された状態となる。
【0104】
以上のような、粘着テープT1の更新作業が完了した後に、制御部90は、図11(C)に示すように、空検出センサS3で、粘着テープロールT1Rに粘着テープT1が残存しているか否かを判定する(ステップS11)。
【0105】
この判定において、粘着テープT1が粘着テープロールT1Rに残存していると制御部90が判定すると、再び、粘着テープT1を除塵ローラ41に対して押し付けることによる、ワークWの除塵動作が実行可能となる。その場合、制御部90は、ステップS01で述べたような、粘着テープロールT1Rを除塵ローラ41へと押し付ける動作を実行し、さらにモータ26を駆動させて、搬送機構25を介してワークWを除塵ローラ41へと送り込む(図9(A)参照)。それにより、ワークWの除塵が実行される。
【0106】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る、除塵装置10Bについて図面を用いて説明する。図12は、本発明の第2の実施の形態に係る除塵装置10Bの主要部分の構成を概略的に示す図である。
【0107】
図12に示す構成では、クリーンユニット30や、巻取カートリッジ100等の除塵を行うための部位が3つ設けられている。すなわち、ワークWは、3連のクリーンユニット30で除塵される構成となっており、よりワークWから塵埃を除去する性能が高められている。
【0108】
すなわち、除塵装置10Bは、除塵ロールユニット40およびテープユニット50を備えるクリーンユニット30と、テープ端部検出機構80等を備え、その他、上カートリッジ昇降機構70Tや下カートリッジ昇降機構70B(図示省略)等、付随する構成を備えている。
【0109】
このような構成の除塵装置10Bにおいては、最外周の粘着テープT1を更新する(剥がす)タイミングが到来したと判断される場合、ある特定のクリーンユニット30における最外周の粘着テープT1を更新(剥がす)ことができる。
【0110】
たとえば、図12に示す3つのクリーンユニット30のうち、ワークWの搬送方向の上流側に位置するクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新する(剥がす)。その更新が終了した後に、下流側の(たとえば次の上流側の)クリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新する。さらに、その更新が終了した後に、最も下流側のクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新する。なお、最外周の粘着テープT1を更新するクリーンユニット30の順序は、どのように設定しても良い。また、上側のクリーンユニット30と下側のクリーンユニット30の両方において、最外周の粘着テープT1の更新を同時に行っても良く、上側のクリーンユニット30と下側のクリーンユニット30のうち、片方のクリーンユニット30における最外周の粘着テープT1を更新するようにしても良い。
【0111】
このように、一度に全てのクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新する(剥がす)のではなく、いずれかのクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新を行うことで、更新しているクリーンユニット30以外のクリーンユニット30で、ワークWの除塵を引き続き実行することができる。そのため、最外周の粘着テープT1の更新のために、ワークWを除塵するラインを停止させる必要がなくなり、時間当たりに除塵可能なワークWの枚数を向上させることができる。
【0112】
<効果について>
以上のような、第1および第2の実施の形態に係る除塵装置10,10Bは、ワークWの表面に付着している塵埃を吸着する除塵ローラ41と、除塵ローラ41に付着した塵埃を転写すると共に、所定長さ毎に切れ目を有する粘着テープT1を巻回している粘着テープロールT1Rを保持する粘着テープホルダ51と、粘着テープロールT1Rにおける最外周の粘着テープT1の端部を検出するテープ端部検出機構80と、テープ端部検出機構80の作動を制御する制御部90と、を備える。
【0113】
そして、テープ端部検出機構80は、保持フレーム84と、保持フレーム84に取り付けられ、粘着テープロールT1Rにおける最外周の粘着テープT1の端部を検出する端部検出センサ88と、保持フレーム84に取り付けられているモータ85(検出用モータ)と、保持フレーム84に回転自在に保持され、モータ85(検出用モータ)から駆動力を与えられると共に、検出時には最外周の粘着テープT1の端部に当接状態で回転する端部検出ローラ87と、端部検出ローラ87を最外周の粘着テープT1に接離させる昇降シリンダ82(ローラ昇降シリンダ)と、を有している。
【0114】
また、制御部90は、最外周の粘着テープT1の更新タイミングであると判断した場合に、昇降シリンダ82(ローラ昇降シリンダ)を作動させて端部検出ローラ87を最外周の粘着テープT1に押し当て、その押し当て状態でモータ85(検出用モータ)を作動させて端部検出ローラ87を介して粘着テープロールT1Rを回転させ、その回転状態で端部検出センサ88が最外周の粘着テープT1の端部を検出する。
【0115】
このように構成する場合には、同じ保持フレーム84に対し、モータ85(検出用モータ)、端部検出ローラ87および端部検出センサ88等が支持されている。このため、端部検出ローラ87が最外周の粘着テープT1に存在する凹凸に追従して上下動した際に、同時に端部検出センサ88も上下動する。したがって、端部検出ローラ87に対して端部検出センサ88が別箇に取り付けられている場合と比較して、最外周の粘着テープT1の凹凸の状態を精度良く検出することができる。それにより、更新対象の粘着テープT1の端部(段差)を精度良く検出することができる。
【0116】
また、本発明の各実施の形態では、モータ85(検出用モータ)は、ステッピングモータを用いることができる。このように、モータ85(検出用モータ)として、ステッピングモータを用いる場合、通電状態での停止時の自己保持力により、端部検出ローラ87の停止状態を保持可能となる。それにより、検出された最外周の粘着テープT1の端部(段差)が位置ずれしてしまい、後の粘着テープT1の更新作業に支障をきたすのを防止可能となる。
【0117】
また、本発明の各実施の形態では、除塵装置10,10Bは、使用済みの粘着テープT1を巻き取る巻取筒200と、粘着テープロールT1Rから最外周の粘着テープT1を剥がすための剥がし用テープT2が巻回された剥がし用テープロールT2Rを保持する剥がしテープ保持筒210と、剥がし用テープロールT2Rから引き出された剥がし用テープT2を粘着テープロールT1Rに向けて押し当てるための剥がし用ローラ222とを備える巻取カートリッジ100と、巻取筒200を回転させる駆動力を与える巻取モータ60と、巻取カートリッジ100を昇降させるカートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)と、を備える。
【0118】
そして、制御部90は、端部検出センサ88で最外周の粘着テープT1の端部(段差)が検出された場合、当該端部(段差)から所定だけ離れた待機位置に端部を位置させた後にモータ85(検出用モータ)の駆動を停止し(ステップS05)、モータ85(検出用モータ)の停止後、カートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)を作動させて剥がし用ローラ222を介して、剥がし用テープT2を最外周の粘着テープT1に押し当てる(ステップS06)。そして、剥がし用テープT2の押し当て後に、昇降シリンダ82(ローラ昇降シリンダ)を作動させて、最外周の粘着テープT1に押し付けられている端部検出ローラ87を、当該粘着テープT1から離す向きに移動させる(ステップS07)。この移動後に、巻取モータ60を駆動させて、剥がし用ローラ222に押し当てられている剥がし用テープT2が、最外周の粘着テープT1の端部を超える超過位置まで、粘着テープロールT1Rを回転させる(ステップS08)。超過位置を超えた後に、巻取モータ60の作動を継続させつつ、カートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)を作動させて、巻取カートリッジ100を粘着テープロールT1Rから離す位置に向けて移動させて粘着テープT1を剥がす更新動作を行う(ステップS09)。
【0119】
このように、端部検出センサ88で最外周の粘着テープT1の端部(段差)が検出された場合、当該端部(段差)から所定だけ離れた待機位置に端部を位置させた後にモータ85(検出用モータ)の駆動を停止することで、粘着テープT1の端部(段差)が位置ずれするのを防止可能となる。
【0120】
また、この停止状態で、カートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)を作動させて剥がし用ローラ222を介して、剥がし用テープT2を最外周の粘着テープT1に押し当てることで、剥がし用テープT2を最外周の粘着テープT1の所望の位置に対し、位置ずれすることなく、押し当てることができる。
【0121】
この後に、昇降シリンダ82(ローラ昇降シリンダ)を作動させて、最外周の粘着テープT1に押し付けられている端部検出ローラ87を、粘着テープT1から離す向きに移動させる。このとき、上記のように、剥がし用テープT2が最外周の粘着テープT1の所望の位置に押し当てられているので、端部検出ローラ87を、粘着テープT1から離すことで、以後の最外周の粘着テープT1を剥がす動作を良好に行える。また、粘着テープロールT1Rを回転させる動作は、モータ85(検出用モータ)から巻取モータ60へと受け渡すことができる。
【0122】
この後に、巻取モータ60を駆動させて、剥がし用ローラ222に押し当てられている剥がし用テープT2が、最外周の粘着テープT1の端部を超える超過位置まで、粘着テープロールT1Rを回転させることで、更新対象である最外周の粘着テープT1を、粘着テープロールT1Rから剥がし始めることができる。
【0123】
そして、超過位置を超えた後に、巻取モータ60の作動を継続させつつ、カートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)を作動させて、巻取カートリッジ100を粘着テープロールT1Rから離す位置に向けて移動させることで、粘着テープT1を剥がす更新動作を確実に行える。
【0124】
また、本発明の各実施の形態では、カートリッジ昇降機構(上カートリッジ昇降機構70Tおよび/または下カートリッジ昇降機構70B)の作動によって、最外周の粘着テープT1に剥がし用テープT2が押し当てられて、最外周の粘着テープT1が粘着テープロールT1Rから剥がされた場合に、当該粘着テープT1の送りの先端を検出する剥離開始検出センサS1と、巻取筒200に向けて、剥がし用テープT2と共に送られている粘着テープT1の送り方向の終端を検出する剥離終了検出センサS2と、を備える。
【0125】
そして、制御部90は、巻取カートリッジ100を粘着テープロールT1Rから離す位置に向けて移動させている場合において、粘着テープT1の送り方向の先端を剥離開始検出センサS1によって検出した際に、正常な剥離動作が実行されていると判断して、巻取モータ60の駆動を継続する。また、剥離終了検出センサS2が、粘着テープT1の送りの後端を検出した後に、巻取モータ60の回転を停止させる。
【0126】
このように制御する場合、剥離開始検出センサS1での検出によって更新対象の粘着テープT1の剥離を確実に検出することができる。また、剥離終了検出センサS2での検出によって、更新対象の粘着テープT1の送りの後端を検出することで、粘着テープT1の更新作業の終了を検出することができるため、巻取モータ60を回転停止させることができる。
【0127】
また、第2の実施の形態に係る除塵装置10Bでは、除塵ローラ41、粘着テープホルダ51、およびテープ端部検出機構80が1つのクリーンユニット30を構成するとしたときに、クリーンユニット30は、複数設けられている。そして、制御部90は、複数のうちのいずれかのクリーンユニット30の更新動作は、他のクリーンユニット30の更新動作に対して、異なるタイミングで実行するように制御する。
【0128】
このように構成する場合、ワークWは、複数のクリーンユニット30で除塵されるため、よりワークWから塵埃を除去する性能が高めることができる。
【0129】
また、全てのクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新する(剥がす)のではなく、いずれかのクリーンユニット30の最外周の粘着テープT1を更新を行うことで、更新しているクリーンユニット30以外のクリーンユニット30で、ワークWの除塵を引き続き実行することができる。そのため、最外周の粘着テープT1の更新のために、ワークWを除塵するラインを停止させる必要がなくなり、時間当たりに除塵可能なワークWの枚数を向上させることができる。
【0130】
<変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0131】
上述の第2の実施の形態においては、クリーンユニット30や、巻取カートリッジ100等の除塵を行うための部位が3つ設けられている構成について説明している。しかしながら、除塵を行うための部位は、3つには限られず、2つでも良く、4つ以上でも良い。
【符号の説明】
【0132】
10…除塵装置、20…筐体部、21…巻取カートリッジ収納部、25…搬送機構、26…モータ、27…搬送ローラ、30…クリーンユニット、40…除塵ロールユニット、41…除塵ローラ、41a…回転軸、41b…粘着ラバー層、50…テープユニット、51…粘着テープホルダ、52…テープ昇降シリンダ、60…巻取モータ、70T…上カートリッジ昇降機構、70B…下カートリッジ昇降機構、71…昇降シリンダ、72…連結板、80…テープ端部検出機構、81…固定プレート、82…昇降シリンダ、83…連結板、84…保持フレーム、85…モータ、86…駆動軸、87…端部検出ローラ、88…端部検出センサ、90…制御部、100…巻取カートリッジ、110…ハウジング、120…側板部材、121…巻取軸支部、121a…抜止突起(第2抜止突起に対応)、121b…挿入ガイド部、121c…軸受部(第2軸受部に対応)、121d…挿通孔、122…軸支部、122a…抜止突起(第1抜止突起に対応)、122b…挿入ガイド部、122c…軸受部(第1軸受部に対応)、123…貼付軸支部、123a…摺動溝、123b…軸孔、124…肉厚部分、125…取手、130…外壁パネル、130a…上面部、130b…側面部、130c…フランジ部、140…前蓋パネル(蓋部材に対応)、140a…側面部、140b…ガイド斜面部、150…後蓋パネル(蓋部材に対応)、150a…側面部、150b…急斜面部、160…開口、200…巻取筒、201…パイプ状部、202…継手蓋、202a…連結凹部、202b…ガイド突起、210…テープ保持筒、220…貼付機構、221…用支持軸、221a…ネジ孔、221b…貼付ロール軸、222…剥がし用ローラ、230…押圧機構、231…バネ軸、231a…頭部、232…バネ部材、240…巻取押さえ機構、241…ロール支持部材、241a…軸支スリット、241b…バネ取付軸、241c…バネ係止部、242…押さえローラ、242a…ローラ部、243…付勢バネ、B1…軸受、H1,H2…ヒンジ、R1,R2…ロック部材、T1…粘着テープ、T1R…粘着テープロール、T2…用テープ、T2R…用テープロール、W…ワーク
【要約】
更新対象の粘着テープの端部を精度よく検出可能な除塵装置および粘着テープ更新方法を提供する。
除塵装置10は、テープ端部検出機構80を備え、そのテープ端部検出機構80は、保持フレーム84と、最外周の粘着テープT1の端部を検出する端部検出センサ88と、モータ85と、モータ85から駆動力を与えられる端部検出ローラ87と、端部検出ローラ87を最外周の粘着テープT1に接離させる昇降シリンダ82とを有し、制御部90は、最外周の粘着テープT1の更新タイミングであると判断した場合に、昇降シリンダ82を作動させて端部検出ローラ87を最外周の粘着テープT1に押し当て、その押し当て状態でモータ85を作動させて端部検出ローラ87を介して粘着テープロールT1Rを回転させ、その回転状態で端部検出センサ88が最外周の粘着テープT1の端部を検出する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12