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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/48 20060101AFI20240521BHJP
   G06F 9/455 20180101ALI20240521BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20240521BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240521BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240521BHJP
   G06F 3/0481 20220101ALI20240521BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20240521BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20240521BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F9/48 370
G06F9/455 150
G06F11/07 196
G06F11/07 140C
G06F11/07 140R
G09G5/00 510V
G09G5/36 200
G09G5/00 530M
G09G5/00 550B
G06F3/0481
G06F3/0488
G06F3/14 350A
B60R16/02 640K
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020059011
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157655
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 耕司郎
(72)【発明者】
【氏名】大石 将仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 和範
(72)【発明者】
【氏名】打越 忠宏
(72)【発明者】
【氏名】須田 聖也
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0042066(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0015479(US,A1)
【文献】特開2017-111251(JP,A)
【文献】特開2018-008688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0118222(US,A1)
【文献】特開2003-036174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/48
G06F 9/455
G06F 11/07
G09G 5/00
G09G 5/36
G06F 3/0481
G06F 3/0488
G06F 3/14
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている第1表示装置に表示される第1コンテンツ画像を生成する第1アプリケーション、および、前記車両に搭載されている第2表示装置に表示される第2コンテンツ画像を生成する第2アプリケーションのうちの少なくとも1つの実行を制御する第1オペレーティングシステムと、
前記第1オペレーティングシステムとは異なる第2オペレーティングシステムと、
プロセッサ上で実行され、前記第1オペレーティングシステムおよび前記第2オペレーティングシステムの実行を制御するハイパーバイザーと、
を備え
前記ハイパーバイザーは、少なくとも前記第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出し、
前記第2オペレーティングシステムは、前記第1表示装置に表示される前記第1コンテンツ画像を生成する第3アプリケーションの実行を少なくとも制御し、
前記ハイパーバイザーは、前記第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出し、かつ前記車両内に存在する情報端末から前記第1コンテンツ画像を示す第1画像情報を受信した場合、前記第1画像情報を前記第1表示装置に表示させるための制御情報を前記第2オペレーティングシステムへ送信し、
前記第3アプリケーションは、前記第1画像情報に基づいて、前記第1コンテンツ画像を生成する、
表示制御装置。
【請求項2】
前記車両内に存在する情報端末から、前記第1コンテンツ画像を示す第1画像情報が受信された場合、前記第1アプリケーションは、前記第1画像情報に基づいて前記第1コンテンツ画像を生成し、
前記車両内に存在する情報端末から、前記第2コンテンツ画像を示す第2画像情報が受信された場合、前記第2アプリケーションは、前記第2画像情報に基づいて前記第2コンテンツ画像を生成する、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記第1表示装置は第1タッチスクリーンを有し、前記第1タッチスクリーンのうち前記第1コンテンツ画像が表示された範囲において第1ユーザによるタッチ操作が行われた場合、前記第1オペレーティングシステムは、前記第1コンテンツ画像上の接触位置を示す第1座標情報を前記第1表示装置から受信する、
請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記第2表示装置は第2タッチスクリーンを有し、
前記第1オペレーティングシステムが前記第1座標情報を受信した場合、前記第2アプリケーションは、前記第2タッチスクリーンに表示された前記第2コンテンツ画像上の前記第1座標情報に対応する位置に、指標画像が重畳された報知用の第2のコンテンツ画像を生成する、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記指標画像は、前記第1タッチスクリーンのうちの前記第1コンテンツ画像が表示された範囲において前記タッチ操作がおこなわれたことを示す画像である、
請求項4に記載の表示制御装置。
【請求項6】
前記ハイパーバイザーは、前記第1表示装置から前記第1座標情報を受信した場合に、受信した前記第1座標情報を前記情報端末に送信する、
請求項3~5のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項7】
前記ハイパーバイザーは、前記第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出した場合、前記第1オペレーティングシステムを復旧させるための処理を実行する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項8】
前記第1オペレーティングシステムおよび前記第2オペレーティングシステムのうちの少なくとも1つに関連する障害の発生を検出する第4アプリケーションの実行を制御する第3オペレーティングシステムをさらに備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記第1オペレーティングシステムおよび前記第2オペレーティングシステムのうちの少なくとも1つに関連する障害の発生が検出された場合、前記第4アプリケーションは、前記障害の発生が検出されたオペレーティングシステムを復旧させるための処理を、当該オペレーティングシステムに対して実行する、
請求項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記第1オペレーティングシステムは、前記第2オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出する第5アプリケーションの実行をさらに制御し、
前記第2オペレーティングシステムは、前記第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出する第6アプリケーションの実行をさらに制御する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記第2オペレーティングシステムに関連する障害の発生が検出された場合、前記第5アプリケーションは、前記第2オペレーティングシステムを復旧させるための処理を前記第2オペレーティングシステムに対して実行し、
前記第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生が検出された場合、前記第6アプリケーションは、前記第1オペレーティングシステムを復旧させるための処理を前記第1オペレーティングシステムに対して実行する、
請求項10に記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記第1オペレーティングシステムおよび前記第2オペレーティングシステムのうちの少なくとも1つは、仮想オペレーティングシステムである、請求項1~11のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記第1オペレーティングシステムは、前記第1アプリケーションおよび前記第2アプリケーションの両方の実行を制御し、
前記車両内に存在する情報端末から、前記第1コンテンツ画像を示す画像情報が受信された場合、前記ハイパーバイザーは、前記画像情報、前記画像情報に基づく前記第1コンテンツ画像を前記第1表示装置に表示させるための第1の制御情報、および前記画像情報に基づく前記第2コンテンツ画像を前記第2表示装置に表示させるための第2の制御情報を前記第1オペレーティングシステムへ送信し、
前記第1アプリケーションは、前記画像情報に基づいて前記第1コンテンツ画像を生成し、
前記第2アプリケーションは、前記画像情報に基づいて前記第2コンテンツ画像を生成する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項14】
前記第1オペレーティングシステムは、少なくとも前記第1アプリケーションの実行を制御し、
前記第2オペレーティングシステムは、少なくとも前記第2アプリケーションの実行を制御し、
前記車両内に存在する情報端末から、前記第1コンテンツ画像を示す画像情報が受信された場合、前記ハイパーバイザーは、前記画像情報、および前記画像情報に基づく前記第1コンテンツ画像を前記第1表示装置に表示させるための第1の制御情報を前記第1オペレーティングシステムへ送信し、前記画像情報、および前記画像情報に基づく前記第2コンテンツ画像を前記第2表示装置に表示させるための第2の制御情報を前記第2オペレーティングシステムへ送信し、
前記第1アプリケーションは、前記画像情報に基づいて前記第1コンテンツ画像を生成し、
前記第2アプリケーションは、前記画像情報に基づいて前記第2コンテンツ画像を生成する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項15】
前記第1オペレーティングシステムの種類と前記第1表示装置とは関連付けられており、
前記第2オペレーティングシステムの種類と前記第2表示装置とは関連付けられている、
請求項14に記載の表示制御装置。
【請求項16】
前記第1オペレーティングシステムと前記第2オペレーティングシステムとは、オペレーティングシステムの種類が異なる、
請求項14または15に記載の表示制御装置。
【請求項17】
前記第1オペレーティングシステムと前記第2オペレーティングシステムとは、処理の実行に関する堅牢性が異なる、
請求項16に記載の表示制御装置。
【請求項18】
前記第1オペレーティングシステムと前記第2オペレーティングシステムとは、処理の実行に関するリアルタイム性が異なる、
請求項16または17に記載の表示制御装置。
【請求項19】
前記第1表示装置は、前記車両の後席に着座中の第1ユーザが目視可能な位置に配置されており、
前記第2表示装置は、前記車両の後席に着座中の第2ユーザが目視可能な位置に配置されている、
請求項1~18のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項20】
前記プロセッサをさらに備える、請求項1~19のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項21】
前記ハイパーバイザーは、前記第1オペレーティングシステムに所定の時間間隔で問い合わせを送信し、前記第1オペレーティングシステムから該問い合わせに対する応答がない場合に、前記第1オペレーティングシステムに障害が発生したと判定する、
請求項1~20のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項22】
前記ハイパーバイザーは、前記第1オペレーティングシステムに障害が発生した場合、他の表示制御装置に備えられた他のハイパーバイザーに前記第1オペレーティングシステムおよび前記第1アプリケーションの定義情報を転送し、前記他のハイパーバイザーに前記第1オペレーティングシステムおよび前記第1アプリケーションを複製させ、
複製された第1アプリケーションは、前記車両内に存在する情報端末から、前記第1コンテンツ画像を示す第1画像情報が受信された場合、前記第1画像情報に基づいて前記第1コンテンツ画像を生成する、
請求項1~21のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1台のソース機器から送信された画像等のコンテンツを、複数の表示装置に表示する技術が知られている。このような技術においては、複数のユーザが、それぞれ異なる表示装置を使用してコンテンツを視聴することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-152992号公報
【文献】特開2007-147928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術においては、複数の表示装置を制御する表示制御装置上で動作するオペレーティングシステムに障害が生じた場合について、十分に考慮がされていなかった。
【0005】
本開示は、表示制御装置を含むシステムの堅牢性を向上させることができる表示制御装置および表示制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る表示制御装置は、第1オペレーティングシステムと、第2オペレーティングシステムと、ハイパーバイザーとを備える。第1オペレーティングシステムは、車両に搭載されている第1表示装置に表示される第1コンテンツ画像を生成する第1アプリケーション、および、車両に搭載されている第2表示装置に表示される第2コンテンツ画像を生成する第2アプリケーションのうちの少なくとも1つの実行を制御する。第2オペレーティングシステムは、第1オペレーティングシステムとは異なる。ハイパーバイザーは、プロセッサ上で実行され、第1オペレーティングシステムおよび第2オペレーティングシステムの実行を制御する。ハイパーバイザーは、少なくとも第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出する。第2オペレーティングシステムは、第1表示装置に表示される第1コンテンツ画像を生成する第3アプリケーションの実行を少なくとも制御する。ハイパーバイザーは、第1オペレーティングシステムに関連する障害の発生を検出し、かつ車両内に存在する情報端末から第1コンテンツ画像を示す第1画像情報を受信した場合、第1画像情報を第1表示装置に表示させるための制御情報を第2オペレーティングシステムへ送信する。第3アプリケーションは、第1画像情報に基づいて、第1コンテンツ画像を生成する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る表示制御装置によれば、表示制御装置を含むシステムの堅牢性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る表示制御システムが搭載された車両の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る表示制御システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る第1アプリが備える機能の一例を示すブロック図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る画面表示の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る表示制御システムにおける正常時の処理の流れの一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態の表示制御装置において障害が発生した場合について説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る表示制御システムにおける障害発生時の処理の流れの一例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図9図9は、第1の実施形態に係る第1タッチスクリーンと第2タッチスクリーンの画面表示の時系列の変化の一例を示す図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る表示制御システムの構成の一例を示す図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る表示制御システムにおける障害発生時の処理の流れの一例を示す図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る表示制御装置が備える機能の一例を示すブロック図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る画面表示の一例を示す図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る表示制御装置および表示制御システムの実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る表示制御システムSが搭載された車両4の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の表示制御システムSは、表示制御装置1と、第1表示装置2aと、第2表示装置2bとを備える。
【0011】
本実施形態の第1表示装置2aと第2表示装置2bとは、車両4の助手席41aのシートバックと運転席41bのシートバックとにそれぞれ設けられたリアシートモニタである。第1表示装置2aは、車両4の後席に着座中のユーザが目視可能な位置に配置されている。また、第2表示装置2bは、車両4の後席に着座中の他のユーザが目視可能な位置に配置されている。第1表示装置2aを使用するユーザを第1ユーザ、第2表示装置2bを使用するユーザを第2ユーザともいう。
【0012】
第1表示装置2aと第2表示装置2bとは、指またはタッチペン(スタイラスペン)で操作可能なタッチスクリーンをそれぞれ備えるものとする。タッチスクリーンは、ディスプレイとタッチパネルとを備える。本実施形態においては、第1表示装置2aが備えるタッチスクリーンを第1タッチスクリーン21a、第2表示装置2bが備えるタッチスクリーンを第2タッチスクリーン21bという。以下、第1表示装置2aと第2表示装置2bとを特に区別しない場合は、表示装置2という。また、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bとを特に区別しない場合は、タッチスクリーン21という。
【0013】
表示制御装置1は、第1表示装置2aと第2表示装置2bとを制御して、第1表示装置2aと第2表示装置2bとに画像を表示させるコンピュータである。表示制御装置1と、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bとは、ケーブル50a,50bを介した有線ネットワークによって接続している。表示制御装置1と、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bと、の情報通信には、例えば、IEEEBUSまたはGVIF(Gigabit Video Interface)等の方式が用いられるものとする。また、表示制御装置1は、Wi-Fi(登録商標)等の無線ネットワーク51を介して情報端末3と接続する。
【0014】
第1表示装置2aと第2表示装置2bとは、本実施形態の情報端末3から受信した画像データを表示する。本実施形態においては、表示制御装置1は、Miracast(登録商標)等のミラーリングの技術により、情報端末3のディスプレイに表示される画像を、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bのタッチスクリーン21に表示する。
【0015】
本実施形態においては、表示制御装置1が、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bに表示させる画像を、コンテンツ画像という。コンテンツ画像は、何らかの映像コンテンツであり、静止画でも良いし、動画でも良い。また、コンテンツ画像は、動画または静止画に加えて、音声を含むものでもよい。第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示されるコンテンツ画像を、第1コンテンツ画像という。また、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示されるコンテンツ画像を、第2コンテンツ画像という。これらを区別しない場合には、単にコンテンツ画像という。本実施形態においては、上述のミラーリングの技術を採用するため、第1コンテンツ画像と第2コンテンツ画像とは同じ画像とする。
【0016】
また、表示制御装置1は、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bのタッチスクリーン21上で、ミラーリングによって表示されたディスプレイ画像に対して指または物体を接触させる操作が行われた場合に、コンテンツ画像上の指または物体が接触した位置を示す座標情報を情報端末3にフィードバックする。当該フィードバックは、例えば、UIBC(User Input Back Channel)の技術によって行われる。情報端末3は、表示制御装置1から座標情報のフィードバックを受けた場合に、情報端末3のディスプレイ上の当該座標情報に対応する位置に指または物体が接触した場合と同様の動作を実行する。これにより、ユーザは、第1表示装置2aまたは第2表示装置2bのタッチスクリーン21を操作することで、情報端末3を操作することができる。
【0017】
ここで、タッチスクリーンに指または物体を接触させる操作をタッチ操作と呼ぶ。また、タッチスクリーン上で指または物体が接触した位置、すなわちタッチ操作をおこなった位置を、タッチ位置と呼ぶ。
【0018】
情報端末3は、例えばスマートフォンであるが、Miracast(登録商標)等のミラーリングの規格に対応した機器であれば良く、タブレット端末またはラップトップPCであっても良い。
【0019】
本実施形態の表示制御システムSは、リアシートに着座している乗員に情報端末3から配信された動画等のエンターテイメントを提供するため、RSE(Rear Sheet Entertainment:リアシートエンターテイメント)システムともいう。また、情報端末3は、画像の配信元であるため、ソース機器ともいう。また、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bは、ソース機器から配信された画像を表示するため、シンク機器ともいう。
【0020】
図2は、本実施形態に係る表示制御システムSの構成の一例を示す図である。図2に示すように、表示制御装置1は、プロセッサ10と、メモリ11と、入出力部12と、通信部14と、通信アンテナ13とを備える。
【0021】
通信アンテナ13は、無線ネットワーク51を介して情報端末3との間で情報の送受信を行う。
【0022】
通信部14は、情報端末3との間のネットワーク通信を行うネットワークインタフェース(I/F:Inter/Face)14を備える。本実施形態においては、通信部14は、通信アンテナ13を介して、情報端末3から、情報端末3のディスプレイ31に表示されたコンテンツ画像を示す画像情報を受信する。ここで、画像情報は、例えば、ミラーリングの情報通信規格に沿って圧縮されたコンテンツ画像であるが、これに限定されるものではない。
【0023】
また、通信部14は、プロセッサ10で処理された情報を通信アンテナ13に送信する。本実施形態においては、通信部14は、プロセッサ10から、第1タッチスクリーン21aまたは第2タッチスクリーン21bにおけるタッチ位置を示すタッチ座標を、タッチ操作されたタッチスクリーンを識別する情報と対応付けて、通信アンテナ13を介して情報端末3に送信する。タッチ座標の詳細については後述する。
【0024】
入出力部12は、第1表示装置2aまたは第2表示装置2bと情報の送受信を行うデバイスインタフェース(I/F)12を備える。具体的には、入出力部12aは、第1表示装置2aに対して、プロセッサ10から出力されたコンテンツ画像を示す画像情報、後述のシャドー画像を示す画像情報、シャドー画像の表示位置等を送信する。
【0025】
また、入出力部12は、第1表示装置2aから、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aにおけるタッチ座標を取得し、プロセッサ10に送信する。また、入出力部12は、第2表示装置2bに対して、プロセッサ10から出力されたコンテンツ画像を示す画像情報、後述のシャドー画像を示す画像情報、シャドー画像の表示位置等を送信する。
【0026】
また、入出力部12は、第2表示装置2bから、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bにおけるタッチ座標を取得する。
【0027】
デバイスインタフェース121は、例えば、IEEEBUSの規格で情報の送受信を行うIC(Integrated Circuit)であるが、これに限定されるものではない。また、入出力部12を介さずに、プロセッサ10と第1表示装置2aまたは第2表示装置2bとが情報の送受信を行うものとしても良い。
【0028】
プロセッサ10は、例えば1以上のCPU(Central Processing Unit)または1以上のGPU(Graphics Processing Unit)などの処理回路を含んで構成される。プロセッサ10は、表示制御装置1全体を制御する。例えば、プロセッサ10は、メモリ11に記憶された各種のプログラムを読み出して実行することにより、図2に示すように、ハイパーバイザー110、第1仮想OS(オペレーティングシステム)111、第2仮想OS112、第1アプリケーション131、第2アプリケーション132、および第3アプリケーション133の機能を実現する。なお、ハイパーバイザー110、第1仮想OS(オペレーティングシステム)111、第2仮想OS112、第1アプリケーション131、第2アプリケーション132、および第3アプリケーション133のうちの少なくとも1つは、予めメモリ11に記憶されていてもよい。本明細書では、以下、「アプリケーション」という用語を「アプリ」と称する場合がある。
【0029】
本実施形態においては、プロセッサ10、およびメモリ11を総称して制御部100という。また、制御部100には、プロセッサ10およびメモリ11によって実現されるハイパーバイザー110、第1仮想OS111、第2仮想OS112、第1アプリ131、第2アプリ132、および第3アプリ133が含まれても良い。
【0030】
ハイパーバイザー110は、プロセッサ10上で実行され、第1仮想OS111および第2仮想OS112の実行を制御する。なお、本実施形態で適用されるハイパーバイザー110の形式は特に限定されるものではない。
【0031】
第1仮想OS111は、第1アプリ131、および、第2アプリ132のうちの少なくとも1つの実行を制御する。本実施形態においては、第1仮想OS111は、第1アプリケーション131を制御する。第1仮想OS111は、本開示に係る第1オペレーティングシステムの一例である。
【0032】
第2仮想OS112は、第1仮想OS111とは異なるオペレーティングシステムであり、少なくとも第3アプリ133の実行を制御する。本実施形態においては、第2仮想OS112は、第2アプリ132および第3アプリ133の実行を制御する。第2仮想OS112は、本開示に係る第2オペレーティングシステムの一例である。なお、第1仮想OS111および第2仮想OS112のような仮想OSは、ゲストOSとも呼ばれる。
【0033】
第1仮想OS111および第2仮想OS112の種類は、特に限定するものではない。例えば、第1仮想OS111および第2仮想OS112は、RTOS(Real-time operating system)、例えば組込みオペレーティングシステムなどの車載専用オペレーティングシステム、または、Linux(登録商標)などの汎用オペレーティングシステムであっても良い。また、第1仮想OS111および第2仮想OS112は、AUTOSAR(登録商標)のソフトウェアプラットフォーム(SPF)であっても良い。
【0034】
第1アプリ131は、第1仮想OS111上で動作するアプリケーションソフトウェアである。また、第2アプリ132および第3アプリ133は、第2仮想OS112上で動作するアプリケーションソフトウェアである。
【0035】
本実施形態においては、第1仮想OS111は第1表示装置2a、第2仮想OS112は第2表示装置2bをそれぞれ制御するものとする。但し、本開示はかかる例に限定されない。例えば、第1アプリ131が第1表示装置2aを制御するように構成されていてもよい。また、第2アプリ132が第2表示装置2bを制御するように構成されていてもよい。
【0036】
第1アプリ131は、車両4内に存在する情報端末3から画像情報が送信された場合、送信された画像情報に基づいて第1コンテンツ画像を生成する。そして、第1仮想OS111は、生成された第1コンテンツ画像を車両4に搭載されている第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させる。また、第1アプリ131は、第2タッチスクリーン21bでユーザによるタッチ操作が実行された場合、シャドー画像を生成する。そして、第1仮想OS111は、当該シャドー画像を第1タッチスクリーン21aに表示させる。
【0037】
ここで、シャドー画像とは、他のタッチスクリーンにおいてディスプレイ画像が表示された範囲においてタッチ操作がおこなわれたことを示す画像である。シャドー画像の詳細については後述する。シャドー画像は、本開示に係る指標画像の一例である。
【0038】
また、第2アプリ132は、車両4内に存在する情報端末3から画像情報が送信された場合、送信された画像情報に基づいて第2コンテンツ画像を生成する。そして、第2仮想OS112は、生成された第2コンテンツ画像を車両4に搭載されている第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示させる。また、第2アプリ132は、第1タッチスクリーン21aでユーザによるタッチ操作が実行された場合、シャドー画像を生成する。そして、第2仮想OS112は、当該シャドー画像を第2タッチスクリーン21bに表示させる。
【0039】
なお、第1コンテンツ画像を示す画像情報は第1の画像情報の一例であり、第2コンテンツ画像を示す画像情報は第2の画像情報の一例である。本実施形態においては、情報端末3から送信される画像情報が、第1の画像情報と第2の画像情報の両方を兼ねている。なお、第1表示装置2aと第2表示装置2bとでそれぞれ異なるコンテンツ画像を表示する場合には、第1の画像情報と第2の画像情報とはそれぞれ異なるコンテンツ画像を示すこととなる。
【0040】
第3アプリ133は、上述の第1アプリ131が正常に起動している場合には実行されず、第1アプリ131の処理が障害等によって停止した場合に実行される。
【0041】
第3アプリ133は、少なくとも上述の第1アプリ131の有する機能の一部を有する。例えば、第3アプリ133は、車両4内に存在する情報端末3から画像情報が送信された場合、送信された画像情報に基づいて第1コンテンツ画像を生成する。この場合、第2仮想OS112は、生成された第1コンテンツ画像を車両4に搭載されている第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させ得る。また、第3アプリ133は、第2タッチスクリーン21bでユーザによるタッチ操作が実行された場合、シャドー画像を生成してもよい。この場合、第2仮想OS112は、当該シャドー画像を第1タッチスクリーン21aに表示させても良い。なお、第3アプリ133は、第1アプリ131と同様の機能を有していても良い。
【0042】
メモリ11は、プロセッサ10で実行されるプログラム、および処理の実行に必要な各種のデータを記憶する記憶装置である。メモリ11は、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ等である。
【0043】
次に、本実施形態の表示制御装置1が備える機能の詳細を説明する。図3は、本実施形態に係る第1アプリ131が備える機能の一例を示すブロック図である。図3に示すように、第1アプリ131は、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部104と、送信部105とを備える。
【0044】
図3では第1アプリ131を例とするが、第2アプリ132も、同様に、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部104と、送信部105とを備えるものとする。
【0045】
一例として、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部104と、送信部105とは、コンピュータによって実行可能な形式のプログラムとしてメモリ11に記憶されて提供される。プロセッサ10は、メモリ11から当該プログラムを読み出して実行することにより、上記各部に対応する機能を実現する。なお、第1の取得部101、第1の表示制御部102、第2の取得部103、第2の表示制御部104、および、送信部105の全ては、一体のプログラムとして構成されていてよい。
【0046】
上記プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでSDカード等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0047】
第1アプリ131の第1の取得部101は、通信部14が通信アンテナ13を介して、情報端末3から受信した画像情報を、第1仮想OS111を介して取得する。また、第1の取得部101は、第1仮想OS111から、制御情報を取得する。第1の取得部101は、受信した画像情報および制御情報を第1の表示制御部102に送出する。
【0048】
制御情報は、例えば、コンテンツ画像の表示先の表示装置を指定する制御命令を含む情報である。例えば、第1の取得部101は、第1表示装置2aをコンテンツ画像の表示先として指定する制御情報を、第1仮想OS111から取得する。第1表示装置2aをコンテンツ画像の表示先として指定する制御情報は、本開示に係る第1の制御情報の一例である。また、第2表示装置2bをコンテンツ画像の表示先として指定する制御情報は、本開示に係る第2の制御情報の一例である。
【0049】
なお、画像情報自体に、コンテンツ画像の表示先の表示装置を指定する情報が含まれていても良い。あるいは、第1アプリ131に、予め、コンテンツ画像の表示先の表示装置の情報が規定されていても良い。
【0050】
また、第2アプリ132の第1の取得部101も、画像情報および制御情報を第1仮想OS111から取得し、第2アプリ132の第1の表示制御部102に送出する。
【0051】
第1アプリ131の第1の表示制御部102は、第1の取得部101が取得した画像情報に基づいて第1コンテンツ画像を生成する。この場合、第1仮想OS111が、第1表示装置2aを制御して、第1タッチスクリーン21aに第1コンテンツ画像を表示させ得る。
【0052】
ここで、コンテンツ画像の表示について、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態に係る画面表示の一例を示す図である。図4に示すように、情報端末3のディスプレイ31に表示されたコンテンツ画像30は、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示され得る。
【0053】
また、第2アプリ132の第1の表示制御部102は、第1の取得部101が取得した画像情報に基づいて第2コンテンツ画像を生成する。この場合、第2仮想OS112が、第2表示装置2bを制御して、第2タッチスクリーン21bに第2コンテンツ画像を表示させ得る。
【0054】
このため、第1表示装置2aを使用するユーザ6aと、第2表示装置2bを使用するユーザ6bとは、情報端末3のディスプレイ31に表示されたコンテンツ画像30と同様の画像を視認することができる。以下、ユーザ6aとユーザ6bとを特に区別しない場合は、ユーザ6という。ユーザ6aは、本開示に係る第1ユーザの一例である。また、ユーザ6bは、本開示に係る第2ユーザの一例である。
【0055】
図3に戻り、第1アプリ131の第2の取得部103は、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作がおこなわれた場合に、第1表示装置2aから、コンテンツ画像30上のタッチ位置を示すタッチ座標を受信する。この際、第2の取得部103は、入出力部12を介して、第1表示装置2aから、タッチ座標を受信する。
【0056】
また、第2アプリ132の第2の取得部103は、第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作がおこなわれた場合に、第2表示装置2bから、コンテンツ画像30上のタッチ位置を示すタッチ座標を受信する。
【0057】
第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作が行われたタッチ位置を示すタッチ座標は、本開示に係る第1座標情報の一例である。第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作が行われたタッチ位置を示すタッチ座標は、本開示に係る第2座標情報の一例である。
【0058】
例えば、図4に示す例では、第1表示装置2aを使用するユーザ6aが、第1タッチスクリーン21aに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ位置Pにタッチしている。この場合、第1アプリ131の第2の取得部103は、コンテンツ画像30上のタッチ位置Pを示すタッチ座標を受信する。
【0059】
なお、本実施形態においては、ミラーリング中に、コンテンツ画像30が表示されていないタッチスクリーン21の範囲がタッチ操作された場合は、表示装置2は、当該タッチ操作のタッチ位置を示す座標を表示制御装置1に送信しないものとする。例えば、情報端末3のディスプレイ31の画像サイズと、表示装置2のタッチスクリーン21の画面サイズとの差異のために、タッチスクリーン21上にコンテンツ画像30が表示されていない範囲が生じる場合がある。このような範囲へのタッチ操作は、コンテンツ画像30に対する操作および情報端末3への操作ではないため、表示装置2は、当該タッチ操作のタッチ位置を示す座標を表示制御装置1に送信しない。
【0060】
第2の取得部103は、受信したタッチ座標を、他の表示装置2を制御するアプリケーション、および送信部105に送出する。本実施形態においては、第1アプリ131の第2の取得部103は、受信した第1タッチスクリーン21a上のタッチ座標を、第2アプリ132に送出する。なお、第1アプリ131と第2アプリ132との情報のやり取りは、第1仮想OS111、第2仮想OS112およびハイパーバイザー110を介して実行される。例えば、第1仮想OS111および第2仮想OS112によるOS間通信により、当該情報のやり取りが実行されてもよい。
【0061】
また、第2の取得部103は、他の表示装置2のタッチスクリーン上でタッチ操作が行われた場合に、他の表示装置2を制御するアプリケーションから、他の表示装置2のタッチスクリーン上のタッチ座標を取得する。例えば、第1アプリ131の第2の取得部103は、第1表示装置2aの第2タッチスクリーン21b上でタッチ操作が行われた場合に、第2アプリ132から、第2タッチスクリーン21b上のタッチ座標を取得する。第1アプリ131の第2の取得部103は、取得した他の表示装置2のタッチスクリーン上のタッチ座標を、第2の表示制御部104に送出する。
【0062】
図3に戻り、第2の表示制御部104は、第2の取得部103が他の表示装置2のタッチスクリーン上のタッチ座標を受信した場合に、コンテンツ画像30上のタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像を重畳した画像を生成する。この場合、当該タッチ座標の送信元の表示装置2以外の表示装置2に設けられたタッチスクリーン21に、生成された画像が表示され得る。
【0063】
より詳細には、第1アプリ131の第2の表示制御部104は、第2の取得部103が第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21b上のタッチ座標を受信した場合に、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21a上に表示されたコンテンツ画像30において、受信されたタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像を重畳した画像を生成する。
【0064】
また、第2アプリ132の第2の表示制御部104は、第2の取得部103が第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21a上のタッチ座標を受信した場合に、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21b上に表示されたコンテンツ画像30において、受信されたタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像を重畳した画像を生成する。
【0065】
例えば、図4に示すように、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置Pがタッチ操作されている場合は、第2アプリ132の第2の表示制御部104は、第2タッチスクリーン21bにおけるタッチ位置Pに相当する位置に、手の形状をした黒色のシャドー画像23を重畳した画像を生成する。そして、生成された画像は、第2仮想OS112の制御により、第2タッチスクリーン21bに表示され得る。なお、図4では、第1タッチスクリーン21aのみがタッチ操作をされているが、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bとが同時にタッチ操作されても良い。
【0066】
シャドー画像23は、他のタッチスクリーン21においてコンテンツ画像30が表示された範囲にタッチ位置を表す画像である。シャドー画像23は、例えば、手、指、タッチペン、矢印等の形状のアイコン画像であるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
図3に戻り、送信部105は、第2の取得部103がタッチ座標を受信した場合に、該タッチ座標を、通信部14および通信アンテナ13を介して情報端末3に送信する。
【0068】
次に、以上のように構成された本実施形態の表示制御システムSにおいて、ハイパーバイザー110、第1仮想OS111および第2仮想OS112が実行する処理の流れについて説明する。
【0069】
図5は、本実施形態に係る表示制御システムSにおける正常時の処理の流れの一例を示す図である。
【0070】
ハイパーバイザー110と第1仮想OS111とは、所定の時間間隔で問い合わせと、それに対する応答との送信を行っている(S1)。
【0071】
より詳細には、ハイパーバイザー110は、第1仮想OS111に所定の時間間隔で問い合わせを送信する。第1仮想OS111は、該問い合わせを受けた場合に、ハイパーバイザー110に、応答を送信する。ハイパーバイザー110は、送信した問い合わせに対する応答を受けた場合に、第1仮想OS111が正常に動作していると判定する。また、ハイパーバイザー110は、送信した問い合わせに対する応答がない場合に、第1仮想OS111に障害が発生したと判定する。図5に示す処理においては、第1仮想OS111から応答が送信されているものとする。
【0072】
また、ハイパーバイザー110は、第2仮想OS112にも所定の時間間隔で問い合わせを送信し、第2仮想OS112は、該問い合わせを受けた場合に、ハイパーバイザー110に、応答を送信する(S2)。
【0073】
また、情報端末3は、例えば、ユーザによる第1表示装置2aおよび第2表示装置2bへのミラーリング開始の操作を受け付けた場合に、ミラーリングを開始する(S3)。情報端末3を操作するユーザは、第1表示装置2aまたは第2表示装置2bを使用するユーザ6と同一のユーザでも良いし、異なるユーザであっても良い。
【0074】
情報端末3は、ミラーリングを開始すると、情報端末3のディスプレイ31に表示されているコンテンツ画像30を示す画像情報を、表示制御装置1に送信する(S4)。表示制御装置1のハイパーバイザー110は、情報端末3から送信された画像情報を受信する。
【0075】
そして、ハイパーバイザー110は、受信した画像情報と、制御情報とを第1仮想OS111に送信する(S5)。なお、ハイパーバイザー110は、画像情報に対する変換処理等は行わず、第1仮想OS111に転送するものとする。また、この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第1表示装置2aに指定する制御命令を含む。
【0076】
制御情報の生成の手法は特に限定されるものではないが、例えば、表示制御装置1と接続している第1表示装置2aおよび第2表示装置2bの各々と、これらを制御する第1アプリ131および第2アプリ132との対応付けを示す情報が、メモリ11に保存されていても良い。この場合、ハイパーバイザー110は、メモリ11に保存された対応付けを示す情報に基づいて、第1仮想OS111に、表示先を第1表示装置2aに指定する制御情報を送信する。また、ハイパーバイザー110は、メモリ11に保存された対応付けを示す情報に基づいて、第2仮想OS112に、表示先を第2表示装置2bに指定する制御情報を送信する。
【0077】
第1仮想OS111上で動作する第1アプリ131は、ハイパーバイザー110から取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第1仮想OS111は、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110から取得した制御情報によって指示された表示先である第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させる(S6)。
【0078】
また、ハイパーバイザー110は、受信した画像情報と、制御情報とを第2仮想OS112に送信する(S7)。この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第2表示装置2bに指定する制御命令を含む。
【0079】
なお、図5では、処理の説明の都合上、S7の処理の実行タイミングがS5の処理の実行タイミングよりも後に記載されているが、S5とS7の処理は同時に実行されても良いし、または、S7の処理の方がS5の処理よりも先に実行されてもよい。
【0080】
第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132は、ハイパーバイザー110から取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110から取得した制御情報によって指示された表示先である第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示させる(S8)。
【0081】
次に、表示制御装置1においていずれかの仮想OSに障害が発生した場合の処理の流れについて説明する。
【0082】
例えば、図6は、本実施形態の表示制御装置1において障害が発生した場合について説明するための図である。図6に示すように、第1仮想OS111において、障害が発生したものとする。本実施形態においては、障害が発生しているとは、第1仮想OS111または第2仮想OS112が正常に動作できない状態になったことをいう。本実施形態における障害は、ハードウェア的な障害であっても良いし、ソフトウェア的な障害であっても良い。この場合、ハイパーバイザー110は、第1仮想OS111に送信した問い合わせに対する応答が返ってこない場合、第1仮想OS111における障害の発生を検出する。
【0083】
本実施形態のハイパーバイザー110は、少なくとも、第1仮想OS111に関連する障害の発生を検出可能とする。また、ハイパーバイザー110は、さらに、第2仮想OS112に関連する障害の発生も、検出可能であっても良い。
【0084】
第1仮想OS111に障害が発生した場合、ハイパーバイザー110は、第2仮想OS112に、第3アプリ133を起動させる。第3アプリ133が起動した後は、これまで第1仮想OS111上で実行される第1アプリ131が実行していた第1表示装置2aに対する制御処理を、第2仮想OS112上で実行される第3アプリ133が実行する。このため、図6に示すように、第1仮想OS111に障害が発生した場合には、第1表示装置2aにコンテンツ画像30が送信される経路が、第1仮想OS111が正常に動作している場合のコンテンツ画像30の送信経路R1から、送信経路R2に変更される。なお、上述のように、第3アプリ133は、第1アプリ131と同じ機能を備えても良いし、第1アプリ131よりも少ない機能を備えても良い。
【0085】
図7は、本実施形態に係る表示制御システムSにおける障害発生時の処理の流れの一例を示す図である。
【0086】
S1の問い合わせおよび応答の処理から、S8のコンテンツ画像30を表示させる処理までは、図5で説明した正常時の処理と同様である。
【0087】
ここで、第1仮想OS111で障害が発生したものとする。この場合、ハイパーバイザー110は、S9で送信した問い合わせに対して、第1仮想OS111から応答がないことで、第1仮想OS111で障害が発生したことを検出する。
【0088】
次に、情報端末3は、画像情報を表示制御装置1に送信する(S10)。表示制御装置1のハイパーバイザー110は、情報端末3から送信された画像情報を受信する。
【0089】
この場合、ハイパーバイザー110は、受信した画像情報と、制御情報とを第2仮想OS112に送信する(S11)。また、この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第1表示装置2aに指定する制御命令を含む。
【0090】
ハイパーバイザー110は、第1仮想OS111に関連する障害の発生を検出し、かつ車両4内に存在する情報端末3から第1コンテンツ画像を示す第1画像情報を受信した場合、第1画像情報を第1表示装置2aに表示させるための制御情報を、第2仮想OS112へ送信する。
【0091】
つまり、ハイパーバイザー110は、第1仮想OS111で障害が発生した後は、第1表示装置2aでコンテンツ画像30を表示するための画像情報および制御情報を、第1仮想OS111ではなく、第2仮想OS112に送信する。
【0092】
第2仮想OS112上で動作する第3アプリ133は、ハイパーバイザー110から取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110から取得した制御情報によって指示された表示先である第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させる(S12)。
【0093】
また、ハイパーバイザー110は、S7の処理と同様に、受信した画像情報と、制御情報とを第2仮想OS112に送信する(S13)。この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第2表示装置2bに指定する制御命令を含む。
【0094】
第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132は、S8と同様に、ハイパーバイザー110から取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110から取得した制御情報によって指示された表示先である第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示させる(S14)。
【0095】
このように、第1仮想OS111で障害が発生した場合には、第2仮想OS112上で動作する第3アプリ133が、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示されるコンテンツ画像30を生成する。このため、第1仮想OS111で障害が発生した場合においても、第1表示装置2aを使用するユーザ6aは、コンテンツ画像30を視聴することができる。
【0096】
なお、図6および図7では、第1仮想OS111で障害が発生した場合を例としたが、第2仮想OS112で障害が発生した場合は、ハイパーバイザー110の制御の下、第1仮想OS111が第2アプリ132の機能を有する他のアプリケーションを実行することにより、第2仮想OS112の機能を代替しても良い。
【0097】
次に、以上のように構成された本実施形態の表示制御システムSが実行する表示制御処理の流れの詳細について説明する。
【0098】
図8は、本実施形態に係る表示制御システムSにおける表示制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図8では、主として第1アプリ131および第2アプリ132によって実行される処理について説明するため、ハイパーバイザー110の記載を省略する。
【0099】
S1001のミラーリングの開始は、図5のS3で説明した処理と同様である。また、S1002の情報端末3から表示制御装置1への画像情報の送信処理は、図5のS4で説明した処理と同様である。
【0100】
また、表示制御装置1は、取得した画像情報に基づいて第1表示装置2aと第2表示装置2bとを制御して、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bとにコンテンツ画像30を表示させる(S1003)。
【0101】
より詳細には、表示制御装置1の第1仮想OS111上で動作する第1アプリ131の第1の表示制御部102は、第1アプリ131の第1の取得部101が取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第1仮想OS111は、第1表示装置2aを制御して、第1タッチスクリーン21aにコンテンツ画像30を表示させる。
【0102】
また、表示制御装置1の第2仮想OS112で動作する第2アプリ132の第1の表示制御部102は、第2アプリ132の第1の取得部101が取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、第2表示装置2bを制御して、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bにコンテンツ画像30を表示させる。
【0103】
そして、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aにおいて、コンテンツ画像30が表示された範囲がユーザ6によってタッチ操作された場合(S1004)、第1表示装置2aは、表示制御装置1に対して、コンテンツ画像30におけるタッチ位置Pを示すタッチ座標と、第1タッチスクリーン21aを示すタッチスクリーン識別情報とを送信する(S1005)。この場合、表示制御装置1は、第1表示装置2aから送信されたタッチ座標と、タッチスクリーン識別情報とを受信する。
【0104】
タッチスクリーン識別情報は、タッチ操作を受けたタッチスクリーン21を特定可能な識別情報である。なお、各表示装置2に備えられたタッチスクリーン21が1つずつである場合は、タッチスクリーン21ではなく、表示装置2を特定可能な識別情報でも良い。
【0105】
より詳細には、表示制御装置1の第1仮想OS111上で動作する第1アプリ131の第2の取得部103は、コンテンツ画像30上のタッチ位置を示すタッチ座標を受信する。換言すれば、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲においてユーザ6aによるタッチ操作がおこなわれた場合、第1仮想OS111は、コンテンツ画像30上の接触位置を示すタッチ座標を、表示制御装置1から受信する。また、第1アプリ131の第2の取得部103は、受信した第1タッチスクリーン21a上のタッチ座標を、第2アプリ132に送出する。
【0106】
また、第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132の第2の取得部103は、第1アプリ131から、第1タッチスクリーン21a上のタッチ座標を取得する。
【0107】
次に、表示制御装置1は、シャドー画像23を生成する(S1006)。
【0108】
より詳細には、第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132の第2の表示制御部104は、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21b上に表示されたコンテンツ画像30上に重畳するシャドー画像を生成する。
【0109】
そして、第2アプリ132の第2の表示制御部104は、第2タッチスクリーン21bに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ位置Pに対応する位置にシャドー画像23を重畳した画像を生成する。そして、第2仮想OS112は、第2表示装置2bを制御して、当該画像を第2タッチスクリーン21bに表示させる(S1007)。
【0110】
なお、第2アプリ132の第2の表示制御部104は、コンテンツ画像30と、該コンテンツ画像30に重畳するためのシャドー画像23とを別個に第2表示装置2bに送信しても良いが、シャドー画像23が重畳されたコンテンツ画像30を、第2表示装置2bに送信しても良い。換言すれば、第1仮想OS111がタッチ座標を受信した場合、第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132は、第2タッチスクリーン21bに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像23が重畳された報知用のコンテンツ画像30を生成しても良い。
【0111】
また、表示制御装置1は、第1表示装置2aから受信したタッチ座標を、情報端末3に送信する(S1008)。換言すれば、表示制御装置1は、情報端末3からミラーリングによって配信されたコンテンツ画像30に対してユーザ6が実行したタッチ操作を、情報端末3にフィードバックする。
【0112】
より詳細には、表示制御装置1のハイパーバイザー110上の第1仮想OS111上で動作する第1アプリ131の送信部105は、第1アプリ131の第2の取得部103がタッチ座標を取得した場合に、ハイパーバイザー110を介して、該タッチ座標を、通信部14および通信アンテナ13を介して情報端末3に送信する。換言すれば、ハイパーバイザー110は、第1表示装置2aからタッチ座標を受信した場合に、受信したタッチ座標を情報端末3に送信する。
【0113】
そして、情報端末3は、表示制御装置1から送信されたタッチ座標に基づいて、各種の処理を実行する。一例として、情報端末3は、表示制御装置1から送信されたタッチ座標に基づいて、ディスプレイ31の画面表示を変更する(S1009)。
【0114】
次に、情報端末3は、変更後のコンテンツ画像30を示す画像情報を、表示制御装置1に対して送信する(S1010)。
【0115】
そして、表示制御装置1は、受信した画像情報に基づいて第1表示装置2aと第2表示装置2bとを制御して、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bとに変更後のコンテンツ画像30を表示させる(S1011)。
【0116】
より詳細には、表示制御装置1の第1仮想OS111上で動作する第1アプリ131の第1の表示制御部102は、第1アプリ131の第1の取得部101が取得した変更後の画像情報に基づいて変更後のコンテンツ画像30を生成する。そして、第1仮想OS111は、第1表示装置2aを制御して、第1タッチスクリーン21aにコンテンツ画像30を表示させる。
【0117】
また、表示制御装置1の第2仮想OS112で動作する第2アプリ132の第1の表示制御部102は、第2アプリ132の第1の取得部101が取得した変更後の画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、第2表示装置2bを制御して、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに変更後のコンテンツ画像30を表示させる。
【0118】
図8では、第1タッチスクリーン21aがタッチ操作された場合を例として処理の流れを説明したが、第2タッチスクリーン21bがタッチ操作された場合も同様に、表示制御装置1が第1タッチスクリーン21aに対してシャドー画像23を表示する。また、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bとが同時に操作された場合には、第1タッチスクリーン21aにおけるタッチ位置Pを示すシャドー画像23が第2タッチスクリーン21bに表示され、第2タッチスクリーン21bにおけるタッチ位置Pを示すシャドー画像23が第1タッチスクリーン21aに表示される。
【0119】
従来技術においては、1台の情報端末から複数の表示装置に対して画像が配信された場合に、当該画像に対して複数の表示装置のタッチスクリーンでそれぞれタッチ操作が行われると、ユーザの意図しない動作が実行される場合があった。
【0120】
例えば、ユーザがタッチスクリーンにタッチ操作を行う場合に、他の表示装置のタッチスクリーンに対して、別のユーザがタッチ操作を行っている場合がある。このような場合に、情報端末3は両方のユーザのタッチ操作を受け付けるため、各ユーザの意図した動作とは異なる動作が、情報端末3において実行される場合があった。
【0121】
具体的には、あるユーザが第1タッチスクリーン上の1点をタッチし、他のユーザが第2タッチスクリーン上の1点をタッチしたとする。この場合に、各ユーザは1点をタッチする操作を行っていると認識しているが、情報端末3は第1タッチスクリーンと第2タッチスクリーンとを区別しないため、2点タッチの操作として受け付ける。このため、例えば、いずれかのユーザがスワイプ操作をすることを意図して、タッチスクリーンをタッチしたまま指を動かした場合に、情報端末3がピンチイン(縮小)またはピンチアウト(拡大)操作の入力として受け付けることとなる。この場合、各ユーザの意図しない動作が実行されることとなるため、各ユーザは、タッチスクリーンまたは情報端末3の誤作動と誤認する可能性があった。
【0122】
また、他のユーザが他のタッチスクリーン上でどのような操作をしているかが不明であるため、他のユーザが他のタッチスクリーンに対して行った操作によってコンテンツ画像が変化することにより、ユーザが違和感を覚える場合があった。
【0123】
これに対して、本実施形態の表示制御装置1では、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作がおこなわれた場合に、第1表示装置2aからコンテンツ画像30上の接触位置を示すタッチ座標を受信し、第2タッチスクリーン21bに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像23を重畳して表示する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第2タッチスクリーン21bを使用するユーザ6bに対して、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置P1を認識させることができるため、ユーザ6bは他のユーザ6aの操作を認識した上で第2タッチスクリーン21bを操作することができる。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、1台の情報端末3から複数の表示装置2に対してコンテンツ画像30が配信された場合であっても、ユーザ6bの意図しない動作が実行されることを抑制することができる。
【0124】
例えば、本実施形態の表示制御装置1においては、第2タッチスクリーン21bを使用するユーザ6bは、第1タッチスクリーン21aがタッチ操作されている場合にタッチ操作を待機したり、第1タッチスクリーン21aを使用する他のユーザ6aのタッチ位置Pを認識した上で他のユーザ6aと共同でタッチ操作したりすることができる。その結果、ユーザ6bの意図しない動作の実行が抑制される。
【0125】
また、本実施形態のシャドー画像23は、他のタッチスクリーン21においてコンテンツ画像30が表示された範囲にタッチ位置を表す画像であるため、ユーザ6は、他のタッチスクリーン21が操作されていることと、他のタッチスクリーン21における操作のタッチ位置P1とを、容易に把握することができる。
【0126】
また、本実施形態の表示制御装置1は、第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲でタッチ操作がおこなわれた場合に、第2表示装置2bからコンテンツ画像30上の接触位置を示すタッチ座標を受信し、第1タッチスクリーン21aに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像23を重畳して表示する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第1タッチスクリーン21aを使用するユーザ6aと、第2タッチスクリーン21bを使用するユーザ6bとが相互に相手のタッチ位置Pを認識することができる。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、いずれかのタッチスクリーン21がタッチ操作されている場合に、他のタッチスクリーン21の操作を受け付けないように排他制御しなくとも、ユーザ6の意図しない動作が実行されることを抑制することができる。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、排他制御の切り替えの際の待ち時間によってユーザ6が違和感を覚えることを抑制することができる。
【0127】
ここで、異なるタッチスクリーン21を使用するユーザ6同士が共同でタッチ操作をする例について、図9を用いて説明する。
【0128】
図9は、本実施形態に係る第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bの画面表示の時系列の変化の一例を示す図である。図9に示すように、第1タッチスクリーン21aおよび第2タッチスクリーン21bには、コンテンツ画像30が表示されているものとする。まず、図9の上段の図に示すように、ユーザ6aが第1タッチスクリーン21aを指等でタッチ操作したとする。当該タッチ操作された位置をタッチ位置P1とする。この場合、表示制御装置1は、図9の上段の図に示すように、第2タッチスクリーン21b上のタッチ位置P1に対応する位置に、シャドー画像23bを表示する。シャドー画像23bにより、ユーザ6bは、ユーザ6aがコンテンツ画像30上のどの位置をタッチ操作したかを認識することができる。
【0129】
次に、ユーザ6bは、図9の上段の図に示すように、第2タッチスクリーン21bを指等でタッチしたとする。当該タッチされた位置をタッチ位置P2とする。この場合、表示制御装置1は、図9の中段の図に示すように、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置P2に対応する位置に、シャドー画像23aを表示する。シャドー画像23aにより、ユーザ6aも、ユーザ6bがコンテンツ画像30上のどの位置をタッチ操作したかを認識することができる。
【0130】
ここで、例えば、図9の中段の図に示すように、ユーザ6bが第2タッチスクリーン21bをタッチしたまま、シャドー画像23bから離れる方向に指を移動してスワイプ操作をしたとする。図9の下段の図に示すように、移動後の位置を、タッチ位置P2´とする。このような操作は、情報端末3にとっては、ユーザ6がディスプレイ31上の2点をタッチしてピンチアウトをした場合と同様の操作となる。このため、図9の下段の図に示すように、第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bには、拡大されたコンテンツ画像30が表示される。
【0131】
ユーザ6bは、シャドー画像23aにより、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置P2を認識することができるため、自身のスワイプ操作がピンチアウトの操作になるか、ピンチインの操作になるかを把握した上で操作を行うことができる。このため、ユーザ6bは、意図したとおりの動作を情報端末3に実行させることができる。また、ユーザ6bがタッチ位置P2をタッチ位置P2´に変更した場合、表示制御装置1は、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置P2´に対応した位置にシャドー画像23aを表示するため、ユーザ6aは、ユーザ6bが第2タッチスクリーン21b上でスワイプ操作をしたことを認識することができる。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、ユーザ6bのピンチアウトの操作によって第1タッチスクリーン21aに表示されたコンテンツ画像30が拡大されても、ユーザ6aが第1タッチスクリーン21aまたは情報端末3の誤動作と誤解することを抑制できる。
【0132】
図9に示す例は、異なるタッチスクリーン21を使用するユーザ6同士が共同で行う操作の一例に過ぎず、本実施形態の表示制御システムSの活用例はこれに限定されるものではない。例えば、ユーザ6同士がゲームの対戦等を行う際に、異なるタッチスクリーン21から同一のゲーム画面を操作するために、本実施形態の表示制御システムSが適用されても良い。
【0133】
このように、本実施形態の表示制御装置1は、車両4に搭載されている第1表示装置2aに表示されるコンテンツ画像30を生成する第1アプリ131、および、車両4に搭載されている第2表示装置2bに表示されるコンテンツ画像30を生成する第2アプリ132のうちの少なくとも1つの実行を制御する第1仮想OS111と、第1仮想OS111とは異なる第2仮想OS112と、プロセッサ10上で実行され、第1仮想OS111および第2仮想OS112の実行を制御するハイパーバイザー110とを備える。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、いずれかのOSで障害が発生した場合に、他のOSで処理を代替することができるため、1つのOSで処理を実行する場合と比較して、堅牢性を向上させることができる。
【0134】
また、本実施形態の表示制御装置1において、車両4内に存在する情報端末3から、画像情報が受信された場合、第1アプリ131は、該画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成し、第2アプリ132は、該画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、1台の表示制御装置1で、複数の表示装置2に表示させるための画像を生成することができる。
【0135】
また、本実施形態の表示制御装置1において、第1表示装置2aは第1タッチスクリーン21aを有する。また、第2表示装置2bは第2タッチスクリーン21bを有する。本実施形態において、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲においてユーザ6aによるタッチ操作が行われた場合、第1仮想OS111は、コンテンツ画像30上の接触位置を示すタッチ座標を第1表示装置2aから受信する。また、本実施形態において、第1仮想OS111が第1座標情報を受信した場合、第2アプリ132は、第2タッチスクリーン21bに表示されたコンテンツ画像30上のタッチ座標に対応する位置に、シャドー画像23が重畳された報知用のコンテンツ画像30を生成する。また、シャドー画像23は、第1タッチスクリーン21aのうちのコンテンツ画像30が表示された範囲においてタッチ操作がおこなわれたことを示す画像である。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第2表示装置2bを使用するユーザ6bは、シャドー画像23aにより、第1タッチスクリーン21a上のタッチ位置P2を認識することができる。
【0136】
また、本実施形態の表示制御装置1において、第1仮想OS111は、第1表示装置2aからタッチ座標を受信した場合に、受信したタッチ座標を情報端末3に送信する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、ユーザ6aが第1タッチスクリーン21a上で行ったタッチ操作を、情報端末3にフィードバックすることができる。当該構成により、ユーザ6aが情報端末3を直接操作しなくとも、第1タッチスクリーン21a上でタッチ操作をすることで、情報端末3に対して操作を行うことができる。
【0137】
また、本実施形態の表示制御装置1において、ハイパーバイザー110は、少なくとも第1仮想OS111に関連する障害の発生を検出する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第1仮想OS111で動作するアプリケーション、例えば第1アプリ131の処理を、他の仮想OSに代替させる処理を実行することができる。
【0138】
また、本実施形態の表示制御装置1において、第2仮想OS112は、第1表示装置2aに表示されるコンテンツ画像30を生成する第3アプリ133の実行を少なくとも制御する。また、本実施形態の表示制御装置1のハイパーバイザー110は、第1仮想OS111に関連する障害の発生を検出し、かつ車両4内に存在する情報端末3から第1コンテンツ画像を示す第1画像情報を受信した場合、第1画像情報を第1表示装置2aに表示させるための制御情報を、第2仮想OS112へ送信する。この場合、第3アプリ133は、送信された画像情報に基づいて、第1表示装置2aに表示されるコンテンツ画像30を生成する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第1仮想OS111で障害が発生した場合、第1仮想OS111上で実行されていた第1アプリ131の代わりに、第2仮想OS112上で実行される第3アプリ133が第1表示装置2aに表示されるコンテンツ画像30を生成することができる。このため、第1仮想OS111で障害が発生した場合においても、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに、コンテンツ画像30を表示させることができる。
【0139】
また、本実施形態の表示制御装置1が備える複数のOSのうちの少なくとも1つは、仮想OSである。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、障害発生のリスクの分散を容易にすることができる。
【0140】
また、本実施形態の表示制御装置1がコンテンツ画像30を送信する第1表示装置2aは、車両4の後席に着座中の第1ユーザ6aが目視可能な位置に配置されている。また、本実施形態の表示制御装置1がコンテンツ画像を送信する第2表示装置2bは、車両4の後席に着座中の第2ユーザ6bが目視可能な位置に配置されている。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、車両4の後席に着座中の異なるユーザ6に、異なる表示装置2を使用してコンテンツ画像30を視聴させることができる。
【0141】
また、本実施形態の表示制御装置1のハイパーバイザー110は第1仮想OS111に所定の時間間隔で問い合わせを送信し、第1仮想OS111から該問い合わせに対する応答がない場合に、第1仮想OS111に障害が発生したと判定する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、第1仮想OS111で障害が発生した際に第1仮想OS111がエラーを出力しなかった場合においても、第1仮想OS111で障害が発生したことを検出することができる。
【0142】
また、本実施形態の表示制御装置1において、第1仮想OS111は、少なくとも第1アプリ131の実行を制御し、第2仮想OS112は、少なくとも第2アプリ132の実行を制御する。また、ハイパーバイザー110は、車両4内に存在する情報端末3から、画像情報が受信された場合、画像情報、および画像情報に基づくコンテンツ画像30を第1表示装置2aに表示させるための制御情報を第1仮想OS111へ送信する。また、ハイパーバイザー110は、画像情報、および画像情報に基づくコンテンツ画像30を第2表示装置2aに表示させるための制御情報を第2仮想OS112へ送信する。第1アプリ131は、画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。また、第2アプリ132は、画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。このように、本実施形態の表示制御装置1は、異なるOSおよび異なるアプリが第1表示装置2aと、第2表示装置2bとをそれぞれ制御することにより、OSまたはアプリに障害が発生した場合において、影響を受ける表示装置2の台数を低減することができる。
【0143】
また、本実施形態の表示制御装置1によれば、情報端末3と無線通信によって接続するため、車両4の車内における情報端末3の位置が制限されない。
【0144】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、1台の表示制御装置1が、複数の表示装置2を制御していた。この第2の実施形態では、2台の表示制御装置1が、複数の表示装置2を制御する構成について説明する。
【0145】
図10は、第2の実施形態に係る表示制御システムSの構成の一例を示す図である。本実施形態においては、表示制御システムSは、第1表示制御装置1aと、第2表示制御装置1bと、第1表示装置2aと、第2表示装置2bとを備える。
【0146】
第1表示装置2aおよび第2表示装置2bの構成は、第1の実施形態と同様である。
【0147】
第1表示制御装置1aは、プロセッサ10aと、メモリ11aと、入出力部12aと、通信部14aとを備える。
【0148】
プロセッサ10aは、メモリ11aに記憶された各種のプログラムを読み出して実行することにより、図10に示すように、ハイパーバイザー110a、第1仮想OS111、第2仮想OS112、第1アプリ131、および第2アプリ132の機能を実現する。なお、プロセッサ10aの構成は、第1の実施形態に係るプロセッサ10と同様であってよいし、メモリ11aの構成は、第1の実施形態に係るメモリ11と同様であってよい。
【0149】
プロセッサ10a、およびメモリ11aを総称して制御部100aという。また、制御部100aには、プロセッサ10aおよびメモリ11aによって実現されるハイパーバイザー110a、第1仮想OS111、第2仮想OS112、第1アプリ131、および第2アプリ132が含まれても良い。
【0150】
第2表示制御装置1bは、プロセッサ10bと、メモリ11bと、入出力部12bと、通信部14bとを備える。なお、第2表示装置2bは、他の表示制御装置の一例である。
【0151】
プロセッサ10bは、メモリ11bに記憶された各種のプログラムを読み出して実行することにより、ハイパーバイザー110b、第3仮想OS113、および第3アプリ133の機能を実現する。なお、プロセッサ10bの構成は、第1の実施形態に係るプロセッサ10と同様であってよいし、メモリ11bの構成は、第1の実施形態に係るメモリ11と同様であってよい。
【0152】
プロセッサ10b、およびメモリ11bを総称して制御部100bという。また、制御部100bには、プロセッサ10bおよびメモリ11bによって実現されるハイパーバイザー110b、第3仮想OS113、および第3アプリ133が含まれても良い。
【0153】
また、第1表示制御装置1aと第2表示制御装置1bとは通信アンテナ13を共有する。また、第1表示制御装置1a、第2表示制御装置1b、第1表示装置2a、第2表示装置2bは、例えば、バスで接続する。第1表示制御装置1aのハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111、または第2仮想OS112が実行する処理で使用する情報が該バスに流れた場合、該情報を取得する。また、第2表示制御装置1bのハイパーバイザー110bは、第2表示制御装置1bで実行される第3仮想OS113が実行する処理で使用する情報が該バスに流れた場合、該情報を取得する。
【0154】
第1表示制御装置1aの第1仮想OS111は、第1アプリ131と第2アプリ132のうちの少なくとも1つの実行を制御する。本実施形態においては、第1仮想OS111は、第1アプリ131を制御するものとする。第1アプリ131および第2アプリ132の機能は、第1の実施形態と同様である。
【0155】
また、第2仮想OS112は、第1の実施形態と同様に、第1仮想OS111とは異なるOSであり、第2アプリ132を制御する。
【0156】
第1表示制御装置1aのハイパーバイザー110aは、プロセッサ10a上で実行され、第1仮想OS111および第2仮想OS112の実行を制御する。また、ハイパーバイザー110aは、第2表示制御装置1bのハイパーバイザー110bと相互に通信可能である。ハイパーバイザー110aは、本開示における第1ハイパーバイザーの一例である。
【0157】
また、第2表示制御装置1bの第3仮想OS113は、第3アプリ133の実行を制御する。第3仮想OS113は、本開示に係る第4オペレーティングシステムの一例である。また、第3アプリ133は、本開示に係る第7アプリケーションの一例である。
【0158】
第3アプリ133は、第1の実施形態と同様の機能を備える。つまり、第3アプリ133は、第1表示装置2aに表示されるコンテンツ画像30を生成する。なお、第3アプリ133が生成するコンテンツ画像30は、本開示に係る第4コンテンツ画像の一例である。
【0159】
より詳細には、本実施形態の第3アプリ133は、第1アプリ131の複製である。また、第3仮想OS113は、第1仮想OS111の複製である。複製のタイミングについては、後述する。
【0160】
ハイパーバイザー110bは、第3仮想OS113の実行を制御可能であり、かつ、プロセッサ10b上で実行される。ハイパーバイザー110bは、本開示に係る第2ハイパーバイザー、および他のハイパーバイザーの一例である。
【0161】
ここで、本実施形態の第1仮想OS111で障害が発生した場合について、説明する。ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111または第2仮想OS112で障害が発生した場合、障害が発生したOSを復旧させるための処理を実行する。図10に示す例では第1仮想OS111で障害が発生しているため、ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111を復旧させるための処理を実行する。OSを復旧させるための処理は、例えば、該OSを再起動させることである。
【0162】
第1仮想OS111を復旧させるための処理によって第1仮想OS111の障害が解消した場合、障害の発生前と同様に、第1仮想OS111によって処理が実行される。
【0163】
また、ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111を復旧させるための処理を実行しても、複数回繰り返して障害が発生する場合、第1仮想OS111を停止させる。なお、第1仮想OS111を停止させる条件は、これに限定されるものではない。
【0164】
ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111に障害が発生したことによって第1仮想OS111を停止させた場合、第2表示制御装置1bに備えられたハイパーバイザー110bに第1仮想OS111および第1アプリ131の定義情報を転送し、ハイパーバイザー110bに第1仮想OS111および第1アプリ131を複製させる。
【0165】
ハイパーバイザー110bは、第1仮想OS111を複製して第3仮想OS113を生成し、第1アプリ131を複製して第3アプリ133を生成する。第1仮想OS111および第1アプリ131の複製の手法は、特に限定されるものではない。例えば、公知の仮想OSのクローンの生成手法、またはライブマイグレーションの手法を採用することができる。
【0166】
ハイパーバイザー110bによって生成された第3仮想OS113および第3アプリ133が処理を開始することで、障害の発生前まで第1仮想OS111が制御していた第1表示装置2aを第3仮想OS113が制御することができる。これにより、第1表示装置2aにコンテンツ画像30が送信される経路が、第1仮想OS111が正常に動作している場合のコンテンツ画像30の送信経路R11から、送信経路R12に変更される。
【0167】
なお、図10は、第1仮想OS111で障害が発生したものとして説明したが、第2仮想OS112で障害が発生した場合にも、上述の手法で、ハイパーバイザー110a,110bが第2仮想OS112および第2アプリ132を複製しても良い。第2仮想OS112および第2アプリ132が第2表示制御装置1b上に複製された場合、複製後の第2仮想OS112もまた、本開示に係る第4オペレーティングシステムの一例である。また、複製後の第2アプリ132は、本開示に係る第8アプリケーションの一例である。また、複製後の第2アプリ132が生成するコンテンツ画像30は、本開示における第5コンテンツ画像の一例であり、第2表示装置2bに表示される。
【0168】
第1仮想OS111または第2仮想OS112から複製された仮想OS、つまり本開示における第4オペレーティングシステムは、第3アプリ133、および複製後の第2アプリ132の少なくとも1つの実行を制御可能であるものとする。
【0169】
なお、第2表示制御装置1bは、表示制御専用の装置でなくとも良い。例えば、第2表示制御装置1bは、通常時は他の制御処理を実行しており、第1表示制御装置1aで障害発生した場合に、第1表示装置2aまたは第2表示装置2bを制御する処理を代替する。
【0170】
図11は、本実施形態に係る表示制御システムSにおける障害発生時の処理の流れの一例を示す図である。なお、図11のシーケンス図に示す処理の開始時においては、障害は発生していないものとする。また、図11のシーケンス図に示す処理の開始時においては、第2表示制御装置1bには、第3仮想OS113および第3アプリ133は生成されていない。
【0171】
S101の問い合わせおよび応答の処理から、S108のコンテンツ画像30を表示させる処理までは、図5で説明した第1の実施形態のS1~S8の処理と同様である。
【0172】
ここで、第1仮想OS111で障害が発生したものとする。この場合、ハイパーバイザー110aは、送信した問い合わせに対して、第1仮想OS111から応答がないことで、第1仮想OS111で障害が発生したことを検出する。また、ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111を復旧させるための処理を実行しても、複数回繰り返して障害が発生する場合、第1仮想OS111の復旧は困難であると判定する。この場合、ハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111に停止指示を出す(S109)。ここで、第1仮想OS111は停止する。
【0173】
そして、ハイパーバイザー110aは、ハイパーバイザー110bに第1仮想OS111および第1アプリ131の定義情報を転送し、第1仮想OS111および第1アプリ131を複製させる(S110)。ハイパーバイザー110bは、第1仮想OS111を複製して第3仮想OS113を生成し、第1アプリ131を複製して第3アプリ133を生成する。
【0174】
次に、ハイパーバイザー110bは、第3仮想OS113と第3アプリ133を起動させる(S111)。
【0175】
ここで、情報端末3は、画像情報を第1表示制御装置1aに送信する(S112)。第1表示制御装置1aのハイパーバイザー110aは、情報端末3から送信された画像情報を受信する。
【0176】
この場合、ハイパーバイザー110aは、受信した画像情報と、制御情報とを第2仮想OS112に送信する(S113)。また、この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第2表示装置2bに指定する制御命令を含む。
【0177】
また、第2仮想OS112は、第1仮想OS111で発生した障害の影響を受けておらず、正常に動作しているものとする。この場合、第2仮想OS112上で動作する第2アプリ132は、ハイパーバイザー110aから取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第2仮想OS112は、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110aから取得した制御情報によって指示された表示先である第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示させる(S114)。
【0178】
また、情報端末3は、画像情報を第2表示制御装置1bに送信する(S115)。なお、図11では、説明の都合上、S112とS115の処理を分けているが、これらの処理は1つの処理でも良い。例えば、情報端末3は、宛先が第1表示制御装置1aと第2表示制御装置1bのいずれであるかは指定せずに画像情報を送信し、第2表示制御装置1bのハイパーバイザー110bは、第3仮想OS113および第3アプリ133の起動後に画像情報がバスに流れた場合に、該画像情報を取得しても良い。
【0179】
ハイパーバイザー110bは、受信した画像情報と、制御情報とを第3仮想OS113に送信する(S116)。また、この場合の制御情報は、該画像情報に基づくコンテンツ画像30の表示先を第1表示装置2aに指定する制御命令を含む。
【0180】
第3仮想OS113上で動作する第3アプリ133は、ハイパーバイザー110bから取得した画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。そして、第3仮想OSは、生成されたコンテンツ画像30を、ハイパーバイザー110bから取得した制御情報によって指示された表示先である第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させる(S117)。
【0181】
このように、本実施形態の第1表示制御装置1aのハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111に障害が発生した場合、第2表示制御装置1bに備えられたハイパーバイザー110bに第1仮想OS111および第1アプリ131の定義情報を転送し、ハイパーバイザー110bに第1仮想OS111および第1アプリ131を複製させる。複製された第1アプリ131、つまり本実施形態における第3アプリ133は、車両4内に存在する情報端末3から、コンテンツ画像30を示す画像情報が受信された場合、該画像情報に基づいてコンテンツ画像30を生成する。このため、本実施形態の第1表示制御装置1aによれば、第1仮想OS111に障害が発生した場合においても、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示させるコンテンツ画像30の生成処理を、他の表示制御装置1によって続行させることができる。当該構成により、本実施形態の第1表示制御装置1aによれば、第1の実施形態の効果を備えた上で、さらに、表示制御システムSで堅牢性を向上させることができる。
【0182】
また、本実施形態の第1表示制御装置1aのハイパーバイザー110aは、第1仮想OS111または第2仮想OS112で障害が発生した場合、障害が発生したOSを復旧させるための処理を実行する。このため、本実施形態の第1表示制御装置1aによれば、障害からの回復のための処理を自動的に実行することができ、障害から迅速に回復する可能性を高めることができる。
【0183】
また、本実施形態の表示制御システムSは、第1表示制御装置1aと、第2表示制御装置1bとを備える。第1表示制御装置1aは、車両4に搭載されている第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示されるコンテンツ画像30を生成する第1アプリ131、および、車両4に搭載されている第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示されるコンテンツ画像30を生成する第2アプリ132のうちの少なくとも1つの実行を制御する第1仮想OS111と、第1仮想OS111とは異なる第2仮想OS112と、プロセッサ10a上で実行され、第1仮想OS111および第2仮想OS112の実行を制御するハイパーバイザー110aを備える。また、第2表示制御装置1bは、第1表示装置2bに表示されるコンテンツ画像30を生成する第3アプリ133、および、第2表示装置2bに表示されるコンテンツ画像30を生成する他のアプリのうちの少なくとも1つの実行を制御可能な第3仮想OS113と、第3仮想OS113の実行を制御可能であり、かつ、プロセッサ10b上で実行されるハイパーバイザー110bとを有する。本実施形態の表示制御システムSによれば、このように、2つの表示制御装置1を備えることにより、障害の発生に応じて、動的に、該障害によって影響を受けた処理の代替処理を実行することができる。
【0184】
(第3の実施形態)
上述の第1、第2の実施形態では、表示制御装置1は、いずれかのタッチスクリーン21が操作されている場合であっても、他のタッチスクリーン21からの操作を排他せずに受け付けるものとしたが、この第3の実施形態では、表示制御装置1は、いずれかのタッチスクリーン21において複数個所がタッチ操作されている場合に、他のタッチスクリーン21に対して排他制御を実施する。
【0185】
本実施形態の表示制御システムSの全体構成は、図1で説明した第1の実施形態の構成と同様である。また、表示制御装置1、第1表示装置2a、および第2表示装置2bのハードウェア構成は、図2で説明した第1の実施形態の構成と同様である。
【0186】
図12は、本実施形態に係る第1アプリ131が備える機能の一例を示すブロック図である。図12に示すように、本実施形態の第1アプリ131は、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部1104と、送信部1105と、排他制御部106とを備える。また、第2アプリ132も同様に、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部1104と、送信部1105と、排他制御部106とを備える。
【0187】
一例として、第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103と、第2の表示制御部1104と、送信部1105と、排他制御部106とは、コンピュータによって実行可能な形式のプログラムとしてメモリ11に記憶される。プロセッサ10は、メモリ11から当該プログラムを読み出して実行することにより、上記各部に対応する機能を実現する。なお、第1の表示制御部102、第2の取得部103、第2の表示制御部1104、送信部1105、および、排他制御部106は全て、一体のプログラムとして構成されてよい。
【0188】
第1の取得部101と、第1の表示制御部102と、第2の取得部103とは、第1の実施形態と同様の機能を備える。
【0189】
排他制御部106は、いずれかのタッチスクリーン21においてコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合(すなわち、複数の箇所に指または物体が接触した場合)、他のタッチスクリーン21に対する操作を受け付けない。
【0190】
より詳細には、排他制御部106は、各タッチスクリーン21のコンテンツ画像30が表示された範囲内においてタッチ操作が行われた箇所をカウントし、1つのタッチスクリーン21の複数の箇所でタッチ操作が行われたか否かを判断する。排他制御部106は、いずれかのタッチスクリーン21において複数の箇所でタッチ操作が行われたと判断した場合に、送信部1105に対して、当該タッチスクリーン21以外のタッチスクリーン21に対するタッチ位置Pを示すタッチ座標を情報端末3に送信することを停止するように指示を送出する。本実施形態においては、当該指示を、排他制御の指示という。
【0191】
また、排他制御部106は、いずれかのタッチスクリーン21において複数の箇所でタッチ操作が行われたと判断した場合に、送信部1105に対して、当該タッチスクリーン21以外のタッチスクリーン21に、当該タッチスクリーン21が操作中であることを通知するメッセージを表示するように指示を送出する。メッセージの詳細については後述する。
【0192】
このようにして、排他制御部106は、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合に、第2タッチスクリーン21bに対する操作を受け付けない。また、排他制御部106は、第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合に、第1タッチスクリーン21aに対する操作を受け付けない。
【0193】
本実施形態の第2の表示制御部1104は、第1の実施形態の機能を備えた上で、いずれかのタッチスクリーン21においてコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合、つまり、排他制御部106によって他のタッチスクリーン21の操作が排他制御される場合に、当該タッチスクリーン21が操作中であることを通知するメッセージを、他のタッチスクリーン21に表示する。
【0194】
具体的には、本実施形態の第2の表示制御部1104は、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合に、第1タッチスクリーン21aが操作中であることを通知するメッセージを、第2タッチスクリーン21bに表示する。また、第2の表示制御部1104は、第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合に、第2タッチスクリーン21bが操作中であることを通知するメッセージを、第1タッチスクリーン21aに表示する。
【0195】
図13は、本実施形態に係る画面表示の一例を示す図である。図13に示す例では、ユーザ6aが、第1タッチスクリーン21aのタッチ位置P3とタッチ位置P4とをタッチ操作している。この場合、第2の表示制御部1104は、シャドー画像23c,23dとメッセージ24とを含む画像を生成する。そして、第1仮想OS111は、第2表示装置2bを制御して、当該画像を第2タッチスクリーン21bに表示させる。シャドー画像23c,23dは、それぞれ、タッチ位置P1とタッチ位置P3とのタッチ座標に対応する位置に表示されるものとする。
【0196】
メッセージ24は、第1タッチスクリーン21aが操作中であることを通知するメッセージである。図13では、一例として「もう一方のディスプレイで操作中のため、しばらくお待ちください。」と表示しているが、メッセージ24の文言はこれに限定されるものではない。
【0197】
図12に戻り、本実施形態の送信部1105は、第1の実施形態の機能を備えた上で、いずれかのタッチスクリーン21においてコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合、つまり、排他制御部106によって他のタッチスクリーン21の操作が排他制御される場合に、当該タッチスクリーン21以外のタッチスクリーン21に対するタッチ位置Pを示すタッチ座標を情報端末3に送信することを停止する。
【0198】
図13に示した例では、ユーザ6bが第2タッチスクリーン21b上のタッチ位置P4をタッチ操作しているが、送信部1105は、タッチ位置P4を示すタッチ座標を情報端末3に送信しない。このため、第2タッチスクリーン21bに対するユーザ6bの操作は排他制御される。なお、図13に示した例では、表示制御装置1は、シャドー画像23c,23dとメッセージ24とを第2タッチスクリーン21bに表示しているが、メッセージ24のみを第2タッチスクリーン21bに表示するとしてもよい。
【0199】
次に、以上のように構成された本実施形態の表示制御システムSにおける表示制御処理の流れについて説明する。
【0200】
図14は、本実施形態に係る表示制御システムSにおける表示制御処理の流れの一例を示すシーケンス図である。S1001のミラーリングの開始から、S1006のシャドー画像23の生成処理までは、図13で説明した第1の実施形態の処理と同様である。なお、S1004のタッチ操作においては、図13に示すタッチ位置P3がタッチ操作されたものとする。
【0201】
本実施形態の表示制御装置1の排他制御部106は、第1表示装置2aから送信されたタッチ座標の数をカウントすることにより、第1タッチスクリーン21aのタッチ箇所(接触箇所)の数をカウントする(S1101)。S1101の時点では、第1タッチスクリーン21aにおけるタッチ箇所は1箇所のみであるため、排他制御部106は、排他制御を実施しない。
【0202】
また、S1007のシャドー画像23(例えば、図13に示すシャドー画像23c)の表示から、S1011の変更後のコンテンツ画像30の表示までは、第1の実施形態の処理と同様である。
【0203】
次に、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aにおいて、コンテンツ画像30が表示された範囲内の2箇所目がタッチ操作された場合(S1102)、第1表示装置2aは、表示制御装置1に対して、コンテンツ画像30におけるタッチ位置P(例えば、図13に示すタッチ位置P4)を示すタッチ座標と、第1タッチスクリーン21aを示すタッチスクリーン識別情報とを送信する(S1103)。表示制御装置1の第2の取得部103は、第1表示装置2aから送信されたタッチ座標と、タッチスクリーン識別情報とを受信する。また、第2の取得部103は、受信したタッチ座標と、タッチスクリーン識別情報とを対応付けて、排他制御部106と、第2の表示制御部1104と送信部1105とに送出する。
【0204】
S1104のシャドー画像の生成の処理は、S1006の処理と同様である。そして、排他制御部106は、第1表示装置2aから送信されたタッチ座標の数をカウントすることにより、第1タッチスクリーン21aのタッチ箇所の数をカウントする(S1105)。ここで、第1表示装置2aから、第1タッチスクリーン21aにおける2箇所のタッチ位置P3,P4を示すタッチ座標が送信されため、排他制御部106は、第1タッチスクリーン21aにおいて複数の箇所でタッチ操作が行われたと判断する。この場合、排他制御部106は、第2タッチスクリーン21bに対する排他制御を開始する(S1106)。
【0205】
また、この場合に、第1タッチスクリーン21aに対する操作は制限されないため、第1タッチスクリーン21aに対するタッチ座標を情報端末3に送信するS1107の処理は、S8と同様に実行される。
【0206】
次に、第1仮想OS111は、第2表示装置2bを制御して、シャドー画像23dとメッセージ24とを、第2タッチスクリーン21bに表示させる(S1108)。
【0207】
ここで、ユーザ6bが、第2タッチスクリーン21bのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内のタッチ位置P4をタッチ操作したとする(S1109)。この場合、第2表示装置2bは、表示制御装置1に対して、タッチ位置P4を示すタッチ座標と、第2タッチスクリーン21bを示すタッチスクリーン識別情報とを送信する(S1110)。しかしながら、排他制御部106によって排他制御が実施されているため、当該タッチ座標は、情報端末3に対して送信されない。また、排他制御部106による排他制御は、例えば、第1タッチスクリーン21aのタッチ箇所が1箇所以下になった場合に、終了するものとする。
【0208】
図14では、第1タッチスクリーン21aが複数個所タッチ操作された場合を例として説明したが、第2タッチスクリーン21bが複数個所タッチ操作された場合には、第1タッチスクリーン21aが排他制御されるものとする。また、図14では、第1タッチスクリーン21aが複数個所タッチ操作された場合を例として説明したが、第1タッチスクリーン21aが1点でのみタッチされた場合に、第2タッチスクリーン21bが排他制御されるとしてもよい。
【0209】
このように、本実施形態の表示制御装置1では、第1タッチスクリーン21aのうちコンテンツ画像30が表示された範囲内の複数の箇所でタッチ操作が行われた場合に、第2タッチスクリーン21bに対する操作を排他制御すると共に、第1タッチスクリーン21aが操作中であることを通知するメッセージ24を、第2タッチスクリーン21bに表示する。このため、本実施形態の表示制御装置1によれば、いずれかのタッチスクリーン21において、ユーザ6がピンチインまたはピンチアウト等の複数個所をタッチする操作を実施する場合に、他のユーザが他のタッチスクリーン21に対して実施する操作の影響によってユーザ6の意図しない動作が実行されることを抑制する。また、本実施形態の表示制御装置1によれば、メッセージ24を表示することにより、排他制御された他のタッチスクリーン21を使用する他のユーザが、タッチ操作が受け付けられない理由を他のタッチスクリーン21の不具合であると誤認することを抑制する。
【0210】
なお、本実施形態では、第1の実施形態の表示制御装置1に排他制御の機能が追加される例を説明したが、第2の実施形態の第1表示制御装置1aおよび第2表示制御装置1bに排他制御の機能が追加されても良い。
【0211】
(変形例1)
上述の各実施形態では、ハイパーバイザー110が各仮想OSを管理するネイティブ型の形式で説明したが、ハイパーバイザー110の型はこれに限定されるものではない。
【0212】
例えば、表示制御装置1は、他の仮想OSを管理する管理OSを備えても良い。管理OSはハイパーバイザー110の制御の下動作する仮想OSであり、管理ゲストOSともいう。
【0213】
当該構成を採用する場合、管理OSは、第1仮想OS111および第2仮想OS112のうちの少なくとも1つに関連する障害の発生を検出する障害検出アプリの実行を制御する。
【0214】
また、第1仮想OS111および第2仮想OS112のうちの少なくとも1つに関連する障害の発生が検出された場合、障害検出アプリは、障害の発生が検出された第1仮想OS111または第2仮想OS112を復旧させるための処理を、障害の発生が検出された第1仮想OS111または第2仮想OS112に対して実行する。
【0215】
管理OSは、本開示における第3オペレーティングシステムの一例である。また、障害検出アプリは、本開示における第4アプリケーションの一例である。
【0216】
本変形例の表示制御装置1によれば、ハイパーバイザー110が管理OSを制御する仮想化形式に適した形式で、第1仮想OS111または第2仮想OS112の障害を検出する処理を実行することができる。
【0217】
(変形例2)
また、ハイパーバイザー110が管理OSを制御するのではなく、ハイパーバイザー110と並列の階層に管理OSが存在しても良い。例えば、プロセッサ10上で管理OSと、ハイパーバイザー110とがそれぞれ動作する構成を採用しても良い。
【0218】
(変形例3)
また、ハイパーバイザー110上で動作する仮想OSではなく、プロセッサ10上で動作するネイティブアプリケーションが、障害検出アプリとして、各仮想OSを管理しても良い。例えば、プロセッサ10上で動作するホストOS上で、ネイティブアプリケーションと、ハイパーバイザー110とがそれぞれ動作する構成を採用しても良い。
【0219】
(変形例4)
また、ハイパーバイザー110ではなく仮想OS同士が互いに障害の発生の有無を監視する構成を採用しても良い。例えば、第1仮想OS111は、第2仮想OS112に関連する障害の発生を検出する第1障害検出アプリの実行をさらに制御する。また、第2仮想OS112は、第1仮想OS111に関連する障害の発生を検出する第2障害検出アプリの実行をさらに制御する。
【0220】
第1障害検出アプリは、本開示における第5アプリケーションの一例である。また、第2障害検出アプリは、本開示における第6アプリケーションの一例である。
【0221】
また、第2仮想OS112に関連する障害の発生が検出された場合、第1障害検出アプリは、第2仮想OS112を復旧させるための処理を第2仮想OS112に対して実行する。また、第1仮想OS111に関連する障害の発生が検出された場合、第2障害検出アプリは、第1仮想OS111を復旧させるための処理を第1仮想OS111に対して実行する。
【0222】
このような構成を採用する場合、ハイパーバイザー110の処理の一部をOS側で分担することになり、ハイパーバイザー110の処理負荷を軽減させることができる。
【0223】
(変形例5)
また、第1仮想OS111が、第1アプリ131および第2アプリ132の両方の実行を制御する構成を採用しても良い。
【0224】
例えば、ハイパーバイザー110は、車両4内に存在する情報端末3から、コンテンツ画像30を示す画像情報が受信された場合、画像情報、画像情報に基づくコンテンツ画像30を第1表示装置2aに表示させるための第1の制御情報、および、画像情報に基づくコンテンツ画像30を第2表示装置2bに表示させるための第2の制御情報を第1仮想OS111へ送信する。
【0225】
この場合、第1アプリ131は、画像情報に基づいて、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示されるコンテンツ画像30を生成する。また、第2アプリ132は、画像情報に基づいて、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示されるコンテンツ画像30を生成する。
【0226】
当該構成を採用する場合、第1表示装置2aと第2表示装置2bとがそれぞれ異なるアプリ、つまり第1アプリ131と第2アプリ132によって制御されるため、いずれかのアプリで不具合等が発生した場合に、全ての表示装置2が影響を受けることを回避することができる。
【0227】
(変形例6)
上述の各実施形態においては、第1オペレーティングシステムと第2オペレーティングシステムの両方が仮想OSである例を挙げたが、当該構成に限定されるものではない。例えば、第1オペレーティングシステムおよび第2オペレーティングシステムのうちの少なくとも1つが、仮想オペレーティングシステムであってよい。あるいは、第1オペレーティングシステムおよび第2オペレーティングシステムのいずれも、仮想OSではなくてもよい。
【0228】
(変形例7)
また、第1仮想OS111と第2仮想OS112とは、それぞれ異なる種類の仮想OSであっても良い。また、表示制御装置1に備えられた複数の仮想OSの種類は、各仮想OSが制御する複数の表示装置2ごとに異なっていても良い。例えば、第1表示装置2aを制御するために適した仮想OSの種類と、第2表示装置2bを制御するために適した仮想OSの種類とが異なる場合がある。このような場合は、表示制御装置1は、第1表示装置2aを制御するために適した種類の仮想OSと、第2表示装置2bを制御するために適した種類の仮想OSとを備えても良い。
【0229】
(変形例8)
また、第1仮想OS111と第2仮想OS112とは、処理の実行に関する堅牢性が異なっても良い。例えば、変形例5のように1つのOSが第1アプリ131と第2アプリ132の両方の実行を制御する場合には、より堅牢性の高いOSでこれらのアプリの実行を制御しても良い。
【0230】
(変形例9)
また、第1仮想OS111と第2仮想OS112とは、処理の実行に関するリアルタイム性が異なっても良い。
【0231】
(変形例10)
また、上述の各実施形態においては、ミラーリングの技術によって、情報端末3のディスプレイ31に表示されたコンテンツ画像30と同じコンテンツ画像30が、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bに表示されるものとしたが、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bに表示されるコンテンツ画像30はこれに限定されるものではない。
【0232】
例えば、表示制御装置1は、ミラーリング以外の技術によって、第1表示装置2aおよび第2表示装置2bにコンテンツ画像30を表示させてもよい。この場合、第1表示装置2aの第1タッチスクリーン21aに表示される第1コンテンツ画像と、第2表示装置2bの第2タッチスクリーン21bに表示される第2コンテンツ画像はそれぞれ異なる画像であっても良い。
【0233】
(変形例11)
また、上述の各実施形態においては、表示制御システムSは、2台の表示装置2を備えるものとしたが、表示装置2の数はこれに限定されるものではなく、例えば3台または10台などであってもよい。また、第1表示装置2aと第2表示装置2bの設置位置は、図1等に図示した例に限定されるものではない。例えば、本実施形態の表示制御システムSは、車両4に搭載されなくとも良い。
【0234】
(変形例12)
また、上述の各実施形態においては、ユーザ6によってタッチスクリーン21がタッチ操作された場合に、他のタッチスクリーン21上にシャドー画像23が表示されるものとしたが、シャドー画像23の代わりに、タッチスクリーン21がタッチ操作されていることを通知するメッセージが表示されてもよい。
【0235】
例えば、表示制御装置1の第2の表示制御部1104は、第1タッチスクリーン21aがタッチ操作されている場合に、第1タッチスクリーン21aがタッチ操作されていることを通知するメッセージを生成してもよい。そして、当該メッセージが第2タッチスクリーン21bに表示されても良い。本変形例においては、当該メッセージを、指標画像の一例とする。
【0236】
(変形例13)
また、上述の各実施形態においては、図2に示したように、各表示制御装置1が1つのプロセッサ10を備えるものとしたが、表示制御装置1のハードウェア構成はこれに限定されるものではない。例えば、表示制御装置1は、複数のプロセッサを備え、上述の各実施形態で説明した複数の処理を、複数のプロセッサに分散して実行しても良い。
【0237】
(変形例14)
また、上述の各実施形態においては、表示制御装置1側で第1タッチスクリーン21aと第2タッチスクリーン21bの表示制御、およびシャドー画像23の生成を実施していたが、これらの機能の全てまたは一部を第1表示装置2aおよび第2表示装置2bが実施するものとしても良い。
【0238】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、特許請求の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれ得る。
【符号の説明】
【0239】
1 表示制御装置
1a 第1表示制御装置
1b 第2表示制御装置
2a 第1表示装置
2b 第2表示装置
3 情報端末
4 車両
6,6a,6b ユーザ
10,10a,10b プロセッサ
11,11a,11b メモリ
12,12a,12b 入出力部
14,14a,14b 通信部
21a 第1タッチスクリーン
21b 第2タッチスクリーン
23,23a~23d シャドー画像
24 メッセージ
30 コンテンツ画像
31 ディスプレイ
50a,50b ケーブル
51 無線ネットワーク
101 第1の取得部
102 第1の表示制御部
103 第2の取得部
104,1104 第2の表示制御部
105,1105 送信部
106 排他制御部
110,110a,110b ハイパーバイザー
111 第1仮想OS
112 第2仮想OS
113 第3仮想OS
131 第1アプリ
132 第2アプリ
133 第3アプリ
P,P1~P4 タッチ位置
S 表示制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14