IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤフー株式会社の特許一覧

特許7491661通知装置、通知方法および通知プログラム
<>
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図1
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図2
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図3
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図4
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図5
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図6
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図7
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図8
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図9
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図10
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図11
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図12
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図13
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図14
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図15
  • 特許-通知装置、通知方法および通知プログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】通知装置、通知方法および通知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240521BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G08G1/09 D
G08G1/09 H
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018162171
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020035241
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 真由美
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】吉村 俊厚
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-56483(JP,A)
【文献】特開2014-99098(JP,A)
【文献】特開2009-107543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記信号情報を、前記自車とは異なる他車であって、前記自車の進行方向と交差する交差方向の道路に存在する他車に通知する通知部と
を備え、
前記生成部は、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知部は、
前記生成部によって生成された前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知装置。
【請求項2】
前記生成部は、
前記自車の進行方向に存在する信号機の表示状態を示す進行方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記通知部は、
前記生成部によって生成された前記進行方向信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知部と
を備え、
前記生成部は、
前記自車の進行方向に存在する信号機の表示状態を示す進行方向信号情報を生成し、生成した前記進行方向信号情報に基づき、前記進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知部は、
前記生成部によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記交差方向信号情報を、前記交差方向の道路に存在する他車に通知する
ことを特徴とする請求項3に記載の通知装置。
【請求項5】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成部と、
前記生成部によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知部と
を備え、
前記生成部は、
前記自車の進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知部は、
前記生成部によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記自車の進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を生成し、生成した前記交差方向信号情報に基づき、前記進行方向に存在する信号機の表示状態を示す進行方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記通知部は、
前記生成部によって生成された前記進行方向信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする請求項5に記載の通知装置。
【請求項7】
前記通知部は、
前記進行方向信号情報を、前記進行方向の道路に存在する他車に通知する
ことを特徴とする請求項6に記載の通知装置。
【請求項8】
前記通知部は、
前記交差方向信号情報を、前記交差方向の道路に存在する他車に通知する
ことを特徴とする請求項5~7のいずれか一つに記載の通知装置。
【請求項9】
前記自車の周囲を撮像する撮像部によって撮像された周囲画像の情報を取得する取得部
をさらに備え、
前記生成部は、
前記取得部によって取得された前記周囲画像の情報に基づいて、前記自車の周囲に存在する信号機の表示状態を示す前記信号情報を生成する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載の通知装置。
【請求項10】
前記生成部によって生成された前記信号情報に基づいて、光源部から光を照射させる照射制御部
をさらに備えることを特徴とする請求項1~9のいずれか一つに記載の通知装置。
【請求項11】
前記照射制御部は、
前記光源部から前記信号情報に対応する信号機へ光を照射させる
ことを特徴とする請求項10に記載の通知装置。
【請求項12】
前記照射制御部は、
前記光源部からレーザー光を照射させる
ことを特徴とする請求項10または11に記載の通知装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する通知方法であって、
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された前記信号情報を、前記自車とは異なる他車であって、前記自車の進行方向と交差する交差方向の道路に存在する他車に通知する通知工程と
を含み、
前記生成工程は、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知工程は、
前記生成工程によって生成された前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項14】
コンピュータが実行する通知方法であって、
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知工程と
を含み、
前記生成工程は、
前記自車の進行方向に存在する信号機の表示状態を示す進行方向信号情報を生成し、生成した前記進行方向信号情報に基づき、前記進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知工程は、
前記生成工程によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項15】
コンピュータが実行する通知方法であって、
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知工程と
を含み、
前記生成工程は、
前記自車の進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知工程は、
前記生成工程によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項16】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された前記信号情報を、前記自車とは異なる他車であって、前記自車の進行方向と交差する交差方向の道路に存在する他車に通知する通知手順と
をコンピュータに実行させ、
前記生成手順は、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知手順は、
前記生成手順によって生成された前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知プログラム。
【請求項17】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知手順と
をコンピュータに実行させ、
前記生成手順は、
前記自車の進行方向に存在する信号機の表示状態を示す進行方向信号情報を生成し、生成した前記進行方向信号情報に基づき、前記進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知手順は、
前記生成手順によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知プログラム。
【請求項18】
自車の周囲に存在する信号機の表示状態の視認性が低下している場合に、当該信号機の表示状態を示す信号情報を生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する通知手順と
をコンピュータに実行させ、
前記生成手順は、
前記自車の進行方向と交差する交差方向に存在する信号機の表示状態を示す交差方向信号情報を前記信号情報として生成し、
前記自車の周囲に存在する信号機の全てにおいて表示状態の視認性が低下している場合、情報処理規則に基づき前記自車と他車とが参加するオークションにより前記信号情報を算出し、算出された前記信号情報を、当該信号機の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報として自律的に生成し、
前記通知手順は、
前記生成手順によって生成された前記交差方向信号情報または前記仮想信号情報を他車に通知する
ことを特徴とする通知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知装置、通知方法および通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号機の表示に関する信号情報を車両に提供する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。従来技術にあっては、信号機を制御する制御機が信号情報を作成し、かかる信号情報を車両に送信して提供するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-33177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術において、車両は、例えば車両の種類や位置などによっては、信号機の制御機から送信される信号情報を受信できない、あるいは、精度良く受信できない場合がある。
【0005】
ところで、例えば寒冷地などでは、信号機に雪などが付着し、信号機の視認性が低下することがある。このような場合、車両においては、適切な信号機の表示状態を示す信号情報を得ることが望まれる。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、信号機の視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機の表示状態を示す信号情報を得ることができる通知装置、通知方法および通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る通知装置は、生成部と、通知部とを備える。生成部は、自車の周囲に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を生成する。通知部は、前記生成部によって生成された前記信号情報を前記自車とは異なる他車に通知する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、信号機の視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機の表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る通知処理の一例を示す説明図である。
図2図2は、通知処理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、車載装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、端末装置の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、画像情報記憶部の一例を示す図である。
図6図6は、信号情報記憶部の一例を示す図である。
図7図7は、制御部の処理を説明するための図である。
図8図8は、制御部の処理を説明するための図である。
図9図9は、光源部から光を照射させる処理を説明するための図である。
図10図10は、端末装置における通知処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、変形例に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。
図12図12は、変形例に係る端末装置の制御部の処理を説明するための図である。
図13図13は、変形例に係る優先度情報記憶部の一例を示す図である。
図14図14は、変形例に係る信号情報記憶部の一例を示す図である。
図15図15は、変形例に係る端末装置における通知処理の流れを示すフローチャートである。
図16図16は、プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る通知装置、通知方法および通知プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る通知装置、通知方法および通知プログラムが限定されるものではない。
【0011】
(実施形態)
〔1.通知処理〕
まず、実施形態に係る通知処理の一例について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る通知処理の一例を示す説明図である。図1では、本実施形態に係る通知装置の一例である端末装置10によって、実施形態に係る通知処理などが実行される例について説明する。すなわち、図1の例では、端末装置10は、例えば、信号機100の表示状態を示す信号情報を通知する処理などを行うことができる装置である。
【0012】
具体的には、図1に示すように、通知処理システム1には、複数台の端末装置10が含まれる。端末装置10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PC等の情報処理装置である。なお、図1に示す例では、端末装置10として、端末装置10aおよび端末装置10bの2台を示したが、これに限定されるものではなく、3台以上であってもよい。
【0013】
端末装置10a,10bはそれぞれ、車両Cに乗せられた状態であるものとする。詳しくは、端末装置10aは車両Caに乗せられ、端末装置10bは車両Cbに乗せられているものとする。
【0014】
また、端末装置10a,10b同士は、例えば、無線LAN、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信を介して、相互に通信可能に接続される。言い換えると、車両Ca,Cbは、車両C同士が通信を行う、いわゆる車車間通信を行うことができる。
【0015】
なお、以下では、特に区別する必要がない場合、端末装置10a,10bを「端末装置10」、車両Ca,Cbを「車両C」と記載する場合がある。また、以下において、車両Caに乗せられた端末装置10aにおける処理を例に挙げて説明するため、車両Caを「自車Ca」、車両Cbを「他車Cb」と記載する場合がある。
【0016】
図1に示す例において、自車Caおよび他車Cbは、交差点A付近にいるものとする。また、自車Caと他車Cbとでは、互いの進行方向が異なるものとする。具体的には、他車Cbの進行方向は、自車Caの進行方向と交差する交差方向であるものとする。
【0017】
また、交差点Aには、信号機100が設置される。すなわち、交差点A付近の自車Caおよび他車Cbの周囲には、信号機100が存在する。なお、以下では、自車Caの進行方向に存在する信号機100を「信号機100a」、自車Caの進行方向と交差する交差方向、言い換えると、他車Cbの進行方向に存在する信号機100を「信号機100b」と記載する場合がある。
【0018】
ところで、例えば寒冷地などでは、信号機100に雪などが付着し、信号機100の視認性が低下することがある。例えば、信号機100は、近年、発熱量が比較的少ないLED素子を光源として用いることが多いため、雪などが付着しやすくなっており、信号機100が雪に覆われることで、視認困難になることがある。すなわち、車両Cの運転者は、例えば雪の日に信号がわからないことがある。
【0019】
このような場合、車両Cにおいては、適切な信号機100の表示状態を示す信号情報を得ることが望まれる。そこで、本実施形態に係る端末装置10(通知装置の一例)にあっては、信号機100の視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100の表示状態を示す信号情報を得ることができるような構成とした。
【0020】
なお、図1の例では、信号機100a,100bのうち、信号機100bに雪などが付着して視認性が低下しているものとする。なお、図1等では、理解の便宜のため、雪などが付着して視認性が低下した状態の信号機100bを網掛けで示している。
【0021】
従って、図1の例では、他車Cbの運転者にとって、自身の進行方向に存在する信号機100bの表示状態が見えにくい状態である一方、自車Caの進行方向に存在する信号機100aは雪が付着しておらず、自車Caの運転者にとって、自身の進行方向に存在する信号機100aの表示状態が見える状態を示している。
【0022】
本実施形態において、自車Caの端末装置10aは、自車Caの周囲を撮像した周囲画像の情報を取得する(ステップS1)。なお、周囲画像は、後述するように、端末装置10aが備える撮像部23(図4参照)によって撮像される画像であるが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、自車Caを含む車両Cに、車両Cの周囲を撮像する車載撮像部(画像センサ(カメラ))が搭載されている場合、かかる車載撮像部から、周囲画像の情報を取得してもよい。
【0023】
次に、端末装置10aは、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する(ステップS2)。例えば、端末装置10aは、取得された周囲画像の情報に基づいて、信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する。
【0024】
ここでは、信号機100aは雪が付着しておらず、信号機100aの表示灯などが見える状態であることから、周囲画像には、例えば表示灯などが点灯あるいは点滅した信号機100aの表示状態が含まれることとなる。従って、端末装置10aは、周囲画像を解析し、周囲画像に自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態が含まれるため、かかる信号機100aの表示状態を示す信号情報を生成する。
【0025】
上記した信号情報には、例えば、信号機100の表示灯の色(例えば青色や赤色、黄色など)を示す情報が含まれるが、これに限られず、例えば、直進や右左折等を許可する矢印表示、表示灯に青色や赤色が表示されてからの経過時間などその他の種類の情報が含まれてもよい。なお、上記した、自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す信号情報を、以下では「進行方向信号情報」と記載する場合がある。
【0026】
また、例えば、端末装置10aは、上記で生成した進行方向信号情報に基づき、進行方向と交差する交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を信号情報として生成してもよい。
【0027】
例えば、端末装置10aは、進行方向信号情報に、信号機100aの表示灯が「青色」であることを示す情報が含まれる場合、交差方向に存在する信号機100bの表示灯は「赤色」と推定できることから、信号機100bの表示灯が「赤色」であることを示す情報を含む交差方向信号情報を生成する。
【0028】
そして、端末装置10aは、生成された信号情報を自車Caとは異なる他車Cbに通知する(ステップS3)。詳しくは、端末装置10aは、信号情報を他車Cbに乗せられた端末装置10bに送信して通知する。
【0029】
例えば、端末装置10aは、上記した進行方向信号情報および交差方向信号情報のうちの両方、あるいは、いずれか一方を他車Cbに通知することができる。すなわち、端末装置10aは、進行方向信号情報および交差方向信号情報のうち、少なくともいずれか一方を他車Cbに通知する。
【0030】
例えば、端末装置10aが進行方向信号情報を他車Cbに通知した場合、他車Cbの端末装置10bは、通知された進行方向信号情報に基づいて、自身の進行方向に存在する信号機100bの表示状態を推定することができる。すなわち、端末装置10bは、例えば、進行方向信号情報に、信号機100aの表示灯が「青色」であることを示す情報が含まれる場合、自身の進行方向に存在する信号機100bの表示灯は「赤色」と推定することができる。
【0031】
また、例えば、端末装置10aが交差方向信号情報を他車Cbに通知した場合、他車Cbの端末装置10bは、自身の進行方向に存在する信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0032】
このように、本実施形態にあっては、例えば、他車Cbの運転者から信号機100bを視認しにくいような場合であっても、他車Cbは、自車Caからの通知により、適切な信号機100(詳しくは信号機100b)の表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0033】
すなわち、本実施形態にあっては、車車間通信で自車Caの信号情報を他車Cbに教えてあげるようにし、これによって車車間通信などで雪でも交通信号の点灯状態を認識可能にするようにした。
【0034】
また、例えば、端末用のアプリケーション(以下、単に「アプリ」と称する)が端末装置10aにインストールされる場合、上記した信号情報(信号データ)があれば、アプリ側で信号情報を出すことが可能、言い換えると、他車Cbに通知することが可能となる。
【0035】
なお、端末装置10bは、上記のようにして得られた信号機100bの表示状態を示す情報を、他車Cbの運転者などに画像や音声等によって提供することができるが、これについては後述する。
【0036】
なお、上記では、端末装置10を通知装置の一例とし、端末装置10において通知処理等が実行されるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、車両C自体に搭載される通信モジュールやナビゲーション装置など、各種の車載装置や車載端末を通知装置として機能させ、通知処理等が実行されるようにしてもよい。
【0037】
〔2.通知処理システム1〕
図2は、通知処理システム1の構成例を示す図である。図2に示すように、本実施形態に係る通知処理システム1は、上記した端末装置10、および、車載装置50を含む。端末装置10および車載装置50は、有線または無線で互いに通信可能に接続されるとともに、対応する車両Cに乗せられている、または搭載されている。例えば、端末装置10aおよび車載装置50aは車両(自車)Caに対応し、端末装置10bおよび車載装置50bは車両(他車)Cbに対応するものとする。
【0038】
なお、上記したように、端末装置10a,10b同士は、相互に通信可能に接続されるが、車載装置50a,50b同士も相互に通信可能に接続されてもよい。
【0039】
〔3.車載装置50〕
図3は、車載装置50の構成例を示すブロック図である。なお、図3および後述する図4では、車載装置50や端末装置10の説明に必要となる構成要素を示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。図3に示すように、車載装置50は、通信部60と、光源部61と、記憶部62と、制御部70(コントローラ)とを備える。
【0040】
〔3.1.通信部60〕
通信部60は、端末装置10などに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、端末装置10などとの間で情報の送受信を行う。なお、通信部60は、ネットワークと有線または無線で接続され、図示しない情報処理装置(サーバ)などとの間で情報の送受信を行ってもよく、かかる場合、通信部60は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。上記したネットワークは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)である。
【0041】
〔3.2.光源部61〕
光源部61は、光を照射する装置である。例えば、光源部61は、後述するように、雪などが付着して視認性が低下している信号機100に対して光を照射することができる。詳しくは、光源部61は、信号機100に対し、表示灯の色(例えば青色や赤色、黄色など)の光を照射することができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
なお、光源部61としては、レーザー光を照射するレーザー光源を用いることができるが、これに限られず、例えば、LED光源やキセノンランプ、ハロゲンランプなどその他の光を照射する装置であってもよい。また、光源部61は、信号機100に対して光を照射する専用の装置として車両Cに搭載されてもよいし、車両Cのヘッドライトなどの照明装置が光源部61として機能するようにしてもよい。
【0043】
〔3.3.記憶部62〕
記憶部62は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部62には、各種プログラムや設定データなどが記憶される。
【0044】
〔3.4.制御部70〕
制御部70は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部70は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部70は、送信部71と、受信部72と、処理部73とを備える。
【0045】
〔3.4.1.送信部71〕
送信部71は、例えば光源部61の状態(例えば、光源部61が照射している光の情報)など各種の情報を通信部60を介して端末装置10へ送信することができる。なお、例えば、車載装置50に上記した車載撮像部が含まれる場合、送信部71は、車載撮像部によって撮像された周囲画像の情報を端末装置10へ送信してもよい。
【0046】
〔3.4.2.受信部72〕
受信部72は、端末装置10から送信される、照射信号(後述)などの各種信号や情報を通信部60を介して受信することができる。
【0047】
〔3.4.3.処理部73〕
処理部73は、光源部61等を含め、車載装置50全体を制御する。例えば、処理部73は、受信部72によって受信された照射信号などに基づいて、光源部61を動作させて光を照射させることができる。
【0048】
〔4.端末装置10〕
次いで、上記した端末装置10の構成について具体的に説明する。図4は、端末装置10の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、端末装置10は、通信部20と、出力部21と、入力部22と、撮像部23と、記憶部30と、制御部40とを備える。
【0049】
〔4.1.通信部20〕
通信部20は、通信部20は、車載装置50や他の端末装置10などに双方向通信可能に接続する通信インターフェイスであり、車載装置50や他の端末装置10などとの間で情報の送受信を行う。なお、通信部20は、ネットワークと有線または無線で接続され、図示しない情報処理装置(サーバ)などとの間で情報の送受信を行ってもよく、かかる場合、通信部20は、例えばNIC等によって実現される。
【0050】
〔4.2.出力部21〕
出力部21は、例えば、他の端末装置10から通知された信号情報など各種の情報等を表示して出力する表示デバイスである。例えば、出力部21は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイである。また、出力部21は、タッチパネル式のディスプレイであるが、これに限定されるものではない。
【0051】
なお、出力部21には、表示デバイスに加えてまたは代えて、通知された信号情報など各種の情報等を音声で出力するスピーカが含まれてもよい。
【0052】
〔4.3.入力部22〕
入力部22は、端末装置10のユーザ(例えば車両Cの運転者)から各種操作を受け付ける入力デバイスである。入力部22は、例えば、文字や数字などを入力するためのボタン等を有する。また、出力部21がタッチパネル式のディスプレイである場合、出力部21の一部が入力部22として機能する。
【0053】
〔4.4.撮像部23〕
撮像部23は、車両Cの周囲を撮像することができる。なお、撮像部23としては、例えば、画像センサ(カメラ)を用いることができるが、これに限定されるものではない。また、撮像部23は、撮像した周囲画像の情報を制御部40に出力する。なお、撮像部23によって撮像される周囲画像は、静止画に限定されるものではなく、動画などであってもよい。
【0054】
〔4.5.記憶部30〕
記憶部30は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。本実施形態に係る記憶部30は、画像情報記憶部31と、信号情報記憶部32とを備える。
【0055】
〔4.5.1.画像情報記憶部31〕
画像情報記憶部31は、撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を記憶する。図5は、画像情報記憶部31の一例を示す図である。
【0056】
図5に示すように、画像情報記憶部31には、「画像ID」および「画像情報」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。
【0057】
「画像ID」は、周囲画像の情報を情報毎に識別するための識別情報である。「画像情報」は、撮像部23によって撮像された周囲画像の情報である。
【0058】
例えば、「画像情報」は、車両Cの周囲に存在する信号機100の画像を含む周囲画像の情報である。具体的には、自車Ca(図1参照)の端末装置10aの場合、画像情報記憶部31の「画像情報」は、自車Caの周囲に存在する信号機100(ここでは信号機100a,100b)の画像を含む周囲画像の情報である。
【0059】
なお、図5に示す例では、理解の便宜のため、「画像情報」を「周囲画像E1」といった抽象的な符号を用いて図示するが、「周囲画像E1」には具体的な情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な符号を図示する場合がある。
【0060】
図5では、画像情報記憶部31の画像ID「D01」は、画像情報が「周囲画像E1」である例を示している。
【0061】
〔4.5.2.信号情報記憶部32〕
図4の説明に戻ると、信号情報記憶部32は、信号機100の表示状態を示す信号情報を記憶する。詳しくは、信号情報記憶部32は、自車Caの周囲に存在する信号機100の情報を記憶する。図6は、信号情報記憶部32の一例を示す図である。
【0062】
図6に示すように、信号情報記憶部32には、「信号ID」、「信号機の位置」および「信号情報」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。
【0063】
「信号ID」は、信号情報を情報毎に識別するための識別情報である。「信号機の位置」は、車両Cに対する信号機100の位置を示す情報である。具体的には、自車Ca(図1参照)の端末装置10aの場合、信号情報記憶部32の「信号機の位置」は、自車Caに対する信号機100の位置である。従って、信号機100a(図1参照)の位置は、「信号機の位置」おいて進行方向となり、信号機100b(図1参照)の位置は、「信号機の位置」において交差方向となる。
【0064】
「信号情報」は、信号機100の表示状態を示す信号情報である。具体的には、自車Ca(図1参照)の端末装置10aの場合、「信号情報」には、自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報が信号情報として含まれ、また、自車Caの交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報が信号情報として含まれてもよい。
【0065】
図6では、信号情報記憶部32の信号ID「F01」は、信号機の位置が「進行方向」、信号情報が「進行方向信号情報H01」である例を示している。また、信号情報記憶部32の信号ID「F02」は、信号機の位置が「交差方向」、信号情報が「交差方向信号情報H02」である例を示している。
【0066】
なお、図6に示す例では、信号情報に「進行方向信号情報H01」および「交差方向信号情報H02」の両方が含まれるようにしたが、これに限られず、いずれか一方が含まれてもよい。
【0067】
〔4.6.制御部40〕
図4の説明に戻ると、制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。また、制御部40は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路等のハードウェアで構成されてもよい。制御部40は、取得部41と、生成部42と、通知部43と、照明制御部44と、提供部45とを備える。
【0068】
〔4.6.1.取得部41〕
取得部41は、周囲画像の情報を取得する。以下、取得部41を含む制御部40の処理について図4および図7を参照して説明する。図7は、制御部40の処理を説明するための図である。なお、図7では、信号機100bに雪などが付着して視認性が低下した状態の例を示している。また、図7では、他車Cbは、上記した自車Caの交差方向を進行方向とする他車Cb(図7では他車Cb1)の他に、自車Caと進行方向が同じで、自車Caの後方に存在する他車Cb2がいる例を示している。
【0069】
図4および図7の一点鎖線J11で示すように、端末装置10aの取得部41は、自車Caの周囲を撮像する撮像部23を動作させて自車Caの周囲を撮像し、撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を取得する(矢印J12参照)。なお、取得部41は、例えば、自車Caに車載撮像部が搭載されている場合、かかる車載撮像部から通信部20を介して周囲画像の情報を取得してもよい。
【0070】
そして、取得部41は、取得された周囲画像の情報を画像情報記憶部31に格納する(図5参照)。
【0071】
〔4.6.2.生成部42〕
生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する(図7の矢印J13参照)。例えば、生成部42は、画像情報記憶部31にアクセスして、取得部41によって取得された周囲画像の情報を読み込み、周囲画像の情報に基づいて信号情報を生成する。
【0072】
上記した周囲画像は、端末装置10aの撮像部23によって撮像されるため、自車Caから実際に見える信号機100の表示状態を含むこととなり、これによって生成部42は、自車Caから見える信号機100の表示状態に即した正確な信号情報を生成することができる。
【0073】
例えば、生成部42は、自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を信号情報として生成する。図7に示す例では、進行方向に存在する信号機100aは雪の付着などによって視認性が低下した状態ではないため、周囲画像には、表示灯などが点灯あるいは点滅した信号機100aの表示状態が含まれることとなる。従って、生成部42は、周囲画像を解析し、周囲画像に信号機100aの表示状態が含まれるため、信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を信号情報として生成する。
【0074】
また、例えば、生成部42は、生成した進行方向信号情報に基づき、交差方向信号情報を信号情報として生成してもよい。
【0075】
例えば、生成部42は、進行方向信号情報に、信号機100aの表示灯が「青色」や「黄色」であることを示す情報が含まれる場合、信号機100bの表示灯は「赤色」と推定できることから、信号機100bの表示灯が「赤色」であることを示す情報を含む交差方向信号情報を生成することができる。
【0076】
このように、生成部42は、周囲画像の情報から生成された進行方向信号情報を用いることで、例えば、雪などが付着して視認性が低下した信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を生成することができる。
【0077】
そして、生成部42は、生成した信号情報を信号情報記憶部32に格納する(図6参照)。
【0078】
〔4.6.3.通知部43〕
通知部43は、生成部42によって生成された信号情報を他車Cbに通知する。例えば、通知部43は、信号情報記憶部32にアクセスして、信号情報を読み込む。そして、例えば、通知部43は、信号情報として生成された交差方向信号情報を他車Cb1に通知する(図7の矢印J14参照)。詳しくは、通知部43は、交差方向信号情報を、交差方向の道路に存在する他車Cb1に通知する、正確には他車Cb1の端末装置10b1に通知する。
【0079】
これにより、他車Cb1は、雪などの付着によって信号機100bの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0080】
なお、上記では、通知部43は、交差方向信号情報を他車Cb1に通知するようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば、通知部43は、交差方向信号情報に加えて、あるいは代えて進行方向信号情報を他車Cb1に通知してもよい。
【0081】
また、例えば、通知部43は、信号情報を、交差方向の道路に存在する他車Cb1とは異なる他車Cb2に通知してもよい。詳しくは、通知部43は、信号情報として生成された進行方向信号情報を他車Cbに通知する(図7の矢印J15参照)。より詳しくは、通知部43は、進行方向信号情報を、自車Caと同じ進行方向の道路に存在する他車Cb2に通知する、正確には他車Cb2の端末装置10b2に通知する。
【0082】
これにより、他車Cb2は、適切な信号機100aの表示状態を示す信号情報を得ることができる。すなわち、例えば、信号機100aは、雪の付着状態によっては、自車Caからは表示灯が見えても、後続の他車Cb2からは見えにくく、信号機100aの視認性が低下している場合がある。この場合に、通知部43は、進行方向信号情報を他車Cb2に通知することで、他車Cb2は、視認性が低下している信号機100aについて、適切な信号情報を得ることができる。
【0083】
ここで、上記した図7の例では、自車Caの進行方向と交差する交差方向の信号機100bに雪などが付着して視認性が低下した状態を示したが、これに限られず、例えば、自車Caの進行方向に存在する信号機100aに雪などが付着して視認性が低下する場合もある。以下では、かかる場合の制御部40の処理について図4および図8を参照して説明する。
【0084】
図8は、制御部40の処理を説明するための図である。なお、図8では、信号機100aに雪などが付着して視認性が低下した状態の例を示している。
【0085】
図4および図8の一点鎖線J21で示すように、端末装置10aの取得部41は、自車Caの周囲を撮像する撮像部23を動作させて自車Caの周囲を撮像し、撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を取得する(矢印J22参照)。
【0086】
次に、生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する(図8の矢印J23参照)。例えば、生成部42は、自車Caの交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を信号情報として生成する。
【0087】
図8に示す例では、交差方向に存在する信号機100bは雪の付着などによって視認性が低下した状態ではないため、周囲画像には、表示灯などが点灯あるいは点滅した信号機100bの表示状態が含まれることとなる。従って、生成部42は、周囲画像を解析し、周囲画像に信号機100bの表示状態が含まれるため、信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を信号情報として生成する。
【0088】
また、例えば、生成部42は、生成した交差方向信号情報に基づき、進行方向信号情報を信号情報として生成してもよい。
【0089】
例えば、生成部42は、交差方向信号情報に、信号機100bの表示灯が「青色」や「黄色」であることを示す情報が含まれる場合、信号機100aの表示灯は「赤色」と推定できることから、信号機100aの表示灯が「赤色」であることを示す情報を含む進行方向信号情報を生成することができる。
【0090】
このように、生成部42は、周囲画像の情報から生成された交差方向信号情報を用いることで、例えば、雪などが付着して視認性が低下した信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を生成することができる。
【0091】
次に、通知部43は、生成部42によって生成された信号情報を他車Cbに通知する。例えば、通知部43は、信号情報として生成された進行方向信号情報を、他車Cbに通知する(図8の矢印J24参照)。詳しくは、通知部43は、進行方向信号情報を、進行方向の道路に存在する他車Cb2に通知する。
【0092】
これにより、他車Cb2は、雪などの付着によって信号機100aの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100aの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0093】
なお、上記では、通知部43は、進行方向信号情報を他車Cb2に通知するようにしたが、これに限られない。すなわち、例えば、通知部43は、進行方向信号情報に加えて、あるいは代えて交差方向信号情報を他車Cb2に通知してもよい。
【0094】
また、例えば、通知部43は、信号情報を他車Cb1に通知してもよい。詳しくは、通知部43は、信号情報として生成された交差方向信号情報を他車Cb1に通知する(図8の矢印J25参照)。詳しくは、通知部43は、交差方向信号情報を、交差方向の道路に存在する他車Cb1に通知する。
【0095】
これにより、他車Cb1は、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。すなわち、例えば、信号機100bは、雪の付着状態によっては、自車Caからは表示灯が見えても、交差方向の他車Cb1からは見えにくく、信号機100bの視認性が低下している場合がある。この場合に、通知部43は、交差方向信号情報を他車Cb1に通知することで、他車Cb1は、視認性が低下している信号機100bについて、適切な信号情報を得ることができる。
【0096】
このように、本実施形態にあっては、先頭車である自車Caのカメラ(撮像部23)が、交差する(直角方向の)交通の信号、すなわち、信号機100bを読み取れれば、他車Cb(ここでは他車Cb1)に伝達するようにした。
【0097】
なお、上記では、生成部42は、周囲画像の情報に基づいて信号機100の表示状態を推定したが、これに限定されるものではない。例えば、生成部42は、車両Cの位置情報や車速情報などを含むプローブデータから信号を推定してもよい、言い換えると、信号機100の表示状態を推定してもよい。また、通知部43は、推定された信号機100の表示状態を示す信号情報を、例えば、アプリ側で出すようにしてもよい。
【0098】
〔4.6.4.照明制御部44〕
図4の説明を続けると、照明制御部44は、車載装置50の光源部61(図3参照)を制御し、光源部61から光を照射させることができる。例えば、照明制御部44は、信号情報記憶部32にアクセスして信号情報を読み込み、生成部42によって生成された信号情報に基づいて、光源部61から光を照射させる。
【0099】
ここで、照明制御部44によって行われる、光を照射させる処理について、図9も参照しつつ説明する。図9は、光源部61から光を照射させる処理を説明するための図である。
【0100】
なお、図9では、自車Caの進行方向に存在する信号機100aに雪などが付着して視認性が低下した状態の例を示している。また、図9に示す例において、自車Caの端末装置10aでは、信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報が信号情報として生成されているものとする。
【0101】
図9に示す例の場合、二点鎖線J31で示すように、例えば、端末装置10aの照明制御部44は、光源部61から信号情報(ここでは進行方向信号情報)に対応する信号機100(ここでは信号機100a)へ光を照射させる。
【0102】
具体的には、照明制御部44は、進行方向信号情報に、例えば信号機100aの表示灯が「青色」であることを示す情報が含まれる場合、光源部61から青色の光を照射させることを示す照射信号を、通信部20を介して車載装置50に出力する。これにより、車載装置50の受信部72(図3参照)は、上記した照射信号を通信部60を介して受信し、処理部73(図3参照)は、受信された照射信号に基づいて、光源部61を動作させて青色の光を照射させる、詳しくは、光源部61から進行方向信号情報に対応する信号機100aへ青色の光を照射させる。なお、図9では、光が照射された信号機100aを黒塗りで示した。
【0103】
このように、本実施形態にあっては、光源部61から光を照射させることで、信号情報を他車Cb等に通知するようにしてもよい。
【0104】
これにより、例えば、自車Caおよび他車Cbを含む車両Cの運転者や交差点Aの歩行者などに対し、視認性が低下している信号機100aの表示状態を、光源部61から照射される光によって視覚的に認識させることが可能になる。
【0105】
また、上記したように、光源部61はレーザー光源が用いられるため、照明制御部44は、光源部61から信号機100へレーザー光を照射させる。言い換えると、照明制御部44は、例えば、信号(信号機100)についた雪にレーザー光で再描画する。
【0106】
これにより、例えば、照明制御部44は、信号機100aの表示灯の部分(図9の例では、信号機100aの左側の表示灯部分)など、光を局所的に照射させることができる。そのため、車両Cの運転者や歩行者などに対し、信号機100aの表示状態を視覚的により認識させやすくすることが可能になる。
【0107】
なお、図9に示す例では、照明制御部44は、光源部61から信号機100aに光を照射させるようにしたが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、例えば、自車Caの交差方向に存在する信号機100bに光を照射させるようにしてもよい。
【0108】
また、上記では、照明制御部44は、光源部61から信号機100に光を照射させるようにしたが、これに限られず、例えば、路面など信号機100以外の部分に光を照射させるようにしてもよい。
【0109】
〔4.6.5.提供部45〕
図4の説明を続けると、提供部45は、例えば車両Cの運転者など端末装置10のユーザに対して各種の情報を提供する。例えば、提供部45は、他の端末装置10から通知された信号情報を提供する。
【0110】
具体的には、例えば、提供部45は、他の端末装置10から通知された信号情報に基づいて出力部21を制御し、信号情報に含まれる信号機100の表示状態などを画像や音声等によって提供する。
【0111】
これにより、例えば、信号情報に視認性が低下した信号機100の表示状態が含まれる場合、車両Cの運転者など端末装置10のユーザは、かかる信号機100の表示状態を、容易に認識することが可能となる。
【0112】
〔5.端末装置10の処理フロー〕
次に、端末装置10における通知処理の手順について説明する。図10は、端末装置10における通知処理の流れを示すフローチャートである。
【0113】
図10に示すように、端末装置10の制御部40は、自車Caの周囲を撮像する撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を取得する(ステップS10)。続いて、制御部40は、周囲画像の情報に基づいて、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する(ステップS11)。
【0114】
次いで、制御部40は、生成された信号情報を他車Cbに通知する(ステップS12)。なお、信号情報が通知された他車Cb側の制御部40にあっては、通知された信号情報を、他車Cbの運転者などに提供してもよいことは既に述べた。
【0115】
次いで、制御部40は、光源部61から信号情報に対応する信号機100へ光(例えばレーザー光)を照射させる(ステップS13)。
【0116】
(変形例)
〔6.変形例に係る端末装置10〕
上述した実施形態においては、自車Caの周囲に存在する信号機100である、信号機100a,100bのいずれか一方に雪などが付着して視認性が低下する例を挙げたが、これに限定されるものではない。すなわち、信号機100a,100bの両方、言い換えると、自車Caの周囲に存在する信号機100全てに雪などが付着して視認性が低下する場合もある。
【0117】
変形例では、上記した、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態が所定の状態である場合、具体的には、信号機100の全ての表示状態が、視認性が低下しているような状態である場合の、端末装置10の処理について説明する。
【0118】
図11は、変形例に係る端末装置の構成例を示すブロック図である。また、図12は、変形例に係る端末装置10の制御部40の処理を説明するための図である。なお、以下においては、上記した実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図12では、信号機100aおよび信号機100bに雪などが付着して視認性が低下した状態の例を示している。
【0119】
図11および図12に示すように、端末装置10aの生成部42は、実施形態のように周囲画像から信号機100の実際の表示状態を示す信号情報を生成することが難しいため、信号機100の信号情報を仮想的に生成するようにした。言い換えると、変形例に係る生成部42は、実際の表示状態に関わらず、信号機100の信号情報を自律的に生成するようにした。
【0120】
また、例えば、車両Cが複数台ある場合に、車両Cの端末装置10ごとに信号機100の信号情報を仮想的に生成すると、生成された信号情報同士が互いに異なるなど、混乱が生じるおそれがある。そこで、変形例にあっては、自車Caと他車Cbとの間における所定の評価基準により信号情報を算出し、算出された当該信号情報を後述する仮想信号情報とするようにした。
【0121】
例えば、変形例では、所定の評価基準に基づく自車Caと他車Cbとの間における相対的な優先度、言い換えると、自車Caの他車Cbに対する優先度を設定し、かかる優先度に基づいて、信号情報を仮想的に生成するか否かを判定(決定)するようにした。なお、信号情報の算出は、上記した優先度によるものに限られず、例えば、所定の情報処理規則に基づく相互の同期によるものや、インタラクションによるものであってもよく、これらについては後述する。
【0122】
以下、詳しく説明すると、図11に示すように、記憶部30は、優先度情報記憶部33をさらに備える。優先度情報記憶部33は、自車Caの他車Cbに対する優先度に関する情報を記憶する。図13は、優先度情報記憶部33の一例を示す図である。
【0123】
図13に示すように、優先度情報記憶部33には、「優先度ID」および「優先度情報」のそれぞれの情報が含まれ、これらの情報は互いに関連付けられている。
【0124】
「優先度ID」は、優先度に関する情報を情報毎に識別するための識別情報である。「優先度情報」は、所定の評価基準に基づく自車Caと他車Cbとの間における相対的な優先度に関する情報である。
【0125】
例えば、「優先度情報」には、後述する信号機100の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報を生成する処理について、他車Cbより優先的に行うか否かを示す情報が含まれ、具体的には「優先度が高い」あるいは「優先度が低い」などを示す情報が含まれる。
【0126】
例えば、交差点A(図12参照)付近に存在する自車Caおよび他車Cbを含む車両Cの端末装置10a,10b同士で通信が行われ、複数の端末装置10(10a,10b)の中から1つの端末装置10がランダムに選択され、選択された端末装置10の優先度情報が「優先度が高い」、選択されないその他の端末装置10の優先度情報が「優先度が低い」と設定されるようにしてもよい。
【0127】
なお、優先度情報を設定する評価基準については、上記に限定されるものではない。すなわち、例えば、車両Cの運転者の特性(評価基準の一例)などその他の情報に基づいて、優先度情報が設定されてもよい。具体的には、例えば、車両Cの端末装置10a,10b同士で通信が行われ、予め登録されている各車両Cの運転者の免許情報に基づき、交通違反の点数や回数が少ない運転者、あるいは、優良ドライバーの認定がなされている運転者など、交通ルールを遵守する特性の運転者に対応する端末装置10の優先度情報が「優先度が高い」と設定されるようにしてもよい。なお、上記した優先度情報の設定は、例えば、取得部41または生成部42によって行われるが、これに限定されるものではない。
【0128】
図13では、優先度情報記憶部33の優先度ID「K01」は、優先度情報が「優先度情報L01」である例を示している。
【0129】
変形例について説明を続けると、図12に示すように、生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態が所定の状態である場合、優先度情報記憶部33にアクセスして自車の他車に対する優先度に関する情報を読み出し、かかる情報に基づいて、仮想信号情報を生成するか否かを判定(決定)する(矢印J41参照)。
【0130】
なお、所定の状態とは、上記したように、視認性が低下しているような状態であるが、これは、信号機100に雪などが付着した場合に限らず、例えば、災害時など信号機100の表示灯が消えて見えなくなるような場合なども含まれる。
【0131】
次いで、生成部42は、自車Caの他車Cbに対する優先度が高い場合、仮想信号情報を生成する、言い換えると、生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態が所定の状態である場合、当該信号機100の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報を信号情報として生成する(矢印J42参照)。このように、生成部42は、所定の評価基準に基づく自車Caと他車Cbとの間における相対的な優先度により信号情報を算出し、算出された信号情報を仮想信号情報とする。
【0132】
これにより、例えば、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生を抑制することができる。
【0133】
そして、生成部42は、生成した仮想信号情報を信号情報記憶部32に格納する。図14は、変形例に係る信号情報記憶部32の一例を示す図である。
【0134】
図14の例では、信号情報記憶部32の信号ID「F11」は、信号機の位置が「進行方向」、信号情報が「仮想信号情報(進行方向信号情報)H11」であることを示している。また、信号情報記憶部32の信号ID「F12」は、信号機の位置が「交差方向」、信号情報が「仮想信号情報(交差方向信号情報)H12」である例を示している。
【0135】
ここで、理解の便宜のため、「仮想信号情報(進行方向信号情報)H11」および「仮想信号情報(交差方向信号情報)H12」について、具体例を挙げて説明する。例えば、生成部42は、「仮想信号情報(進行方向信号情報)H11」に「信号機100aは1分間青信号となった後、1分間赤信号となるような表示状態を繰り返す」などの情報が含まれる一方、「仮想信号情報(交差方向信号情報)H12」に、逆に、「信号機100bは1分間赤信号となった後、1分間青信号となるような表示状態を繰り返す」など情報が含まれるように、仮想信号情報を生成し、信号情報記憶部32に格納する。
【0136】
なお、生成部42は、自車Caの他車Cbに対する優先度が低い場合、仮想信号情報を生成しないが、これに限られず、例えば、生成部42で仮想信号情報を生成するものの、通知部43で仮想信号情報を他車Cbに通知しないようにしてもよい。
【0137】
次に、通知部43(図11参照)は、生成部42によって生成された仮想信号情報を他車Cbに通知する。例えば、通知部43は、信号情報記憶部32の「仮想信号情報(進行方向信号情報)H11」を読み出し、かかる仮想信号情報を、他車Cbに通知する(図12の矢印J43参照)。詳しくは、通知部43は、仮想信号情報(進行方向信号情報)H11を、進行方向の道路に存在する他車Cb2に通知する。
【0138】
また、例えば、通知部43は、信号情報記憶部32の「仮想信号情報(交差方向信号情報)H12」を読み出し、かかる仮想信号情報を、他車Cbに通知する(図12の矢印J44参照)。詳しくは、通知部43は、仮想信号情報(交差方向信号情報)H12を、交差方向の道路に存在する他車Cb1に通知する。
【0139】
これにより、信号機100a,100bの全てにおいて視認性が低下しているような状態である場合であっても、自車Caおよび他車Cb1,Cb2を含む車両Cは、適切な信号機100a,100bの表示状態を示す信号情報(ここでは仮想信号情報)を得ることができる。
【0140】
以上から、変形例にあっては、自車Caおよび他車Cb1,Cb2を含む車両Cの運転者は、交差点Aにおいて、例えば、信号機100aは青信号と赤信号とを1分間隔で繰り返し、信号機100bは赤信号と青信号とを1分間隔で繰り返すことを共通で認識することが可能となる。従って、変形例にあっては、信号機100a,100bの全てにおいて視認性が低下しているような状態である場合であっても、交差点Aにおける車両Cの通行をスムーズにすることが可能となる。
【0141】
なお、上記では、仮想信号情報の内容を具体的に示したが、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0142】
また、上記したように、仮想信号情報とされる信号情報の算出は、優先度によるものに限られない。すなわち、例えば、生成部42は、所定の情報処理規則に基づく相互の同期により信号情報を算出し、算出された信号情報を仮想信号情報としてもよい。例えば、生成部42は、自車Caと他車Cbとの間で共通性のある結果が算出される所定の情報処理規則により信号情報を算出してもよい。
【0143】
具体的には、自車Caの端末装置10aおよび他車Cbの端末装置10bとが、例えばハッシュ関数や情報処理用の鍵などを用いて、同じロジック(所定の情報処理規則)で信号情報を算出して仮想信号情報とするように構成されてもよい。かかる構成により、例えば自車Caと他車Cbとの間で共通性のある結果が算出されることとなる、言い換えると、生成された仮想信号情報同士が異ならなくなる。
【0144】
これにより、例えば、上記した優先度情報を用いない構成とすることが可能になるとともに、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生を抑制することができる。
【0145】
また、生成部42は、インタラクションにより信号情報を算出し、算出された信号情報を仮想信号情報としてもよい。例えば、生成部42は、所定の情報処理規則に基づき自車Caと他車Cbとが参加する所定のインタラクションにより信号情報を算出してもよい。
【0146】
具体的には、例えば、車両Cの端末装置10a,10b同士が通信を行って、いわゆるフォグコンピューティングのような態様を取り、所定の情報処理規則に基づく投票やオークション(所定のインタラクションの一例)を行い、多数決等によって選択された端末装置10の生成部42が信号情報を算出してもよい。
【0147】
これにより、例えば、上記した優先度情報を用いない構成とすることが可能になるとともに、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生を抑制することができる。
【0148】
なお、上記した所定の評価基準や、所定の情報処理規則に基づく相互の同期、インタラクションによる信号情報の算出は、情報処理装置(サーバ。図示せず)を介さない端末装置10間での情報通信、いわゆるP2P(Peer to Peer)のような態様で行われるが、これに限らず、例えば、情報処理装置に各種情報が集約されて信号情報の算出が行われてもよい。
【0149】
また、変形例にあっては、上記した所定の評価基準による信号情報の算出、所定の情報処理規則に基づく相互の同期による信号情報の算出、および、インタラクションによる信号情報の算出を適宜に組み合わせてもよい。
【0150】
〔7.変形例に係る端末装置10の処理フロー〕
次に、変形例に係る端末装置10における通知処理の手順について説明する。図15は、変形例に係る端末装置10における通知処理の流れを示すフローチャートである。なお、図15では、優先度情報を用いて信号情報を算出して仮想信号情報とする場合を例に挙げて説明する。
【0151】
図15に示すように、端末装置10の制御部40は、ステップS10の処理で周囲画像の情報を取得した後、周囲画像の情報に、表示灯などが点灯あるいは点滅した信号機100の表示状態が含まれるか否かを判定する(ステップS10a)。
【0152】
制御部40は、周囲画像の情報に信号機100の表示状態が含まれると判定された場合(ステップS10a,Yes)、ステップS11~S13の処理に進む。他方、制御部40は、周囲画像の情報に信号機100の表示状態が含まれないと判定された場合(ステップS10a,No)、言い換えると、信号機100の表示状態が所定の状態である場合、優先度が他車Cbより高いか否かを判定する(ステップS10b)。
【0153】
制御部40は、優先度が他車Cbより高くない、すなわち、低いと判定された場合(ステップS10b,No)、以降の処理をスキップする。一方、制御部40は、優先度が他車Cbより高いと判定された場合(ステップS10b,Yes)、信号機100の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報を生成する(ステップS11a)。
【0154】
次いで、制御部40は、生成された仮想信号情報を他車Cbに通知する(ステップS12a)。なお、仮想信号情報が通知された他車Cb側の制御部40にあっては、通知された仮想信号情報を、他車Cbの運転者などに提供してもよい。
【0155】
次いで、制御部40は、ステップS13に進んだ後、処理を終了する。
【0156】
なお、上記した、所定の情報処理規則に基づく相互の同期により信号情報が算出される構成の場合、ステップS10bの処理が除去されてもよい。また、上記した、インタラクションにより信号情報が算出される構成の場合、ステップS10bの処理を、インタラクションにより自車Caの端末装置10が選択されたか否かを判定する処理に変更してもよい。
【0157】
なお、上記した実施形態および変形例では、端末装置10により通知処理などが実行されるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、端末装置10が行う通知処理などの各処理の一部または全部は、端末装置10などとネットワークを介して情報の送受信が可能な情報処理装置(サーバ。図示せず)によって行われてもよい。
【0158】
すなわち、例えば、情報処理装置は、自車Caの周囲を撮像する撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を取得し、取得された周囲画像の情報に基づいて、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成してもよい。また、例えば、情報処理装置は、生成された信号情報を他車Cbに通知してもよい。
【0159】
〔8.効果〕
端末装置10(通知装置の一例)は、生成部42と、通知部43とを備える。生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する。通知部43は、生成部42によって生成された信号情報を自車Caとは異なる他車Cbに通知する。
【0160】
これにより、信号機100の視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100の表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0161】
また、生成部42は、自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を信号情報として生成し、通知部43は、生成部42によって生成された進行方向信号情報を他車Cbに通知する。
【0162】
これにより、例えば、他車Cbは、視認性が低下している信号機100aについて、適切な信号情報を得ることができる。
【0163】
また、生成部42は、自車Caの進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を生成し、生成した進行方向信号情報に基づき、進行方向と交差する交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を信号情報として生成し、通知部43は、生成部42によって生成された交差方向信号情報を他車Cbに通知する。
【0164】
このように、生成部42は、例えば周囲画像の情報から生成された進行方向信号情報を用いることで、雪などが付着して視認性が低下した信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を生成することができる。また、通知部43は、交差方向信号情報を他車Cbに通知することで、他車Cbは、信号機100bの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0165】
また、通知部43は、交差方向信号情報を、交差する方向の道路に存在する他車Cb1に通知する。
【0166】
これにより、他車Cb1は、信号機100bの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を確実に得ることができる。
【0167】
また、生成部42は、自車Caの進行方向と交差する交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を信号情報として生成し、通知部43は、生成部42によって生成された交差方向信号情報を他車Cbに通知する。
【0168】
これにより、他車Cbは、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0169】
また、生成部42は、自車Caの進行方向と交差する交差方向に存在する信号機100bの表示状態を示す交差方向信号情報を生成し、生成した交差方向信号情報に基づき、進行方向に存在する信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を信号情報として生成し、通知部43は、生成部42によって生成された進行方向信号情報を他車Cbに通知する。
【0170】
このように、生成部42は、例えば周囲画像の情報から生成された交差方向信号情報を用いることで、雪などが付着して視認性が低下した信号機100aの表示状態を示す進行方向信号情報を生成することができる。また、通知部43は、進行方向信号情報を他車Cbに通知することで、他車Cbは、信号機100aの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100aの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0171】
また、通知部43は、進行方向信号情報を、進行方向の道路に存在する他車Cb2に通知する。
【0172】
これにより、他車Cb2は、雪などの付着によって信号機100aの視認性が低下するような場合であっても、適切な信号機100aの表示状態を示す信号情報を得ることができる。
【0173】
また、通知部43は、交差方向信号情報を、交差方向の道路に存在する他車Cb1に通知する。
【0174】
これにより、他車Cb1は、適切な信号機100bの表示状態を示す信号情報を得ることができる。すなわち、例えば、信号機100bは、雪の付着状態によっては、自車Caからは表示灯が見えても、他車Cb1からは見えにくく、信号機100bの視認性が低下している場合がある。この場合に、通知部43は、交差方向信号情報を他車Cb1に通知することで、他車Cb1は、視認性が低下している信号機100bについて、適切な信号情報を得ることができる。
【0175】
また、端末装置10は、自車Caの周囲を撮像する撮像部23によって撮像された周囲画像の情報を取得する取得部41をさらに備え、生成部42は、取得部41によって取得された周囲画像の情報に基づいて、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態を示す信号情報を生成する。
【0176】
これにより、生成部42は、正確な信号情報を生成することができる。すなわち、上記した周囲画像は、端末装置10の撮像部23によって撮像されるため、自車Caから実際に見える信号機100の表示状態を含むこととなり、これによって生成部42は、自車Caから見える信号機100の表示状態に即した正確な信号情報を生成することができる。
【0177】
また、生成部42は、自車Caの周囲に存在する信号機100の表示状態が所定の状態である場合、当該信号機100の仮想的な表示状態を示す仮想信号情報を信号情報として生成し、通知部43は、生成部42によって生成された仮想信号情報を他車Cbに通知する。
【0178】
これにより、例えば、自車Caの周囲に存在する信号機100の全てにおいて視認性が低下しているような状態である場合であっても、自車Caおよび他車Cb1,Cb2を含む車両Cは、適切な信号機100の表示状態を示す信号情報(ここでは仮想信号情報)を得ることができる。
【0179】
また、生成部42は、自車Caと他車Cbとの間における所定の評価基準、所定の情報処理規則に基づく相互の同期、および、インタラクションの少なくともいずれかにより信号情報を算出し、算出された信号情報を仮想信号情報とする。
【0180】
これにより、例えば、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生を抑制することができる。
【0181】
また、生成部42は、所定の評価基準に基づく自車Caと他車Cbとの間における相対的な優先度により信号情報を算出する。
【0182】
これにより、例えば、自車Caの他車Cbに対する優先度が高い場合に信号情報を算出して仮想信号情報を生成する一方、優先度が低い場合に信号情報を算出せずに仮想信号情報を生成しないようにすることが可能になり、よって複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生をより一層抑制することができる。
【0183】
また、生成部42は、自車Caと他車Cbとの間で共通性のある結果が算出される所定の情報処理規則により信号情報を算出する。
【0184】
これにより、例えば、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生をより一層抑制することができる。
【0185】
生成部42は、所定の情報処理規則に基づき自車Caと他車Cbとが参加する所定のインタラクションにより信号情報を算出する。
【0186】
これにより、例えば、複数の端末装置10ごとに互いに異なる仮想信号情報を生成してしまうなどの混乱の発生をより一層抑制することができる。
【0187】
また、端末装置10は、生成部42によって生成された信号情報に基づいて、光源部61から光を照射させる照明制御部44をさらに備える。
【0188】
このように、光源部61から光を照射させることで、信号情報を他車Cb等に通知することができる。また、例えば、自車Caおよび他車Cbを含む車両Cの運転者などに対し、視認性が低下している信号機100の表示状態を、光源部61から照射される光によって視覚的に認識させることが可能になる。
【0189】
また、照明制御部44は、光源部61から信号情報に対応する信号機100へ光を照射させる。
【0190】
これにより、例えば、自車Caおよび他車Cbを含む車両Cの運転者などに対し、視認性が低下している信号機100の表示状態を、視覚的により認識させることが可能になる。
【0191】
また、照明制御部44は、光源部61からレーザー光を照射させる。
【0192】
これにより、例えば、照明制御部44は、信号機100の表示灯の部分など、光を局所的に照射させることができる。そのため、車両Cの運転者などに対し、信号機100の表示状態を、視覚的により認識させやすくすることが可能になる。
【0193】
〔9.ハードウェア構成〕
上述した実施形態における端末装置10は、例えば図16に示すような構成のコンピュータ1000がプログラムを実行することによって実現される。
【0194】
図16は、プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1100、RAM(Random Access Memory)1200、ROM(Read Only Memory)1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、およびメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0195】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0196】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信部20に対応し、ネットワークを介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、ネットワークを介して他の機器へ送信する。
【0197】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、および、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0198】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、当該プログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0199】
コンピュータ1000が端末装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、図4,11に示す取得部41、生成部42、通知部43、照明制御部44および提供部45の各機能を実現する。
【0200】
コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、ネットワークを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0201】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0202】
〔10.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0203】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0204】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0205】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部41は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0206】
1 通知処理システム
10 端末装置
23 撮像部
41 取得部
42 生成部
43 通知部
44 照明制御部
50 車載装置
61 光源部
100 信号機
Ca 自車
Cb 他車
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16