(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】導電性端子および電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240521BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20240521BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20240521BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240521BHJP
H01G 4/236 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01G4/30 201H
H01G2/10 M
H01G4/224 100
H01G4/228 F
H01G4/236
(21)【出願番号】P 2019146407
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-04-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗丈
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信弥
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-056120(JP,A)
【文献】特開2011-040684(JP,A)
【文献】特開2016-162938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子電極が形成されたチップ部品を収容するケースの収容凹部の内側壁に沿って差し込まれて前記端子電極に接続される内側電極部と、前記内側電極部に連続して前記ケースの開口縁面に沿って形成してある開口縁電極部と、前記開口縁電極部に連続して前記ケースの外側面に沿って形成してある側面電極部とを具備する導電性端子であって、
前記内側電極部が、
前記開口縁電極部に連続する平板状の基端部と、
前記基端部の先端側に形成されて前記側面電極部から離れる方向に突出する湾曲部と、
前記基端部と前記湾曲部との境界部に形成されて前記基端部と前記湾曲部とを連続させる連続境界部と、を有し、
前記基端部と前記湾曲部とを所定の第1曲率半径(R1)で連続させる連続境界部の前記第1曲率半径(R1)が、0.5~15mmの範囲内にあり、
前記基端部の内面からの前記湾曲部の最大突出位置までの高さ(h)が0.48~0.6mmの範囲内であり、
前記内側電極部の長さ(z)が4.0~6.0mmの範囲内であり、
前記第1曲率半径(R1)による湾曲とは逆方向に湾曲する前記湾曲部の第2曲率半径(R2)が、1.0~6.0mmの範囲内であり、
前記内側電極部の厚み(t)が0.05~0.35mmの範囲内であり、
前記内側電極部の幅(w)が1.8~2.5mmの範囲内である導電性端子。
【請求項2】
前記第1曲率半径(R1)が、3.0~10mmの範囲内である請求項1に記載の導電性端子。
【請求項3】
前記第2曲率半径(R2)が、2.0~5.0mmの範囲内である請求項1または2に記載の導電性端子。
【請求項4】
前記内側電極部の厚み(t)が0.1~0.35mmの範囲内である請求項1~3のいずれかに記載の導電性端子。
【請求項5】
前記内側電極部の前記基端部には貫通孔が形成してある請求項1~4のいずれかに記載の導電性端子。
【請求項6】
前記内側電極部の前記基端部には、幅方向に沿って外側に突出する係合片が形成してある請求項1~5のいずれかに記載の導電性端子。
【請求項7】
前記内側電極部の表面には、ハンダ付着防止処理がなされている請求項1~6のいずれかに記載の導電性端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどのチップ部品が収容されるケースを有する電子部品と、その電子部品に用いられる導電性端子に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミックコンデンサなどの電子部品としては、単体で直接基板等に面実装等する通常のチップ部品の他に、たとえば特許文献1に示すように、複数のチップ部品に金属製のキャップ(金属端子)が取り付けられた電子部品が知られている。
【0003】
金属端子が取り付けられている電子部品は、実装後において、チップ部品が基板から受ける変形応力を緩和したり、チップ部品を衝撃等から保護する効果を有することが報告されており、耐久性および信頼性等が要求される分野において使用されている。
【0004】
しかしながら、従来の電子部品では、チップ部品を同時に金属端子に接続するための作業が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、金属端子などの導電性端子に対してチップ部品を極めて容易に接続することが可能な電子部品と、その電子部品に用いられて好適な導電性端子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る導電性端子は、
端子電極が形成されたチップ部品を収容するケースの収容凹部の内側壁に沿って差し込まれて前記端子電極に接続される内側電極部と、前記内側電極部に連続して前記ケースの開口縁面に沿って形成してある開口縁電極部と、前記開口縁電極部に連続して前記ケースの外側面に沿って形成してある側面電極部とを具備する導電性端子であって、
前記内側電極部が、
前記開口縁電極部に連続する平板状の基端部と、
前記基端部の先端側に形成されて前記側面電極部から離れる方向に突出する湾曲部と、
前記基端部と前記湾曲部との境界部に形成されて前記基端部と前記湾曲部とを連続させる連続境界部と、を有する。
【0008】
本発明に係る導電性端子は、内側電極部と、開口縁電極部と、側面電極部とを具備する。したがって、本発明の端子電極は、ケースの収容凹部の内部に容易に取り付けることができる。
【0009】
また、電子部品を組み立てる場合には、ケースの一面のみに設けられた開口面からチップ部品を収容部の内部に収容するのみで、導電性端子の内側電極部がチップ部品の端子電極に接続することができる。また、チップ部品の端子電極毎に導電性端子の内側接続部を接続することで、容易にチップ部品の並列接続、もしくは、直列接続を実現することができる。
さらに、導電性端子の開口縁電極部と側面電極部とが、ケースの外部に引き出されるため、ケースの収容凹部を構成する壁面に貫通孔などを設ける必要がない。そのため、ケースの収容凹部を、樹脂の充填空間としても使用することができる。
また、ケースの外部に露出している開口縁電極部または側面電極部を、実装用の電極面として用いることができる。特に、側面電極部を実装用の電極面として用いることで、回路基板(外部回路)への電子部品の固着強度を向上させることができる。また、側面電極部とケースの側壁外面との間に隙間などを形成することで、電子部品の共振などを抑制することが容易になる。
また、導電性端子の開口縁電極部と側面電極部とが、ケースの外部に引き出されるため、複数の電子部品のケース同士を重ねて配置することで、複数の電子部品の導電性端子同士を相互に接続することもできる。さらに、複数の電子部品のケース同士を並べて配置することで、異なるケースの導電性端子同士を相互に接続することもできる。すなわち、電子部品の実装の自由度も向上する。
【0010】
さらに本発明の導電性端子では、内側電極部に湾曲部が形成してあることから、内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、これらをハンダや導電性接着剤などの接続部材で接続する必要がなくなる。ハンダを用いないで端子と電極とを接続することができるため、端子の材料として銅や銅合金などを用いることが可能になり、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。また、ハンダを用いないので、熱膨張差などによりチップ部品にクラックなどが生じるおそれを低減することができる。
【0011】
好ましくは、前記基端部と前記湾曲部とを所定の第1曲率半径(R1)で連続させる連続境界部の前記第1曲率半径(R1)が、0.5~15mmの範囲内にあり、
前記基端部の内面からの前記湾曲部の最大突出位置までの高さ(h)が0.48~0.6mmの範囲内であり、
前記内側電極部の長さ(z)が4.0~6.0mmの範囲内である。
【0012】
このように構成することで、湾曲部のスプリング力が適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力を低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0013】
好ましくは、前記第1曲率半径(R1)が、3.0~10mmの範囲内である。このように構成することで、湾曲部のスプリング力がさらに適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力をさらに低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0014】
好ましくは、前記第1曲率半径(R1)による湾曲とは逆方向に湾曲する前記湾曲部の第2曲率半径(R2)が、1.0~6.0mmの範囲内である。このように構成することで、湾曲部のスプリング力がさらに適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力をさらに低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0015】
好ましくは、前記第2曲率半径(R2)が、2.0~5.0mmの範囲内である。このように構成することで、湾曲部のスプリング力がさらに適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力をさらに低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0016】
好ましくは、前記内側電極部の厚み(t)が0.05~0.35mmの範囲内であり、前記内側電極部の幅(w)が1.8~2.5mmの範囲内である。このように構成することで、湾曲部のスプリング力がさらに適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力をさらに低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0017】
好ましくは、前記内側電極部の厚み(t)が0.1~0.35mmの範囲内である。このように構成することで、湾曲部のスプリング力がさらに適切に保たれて、しかも、導電性端子に作用する応力をさらに低減することができる。その結果、導電性端子の内側電極部とチップ部品の端子電極とが湾曲部のスプリング力により圧接状態で接続され、しかも導電性端子の耐久性が向上する。
【0018】
前記内側電極部の前記基端部には貫通孔が形成してあってもよい。貫通孔を形成することで、開口縁電極部または側面電極部を回路基板などにハンダなどで接続する際に、内側電極部の方向へのハンダ上がりを貫通孔で防止することができる。すなわち、いわゆるハンダブリッジを有効に防止することができる。
【0019】
前記内側電極部の前記基端部には、幅方向に沿って外側に突出する係合片が形成してあってもよい。このように構成することで、導電性端子の内側電極部をケースの内部に挿入するのみで、ワンタッチ式にケースに係合片が係合し、ケースに対する端子の位置決めと強固な固定を容易に行うことができる。
前記内側電極部の表面には、ハンダ付着防止処理がなされていてもよい。このように構成することで、いわゆるハンダブリッジを有効に防止することができる。
【0020】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、
上記のいずれかに記載の導電性端子と、
端子電極が形成されたチップ部品と、
前記チップ部品が収容される収容凹部が内部に具備してあると共に、前記収容凹部の開口面に沿って開口縁面が具備してあるケースと、を有する。
本発明の電子部品を組み立てる場合には、ケースの一面のみに設けられた開口面からチップ部品を収容部の内部に収容するのみで、導電性端子の内側電極部がチップ部品の端子電極に接続することができる。また、チップ部品の端子電極毎に導電性端子の内側接続部を接続することで、容易にチップ部品の並列接続、もしくは、直列接続を実現することができる。
さらに、本発明の電子部品では、チップ部品がケースの収容凹部の内部に収容されるために、ケースによってチップ部品が保護され、電子部品の信頼性が向上する。また、導電性端子の開口縁電極部と側面電極部とが、ケースの外部に引き出されるため、ケースの収容凹部を構成する壁面に貫通孔などを設ける必要がない。そのため、ケースの収容凹部を、樹脂の充填空間としても使用することができる。
また、ケースの外部に露出している開口縁電極部または側面電極部を、実装用の電極面として用いることができる。特に、側面電極部を実装用の電極面として用いることで、回路基板(外部回路)への電子部品の固着強度を向上させることができる。また、側面電極部とケースの側壁外面との間に隙間などを形成することで、電子部品の共振などを抑制することが容易になる。
また、導電性端子の開口縁電極部と側面電極部とが、ケースの外部に引き出されるため、複数の電子部品のケース同士を重ねて配置することで、複数の電子部品の導電性端子同士を相互に接続することもできる。さらに、複数の電子部品のケース同士を並べて配置することで、異なるケースの導電性端子同士を相互に接続することもできる。すなわち、電子部品の実装の自由度も向上する。また、本発明の電子部品は、比較的にコンパクトである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る金属端子が取り付けられ電子部品の概略斜視図である。
【
図2A】
図2Aは
図1に示すケースを透明にして内部を示す電子部品の概略斜視図である。
【
図3】
図3は
図1に示すIII-III線に沿う電子部品の断面図である。
【
図4】
図4は
図1に示すIV-IV線に沿う電子部品の断面図である。
【
図5C】
図5Cは
図1に示す電子部品の実装状態のさらに他の例を示す正面図である。
【
図6A】
図6Aは本発明の他の実施形態に係る電子部品の実装状態の一例を示す側面図である。
【
図6B】
図6Bは
図6Aに示す実施形態に係る電子部品の実装状態の他の例を示す側面図である。
【
図6C】
図6Cは
図6Aに示す実施形態に係る電子部品の実装状態のさらに他の例を示す側面図である。
【
図7】
図7は本発明のさらに他の実施形態に係る電子部品の概略斜視図である。
【
図8A】
図8Aは
図7に示すケースを透明にして内部を示す電子部品の概略斜視図である。
【
図9】
図9は
図7に示すIX-IX線に沿う電子部品の断面図である。
【
図11】
図11は
図7に示す電子部品の実装状態の一例を示す一部透過側面図である。
【
図12】
図12は本発明の他の実施形態に係る電子部品の概略斜視図である。
【
図14】
図14は本発明の他の実施形態に係る電子部品の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0023】
第1実施形態
図1および
図2Aに示すように、本発明の第1実施形態に係る電子部品10は、2つのコンデンサチップ(チップ部品)20aおよび20bと、一対の個別金属端子(個別導電性端子)30および40と、共通金属端子(共通導電性端子)50と、絶縁ケース60とを有する。なお、個別金属端子30および40と共通金属端子50は、金属以外の導電性材料で構成された導電性端子で構成されてもよい。
【0024】
図2Aに示すように、コンデンサチップ20aおよび20bは、それぞれ略直方体形状であり、互いに略同一の形状およびサイズを有している。
図3に示すように、コンデンサチップ20aおよび20bは、それぞれ内部電極層26と誘電体層28とがY軸方向に沿って積層してある素子本体を有し、素子本体のX軸方向(長手方向)に互いに対向する第1および第2端面21,23には、それぞれ第1および第2端子電極22,24が形成してあり、積層方向に隣り合ういずれかの内部電極層26に接続してある。
【0025】
コンデンサチップ20aおよび20bにおける誘電体層28の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層28の厚みは、特に限定されないが、1μm~数百μmのものが一般的である。本実施形態では、各誘電体層28の厚みは、好ましくは1.0~5.0μmである。
【0026】
内部電極層26に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層28の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層26は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層26の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0027】
第1および第2端子電極22,24の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極22,24の厚みも特に限定されないが、通常10~50μm程度である。なお、第1および第2端子電極22,24の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていてもよい。
【0028】
コンデンサチップ20aおよび20bの形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。コンデンサチップ20aおよび20bは、たとえば、縦(
図2Aに示すX軸寸法)1.0~6.5mm×横(
図2Aに示すZ軸寸法)0.5~5.5mm×厚み(
図2Aに示すZ軸寸法)0.3~3.5mm程度である。複数のコンデンサチップ20aおよび20bの各々について、互いに大きさや形状が異なっていてもかまわない。なお、図面において、X軸とY軸とZ軸とは、相互に垂直である。
【0029】
図1および
図2Bに示すように、本実施形態では、絶縁ケース60は、直方体形状の筐体で構成され、Z軸の上方向に向けて開口する複数の収容凹部62a,62bを囲む外壁61と底壁63を有している。Y軸方向に隣り合う収容凹部62a,62bは、仕切壁64により大部分が仕切られているが、仕切壁64に設けられた連絡溝65により、相互に連通している。
【0030】
連絡溝65は、各収容凹部62a,62bにおけるX軸方向における一方側の内壁面に沿って形成してある。連絡溝65を通して、共通金属端子50の内側電極部52が各収容凹部62a,62bを跨ぐように内壁面に沿って収容凹部62a,62bの内部に取り付けてある。
【0031】
本実施形態では、連絡溝65のX軸方向の幅は、共通金属端子50の内側電極部52が差し込まれて固定できる程度の幅である。また、連絡溝65のZ軸方向の深さは、各収容凹部62a,62bのZ軸方向の深さと同程度である。本実施形態では、共通金属端子50は、連絡溝65を通して、収容凹部62a,62bの内部に差し込まれる内側電極部52のみで構成され、内側電極部52は、矩形の平板で構成してある。内側電極部52は、
図2Aに示すように、双方のコンデンサチップ20a,20bの第2端子電極24,24に接触して電気的に接続してある。
【0032】
図2Bに示すように、本実施形態では、絶縁ケース60の各収容凹部62a,62bの開口面は、Z軸方向の上面のみであり、各収容凹部62a,62bの外壁61と底壁63とには、ケース60の外部と通じる孔、切り欠き、溝、または開口が何ら形成されていない。絶縁ケース60の各収容凹部62a,62bの開口面に沿って、ケース60には、開口縁面66が、外壁61のZ軸方向の上面に具備してある。本実施形態では、開口縁面66は、仕切壁64のZ軸方向の上面に対して面一であるが、異なっていてもよい。
【0033】
図1および
図2Aに示すように、第1個別金属端子30は、絶縁ケース60の一方の収容凹部62aのX軸方向の他方の内側壁に沿って差し込まれる内側電極部32を有する。内側電極部32は、
図3に示すように、Y軸方向の一方のコンデンサチップ20aの第1端子電極22に接触して電気的に接続される。内側電極部32に連続して開口縁面66に沿って開口縁電極部34が形成してある。
【0034】
また、開口縁電極部34に連続して絶縁ケース60の外壁61の外側面(外側壁)に沿って側面電極部36が開口縁電極部34と一体に形成してある。本実施形態では、側面電極部36は、外壁61の外側面に沿ってZ軸方向に延びるように形成してある。なお、
図4に示すように、側面電極部36は、外壁61の外壁面に接触している必要はなく、外壁61の外壁面に所定の隙間で平行に配置してもよい。また、開口縁電極部34は、外壁の開口縁面66に接触していることが好ましいが、多少の隙間があってもよい。
【0035】
図1および
図2Aに示すように、第2個別金属端子40は、絶縁ケース60の他方の収容凹部62bのX軸方向の他方の内側壁に沿って差し込まれる内側電極部42を有する。内側電極部42は、
図3に示すように、Y軸方向の他方のコンデンサチップ20bの第1端子電極22に接触して電気的に接続される。内側電極部42に連続して開口縁面66に沿って開口縁電極部44が形成してある。
【0036】
また、開口縁電極部44に連続して絶縁ケース60の外壁61の外側面に沿って側面電極部46が開口縁電極部44と一体に形成してある。本実施形態では、側面電極部46は、外壁61の外側面に沿ってZ軸方向に延びるように形成してある。
【0037】
なお、側面電極部46は、側面電極部36と同様に、外壁61の外壁面に接触している必要はなく、外壁61の外壁面に所定の隙間で平行に配置してもよい。また、開口縁電極部44は、外壁の開口縁面66に接触していることが好ましいが、多少の隙間があってもよい。第1個別金属端子30と第2個別金属端子40とは、絶縁ケース60に対して、Y軸方向に所定間隔(仕切壁64のY軸方向の厚みに対応)で離れて取り付けられて絶縁される。
【0038】
本実施形態では、各収容凹部62a,62bのX軸方向の長さは、絶縁ケース60に端子30,40,50が取り付けられた状態で、各コンデンサチップ20a,20bの端子電極22,24が内側電極部32,42,52に圧接するように決定される。なお、各端子30,40,50の内側電極部32,42,52と収容凹部62a,62bの内壁面との間に、弾力性シートを介在させて、弾力性シートの変形により、各コンデンサチップ20a,20bの端子電極22,24が内側電極部32,42,52に圧接するようにしてもよい。
【0039】
また、各収容凹部62a,62bのY軸方向の幅は、コンデンサチップ20a,20bが各収容凹部62a,62bの内部に入り込めるように決定してある。また、各収容凹部62a,62bのZ軸方向の深さは、各収容凹部62a,62bの内部にコンデンサチップ20a,20bを収容した場合に、チップ20a,20bのZ軸方向の上端が、開口縁面66からZ軸方向の上部に飛び出さないように決定される。ただし、チップ20a,20bのZ軸方向の上端は、開口縁面66からZ軸方向の上部に多少飛び出してもよい。絶縁ケース60は、セラミック、ガラスあるいは合成樹脂などの絶縁体で構成されており、絶縁体は難燃性の材料で構成されていてもよい。
【0040】
本実施形態では、コンデンサチップ20aおよび20bを収容凹部62a,62b内に容易に収容することが可能となっている。このように、収容凹部62a,62b内にコンデンサチップ20aおよび20bを収容することにより、コンデンサチップ20aおよび20bを衝撃などから有効に保護することができる。
【0041】
本実施形態では、
図2Aに示すように、共通金属端子50は、金属端子30,40と対向する位置で、異なるコンデンサチップ20a,20bの第2端子電極24,24同士を接続する。第1個別金属端子30および第2個別金属端子40は、異なるコンデンサチップ20a,20bの第1個別金属端子22,22にそれぞれ接続してある。その結果、第1個別金属端子30と第2個別金属端子40との間では、コンデンサチップ20a,20bが直列に接続してある。
【0042】
第1個別金属端子30および第2個別金属端子40は、同一の構成を有し、それぞれ一枚の導電性板片(たとえば、金属板)を略C字形状に折曲成形して形成される。金属板の板厚としては、特に限定されないが、好ましくは0.01~2.0mm程度である。共通金属端子50を構成する金属板の厚みも、第1個別金属端子30および第2個別金属端子40と同程度である。
【0043】
本実施形態では、
図2Cおよび
図2Dに示すように、金属端子30(40)の内側電極部が、開口縁電極部34(44)に連続する平板状の基端部321(421)を有する。基端部321(421)には、貫通孔322(422)が形成してある。
【0044】
基端部321(421)の先端側には、側面電極部36(46)から離れる方向に突出する湾曲部320(420)が形成してある。湾曲部320(420)は、
図2Aに示すように、コンデンサチップ20a,20bの端子電極22に対して所定の弾性力(バネ力)で接触して電気的に接続される。
図2Dに示すように、基端部321(421)と湾曲部320(420)との境界部には、これらを連続させる連続境界部323(423)が形成してある。
【0045】
図2Dに示すように、基端部321(421)と湾曲部320(420)とを所定の第1曲率半径(R1)で連続させる連続境界部323(423)の第1曲率半径(R1)は、好ましくは、0.5~15mmの範囲内にあり、さらに好ましくは、3.0~10mmの範囲内である。
【0046】
また、基端部321(421)の内面からの湾曲部320(420)の最大突出位置までの高さ(h)は、好ましくは、0.48~0.6mmの範囲内であり、内側電極部のZ軸方向の長さ(z)は、好ましくは、4.0~6.0mmの範囲内である。
【0047】
さらに、第1曲率半径(R1)による湾曲とは逆方向に湾曲する湾曲部320(420)の第2曲率半径(R2)は、好ましくは、1.0~6.0mmの範囲内、さらに好ましくは、2.0~5.0mmの範囲内である。また、内側電極部の厚み(t)は、好ましくは、0.05~0.35mmの範囲内、さらに好ましくは、0.1~0.35mmの範囲内である。さらに、
図2Cに示すように、内側電極部32(42)のY軸方向の幅(w)は、好ましくは、1.8~2.5mmの範囲内である。
【0048】
本発明者は、
図2Cおよび
図2Dに示す6つの寸法R1,R2,h,z,t,wが、金属端子30(40)のバネ定数(k)に大きく影響することを見出し、下記の数式1からバネ定数(k)を計算式により算出できることを見出した。すなわち、複雑で時間が掛かるシミュレーションを行わなくても、上記の数値範囲であれば、下記の数式1を用いることで、金属端子30(40)のバネ定数(k)を算出できることを見出した。以下の数式1による計算で求めたバネ定数(k)は、シミュレーションの結果とほぼ一致することも確認された。
【0049】
【0050】
また、本発明者は、
図2Cに示す4つの寸法R1,R2,z,tと、湾曲部のX軸方向の変位Δxとが、金属端子30(40)に作用する応力に大きく影響することを見出し、下記の数式2から応力(σ)を計算式により算出できることを見出した。すなわち、複雑で時間が掛かるシミュレーションを行わなくても、上記の数値範囲であれば、下記の数式2を用いることで、金属端子30(40)の応力(σ)を算出できることを見出した。以下の数式2による計算で求めた応力(σ)は、シミュレーションの結果とほぼ一致することも確認された。なお、湾曲部のX軸方向の変位Δxは、好ましくは0.01~0.2、さらに好ましくは、0.05~0.15である。
【0051】
【0052】
本実施形態では、上述した数式1と数式2とを用いて、金属端子30(40)の湾曲部320(420)のバネ定数(k)と、金属端子30(40)の内側電極部32(42)に作用する応力(σ)とを容易に求めることができる。そのため、バネ定数(k)を最大限に大きくしつつ、応力(σ)を最小限にするための6つの寸法R1,R2,h,z,t,wを、繰り返しのシミュレーションを行うことなく、容易に見つけることができる。
【0053】
たとえばR1=10.0mm、R2=3.0mm、z=6.0mm、h=0.6mm、w=2.0mm、t=0.05mmの時には、上記の数式1からバネ定数(k)が0.13N/mmの結果が得られ、上記の数式2から応力σ(0.1mm変形時)が54.2MPaの結果が容易に得られる。この結果から、この金属端子30(40)の応力は低くて良好であるが、バネ定数が低すぎてよくないことが分かる。すなわち、この設計では、応力が低くて、安全係数が高いが、バネ定数が低いために撓みやすく、チップ部品の保持力が弱くなる。
【0054】
また、R1=3.0mm、R2=5.0mm、z=5.0mm、h=0.6mm、w=2.3mm、t=0.3mmの時には、上記の数式1からバネ定数(k)が101.8N/mmの結果が得られ、上記の数式2から応力σ(0.1mm変形時)が557.4MPaの結果が容易に得られる。この結果から、この金属端子30(40)のバネ定数が高くて良好であるが、応力も高すぎることが分かる。すなわち、この設計では、チップ部品の保持力は高くなるが、応力が高いため、安全係数が低く、耐久性に難点があることが分かる。
【0055】
さらに、R1=1.0mm、R2=5.0mm、z=5.0mm、h=0.6mm、w=2.3mm、t=0.1mmの時には、上記の数式1からバネ定数(k)が4.75N/mmの結果が得られ、上記の数式2から応力σ(0.1mm変形時)が1.34MPaの結果が容易に得られる。この結果から、この金属端子30(40)のバネ定数が比較的に高くて良好であるとともに、応力も比較的に低いことが分かる。すなわち、この設計では、チップ部品の保持力を高くできると共に、応力が低く、安全係数が高くなり、耐久性にも優れている。
【0056】
すなわち、本実施形態では、チップ部品の保持力が高く、しかも耐久性に優れた金属端子30(40)の設計が、極めて容易になる。
【0057】
以下に、電子部品10の製造方法について説明する。
各コンデンサチップ20aおよび20bは、一般的な積層セラミックコンデンサの製造方法により製造される。
【0058】
第1個別金属端子30の製造では、まず、平板状の金属板材を準備する。金属板材の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、たとえば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。次に、金属板材を機械加工することにより、内側電極部32、開口縁電極部34および側面電極部36の形状を付与した中間部材を得る。
【0059】
次に、機械加工により形成された中間部材の表面に、めっきによる金属被膜を形成することにより、第1個別金属端子30を得る。めっきに用いる材料としては、特に限定されないが、たとえばNi、Sn、Cu等が挙げられる。なお、第1個別金属端子30の製造では、帯状に連続する金属板材から、複数の第1個別金属端子30が、互いに連結された状態で形成されてもよい。第2個別金属端子40の製造方法も、第1個別金属端子30と同様である。
【0060】
共通金属端子50の製造方法では、前述の金属板材を機械加工することにより、共通金属端子50の形状を付与した中間部材を得て、これにめっきによる金属皮膜を形成すればよい。絶縁ケース60は、たとえば射出成形により製造することができる。
【0061】
上述のようにして得られた第1個別金属端子30、第2個別金属端子40および共通金属端子50を、絶縁ケース60に取り付ける。金属端子30,40は、それぞれの内側電極部32,42を、それぞれ絶縁ケース60の収容凹部62a,62bのX軸方向の片側に形成してある内壁面に沿って挿入することにより、絶縁ケース60に取り付けることができる。また、共通金属端子50は、その内側電極部52を連絡溝65に沿って、収容凹部62a,62bの内壁面に沿って挿入することにより、絶縁ケース60に取り付けることができる。
【0062】
最後に、それぞれの収容凹部62a,62bの内部に、コンデンサチップ20a,20bを開口部の上から挿入するのみで、
図1に示す電子部品10を製造することができる。
【0063】
本実施形態に係る電子部品10では、電子部品10を組み立てる場合には、絶縁ケース60の一面のみに設けられた開口面から複数のコンデンサチップ20a,20bを収容凹部62a,62bの内部に収容するのみでよい。また、共通金属端子50の内側接続部52を絶縁ケース60の内側壁に沿って装着することで、コンデンサチップ20a,20bの直列接続も容易に実現することができる。
【0064】
なお、共通金属端子50を用いることなく、それぞれの収容凹部62a,62bのX軸方向の両内壁面に、同じ個別金属端子30,40を装着することで、コンデンサチップ20a,20bの並列接続も可能になる。
【0065】
さらに、本実施形態の電子部品10では、個別金属端子30,40の開口縁電極部34,44と側面電極部36,46とが、絶縁ケース60の外部に引き出される。このため、ケース60の収容凹部62a,62bを構成する内壁面に貫通孔などを設ける必要がない。そのため、コンデンサチップ20a,20bが収容してあるケース60の収容凹部62a,62bの内部に溶融樹脂を充填しても、樹脂が貫通孔などからはみ出すことを有効に防止することができる。すなわち、本実施形態では、各収容凹部62a,62bを樹脂の充填空間としても使用することができる。
【0066】
また、本実施形態の電子部品10では、
図5Aおよび
図5Bに示すように、絶縁ケース60の外部に露出している個別金属端子30,40の側面電極部36,46を、実装用の電極面として用いることができる。特に、側面電極部36,46を実装用の電極面として用いることで、回路基板(外部回路)70の個別回路パターン72,72への電子部品10の固着強度を向上させることができる。
【0067】
回路基板(外部回路)70の個別回路パターン72,72と、電子部品10の側面電極部36,46とは、たとえばハンダ80などにより接続することができるが、ハンダ80以外の接続部材で接続してもよい。ハンダ80以外の接続部材としては、たとえば導電性接着剤、異方導電性テープなどが例示される。また、側面電極部36,46とケース60の側壁外面との間に隙間などを形成することで、電子部品10の共振などを抑制することが容易になる。
【0068】
なお、
図5Aおよび
図5Bに示すように、回路基板(外部回路)70の個別回路パターン72,72と、電子部品10の側面電極部36,46とを接続するためには、回路基板70の表面を、X軸に略垂直に配置する。
【0069】
本実施形態では、
図5Cに示すように、複数の電子部品10の絶縁ケース60同士を並べて配置することで、異なる絶縁ケース60の個別金属端子30,40同士を、回路基板70の共通回路パターン74で相互に接続することもできる。この場合には、合計4つのコンデンサチップ20a,20b,20a,20bを直列に接続することもできる。すなわち、電子部品10の実装の自由度も向上する。また、本実施形態の電子部品10は、比較的にコンパクトである。また、回路基板70の共通回路パターン74で接続する代わりに、第1個別金属端子30と第2個別金属端子40とを外部導体等で接続することでも、4つの直列回路となるコンデンサを構成できる。
【0070】
また本実施形態では、
図1に示すように、収容凹部62a,62bには、隣り合うコンデンサチップ20a,20bを仕切る仕切壁64が具備してあるため、コンデンサチップ20a,20bの取付が容易になると共に、隣り合うコンデンサチップ20a,20bの絶縁が容易になる。また、仕切壁64には、連絡溝65が形成してあることから、共通金属端子50の内側電極部52を収容凹部62a,62bの内部に容易に差し込むことが可能である。
【0071】
また本実施形態では、たとえば
図5Bに示すように、個別金属端子30,40の少なくとも内側電極部32,42の表面に、ハンダ付着防止処理がなされていることが好ましい。このように構成することで、ハンダ80がコンデンサチップ20a,20bの端子電極22付近まで入り込むことを抑制し、いわゆるハンダブリッジを有効に防止することができる。
【0072】
なお、側面電極部36,46の表面は、ハンダ付着防止処理はなされておらず、むしろハンダ80が付着しやすい表面処理(被膜形成を含む)が施してある。開口縁電極部34,44の表面に関しては、ケースバイケースであり、ハンダ付着防止処理を行うことで、ハンダのはい上がりを抑制することができるが、ハンダ80による固定を重視する場合には、ハンダ付着防止処理はしなくてもよい。ハンダ付着防止処理としては、ハンダ80が付着しやすい錫メッキ膜などの剥離処理などが例示される。
【0073】
また、本実施形態に係る電子部品10では、ハンダを用いることなく、金属端子30,40,50とコンデンサチップ20a,20bとの接続を行うことが可能である。このため、金属端子の材料として銅や銅合金などを用いることが可能になり、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。また、ハンダを用いないので、熱膨張差などによりコンデンサチップにクラックなどが生じるおそれを低減することができる。
【0074】
なお、開口縁電極部34,44を、個別回路パターン72、もしくは、共通回路パターン74に実装してもよい。この場合、ケース60の開口面が実装面側に配置されるので、ケース60が保護カバーとしての役割を果たすことができる。
【0075】
第2実施形態
図6A~
図6Cに示す実施形態に係る電子部品10aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態に係る電子部品10と同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
図6A~
図6Cにおいて、第1実施形態の電子部品10における各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0076】
本実施形態の電子部品10aでは、個別金属端子30a,40aは、側面電極部36,46に連続して開口縁面66と反対側に位置する絶縁ケース60の反開口面(底面)68に沿って形成してある反開口電極部38,48を、さらに有する。
【0077】
また、共通金属端子50aに関しては、内側電極部52に連続して開口縁面66に沿って形成してある開口縁電極部54と、開口縁電極部54に連続して絶縁ケース60の外側面に沿って形成してある側面電極部56とを、さらに具備する。また、この共通金属端子50aは、側面電極部56に連続して開口縁面66と反対側に位置するケースの反開口面68に沿って形成してある反開口側電極部58を、さらに有する。
【0078】
本実施形態の電子部品10aでは、
図6Aに示すように、反開口側電極部38,48,58を実装用の電極面として用いることも可能になる。すなわち、反開口側電極部38,48,58を、ハンダ80を介して、回路基板70の個別回路パターン72,72aなどに、それぞれ接続することもできる。なお、共通金属端子50aが接続する個別回路パターン72aは、他の回路パターンとは接続されないフローティングパターンであってもよい。
【0079】
なお、
図6Aで示されるように、共通金属端子50aが接続する個別回路パターン72aが、他の回路パターンと接続される場合、並列回路となる2つのコンデンサを構成できる。一方、共通金属端子50aが接続する個別回路パターン72aが、他の回路パターンと接続されないフローティングパターンの場合、直列回路となる2つのコンデンサを構成できる。また、個別金属端子30a,40aの反開口電極部38,48と、共通金属端子50aの反開口電極部58とが、個別回路パターン72,72aと接続することで、電子部品10aと回路基板70との実装強度を向上できる。また共振を防止することもできる。
【0080】
また、
図6Bに示すように、本実施形態の電子部品10aは、Z軸方向に複数で積み重ねて配置して接続してもよい。この場合には、上側に積み重ねられた電子部品10aの金属端子30a,40a,50aの反開口側電極部38,48,58が、下側に配置された電子部品10aの金属端子30a,40a,50aの開口縁電極部34,44,54に接続されることが好ましい。接続のための方法としては、特に限定されず、導電性接着剤、レーザ溶接、ハンダなどによる方法が考えられる。
【0081】
なお、
図6Bで示されるように、共通金属端子50aが接続する個別回路パターン72が、他の回路パターンと接続される場合、4つのコンデンサを4並列回路とすることができる。一方、共通金属端子50aが接続する個別回路パターン72aが、他の回路パターンと接続されないフローティングパターンの場合、4つのコンデンサを2直列2並列回路とすることができる。
【0082】
さらに、
図6Cで示される本実施形態の電子部品10aでは、絶縁ケース60の開口面をZ軸方向の下に向けて、金属端子30a,40a,50aの開口縁電極部34,44,54を、回路基板70の回路パターン72にハンダなどで接続してもよい。本実施形態の電子部品10aでは、回路基板などへの実装時のバリエーションを増やすことができる。また、ケース60の開口面が実装面側に配置されるので、ケース60が保護カバーとしての役割を果たすことができる。さらに、個別金属端子30a,40aの開口電極部34,44と共通金属端子50aの開口縁電極部54とが、個別回路パターン72,72aと接続することで、電子部品10aと回路基板70との実装強度を向上できる。また共振を防止することもできる。
【0083】
第3実施形態
図7~
図11に示す実施形態に係る電子部品10bは、以下に示す点を除いて、上述した実施形態の電子部品10または10aと同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
図7~
図11において、上述した実施形態の電子部品10または10aにおける各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0084】
本実施形態の電子部品10bでは、
図8Bに示すように、絶縁ケース60aは、仕切壁64により分離された複数の収容凹部62a,62bを有する。連絡溝65のZ軸方向の溝深さは、前述した実施形態の連絡溝65の溝深さよりも浅く形成してあり、底壁63が、複数の収容凹部62a,62b毎に分離して形成してある。また、連絡溝65とX軸方向の反対側に位置する各収容凹部62a,62bの開口面の角部には、それぞれ係合凸部67が形成してある。
【0085】
図8Cに示すように、共通金属端子50bは、一対の内側電極部52を有する。これらは、Z軸方向に延びるスリット53により分離され、連絡片525および開口縁電極部54により連結してある。開口縁電極部54には、側面電極部56が連続して形成してある。各内側電極部52は、
図8Bに示す収容溝62a,62bの連絡溝65が形成してある側のX軸方向の内壁面に挿入され、
図8Cに示す連絡片525は、
図8Bに示す連絡溝65に係合する。
【0086】
また、本実施形態では、
図8Dに示すように、個別金属端子30b(40b)が、
図8Bに示す絶縁ケース60aの収容凹部62a(62b)のX軸方向の一方の内側壁に沿って差し込まれる内側電極部32(42)を有する。本実施形態では、この内側電極部32(42)における開口縁電極部34(44)の近傍の基端部321(421)には、幅方向(Y軸方向)に沿って細長い貫通孔322(422)が形成してある。
【0087】
貫通孔322(422)を形成することで、開口縁電極部34(36)を、
図11に示すように、回路基板70などにハンダ80などで接続する際に、内側電極部32(42)の方向へのハンダ上がりを貫通孔322(422)で防止することができる。すなわち、いわゆるハンダブリッジを有効に防止することができる。
【0088】
また、本実施形態では、内側電極部32(42)の開口縁電極部34(44)近傍の基端部321(421)には、幅方向(Y軸方向)に沿って外側に突出する係合片324(424)が両側に形成してあってもよい。これらの係合片324(424)は、
図8Bに示す絶縁ケース60aの収容凹部62a(62b)のX軸方向の一方の内壁面のY軸方向の両側に形成してある係合凸部67に、それぞれ係合可能になっている。係合凸部67は、開口縁面66と面一になるように形成してあることが好ましい。
【0089】
図8Dに示す個別金属端子30b,40bの内側電極部32,42を
図8Bに示す絶縁ケース60aの内部に挿入するのみで、ワンタッチ式に係合凸部67に係合片324,424が係合し、絶縁ケース60aに対する端子30b,40bの位置決めと強固な固定を容易に行うことができる。
【0090】
本実施形態では、
図8Dに示すように、内側電極部32,42には、
図9に示すコンデンサチップ20a,20bに向けてスプリング力で押し付けられる湾曲部320(420)が具備してある。なお、
図10は、コンデンサチップ20aに向けてスプリング力で押し付けられる湾曲部320を示している。このように構成することで、内側電極部32(42)と第1端子電極22とが圧接状態で接続されると共に、共通金属端子50bの内側電極部52と第2端子電極24とが圧接状態で接続される。そのため、これらをハンダや導電性接着剤などの接続部材で接続する必要がなくなる。
【0091】
ハンダを用いないで金属端子30b,40b,50bと端子電極22,24とを接続することができるため、端子30b,40b,50bの材料として銅や銅合金などを用いることが可能になり、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。また、ハンダを用いないので、熱膨張差などによりコンデンサチップ20a,20bにクラックなどが生じるおそれを低減することができる。
【0092】
本実施形態では、たとえば
図11に示すように、個別金属端子30b,40bの開口電極部34,44と共通金属端子50bの開口縁電極部54とが、個別回路パターン72,72aと接続することで、電子部品10bと回路基板70との実装強度を向上できる。また共振を防止することもできる。
【0093】
また、実装された共通金属端子50bが他の回路パターンと接続されている場合には、2並列のコンデンサ回路を構成できる。一方、実装された共通金属端子50bが、他の回路パターンと接続されていない場合(フローティングパターンの場合)には、2直列のコンデンサ回路を構成できる。さらに、ケース60の開口面が実装面側に配置されるので、ケース60が保護カバーとしての役割を果たすことができる。
【0094】
第4実施形態
図12~
図13Cに示す実施形態に係る電子部品10cは、以下に示す点を除いて、上述した実施形態の電子部品10、10aまたは10bと同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
図12~
図13Cにおいて、上述した実施形態の電子部品10、10aまたは10bにおける各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0095】
本実施形態の電子部品10cでは、
図13Cに示すように、絶縁ケース60bは、複数の仕切壁64により分離された複数の収容凹部62a~62cを有する。各仕切壁64には、連絡溝65がX軸方向に沿って交互に連絡溝65が形成してある。各連絡溝65のZ軸方向の溝深さは、第3実施形態の連絡溝65の溝深さと同等である。各収容凹部62a~62cの底壁63は、複数の収容凹部62a~62c毎に分離して形成してある。また、本実施形態では、絶縁ケース60bのX軸方向の一方側では、連絡溝65がある位置を除き、各収容凹部62a~62cの開口面の角部には、それぞれ係合凸部67が形成してある。
【0096】
図12に示すように、本実施形態では、二つの共通金属端子50c,50dと、二つの個別金属端子30c,40cが絶縁ケース60bに取り付けられる。一方の共通金属端子50cは、
図13Bに示すように、一対の内側電極部52を有する。これらは、Z軸方向に延びるスリット53により分離され、連絡片525および開口縁電極部54により連結してある。開口縁電極部54には、側面電極部56が連続して形成してある。各内側電極部52は、
図13Cに示す収容溝62b,62cの連絡溝65が形成してある側のX軸方向の内壁面に挿入され、
図13Bに示す連絡片525は、
図13Cに示す連絡溝65に係合する。
【0097】
他方の共通金属端子50dは、
図13Aに示すように、一対の内側電極部52を有する。これらは、Z軸方向に延びるスリット53により分離され、連絡片525および開口縁電極部54により連結してある。
【0098】
開口縁電極部54には、側面電極部56が連続して形成してある。各内側電極部52は、
図13Cに示す収容溝62b,62cの連絡溝65が形成してある側のX軸方向の内壁面に挿入され、
図13Bに示す連絡片525は、
図13Cに示す連絡溝65に係合する。
【0099】
本実施形態では、
図13Aに示すように、各内側電極部52における開口縁電極部54の近傍の基端部521には、スリット53とはY軸方向の反対側で、幅方向(Y軸方向)に沿って外側に突出する係合片524が両側に形成してある。これらの係合片524は、
図13Cに示す絶縁ケース60bの収容凹部62aおよび62bに形成してある係合凸部67に、それぞれ係合可能になっている。係合凸部67は、開口縁面66と面一になるように形成してあることが好ましい。
【0100】
図13Aに示す共通金属端子50dの内側電極部52,52を
図13Cに示す絶縁ケース60bの内部に挿入するのみで、ワンタッチ式に係合凸部67に係合片524,524が係合し、絶縁ケース60bに対する端子50dの位置決めと強固な固定を容易に行うことができる。
【0101】
本実施形態では、
図13Aに示すように、内側電極部32,52の基端部321,521の連続境界部323,523には、
図12に示すコンデンサチップ20a,20bに向けてスプリング力で押し付けられる湾曲部320,520が具備してある。このように構成することで、内側電極部32,52とコンデンサチップ20a,20bの一方の端子電極とが圧接状態で接続される。また、同時に、コンデンサチップ20a,20bの他方の端子電極と、個別金属端子40cの内側電極部、または共通金属端子50cの一方の内側電極部とが圧接状態で接続される。そのため、これらをハンダや導電性接着剤などの接続部材で接続する必要がなくなる。
【0102】
また、本実施形態では、
図13Aに示すように、一方の個別金属端子30cが、
図13Cに示す絶縁ケース60bの収容凹部62cのX軸方向の一方の内側壁に沿って差し込まれる内側電極部32を有する。また、
図13Bに示す他方の個別金属端子40cは、
図13Cに示す絶縁ケース60bの収容凹部62aのX軸方向の他方の内側壁に沿って差し込まれる内側電極部42を有する。
【0103】
本実施形態では、各個別端子電極30c,40cの内側電極部32,42における開口縁電極部34,44の近傍には、幅方向(Y軸方向)に沿って細長い貫通孔322,422がそれぞれ形成してある。
【0104】
貫通孔322,422を形成することで、開口縁電極部34,44を、回路基板などにハンダなどで接続する際に、内側電極部32,42の方向へのハンダ上がりを貫通孔322,422で防止することができる。すなわち、いわゆるハンダブリッジを有効に防止することができる。
【0105】
また、本実施形態では、一方の個別金属端子30cの内側電極部32の開口縁電極部34近傍には、幅方向(Y軸方向)に沿って外側に突出する係合片324が両側に形成してある。これらの係合片324は、
図13Cに示す絶縁ケース60bの収容凹部62cのX軸方向の一方の内壁面のY軸方向の両側に形成してある係合凸部67に、それぞれ係合可能になっている。係合凸部67は、開口縁面66と面一になるように形成してあることが好ましい。
【0106】
図13Aに示す個別金属端子30cの内側電極部32を
図13Cに示す絶縁ケース60bの内部に挿入するのみで、ワンタッチ式に係合凸部67に係合片324が係合し、絶縁ケース60bに対する端子30cの位置決めと強固な固定を容易に行うことができる。
【0107】
本実施形態では、
図13Aに示すように、内側電極部32には、
図12に示すコンデンサチップ20cに向けてスプリング力で押し付けられる湾曲部320が具備してある。このように構成することで、内側電極部32と
図12に示すコンデンサチップ20cの一方の端子電極とが圧接状態で接続されると共に、コンデンサチップ20cの他方の端子電極と共通金属端子50cの内側電極部とが圧接状態で接続される。そのため、これらをハンダや導電性接着剤などの接続部材で接続する必要がなくなる。
【0108】
本実施形態では、ハンダを用いないで金属端子30c,40c,50c,50dとコンデンサチップ20a~20cを直列に接続することができる。このため、端子30c,40c,50c,50dの材料として銅や銅合金などを用いることが可能になり、ESR(等価直列抵抗)を低減することができる。また、ハンダを用いないので、熱膨張差などによりコンデンサチップ20a~20cにクラックなどが生じるおそれを低減することができる。
【0109】
本実施形態では、電子部品10cは個別金属端子30c,40cおよび共通金属端子50c,50dを有するため、少なくとも個別金属端子30c、40cを回路基板に接続することで、3つまたはそれ以上のコンデンサチップ20a~20cを容易に直列に接続することが可能である。3つ以上のコンデンサチップ20a~20cを直列に接続することにより、電子部品10の耐電圧を高め、電子部品10が搭載される電子機器の安全性の向上に寄与することができる。
【0110】
第5実施形態
図14~
図16に示す実施形態に係る電子部品10dは、以下に示す点を除いて、上述した実施形態の電子部品10、10a、10bまたは10cと同様な構成を有し、同様な作用効果を奏する。
図14~
図16において、上述した実施形態の電子部品10、10a、10bまたは10cにおける各部材と共通する部材には、共通の符号を付し、その説明は一部省略する。
【0111】
図14に示すように、本実施形態の電子部品10dは、
図1等に示すコンデンサチップ20a,20bと
図8D等に示す個別金属端子30b,40bの他、中間接続体90と絶縁ケース60dとを有する。
【0112】
図15Bに示すように、絶縁ケース60dは、X軸方向に細長い直方体形状の筐体で構成されている。絶縁ケース60dは、
図8Bに示す係合凸部67の他、外壁61dと、収容凹部62dと、底壁63dと、開口縁面66dと、係合溝69とを有する。外壁61d、底壁63dおよび開口縁面66dは、それぞれ
図2Bに示す外壁61、底壁63および開口縁面66よりも、X軸方向に細長い形状を有する。
【0113】
図15Aおよび
図15Bに示すように、外壁61dには個別金属端子30b,40bが設けられる。本実施形態では、一対の個別金属端子30b,40bの各々は、X軸方向(絶縁ケース60dの長手方向)に対向して配置される。
【0114】
第1個別金属端子30bは、外壁61dのX軸方向の一端側に位置するY-Z平面に平行な壁面に取り付けられる。第2個別金属端子40bは、外壁61dのX軸方向の他端側に位置するY-Z平面に平行な壁面に取り付けられる。
図16に示すように、個別金属端子30b,40bの内側電極部32,42には湾曲部320,420が具備されているが、湾曲部320,420は必須ではなく、省略してもよい。
【0115】
図15Bに示すように、本実施形態では、絶縁ケース60dには、
図2Bに示す仕切部64が具備されていないため、同図に示す絶縁ケース60とは異なり、絶縁ケース60dが有する収容凹部62dの数は1個だけとなっている。収容凹部62dに後述する中間接続体90が介挿されることにより、収容凹部62dの内部には、X軸方向に沿って配置される2つの収容空間が形成される。
【0116】
収容凹部62dの形状は、絶縁ケース60dの全体形状に対応してX軸方向に細長い形状となっている。
図15Aおよび
図16に示すように、収容凹部62dの内部には、コンデンサチップ20a,20bが収容される。
【0117】
本実施形態では、コンデンサチップ20a,20bは、第1個別金属端子30bと第2個別金属端子40bとの間に、各々の端面21,23同士を向い合せて配置される。すなわち、コンデンサチップ20a,20bは、収容凹部62dの内部において、X軸方向に沿って直列に配置される。
【0118】
収容凹部62dの大きさは、直列に配置されたコンデンサチップ20a,20bを収容可能な程度の大きさとなっている。収容凹部62dのX軸方向(長手方向)の幅は、コンデンサチップ20a,20bの各々のX軸方向の幅の和よりも大きく、絶縁ケース60dに端子30b,40bおよび中間接続体50が取り付けられた状態で、各コンデンサチップ20a,20bの端子電極22,24が、内側電極部32,42および中間接続体50に圧接されるように決定される。
【0119】
収容凹部62dの開口面の各角部(四隅)には、それぞれ係合凸部67が形成されている。各係合凸部67には、
図15Aに示す個別金属端子30b,40bの係合片324,424が係合(固定)される。
【0120】
図15Bに示すように、外壁61dの内壁面(内側面)には、Z軸方向に延びる2つの係合溝69が形成されている。各係合溝69は、外壁61dのうち、X-Z平面に平行な壁面(X軸方向に細長い壁面)の内側に形成されており、当該壁面の長手方向の途中位置(X軸方向の略中央部)に位置する。
【0121】
係合溝69は、外壁61dの上端から下端にかけて連続的に形成されており、係合溝69のX軸方向の幅およびY軸方向の深さは、中間接続体90が差し込まれて固定できる程度の幅となっている。例えば、係合溝69のX軸方向の幅は、中間接続体90の板厚と同程度、あるいはそれよりも大きい。
【0122】
図15Aおよび
図16に示すように、中間接続体90は、導電性を有する矩形の平板で構成され、一対の個別金属端子30b,40bの各々の間に配置される。中間接続体90と一対の個別金属端子30b,40bとはX軸方向に沿って配置され、中間接続体90のX軸方向の両側には、コンデンサチップ20a,20bが配置される。
【0123】
中間接続体90は、隣接する(直列に配置された)各コンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24同士を接続する。すなわち、本実施形態では、各コンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24は、中間接続体90を介して、間接的に接続される。中間接続体90は、各係合溝69を通じて、収容凹部62dの内部に差し込まれる。
【0124】
中間接続体90は、X軸方向の一方側を向く第1接続面91と、X軸方向の他方側を向く第2接続面92とを有する。接続面91,92は、個別金属端子30b,40bの側面電極部36,46と対向する面である。第1接続面91にはコンデンサチップ20aの第2端子電極24が接続され、第2接続面92にはコンデンサチップ20bの第2端子電極24が接続されている。各コンデンサチップ20a,20bは、中間接続体90を介して電気的に接続される。
【0125】
中間接続体90(接続面91,92)の面積は、コンデンサチップ20a,20bの端子電極22,24の面積よりも大きくなっているが、特に限定されるものではない。コンデンサチップ20a,20bの各々の間の電気的接続を確保することができれば、図示の例よりも小さくてもよく、また、中間接続体90の形状を例えば正方形、円形、三角形、あるいはその他の形状としてもよい。
【0126】
コンデンサチップ20aは、第1個別金属端子30bと中間接続体90との間の空間に配置されており、第1個別金属端子30bの湾曲部320からスプリング力を受けつつ、第1個別金属端子30bと中間接続体90とで挟み込まれている。
【0127】
コンデンサチップ20bは、第2個別金属端子40bと中間接続体90との間の空間に配置されており、第2個別金属端子40bの湾曲部420からスプリング力を受けつつ、第2個別金属端子40bと中間接続体90とで挟み込まれている。
【0128】
図16に示すように、電子部品10dは、
図14に示す状態から上下反転させた状態で、回路基板(外部回路)70の個別回路パターン72,72に実装される。すなわち、電子部品10dの実装面は、
図15Bに示す収容凹部62dの開口面側となる。電子部品10dは、個別金属端子30,40(開口縁電極部34,44および側面電極部36,46)と個別回路パターン72,72とをハンダ80あるいは導電性接着剤などで接続することにより、回路基板(外部回路)70に実装される。
【0129】
側面電極部36,46と個別回路パターン72,72との間には半田フィレットが形成され、電子部品10dを回路基板(外部回路)70に強固に固定することが可能となっている。
【0130】
本実施形態の電子部品10dは、
図16に示すように、各々対向して配置される一対の個別導電性端子30b,40bを有し、一対の個別導電性端子30b,40bの各々の間には、2つのコンデンサチップ20a,20bが端面24,24同士を向い合せて配置される。そのため、収容凹部62dの内部では2つのコンデンサチップ20a,20bを直列に配置させることが可能となり、これらコンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24同士を接続することにより、直列接続された2つのコンデンサチップ20a,20bからなる電子部品10dを構成することができる。
【0131】
また、電子部品10dは、X軸方向に細長い形状をからなるため、回路基板(外部回路)70の狭い(細い)スペースに電子部品10dを実装することができる。
【0132】
また、本実施形態ででは、中間接続体90を介して、隣接するコンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24同士を容易に接続することができる。
【0133】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0134】
たとえば上記各実施形態では、チップ部品の一例としてコンデンサチップを例示したが、コンデンサチップ以外のチップ部品を用いてもよい。
【0135】
また、上記各実施形態において、電子部品10が有するコンデンサチップの数は、2つまたは3つに限定されるものではなく、複数であれば数に制限はない。
【0136】
この場合、上記第5実施形態において、中間接続体90の数は、電子部品10dが有するコンデンサチップの数に応じて適宜決定される。たとえば、コンデンサチップの数が3個である場合、中間接続体90の数は2個となり、これら2個の中間接続体90の各々を介して、3個のコンデンサチップの各々が直列に接続される。
【0137】
さらに、上記実施形態では、各収容凹部62a~62cのX軸方向の一方の側の内壁面に差し込まれる内側電極部32,42,52のみに湾曲部320,420,520を具備させているが、これに限定されない。たとえば各収容凹部62a~62cのX軸方向の両側の内壁面に差し込まれる内側電極部32,42,52の双方に湾曲部320,420,520を形成してもよい。
【0138】
また、上記各実施形態において、仕切壁64は絶縁ケース60,60a,60bの一部を構成していたが、別途仕切壁部材(仕切壁64と同様の機能を有する部材)を用意し、これを絶縁ケース60,60a,60bの仕切壁64に対応する位置に設けてもよい。すなわち、絶縁性の仕切壁は、絶縁ケースとは別体で構成されていてもよい。
【0139】
上記第5実施形態において、中間接続体90は必須ではない。たとえば、中間接続体90を省略し、収容凹部62dの内部において、コンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24同士を直接接続してもよい。あるいは、導電性接着剤等を用いて、コンデンサチップ20a,20bの端子電極24,24同士を接続してもよい。
【符号の説明】
【0140】
10,10a~10d…電子部品
20a~20c…コンデンサチップ
21,23…端面
22,24…端子電極
26…内部電極層
28…誘電体層
30,30a~30c…第1個別金属端子(個別導電性端子)
32…内側電極部
320…湾曲部
321…基端部
322…貫通孔
323…連続境界部
324…係合片
34…開口縁電極部
36…側面電極部
38…反開口電極部
40,40a~40c…第2個別金属端子(個別導電性端子)
42…内側電極部
420…湾曲部
421…基端部
422…貫通孔
423…連続境界部
424…係合片
44…開口縁電極部
46…側面電極部
48…反開口電極部
50,50a~50d…共通金属端子(共通導電性端子)
52…内側電極部
520…湾曲部
521…基端部
523…連続境界部
524…係合片
525…連絡片
53…スリット
54…開口縁電極部
56…側面電極部
58…反開口電極部
60,60a,60b,60d…絶縁ケース
61,61d…外壁
62a,62b,62d…収容凹部
63,63d…底壁
64…仕切壁
65…連絡溝
66,66d…開口縁面
67…係合凸部
68…反開口面(底面)
70…回路基板
72,72a…個別回路パターン
74…共通回路パターン
80…ハンダ
90…中間接続体
91…第1接続面
92…第2接続面