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特許7491684繊維複合材部品を試験するための方法、装置、コンピュータプログラム及び機械可読記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】繊維複合材部品を試験するための方法、装置、コンピュータプログラム及び機械可読記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240521BHJP
   G01N 3/30 20060101ALI20240521BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01N3/30 N
G01M17/007 H
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019219489
(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公開番号】P2020091290
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】10 2018 221 016.0
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】リンダ クライン
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-515730(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298690(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045
17/00-99/00
G01N 3/00- 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維複合材部品(2)を試験するための方法(600)であって、
前記繊維複合材部品(2)は、当該繊維複合材部品(2)に組み込まれたセンサ装置(1)を有し、前記センサ装置(1)は、加速度を検出するためのマイクロメカニカル加速度センサモジュールとしてのセンサモジュール(4)を有する可撓性の回路支持体(3)を備える、方法において、
前記繊維複合材部品(2)の試験位置に試験インパルスを導入することにより、前記繊維複合材部品(2)に試験振動を与えるステップ(601)と、
前記センサ装置(1)によって、加速度値を示す応答信号(6b)を検出するステップ(602)と、
前記応答信号(6b)を基準信号(6a)と比較するステップ(603)と、
を有し、
前記繊維複合材部品(2)の基準位置に基準インパルスを導入することにより、前記繊維複合材部品(2)に基準振動を与え、
前記基準振動を、前記センサ装置(1)によって検出し、
検出された信号又は検出された信号から導出された信号を基準信号(6a)とする
ことによって、前記基準信号(6a)を生成し、
前記繊維複合材部品(2)の新品状態において、前記繊維複合材部品(2)の前記基準位置に前記基準インパルスを導入する、方法(600)。
【請求項2】
前記基準インパルスは、実質的に前記試験インパルスに等しい、
請求項に記載の方法(600)。
【請求項3】
前記基準位置は、実質的に前記試験位置に対応する、
請求項1又は2に記載の方法(600)。
【請求項4】
前記繊維複合材部品(2)は、車両用の車体部品である、
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(600)の全てのステップを実施するように構成された装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の方法(600)の全てのステップを実施するために構成されたコンピュータプログラム。
【請求項7】
請求項に記載のコンピュータプログラムが記憶された機械可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合材部品を試験するための方法と、対応する装置と、対応するコンピュータプログラムと、対応する機械可読記憶媒体とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
国際公開第2018/069066号から、プラスチック部品、特にバンパの上又は中に複数のマイクロメカニカル加速度センサを配置するための方法と、対応するプラスチック部品、特にバンパとが公知である。
【0003】
上記方法のステップAにおいては、マイクロメカニカル加速度センサが、可撓性の回路支持体の中又は上に固定的に配置され、この際、マイクロメカニカル加速度センサは、可撓性の回路支持体の、組み込まれた導体路構造にコンタクトさせられる。
【0004】
上記方法のステップBにおいては、可撓性の回路支持体の、組み込まれた導体路構造が少なくとも部分的に露出されるように、マイクロメカニカル加速度センサと、可撓性の回路支持体とが、少なくとも部分的にプラスチック部品の上又は中に配置される。
【0005】
独国特許出願公開第102016220032号明細書から、少なくとも1つのセンサモジュールと、センサモジュールを電気的にコンタクトさせるための、センサモジュールに接続された少なくとも1つの接続線路とを有する、車両のため、特に自動車のためのセンサ装置が公知である。
【0006】
接続線路は、導体箔として構成されており、この導体箔の上に、複数の異なるセンサモジュールが配置されており、導体箔を少なくとも部分的に取り囲んでいるそれぞれ1つの射出成形部又は1つの共通の射出成形部によって包囲されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2018/069066号
【文献】独国特許出願公開第102016220032号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
本発明は、独立請求項に記載の、繊維複合材部品を試験するための方法と、対応する装置と、対応するコンピュータプログラムと、対応する機械可読記憶媒体とを提供する。
【0009】
好ましい発展形態は、従属請求項と、本発明の利点の以下の説明とから明らかになる。
【0010】
発明の利点
本発明の1つの態様は、繊維複合材部品を試験するための方法であって、繊維複合材部品は、当該繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有し、センサ装置は、センサモジュールを有する可撓性の回路支持体を有し、当該方法は、特に繊維複合材部品の試験位置に試験インパルスを導入することにより、繊維複合材部品に試験振動を与えるステップと、センサ装置によって応答信号を検出するステップと、応答信号を基準信号と比較するステップとを有する、方法である。
【0011】
本明細書における繊維複合材部品とは、繊維複合材料からなる部品であると理解することができる。繊維複合材料は、一般的に、繊維又は繊維半製品と、繊維間又は繊維半製品間の母材とからなる、相互作用する複合材によって形成される。母材は、繊維又は繊維半製品のための充填材及び接着剤である。繊維複合材料に関して典型的には、複合材の相互作用により、繊維及び充填材の特性に比較してより高品質の特性を有する材料が得られる。
【0012】
繊維複合材部品は、車両用の車体部品であり得る。例えば、繊維複合材部品は、車両用のバンパであり得る。
【0013】
本発明による繊維複合材部品は、一次成形法において製造することが可能である。このために、特に組み込みステップにおいて、いわゆる「液体複合材成形(Liquide Composite Molding)法」(LCM法)を使用することができる。LCM法は、圧力負荷及び温度負荷が比較的穏やかであることを特徴とする。
【0014】
可撓性の回路支持体は、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミド、又は、熱可塑性プラスチックを含み得る。従って、可撓性の回路支持体は、容易に弾性変形又は塑性変形することができ、特に、組み込まれた導体路構造は、対応して塑性変形することができ、これによって実質的に、可撓性の回路支持体を、繊維複合材部品の幾何形状又は形状に適合させることができる。可撓性の回路支持体は、導体箔であり得る。
【0015】
本明細書におけるセンサモジュールとは、物理量を検出するための電子部品又は電気部品であると理解することができる。このためにセンサモジュールを、加速度又は回転加速度を検出するように構成することができる。
【0016】
センサモジュールを、圧力を検出するように構成することも考えられるであろう。しかしながら、このような構成のためには、繊維複合材部品の環境に対してオープンな、センサモジュールのインタフェースが必要となる。
【0017】
センサモジュールは、加速度を検出するためのマイクロメカニカルコンポーネント、ひいては、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の形態のマイクロメカニカル加速度センサであり得る。
【0018】
本発明に係る方法は、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する繊維複合材部品の、拡張された安全機能を形成するものである。この安全機能は、このような繊維複合材部品が車両の車体部品である場合に、特に好適である。この場合には、センサ装置のセンサ値を、特に加速度値を検出するための対応するセンサ装置の加速度値を、車両の乗員又はその他の道路利用者のような道路利用者のための保護機能を実現するために使用することができるだけでなく、さらには、繊維複合材部品を試験するための拡張された安全機能としても使用することができるであろう。
【0019】
この拡張された安全機能は、繊維複合材部品に対する機械的なエネルギ入力によって部品の内部損傷が引き起こされる可能性があるという背景に鑑みて有効である。これらの損傷は、層間剥離、繊維の破損、又は、いわゆる繊維の引き抜けであり得る。これらの損傷は、部品特性に悪影響を及ぼす可能性がある。繊維複合材部品が車体部品として使用される場合には、部品に対する機械的なエネルギ入力は、種々の方法により、例えばいわゆるパーキングバンプ又はその他の衝突によって発生するおそれがある。その際に発生する内部損傷は、一般的に、部品特性を変化させる可能性がある。このことは、部品の振動動作に影響を与える可能性がある。即ち、損傷した部品の場合には、導入されたインパルスが、当初の状態の部品の場合とは異なる挙動で放出される。この異なる挙動を、換言すればこの差を、本発明に係る方法によって特定することが可能であり、従って、部品の状態に関する、又は、より一般的には部品の特性に関する、直接的な推定をもたらすことが可能である。
【0020】
特定又は検出のために、繊維複合材部品に組み込まれたセンサモジュールの信号が使用される。なぜなら、変化した部品特性に対して直接的に反応するからである。
【0021】
本発明に係る方法の1つの実施形態によれば、繊維複合材部品に基準振動を与え、基準振動を、センサ装置によって検出し、検出された信号又は検出された信号から導出された信号を基準信号とすることによって、基準信号が生成される。
【0022】
基準信号は、繊維複合材部品のフォローアップ検査又は試験のために使用される。
【0023】
基準信号が、繊維複合材部品の新品状態において生成されると有利である。これにより、のちに実施される本発明に係る方法による繊維複合材部品の試験の際に、応答信号を基準信号と比較することによって、部品特性の変化を特定することが可能となる。特定された部品特性に基づいて、繊維複合材部品を試験するための方法を実施した時点での部品の状態を、当該部品の新品状態と比較して推定することが可能となる。この情報を使用して、適当な措置を実施することが可能である。
【0024】
車両用の車体部品である場合には、点検又は修理のために工場の訪問を推奨することが、適当な措置であり得る。適当な措置として、車両を廃車にすることも考えられる。
【0025】
繊維複合材部品の基準位置に基準インパルスを導入することにより、繊維複合材部品に基準振動を与えることができる。
【0026】
基準インパルスが、実質的に試験インパルスに等しいと有利である。これによって、応答信号と基準信号とをより簡単に比較することが可能となる。
【0027】
基準位置が、実質的に試験位置に対応すると有利である。これによって、応答信号と基準信号とをより簡単に比較することが可能となる。
【0028】
本発明の他の態様は、本発明に係る方法の全てのステップを実施するように構成された装置である。
【0029】
本発明の他の態様は、本発明に係る方法の全てのステップを実施するために構成されたコンピュータプログラムである。
【0030】
本発明の他の態様は、本発明に係るコンピュータプログラムが記憶された機械可読記憶媒体である。
【0031】
図面
以下においては、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】基準信号の生成時における、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する繊維複合材部品の概略図である。
図2】本発明による繊維複合材部品の試験中における、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する繊維複合材部品の概略図である。
図3】本発明による繊維複合材部品の試験中における、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する他の繊維複合材部品の概略図である。
図4】本発明による繊維複合材部品の試験のために適した、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する他の繊維複合材部品の概略図である。
図5】本発明による繊維複合材部品の試験のために適した、繊維複合材部品に組み込まれたセンサ装置を有する他の繊維複合材部品の概略図である。
図6】本発明に係る方法の1つの実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、基準信号6aの生成時における、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1を有する繊維複合材部品2の概略図を示す。繊維複合材部品2は、車両用のバンパ部品である。繊維複合材部品2は、部品2の内部に組み込まれた、可撓性の回路支持体3を有するセンサ装置1と、回路支持体3上に配置されたセンサモジュール4とを有する。
【0034】
センサ装置を、接続手段11を介して周辺機器に接続することができる。
【0035】
本明細書における周辺機器とは、センサ装置1が接続され得るシステムであると理解することができる。繊維複合材部品2が車両において、例えば車体部品として使用される場合には、このようなシステムは、例えば、CAN、FlexRay、又は、PSI5通信システムのような車両通信システムであり得る。例えば、車両動力学制御のための制御装置又は安全装置を制御するための制御装置のような車両制御装置と、センサ装置との間における直接接続も考えられるであろう。
【0036】
この場合、接続手段11として、可撓性の回路支持体3のうちのアクセス可能な部分が考慮される。このアクセス可能な部分は、回路支持体3のうちの露出された部分であり得る。例えばプラグインタフェースの形態の適当なインタフェースも考えられる。さらに、検出されたセンサ信号を伝送するためのワイヤレスインタフェースが考えられる。ワイヤレスインタフェースは、無線技術又は同等のワイヤレス通信技術に基づくことができる。
【0037】
基準信号6aは、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1が検出した信号から得られる。この信号は、直接的に検出された信号であってもよいし、又は、直接的に検出された信号から導出された信号であってもよい。典型的な導出は、直接的に検出された信号のフィルタリング(ハイパス/ローパスフィルタリング)から得ることができる。
【0038】
1つの実施形態によれば、ただ1つの基準インパルスを導入することが考えられる。さらに、複数の基準インパルスの反復的な導入によって基準信号6aを生成することが可能である。これらのインパルスは、それぞれ異なる強度を有することができる。この反復的な導入を、規則的に実施することができる。
【0039】
この図面は、繊維複合材部品2に基準インパルスが導入された瞬間を示している。この導入は、ハンマ5の形態において概略的に図示されたインパルス導入手段5によって実施される。この導入を、例えば、生産の終了時に、又は、繊維複合材部品2の取り付け中に実施することができ、ひいては、繊維複合材部品2の新品状態において実施することができる。
【0040】
図2は、本発明による繊維複合材部品2の試験中における、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1を有する繊維複合材部品2の概略図を示す。繊維複合材部品2は、車両用のバンパ部品である。繊維複合材部品2は、部品2の内部に組み込まれた、可撓性の回路支持体3を有するセンサ装置1と、回路支持体3上に配置されたセンサモジュール4とを有する。
【0041】
この図面においては、繊維複合材部品2が損傷を受けている。図示されている損傷は、顕在的である。損傷の理由によっては、繊維複合材部品2の損傷が顕在的でない場合がある。このことは、特に損傷が比較的わずかである場合に発生する。その場合には、損傷が、外部に顕在的な痕跡を残していない可能性があるが、それでもなお、例えば、層間剥離、繊維の破損、又は、繊維の引き抜けのような繊維複合材部品2の内部損傷が存在する可能性があり、これらは、部品特性に悪影響を及ぼす。
【0042】
この図面は、繊維複合材部品2に試験インパルスが導入された瞬間を示している。この導入は、ハンマ5の形態において概略的に図示されたインパルス導入手段5によって実施される。
【0043】
導入によって応答信号6bがもたらされ、この応答信号6bを基準信号6aと比較することができる。この比較によって、部品特性の変化を判断することが可能である。部品特性の変化が、当該変化が安全性に関連した閾値を上回っていることを示している場合には、相応の対策を開始することができる。このような対策は、この情報の永続的な保存から、繊維複合材部品2が取り付けられている車両の廃車にまで及び得る。
【0044】
状況によっては、例えば衝突した後に、衝突による損傷の試験との関連において導入を実施してもよい。同様にして、試験サイクルに基づいた定期的な試験も考えられる。そのような場合には、気付かない間に発生した損傷、又は、繊維複合材部品2の寿命の経過中に繊維複合材部品2に作用する環境影響に起因して発生した損傷を、特定することが可能となる。
【0045】
図3は、本発明による繊維複合材部品2の試験中における、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1を有する他の繊維複合材部品2の概略図を示す。図示された繊維複合材部品2においては、組み込まれたセンサ装置1は、繊維複合材部品2にまたがっている。センサモジュール4a,4b,4cも、可撓性の回路支持体3によって繊維複合材部品2上に分布されて配置されている。図示の実施形態においては、この分布が等距離で実施されている。センサモジュール4a,4b,4cを、繊維複合材部品2上に不規則に分布されるように配置することも考えられる。
【0046】
図示の実施形態においては、繊維複合材部品2の試験は、複数の試験位置に試験インパルスを導入することによって実施される。センサモジュール4a,4b,4cは、これに応じて、それぞれ異なる応答信号6bを検出する。対応する基準位置に基準インパルスを導入することによって、基準信号6aの生成を実施することも考えられる。この場合、試験位置は、実質的に基準位置に対応することができる。
【0047】
図4は、本発明による繊維複合材部品2の試験のために適した、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1を有する他の繊維複合材部品2の概略図を示す。繊維複合材部品2は、繊維複合材タンクである。繊維複合材部品2は、部品2の内部に組み込まれた、可撓性の回路支持体3を有するセンサ装置1と、回路支持体3上に配置されたセンサモジュール4とを有する。
【0048】
図示の実施形態から、ほぼ任意の幾何形状で簡単に実現することができる繊維複合材部品2の利点を容易に見て取ることができる。例えば導体箔の形態の可撓性の回路支持体3と、回路支持体3の上に取り付けられたマイクロメカニカルセンサモジュール4とを使用することにより、繊維複合材部品2の形状形成が実質的に制限されなくなる。これによって、ほぼ全ての形状の繊維複合材部品2に、対応するセンサ装置1を設けることが可能となり、ひいては、ほぼ全ての形状の繊維複合材部品2を、本発明に係る方法のために適したものとなるように構成することが可能となる。
【0049】
図5は、本発明による繊維複合材部品2の試験のために適した、繊維複合材部品2に組み込まれたセンサ装置1を有する他の繊維複合材部品2の概略図を示す。繊維複合材部品2は、スポーツ用品である。スポーツ用品は、スノーボードとして概略的に示されている。繊維複合材部品2は、部品2の内部に組み込まれた、可撓性の回路支持体3を有するセンサ装置1と、回路支持体3上に配置されたセンサモジュール4とを有する。さらに、図面には、評価ユニット11が示されている。この評価ユニット11を-図示のように-例えばスノーボードシューズのビンディングに配置することができる。
【0050】
図6は、本発明に係る方法600の1つの実施形態のフローチャートを示す。
【0051】
ステップ601において、繊維複合材部品2に試験振動が与えられる。試験振動を、試験インパルスの導入によって実施することができる。このために、適当な振動発生手段5を使用することができる。このような手段は、例えば加震機であってもよく、このような加震機に繊維複合材部品2がクランプされる。繊維複合材部品2の所定の試験位置に試験インパルスが導入されるように、振動発生手段を構成することができる。
【0052】
ステップ602においては、センサ装置によって応答信号が検出される。応答信号を、センサ装置の接続手段を介して後続処理装置に、例えば試験装置又は試験制御装置に伝送することができる。この場合、接続手段として、可撓性の回路支持体3のうちのアクセス可能な部分が考慮される。このアクセス可能な部分は、回路支持体のうちの露出された部分であり得る。例えばプラグインタフェースの形態の適当なインタフェースも考えられる。さらに、検出されたセンサ信号を伝送するためのワイヤレスインタフェースが考えられる。ワイヤレスインタフェースは、無線技術又は同等のワイヤレス通信技術に基づくことができる。
【0053】
ステップ603においては、応答信号6bが基準信号6aと比較される。2つの信号6a,6bを比較するために、一般的に、全ての考えられる比較方法を使用することができる。比較の目的は、試験信号6bが基準信号6aに対して変化したか否か、及び、変化した場合には、どの程度変化したかを認識することである。変化に関して閾値を定義することが考えられ、この閾値を上回った場合には、部品特性の安全性に関連した変化であると推定することができる変化が発生したとされる。このような変化が発生した場合には、相応の対策を開始することができる。このような対策は、この情報の永続的な保存から、繊維複合材部品2が取り付けられている車両の廃車にまで及び得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6