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特許7491700工作機械システム、数値制御装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】工作機械システム、数値制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/404 20060101AFI20240521BHJP
   B23Q 15/12 20060101ALI20240521BHJP
   B23Q 17/12 20060101ALI20240521BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G05B19/404 K
B23Q15/12 Z
B23Q17/12
B23Q17/09 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020008041
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021117509
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】中邨 勉
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 聡史
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091629(JP,A)
【文献】特開2018-202560(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18-19/416;
B23Q 15/007-15/28,17/09,17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械と、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置と、
前記工作機械を制御する数値制御装置と、
を備えた工作機械システムであって、
前記工作機械は、軸を動作させる軸駆動装置を備え、
前記振動検出装置は、検出信号を前記数値制御装置に対して送信し、
前記数値制御装置は、
加工プログラムを解析するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部による解析結果に基づいて前記工作機械が行う加工モードを判別する加工モード判別部と、
前記加工モード判別部により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係る制御指令を生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、工作機械システム。
【請求項2】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械と、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置と、
前記工作機械を制御する数値制御装置と、
を備えた工作機械システムであって、
前記工作機械は、軸を動作させる軸駆動装置を備え、
前記振動検出装置は、検出信号を前記数値制御装置に対して送信し、
前記数値制御装置は、
前記検出信号に基づく振動の大きさに関する値が閾値以下である場合に、前記値に基づく補正情報を生成する補正処理部と、
前記検出信号に基づく前記値が閾値より大きい場合に、前記工作機械に対する制御指令として、加工を停止させる指令を生成し、前記検出信号に基づく前記値が閾値以下である場合に、前記制御指令として、加工を行う指令を、前記補正処理部により生成された前記補正情報を用いて生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、工作機械システム。
【請求項3】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械と、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置と、
前記工作機械を制御する数値制御装置と、
を備えた工作機械システムであって、
前記工作機械と同じ前記床面に設置された前記機械を含む1以上の機械と前記数値制御装置とは、通信可能に接続され、
前記工作機械は、軸を動作させる軸駆動装置を備え、
前記振動検出装置は、検出信号を前記数値制御装置に対して送信し、
前記数値制御装置は、
前記1以上の機械の各々から稼働情報を受信する外部情報受信部と、
前記外部情報受信部から受信した前記稼働情報に基づいて加工を継続するか否かを判断し、加工を継続すると判断した場合には、前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係制御指令を生成し、加工を継続しないと判断した場合には、加工を停止させる旨の前記制御指令を生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、工作機械システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の工作機械システムにおいて、
前記数値制御装置は、前記工作機械の加工に伴って生じる振動に係る振動情報を取得する振動情報取得部を備え、
前記指令生成部は、前記振動情報取得部が取得した前記振動情報と、前記検出信号とに基づいて、前記制御指令を生成する、工作機械システム。
【請求項5】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置であって、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信部と、
加工プログラムを解析するプログラム解析部と、
前記プログラム解析部による解析結果に基づいて前記工作機械が行う加工モードを判別する加工モード判別部と、
前記加工モード判別部により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、前記信号受信部が受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係る制御指令を生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、数値制御装置。
【請求項6】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置であって、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信部と、
前記信号受信部が受信した前記検出信号に基づく振動の大きさに関する値が閾値以下である場合に、前記値に基づく補正情報を生成する補正処理部と、
前記検出信号に基づく前記値が閾値より大きい場合に、前記工作機械に対する制御指令として、加工を停止させる指令を生成し、前記検出信号に基づく前記値が閾値以下である場合に、前記制御指令として、加工を行う指令を、前記補正処理部により生成された前記補正情報を用いて生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、数値制御装置。
【請求項7】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置であって、
前記工作機械と同じ前記床面に設置された前記機械を含む1以上の機械に対して通信可能に接続され、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信部と、
前記1以上の機械の各々から稼働情報を受信する外部情報受信部と、
前記外部情報受信部から受信した前記稼働情報に基づいて加工を継続するか否かを判断し、加工を継続すると判断した場合には、前記信号受信部が受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係る制御指令を生成し、加工を継続しないと判断した場合には、加工を停止させる旨の前記制御指令を生成する指令生成部と、
前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御部と、
を備える、数値制御装置。
【請求項8】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置により実行されるプログラムであって、
前記数値制御装置に、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信ステップと、
加工プログラムを解析するプログラム解析ステップと、
前記プログラム解析ステップによる解析結果に基づいて前記工作機械が行う加工モードを判別する加工モード判別ステップと、
前記加工モード判別ステップにより判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、前記信号受信ステップが受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係る制御指令を生成する指令生成ステップと、
前記指令生成ステップにより生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置により実行されるプログラムであって、
前記数値制御装置に、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信ステップと、
前記信号受信ステップが受信した前記検出信号に基づく振動の大きさに関する値が閾値以下である場合に、前記値に基づく補正情報を生成する補正処理ステップと、
前記検出信号に基づく前記値が閾値より大きい場合に、前記工作機械に対する制御指令として、加工を停止させる指令を生成し、前記検出信号に基づく前記値が閾値以下である場合に、前記制御指令として、加工を行う指令を、前記補正処理ステップにより生成された前記補正情報を用いて生成する指令生成ステップと、
前記指令生成ステップにより生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項10】
機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、軸を動作させる軸駆動装置による加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置により実行されるプログラムであって、
前記数値制御装置は、前記工作機械と同じ前記床面に設置された前記機械を含む1以上の機械に対して通信可能に接続され、
前記数値制御装置に、
前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信ステップと、
前記1以上の機械の各々から稼働情報を受信する外部情報受信ステップと、
前記外部情報受信ステップから受信した前記稼働情報に基づいて加工を継続するか否かを判断し、加工を継続すると判断した場合には、前記信号受信ステップが受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械の加工ついての継続又は停止に係る制御指令を生成し、加工を継続しないと判断した場合には、加工を停止させる旨の前記制御指令を生成する指令生成ステップと、
前記指令生成ステップにより生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械の前記軸駆動装置による加工に係る継続又は停止の動作を制御する機械制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械システム、数値制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製造現場では、例えば、工作機械や産業用ロボット等の機械(サービス用ロボットや鍛圧機械及び射出成形機といった様々な機械を含み、以下において、一例として「製造装置」ともいう。)を複数台使用して、製造が行われている。
製造装置は、例えば、加工処理による軸動作に伴って振動を発生させる。そのため、振動による加工不良を生じさせない工夫が必要であり、振動を制御して加工不良を生じさせないように工夫した製造装置が開示されている。
【0003】
そのような製造装置の一例として、静止している基台と、前記基台上に支持されて複数の回転軸を備えた回転機械と、前記複数の回転軸を個別に回転駆動するサーボモータと、前記基台の振動状態を検出する振動状態検出センサと、前記サーボモータを駆動制御し、前記複数の回転軸の回転状態下で、前記振動状態検出センサからの検出信号をモニタリングしながらいずれか一つのサーボモータの位相を変化させて基台に伝わる振動が小さくなるように制御する制御装置と、を備えたことを特徴とする回転機械の制振装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-154980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、工作機械の場合には、1台の機械で荒加工から仕上げ加工まで行うものがある他、荒加工を行う重切削の機械と、仕上げ加工を行う機械とが別々に存在し、これらの機械を複数組み合わせて用いることで、加工が行われる場合がある。後者の場合、これらの機械は、加工対象を受け渡して作業を行うことから、同じ床面上であり、お互いに近接した位置に設置されている場合がある。
近年、工作機械の仕上げ加工において、ポンプやファン等の周辺機器の振動が送り軸に影響を与え、仕上げ加工における加工不良を発生させることが分かってきた。
そこで、周辺機器の振動に対応することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の一態様は、機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械と、前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置と、前記工作機械を制御する数値制御装置と、を備えた工作機械システムであって、前記振動検出装置は、検出信号を前記数値制御装置に対して送信し、前記数値制御装置は、前記検出信号に基づいて前記工作機械に対する制御指令を生成する指令生成部と、前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械を制御する機械制御部と、を備える。
【0007】
(2)本開示の一態様は、機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置が、前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信部と、前記信号受信部が受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械に対する制御指令を生成する指令生成部と、前記指令生成部により生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械を制御する機械制御部と、を備える。
【0008】
(3)本開示の一態様は、機械と同じ床面に設置された前記機械とは異なる工作機械であって、加工を行う前記工作機械を制御する数値制御装置により実行されるプログラムが、前記数値制御装置に、前記床面における、前記工作機械が設置された位置の近傍に設けられた振動検出装置から検出信号を受信する信号受信ステップと、前記信号受信ステップが受信した前記検出信号に基づいて前記工作機械に対する制御指令を生成する指令生成ステップと、前記指令生成ステップにより生成された前記制御指令に基づいて、前記工作機械を制御する機械制御ステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
一態様によれば、周辺機器の振動に対応した工作機械システム、数値制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態における工作機械システムの概要図である。
図2】第1実施形態における工作機械システムの機能ブロック図である。
図3】第1実施形態における数値制御装置の工作機械制御処理を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態における数値制御装置の制御指令生成処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態における工作機械システムの機能ブロック図である。
図6】第2実施形態における数値制御装置の制御指令生成処理を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態における工作機械システムの機能ブロック図である。
図8】第3実施形態における数値制御装置の工作機械制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
まず、一態様の実施形態の概略を説明する。第1実施形態を含む本実施形態では、工作機械を制御する数値制御装置が、工作機械の一部に構成されているものを例として説明する。また、第1実施形態は、工作機械での加工処理に係る加工モードと、周辺機器等の外部要因の振動の大きさとに基づいて、数値制御装置が工作機械で行う加工処理を制御するものに関する。
【0012】
第1実施形態である工作機械システム100の概要について、図1及び図2を参照して説明する。
図1に示す工作機械システム100では、第1の機械としての工作機械4と、第2の機械としての機械9とが、同じ床面Fに設置されている。ここで、床面Fを構成する材質等については、特に限定されない。
工作機械4は、数値制御装置1(図2参照)を一体的に有し、数値制御装置1によって制御される機械である。工作機械4は、例えば、仕上げ加工を行う機械であり、機械9は、例えば、荒加工を行う重切削の工作機械である。図1では、工作機械4と、機械9とは、同じ形状をした機械であるが、これは一例であり。また、工作機械4と、機械9とは、この例では、加工対象に対して順番に加工を行う機械であるため、上記したように、同じ床面Fに設置されている。
【0013】
そして、床面F上であって、工作機械4の近傍の位置には、加速度センサ7(振動検出装置)が設置されている。加速度センサ7は、床面Fに伝わる振動を検出して、検出信号を出力する。ここで、工作機械4の近傍の位置とは、工作機械4の設置箇所に近い床面F上の位置であり、例えば、工作機械4の設置箇所から100cm以内の距離である。そのため、加速度センサ7は、工作機械4が受けるであろう、機械9の振動等の外部に起因する振動を検出できると考えてよい。
【0014】
[工作機械4]
次に、第1実施形態である工作機械4の構成について、図2を参照して説明をする。
図2に示す工作機械4は、数値制御装置1と、軸駆動装置41と、入出力装置47とを備える。
数値制御装置1は、工作機械4に対する制御を行う装置である。
数値制御装置1は、制御部10と、記憶部20と、通信IF(インタフェース)29とを備える。
制御部10は、中央処理装置(CPU)であり、記憶部20に記憶された数値制御装置1を制御する各種のプログラムを実行することにより、数値制御装置1を統括制御する。
【0015】
制御部10は、検出信号受信部11と、加工モード判別部13と、補正処理部15と、指令生成部17と、機械制御部18とを備える。
検出信号受信部11は、加速度センサ7が出力する検出信号を、通信IF29を介して受信する。検出信号受信部11は、加速度センサ7が出力する検出信号を、常に受信し続ける。
【0016】
加工モード判別部13は、工作機械4の加工モードを判別する。本実施形態においては、加工モードとは、工作機械4で行われている加工が、荒加工であるか、又は、仕上げ加工であるかを示す。加工モード判別部13は、例えば、後述する工具情報記憶部22を参照し、工作機械4で加工処理時に使用する工具に基づいて加工モードを判別する。
【0017】
補正処理部15は、検出信号受信部11が受信した検出信号に基づく検出値が閾値以下である場合に、検出値にしたがって補正情報を生成する。検出値は、例えば、振動の大きさを示す値であり、検出値が大きいほど、振動が大きいことを表す。また、閾値は、予め任意に設定した値でよく、例えば、検出値と、加工成果物の精度との関係についての経験則から設定したものであってもよい。補正情報は、加工処理を行う制御指令の生成の際に用いられる情報である。
【0018】
一例として、補正処理部15は、例えば、機台伝達特性部15aとフィルタ部15bとを備えてもよい。
機台伝達特性部15aは、例えば、工作機械4の機台における主共振を取り込んだ2次のローパス等の簡単なモデルを用いてもよい。また、機台伝達特性部15aは、例えば、実際の周波数特性を予め測定した値に基づいた計算を行ってもよい。
フィルタ部15bは、例えば、バンドパスフィルタ等である。フィルタ部15bは、機械9での加工周波数、又は、機台の主共振等の増幅しやすい周波数に設定する。
【0019】
なお、フィルタ部15bの周波数を機械9での加工周波数に一致させる場合に、例えば、後述する通信IF29を介して、主軸回転情報等の通知を機械9から受けてもよい。この場合、振動は、機械9の主軸回転数の1以上の整数倍になる。
また、フィルタ部15bの周波数を機械9での加工周波数に一致させる場合に、フィルタ自体が追従型のバンドパスフィルタであってもよい。この場合、バンドパスフィルタは逐次的に通過周波数を変更させ、振動振幅が大きくなる方向のみの周波数変更を行ってもよいし、FFT解析により周波数を検知して通過周波数を変更させてもよい。
【0020】
指令生成部17は、検出信号に基づいて工作機械4に対する制御指令を生成する。より具体的には、指令生成部17は、加工モード判別部13により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、所定の制御指令を生成する。ここで、所定の加工モードとは、例えば、仕上げ加工であることをいう。所定の制御指令を生成する際に、指令生成部17は、検出信号に基づく検出値が閾値より大きい場合には、制御指令として、加工を停止させる指令を生成する。加工を停止させる場合には、加工対象に加工の跡を残さないようにする必要がある。そこで、加工を停止させる指令は、例えば、予め工作機械4に設定するパラメータに依存して、減速停止させるようにした指令であってもよいし、加工対象から離れる方向に退避するようにした指令であってもよい。他方、指令生成部17は、検出信号に基づく検出値が閾値以下である場合には、制御指令として、補正処理部15により生成された補正情報を用いて加工を行う指令を生成する。ここで、加工を行う指令とは、軸駆動装置41に対する移動指令をいう。
また、指令生成部17は、加工モード判別部13により判別された加工モードが所定の加工モードではないと判別された場合には、後述する加工プログラム21bに基づいて加工を行う指令を生成する。
【0021】
機械制御部18は、指令生成部17により生成された制御指令に基づいて工作機械4を制御する。より具体的には、機械制御部18は、指令生成部17により生成された制御指令が加工を行う指令である場合には、軸駆動装置41を動作させる制御を行う。また、機械制御部18は、指令生成部17により生成された制御指令が加工を停止させる指令である場合には、軸駆動装置41を停止、又は、加工対象から退避させる制御を行う。
【0022】
以上、制御部10が行う工作機械4に対する制御を行う処理のうち、工作機械4の近傍に設置された加速度センサ7からの検出信号に基づいて、工作機械4の軸駆動装置41の駆動を制御する処理について説明した。なお、上記した、加速度センサ7からの検出信号に基づく工作機械4の制御処理を除く、数値制御装置1に特有の処理については、当業者にとって公知であることから、説明を省略する。
【0023】
記憶部20は、制御部10により実行されるプログラム等を記憶する記憶領域である。記憶部20は、プログラム記憶部21と、工具情報記憶部22とを記憶する。
プログラム記憶部21は、制御部10の各種機能を実行するプログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部21は、制御プログラム21aと、加工プログラム21bとを記憶している。
制御プログラム21aは、上述した制御部10の各機能部を実行するためのプログラムである。加工プログラム21bは、工作機械4が行う加工処理の手順を示すプログラムである。
【0024】
工具情報記憶部22は、工具情報と、加工モードとを対応付けて記憶する記憶領域である。工具情報とは、例えば、工具の種別(タイプ)、工具長や工具経等の工具の寸法等のデータをいう。また、工具情報記憶部22に記憶される加工モードとしては、所定の加工モードであるか否かの判別に用いることができればよく、例えば、荒加工、仕上げ加工等であってもよいし、荒加工や仕上げ加工をさらに細分化したもの等であってもよい。
通信IF29は、例えば、加速度センサ7との間で無線接続するための通信制御デバイスである。
【0025】
軸駆動装置41は、例えば、サーボモータ等である。
入出力装置47は、例えば、表示器/MDIユニットである。表示器/MDIユニットは、ディスプレイやキーボード等を備えた手動データ入力装置である。
【0026】
[加速度センサ7]
図1に示すように、加速度センサ7は、工作機械4の近傍位置の床面Fに設置され、床面Fの振動を検出する。
また、図2に示すように、加速度センサ7は、加速度検出部71と、検出信号送信部72とを備える。
加速度検出部71は、設置された床面Fの振動を検出する。
検出信号送信部72は、加速度検出部71によって検出した振動に関する検出信号を、外部に出力する。ここで、検出信号送信部72は、常に検出信号を外部に出力してもよい。また、検出信号送信部72は、加速度検出部71が振動を検出した場合に限り、検出信号を外部に出力してもよい。
【0027】
[機械9]
図1に示す機械9は、上記したように、例えば、荒加工を行う重切削の機械である。なお、機械9は、工作機械4と同じ床面Fに設置された、動作に伴って振動を発生させるものであれば、工作機械に限定されない。機械9は、例えば、産業用ロボット等であってもよい。
【0028】
[機械制御処理]
次に、第1実施形態の数値制御装置1における工作機械制御処理を説明する。
この工作機械制御処理は、加速度センサ7から受信した検出信号に基づく処理であり、数値制御装置1が工作機械4に対する加工制御を行う間、検出信号を受信する都度行われる処理である。
図3のステップS(以下、「ステップS」を、単に「S」という。)1において、数値制御装置1の制御部10(検出信号受信部11)は、加速度センサ7から検出信号を受信する。
S2において、制御部10は、制御指令生成処理を行う。
【0029】
ここで、制御指令生成処理について、図4に基づき説明する。
図4のS11において、制御部10(加工モード判別部13)は、工作機械4での加工モードを判別する。制御部10は、例えば、工具情報記憶部22を参照し、工作機械4で使用している工具に基づいて加工モードを判別する。
【0030】
S12において、制御部10(加工モード判別部13)は、判別した加工モードが所定の加工モードであるか否かを判断する。判別した加工モードが所定の加工モードである場合(S12:YES)には、制御部10は、処理をS13に移す。他方、判別した加工モードが所定の加工モードではない場合(S12:NO)には、制御部10は、処理をS16に移す。
より具体的な例で説明すると、工作機械4が荒加工を行っている場合には、制御部10は、加工モードが所定の加工モードではない(すなわち、S12の処理がNOである)と判断する。他方、工作機械4が仕上げ加工を行っている場合には、制御部10は、加工モードが所定の加工モードである(すなわち、S12の処理がYESである)と判断する。
【0031】
S13において、制御部10は、図3のS1で受信した検出信号に基づく検出値が閾値以下であるか否かを判断する。検出値が閾値以下である場合(S13:YES)には、制御部10は、処理をS14に移す。他方、検出値が閾値以下ではない場合(S13:NO)には、制御部10は、処理をS17に移す。
より具体的な例で説明すると、工作機械4が設置された床面Fの振動が小さい場合には、制御部10は、検出値が閾値以下である(すなわち、S13の処理がYESである)と判断する。他方、工作機械4が設置された床面Fの振動が大きい場合には、制御部10は、検出値が閾値超である(すなわち、S13の処理がNOである)と判断する。
【0032】
S14において、制御部10(補正処理部15)は、図3のS1で受信した検出信号に基づく検出値にしたがって補正情報を生成する。ここで、数値制御装置1が、検出値と補正情報とを対応付けた補正情報テーブル(図示せず)を記憶部20に記憶しておき、制御部10が、記憶部20の補正情報テーブルを参照して補正情報を生成してもよい。また、制御部10は、検出値から補正情報を生成するための関数を用いて、補正情報を生成してもよい。さらに、制御部10は、機台伝達特性部15aと、フィルタ部15bとによって補正情報を生成してもよい。
【0033】
S15において、制御部10(指令生成部17)は、S14で生成した補正情報を用いて、加工を行う指令である制御指令を生成する。この処理で生成される指令は、外部からの振動を考慮した補正情報によって加工プログラム21bのコードを補正した指令である。生成した加工を行う指令によって加工処理を行うことにより、従来と同様の加工物を生成できる。その後、制御部10は、処理を図3のS3に移す。
【0034】
他方、S16において、制御部10(指令生成部17)は、加工を行う指令である制御指令を生成する。ここで生成する指令は、外部からの振動を考慮せず、従来の加工を継続して行う指令である。その後、制御部10は、処理を図3のS3に移す。
S17において、制御部10(指令生成部17)は、加工を停止させる指令である制御指令を生成する。その後、制御部10は、処理を図3のS3に移す。
図3のS3において、制御部10(機械制御部18)は、生成した制御指令に基づいて工作機械4の軸駆動装置41を制御する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0035】
上述のように、数値制御装置1は、まず、工作機械4が設置された床面Fの近傍位置に設置された加速度センサ7から検出信号を受信した際に、工作機械4で行う加工の加工モードによって、加工モードが荒加工である場合には、加工を継続するようにした。次に、数値制御装置1は、加工モードが仕上げ加工である場合に、加速度センサ7からの検出信号に基づいて、加工を停止するか継続するかを判断するようにした。そして、数値制御装置1は、加工を継続する場合であっても、検出信号に基づいて補正を行うようにした。
【0036】
よって、数値制御装置1は、工作機械4が仕上げ加工を行っている場合には、検出信号に基づいて、加工を停止し、又は、加工を継続するので、例えば、外部要因の振動が大きい場合には、加工を停止させることができ、加工不良等を回避できる。また、例えば、外部要因の振動が小さく、加工による影響が少ない場合には、数値制御装置1は、補正情報を用いることで外部要因の振動を考慮した上で加工を継続させるので、製造を止めずに済む。
【0037】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
第2実施形態では、加工モードの判別を、加工プログラムを解析することで行う。また、第2実施形態では、工作機械自身の加工に伴って生じる振動に係る振動情報を取得して、制御指令を生成する。なお、以降の説明において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0038】
第2実施形態である工作機械システム200の機能ブロックについて、図5を参照して説明する。
図5に示すように、工作機械システム200は、工作機械204と、加速度センサ7と、図示しない機械9とを備える。工作機械204と、機械9とは、第1実施形態と同様に床面Fに設けられている。
【0039】
[工作機械204]
工作機械204は、数値制御装置201と、軸駆動装置41と、入出力装置47とを備える。
数値制御装置201は、制御部210と、記憶部220と、通信IF29とを備える。
制御部210は、検出信号受信部11と、プログラム解析部212と、加工モード判別部213と、振動情報取得部214と、指令生成部217と、機械制御部18とを備える。
【0040】
プログラム解析部212は、数値制御装置201が実行する後述するプログラム記憶部221に記憶された加工プログラム21bを解析する。加工プログラム21bは、例えば、Gコードで記述されており、軸駆動装置41に対する軸移動等の命令が記述されたものである。
加工モード判別部213は、プログラム解析部212による加工プログラム21bの解析結果に基づいて、加工モードを判別する。加工モード判別部213は、プログラム解析部212による解析結果として、例えば、1回の削りの深さ、切削速度、切削パスと切削パスとの間の距離等から「仕上げ加工を行う」と判断できる。そのため、加工モード判別部213は、加工プログラム21bの解析結果により、加工モードを判別できる。
【0041】
振動情報取得部214は、工作機械204自身の加工動作に伴って生じる振動に係る振動情報を取得する。振動情報取得部214による振動情報の取得方法としては、様々な方法があるが、どのような方法を採用してもよい。例えば、工作機械204のみを動作させた際の振動を、加工プログラム21bによる処理工程情報に対応付けて予め記憶部220に記憶しておき、振動情報取得部214は、記憶部220を参照して振動情報を取得してもよい。また、振動情報取得部214は、加工プログラム21bを解析することで、工作機械204のみを動作させた際の振動を予測してもよい。さらに、例えば、加速度センサ7とは異なる図示しない加速度センサを工作機械204に設置し、振動情報取得部214は、当該加速度センサからの検出信号に基づいて振動情報を取得してもよい。
【0042】
指令生成部217は、振動情報取得部214が取得した振動情報と、加速度センサ7の検出信号とに基づいて、工作機械204に対する制御指令を生成する。より具体的には、指令生成部217は、加工モード判別部213により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、検出信号に基づく検出値から振動情報が示す値を差し引いて、差し引き後の振動の大きさによって、加工を停止させる指令を生成し、又は、加工を行う指令を生成する。
【0043】
記憶部220は、プログラム記憶部221を備える。
プログラム記憶部221は、上述した制御部210の各機能部を実行するためのプログラムである制御プログラム221aと、加工プログラム21bとを備える。
【0044】
[機械制御処理]
次に、第2実施形態の数値制御装置201における工作機械制御処理を説明する。
工作機械制御処理は、第1実施形態(図3)と同様である。
工作機械制御処理のS2に対応する数値制御装置201の制御指令生成処理について、図6に基づき説明する。
図6のS211において、制御部210(プログラム解析部212)は、工作機械204の加工に用いる加工プログラム21bを解析する。
S212において、制御部210(加工モード判別部213)は、加工プログラム21bの解析結果に基づいて、加工モードを判別する。
【0045】
S213において、制御部210(加工モード判別部213)は、判別した加工モードが所定の加工モードであるか否かを判断する。判別した加工モードが所定の加工モードである場合(S213:YES)には、制御部210は、処理をS214に移す。他方、判別した加工モードが所定の加工モードではない場合(S213:NO)には、制御部210は、処理をS216に移す。
S214において、制御部210(振動情報取得部214)は、工作機械204の加工に伴って生じる振動に係る振動情報を取得する。
【0046】
S215において、制御部210(指令生成部217)は、工作機械204で行われている加工に係る処理を継続するか否かを、図3のS1に対応する処理で受信した検出信号に基づく検出値と、振動情報が示す値とを用いて判断する。より具体的には、制御部210は、例えば、検出値と、振動情報が示す値との差分が所定値以下であるか否かにより、加工に係る処理を継続するか否かを判断してもよい。加工に係る処理を継続する場合(S215:YES)には、制御部210は、処理をS216に移す。他方、加工に係る処理を継続しない場合(S215:NO)には、制御部210は、処理をS217に移す。
【0047】
S216において、制御部210(指令生成部217)は、加工を行う指令を生成する。ここで生成する指令は、加工を継続して行う指令である。なお、制御部210は、S215の処理がYESの場合に、第1実施形態のように補正情報を考慮して加工を行う指令を生成してもよい。その後、制御部210は、図3のS3に対応する処理に移る。
他方、S217において、制御部210(指令生成部217)は、加工を停止させる指令を生成する。その後、制御部210は、図3のS3に対応する処理に移る。
【0048】
上述のように、数値制御装置201は、加工プログラム21bに基づいて工作機械204で行う加工の加工モードを判別するようにした。また、数値制御装置201は、自身の工作機械204で生じる振動に係る振動情報を取得し、制御指令の生成に用いるようにした。
【0049】
よって、数値制御装置201は、工作機械204が仕上げ加工を行っているか否かを、数値制御装置201に記憶されている加工プログラム21bの解析処理のみで判別できるため、処理が容易である。
また、数値制御装置201は、工作機械204での加工を継続するか否かの判断を、自身の工作機械204で生じる振動情報が示す振動に関する値を差し引いて判断するため、外部要因による振動に関する情報のみで判断でき、判断の精度の向上が期待できる。
【0050】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
第3実施形態では、工作機械の数値制御装置と、工作機械と同じ床面に設けられた1以上の機械とが直接接続し、又は、通信ネットワークを介して接続し、数値制御装置が、接続された機械の稼働状況に応じて工作機械を制御する。
第3実施形態である工作機械システム300の機能ブロックについて、図7を参照して説明する。
【0051】
図7に示すように、工作機械システム300は、工作機械304と、加速度センサ7と、1以上の機械9とを備える。図7の例では、機械9が1台のみ記載されているが、複数台であってもよい。工作機械304と、1以上の機械9とは、第1実施形態(図1参照)と同様に、同じ床面Fに設けられている。
【0052】
[工作機械304]
工作機械304は、数値制御装置301と、軸駆動装置41と、入出力装置47とを備える。
数値制御装置301は、制御部310と、記憶部320と、通信IF329とを備える。
制御部310は、検出信号受信部11と、加工モード判別部13と、外部情報受信部316と、指令生成部317と、機械制御部18とを備える。
【0053】
外部情報受信部316は、1以上の機械9の各々から稼働情報を受信する。数値制御装置301は、例えば、稼働情報を受信したい機械9のMACアドレスやIPアドレス等の通信で必要な情報を、予め記憶部320に記憶しておく。そして、外部情報受信部316は、通信に必要な情報を用いて該当の機械9との間の通信を確立した上で、機械9から稼働情報を受信してもよい。ここで、稼働情報は、例えば、機械9でどのような加工を行うかを示す加工情報であってよい。加工情報は、例えば、機械9の加工プログラムから得ることができる。また、稼働情報は、例えば、機械9での加工処理に係るスケジューリング情報であってもよい。
【0054】
指令生成部317は、外部情報受信部316が受信した稼働情報と、加速度センサ7の検出信号とに基づいて、工作機械304に対する制御指令を生成する。より具体的には、指令生成部317は、加工モード判別部13により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、稼働情報に基づいて加工を継続するか否かを判断する。そして、指令生成部317は、稼働情報に基づいて加工を継続すると判断した場合に、加工を継続する旨の制御指令を生成する。他方、指令生成部317は、稼働情報に基づいて加工を継続しないと判断した場合に、加工を停止させる旨の制御指令を生成する。
【0055】
記憶部320は、プログラム記憶部321と、工具情報記憶部22とを備える。
プログラム記憶部321は、上述した制御部310の各機能部を実行するためのプログラムである制御プログラム321aと、加工プログラム21bとを備える。
通信IF329は、例えば、加速度センサ7や、1以上の機械9との間で無線接続するための通信制御デバイスである。
【0056】
[機械制御処理]
次に、第3実施形態の数値制御装置301における工作機械制御処理を説明する。
工作機械制御処理は、第1実施形態(図3)と同様である。
工作機械制御処理のS2に対応する数値制御装置301の制御指令生成処理について、図8に基づき説明する。
図8のS311及びS312の処理は、第1実施形態(図4)のS11及びS12の処理と同様である。なお、S312の処理でNOが選択された場合、制御部310は、処理をS315に移す。
【0057】
S313において、制御部310(外部情報受信部316)は、1以上の機械9の各々から稼働情報を受信する。
S314において、制御部310は、受信した稼働情報に基づいて工作機械を動作させるか否かを判断する。例えば、受信した稼働情報が、仕上げ加工に関するものであり、大きな振動を生じさせないものであれば、工作機械304の加工に影響を及ぼさないものであると判断できるため、制御部310は、工作機械を動作させると判断する。工作機械304を動作させると判断した場合(S314:YES)には、制御部310は、処理をS315に移す。他方、工作機械304を動作させないと判断した場合(S314:NO)には、制御部310は、処理をS316に移す。
【0058】
S315において、制御部310(指令生成部317)は、加工を行う指令である制御指令を生成する。ここで生成する指令は、従来の加工を継続して行う指令である。その後、制御部310は、図3のS3に対応する処理に移る。
他方S316において、制御部310(指令生成部317)は、加工を停止させる指令である制御指令を生成する。その後、制御部310は、図3のS3に対応する処理に移る。
【0059】
上述のように、数値制御装置301は、機械9と通信接続し、機械9の稼働情報を受信するようにした。
よって、数値制御装置301は、機械9の稼働情報を、工作機械304で加工を継続するか否かの制御に使用できる。つまり、数値制御装置301は、機械9の稼働情報に基づいて、工作機械304による加工を継続するか否かを判断でき、機械9による振動が生じる前に、加工を停止させることができるため、加工不良を生じさせにくくできる。
【0060】
各実施形態で使用するプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0061】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態の1つではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態や、各実施形態を組み合わせた携帯での実施が可能である。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0062】
(変形例1)
上述した各実施形態では、工作機械が数値制御装置と一体になっているものを例に説明したが、これに限定されない。工作機械と、数値制御装置とを別の装置にして、通信可能に接続した構成を備えるものであってもよい。
【0063】
(変形例2)
上述した各実施形態では、加工モードの判別を、工具情報や加工プログラムによって行うものを説明したが、これに限定されない。例えば、オペレータが入出力装置を介して数値制御装置に対して加工モードの判別に係る情報を、パラメータや信号等によって入力してもよい。
【0064】
(変形例3)
上述した各実施形態において、加工を停止した場合には、数値制御装置は、例えば、入出力装置に加工を停止した旨を出力することでオペレータに知らせるようにしてもよい。
【0065】
以上のように、本実施形態によれば、例えば以下の作用効果が得られる。
(1)機械9と同じ床面Fに設置された機械9とは異なる工作機械4であって、加工を行う工作機械4と、床面Fにおける、工作機械4が設置された位置の近傍に設けられた加速度センサ7と、工作機械4を制御する数値制御装置1と、を備えた工作機械システム100であって、加速度センサ7は、検出信号を数値制御装置1に対して送信し、数値制御装置1は、検出信号に基づいて工作機械4に対する制御指令を生成する指令生成部17と、指令生成部17により生成された制御指令に基づいて、工作機械4を制御する機械制御部18と、を備える。
これにより、床面Fを伝わる機械9の振動であって、工作機械4に影響を及ぼす振動を、加速度センサ7が検出でき、数値制御装置1に伝達できる。数値制御装置1は、加速度センサ7からの検出信号に基づいて、工作機械4を制御することができる。
【0066】
(2) (1)に記載の工作機械システム100において、数値制御装置1は、工作機械4が行う加工モードを判別する加工モード判別部13を備え、指令生成部17は、加工モード判別部13により判別された加工モードが所定の加工モードであると判別された場合に、制御指令を生成してもよい。
これにより、数値制御装置1は、工作機械4が仕上げ加工を行っている時に、工作機械4に影響を及ぼす振動に基づいて工作機械4を制御できる。
【0067】
(3) (2)に記載の工作機械システム100において、数値制御装置1は、工具情報と加工モードとを対応付けた工具情報記憶部22を備え、加工モード判別部13は、工具情報記憶部22を参照し、工作機械4で使用する工具に基づいて加工モードを判別してもよい。
これにより、工作機械4の加工モードを、加工で用いる工具によって判別できる。
【0068】
(4) (2)に記載の工作機械システム200において、数値制御装置201は、加工プログラム21bを解析するプログラム解析部212を備え、加工モード判別部213は、プログラム解析部212による解析結果に基づいて加工モードを判別してもよい。
これにより、工作機械4の加工モードを、加工プログラム21bを解析することで判別できる。
【0069】
(5) (1)から(4)までのいずれかに記載の工作機械システム200において、数値制御装置201は、工作機械204の加工に伴って生じる振動に係る振動情報を取得する振動情報取得部214を備え、指令生成部217は、振動情報取得部214が取得した振動情報と、検出信号とに基づいて、制御指令を生成してもよい。
これにより、数値制御装置201が制御する工作機械204以外の振動を、検出信号による振動と、振動情報による振動とから算出でき、算出した振動を、工作機械204に影響を及ぼす振動として処理できる。
【0070】
(6) (1)から(5)までのいずれかに記載の工作機械システム100において、数値制御装置1は、検出信号に基づく振動の大きさに関する値が閾値以下である場合に、値に基づく補正情報を生成する補正処理部15を備え、指令生成部17は、検出信号に基づく値が閾値より大きい場合に、制御指令として、加工を停止させる指令を生成し、値が閾値以下である場合に、制御指令として、加工を行う指令を、補正処理部15により生成された前記補正情報を用いて生成してもよい。
これにより、数値制御装置1は、検出信号による振動が閾値より大きい場合に、工作機械4に対して加工を停止できる。また、数値制御装置1は、検出信号による振動が閾値以下である場合に、振動を補正して工作機械4が加工を継続できる。
【0071】
(7) (1)から(6)までのいずれかに記載の工作機械システム100において、工作機械4は、軸を動作させる軸駆動装置41を備え、機械制御部18は、軸駆動装置41の動作を制御してもよい。
これにより、数値制御装置1は、工作機械4の軸駆動装置41の動作を制御する制御指令を生成できる。
【0072】
(8) (1)から(7)までのいずれかに記載の工作機械システム300において、工作機械304と同じ床面Fに設置された機械9を含む1以上の機械9と数値制御装置301とは、通信可能に接続され、数値制御装置301は、1以上の機械9の各々から稼働情報を受信する外部情報受信部316を備え、指令生成部317は、さらに外部情報受信部316から受信した稼働情報に基づいて制御指令を生成してもよい。
これにより、数値制御装置301は、さらに機械9から直接受信した稼働情報を、工作機械304の制御に用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
1,201,301 数値制御装置
4,204,304 工作機械
7 加速度センサ
9 機械
10,210,310 制御部
11 検出信号受信部
13,213 加工モード判別部
15 補正処理部
17,217,317 指令生成部
18 機械制御部
20,220,320 記憶部
21a,221a,321a 制御プログラム
21b 加工プログラム
22 工具情報記憶部
29,329 通信IF
41 軸駆動装置
47 入出力装置
71 加速度検出部
72 検出信号送信部
100,200,300 工作機械システム
212 プログラム解析部
214 振動情報取得部
316 外部情報受信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8