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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】気体情報取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240521BHJP
   A61G 7/047 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N1/00 101R
A61G7/047
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020009249
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021117045
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大森 清
(72)【発明者】
【氏名】清水 信貴
(72)【発明者】
【氏名】藤井 匡信
(72)【発明者】
【氏名】田坂 敦史
(72)【発明者】
【氏名】秀島 雄介
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-181067(JP,A)
【文献】特開2019-045497(JP,A)
【文献】特開2018-173967(JP,A)
【文献】特開2019-178890(JP,A)
【文献】特開平05-263763(JP,A)
【文献】特開2017-062221(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0221962(US,A1)
【文献】特開2005-061836(JP,A)
【文献】特開2002-153546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00
A61G 7/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を駆動させて気体の吸引及び排出を行うマイクロブロア、及び前記マイクロブロアよりも前記気体の排出側に配置され、前記気体の情報を取得するセンサ、を備えた気体吸引排出装置と、
前記気体吸引排出装置の吸引側に接続され、前記気体の情報の測定領域まで延伸する管状部材と、
前記管状部材の前記気体吸引排出装置と接続されていない側の端部に取り付けられた気体吸引口と、を有し、
前記管状部材は、前記気体の流路の一部となる空洞を備え、
前記気体吸引口は、屈曲する流路方向変換部と、前記流路方向変換部の一端側に設けられた板状部と、前記流路方向変換部の他端側に設けられた接続部とを有し、
前記流路方向変換部、前記板状部、及び前記接続部には、前記空洞と連通する吸入路が設けられ、
前記板状部は、前記流路方向変換部よりも拡幅されており、
前記流路方向変換部は、前記吸入路の方向を前記空洞が延伸する方向に対して屈曲させ、
前記接続部は、前記流路方向変換部から離れるに従って縮幅する気体情報取得装置。
【請求項2】
前記接続部の外周側には、先端側から離れるに従って最大幅が大きくなる階段状の段差が形成されている請求項1に記載の気体情報取得装置。
【請求項3】
記測定領域に配置される複数本の前記管状部材を連結し、前記気体吸引排出装置に接続される前記管状部材の本数を前記測定領域に配置される前記管状部材の本数よりも少なくする連結部品と、を有する請求項1又は2に記載の気体情報取得装置。
【請求項4】
前記測定領域は、監視対象者が横たわることができる敷き寝具上にあり、
前記空洞は前記敷き寝具の上面と平行方向に延伸し、
前記気体吸引口は、前記吸入路の方向を前記敷き寝具の上面から離れる方向に変換する請求項1乃至3の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項5】
前記気体吸引口は、前記吸入路の開口端が形成された先端面を備え、
前記測定領域が被覆部材で被覆されると、前記先端面と前記被覆部材の下面とが接する請求項1乃至4の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項6】
前記気体吸引口は、前記吸入路の方向を前記空洞が延伸する方向に対して垂直方向に変換する請求項乃至の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項7】
前記気体吸引口は、着脱可能な状態でフィルターを内蔵している請求項乃至の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項8】
前記気体吸引口は、吸引した前記気体に含まれる水分及び/又は水滴を溜める液溜まりを備えている請求項乃至の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項9】
前記気体吸引排出装置は、前記気体の吸引方向及び排出方向を揃えて直列に配置された複数のマイクロブロアを有する請求項1乃至の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項10】
前記センサは、前記気体の情報として前記気体の臭いを検出する臭いセンサである請求項1乃至の何れか一項に記載の気体情報取得装置。
【請求項11】
前記気体吸引排出装置と消臭ユニットを同一筐体内に収容した請求項10に記載の気体情報取得装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベッドや布団を使って睡眠、休息、休養等で時間を過ごす人で、排泄処理を自分で行うことができない人が年々増加している。このような人の場合、排泄処理は介護者等により行われるが、排泄が行われてから長い時間が経過すると、排泄をした人は、不衛生、不快である時間が長く、又、その処理を行う介護者も排泄直後に処理を行う場合に比べて手間がかかる。
【0003】
そこで、ベッドや布団の近傍の空気を吸引して排泄を検出する気体情報取得装置が知られている。この気体情報取得装置は、例えば、タンクと、ポンプと、臭いセンサと、を備え、ポンプは、タンクの内部の気体を臭いセンサに送る(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-178890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の気体情報取得装置ではタンクやポンプの小型化が困難であったため、必然的に装置全体が大型化していた。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、気体情報取得装置の小型化を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本気体情報取得装置は、圧電素子を駆動させて気体の吸引及び排出を行うマイクロブロア、及び前記マイクロブロアよりも前記気体の排出側に配置され、前記気体の情報を取得するセンサ、を備えた気体吸引排出装置と、前記気体吸引排出装置の吸引側に接続され、前記気体の情報の測定領域まで延伸する管状部材と、前記管状部材の前記気体吸引排出装置と接続されていない側の端部に取り付けられた気体吸引口と、を有し、前記管状部材は、前記気体の流路の一部となる空洞を備え、前記気体吸引口は、屈曲する流路方向変換部と、前記流路方向変換部の一端側に設けられた板状部と、前記流路方向変換部の他端側に設けられた接続部とを有し、前記流路方向変換部、前記板状部、及び前記接続部には、前記空洞と連通する吸入路が設けられ、前記板状部は、前記流路方向変換部よりも拡幅されており、前記流路方向変換部は、前記吸入路の方向を前記空洞が延伸する方向に対して屈曲させ、前記接続部は、前記流路方向変換部から離れるに従って縮幅する
【発明の効果】
【0008】
開示の技術によれば、気体情報取得装置の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。
図3】第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大側面図である。
図4】第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大断面図である。
図5】第1実施形態に係る気体情報取得装置のチューブ先端近傍の部分斜視図である。
図6】第1実施形態に係る気体情報取得装置の気体吸引口の断面図である。
図7】気体吸引口とシーツとの位置関係を説明する断面図である。
図8】第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する斜視図である。
図9】第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する断面図である。
図10】第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する分解斜視図である。
図11】第1実施形態に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その1)である。
図12】第1実施形態に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その2)である。
図13】第1実施形態に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その3)である。
図14】第1実施形態に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その4)である。
図15】第1実施形態に係る気体吸引排出装置のマイクロブロアを例示する平面図である。
図16】第1実施形態に係る気体吸引排出装置のマイクロブロアを例示する断面図である。
図17】第1実施形態に係る気体吸引排出装置のフィルターユニットを例示する分解斜視図である。
図18】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。
図19】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その1)である。
図20】第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その2)である。
図21】第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置を例示する斜視図である。
図22】第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置を例示する断面図である。
図23】第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その1)である。
図24】第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図(その2)である。
図25】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その1)である。
図26】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その1)である。
図27】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の分解斜視図である。
図28】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その2)である。
図29】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その3)である。
図30】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その2)である。
図31】第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その3)である。
図32】気体吸引口360Eにチューブを挿入した状態を示す斜視図である。
図33】気体吸引口360Eにチューブを挿入した状態を示す断面図である。
図34】第2実施形態に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す部分平面図である。
図35】第2実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。
図36】チューブ連結部品について説明する図である。
図37】第2実施形態の変形例1に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す部分平面図である。
図38】第2実施形態の変形例1に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。
図39】第2実施形態の変形例2に係る気体情報取得装置を例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
〈第1実施形態〉
[気体情報取得装置3]
図1は、第1実施形態に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す斜視図である。図1において、ベッド800にはマットレス810が敷かれ、マットレス810上の一部の領域がシーツ820で覆われており、ベッド800に気体情報取得装置3が配置されている。気体情報取得装置3は、例えば、ベッド800のフットボードの側壁等にネジ等により固定されている。
【0012】
図2は、第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。図2に示すように、気体情報取得装置3は、主に、気体吸引排出装置1と、ケース300と、チューブ340とを有している。
【0013】
気体情報取得装置3は、ケース300内に配置された気体吸引排出装置1がチューブ340を介して測定領域の気体を吸引し、吸引した気体を気体吸引排出装置1が有するセンサ91(後述)に向けて排出し、センサ91で気体の情報(臭いや湿度等)を取得する装置である。なお、ベッド800、マットレス810、及びシーツ820は、気体情報取得装置3の構成要素ではない。本実施形態では、検出対象となる気体は空気である。
【0014】
図2に示すように、箱状のケース300は、仕切り板310により、一列に並ぶ複数の領域320に区画されている。各々の領域320には、気体吸引排出装置1が同一方向を向いて配置されている。ケース300及び仕切り板310は、例えば、ABS樹脂等により形成されている。ケース300上に、板状の上蓋330が設けられるが、図2では図示を省略している。なお、本実施形態では、一例として、ケース300内に6個の気体吸引排出装置1を配置しているが、気体吸引排出装置1の個数は必要に応じて適宜増減して良い。
【0015】
図3は、第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大側面図である。図4は、第1実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大断面図である。
【0016】
図3及び図4に示すように、チューブ340は内部が空洞の管状部材であり、一端がケース300の壁面に形成された貫通孔を介して、気体吸引排出装置1の吸引側である上ケース60の突出部61(詳細は後述の図8等参照)に接続されている。チューブ340の空洞は、気体の流路の一部となる。チューブ340は、例えば、ゴムやビニール等の弾性を有する材料から形成されている。チューブ340の内径及び外径は、必要に応じて適宜決定できるが、例えば、数mm程度である。
【0017】
チューブ340は、固定部材351、352、及び353により、ケース300の壁面に着脱可能に固定されている。例えば、固定部材352と固定部材353をねじ止め可能な構造とすることにより、固定部材353を回転させることで、チューブ340を容易に着脱できる。
【0018】
チューブ340は、ケース300の壁面から、気体の情報の測定領域となるベッド800の上まで延伸している。ケース300の壁面から延伸したチューブ340の先端側は、ベッド800のマットレス810とシーツ820との間に配置されている。チューブ340は、例えば、後述のように、緩衝性を有するクッション830に固定されている(図7等参照)。
【0019】
本実施形態では、一例として、図1に示すように、ベッド800のマットレス810とシーツ820との間に、6本のチューブ340が、所定の間隔を空けて並置されている。複数のチューブ340を並置することで、チューブ340の位置ずれにより、所望の領域の気体の吸引ができなくなることを防止できる。
【0020】
図5は、第1実施形態に係る気体情報取得装置のチューブ先端近傍の部分斜視図である。図6は、第1実施形態に係る気体情報取得装置の気体吸引口の断面図である。
【0021】
図1図5、及び図6に示すように、チューブ340の気体吸引排出装置1と接続されていない側の端部には、気体吸引口360が取り付けられている。気体吸引口360は、略L字形に屈曲する流路方向変換部361と、流路方向変換部361の一端側に設けられた板状部362と、流路方向変換部361の他端側に設けられた接続部363とを有している。
【0022】
流路方向変換部361と、板状部362と、接続部363とは、例えば、一体成形されている。流路方向変換部361、板状部362、及び接続部363には、1つの連続する吸入路364が設けられている。気体吸引口360は、例えば、天然ゴム、合成ゴム(シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム等)、熱可塑性エラストマー等により形成できる。気体吸引口360をこのような材料で作製することで、監視対象者が寝たときに違和感(ごつごつ感等)を与え難くすることができる。
【0023】
このように、気体吸引口360は、チューブ340の空洞と連通する吸入路364と、吸入路364の方向をチューブ340の空洞が延伸する方向(ベッド800の上面と平行な方向)に対して屈曲させる流路方向変換部361を備えている。気体吸引口360は、例えば、吸入路364の方向をチューブ340の空洞が延伸する方向に対して垂直方向に変換する。なお、本願において平行や垂直は、厳密な意味での平行や垂直のみを指すものではなく、本願の効果を損なわない範囲内で実質的に平行や垂直の場合も含むものとする。
【0024】
板状部362は、例えば、円盤状に形成され、流路方向変換部361よりも拡径されている。但し、板状部362は、矩形状等の円盤状以外の形状であってもよい。接続部363は、軸方向に連続するテーパ部363a、テーパ部363b、及びテーパ部363cを有している。テーパ部363a、テーパ部363b、及びテーパ部363cは、例えば、流路方向変換部361から離れるに従って縮径する円錐台状に形成されている。
【0025】
テーパ部363aの最大径はテーパ部363b及び363cの最大径よりも小さく、テーパ部363bの最大径はテーパ部363cの最大径よりも小さい。又、テーパ部363aの最大径はテーパ部363bの最小径よりも大きく、テーパ部363bの最大径はテーパ部363cの最小径よりも大きい。つまり、接続部363の外周側には、先端側から離れるに従って最大径が大きくなる階段状の段差が形成されている。
【0026】
接続部363には、チューブ340が圧入により接続されるが、接続部363の外周側に先端側から離れるに従って最大径が大きくなる階段状の段差が形成されているため、複数の内径のチューブ340を容易に接続可能である。
【0027】
図7は、気体吸引口とシーツとの位置関係を説明する断面図である。図7に示すように、マットレス810上には、気体吸引口360が位置決めされたクッション830が配置されている。気体吸引口360は、板状部362がクッション830の上面から突出するように、クッション830の貫通孔830xに挿入され、位置決めされている。
【0028】
クッション830の上面には、気体吸引口360の板状部362を覆うようにシーツ820が配置されている。図7の構造により、板状部362に設けられた吸入路364の端部が確実にシーツ820側を向くため、シーツ820側の気体を確実に吸引可能となる。なお、クッション830及びマットレス810は、ウレタン等の緩衝性を有する部材から形成されており、容易に変形するため、クッション830の下面側にチューブ340を配置しても、チューブ340が潰れることはない。
【0029】
このように、チューブ340の空洞はベッド800の上面と平行方向に延伸しているが、気体吸引口360は、チューブ340の空洞と連通する吸入路364の方向をベッド800の上面から離れる方向に変換する。ここで、吸入路364がベッド800の上面から離れる方向(すなわち、気体の吸入方向)は、例えば、ベッド800の上面と垂直な方向である。
【0030】
なお、クッション830は用いなくてもよい。例えば、板状部362がシーツ820側を向くように、気体吸引口360及びチューブ340をマットレス810上に直接配置してもよい。或いは、板状部362がシーツ820側を向くように、気体吸引口360及びチューブ340をマットレス810に埋め込んでもよい。
【0031】
例えば、チューブ340の先端に気体吸引口360を取り付けず、チューブ340の先端をキャップで塞ぎ、チューブ340の側面の任意の位置に気体吸引口となる穴を形成する場合を考える。この場合、チューブ340から吸い込む気体は、できるだけ臭いや湿気を発生しているものを取り込むことで正しい検知が可能となるため、チューブ340の穴を上側(シーツ820側)に向ける必要がある。
【0032】
しかし、チューブ340は、ある程度柔らかくフレキシブルであるため、穴を上側(シーツ820側)に確実に向かせることは非常に困難である。又、チューブ340の穴加工もチューブ340の径が小さい(例えば、外径φ5mm程度)ため、非常に困難である。更に、チューブ340の先端にキャップが必要なため、その部品代と取り付けの費用が必要である。
【0033】
又、チューブ340の側面に穴を形成せず、チューブ340の先端をキャップで塞がないで、チューブ340の先端から吸引する場合を考える。この場合、チューブ340を位置決めする困難性はないが、吸引口が、臭いや湿気を発生している気体が存在する方向とは異なる方向を向くため、所望の気体を吸引することが困難である。
【0034】
気体情報取得装置3では、チューブ340の先端に気体吸引口360を取り付けているため、図7に示したように、板状部362に設けられた吸入路364の端部が確実にシーツ820側を向くため、シーツ820側の気体を確実に吸引可能となる。又、チューブ340には穴を設ける必要がないため、加工費用を削減できる。
【0035】
気体情報取得装置3は、例えば、病院に置かれたベッド800に取り付けて使用される。例えば、ベッド800のシーツ820上におむつを着用した患者が寝ている場合を考える。この場合、気体情報取得装置3において気体吸引排出装置1を常時又は間欠的に動作させ、シーツ820近傍の空気を気体吸引口360の吸入路364から吸引し、気体吸引排出装置1のセンサ91で検出する。
【0036】
センサ91の検出結果を気体情報取得装置3の外部に配置された解析装置で解析することで、気体吸引口360を経由してシーツ820近傍の空気の情報を確実に取得できる。例えば、センサ91として臭いセンサを用いれば、気体吸引口360を経由してシーツ820近傍の空気の臭いの情報を確実に取得できる。又、センサ91として湿度センサを用いれば、気体吸引口360を経由してシーツ820近傍の空気の湿度の情報を確実に取得できる。
【0037】
例えば、気体情報取得装置3の外部に配置された解析装置で臭いを解析することで、ベッド800の上で排泄(排尿や排便)が行われたことを容易に検出可能となる。解析装置がベッド800の上で排泄が行われたことを検出したときに、音声や光点滅等により検出結果を病院の看護師等に伝えることで、看護師等は、例えば、ベッド800に寝ている患者のおむつを交換するタイミングを知ることができる。その結果、排泄した状態から短時間でおむつ交換が行われるため、患者にとっては不衛生である時間も短く、又、不快である時間も短くなる。交換する看護師等も長時間放置されたおむつの交換ではないため、スムーズに交換が行える。又、衛生面も確保できる。
【0038】
ここで、気体吸引排出装置1の構成について説明する。
【0039】
[気体吸引排出装置1]
図8は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する斜視図である。図9は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する断面図であり、気体吸引排出装置1の中心を通りひずみゲージ100を長手方向に2分するように切断した縦断面を示している。図10は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置を例示する分解斜視図である。
【0040】
図8図10を参照すると、気体吸引排出装置1は、主に、下ケース10と、マイクロブロア20と、マイクロブロアサポート30と、フィルターサポートプレート40と、フィルターユニット50と、上ケース60と、センサ91と、ひずみゲージ100とを有している。
【0041】
下ケース10と、マイクロブロア20と、マイクロブロアサポート30と、フィルターサポートプレート40と、フィルターユニット50と、上ケース60とは、ビス70により固定されているが、互いに接着等はされていないため、ビス70を外して気体吸引排出装置1を分解することで交換可能である。
【0042】
気体吸引排出装置1は、マイクロブロア20の有する圧電素子を駆動させることにより、上ケース60側から気体を吸引し、下ケース10側に排出し、センサ91で臭いや湿気等を検出する装置である。上ケース60側から吸引した気体は、フィルターユニット50を経由して下ケース10側に排出される。マイクロブロア20よりも気体の吸引側(上ケース60側)にフィルターユニット50を配置することで、塵や埃等が気体吸引排出装置1の内部に入り込むことを防止している。
【0043】
吸引及び排出する気体は、代表的には空気であるが、酸素、窒素、一酸化炭素、水素、二酸化炭素、炭化水素、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)、ホルムアルデヒド、代替フロン、各種ガス等であっても構わない。各種ガスには、可燃性ガス、毒性ガス、半導体材料ガス、不活性ガス、都市ガス、LPガス等が含まれる。
【0044】
なお、本実施形態では、便宜上、気体吸引排出装置1において、上ケース60側を上側又は一方の側、下ケース10側を下側又は他方の側とする。又、各部位の上ケース60側の面を一方の面又は上面、下ケース10側の面を他方の面又は下面とする。但し、気体吸引排出装置1は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置できる。又、平面視とは対象物を上ケース60の上面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物を上ケース60の上面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0045】
[気体吸引排出装置1の組み立て方法]
次に、気体吸引排出装置1の組み立て方法の説明を通じて、気体吸引排出装置1の各構成要素の詳細について説明する。図11図14は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図である。
【0046】
まず、図11の矢印上側に示すように、下ケース10を準備する。図9及び図11に示すように、下ケース10はABS樹脂等により形成された略円盤状の部材であり、下面にマイクロブロア20とは反対側に突出する突出部11が形成されている。突出部11のマイクロブロア20と対向する部分には、気体を排出する流路となる貫通孔12Aと、気体をひずみゲージ100の抵抗体130に誘導する貫通孔12Bが形成されている。又、下ケース10の突出部11と同一側には、ひずみゲージ100を固定するゲージ取付部17が形成されている。
【0047】
下ケース10の上面側(突出部11とは反対側)には、マイクロブロア20を位置決めする凹部13が形成されている。凹部13は、下ケース10の上面側の略中央部に設けられ、マイクロブロア20の本体21が配置される第1部分131と、下ケース10の上面側の径方向に設けられ、マイクロブロア20の外部接続端子22が配置される第2部分132とを含む。第1部分131と第2部分132とは連通している。
【0048】
又、下ケース10の第1部分131において、第2部分132が設けられた内壁を除く3つの内壁から外側に向けて、第1部分131に連通する略半円状の凹部14が形成されている。又、下ケース10の外周側には、各部材同士を固定するためのビスが挿入される3つの貫通孔15が略等間隔で形成されている。
【0049】
次に、図11の矢印下側に示すように、下ケース10に設けられた凹部13にマイクロブロア20を配置する。マイクロブロア20は、本体21と、外部接続端子22とを有している。マイクロブロア20の本体21が凹部13の第1部分131に配置され、マイクロブロア20の外部接続端子22が凹部13の第2部分132に配置される。凹部13の深さは、マイクロブロア20の厚さと同程度に形成されている。そのため、下ケース10の上面とマイクロブロア20の上面とは、略面一となる。
【0050】
そして、マイクロブロア20の一方の側の外周部(例えば、四隅)に設けられた凹部23(座グリ部)にマイクロブロアサポート30を挿入する。マイクロブロアサポート30は、下ケース10及びフィルターサポートプレート40よりも柔らく、例えば、ウレタンゴム等の変形しやすい材料により形成された低荷重の弾性体である。ウレタンゴム以外の低荷重の弾性体としては、例えば、エラストマー材や、天然ゴム、合成ゴム(シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム等)等が挙げられる。ここで、低荷重の弾性体とは、ゴムのように弾性を持つ柔らかい成形可能な材料である。
【0051】
マイクロブロアサポート30は接着等はされていなく、凹部23に挿入されているだけである。各々のマイクロブロアサポート30の一端は、マイクロブロア20の上面から突出している。
【0052】
マイクロブロア20の外部接続端子22の先端側は下ケース10の側面から突出し、マイクロブロア20を構成する圧電素子215a(後述)と気体吸引排出装置1の外部に設けられた回路との電気的な接続を可能とする。
【0053】
なお、マイクロブロア20の外側に位置する3つの半円状の凹部14は、メンテナンス等でマイクロブロア20を交換する際に、マイクロブロア20を取り外しやすくするために設けられている。すなわち、各々の凹部14はマイクロブロア20の側面の一部を露出するため、マイクロブロア20の側面をつまんで容易に取り外すことができる。マイクロブロア20の側面をつまむことができれば、凹部14は半円以外の形状であっても構わない。又、マイクロブロア20の側面をつまむことができれば、凹部14は3つでなくても構わない。
【0054】
次に、図12の矢印上側に示すように、フィルターサポートプレート40を準備する。フィルターサポートプレート40は、ABS樹脂等により形成された略円盤状の部材であり、略中央部に気体の流路の一部となる貫通孔41が形成されている。
【0055】
又、フィルターサポートプレート40において、貫通孔41の周囲には、フィルターユニット50を位置決めする凹部42が形成されている。凹部42は、貫通孔41の外周に沿って環状に設けられ、フィルターユニット50が配置される。
【0056】
又、フィルターサポートプレート40の外周側には、各部材同士を固定するためのビスが挿入される3つの貫通孔43が略等間隔で形成されている。フィルターサポートプレート40は、各々の貫通孔43の位置が、下ケース10の各々の貫通孔15と一致するように配置される。
【0057】
次に、図12の矢印下側に示すように、下ケース10上及びマイクロブロア20上にフィルターサポートプレート40を配置する。フィルターサポートプレート40の貫通孔41内には、マイクロブロア20の開口部219a(後述)が露出する。
【0058】
下ケース10上及びマイクロブロア20上にフィルターサポートプレート40が配置されると、各々のマイクロブロアサポート30の突出部はマイクロブロア20を挟んで下ケース10と対向して配置されたフィルターサポートプレート40に押されて変形する(潰れる)。これにより、マイクロブロアサポート30がマイクロブロア20を下ケース10側に押圧するため、マイクロブロア20は下ケース10の凹部13内に安定的に保持される。
【0059】
次に、図13の矢印上側に示すように、フィルターユニット50を準備する。そして、図13の矢印下側に示すように、フィルターサポートプレート40に設けられたフィルターユニット50を位置決めする凹部42にフィルターユニット50を配置する。フィルターユニット50の外周部が凹部42に配置される。
【0060】
凹部42の深さは、フィルターユニット50の厚さと同程度に形成されている。そのため、フィルターサポートプレート40の上面とフィルターユニット50上面とは、略面一となる。
【0061】
なお、フィルターユニット50はフィルターサポートプレート40の凹部42に位置決めされているだけで、接着剤等で固定はされていない。すなわち、フィルターユニット50は、着脱可能な状態で、フィルター保持部材であるフィルターサポートプレート40に保持されているため、気体吸引排出装置1を分解することで、容易に交換できる。
【0062】
次に、図14の矢印上側に示すように、上ケース60を準備する。図9及び図14に示すように、上ケース60はABS樹脂等により形成された略円盤状の部材であり、上面の略中央部にフィルターユニット50とは反対側に突出する突出部61が形成されている。突出部61の略中央部には、気体を吸引する流路となる貫通孔62が形成されている。突出部61の先端側は、例えば、面取りされて円錐台状になっている。
【0063】
上ケース60の上面の外周側には、略等間隔で配置された3つの凹部63(座グリ部)が形成され、各々の凹部63には、各部材同士を固定するためのビスが挿入される3つの貫通孔64が形成されている。
【0064】
次に、図14の矢印下側に示すように、フィルターサポートプレート40及びフィルターユニット50上に上ケース60を配置し、各々の貫通孔64内にビス70を挿入する。ビス70は、例えば、上ケース60の貫通孔64、フィルターサポートプレート40の貫通孔43、及び下ケース10の貫通孔15に挿入されて、下ケース10の下面から突出し、下ケース10の下面側でナットにより固定される。これにより、気体吸引排出装置1が完成する。
【0065】
なお、最後に、マイクロブロア20の外部接続端子22の近傍にできた隙間を接着剤等で穴埋めすることが好ましい。気体吸引排出装置1の内部にある気体が外部に漏れることを防止すると共に、気体吸引排出装置1の内部に埃等が入り込むことを防止するためである。
【0066】
[マイクロブロア20]
次に、マイクロブロア20について説明する。図15は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置のマイクロブロアを例示する平面図である。図16は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置のマイクロブロアを例示する断面図であり、図15のA-A線に沿う断面を示している。
【0067】
図15及び図16を参照すると、マイクロブロア20は、圧電素子を駆動させて気体の吸引及び排出を行う装置であり、本体21と、外部接続端子22とを有している。本体21の大きさは、例えば、縦20mm×横20mm×高さ2mm程度である。
【0068】
本体21は、外ケース211と、内ケース212とを有している。外ケース211は、内ケース212の外側を所定の隙間を空けて非接触で覆っている。外ケース211は、上方が開口した円筒形の空洞部211aを有し、空洞部211aの中に円形の内ケース212が所定の隙間を空けて収容されている。
【0069】
内ケース212は、例えば、ばね連結部214を介して外ケース211に弾性的に支持されている。外ケース211と内ケース212との間に、気体の流入通路217aが形成されている。ばね連結部214は、外ケース211の内壁部と内ケース212の外壁部との間に周方向に間隔を空けて複数個(図15及び図16の例では4個)設けられている。
【0070】
内ケース212の上方は開口しており、内ケース212の開口を閉じるように振動板215が固定され、内ケース212と振動板215との間に第1ブロア室216が形成されている。振動板215は、例えば、圧電セラミックよりなる圧電素子215aを薄肉な弾性金属板よりなるダイヤフラム215bの中央部に貼り付けたユニモルフ構造である。圧電素子215aに所定周波数の電圧を印加することにより、振動板215全体がベンディングモードで共振駆動される。圧電素子215aは、例えば、ダイヤフラム215bの第1ブロア室216側とは反対側の面に固定されている。
【0071】
内ケース212において、振動板215と対向する壁部212aは、第1ブロア室216の一つの壁面を構成している。振動板215の中心部と対向する壁部212aの部位には、第1ブロア室216の内部と外部とを連通させる貫通孔212bが形成されている。壁部212aと対向する外ケース211の部位には壁部211bが設けられ、壁部211bの中心部、すなわち貫通孔212bと対向する部位には貫通孔211cが形成されている。貫通孔211cは、気体の吐出口となる。壁部211bと壁部212aとの間には所定の流入空間217bが形成され、流入空間217bは前述の流入通路217aの一部を構成している。流入空間217bは、流入通路217aから導入された気体を貫通孔212b及び211cの付近に導く役割を持つ。
【0072】
外ケース211の上面側、すなわち振動板215を介して第1ブロア室216と反対側には、振動板215との間で第2ブロア室218を形成するための壁部219が設けられている。壁部219は、例えば、外ケース211の上端部の開口を閉じるように固定された蓋部材ある。壁部219の中央部には、外部と第2ブロア室218とを連通させる開口部219aが形成されている。
【0073】
第2ブロア室218の容積及び開口部219aの開口面積は、振動板215の振動に伴って疑似的な共鳴空間を形成できるように設定されている。第2ブロア室218と流入通路217aとは相互に接続されている。そのため、開口部219aを介して第2ブロア室218に流入した気体は、流入通路217aを通って流入空間217bへと供給される。
【0074】
マイクロブロア20において、外部接続端子22を介して圧電素子215aに所定周波数の交流電圧を印加すると、振動板215が共振駆動され、第1ブロア室216の容積が周期的に変化する。第1ブロア室216の容積が増大するとき、流入空間217b内の空気が貫通孔212bを通り第1ブロア室216へと吸い込まれる。逆に、第1ブロア室216の容積が減少するとき、第1ブロア室216内の空気が貫通孔212bを通り流入空間217bへと排出される。
【0075】
振動板215は高周波で駆動されるため、貫通孔212bから流入空間217bへと排出された高速で高エネルギーの気体流は、流入空間217bを通過して貫通孔211cから排出される。このとき、流入空間217b内にある周囲の気体を巻き込みながら貫通孔211cから排出する。そのため、流入通路217aから流入空間217bへ向かう連続した気体の流れが生じ、貫通孔211cから気体が噴流となって連続的に吐出される。気体の流れを図16に矢印で示す。
【0076】
[フィルターユニット50]
次に、フィルターユニット50について説明する。図17は、第1実施形態に係る気体吸引排出装置のフィルターユニットを例示する分解斜視図である。図17を参照すると、フィルターユニット50は、フィルターサポート51と、フィルター52と、フィルターサポート55とを有している。これらの部材は、例えば、図示の順番で、各部材間の外周に配置された両面テープにより相互に固着されている。両面テープは、例えば、フィルターサポート51と同形状とすることができる。
【0077】
フィルターサポート51及び55は、フィルター52を両側から保持する部材であり、例えば、ポリイミドフィルムから形成されている。フィルターサポート51側が気体の吸引側であり、フィルターサポート55側が気体の排出側である。なお、フィルターサポート51及び55は必要に応じて設ければよい。例えば、フィルターユニット50の強度が十分であれば、フィルターサポート51及び55の一方又は両方を設けなくてもよい。
【0078】
フィルター52は、塵や埃等が気体吸引排出装置1の内部に入り込むことを防止する部材であり、サブミクロンレベルの塵や埃を除去できることが好ましい。フィルター52は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、レーヨン、ポリプロピレン等から形成できるが、上記の機能を有するものであれば材料は問わない。
【0079】
[ひずみゲージ100]
次に、ひずみゲージ100について説明する。図18は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する平面図である。図19は、第1実施形態に係るひずみゲージを例示する断面図(その1)であり、図18のB-B線に沿う断面を示している。図18及び図19を参照すると、ひずみゲージ100は、基材110と、抵抗体130と、配線140と、端子部150とを有している。
【0080】
前述の図9に示すように、ひずみゲージ100は、抵抗体130が貫通孔12B内に露出するように突出部11の下面に両面テープや接着剤等により固定され、更に、ゲージ取付部17にビス71で固定されている。ひずみゲージ100の端子部150は、下ケース10の側面から突出し、ひずみゲージ100と気体吸引排出装置1の外部に設けられた回路との電気的な接続を可能とする。なお、ひずみゲージ100の基材110は、起歪体を兼ねている。
【0081】
基材110は、抵抗体130等を形成するためのベース層となる部材であり、可撓性を有する。基材110の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、5μm~500μm程度とすることができる。特に、基材110の厚さが5μm~200μmであると、両面テープ等を介して基材110の下面に接合される起歪体54の表面からの歪の伝達性、環境に対する寸法安定性の点で好ましく、10μm以上であると絶縁性の点で更に好ましい。
【0082】
基材110は、例えば、PI(ポリイミド)樹脂、エポキシ樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、ポリオレフィン樹脂等の絶縁樹脂フィルムから形成できる。なお、フィルムとは、厚さが500μm以下程度であり、可撓性を有する部材を指す。
【0083】
ここで、『絶縁樹脂フィルムから形成する』とは、基材110が絶縁樹脂フィルム中にフィラーや不純物等を含有することを妨げるものではない。基材110は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有する絶縁樹脂フィルムから形成しても構わない。
【0084】
基材110の樹脂以外の材料としては、例えば、SiO、ZrO(YSZも含む)、Si、Si、Al(サファイヤも含む)、ZnO、ペロブスカイト系セラミックス(CaTiO、BaTiO)等が挙げられる。又、基材110の材料として、アルミニウム、アルミニウム合金(ジュラルミン)、チタン等の金属を用いてもよい。この場合、金属製の基材110上に、例えば、絶縁膜が形成される。
【0085】
抵抗体130は、基材110上に所定のパターンで形成された薄膜であり、ひずみを受けて抵抗変化を生じる受感部である。所定のパターンは、例えば、ジグザグに折り返すパターンである。抵抗体130は、基材110の上面110aに直接形成されてもよいし、基材110の上面110aに他の層を介して形成されてもよい。なお、図18では、便宜上、抵抗体130を梨地模様で示している。
【0086】
抵抗体130は、例えば、Cr(クロム)を含む材料、Ni(ニッケル)を含む材料、又はCrとNiの両方を含む材料から形成できる。すなわち、抵抗体130は、CrとNiの少なくとも一方を含む材料から形成できる。Crを含む材料としては、例えば、Cr混相膜が挙げられる。Niを含む材料としては、例えば、Cu-Ni(銅ニッケル)が挙げられる。CrとNiの両方を含む材料としては、例えば、Ni-Cr(ニッケルクロム)が挙げられる。
【0087】
ここで、Cr混相膜とは、Cr、CrN、CrN等が混相した膜である。Cr混相膜は、酸化クロム等の不可避不純物を含んでもよい。
【0088】
抵抗体130の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、0.05μm~2μm程度とすることができる。特に、抵抗体130の厚さが0.1μm以上であると抵抗体130を構成する結晶の結晶性(例えば、α-Crの結晶性)が向上する点で好ましく、1μm以下であると抵抗体130を構成する膜の内部応力に起因する膜のクラックや基材110からの反りを低減できる点で更に好ましい。
【0089】
例えば、抵抗体130がCr混相膜である場合、安定な結晶相であるα-Cr(アルファクロム)を主成分とすることで、ゲージ特性の安定性を向上できる。又、抵抗体130がα-Crを主成分とすることで、ひずみゲージ100のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。ここで、主成分とは、対象物質が抵抗体を構成する全物質の50質量%以上を占めることを意味するが、ゲージ特性を向上する観点から、抵抗体130はα-Crを80重量%以上含むことが好ましい。なお、α-Crは、bcc構造(体心立方格子構造)のCrである。
【0090】
抵抗体130の両端には配線140が接続され、各々の配線140は一対の端子部150に接続される。端子部150は、例えば、平面視において、配線140よりも拡幅して略矩形状に形成されている。端子部150は、ひずみにより生じる抵抗体130の抵抗値の変化を外部に出力するための一対の電極であり、例えば、外部接続用のリード線等が接合される。
【0091】
配線140及び端子部150は、例えば、抵抗体130と同一工程において抵抗体130と同一材料により一体に形成できる。端子部150の上面に、抵抗体130よりも低抵抗の導体層(例えば、銅等)を設けてもよい。又、端子部150の上面を、端子部150よりもはんだ付け性が良好な金属(例えば、銅や金等)で被覆してもよい。
【0092】
抵抗体130及び配線140を被覆し端子部150を露出するように基材110の上面110aにカバー層(絶縁樹脂層)を設けても構わない。カバー層を設けることで、抵抗体130及び配線140に機械的な損傷等が生じることを防止できる。又、カバー層を設けることで、抵抗体130及び配線140を湿気等から保護できる。なお、カバー層は、端子部150を除く部分の全体を覆うように設けてもよい。
【0093】
カバー層は、例えば、PI樹脂、エポキシ樹脂、PEEK樹脂、PEN樹脂、PET樹脂、PPS樹脂、複合樹脂(例えば、シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂)等の絶縁樹脂から形成できる。カバー層は、フィラーや顔料を含有しても構わない。カバー層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、2μm~30μm程度とすることができる。
【0094】
ひずみゲージ100を製造するためには、まず、基材110を準備し、基材110の上面110aに図18に示す平面形状の抵抗体130、配線140、及び端子部150を形成する。抵抗体130、配線140、及び端子部150の材料や厚さは、前述の通りである。抵抗体130、配線140、及び端子部150は、同一材料により一体に形成できる。
【0095】
抵抗体130、配線140、及び端子部150は、例えば、抵抗体130、配線140、及び端子部150を形成可能な原料をターゲットとしたマグネトロンスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィによってパターニングすることで形成できる。抵抗体130、配線140、及び端子部150は、マグネトロンスパッタ法に代えて、反応性スパッタ法や蒸着法、アークイオンプレーティング法、パルスレーザー堆積法等を用いて成膜してもよい。
【0096】
ゲージ特性を安定化する観点から、抵抗体130、配線140、及び端子部150を成膜する前に、下地層として、基材110の上面110aに、例えば、コンベンショナルスパッタ法により膜厚が1nm~100nm程度の機能層を真空成膜することが好ましい。なお、機能層は、機能層の上面全体に抵抗体130、配線140、及び端子部150を形成後、フォトリソグラフィによって抵抗体130、配線140、及び端子部150と共に図18に示す平面形状にパターニングされる。
【0097】
本願において、機能層とは、少なくとも上層である抵抗体130の結晶成長を促進する機能を有する層を指す。機能層は、更に、基材110に含まれる酸素や水分による抵抗体130の酸化を防止する機能や、基材110と抵抗体130との密着性を向上する機能を備えていることが好ましい。機能層は、更に、他の機能を備えていてもよい。
【0098】
基材110を構成する絶縁樹脂フィルムは酸素や水分を含むため、特に抵抗体130がCrを含む場合、Crは自己酸化膜を形成するため、機能層が抵抗体130の酸化を防止する機能を備えることは有効である。
【0099】
機能層の材料は、少なくとも上層である抵抗体130の結晶成長を促進する機能を有する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、Cr(クロム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Nb(ニオブ)、Ta(タンタル)、Ni(ニッケル)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Hf(ハフニウム)、Si(シリコン)、C(炭素)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Bi(ビスマス)、Fe(鉄)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Au(金)、Co(コバルト)、Mn(マンガン)、Al(アルミニウム)からなる群から選択される1種又は複数種の金属、この群の何れかの金属の合金、又は、この群の何れかの金属の化合物が挙げられる。
【0100】
上記の合金としては、例えば、FeCr、TiAl、FeNi、NiCr、CrCu等が挙げられる。又、上記の化合物としては、例えば、TiN、TaN、Si、TiO、Ta、SiO等が挙げられる。
【0101】
機能層は、例えば、機能層を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にAr(アルゴン)ガスを導入したコンベンショナルスパッタ法により真空成膜できる。コンベンショナルスパッタ法を用いることにより、基材110の上面110aをArでエッチングしながら機能層が成膜されるため、機能層の成膜量を最小限にして密着性改善効果を得ることができる。
【0102】
但し、これは、機能層の成膜方法の一例であり、他の方法により機能層を成膜してもよい。例えば、機能層の成膜の前にAr等を用いたプラズマ処理等により基材110の上面110aを活性化することで密着性改善効果を獲得し、その後マグネトロンスパッタ法により機能層を真空成膜する方法を用いてもよい。
【0103】
機能層の材料と抵抗体130、配線140、及び端子部150の材料との組み合わせは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、機能層としてTiを用い、抵抗体130、配線140、及び端子部150としてα-Cr(アルファクロム)を主成分とするCr混相膜を成膜可能である。
【0104】
この場合、例えば、Cr混相膜を形成可能な原料をターゲットとし、チャンバ内にArガスを導入したマグネトロンスパッタ法により、抵抗体130、配線140、及び端子部150を成膜できる。或いは、純Crをターゲットとし、チャンバ内にArガスと共に適量の窒素ガスを導入し、反応性スパッタ法により、抵抗体130、配線140、及び端子部150を成膜してもよい。
【0105】
これらの方法では、Tiからなる機能層がきっかけでCr混相膜の成長面が規定され、安定な結晶構造であるα-Crを主成分とするCr混相膜を成膜できる。又、機能層を構成するTiがCr混相膜中に拡散することにより、ゲージ特性が向上する。例えば、ひずみゲージ100のゲージ率を10以上、かつゲージ率温度係数TCS及び抵抗温度係数TCRを-1000ppm/℃~+1000ppm/℃の範囲内とすることができる。なお、機能層がTiから形成されている場合、Cr混相膜にTiやTiN(窒化チタン)が含まれる場合がある。
【0106】
なお、抵抗体130がCr混相膜である場合、Tiからなる機能層は、抵抗体130の結晶成長を促進する機能、基材110に含まれる酸素や水分による抵抗体130の酸化を防止する機能、及び基材110と抵抗体130との密着性を向上する機能の全てを備えている。機能層として、Tiに代えてTa、Si、Al、Feを用いた場合も同様である。
【0107】
このように、抵抗体130の下層に機能層を設けることにより、抵抗体130の結晶成長を促進可能となり、安定な結晶相からなる抵抗体130を作製できる。その結果、ひずみゲージ100において、ゲージ特性の安定性を向上できる。又、機能層を構成する材料が抵抗体130に拡散することにより、ひずみゲージ100において、ゲージ特性を向上できる。
【0108】
抵抗体130、配線140、及び端子部150を形成後、必要に応じ、基材110の上面110aに、抵抗体130及び配線140を被覆し端子部150を露出するカバー層を設けることで、ひずみゲージ100が完成する。カバー層は、例えば、基材110の上面110aに、抵抗体130及び配線140を被覆し端子部150を露出するように半硬化状態の熱硬化性の絶縁樹脂フィルムをラミネートし、加熱して硬化させて作製できる。カバー層は、基材110の上面110aに、抵抗体130及び配線140を被覆し端子部150を露出するように液状又はペースト状の熱硬化性の絶縁樹脂を塗布し、加熱して硬化させて作製してもよい。
【0109】
なお、抵抗体130、配線140、及び端子部150の下地層として基材110の上面110aに機能層を設けた場合には、ひずみゲージ100は図20に示す断面形状となる。符号120で示す層が機能層である。機能層120を設けた場合のひずみゲージ100の平面形状は、図17と同様である。
【0110】
[センサ91]
気体吸引排出装置1において、センサ91が搭載された配線基板92が、柱状の複数のスペーサ93を介して、ビス94により下ケース10に固定されている。
【0111】
センサ91は、マイクロブロア20よりも気体の排出側に配置され、気体の情報を取得する機能を有する。本実施形態では、センサ91は、下ケース10の突出部11よりも気体の排出側に配置され、貫通孔12Aから排出された気体の情報を取得する。貫通孔12Aを拡径し、貫通孔12A内にセンサ91が配置されるようにしてもよい。この場合、センサ91の側面が貫通孔12Aの内壁に囲まれるため、センサ91の検出力を向上できる。又、センサ91が気体の情報を取得する貫通孔は、2つ以上設けてもよい。
【0112】
センサ91は、例えば、貫通孔12Aから排出された気体の情報として気体の臭いを検出する臭いセンサである。臭いセンサとしては、例えば、半導体式や水晶振動子式等の周知のセンサを使用できる。なお、センサ91は、湿度センサ、温度センサ、その他のセンサであってもよい。
【0113】
配線基板92は、ガラスエポキシ基板等の樹脂基板、シリコン基板、セラミック基板等に配線パターンや部品実装用ランド等が形成されたものである。配線基板92には、気体吸引排出装置1の外部と信号等の入出力を行うコネクタや線材等が設けられている。配線基板92に、圧電素子215aを駆動する回路や、ひずみゲージ100の端子部150に接続するアナログフロントエンド等を搭載してもよい。アナログフロントエンドは、例えば、ブリッジ回路、増幅器、アナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)等を備えることができる。アナログフロントエンドは、温度補償回路を備えていてもよい。
【0114】
気体吸引排出装置1のように、センサ91を搭載することで、気体の臭いや湿度等を容易に検出可能となる。
【0115】
このように、気体吸引排出装置1は、圧電素子を駆動させて気体の吸引及び排出を行うマイクロブロア20を用いているため、従来のモータ等を駆動させるポンプに比べて小型化できる。その結果、気体吸引排出装置1を主要部とする気体情報取得装置3の小型化が可能となる。
【0116】
又、気体吸引排出装置1は吸引側にフィルターユニット50を有しており、ひずみゲージ100によりフィルター52の目詰まり(気体の吸引量)を検出できる。又、ひずみゲージ100によりチューブ340の状態を検出できる。チューブ340の状態とは、チューブ340の潰れや折れ曲がり、穴の塞がり等である。
【0117】
つまり、マイクロブロア20が吸引する気体により、ひずみゲージ100には荷重がかかる。これにより、ひずみゲージ100が変形し、ひずみゲージ100の抵抗体130の抵抗値が変化する。抵抗体130の抵抗値の変化を配線140及び端子部150を介して測定することで、フィルター52の目詰まり状態やチューブ340の状態を検出できる。
【0118】
すなわち、フィルター52の目詰まり状態やチューブ340の潰れや折れ曲がり等が大きくなると吸引力が低下するため、貫通孔12Bを介して気体からひずみゲージ100の抵抗体130に印加される荷重が低下し、抵抗体130の抵抗値が小さくなる。そのため、ひずみゲージ100は、フィルター52の目詰まりやチューブ340の潰れや折れ曲がり等を抵抗体130の抵抗値の変化に基づいて精度よく検出できる。例えば、ひずみゲージ100の抵抗値が予め定めた閾値以下となった場合に、フィルター52の目詰まりやチューブ340の潰れや折れ曲がり等を判断できる。フィルター52の目詰まり状態やチューブ340の潰れや折れ曲がり等をモニタすることで、常時適正な気体の吸引及び吐出が可能となり、正確な排泄物の有無が検知できる。
【0119】
又、気体吸引排出装置1では、下ケース10にマイクロブロア20の側面を露出する凹部14が設けられているため、メンテナンス等でマイクロブロア20を交換する際に、マイクロブロア20の取り外しが容易である。
【0120】
又、マイクロブロア20は圧電素子215aを利用して気体の移動を行うが、大変繊細であるため、マイクロブロア20は外周部以外に負荷がかかると正確な動作が得られない。そのため、気体吸引排出装置1では、マイクロブロア20の固定を、マイクロブロア20の外周部(例えば、四隅)に設けられた凹部23に低荷重の弾性体であるマイクロブロアサポート30を挿入することで行っている。これにより、マイクロブロア20にストレスがかかって圧電素子215aの動作に影響が発生するおそれを低減でき、マイクロブロア20の正確な動作が可能となる。
【0121】
又、マイクロブロア20を両面テープを用いて下ケース10に取り付けると、貼り付け時に斜め取り付けや両面テープのはみ出し等の不具合が発生するおそれがあると共に、マイクロブロア20の交換時には性能を破壊することが考えられるため、望ましくない。マイクロブロア20の固定をマイクロブロアサポート30を用いて行うことで、このような問題の発生を回避できる。
【0122】
又、両面テープや接着剤等による固定では、一度取り付けたマイクロブロアサポート30は再使用できないが、凹部23に低荷重の弾性体であるマイクロブロアサポート30を挿入する固定方法により、マイクロブロアサポート30の再使用が可能となる。
【0123】
又、ひずみゲージ100の抵抗体130の材料として、高いゲージ率が得られるCr混相膜を用いた場合には、フィルター52の目詰まりやチューブ340の潰れや折れ曲がり等を高感度で検出できる。
【0124】
〈第1実施形態の変形例1〉
第1実施形態の変形例1では、複数のマイクロブロアを有する気体吸引排出装置を備えた気体情報取得装置の例を示す。なお、第1実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0125】
図21は、第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置を例示する斜視図である。図22は、第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置を例示する断面図であり、気体吸引排出装置1Aの中心を通りひずみゲージ100を長手方向に2分するように切断した縦断面を示している。
【0126】
気体情報取得装置3は、気体吸引排出装置1に代えて気体吸引排出装置1Aを有してもよい。図21及び図22を参照すると、気体吸引排出装置1Aは、4個のマイクロブロア20を有する点が、1個のマイクロブロア20を有する気体吸引排出装置1(図8図9等参照)と相違する。気体吸引排出装置1Aは、下ケース10と、4個のマイクロブロア20と、マイクロブロアサポート30と、フィルターサポートプレート40と、フィルターユニット50と、上ケース60と、3個のマイクロブロアケース80とを有している。
【0127】
次に、気体吸引排出装置1Aの組み立て方法の説明を通じて、気体吸引排出装置1Aの各構成要素の詳細について説明する。図23及び図24は、第1実施形態の変形例1に係る気体吸引排出装置の組み立て方法を例示する斜視図である。
【0128】
まず、第1実施形態の図11と同様の組み立てを行い、下ケース10の凹部13に1個目のマイクロブロア20を配置する。次に、図23の矢印上側に示すように、マイクロブロアケース80を準備し、図23の矢印下側に示すように、凹部13に1個目のマイクロブロア20が配置された下ケース10上に、マイクロブロアケース80を配置する。
【0129】
マイクロブロアケース80はABS樹脂等により形成された略円盤状の部材であり、突出部11が形成されていない点、及び貫通孔12A及び12Bに代えて貫通孔82が設けられた点を除いて下ケース10と同様の構造である。但し、マイクロブロアケース80の厚さは、下ケース10より厚くても構わない。
【0130】
マイクロブロアケース80の上面側には、マイクロブロア20を位置決めする凹部83が形成されている。凹部83は、マイクロブロアケース80の上面側の略中央部に設けられ、マイクロブロア20の本体21が配置される第1部分831と、マイクロブロアケース80の上面側の径方向に設けられ、マイクロブロア20の外部接続端子22が配置される第2部分832とを含む。第1部分831と第2部分832とは連通している。第1部分831の略中央部には、気体を排出する流路となる貫通孔82が形成されている。
【0131】
又、マイクロブロアケース80の第1部分831において、第2部分832が設けられた内壁を除く3つの内壁から外側に向けて、第1部分831に連通する略半円状の凹部84が形成されている。又、マイクロブロアケース80の外周側には、各部材同士を固定するためのビスが挿入される3つの貫通孔85が略等間隔で形成されている。
【0132】
次に、図24の矢印上側に示すように、マイクロブロアケース80の凹部83に2個目のマイクロブロア20を配置する。マイクロブロア20の本体21が凹部83の第1部分831に配置され、マイクロブロア20の外部接続端子22が凹部83の第2部分832に配置される。凹部83の深さは、マイクロブロア20の厚さと同程度に形成されている。そのため、マイクロブロアケース80の上面とマイクロブロア20の上面とは、略面一となる。
【0133】
そして、図24の矢印下側に示すように、マイクロブロア20の外周部の凹部23にマイクロブロアサポート30を挿入する。マイクロブロアサポート30は接着等はされていなく、凹部23に挿入されているだけである。各々のマイクロブロアサポート30の一端は、マイクロブロア20の上面から突出している。
【0134】
マイクロブロア20の外部接続端子22の先端側はマイクロブロアケース80の側面から突出し、マイクロブロア20を構成する圧電素子215aと気体吸引排出装置1Aの外部に設けられた回路との電気的な接続を可能とする。
【0135】
なお、マイクロブロア20の外側に位置する3つの半円状の凹部84は、メンテナンス等でマイクロブロア20を交換する際に、マイクロブロア20を取り外しやすくするために設けられている。すなわち、各々の凹部84はマイクロブロア20の側面の一部を露出するため、マイクロブロア20の側面をつまんで容易に取り外すことができる。マイクロブロア20の側面をつまむことができれば、凹部84は半円以外の形状であっても構わない。
【0136】
更に、図23と同様にして、凹部83に2個目のマイクロブロア20が配置された1個目のマイクロブロアケース80上に、2個目のマイクロブロアケース80を配置する。そして、図24と同様にして、2個目のマイクロブロアケース80の凹部83に3個目のマイクロブロア20を配置する。
【0137】
更に、図23と同様にして、凹部83に3個目のマイクロブロア20が配置された2個目のマイクロブロアケース80上に、3個目のマイクロブロアケース80を配置する。そして、図24と同様にして、3個目のマイクロブロアケース80の凹部83に4個目のマイクロブロア20を配置する。
【0138】
次に、第1実施形態の図12図14と同様にして、凹部83に4個目のマイクロブロア20が配置された3個目のマイクロブロアケース80上に、フィルターサポートプレート40、フィルターユニット50、及び上ケース60を順次配置し、ビス70で固定する。これにより、気体吸引排出装置1Aが完成する。
【0139】
なお、最後に、各々のマイクロブロア20の外部接続端子22の近傍にできた隙間を接着剤等で穴埋めすることが好ましい。気体吸引排出装置1Aの内部にある気体が外部に漏れることを防止すると共に、気体吸引排出装置1Aの内部に埃等が入り込むことを防止するためである。
【0140】
このように、気体吸引排出装置1Aでは、マイクロブロア20の個数を増やしているため、吸引吐出力が向上する。なお、本実施形態ではマイクロブロア20を、気体の吸引方向及び排出方向を揃えて直列に4個配置したが、マイクロブロア20の個数は、2個又は3個、5個以上であっても構わない。マイクロブロア20の個数が多くなるほど、吸引吐出力を向上できる。そのため、気体吸引排出装置1Aを気体情報取得装置3に用いる際には、気体情報取得装置3で必要な吸引吐出力を満たすように、マイクロブロア20の個数を選択すればよい。
【0141】
なお、気体情報取得装置3において、気体吸引排出装置1に代えて気体吸引排出装置1Aを用いることで吸引吐出力が向上するため、気体情報取得装置3が有する気体吸引排出装置1Aの個数を減らせるため、気体情報取得装置3の小型化が可能となる。例えば、図2では気体情報取得装置3が6個の気体吸引排出装置1を有しているが、気体吸引排出装置1Aを用いる場合には5個以下とすることが可能である。
【0142】
又、気体吸引排出装置1Aでは、気体吸引排出装置1と同様に、何れのマイクロブロア20よりも気体の吸引側にフィルターユニット50を配置しているため、塵や埃等が気体吸引排出装置1Aの内部に入り込むことを防止できる。又、気体吸引排出装置1と同様に、ひずみゲージ100によりフィルター52の目詰まり状態やチューブ340の潰れや折れ曲がり等を検出できる。フィルター52の目詰まり状態やチューブ340の潰れや折れ曲がり等をモニタすることで、常時適正な気体の吸引及び吐出が可能となる。
【0143】
又、気体吸引排出装置1Aでは、下ケース10及び各々のマイクロブロアケース80にマイクロブロア20の側面を露出する凹部が設けられているため、メンテナンス等でマイクロブロア20を交換する際に、マイクロブロア20の取り外しが容易である。
【0144】
又、気体吸引排出装置1Aでは、気体吸引排出装置1と同様に、マイクロブロア20の固定を、マイクロブロア20の外周部に設けられた凹部23に低荷重の弾性体であるマイクロブロアサポート30を挿入することで行っている。これにより、マイクロブロア20の正確な動作が可能となる。
【0145】
又、両面テープや接着剤等の固定では、一度取り付けたマイクロブロアサポート30は再使用できないが、凹部23に低荷重の弾性体であるマイクロブロアサポート30を挿入する固定方法により、マイクロブロアサポート30の再使用が可能となる。
【0146】
〈第1実施形態の変形例2〉
第1実施形態の変形例2では、気体情報取得装置に用いる気体吸引口のバリエーションの例を示す。なお、第1実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0147】
図25は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その1)である。図26は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その1)である。図27は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の分解斜視図である。
【0148】
気体情報取得装置3は気体吸引口360に代えて気体吸引口360Aを有してもよい。図25図27を参照すると、気体吸引口360Aは、フィルターユニット50と、パッキン365と、キャップ366が追加された点が、気体吸引口360(図6等参照)と相違する。
【0149】
気体吸引口360Aにおいて、板状部362の吸入路364の周囲には、フィルターユニット50を位置決めする凹部362xが形成されている。凹部362xは、吸入路364の外周に沿って環状に設けられ、フィルターユニット50が配置される。凹部362xにフィルターユニット50が配置された後、必要に応じてフィルターユニット50上にパッキン365を配置し、キャップ366が板状部362に固定される。
【0150】
キャップ366の内壁には、例えば、3箇所の爪366xが設けられており、各々の爪366xは板状部362の側壁に設けられた3箇所の凹部362yに引っ掛かり固定される。なお、取りつけや取り外し時にキャップ366が変形し易いように、キャップ366には複数のスリット366yが設けられていることが好ましい。
【0151】
なお、フィルターユニット50は板状部362の凹部362xに位置決めされているだけで、接着剤等で固定はされていない。すなわち、フィルターユニット50は、着脱可能な状態で、フィルター保持部材である板状部362に保持されているため、キャップ366を外すことで、容易に交換できる。
【0152】
このように、気体吸引口は、着脱可能な状態でフィルターを内蔵してもよい。この場合、気体吸引排出装置側にはフィルターユニットを設けなくてよいため、気体吸引排出装置を小型化できる。気体吸引排出装置の小型化により、気体吸引排出装置を配置したケースをベッド側壁やベッド上に設置しても気になりにくい。
【0153】
又、フィルターユニットを交換する際に気体吸引排出装置を分解する作業が無くなり、キャップ366を外す作業のみになるため、フィルターユニットの交換が容易となり、メンテナンス性が向上する。
【0154】
又、気体を吸引する側に最も近い位置にフィルターユニットが配置されるため、気体吸引排出装置だけではなく、チューブの汚れも防止できる。その結果、チューブの交換もほぼ不要となる。
【0155】
図28は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その2)である。気体情報取得装置3は気体吸引口360に代えて気体吸引口360Bを有してもよい。図28に示すように、気体吸引口360Bは、気体吸引口360Aにおいて、流路方向変換部361の吸入路364の略垂直方向に伸びる部分の板状部362と対向する側に凹部361xを設けた構造である。凹部361xは、吸い込んだ気体に含まれる水分及び/又は水滴(例えば尿)を溜める液溜まりである。
【0156】
気体吸引口360Bから吸い込んだ気体の一部が水分や水滴(例えば尿)を含む場合に、水分や水滴を含んだ気体はチューブ340の中を通り、気体吸引排出装置1を経由してセンサ91に到達する。気体吸引排出装置1に水分や水滴が付着すると破壊等のトラブルとなる。又、チューブ340の中に汚れた水分が付着することでチューブ340も不衛生となる。流路方向変換部361に、吸い込んだ気体に含まれる水分や水滴を溜める凹部361xを設けることで、このような問題を抑制できる。
【0157】
図29は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の断面図(その3)である。図29に示す気体吸引口360Cのように、液溜まりの部分は、凹部367xを設けた別部材367を接着等により流路方向変換部361に固定する構造としてもよい。
【0158】
このように、気体吸引口360A、360B、又は360Cを用いることで、チューブ340や気体吸引排出装置1の汚れを防止できるため、気体情報取得装置3を衛生的に安心して使用できる。又、気体吸引口360A、360B、又は360Cを用いることで、メンテナンスも容易で、常時使用者の排泄物を確実に検知可能となる。
【0159】
図30は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その2)である。気体情報取得装置3は気体吸引口360に代えて気体吸引口360Dを有してもよい。図30に示すように、板状部362の部分が箱状部368に置換されてもよい。箱状部368の先端面368a(上面)は平面であるため、図7の場合と同様に、シーツ820の下面と容易に接することができる。これにより、箱状部368に設けられた吸入路364の端部が確実にシーツ820側を向くため、シーツ820側の気体を確実に吸引可能となる。
【0160】
なお、箱状部368の先端面368a側に矩形状のキャップを設けてフィルターユニットを内蔵する構造としてもよい。
【0161】
図31は、第1実施形態の変形例2に係る気体吸引口の斜視図(その3)である。図32は、気体吸引口360Eにチューブを挿入した状態を示す斜視図である。図33は、気体吸引口360Eにチューブを挿入した状態を示す断面図である。気体情報取得装置3は気体吸引口360に代えて気体吸引口360Eを有してもよい。
【0162】
図31及び図32に示すように、気体吸引口360Eは、下部材369aと上部材369bが接合された構造体である。下部材369aと上部材369bを一体に形成してもよい。下部材369a及び上部材369bの平面形状は円形であり、上部材369bの上面外周側はR形状となっている。上部材369bの上面外周側をR形状とすることで、監視対象者が寝たときに違和感(ごつごつ感等)を与え難くすることができる。
【0163】
上部材369bには、吸入路364が垂直方向に設けられている。又、下部材369a及び上部材369bには、チューブ340が挿入される挿入孔369xが水平方向に設けられている。吸入路364と挿入孔369xとは連通している。挿入孔369xにチューブ340が挿入されると、チューブ340の空洞と吸入路364とが連通する。下部材369a及び上部材369bは、吸入路364の方向をチューブ340の空洞が延伸する方向に対して屈曲させる流路方向変換部である。
【0164】
図33に示すように、クッション830は、ウレタン等の緩衝性を有する部材から形成されており、容易に変形するため、クッション830の下面側にチューブ340を配置しても、チューブ340が潰れることはない。
【0165】
〈第2実施形態〉
第2実施形態では、気体吸引排出装置の個数を減らした気体情報取得装置の例を示す。なお、第2実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0166】
図34は、第2実施形態に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す部分平面図である。図34において、ベッド800にはマットレス810が敷かれ、マットレス810上には、所定位置に6本のチューブ340をチューブ固定部品370を用いて予め固定した緩衝性を有するクッション830が配置されている。
【0167】
各々のチューブ340には、シーツ820近傍の空気を吸引する吸引口となる1つの貫通孔341が設けられ、先端部は塞がれている。各々のチューブ340は、貫通孔341が上側(シーツ820で被覆される側)を向くように、チューブ固定部品370で固定されている。なお、クッション830上にはチューブ340を覆うように、図1図7と同様にシーツ820が敷かれるが、図34ではシーツ820が敷かれる前の状態を示している。
【0168】
図35は、第2実施形態に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。図35に示すように、気体情報取得装置3Aは、主に、気体吸引排出装置1Aと、ケース300と、チューブ340とを有している。
【0169】
気体情報取得装置3Aは、気体情報取得装置3と同様に、ケース300内に配置された気体吸引排出装置1Aがチューブ340を介して測定領域の気体を吸引し、吸引した気体を気体吸引排出装置1Aが有するセンサ91に向けて排出し、センサ91で気体の情報(臭いや湿度等)を取得する装置である。なお、ベッド800、マットレス810、及びシーツ820は、気体情報取得装置3Aの構成要素ではない。本実施形態では、検出対象となる気体は空気である。
【0170】
図35に示すように、気体情報取得装置3Aでは、ケース300内に3個の気体吸引排出装置1Aが配置されている。そのため、ケース300内に6個の気体吸引排出装置1が配置された気体情報取得装置3(図2等参照)よりも、矢印L方向の長さが半分程度に小型化されている。
【0171】
気体情報取得装置3Aにおいて、ケース300内に6個ではなく3個の気体吸引排出装置1Aを配置すれば足りる理由は、6本のチューブ340を3つのチューブ連結部品380を用いて3本にまとめているからである。ここで、チューブ連結部品380は、測定領域に配置される複数本のチューブ340を連結し、気体吸引排出装置1Aに接続されるチューブ340の本数を測定領域に配置されるチューブ340の本数よりも少なくする連結部品である。
【0172】
図36に示すように、チューブ連結部品380は、3つの接続部381、382、及び383を有している。接続部381、382、及び383の外周側には、接続部363(図6等参照)と同様に、先端側から離れるに従って最大径が大きくなる階段状の段差が形成されている。なお、チューブ連結部品380は、3つの接続部を有する構造には限定されず、必要に応じて4つ以上の接続部を有する構造としてもよい。
【0173】
接続部381、382、及び383には、チューブ340が圧入により接続されるが、接続部381、382、及び383の外周側に先端側から離れるに従って最大径が大きくなる階段状の段差が形成されているため、複数の内径のチューブ340を接続可能である。
【0174】
このように、気体吸引排出装置1Aは、圧電素子を駆動させて気体の吸引及び排出を行うマイクロブロア20を用いているため、従来のモータ等を駆動させるポンプに比べて小型化できる。その結果、気体吸引排出装置1Aを主要部とする気体情報取得装置3Aの小型化が可能となる。
【0175】
又、チューブ連結部品380を用いてチューブ340を連結し、気体吸引排出装置1Aに接続されるチューブ340の本数を減らすことにより、気体吸引排出装置1Aの個数を減らせるため、気体情報取得装置3Aの更なる小型化が可能となる。つまり、使用されるベッド800の側壁や使用されるマットレス810の近傍に設置された気体情報取得装置3Aのケース300は、小型に構成されているため、邪魔に成らずに使用者の排泄物を検知可能となる。
【0176】
〈第2実施形態の変形例1〉
第2実施形態の変形例1では、気体吸引排出装置の個数を更に減らした気体情報取得装置の例を示す。なお、第2実施形態の変形例1において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0177】
図37は、第2実施形態の変形例1に係る気体情報取得装置が配置されたベッドを模式的に示す部分平面図である。図37において、マットレス810上には、所定位置に4本のチューブ340をチューブ固定部品370を用いて予め固定した緩衝性を有するクッション830が配置されている。4本のチューブ340は、2つのチューブ連結部品380を用いて2本にまとめられ、更に1つのチューブ連結部品380を用いて1本にまとめられている。つまり、気体吸引排出装置1Aに接続されるチューブ340は1本である。
【0178】
図38は、第2実施形態の変形例1に係る気体情報取得装置のケース近傍の部分拡大斜視図である。図38に示すように、気体情報取得装置3Bでは、ケース300内に1個の気体吸引排出装置1Aが配置されている。そのため、ケース300内に3個の気体吸引排出装置1Aが配置された気体情報取得装置3A(図35等参照)よりも、矢印L方向の長さが1/3程度に小型化されている。
【0179】
このように、貫通孔341が配置された部分のチューブ340の本数は、必要に応じて(ベッドの使用者の体格や体動等を考慮して)任意の個数とすることができる。又、チューブ連結部品380を用いてチューブ340を最終的に何本にまとめるかも適宜決定できるが、気体吸引排出装置1Aに接続されるチューブ340を1本とすることで、気体情報取得装置3Bのように気体吸引排出装置1Aを収容するケース300の大幅な小型化が可能となる。
【0180】
なお、気体情報取得装置3Bにおいて、気体吸引排出装置1Aが1個になったことで吸引力が不足する場合には、気体吸引排出装置1A内で直列に接続されるマイクロブロア20の個数を増やすことで対応できる。この場合、マイクロブロア20は元々小型であるため、ケース300の全体の大きさには殆ど影響しない。
【0181】
〈第2実施形態の変形例2〉
第2実施形態の変形例2では、気体吸引排出装置を消臭ユニット等と一体化した気体情報取得装置の例を示す。なお、第2実施形態の変形例2において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0182】
図39は、第2実施形態の変形例2に係る気体情報取得装置を例示する斜視図である。なお、図39において、筐体400の上蓋の図示は省略されている。
【0183】
図39に示すように、気体情報取得装置3Cは、主に、気体吸引排出装置1Aと、筐体400と、消臭ユニット410と、回路基板420とを有している。気体吸引排出装置1Aと、消臭ユニット410と、回路基板420は、同一の筐体400内に収容されている。
【0184】
筐体400は、例えば、樹脂や金属板等により作製されている。筐体400の大きさは、例えば、縦180mm×横90mm×高さ50mm程度とすることができる。但し、回路基板420の小型化により、縦方向を1/3程度、高さ方向を1/2程度に小型化することが可能である。筐体400には、気体を外部に吐出すための貫通孔400xが設けられている。なお、本実施形態では、センサ91は臭いセンサである。
【0185】
消臭ユニット410は、チューブ340を介して気体吸引排出装置1Aが吸引し、センサ91側に排出した気体の臭いを消すために設けられている。消臭ユニット410としては、例えば、嫌な臭いを吸着・吸収して除去する活性炭や生物処理するバイオ消臭剤、或いは、嫌な臭いを優しい香りに変える消臭剤(芳香剤)等を用いることができる。なお、生物処理とは、微生物が、自分が生きていくために臭いの素である悪臭物質や悪臭成分を取り入れて酸化分解し、エネルギーに変換する処理である。
【0186】
回路基板420には、例えば、マイクロブロア20に供給する電源回路、センサ91に接続される回路、排泄物の有無の検知等を行い、その結果を外部にデータ転送する回路等を設けることができる。又、回路基板420には、コネクタ430が実装されており、外部との電気的な接続を可能としている。コネクタ430は、チューブ340が接続される側とは反対側に配置されてもよい。
【0187】
このように、気体情報取得装置3Cでは、チューブ連結部品380を用いて気体吸引排出装置1Aに接続されるチューブ340を1本としたため、気体吸引排出装置1Aが1つとなってスペースに余裕がある。そのため、気体吸引排出装置1Aを消臭ユニット410や回路基板420等と一体化して筐体400に収容できる。筐体400内に消臭ユニット410を配置することで、気体吸引排出装置1Aが排出する気体が異臭(悪臭)を伴っていても、消臭ユニット410で消臭してから貫通孔400xを介して外部に放出できる。そのため、気体情報取得装置3Cが設置される室内を、異臭(悪臭)のない快適な環境とすることができる。又、室内には気体情報取得装置3Cの気体排出に伴う異臭(悪臭)が存在しないため、センサ91は本来検出すべき臭いを検出可能となり、誤検知を防止できる。
【0188】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0189】
例えば、第1実施形態及びその変形例と第2実施形態及びその変形例とは、適宜組み合わることができる。例えば、第1実施形態及びその変形例において、チューブ連結部品380を用いて複数のチューブ340を連結し、気体吸引排出装置1等に接続されるチューブ340の本数を減らしてもよい。又、第2実施形態及びその変形例において、チューブ340の気体吸引排出装置1A等と接続されていない側の端部に気体吸引口360等を取り付けてもよい。但し、この場合、貫通孔341は設けない。
【0190】
又、第1実施形態及びその変形例と第2実施形態及びその変形例では、測定領域をベッド上としたが、測定領域はベッド上には限定されず、監視対象者(被介護者、患者等)が横たわることができる敷き寝具上にあればよい。敷き寝具とは、例えば、ベッド、布団、マットレス、クッション材、及びこれらに類するものである。
【0191】
又、各気体吸引排出装置において、フィルターの目詰まり状態やチューブの状態の検出のために、ひずみゲージに代えて圧力計を用いてもよい。
【符号の説明】
【0192】
1、1A 気体吸引排出装置、3、3A、3B、3C 気体情報取得装置、10 下ケース、11、61 突出部、12A、12B、15、41、43、62、64、82、85、400x 貫通孔、13、14、23、42、63、83、84、361x、362x、362y、367x 凹部、17 ゲージ取付部、20 マイクロブロア、21 本体、22 外部接続端子、30 マイクロブロアサポート、40 フィルターサポートプレート、50 フィルターユニット、51、55 フィルターサポート、52 フィルター、60 上ケース、70 ビス、80 マイクロブロアケース、91 センサ、92 配線基板、93 スペーサ、94 ビス、100 ひずみゲージ、110 基材、110a 上面、120 機能層、130 抵抗体、131、831 第1部分、132、832 第2部分、140 配線、150 端子部、211 外ケース、211a 空洞部、211b、212a、219 壁部、211c、212b 貫通孔、212 内ケース、214 ばね連結部、215 振動板、215a 圧電素子、215b ダイヤフラム、216 第1ブロア室、217a 流入通路、217b 流入空間、218 第2ブロア室、219a 開口部、300 ケース、310 仕切り板、320 領域、330 上蓋、340 チューブ、341 貫通孔、351、352、353 固定部材、360、360A、360B、360C、360D、360E 気体吸引口、361 流路方向変換部、362 板状部、363、381、382、383 接続部 363a、363b、363c テーパ部、364 吸入路、365 パッキン、366 キャップ、366x 爪、366y スリット、367 別部材、368 箱状部、368a 先端面、369a 下部材、369b 上部材、369x 挿入孔、370 チューブ固定部品、380 チューブ連結部品、400 筐体、410 消臭ユニット、420 回路基板、430 コネクタ、800 ベッド、810 マットレス、820 シーツ、830 クッション
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