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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
F16K15/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020060326
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021156425
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】古賀 英明
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-21233(JP,U)
【文献】特公昭48-20816(JP,B1)
【文献】特開平9-112301(JP,A)
【文献】実開昭51-17229(JP,U)
【文献】特開2003-120836(JP,A)
【文献】実開平5-17277(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00-15/20,1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の一次継手と、
筒状の二次継手と、
前記一次継手及び前記二次継手を連結して流体の流れを中継するとともに、前記一次継手と連通した弁口が内部に設けられた筒状の弁本体と、
平板状に形成され、前記二次継手から流体が流出する場合に前記弁本体の軸線と交差する閉塞姿勢となって前記弁口を閉塞し、前記一次継手から流体が流出する場合に当該流体の流れに沿うように前記閉塞姿勢に対して傾いた開放姿勢へと回転して前記弁口を開放する弁体と、を備え、
前記弁体には、当該弁体の周縁から突出した一対の軸状突起が、前記弁体の回転軸を形成するように設けられ、
前記弁本体の内壁面には、前記一対の軸状突起が回転可能に嵌め込まれる一対の溝が、前記弁本体の前記軸線に沿った方向について、前記一対の軸状突起が、前記弁体が前記閉塞姿勢で前記弁口を閉塞する第1位置と、当該第1位置よりも前記弁口から遠く、前記弁体が前記閉塞姿勢から前記開放姿勢へと回転して前記弁口を開放する第2位置と、の間で移動可能となるように延在して設けられており、
前記弁体において前記閉塞姿勢の際に前記二次継手の側を向く面には、当該面から前記弁体の厚さ方向に突出し、前記弁体が前記閉塞姿勢から回転するときに前記弁本体の内周壁面に干渉することで、前記弁体の動きを当該弁体が前記軸線と平行な姿勢となる手前の段階で止め、当該段階の姿勢を前記開放姿勢とする前記弁体の前記厚さ方向に延びる棒状のストッパ突起が設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
前記弁体において前記閉塞姿勢の際に前記二次継手の側を向く面に、前記回転軸に沿って延在し、その両端部が前記弁体の周縁から突出して前記一対の軸状突起となった軸棒が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記一対の軸状突起は、前記回転軸として、前記弁体の中心から前記周縁における一部分の側へと偏った回転軸を形成するように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記ストッパ突起は、前記弁体の中心を通り、かつ、前記回転軸と直交する線に対して線対称となる一対の位置に設けられていることを特徴とする請求項に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記弁体は、前記一次継手からの流体の流出がとまると前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に向かって重力によって回転し、前記二次継手から流体が流出を始めると、当該流体に押されて前記弁口へと押し付けられて当該弁口を閉塞することを特徴とする請求項1~のうち何れか一項に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記弁本体は、前記軸線が水平方向に沿うように横置き配置されており、
前記弁体は、前記開放姿勢が、前記二次継手に近づくほど下方に向かうように前記水平方向に対して傾いた下方傾斜姿勢となることを特徴とする請求項に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記弁本体は、前記軸線が鉛直方向に沿うように縦置き配置されており、
前記弁体は、前記開放姿勢が前記鉛直方向に対して傾いた傾斜姿勢となることを特徴とする請求項に記載の逆止弁。
【請求項8】
前記一次継手及び前記二次継手が、互いに略同径の内径を有する円筒状の継手であり、
前記弁本体が、前記一次継手及び前記二次継手の内径よりも大きな内径を有する円筒状の部位であって、前記一次継手の一端開口が前記弁口となるように当該一次継手に取り付けられていることを特徴とする請求項1~のうち何れか一項に記載の逆止弁。
【請求項9】
前記弁体が、前記弁口よりも大径の円板状に形成されていることを特徴とする請求項に記載の逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機の冷凍サイクルシステム等に設けられる逆止弁では、二次側からの流体の逆流に対して弁体で弁口を閉塞して逆流を防止する機能を有している。他方で、一次側からの流体の流れに対しては、出来る限り圧力損失が小さく抑えられた状態で弁口を開放することが求められる。
【0003】
そこで、弁体を平板状に形成し、弁体が一次側からの流体の流れに沿った姿勢となって弁口を開放する逆止弁が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この逆止弁には、弁体を、二次側からの逆流時の閉塞姿勢と、一次側からの順流時の開放姿勢と、の間で回転可能に支持する蝶番構造が設けられている。そして、順流時における弁体の開放姿勢が、上記のように一次側からの流体の流れに沿った姿勢となることで、この順流時における圧力損失が抑制されることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-068548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、冷凍サイクルシステム等のシステム構成によっては、1つの設置エリアに複数の逆止弁が集まるようなルートで配管を設置しなくてはならない場合がある。このような場合には、逆止弁における圧力損失が抑制されるだけでなく、逆止弁が小型であることが望ましい。蝶番構造を有する上述の逆止弁では、圧力損失は抑制されるが、その一方で蝶番構造が逆止弁の大型化を招いてしまうという問題がある。
【0006】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、圧力損失の抑制と小型化との両立を図ることができる逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の逆止弁は、筒状の一次継手と、筒状の二次継手と、前記一次継手及び前記二次継手を連結して流体の流れを中継するとともに、前記一次継手と連通した弁口が内部に設けられた筒状の弁本体と、平板状に形成され、前記二次継手から流体が流出する場合に前記弁本体の軸線と交差する閉塞姿勢となって前記弁口を閉塞し、前記一次継手から流体が流出する場合に当該流体の流れに沿うように前記閉塞姿勢に対して傾いた開放姿勢へと回転して前記弁口を開放する弁体と、を備え、前記弁体には、当該弁体の周縁から突出した一対の軸状突起が、前記弁体の回転軸を形成するように設けられ、前記弁本体の内壁面には、前記一対の軸状突起が回転可能に嵌め込まれる一対の溝が、前記弁本体の前記軸線に沿った方向について、前記一対の軸状突起が、前記弁体が前記閉塞姿勢で前記弁口を閉塞する第1位置と、当該第1位置よりも前記弁口から遠く、前記弁体が前記閉塞姿勢から前記開放姿勢へと回転して前記弁口を開放する第2位置と、の間で移動可能となるように延在して設けられており、前記弁体において前記閉塞姿勢の際に前記二次継手の側を向く面には、当該面から前記弁体の厚さ方向に突出し、前記弁体が前記閉塞姿勢から回転するときに前記弁本体の内周壁面に干渉することで、前記弁体の動きを当該弁体が前記軸線と平行な姿勢となる手前の段階で止め、当該段階の姿勢を前記開放姿勢とする前記弁体の前記厚さ方向に延びる棒状のストッパ突起が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の逆止弁によれば、一次側からの順流時には、平板状の弁体が一次側からの流体の流れに沿うように開放姿勢へと回転して弁口を開放するので、この順流時の圧力損失が抑制される。そして、この弁体を閉塞姿勢と開放姿勢との間で回転可能に支持する機構が、弁体の周縁から突出した一対の軸状突起と、弁本体の内壁面に設けられた一対の溝と、を有して構成される。この機構は、弁口を閉塞するだけの大きさがあれば足りる弁体とともに、筒状の弁本体の中に全て収まることから、上述した蝶番構造のように逆止弁を大型化させる懸念がない。つまり、本発明の逆止弁は、弁体を弁口の開閉に必要十分な大きさまで小型化することで、弁体を支持する上記の機構を含めて小型化することができる。このように、本発明の逆止弁によれば、圧力損失の抑制と小型化との両立を図ることができる。
【0009】
ここで、前記弁体において前記閉塞姿勢の際に前記二次継手の側を向く面に、前記回転軸に沿って延在し、その両端部が前記弁体の周縁から突出して前記一対の軸状突起となった軸棒が固定されていることが好適である。
【0010】
この構成によれば、まず、弁体の回転軸が、弁体とは別体で、この弁体に固定され上記の一対の軸状突起を有する軸棒によって形成されることとなる。弁体と一対の軸状突起を精密な一体成形によって形成すること等に比べると、弁体や軸棒を個別に形成して固定する方が作業として容易であることから、コストを低減することができる。つまり、上記の構成によれば、逆止弁のコストを低減することができる。
【0011】
また、前記一対の軸状突起は、前記回転軸として、前記弁体の中心から前記周縁における一部分の側へと偏った回転軸を形成するように設けられていることが好適である。
【0012】
この構成によれば、弁体は、偏った回転軸を挟んで面積の広い広域部分と狭い狭域部分とに二分される。この弁体が弁口からの流体に押されて受ける力は、広域部分の方が狭域部分よりも大きくなるので、閉塞姿勢から開放姿勢へと弁体が回転するときには、広域部分が二次側に向かい、狭域部分が一次側、即ち弁口側に向かうように回転する。そして、狭域部分における回転軸からの回転半径は、例えば回転軸が弁体の中心を通るように設けられる場合の回転半径等に比べて短くなる。これにより、開放姿勢へと回転可能となるまで弁体の狭域部分を弁口から離すのに要する回転軸、即ち一対の軸状突起の移動距離も、回転軸が弁体の中心を通るように設けられる場合に比べて短くなる。その結果、一対の軸状突起を移動させつつ支持する一対の溝の長さも短くて済む。この溝の長さが長過ぎると、弁体の移動中や回転中に軸状突起が溝から外れたり、あるいは、開放姿勢から閉塞姿勢への回転の途中で弁体の一部が弁口に入り込んだりする可能性が高まる。上記の構成によれば、溝の長さが短くて済むので、軸状突起の溝からの外れや、弁体の弁口への入り込みについて、その発生を抑えることができる。
【0013】
また、前記弁体において前記閉塞姿勢の際に前記二次継手の側を向く面には、当該面から突出し、前記弁体が前記閉塞姿勢から回転するときに前記弁本体の内壁面に干渉することで、前記弁体の動きを当該弁体が前記軸線と平行な姿勢となる手前の段階で止め、当該段階の姿勢を前記開放姿勢とするストッパ突起が設けられていることも好適である。
【0014】
この構成によれば、ストッパ突起によって弁体の開放姿勢を軸線と平行な姿勢となる手前の若干傾いた姿勢とすることができる。これにより、開放姿勢にあって二次側からの逆流が生じたときに弁体が流体から力を受け易く、速やかに閉塞姿勢へと弁体を回転させることができる。
【0015】
また、前記ストッパ突起は、前記弁体の中心を通り、かつ、前記回転軸と直交する線に対して線対称となる一対の位置に設けられていることが更に好適である。
【0016】
この構成によれば、順流時に弁口からの流体に押され続ける弁体を開放姿勢に留めるに当たって弁本体の内壁面に干渉するストッパ突起がその内壁面から受ける力を、線対称の一対のストッパ突起のそれぞれにバランス良く分散させることができる。これにより、弁体におけるストッパ突起に関する耐久性を向上させることができる。
【0017】
また、前記弁体は、前記一次継手からの流体の流出がとまると前記開放姿勢から前記閉塞姿勢に向かって重力によって回転し、前記二次継手から流体が流出を始めると、当該流体に押されて前記弁口へと押し付けられて当該弁口を閉塞することが好適である。
【0018】
この構成によれば、重力を利用して弁体を閉塞姿勢へと回転させることから、回転に関する特別な機構等を必要とせず、コストを低減することができる。
【0019】
また、前記弁本体は、前記軸線が水平方向に沿うように横置き配置されており、前記弁体は、前記開放姿勢が、前記二次継手に近づくほど下方に向かうように前記水平方向に対して傾いた下方傾斜姿勢となるように構成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、横置き配置にあって開放姿勢が下方傾斜姿勢となっていることから、一次継手からの流体の流出がとまったときに重力によって弁体を閉塞姿勢へと自然に回転させることができるので好適である。
【0021】
また、前記弁本体は、前記軸線が鉛直方向に沿うように縦置き配置されており、前記弁体は、前記開放姿勢が前記鉛直方向に対して傾いた傾斜姿勢となるように構成されていてもよい。
【0022】
この構成によれば、縦置き配置にあって開放姿勢が傾斜姿勢となっていることから、一次継手からの流体の流出がとまったときに重力によって弁体を、その傾斜が大きくなる方向に閉塞姿勢に向かって自然に回転させることができるので好適である。
【0023】
また、前記一次継手及び前記二次継手が、互いに略同径の内径を有する円筒状の継手であり、前記弁本体が、前記一次継手及び前記二次継手の内径よりも大きな内径を有する円筒状の部位であって、前記一次継手の一端開口が前記弁口となるように当該一次継手に取り付けられていることが好適である。
【0024】
この構成によれば、一次継手の一端開口をそのまま弁口として利用しつつ弁本体を円筒状とすることで、逆止弁の構造の単純化が図られている。これにより、例えば弁本体の外径を一次継手の外径よりも若干大径となる程度に抑える等といった、逆止弁の一層の小型化を図ることができる。
【0025】
また、前記弁体が、前記弁口よりも大径の円板状に形成されていることが更に好適である。
【0026】
この構成によれば、円形の弁口に対し、弁体が少し大きな円板状であるため、多角形等の形状の弁体と比べ、円筒状の弁本体の内径を、弁体を収めるのに必要最小限に抑える等といった、逆止弁の更なる小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の逆止弁によれば、圧力損失の抑制と小型化との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態に係る逆止弁を順流時の開放状態で示す断面斜視図である。
図2図1に示されている逆止弁の断面図である。
図3図1に示されている逆止弁を逆流時の閉塞状態で示す断面斜視図である。
図4図3に示されている逆止弁の断面図である。
図5】弁本体の内壁面に一対の軸状突起が回転可能に嵌め込まれる一対の溝が設けられている様子を、当該溝の周辺部を拡大した拡大断面で示す図である。
図6図1図5に示されている軸棒が偏った位置に固定されている様子を、弁体において軸棒が固定されている面に対する平面視で示す図である。
図7図1図6に示されている逆止弁が横置き配置で使用される様子を示す模式図である。
図8図1図6に示されている逆止弁が縦置き配置で使用される様子を示す模式図である。
図9図1図8に示されている実施形態に対する変形例の軸棒やストッパ突起を弁体とともに示す斜視図である。
図10図9に示されている軸棒、ストッパ突起、及び弁体を示す平面図である。
図11図1図10に示されている実施形態や変形例の逆止弁が適用される冷凍サイクルシステムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態に係る逆止弁について説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係る逆止弁を順流時の開放状態で示す断面斜視図であり、図2は、図1に示されている逆止弁の断面図である。また、図3は、図1に示されている逆止弁を逆流時の閉塞状態で示す断面斜視図であり、図4は、図3に示されている逆止弁の断面図である。
【0031】
本実施形態の逆止弁1は、一次側から二次側へ向かう順流方向D11の流体の流れを許可し、二次側から一次側へ向かう逆流方向D12の流体の流れを禁止する弁装置であり、一次継手11と、二次継手12と、弁本体13と、弁体14と、を備えている。
【0032】
一次継手11は、一端側に弁本体13に連結される一次側フランジ111が設けられた円筒状の継手となっている。二次継手12は、一端側に弁本体13に連結される二次側フランジ121が設けられた、一次継手11と略同径の円筒状の継手となっている。
【0033】
弁本体13は、一次継手11及び二次継手12を連結して流体の流れを中継する部位である。この弁本体13は、一次継手11及び二次継手12の内径φAよりも大きな内径φBを有する円筒状に形成され、一端が一次継手11の一次側フランジ111に連結され、他端が二次継手12の二次側フランジ121に連結されている。そして、この弁本体13では、その内部において、一次継手11の一端開口であって、弁本体13の内周から内側に段差をなすように若干張り出した一次側フランジ111の開口部が、一次継手11と連通した弁口131となっている。逆止弁1は、一次継手11、二次継手12、弁本体13、及び弁口131、が互いに同軸となるように構成されている。
【0034】
弁体14は、平板状、具体的には、弁口131の内径(即ち、一次継手11の内径φA)よりも大径で、弁本体13の内径φBよりも小径の円板状に形成された部位である。この弁体14は、二次継手12から逆流方向D12に流体が流出する場合には、弁本体13の軸線(つまりは、この逆止弁1の軸線1a)と交差する、図3及び図4に示されている閉塞姿勢P11となって弁口131を閉塞する。また、弁体14は、一次継手11から順流方向D11に流体が流出する場合に当該流体の流れに沿うように、閉塞姿勢P11に対して傾いた、図1及び図2に示されている開放姿勢P12へと回転して弁口131を開放する。
【0035】
ここで、弁体14の表裏面のうち閉塞姿勢P11の際に二次継手12の側を向く二次面141には、回転軸14aに沿って延在し、その両端部が弁体14の周縁から突出して一対の軸状突起151となった細長い円柱状の軸棒15が固定されている。
【0036】
そして、弁本体13の内壁面132には、軸棒15における一対の軸状突起151が回転可能に嵌め込まれる一対の溝16が、軸線1aに沿った方向について次のように延在して設けられている。
【0037】
図5は、弁本体の内壁面に一対の軸状突起が回転可能に嵌め込まれる一対の溝が設けられている様子を、当該溝の周辺部を拡大した拡大断面で示す図である。
【0038】
この図5に示されているように、弁体14は、流体の流れが逆流方向D12から順流方向D11に転じた際には、一次継手11の一端開口である弁口131を閉塞する閉塞姿勢P11から開放姿勢P12へと矢印D13方向に回転する。このとき、軸線1aに沿った方向について、回転軸14a、つまりは軸棒15における一対の軸状突起151が不動の状態にあると、弁体14の周縁が弁口131の周縁と干渉して弁体14が回転できなくなる。そこで、本実施形態では、この軸状突起151を弁口131から離すように順流方向D11に移動させることで、弁体14の回転を可能としている。また、流体の流れが順流方向D11から逆流方向D12に転じた際には、これとは逆向きの弁体14の回転を可能としている。
【0039】
この軸状突起151の移動を可能とするために、軸状突起151が嵌め込まれる溝16は、軸状突起151が第1位置P13と第2位置P14との相互間d11で移動可能となるように軸線1aに沿って延在して弁本体13の内壁面132に設けられている。第1位置P13は、弁体14が閉塞姿勢P11で弁口131を閉塞する弁口131側の位置である。第2位置P14は、第1位置P13よりも弁口131から遠く、弁体14が閉塞姿勢P11から開放姿勢P12へと回転して弁口131を開放する位置である。溝16は、円筒状の弁本体13の内壁面132に、一対の軸状突起151と一対一に対応するように一対が、互いに対向するように設けられている。また、各溝16は、弁本体13における弁口131側の端縁から形成されている。このため、組立時には、軸棒15付きの弁体14が、一対の軸状突起151が一対の溝16に弁口131側の端縁から嵌め込まれるようにして、弁本体13に順流方向D11に組付けられる。
【0040】
また、本実施形態では、一対の軸状突起151を有する軸棒15が、弁体14の中心から周縁における一部分の側(図1図5における上側)へと偏った回転軸14aを形成するように当該側に偏った位置に固定されている。
【0041】
図6は、図1図5に示されている軸棒が偏った位置に固定されている様子を、弁体において軸棒が固定されている面に対する平面視で示す図である。
【0042】
この図6に示されているように、軸棒15は、弁体14において閉塞姿勢P11の際に二次継手12の側を向く二次面141に、弁体14の中心145から周縁における一部分142の側へと偏った回転軸14aを形成するように設けられている。この構成により、弁体14は、偏った回転軸14aを挟んで面積の広い広域部分143と狭い狭域部分144とに二分される。この弁体14が弁口131からの流体に押されて受ける力は、広域部分143の方が狭域部分144よりも大きくなる。このため、閉塞姿勢P11から開放姿勢P12へと弁体14が回転するときには、広域部分143が二次側に向かい、狭域部分144が一次側、即ち弁口131の側に向かうように回転することとなる。
【0043】
また、本実施形態では、弁体14において閉塞姿勢P11の際に二次継手12の側を向く二次面141には、次のようなストッパ突起17が設けられている。ストッパ突起17は、二次面141から突出し、弁体14が閉塞姿勢P11から回転するときに弁本体13の内壁面132に干渉する部位である。ストッパ突起17は、この干渉により、弁体14の動きを当該弁体14が軸線1aと平行な姿勢となる手前の段階で止め、当該段階の姿勢を開放姿勢P12とする。このストッパ突起17は、図6に示されているように、弁体14の中心145を通り、かつ、回転軸14aと直交する線14bに対して線対称となる一対の位置に設けられている。
【0044】
ここで、本実施形態の逆止弁1は、以下に説明するように、横置き配置と縦置き配置との何れの配置でも使用可能となっている。
【0045】
図7は、図1図6に示されている逆止弁が横置き配置で使用される様子を示す模式図であり、図8は、図1図6に示されている逆止弁が縦置き配置で使用される様子を示す模式図である。
【0046】
図7に示されている横置き配置では、弁本体13、即ち逆止弁1は、軸線1aが水平方向D14に沿うように配置されている。このとき、本実施形態では、閉塞姿勢P11の際に弁体14の狭域部分144が上側(ここにいう上側とは、狭域部分144が広域部分143の上方に位置するとの意味である。このとき、狭域部分144が広域部分143の真上、即ち弁体14が鉛直方向と平行、とはなってはおらず、弁体14が鉛直方向に対して多少傾いていても良い。)となるように逆止弁1が配置される。このような横置き配置では、弁体14は、その開放姿勢P12が、二次継手12に近づくほど下方に向かうように水平方向D14に対して傾いた下方傾斜姿勢となる。
【0047】
そして、流体の流れが順流方向D11から逆流方向D12に転じる際には、弁体14が次のように動いて弁口131を閉塞する。流体の流れが転じる際には、まず一次継手11からの流体の流出がとまるが、このときに、弁体14は開放姿勢P12から閉塞姿勢P11に向かって重力によって矢印D15方向に回転する。弁体14の開放姿勢P12がストッパ突起17によって下方傾斜姿勢となっており、更に、この傾斜の下側が重量の大きい広域部分143となっているので、弁体14における矢印D15方向の回転が促されることとなっている。そして、この様に、矢印D15方向に弁体14が回転すると、弁体14は軸状突起151が第2位置P14のまま軸線1aと略直角な姿勢となる。次に、二次継手12から流体が逆流方向D12に流出を始めると、この流体に押されて弁体14が溝16に沿って矢印D16方向に弁口131へと押し付けられて当該弁口131を閉塞する。また、流体の流れが逆流方向D12から順流方向D11に転じる際には、弁口131からの流体に押されて、以上に説明した動きとは逆向きに弁体14が動いて弁口131が開放されることとなる。
【0048】
図8に示されている縦置き配置では、弁本体13、即ち逆止弁1は、その軸線1aが鉛直方向D17に沿うように配置されている。この縦置き配置では、弁体14は、その開放姿勢P12が鉛直方向D17に対して傾いた傾斜姿勢となる。
【0049】
この縦置き配置において、流体の流れが順流方向D11から逆流方向D12に転じる際には、弁体14が次のように動いて弁口131を閉塞する。まず一次継手11からの流体の流出がとまると、弁体14は、矢印D18で示されているように、開放姿勢P12から閉塞姿勢P11に向かって重力によって回転するとともに溝16に沿って落下する。更に、二次継手12から流体が逆流方向D12に流出を始めると、この流体に押されて弁体14が溝16に沿って弁口131へと押し付けられて当該弁口131を閉塞する。また、流体の流れが逆流方向D12から順流方向D11に転じる際には、弁口131からの流体に押されて、以上に説明した動きとは逆向きに弁体14が動いて弁口131が開放されることとなる。
【0050】
尚、図8に示されている縦置き配置では、図の下側に一次継手11があり、上側に二次継手12がある弁本体姿勢であるが、これに限定されるものではなく、上側に一次継手11があり、下側に二次継手12がある弁本体姿勢でもよい。この姿勢の場合、逆流時の流速が速く、流体に勢いがある場合に使用可能である。この構成の姿勢の場合、流れがない状態、及び、順流時は、弁体全開時の開放姿勢P12にあり、二次側継手から流体が勢いよく逆流してくると、動圧で弁閉するものである。
【0051】
以上に説明した実施形態の逆止弁1によれば、一次側からの順流時には、平板状の弁体14が一次側からの流体の流れに沿うように開放姿勢P12へと回転して弁口131を開放するので、この順流時の圧力損失が抑制される。そして、この弁体14を閉塞姿勢P11と開放姿勢P12との間で回転可能に支持する機構が、弁体14の周縁から突出した一対の軸状突起151と、弁本体13の内壁面132に設けられた一対の溝16と、を有して構成される。この機構は、弁口131を閉塞するだけの大きさがあれば足りる弁体14とともに、筒状の弁本体13の中に全て収まることから、上述した蝶番構造のように逆止弁1を大型化させる懸念がない。つまり、本実施形態では、弁体14を弁口131の開閉に必要十分な大きさまで小型化することで、弁体14を支持する上記の機構を含めて小型化することができる。このように、本実施形態によれば、圧力損失の抑制と小型化との両立を図ることができる。
【0052】
ここで、本実施形態では、弁体14における二次面141に、両端部が弁体14の周縁から突出して一対の軸状突起151となった軸棒15が固定されている。この構成によれば、まず、弁体14の回転軸14aが、弁体14とは別体の軸棒15によって形成されることとなる。弁体14と一対の軸状突起151を精密な一体成形によって形成すること等に比べると、弁体14や軸棒15を個別に形成して固定する方が、プレスで抜いた弁体(既存の板材が素材なので面粗度、平面度などの精度が出ている)や、既存の外径寸法精度の出たセンターレス丸棒材を接続固定するだけでよい為、作業として容易であることから、コストを低減することができる。つまり、上記の構成によれば、逆止弁1のコストを低減することができる。
【0053】
また、本実施形態では、一対の軸状突起151は、弁体14の中心145から周縁における一部分142の側へと偏った回転軸14aを形成するように設けられている。この構成によれば、弁体14は、偏った回転軸14aを挟んで面積の広い広域部分143と狭い狭域部分144とに二分される。この弁体14が弁口131からの流体に押されて受ける力は、広域部分143の方が狭域部分144よりも大きくなる。このため、閉塞姿勢P11から開放姿勢P12へと弁体14が回転するときには、広域部分143が二次側に向かい、狭域部分144が一次側、即ち弁口131側に向かうように回転する。そして、狭域部分144における回転軸14aからの回転半径は、例えば回転軸14aが弁体14の中心145を通るように設けられる場合の回転半径等に比べて短くなる。これにより、開放姿勢P12へと回転可能となるまで弁体14の狭域部分144を弁口131から離すのに要する回転軸14a、即ち一対の軸状突起151の移動距離も、回転軸14aが弁体14の中心145を通るように設けられる場合に比べて短くなる。その結果、一対の軸状突起151を移動させつつ支持する一対の溝16の長さも短くて済む。この溝16の長さが長過ぎると、弁体14の移動中や回転中に軸状突起151が溝16から外れたり、あるいは、開放姿勢P12から閉塞姿勢P11への回転の途中で弁体14の一部が弁口131に入り込んだりする可能性が高まる。上記の構成によれば、溝16の長さが短くて済むので、軸状突起151の溝16からの外れや、弁体14の弁口131への入り込みについて、その発生を抑えることができる。
【0054】
また、本実施形態では、弁体14の二次面141にはストッパ突起17が設けられている。ストッパ突起17は、弁体14が閉塞姿勢P11から回転するときに弁本体13の内壁面132に干渉することで、弁体14の動きを軸線1aと平行な姿勢となる手前の段階で止め、当該段階の姿勢を開放姿勢P12とする。この構成によれば、ストッパ突起によって弁体14の開放姿勢P12を軸線1aと平行な姿勢となる手前の若干傾いた姿勢とすることができる。これにより、開放姿勢P12にあって二次側からの逆流が生じたときに弁体14が流体から力を受け易く、速やかに閉塞姿勢P11へと弁体14を回転させることができる。
【0055】
また、弁体14の二次面141にはストッパ突起17が設けられていることで、弁体14の開閉移動中の回転中等における次のような事態の発生について抑制効果を得ることができる。即ち、弁体14の開閉移動中の回転中等に、一対の軸状突起151のうち、片方の軸状突起151の溝16内での移動量が、他方の軸状突起151の溝16内での移動量より多くなり、回転軸14aが通常より傾いてしまうと、弁体14の開閉移動中の回転中等における軸状突起151の溝16からの外れや、弁体14の弁口131への入り込みといった事態が発生し易くなる。本実施形態では、ストッパ突起17が設けられることにより、上述したような回転軸14aの傾きが抑えられるので、上述した事態の発生の虞を抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態では、ストッパ突起17は、弁体14の中心145を通り、かつ、回転軸14aと直交する線14bに対して線対称となる一対の位置に設けられている。この構成によれば、順流時に弁本体13の内壁面132に干渉するストッパ突起17がその内壁面132から受ける力を、線対称の一対のストッパ突起17のそれぞれにバランス良く分散させることができる。これにより、弁体14におけるストッパ突起17に関する耐久性を向上させることができる。また、ストッパ突起17が一対設けられていることで、上述した軸状突起151の溝16からの外れや、弁体14の弁口131への入り込みといった事態の発生の虞を更に抑えることができる。
【0057】
また、本実施形態では、弁体14は、一次継手11からの流体の流出がとまると開放姿勢P12から閉塞姿勢P11に向かって重力によって回転する。その後、二次継手12から流体が流出を始めると、当該流体に押されて弁口131へと押し付けられて当該弁口131を閉塞する。この構成によれば、重力を利用して弁体14を閉塞姿勢P11へと回転させることから、回転に関する特別な機構等を必要とせず、コストを低減することができる。
【0058】
また、本実施形態では、図7に示されている横置き配置においては、弁体14は、開放姿勢P12が、二次継手12に近づくほど下方に向かうように水平方向D14に対して傾いた下方傾斜姿勢となる。この構成によれば、一次継手11からの流体の流出がとまったときに重力によって弁体14を閉塞姿勢P11へと自然に回転させることができるので好適である。
【0059】
また、本実施形態では、図8に示されている一次継手11が下側の縦置き配置においては、弁体14は、開放姿勢P12が鉛直方向D17に対して傾いた傾斜姿勢となる。この構成によれば、一次継手11からの流体の流出がとまったときに重力によって弁体14を、その傾斜が大きくなる方向に閉塞姿勢P11に向かって自然に回転させることができるので好適である。
【0060】
また、本実施形態では、一次継手11及び二次継手12が、互いに略同径の内径を有する円筒状の継手となっている。また、弁本体13が、一次継手11及び二次継手12の内径よりも大きな内径を有する円筒状の部位であって、一次継手11の一端開口が弁口131となるように当該一次継手11に取り付けられている。この構成によれば、一次継手11の一端開口をそのまま弁口131として利用しつつ弁本体13を円筒状とすることで、逆止弁1の構造の単純化が図られている。これにより、弁本体13の外径を一次継手11の外径よりも若干大径となる程度に抑える等といった、逆止弁1の一層の小型化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態では、弁体14が、弁口131よりも大径の円板状に形成されている。この構成によれば、円形の弁口に対し、弁体が少し大きな円板状であるため、多角形等の形状の弁体と比べ、円筒状の弁本体13の内径を、弁体14を収めるのに必要最小限に抑える等といった、逆止弁1の更なる小型化を図ることができる。
【0062】
次に、以上に説明した実施形態に対する変形例について説明する。以下の変形例は、弁体14に設けられる軸棒やストッパ突起が、図1図8に示されている実施形態と異なっている。
【0063】
図9は、図1図8に示されている実施形態に対する変形例の軸棒やストッパ突起を弁体とともに示す斜視図であり、図10は、図9に示されている軸棒、ストッパ突起、及び弁体を示す平面図である。
【0064】
本変形例では、細長い円柱状の軸棒15aは、回転軸14a-1が弁体14の中心145を通るように二次面141に固定されている。そして、このように設けられた軸棒15aの近傍に、中心145を通って回転軸14a-1と直交する線14bに対して線対称となる位置に一対のストッパ突起17aが設けられている。また、これらのストッパ突起17aは、中心145を通る回転軸14a-1を中心に弁体14が回転したとき、上述の実施形態と同程度に傾斜した開放姿勢が得られるように、上述の実施形態におけるストッパ突起17よりも長くなっている。
【0065】
また、本変形例でも、弁体14の二次面141に設けられた長めのストッパ突起17aにより、弁体14の開閉移動中の回転中等における一対の軸状突起151の溝16内での移動距離のずれを抑えて回転軸14a-1の傾きを抑えることで、軸状突起151の溝16からの外れや、弁体14の弁口131への入り込みといった事態の発生の虞を抑えることができる。そして、本変形例でも、このストッパ突起17aが一対設けられていることで、このような事態の発生の虞を更に抑えることができる。
【0066】
弁体14に設けられる軸棒やストッパ突起は、上述の実施形態の軸棒15やストッパ突起17に限るものではなく、本変形例のような位置や長さに設けることとしてもよい。
【0067】
尚、弁体における軸棒やストッパ突起の位置や長さは、上述の実施形態や本変形例における例示に限定するものではない。軸棒やストッパ突起の位置は例示とは異なる位置にしても良く、また、長さも例示よりも短くしたり、あるいは例示よりも長くしたりなど、適宜、設計変更して適用することができる。
【0068】
以上で、実施形態とその変形例についての説明を終了し、続いて、実施形態とその変形例が共通して適用される冷凍サイクルシステムの一例について説明する。
【0069】
図11は、図1図10に示されている実施形態や変形例の逆止弁が適用される冷凍サイクルシステムの一例を示す模式図である。尚、この図11には、上述の実施形態や変形例についての特徴が捨象された抽象的な逆止弁5が示されている。
【0070】
この図11の冷凍サイクルシステム50は、例えば、例えば、業務用エアコン等の空気調和機に用いられる。この冷凍サイクルシステム50は、室内側熱交換器51、室外側熱交換器52、膨張弁53、四方弁54、並列に接続された3台の圧縮機55、が図11に示されているように配管で接続されたものである。逆止弁5は、各圧縮機55への冷媒の逆流を防ぐために、各圧縮機55における吐出(高圧出力)側と四方弁54との間に、圧縮機55を一次側、四方弁54を二次側として接続されている。
【0071】
冷房運転時には、実線矢印D51で示されているように、室内側熱交換器51で熱を吸収した冷媒が、四方弁54を介して圧縮機55へと流れ、圧縮機55で圧縮された後、逆止弁5と四方弁54を経て室外側熱交換器52に至る。そして、この室外側熱交換器52で熱を放出した後、膨張弁53を経て室内側熱交換器51に戻る。暖房運転時には、点線矢印D52で示されているように、室内側熱交換器51で熱を放出した冷媒が、膨張弁53を経て室外側熱交換器52に至る。そして、この室外側熱交換器52で熱を吸収した後、四方弁54を介して圧縮機55へと流れ、圧縮機55で圧縮された後、逆止弁5と四方弁54を経て室内側熱交換器51に戻る。冷凍サイクルシステム50は、これらのサイクルを繰り返して室内の冷房及び暖房を行う。
【0072】
ここで、例えば、冷却負荷が大きい条件では、3台の圧縮機55を同時に運転するため、3台の各逆止弁5は全開状態となる。また、冷却負荷が小さい条件では、1台の圧縮機55の運転だけで足りるので、他の2台の圧縮機55は運転しない。このときには、2台の逆止弁5の二次側圧力が一次側圧力より高くなることで二次側からの逆流が生じ、2台の逆止弁5が閉じた状態となる。
【0073】
尚、以上に説明した実施形態や変形例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、これに限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の逆止弁を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0074】
例えば、上述の実施形態や変形例では、業務用エアコン等の空気調和機に用いられる逆止弁1,5を例示したが、逆止弁は、業務用エアコンに限らず、家庭用エアコンに用いてもよいし、空気調和機に限らず、各種の冷凍機、冷蔵庫等にも適用可能である。
【0075】
また、以上の様々な冷凍サイクルシステムにおいて、図11の冷凍サイクルの逆止弁取付け例の様に圧縮機の吐出側への取付けに限定するものではなく、様々な冷凍サイクル中の様々な場所での逆流防止用として適用が可能である。
【0076】
また、各冷凍サイクルシステムの冷媒としては、多種多様な冷媒(例えば、各種フロン系冷媒や、炭化水素系冷媒やCO2やアンモニア等といった自然冷媒等)があるが、これらのどの冷媒に対応した冷凍サイクルシステムにも本発明の逆止弁を適用することができる。
【0077】
また、上述の実施形態や変形例では、逆止弁1,5の各部位について具体的な形状等について円筒状や円板状等というように例示している。しかしながら、本発明の逆止弁は、例示された具体例に限るものではなく、逆止弁に対して要求される性能や運転条件等に応じ、各部位について適宜な形状等を選択して適用することができる。
【0078】
また、上述の実施形態や変形例では、弁体14の二次面141に固定された1本の軸棒15,15aによって弁体14の回転軸14a,14a-1が形成される形態が例示されている。しかしながら、弁体の回転軸を形成する部位は、1本の軸棒に限るものではなく、例えば弁体の周縁から各々の一部が突出するように二次面に固定された一対の短い軸棒であってもよい。また、例えば弁体の周縁(外周)から各々の一部が突出するように弁体の外周面に固定された一対の短い軸棒であってもよい。あるいは、弁体の回転軸を形成する部位は、弁体と一体成形によって形成され、各々が周縁から突出する一対の軸状突起等であってもよい。上記の様に、弁体の外周面に一対の短い軸棒を軸状突起として固定したり、弁体の外周面から一対の軸状突起が突出するように一体成形したりした形態では、弁体の回転軸が弁体の厚み範囲内を通ることとなる。このとき、各軸状突起の直径が弁体の板厚以下であれば、弁体からの軸状突起の厚み方向二次側への出っ張り量をゼロとすることができる。あるいは、各軸状突起の直径が弁体の板厚よりも若干大きい程度に抑えられている場合には、弁体からの軸状突起の厚み方向二次側への出っ張り量を、ゼロではないものの相当程度に抑えることができる。このように軸状突起の出っ張り量がゼロ又は相当程度に抑えられると、その分、軸状突起を支持する溝の長さを短くすることができ、軸状突起の溝からの外れや、弁体の弁口への入り込みについて、その発生を更に抑えることができる。ただし、1本の軸棒15,15aによって弁体14の回転軸14a,14a-1が形成されることで、逆止弁1のコストを低減することができる点は上述した通りである。
【0079】
また、上述の実施形態では、一対の軸状突起151は、弁体14の中心145から周縁における一部分142の側へと偏った回転軸14aを形成するように設けられている。しかしながら、軸状突起の位置は、上述の変形例において一例を示したように、弁体の中心を通る位置としてもよい。ただし、一部分142の側へと偏った回転軸14aを形成するように一対の軸状突起151を設けることで、軸状突起151を嵌入させる溝16からの軸状突起151の外れ等の発生を抑えることができる点も上述した通りである。
【0080】
また、上述の実施形態や変形例では、二次面141にストッパ突起17,17aが設けられた弁体14が例示されている。しかしながら、弁体はこれに限るものではなく、ストッパ突起を設けないこととしてもよい。ただし、ストッパ突起17,17aを設けることで、二次側からの逆流が生じたときに、速やかに閉塞姿勢P11へと弁体14を回転させることができる点は上述した通りである。また、弁体にストッパ突起を設けるにしても、その数は、上述の実施形態や変形例のような一対に限るものでもなく、1つでもよく、あるいは一対以外の複数設けることとしてもよい。ただし、一対のストッパ突起17,17aを線対称に設けることで、弁体14におけるストッパ突起17,17aに関する耐久性を向上させることができる点も上述した通りである。
【0081】
また、上述の実施形態や変形例では、順流から逆流へと流体の流れが転じる際に、重力によって回転し、二次継手12からの流体に押されて弁口131へと押し付けられて弁口131を閉塞する弁体14が例示されている。しかしながら、順流から逆流へと流体の流れが転じる際の弁体の動きはこれに限るものではなく、開放姿勢から閉塞姿勢へと姿勢変更可能であれば他の任意の動きを採用し得るものである。ただし、上記のように動く弁体によれば、逆止弁1におけるコストを低減することができる点も上述した通りである。
【0082】
また、上述の実施形態や変形例では、図7に示されている横置き配置においては、開放姿勢P12が下方傾斜姿勢となる弁体14が例示されている。しかしながら、弁体における開放姿勢はこれに限るものではなく、流体の流れに沿ったものであれば横置き配置において任意の姿勢を取り得る。ただし、横置き配置における開放姿勢P12を下方傾斜姿勢とすることで、弁体14を閉塞姿勢P11へと自然に回転させることができるので好適である点も上述した通りである。
【0083】
また、上述の実施形態や変形例では、図8に示されている縦置き配置においては、弁体14は、開放姿勢P12が鉛直方向D17に対して傾いた傾斜姿勢となる弁体14が例示されている。しかしながら、弁体における開放姿勢はこれに限るものでもなく、流体の流れに沿ったものであれば縦置き配置においても任意の姿勢を取り得る。ただし、縦置き配置における開放姿勢P12を傾斜姿勢とすることで、弁体14を閉塞姿勢P11へと自然に回転させることができるので好適である点も上述した通りである。
【0084】
また、上述の実施形態や変形例では、一次継手11及び二次継手12が、互いに内径が略同径の円筒状で、弁本体13が、これらの内径よりも大きな内径を有する円筒状の部位であって、一次継手11の一端開口が弁口131となった逆止弁1が例示されている。しかしながら、逆止弁はこれに限るものではなく、例えば、同上の各内径の寸法関係において、一次継手のみフランジ部がないストレート形状とし、弁口を有する弁本体を用いた構成のものとする等、各部位の形状等の構成は適宜に設定し得るものである。ただし、上記の構成を採用することで、逆止弁1について一層の小型化を図ることができる点も上述した通りである。
【0085】
また、上述の実施形態や変形例では、弁体14が、弁口131よりも大径の円板状に形成されている。しかしながら、弁体はこれに限るものではなく、その形状等の構成は適宜に設定し得るものである。ただし、上記の構成を採用することで、逆止弁1の更なる小型化を図ることができる点も上述した通りである。
【0086】
また、上述の実施形態や変形例では、逆止弁の配置の一例として、図7図8を参照して説明した様に、逆止弁が横置き配置で使用される場合や、縦置き配置で使用される場合が例示されている。しかしながら、逆止弁の配置は、これらの例示に限定されるものではなく、上記の横置きと縦置きの間の角度での傾斜配置で逆止弁を使用することも可能であり、この場合も同様の効果が得られる。
【0087】
また、上述の実施形態や変形例の説明では、弁体14の板厚が一定の場合が例示されているが、例えば、図7の横置き配置の例において、回転軸14aを境に狭域部分144側よりも広域部分143側の板厚を厚くしても良い。これにより弁体の重心位置がより広域部分143方向に寄る為、一次側からの流れが止まった時に、弁体14が閉塞姿勢P11に更に戻り易くなる効果がある。
【0088】
また、上述の実施形態や変形例では、弁体の一例として、平板状で平面視形状が円形となった弁体14が例示されている。しかしながら、弁体の平面視形状は円形に限定するものではなく、多角形や、楕円形等としても良い。但し、継手、弁本体の内径が円形である為、弁体14の平面視形状を円形とすることで、より小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0089】
1,5 逆止弁
1a 軸線
11 一次継手
12 二次継手
13 弁本体
14 弁体
14a,14a-1 回転軸
14b 線
15,15a 軸棒
16 溝
17,17a ストッパ突起
50 冷凍サイクルシステム
51 室内側熱交換器
52 室外側熱交換器
53 膨張弁
54 四方弁
55 圧縮機
111 一次側フランジ
121 二次側フランジ
131 弁口
132 内壁面
141 二次面
142 一部分
143 広域部分
144 狭域部分
145 中心
151 軸状突起
D11 順流方向
D12 逆流方向
D14 水平方向
D17 鉛直方向
P11 閉塞姿勢
P12 開放姿勢
P13 第1位置
P14 第2位置
d11 相互間
φA,φB 内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11