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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020080330
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021171566
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江田 雅斗
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-082410(JP,U)
【文献】特開平09-172272(JP,A)
【文献】特開2011-036302(JP,A)
【文献】特開2010-136915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0152589(US,A1)
【文献】特開2012-019937(JP,A)
【文献】登録実用新案第3107467(JP,U)
【文献】特開2012-229076(JP,A)
【文献】特開2008-214096(JP,A)
【文献】特開2003-180695(JP,A)
【文献】特開昭61-024645(JP,A)
【文献】特開2005-180831(JP,A)
【文献】登録実用新案第3011240(JP,U)
【文献】特開平09-150869(JP,A)
【文献】実開昭58-018763(JP,U)
【文献】特開2000-208962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の左右いずれかの側面に設けられ、被検体に対して超音波の送受信を行う超音波プローブと前記装置本体の前側面に接続されるプローブコネクタとを繋ぐプローブケーブルを収容するケーブル収容箱を備え、
前記ケーブル収容箱は箱本体を有し
前記箱本体は、上方に開口した開口部前記箱本体の前側壁の上端に設けられた、前記プローブケーブルを通すための前側切り欠きとを有し
前記前側切り欠きの下の部分である前記前側壁の内側面の上端部において、上側及び内側を向く傾斜面が形成されており、
前記前側切り欠きの下にある前記前側壁の外側面の上端部は、外側に反っている、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記箱本体は、その後側の上端にも設けられた、前記プローブケーブルを通すための後側切り欠きを有
前記後側切り欠きの下の部分である前記後側壁の内側面の上端部において、上側及び内側を向く傾斜面が形成されており、
前記後側切り欠きの下にある前記後側壁の外側面の上端部は、外側に反っている、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記箱本体は、その内部に、前記プローブケーブルを引っ掛ける引っ掛け部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記ケーブル収容箱は、前記箱本体の前記開口部を塞ぐ、脱着可能な蓋をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記開口部が前記蓋によって塞がれた状態において、前記切り欠きと前記蓋とによって形成されるケーブル挿通孔は、前記ケーブル挿通孔に挿通された前記プローブケーブルの挿通部分が上下方向に複数並ぶことを抑制する機能を発揮する、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記蓋の上側面の縁に沿って突条が設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記蓋の上側面には、物品を載置するための窪みが設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、装置本体と超音波プローブとがプローブケーブルにて接続される超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、超音波画像の形成処理などを行う装置本体と、被検体に対して超音波の送受波を行う超音波プローブとを含んで構成される。近年、装置本体と超音波プローブとを無線にて接続する超音波診断装置も提案されているが、装置本体と超音波プローブとを有線、すなわちプローブケーブルで接続する超音波診断装置も数多く存在する。
【0003】
超音波診断装置は様々なシチュエーションで使用され得るため、使用時における装置本体と被検体までの間の距離は様々となり得る。したがって、比較的装置本体から遠くに居る被検体まで超音波プローブが届くように、プローブケーブルは比較的長めに設計されるのが一般的である。
【0004】
衛生面の観点などからプローブケーブルを床面やオペレータ(医師など)に直接触れさせないようにするのが望ましいところ、プローブケーブルが長いことでプローブケーブルの取り回しが困難になる場合があった。このことに鑑み、従来、プローブケーブルを収納しながら超音波プローブを使用可能な超音波診断装置が提案されている。例えば、特許文献1には、プローブケーブルを収納する収納部であって、上部に開口した収容容器、ローラ、及びローラを駆動するモータを含む収納部を備えた超音波診断装置が開示されている。当該収納部は、モータを駆動させることにより、ローラに当接したプローブケーブルを収容容器に引き込む構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-36302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献1などのように、モータなどを用いた構造によれば、プローブケーブルを収納しつつ超音波プローブを使用することができる。しかしながら、そのような構造を採用すると、超音波診断装置の部品点数が増え、超音波診断装置のコストが上がったり、重量や体積が増えたりするなどの問題を生じさせる。
【0007】
本発明の目的は、簡易な構造によって、プローブケーブルの余長部をケーブル収容箱に収納しながら超音波プローブを好適に使用可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る超音波診断装置は、装置本体の左右いずれかの側面に設けられ、被検体に対して超音波の送受信を行う超音波プローブと前記装置本体の前側面に接続されるプローブコネクタとを繋ぐプローブケーブルを収容するケーブル収容箱を備え、前記ケーブル収容箱は箱本体を有し前記箱本体は、上方に開口した開口部前記箱本体の前側壁の上端に設けられた、前記プローブケーブルを通すための前側切り欠きとを有し前記前側切り欠きの下の部分である前記前側壁の内側面の上端部において、上側及び内側を向く傾斜面が形成されており、前記前側切り欠きの下にある前記前側壁の外側面の上端部は、外側に反っている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡易な構造によって、プローブケーブルの余長部をケーブル収容箱に収納しながら超音波プローブを好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る超音波診断装置の外観斜視図である。
図2】本実施形態に係る箱本体の斜視図である。
図3】箱本体の前側面の断面図である。
図4】仕切り板を示す斜視図である。
図5】ケーブル引っ掛け棒を示す斜視図である。
図6】箱本体に取り付けられる蓋を示す斜視図である。
図7】箱本体に蓋が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図8】ケーブル挿通孔の正面図である。
図9】蓋の第1の変形例を示す斜視図である。
図10】蓋の第2の変形例を示す斜視図である。
図11】ケーブル収容箱の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置10の外観斜視図である。超音波診断装置10は、装置本体12と、超音波プローブ14とを含んで構成される。図1において、装置本体12の幅方向(左右方向)がX軸で表され、装置本体12の奥行方向(前後方向)がY軸で表され、装置本体12の高さ方向(上下方向)がZ軸で表されている。
【0012】
装置本体12は、超音波プローブ14に対して、被検体に超音波を送信させるための送信信号を送信する。また、装置本体12は、超音波プローブ14からの受信信号に基づいて、超音波画像の形成処理を行う。また、図1には不図示であるが、装置本体12は、形成した超音波画像などを表示するディスプレイを含んでいてもよい。装置本体12は、その前側面12aに後述のプローブコネクタ20が接続されるコネクタ16を有している。
【0013】
超音波プローブ14は、複数の振動素子からなる振動子アレイを備えており、当該振動子アレイにおいて被検体に対して超音波の送受信を行う。超音波プローブ14からはプローブケーブル18が延伸している。プローブケーブル18は、超音波プローブ14とプローブコネクタ20とを繋ぐケーブルである。プローブケーブル18には、装置本体12と振動子アレイとの間で信号を伝達するための多数の信号線が含まれている。装置本体12と被検体とが離れている場合にも超音波プローブ14が被検体に対して好適に超音波を送受信できるように、プローブケーブル18は比較的長めの長さ(2m程度)を有している。装置本体12の前側面12aに設けられたコネクタ16にプローブコネクタ20が接続されることで、装置本体12と超音波プローブ14とが物理的及び電気的に接続される。なお、図1には、超音波プローブ14が1つのみ示されているが、装置本体12は複数のコネクタ16を備えており、複数の超音波プローブ14を同時に接続することができる。
【0014】
また、図1に示すように、超音波診断装置10には、プローブケーブル18を収容するためのケーブル収容箱30が設けられる。ケーブル収容箱30は、装置本体12の右側面12b又は左側面12cのいずれかに設けられる。後述するように、ケーブル収容箱30は、右側面12bと左側面12cのいずれにも取り付けることが可能な構造を有している。ケーブル収容箱30は、装置本体12に対して脱着可能に取り付けられる。
【0015】
図1に示すように、ケーブル収容箱30は、全体として略直方体の形状を有している。具体的には、取り付け状態において前後方向に伸長する略直方体の形状を有している。なお、本実施形態では、ケーブル収容箱30は、箱本体と蓋とを含んで構成されるところ、図1には、箱本体に蓋が取り付けられた状態が示されている。
【0016】
図2は、ケーブル収容箱30の箱本体32(蓋が取り外された状態)の斜視図である。以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」の各用語は、ケーブル収容箱30が装置本体12の右側面12bに取り付けられた場合における前後左右上下を意味する。
【0017】
箱本体32は、例えばプラスチックなどの樹脂から形成される。箱本体32は、前後方向に延伸した略直方体の外形を呈しており、上方に開口した開口部34を有している。箱本体32の内部(前後左右の壁部によって囲われた空間)がプローブケーブル18が収容される収容室となる。箱本体32の左壁上側部分36は、それよりも下側の左壁下側部分に比して左側に突き出しており、当該左壁下側部分の上側面によって肩部38が形成されている。同様に、箱本体32の右壁上側部分40も、それよりも下側の右壁下側部分に比して右側に突き出しており、当該右壁下側部分の上側面によって肩部(不図示)が形成されている。
【0018】
箱本体32の左壁上側部分36に、箱本体32の長手方向に並ぶ複数のビス挿通孔42が形成されている。装置本体12の右側面12b及び左側面12c(図1参照)にはそれぞれ、前後方向に並ぶ複数のビス穴が設けられており、ビス挿通孔42に挿通されたビスが当該ビス穴に係合することで、箱本体32が装置本体12に取り付けられる。したがって、箱本体32が右側面12bに取り付けられた場合、箱本体32の前側壁44が前側に位置し後側壁46が後側に位置するが、箱本体32が左側面12cに取り付けられた場合、箱本体32の前側壁44が後側に位置し後側壁46が前側に位置することとなる。
【0019】
前側壁44の上端には切り欠き48が設けられている。換言すれば、前側壁44は、その上端の一部が切り取られた形状を有している。切り欠き48の右側端部を切り欠き右端48aと呼び、左側端部を切り欠き左端48bと呼ぶ。本実施形態では、前側壁44の幅方向(左右方向)の全体に亘って上端が切り取られ、切り欠き48が前側壁44の幅方向の全体に亘っており、切り欠き右端48aが右壁上側部分40の前側端となっており、切り欠き左端48bが左壁上側部分36の前側端となっている。しかし、必ずしもそうである必要はなく、前側壁44の幅方向の少なくとも一部において切り欠き48が設けられていてもよい。切り欠き48は、箱本体32の内部(プローブケーブル18の収容室)から箱本体32の外部に向けて(具体的にはプローブコネクタ20又は超音波プローブ14に向けて)延びるプローブケーブル18が通る通路となる。
【0020】
切り欠き48の内側(箱本体32の内部側)角部に面取りが施されるのが望ましい。これにより、切り欠き48に当接したプローブケーブル18の破損が抑制される。図3は、図2におけるA-A方向から見た前側壁44の断面図である。図3に示される通り、本実施形態では、切り欠き48の内側角部には、なだらかな傾斜面50が形成されている。さらに、前側壁44の上部(切り欠き48のすぐ下の部分)が外側(前側)に反っており、傾斜面50に起因して前側壁44が肉薄になることが抑制されている。これにより、前側壁44の上部の強度の低下が抑制されている。
【0021】
医師などの超音波診断装置10のオペレータは、プローブケーブル18の余長部をまとめて開口部34から箱本体32の内部に収容することができる。箱本体32の内部に収容されたプローブケーブル18は、切り欠き48を通って、箱本体32の内部から外部へ延出する。プローブケーブル18を切り欠き48に通すことで、プローブケーブル18を箱本体32の内部から前方に向かって延びている状態に維持することができる。具体的には、例えば超音波プローブ14が左右方向に動かされるなどして、プローブケーブル18が左右側へ引っ張られたとしても、プローブケーブル18(の切り欠き48を通っている部分)が切り欠き右端48a又は切り欠き左端48bに当接することで、それ以上の左右方向への移動が抑制される。これにより、箱本体32から延出するプローブケーブル18の見た目が整然となると共に、常に一方向に延伸していることで、プローブケーブル18を絡まりにくくすることができる。特に、複数のプローブケーブル18を箱本体32に収容した場合、これらの効果はより顕著となる。また、プローブコネクタ20は、装置本体12の前側面12aに接続され、また、被検体は装置本体12の前方に居ることが多いから、プローブケーブル18の通路たる切り欠き48が箱本体32の前側に設けられていることで、箱本体32の外部におけるプローブケーブル18の引き回し長を低減することができる。さらに、切り欠き48が前側壁44の上端に設けられていることで、箱本体32の内部からのプローブケーブル18の延出位置が床面から離れた位置となるから、切り欠き48から延出したプローブケーブル18を床面に接触し難くすることができる。
【0022】
上述のように、箱本体32が左側面12cに取り付けられた場合、具体的には、箱本体32の左壁上側部分36に形成された複数のビス挿通孔42にビスを通して装置本体12の左側面12c(図1参照)に設けられたビス穴に係合させた場合、後側壁46が前側に位置することとなる。この場合にも、箱本体32の内部に収容されたプローブケーブル18を好適に前方へ延出させることができるように、前側壁44と同様に、後側壁46の上端にもプローブケーブル18を通すための切り欠き52が設けられるのが望ましい。また、切り欠き52の内側(箱本体32の内部側)角部にも、面取り(本実施形態では傾斜面54)が施されるのが望ましい。切り欠き52の詳細や機能は、切り欠き48と同等であるため、説明は省略する。
【0023】
箱本体32の内部に、プローブケーブル18を引っ掛けるための引っ掛け部を有するのが望ましい。箱本体32の内部において引っ掛け部にプローブケーブル18を引っ掛けることで、箱本体32の内部におけるプローブケーブル18の引き回し経路を規定することができ、プローブケーブル18の絡まりを抑制することができる。また、引っ掛け部にプローブケーブル18を引っ掛けることで例えば超音波プローブ14が動かされるなどにより、プローブケーブル18が引っ張られた場合に、箱本体32内に収容されたプローブケーブル18が箱本体32から脱落してしまうことが抑制される。
【0024】
引っ掛け部としては、種々の形状の部材によって実現可能であるが、以下、引っ掛け部としての代表的な例を2つ説明する。
【0025】
図4は、引っ掛け部としての機能を発揮する仕切り板60が箱本体32に取り付けられた状態を示す斜視図である。箱本体32の前側壁44及び後側壁46の上部(切り欠き48又は52のすぐ下)には、それぞれ、その内側面に仕切り板係合部62が形成されている。仕切り板係合部62は、仕切り板60の厚み程度の幅(左右方向の長さ)を有する凹部である。仕切り板係合部62は、前側壁44及び後側壁46にそれぞれ1つずつ、すなわち1対のみ設けられてもよいが、左右方向に並んで複数対設けられてもよい。本実施形態では、図4(又は図2)に示すように、仕切り板係合部62は3対設けられている。
【0026】
仕切り板60は、外形が略長方形の板状部材である。その長手方向の長さは、箱本体32の内部空間の長手方向の長さと略同一であり、その短手方向の長さは、箱本体32の内部空間の高さ(上下方向の長さ)と略同一となっている。仕切り板60は、その短辺から長手方向外側に突出するフランジ部64を有しており、フランジ部64が仕切り板係合部62に係合することで箱本体32に脱着可能に取り付けられる。取り付け状態において、仕切り板60は、箱本体32の底面に略垂直に立設した状態となる。
【0027】
取り付け状態において上側に位置する仕切り板60の長辺には、1又は複数の切り欠き66が設けられる。本実施形態では、3つの切り欠き66が設けられている。当該切り欠き66がプローブケーブル18を引っ掛ける引っ掛け部となる。具体的には、箱本体32が装置本体12の右側面12bに取り付けられた場合、プローブコネクタ20側からのプローブケーブル18が切り欠き48を通って箱本体32の内部へ入り、切り欠き66(具体的には切り欠き66の前側端66a)に引っ掛けられ、再度切り欠き48を通って箱本体32の外部へ(超音波プローブ14へ向かって)延出する。必然的に、プローブケーブル18は、仕切り板60の一方側(例えば左側)の切り欠き48から箱本体32の内部へ入り、仕切り板60の他方側(例えば右側)の切り欠き48から箱本体32の外部へ出ることになる。このように、仕切り板60は、切り欠き48におけるプローブケーブル18の入口と出口を規定する機能も発揮する。
【0028】
仕切り板60に切り欠き66が複数設けられることで、オペレータは、プローブケーブル18の余長部の長さに応じて、プローブケーブル18を引っ掛ける切り欠き66を選択することができる。例えば、余長部が短い場合には前側の切り欠き66にプローブケーブル18を引っ掛け、余長部が長い場合には後側の切り欠き66にプローブケーブル18を引っ掛け、余長部がその中間の長さである場合には中央の切り欠き66にプローブケーブル18を引っ掛けることができる。
【0029】
箱本体32が装置本体12の左側面12cに取り付けられた場合も、仕切り板60の切り欠き66が引っ掛け部として機能する。具体的には、プローブケーブル18は、後側壁46の切り欠き52を通って箱本体32の内部へ入り、切り欠き66(具体的には切り欠き66の後側端66b)に引っ掛けられ、再度切り欠き52を通って箱本体32の外部へ延出する。
【0030】
仕切り板係合部62が複数対設けられている場合には、仕切り板60の取り付け位置を選択することができる。これにより、左右方向において、プローブケーブル18の引っ掛け位置を調整することができる。
【0031】
なお、箱本体32は、プローブケーブル18を収容する他、種々の物品を入れる物入れとしても用いることができる。その場合、仕切り板60は文字通り箱本体32の内部空間を仕切る板として用いられる。仕切り板係合部62が複数対設けられていることによって、例えば箱本体32に入れる物品の大きさなどに応じて、仕切り板60の取り付け位置を変更することもできる。
【0032】
図5は、引っ掛け部としての引っ掛け棒70が箱本体32に取り付けられた状態を示す斜視図である。引っ掛け棒70は、棒状の部材であり、その長さは、箱本体32の内部空間の高さ(上下方向の長さ)と略同一となっている。引っ掛け棒70は、箱本体32の底面に立設され、上下方向に延伸する姿勢で取り付けられる。引っ掛け棒70は、前後方向に並んで複数設けられてもよい。図5の例では、2つの引っ掛け棒70が設けられている。
【0033】
箱本体32が装置本体12の右側面12bに取り付けられた場合、切り欠き48を通って箱本体32の内部へ入ってきたプローブケーブル18は、引っ掛け棒70に引っ掛けられ、再度切り欠き48を通って箱本体32の外部へ延出する。引っ掛けられたプローブケーブル18が引っ掛け棒70の上部から外れることを抑制するために、引っ掛け棒70の上端には、水平方向に広がるフランジ部72が設けられるのが望ましい。
【0034】
引っ掛け棒70が複数設けられた場合、オペレータは、プローブケーブル18の余長部の長さに応じて、プローブケーブル18を引っ掛ける引っ掛け棒70を選択することができる。
【0035】
箱本体32が装置本体12の左側面12cに取り付けられた場合にも、引っ掛け棒70はプローブケーブル18を引っ掛ける引っ掛け部として機能する。
【0036】
図6は、箱本体32に取り付けられる蓋80を示す斜視図である。蓋80は、箱本体32の開口部34を塞ぐものであり、箱本体32に脱着可能に取り付けられる。蓋80は、箱本体32同様、プラスチックなどの樹脂で形成される。蓋80が取り付けられた状態においてもオペレータが箱本体32の内部を視認できるように、蓋80は、透明あるいは半透明となっていてもよい。あるいは、審美性を重視し、箱本体32の内部が見えないようにするために、蓋80は不透明であってもよい。
【0037】
蓋80は、水平面に延伸する平板部82と、平板部82の縁部において平板部82の下側面から下方に延びる側板部84を含んで構成される。平板部82は箱本体32の開口部34の開口形状に応じた形状となっており、すなわち平面視で前後方向に伸長する略長方形となっている。前側の側板部84には切り欠き86が設けられている。換言すれば、前側の側板部84は、その一部が切り取られた形状を有している。切り欠き86の幅(左右方向の長さ)は、箱本体32の前側壁44に設けられた切り欠き48の幅と同一となっている。また、後側の側板部84にも同様の切り欠き88が設けられている。
【0038】
蓋80が箱本体32(の開口部34)に被せられ、左右側の側板部84の底面が箱本体32の肩部38(図2参照)に当接することにより、蓋80が箱本体32に取り付けられた状態となる。取り付け状態において、蓋80がケーブル収容箱30の上側面を形成する。
【0039】
上述のように、蓋80は脱着可能であるが、簡単に外れないように蓋80の上方への移動を抑制するロック機構が設けられてもよい。例えば、箱本体32の左壁上側部分36及び右壁上側部分40(図2参照)の内側面の上端にそれぞれ突起(あるいは突条)を設けておき、当該突起により蓋80の上方への移動を抑制するようにしてもよい。また、箱本体32の左壁上側部分36と右壁上側部分40(図2参照)との間の内寸と、蓋80の右側の側板部84と左側の側板部84(図6参照)との間の外寸とを調整して、左壁上側部分36と右壁上側部分40とで蓋80を挟み込むような形にしてもよい。
【0040】
図7に、箱本体32に蓋80が取り付けられた状態が示されている。箱本体32に蓋80が取り付けられることで、箱本体32の内部に埃などの異物が混入することが防止される。また、蓋80が不透明であれば、箱本体32の内部に収容されたプローブケーブル18が見えなくなるから、ケーブル収容箱30の審美性が向上される。さらに、蓋80が取り付けられたケーブル収容箱30は、その上に物品(例えばエコーゼリーやティッシュ箱など)を置く台としても利用することができる。
【0041】
箱本体32の開口部34が蓋80によって塞がれた状態において、箱本体32の切り欠き48と蓋80の切り欠き86とによって、前方に向かって開口するケーブル挿通孔90が形成される。ケーブル挿通孔90の開口形状は左右方向に延びる細長形状を呈している。もちろん、ケーブル挿通孔90はプローブケーブル18が挿通される孔である。
【0042】
図8は、ケーブル挿通孔90の正面図である。ケーブル挿通孔90は、ケーブル挿通孔90に挿通されたプローブケーブル18の挿通部分18aが上下方向に複数並ぶことを抑制する機能を発揮する。詳しくは、ケーブル挿通孔90の高さhは、挿通部分18aが上下に2つ並ぶことができない程度の高さとなるように設計される。なお、ここでの挿通部分18aとは、異なるプローブケーブル18の挿通部分18aであってもよいし、同一のプローブケーブル18における2つの挿通部分18aであってもよい。具体的には、ケーブル挿通孔90の高さhは、ケーブル挿通孔90を挿通することが想定されるプローブケーブル18の直径のうち、最小の直径の2倍未満とされる。ケーブル挿通孔90の高さhがそのような高さであれば、挿通部分18aが上下に2つ並ぶことができなくなる。もちろん、ケーブル挿通孔90の高さhは、ケーブル挿通孔90を挿通することが想定されるプローブケーブル18の直径のうち、最大の直径以上とされる。本実施形態では、ケーブル挿通孔90の高さhは13mm程度となっている。
【0043】
ケーブル挿通孔90が上記の機能を発揮することで、ケーブル挿通孔90には、左右方向に一列に並んでプローブケーブル18が挿通されることになる。したがって、プローブケーブル18の絡まりがより抑制され、また、見た目もよくなる。
【0044】
図9は、蓋80の第1の変形例を示す図である。第1の変形例に係る蓋80aは、平板部82の上側面の縁に沿って設けられた突条100を有する。本実施形態では、突条100は、平板部82の両長辺に沿って設けられる。突条100は、蓋80aが取り付けられたケーブル収容箱30の上に載置された物品が蓋80aの上から落下することを抑制する機能を発揮する。例えば、エコーゼリーの円筒形状の容器を横向きにしてケーブル収容箱30の上に載置したときに、突条100によって、当該円筒形状の容器が蓋80aの上から転がり落ちることが抑制される。
【0045】
図10は、蓋80の第2の変形例を示す図である。第2の変形例に係る蓋80bは、平板部82の上側面に、物品を載置するための窪み102を有する。本実施形態では、窪み102の形状は、円筒形状の物品(例えばエコーゼリーの容器)を載置することを想定し、平面視で円となっている。もちろん、窪み102の形状はこれには限られない。窪み102に物品を載置することで、当該物品を倒れにくくすることができる。また、窪み102は複数設けられてもよい。本実施形態では、蓋80bには2つの窪み102が設けられている。
【0046】
図11は、ケーブル収容箱30の変形例を示す斜視図である。変形例に係るケーブル収容箱30aも、基本実施形態に係るケーブル収容箱30と同様、装置本体12の右側面12b又は左側面12cに取り付けられ、プローブケーブル18を収容するものである。ケーブル収容箱30aも、上方に開口した開口部を有する箱本体110、及び、当該開口部に脱着可能に取り付けられる蓋112とを含んで構成される。しかしながら、ケーブル収容箱30とは異なり、ケーブル収容箱30aの箱本体110の前側壁114及び後側壁116には切り欠きが設けられていない。
【0047】
ケーブル収容箱30aにおいては、蓋112に、プローブケーブル18を挿通させるためのケーブル挿通孔118が設けられる。上述のように、プローブコネクタ20は、装置本体12の前側面12aに接続され、また、被検体は装置本体12の前方に居ることが多いから、ケーブル収容箱30aの外部におけるプローブケーブル18の引き回し長を低減する観点から、ケーブル挿通孔118は蓋112の前側に設けられるのが望ましい。なお、蓋112は、前後反対にしても箱本体110に好適に取り付けることが可能であり、ケーブル収容箱30aが装置本体12の左側面12cに取り付けられる場合には、ケーブル挿通孔118が後側となるように、箱本体110に蓋112を取り付けることが可能である。また、ケーブル挿通孔118の縁には面取りがされているのが望ましい。図11の例では、ケーブル挿通孔118の縁においては、なだらかな傾斜面120が形成されている。
【0048】
蓋112、すなわちケーブル収容箱30aの上側面にケーブル挿通孔118を設けることで、プローブケーブル18はケーブル収容箱30aの内部から上方に向かって外部に延出することになる。これにより、ケーブル挿通孔をケーブル収容箱30aの側面に設けた場合に比して、外部に延出したプローブケーブル18を床面により接触し難くすることができる。
【0049】
なお、プローブケーブル18をケーブル収容箱30a内に収容し易くするために、蓋112は、ケーブル挿通孔118を横断する分断ライン122によって分断可能であってもよい。図11の例では、左右方向に延びる分断ライン122より前方にある前側部分112aと、分断ライン122より後方にある後側部分112bとに分断可能となっている。オペレータは、プローブケーブル18の余長部をケーブル収容箱30aの内部に入れた後、プローブケーブル18(ケーブル収容箱30aの外部に延出する部分)がケーブル挿通孔118を通るようにプローブケーブル18を位置決めしながら、順次、前側部分112aと後側部分112bを取り付けることができる。これにより、プローブケーブル18をケーブル挿通孔118に挿通させるために、プローブケーブル18の端部から(すなわち超音波プローブ14又はプローブコネクタ20を)ケーブル挿通孔118に挿通させる必要がなくなる。この場合、前側部分112a又は後側部分112bが箱本体110に固定的に(脱着不可能に)取り付けられていてもよい。
【0050】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 超音波診断装置、12 装置本体、12a 前側面、12b 右側面、12c 左側面、14 超音波プローブ、16 コネクタ、18 プローブケーブル、18a 挿通部分、20 プローブコネクタ、30,30a ケーブル収容箱、32,110 箱本体、34 開口部、36 左壁上側部分、38 肩部、40 右壁上側部分、42 ビス挿通孔、44,114 前側壁、46,116 後側壁、48,52,66,86,88 切り欠き、48a 切り欠き右端、48b 切り欠き左端、50,54,120 傾斜面、60 仕切り板、62 仕切り板係合部、64,72 フランジ部、66a 前側端、66b 後側端、70 引っ掛け棒、80,80a,80b,112 蓋、82 平板部、84 側板部、90,118 ケーブル挿通孔、100 突条、102 窪み、112a 前側部分、112b 後側部分、122 分断ライン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11