(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ロボットコントローラ、ロボットシステム及び走行装置の管理方法
(51)【国際特許分類】
B25J 5/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B25J5/02 Z
(21)【出願番号】P 2020110822
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成相 一志
(72)【発明者】
【氏名】谷 明紀
(72)【発明者】
【氏名】井原 大輔
(72)【発明者】
【氏名】峯浦 和志
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-178690(JP,A)
【文献】特開2014-021648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作を制御するロボットコントローラであって、
前記ロボット及び前記ロボットが扱う対象物の少なくとも1つを支持し且つ移動させることができる走行装置の目標の据付状態を示す目標データ
と、前記走行装置における据付状態の計測位置の情報と、前記走行装置の画像の情報とを記憶する記憶部と、
前記走行装置における据付状態の計測位置を前記走行装置の画像と共に示す入力用画像を表示装置に出力する第1画像出力部と、
前記走行装置の据付状態の計測データを受け付ける受付部と、
前記計測データと前記目標データとを比較し、前記据付状態の異常の有無を決定する決定部とを含
み、
前記第1画像出力部は、前記計測データの受け付けが可能である前記計測位置を前記走行装置の画像と共に示す前記入力用画像を前記表示装置に出力する
ロボットコントローラ。
【請求項2】
前記受付部は、受け付けられた前記計測データの履歴と前記計測データとを関連付けて含む履歴データとして、前記計測データを前記記憶部に記憶させる
請求項1に記載のロボットコントローラ。
【請求項3】
前記受付部は、前記走行装置の位置及び姿勢の少なくとも1つの計測結果を含む位置姿勢計測データと、前記走行装置を駆動するモータの電流の計測結果を含む電流計測データと、前記走行装置が発生する振動の計測結果を含む振動計測データと、前記走行装置が発生する騒音の計測結果を含む音計測データとのうちの少なくとも1つの計測データを、前記計測データとして受け付け、
前記決定部は、前記受付部によって受け付けられた前記少なくとも1つの計測データのうちの少なくとも1つが前記目標データを満たさない場合に、前記据付状態の異常を決定する
請求項1又は2に記載のロボットコントローラ。
【請求項4】
前記入力用画像を介して受け付け可能である前記計測データのレンジを、前記計測データの種類に対応して規制する規制部をさらに含み、
前記記憶部は、前記計測データの前記レンジの情報を記憶する
請求項
1~3のいずれか一項に記載のロボットコントローラ。
【請求項5】
前記計測データ及び前記決定部の決定結果の少なくとも1つと、前記計測位置とを、前記走行装置の画像と共に示す出力用画像を前記表示装置に出力する第2画像出力部を含み、
前記記憶部は、前記計測位置の情報と前記走行装置の画像の情報とを記憶する
請求項1~
4のいずれか一項に記載のロボットコントローラ。
【請求項6】
前記受付部によって受け付けられた前記計測データのフォーマットを、前記決定部の処理に対応するフォーマットに変換する変換部を含む
請求項1~
5のいずれか一項に記載のロボットコントローラ。
【請求項7】
前記受付部によって受け付けられた前記計測データのフォーマットは、前記据付状態を計測する計測装置に設定されるフォーマットとテキストデータ形式のフォーマットとのうちの少なくとも1つを含む
請求項
6に記載のロボットコントローラ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか一項に記載のロボットコントローラと、
前記ロボットコントローラによって制御される前記ロボットと、
前記走行装置とを備える
ロボットシステム。
【請求項9】
前記ロボットコントローラは、前記走行装置の動作を制御する
請求項
8に記載のロボットシステム。
【請求項10】
ロボット及び前記ロボットが扱う対象物の少なくとも1つを支持し且つ移動させることができる走行装置の目標の据付状態を示す目標データと、前記走行装置における据付状態の計測位置の情報と、前記走行装置の画像の情報とを保持することと、
前記走行装置における据付状態の計測位置を前記走行装置の画像と共に示す入力用画像を表示することであって、前記走行装置の据付状態の計測データの受け付けが可能である前記計測位置を前記走行装置の画像と共に示す前記入力用画像を表示することと、
前記走行装置の据付状態の計測データを受け付けることと、
前記計測データと前記目標データとを比較し、前記走行装置の据付状態の異常の有無を決定することと、
を含む走行装置の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットコントローラ及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、産業用ロボットは、様々な場所に据え付けられて用いられる。例えば、特許文献1は、可搬式のロボットを据え付け及び固定するボルトの緩み等の据付不良を検出する技術を開示する。特許文献1のロボットコントローラは、据付不良の無い状態で据え付けられたロボットに特定の軌道パターンで動作させたときの速度フィードバック信号を予め記憶する。ロボットコントローラは、作業場所に据え付けられたロボットに特定の軌道パターンで動作させたときの速度フィードバック信号と、予め記憶された速度フィードバック信号とを比較することによって、ロボットの据付不良の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、ロボット又はロボットが扱う対象物を移動させるようなロボットに関連する走行装置が、床面等の支持面上に据え付けられる場合がある。特許文献1のロボットコントローラは、ロボットの動作に基づき据付不良を検出するため、支持面に対する走行装置の据付不良を検出できない可能性がある。走行装置の位置及び姿勢等に関して走行装置の据付不良が存在する場合、走行装置の耐久性が低下するおそれがある。
【0005】
本開示は、ロボットに関連する走行装置の据付不良を検出するロボットコントローラ及びロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るロボットコントローラは、ロボットの動作を制御するロボットコントローラであって、前記ロボット及び前記ロボットが扱う対象物の少なくとも1つを支持し且つ移動させることができる走行装置の目標の据付状態を示す目標データを記憶する記憶部と、前記走行装置の据付状態の計測データを受け付ける受付部と、前記計測データと前記目標データとを比較し、前記据付状態の異常の有無を決定する決定部とを含む。
【0007】
本開示の技術によれば、ロボットに関連する走行装置の据付不良を検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す斜視図
【
図2】実施の形態に係るロボットコントローラの構成の一例を示すブロック図
【
図3】実施の形態に係る走行装置の構成の一例を示す斜視図
【
図4】実施の形態に係る走行装置の構成の一例を示す平面図
【
図5】実施の形態に係る走行装置の構成の一例を示す側面図
【
図6】実施の形態に係る走行装置の管理位置の一例を示す平面図
【
図7】実施の形態に係るロボットコントローラの機能的構成の一例を示すブロック図
【
図8】実施の形態に係るロボットコントローラによって出力される計測データの入力用画面の一例を示す図
【
図9】実施の形態に係るロボットコントローラによって出力される走行装置の据付状態の出力用画面の一例を示す図
【
図10】実施の形態に係るロボットコントローラによって出力される走行装置の据付状態の履歴の出力用画面の一例を示す図
【
図11】実施の形態に係るロボットコントローラの異常判定処理の一例を示すフローチャート
【
図12】実施の形態に係る走行装置における振動及び音を計測する構成の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0010】
[ロボットシステムの構成]
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。
図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット100と、走行装置200と、操作入力装置300と、ロボットコントローラ400とを備える。
【0011】
これに限定されないが、本実施の形態では、ロボット100は、産業用ロボットであり、ロボットアーム110と基部120とを備える。基部120は、ロボットアーム110を支持する。ロボットアーム110は、少なくとも1つの関節を有し、少なくとも1つの自由度を有する。ロボットアーム110は、対象物に作用を加えることができるエンドエフェクタ(図示略)がロボットアーム110の先端に取り付けられるように構成される。ロボットアーム110は、エンドエフェクタの位置及び姿勢を自在に変更することができる。なお、本実施の形態では、ロボットアーム110の型式は、垂直多関節型であるが、これに限定されず、いかなる型式であってもよく、例えば、水平多関節型、極座標型、円筒座標型又は直角座標型等であってもよい。
【0012】
これに限定されないが、本実施の形態では、走行装置200は、ロボット100を支持し且つ移動させることができるように構成され、具体的には、ロボット100を直線的に移動させることができる。走行装置200は、床面等の水平な支持面上に据え付けられ、当該支持面に固定される。なお、走行装置200が据え付けられる支持面の位置及び向きはいかなる位置及び向きであってもよく、例えば、支持面は、天井等の上方の水平面、及び、壁面等の立設された面等であってもよい。
【0013】
走行装置200は、ロボット100を支持し且つ移動可能である可動台210と、可動台210を移動可能に支持し且つ支持面に固定される支持台220と、可動台210を移動させる駆動装置230とを備える。ロボット100の基部120は、可動台210に固定される。
【0014】
操作入力装置300は、入力装置310と提示装置320とを備える。入力装置310は、種々の指令、情報及びデータ等の入力を受け付け、ロボットコントローラ400に出力する。例えば、入力装置310は、ロボットシステム1のユーザPによる入力を受け付けることができる。例えば、入力装置310は、他の機器と接続され、当該機器からの入力を受け付けることができる。例えば、入力装置310は、レバー、ボタン、タッチパネル、ジョイスティック、モーションキャプチャ、カメラ及びマイク等の公知の入力手段を備えてもよい。例えば、入力装置310は、教示装置の1つであるティーチングペンダント、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、パーソナルコンピュータ、並びに専用端末装置等の端末装置を備えてもよい。例えば、ロボット100がマスター・スレーブ方式で制御される場合、入力装置310はマスター機を備えてもよい。例えば、マスター機は、ロボットアーム110と同様又は類似する動作を行うことができるように構成されてもよい。
【0015】
提示装置320は、ロボットコントローラ400等から受け取る指令、情報及びデータ等を、ユーザPに知覚可能に提示する。例えば、提示装置320は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)及び有機又は無機ELディスプレイ(Electro-Luminescence Display)等の表示装置を備え、視覚的な提示をしてもよい。提示装置320は、スピーカ等の音声出力装置を備え、聴覚的な提示をしてもよい。提示装置320は、触覚的な提示をするように構成されてもよい。
【0016】
[ロボットコントローラの構成]
ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200の動作を制御する。ロボットコントローラ400は、操作入力装置300の入力装置310を介して入力される指令、情報及びデータ等を処理する。ロボットコントローラ400は、外部の機器と接続され、当該機器から指令、情報及びデータ等の入力を受け付け処理するように構成されてもよい。
【0017】
例えば、ロボットコントローラ400は、上記指令、情報及びデータ等に従って、ロボット100及び走行装置200の動作を制御する。ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200への動力等の供給を制御する。ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200を管理するための情報等を管理する。
【0018】
また、ロボットコントローラ400は、種々の指令、情報及びデータ等を操作入力装置300に出力する。例えば、ロボットコントローラ400は、種々の指令、情報及びデータ等を提示装置320に視覚的及び/又は聴覚的に提示させる。ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200を操作するための画像、ロボット100及び走行装置200の状態を示す画像、並びに、ロボット100及び走行装置200を管理するための画像等を出力してもよい。
【0019】
ロボットコントローラ400は、コンピュータ装置を備える。さらに、ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200に供給する電力を制御するための電気回路、ロボット100及び走行装置200に供給する空気圧及び液圧等の電力以外の動力を制御するための機器、並びに、ロボット100及び走行装置200に供給する冷却水及び塗料等の物質を制御するための機器等を備えてもよい。コンピュータ装置以外の機器は、ロボットコントローラ400と別個に設けられてもよい。
【0020】
例えば、コンピュータ装置は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、他の装置との指令、情報及びデータ等の送受信を行う。演算器は、各種機器からの信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0021】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。コンピュータシステムは、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって、演算器の機能を実現してもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。ロボットコントローラ400は、単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0022】
例えば、ロボットコントローラ400の各機能は、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、システムLSI等の回路によって実現されてもよい。ロボットコントローラ400の複数の機能は、個別に1チップ化されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。また、回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0023】
ロボットコントローラ400は、ロボット100、走行装置200及び操作入力装置300と、有線通信又は無線通信を介して接続される。これらの間の通信は、いかなる有線通信及び無線通信であってもよい。本実施の形態では、ロボットコントローラ400は、ロボット100及び走行装置200に供給する電力を制御するため、ロボット100及び走行装置200と有線通信を介して接続される。
【0024】
ロボットコントローラ400の構成の一例を説明する。
図2は、実施の形態に係るロボットコントローラ400の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、ロボットコントローラ400は、CPU400aと、ROM400bと、RAM400cと、メモリI/F(インタフェース:Interface)400dと、入出力I/F400eと、駆動I/F400fとを含む。これらは、バス400Aによって互いに接続される。ロボットコントローラ400は、メモリI/F400dに接続された記憶装置400gと、入出力I/F400eに接続された操作盤400hと、入出力I/F400eに接続された入出力回路400iと、駆動I/F400fに接続された駆動回路400j及び400kとをさらに含む。本実施の形態では、ロボットコントローラ400は、コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現される。
【0025】
メモリI/F400dは、記憶装置400gに対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。記憶装置400gは、ロボットコントローラ400に内蔵される記憶装置であってもよく、外部の記憶装置であってもよい。後者の場合、記憶装置400gは、フラシュメモリ、CD-ROM、CD-R及びDVD等の記憶媒体、並びに、ハードディスク及びSSD等の記憶デバイスであってもよい。
【0026】
入出力I/F400eは、操作盤400h及び入出力回路400iと信号等の通信をするためのインタフェースである。操作盤400hは、ロボットコントローラ400に備え付けられた操作盤である。操作盤400hは、入力装置310と接続され、入力装置310と信号の送受信を行う。例えば、操作盤400hは、ロボット100の動作モードを切り替える機能等を含み得る。入出力回路400iは、ロボットコントローラ400の外部の種々の装置と接続され、当該装置と信号の送受信を行う。例えば、入出力回路400iは、後述する計測装置2及び外部機器3、提示装置320、並びに種々のセンサ等と接続される。
【0027】
駆動I/F400fは、駆動回路400j及び400kと信号等の通信をするためのインタフェースである。第1駆動回路400jは、ロボットアーム110の各関節を駆動する駆動装置に供給する電力を制御する。例えば、駆動装置は、駆動力を発生する電気モータとしてサーボモータを含む。第1駆動回路400jは、サーボモータに含まれる回転センサ及び電流センサ等から検出信号を受信し、検出信号を処理して得られる検出値をフィードバック情報としてCPU400a等に送信する。第2駆動回路400kは、ロボット100のエンドエフェクタ130を駆動する電気モータ及び走行装置200の駆動装置230の走行モータ231等に供給する電力を制御する。例えば、上記モータはサーボモータである。第2駆動回路400kは、各サーボモータに含まれる回転センサ及び電流センサ等から検出信号を受信し、検出信号を処理して得られる検出値をフィードバック情報としてCPU400a等に送信する。
【0028】
[走行装置の構成]
走行装置200の構成を説明する。
図3は、実施の形態に係る走行装置200の構成の一例を示す斜視図である。
図4は、実施の形態に係る走行装置200の構成の一例を示す平面図である。
図5は、実施の形態に係る走行装置200の構成の一例を示す側面図である。
図3~
図5に示すように、走行装置200の支持台220は、可動台210を方向D1及びD2に移動可能に支持する。方向D1及びD2は、支持台220が配置される支持面に沿う方向であり、互いに反対方向である。支持台220は、複数の基礎部材221と、複数の支持部材222及び223と、ガイド部材224及び225と、補助部材226とを備える。
【0029】
各基礎部材221は、支持台220の支持面上に配置及び固定される。各基礎部材221は、支持面に沿い且つ方向D1と直交する方向D3に延びる。方向D3と方向D4とは反対方向である。複数の基礎部材221は、方向D1に間隔をあけて互いに平行に配置される。各基礎部材221の両端は、支持面に埋め込まれたジャッキボルト221aに固定され、ジャッキボルト221aのナット221bを回転することにより、支持面に対する鉛直方向の高さの調整を受けることができる。
【0030】
ここで、本明細書及び特許請求の範囲において、「平行」とは、「完全に平行であること」及び「実質的に平行であること」を含み得る。「垂直」とは、「完全に垂直あること」及び「実質的に垂直であること」を含み得る。
【0031】
支持部材222及び223は、複数の基礎部材221にわたって配置され、当該基礎部材221に固定される。各支持部材222及び223は、柱状の形状を有する。各支持部材222及び223は、それぞれの長手方向の両端に、フランジ状の接続部222a及び223aを有する。支持部材222及び223は、それぞれの長手方向と交差する方向の両側に、少なくとも1つの接続部222b及び223bを有する。
【0032】
本実施の形態では、4つの第1支持部材222が、長手方向が方向D1に沿うように一列に並べられ、隣り合う第1接続部222aにおいてボルト及びナット(図示略)により互いに連結される。4つの第2支持部材223が、長手方向が方向D1に沿うように一列に並べられ、隣り合う第1接続部223aにおいてボルト及びナット(図示略)により互いに連結される。4つの第1支持部材222と4つの第2支持部材223とは、各基礎部材221の方向D3及びD4に向かう両端付近において、互いに平行に配置される。各第2接続部222b及び各第2接続部223bは、ボルト222c及び223cにより基礎部材221に固定される。4つの第1支持部材222及び4つの第2支持部材223の鉛直方向の高さは、基礎部材221の鉛直方向の高さを調整することにより調整され得る。
【0033】
第1ガイド部材224は、4つの第1支持部材222上に配置及び固定され、4つの第1支持部材222にわたって方向D1に延びる。第2ガイド部材225は、4つの第2支持部材223上に第1ガイド部材224と平行に配置及び固定され、4つの第2支持部材223にわたって方向D1に延びる。ガイド部材224及び225は矩形柱状の形状を有し、方向D1に延びる滑らかなガイド面をもたらす。
【0034】
補助部材226は、4つの第1支持部材222上に第1ガイド部材224と平行に配置及び固定され、4つの第1支持部材222にわたって方向D1に延びる。補助部材226は、第1ガイド部材224から方向D4に間隔をあけて配置される。例えば、補助部材226は、補助部材226と第1ガイド部材224との間に配置される駆動装置230の駆動体(図示略)と係合するように構成される。
【0035】
可動台210は、本体211と、本体211を支持する摺動部材212及び213とを備える。本体211は、方向D3及びD4にガイド部材224及び225を跨ぐように延びる。本体211は、上方に突出する取付部211aを含み、取付部211aは、ロボット100の基部120の取り付けが可能であるように構成される。
【0036】
摺動部材212及び213は、方向D1に延びる柱状の形状を有し、本体211に固定される。第1摺動部材212は、第1ガイド部材224の上面及び方向D4に向いた側面と係合する。第2摺動部材213は、第2ガイド部材225の上面及び方向D3に向いた側面と係合する。摺動部材212及び213はそれぞれ、ガイド部材224及び225上において、本体211の方向D3及びD4への移動を制限しつつ、本体211を下方から方向D1及びD2に摺動可能に支持する。
【0037】
駆動装置230は、本体211に配置される。駆動装置230は、走行モータ231と駆動機構232とを備える。本実施の形態では、走行モータ231はサーボモータである。駆動機構232は、走行モータ231の回転駆動力を、本体211を支持台220に対して方向D1及びD2に移動する駆動力に変換する。駆動機構232は、走行モータ231によって回転される駆動体(図示略)を含む。駆動体は、その外周面で補助部材226と係合し、回転することで補助部材226に対して方向D1及びD2に移動するように構成される。例えば、駆動機構232は、ピニオンとしての駆動体と補助部材226に形成されたラックとを含むラック・アンド・ピニオンの構成、及び、ナットとしての駆動体と補助部材226に形成されたネジ軸とを含むボールねじの構成等であってもよい。
【0038】
上記のような走行装置200は、ガイド部材224及び225を可動台210の移動のための軌道として有する軌道式の走行装置である。しかしながら、走行装置200は、軌道式の走行装置に限定されず、ロボット100を移動させることができ且つ支持面等に据え付けられるいかなる走行装置であってもよい。
【0039】
走行装置200上のロボット100の動作及び負荷は、走行装置200の据付状態の影響を受け得る。ロボット100を移動させるときの走行装置200の負荷は、走行装置200の据付状態の影響を受け得る。走行装置200の据付状態が異常な状態でロボット100及び走行装置200の使用が継続されると、ロボット100及び走行装置200の耐久性が低下し得る。このため、走行装置200の据付状態が管理される。
【0040】
例えば、走行装置200が据え付けられる際、走行装置200の位置管理及び姿勢管理の少なくとも1つを含む位置姿勢管理が行われる。本実施の形態では、位置姿勢管理の一例として、走行装置200の高さ管理及び傾斜管理を含むレベル管理が行われる。これに限定されないが、本実施の形態では、ガイド部材224及び225の上面のレベル管理と、可動台210の本体211の上面のレベル管理とが行われる。位置及び姿勢の管理対象は、走行装置200の構成に応じて決定され得る。
【0041】
例えば、
図6に示すように、ガイド部材224及び225の上面において、基礎部材221に対応する位置での位置姿勢管理が行われる。
図6は、実施の形態に係る走行装置200の管理位置の一例を示す平面図である。例えば、基礎部材221に対応する位置は、上方から下方を見る平面視において、ガイド部材224及び225の中心線(一点鎖線)と基礎部材221の中心線(一点鎖線)とが交差する位置であってもよい。このような位置は、ガイド部材224及び225が基礎部材221によって支持される位置である。
図6の例では、第1ガイド部材224の上面上の点PA1~PA8と、第2ガイド部材225の上面上の点PB1~PB8とが、位置姿勢管理の点である。
【0042】
また、本体211において、取付部211aの上面の隅部の位置での位置姿勢管理が行われる。取付部211aの上面は、ロボット100の基部120が配置される面である。例えば、取付部211aの上面の4隅の位置での位置姿勢管理が行われてもよい。
図6の例では、取付部211aの上面上の4隅の点PC1~PC4が位置姿勢管理の点である。
【0043】
例えば、高さ管理では、点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4それぞれについて、水準測量による高さ計測値の目標値及び/又は目標範囲が、予め設定される。走行装置200は、点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4それぞれの高さ計測値が目標値及び/又は目標範囲を満たすように、据え付けられる。
【0044】
例えば、傾斜管理では、点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4のうちの隣り合う2つの点のペアそれぞれについて、当該2つの点の高さの計測値の差異に基づく傾斜量の目標値及び/又は目標範囲が、予め設定される。走行装置200は、点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4の各ペアの傾斜量が目標値及び/又は目標範囲を満たすように、据え付けられる。例えば、上記ペアは、方向D1又はD2で隣り合う点のペア、方向D3又はD4で隣り合う点のペア、並びに、方向D1、D2、D3及びD4と斜めに交差する方向で隣り合う点のペア等であってもよい。
【0045】
[ロボットコントローラの機能的構成]
ロボットコントローラ400の機能的構成を説明する。
図7は、実施の形態に係るロボットコントローラ400の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、ロボットコントローラ400は、動作制御部410と管理部420とを機能的構成要素として含む。さらに、動作制御部410は、操作情報処理部411と、第1動作指令部412と、第2動作指令部413と、ロボット制御部414と、走行制御部415と、第1記憶部419とを機能的構成要素として含む。管理部420は、管理情報処理部421と、変換部422と、決定部423と、第1画像出力部424と、第2画像出力部425と、規制部426と、第2記憶部429とを機能的構成要素として含む。
【0046】
記憶部419及び429の各機能は、ロボットコントローラ400の演算器のメモリ等によって実現され、例えば、
図2のROM400b及び/又は記憶装置400g等によってされる。記憶部419及び429以外の動作制御部410及び管理部420の機能的構成要素の機能は、演算器のプロセッサ等によって実現され、
図2のCPU400a等によって実現される。
【0047】
第1記憶部419は、種々の情報を記憶し、記憶された情報の読出しを可能にする。例えば、第1記憶部419は、プログラム及び各種固定データ等を記憶してもよい。例えば、第1記憶部419は、ロボット100及び走行装置200を動作させるためのプログラム、データ及び情報等を記憶してもよい。例えば、第1記憶部419は、ロボット100が自動で動作するために用いられる教示データを記憶してもよい。
【0048】
操作情報処理部411は、操作モード及び管理モードのうちの操作モードにおいて、ロボットコントローラ400に入力される情報を処理する。操作モードは、ロボット100及び走行装置200に動作させるための制御を行うロボットコントローラ400の制御モードである。管理モードは、走行装置200の据付状態を管理するための制御を行うロボットコントローラ400の制御モードである。操作情報処理部411は、操作入力装置300の入力装置310から受信する操作モードの実行指令に従って、動作制御部410に操作モードで動作させる。
【0049】
操作情報処理部411は、入力装置310から受信する指令、情報及びデータ等を処理し、対応する構成要素に出力する。例えば、操作情報処理部411は、第1動作指令部412にロボット100の動作に関連する指令及び情報及びデータ等を出力し、第2動作指令部413に走行装置200の動作に関連する指令、情報及びデータ等を出力し、第1記憶部419にロボット100及び走行装置200の情報及びデータ等を記憶させる。
【0050】
第1動作指令部412は、ロボット100の動作に関連する指令及び情報及びデータ等に基づき、ロボット100、具体的にはロボットアーム110及びエンドエフェクタ130等を動作させるための動作指令を生成しロボット制御部414に出力する。例えば、ロボット100は、自動操縦モード、手動操縦モード及び修正自動操縦モードで動作することができる。
【0051】
自動操縦モードでは、ロボット100は自動で所定の動作を実行する。第1動作指令部412は、第1記憶部419に記憶される所定の動作情報を用いてプログラムに従ってロボット100に自動で動作させるための動作指令である自動動作指令を生成する。所定の動作情報は、ロボット100の各部の位置、姿勢、状態及びこれらの順序等を含む情報であってもよく、例えば、予め設定された固定データ及び教示データ等であってもよい。
【0052】
手動操縦モードでは、ロボット100は、入力装置310に入力されるユーザPの操作に従って動作する。第1動作指令部412は、入力装置310から受信する操作指令に対応する動作をロボットアーム110及びエンドエフェクタ130等に実行させるための動作指令である手動動作指令を生成する。操作指令は、ロボット100をマニュアル操作するために入力装置310に入力される操作に対応する指令である。
【0053】
修正自動モードでは、ロボット100は、自動で所定の動作を実行し、当該動作の実行中、入力装置310を介したユーザPの操作の入力を受け付け、実行中の自動動作の代わりに、当該操作に従った動作を実行する。第1動作指令部412は、自動操縦モードと同様に自動動作指令を生成しロボット制御部414に出力する。第1動作指令部412は、ロボット100の動作中に入力装置310から操作指令を受信すると、操作指令に対応する手動動作指令を生成し、自動動作指令の代わりに手動動作指令をロボット制御部414に出力する。
【0054】
ロボット制御部414は、第1動作指令部412から受け取る動作指令に従ってロボット100の各部の駆動装置を駆動させる制御を実行する。例えば、ロボット制御部414は、ロボットアーム110の関節の駆動装置のサーボモータに供給する電流値を決定し、電流の供給を制御する。ロボット制御部414は、エンドエフェクタ130の駆動装置のサーボモータに供給する電流値を決定し、電流の供給を制御する。サーボモータの制御では、ロボット制御部414は、サーボモータの回転量及び電流値をフィードバック情報として用いてもよい。ロボット制御部414の機能の一部は、駆動回路400j及び400kによって実現されてもよい。
【0055】
第2動作指令部413は、走行装置200の動作に関連する指令及び情報及びデータ等に基づき、走行装置200、具体的には走行モータ231を動作させるための動作指令を生成し走行制御部415に出力する。例えば、第2動作指令部413は、ロボット100と同様に、自動操縦モード、手動操縦モード及び修正自動操縦モードに対応した走行装置200の動作指令を生成するように構成されてもよい。
【0056】
走行制御部415は、第2動作指令部413から受け取る動作指令に従って走行モータ231を駆動させる制御を実行する。例えば、走行制御部415は、走行モータ231に供給する電流値を決定し、電流の供給を制御する。走行制御部415は、走行モータ231の回転量及び電流値をフィードバック情報として用いてもよい。走行制御部415の機能の一部は、第2駆動回路400kによって実現されてもよい。
【0057】
第2記憶部429は、種々の情報を記憶し、記憶された情報の読出しを可能にする。例えば、第2記憶部429は、走行装置200の据付状態に関する情報及びデータ等を記憶する。例えば、第2記憶部429は、走行装置200の据付状態を検出するための走行装置200上の計測点の位置の情報を記憶してもよい。第2記憶部429は、走行装置200の据付状態に関する情報及びデータ等を入力するために提示装置320等に提示する画像のデータを記憶する。第2記憶部429は、走行装置200の据付状態を出力するために提示装置320等に提示する画像のデータを記憶する。
【0058】
例えば、走行装置200の据付状態に関するデータは、走行装置200の位置姿勢データと電流データとの少なくとも1つを含み、本実施の形態では両方を含む。位置姿勢データは、走行装置200の位置及び姿勢の少なくとも1つを含み、本実施の形態では両方を含む。さらに、本実施の形態では、走行装置200の位置は、走行装置200の高さを含み、走行装置200の姿勢は、走行装置200の傾斜を含む。
【0059】
走行装置200の高さは、支持台220のガイド部材224及び225の上面の高さ、並びに、可動台210の本体211の上面の高さ等を含んでもよい。例えば、上記高さは、
図6に示す点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4等での高さであってもよい。走行装置200の傾斜は、ガイド部材224自体の上面の傾斜、ガイド部材225自体の上面の傾斜、ガイド部材224の上面とガイド部材225の上面との間の傾斜、及び、本体211の傾斜等を含んでもよい。例えば、上記傾斜は、
図6に示す点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4のうちの隣り合う2つの点の高さの差異に基づく傾斜量であってもよい。
【0060】
電流データは、走行装置200の走行モータ231の電流値を含む。さらに、電流データは、各電流値の状態のときの走行モータ231の回転量を含んでもよい。つまり、電流データは、走行モータ231の電流値と、当該電流値に対応する走行モータ231の回転量とを関連付けて含んでもよい。走行モータ231の回転量を用いて走行装置200上での支持台220の位置の検出が可能である。これにより、走行モータ231の電流値と、当該電流値に対応する支持台220の位置とを関連付けることが可能である。
【0061】
例えば、第2記憶部429は、位置姿勢データ及び/又は電流データの計測データ及び目標データを記憶する。計測データは、位置姿勢データ及び電流データの計測結果であり、ロボットコントローラ400によって取得されるデータである。以下において、位置姿勢データの計測データを、「位置姿勢計測データ」とも呼び、電流データの計測データを「電流計測データ」とも呼ぶ。第2記憶部429は、位置姿勢データ及び電流データの計測データと、当該計測データの計測日時又は取得日時等を含む履歴情報とを関連付けて含む履歴データとして、計測データを時系列的に記憶してもよい。
【0062】
例えば、計測データは、ユーザP等によって入力装置310を用いて入力されたデータであってもよい。計測データは、ロボットコントローラ400と接続された計測装置2から入力されたデータであってもよい。例えば、計測装置2は、走行装置200の高さを計測する水準測量機器、及び、走行モータ231の電流値を計測する電流計等であってもよい。計測データは、ロボットコントローラ400と接続された計測装置2以外の外部機器3から入力されたデータであってもよい。外部機器3は、ロボットコントローラ400へのデータ出力が可能な機器であれば、いかなる機器であってもよい。例えば、外部機器3は、テンキーなどの汎用的な入力デバイス、コンピュータ装置、スマートフォン及びタブレットなどのスマートデバイス、フラッシュメモリなどの記憶媒体、並びに、ハードディスク及びSSDなどの記憶デバイス等であってもよい。例えば、多数のデータを含む計測データが、計測装置2及び外部機器3からロボットコントローラ400に、一括して入力されてもよく、随時に入力されてもよい。
【0063】
目標データは、走行装置200の据付状態が正常であるときの位置姿勢データ及び電流データである。言い換えれば、目標データは、走行装置200の据付状態を正常にするための位置姿勢データ及び電流データであり、走行装置200の正常な据付状態に対応する。目標データは、位置姿勢データの目標値及び/又は目標範囲、並びに、電流データの目標値及び/又は目標範囲を含む。例えば、位置姿勢データの目標値及び目標範囲は、走行装置200の位置及び姿勢の目標値及び目標範囲であってもよい。電流データの目標値及び目標範囲は、電流値の目標値及び目標範囲、並びに、電流値の時系列変化である挙動の目標値及び目標範囲であってもよい。
【0064】
管理情報処理部421は、受付部の一例であり、管理モードにおいて、ロボットコントローラ400に入力される情報を処理する。管理情報処理部421は、入力装置310から受信する管理モードの実行指令に従って、管理部420に管理モードで動作させる。
【0065】
例えば、管理情報処理部421は、入力装置310、計測装置2及び外部機器3等から、当該装置を用いた計測データの入力を要求する指令を受信すると、当該指令を第1画像出力部424に出力する。
【0066】
管理情報処理部421は、入力装置310、計測装置2及び外部機器3等から計測データの入力を受け付け、当該計測データを変換部422に出力する。
【0067】
管理情報処理部421は、入力装置310等から、走行装置200の据付状態の出力を要求する指令を受信すると、当該指令を決定部423及び第2画像出力部425に出力する。
【0068】
管理情報処理部421は、入力装置310等から、電流データの計測を要求する指令を受け付ける。管理情報処理部421は、当該指令を操作情報処理部411に出力する。操作情報処理部411は、電流データの計測用動作を実行する指令を第2動作指令部413に出力し、第2動作指令部413は、第1記憶部419に記憶される計測用動作の情報に基づき、走行装置200に自動で計測用動作をさせる自動動作指令を走行制御部415に出力する。走行制御部415は、当該自動動作指令に従って走行モータ231を駆動させる制御を実行する。これに限定されないが、例えば、計測用動作は、走行モータ231に最大出力等の所定の出力で所定時間駆動させる動作であってもよい。走行制御部415は、走行モータ231から取得される電流値の時系列データを管理情報処理部421に出力する。管理情報処理部421は、当該データを変換部422に出力する。
【0069】
第1画像出力部424は、管理情報処理部421から計測データの入力を要求する指令を受け取ると、第2記憶部429に記憶された画像データを読み出し、計測データの入力用画像データを生成する。第1画像出力部424は、当該画像データを、規制部426を介して対応する装置に出力する。第1画像出力部424は、上記指令が入力装置310からの指令である場合、入力用画像データを提示装置320に送信し表示させる。第1画像出力部424は、上記指令が計測装置2の指令である場合、入力用画像データを計測装置2に送信し表示させてもよい。第1画像出力部424は、上記指令が外部機器3の指令である場合、入力用画像データを外部機器3に送信し表示させてもよい。
【0070】
例えば、第1画像出力部424は、
図8に示すような計測データの入力用画面ISを提示装置320に表示させてもよい。
図8は、実施の形態に係るロボットコントローラ400によって出力される計測データの入力用画面の一例を示す図である。入力用画面ISは、位置姿勢計測データのうちの高さの計測データを入力するための画面の一例であり、各計測点の位置を含む走行装置200の画像を含む。例えば、ユーザPが、入力装置310を操作し、入力用画面IS上において計測点PA1~PA8、PB1~PB8及びPC1~PC4のいずれかの計測点をポインタIAで選択すると、当該計測点の計測値の入力欄IBがポップアップ表示される。ユーザPは、入力欄IBに計測値を入力することができる。入力された計測値は、管理情報処理部421に送信される。なお、計測データの入力用画面は、高さの計測データの入力用画面に限定されず、高さの計測データの代わりに又は高さの計測データに加えて、傾斜量及び/又は電流値の計測データの入力が可能な画面であってもよい。
【0071】
規制部426は、計測データの入力用画面を介して受け付け可能である計測データのレンジを、計測データの種類に対応して規制する。計測データの種類に対応する計測データのレンジの情報は、第2記憶部429に記憶され、規制部426は、第2記憶部429に記憶されたレンジの情報を用いてもよい。例えば、規制部426は、上記レンジとして、計測データの単位と、当該単位で入力可能である計測データの桁数とを規制する。例えば、規制部426は、計測データの桁数として、百分台及び十分台等の小数点以下の桁数を、所定の桁数に規制する。規制部426は、第1画像出力部424から受け取る入力用の画像データに規制結果を反映させた画像データを、提示装置320等の対応する装置に送信する。さらに、規制部426は、規制結果を、入力装置310等の計測データが入力される装置に送信する。これにより、計測データの入力用画面と計測データが入力される装置との両方において、入力可能である計測データのレンジが規制される。例えば、
図6の入力用の画面ISにおいて、規制部426は、高さの単位を「mm」に規制し、単位「mm」での入力可能な小数点以下の桁数を「1」に規制する。
【0072】
変換部422は、入力装置310、計測装置2及び外部機器3等から管理情報処理部421が受信した計測データのフォーマットを、管理部420での処理に対応するフォーマットに変換し出力する。具体的には、変換部422は、計測データのフォーマットを、決定部423での処理に対応するフォーマットに変換する。変換部422は、変換後のデータを決定部423に出力する、及び/又は、第2記憶部429に記憶させる。変換部422は、変換後のデータを、当該データの履歴情報と関連付けて第2記憶部429に記憶させてもよい。
【0073】
例えば、入力装置310、計測装置2及び外部機器3等から送信される計測データのフォーマットは、数値等のテキストデータのフォーマット、又は、各装置に設定される固有のフォーマットである可能性がある。変換部422は、このようなフォーマットの計測データを、決定部423による処理が可能であるフォーマットのデータに変換する。これにより、ロボットコントローラ400は、様々な装置から計測データの入力を受け付け処理することができる。なお、変換部422は、管理情報処理部421が走行制御部415から受け取る電流計測データのフォーマットを変換するように構成されてもよい。
【0074】
決定部423は、変換部422から受け取る変換後の計測データと、第2記憶部429に記憶される目標データとを比較し、走行装置200の据付状態の異常の有無を決定する。決定部423は、決定結果を第2画像出力部425に出力する、及び/又は、第2記憶部429に出力し記憶させる。決定部423は、決定結果を、計測データの履歴情報と関連付けて第2記憶部429に記憶させてもよい。
【0075】
例えば、決定部423は、変換後の位置姿勢計測データが位置姿勢データの目標データを満たさない第1ケースと、変換後の電流計測データが電流データの目標データを満たさない第2ケースとの少なくとも1つのケースが発生する場合に、据付状態の異常を決定してもよい。
【0076】
これに限定されないが、本実施の形態では、決定部423は、第1ケース及び第2ケースのいずれもが発生しない場合、据付状態の正常を決定し、それ以外の場合、据付状態の異常を決定する。例えば、計測データの計測ミス及び入力ミスが存在するとき、据付状態に異常があっても第1ケースが発生しない場合があるが、電流計測データは目標データを満たさないため第2ケースが発生し得る。また、走行モータ231自体に異常が存在するとき、据付状態に異常があっても第2ケースが発生しない場合があるが、位置姿勢計測データは目標データを満たさないため第1ケースが発生し得る。よって、据付状態の正常の決定精度が向上する。
【0077】
なお、決定部423は位置姿勢計測データ及び電流計測データの一方のみを用いて据付状態の異常の有無の決定するように構成されてもよい。この場合、決定部423は、位置姿勢計測データが目標データを満たす場合に据付状態の正常を決定する、又は、電流計測データが目標データを満たす場合に据付状態の正常を決定し得る。
【0078】
位置姿勢計測データが目標データを満たすことは、位置姿勢計測データの位置及び姿勢等が目標値に一致する、目標値以上である、又は目標値以下であることであってもよい。位置姿勢計測データが目標データを満たすことは、位置姿勢計測データの位置及び姿勢等が目標範囲内に収まることであってもよい。
【0079】
電流計測データが目標データを満たすことは、電流値が目標データを満たすことであってもよい。例えば、電流値が目標データを満たすことは、電流値の最大値若しくは最小値等の特定値が目標データを満たすことであってもよく、例えば、特定値が目標値に一致する、目標値以上である、又は目標値以下であることであってもよい。例えば、電流値が目標データを満たすことは、電流値及び/又はその特定値が目標の許容範囲内、つまり目標範囲内に収まることであってもよい。
【0080】
例えば、電流計測データが目標データを満たすことは、電流値の挙動が目標データを満たすことであってもよい。例えば、電流値の挙動が目標データを満たすことは、電流値の挙動が電流値の目標の挙動と一致すること、電流値の挙動が電流値の挙動の目標の許容範囲内に収まること、又は、電流値の挙動と電流値の目標の挙動との差異が所定の許容範囲内に収まることであってもよい。例えば、電流値の挙動が目標データを満たすことは、電流値の経時的な波形が電流値の目標の波形と一致すること、電流値の波形が電流値の波形変化の目標の許容範囲内に収まること、又は、電流値の波形と電流値の目標の波形との差異が所定の許容範囲内に収まることであってもよい。
【0081】
第2画像出力部425は、管理情報処理部421から走行装置200の据付状態の出力を要求する指令を受け取ると、第2記憶部429に記憶された画像データを読み出し、据付状態の出力用画像データを生成する。第2画像出力部425は、当該画像データを対応する装置に出力する。第2画像出力部425は、上記指令が入力装置310からの指令である場合、出力用画像データを提示装置320に送信し表示させる。第2画像出力部425は、上記指令が計測装置2又は外部機器3の指令である場合、出力用画像データを計測装置2又は外部機器3に送信し表示させてもよい。
【0082】
第2画像出力部425は、上記指令が入力計測データについての据付状態の出力を要求する場合、決定部423の決定結果を反映させた出力用画像データを出力する。例えば、第2画像出力部425は、
図9に示すような据付状態の出力用画面ОSAを提示装置320に表示させてもよい。
図9は、実施の形態に係るロボットコントローラ400によって出力される走行装置200の据付状態の出力用画面の一例を示す図である。出力用画面OSAは、各計測点の位置を含む走行装置200の画像と、各計測点の計測値及び電流値についての異常の有無の決定結果と、据付状態の異常の有無の決定結果とを含む。例えば、表記「OK」は異常なしを示し、表記「NG」は異常ありを示す。各計測点の計測値及び電流値の異常の有無の決定結果が表示されるため、ユーザPは異常の原因を的確に特定し対処することができる。なお、出力用画面OSAにおいて、異常の有無の決定結果の代わりに又は決定結果に加えて、計測値が表示されてもよい。
【0083】
なお、電流値の異常の有無の決定結果は、支持台220の位置に対応して出力及び表示されてもよい。例えば、走行モータ231の回転量に基づき支持台220の位置が検出され、支持台220が計測点PA1~PA8を通過するタイミングでの電流値の異常の有無の決定結果が出力されてもよい。
【0084】
第2画像出力部425は、上記指令が第2記憶部429に記憶された据付状態の履歴データの出力を要求する場合、履歴データを反映させた出力用画像データを出力する。例えば、第2画像出力部425は、
図10に示すような据付状態の履歴の出力用画面ОSBを提示装置320に表示させてもよい。
図10は、実施の形態に係るロボットコントローラ400によって出力される走行装置200の据付状態の履歴の出力用画面の一例を示す図である。出力用画面OSBは、各計測点の位置を含む走行装置200の画像と、各計測データの計測日と、各計測点及び電流値についての異常の有無の決定結果と、据付状態の異常の有無の決定結果とを含む。各計測点及び電流値についての異常の有無の決定結果の履歴が表示されるため、ユーザPは異常の原因及び挙動を的確に特定し対処することができる。なお、出力用画面OSBおいて、異常の有無の決定結果の代わりに又は決定結果に加えて、計測値が表示されてもよい。電流値の異常の有無の決定結果は、支持台220の位置に対応して表示されてもよい。
【0085】
[ロボットシステムの動作]
実施の形態に係るロボットシステム1の管理モードでの動作を説明する。具体的には、ロボットコントローラ400が操作入力装置300を介して計測データを受け付け当該計測データに基づき走行装置200の据付状態の異常の有無を決定する処理を説明する。
図11は、実施の形態に係るロボットコントローラ400の異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0086】
図11に示すように、ステップS1において、ユーザPは、操作入力装置300の入力装置310に管理モードを実行する指令と、入力計測データを用いた走行装置200の据付状態の判定を実行する指令とを入力する。ロボットコントローラ400は、操作入力装置300から上記指令を受信すると、管理モードでの制御を開始する。
【0087】
次いで、ステップS2において、ロボットコントローラ400は、位置姿勢計測データの入力を要求する画像データを操作入力装置300に送信し、操作入力装置300の提示装置320は当該画像データを画面表示する。例えば、提示装置320は、
図8の入力用画面ISを表示する。ユーザPは、入力装置310を用いて入力用画面IS上で各計測点の計測値を入力する。ロボットコントローラ400は、操作入力装置300から送信される各計測点の計測値のデータ、つまり位置姿勢計測データを受信する。
【0088】
次いで、ステップS3において、ロボットコントローラ400は、電流計測データの入力を要求する画像データを操作入力装置300に送信し、提示装置320は当該画像データを画面表示する。ユーザPは、電流データの計測を実行する指令を入力装置310に入力する。ロボットコントローラ400は、当該指令を受信すると、走行装置200に電流データの計測用動作を自動で実行させる。ロボットコントローラ400は、計測用動作中の走行装置200の走行モータ231の電流値のデータ、つまり電流計測データを取得する。
【0089】
次いで、ステップS4において、ロボットコントローラ400は、ステップS2で取得された位置姿勢計測データと、第2記憶部429に記憶される位置姿勢データの目標データとを比較する。
【0090】
次いで、ステップS5において、ロボットコントローラ400は、位置姿勢計測データが目標データを満たす場合(ステップS5でYes)にステップS6に進み、位置姿勢計測データが目標データを満たさない場合(ステップS5でNo)にステップS7に進む。
【0091】
ステップS7において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の据付状態に異常があることを決定し、ステップS11に進む。
【0092】
ステップS6において、ロボットコントローラ400は、ステップS3で取得された電流計測データと、第2記憶部429に記憶される電流データの目標データとを比較する。
【0093】
次いで、ステップS8において、ロボットコントローラ400は、電流計測データが目標データを満たす場合(ステップS8でYes)にステップS9に進み、電流計測データが目標データを満たさない場合(ステップS8でNo)にステップS10に進む。
【0094】
ステップS9において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の据付状態が正常であることを決定し、ステップS11に進む。
【0095】
ステップS10において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の据付状態に異常があることを決定し、ステップS11に進む。
【0096】
ステップS11において、ロボットコントローラ400は、決定結果を示す画像データを操作入力装置300に送信し、提示装置320は当該画像データを画面表示する。例えば、提示装置320は、
図9の出力用画面OSAを表示する。
【0097】
ステップS1~S11によって、ユーザPは、ロボット100の操作入力装置300を用いて計測データを当該ロボット100のロボットコントローラ400に入力し、当該ロボットコントローラ400は、入力された計測データを用いて走行装置200の据付状態の異常の有無を検出することができる。
【0098】
なお、計測データの入力に計測装置2又は外部機器3が用いられる場合、ロボットコントローラ400は、ステップS2での画像表示処理及び位置姿勢計測データの取得処理を、計測装置2又は外部機器3に対して実行してもよい。ロボットコントローラ400は、ステップS3での画像表示処理及び電流計測データの取得処理を、計測装置2又は外部機器3に対して実行してもよい。ロボットコントローラ400は、ステップS11での画像表示処理を、計測装置2又は外部機器3に対して実行してもよい。
【0099】
また、ロボットコントローラ400は、第2記憶部429に記憶される計測データと目標データとを比較することで、当該計測データに対応する走行装置200の据付状態の異常の有無を決定するように構成されてもよい。
【0100】
(その他の実施の形態)
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0101】
例えば、実施の形態において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の位置姿勢計測データと走行モータ231の電流計測データとを用いて、走行装置200の据付状態の異常の有無を決定するが、これに限定されない。
【0102】
例えば、ロボットコントローラ400は、走行装置200の振動データの計測データ及び目標データを比較することにより、走行装置200の据付状態の異常の有無を決定するように構成されてもよい。振動データの計測データは、走行装置200が発生する振動の計測結果を含む振動計測データである。
【0103】
例えば、ロボットコントローラ400は、走行装置200の音データの計測データ及び目標データを比較することにより、走行装置200の据付状態の異常の有無を決定するように構成されてもよい。音データの計測データは、走行装置200が発生する騒音の計測結果を含む音計測データである。
【0104】
走行装置200が発生する振動及び騒音は、
図12に示すような振動検出装置501及び音検出装置502によって検出されてもよい。振動検出装置501及び音検出装置502は、検出信号をロボットコントローラ400に出力するように構成されてもよい。
図12は、実施の形態に係る走行装置200における振動及び音を計測する構成の一例を示す斜視図である。
【0105】
図12に示すように、振動検出装置501は、第1ガイド部材224の方向D1での両端と、第2ガイド部材225の方向D1での両端に配置されてもよい。振動検出装置501は、上記の両端の間の位置にも配置されてもよい。振動検出装置501の例は、加速度センサ等である。振動検出装置501は、方向D1の軸方向と、方向D3の軸方向と、方向D1及びD3に垂直な軸方向とのうちの少なくとも1つの軸方向の加速度を、振動計測データとして検出してもよい。振動データの目標データは、加速度の目標値及び/又は目標範囲、並びに、加速度の時系列変化である挙動の目標値及び目標範囲であってもよい。
【0106】
音検出装置502は、支持台220に配置されてもよい。音検出装置502は、摺動部材212及び213それぞれの近傍に配置されてもよい。音検出装置502の例は、騒音計等である。音検出装置502は、音の強さ及び方向のうちの少なくとも音の強さを、音計測データとして検出するように構成されてもよい。音データの目標データは、音の強さの目標値及び/又は目標範囲、並びに、音の強さの時系列変化である挙動の目標値及び目標範囲であってもよい。
【0107】
ロボットコントローラ400は、位置姿勢計測データ、電流計測データ、振動計測データ及び音計測データのうちの少なくとも1つを用いて、走行装置200の据付状態の異常の有無を決定するように構成されてもよい。ロボットコントローラ400は、位置姿勢計測データ、電流計測データ、振動計測データ及び音計測データのうちの少なくとも1つの計測データを受け付け、受け付けられた少なくとも1つの計測データのうちの少なくとも1つが目標データを満たさない場合に、据付状態の異常を決定してもよい。ロボットコントローラ400は、受け付けられた少なくとも1つの計測データの全てが目標データを満たす場合に、据付状態の正常を決定してもよい。
【0108】
また、実施の形態において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の位置姿勢データとして、走行装置200の高さデータである位置データと、高さの方向での走行装置200の傾斜データである姿勢データとを用いるように構成されるが、位置姿勢データはこれに限定されない。位置姿勢データに含まれる位置データは、走行装置200のいかなる部分の位置のデータを含んでもよく、当該位置は3次元空間のいかなる方向での位置を含んでもよい。当該位置は、走行装置200の対象部分自体の絶対的な位置であってもよく、走行装置200の他の部分に対する対象部分の相対的な位置であってもよい。姿勢データは、走行装置200のいかなる部分の姿勢のデータを含んでもよく、当該姿勢は3次元空間のいかなる方向での姿勢角等のいかなる方向での向きを含んでもよい。当該姿勢は、走行装置200の対象部分自体の絶対的な姿勢であってもよく、走行装置200の他の部分に対する対象部分の相対的な姿勢であってもよい。
【0109】
また、実施の形態において、ロボットコントローラ400は、走行装置200の動作を制御するように構成されるが、走行装置200の動作は、ロボットコントローラ400とは別の制御装置によって制御されてもよい。この場合、ロボットコントローラ400は、電流データを計測するための動作を走行装置200に実行させる指令を、当該制御装置に出力するように構成されてもよい。
【0110】
また、実施の形態において、ロボットコントローラ400が据付状態の異常の有無の決定の対象とする走行装置は、ロボット100を支持し且つ移動させることができる走行装置200であるが、これに限定されない。ロボットコントローラ400が対象とする走行装置は、ロボット100に関連付けられるいかなる走行装置であってもよい。例えば、走行装置は、ロボット100が扱う対象物を支持し且つ移動させることができる走行装置であってもよく、上記対象物及びロボット100を支持し且つ移動させることができる走行装置であってもよい。このような走行装置は、ロボット100に対して配置され、ロボット100と関連付けられる。
【0111】
例えば、走行装置は、
図13に示すようなNC(Numerical Control)ロケータ600であってもよい。
図13は、走行装置の変形例を示す斜視図である。
図13に示すように、NCロケータ600は、ロボット100が扱う対象物Wを保持し、対象物Wを直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸方向に移動させることができる。例えば、対象物Wは、ロボット100の作業対象であるワーク、並びに、ワークに作用を加えるための器具及び装置等であってもよい。例えば、自動車の製造ラインで使用される場合、ワークは、自動車のボディであってもよく、器具及び装置は、部品を保持する器具及び装置であってもよい。
【0112】
NCロケータ600は、コンピュータ制御により動作し、ロボット100の動作と連動してワークWの位置を変えるように制御される。ロボットコントローラ400は、ロボット100と一緒にNCロケータ600の動作を制御するように構成されてもよく、NCロケータ600の動作を制御する他の制御装置にロボット100の動作を示す動作情報を出力するように構成されてもよい。
【0113】
NCロケータ600は、対象物Wの保持部601を備える。水平な支持面上に配置された場合、NCロケータ600は、水平方向であるX軸方向及びY軸方向と、鉛直方向であるZ軸方向とに、保持部601を移動させることができる。NCロケータ600は、保持部601を第1支持部602に対してY軸方向にスライド移動させる第1移動装置605と、第1支持部602を第2支持部603に対してZ軸方向にスライド移動させる第2移動装置606と、第2支持部603を第3支持部604に対してX軸方向にスライド移動させる第2移動装置607とを備える。第3支持部604が支持面上に配置される。
【0114】
NCロケータ600の位置姿勢管理は、保持部601の姿勢管理と、第1支持部602の姿勢管理と、支持部603及び604の位置管理及び姿勢管理とを含んでもよい。
【0115】
保持部601の姿勢管理は、保持部601の上面等の傾斜管理を含んでもよい。第1支持部602の姿勢管理は、第1支持部602の上面等の傾斜管理を含んでもよい。第2支持部603の位置管理は、第2支持部603の上面の高さ管理を含み、第2支持部603の姿勢管理は、第2支持部603の上面及び側面等の傾斜管理を含んでもよい。第3支持部604の位置管理は、第3支持部604の上面の高さ管理を含み、第3支持部604の姿勢管理は、第3支持部604の上面等の傾斜管理を含んでもよい。
【0116】
また、移動装置605~607は、保持部601並びに支持部602及び603を移動させるための電気モータとしてサーボモータを含む。ロボットコントローラ400は、NCロケータ600の据付状態の異常の有無の決定に、サーボモータの電流値を用いてもよい。
【0117】
また、NCロケータ600は、支持部602~604の少なくとも1つなどに振動検出装置を備えてもよい。ロボットコントローラ400は、NCロケータ600の据付状態の管理の対象として、振動検出装置の検出結果を用いてもよい。
【0118】
また、NCロケータ600は、移動装置605~607の少なくとも1つなどに音検出装置を備えてもよい。ロボットコントローラ400は、NCロケータ600の据付状態の管理の対象として、音検出装置の検出結果を用いてもよい。
【0119】
ロボットコントローラ400は、管理の対象それぞれの目標データと計測データとを比較し、NCロケータ600の据付状態の異常の有無を決定する。
【0120】
また、本開示の技術の各態様例は、以下のように挙げられる。本開示の一態様に係るロボットコントローラは、ロボットの動作を制御するロボットコントローラであって、前記ロボット及び前記ロボットが扱う対象物の少なくとも1つを支持し且つ移動させることができる走行装置の目標の据付状態を示す目標データを記憶する記憶部と、前記走行装置の据付状態の計測データを受け付ける受付部と、前記計測データと前記目標データとを比較し、前記据付状態の異常の有無を決定する決定部とを含む。
【0121】
上記態様によると、走行装置は、ロボットに関連する走行装置である。ロボットコントローラが、このような走行装置の据付状態の計測データを受け取り、記憶部の目標データを用いて計測データの異常の有無を決定することができる。つまり、ロボットコントローラは、走行装置の据付不良を検出することができる。ロボットコントローラは制御対象のロボットに対応して配置される。このため、ユーザは、ロボットに関連する走行装置の据付状態を確認する場合、当該ロボットのロボットコントローラを用いればよく、例えば、複数のロボットに関連する複数の走行装置のデータの中から確認対象の走行装置のデータを選び出す必要がない。よって、確認対象の走行装置の据付状態の確実且つ簡易な確認が可能である。
【0122】
本開示の一態様に係るロボットコントローラにおいて、前記受付部は、受け付けられた前記計測データの履歴と前記計測データとを関連付けて含む履歴データとして、前記計測データを前記記憶部に記憶させてもよい。
【0123】
上記態様によると、記憶部には、計測データの履歴データが記憶される。これにより、ロボットコントローラは、履歴データを用いて走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。ユーザは、検出結果及び履歴データを確認することで、異常の原因を推定することができ、迅速に異常の解消のための処置を行うことができる。
【0124】
本開示の一態様に係るロボットコントローラにおいて、前記受付部は、前記走行装置の位置及び姿勢の少なくとも1つの計測結果を含む位置姿勢計測データと、前記走行装置を駆動するモータの電流の計測結果を含む電流計測データと、前記走行装置が発生する振動の計測結果を含む振動計測データと、前記走行装置が発生する騒音の計測結果を含む音計測データとのうちの少なくとも1つの計測データを、前記計測データとして受け付け、前記決定部は、前記受付部によって受け付けられた前記少なくとも1つの計測データのうちの少なくとも1つが前記目標データを満たさない場合に、前記据付状態の異常を決定してもよい。
【0125】
上記態様によると、位置姿勢計測データが目標データを満たさない場合、走行装置の位置又は姿勢に異常があり、この異常は、走行装置の据付状態の異常に起因する可能性がある。ロボットコントローラは、位置姿勢計測データの異常の有無を検出することで、走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。なお、走行装置の位置及び姿勢の異常は、走行装置におけるロボット及び/又は対象物を移動させる部分に過度な負荷を発生させ得る。
【0126】
また、電流計測データが目標データを満たさない場合、モータに過度な負荷が生じている可能性がある。過度な負荷は走行装置の据付状態の異常に起因する可能性がある。ロボットコントローラは、電流計測データの異常の有無を検出することで、走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。
【0127】
また、振動計測データが目標データを満たさない場合、走行装置におけるロボット及び/又は対象物を移動させる部分に異常な振動が発生している可能性がある。異常な振動は走行装置の据付状態の異常に起因する可能性がある。ロボットコントローラは、振動計測データの異常の有無を検出することで、走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。
【0128】
また、音計測データが目標データを満たさない場合、走行装置におけるロボット及び/又は対象物を移動させる部分に異常な騒音が発生している可能性がある。異常な騒音は走行装置の据付状態の異常に起因する可能性がある。ロボットコントローラは、音計測データの異常の有無を検出することで、走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。
【0129】
一方、走行装置の据付状態に異常がある場合でも以下のようなケースが発生し得る。例えば、誤った計測結果を含む位置姿勢計測データが受け付けられ、当該位置姿勢計測データが目標データを満たすケース、モータ自体に異常があり、電流計測データが目標データを満たすケース、振動を検出するセンサ等の検出装置に異常があり、振動計測データが目標データを満たすケース、及び、音を検出するセンサ等の検出装置に異常があり、音計測データが目標データを満たすケースである。ロボットコントローラは、位置姿勢計測データ、電流計測データ、振動計測データ及び音計測データのうちの受け付けられた計測データの全てが目標データを満たす場合にのみ、走行装置の据付状態が正常であると決定するため、据付状態の正常の決定精度を向上できる。
【0130】
本開示の一態様に係るロボットコントローラは、前記計測データの受け付けが可能である計測位置を前記走行装置の画像と共に示す入力用画像を表示装置に出力する第1画像出力部をさらに含み、前記記憶部は、前記計測位置の情報と前記走行装置の画像の情報とを記憶してもよい。
【0131】
上記態様によると、ロボットコントローラは、走行装置及び計測位置の画像をユーザに提示しつつ、当該ユーザによる計測データの入力を受け付ける。よって、ユーザにとって容易且つ確実な計測データの入力が可能になる。
【0132】
本開示の一態様に係るロボットコントローラは、前記入力用画像を介して受け付け可能である前記計測データのレンジを、前記計測データの種類に対応して規制する規制部をさらに含み、前記記憶部は、前記計測データの前記レンジの情報を記憶してもよい。
【0133】
上記態様によると、ロボットコントローラは、計測データの種類に対応して入力可能なレンジを規制する。よって、ユーザにとって簡易な計測データの入力が可能になる。
【0134】
本開示の一態様に係るロボットコントローラは、前記計測データ及び前記決定部の決定結果の少なくとも1つと、前記計測データの受け付けが可能である計測位置とを、前記走行装置の画像と共に示す出力用画像を表示装置に出力する第2画像出力部をさらに含み、前記記憶部は、前記計測位置の情報と前記走行装置の画像の情報とを記憶してもよい。
【0135】
上記態様によると、ロボットコントローラは、計測データ及び/又は異常の有無の決定結果を、走行装置の画像と共にユーザに提示する。よって、ユーザは、計測データ及び/又は異常の有無を視覚的に容易に認識することができる。
【0136】
本開示の一態様に係るロボットコントローラは、前記受付部によって受け付けられた前記計測データのフォーマットを、前記決定部の処理に対応するフォーマットに変換する変換部を含んでもよい。
【0137】
上記態様によると、ロボットコントローラは、様々なフォーマット形式の計測データを受け付け、当該計測データを用いて走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。例えば、ロボットコントローラは、様々なデータを含む計測データを一括して受け付け、当該計測データを決定部の処理に用いることができる。
【0138】
本開示の一態様に係るロボットコントローラにおいて、前記受付部によって受け付けられた前記計測データのフォーマットは、前記据付状態を計測する計測装置に設定されるフォーマットとテキストデータ形式のフォーマットとのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0139】
上記態様によると、ロボットコントローラは、計測装置と接続される等により、様々なデータを含む計測データを計測装置から一括して受け取り、当該計測データを用いて走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。また、ロボットコントローラは、様々なデータを含む計測データのテキストデータを一括して受け取り、当該テキストデータを用いて走行装置の据付状態の異常の有無を検出することができる。よって、計測データをロボットコントローラに入力するための処理が簡易になる。
【0140】
本開示の一態様に係るロボットシステムは、本開示の一態様に係るロボットコントローラと、前記ロボットコントローラによって制御される前記ロボットと、前記走行装置とを備える。
【0141】
上記態様によると、本開示の一態様に係るロボットコントローラと同様の効果が得られる。
【0142】
本開示の一態様に係るロボットシステムにおいて、前記ロボットコントローラは、前記走行装置の動作を制御してもよい。
【0143】
上記態様によると、ロボットコントローラは、走行装置をフィードバック制御する場合、走行装置のモータの回転量及び電流値を用い得る。ロボットコントローラは、走行装置の制御の過程で取得する情報を利用して、据付状態の異常の有無の決定を行うことができる。つまり、据付状態の異常の有無の決定のために、新たな機器の設置が不要である。
【0144】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0145】
1 ロボットシステム
2 計測装置
3 外部機器
100 ロボット
200 走行装置
231 走行モータ
300 操作入力装置
400 ロボットコントローラ
421 管理情報処理部(受付部)
422 変換部
423 決定部
424 第1画像出力部
425 第2画像出力部
426 規制部
429 第2記憶部(記憶部)