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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】音響機器及び接続筐体
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
H04R1/00 318Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020123136
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019351
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】池田 毅
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-107580(JP,A)
【文献】特開2018-148480(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00- 1/08
H04R 1/10
H04R 1/12- 1/14
H04R 1/42- 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スピーカを有する第1筐体と、
第2スピーカを有する第2筐体と、
一端が前記第1筐体に接続され、他端が前記第2筐体に接続されて、前記一端から前記他端に向かって貫通する中空孔を有する接続筐体と、
前記第1筐体から前記中空孔を通って前記第2筐体に到達するように配置され配線とを備え、
前記中空孔が、前記一端側に形成された小径部と、前記小径部に連続して前記他端側に形成されて径方向の寸法が前記小径部よりも大きい大径部とを有し、
前記接続筐体が、使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有することを特徴とする音響機器。
【請求項2】
前記接続筐体が、前記第1筐体と接続するために前記一端から突出する突出板部を有し、
前記突出板部が、前記中空孔の長手方向に交差する方向に貫通する貫通孔を有し、
前記第1筐体が、前記貫通孔に嵌合する突起部を有する請求項1に記載の音響機器。
【請求項3】
前記突起部が、前記貫通孔に嵌合する円筒部と、前記中空孔を通る前記配線を前記第1筺体の内壁との間で保持するように前記円筒部の周方向の一部から突出する部分円筒部とを含む請求項2に記載の音響機器。
【請求項4】
前記第1筐体が、前記突起部が形成された本体部材と、前記本体部材を覆うカバー部材とを含み、
前記カバー部材が、前記突起部に向かって突出するボス部と、前記ボス部の外周面に前記ボス部の長手方向に沿って形成された1又は複数の羽根部とを含み、
前記ボス部が、前記突起部に対向して形成された螺合穴を含み、
前記音響機器は、前記羽根部の前記ボス部の長手方向側の端面と前記本体部材とにより前記突出板部を挟み込むために前記螺合穴と螺合する締結部材をさらに備え、
前記円筒部が、前記締結部材を挿入するための締結孔部を有する請求項3に記載の音響機器。
【請求項5】
前記配線が、複数の電線を束にしたワイヤーハーネスを含む請求項1から4の何れか一項に記載の音響機器。
【請求項6】
前記小径部の長手方向の寸法と前記大径部の長手方向の寸法とが、前記中空孔の長手方向の寸法の2分の1である請求項1から5の何れか一項に記載の音響機器。
【請求項7】
前記音響機器がネックスピーカである請求項1から6の何れか一項に記載の音響機器。
【請求項8】
第1スピーカを有する第1筐体と接続可能に一端が形成され、第2スピーカを有する第2筐体と接続可能に他端が形成された接続筐体であって、
前記一端から前記他端に向かって貫通する中空孔を有し、
前記中空孔が、前記一端側に形成された小径部と、前記小径部に連続して前記他端側に形成されて径方向の寸法が前記小径部よりも大きい大径部とを有し、
使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有することを特徴とする接続筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1スピーカを有する第1筐体と、第2スピーカを有する第2筐体と、一端が第1筐体に接続され、他端が第2筐体に接続される接続筐体とを備える音響機器、及び、これに用いられる接続筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内に陰圧および/または吸引力を発生することのできる開放気孔性接触要素を有する陰圧治療装置が従来技術として知られている(特許文献1)。この陰圧治療装置では、流体貯留セグメントと流体連絡要素とが段差なしに互いに移行しており、両方の要素に通路を介してガイドワイヤーが導入されている。この通路は流体貯留セグメントと流体が案内可能に結合されている陰圧治療装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-58714号公報(2019年4月18日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1スピーカを有する第1筐体と、第2スピーカを有する第2筐体と、一端が第1筐体に接続され、他端が第2筐体に接続されて、一端から他端に向かって貫通する中空孔を有する接続筐体と、第1筐体から中空孔を通って第2筐体に到達するように配置されて第1及び第2スピーカに関連するワイヤーハーネスとを備えたネックスピーカにおいては、接続筐体が、使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有する。このため、中空孔も特許文献1のように直線状ではなく、円軌道状になる。
【0005】
このため、第1筐体から中空孔を通って第2筐体に到達するようにワイヤーハーネスを配置するために、中空孔の側壁にワイヤーハーネスの先端を当てながら挿入させる製造作業が発生する。
【0006】
この接続筐体の中空孔を成型するための金型は、以下の理由により2個用いることが好ましい。まず、1個の金型で成型すると、成型後の接続筐体から金型を抜くためのストロークが、2個の金型で成型して左右に抜く場合の2倍必要となり、2倍の長い距離だけ金型を動かす必要が生じる。このため、金型が折れるリスクが増大し、製造上不都合である。
【0007】
また、金型を抜くために、抜く方向にテーパを金型に形成する必要がある。テーパを形成すると、中空孔の径方向の寸法が、金型の先端に相当する位置では細くなり、金型の根元に相当する位置では太くなっていくので、1個の金型で成型しようとすると、中空孔の径方向の寸法の差が2個の金型で成型する場合の2倍に増えてしまう。
【0008】
このように、接続筐体の中空孔は2個の金型を用いて成型することが好ましい。
【0009】
しかしながら、この2個の金型の間の金型合わせ部で、両金型の芯ズレにより中空孔の内壁に段差が発生する場合がある。この場合、挿入したワイヤーハーネスの先端が当該段差に衝突して引っ掛かり、挿入したワイヤーハーネスが中空孔を通過できなくなってしまうという製造上の問題が生じる。
【0010】
本発明の一態様は、容易に製造することができる音響機器及び接続筐体を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る音響機器は、第1スピーカを有する第1筐体と、第2スピーカを有する第2筐体と、一端が前記第1筐体に接続され、他端が前記第2筐体に接続されて、前記一端から前記他端に向かって貫通する中空孔を有する接続筐体と、前記第1筐体から前記中空孔を通って前記第2筐体に到達するように配置されて前記第1及び前記第2スピーカに関連する配線とを備え、前記中空孔が、前記一端側に形成された小径部と、前記小径部に連続して前記他端側に形成されて径方向の寸法が前記小径部よりも大きい大径部とを有することを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る接続筐体は、第1スピーカを有する第1筐体と接続可能に一端が形成され、第2スピーカを有する第2筐体と接続可能に他端が形成された接続筐体であって、前記一端から前記他端に向かって貫通する中空孔を有し、前記中空孔が、前記一端側に形成された小径部と、前記小径部に連続して前記他端側に形成されて径方向の寸法が前記小径部よりも大きい大径部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、音響機器及び接続筐体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るネックスピーカの構成を示す上面図である。
図2】上記ネックスピーカの構成を示す斜視図である。
図3】上記ネックスピーカに設けられた接続筐体の要部断面図である。
図4】上記接続筐体に形成された中空孔に挿入されるワイヤーハーネスを説明するための図である。
図5】上記中空孔に挿入されたワイヤーハーネスを示す図である。
図6】比較例に係るネックスピーカに設けられた接続筐体の要部断面図である。
図7】実施形態に係る接続筐体の一端側を示す斜視図である。
図8】上記ネックスピーカに設けられた第1筐体の本体部材とカバー部材との間の関係を説明するための斜視図である。
図9】上記本体部材と上記カバー部材との間の関係を説明するための他の斜視図である。
図10】上記本体部材に形成された突起部を示す斜視図である。
図11】上記突起部を示す他の斜視図である。
図12】上記カバー部材に形成されたボス部及び羽根部を示す斜視図である。
図13】上記突起部の部分円筒部とワイヤーハーネスとの間の関係を説明するための斜視図である。
図14】上記接続筐体の一端側に形成された突出板部の貫通孔と上記突起部との嵌合状態を説明するための斜視図である。
図15】上記嵌合状態を説明するための他の斜視図である。
図16】上記第1筐体に上記接続筐体を接続した状態を示す斜視図である。
図17】上記ボス部に形成された締結穴と螺合するために取り付けられるビスを示す斜視図である。
図18】上記ボス部に形成された螺合穴と螺合するビスを説明するための斜視図である。
図19】上記羽根部の端面と上記本体部材とにより上記突出板部を挟み込む構成を説明するための斜視図である。
図20】上記羽根部の端面と上記本体部材とにより上記突出板部を挟み込む構成を説明するための断面図である。
図21図20の要部詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0016】
(ネックスピーカ1の構成)
図1は実施形態に係るネックスピーカ1(音響機器)の構成を示す上面図である。図2はネックスピーカ1の構成を示す斜視図である。図3はネックスピーカ1に設けられた接続筐体4の断面図である。図4は接続筐体4に形成された中空孔7に挿入されるワイヤーハーネス18(配線)を説明するための図である。図5は中空孔7に挿入されたワイヤーハーネス18を示す図である。
【0017】
ネックスピーカ1は、第1スピーカ19を有する第1筐体2と、第2スピーカ20を有する第2筐体3と、一端5が第1筐体2に接続され、他端6が第2筐体3に接続される接続筐体4とを備える。接続筐体4は、使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有しており、一端5から他端6に向かって貫通する中空孔7を有する。接続筐体4は、エラストマー等の熱可塑性樹脂により構成される。
【0018】
第1筐体2から中空孔7を通って第2筐体3に到達するようにワイヤーハーネス18が配置される。ワイヤーハーネス18は、第1スピーカ19及び第2スピーカ20に関連する複数の電線を束にして構成される。
【0019】
第1筐体2は、第1スピーカ19を収容するための本体部材12と、本体部材12を覆うカバー部材13とを有する。第2筐体3は、第2スピーカ20を収容するための本体部材12と、本体部材12を覆うカバー部材13とを有する。
【0020】
(接続筐体4の中空孔7の構成)
中空孔7は、一端5側に形成された小径部8と、小径部8に連続して他端6側に形成されて径方向の寸法が小径部8よりも大きい大径部9とを有する。小径部8の直径は例えば約4mmであり、大径部9の直径は例えば約4.4mm~4.6mmである。
【0021】
中空孔7を成型するための2個のPINスライド金型が円軌道に沿って左右に抜けて行くため、中空孔7の孔径は、接続筐体4の中央の孔径が最も小さく、左右に向かって行く程、徐々に孔径が大きくなって行く。
【0022】
このように構成されたネックスピーカ1を製造するために、接続筐体4に形成された中空孔7にワイヤーハーネス18を挿入するときは、接続筐体4の一端5側から他端6側に向かってワイヤーハーネス18を挿入する。接続筐体4の一端5側から挿入されたワイヤーハーネス18は、まず、中空孔7の小径部8を通り、次に、径方向の寸法が小径部8よりも大きい大径部9を通って他端6側に到達する。大径部9の径方向の寸法が小径部8よりも大きいので、中空孔7に挿入されたワイヤーハーネス18の先端が、中空孔7の内壁の段差に衝突して引っ掛かり、挿入したワイヤーハーネス18が中空孔7を通過できなくなってしまうという問題が解消する。
【0023】
図6は比較例に係るネックスピーカに設けられた接続筐体94の断面図である。2個の金型の間の金型合わせ部で、両金型の芯ズレにより中空孔97の内壁に段差98が発生した場合、挿入したワイヤーハーネス88の先端が段差98に衝突して引っ掛かる。このため、挿入したワイヤーハーネス88が中空孔97を通過できなくなってしまうという問題が生じる。
【0024】
(接続筐体4の一端5側の構成)
図7は接続筐体4の一端5側を示す斜視図である。接続筐体4は、第1筐体2と接続するために一端5から突出する突出板部10を有する。突出板部10は、接続筐体4と同一材料により一体に形成されており、湾曲して形成される接続筐体4の一端5の内側領域から、一端5に開口する中空孔7に隣接して突出する。従って、中空孔7は、湾曲して形成される接続筐体4の一端5の外側領域に開口する。突出板部10の基部の近傍に中空孔7の開口が形成される。
【0025】
前記突出板部10は、中空孔7の長手方向に交差する方向に貫通する貫通孔11を有する。
【0026】
このように、接続筐体4の一端5側には、突出板部10と一端5とによる切欠きが形成される。
【0027】
接続筐体4の他端6側も、一端5側と同様に構成される。
【0028】
(第1筐体2の構成)
図8は第1筐体2の本体部材12とカバー部材13との間の関係を説明するための斜視図である。図9は本体部材12とカバー部材13との間の関係を説明するための他の斜視図である。
【0029】
第1筐体2は、使用者に装着されるように接続筐体4と同じ方向に湾曲した形状を有して断面略U字形状の本体部材12と、本体部材12と同じ方向に湾曲した形状を有して本体部材12を覆うカバー部材13とを有する。
【0030】
第2筐体3も、第1筐体2と同様に構成される。
【0031】
図10は第1筐体2の本体部材12に形成された突起部14を示す斜視図である。図11は突起部14を示す他の斜視図である。
【0032】
本体部材12は、突出板部10の貫通孔11に嵌合するように本体部材12の底面から突出する突起部14を有する。この突起部14は、貫通孔11に嵌合する円筒部15と、中空孔7を通るワイヤーハーネス18を退避させるように円筒部15の周方向の一部から突出する部分円筒部16とを含む。
【0033】
円筒部15の内側には、本体部材12とカバー部材13とにより突出板部10を挟み込むように本体部材12とカバー部材13とを締結するビス24(図13図15図17図18、及び図20)を挿入するための締結孔部17が設けられる。
【0034】
図12はカバー部材13に形成されたボス部21及び羽根部22を示す斜視図である。カバー部材13は、本体部材12の突起部14に向かって突出する円柱状のボス部21と、ボス部21の外周面にボス部21の長手方向に沿って形成された2枚の羽根部22とを含む。2枚の羽根部22は、突起部14の部分円筒部16と干渉しない位置に形成される。ボス部21は、突起部14に対向して形成された螺合穴23を含む。
【0035】
第2筐体3も、第1筐体2と同様に構成される。
【0036】
(接続筐体4と第1筐体2との接続構成)
図13は突起部14の部分円筒部16とワイヤーハーネス18との間の関係を説明するための斜視図である。図14は接続筐体4の一端5側に形成された突出板部10の貫通孔11と突起部14との嵌合状態を説明するための斜視図である。図15は上記嵌合状態を説明するための他の斜視図である。
【0037】
突起部14の部分円筒部16は、接続筐体4の中空孔7を通ってきたワイヤーハーネス18を、その外周面により突起部14の締結孔部17から退避させて本体部材12の内壁との間に挟み込んで固定する。
【0038】
これにより、ワイヤーハーネス18がカバー部材13のボス部21と噛まないようにしている。
【0039】
部分円筒部16の替わりに、円筒部15の全周から突出するように構成してもよい。但し、円筒部15の周方向の一部から突出する部分円筒部にすると、製造時において、カバー部材13を本体部材12にかぶせていくときに、まっすぐに降ろさなくても、斜めから降ろしていっても、カバー部材13と本体部材12とを組み立てることができる。また、カバー部材13を上から本体部材12にかぶせて組み立てるとき、カバー部材13の内側、本体部材12の内側が外側から全く見えないので、斜めから降ろしていける構成とすると、組み立てやすくなり、ネックスピーカ1の製造が容易になる。
【0040】
突起部14の円筒部15は突出板部10の貫通孔11に嵌合し、突起部14の部分円筒部16は突出板部10の貫通孔11から突出する。
【0041】
突出板部10は、接続筐体4の一端5の内側(使用者が装着した時の使用者の首側)に形成されている。ネックスピーカ1を首に掛けるときに、左右の第1筐体2及び第2筐体3を外側に少し広げてネックスピーカ1を首に入れる。この場合、一端5の外側に突出板部10が配置されていると、接続筐体4と第1筐体2の本体部材12との間に隙間が生じやすく、そこに髪の毛が挟まるおそれがある。首側に突出板部10が配置されていると、第1筐体2及び第2筐体3を外側に広げても、接続筐体4と第1筐体2及び第2筐体3との間に隙間が生じ難い。
【0042】
図16は第1筐体2に接続筐体4を接続した状態を示す斜視図である。図17はボス部21に形成された螺合穴23と螺合するために取り付けられるビス24を示す斜視図である。図18はボス部21に形成された螺合穴23と螺合するビス24を説明するための斜視図である。図19は羽根部22の端面26と本体部材12とにより突出板部10を挟み込む構成を説明するための斜視図である。図20は羽根部22の端面26と本体部材12とにより突出板部10を挟み込む構成を説明するための断面図である。図21図20の要部詳細断面図である。
【0043】
突起部14の円筒部15の内側には締結孔部17が形成される。この締結孔部17は、図16図18図20、及び図21に示すように、第1筐体2の本体部材12の底面部の突起部14と反対側の面に開口する。この締結孔部17の開口から、図17に示すように、ドライバ25に吸着されたビス24を挿入する。そして、図20及び図21に示すように、カバー部材13のボス部21に形成された螺合穴23にビス24をドライバ25の回転によりねじ込んで螺合させ、ビス24は締結孔部17に形成された座面27と接触しながら締結孔部17を塞ぐ。ボス部21の端面は、円筒部15の内側の締結孔部17の座面27と反対側の端面と当接する。これにより、ビス24を螺合させる際の座面27の陥没が防止される。
【0044】
このようにして、第1筐体2のカバー部材13の羽根部22の端面26と本体部材12の底面部とにより接続筐体4の突出板部10が挟み込まれる。この結果、接続筐体4と第1筐体2とが接続される。
【0045】
ビス24は、第1筐体2の本体部材12の内側(使用者が装着した時の使用者の首側)締結孔部17からカバー部材13のボス部21の螺合穴23と螺合できるので、意匠上、ビス24を目立ち難くすることができる。
【0046】
実施形態に係るワイヤーハーネス18は、接続筐体4に形成された中空孔7を通す構造としているが、比較例に係る従来のワイヤーハーネスは、接続筐体と一体に成型されており、従って、接続筐体に対して動かないように固定されていた。そして、接続筐体の両端には、ABS樹脂から構成されて接続筐体の両端から突出する突出部材が、ワイヤーハーネスを中に入れ込みながら接続筐体との二色成型により成型されていた。
【0047】
このような比較例のワイヤーハーネス、接続筐体、及び突出部材の構造は、ワイヤーハーネスが接続筐体及び突出部材に完全に固定されているため、屈曲動作に対する耐久性が著しく弱いという問題があった。
【0048】
これに対して、実施形態に係るワイヤーハーネス18、接続筐体4の構造は、接続筐体4に形成された中空孔7をワイヤーハーネス18が通過する構成である。このため、ワイヤーハーネス18は固定されず動くことが可能となり、屈曲動作に対する耐久性を向上させることができる。
【0049】
また、比較例の突出部材に相当する実施形態の突出板部10は、接続筐体4と同一材料で一体に成型される。このため、接続筐体と突出部材とを二色成型する比較例に比べて製造工程を短縮することができる。
【0050】
上述した実施形態では、音響機器の一例としてネックスピーカ1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、使用者の頭部に装着されるヘッドホンに対しても本発明を適用することができる。
【0051】
(本発明の他の側面)
本発明は下記のように表現することもできる。
【0052】
(1)第1スピーカを有する第1筐体と、第2スピーカを有する第2筐体と、一端が前記第1筐体に接続され、他端が前記第2筐体に接続されて、前記一端から前記他端に向かって貫通する中空孔を有する接続筐体と、前記第1筐体から前記中空孔を通って前記第2筐体に到達するように配置されて前記第1及び前記第2スピーカに関連する配線とを備え、前記接続筐体が、前記第1筐体と接続するために前記一端から突出する突出板部を有し、前記突出板部が、前記中空孔の長手方向に交差する方向に貫通する貫通孔を有し、前記第1筐体が、前記貫通孔に嵌合する突起部を有することを特徴とする音響機器。
【0053】
上記の構成によれば、その一端から他端に向かって貫通する中空孔を配線が通る接続筐体を第1筐体と容易に接続することができる。
【0054】
(2)前記突起部が、前記貫通孔に嵌合する円筒部と、前記中空孔を通る前記配線を前記第1筺体の内壁との間で保持するように前記円筒部の周方向の一部から突出する部分円筒部とを含む(1)に記載の音響機器。
【0055】
上記の構成によれば、中空孔を通る配線を部分円筒部の外周と第1筐体の内壁との間に挟み込んで緩やかに保持することができる。
【0056】
(3)前記第1筐体が、前記突起部が形成された本体部材と、前記本体部材を覆うカバー部材とを含み、前記カバー部材が、前記突起部に向かって突出するボス部と、前記ボス部の外周面に前記ボス部の長手方向に沿って形成された複数の羽根部とを含み、前記ボス部が、前記突起部に対向して形成された螺合穴を含み、前記音響機器は、前記羽根部の前記ボス部の長手方向側の端面と前記本体部材とにより前記突出板部を挟み込むために前記螺合穴と螺合する締結部材をさらに備え、前記円筒部が、前記締結部材を挿入するための締結孔部を有する(2)に記載の音響機器。
【0057】
上記の構成によれば、羽根部の端面と本体部材とで突出板部を挟み込むことにより、第1筐体を接続筐体と強固に接続することができる。
【0058】
(4)前記中空孔が、前記一端側に形成された小径部と、前記小径部に連続して前記他端側に形成されて径方向の寸法が前記小径部よりも大きい大径部とを有する(1)に記載の音響機器。
【0059】
上記の構成によれば、小径部から大径部に向かって挿入される配線は、中空孔の内壁の段差に衝突して引っ掛かることが無い。このため、音響機器を容易に製造することができる。
【0060】
(5)前記接続筐体が、使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有する(1)に記載の音響機器。
【0061】
上記の構成によれば、ネックスピーカとして好適な音響機器を提供することができる。
【0062】
(6)前記配線が、複数の電線を束にしたワイヤーハーネスを含む(1)に記載の音響機器。
【0063】
上記の構成によれば、第1及び第2スピーカに関連する複数の電線を第1筐体から中空孔を通って第2筐体に到達するように配置することができる。
【0064】
(7)前記小径部の長手方向の寸法と前記大径部の長手方向の寸法とが、前記中空孔の長手方向の寸法の2分の1である(1)に記載の音響機器。
【0065】
上記の構成によれば、接続筐体の中空孔を成型するための2個の金型を抜くためのストロークを短くして金型が折れるリスクを低減し、上記金型を抜くためのテーパ寸法を小さくすることができる。
【0066】
(8)前記音響機器がネックスピーカである(1)に記載の音響機器。
【0067】
上記の構成によれば、ネックスピーカを容易に製造することができる。
【0068】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、第1スピーカ19を有する第1筐体2と、第2スピーカ20を有する第2筐体3と、一端5が前記第1筐体2に接続され、他端6が前記第2筐体3に接続されて、前記一端5から前記他端6に向かって貫通する中空孔7を有する接続筐体4と、前記第1筐体2から前記中空孔7を通って前記第2筐体3に到達するように配置されて前記第1及び前記第2スピーカ19・20に関連する配線(ワイヤーハーネス18)とを備え、前記中空孔7が、前記一端5側に形成された小径部8と、前記小径部8に連続して前記他端6側に形成されて径方向の寸法が前記小径部8よりも大きい大径部9とを有する。
【0069】
上記の構成によれば、音響機器の製造工程において、配線が接続筐体の一端側から中空孔の小径部に挿入される。そして、配線は中空孔の小径部の側壁に先端を当てながら他端側に向かってさらに挿入される。次に、配線は中空孔の小径部から大径部に到達する。その後、配線は中空孔の大径部の側壁に先端を当てながらさらに挿入されて接続筐体の他端に到達する。中空孔の大径部の径方向の寸法は小径部の径方向の寸法よりも大きいので、小径部から大径部に向かって挿入される配線は、中空孔の内壁の段差に衝突して引っ掛かることが無い。この結果、音響機器を容易に製造することができる。
【0070】
本発明の態様2に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様1において、前記接続筐体4が、前記第1筐体2と接続するために前記一端5から突出する突出板部10を有し、前記突出板部10が、前記中空孔7の長手方向に交差する方向に貫通する貫通孔11を有し、前記第1筐体2が、前記貫通孔11に嵌合する突起部14を有することが好ましい。
【0071】
上記の構成によれば、突起部が貫通孔に嵌合することにより、第1筐体を接続筐体と接続することができる。
【0072】
本発明の態様3に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様2において、前記突起部14が、前記貫通孔11に嵌合する円筒部15と、前記中空孔7を通る前記配線(ワイヤーハーネス18)を前記第1筺体の内壁との間で保持するように前記円筒部15の周方向の一部から突出する部分円筒部16とを含むことが好ましい。
【0073】
上記の構成によれば、中空孔を通る配線を部分円筒部の外周と第1筐体の内壁との間に挟み込んで緩やかに保持することができる。
【0074】
本発明の態様4に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様3において、前記第1筐体2が、前記突起部14が形成された本体部材12と、前記本体部材12を覆うカバー部材13とを含み、前記カバー部材13が、前記突起部14に向かって突出するボス部21と、前記ボス部21の外周面に前記ボス部21の長手方向に沿って形成された1又は複数の羽根部22とを含み、前記ボス部21が、前記突起部14に対向して形成された螺合穴23を含み、前記音響機器(ネックスピーカ1)は、前記羽根部22の前記ボス部21の長手方向側の端面26と前記本体部材12とにより前記突出板部10を挟み込むために前記螺合穴23と螺合する締結部材(ビス24)をさらに備え、前記円筒部15が、前記締結部材(ビス24)を挿入するための締結孔部17を有することが好ましい。
【0075】
上記の構成によれば、羽根部の端面と本体部材とで突出板部を挟み込むことにより、第1筐体を接続筐体と強固に接続することができる。
【0076】
本発明の態様5に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様1において、前記接続筐体4が、使用者の首に掛けることができるように湾曲した形状を有することが好ましい。
【0077】
上記の構成によれば、ネックスピーカとして好適な音響機器を提供することができる。
【0078】
本発明の態様6に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様1において、前記配線(ワイヤーハーネス18)が、複数の電線を束にしたワイヤーハーネスを含むことが好ましい。
【0079】
上記の構成によれば、第1及び第2スピーカに関連する複数の電線を第1筐体から中空孔を通って第2筐体に到達するように配置することができる。
【0080】
本発明の態様7に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様1において、前記小径部8の長手方向の寸法と前記大径部9の長手方向の寸法とが、前記中空孔7の長手方向の寸法の2分の1であることが好ましい。
【0081】
上記の構成によれば、接続筐体の中空孔を成型するための2個の金型を抜くためのストロークを短くして金型が折れるリスクを低減し、上記金型を抜くためのテーパ寸法を小さくすることができる。
【0082】
本発明の態様8に係る音響機器(ネックスピーカ1)は、上記態様1において、前記音響機器(ネックスピーカ1)がネックスピーカであることが好ましい。
【0083】
上記の構成によれば、ネックスピーカを容易に製造することができる。
【0084】
本発明の態様9に係る接続筐体4は、第1スピーカ19を有する第1筐体2と接続可能に一端5が形成され、第2スピーカ20を有する第2筐体3と接続可能に他端6が形成された接続筐体4であって、前記一端5から前記他端6に向かって貫通する中空孔7を有し、前記中空孔7が、前記一端5側に形成された小径部8と、前記小径部8に連続して前記他端6側に形成されて径方向の寸法が前記小径部8よりも大きい大径部9とを有する。
【0085】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 ネックスピーカ(音響機器)
2 第1筐体
3 第2筐体
4 接続筐体
5 一端
6 他端
7 中空孔
8 小径部
9 大径部
10 突出板部
11 貫通孔
12 本体部材
13 カバー部材
14 突起部
15 円筒部
16 部分円筒部
17 締結孔部
18 ワイヤーハーネス(配線)
19 第1スピーカ
20 第2スピーカ
21 ボス部
22 羽根部
23 螺合穴
24 ビス(締結部材)
26 端面
27 座面
図1
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図3
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