(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】プロテクタユニット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240521BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240521BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H02G3/04 087
B60R16/02 623T
F16L57/00 A
(21)【出願番号】P 2020126192
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】新徳 悠太
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-236217(JP,A)
【文献】特開2017-011786(JP,A)
【文献】特開2018-191383(JP,A)
【文献】特開2020-054037(JP,A)
【文献】特開2003-197038(JP,A)
【文献】特開2003-032852(JP,A)
【文献】実開平06-067206(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
F16L 57/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝部材が保持部に配置された第1の部材と、
前記緩衝部材の上から前記保持部に重ねて前記第1の部材と組み付けられ、前記緩衝部材の一部を通過させて前記保持部側とは反対側に突出させる貫通孔と、前記緩衝部材の前記一部を除く他の部分に当接して前記保持部側に押さえつける押さえ片とが設けられた第2の部材と、
前記第1の部材又は前記第2の部材に取り付けられ、前記第1の部材又は前記第2の部材と協働して、保護対象が収容される筒部を構成する第3の部材と、
を備えるプロテクタユニット。
【請求項2】
前記第1の部材と前記第2の部材とがヒンジ部を介して接続されており、前記ヒンジ部において前記第1の部材と前記第2の部材とを折り返すと、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重ねられる請求項1に記載のプロテクタユニット。
【請求項3】
前記第1の部材と前記第2の部材とが別体で構成されている請求項1に記載のプロテクタユニット。
【請求項4】
前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか一方の部材に設けられ、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重なると、前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか他方の部材に係止される係止片をさらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載のプロテクタユニット。
【請求項5】
前記保護対象が開口部から出し入れされるプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部に取り付けられて前記開口部を塞ぐカバー部とを有しており、前記プロテクタ本体部及び前記カバー部のうち少なくとも一方が、前記第1の部材又は前記第2の部材を構成する請求項1~
4のうちいずれか1項に記載のプロテクタユニット。
【請求項6】
前記保護対象はワイヤハーネスである請求項1~
5のうちいずれか1項に記載のプロテクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体に配策されたワイヤハーネスを保護するために、ワイヤハーネスを内部に収容する筒状のプロテクタが用いられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤハーネスを収容したプロテクタが、車体の内部の限られたスペースに配置される場合、車体が振動した際にプロテクタが周辺の部材との接触により異音を発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、ワイヤハーネス等の保護対象を収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の第1の態様に係るプロテクタユニットは、
緩衝部材が保持部に配置された第1の部材と、
前記緩衝部材の上から前記保持部に重ねて前記第1の部材と組み付けられ、前記緩衝部材の一部を通過させて前記保持部側とは反対側に突出させる貫通孔と、前記緩衝部材の前記一部を除く他の部分に当接して前記保持部側に押さえつける押さえ片とが設けられた第2の部材と、
前記第1の部材又は前記第2の部材に取り付けられ、前記第1の部材又は前記第2の部材と協働して、保護対象が収容される筒部を構成する第3の部材と、
を備える。
【0007】
本発明の第2の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1の態様に係るプロテクタユニットに関し、前記第1の部材と前記第2の部材とがヒンジ部を介して接続されており、前記ヒンジ部において前記第1の部材と前記第2の部材とを折り返すと、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重ねられる。
【0008】
本発明の第3の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1又は第2の態様に係るプロテクタユニットに関し、前記第1の部材と前記第2の部材とが別体で構成されている。
【0009】
本発明の第4の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1又は第2の態様に係るプロテクタユニットに関し、前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか一方の部材に設けられ、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重なると、前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか他方の部材に係止される係止片をさらに備える。
【0010】
本発明の第5の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1~第4のうちいずれか1つの態様に係るプロテクタユニットに関し、前記第1の部材及び前記第2の部材の組を2組有しており、前記第3の部材が一方の前記組の前記第1の部材を構成している。
【0011】
本発明の第6の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1~第5のうちいずれか1つの態様に係るプロテクタユニットに関し、前記保護対象が開口部から出し入れされるプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部に取り付けられて前記開口部を塞ぐカバー部とを有しており、前記プロテクタ本体部及び前記カバー部のうち少なくとも一方が、前記第1の部材又は前記第2の部材を構成する。
【0012】
本発明の第7の態様に係るプロテクタユニットは、本発明の第1~第6のうちいずれか1つの態様に係るプロテクタユニットに関し、前記保護対象はワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、保護対象を収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】
図1Aは、本発明の第1実施形態に係るプロテクタユニットをカバー部側から見た斜視図である。
【
図1B】
図1Bは、取付部材をヒンジ部で接続した
図1Aのカバー部の一端側の要部拡大斜視図である。
【
図1C】
図1Cは、
図1Bの取付部材を折り返して重ねたカバー部の一端側の要部拡大斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、取付部材の係止片が挿入される係止孔を設けた
図2Aのプロテクタ本体部の要部拡大斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、
図2Bの係止孔に挿入した係止片の係止により取付部材を組み付けたプロテクタ本体部の要部拡大斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、比較例に係るプロテクタユニットをカバー部側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態に係るプロテクタユニットの分解斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、
図5のプロテクタユニットの組み付け後の状態を示す仰角方向からの斜視図である。
【
図6B】
図6Bは、
図5のプロテクタユニットの組み付け後の状態を示す俯角方向からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。
【0016】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。例えば、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
[第1実施形態]
図1Aに示す第1実施形態のプロテクタユニット10は、プロテクタ本体部20とカバー部30とを有している。プロテクタ本体部20は、プロテクタ本体部20の内部に収容する保護対象Pが通過する開口部21を有している。カバー部30は、プロテクタ本体部20に取り付けられて開口部21を塞ぐ。保護対象Pは、例えば、車両のワイヤハーネスとすることができる。
【0018】
プロテクタユニット10は、さらに、緩衝部材40を有している。緩衝部材40は、例えば、合成樹脂、不織布等の変形可能な素材で形成することができる。具体的には、例えば、発泡体、ゴム等の弾性を有する部材で緩衝部材40を構成することができる。緩衝部材40は、プロテクタ本体部20及びカバー部30のうち少なくとも一方に取り付けることができる。本実施形態では、プロテクタ本体部20及びカバー部30の両方に緩衝部材40を取り付けた場合について説明する。緩衝部材40は、取付部材50,60によってプロテクタ本体部20及びカバー部30に取り付けることができる。
【0019】
プロテクタユニット10は、途中の変曲部11において、保護対象の配置に沿って向きが変わるように構成されている。プロテクタユニット10は、プロテクタ本体部20及びカバー部30が協働して構成する筒部に、保護対象Pを収容することができる。
【0020】
プロテクタ本体部20は、例えば、樹脂成形品によって構成することができる。プロテクタ本体部20は、底板22と一対の側壁板23,23とを有している。
【0021】
各側壁板23は、プロテクタユニット10の延在方向Xと交差する幅方向Yにおける底板22の両縁部からそれぞれ立設されている。プロテクタ本体部20の開口部21は、底板22に対向する部分に配置されている。プロテクタ本体部20は、延在方向Xの両端部24,24においてそれぞれ開放されている。
【0022】
カバー部30は、例えば、プロテクタ本体部20と同じく樹脂成形品によって構成することができる。カバー部30は、プロテクタ本体部20の開口部21に対応する形状の天板31と、一対の側壁板32,32とを有している。各側壁板32は、幅方向Yにおける天板31の両縁部からそれぞれ立設されている。カバー部30は、延在方向Xの両端部33,33においてそれぞれ開放されている。
【0023】
以下、カバー部30に緩衝部材40を取り付ける構造について、
図1B及び
図1Cを参照して説明する。
【0024】
図1Bに示すように、カバー部30の外部に露出する天板31の表面には、緩衝部材40の保持部34が設けられている。
【0025】
緩衝部材40の形状が立方体又は直方体である場合、保持部34は、例えば、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形とすることができる。緩衝部材40は、例えば、天板31への接着によって保持部34に保持させることができる。緩衝部材40の接着には、例えば、接着剤又は両面接着テープを用いることができる。
【0026】
保持部34の緩衝部材40は、例えば、天板31から突設された保持部34の四隅の位置決め片35によって、位置決めすることができる。
図1Bでは、緩衝部材40の後ろに隠れた1つの位置決め片35の図示を省略している。
【0027】
カバー部30の保持部34には、取付部材50によって緩衝部材40が取り付けられる。取付部材50は、ヒンジ部70を介して、カバー部30の一方の端部33に接続されている。取付部材50は、
図1Cに示すように、ヒンジ部70において天板31の表面側に折り返すことで、カバー部30の保持部34に重ねることができる。
【0028】
取付部材50は、
図1Bに示すように、貫通孔51及び係止片52を有している。貫通孔51は、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形で形成されている。また、取付部材50は、4つの押さえ片53を有している。各押さえ片53は、貫通孔51の四隅にそれぞれ形成されており、貫通孔51の内側に張り出している。
図1Bでは、係止片52の後ろに隠れた1つの押さえ片53の図示を省略している。
【0029】
係止片52は、取付部材50のうち、カバー部30に接続されたヒンジ部70側とは反対側の先端から貫通孔51の貫通方向に沿って突設されている。係止片52は、取付部材50を天板31の表面側に折り返すことで、天板31の保持部34の外側に形成した不図示の係止孔に挿入し、天板31の裏面側において係止孔の縁部に係止させることができる。
【0030】
係止片52が天板31の係止孔に係止されると、取付部材50とカバー部30とが組み付けられる。取付部材50は、カバー部30との組み付けにより、天板31の表面側に折り返した
図1Cの状態に保つことができる。
【0031】
取付部材50とカバー部30とが組み付けられると、貫通孔51は、保持部34の緩衝部材40のうち四隅を除く一部の部分を通過させる。取付部材50の貫通孔51を通過した部分は、取付部材50の保持部34側とは反対側に突出する。各押さえ片53は、保持部34の緩衝部材40のうち貫通孔51を通過する一部を除く他の部分、即ち、緩衝部材40の四隅に当接する。各押さえ片53は、緩衝部材40の四隅を保持部34側に押さえつけて変形させる。
【0032】
カバー部30の緩衝部材40の四隅は、カバー部30の外側において、取付部材50の各押さえ片53とカバー部30の保持部34とで挟んで保持される。
【0033】
次に、プロテクタ本体部20に緩衝部材40を取り付ける構造について、
図2A~
図2Cを参照して説明する。
【0034】
図2Aに示すように、プロテクタ本体部20の外部に露出する底板22の表面には、変曲部11を挟んだ両側にそれぞれ緩衝部材40が取り付けられる。
図2Bに示すように、底板22の表面には、緩衝部材40の保持部25が設けられている。
【0035】
緩衝部材40の形状が立方体又は直方体である場合、保持部25は、例えば、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形の凹部とすることができる。緩衝部材40は、例えば、保持部25の底面への接着によって保持部25に保持させることができる。緩衝部材40の接着には、カバー部30と同じく、例えば、接着剤又は両面接着テープを用いることができる。
【0036】
各保持部25の緩衝部材40は、例えば、各保持部25の四隅の段差によって、位置決めすることができる。
【0037】
底板22における保持部25の四隅の周辺には、係止孔26がそれぞれ形成されている。係止孔26は、底板22を貫通してプロテクタ本体部20の内部に連通している。
図2Bでは、4つの係止孔26のうち1つの図示を省略している。
【0038】
図2Bでは、プロテクタ本体部20に取り付ける2つの緩衝部材40のうち一方の緩衝部材40に対応する保持部25及び係止孔26を示している。他方の緩衝部材40に対応する保持部及び係止孔も、
図2Bの保持部25及び係止孔26と同様に構成することができる。
【0039】
プロテクタ本体部20に対する2つの緩衝部材40の取付部材60は、プロテクタ本体部20と別体に構成されている。取付部材60は、
図2Aに示すように、変曲部11を挟んだ両側に跨がって、底板22の表面に取り付けられる。
【0040】
取付部材60のうち一方の緩衝部材40に対応する部分は、
図2Bに示すように、貫通孔61及び4つの係止片62を有している。貫通孔61は、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形で形成されている。また、この部分の取付部材60は、4つの押さえ片63を有している。各押さえ片63は、貫通孔61の四隅にそれぞれ形成されており、貫通孔61の内側に張り出している。
【0041】
取付部材60のうち一方の緩衝部材40に対応する部分の各係止片62は、幅方向Yにおける取付部材60の両縁部のうち、貫通孔61の四隅の周辺に位置する部分から、貫通孔61の貫通方向に沿ってそれぞれ突設されている。
図2Bでは、4つの係止片62のうち1つの図示を省略している。
【0042】
各係止片62を、保持部25の周辺の各係止孔26に挿入し、底板22の裏面側において各係止孔26の縁部に係止させると、取付部材60のうち一方の緩衝部材40に対応する部分が、プロテクタ本体部20に組み付けられる。
【0043】
プロテクタ本体部20に組み付けられた取付部材60のうち一方の緩衝部材40に対応する部分は、
図2Cに示すように、一方の緩衝部材40の保持部25に重ねられる。
【0044】
図2B及び
図2Cでは、取付部材60のうち一方の緩衝部材40に対応する部分を示している。取付部材60のうち他方の緩衝部材40に対応する部分も、取付部材60の
図2B及び
図2Cに示す部分と同様に構成することができる。
【0045】
取付部材60の各緩衝部材40にそれぞれ対応する部分が、
図2Cに示すようにプロテクタ本体部20に組み付けられると、各貫通孔61は、各保持部25の緩衝部材40のうち四隅を除く一部の部分をそれぞれ通過させる。
【0046】
各緩衝部材40の各貫通孔61をそれぞれ通過した部分は、取付部材60の保持部25側とは反対側にそれぞれ突出する。各押さえ片63は、各保持部25の緩衝部材40のうち各貫通孔61を通過する一部を除く他の部分、即ち、緩衝部材40の四隅に当接する。各押さえ片63は、緩衝部材40の四隅を保持部25側に押さえつけて変形させる。
【0047】
プロテクタ本体部20の緩衝部材40の四隅は、プロテクタ本体部20の外側において、取付部材60の各押さえ片63とプロテクタ本体部20の保持部25とで挟んで保持される。
【0048】
取付部材50を組み付けたカバー部30は、取付部材60を組み付けたプロテクタ本体部20に取り付けられて開口部21を塞ぐ。プロテクタ本体部20と開口部21を塞いだカバー部30とで構成される筒部には、保護対象Pが収容される。保護対象Pを収容したプロテクタユニット10は、例えば、不図示の車両等に配置することができる。
【0049】
車両等に配置したプロテクタユニット10の、貫通孔51,61を通過した部分の緩衝部材40は、例えば、車両等が振動したときに、プロテクタ本体部20、カバー部30及び取付部材50,60よりも先に、プロテクタユニット10の周辺に存在する不図示の部材に接触する。緩衝部材40が先に接触することで、プロテクタユニット10が周辺の部材に直接接触するのを抑制することができる。
【0050】
本実施形態のプロテクタユニット10では、プロテクタ本体部20及びカバー部30とそれぞれ組み付けた取付部材60,50の押さえ片63,53が、緩衝部材40の四隅を保持部25,34側に押さえつける。四隅を押さえつけられた緩衝部材40は、保持部25,34と各押さえ片63,53とに挟持されて、保持部25,34に保持された状態に維持される。
【0051】
このため、車両等に配置した状態に限らず、車両等に配置する前の単体のユニットとして取り扱う際にも、保持部25,34から緩衝部材40が脱落するのを抑制し、部品の欠損防止に対するプロテクタユニット10の保証度を高めることができる。
【0052】
本実施形態のプロテクタユニット10と比較するために、
図3A、
図3B、
図4A及び
図4Bに、取付部材を省略した比較例のプロテクタユニット80を示す。
【0053】
比較例のプロテクタユニット80では、
図3A及び
図3Bに示すように、カバー部30の保持部34に保持された緩衝部材40の四隅を、天板31の位置決め片35によって位置決めしている。プロテクタユニット80では、緩衝部材40を取付部材により保持部34側に押さえつけないので、保持部34の緩衝部材40は原形のまま天板31の表面に露出している。
【0054】
同様に、比較例のプロテクタユニット80では、
図4A及び
図4Bに示すように、プロテクタ本体部20の各保持部25にそれぞれ保持された緩衝部材40の四隅を、各保持部25の四隅の段差によって位置決めしている。プロテクタユニット80では、緩衝部材40を取付部材により各保持部25にそれぞれ押さえつけないので、各保持部25の緩衝部材40は原形のままプロテクタ本体部20の底板22の表面に露出している。
【0055】
比較例のプロテクタユニット80では、各保持部25,34に緩衝部材40を接着等で保持させただけである。したがって、例えば、各保持部25,34から剥離させる外力が各緩衝部材40に加わった際に、その外力に対抗する押さえ力を取付部材によって各緩衝部材40に付与することができない。このため、緩衝部材40が、外力により各保持部25,34から剥離してプロテクタ本体部20又はカバー部30から脱落する可能性がある。
【0056】
一方、本実施形態のプロテクタユニット10では、各保持部25,34に保持させた緩衝部材40を、取付部材60,50の押さえ片63,53で保持部25,34側に押さえつけて挟持している。したがって、例えば、各保持部25,34から剥離させる外力が各緩衝部材40に加わった際に、その外力に対抗する押さえ力が押さえ片63,53から各緩衝部材40に付与される。このため、緩衝部材40が、外力により各保持部25,34から剥離してプロテクタ本体部20又はカバー部30から脱落するのを、取付部材60,50によって抑制することができる。
【0057】
特に、カバー部30と組み付けられる取付部材50は、ヒンジ部70を介してカバー部30と接続されているので、取付部材50がカバー部30から離脱するのを、より確実に抑制することができる。
【0058】
本実施形態のプロテクタユニット10では、プロテクタ本体部20とカバー部30とがそれぞれ第1の部材及び第3の部材を兼ねている。プロテクタ本体部20は、第2の部材を構成する取付部材60と組み付けられ、カバー部30は、第2の部材を構成する取付部材50と組み付けられる。
【0059】
本実施形態のプロテクタユニット10では、カバー部30の取付部材50をヒンジ部70によりカバー部30と一体化した。この構成は、プロテクタ本体部20の取付部材60にも適用可能である。取付部材60をプロテクタ本体部20と別体とする構成も、カバー部30の取付部材50に適用可能である。
【0060】
なお、プロテクタ本体部20及びカバー部30のいずれか一方について、緩衝部材40と取付部材60,50による緩衝部材40の取付構造とを省略してもよい。
【0061】
以上に説明した第1実施形態のプロテクタユニット10では、緩衝部材40を取付部材60,50により、プロテクタ本体部20及びカバー部30に対してそれらの外側から押さえつける構成とした。プロテクタ本体部20及びカバー部30に対して緩衝部材40を、プロテクタ本体部20及びカバー部30の内側から押さえつける構成とすることもできる。
【0062】
[第2実施形態]
図5に示す第2実施形態のプロテクタユニット90では、プロテクタ本体部20の緩衝部材40を、プロテクタ本体部20の内部に取り付ける取付部材100とプロテクタ本体部20とにより、プロテクタ本体部20の内側において、挟んで保持する。
【0063】
プロテクタユニット90では、プロテクタ本体部20の底板22に貫通孔27を形成し、各側壁板23の内側面に、一対のガイドリブ28,28及び係止突起29,29をそれぞれ突設している。但し、
図5において隠れている一方の側壁板23の内側面に突設したガイドリブ28及び係止突起29は、図示を省略している。
【0064】
貫通孔27は、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形で形成されている。また、底板22は、4つの押さえ片110を有している。各押さえ片110は、貫通孔27の四隅にそれぞれ形成されており、貫通孔27の内側に張り出している。
【0065】
プロテクタユニット90では、プロテクタ本体部20の内側に、取付部材100が組み付けられる。取付部材100は、矩形の取付板101と、取付板101の四隅からそれぞれ突設された4つの係止片102とを有している。
【0066】
取付板101の一方の面には、緩衝部材40の保持部103が設けられている。緩衝部材40の形状が立方体又は直方体である場合、保持部103は、例えば、緩衝部材40の平面形状に対応する矩形の凹部とすることができる。緩衝部材40は、例えば、保持部103の底面への接着によって保持部103に保持させることができる。緩衝部材40の接着には、例えば、接着剤又は両面接着テープを用いることができる。
【0067】
保持部103の緩衝部材40は、例えば、取付板101からそれぞれ突設された保持部103の四隅の位置決め片104によって、位置決めすることができる。
図5では、取付板101と保持部103との段差又は緩衝部材40の後ろに隠れた3つの位置決め片104の図示を省略している。
【0068】
各係止片102は、取付板101の他方の面から、位置決め片104とは逆向きにそれぞれ突設されている。
【0069】
図6A及び
図6Bに示すように、取付部材100は、各側壁板23の2つのガイドリブ28,28により四隅をガイドさせつつ、プロテクタ本体部20の内側に挿入することができる。プロテクタ本体部20の底板22に取付板101が当接するまで取付部材100を挿入すると、各係止片102が各側壁板23の2つの係止突起29,29にそれぞれ係止される。各係止片102が対応する係止突起29に係止されると、プロテクタ本体部20の内側に取付部材100が組み付けられる。
【0070】
プロテクタ本体部20の内側に組み付けられた取付部材100の取付板101は、底板22の貫通孔27の部分に重ねられる。取付板101が重なると、貫通孔27は、保持部103の緩衝部材40のうち四隅を除く一部の部分をそれぞれ通過させる。緩衝部材40の貫通孔27を通過した部分は、取付部材100の保持部103側とは反対側にそれぞれ突出し、
図6Aに示すように、プロテクタ本体部20の外側に露出する。
【0071】
各押さえ片110は、保持部103の緩衝部材40のうち貫通孔27を通過する一部を除く他の部分、即ち、緩衝部材40の四隅に当接する。各押さえ片110は、緩衝部材40の四隅を保持部103側に押さえつけて変形させる。
【0072】
プロテクタ本体部20の緩衝部材40の四隅は、プロテクタ本体部20の内側において、プロテクタ本体部20の各押さえ片110と取付部材100の保持部103とで挟んで保持される。
【0073】
プロテクタユニット90では、緩衝部材40をカバー部30に設けていない。カバー部30は、取付部材100を組み付けたプロテクタ本体部20に取り付けられて開口部21を塞ぐ。プロテクタ本体部20と開口部21を塞いだカバー部30とで構成される筒部には、保護対象Pが収容される。保護対象Pを収容したプロテクタユニット90は、例えば、不図示の車両等に配置することができる。
【0074】
本実施形態のプロテクタユニット90では、プロテクタ本体部20と組み付けた取付部材100の押さえ片110が、緩衝部材40の四隅を保持部103側に押さえつける。四隅を押さえつけられた緩衝部材40は、保持部103と各押さえ片110とに挟持されて、保持部103に保持された状態に維持される。
【0075】
このため、車両等に配置した状態に限らず、車両等に配置する前の単体のユニットとして取り扱う際にも、保持部103から緩衝部材40が脱落するのを抑制し、部品の欠損防止に対するプロテクタユニット90の保証度を高めることができる。
【0076】
また、プロテクタユニット90では、プロテクタ本体部20の外側に取付部材100が露出しないので、プロテクタユニット90を車両等に配置した際に、プロテクタ本体部20とその周辺の部材との間に取付部材100が介在しない。このため、プロテクタユニット90とその周辺の部材との間隔が、取付部材100の存在によって縮まるのを防ぐことができる。
【0077】
本実施形態のプロテクタユニット90では、取付部材100が第1の部材を構成し、プロテクタ本体部20が第2の部材を構成し、カバー部30が第3の部材を構成する。
【0078】
プロテクタ本体部20の内側に取付部材100を組み付けて、プロテクタ本体部20の底板22の表面に緩衝部材40を配置する構成は、プロテクタユニット90のカバー部30にも適用可能である。この場合、カバー部30の内側に取付部材を組み付けて、カバー部30の天板31に形成した貫通孔からカバー部30の外側に緩衝部材40を突出させればよい。
【0079】
また、プロテクタユニット90のカバー部30のみに緩衝部材40を設け、プロテクタユニット90のプロテクタ本体部20には緩衝部材40を設けない構成とすることも可能である。
【0080】
[実施形態の変形例]
上述した各実施形態のプロテクタユニット10,90の貫通孔51,27は、緩衝部材40の平面形状よりも輪郭が小さい矩形で構成してもよい。その場合、取付部材50,100と緩衝部材40の保持部34,103とを重ねた状態で、緩衝部材40の周縁部分に当接する貫通孔51,27の周縁部分によって、第2の部材の押さえ片を構成することができる。
【0081】
[実施形態により開示される発明とその効果]
そして、以上に説明した実施形態及びその変形例によって、以下に示す各態様の発明が開示される。
【0082】
まず、第1の態様に係る発明として、第1の部材、第2の部材及び第3の部材を備えるプロテクタユニットが開示される。第1の部材は、緩衝部材が保持部に配置される。第2の部材は、緩衝部材の上から保持部に重ねて第1の部材と組み付けられる。第2の部材には、緩衝部材の一部を通過させて保持部側とは反対側に突出させる貫通孔と、緩衝部材の一部を除く他の部分に当接して保持部側に押さえつける押さえ片とが設けられる。第3の部材は、第1の部材又は第2の部材に取り付けられ、第1の部材又は第2の部材と協働して、保護対象が収容される筒部を構成する。
【0083】
第1の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、保護対象を収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制することができる。
【0084】
第2の態様に係る発明として、前記第1の部材と前記第2の部材とがヒンジ部を介して接続されているプロテクタユニットが開示される。この態様では、前記ヒンジ部において前記第1の部材と前記第2の部材とを折り返すと、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重ねられる。
【0085】
第2の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、第1の部材と第2の部材とを一体化して、第1の部材と第2の部材とが離脱するのを抑制することができる。
【0086】
第3の態様に係る発明として、前記第1の部材と前記第2の部材とが別体で構成されているプロテクタユニットが開示される。
【0087】
第3の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、第1の部材と第2の部材とが別体である場合に、保護対象を収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制する構成を実現することができる。
【0088】
第4の態様に係る発明として、前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか一方の部材に係止片を設けたプロテクタユニットが開示される。この態様では、前記貫通孔及び前記押さえ片が前記保持部に重なると、前記第1の部材及び前記第2の部材のいずれか他方の部材に係止される。
【0089】
第4の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、貫通孔及び押さえ片が保持部に重なった状態を維持することができる。
【0090】
第5の態様に係る発明として、前記第1の部材及び前記第2の部材の組を2組有しており、前記第3の部材が一方の前記組の前記第1の部材を構成しているプロテクタユニットが開示される。
【0091】
第5の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、第3の部材においても、保護対象を収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制することができる。
【0092】
第6の態様に係る発明として、前記保護対象が開口部から出し入れされるプロテクタ本体部と、前記プロテクタ本体部に取り付けられて前記開口部を塞ぐカバー部とを有しているプロテクタユニットが開示される。この態様では、前記プロテクタ本体部及び前記カバー部のうち少なくとも一方が、前記第1の部材又は前記第2の部材を構成する。
【0093】
第6の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、プロテクタ本体部とカバー部とで保護対象を収容する筒部を構成するプロテクタユニットを実現することができる。
【0094】
第7の態様に係る発明として、前記保護対象はワイヤハーネスであるプロテクタユニットが開示される。
【0095】
第7の態様に係る発明のプロテクタユニットによれば、ワイヤハーネスを収容したプロテクタが配置先の周辺の部材と接触した際に異音が発生するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0096】
10,80,90 プロテクタユニット
11 変曲部
20 プロテクタ本体部(第1の部材、第2の部材、第3の部材)
21 開口部
22 底板
23 側壁板
24 プロテクタ本体部端部
25,34,103 保持部
26 係止孔
27,51,61 貫通孔
28 ガイドリブ
29 係止突起
30 カバー部(第1の部材、第3の部材)
31 天板
32 側壁板
33 カバー部端部
35,104 位置決め片
53,63,110 押さえ片
40 緩衝部材
50,60 取付部材(第2の部材)
52,62,102 係止片
70 ヒンジ部
100 取付部材(第1の部材)
101 取付板
P 保護対象
X 延在方向
Y 幅方向