(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】給排気システム及びクリーンルームシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240521BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20240521BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20240521BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20240521BHJP
F24F 110/20 20180101ALN20240521BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F11/74
B01D46/00 F
A61L9/00 Z
F24F110:20
(21)【出願番号】P 2020138744
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】595145050
【氏名又は名称】株式会社日立プラントサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】末松 孝章
(72)【発明者】
【氏名】澤田 よしみ
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-009713(JP,A)
【文献】特開2013-240358(JP,A)
【文献】特開2018-159521(JP,A)
【文献】特開昭55-025719(JP,A)
【文献】特開2017-048940(JP,A)
【文献】特開平10-267338(JP,A)
【文献】特開昭58-127033(JP,A)
【文献】実開昭61-034036(JP,U)
【文献】特開昭59-041734(JP,A)
【文献】国際公開第2005/119131(WO,A1)
【文献】特開2007-127367(JP,A)
【文献】特開平09-260226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
F24F 11/74
B01D 46/00
A61L 9/00
F24F 110/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気を空調して空調空気を得る空調機と、
建屋の内部に設置されるとともに陰圧に設定された、クリーンルームを含む
複数の部屋に、前記空調空気を給気する第1給気ダクトと、
前記部屋の内部の空気を、前記部屋の外部であって前記建屋の内部に形成された陽圧の天井裏に排気する排気ファンを備える排気装置と、を備え、
前記建屋には、前記天井裏と前記建屋の外部とを連通する排気口が形成され
、
前記部屋の側方には、前記部屋を区画する第1側壁と、前記第1側壁の外側に配置された第2側壁との間に形成された壁間空間が配置され、
前記部屋の下部には、前記壁間空間と前記部屋の内部とを連通する連通口が形成され、前記連通口を覆うように、交換可能な異物除去フィルタが設置され、
前記壁間空間の上部には前記排気装置が設置され、
前記複数の部屋のうち最も低圧の部屋の下部に、前記異物除去フィルタが設置される
ことを特徴とする給排気システム。
【請求項2】
外気を空調して空調空気を得る空調機と、
建屋の内部に設置されるとともに陰圧に設定された、クリーンルームを含む少なくとも1つの部屋に、前記空調空気を給気する第1給気ダクトと、
前記部屋の内部の空気を、前記部屋の外部であって前記建屋の内部に形成された陽圧の天井裏に排気する排気ファンを備える排気装置と、
前記部屋の空気を前記建屋の外部に排気する第1排気ダクトと、
前記排気ファンによる前記天井裏への排気と、前記第1排気ダクトを通じた前記建屋の外部への排気とを切り替える切替機構と
、を備え
、
前記建屋には、前記天井裏と前記建屋の外部とを連通する排気口が形成される
ことを特徴とす
る給排気システム。
【請求項3】
ダクトを流れる空気の風量を調整するエア駆動ダンパと、
前記エア駆動ダンパの駆動ガスを圧縮する圧縮装置と、を備える
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項4】
前記駆動ガスは前記天井裏の空気を含む
ことを特徴とする請求項
3に記載の給排気システム。
【請求項5】
前記空調機により生成した空調空気を前記天井裏に給気する第2給気ダクトと、
前記第2給気ダクトを通じた前記天井裏への空調空気の供給量を調整する調整機構と、
前記調整機構を制御する制御装置と、を備える
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項6】
前記天井裏の空気の湿度に関する指標値を測定する湿度指標計を備え、
前記制御装置は、測定した前記指標値に基づいて前記天井裏の湿度を低下させる湿度低下部を備える
ことを特徴とする請求項
5に記載の給排気システム。
【請求項7】
前記湿度低下部は、測定した前記指標値に基づいて前記天井裏で結露が発生すると判断したときに、前記天井裏への給気量を増やすように前記調整機構を制御する
ことを特徴とする請求項
6に記載の給排気システム。
【請求項8】
前記部屋と前記天井裏との差圧を測定する差圧計を備え、
前記制御装置は、測定した前記差圧が所定値未満のときに前記天井裏への給気量を増やすように前記調整機構を制御する差圧制御部を備える
ことを特徴とする請求項
5に記載の給排気システム。
【請求項9】
前記部屋の内部の空気から所望の気体成分を除去する除去装置を備え、
前記除去装置による前記気体成分の除去後の空気が前記天井裏に排気される
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項10】
前記排気ファンと前記部屋とを接続する第2排気ダクトと、
前記第2排気ダクトを流れる空気の風量調整により前記部屋の室圧を制御する室圧制御ダンパとを備える
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項11】
前記天井裏の空気の一部を前記空調機の空気流れで上流側に戻す戻りダクトを備える
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項12】
前記排気装置は、排気ファンと、異物除去フィルタとを備える
ことを特徴とする請求項1
又は2に記載の給排気システム。
【請求項13】
陰圧に設定され、クリーンルームを含む
複数の部屋と、
前記部屋が内部に設置された建屋と、
外気を空調して空調空気を得る空調機と、
前記部屋に前記空調空気を給気する第1給気ダクトと、
前記部屋の内部の空気を、前記部屋の外部であって前記建屋の内部に形成された陽圧の天井裏に排気する排気装置と、を備え、
前記建屋には、前記天井裏と前記建屋の外部とを連通する排気口が形成され
、
前記部屋の側方には、前記部屋を区画する第1側壁と、前記第1側壁の外側に配置された第2側壁との間に形成された壁間空間が配置され、
前記部屋の下部には、前記壁間空間と前記部屋の内部とを連通する連通口が形成され、前記連通口を覆うように、交換可能な異物除去フィルタが設置され、
前記壁間空間の上部には前記排気装置が設置され、
前記複数の部屋のうち最も低圧の部屋の下部に、前記異物除去フィルタが設置される
ことを特徴とするクリーンルームシステム。
【請求項14】
陰圧に設定され、クリーンルームを含む少なくとも1つの部屋と、
前記部屋が内部に設置された建屋と、
外気を空調して空調空気を得る空調機と、
前記部屋に前記空調空気を給気する第1給気ダクトと、
前記部屋の内部の空気を、前記部屋の外部であって前記建屋の内部に形成された陽圧の天井裏に排気する排気ファンを備える排気装置と、
前記部屋の空気を前記建屋の外部に排気する第1排気ダクトと、
前記排気ファンによる前記天井裏への排気と、前記第1排気ダクトを通じた前記建屋の外部への排気とを切り替える切替機構と、を備え、
前記建屋には、前記天井裏と前記建屋の外部とを連通する排気口が形成される
ことを特徴とするクリーンルームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給排気システム及びクリーンルームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化に伴い抗がん剤の需要が伸びているが、抗がん剤等の高薬理活性物質は健康な人間にとっては有害な成分である。そのため、高薬理活性物質の製造は、外部への漏出抑制のため、例えば陰圧に制御されたクリーンルームで行われる。他にも、食品産業等の用途にも、例えば臭気成分の漏出抑制のため、陰圧に制御されたクリーンルームが使用され得る。
【0003】
陰圧に制御されたクリーンルームの給排気技術として、特許文献1には、空調機から給気される天井内チャンバと、天井内チャンバ内の空気を、室内へ給気するファンフィルターユニットと、天井埋め込み形空調機からの給気の風量よりも大きい風量を、室内から天井内チャンバへ還気する第1の還気ファンと、を備えることを特徴とする、ユニット型細胞培養施設が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-240358号公報(
図4、段落0063)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、エントランス及び廊下に差圧ダンパが備えられ、差圧ダンパを通じて空気が施設外に排気される(段落0049)。このため、他の部屋から天井裏に排気された排気成分(例えば高薬理活性物質、臭気成分等)はエントランス及び廊下に集められ、施設外に排気される。従って、エントランス及び廊下に排気成分が集中するため使用者等が入り難くなることがあり、使い勝手が悪い。
本発明が解決しようとする課題は、使い勝手に優れた給排気システム及びクリーンルームシステムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給排気システムは、外気を空調して空調空気を得る空調機と、建屋の内部に設置されるとともに陰圧に設定された、クリーンルームを含む複数の部屋に、前記空調空気を給気する第1給気ダクトと、前記部屋の内部の空気を、前記部屋の外部であって前記建屋の内部に形成された陽圧の天井裏に排気する排気ファンを備える排気装置と、を備え、
前記建屋には、前記天井裏と前記建屋の外部とを連通する排気口が形成され、前記部屋の側方には、前記部屋を区画する第1側壁と、前記第1側壁の外側に配置された第2側壁との間に形成された壁間空間が配置され、前記部屋の下部には、前記壁間空間と前記部屋の内部とを連通する連通口が形成され、前記連通口を覆うように、交換可能な異物除去フィルタが設置され、前記壁間空間の上部には前記排気装置が設置され、前記複数の部屋のうち最も低圧の部屋の下部に、前記異物除去フィルタが設置される。その他の解決手段は発明を実施するための形態において後記する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手に優れた給排気システム及びクリーンルームシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図2】第2実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図3】第3実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図4】第4実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図5】第5実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図6】第6実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図7】第7実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図8】
図7のクリーンルームシステムの給排気システムによる給排気制御を示すフローチャートである。
【
図9】第8実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図10】第9実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図11】第10実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【
図12】第11実施形態のクリーンルームシステムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限られず、例えば異なる実施形態同士を組み合わせたり、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意に変形したりできる。また、同じ部材については同じ符号を付すものとし、重複する説明は省略する。更に、同じ機能を有するものは同じ名称を付すものとする。図示の内容は、あくまで模式的なものであり、図示の都合上、本発明の効果を著しく損なわない範囲で実際の構成から変更することがある。
【0010】
図1は、第1実施形態のクリーンルームシステム501の模式図である。白抜きの矢印は空気の流れを示す。クリーンルームシステム501は、陰圧に設定され、クリーンルーム33を含む少なくとも1つの部屋3と、部屋3が内部に設置された建屋2と、部屋3への給排気を行う給排気システム401を備える。部屋3の外部であって建屋2の内部には、天井裏5が形成される。部屋3は、図中マイナスの記号を円で囲った記号(以下、陰圧記号という)で示すように陰圧に設定され、具体的には例えば、基準圧(例えば大気圧)よりも例えば10~50Pa程度低い圧力に設定される。
【0011】
部屋3は、図示の例では、エアロック室31、脱衣室32、クリーンルーム33、エアロック室34及び前室35を含み、クリーンルーム33の両隣りに設置された脱衣室32及びエアロック室34が、2つの陰圧記号を示すように最も低圧である。これにより、部屋3同士、部屋3と外部、部屋3と天井裏5との間で隙間を通じた気流が生じても、図中曲線矢印で示すように脱衣室32及びエアロック室34に向かう気流が生じ、クリーンルーム33から天井裏5及び建屋2の外部(即ち屋外)への空気の流れが抑制される。
【0012】
作業員は、隣接する部屋3同士を、気密ドア16を介して行き来可能である。クリーンルーム33は、例えば抗がん剤等の高薬理活性物質、食品等の製造に使用されるが、用途はこれらに限定されない。
【0013】
給排気システム401は、外気を空調して空調空気を得る空調機1と、部屋3に空調機1で得られた空調空気を給気する第1給気ダクト4と、を備える。空調機1は、外気中の塵埃等の異物を除去する異物除去フィルタ11(例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)よりも微粒子除去率の低いフィルタ)と、空気の温度を制御する熱交換コイル12と、インバータ制御される給気ファン13とを備える。異物除去フィルタ11及び熱交換コイル12によって清浄度が高めるとともに温調された空調空気が、給気ファン13の駆動により部屋3に給気される。
【0014】
第1給気ダクト4(ダクトの一例)は、空調機1と部屋3の天井の給気口(不図示)とを接続し、空気流れの途中で分岐して5つの部屋3に接続される。第1給気ダクト4は、空調機1から部屋3の天井までの部分である。第1給気ダクト4は、各部屋3への給気量を一定に制御する定風量制御装置8と、異物除去フィルタ11では除去されなかった異物(例えば微生物等)を除去する別の異物除去フィルタ10(例えばHEPAフィルタ)とを備える。これにより、清浄度が高い空調空気が、天井の給気口を通じて部屋3に給気される。異物除去フィルタ10は、定風量制御装置8の空気流れ下流側に配置され、異物除去フィルタ10及び定風量制御装置8は、部屋3毎に配置される。
【0015】
給排気システム401は、空調機1により生成した空調空気を、調整機構9(後記)を介して天井裏5に給気する第2給気ダクト41を備える。第2給気ダクト41は、天井裏5に開口し、空調機1から天井裏5の開口までの部分である。図示の例では、第2給気ダクト41は、第1給気ダクト4の一部を兼ねる。第2給気ダクト41により天井裏5に直接空調空気を供給でき、図中プラスの記号を円で囲った記号で示すように天井裏5を陽圧にできる。天井裏5は、例えば、上記の基準圧よりも例えば5~20Pa程度高い圧力に設定される。また、空調機1で生成した空調空気を天井裏5に給気するため、天井裏5の清浄度を向上できる。
【0016】
給排気システム401は、第2給気ダクト41を通じた天井裏5への空調空気の供給量を調整する調整機構9を備える。調整機構9により天井裏5への給気量を調整でき、天井裏5の圧力を制御できる。調整機構9は、図示の例では差圧制御ダンパ90及びモータ91を備え、差圧制御ダンパ90に接続されたモータ91の駆動により差圧制御ダンパ90の開度を調整できる。モータ91の駆動は、例えば制御装置100(後記)により実行できる。
【0017】
給排気システム401は排気装置6を備える。排気装置6は、部屋3の内部の空気を、陽圧の天井裏5に排気する排気ファン62を備える。排気装置6は、部屋3毎に、部屋3の天井に設置される。図示の例では、排気装置6は、エアロック室31、脱衣室32、クリーンルーム33、エアロック室34及び前室35のそれぞれに設置され、図示の簡略化のために、一部の排気装置6の構成を簡略化している。排気ファン62はインバータ制御される。排気装置6は異物除去フィルタ63(例えばHEPAフィルタ)を備え、これにより、異物除去後の空気を天井裏5に排気でき、清浄な空気を天井裏5に排気して天井裏5の清浄度を向上できる。
【0018】
なお、部屋3が複数ある場合、排気装置6は、少なくとも1つの部屋3に設置されればよく、必ずしも全部の部屋3に設置される必要はない。ただし、排気装置6が設置されない部屋3の陰圧を保持するため、当該部屋3には、通常、別の部屋3又は屋外への排気を行う排気装置(図示しない。例えば排気ファンを備える。)が設置される。
【0019】
排気装置6は、差圧計61及び制御器65を備える。差圧計61は部屋3と天井裏5との差圧を測定するものであり、制御器65は、差圧が設定差圧になるように排気ファン62の回転速度を制御する。排気装置6は、通常時に開である開閉ダンパ64及びモータ67を備え、開閉ダンパ64に接続されたモータ67の駆動により開閉ダンパ64を開閉できる。部屋3の給排気時には開閉ダンパ64は全開であり、給排気停止時に開閉ダンパ64を閉じることで、部屋3を気密にして内部を消毒できる。
【0020】
建屋2には、天井裏5と建屋2の外部(屋外)とを連通する排気口21が形成される。排気口21は、図示の例では、建屋2の側壁の上部に形成される。排気口21を備えることで天井裏5と屋外とを連通でき、部屋3から排気された空気を天井裏5及び排気口21を通じて屋外に排気できる。排気口21には、虫等の侵入抑制のため、例えば、フィルタ、メッシュ(いずれも図示しない)等が設置されてもよい。
【0021】
排気口21には、例えばリリーフダンパ等の閉塞部材22が設置される。閉塞部材22は、天井裏5から屋外に向けて開くように配置され、天井裏5の室圧が屋外の圧力(大気圧)よりも高くなったとき、閉塞部材22が開いて天井裏5の空気が排気口21を通じて屋外に自然排気される。
【0022】
天井裏5には、排気装置6を通じて部屋3からの空気が排気される。このため、部屋3で生じた排気成分(例えば異物除去フィルタ63,366(後記の
図2等)で除去しきれなかった高薬理活性物質、臭気成分等)は、天井裏5に集められる。しかし、天井裏5には通常は使用者等は立ち入らないため、天井裏5に排気しても、部屋3での作業及び行動に影響を及ぼし難い。このため、天井裏5に排気し、天井裏5の排気口21を通じて屋外に排気することで、使用者等の作業性を向上させて、使い勝手を向上できる。
【0023】
給排気システム401によるクリーンルームシステム501での給排気を説明する。空調機1の運転により取り込まれた外気は空調され、空調空気が生成し、第1給気ダクト4及び第2給気ダクト41を通じて部屋3及び天井裏5に給気される。天井裏5への直接的な給気により天井裏5が陽圧になり、部屋3への給気により部屋3の内部が空調される。部屋3の内部の空気は、排気装置6の運転により天井裏5に排気される。排気量は、天井裏5と部屋3との差圧が設定差圧以上になるように差圧制御ダンパ90の開度で制御され、部屋3は排気装置6で陰圧に制御される。排気装置6により排気された空気、及び、第2給気ダクト41を通じて排気された空気は天井裏5で合流し、排気口21を通じて屋外に排気される。
【0024】
以上の給排気システム401及びクリーンルームシステム501では、使用者等が通常立ち入らない天井裏5に、屋外と連通する排気口21が形成される。このため、天井裏5に排気された排気成分を、部屋3での作業及び行動に影響を及ぼし難い状態で、排気口21を通じて屋外に排気できる。これにより、給排気システム401及びクリーンルームシステム501の使い勝手を向上できる。また、天井裏5の空気の全量が排気口21を通じて屋外に排気されるため、排気成分の高濃度化を抑制できる。
【0025】
また、天井裏5に部屋3からの空調空気を排気できるため、外気を天井裏5に給気する場合と比べ、天井裏5の清浄度を向上できる。特に、図示の例では、異物除去フィルタ63による異物除去後の空気を天井裏5に排気するため、清浄度を特に高くできる。また、空調空気を天井裏5に排気するため、天井裏5での結露を抑制でき、カビ等の微生物繁殖を抑制できる。このため、陽圧の天井裏5から陰圧の部屋3に空気が流入することがあっても、部屋3の清浄度を維持できる。更に、空調空気を屋外にそのまま排気するのではなく天井裏5に排気することで、省エネルギ化を図ることができる。
【0026】
図2は、第2実施形態のクリーンルームシステム502を示す模式図である。クリーンルームシステム502では、クリーンルーム33(部屋3の一例でこれに限られない。第2実施形態において以下同じ)の側方には、クリーンルーム33を区画する第1側壁361と、第1側壁361の外側に配置された第2側壁362との間に形成された壁間空間364が配置される。図示の例では、クリーンルーム33の側壁36は、第1側壁361(内壁)及び第2側壁362(外壁)を備える二重壁363により構成され、二重壁363の内部に壁間空間364(例えばレターンスペース)が形成される。また、図示の例では、第1側壁361はクリーンルーム33の一方の側を区画し、第2側壁362は建屋2の側壁の一部を構成する。クリーンルーム33の他方の側には脱衣室32が配置される。
【0027】
クリーンルーム33の側壁36(第1側壁361)の下部には、壁間空間364とクリーンルーム33の内部とを連通する連通口365が形成され、連通口365を覆うように、交換可能な異物除去フィルタ366が設置される。異物除去フィルタ366は例えばHEPAフィルタであり、例えばカートリッジ式として構成される。連通口365及び異物除去フィルタ366のクリーンルーム33の下面からの位置は、作業員による交換作業が容易になる位置であれば特に制限されない。具体的には例えば、異物除去フィルタ366の交換時に作業員による作業部位(例えば作業員が掴む異物除去フィルタ366の部分)の高さ位置として、例えば1.5m以下、好ましくは1m以下、より好ましくは50cm以下である。
【0028】
壁間空間364の上部(天井)には排気装置6が設置され、壁間空間364の上部は閉塞される。従って、壁間空間364の空気は、排気装置6によって天井裏5に排気される。なお、第2実施形態では、第1実施形態(
図1)とは異なり、排気装置6は異物除去フィルタ63を備えないが、備えても良い。
【0029】
排気ファン62の駆動により壁間空間364の空気が天井裏5に排気されると、クリーンルーム33の内部の空気は連通口365を通じて壁間空間364に吸い込まれる。吸い込まれる空気中の異物は、連通口365の通過時、異物除去フィルタ366によって除去される。これにより、清浄度の高い空気が天井裏5に排気される。
【0030】
クリーンルーム33の用途によっては、異物除去フィルタ366への汚れの付着度合いが異なる。このため、目詰まりに起因する風量低下抑制のためのフィルタ交換作業が高頻度化することがある。そこで、異物除去フィルタ366を交換し易いある程度低位置(上記のように例えば1.5m以下)に取り付けることで、フィルタ交換を容易に作業できる。特に、クリーンルーム33で高薬理活性物質を扱う場合、異物除去フィルタ366への高薬理活性物質の付着が予想される。そこで、異物除去フィルタ366を低位置に取り付けることで、揺れ及び振動を抑制しながら異物除去フィルタ366を取り外すことができ、付着した高薬理活性物質の飛散を抑制できる。
【0031】
図3は、第3実施形態のクリーンルームシステム503を示す模式図である。クリーンルームシステム503は、部屋3への給排気を行う給排気システム403を備える。給排気システム403は、給排気システム401(
図1)の構成に加え、更に、第1排気ダクト42、第2排気ダクト95及び切替機構92を備える。
【0032】
第1排気ダクト42は、インバータ制御される排気ファン66を備え、部屋3の空気を建屋2の外部(屋外)に排気する。第2排気ダクト95は、排気ファン62を備え、排気ファン62と部屋3とを接続し、部屋3の空気を天井裏5に排気する。第1排気ダクト42は、排気ファン62とクリーンルーム33とを接続する第2排気ダクト95の一部と兼用しており、切替機構92を境界にこれらが分岐する。排気ファン62,66は、第1実施形態とは異なり、異物除去フィルタ63等とは一体に構成されていない。
【0033】
切替機構92は、第2排気ダクト95を通じた排気ファン62による天井裏5への排気と、第1排気ダクト42を通じた排気ファン66による建屋2の外部(屋外)への排気とを切り替える。切替機構92により空気が流れるダクトが切り替えられ、空気が流れるダクトの排気ファン62,66は、制御器65によってクリーンルーム33の差圧が設定差圧になるように制御され、天井裏5と部屋3との差圧が設定差圧以上になるように差圧制御ダンパ90の開度で制御される。
【0034】
切替機構92は、開閉ダンパ921,923と、開閉ダンパ921,923の開閉を行うモータ922,924とを備えるが、例えば三方弁等でもよい。開閉ダンパ921が開かつ開閉ダンパ923が閉のとき、第1排気ダクト42を通じて、クリーンルーム33の内部の空気は屋外に直接排気される。一方で、開閉ダンパ923が開かつ開閉ダンパ921が閉のとき、第2排気ダクト95を通じて、クリーンルーム33の内部の空気は天井裏5に排気される。切替機構92の制御は、使用者による例えば制御装置(図示しない)の操作によって、行われる。
【0035】
切替機構92を備えることで、クリーンルーム33の用途に応じて、天井裏5への排気と、屋外への排気とを切り替えることができる。例えば、クリーンルーム33で有機溶剤を使用する場合、有機溶剤の天井裏5への影響を抑制するため、クリーンルーム33の内部の空気は、第1排気ダクト42を通じて屋外に排気される。一方で、それ以外の場合には、天井裏5の清浄度向上のため、クリーンルーム33の内部の空気は第2排気ダクト95を通じて天井裏5に排気される。このように切替機構92を使用者することで、天井裏5での意図しない成分(例えば有機溶剤)の充満を抑制できる。
【0036】
図4は、第4実施形態のクリーンルームシステム504を示す模式図である。クリーンルームシステム504は部屋3への給排気を行う給排気システム404を備え、給排気システム404は、給排気システム401(
図1)の構成に加え、除去装置51を備える。
【0037】
除去装置51は、クリーンルーム33(部屋3の一例でこれに限られない。第4実施形態において以下同じ)の内部の空気から所望の気体成分を除去する。これにより、除去装置51による気体成分の除去後の空気が天井裏5に排気される。図示の例では、除去装置51は、排気装置6の一部として備えられる。
【0038】
所望の気体成分は例えば有機物(有機溶剤、臭気成分等)、水等であるがこれに限られない。所望の気体成分が有機物である場合、除去装置51は例えば活性炭、ゼオライト等を含み、例えばこれらを収容した交換可能なカートリッジである。
【0039】
除去装置51を備えることで、所望の気体成分を除去後の空気を天井裏5に排気できる。これにより、当該気体成分の天井裏5への放出を抑制でき、天井裏5への気体成分の影響を抑制できる。
【0040】
図5は、第5実施形態のクリーンルームシステム505を示す模式図である。クリーンルームシステム505は部屋3への給排気を行う給排気システム405を備える。給排気システム405は、給排気システム401(
図1)の構成に加え、
図3で説明した第2排気ダクト95を備えるとともに、開閉ダンパ64(
図1)に代えて室圧制御ダンパ96を備える。
【0041】
室圧制御ダンパ96は、第2排気ダクト95を流れる空気の風量調整により部屋3の室圧を制御する。従って、図示の例では排気ファン62の回転速度は一定であり、モータ67は、差圧が設定差圧になるように室圧制御ダンパ96の開度を調整する。
【0042】
室圧制御ダンパ96を備えることで、開度調整によって差圧を制御できる。また、室圧制御ダンパ96を閉にすることで、クリーンルーム33を気密にでき内部を消毒できる。このため、室圧制御ダンパ96を差圧制御用と気密用途に兼用でき、クリーンルームシステム505の設備を簡略化できる。
【0043】
図6は、第6実施形態のクリーンルームシステム506を示す模式図である。クリーンルームシステム506では、部屋3は複数配置され、図示の例では、脱衣室32、クリーンルーム33及びエアロック室34を含む。これらのうち、脱衣室32及びエアロック室34が最も低圧である。なお、脱衣室32及びエアロック室34へは、気密ドア(不図示)を通じ、屋外から立ち入りできる。
【0044】
脱衣室32の、クリーンルーム33の設置側とは反対の側方には、脱衣室32を区画する第1側壁361と、第1側壁361の外側に配置された第2側壁362との間に形成された壁間空間364が配置される。脱衣室32の下部には連通口365が形成され、異物除去フィルタ366が設置される。エアロック室34の、クリーンルーム33の設置側とは反対の側方には、エアロック室34を区画する第1側壁361と、第1側壁361の外側に配置された第2側壁362との間に形成された壁間空間364が配置される。エアロック室34の下部には連通口365が形成され、異物除去フィルタ366が設置される。それぞれの第1側壁361は、脱衣室32又はエアロック室34の一方の側を区画し、第2側壁362はいずれも建屋2の側壁の一部を構成する。脱衣室32及びエアロック室34の他方の側には、クリーンルーム33が配置される。
【0045】
部屋3同士を流れる空気、及び、陽圧の天井裏5から陰圧の部屋3に流入する空気は、図中曲線矢印で示すように、最も低圧の部屋3である脱衣室32及びエアロック室34に集まる。このため、脱衣室32及びエアロック室34に設置された異物除去フィルタ366には、最も異物(塵埃、微生物等)が付着し易い。このため、第2実施形態で説明したように、異物除去フィルタ366の交換作業が高頻度化し易い。そこで、第2実施形態と同様に、異物除去フィルタ366を交換し易いある程度低位置に取り付けることで、フィルタ交換を容易に作業できる。また、第2実施形態で説明したように、揺れ及び振動を抑制しながら異物除去フィルタ366を取り外すことができ、付着した異物の飛散を抑制できる。
【0046】
図7は、第7実施形態のクリーンルームシステム507を示す模式図である。クリーンルームシステム507は部屋3への給排気を行う給排気システム407を備え、給排気システム407は、給排気システム401(
図1)の構成に加え、いずれも
図1で説明した第2給気ダクト41及び調整機構9を備える。更に、給排気システム407は、天井裏5の空気の湿度に関する指標値を測定する湿度指標計103と、天井裏5の温度を測定する温度計104とを備える。湿度指標計103は、例えば、天井裏5の露点温度を測定する露点温度計であるが、例えば天井裏5の湿度を直接測定する湿度計等でもよい。
【0047】
給排気システム407は、調整機構9を制御する制御装置100を備える。制御装置100は、湿度低下部101と、差圧制御部102とを備える。湿度低下部101は、湿度指標計103によって測定した指標値に基づいて天井裏5の湿度を低下させる。湿度低下部101を備えることで、測定した指標値に基づいて天井裏5の湿度を低下でき、天井裏5での結露を抑制できる。
【0048】
湿度低下部101は、測定した指標値に基づいて天井裏5で結露が発生すると判断したときに、天井裏5への給気量を増やすように調整機構9を制御する。このような制御により、天井裏5での結露発生が予測される場合に空調空気の天井裏5への給気量を増やし、天井裏5の湿度を低下させて結露を抑制できる。なお、詳細は後記するが、図示の例では、上記差圧の大変動を抑制しながら給気量を増やすため、湿度低下部101は、調整機構9及び給気ファン13の双方を制御する。
【0049】
差圧制御部102は、差圧計61によって測定した差圧(部屋3と天井裏5との差圧)が所定値未満のときに天井裏5への給気量を増やすように調整機構9を制御する。差圧制御部102を備えることで、差圧を確保できる。
【0050】
制御装置100は、いずれも図示しないが、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、I/F(インターフェイス)等を備えて構成される。そして、制御装置100は、ROMに格納されている所定の制御プログラムがRAMに展開され、CPUによって実行されることにより具現化される。
【0051】
図8は、
図7のクリーンルームシステム507の給排気システム407による給排気制御を示すフローチャートである。
図8では、説明の簡略化のために一例として、湿度指標計103は天井裏5の露点温度を計測する。
図8の説明は、上記の
図7を参照しながら行う。
【0052】
湿度低下部101は、湿度指標計103及び温度計104により、天井裏5の露点温度及び温度を計測する(ステップS1)。湿度低下部101は、天井裏5の露点温度が天井裏5の温度未満であるか否かを判定する(ステップS2)。判定の結果、露点温度が温度未満である場合(Yes)、天井裏5の温度は露点温度以上であり、結露は発生し難いと考えられる。
【0053】
次いで、天井裏5とクリーンルーム33との差圧を確保するため、差圧制御部102は、まず、差圧計61によって天井裏5とクリーンルーム33との差圧を計測する。(ステップS3)。差圧制御部102は、差圧が設定差圧以上であるか否かを判定する(ステップS4)。判定の結果、差圧が設定差圧以上である場合(Yes)、天井裏5が結露し難く、かつ、差圧が十分に確保されているため、
図8のフローが終了する。
【0054】
上記ステップS2において、露点温度が天井裏5の温度未満ではない場合(No)、天井裏5の温度は露点温度を下回っていることから、結露の可能性がある。そこで、湿度低下部101は、給気ファン13の回転速度を上げるとともに、調整機構9の制御により第2給気ダクト41を流れる空気の風量を増やす(ステップS5)。調整機構9の制御により増やす風量は、例えば、給気ファン13の回転速度の上昇に伴い増えた空気の風量分である。これにより、部屋3への給気量を維持して室圧の大変動を抑制しながら、天井裏5への給気量を増加できる。以上の制御により、
図8のフローが終了する。
【0055】
更に、上記ステップS4において、差圧が設定差圧以上ではない、即ち差圧が設定差圧未満である場合(No)、差圧が十分に確保されていない。そこで、差圧制御部102は、給気ファン13の回転速度を維持した状態で、調整機構9の制御により第2給気ダクト41を流れる空気の風量を増やす(ステップS6)。これにより、天井裏5への給気量を増やして天井裏5の圧力が上昇する一方で、部屋3への給気量を減らして部屋3の圧力が低下する。この結果、差圧が大きくなる。次いで、必要に応じて制御器65は、差圧が設定差圧になるように排気ファン62の回転速度制御を行う。以上の制御により、
図8のフローが終了する。
【0056】
図8のフローは、例えば所定時間毎に行うことができる。また、例えば、
図8のフローを所定回数行う毎に、給気ファン13の回転速度及び調整機構9を運転開始直後の状態に戻し、再度運転開始直後の状態から給気ファン13及び調整機構9の制御が行われてもよい。
【0057】
以上のクリーンルームシステム507及び給排気システム407によれば、天井裏5での結露抑制との差圧確保とを両立できる。
【0058】
図9は、第8実施形態のクリーンルームシステム508を示す模式図である。クリーンルームシステム508は部屋3への給排気を行う給排気システム408を備え、給排気システム408は、給排気システム401(
図1)の構成に加え、エア駆動ダンパ55及び圧縮装置52と、これらを接続するチューブ53とを備える。エア駆動ダンパ55は、図示の例では6つ設置される、
【0059】
エア駆動ダンパ55は、駆動ガス(図示の例では外気)の圧力によって開度が調整されるダンパであり、第2給気ダクト41及び第2排気ダクト95を流れる空気の風量を調整する。図示の例では、第2給気ダクト41に備えられるエア駆動ダンパ55は調整機構9(
図1)として機能し、第2排気ダクト95に備えられるエア駆動ダンパ55は室圧制御ダンパ96(
図5)として機能する。なお、エア駆動ダンパ55は、図示の例では、第2給気ダクト41及び第2排気ダクト95(いずれもダクトの一例)に設置されているが、空気が流れる他のダクト(例えば第1給気ダクト4、第1排気ダクト42等)に設置されてもよい。
【0060】
エア駆動ダンパ55は、それぞれ、ダンパ本体部551と、ダンパ本体部551を駆動させる駆動部552とを備える。圧縮装置52は、エア駆動ダンパ55の駆動ガスを圧縮する。圧縮装置52は、例えば屋外に設置される。
【0061】
圧縮装置52と駆動部552とは、圧縮された駆動ガスを駆動部552に供給するチューブ53で接続される。チューブ53は、エア駆動ダンパ55毎に駆動ガスを供給可能にするための例えば複数の開閉弁(不図示)を備える。例えば、天井裏5への直接的な給気量を変更する場合、圧縮装置52で圧縮された駆動ガスを、第2給気ダクト41に備えられるエア駆動ダンパ55の駆動部552に供給する。このとき、第2排気ダクト95に備えられるエア駆動ダンパ55の駆動部552に駆動ガスは供給されない。駆動部552は、駆動ガスの空気圧を利用してダンパ本体部551を駆動させることで開度を調整でき、天井裏5への直接的な給気量を変更できる。これらの制御は、第2排気ダクト95に備えられるエア駆動ダンパ55に対しても同様に適用できる。
【0062】
駆動ガスを用いてエア駆動ダンパ55の開度を調整することで、エア駆動ダンパ55付近で電力を使用せずにエア駆動ダンパ55の開度を調整でき、天井裏5の防爆性を向上できる。特に、図示の例では、電力を消費して駆動する圧縮装置52は屋外に設置されるため、圧縮装置52の防爆性を向上させる必要が無い。このため、圧縮装置52の設置コストを削減できる。
【0063】
図10は、第9実施形態のクリーンルームシステム509を示す模式図である。クリーンルームシステム509は部屋3への給排気を行う給排気システム409を備え、給排気システム409は、給排気システム408(
図9)の構成に加え、天井裏5の空気を圧縮装置52に供給するチューブ54(エア流路の一例)を備える。
【0064】
給排気システム409では、駆動ガスは天井裏5の空気を含む。図示の例では、圧縮装置52はチューブ54に接続され、天井裏5の空気のみを圧縮する。従って、エア駆動ダンパ55は、圧縮された天井裏5の空気を駆動ガスとして用いることで駆動する。天井裏5の空気は空調機1で空調された空気であるため、湿度が低い。このため、圧縮装置52による圧縮時にドレン水の生成量を減らすことができる。また、天井裏5の空気の清浄度が高いため、圧縮装置52への異物の接触を抑制でき、圧縮装置52の耐久性を向上できる。
【0065】
図11は、第10実施形態のクリーンルームシステム510を示す模式図である。クリーンルームシステム510は部屋3への給排気を行う給排気システム410を備え、給排気システム410は、給排気を行う部屋3の数が異なること以外は、給排気システム401(
図1)と同様である。
【0066】
クリーンルームシステム510では、クリーンルーム33の両隣には脱衣室32(
図1)及びエアロック室34(
図1)は設置されていない。なお、クリーンルーム33へは、気密ドア(不図示)を通じ、屋外及び建屋2の内部から立ち入りできる。脱衣室32及びエアロック室34の不設置により、建屋2の側壁23とクリーンルーム33の側壁36との間の壁間空間56は、天井裏5と連通して陽圧である。従って、陽圧の天井裏5及び空間56により構成される拡張天井裏空間57の容積は、天井裏5のみの容積よりも大きい。このため、クリーンルーム33で生成し、天井裏5に排気された排気成分は、天井裏5を含む拡張天井裏空間57で十分に希釈され、希釈された成分を含む空気が排気口21から屋外に排気される。これにより、排気ガス中の当該成分の濃度を低下できる。
【0067】
図12は、第11実施形態のクリーンルームシステム511を示す模式図である。クリーンルームシステム511は部屋3への給排気を行う給排気システム411を備え、給排気システム411は、給排気システム401(
図1)に加え、戻りダクト58及び定風量制御装置59を備える。戻りダクト58は、天井裏5の空気の一部を空調機1の空気流れで上流側に戻す。定風量制御装置59は、戻りダクト58を流れる空気を一定量に制御する。定風量制御装置59は、具体的には例えば、還気可能な空気(天井裏5の空気)の例えば0~90体積%、好ましくは0~80体積%、より好ましくは0~70体積%を定風量で流すように制御される。
【0068】
クリーンルームシステム511では、クリーンルームシステム501(
図1)と同様に、天井裏5は排気口21により屋外と連通するため、排気成分の高濃度化を抑制できる。一方で、戻りダクト58を備えることで、排気成分の高濃度化に影響しない程度の量の空調空気を天井裏5から空調機1に戻し、再度空調できるため、空調機1の消費エネルギを削減できる。従って、排気成分の高濃度化の抑制と空調機1の消費エネルギの削減とを両立できる。
【符号の説明】
【0069】
1 空調機
10 異物除去フィルタ
100 制御装置
101 湿度低下部
102 差圧制御部
103 湿度指標計
104 温度計
11 異物除去フィルタ
12 熱交換コイル
13 給気ファン
16 気密ドア
2 建屋
21 排気口
22 閉塞部材
23 側壁
3 部屋
31 エアロック室
32 脱衣室
33 クリーンルーム
34 エアロック室
35 前室
36 側壁
361 第1側壁
362 第2側壁
363 二重壁
364 壁間空間
365 連通口
366 異物除去フィルタ
4 第1給気ダクト
401,403,404,405,407,408,409,410,411 給排気システム
41 第2給気ダクト(ダクト)
42 第1排気ダクト
5 天井裏
501,502,503,504,505,505,506,507,508,509,510,511 クリーンルームシステム
51 除去装置
52 圧縮装置
53,54 チューブ
55 エア駆動ダンパ
551 ダンパ本体部
552 駆動部
56 壁間空間
57 拡張天井裏空間
58 戻りダクト
59 定風量制御装置
6 排気装置
61 差圧計
62 排気ファン
63 異物除去フィルタ
64 開閉ダンパ
65 制御器
66 排気ファン
67 モータ
8 定風量制御装置
9 調整機構
90 差圧制御ダンパ
91 モータ
92 切替機構
921,923 開閉ダンパ
922,924 モータ
95 第2排気ダクト(ダクト)
96 室圧制御ダンパ