(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240521BHJP
H01M 10/655 20140101ALI20240521BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20240521BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20240521BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20240521BHJP
H01G 11/76 20130101ALI20240521BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/522 20210101ALI20240521BHJP
H01M 4/64 20060101ALI20240521BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240521BHJP
H01M 50/184 20210101ALN20240521BHJP
H01M 10/30 20060101ALN20240521BHJP
H01M 50/557 20210101ALN20240521BHJP
H01M 50/517 20210101ALN20240521BHJP
H01M 50/209 20210101ALN20240521BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/655
H01M10/6567
H01M4/02 Z
H01G11/12
H01G11/76
H01M50/262 Z
H01M50/204 401H
H01M50/503
H01M50/51
H01M50/522
H01M4/64 A
H01M50/548 101
H01M50/184 A
H01M10/30 Z
H01M50/557
H01M50/517
H01M50/209
(21)【出願番号】P 2020141659
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【氏名又は名称】中山 浩光
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 賢志
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】飯田 純一
(72)【発明者】
【氏名】大井手 竜二
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061270(JP,A)
【文献】特開2020-024871(JP,A)
【文献】特開2019-185927(JP,A)
【文献】国際公開第2018/142919(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
H01M 4/00- 4/62
H01G11/00-11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電モジュールと、第1方向において前記蓄電モジュールに積層される導電板と、を備え、前記蓄電モジュールと前記導電板とが前記第1方向に沿った拘束荷重を受ける蓄電装置であって、
前記蓄電モジュールは、
前記第1方向において互いに積層される複数の集電板を有する電極積層体と、
前記電極積層体の側面を囲むように設けられる封止体と、を有し、
前記複数の集電板は、
負極終端電極に含まれる第1集電板と、
正極終端電極に含まれる第2集電板と、
前記負極終端電極及び前記正極終端電極の間に設けられるバイポーラ電極に含まれる第3集電板と、を有し、
前記正極終端電極と、前記負極終端電極と、前記バイポーラ電極との少なくとも一つは、前記第1方向に直交する第2方向に配列される複数の溝を含む活物質層を有し、
前記複数の溝のそれぞれは、前記第1方向から見て前記第2方向に交差する第3方向に延在し、
前記導電板は、前記第1方向に窪むと共に前記第2方向に延在する複数の凹部を含む外表面を有し、
前記電極積層体の積層端に配置される集電板は、前記封止体から露出すると共に、前記導電板の前記外表面に接する露出面を有し、
前記露出面は、前記第1方向において前記活物質層に重なる複数の凸部を有し、
前記複数の凸部は、前記第1方向に突出すると共に前記第3方向に延在する、
蓄電装置。
【請求項2】
前記導電板は、導電材料の押出成形体であり、
前記複数の凹部は、前記外表面に設けられると共に、前記導電材料の押出方向に沿って延在する窪みを含む、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記導電板は、
前記外表面を有する第1主板部と、
前記第1方向において前記第1主板部に重なる第2主板部と、
前記第2方向における前記外表面の一端から他端まで延在し、前記第3方向に配列されると共に、前記第1主板部及び前記第2主板部をつなぐ複数の隔壁部と、を有し、
前記第1主板部と、前記第2主板部と、前記複数の隔壁部とによって、複数の貫通孔が設けられ、
前記複数の凹部のそれぞれは、
前記第1方向において前記複数の隔壁部に重ならず、
前記第1主板部のうち、前記複数の隔壁部に含まれる隣り合う2つの隔壁部の間に位置する撓みを含み、
前記撓みは、前記第1方向において前記第2主板部に向かうように撓む、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記外表面は、前記外表面に設けられると共に前記複数の凹部の少なくとも一部に交差する第2窪みをさらに含み、
前記導電板は、
前記外表面を有する第1主板部と、
前記第1方向において前記第1主板部に重なる第2主板部と、
前記第2方向における前記外表面の一端から他端まで延在し、前記第3方向に配列されると共に、前記第1主板部及び前記第2主板部をつなぐ複数の隔壁部と、を有し、
前記第1主板部と、前記第2主板部と、前記複数の隔壁部とによって、複数の貫通孔が設けられ、
前記複数の凹部のそれぞれは、
前記第1方向において前記複数の隔壁部に重ならず、
前記第1主板部のうち、前記複数の隔壁部に含まれる隣り合う2つの隔壁部の間に位置する撓みを含み、
前記撓みは、前記第1方向において前記第2主板部に向かうように撓む、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1方向において前記導電板を介して前記蓄電モジュールの反対側に位置すると共に、前記第2主板部に接する別の蓄電モジュールをさらに備え、
前記第2方向から見て、前記複数の貫通孔は、前記蓄電モジュールの前記封止体と、前記別の蓄電モジュールに含まれる別の封止体との隙間から露出しており、
前記第1方向における前記貫通孔の一端から他端までの径は、前記第1方向における前記隙間の間隔以上である、
請求項3又は4に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記露出面は、粗化面である、請求項1~5のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記露出面を有する前記集電板は、前記第1集電板もしくは前記第2集電板である、請求項1~6のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の蓄電モジュールとして、集電体の一方面に正極層が形成され、他方面に負極層が形成されたバイポーラ電極を備える電池モジュールが知られている。下記特許文献1には、積層された複数のバイポーラ電極を有する複数個のバイポーラ電池と、当該複数個のバイポーラ電池を挟み込んで保持する一対の保持板とを備える電池モジュールが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような蓄電モジュールを用いて組電池を製造する場合、隣り合う蓄電モジュール同士の間に導電板等が配置されることがある。この場合、上記組電池に対して外部から衝撃が加わることによって、蓄電モジュールと導電板との位置ずれが互いにずれることがある。これにより、蓄電モジュールと導電板との接触面積が低下すると、上記組電池の電池特性が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、蓄電モジュールと導電板とが積層された蓄電装置において、蓄電モジュールと導電板との位置ずれによる電池特性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る蓄電装置は、蓄電モジュールと、第1方向において蓄電モジュールに積層される導電板と、を備え、蓄電モジュールと導電板とが第1方向に沿った拘束荷重を受ける蓄電装置である。蓄電モジュールは、第1方向において互いに積層される複数の集電板を有する電極積層体と、電極積層体の側面を囲むように設けられる封止体と、を有し、複数の集電板は、負極終端電極に含まれる第1集電板と、正極終端電極に含まれる第2集電板と、負極終端電極及び正極終端電極の間に設けられるバイポーラ電極に含まれる第3集電板と、を有し、正極終端電極と、負極終端電極と、バイポーラ電極との少なくとも一つは、第1方向に直交する第2方向に配列される複数の溝を含む活物質層を有し、複数の溝のそれぞれは、第1方向から見て第2方向に交差する第3方向に延在し、導電板は、第1方向に窪むと共に第2方向に延在する複数の凹部を含む外表面を有し、電極積層体の積層端に配置される集電板は、封止体から露出すると共に、導電板の外表面に接する露出面を有し、露出面は、第1方向において活物質層に重なる複数の凸部を有し、複数の凸部は、第1方向に突出すると共に第3方向に延在する。
【0007】
この蓄電装置では、導電板は、第1方向において蓄電モジュールに積層されており、且つ、第2方向に延在する複数の凹部を含む外表面を有する。また、電極積層体の積層端に配置される集電板は、導電板の上記外表面に接する露出面を有する。当該露出面は、第1方向に突出すると共に第3方向に延在する複数の凸部を有する。このため、外表面に含まれる複数の凹部と、露出面に含まれる複数の凸部とは、第1方向から見て互いに交差している。これにより、例えば蓄電装置が振動したとき、複数の凹部と複数の凸部とが互いにぶつかり合うことによって良好な摩擦力が発生する。よって、蓄電装置に対して外部から衝撃が加わった場合であっても、導電板が蓄電モジュールに対して滑りにくくなる。したがって本開示の一側面によれば、蓄電モジュールと導電板との位置ずれによる電池特性の低下を抑制可能な蓄電装置を提供できる。
【0008】
導電板は、導電材料の押出成形体であり、複数の凹部は、外表面に設けられると共に、導電材料の押出方向に沿って延在する窪みを含んでもよい。この場合、外表面における粗さが大きくなるので、外表面と露出面との摩擦力が高くなる。
【0009】
導電板は、外表面を有する第1主板部と、第1方向において第1主板部に重なる第2主板部と、第2方向における外表面の一端から他端まで延在し、第3方向に配列されると共に、第1主板部及び第2主板部をつなぐ複数の隔壁部と、を有し、第1主板部と、第2主板部と、複数の隔壁部とによって、複数の貫通孔が設けられ、複数の凹部のそれぞれは、第1方向において複数の隔壁部に重ならず、第1主板部のうち、複数の隔壁部に含まれる隣り合う2つの隔壁部の間に位置する撓みを含み、撓みは、第1方向において第2主板部に向かうように撓んでもよい。この場合、各撓みは、対応する貫通孔に重なるように設けられる。例えば、各貫通孔を冷却用流体のための流路とする場合、複数の凸部が延在する方向と複数の凹部が延在する方向とが揃っているときと比較して、各流路が凸部に接触する面積のばらつきが小さくなる。このため、各貫通孔の冷却性能のばらつきを低減できる。
【0010】
外表面は、外表面に設けられると共に複数の凹部の少なくとも一部に交差する第2窪みをさらに含み、導電板は、外表面を有する第1主板部と、第1方向において第1主板部に重なる第2主板部と、第2方向における外表面の一端から他端まで延在し、第3方向に配列されると共に、第1主板部及び第2主板部をつなぐ複数の隔壁部と、を有し、第1主板部と、第2主板部と、複数の隔壁部とによって、複数の貫通孔が設けられ、複数の凹部のそれぞれは、第1方向において複数の隔壁部に重ならず、第1主板部のうち、複数の隔壁部に含まれる隣り合う2つの隔壁部の間に位置する撓みを含み、撓みは、第1方向において第2主板部に向かうように撓んでもよい。この場合、外表面における粗さが大きくなるので、外表面と露出面との摩擦力が高くなる。加えて、各撓みは、対応する貫通孔に重なるように設けられる。例えば、各貫通孔を冷却用流体のための流路とする場合、複数の凸部が延在する方向と複数の凹部が延在する方向とが揃っているときと比較して、各流路が露出面に接触する面積のばらつきが小さくなる。このため、各貫通孔の冷却性能のばらつきを低減できる。
【0011】
上記蓄電装置は、第1方向において導電板を介して蓄電モジュールの反対側に位置すると共に、第2主板部に接する別の蓄電モジュールをさらに備え、第2方向から見て、複数の貫通孔は、蓄電モジュールの封止体と、別の蓄電モジュールに含まれる別の封止体との隙間から露出しており、第1方向における貫通孔の一端から他端までの径は、第1方向における隙間の間隔以上でもよい。この場合、例えば封止体と別の封止体との隙間を介して貫通孔に冷却用流体が流れるとき、当該隙間と貫通孔との間における冷却用流体の圧力損失を低減できる。
【0012】
露出面は、粗化面でもよい。この場合、露出面における粗さが大きくなるので、露出面と外表面との摩擦力が高くなる。
【0013】
露出面を有する集電板は、第1集電板もしくは第2集電板でもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示の一側面によれば、蓄電モジュールと導電板とが積層された蓄電装置において、蓄電モジュールと導電板との位置ずれによる電池特性の低下を抑制可能な蓄電装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、蓄電装置の一例を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、蓄電モジュールの内部構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、バイポーラ電極を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、蓄電モジュール及び蓄電モジュール上の導電板を示す平面図である。
【
図5】
図5(a),(b)は、導電板の板状部材の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5(a)に示されるVI-VI線に沿った拡大断面図である。
【
図7】
図7は、モジュール積層体の一部を拡大した概略断面図である。
【
図8】
図8は、シール部材が設けられる位置を説明するための平面図である。
【
図9】
図9は、蓄電モジュールの一部と導電板の一部とを示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本開示の一側面に係る実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0017】
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の一例を示す概略断面図である。
図1に示す蓄電装置1は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、及び電気自動車などの各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置1は、積層された複数の蓄電モジュール4を含むモジュール積層体2と、モジュール積層体2に対してモジュール積層体2の積層方向に拘束荷重を付加する拘束部材3とを備えている。以下の説明では、モジュール積層体2の積層方向をZ方向(第1方向)とし、積層方向に直交する方向をそれぞれX方向(第3方向)及びY方向(第2方向)とする。
【0018】
モジュール積層体2は、蓄電モジュール4と、蓄電モジュール4に積層配置された導電板5と、検出素子70(
図4参照)と、シール部材80(
図8参照)と、を含む。検出素子70及びシール部材80については、後述する。本実施形態では、モジュール積層体2は、複数の蓄電モジュール4と、複数の導電板5とを含む。蓄電モジュール4の数は、例えば、5であり、導電板5の数は、例えば、4である。蓄電モジュール4は、バイポーラ電池であり、Z方向から見て矩形状を呈する。蓄電モジュール4は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などの二次電池、又は電気二重層キャパシタである。以下の説明では、蓄電モジュール4としてニッケル水素二次電池を例示する。
【0019】
複数の蓄電モジュール4は、導電板5を介してZ方向に沿って積層されており、Z方向において電気的に直列に接続されている。導電板5は、例えば金属などの導電材料からなる板状部材である。導電板5の材料としては、例えばアルミニウムが挙げられる。導電板5の表面には、例えばニッケルなどのめっき層が形成されていてもよい。
図1に示す例では、Z方向から見た導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積よりも小さくなっているが、これに限られない。例えば、放熱性の向上の観点から、導電板5の面積は、蓄電モジュール4の面積と同一であってもよく、蓄電モジュール4の面積よりも大きくてもよい。
【0020】
複数の導電板5は、Z方向で隣り合う蓄電モジュール4間に配置された複数(本実施形態では2つ)の導電板5Aと、モジュール積層体2の積層端に位置する複数(本実施形態では2つ)の導電板5Bとによって構成されている。互いに隣り合う蓄電モジュール4同士は、導電板5Aを介して電気的に接続されている。導電板5Bの外側には、絶縁板Bが配置されている。一方の導電板5Bには負極端子7が接続されており、他方の導電板5Bには正極端子6が接続されている。正極端子6及び負極端子7のそれぞれは、例えば導電板5Bの縁部からX方向に引き出されている。
【0021】
蓄電モジュール4間に配置された導電板5Aの内部には、空気などの冷却用流体F(
図4及び
図5(a),(b)参照)を流通させる複数の貫通孔(流路)5aが設けられている。複数の貫通孔5aは、蓄電モジュール4を冷却するための冷却機構を構成する。導電板5Aは、互いに隣り合う蓄電モジュール4同士を電気的に接続する接続部材としての機能を有する。加えて、導電板5Aは、蓄電モジュール4からの熱を放熱する放熱板としての機能を有している。具体的には、導電板5Aは、蓄電モジュール4から伝わった熱を、複数の貫通孔5aを通過する冷却用流体Fに伝えることによって、放熱板としての機能を示す。
【0022】
拘束部材3は、モジュール積層体2をZ方向に挟む一対のエンドプレート8と、エンドプレート8同士を締結する締結ボルト9及びナット10とによって構成されている。エンドプレート8は、Z方向から見て矩形状を呈し、且つ、蓄電モジュール4、導電板5、及び導電板5Bの面積よりも一回り大きい面積を有する導電性の板状部材である。エンドプレート8と導電板5Bとの間には、電気絶縁性を有する絶縁板Bが設けられている。この絶縁板Bにより、エンドプレート8と導電板5Bとの間が絶縁されている。
【0023】
エンドプレート8の縁部には、モジュール積層体2よりも外側となる位置に挿通孔8aが設けられている。締結ボルト9は、一方のエンドプレート8の挿通孔8aから他方のエンドプレート8の挿通孔8aに向かって通されている。他方のエンドプレート8の挿通孔8aから突出した締結ボルト9の先端部分には、ナット10が螺合されている。これにより、蓄電モジュール4、導電板5A、及び導電板5Bがエンドプレート8によって挟持され、モジュール積層体2としてユニット化されている。また、モジュール積層体2(すなわち、蓄電モジュール4及び導電板5)に対してZ方向に拘束荷重が付加されている。
【0024】
次に、蓄電モジュール4の構成について詳細に説明する。
図2は、蓄電モジュールの内部構成を示す断面図である。
図2に示されるように、蓄電モジュール4は、電極積層体11と、電極積層体11を封止する樹脂製の封止体12とを備えている。蓄電モジュール4は、例えば、直方体形状に形成されている。本実施形態では、Z方向から見て、X方向に沿った蓄電モジュール4の寸法は、Y方向に沿った蓄電モジュール4の寸法よりも長い。
【0025】
電極積層体11は、セパレータ13を介して積層方向において互いに積層される複数の電極と、電極積層体11の積層端に配置された集電板20A,20Bと、を含む。複数の電極は、複数のバイポーラ電極14の積層体と、負極終端電極18と、正極終端電極19とを含む。複数のバイポーラ電極14の積層体は、負極終端電極18と正極終端電極19との間に設けられている。
【0026】
バイポーラ電極14は、一方面15a及び一方面15aの反対側の他方面15bを含む集電板15(第3集電板)と、一方面15aに設けられた正極16と、他方面15bに設けられた負極17とを有している。正極16は、正極活物質が集電板15に塗工されることにより形成される正極活物質層である。負極17は、負極活物質が集電板15に塗工されることにより形成される負極活物質層である。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の正極16は、セパレータ13を挟んでZ方向の一方に隣り合う別のバイポーラ電極14の負極17と対向している。電極積層体11において、一のバイポーラ電極14の負極17は、セパレータ13を挟んでZ方向の他方に隣り合う別のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0027】
図3は、バイポーラ電極を示す概略斜視図である。
図3に示されるように、集電板15の一方面15a上に正極16が設けられる。正極16は、Y方向に配列されると共に、X方向に延在する複数の溝16aを含む。複数の溝16aのそれぞれは、X方向における集電板15の一端側から他端側に延在しており、電解液の流路となる。溝16aは、直線状に延在してもよいし、波線状に延在してもよいし、曲線状に延在してもよい。本実施形態では、複数の溝16aのそれぞれの底は、集電板15の一方面15aによって形成される。このため、正極16を構成する正極活物質層は、複数の溝16aによって3つに分けられるが、特に限定されない。例えば、蓄電モジュール4への電解液の注液の精度等の観点から、正極活物質層は、一方面15a上に5つ以上に分けられてよい。もしくは、複数の溝16aのそれぞれの底は、正極活物質層によって形成されてもよい。この場合、正極16は、複数の溝16aによって区画される複数の領域を有する。このような正極16が設けられることによって、集電板の一方面15a上には、正極16に起因する凹凸が、Y方向に沿って形成される。Z方向から見て、複数のバイポーラ電極14のそれぞれにおける正極16の位置は、同一もしくはほぼ同一である。正極16は、Z方向において負極17に完全に重なる。
【0028】
負極終端電極18は、集電板15(第1集電板)と、集電板15の他方面15bに設けられた負極17とを有している。負極終端電極18に設けられる負極17の形状及び数は、バイポーラ電極14に設けられる負極17の形状及び数に等しい。負極終端電極18は、他方面15bが電極積層体11におけるZ方向の中央側を向くように、Z方向の一端側に配置されている。負極終端電極18の集電板15の一方面15aには、集電板20Aが更に積層され、この集電板20Aを介して蓄電モジュール4に隣接する一方の導電板5(
図1参照)と電気的に接続されている。負極終端電極18の集電板15の他方面15bに設けられた負極17は、セパレータ13を介して、Z方向の一端のバイポーラ電極14の正極16と対向している。
【0029】
正極終端電極19は、集電板15(第2集電板)と、集電板15の一方面15aに設けられた正極16とを有している。正極終端電極19に設けられる正極16の形状は、バイポーラ電極14に設けられる正極16の形状に等しい。よって本実施形態では、正極終端電極19に設けられる正極16は、複数の溝16aと、複数に分けられた正極活物質層とを有する。正極終端電極19は、一方面15aが電極積層体11におけるZ方向の中央側を向くように、Z方向の他端側に配置されている。正極終端電極19の集電板15の他方面15bには、集電板20Bが更に積層され、この集電板20Bを介して蓄電モジュール4に隣接する他方の導電板5(
図1参照)と電気的に接続されている。正極終端電極19の集電板15の一方面15aに設けられた正極16は、セパレータ13を介して、Z方向の他端のバイポーラ電極14の負極17と対向している。
【0030】
集電板15は、例えば、ニッケル板やニッケルメッキ鋼板といった金属板である。一例として、集電板15は、ニッケルからなる矩形の金属箔である。各集電板15は、いずれも電極積層体11に含まれる集電板の一つである。集電板15の縁部15cは、矩形枠状をなし、正極活物質及び負極活物質が塗工されない未塗工領域となっている。正極16を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極17を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。本実施形態では、集電板15の他方面15bにおける負極17の形成領域は、集電板15の一方面15aにおける正極16の形成領域に対して一回り大きくなっている。電極積層体11は、積層方向において互いに積層される複数の集電板15,20A,20Bを有する。
【0031】
セパレータ13は、対向する正極16と負極17とを隔離して両極の接触による短絡を防止しつつ、電荷担体を通過させる部材であり、例えばシート状に形成されている。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。セパレータ13は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ13は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0032】
集電板20A,20Bは、集電板15と実質的に同一の部材であり、例えばニッケル板やニッケルメッキ鋼板といった金属板である。集電板20A,20Bは、いずれも電極積層体11に含まれる集電板の一つである。一例として、集電板20A,20Bは、ニッケルからなる矩形の金属箔である。集電板20A,20Bは、一方面20a及び他方面20bに正極活物質層及び負極活物質層のいずれもが塗工されていない未塗工電極となっている。
【0033】
集電板20A(第4集電板)は、電極積層体11の一方の積層端に位置する集電体である。換言すると、集電板20Aは、電極積層体11の一端部を構成する。集電板20Aにより、負極終端電極18は、Z方向に沿って集電板20Aとバイポーラ電極14との間に配置された状態となっている。集電板20Bは、電極積層体11の他方の積層端に位置している。集電板20Bにより、正極終端電極19は、Z方向に沿って集電板20Bとバイポーラ電極14との間に配置された状態となっている。
【0034】
封止体12は、例えば絶縁性の樹脂によって、全体として矩形の筒状に形成されている。封止体12は、電極積層体11の側面11aを囲むように設けられている。封止体12は、側面11aにおいて縁部15cを保持している。封止体12は、電極積層体11に含まれる集電板の縁部(すなわち、集電板15の縁部15c及び集電板20A,20Bの縁部20c)にそれぞれ設けられる枠状の複数の第1封止部21(複数の枠体)と、側面11aに沿って第1封止部21を外側から包囲し、第1封止部21のそれぞれに結合された第2封止部22とを有している。第1封止部21及び第2封止部22は、例えば、耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂から構成される。当該樹脂は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などである。
【0035】
第1封止部21は、集電板15の縁部15c又は集電板20A,20Bの縁部20cの全周にわたって連続的に設けられ、Z方向から見て矩形枠状を呈する。第1封止部21は、例えば超音波又は熱によって集電板15の縁部15c又は集電板20A,20Bの縁部20cに溶着され、気密に接合されている。第1封止部21は、集電板15又は集電板20A,20Bの縁よりも外側に張り出した外側部分21aと、集電板15又は集電板20A,20Bの縁よりも内側に位置する内側部分21bと、を含む。第1封止部21の外側部分21aの先端部(外縁部)には、溶着層23が設けられている。第1封止部21は、溶着層23を介して第2封止部22に接合されている。溶着層23は、例えば熱板溶着、超音波溶着、赤外線溶着などの種々の溶着方法により溶融された第1封止部21の先端部同士が互いに結合して形成される。
【0036】
複数の第1封止部21は、バイポーラ電極14及び正極終端電極19に設けられた複数の第1封止部21Aと、負極終端電極18に設けられた第1封止部21Bと、集電板20Aに設けられた第1封止部21Cと、集電板20Bに設けられた第1封止部21D,21Eと、を有している。
【0037】
第1封止部21Aは、バイポーラ電極14及び正極終端電極19の集電板15の一方面15aに接合されている。第1封止部21Aの内側部分21bは、Z方向に互いに隣り合う集電板15の縁部15c同士の間に位置している。Z方向から見て集電板15の一方面15aにおける縁部15cと、第1封止部21Aとが重なる領域は、集電板15と第1封止部21Aとの結合領域となっている。
【0038】
本実施形態では、第1封止部21Aは、1枚のフィルムが二つに折りたたまれることによって形成される二層構造を有する。第2封止部22に接合されている第1封止部21Aの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部21Aを構成する一層目のフィルムは、一方面15aに接合されている。二層目のフィルムの内縁は、一層目のフィルムの内縁よりも外側に位置し、セパレータ13が載置される段差部を形成している。二層目のフィルムの内縁は、集電板15の縁よりも内側に位置している。
【0039】
第1封止部21Bは、負極終端電極18の集電板15の一方面15aに接合されている。第1封止部21Bの内側部分21bは、Z方向に互いに隣り合う負極終端電極18の集電板15の縁部15cと、集電板20Aの縁部20cとの間に位置している。集電板15の一方面15aにおける縁部15cと、第1封止部21Bの内側部分21bとが重なる領域は、集電板15と第1封止部21Bとの結合領域となっている。第1封止部21Bは、集電板20Aの他方面20bにも接合されている。集電板20Aの他方面20bにおける縁部20cと、第1封止部21Bとが重なる領域は、集電板20Aと第1封止部21Bとの結合領域となっている。本実施形態では、第1封止部21Bは、集電板20Aの他方面20bにおける縁部20cにも接合されている。
【0040】
第1封止部21Cは、集電板20Aの一方面20aに接合されている。本実施形態では、第1封止部21Cは、複数の第1封止部21のうち、Z方向の最も一端側に位置する。集電板20Aの一方面20aにおける縁部20cと、第1封止部21Cとが重なる領域は、集電板20Aと第1封止部21Cとの結合領域となっている。
【0041】
本実施形態では、第2封止部22に接合されている第1封止部21B,21Cの外縁部同士は連続している。すなわち、第1封止部21B,21Cは、1枚のフィルムが集電板20Aの縁部20cを挟んで二つに折りたたまれることによって形成されている。第1封止部21B,21Cの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部21B,21Cを構成するフィルムは、集電板20Aの一方面20a及び他方面20bの両方において縁部20cと接合されている。このように、集電板20Aの両面を第1封止部21B,21Cと接合することで、いわゆるアルカリクリープ現象による電解液の滲み出しを抑制することができる。
【0042】
第1封止部21Dは、集電板20Bの一方面20aに接合されている。第1封止部21Dの内側部分21bは、Z方向に互いに隣り合う正極終端電極19の集電板15の縁部15cと、集電板20Bの縁部20cとの間に位置している。集電板20Bの一方面20aにおける縁部20cと、第1封止部21Dとが重なる領域は、集電板20Bと第1封止部21Dとの結合領域となっている。
【0043】
第1封止部21Eは、集電板20Bの他方面20bにおける縁部20cに配置されている。本実施形態では、第1封止部21Eは、複数の第1封止部21のうち、Z方向の最も他端側に位置する。また、本実施形態では、第1封止部21Eは、集電板20Bに接合されていない。
【0044】
積層端に位置する集電板20Aは、第1封止部21から露出する露出面20dを有している。本実施形態では、集電板20Aの一方面20aの中央領域は、第1封止部21Cから露出する露出面20dに相当する。集電板20Bの他方面20bは、第1封止部21Eから露出する露出面20dを有している。露出面20dは、導電板5の一方面5f(
図4参照)と接触(当接)し電気的に接続された接触領域と、導電板5と接触(当接)しない非接触領域とを有する。
【0045】
本実施形態では、第2封止部22に接合されている第1封止部21D,21Eの外縁部同士は連続している。すなわち、第1封止部21D,21Eは、1枚のフィルムが集電板20Bの縁部20cを挟んで二つに折りたたまれることにより形成されている。第1封止部21D,21Eの外縁部は、フィルムの折り返し部(屈曲部)である。第1封止部21D,21Eを構成するフィルムは、集電板20Bの一方面20aにおいて縁部20cと接合されている。
【0046】
集電板20A,20Bのそれぞれは、Z方向においてバイポーラ電極14と正極終端電極19とのそれぞれに設けられる正極16に重なっている。また上述したように、電極積層体11では、電極積層体11の上記中央領域が、その周りの領域に比べてZ方向に膨らんでいる。このとき、集電板20A,20Bの少なくとも一方の露出面20dには、Z方向に積層される正極16に起因した凹凸が設けられる。すなわち、集電板20Aの露出面20d、及び集電板20Bの露出面20dの少なくとも一方は、X方向に延在すると共に正極活物質層に重なる複数の凸部91(
図9参照)を有する。複数の凸部91は、露出面20dに設けられる凹凸(第1凹凸)の一部であり、Z方向に突出し、Y方向において配列し、且つ、互いに離間する。Z方向に沿った各凸部91の突出量は、特に限定されないが、例えば正極16の厚さ以上である。
【0047】
結合領域において、集電板15,20A,20Bの表面は、粗面化されている。粗面化された領域は、結合領域のみでもよいが、本実施形態では集電板15の一方面15aの全体が粗面化されている。また、集電板20Aの一方面20a及び他方面20bの全体が粗面化されている。また、集電板20Bの一方面20aの全体が粗面化されている。例えば、集電板20Aの一方面20aに含まれる露出面20dは、複数の突起状めっきが形成されることによって粗面化してもよく、ラビング処理等が施されることによって粗面化してもよい。このため、露出面20dには、凸部91に起因した凹凸に加えて、上記複数の突起状めっきに起因する凹凸が設けられる。
【0048】
集電板20Aの粗面化は、例えば、集電板を電解メッキ処理して、その表面に複数の微細突起を形成することにより実現し得る。結合領域に複数の微細突起が形成されることにより、結合領域における集電板15A,20A,20Bのそれぞれと第1封止部21との接合界面では、接合工程で溶融状態となった樹脂が粗面化により形成された複数の微細突起間に入り込む。そして、当該樹脂は、複数の微細突起間に入り込んだ状態のまま樹脂が冷えて固まっている。このため、アンカー効果が発揮されて樹脂製の第1封止部21が集電板15A,20A,20Bのそれぞれから剥離することが抑制される。これにより、集電板15,20A,20Bと第1封止部21との間の結合強度を向上させることができる。粗面化の際に形成される突起は、例えば基端側から先端側に向かって先太りとなる形状を有している。これにより、隣り合う突起の間の断面形状がアンダーカット形状となり、アンカー効果を高めることが可能となる。加えて、露出面20dの接触領域20eと、当該接触領域20eに接触する導電板5との間の摩擦力が増大される。例えば、集電板20Aの露出面20dと導電板5との静止摩擦係数は、約0.5もしくはそれ以上になる。
【0049】
第2封止部22は、電極積層体11の側面11aを囲むように電極積層体11及び第1封止部21の外側に設けられ、蓄電モジュール4の外壁(筐体)を構成している。第2封止部22は、例えば樹脂の射出成形によって形成され、Z方向に沿って電極積層体11の全長にわたって延在している。第2封止部22は、Z方向を軸方向として延在する矩形の枠状を呈している。第2封止部22は、例えば射出成形時の熱によって溶融した第1封止部21の一部と相溶して一体化されている。
【0050】
封止体12は、隣り合う電極の間に内部空間Vを形成すると共に内部空間Vを封止する。より具体的には、第2封止部22は、第1封止部21と共に、Z方向に沿って互いに隣り合うバイポーラ電極14の間、Z方向に沿って互いに隣り合う負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及びZ方向に沿って互いに隣り合う正極終端電極19とバイポーラ電極14との間をそれぞれ封止している。これにより、隣り合うバイポーラ電極14の間、負極終端電極18とバイポーラ電極14との間、及び正極終端電極19とバイポーラ電極14との間には、それぞれ気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。この内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液を含む電解液(不図示)が収容されている。電解液は、セパレータ13、正極16、及び負極17内に含浸されている。封止体12は、集電板20Aと負極終端電極18との間、及び集電板20Bと正極終端電極19との間もそれぞれ封止している。
【0051】
次に、前述した導電板5の詳細な構成について説明する。
図4は、蓄電モジュール4及び蓄電モジュール4上の導電板5Aを示す平面図である。
図4に示されるように、導電板5Aは、Z方向から見て(すなわち平面視において)、蓄電モジュール4の平面形状よりも一回り小さい面積を有する矩形状をなしている。導電板5Aは、第2封止部22の枠内に位置している。本実施形態では、導電板5Aは、一対の長辺5b及び長辺5cと一対の短辺5d及び短辺5eとを含む長方形状をなしている。一対の長辺5b及び長辺5cは、X方向に沿って延在しており、Y方向において互いに対向している。一対の短辺5d及び短辺5eは、Y方向に沿って延在しており、X方向において互いに対向している。
【0052】
本実施形態では、一対の長辺5b及び長辺5cと一対の短辺5d及び短辺5eは、導電板5Aの外縁を構成している。一対の長辺5b及び長辺5cは、Z方向から見て、第1封止部21と重なっている。一対の短辺5d及び短辺5eは、Z方向から見て、第1封止部21と重なっていない。Z方向から見て、一対の短辺5d及び短辺5e側に配置された第1封止部21は、一対の長辺5b及び長辺5c側に配置された第1封止部21よりも内側まで設けられている。一対の短辺5d及び短辺5e側に配置された第1封止部21のX方向の長さは、一対の長辺5b及び長辺5c側に配置された第1封止部21のY方向の長さよりも長い。
【0053】
導電板5Aは、厚さ方向(Z方向)の一方面5fと、他方面5gとを更に含む。一方面5fは、Z方向の一方側で隣り合う蓄電モジュール4の積層端に配置された集電板20Bと当接する外表面である。他方面5gは、Z方向の他方側で隣り合う蓄電モジュール4の積層端に配置された集電板20Aと当接する外表面である。上述のように、電極積層体11では、電極積層体11の中央領域が、その周りの領域に比べてZ方向に膨らんでいる。このため、一方面5f及び他方面5gの中央領域が、集電板20Aの一方面20a及び集電板20Bの他方面20bの中央領域と当接している。導電板5Aは、隣り合う蓄電モジュール4の積層端に配置された集電板20A,20Bと当接して配置され、複数の蓄電モジュール4を電気的に直列に接続する。
【0054】
X方向における導電板5Aの各端面には、検出素子70がそれぞれ連結されている。検出素子70は、例えば、蓄電モジュール4の温度を検出する素子、及び蓄電モジュール4から出力される電圧を検出する素子を含み、蓄電モジュール4の状態を監視するセンサである。検出素子70は、例えば、ポリプロピレン(PP)のような耐アルカリ性を有する絶縁性の樹脂により、導電板5Aと同じ厚さで形成されている。
【0055】
導電板5Aは、X方向に沿って配列され、互いに連結される複数(本実施形態では4枚)の板状部材50を有している。各板状部材50は、Z方向から見て(すなわち平面視において)矩形状をなしている。本実施形態では、各板状部材50は、Z方向から見て、Y方向に沿った一対の長辺とX方向に沿った一対の短辺とを含む長方形状をなしている。各板状部材50は、互いに隣り合う板状部材50の長辺同士がX方向に向かい合うように、X方向に沿って配列されている。
【0056】
板状部材50は、厚さ方向(Z方向)の一方面50aと、他方面50bとを含んでいる。一方面50aは、一方面5fの一部を構成している外表面である。他方面50bは、他方面5gの一部を構成している外表面である。板状部材50は、例えば押出成形によって形成されるアルミニウム等の導電材料の押出成形体である。この場合、板状部材50の導電材料は、所定方向に沿って押し出される。本実施形態では、当該導電材料は、Y方向に沿って押し出される。すなわち、上記導電材料の押出方向は、Y方向に相当する。これにより、板状部材50の表面の一部には、主にY方向に延在する加工痕が形成される。このため図示はしないが、一方面50aと他方面50bとの少なくとも一方は、上記加工痕に相当し、且つ、Z方向に窪むと共にY方向に延在する1又は複数の窪み(傷、凹部)を有する。また、当該窪みは、一方面50aと他方面50bとの少なくとも一方だけではなく、板状部材50の表面のいずれにも形成されてもよい。例えば、上記窪みは、板状部材50において貫通孔5aを構成する表面に設けられる。例えば、上記窪みは、後述する第1主板部51において撓んだ部分(撓み)の表面(及び第2主板部52において撓んだ部分の表面)に設けられる。
【0057】
板状部材50は、X方向において互いに対向する一対の端面50c及び端面50dと、Y方向において互いに対向する一対の端面50e及び端面50fと、を更に含んでいる。端面50c及び端面50dのそれぞれは、板状部材50の長辺を含む平坦な面であり、YZ平面に沿っている。端面50c及び端面50dのそれぞれは、Y方向に沿って延在している。端面50cは、X方向の短辺5d側に位置しており、端面50dは、X方向の短辺5e側に位置している。X方向において互いに隣り合う2つの板状部材50のうち一方の板状部材50の端面50cと、他方の板状部材50の端面50dとは、X方向において互いに向かい合っている。換言すると、一方の板状部材50は、X方向において他方の板状部材50に対向する端面50cを有し、他方の板状部材50は、X方向において一方の板状部材50に対向する端面50dを有する。
【0058】
端面50e及び端面50fのそれぞれは、板状部材50の短辺を含む平坦な面であり、XZ平面に沿っている。端面50e及び端面50fのそれぞれは、X方向に沿って延在している。端面50eは、長辺5b側に位置しており、端面50c及び端面50dのY方向の一端同士を接続している。端面50fは、長辺5c側に位置しており、端面50c及び端面50dのY方向の他端同士を接続している。各板状部材50において、各端面50eのY方向の位置は互いに揃っており、各端面50fのY方向の位置は互いに揃っている。
【0059】
複数の板状部材50は、複数(本実施形態では3枚)の板状部材50A及び1枚の板状部材50Bにより構成されている。本実施形態では、板状部材50Bは、複数の板状部材50Aよりも短辺5d側に配置されている。最も短辺5d側に配置された板状部材50Bの端面50cは、導電板5Aの短辺5dを構成している。最も短辺5e側に配置された板状部材50Aの端面50dは、導電板5Aの短辺5eを構成している。
【0060】
図5(a)は、導電板5Aの板状部材50Aの斜視図である。
図6は、
図5(a)に示されるVI-VI線に沿った拡大断面図である。
図5(a)及び
図6に示されるように、板状部材50Aは、第1主板部51、方向Zにおいて第1主板部51に重なる第2主板部52、及び複数の隔壁部53を有する。Z方向に沿った板状部材50Aの厚さは、例えば4mm程度である。
【0061】
第1主板部51は、Z方向における板状部材50Aの一端を構成する板状部分であり、一方面50aを有する。第1主板部51の厚さ(Z方向に沿った寸法)は、例えば約0.5mmである。第1主板部51は、Z方向における複数の貫通孔5aの一端を構成する。第1主板部51の一方面50aには、複数の凹部54が設けられる。このため、第1主板部51には、凹部54を含む凹凸(第2凹凸)が設けられる。各凹部54は、Z方向から見てY方向に延在しており、Z方向において略半楕円状に窪んでいる。Z方向に沿った凹部54の窪み量は、例えば0.01mm以上1.0mm以下である。本実施形態では、各凹部54は、板状部材50Aの端面50eから端面50fまで延在している。各凹部54は、Z方向において隔壁部53に重ならない位置に設けられる。本実施形態では、凹部54の少なくとも一部は、第1主板部51のうち、互いに隣り合う2つの隔壁部53の間に位置する部分が撓むことによって形成される。本実施形態では、凹部54は、第1主板部51の一方面50aに設けられる上記窪み(傷)と、互いに隣り合う2つの隔壁部53の間に位置する撓みと、を含む。当該撓みは、Z方向において第2主板部52に向かうように撓む。
【0062】
第2主板部52は、Z方向における板状部材50Aの他端を構成する板状部分であり、他方面50bを有する。第2主板部52の厚さ(Z方向に沿った寸法)は、例えば約0.5mmである。第2主板部52は、Z方向における複数の貫通孔5aの他端を構成する。第2主板部52の他方面50bには、複数の凹部55が設けられる。このため、第2主板部52には、凹部55を含む凹凸が設けられる。各凹部55は、Z方向から見てY方向に延在しており、Y方向から見て略半楕円状に窪んでいる。Z方向に沿った凹部55の窪み量は、例えば0.01mm以上1.0mm以下である。各凹部55は、凹部54と同様に板状部材50Aの端面50eから端面50fまで延在しており、Z方向において複数の凹部54のいずれかに重なっている。各凹部55は、Z方向において隔壁部53に重ならない位置に設けられる。本実施形態では、第2主板部52のうち、互いに隣り合う2つの隔壁部53の間に位置する部分が撓むことによって、凹部55が形成される。換言すると、凹部55は、第2主板部52の他方面50bに設けられる上記窪み(傷)と、互いに隣り合う2つの隔壁部53の間に位置する撓みと、を含む。当該撓みは、Z方向において第1主板部51に向かうように撓む。
【0063】
複数の隔壁部53は、板状部材50Aへ加わるZ方向に沿った力を支える部分であり、Z方向において第1主板部51と第2主板部52との間に位置する。複数の隔壁部53は、方向Yにおける一方面50aの一端から他端まで延在し、方向Xに配列されると共に、第1主板部51及び第2主板部52をつなぐ。Z方向に沿った隔壁部53の長さは、例えば約3mmである。X方向に沿った隔壁部53の厚さは、例えば約0.5mmである。X方向における互いに隣り合う2つの隔壁部53同士の距離は、例えば約8.6mmである。この距離は、X方向における貫通孔5aの一端から他端までの径に相当する。複数の隔壁部53は、X方向における複数の貫通孔5aの一端もしくは他端を構成する。隔壁部53の一部は、端面50cもしくは端面50dを含む。
【0064】
板状部材50Aには、前述した複数の貫通孔5aが形成される。各貫通孔5aは、X方向に沿って配列されており、板状部材50Aの内部を貫通している。各貫通孔5aは、第1主板部51と、第2主板部52と、複数の隔壁部53のうち互いに隣り合う2つの隔壁部53とによって設けられる。このため、貫通孔5aと、凹部54,55とは、Z方向において互いに重なり合う。各貫通孔5aは、板状部材50Aの端面50eから端面50fまで延在している。各貫通孔5aの断面形状は、例えば、Y方向から見てX方向を長手方向とする長方形状である。各貫通孔5a内には、冷却用流体Fが流通する。各貫通孔5a内を流通する冷却用流体Fは、例えば、Y方向において板状部材50A,50Bの端面50eから端面50fに向かう。
【0065】
図7は、モジュール積層体の一部を拡大した概略断面図である。
図7には、Z方向において互いに隣り合う2つの蓄電モジュール4の一部と、当該2つの蓄電モジュール4の間に位置する板状部材50Aの一部とが示される。Z方向において、一方の蓄電モジュール4の封止体12(特に、第2封止部22)と、他方の蓄電モジュール4の封止体12(特に、第2封止部22)との隙間GP1が最も近い。Y方向から見て、各貫通孔5aの少なくとも一部は、この隙間GP1から露出している。このため、冷却用流体F(
図4等参照)は、隙間GP1を介して各貫通孔5aに流入する。本実施形態では図示しないが、Y方向に沿った隙間GP1の中心線と、Y方向に沿った貫通孔5aの中心線とは、互いに重なっている。加えて、Z方向に沿った貫通孔5aの一端から他端までの径Hは、隔壁部53の高さに相当し、約3mmである。このため、冷却用流体Fの圧力損失を低減する観点から、Z方向に沿った貫通孔5aの径Hは、隙間GP1のうち最も狭い部分のZ方向に沿った寸法D以上に設定される。よって、本実施形態では、Z方向に沿った寸法Dは、0.5mm以上3mm以下になる。
【0066】
封止体12の第2封止部22のうち、Z方向において集電板20Aよりも外側に位置する部分の厚さTは、板状部材50Aの第1主板部51及び第2主板部52の厚さよりも厚い。厚さTは、例えば0.5mm以上1.5mm以下である。このため、Y方向から見て、板状部材50Aの第1主板部51は、一方の蓄電モジュール4の封止体12によって隠され、第2主板部52のそれぞれは、他方の蓄電モジュール4の封止体12によって隠される。これにより、第1主板部51及び第2主板部52に起因する冷却用流体Fの圧力損失を防止できる。加えて、第2封止部22のうちZ方向において集電板20Aよりも外側に位置する部分は、板状部材50Aを含む導電板5Aに対する位置決め部分として機能する。本実施形態では、Y方向において板状部材50Aと封止体12との間には、寸法公差に応じた隙間GP2が設けられる。隙間GP2は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0067】
図5(a)に戻って、板状部材50Aは、端面50dに設けられた突出部61と、端面50cに設けられた凹み62と、を有している。突出部61及び凹み62は互いに嵌り合う形状に形成されている。突出部61は、板状部材50Aの端面50dのY方向の一端から他端にわたって延在しており、端面50dのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、突出部61のXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。突出部61は、板状部材50Aの端面50dにおけるZ方向の中央部からX方向に沿って直線状に張り出している(突出している)。
【0068】
凹み62は、端面50cのY方向の一端から他端にわたって延在しており、端面50cのY方向の一端から他端まで同一のXZ断面形状を有している。つまり、凹み62のXZ断面形状は、Y方向について一様となっている。X方向における凹み62の底は、端面50c(第2端面)によって構成される。凹み62は、Z方向における端面50cの両端部のそれぞれからX方向に沿って直線状に突出する一対の壁部62aを有している。各壁部62aの先端は、面取り形状(R形状、又は、丸められた形状)を有している。
【0069】
X方向に互いに隣り合う2つの板状部材50Aは、一方の板状部材50Aの突出部61及び他方の板状部材50Aの凹み62が互いに嵌り合って連結部60を構成することにより、互いに連結されている(不図示)。本実施形態では、連結部60は、X方向において一方の板状部材50A側から他方の板状部材50A側に向かって突出する突出部61と、X方向において他方の板状部材50A側に向かって窪むと共に突出部61を収容する凹み62とを有する。すなわち本実施形態では、連結部60は、一方の板状部材50Aの一部と、他方の板状部材50Aの一部とによって構成される。X方向に互いに隣り合う2つの板状部材50Aは、突出部61及び凹み62を有する連結部60を介して回動可能に互いに連結される。Z方向において突出部61と凹み62とは、互いに接触してもよいし、互いに接触しなくてもよい。
【0070】
図5(b)に示されるように、板状部材50Bは、端面50cに凹み62(
図5(a)参照)ではなく、突出部61を有している点で、板状部材50A(
図5(a)参照)と相違し、その他の点で板状部材50Aと一致している。X方向に互いに隣り合う板状部材50A及び板状部材50Bは、板状部材50Aの凹み62及び板状部材50Bの突出部61が互いに嵌り合って連結部60を構成することにより、互いに連結されている。板状部材50Aの凹部54,55(
図6参照)と同様に、板状部材50Bにおいても、Z方向において貫通孔5aに重なる部分には凹部が形成される(不図示)。また、板状部材50BがZ方向において2つの蓄電モジュール4の間に位置するとき、当該板状部材50Bの貫通孔5aは、上記2つの蓄電モジュール4の隙間から露出する。
【0071】
板状部材50A,50Bが連結されることにより、導電板5Aの各一方面5f及び他方面5gには、複数(本実施形態では3つ)の隙間Gが形成される。隙間Gは、互いに隣り合う2つの板状部材50Aによって、及び、互いに隣り合う板状部材50A,50Bによって形成される。隙間Gは、端面50dに沿ってY方向に延在している。本実施形態では、互いに隣り合う2つの板状部材50Aにおいては、一方の板状部材50Aの端面50dと、他方の板状部材50Aの凹み62とによって形成される。互いに隣り合う2つの板状部材50A,50Bにおいては、板状部材50Bの端面50dと、板状部材50Aの凹み62とによって形成される。
【0072】
図示を省略するが、導電板5Bは、一枚の板状部材からなる。導電板5Bは、Z方向から見て、例えば、導電板5Aと一対の検出素子70とが連結された連結体の平面形状と同じ面積を有する矩形状をなし、第2封止部22の枠内に配置される。
【0073】
次に、
図8を参照しながら前述したシール部材80について説明する。シール部材80は、例えば、樹脂からなる。シール部材80は、例えば、低分子シロキサンが含まれていない材料からなる。この場合、リレーの接点障害が抑制される。シール部材80は、例えば、加水分解し難い材料からなる。この場合、水分による接着強度の低下が抑制される。シール部材80は、一例として変性シリコンからなる。シール部材80は、例えば、液状ガスケットである。本実施形態では、シール部材80は、絶縁性樹脂であるが、導電性樹脂であってもよい。シール部材80は、導電板5と蓄電モジュール4との間に設けられる。なお、変性シリコンは、表面自由エネルギー(極性)が低いポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系プラスチック素材とは接着しない。つまり、変性シリコンからなるシール部材80は、このような樹脂材料からなる検出素子70とは接合しない。このため、シール部材80による検出素子70との接着は、表面の凹凸にシール部材80が食い込むことによるアンカー効果と、物理的相互作用(分子間力)とにより実現されている。
【0074】
シール部材80は、導電板5と蓄電モジュール4の積層端の集電板20A,20Bとの間に設けられ、これらを互いに接合(接着)する。シール部材80は、導電板5及び蓄電モジュール4を積層する際に、硬化前の液状の状態で導電板5及び蓄電モジュール4の間に設けられる。これにより、シール部材80を表面のうねりや凹凸に追従させることができる。シール部材80は、集電板20Aの一方面20aの露出面20dにおいて、集電板20Aの縁部20cに設けられた第1封止部21と接するように、第1封止部21の内縁21cに沿って環状に設けられた第1シール部分80aと、互いに隣り合う板状部材50間に形成された連結部60に沿って設けられた複数(本実施形態では3つ)の第2シール部分80bと、を有している。シール部材80は、例えば、ディスペンサーによって塗布される。
【0075】
図1に示されるモジュール積層体2は、例えば、導電板5及び蓄電モジュール4が下から順に積層されることにより形成される。具体的には、まず、積層位置に配置された導電板5B上の所定位置にシール部材80を設けた後、導電板5B上に蓄電モジュール4を積層し、導電板5B及び蓄電モジュール4をシール部材80により接合する。続いて、蓄電モジュール4上の所定位置にシール部材80を設けた後、蓄電モジュール4上に導電板5Aを積層し、蓄電モジュール4及び導電板5Aをシール部材80により接合する。同様に、シール部材80を所定位置に設けながら、蓄電モジュール4及び導電板5Aを順に積層する処理を繰り返す。最後は、最上段の蓄電モジュール4上の所定位置にシール部材80を設けた後、蓄電モジュール4上に導電板5Bを積層し、蓄電モジュール4及び導電板5Bをシール部材80により接合する。導電板5及び蓄電モジュール4を全て積層した後、シール部材80が硬化されることによって、モジュール積層体2が形成される。導電板5及び蓄電モジュール4を積層する際、シール部材80は液状なので、導電板5及び蓄電モジュール4に面圧がかかり難い。したがって、シール部材80としては、硬化時間が長く、積層工程中に硬化しない液状シールが選ばれる。
【0076】
以下では、
図9を参照しながら本実施形態に係る蓄電装置1の作用効果について説明する。
図9は、蓄電モジュールの一部と導電板の一部とを示す概略斜視図である。
図9においては、蓄電モジュール4の一部と、導電板5Aの一部である板状部材50Aとが示される。
図9に示されるように、集電板20Aの露出面20dは、X方向に沿って延在する複数の凸部91を有する。一方、板状部材50Aの一方面50aと他方面50bとは、Y方向に沿って延在する複数の凹部54,55(
図6参照)をそれぞれ有する。このため、複数の凸部91と、当該凸部91に接触する複数の凹部55とは、Z方向から見て互いに交差もしくは直交している。これにより、例えばZ方向に沿った拘束荷重が印加される蓄電装置1が振動したとき、複数の凹部55と複数の凸部91とが互いにぶつかり合うことによって良好な摩擦力が発生する。よって、蓄電装置1に対して外部から衝撃が加わった場合であっても、少なくともX方向及びY方向の両方において、導電板5Aが蓄電モジュール4に対して滑りにくくなる。したがって本実施形態によれば、蓄電モジュール4と導電板5Aとの位置ずれによる電池特性の低下を抑制可能な蓄電装置1を提供できる。
【0077】
本実施形態では、導電板5Aは、導電材料の押出成形体であり、凹部54,55は、一方面5f及び他方面5gの少なくとも一方に設けられると共に、上記導電材料の押出方向に沿って延在する窪みを含んでもよい。この場合、一方面5f及び他方面5gにおける粗さが大きくなるので、一方面5f及び他方面5gと露出面20dとの摩擦力が高くなる。加えて、板状部材50Aにおいて貫通孔5aを構成する表面が、Y方向に延在する窪みを有してもよい。この場合、貫通孔5a内に埃等が堆積しにくくなると共に、貫通孔5aを構成する表面の面積が増大する。したがって、導電板5Aの冷却性能を向上できる。なお、窪みの少なくとも一部は、撓みの表面に設けられてもよい。この場合、一方面5f及び他方面5gと露出面20dとの摩擦力がさらに高くなり得る。
【0078】
本実施形態では、導電板5Aは、一方面50aを有する第1主板部51と、Z方向において第1主板部51に重なる第2主板部52と、方向Yにおける一方面50aの一端から他端(すなわち、長辺5bから長辺5c)まで延在し、Z方向に配列されると共に、第1主板部51及び第2主板部52をつなぐ複数の隔壁部53と、を有し、第1主板部51と、第2主板部52と、複数の隔壁部53とによって、複数の貫通孔5aが設けられ、複数の凹部54のそれぞれは、第1主板部51のうち、複数の隔壁部53に含まれる隣り合う2つの隔壁部53の間に位置する撓みを含み、当該撓みは、Z方向において第2主板部52に向かうように撓んでもよい。この場合、各撓みは、対応する貫通孔5aに重なるように設けられる。このため、導電板5Aは、Z方向から見て、Y方向における一方面50aの一端から他端(すなわち、長辺5bから長辺5c)まで延在すると共に、複数の凹部54に重なる複数の貫通孔5aを有する。例えば、各貫通孔5aを冷却用流体Fが流れるための流路とする場合、複数の凸部91が延在する方向と複数の凹部54が延在する方向とが揃っているときと比較して、各流路が凸部91に接触する面積のばらつきが小さくなる。このため、各貫通孔5aの冷却性能のばらつきを低減できる。具体例としては、凸部91と凹部54,55との両方が、Z方向から見て同一方向に沿って延在する場合、隣り合う凸部91同士の間に凹部54,55が設けられることがある。このような凹部54,55に重なる貫通孔5aを流れる冷却用流体Fは、蓄電モジュール4と熱交換されにくくなる。一方、Z方向において凸部91に重なる貫通孔5aを流れる冷却用流体Fは、蓄電モジュール4と良好に熱交換される。この場合、導電板5Aの一方面5f及び他方面5gの少なくとも一方において、温度分布がばらつく傾向にある。すなわち、導電板5Aの冷却性能に、面内ばらつきが発生することがある。これに対して、本実施形態によれば、各凹部55はZ方向において貫通孔5aに重なっており、且つ、複数の凸部91に接触する。これにより、冷却用流体Fは、各貫通孔5aを流れた場合であっても、蓄電モジュール4と良好に熱交換される。したがって本実施形態においては、導電板5Aの冷却性能に面内ばらつきが発生しにくくなる。
【0079】
本実施形態では、蓄電装置1は、Z方向において導電板5Aを介して蓄電モジュール4の反対側に位置すると共に第2主板部52に接する別の蓄電モジュール4を備え、Y方向から見て、複数の貫通孔5aは、蓄電モジュール4の封止体12と、別の蓄電モジュール4に含まれる別の封止体12との隙間GP1から露出しており、Z方向における貫通孔5aの一端から他端までの径Hは、Z方向における封止体12と別の封止体12との隙間GP1の寸法D以上になる。これにより、例えば封止体12と別の封止体12との隙間GP1を介して貫通孔5aに冷却用流体Fが流れるとき、隙間GP1と貫通孔5aとの間における冷却用流体Fの圧力損失を低減できる。
【0080】
本実施形態では、露出面20dは、粗化面でもよい。この場合、露出面20dにおける粗さが大きくなるので、露出面20dと一方面5fもしくは他方面5gとの摩擦力が高くなる。加えて、凹部54,55が一方面50a及び他方面50bの少なくとも一方に設けられる窪みを含んでいる場合、上記粗化面に設けられる複数の突起状めっきが窪みに食い込むことによるアンカー効果が発揮され得る。
【0081】
本実施形態では、露出面20dには、複数の凸部91を含む第1凹凸が設けられ、一方面5f及び他方面5gの少なくとも一方には、複数の凹部54及び/又は凹部55を含む第2凹凸が設けられてもよい。この場合、例えば蓄電装置1が振動したとき、第1凹凸と第2凹凸とが互いにぶつかり合うことによって、より良好な摩擦力が発生する。
【0082】
以上の実施形態は、本発明の一側面を説明したものである。したがって、本発明は、上記実施形態に限定されることなく変形され得る。例えば、上記実施形態では、板状部材に形成される加工痕はY方向に延在するが、これに限られない。例えば、板状部材の表面には、Z方向から見てY方向に交差する方向に延在する窪み(第2窪み)が設けられ得る。この場合、板状部材の表面には、Y方向に延在する窪みと、Y方向に交差する方向に延在する窪みとの両方が設けられてもよい。
【0083】
上記実施形態では、正極の溝はX方向に延在するが、これに限られない。複数の溝のそれぞれは、Y方向に延在してもよいし、X方向及びY方向に交差する方向に延在してもよい。この場合もまた、導電板の外表面に含まれる凹部は、上記溝に重ならない凸部に直交もしくは交差する方向に延在する。このため、凹部は、X方向に延在してもよいし、X方向及びY方向に交差する方向に延在してもよい。
【0084】
上記実施形態では、バイポーラ電極と正極終端電極との両方において、複数の溝が形成されるが、これに限られない。例えば、バイポーラ電極のみに複数の溝が形成されてもよい。この場合、正極終端電極には単一の正極活物質層である正極が形成されてもよい。もしくは、正極終端電極のみに複数の溝が形成されてもよい。
【0085】
上記実施形態では、正極のみに複数の溝が形成されるが、これに限られない。例えば、バイポーラ電極に含まれる負極と、負極終端電極の負極との少なくとも一方は、複数の溝を含んでもよい。正極と負極との両方が複数の溝を含むとき、負極に含まれる溝は、Z方向において正極の溝に完全に重なってもよい。
【0086】
上記実施形態では、Z方向において、一方の蓄電モジュールの封止体と、他方の蓄電モジュールの封止体との隙間のY方向に沿った中心線と、Y方向に沿った貫通孔の中心線とは、互いに重なっているが、これに限られない。
【0087】
上記実施形態では、導電板における第1主板部の凹部は、第1主板部の一方面に設けられる窪みと、第1主板部のうち、互いに隣り合う2つの隔壁部の間に位置する撓みと、を含むが、これに限られない。例えば、X方向に延在する凹部は、上記撓みのみを含んでもよい。この場合、一方面の窪みの少なくとも一部は、Z方向から見てX方向に対して交差する方向に延在してもよい。換言すると、上記窪みの少なくとも一部は、上記撓みに対して交差してもよい。同様に、導電板における第2主板部の凹部は、第2主板部のうち、互いに隣り合う2つの隔壁部の間に位置すると共に第1主板部に向かう撓みのみを含んでもよい。この場合、他方面の窪みは、Z方向から見てX方向に対して交差する方向に延在してもよい。
【0088】
上記実施形態において、電極積層体に含まれる複数の集電板のうち一端部を構成する集電板(すなわち、電極積層体の積層端に配置される集電板)は、正極終端電極に含まれる集電板でもよいし、負極終端電極に含まれる集電板でもよい。もしくは、上記集電板は、電極積層体に含まれる複数の集電板とは異なる部材でもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…蓄電装置、4…蓄電モジュール、5,5A,5B…導電板、5b,5c…長辺(外縁)、5d,5e…短辺(外縁)、5f…一方面、5g…他方面、11…電極積層体、11a…側面、12…封止体、14…バイポーラ電極、15…集電板、15a…一方面、15b…他方面、16…正極、16a…溝、17…負極、18…負極終端電極、19…正極終端電極、20A,20B…集電板、20a…一方面、20b…他方面、20c…縁部、20d…露出面、21,21A,21B,21C,21D,21E…第1封止部(枠体)、22…第2封止部、50,50A,50B…板状部材、50a…一方面、50b…他方面、51…第1主板部、52…第2主板部、53…隔壁部、54,55…凹部、60…連結部、70…検出素子、80…シール部材、91…凸部、GP1,GP2…隙間、V…内部空間。