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  • 特許-充電接続ケーブル及び直流給電方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】充電接続ケーブル及び直流給電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240521BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240521BHJP
   H02J 7/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H02J7/02 J
H02J7/14 H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020147743
(22)【出願日】2020-09-02
(65)【公開番号】P2022042344
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(74)【代理人】
【識別番号】100148655
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山口 大介
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-252549(JP,A)
【文献】特開2019-080474(JP,A)
【文献】特開2013-192278(JP,A)
【文献】特開2013-001216(JP,A)
【文献】特表2022-512682(JP,A)
【文献】国際公開第2020/073138(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0184849(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02J 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機、車両バッテリ、及び、前記車両バッテリに対する充電制御を行う充電制御部を有した車両の前記車両バッテリと、蓄電システム内のバッテリとを接続して前記車両側から前記バッテリを充電するための充電接続ケーブルであって、
前記充電接続ケーブルの両端のプラグ間を接続するプラス側電線の接続を開閉するスイッチと、
前記スイッチの前記車両バッテリ側のシステム電圧を検出する車両側電圧センサと、
前記スイッチの前記バッテリ側の電圧を検出する充電側電圧センサと、
初期状態として前記スイッチを開とし、前記充電接続ケーブルの接続後、前記車両側電圧センサが検出した前記システム電圧と前記充電側電圧センサが検出した電圧との差電圧が所定範囲内である場合に、前記スイッチを閉にするスイッチ制御部と
を有したスイッチユニットを備えたことを特徴とする充電接続ケーブル。
【請求項2】
前記スイッチユニットは、前記充電接続ケーブルの一方のプラグに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の充電接続ケーブル。
【請求項3】
発電機、車両バッテリ、及び、前記車両バッテリに対する充電制御を行う充電制御部を有した車両の前記車両バッテリと、蓄電システム内のバッテリとを接続して前記車両側から前記バッテリを充電する直流給電方法であって、
前記車両バッテリと前記バッテリとを接続する充電接続ケーブルの両端のプラグ間を接続するプラス側電線の接続を開閉するスイッチを設け、
初期状態として前記スイッチを開とし、前記充電接続ケーブルの接続後、前記スイッチよりも前記車両側のシステム電圧と、前記スイッチよりも前記バッテリ側の電圧との差電圧が所定範囲内である場合に、前記スイッチを閉にして前記バッテリへの給電を開始することを特徴とする直流給電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などの車両の車両バッテリから、住宅などの蓄電システム内のバッテリへの充電を簡易な構成で行うことができ、かつ、電力変換ロスを低減することができる充電接続ケーブル及び直流給電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラグインハイブリッド車(PHV:Plug-in Hybrid Vehicle)や電池自動車(BEV:Barttery Electric Viecle)などの電気自動車が普及しつつある。この電気自動車の充電時には電気自動車に商用交流電源を供給し、電気自動車の内部で交流を直流に変換してバッテリを充電し、また、電気自動車の放電時にも、バッテリに蓄電された直流電力を交流電力に変換して住宅側に供給できるものがある。
【0003】
特許文献1には、電気自動車のバッテリから放電された直流電力を住宅用の蓄電池に充電できるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-8626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたものは、電気自動車のバッテリの電圧を住宅用のバッテリの電圧に変換するためのDC/DCコンバータを必要としているため、電力変換ロスが生じてしまう。
【0006】
なお、一般に、電気自動車から住宅用のバッテリに充電しようとする場合、V2L(Vehcle to Load)やV2H(Vehcle to Home)に対応した電力変換器が必要になる。この電力変換器は、電気自動車のバッテリの電圧を交流に変換するDC/ACインバータであり、住宅用のバッテリに充電する場合、この電力変換器の後段に、さらに交流を直流に変換するAC/DCコンバータを設ける必要があり、発生する電力変換ロスが大きい。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、電気自動車などの車両の車両バッテリから、住宅などの蓄電システム内のバッテリへの充電を簡易な構成で行うことができ、かつ、電力変換ロスを低減することができる充電接続ケーブル及び直流給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、発電機、車両バッテリ、及び、前記車両バッテリに対する充電制御を行う充電制御部を有した車両の前記車両バッテリと、蓄電システム内のバッテリとを接続して前記車両側から前記バッテリを充電するための充電接続ケーブルであって、前記充電接続ケーブルの両端のプラグ間を接続するプラス側電線の接続を開閉するスイッチと、前記スイッチの前記車両バッテリ側のシステム電圧を検出する車両側電圧センサと、前記スイッチの前記バッテリ側の電圧を検出する充電側電圧センサと、初期状態として前記スイッチを開とし、前記充電接続ケーブルの接続後、前記車両側電圧センサが検出した前記システム電圧と前記充電側電圧センサが検出した電圧との差電圧が所定範囲内である場合に、前記スイッチを閉にするスイッチ制御部とを有したスイッチユニットを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記スイッチユニットは、前記充電接続ケーブルの一方のプラグに設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、発電機、車両バッテリ、及び、前記車両バッテリに対する充電制御を行う充電制御部を有した車両の前記車両バッテリと、蓄電システム内のバッテリとを接続して前記車両側から前記バッテリを充電する直流給電方法であって、前記車両バッテリと前記バッテリとを接続する充電接続ケーブルの両端のプラグ間を接続するプラス側電線の接続を開閉するスイッチを設け、初期状態として前記スイッチを開とし、前記充電接続ケーブルの接続後、前記スイッチよりも前記車両側のシステム電圧と、前記スイッチよりも前記バッテリ側の電圧との差電圧が所定範囲内である場合に、前記スイッチを閉にして前記バッテリへの給電を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電気自動車などの車両の車両バッテリから、住宅などの蓄電システム内のバッテリへの充電を簡易な構成で行うことができ、かつ、電力変換ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施の形態に係る充電接続ケーブルが適用されるシステム構成を模式的に示した図である。
図2図2は、スイッチ制御部によるスイッチ制御処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、充電制御部による充電制御処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、スイッチのオン後における車両バッテリとバッテリとの充電状態を説明する説明図である。
図5図5は、スイッチユニットをプラグに接続して設けた変形例の充電接続ケーブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本実施の形態に係る充電接続ケーブル及び直流給電方法について説明する。
【0014】
<概要構成>
図1は、本実施の形態に係る充電接続ケーブル1が適用されるシステム構成を模式的に示した図である。図1に示すように、充電接続ケーブル1は、電気自動車などの車両10の車両バッテリ14と、住宅100の蓄電システム20内のバッテリ24との間を接続し、車両10側からバッテリ24を充電するために用いられる。
【0015】
車両10は、充電機能11を有し、車両バッテリ14に対する充電制御を行う。車両バッテリ14は、高電圧バッテリであり、例えば、定格電圧が200Vである。充電機能11は、充電制御部12及び発電機13を有する。発電機13は、エンジン駆動や燃料電池であり、充電制御部12によって発電制御される。充電制御部12は、車両バッテリ14の電圧又はSOC(State Of Charge)を用いて行う。電圧を用いる場合、充電制御部12は、電圧が放電下限電圧以下になった場合、発電機を駆動して充電を行い、電圧が充電上限電圧以上になった場合、充電を停止する。なお、SOC(%)は、充電状態を示す指標であり、例えば、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。SOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、SOCは、例えば、車両バッテリ14の電圧の測定結果、車両バッテリ14の電圧のI-V特性データ、及び、車両バッテリ14の電流値の積算値のうちの少なくとも1つに基づいて、算出又は推定される。SOCは、任意の換算式などを利用して、予め定められた温度条件における値に換算された値であってもよい。
【0016】
蓄電システム20は、バッテリ24を有し、DC/ACインバータとしての電力変換器21によって、住宅内の商用電源として用いられる。バッテリ24は、例えば、定格電圧が200Vである。電力変換器21は、バッテリ24の直流電圧を交流電圧100Vに変換する。
【0017】
充電接続ケーブル1は、ケーブル2にスイッチユニット3が設けられる。ケーブル2の両端には、プラグP1,P2が設けられ、プラグP1は、車両側のレセプタクルR1に着脱可能に接続され、プラグP2は蓄電システム20側のレセプタクルR2に着脱可能に接続される。
【0018】
スイッチユニット3は、スイッチSW、車両側電圧センサ4、充電側電圧センサ5及びスイッチ制御部6を有する。スイッチSWは、ケーブル2のプラス側電線の接続を開閉するスイッチである。車両側電圧センサ4は、スイッチSWの車両バッテリ14側のシステム電圧V1を検出する。充電側電圧センサ5は、スイッチSWのバッテリ24側の電圧V2を検出する。スイッチ制御部6は、初期状態としてスイッチSWを開とし、充電接続ケーブル1の接続後、車両側電圧センサ4が検出したシステム電圧V1と充電側電圧センサ5が検出した電圧V2との差電圧が所定範囲内である場合に、スイッチSWを閉にしてバッテリ24への充電開始を許容する。
【0019】
すなわち、スイッチ制御部6は、システム電圧V1と電圧V2とがほぼ一致した場合にはじめてスイッチSWをオンにし、このオン状態を維持して車両10側からバッテリ24への充電を許容する状態を維持する。そして、スイッチSWがオン状態の場合、充電機能11からみて、車両バッテリ14とバッテリ24とは並列接続され、充電機能11は、車両バッテリ14とバッテリ24とを1つのバッテリとして充電制御を行い、結果として、バッテリ24の充電が行われる。なお、システム電圧V1と電圧V2とがほぼ一致しない場合は、スイッチSWがオフであり、車両10側とバッテリ24との間において充電も放電も行われない。
【0020】
なお、スイッチ制御部6は、ソフトウェアによって実現してもよいが、回路(ハードウェア)によって実現してもよい。
【0021】
<スイッチ制御処理>
図2は、スイッチ制御部6によるスイッチ制御処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、スイッチ制御部6は、まず、スイッチSWをオフ状態にしておく(ステップS110)。このスイッチSWのオフ状態は、スイッチ制御部6への電源供給がオフになった場合、スイッチSWをオフにすることによって実現できる。
【0022】
その後、スイッチ制御部6は、システム電圧V1と電圧V2との差電圧ΔVが所定範囲ΔVa内であるか否かを判定する(ステップS120)。この差電圧ΔVは、システム電圧V1と電圧V2との差の絶対値である。差電圧ΔVが所定範囲ΔVa内でないならば(ステップS120:No)、本判定処理を繰り返す。
【0023】
一方、差電圧ΔVが所定範囲ΔVa内であるならば(ステップS120:Yes)、スイッチSWをオンにし(ステップS130)、バッテリ24への充電を許容して本処理を終了する。
【0024】
<充電制御処理>
図3は、充電制御部12による充電制御処理手順を示すフローチャートである。なお、充電制御部12は、車両バッテリ14の電圧(システム電圧V1)又はSOCをもとに行うが、ここでは説明の便宜上、車両バッテリ14のシステム電圧V1をもとに充電制御を行う場合について説明する。図3に示すように、充電制御部12は、システム電圧V1が放電下限電圧以下であるか否かを判定する(ステップS210)。システム電圧V1が放電下限電圧以下でないならば(ステップS210:No)、本処理を終了する。
【0025】
一方、システム電圧V1が放電下限電圧以下であるならば(ステップS210:Yes)、発電機13による充電をオンにして充電を開始する(ステップS220)。その後、充電制御部12は、システム電圧V1が充電上限電圧以上か否かを判定する(ステップS230)。システム電圧V1が充電上限電圧以上でないならば(ステップS230:No)、ステップS220に移行して、充電を継続する。
【0026】
充電制御部12は、システム電圧V1が充電上限電圧以上であるならば(ステップS230:Yes)、充電をオフにして停止し、本処理を終了する。なお、上記の処理は、所定時間ごとに繰り返し行う。
【0027】
なお、この充電制御部12による充電制御は、スイッチSWの状態に関係なく、車両10側の処理として行われる。
【0028】
本実施の形態では、図4(a)に示すように、車両バッテリ14のシステム電圧V1とバッテリ24の電圧V2とがほぼ一致した場合に、スイッチSWがオンとなり、車両バッテリ14とバッテリ24とが並列接続され、バッテリ24への充電が許容される。その後、図4(b)に示すように、充電機能11により、車両バッテリ14とバッテリ24とが同等に充電され、結果的に外部のバッテリ24が充電される。そして、充電制御部12は、システム電圧V1が充電上限電圧V1aになると充電を停止する。ここで、バッテリ24は車両バッテリ14と同じように充電されているため、充電が停止されたときの電圧V2aは、充電上限電圧V1aと同じになる。
【0029】
本実施の形態では、充電接続ケーブル1にスイッチユニット3を設けるのみという簡易な構成で、電気自動車などの車両10の車両バッテリ14から、住宅100などの蓄電システム20内のバッテリ24への充電を行うことができ、また、電力変換器が不要なので電力変換ロスを低減することができる。さらに、システム電圧V1と電圧V2とがほぼ一致した場合に車両バッテリ14とバッテリ24とが接続されるため、電圧差による大電流が流れることがないため、ケーブル接続を安全に行うことができる。
【0030】
<変形例>
上記の実施の形態では、ケーブル2上のスイッチユニット3の位置は任意であったが、本変形例2では、スイッチユニット3をプラグP1あるいはプラグP2のいずれかに接続して設けている。図5では、スイッチユニット3をプラグP2に接続して設けている。
【0031】
これにより、スイッチユニット3がプラグP2と一体化し、スイッチユニット3の堅牢性を高くすることができる。
【0032】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の充電接続ケーブル及び直流給電方法は、電気自動車などの車両の車両バッテリから、住宅などの蓄電システム内のバッテリへの充電を簡易な構成で行い、かつ、電力変換ロスを低減する場合に有用である。
【符号の説明】
【0034】
1 充電接続ケーブル
2 ケーブル
3 スイッチユニット
4 車両側電圧センサ
5 充電側電圧センサ
6 スイッチ制御部
10 車両
11 充電機能
12 充電制御部
13 発電機
14 車両バッテリ
20 蓄電システム
21 電力変換器
24 バッテリ
100 住宅
P1,P2 プラグ
R1,R2 レセプタクル
SW スイッチ
V1 システム電圧
V2 電圧
ΔV 差電圧
ΔVa 所定範囲
図1
図2
図3
図4
図5