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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】仮設手すり
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/02 20060101AFI20240521BHJP
   E04F 11/18 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A47K17/02 A
E04F11/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020150025
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044412
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501081063
【氏名又は名称】株式会社徳山工業社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】花井 健祥
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】徳山 かおる
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-173697(JP,A)
【文献】特開2020-025742(JP,A)
【文献】特開2000-316756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0117026(US,A1)
【文献】実開昭57-034899(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 17/02
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
少なくとも1つの手すりと
を備え、
前記ベースプレートは、
前後方向および左右方向が予め定められており、かつ、
前記左右方向の少なくとも一方に手すりが取付けられる取付部を有し、
前記手すりは、
前記ベースプレートの前記取付部に取付けられる基部と、
前記基部から立ち上がった支柱部と、
前記支柱部の上端部に設けられた手すり部と
を備え、
前記手すり部は、
平面視において、前記基部の予め定められた中心位置に対して偏心した位置に設けられており、
前記基部と前記ベースプレートとは、
前記基部が、前記ベースプレートに対して予め定められた取り付け中心位置に対して回転させた複数の状態でベースプレートに取付けられる取付構造を有している、
仮設手すり。
【請求項2】
前記基部は、プレート状であり、ボルト装着孔を有し、
前記ベースプレートは、前記ボルト装着孔に対応した取付孔を有し、前記取付孔には、ナットを有する、請求項1に記載された仮設手すり。
【請求項3】
前記ボルト装着孔は、前記基部の周縁部に形成されている、請求項2に記載された仮設手すり。
【請求項4】
前記基部は、盛り上がった一筋の凸部を有する、請求項2または3に記載された仮設手すり。
【請求項5】
前記支柱部は、前記基部の前記凸部を跨ぐように取り付けられている、請求項4に記載された仮設手すり。
【請求項6】
前記支柱部の周りで前記基部を覆うカバーを有し、
前記カバーは、前記支柱部が挿通される開口と、前記開口に通じるスリットとを有する、請求項1から5までの何れか一項に記載された仮設手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2014-210124号公報には、便器用手すりに関する発明が開示されている。ここで開示された手すりは、左右一対の側枠と、側枠に夫々取り付けられる左右一対の手すり部と、左右一対の側枠に差し渡された前枠部と、前枠部と側枠とを連結するための連結部とを備えている。前枠部は、便器の前方において左右方向に向けて延びている。手すりは、肘掛け部が跳ね上がる構造を備えている。
【0003】
また、特開2020-25742号公報に開示された便器用手すりは、設置基台に肘付手摺ユニットが取り付けられている。設置基台は、着座式トイレの前部近傍に設置されている。肘付手摺ユニットは、設置基台の左右方向の一端側又は両端側に、該設置基台から立設された支柱と、該支柱の上端において上記着座式トイレの前後方向へ延出するように取り付けられた側部肘掛とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-210124号公報
【文献】特開2020-25742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特開2014-210124号公報に開示された仮設手すりでは、左右一対の側枠を支えるために前枠部が必要となる。また、左右一対の側枠に設けられた手すりの位置と、前枠部の位置などが固定的に定められる。前枠部は、便座の前方に配置されているため、利用者や介護作業者にとって邪魔になる場合もある。
【0006】
特開2020-25742号公報は、設置基台に手すりの支柱が設けられている。設置基台には、手すりの支柱を取り付けるため、複数の孔が形成されている。このような孔が多いと、加工に要するコストも嵩むし、見栄えも悪くなる。
【0007】
本発明者は、このような仮設手すりに関して、利用者や介助者のニーズを考慮し、仮設手すりの手すりを適当な位置に配置できるようにするとともに、かつ、利便性を向上させたいと考えている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで開示される仮設手すりは、ベースプレートと、少なくとも1つの手すりとを備えている。ベースプレートは、前後方向および左右方向が予め定められており、かつ、左右方向の少なくとも一方に手すりが取付けられる取付部を有し、手すりは、ベースプレートの取付部に取付けられる基部と、基部から立ち上がった支柱部と、支柱部の上端部に設けられた手すり部とを備えている。手すり部は、平面視において、基部の予め定められた中心位置に対して偏心した位置に設けられている。基部とベースプレートとは、基部が、ベースプレートに対して予め定められた取り付け中心位置に対して回転させた複数の状態でベースプレートに取付けられる取付構造を有している。
【0009】
かかる仮設手すりによれば、ベースプレートに対して、支柱部の位置および手すり部の位置を適切に調整できる。
【0010】
基部は、プレート状であり、ボルト装着孔を有していてもよい。ベースプレートは、ボルト装着孔に対応した取付孔を有し、取付孔には、ナットを有していてもよい。ボルト装着孔は、基部の周縁部に形成されていてもよい。基部は、盛り上がった一筋の凸部を有していてもよい。支柱部は、基部の凸部を跨ぐように取り付けられていてもよい。また、支柱部の周りで基部を覆うカバーを有していてもよい。カバーは、支柱部が挿通される開口と、開口に通じるスリットとを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、仮設手すり10の斜視図である。
図2図2は、仮設手すり10の平面図である。
図3図3は、ベースプレート11の斜視図である。
図4図4は、柱31の基部31aの斜視図である。
図5図5は、手すり12の平面図である。
図6図6は、支柱部31bの横断断面図である。
図7図7は、アーム32の斜視図である。
図8図8は、アーム32および手すり部33の背面図である。
図9図9は、仮設手すり10の側面図である。
図10図10は、仮設手すり10の側面図である。
図11図11は、仮設手すり10の変形例を示す縦断側面図である。
図12図12は、仮設手すり10の変形例を示す側面図である。
図13図13は、柱31の変形例を示す側面図である。
図14図14は、柱31の変形例を示す側面図である。
図15図15は、アーム32の変形例を示す側面図である。
図16図16は、アーム32の変形例を示す側面図である。
図17図17は、柱31および手すり部33の変形例を示す側面図である。
図18図18は、基部31aを覆うカバー50を示す斜視図である。
図19図19は、柱31の基部31aの変形例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、ここで開示される仮設手すりの一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、ここで説明する実施形態および実施例は、本願発明の好適な一形態を例示するものであるが、特段の言及がない限りにおいて、本願発明を限定しない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜に省略または簡略化する。
【0013】
図1は、仮設手すり10の斜視図である。図2は、仮設手すり10の平面図である。仮設手すり10は、図1に示されているように、ベースプレート11と、手すり12,13とを備えている。この仮設手すり10は、図1に示されているように、トイレ100の前方に設置される。ここでは、トイレ100の便座側から、前方に配置された仮設手すり10を見た状態で、仮設手すり10の前後左右が定められている。図1および図2に示された例では、便器に座った態勢の使用者の左側に配置された手すりを「左側の手すり」とし、使用者の右側に配置された手すりを「右側の手すり」とする。左側の手すり12は、ベースプレート11の左側において後方かつ外側の予め定められた位置に配置されている。右側の手すり13は、ベースプレート11の右側において前方かつ内側の予め定められた位置に配置されている。
【0014】
〈ベースプレート11〉
図3は、ベースプレート11の斜視図である。ベースプレート11は、図3に示されているように、前後方向および左右方向が予め定められている。ベースプレート11は、略矩形のプレートである。ベースプレート11の後側の中央部は、前方に凹んでいる。ベースプレート11は、図1および2に示されているように、トイレ100の前方に設置される。トイレ100の前部は、ベースプレート11の後側の中央部の凹んだ部位11aに入り込む。そして、ベースプレート11の左右両側部の後側の部位は、トイレ100の前部の両側に配置されうる。
【0015】
ベースプレート11は、例えば、鋼板やステンレス板で形成されているとよい。ベースプレート11は、持ち運びが可能で、かつ、手すり12,13に利用者や介助者の体重が掛けられた際でも、容易に持ち上がらない程度の重さを有しているとよい。ベースプレート11は、表面の化粧板が取り付けられていてもよい。また、裏面に、重量がある板が取り付けられていてもよい。
【0016】
利用者には、トイレ100を利用する際に用いるために、手すり12,13をトイレ100に近づけて設置したいとのニーズが一定程度あると想定される。ベースプレート11は、上述のように後側の中央部の凹んだ部位11aを有している。手すり12,13をトイレ100に近づけて設置するとの観点では、後側の中央部の凹んだ部位11aの両側で、ベースプレート11の後ろ側の縁の近くに手すり12,13の支柱を立ててもよい。しかし、後側の中央部の凹んだ部位11aの両側では、ベースプレート11の幅が細くなっている。このため、手すり12,13の支柱を設置する位置を、ベースプレート11の後ろ側の縁に近づけ過ぎると、手すり12,13の支柱に利用者の体重が掛けられた時に、ベースプレート11が撓む場合がある。ベースプレート11が撓むと、手すり12,13が不安定になる場合がある。
【0017】
ベースプレート11の撓みを小さく抑えるとの観点では、ベースプレート11は、全体として、所要の剛性を有しているとよい。図1に示された形態では、ベースプレート11は、全体として平坦であるが、周縁部11dが盛り上がった形状を有している。かかる形状により、ベースプレート11の剛性が確保されている。つまり、ベースプレート11が単純な平板である場合に比べて、ベースプレート11が全体として撓みにくくなっている。ベースプレート11の前側は、後側よりも、周縁部11dが盛り上がる角度が緩やかである。さらに、ベースプレート11の後ろ側の縁に近づけ過ぎず、少し前寄りに手すり12,13の柱31を取り付けることとした。
【0018】
図示は省略するが、ベースプレート11の平坦な部分には、マットが敷かれるとよい。マットは、ベースプレート11の上面を概ね覆うように設けられるとよい。マットは、例えば、取り外し可能なシートやマットでもよく、いわゆる吸着マットなどを採用することができる。ベースプレート11に鋼板材料が用いられる場合でも、マットが敷かれることによって足触りがよく、滑りにくくなり、使用感が向上する。マットは、適宜に取り外し、交換または洗濯されることによって、ベースプレート11の表面が清潔に保たれる。
【0019】
ベースプレート11には、手すり12,13が取り付けられる予め定められた部位に取付部11b,11cが設けられている。手すり12は、ベースプレート11の左側に設けられている。手すり13は、ベースプレート11の右側に設けられている。取付部11b,11cは、ベースプレート11の左右両側部において、前後にずらした2箇所に設けられている。この実施形態では、図3に示されているように、ベースプレート11の左右の取付部11b,11cに、6つの取付孔11b1,11c1がそれぞれ形成されている。6つの取付孔11b1,11c1は、前後に長い略長方形の領域の四隅と中間位置に配置されている。6つの取付孔11b1,11c1のうち前側の4つと、後側の4つとがそれぞれ一組となって、前後にずらされた2箇所に取付部11b,11cが形成されている。6つの取付孔11b1,11c1のうち中間の2つの取付孔11b1,11c1は、前後にずらされた2箇所の取付部11b,11cで共通して用いられる。なお、この実施形態では、ベースプレート11の左右両側に手すりが設けられているが、手すりは、特に言及されない限りにおいて、ベースプレート11の左右両側のうち一方にだけ設けられていてもよい。
【0020】
この実施形態では、ベースプレート11は、周縁部11dが盛り上がっている。ベースプレート11は、周縁部11dを除いて平坦な形状である。手すり12,13が取り付けられる取付部11b,11cは、周縁部11dを除いた平坦な部分に設けられている。このため、手すり12,13が取り付けられる取付部11b,11cは、ベースプレート11の周縁部11dよりも少し内寄りに設けられている。手すり12,13には、内側から外側に向けて利用者の体重が掛けられる傾向がある。この実施形態では、手すり12,13が取り付けられる取付部11b,11cが、ベースプレート11の周縁部11dよりも内側に設けられている。さらに、ベースプレート11の周縁部11dが盛り上がっている。このため、ベースプレート11の内側から外側に向けて手すり12,13に利用者の体重が掛けられても、ベースプレート11が撓みにくい。
【0021】
〈手すり12,13〉
手すり12,13は、図1に示されているように、柱31と、アーム32と、手すり部33とを備えている。
【0022】
〈柱31〉
柱31は、ベースプレート11から上方に立ち上がっている。この実施形態では、柱31は、基部31aと、支柱部31bとを備えている。図4は、柱31の基部31aの斜視図である。図5は、手すり12の平面図である。
【0023】
基部31aは、図1に示されているように、ベースプレート11に取り付けられる部位である。この実施形態では、基部31aは、プレート状の部材で構成されている。基部31aは、ベースプレート11の上に重ねられてボルト31a1で締結されている。この場合、ベースプレート11の取付部11b,11cと、手すり12,13の柱31の基部31aとは、ベースプレート11の上方から締結できるとよい。この実施形態では、取付部11b,11cの取付孔11b1,11c1には、ナットが仕込まれている。このため、ベースプレート11の上に基部31aを配置して、ボルトで締結するとよい。ベースプレート11の取付部11b,11cと、手すり12,13の柱31の基部31aとが、ベースプレート11の上から締結できる締結構造を有していることによって、重量のあるベースプレート11を持ち上げて作業する必要性がなく、作業性が向上し、利用者の利便性が高くなる。
【0024】
基部31aには、図4に示されているように、適宜にリブ31a2が設けられていてもよい。リブ31a2は、プレート状の基部31aが部分的に折り曲げられて形成されている。基部31aは、略矩形のプレートである。基部31aの各辺は、前後左右に向けてベースプレート11に取り付けられる。基部31aの四隅には、図1に示されているように、ボルト31a1が装着される。基部31aの四隅には、図4および図5に示されているように、ボルト31a1を装着するためのボルト装着孔31a3が形成されている。基部31aには、左右方向に沿って盛り上がった一筋の凸部が形成されている。当該凸部が、リブ31a2として機能する。後述するが、この実施形態では、基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けることができる。なお、基部31aの構造や、基部31aとベースプレート11との取付構造、基部31aの補強構造などは、かかる実施の形態に限定されない。
【0025】
支柱部31bは、基部31aから上方に立ち上がった部位である。この実施形態では、支柱部31bは、高さが変更可能な伸縮構造を備えている。支柱部31bは、外筒61と、内筒62と、ボルト63とを備えている。図6は、支柱部31bの横断断面図である。図6では、支柱部31bにボルト63が装着された部位の横断面が図示されている。
【0026】
外筒61は、基部31aに取り付けられている。図6に示されているように、外筒61の側周面には、ボルト装着孔61aが形成されている。ボルト装着孔61aには、雌ねじ部61bが設けられている。この実施形態では、雌ねじ部61bとしてボルト装着孔61aに位置を合わせてナットが設けられている。ナットは、外筒61に溶接されているとよい。この実施形態では、基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けることができる。外筒61は、ボルト装着孔61aと雌ねじ部61bとを前後にそれぞれ備えている。
【0027】
内筒62は、外筒61の内部に装着され、外筒61に対して上下にスライド可能な構造を有している。内筒62には、長さ方向に間欠的にボルト挿通孔62aが形成されている(図14参照)。内筒62は、外筒61に対して前後に向きを変えて装着可能である。
【0028】
ボルト63は、図6に示されているように、外周面に雄ねじ部63aを有し、かつ、ボルト装着孔61aに設けられた雌ねじ部61bに取り付けられる。ボルト63は、外筒61のボルト装着孔61aおよび内筒62のボルト挿通孔62aを通じて内筒62の内部を延びて、内筒62の内側面に押し当たる長さを備えている。
【0029】
この場合、ボルト63が外筒61のボルト装着孔61aの雌ねじ部61bにねじ込まれると、図6に示されているように、ボルト63の先端63bが内筒62の内側面に当たって、内筒62が外筒61に押し付けられる。これによって、内筒62が、外筒61に対してがたつかない。また、ボルト63は、内筒62から軸方向に反力を受ける。このため、ボルト装着孔61aの雌ねじ部61bとボルト63の雄ねじ部63aとの遊びがなく、摩擦力が作用する。このため、ボルト63が緩みにくい。
【0030】
この実施形態では、ボルト63は、図6に示されているように、雌ねじ部61bに取り付けられる端部に、雄ねじ部63aが設けられている。また、雄ねじ部63aよりも先端側でボルト装着孔61aを通じて内筒62の内部を延びる部分は、雌ねじ部61bの内径よりも小さい。このため、ボルト63の先端側は、雄ねじ部63aが設けられた部分まで、雌ねじ部61bを通して内筒62にスムーズに挿入できる。このため、ボルト63の取り付けおよび取り外しが容易である。また、この実施形態では、ボルト63は、雄ねじ部63aが設けられた端部には、さらにノブ63cが設けられている。このため、工具などがなくても、ノブ63cが操作されることによってボルト63を操作できる。
【0031】
このように、支柱部31bの高さが調節され、さらには、手すり12,13が適当な高さに調整される。左右の手すり12,13は、それぞれ異なる高さに調整されてもよい。図1に示された形態では、支柱部31bの上下2箇所に支柱部31bの高さを調節するためのボルト63が取り付けられる。1つのボルト63で、支柱部31bの高さを保持できる場合には、ボルト63は支柱部31bの上下1箇所に設けられていてもよい。
【0032】
この実施形態では、支柱部31bは、略矩形の基部31aに対して、左右幅方向の中心から片側にずらされている。例えば、図1に示された形態では、左側の手すり12では、支柱部31bがベースプレート11の外側に配置されるように、ベースプレート11に対して基部31aが取り付けられている。右側の手すり13では、支柱部31bがベースプレート11の内側に配置されるように、ベースプレート11に対して基部31aが取り付けられている。つまり、右側の手すり13に対して、左側の手すり12では、ベースプレート11に基部31aを180度回転させて取り付けられている。
【0033】
さらに、ベースプレート11には、左右に6つずつ取付孔11b1,11c1が設けられている。ベースプレート11の6つの取付孔11b1,11c1は、基部31aがベースプレート11において前後2箇所にずらして取り付けられるように設けられている。この実施形態では、手すり12,13は、ベースプレート11の左右において、それぞれ前後に配置が調整でき、さらにベースプレート11に基部31aが180度回転させて取り付けられることによって、内寄りと外寄りの配置を選択できる。このため、例えば、利用者の利用しやすい位置に、手すり12,13が設けられる。また、手すり12,13は、トイレットペーパーホルダーや、シャワートイレの操作盤などをかわして配置することができる。このため、仮設手すり10の汎用性が向上する。
【0034】
支柱部31bは、図6に示されているように、長円形状(オーバル形状)を有している。支柱部31bは、長円の長い幅が前後方向に向けられ、かつ、基部31aの中心から左右方向の一方にずらされて、基部31aに取り付けられている。この実施形態では、基部31aは、リブ31a2として、左右方向に沿って盛り上がった一筋の凸部が形成されている。支柱部31bは、基部31aのリブ31a2としての凸部を跨ぐように基部31aに取り付けられている。
【0035】
基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けることができる。そして、180度回転させることによって、左側の手すり12のように、支柱部31bがベースプレート11の外側に配置されたり、右側の手すり13のように、支柱部31bがベースプレート11の内側に配置されたりする。また、支柱部31bの外筒61には、ボルト63を内部に挿通させるためのボルト装着孔61aと雌ねじ部61bが、外筒61の前後両側に設けられている。この実施形態では、内筒62に設けられたボルト63の軸が挿通されるためのボルト挿通孔62aは、内筒62の前側の側面に形成されている。基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けられた場合には、内筒62の前側の側面が、前側を向くように外筒61に内筒62が装着される。そして、外筒61の前側のボルト装着孔61aと雌ねじ部61bに、ボルト63が取り付けられ、支柱部31bの高さが調節される。
【0036】
この実施形態では、図6に示されているように、基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けることができる。外筒61は、ボルト装着孔61aと雌ねじ部61bとを前後にそれぞれ備えている。内筒62は、前後方向に長いオーバル形状の外筒61の内側よりも少し小さいオーバル形状である。内筒62は、外筒61に対して180度回転させて向きを変えて装着可能である。このため、基部を180度回転させても、外筒の前からボルトを装着できて内筒を前から固定できる。
【0037】
この実施形態では、支柱部31bが長円(オーバル形状)であり、ベースプレート11の内側において支柱部31bの側面が平坦である。利用者の脚が、支柱部31bの内側の側面に当たっても広い面で当たる。このため、利用者の脚が支柱部31bの内側に押し当たった際の圧迫感が軽減される。また、ボルト63は、支柱部31bの前側に取り付けられる。この仮設手すり10がトイレ100の前方に配置される。トイレ100の便座が配置されるスペースは、横幅が限られている場合がある。また、トイレ100の横には、洗浄装置の操作部が設けられていたり、トイレットペーパーホルダーが設置されていたりする。仮設手すり10は、図1に示されているように、ボルト63が常に支柱部31bの前側から操作できる。このため、支柱部31bの高さを変更する際のボルト63の操作性が向上する。
【0038】
なお、この実施形態では、支柱部31bの外形形状は、長円形状である。特に限定されない限りにおいて、支柱部31bの横断面形状は、かかる形態に限定されない。支柱部31bは、所要の剛性を有しているとよく、支柱部31bの横断面形状は、例えば、長方形であってもよい。支柱部31bの横断面形状は、デザイン性が考慮されて種々の形状が取られうる。かかる観点において、支柱部31bの横断面形状は、例えば、正方形でもよいし、円形でもよい。また、支柱部31bの高さを調整する構造として、支柱部31bの外筒61に対して内筒62を固定する構造を例示した。特に言及されない限りにおいて、支柱部31bの高さを調整する構造は、かかる形態に限定されない。
【0039】
〈アーム32〉
アーム32は、柱31の上端部に設けられている。支柱部31bの上端部から上方かつ斜め後方に延びている。図7は、アーム32の斜視図である。図7では、アーム32および手すり部33を斜め後下側から見た図が図示されている。図8は、アーム32および手すり部33の背面図である。この実施形態では、図1に示されているように、支柱部31bの内筒62の上端に、それぞれアーム32が取り付けられている。アーム32は、プレートを予め定められた形状に切り出し、上面32aと左右両側面32b,32cが形成されるように折り曲げられた部材である。アーム32の下端は、柱31の上端に取り付けられている。この実施形態では、アーム32は、柱31の上端部から上方かつ斜め後方に延びている。アーム32の下端部は、支柱部31bの内筒62の上端に取り付けられている。この実施形態では、アーム32の下端部は、支柱部31bの内筒62の上端に溶接されている。アーム32の下端部には、カバー34が装着されている。この実施形態では、アーム32が、プレート状の部材で構成されており、軽量化と低コスト化が測られている。
【0040】
柱31の上端部(この実施形態では、アーム32の上端部)に、手すり部33が取り付けられる回動軸35が取り付けられている。換言すると、手すり部33が取り付けられる回動軸35は、アーム32の後端部に設けられている。回動軸35は、左右方向に沿って延びた軸である。この実施形態では、回動軸35は、アーム32の左右両側面を貫通している。支柱部31bの上端部から上方かつ斜め後方に延びたアーム32の上端部に、手すり部33の回動軸35が設けられている。このため、手すり部33の回動支点が柱31に対して後側に設定できる。換言すると、手すり部33の回動支点は、トイレ100の座面に近い位置に設けられうる。つまり、この実施形態では、トイレ100の前方にベースプレート11が設置され、かつ、当該ベースプレート11の後ろ縁から前方に離れた位置に柱31が設置されている。それにもかかわらず、手すり部33の回動支点が、トイレ100の座面に近い位置に設けられる。このため手すり部33をトイレの近い位置に配置することができる。
【0041】
〈手すり部33〉
手すり部33は、アーム32に設けられた回動軸35に回動可能に取付けられている。この実施形態では、手すり部33は、図7および図8に示されているように、骨組み33aと、肘掛け部材33bとを備えている。骨組み33aは、この実施形態では、予め定められた形状に切り出されたプレート材を折り曲げた部材である。骨組み33aは、アーム32の上面と左右両側面の外側に被さる、上面33a1と左右両側面33a2,33a3とを備えている。アーム32に設けられた回動軸35は、骨組み33aの左右両側面を貫通し、骨組み33aを回動可能に支持している。肘掛け部材33bは、骨組み33aの上面に取り付けられている。肘掛け部材33bは、骨組み33aの上面に配置され、ビス37で取り付けられている。かかる手すり部33は、手すりおよび肘掛けとして用いられうる。このため、手すり部33は、肘掛け部とも称されうる。肘掛け部材33bは、肌触りの良い材料で構成されているとよい。肘掛け部材33bは、例えば、木材や樹脂で作製されうる。
【0042】
図9図10は、それぞれ仮設手すり10の側面図である。図9には、手すり部33が45度程度上方に回動した状態が示されている。図10には、手すり部33が100度程度上方に回動した状態が示されている。
【0043】
この実施形態では、手すり部33は、回動軸35を基点として回動する。手すり部33は、図1に示されているように、前方に延びた第1ポスチャーと、図10に示されているように、上方に延びた第2ポスチャーとを取ることができる。図9は、手すり部33を回動させる際の中間の姿勢が示されている。手すり部33は、当該第1ポスチャーと、第2ポスチャーとでアーム32に支持されるとよい。当該姿勢では、手すり部33は、回動が規制され、かつ、支持されるように構成されている。なお、第1ポスチャーと第2ポスチャーだけでなく、さらに複数の姿勢が取れるように構成されていてもよい。また、手すり部33は、任意の角度で回動が止まるように構成されていてもよい。
【0044】
手すり部33は、前方に延びた第1ポスチャーで回動が維持されるロック構造を備えていてもよい。また、手すり部33は、上方に延びた第2ポスチャーで回動が維持されるロック構造を備えていてもよい。ここで、ロック構造は、骨組み33aの左右両側面33a2,33a3を貫通するロック板36を備えていてもよい。ロック板36は、アーム32の左右両側面32b,32cに当り、手すり部33の骨組み33aが回動するのを規制する。この実施形態では、ロック板36は、プレート状の部材で構成されている。プレート状の部材は、視認性がよく、ロックされていることが一目瞭然となる。なお、ロック構造は、かかる形態に限定されない。例えば、ロック板36は、プレート状でなく、軸状の部材でもよい。また、回動軸35をラチェット式とし、所定の回動角で回転が止まるように構成されていてもよい。このようにロック構造には、公知の手法が採用されうる。
【0045】
これに対して、図1に示された仮設手すり10によれば、ベースプレート11から上方に立ち上がった柱31の上端部から上方かつ斜め後方にアーム32が延びている。そして、アーム32の上端部に設けられた回動軸35周りに回動可能に手すり部33が取付けられている。回動軸35は、左右方向に沿って配置されている。手すり部33は、アーム32の上端部から後方に向けて上方に回動する。この仮設手すり10では、柱31の上端部から上方かつ斜め後方にアーム32が延びている。このため、図10に示されているように、手すり部33が上方に上げられた際に、手すり部33は、アーム32の後端部から上方に延びた状態になる。換言すると、手すり部33は、トイレ100の側方において、より後方に位置する。
【0046】
また、ベースプレート11から上方に立ち上がった柱31の上端部から上方かつ斜め後方にアーム32が延びている。そして、アーム32の上端部に設けられた回動軸35周りに回動可能に手すり部33が取付けられている。このため、手すり部33とアーム32とが重なる部分も小さい。このため、手すり部33の側方に設けられるカバーが小さくてよい。例えば、この実施形態では、図7および図8に示されているように、手すり部33の骨組み33aの左右両側面33a2,33a3が下方に延び、手すり部33とアーム32とが重なる部分をカバーしているが、当該部分が小さくてよい。かかる左右両側面33a2,33a3は、手すり部33とアーム32とが重なる部分で指を詰めるのを防止している。なお、かかる観点で、手すり部33とアーム32とが重なる部分で指を詰めるのを防止するためのカバーは、手すり部33とは別部材で設けられてもよい。
【0047】
手すり部33が上方に回動したときに、柱31の上方に広い空間ができる。このため、介助が必要な場合に介助者の作業性が向上する。また、手すり部33のサポートを必要としない利用者にとっては、手すり部33が上方に回動されていることによって、手すり部33が邪魔になりにくい。このように、図1に示された仮設手すり10では、介助者や手すり部33を必要としないトイレ100の利用者にとって、手すり部33が邪魔になりにくい。このため、仮設手すり10によれば、利用者の利便性が向上する。
【0048】
また、回動軸35が、アーム32の上端部に設けられている。回動軸35は、手すり部33の後側(ぼぼ後端に近い位置)に設けられている。このため、手すり部33は、前端が持ち上げられることによって、大きく跳ね上げられる。また、平面視において、柱31は、手すり部33の中間部に位置している。アーム32が、柱の上端部から上方かつ斜め後方に延びているため、手すり部33の回動支点は、手すり部33の後端部に設けられている。このため、利用者が手すり部33の回動支点よりも後方に体重を掛けても、手すり部33が不用意に回動しにくい。また、手すり部33にはロック構造も設けられており、手すり部33が不用意に後方に回動することは防止される。
【0049】
なお、この実施形態では、回動軸35は、左右方向に沿って延びている。この場合、手すり部33は前後方向に動き、手すり部33の可動域は左右方向に広がらない。このため、仮設手すり10は、省スペースに設置しやすい。なお、特に言及されない場合において、回動軸35は、左右方向に完全に沿って配置されている必要はなく、左右方向に対して傾いていてもよい。例えば、手すり部33の可動域が広がることが許容されるような場合には、回動軸35は、左右方向に対して傾いていてもよい。
【0050】
図11は、仮設手すり10の変形例を示す縦断側面図である。図11に示されているように、アーム32には、内側に補強構造を備えていてもよい。図11に示された形態では、折り曲げられたプレート片41がアーム32の左右両側面32b,32cの間に取り付けられている(図7および図8参照)。プレート片41は、アーム32の左右両側面32b,32cにそれぞれ溶接されているとよい。また、アーム32の上面32aの上に、手すり部33の基端部を支持する台座42が設けられている。台座42の上端42aは平坦になっており、手すり部33の骨組み33aの下面33a1を支持する。台座42は、プレート材で設けられており、一部がアーム32の内部に貫通するように取り付けられているとよい。手すり部33の骨組み33aの左右両側面33a2,33a3は、台座42の両側を覆っているとよい。また、この実施形態では、台座42の後端部42bは、回動軸35の後ろ側を覆っている。これにより、アーム32の回動軸35の後ろ側の隙間から指などが入る事象が防がれる。このように、アーム32の回動軸35の後ろ側の隙間にカバーが設けられていてもよい。
【0051】
図12は、仮設手すり10の変形例を示す側面図である。図12に示されているように、柱31の上部には、手が添えられたときに掴みやすいように、把手43が取り付けられていてもよい。把手43は、例えば、ゴムのように柔らかい材料で形成されているとよい。把手43の形状は、種々変更されうる。
【0052】
図13図14は、それぞれ柱31の変形例を示す側面図である。図13に示されているように、内筒62に形成されるボルト挿通孔62aは、内筒62が上下に昇降調整可能な範囲において、外筒61内に収められる範囲に設けられていてもよい。これにより、ボルト挿通孔62aが、外筒61の外に出ないので、ボルト挿通孔62aに物が引っ掛かるなどの事象が生じない。外筒61に設けられるボルト装着孔61aは、図13に示されているように、外筒61の高さの半分よりも上に、1つ設けられていてもよい。ボルト装着孔61aが外筒61の高さの半分よりも上に設けられていることによって、内筒62のスライド量を大きく取ることができる。また、内筒62に形成されたボルト挿通孔62aが外筒61から露出しない程度にスライド量を制限した場合は、内筒62のうち外筒61に収容された部分が長く確保される。このため、がたつきが小さく抑えられる。
【0053】
かかる形態に限定されず、外筒61に設けられるボルト装着孔61aは、外筒61の高さの半分よりも下に設けられていてもよい。また、他の形態として、柱31の外筒61には、図14に示されているように、上下2箇所にボルト63が取り付けられてもよい。これにより、内筒62が安定する。また、柱31の基部31aは、180度回転させて、ベースプレート11に取り付けられる。このため、外筒61に対して、内筒62は、180度回転させて装着できるように構成されていてもよい。この実施形態では、図1に示されているように、内筒62の外側面に印62bが設けられている。当該印62bは、外筒61の上端に合わせられることによって、内筒62のボルト挿通孔62aと外筒61のボルト装着孔61aとの位置が合うように設けられているとよい。かかる印62bは、ノッチやシールや塗料などでマーキングされているとよい。印62bは、例えば、内筒62の前側の外側面に設けられているとよい。
【0054】
仮設手すり10の手すり12,13は、図1に示されているように、ベースプレート11の取付部11b,11cに取付けられる基部31aと、基部31aから立ち上がった支柱部31bと、支柱部31bの上端部に設けられた手すり部33とを備えている。この実施形態では、支柱部31bの上端部にアーム32が設けられており、当該アーム32に手すり部33が設けられている。図2に示されているように、手すり部33は、平面視において、基部31aの予め定められた中心位置に対して偏心した位置に設けられている。基部31aとベースプレート11とは、基部31aが、ベースプレート11に対して予め定められた取り付け中心位置に対して回転させた複数の状態でベースプレート11に取付けられる取付構造を有している。
【0055】
この実施形態では、基部31aは、180度回転させてベースプレート11に取り付けることができる。例えば、図2において、左側に配置された手すり12は、手すり部33がベースプレート11に対して内寄りである。これに対して、右側に配置された手すり13は、手すり部33がベースプレート11に対して外寄りである。左側に配置された手すり12の基部31aを180度回転させてベースプレート11に取り付けることによって、手すり12,13の手すり部33を、両方とも外寄りにすることができる。右側に配置された手すり13の基部31aを180度回転させてベースプレート11に取り付けることによって、手すり12,13の手すり部33を、両方とも内寄りにすることができる。このように、基部31aを180度回転させて取り付けることによって、ベースプレート11に対して手すり部33の位置が変更される。この実施形態では、基部31aに形成されたボルト装着孔31a3と、ベースプレート11に設けられた取付孔11b1,11c1との関係において、ベースプレート11に対して基部31aが取り付けられる中心位置が定められる。このように基部31aがベースプレート11に対して取り付けられる取り付け中心位置は、ベースプレート11と基部31aの取付構造によって定められうる。
【0056】
図15図16は、それぞれアーム32の変形例を示す側面図である。アーム32は、柱31の上端部において、支柱部31bの上端部から上方かつ斜め後方に延びているとよい。例えば、図1に示されているように、アーム32は、支柱部31bの上端部から真っ直ぐ後方に延びていてもよい。また、アーム32は、図15または図16に示されているように、支柱部31bの上端部から左右方向に斜め後方に延びていてもよい。アーム32は、支柱部31bの上端部から左右方向に傾けつつ後方に延びている場合、例えば、支柱部31bの上端部に対して、アーム32を180度回転させて取り付けられるようにしてもよい。柱31の基部31aは、180度回転させて、ベースプレート11に取り付けられる。これに合わせて、アーム32を適宜に180度回転させることによって、図15図16に示されるように、柱31に対して、内寄りまたは外寄りに手すり部33が設けられる位置を調整することができる。このように、柱31の上端部において、アーム32が延びる向きが変更可能であってもよい。この場合、柱31の上端部において、回転方向と上下方向に向きが変えられる自在継手を介してアーム32が取り付けられていてもよい。回転方向と上下方向に向きが変えられる自在継手は、公知のヒンジ構造が適用できる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、柱31の上端部にアーム32が設けられており、当該アーム32の上端部に手すり部33が取り付けられている。仮設手すりは、かかる形態に限定されない。例えば、柱31の上端部には、アーム32がなくてもよい。また、上述した実施形態では、手すり部33は、柱31の上端部において、前方に延びた第1ポスチャーと、上方に延びた第2ポスチャーとを取ることができる。つまり、手すり部33は、柱31の上端部に設けられた回動軸35に取り付けられており、手すり部33が後方に跳ね上げられる。ここで開示される仮設手すりは、かかる形態に限定されない。手すり部33は、柱31の上端部に固定されていてもよい。この場合、手すり部33を跳ね上げることはできないが、仮設手すりは、安価に構成されうる。また、アーム32を設けずに、柱31の上端部に手すり部33を直接取り付ける場合も安価に構成されうる。
【0058】
図17は、柱31および手すり部33の変形例を示す側面図である。図17には、柱31の上端部にアーム32がなく、手すり部33が、柱31の上端部に直接固定された手すり12が示されている。図17に示された形態では、手すり部33は、支持部材33cと、肘木33dとを備えている。支持部材33cは、金属性のブラケットであり、所要の機械強度を備えている。この実施形態では、支持部材33cは、長片状の部材である。長さ方向の中間部33c1が柱31の上端部に溶接されている。支持部材33cは、例えば、幅方向の両側がそれぞれ下側に折り曲げられている。柱31の上端部に溶接された支持部材33cの溶接部33c1では、下側に折り曲げられた幅方向の両側が柱31の上端部を挟み、幅方向の両側がそれぞれ柱31の上端部にそれぞれ溶接されているとよい。肘木33dは、支持部材33cの上辺にねじによって固定されているとよい。
【0059】
また、図17に示された形態では、柱31は、外筒61と内筒62とを備え、ボルト63によって高さ調整できるように構成されている。ボルト63の取付構造は、上述したとおりである。なお、柱31は、高さを調整できるように構成されているが、高さを調整できないものでもよい。この場合、柱31は、中空の軸部材で、予め定められた所要の長さを備えていてもよい。このように、ここで開示される仮設手すり10には、特に言及されない場合、柱31は、高さを調整できないものでもよい。
【0060】
また、図1に示された形態では、柱31の基部31aは、プレート状であり、ボルト装着孔31a3(図4参照)を有している。ベースプレート11は、基部31aのボルト装着孔31a3に対応した取付孔11b1,11c1を有している(図3参照)。取付孔11b1,11c1にはナットを有している。このため、ベースプレート11に柱31を取り付ける際に、ベースプレート11を設置した状態で、ベースプレート11の上に柱31を配置して、ボルトで固定することができる。上述したように仮設手すり10のベースプレート11は、容易に浮き上がらないように所要の重さを有している。柱31を取り付ける際に、ベースプレート11を持ち上げる必要がないので、柱31をベースプレート11に取り付ける際の作業性が格段に向上する。
【0061】
図1に示された形態では、ボルト装着孔31a3は、基部31aの周縁部に形成されている。このため、プレート状をベースプレート11に強固に取り付けることができる。基部31aは、盛り上がった一筋の凸部31a2を有している。かかる盛り上がった一筋の凸部31a2は、上述したようにリブとして機能する。かかる凸部31a2が設けられていることによって、プレート状の基部31aの剛性が高くなる。さらに、支柱部31bは、基部31aの凸部31a2を跨ぐように取り付けられている。
【0062】
支柱部31bは、略矩形の基部31aに対して、左右幅方向の中心から片側にずらされた位置に設けられており、基部31aは、ベースプレート11に対して180度回転させて取り付けることができる。基部31aに柱31を設ける位置は、かかる形態に限定されない。
【0063】
図18は、基部31aを覆うカバー50を示す斜視図である。仮設手すり10は、図18に示されているように、支柱部31bの周りで基部31aを覆うカバー50を有していてもよい。この実施形態では、カバー50は、支柱部31bが挿通される開口51と、開口51に通じるスリット52とを有している。また、カバー50は、基部31aに設けられたリブ31a2に応じた形状を有している。開口51は、支柱部31bの形状に合わせてオーバル形状(長円)であり、前後方向の幅が長く、左右方向の幅が短い。また、開口51の縁51aは、盛り上がっている。スリット52は、開口51の前後に設けられた半円部分の先端から周縁部に至るように形成されている。また、カバー50は、所要の剛性と可撓性を有する樹脂製であり、カバー50の裏面には、形状を維持するためのリブが適宜に設けられている。このカバー50は、弾性範囲内でスリット52を広げることができる。そして、広げられたスリット52の隙間から開口51に支柱部31bを挿し込めるようになっている。このため、支柱部31bに手すり部33が取り付けられた後であっても、基部31aにカバー50を取り付けたり、取り外したりすることができる。
【0064】
図19は、柱31の基部31aの変形例を模式的に示す平面図である。図19に示されているように、基部31aは、正方形として四隅にボルト装着孔31a3が設けられていてもよい。ベースプレート11には、基部31aのボルト装着孔31a3に対応して取付孔11b1,11c1が形成されているとよい。この場合、基部31aは、ベースプレート11に対して90度回転させて取り付けられうる。支柱部31bは、ベースプレート11に対して取り付けられる際の基部31aの回転中心位置からずらした位置に設けられうる。図19に示された形態では、支柱部31bは、基部31aの回転中心位置から対角線に沿ってずらされた位置に設けられている。この場合、ベースプレート11に基部31aを取り付ける位置が同じでも、基部31aをベースプレート11に対して回転させることで、ベースプレート11に対する支柱部31bの位置を4通りに調整することができる。さらに、図1図3に示された形態のように、ベースプレート11の左右両側にそれぞれ前後にずらした2箇所に基部31aの取り付け位置が設けられている場合には、ベースプレート11の左右両側において、支柱部31bの位置がそれぞれ8通りに用意される。これにより、ベースプレート11に対して支柱部31bの位置および手すり部33の位置を微調整しやすくなる。
【0065】
このように、基部は、ベースプレートに対して取り付けられる向きは、ベースプレートに対する取り付け中心位置に対して、2以上設けられるとよい。例えば、図示は省略するが、基部は、三角形や五角形や六角形などとしてもよい。さらに基部は、円盤形状でもよい。そして、基部は、その形状に応じて複数の回転した向きでベースプレートに取り付けられるように構成されていてもよい。これにより、ベースプレート11に対して支柱部31bの位置および手すり部33の位置を微調整しやすくなる。このため、狭いトイレスペースであっても、利用者の都合や設備に応じて、支柱部31bの位置および手すり部33の位置を適切に調整できる。
【0066】
以上の通りに、ここで開示される仮設手すりの一実施形態を種々説明したが、ここで開示される仮設手すりは、上述した実施形態に限定されない。また、ここで開示される仮設手すりは、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、仮設手すりとして産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 仮設手すり
11 ベースプレート
11a 中央部の凹んだ部位
11b,11c 取付部
11b1,11c1 取付孔
11d 周縁部
12,13 手すり
31 柱
31a 基部
31a1 ボルト
31a2 リブ(盛り上がった一筋の凸部)
31a3 ボルト装着孔
31b 支柱部
32 アーム
33 手すり部
33a 骨組み
33b 肘掛け部材
33c 支持部材
33c1 溶接部
33d 肘木
34 カバー
35 回動軸
36 ロック板
37 ビス
41 プレート片
42 台座
42a 上端
42b 後端部
43 把手
61 外筒
61a ボルト装着孔
61b 雌ねじ部
62 内筒
63 ボルト
63a 雄ねじ部
100 トイレ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19