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特許7491787作業機械の制御システムおよび作業機械の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】作業機械の制御システムおよび作業機械の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20240521BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
E02F3/43 B
E02F3/36 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020152652
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022046978
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄士
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-306534(JP,A)
【文献】特開平07-207712(JP,A)
【文献】特開平03-208923(JP,A)
【文献】特開平09-177115(JP,A)
【文献】特開平10-088626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に回動可能に接続される第1リンク部と、
第1点および第2点を有し、前記第1リンク部に回動可能に接続される第2リンク部と、
前記車両本体に対して前記第1リンク部を回動させる第1アクチュエータと、
前記第1リンク部に対して前記第2リンク部を回動させる第2アクチュエータと、
前記第1点の第1高さ位置と前記第2点の第2高さ位置とを算出し、算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が制限高さに達したと判断した場合に前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限する動作制限信号を出力するコントローラと、を備え
前記コントローラは、前記第1点が前記制限高さに達し、前記第2点が前記第1点より低い位置にあると判断した場合、前記第1アクチュエータの伸び動作と前記第2アクチュエータの伸び動作とについて動作を制限する前記動作制限信号を出力する、作業機械の制御システム。
【請求項2】
車両本体と、
前記車両本体に回動可能に接続される第1リンク部と、
第1点および第2点を有し、前記第1リンク部に回動可能に接続される第2リンク部と、
前記車両本体に対して前記第1リンク部を回動させる第1アクチュエータと、
前記第1リンク部に対して前記第2リンク部を回動させる第2アクチュエータと、
前記第1点の第1高さ位置と前記第2点の第2高さ位置とを算出し、算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が制限高さに達したと判断した場合に前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限する動作制限信号を出力するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記第2点が前記制限高さに達し、前記第1点が前記第2点より低い位置にあると判断した場合、前記第1アクチュエータの伸び動作と前記第2アクチュエータの縮み動作とについて動作を制限する前記動作制限信号を出力する、作業機械の制御システム。
【請求項3】
前記第2リンク部に回動可能に接続される作業具と、
前記第2リンク部に対して前記作業具を回動させる第3アクチュエータと、をさらに備え、
前記第1点は、前記第2リンク部の上面側に位置し、かつ前記第2アクチュエータが前記第2リンク部に接続される点であり、
前記第2点は、前記第2リンク部の上面側に位置し、かつ前記第3アクチュエータが前記第2リンク部に接続される点である、請求項1または請求項2に記載の作業機械の制御システム。
【請求項4】
前記動作制限信号は、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの各々の駆動を減速または停止させるよう制御する信号である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項5】
前記コントローラが前記動作制限信号を出力した場合に警告情報を発する警告出力部をさらに備える、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項6】
前記第1リンク部は、前記車両本体に接続される基端リンク部と、前記基端リンク部および前記第2リンク部の双方に接続される接続リンク部とを有し、
前記接続リンク部と前記基端リンク部との双方に接続され、前記接続リンク部を前記基端リンク部に対して回動させる第4アクチュエータをさらに備える、請求項1から請求項のいずれかに記載の作業機械の制御システム。
【請求項7】
オペレータの操作を受けて指令信号を前記コントローラへ出力する入力装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記第1リンク部、前記第2リンク部を含む作業機が所定の姿勢にある状態で、前記入力装置から前記指令信号を受けることにより、前記所定の姿勢における前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方を前記制限高さに設定する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の作業機械の制御システム。
【請求項8】
車両本体と、
前記車両本体に回動可能に接続される第1リンク部と、
第1点および第2点を有し、前記第1リンク部に回動可能に接続される第2リンク部と、
前記車両本体に対して前記第1リンク部を回動させる第1アクチュエータと、
前記第1リンク部に対して前記第2リンク部を回動させる第2アクチュエータと、を備える作業機械の制御方法であって、
前記第1点の第1高さ位置と前記第2点の第2高さ位置とを算出するステップと、
算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が制限高さに達したか否かを判断するステップと、
算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が前記制限高さに達したと判断した場合に前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限するステップと、を備え
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限する前記ステップにおいて、前記第1点が前記制限高さに達し、前記第2点が前記第1点より低い位置にあると判断した場合、前記第1アクチュエータの伸び動作と前記第2アクチュエータの伸び動作とについて動作を制限する、作業機械の制御方法。
【請求項9】
車両本体と、
前記車両本体に回動可能に接続される第1リンク部と、
第1点および第2点を有し、前記第1リンク部に回動可能に接続される第2リンク部と、
前記車両本体に対して前記第1リンク部を回動させる第1アクチュエータと、
前記第1リンク部に対して前記第2リンク部を回動させる第2アクチュエータと、を備える作業機械の制御方法であって、
前記第1点の第1高さ位置と前記第2点の第2高さ位置とを算出するステップと、
算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が制限高さに達したか否かを判断するステップと、
算出された前記第1高さ位置および前記第2高さ位置の一方が前記制限高さに達したと判断した場合に前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限するステップと、を備え、
前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限する前記ステップにおいて、前記第2点が前記制限高さに達し、前記第1点が前記第2点より低い位置にあると判断した場合、前記第1アクチュエータの伸び動作と前記第2アクチュエータの縮み動作とについて動作を制限する、作業機械の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の制御システムおよび作業機械の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械が橋梁の下などの「高さ方向の動きが制約されるような場所」で基礎工事などに用いられることがある。その場合、作業機を高さ方向の上側に動作させると橋梁の下面に干渉するおそれがある。このため作業機械のオペレータは慎重に作業機を動作させる必要がある。
【0003】
作業機械が上空の障害物に干渉しないようにするために、作業機械のオペレータは自ら目視確認を行いながら作業機を操作する。また作業機械の周囲にいる作業者の誘導、注意喚起などをうけることによってオペレータは作業機を操作する。
【0004】
作業機の作業範囲を制限する技術は、たとえば特開平9-177115号公報(特許文献1)に開示されている。特許文献1では、第2フロント部材(アーム)上に第1モニターポイントが設定される。この第1モニターポイントが第2侵入禁止領域に侵入する直前で、第1フロント部材(ブーム)が停止し、かつ第2フロント部材が動けるように操作手段の操作信号が補正される。これにより操作性を極力低下させることなく、フロント装置と障害物との接触が防止されると特許文献1には記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-177115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1では、第2フロント部材の姿勢によっては、第2フロント部材の一部が侵入禁止領域に侵入する場合が生じる。この場合、第2フロント部材が障害物と干渉するおそれがある。
【0007】
本開示の目的は、作業機が障害物と干渉することを抑制できる作業機械の制御システムおよび作業機械の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の作業機械の制御システムは、車両本体と、第1リンク部と、第2リンク部と、第1アクチュエータと、第2アクチュエータと、コントローラとを備える。第1リンク部は、車両本体に回動可能に接続される。第2リンク部は、第1点および第2点を有し、第1リンク部に回動可能に接続される。第1アクチュエータは、車両本体に対して第1リンク部を回動させる。第2アクチュエータは、第1リンク部に対して第2リンク部を回動させる。コントローラは、第1点の第1高さ位置と第2点の第2高さ位置とを算出し、算出された第1高さ位置および第2高さ位置の一方が制限高さに達したと判断した場合に第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの少なくとも一方の動作を制限する動作制限信号を出力する。
【0009】
本開示の作業機械の制御方法は、車両本体と、第1リンク部と、第2リンク部と、第1アクチュエータと、第2アクチュエータとを備える作業機械の制御方法である。第1リンク部は、車両本体に回動可能に接続される。第2リンク部は、第1点および第2点を有し、第1リンク部に回動可能に接続される。第1アクチュエータは、車両本体に対して第1リンク部を回動させる。第2アクチュエータは、第1リンク部に対して第2リンク部を回動させる。本開示の作業機械の制御方法は、以下のステップを備える。
【0010】
第1点の第1高さ位置と第2点の第2高さ位置とが算出される。算出された第1高さ位置および第2高さ位置の一方が制限高さに達したか否かが判断される。算出された第1高さ位置および第2高さ位置の一方が制限高さに達したと判断した場合に第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの少なくとも一方の動作が制限される。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、作業機が障害物と干渉することを抑制できる作業機械の制御システムおよび作業機械の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態1における作業機械の構成を概略的に示す図である。
図2図1に示す作業機械のシステムの概略構成を示すブロック図である。
図3図2に示すコントローラ内の機能ブロックを示す図である。
図4図1に示す作業機械における作業機の各部の寸法と角度を説明するための図である。
図5】本開示の実施形態1における作業機械の制御方法を示すフロー図である。
図6】作業機のアームトップピンが作業機の最大高さ位置となる場合の各部の動作制御を説明するための図である。
図7】作業機における作業具シリンダとアームとの接続点が作業機の最大高さ位置となる場合の各部の動作制御を説明するための図である。
図8】作業機におけるアームシリンダとアームとの接続点が作業機の最大高さ位置となる場合の各部の動作制御を説明するための図である。
図9】作業機のアームシリンダと第2ブームとの接続点が作業機の最大高さ位置となる場合の各部の動作制御を説明するための図である。
図10】作業機の第1ブームトップピンが作業機の最大高さ位置となる場合の各部の動作制御を説明するための図である。
図11】本開示の実施形態2における作業機械の構成を概略的に示す図である。
図12】PPCロックにより作業機の停止制御を行なう場合における図2のコントローラ内の機能ブロックとPPCロックレバーとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について図に基づいて説明する。
明細書および図面において、同一の構成要素または対応する構成要素には、同一の符号を付し、重複する説明を繰り返さない。また、図面では、説明の便宜上、構成を省略または簡略化している場合もある。また、各実施の形態と変形例との少なくとも一部は、互いに任意に組み合わされてもよい。
【0014】
本開示は、油圧ショベル以外に、第1リンク、第2リンクおよび作業具を有する作業機械であれば適用可能である。以下の説明において、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」とは、運転室2a内の運転席2bに着座したオペレータを基準とした方向である。
【0015】
(実施形態1)
まず実施形態1における作業機械100として、セパレートブーム型の作業機3を有する作業機械100を例に挙げて説明する。
【0016】
<作業機械100の構成>
図1は、本開示の一実施形態における作業機械の構成を概略的に示す側面図である。図1に示されるように、本実施形態の作業機械100は、走行体1と、旋回体2と、作業機3とを主に有する。走行体1と旋回体2とにより車両本体が構成されている。
【0017】
走行体1は左右一対の履帯装置1aを有する。この左右一対の履帯装置1aの各々は履帯を有する。左右一対の履帯が回転駆動されることにより作業機械100が自走する。
【0018】
旋回体2は走行体1に対して旋回自在に設置されている。この旋回体2は、運転室(キャブ)2aと、運転席2bと、エンジンルーム2cと、カウンタウェイト2dとを主に有する。運転室2aは、旋回体2のたとえば前方左側(車両前側)に配置されている。運転席2bは、オペレータが着座するためのものであり、運転室2aの内部空間に配置されている。
【0019】
エンジンルーム2cおよびカウンタウェイト2dの各々は、運転室2aに対して旋回体2の後方側(車両後側)に配置されている。エンジンルーム2cは、エンジンユニット(エンジン、排気処理構造体など)を収納している。エンジンルーム2cの上方はエンジンフードにより覆われている。カウンタウェイト2dは、エンジンルーム2cの後方に配置されている。
【0020】
作業機3は、旋回体2の前方側であって運転室2aのたとえば右側にて軸支されている。作業機3は、ブーム3a(第1リンク部)と、アーム3b(第2リンク部)と、作業具3cと、作業具リンク3dとを有する。作業機3は、ブームシリンダ4aと、アームシリンダ4b(第2アクチュエータ)と、作業具シリンダ4c(第3アクチュエータ)とをさらに有する。
【0021】
ブーム3aは、たとえばセパレートブームの構成を有し、第1ブーム3aa(基端リンク部)と、第2ブーム3ab(接続リンク部)とを有する。またブームシリンダ4aは、第1ブームシリンダ4aa(第1アクチュエータ)と、第2ブームシリンダ4ab(第4アクチュエータ)とを有する。
【0022】
ブーム3aは、車両本体(走行体1および旋回体2)に回動可能に接続されている。具体的には第1ブーム3aaの基端部は、ブームフートピン5aを支点として旋回体2に回動可能に接続されている。また第2ブーム3abの基端部は、第1ブームトップピン5dにより第1ブーム3aaの先端部に回動可能に接続されている。
【0023】
アーム3bは、ブーム3aに回動可能に接続されている。具体的にはアーム3bの基端部は、第2ブームトップピン5bにより第2ブーム3abの先端部に回動可能に接続されている。作業具3cは、アームトップピン5cによりアーム3bの先端部に回動可能に接続されている。
【0024】
ブーム3aは、ブームシリンダ4aにより車両本体に対して駆動可能である。この駆動により、第1ブーム3aaは、ブームフートピン5aを支点として旋回体2に対して上下方向に回動可能である。また、この駆動により、第2ブーム3abは、第1ブームトップピン5dを支点として上下方向に回動可能である。
【0025】
具体的には第1ブーム3aaは、第1ブームシリンダ4aaにより車両本体に対して駆動可能である。第1ブームシリンダ4aaが伸び動作をすると、第1ブーム3aaの先端部がブームフートピン5aを支点として上方へ駆動する。また第1ブームシリンダ4aaが縮み動作をすると、第1ブーム3aaの先端部がブームフートピン5aを支点として下方へ駆動する。
【0026】
第1ブームシリンダ4aaは、車両本体に回動可能に接続された一方端と、第1ブーム3aaに回動可能に接続された他方端とを有する。
【0027】
また第2ブーム3abは、第2ブームシリンダ4abにより第1ブーム3aaに対して駆動可能である。第2ブームシリンダ4abが伸び動作をすると、第2ブーム3abの先端部が第1ブームトップピン5dを支点としてダンプ方向(上方)へ駆動する。また第2ブームシリンダ4abが縮み動作をすると、第2ブーム3abの先端部が第1ブームトップピン5dを支点として掘削方向(下方)へ駆動する。
【0028】
第2ブームシリンダ4abの一方端は、接続点4a1で第1ブーム3aaに回動可能に接続されている。第2ブームシリンダ4abの他方端は、接続点4a2で第2ブーム3abに回動可能に接続されている。接続点4a1は、第1ブーム3aaの下面側に位置する。第1ブーム3aaの下面側とは、ブームフートピン5aと第1ブームトップピン5dとを繋ぐ仮想の直線L1に対して第1ブーム3aaの動作における下げ方向側を意味する。接続点4a2は、第2ブーム3abの下面側に位置する。第2ブーム3abの下面側とは、第1ブームトップピン5dと第2ブームトップピン5bとを繋ぐ仮想の直線L2に対して第2ブーム3abの掘削方向側を意味する。
【0029】
アーム3bは、アームシリンダ4bによりブーム3aに対して駆動可能である。この駆動により、アーム3bは、第2ブームトップピン5bを支点としてブーム3aに対して上下方向あるいは前後方向に回動可能である。アームシリンダ4bが縮み動作をすると、アーム3bの先端部が第2ブームトップピン5bを中心にダンプ方向(上方)へ駆動する。またアームシリンダ4bが伸び動作をすると、アーム3bの先端部が第2ブームトップピン5bを支点として掘削方向(下方)へ駆動する。
【0030】
アームシリンダ4bの一方端は、接続点4b1で第2ブーム3abに回動可能に接続されている。アームシリンダ4bの他方端は、接続点4b2(第1点)でアーム3bに回動可能に接続されている。接続点4b1は、第2ブーム3abの上面側に位置する。第2ブーム3abの上面側とは、直線L2に対して第2ブーム3abのダンプ側を意味する。接続点4b2は、アーム3bの上面側に位置する。アーム3bの上面側とは、第2ブームトップピン5bとアームトップピン5cとを繋ぐ仮想の直線L3に対してアーム3bのダンプ側を意味する。
【0031】
作業具3cは、たとえば大割機であるが、これに限定されず、他のアタッチメントとして、バケット、ブレーカ、小割機、オーガスクリュ、グラップルなどであってもよい。作業具3cは、作業具シリンダ4cによりアーム3bに対して駆動可能である。この駆動により作業具3cは、アームトップピン5cを支点としてアーム3bに対して上下方向あるいは前後方向に回動可能である。作業具シリンダ4cが縮み動作をすると、作業具3cの先端部がアームトップピン5cを支点としてダンプ方向へ駆動する。また作業具シリンダ4cが伸び動作をすると、作業具3cの先端部がアームトップピン5cを中心に掘削方向へ駆動する。
【0032】
作業具シリンダ4cの一方端は、接続点4c1(第2点)でアーム3bに回動可能に接続されている。作業具シリンダ4cの他方端は、作業具シリンダトップピン4c2を介在して作業具リンク3dに回動可能に接続されている。接続点4c1および作業具シリンダトップピン4c2の各々は、アーム3bの上面側に位置する。
【0033】
作業具リンク3dは、第1部材3daと、第2部材3dbとを有する。第1部材3daの一方端と第2部材3dbの一方端とは作業具シリンダトップピン4c2を介在して相対回転可能に連結されており、作業具シリンダ4cの他方端に接続されている。第1部材3daの他方端は、アーム3bに回動可能に接続されている。第2部材3dbの他方端は、作業具3cに回動可能に接続されている。
【0034】
作業機械100は、作業機3の姿勢を検出するための姿勢検出センサを有する。姿勢検出センサは、たとえばストロークセンサ、ポテンショメータ、IMU(Inertial Measurement Unit)、撮像装置などである。
【0035】
姿勢検出センサとしてストロークセンサが用いられる場合、第1ブームシリンダ4aa、第2ブームシリンダ4ab、アームシリンダ4bおよび作業具シリンダ4cの各々にストロークセンサが取り付けられる。ストロークセンサにより各シリンダのストローク量を検出することができる。
【0036】
姿勢検出センサとしてポテンショメータが用いられる場合、ブームフートピン5a、第1ブームトップピン5d、第2ブームトップピン5bおよびアームトップピン5cの各々の付近にポテンショメータが取り付けられる。各ポテンショメータにより、車両本体に対する第1ブーム3aaの回転角度、第1ブーム3aaに対する第2ブーム3abの回転角度、第2ブーム3abに対するアーム3bの回転角度、アーム3bに対する作業具3cの回転角度の各々を検出することができる。
【0037】
姿勢検出センサとしてIMUが用いられる場合、第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cの各々にIMUが取り付けられる。IMUの各々は、3軸の角度(または角速度)と加速度とを検出する。IMUにより検出された3軸の角度(または角速度)と加速度とにより、第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cの各々の姿勢を検出することができる。
【0038】
姿勢検出センサとして撮像装置が用いられる場合、撮像装置により、第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cの状態が撮像される。撮像装置により撮像された撮像情報から、第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cの各々の姿勢を検出することができる。
【0039】
なお、作業機械100は、作業機3としてブーム3aやアーム3bの姿勢を検出するための姿勢検出センサは備えるものの、作業具3cの姿勢を検出するための姿勢検出センサを備えないものであってもよい。
【0040】
<作業機械100のシステムの概略構成>
次に、作業機械100のシステムの概略構成について図2を用いて説明する。
【0041】
図2は、図1に示す作業機械100のシステムの概略構成を示すブロック図である。図2に示されるように、制御システム200は、操作装置11と、メインポンプ12と、圧力センサ14と、EPC(Electromagnetic Proportional Control)弁15と、方向制御弁16と、入力装置17と、警告出力部18と、姿勢検出センサ20と、リンク部材30と、油圧シリンダ40と、コントローラ50とを含んでいる。詳細は後述するが、油圧シリンダ40は、ブームシリンダ4a、アームシリンダ4b、作業具シリンダ4cのいずれかを含む。詳細は後述するが、リンク部材30は、ブーム3a、アーム3b、作業具3cのいずれかを含む。
【0042】
操作装置11は、運転室2a(図1)内に配置されている。オペレータにより操作装置11が操作される。操作装置11は、作業機3(図1)を駆動するオペレータの操作を受け付ける。本例においては、操作装置11は、たとえばパイロット油圧方式の操作装置である。操作装置11は、電気式の操作装置であってもよい。その場合、操作装置11の操作に応じた電気信号がコントローラ50に送信され、コントローラ50が、受信した操作信号に応じて方向制御弁等を制御するものであってもよい。
【0043】
操作装置11は、第1操作レバー11Rと、第2操作レバー11Lとを有する。第1操作レバー11Rは、たとえば運転席2b(図1)の右側に配置されている。第2操作レバー11Lは、たとえば運転席2bの左側に配置されている。
【0044】
第1操作レバー11Rおよび第2操作レバー11Lでは、前後左右の動作が2軸の動作に対応している。第1操作レバー11Rの前後動作および左右動作と、第2操作レバー11Lの前後動作および左右動作とには、たとえば第1ブーム3aa、旋回体2、アーム3bおよび作業具3cのそれぞれの操作が割り当てられている。なお、操作装置11としての足ペダル(図示省略)が運転席2bの前方に設けられ、足ペダルが第2ブーム3abの操作に割り当てられている。
【0045】
メインポンプ12は、操作装置11を通じて方向制御弁16へ油を供給する。これにより方向制御弁16が作動する。方向制御弁16を作動するためにメインポンプ12から操作装置11を通じて方向制御弁16に供給される油はパイロット油と称される。また、パイロット油の圧力はパイロット油圧(PPC圧力)とも称される。
【0046】
メインポンプ12は、方向制御弁16を通じて油圧シリンダ40に油を供給する。油圧シリンダ40を作動するためにメインポンプ12から油圧シリンダ40に供給される油は作動油と称される。
【0047】
パイロット油で作動する方向制御弁16により、油圧シリンダ40へ供給される作動油の供給量(圧力)が調整される。方向制御弁16は、第1油圧室および第2油圧室に供給される油によって作動する。
【0048】
作動油およびパイロット油は、同一の油圧ポンプ(メインポンプ12)から送出されてもよい。たとえば、油圧ポンプから送出された作動油の一部が減圧弁で減圧され、その減圧された作動油がパイロット油として使用されてもよい。また、作動油を送出する油圧ポンプ(メイン油圧ポンプ)と、パイロット油を送出する油圧ポンプ(パイロット油圧ポンプ)とが別の油圧ポンプでもよい。
【0049】
メインポンプ12から操作装置11に供給されたパイロット油は、操作装置11の操作量に基づいてパイロット油圧を調整される。
【0050】
パイロット油路19には、圧力センサ14が配置されている。圧力センサ14は、パイロット油圧を検出する。圧力センサ14の検出結果は、コントローラ50へ出力される。
【0051】
EPC弁15は、コントローラ50からの制御信号に基づいて作動する。EPC弁15が作動することにより、パイロット油圧が制御され、方向制御弁16の作動が制御される。方向制御弁16の作動が制御されることにより、油圧シリンダ40に供給される作動油の供給量が調整され、リンク部材30が作動する。
【0052】
リンク部材30は、第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cのいずれかである。また油圧シリンダ40は、第1ブームシリンダ4aa、第2ブームシリンダ4ab、アームシリンダ4bおよび作業具シリンダ4cのいずれかである。
【0053】
リンク部材30の作動による姿勢の変化は、姿勢検出センサ20により検出される。姿勢検出センサ20は、上述したように、たとえばストロークセンサ、ポテンショメータ、IMU、撮像装置などである。姿勢検出センサ20の検出結果は、コントローラ50へ出力される。
【0054】
姿勢検出センサ20、リンク部材30、油圧シリンダ40、方向制御弁16、圧力センサ13、14およびEPC弁15は、1組のリンク部動作制御ユニット60を構成する。第1ブーム3aa、第2ブーム3ab、アーム3bおよび作業具3cの各々について、1組のリンク部動作制御ユニット60が設けられている。EPC弁15は、第1ブーム3aaを動かすための第1ブーム上げEPC弁15aを含む。EPC弁15は、第2ブーム3abを動かすための第2ブームダンプEPC弁15bを含む。EPC弁15は、アームダンプEPC弁15cとアーム掘削EPC弁15dとを含む。なお、作業具3cのみ、1組のリンク部動作制御ユニット60が設けられていなくてもよい。
【0055】
リンク部材30が第1ブーム3aaである場合、第1ブームシリンダ4aaが油圧シリンダ40として第1ブーム3aaと同じリンク部動作制御ユニット60に含まれる。リンク部材30が第2ブーム3abである場合、第2ブームシリンダ4abが油圧シリンダ40として第2ブーム3abと同じリンク部動作制御ユニット60に含まれる。リンク部材30がアーム3bである場合、アームシリンダ4bが油圧シリンダ40としてアーム3bと同じリンク部動作制御ユニット60に含まれる。リンク部材30が作業具3cである場合、作業具シリンダ4cが油圧シリンダ40として作業具3cと同じリンク部動作制御ユニット60に含まれる。
【0056】
入力装置17は、オペレータによって操作される装置であり、操作ボタンを含む。入力装置17は、画面上の表示を押すことで機器を操作可能なタッチパネルであってもよい。入力装置17は、コントローラ50に接続されている。入力装置17は、オペレータの操作を受けて指令信号を生成し、生成された指令信号をコントローラ50へ出力する。入力装置17は、運転室2aの内部に配置されていてもよく、また運転室2aの外部に配置されていてもよい。
【0057】
警告出力部18は、たとえばブザーのように警告音を発するものであってもよい。また警告出力部18は、たとえばLED(Light Emitting Diode)、ディスプレイ、警告灯などのように発光、表示、点滅などを実行するものであってもよい。警告出力部18は、コントローラ50からの信号を受けて、上記警告音および警告表示の少なくとも一方を出力する。警告出力部18は、運転室2aの内部に配置されていてもよく、また運転室2aの外部に配置されていてもよい。
【0058】
<コントローラ50の機能ブロックの構成>
次に、図2に示されるコントローラ50の機能ブロックの構成について図3および図4を用いて説明する。
【0059】
図3は、図2に示すコントローラ内の機能ブロックを示す図である。図4は、図1に示す作業機械における作業機の各部の寸法と角度を説明するための図である。図3に示されるように、コントローラ50は、姿勢検出部50aと、距離算出部50bと、最大高さ位置判定部50cと、作業機駆動制御部50dと、警告制御部50eと、記憶部50fとを有する。記憶部50fは、コントローラ50とは別に設けられていてもよい。コントローラ50は、制限高さ設定部50gをさらに有していてもよい。
【0060】
姿勢検出部50aは、姿勢検出センサ20の検出信号を取得する。姿勢検出センサ20の検出信号は、ストロークセンサにより検出されたシリンダのストローク量、ポテンショメータにより検出された回転角度、IMUにより検出された姿勢情報、撮像装置により撮像された撮像情報のいずれかである。
【0061】
姿勢検出部50aは、姿勢検出センサ20の検出信号に基づいて、図4に示される第1ブーム3aaの角度BMangと、第2ブーム3abの角度MDangと、アーム3bの角度TPangとの角度情報を取得する。
【0062】
角度BMangは、直線L1と鉛直線VLとがなす角度である。鉛直線VLは、グランドラインGLに対して垂直な線である。角度MDangは、直線L1と直線L2とがなす角度である。角度TPangは、直線L2と直線L3とがなす角度である。
【0063】
図3に示されるように、姿勢検出部50aは、記憶部50fから作業機3の各部の寸法情報(寸法A3、RWA、RWC、Rca、Rcb、Rcc:図4)、角度情報(角度Kca、Kcb、Kcc:図4)、ブームフートピン5aの位置情報(高さY1:図4)などを取得する。
【0064】
図4に示されるように、ブームフートピン5aは、旋回体2の旋回中心位置PからX軸の方向に所定距離X1離れた位置にある。以下、各ピンの位置や各接続点を始点あるいは終点とする長さは、各ピンまたは各接続点の円形断面の中心点からの距離であるとして説明する。また、各ピンや各接続点の座標も、各ピンまたは各接続点の円形断面の中心点の座標であるとして説明する。
【0065】
図4に示されるように、寸法A3は、第1ブーム3aaの側面視における長さであり、ブームフートピン5aと第1ブームトップピン5dとの間の距離である。寸法RWAは、第2ブーム3abの側面視における長さであり、第1ブームトップピン5dと第2ブームトップピン5bとの間の距離である。寸法RWCは、アーム3bの側面視における長さであり、第2ブームトップピン5bとアームトップピン5cとの間の距離である。
【0066】
寸法Rcaは、接続点4b1と第1ブームトップピン5dとの間の側面視における距離である。寸法Rcbは、接続点4b2と第2ブームトップピン5bとの間の側面視における距離である。寸法Rccは、接続点4c1と第2ブームトップピン5bとの間の側面視における距離である。
【0067】
高さY1は、ブームフートピン5aのグランドラインGLからの側面視における高さである。なお本明細書において側面視とは、図1に示されるように旋回体2を前方に向けた状態で運転席2bに着座したオペレータを基準にした時の左右方向から作業機械100を見る視点を意味する。
【0068】
図4に示されるように、角度Kcaは、直線L2と第1ブームトップピン5dから接続点4b1へ延びる仮想の直線Laとのなす角度である。角度Kcbは、直線L3と第2ブームトップピン5bから接続点4b2へ延びる仮想の直線Lbとのなす角度である。角度Kccは、直線L3と第2ブームトップピン5bから接続点4c1へ延びる仮想の直線Lcとのなす角度である。
【0069】
図3に示されるように、姿勢検出部50aは、上記で取得した寸法情報、角度情報、位置情報などに基づいて、作業機3の各点の座標を算出する。
【0070】
姿勢検出部50aにより算出される作業機3の各点の座標は、たとえば図4に示される接続点4b1、4b2、4c1、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5c、第1ブームトップピン5dの各々のXY座標を含む。XY座標におけるX軸およびY軸のそれぞれは、図1に示されるように運転席2bに着座したオペレータを基準にした時の前後方向および高さ方向である。
【0071】
図4に示されるように、第1ブームトップピン5dの座標(Xb,Yb)は、Xb=A3×cos(fwkb)と、Yb=A3×sin(fwkb)とにより算出される。ここで角度fwkbは、水平線HLと直線L1とのなす角度である。
【0072】
第2ブームトップピン5bの座標(Xa,Ya)は、Xa=Xb+RWA×cos(fwka)と、Ya=Yb-RWA×sin(fwka)とにより算出される。ここで角度fwkaは、水平線HLと直線L2とのなす角度である。
【0073】
アームトップピン5cの座標(Xc,Yc)は、Xc=Xa+RWC×cos(fwkc)と、Yc=Ya-RWC×sin(fwkc)とにより算出される。ここで角度fwkcは、水平線HLと直線L3とのなす角度である。
【0074】
接続点4b1の座標(Xca,Yca)は、Xca=Xb+Rca×cos(fca)と、Yca=Yb-Rca×sin(fca)とにより算出される。ここで角度fcaは、水平線HLと直線Laとのなす角度であり、fca=fwka-Kcaにより算出される。
【0075】
接続点4b2の座標(Xcb,Ycb)は、Xcb=Xa+Rcb×cos(fcb)と、Ycb=Ya-Rcb×sin(fcb)とにより算出される。ここで角度fcbは、水平線HLと直線Lbとのなす角度であり、fcb=fwkc-Kcbにより算出される。
【0076】
接続点4c1の座標(Xcc,Ycc)は、Xcc=Xa+Rcc×cos(fcc)と、Ycc=Ya-Rcc×sin(fcc)とにより算出される。ここで角度fccは、水平線HLと直線Lcとのなす角度であり、fcc=fwkc-Kccにより算出される。
【0077】
上記により算出された各座標のY軸方向の位置はブームフートピン5aのY軸方向の位置を基準にしている。各座標のY軸方向の位置をグランドラインGLを基準にする場合には、各座標のY軸方向の位置にグランドラインGLからブームフートピン5aの高さY1が加算されればよい。
【0078】
図3に示されるように、姿勢検出部50aは、算出した各点4b1、4b2、4c1、5b、5c、5dの座標を表す信号を距離算出部50bへ出力する。これにより距離算出部50bは、姿勢検出部50aが算出した各点の座標を取得する。また距離算出部50bは、記憶部50fに記憶された制限高さH1、H2を記憶部50fから取得する。距離算出部50bは、姿勢検出部50aから取得した各点の座標と記憶部50fから取得した制限高さH1、H2(図1)とに基づいて、各点の座標における制限高さH1、H2までの距離を算出する。各点のY軸方向の位置(Y座標)と制限高さH1との距離、あるいは、各点のY座標と制限高さH2との距離を算出する。
【0079】
制限高さH1、H2は、図1に示されるように、作業機械100の上方に設定される。制限高さH1は、減速領域と停止領域との境界高さである。また制限高さH2は、通常領域と減速領域との境界高さである。減速領域は通常領域の上方に設定され、停止領域は減速領域の上方に設定されている。
【0080】
ここで制限高さH1は、作業機3の最大高さが制限高さH1に達したときに(減速領域から停止領域に達したときに)作業機3の最大高さが制限高さH1を超えないように作業機3の一部の動作を停止させる高さである。また制限高さH2は、作業機3の最大高さが制限高さH2に達し(通常領域から減速領域に達し)かつ作業機3の最大高さが制限高さH2を超えるような動作をするときには作業機3の一部の動作を減速させる高さである。
【0081】
図3に示されるように、距離算出部50bは、各点4b1、4b2、4c1、5b、5c、5dにおいて算出した制限高さH1、H2までの距離を表す信号を最大高さ位置判定部50cへ出力する。最大高さ位置判定部50cは、各点における制限高さH1、H2までの距離に基づいて、各点のうち最大高さに位置する点(以下、「最大高さ位置」と称する)と、その最大高さとを決定する。最大高さ位置判定部50cは、決定した最大高さ位置と最大高さとに基づいて、作業機3の最大高さ位置が通常領域、減速領域および停止領域のいずれに位置するかを判定する。
【0082】
最大高さ位置判定部50cは、判定結果を表す信号を作業機駆動制御部50dおよび警告制御部50eの各々に出力する。警告制御部50eは、取得した判定結果に基づいて警告出力部18の動作を制御する。警告出力部18がLEDである場合、警告出力部18は警告制御部50eにより以下のように制御される。
【0083】
作業機3における最大高さ位置が減速領域から停止領域に達したときには、警告出力部18はたとえば点灯するように制御される。また作業機3における最大高さ位置が減速領域内に位置するときには、警告出力部18はたとえば点滅するように制御される。また作業機3における最大高さ位置が通常領域内に位置するときには、警告出力部18はたとえば消灯するように制御される。
【0084】
また警告出力部18がブザーである場合、警告出力部18は警告制御部50eにより以下のように制御される。
【0085】
作業機3における最大高さ位置が減速領域から停止領域に達したときには、警告出力部18はたとえば連続音を発するように制御される。また作業機3における最大高さ位置が減速領域内に位置するときには、警告出力部18はたとえば断続音を発するように制御される。また作業機3における最大高さ位置が通常領域内に位置するときには、警告出力部18はたとえばOFFとなるように制御される。
【0086】
なお警告出力部18は、LEDとブザーとの両方を有していてもよい。
作業機駆動制御部50dは、最大高さ位置判定部50cから取得した判定結果に基づいて作業機3の動作を制限する動作制限信号を出力する。具体的には作業機駆動制御部50dは、最大高さ位置判定部50cから取得した判定結果に基づいて第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの各々の動作を制限する動作制限信号を出力する。
【0087】
動作制限信号は、第1ブームシリンダ4aa、第2ブームシリンダ4abおよびアームシリンダ4bの各々の駆動を減速または停止させるよう制御する信号である。
【0088】
作業機駆動制御部50dは、作業機3の最大高さ位置が通常領域に位置するとの判定結果を受けた場合、作業機3が操作装置11の操作量に応じた動作をするように、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの各々を制御する。この場合、作業機駆動制御部50dは、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの全てが最大出力となるように制御する。
【0089】
また作業機駆動制御部50dは、作業機3の最大高さ位置が停止領域に位置するとの判定結果を受けた場合、作業機3の一部の動作を停止させるように、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの各々を制御する。この場合、作業機駆動制御部50dは、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dのいずれかの流路を閉じることにより停止制御をする。
【0090】
また作業機駆動制御部50dは、作業機3の最大高さ位置が減速領域に位置するとの判定結果を受けた場合、作業機3の一部の動作を減速させるように、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの各々を制御する。この場合、作業機駆動制御部50dは、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dのいずれかの流路を絞ることにより減速制御をする。
【0091】
上記のようにコントローラ50は、図3に示されるように、姿勢検出部50aにて、接続点4b1、4b2、4c1、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5cおよび第1ブームトップピン5dの各々の高さ位置(Y軸方向の位置)を算出する。コントローラ50は、最大高さ位置判定部50cにて、算出された高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達したか否かを判定する。コントローラ50は、算出された高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達したと最大高さ位置判定部50cが判定した場合、作業機駆動制御部50dにて、第1ブームシリンダ4aa、第2ブームシリンダ4ab、アームシリンダ4bのいずれかの動作を制限する動作制限信号を出力する。
【0092】
なお制限高さH1は、たとえば図3に示される入力装置17を用いてオペレータが制限高さH1の数値を入力することにより記憶部50fに記憶される。また記憶部50fに記憶された制限高さH1の値は、オペレータが入力装置17の「+」ボタンまたは「-」ボタンを操作することにより増減され変更されてもよい。
【0093】
また作業機3が上空の障害物に干渉しない最大高さとなる姿勢(所定の姿勢)にされた状態でオペレータが入力装置17を操作(たとえば操作ボタンを長押しなど)することにより、その姿勢における最大高さ位置の高さの値が制限高さH1に設定されてもよい。この場合、入力装置17は、オペレータの操作を受けて指令信号を生成し、生成された指令信号をコントローラ50の制限高さ設定部50gへ出力する。制限高さ設定部50gは、入力装置17からの指令信号を受けて最大高さ位置判定部50cから作業機3の最大高さ位置の情報を取得し、その最大高さ位置の高さを制限高さH1に設定する。制限高さ設定部50gにより設定された制限高さH1の信号が記憶部50fへ出力される。これにより記憶部50fに制限高さH1が記憶される。
【0094】
制限高さH2は、制限高さH1から所定高さを減ずることにより設定され、記憶部50fに記憶される。
【0095】
<作業機械100の制御方法>
次に、本実施形態における作業機械の制御方法について図3図5図10を用いて説明する。
【0096】
図5は、本開示の実施形態1における作業機械の制御方法を示すフロー図である。図6図10は、作業機の各部が作業機の最大高さ位置となる場合の作業機械の動作制御を説明するための図である。
【0097】
図3および図5に示されるように、本実施形態では、コントローラ50の姿勢検出部50aが、姿勢検出センサ20により検出された情報を取得する。姿勢検出部50aは、姿勢検出センサ20から取得した情報に基づいて作業機3の各部の角度情報(角度BMang、MDang、TPang)を取得する(ステップS1)。姿勢検出部50aは、その角度情報と、作業機3の各部の寸法、角度とに基づいて、接続点4b1、4b2、4c1、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5cおよび第1ブームトップピン5dの各点の座標を算出する(ステップS2)。この後、コントローラ50の距離算出部50bは、各点4b1、4b2、4c1、5b、5c、5dにおける制限高さH1、H2までの距離を算出する(ステップS3)。
【0098】
この後、コントローラ50の最大高さ位置判定部50cは、各点4b1、4b2、4c1、5b、5c、5dのうち最大高さとなる点(最大高さ位置)と制限高さとの距離に基づいて、最大高さ位置が通常領域、減速領域、停止領域のいずれの領域に位置するかを判定する(ステップS4)。最大高さ位置判定部50cにより最大高さ位置が通常領域に位置すると判定された場合、コントローラ50の作業機駆動制御部50dは、第1ブーム上げEPC弁15a、第2ブームダンプEPC弁15b、アームダンプEPC弁15cおよびアーム掘削EPC弁15dの全てを最大出力とするように制御する(ステップS5)。
【0099】
また最大高さ位置判定部50cにより最大高さ位置が減速領域または停止領域に位置すると判定された場合、作業機駆動制御部50dは、第1ブーム3aa、第2ブーム3abおよびアーム3bのいずれかの動作を制限(減速または停止)するように制御する(ステップS6)。
【0100】
上記における停止制御と減速制御とは具体的には以下のように行われる。
図6に示されるように、アームトップピン5cが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bのダンプ動作の各々が停止される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの縮み動作が停止される。
【0101】
一方、アームトップピン5cが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作については操作装置11(図2)の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0102】
ただしアーム3bの掘削動作であってもアームトップピン5c、接続点4c1および接続点4b2のいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0103】
またアーム3bの掘削動作により接続点4c1または接続点4b2が減速領域から停止領域に達した場合にはアーム3bの掘削動作は停止される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作が停止される。
【0104】
またアームトップピン5cが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0105】
一方、アームトップピン5cが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0106】
ただしアーム3bの掘削動作により接続点4c1または接続点4b2が通常領域から減速領域に達した場合にはアーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0107】
図7に示されるように、接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bのダンプ動作の各々が停止される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの縮み動作が停止される。
【0108】
一方、接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0109】
ただしアーム3bの掘削動作であっても接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに、接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも後側(図7に示すような状態)にある場合であって、接続点4c1、接続点4b2およびアームトップピン5cのいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0110】
なお、アーム3bの掘削動作の際に接続点4b2が減速領域内に位置する場合であっても、接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも前側にあるときには、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2は下方に移動するため、アーム3bの掘削動作は減速されない。つまり、アーム3bの姿勢が、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2が高くなるような姿勢にならないのであれば、作業機3に不要な動作制限をかけないようにする。
【0111】
またアーム3bの掘削動作により接続点4b2が減速領域から停止領域に達した場合にはアーム3bの掘削動作は停止される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作が停止される。
【0112】
また接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0113】
一方、接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0114】
ただしアーム3bの掘削動作により接続点4b2が通常領域から減速領域に達した場合にはアーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0115】
図8に示されるように、接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bの掘削動作の各々が停止される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの伸び動作が停止される。
【0116】
一方、接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、アーム3bのダンプ動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0117】
ただしアーム3bのダンプ動作であっても接続点4b2、接続点4c1およびアームトップピン5cのいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bのダンプ動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0118】
また接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作、第2ブーム3abのダンプ動作およびアーム3bの掘削動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作およびアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0119】
一方、接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、アーム3bのダンプ動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0120】
ただしアーム3bのダンプ動作により接続点4c1が通常領域から減速領域に達した場合にはアーム3bのダンプ動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0121】
図9に示されるように、接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が停止される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作および第2ブームシリンダ4abの伸び動作が停止される。
【0122】
一方、接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作およびダンプ動作については操作装置11(図2)の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作および縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0123】
ただしアームトップピン5c、接続点4c1および接続点4b2のいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bのダンプ動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0124】
またアーム3bの掘削動作であっても接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに、接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも後側(図9に示すような状態)にある場合であって、アームトップピン5c、接続点4c1および接続点4b2のいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0125】
なお、アーム3bの掘削動作の際に接続点4b2が減速領域内に位置する場合であっても、接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも前側にあるときには、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2は下方に移動するため、アーム3bの掘削動作は減速されない。つまり、アーム3bの姿勢が、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2が高くなるような姿勢にならないのであれば、作業機3に不要な動作制限をかけないようにする。
【0126】
またアーム3bの掘削動作およびダンプ動作により接続点4c1または接続点4b2が減速領域から停止領域に達した場合にはアーム3bの掘削動作およびダンプ動作は停止される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作および縮み動作が停止される。
【0127】
また接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作および第2ブームシリンダ4abの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0128】
一方、接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、アーム3bの掘削動作およびダンプ動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作および縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0129】
ただしアーム3bのダンプ動作または掘削動作により接続点4c1または接続点4b2が通常領域から減速領域に達した場合にはアーム3bのダンプ動作または掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作および縮み動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0130】
図10に示されるように、第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作が停止される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作が停止される。
【0131】
一方、第2ブーム3abのダンプ動作、アーム3bのダンプ動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的には第2ブームシリンダ4abの伸び動作、アームシリンダ4bの縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0132】
またアーム3bの掘削動作において接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに、接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも後側(図10に示すような状態)にある場合であって、アームトップピン5c、接続点4c1および接続点4b2のいずれかが減速領域内に位置する場合には、アーム3bの掘削動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的にはアームシリンダ4bの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0133】
なお、アーム3bの掘削動作の際に接続点4b2が減速領域内に位置する場合であっても、接続点4b2のX軸方向の位置と第2ブームトップピン5bのX軸方向の位置とを比較したときに接続点4b2が第2ブームトップピン5bよりも前側にあるときには、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2は下方に移動するため、アーム3bの掘削動作は減速されない。つまり、アーム3bの姿勢が、アーム3bの掘削動作によって接続点4b2が高くなるような姿勢にならないのであれば、作業機3に不要な動作制限をかけないようにする。
【0134】
また第2ブーム3abのダンプ動作により接続点4b1が減速領域から停止領域に達した場合には第2ブーム3abのダンプ動作は停止される。具体的には第2ブームシリンダ4abの伸び動作が停止される。
【0135】
また第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第1ブームシリンダ4aaの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0136】
一方、第2ブーム3abのダンプ動作、アーム3bの掘削動作およびダンプ動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。具体的には第2ブームシリンダ4abの伸び動作、アームシリンダ4bの伸び動作および縮み動作は操作装置11の操作量に応じて実行される。
【0137】
ただし第2ブーム3abのダンプ動作により接続点4b1が通常領域から減速領域に達した場合には、第2ブーム3abのダンプ動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。具体的には第2ブームシリンダ4abの伸び動作は操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。
【0138】
上記のように図7に示されるように、コントローラ50は、接続点4c1が制限高さH1またはH2に達し、他の点(接続点4b1、4b2、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5cおよび第1ブームトップピン5d)が接続点4c1より低い位置にあると判断した場合、第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作、さらには、所定の条件が成立している場合、アームシリンダ4bの縮み動作とについて動作を制限(停止または減速)する動作制限信号を出力する。
【0139】
また図8に示されるように、コントローラ50は、接続点4b2が制限高さH1またはH2に達し、他の点(接続点4c1、4b1、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5cおよび第1ブームトップピン5d)が接続点4b2より低い位置にあると判断した場合、第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作、さらには、所定の条件が成立している場合、アームシリンダ4bの伸び動作とについて動作を制限(停止または減速)する動作制限信号を出力する。
【0140】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0141】
本実施形態においては図3に示されるように、コントローラ50は、アーム3bの上面側に位置する接続点4b2、4c1の高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達したと判定した場合、油圧シリンダ4aa、4ab、4bのいずれかの動作を制限する動作制限信号を出力する。このようにアーム3bの2つの接続点4b2、4c1の高さ位置に基づいて油圧シリンダ4aa、4ab、4bの動作を制限するため、アーム3bの姿勢が変化しても、作業機3が上方の障害物と干渉することを抑制することが可能となる。
【0142】
なお2つの接続点4b2、4c1の各々は、アーム3bとブーム3a(第2ブーム3ab)との接続部(第2ブームトップピン5b)とは異なる点である。
【0143】
また本実施形態では図8に示されるように、コントローラ50は、接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となり制限高さH1またはH2に達したと判断した場合、第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作、所定の条件が成立している場合、アームシリンダ4bの伸び動作とについて動作を制限する。これにより作業機3が上方の障害物と干渉することを抑制することが可能となる。
【0144】
また本実施形態では図7に示されるように、コントローラ50は、接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となり制限高さH1またはH2に達したと判断した場合、第1ブームシリンダ4aaの伸び動作、第2ブームシリンダ4abの伸び動作、所定の条件が成立している場合、アームシリンダ4bの縮み動作とについて動作を制限する。これにより作業機3が上方の障害物と干渉することを抑制することが可能となる。
【0145】
また本実施形態では図7および図8に示されるように、コントローラ50の作業機駆動制御部50dが出力する動作制限信号は、油圧シリンダ4aa、4ab、4bの各々の駆動を減速または停止させるよう制御する信号である。これにより接続点4b2、4c1の高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達した場合、作業機3の一部の駆動が停止または減速される。このため、作業機3が上方の障害物と干渉することを抑制することが可能となる。
【0146】
仮に作業機3の最大高さ位置が停止領域に達したときに、作業機3の動作が減速することなく急激に停止すると、作業機3の先端に取り付けられた作業具3cの動きが不安定になったり、オペレータが慌てるおそれがある。
【0147】
そこで本実施形態においては図1に示されるように、作業機3の最大高さ位置が停止領域に達する前に減速領域に侵入するように減速領域が設定されている。この減速領域においては、作業機3の動作速度が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。これにより作業機3が急激に停止することによる作業具の不安定な動きが抑制できるとともに、オペレータを慌てさせることもない。
【0148】
また本実施形態では図7および図8に示されるように、コントローラ50が動作制限信号を出力した場合、警告出力部18は警告情報を発する。これによりオペレータなどは、作業機3が上空の障害物に干渉しそうな状態であることを知ることができる。
【0149】
また本実施形態では図3に示されるように、作業機3が所定の姿勢にある状態でオペレータが入力装置17を操作することにより、制限高さ設定部50gが作業機3の所定の姿勢に基づいて制限高さH1、H2を設定してもよい。これにより上空の障害物の高さを測定することなく、制限高さH1、H2を簡易に設定することが可能となる。
【0150】
また本実施形態では図1に示されるように、接続点4b1、4b2、4c1、第2ブームトップピン5b、アームトップピン5cおよび第1ブームトップピン5dの6点(複数点)で作業機3の高さを監視している。これにより作業機3と上空の障害物との干渉を適切に回避することができる。
【0151】
また本実施形態では図6図10に示されるように、作業機3の最大高さ位置が停止領域に達しても、作業機3の最大高さ位置が停止領域を超えないような作業機3の動作を限定して許容する。これにより作業機3が上空の障害物と干渉することを避けながらも、作業機3の動作を実行することが可能となる。
【0152】
(実施形態2)
次に、実施形態2における作業機械100Aとして、ブームが1つのみの作業機3を有する作業機械100Aを例に挙げて図11を用いて説明する。
【0153】
図11は、本開示の実施形態2における作業機械の構成を概略的に示す図である。図11に示されるように、本実施形態の作業機械100Aは、走行体1と、旋回体2と、作業機3とを主に有する。作業機3は、ブーム3a(第1リンク部)と、アーム3b(第2リンク部)と、作業具3cと、作業具リンク3dとを有する。作業機3は、ブームシリンダ4a(第1アクチュエータ)と、アームシリンダ4b(第2アクチュエータ)と、作業具シリンダ4c(第3アクチュエータ)とをさらに有する。
【0154】
ブーム3aは、単一のブームよりなっており複数のブームに分離していない。ブーム3aは、ブームフートピン5aにより車両本体(走行体1および旋回体2)に回動可能に接続されている。アーム3bは、第2ブームトップピン5bによりブーム3aの先端部に回動可能に接続されている。作業具3cは、アームトップピン5cによりアーム3bの先端部に回動可能に接続されている。
【0155】
ブーム3aは、ブームシリンダ4aにより車両本体に対して駆動可能である。アーム3bは、アームシリンダ4bによりブーム3aに対して駆動可能である。アームシリンダ4bの一方端は、接続点4b1でブーム3aに回動可能に接続されている。アームシリンダ4bの他方端は、接続点4b2(第1点)でアーム3bに回動可能に接続されている。
【0156】
接続点4b1は、ブーム3aの上面側に位置する。ブーム3aの上面側とは、ブームフートピン5aとブームトップピン5bとを繋ぐ仮想の直線L2aに対してブーム3aのダンプ側を意味する。接続点4b2は、アーム3bの上面側に位置する。アーム3bの上面側とは、ブームトップピン5bとアームトップピン5cとを繋ぐ仮想の直線L3に対してアーム3bのダンプ側を意味する。
【0157】
作業具3cは、作業具シリンダ4cによりアーム3bに対して駆動可能である。作業具シリンダ4cの一方端は、接続点4c1(第2点)でアーム3bに回動可能に接続されている。作業具シリンダ4cの他方端は、作業具シリンダトップピン4c2で作業具リンク3dに回動可能に接続されている。接続点4c1および作業具シリンダトップピン4c2の各々は、アーム3bの上面側に位置する。
【0158】
作業具3cは、たとえばバケットである。
なお上記以外の本実施形態の構成は実施形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0159】
本実施形態における動作制限の制御に関して、本実施形態における接続点4b1、4b2、4c1、ブームトップピン5bおよびアームトップピン5cのそれぞれは、図1に示す実施形態1における接続点4b1、4b2、4c1、第2ブームトップピン5bおよびアームトップピン5cに対応する。
【0160】
図5に示されるように、本実施形態では実施形態1と同様に、姿勢検出センサ20により検出された姿勢情報に基づいて作業機3の各部の角度情報が取得される(ステップS1)。その角度情報などに基づいて、接続点4b1、4b2、4c1、ブームトップピン5bおよびアームトップピン5cの各点の座標が算出される(ステップS2)。この後、各点4b1、4b2、4c1、5b、5cにおける制限高さH1、H2までの距離が算出される(ステップS3)。
【0161】
この後、各点4b1、4b2、4c1、5b、5cのうち最大高さとなる点(最大高さ位置)と制限高さとの距離に基づいて、最大高さ位置が通常領域、減速領域、停止領域のいずれの領域に位置するかが判定される(ステップS4)。最大高さ位置が通常領域に位置する場合には、ブームEPC弁およびアームEPC弁の全てが最大出力となるように制御される(ステップS5)。また最大高さ位置が減速領域または停止領域に位置する場合には、ブーム3aおよびアーム3bのいずれかの動作が制限(減速または停止)されるよう制御される(ステップS6)。
【0162】
具体的には本実施形態におけるアームトップピン5cが作業機3の最大高さ位置となる場合には、図6に示すように作業機3の動作制限が行われる。また本実施形態における接続点4c1が作業機3の最大高さ位置となる場合には、図7に示すように作業機3の動作制限が行われる。また本実施形態における接続点4b2が作業機3の最大高さ位置となる場合には、図8に示すように作業機3の動作制限が行われる。また本実施形態における接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となる場合には、図9に示すように作業機3の動作制限が行われる。
【0163】
本実施形態においても、コントローラ50は、アーム3bの上面側に位置する接続点4b2、4c1の高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達したと判定した場合、油圧シリンダ4aa、4ab、4bのいずれかの動作を制限する動作制限信号を出力する。このため実施形態1と同様、アーム3bの姿勢が変化しても、作業機3と上方の障害物との干渉を抑制することが可能となる。
【0164】
(実施形態3)
次に、実施形態3における作業機械として、図1に示された作業機械100からアーム3bが省略されたアームレスかつセパレートブームの作業機を有する作業機械について図1を用いて説明する。
【0165】
図1に示されるように、本実施形態においてはアームが省略されるため、第2ブーム3abの先端に作業具3cが回動可能に接続される。またアームシリンダ4bの他方端が作業具リンク3dを介在して作業具3cに接続される。
【0166】
なお上記以外の本実施形態の構成は実施形態1の構成とほぼ同じであるため同一の要素については同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0167】
図5に示されるように、本実施形態における作業機械100の制御方法では、実施形態1と同様に、姿勢検出センサ20により検出された姿勢情報に基づいて作業機3の各部の角度情報が取得される(ステップS1)。その角度情報などに基づいて、接続点4b1、第2ブームトップピン5bおよび第1ブームトップピン5dの各点の座標が算出される(ステップS2)。この後、各点4b1、5b、5cにおける制限高さH1、H2までの距離が算出される(ステップS3)。
【0168】
この後、各点4b1、5b、5cのうち最大高さ位置と制限高さとの距離に基づいて、最大高さ位置が通常領域、減速領域、停止領域のいずれの領域に位置するかが判定される(ステップS4)。最大高さ位置が通常領域に位置する場合には、第1ブームEPC弁および第2ブームEPC弁の全てが最大出力となるように制御される(ステップS5)。また最大高さ位置が減速領域または停止領域に位置する場合には、第1ブーム3aaおよび第2ブーム3abのいずれかの動作が制限(減速または停止)されるよう制御される(ステップS6)。
【0169】
具体的には、第2ブームトップピン5bが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が停止される。一方、第2ブームトップピン5bが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。
【0170】
また第2ブームトップピン5bが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。一方、第2ブームトップピン5bが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。
【0171】
また接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が停止される。一方、接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11(図2)の操作量に応じた動作が可能である。
【0172】
また接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。一方、接続点4b1が作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11(図2)の操作量に応じた動作が可能である。
【0173】
また第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が停止される。一方、第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり減速領域から停止領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。
【0174】
また第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合、第1ブーム3aaの上げ動作および第2ブーム3abのダンプ動作の各々が操作装置11の操作量に応じた動作速度よりも減速される。一方、第1ブームトップピン5dが作業機3の最大高さ位置となり通常領域から減速領域に達した場合でも、第2ブーム3abの掘削動作については操作装置11の操作量に応じた動作が可能である。
【0175】
本実施の形態においては、第2ブームトップピン5bおよび接続点4b1を含む第2ブーム3abの複数の箇所の高さ位置のいずれかが制限高さH1、H2に達したと判定された場合、油圧シリンダ4aa、4abのいずれかの動作が制限される。このため第2ブーム3abの姿勢が変化しても、作業機3と上方の障害物との干渉を抑制することが可能となる。
【0176】
(その他)
上記実施形態1~3においては、作業機3の動作制限がEPC弁15の制御により行われているが、PPCロックによる作業機3の停止により行われてもよい。以下、そのことについて図12を用いて説明する。
【0177】
図12は、PPCロックによる作業機3の停止制御を行なう場合における図2のコントローラ内の機能ブロックとPPCロックレバーとを示す図である。図12に示されるように、作業機3の最大高さ位置が停止領域に達した場合、PPCロックにより作業機3が停止制御されてもよい。そのことを以下に説明する。
【0178】
図11に示すような作業機械100Aにおいては、運転室2aの運転席2b(図1)に着座したオペレータが第1操作レバー11Rおよび第2操作レバー11L(図2)を操作することによって、ブーム3a、アーム3bおよび作業具3cが動作する。この際、ブーム3a、アーム3bおよび作業具3cがオペレータの意に反して動作しないように、運転室2a内にはPPCロックレバー63(図12)が設けられている。
【0179】
図12に示されるように、PPCロックレバー63はロック位置とフリー位置との間で切替動作する。PPCロックレバー63がロック位置に切替操作された場合、ロックスイッチ64は、PPCロックレバー63がロック位置に操作されたことを示すロック検出信号を出力する。ポンプコントローラ65はロックスイッチ64から送信されたロック検出信号を受信すると、PPC停止リレー61を通じてPPCロック弁62を閉じるよう制御する。これによりブーム3a、アーム3bおよび作業具3cの各々の動作を停止させることができる。
【0180】
一方、PPCロックレバー63がフリー位置に操作された場合、ロックスイッチ64はPPCロックレバー63がフリー位置に操作されたことを示すフリー検出信号を出力する。ポンプコントローラ65はロックスイッチ64から送信されたフリー検出信号を受信すると、PPC停止リレー61を通じてPPCロック弁62を開くよう制御する。これによりブーム3a、アーム3bおよび作業具3cの各々を操作装置11で自在に操作することができる。
【0181】
作業機3の最大高さが制限高さH1(停止領域)に達した場合、コントローラ50の作業機駆動制御部50dが、PPC停止リレー61にブーム3a、アーム3bおよび作業具3cの各々の動作を停止する信号を出力する。これにより作業機3の最大高さ位置が停止領域に達した場合、PPCロックにより作業機3を停止制御することができる。
【0182】
このように作業機3が制限高さH1に達したときにPPCロックにより作業機3の動作を停止することにより、作業機3の動作制限のためにEPC弁を制御する場合よりも簡易な構成で動作制限を実現することができる。またこの場合、作業機3の一部が停止前に減速されない。このため作業機3が急激に停止することにより衝撃が生じる場合も考えられる。しかしながら作業機3の最大高さ位置が減速領域に入った時点で警告出力部18でオペレータに警告することにより、作業機3の急激な停止による衝撃を避けることが可能である。
【0183】
図2および図3に示されるコントローラ50は、たとえばプロセッサであり、CPU(Central Processing Unit)であってもよい。コントローラ50は、作業機械100、100Aに搭載されていてもよく、作業機械100、100Aの外部に離れて配置されていてもよい。コントローラ50が作業機械100の外部に離れて配置されている場合、コントローラ50は、姿勢検出センサ20、圧力センサ14、EPC弁15、入力装置17、警告出力部18などと無線により接続されていてもよい。
【0184】
また作業機械100、100Aは遠隔操作されてもよい。この場合、作業機械100、100Aの遠隔地に、操作レバーを含む操作装置が配置される。作業機械100、100Aは、遠隔地に配置された操作装置から出力された操作指令を無線で受信することにより操作される。
【0185】
図1図4および図11に示される油圧シリンダ4a、4aa、4ab、4b、4cの各々は、油圧シリンダのボトム側とトップ側とが図に示された状態とは逆向きに装着されていてもよい。
【0186】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0187】
1 走行体、1a 履帯装置、2 旋回体、2a 運転室、2b 運転席、2c エンジンルーム、2d カウンタウェイト、3 作業機、3a ブーム、3aa 第1ブーム、3ab 第2ブーム、3b アーム、3c 作業具、3d 作業具リンク、3da 第1部材、3db 第2部材、4a1,4a2,4b1,4b2,4c1 接続点、4a ブームシリンダ、4aa 第1ブームシリンダ、4ab 第2ブームシリンダ、4b アームシリンダ、4c 作業具シリンダ、4c2 作業具シリンダトップピン、5a ブームフートピン、5b 第2ブームトップピン、5b ブームトップピン、5c アームトップピン、5d 第1ブームトップピン、11 操作装置、11L 第2操作レバー、11R 第1操作レバー、12 メインポンプ、14 圧力センサ、15,15a,15b,15c,15d EPC弁、16 方向制御弁、17 入力装置、18 警告出力部、19 パイロット油路、20 姿勢検出センサ、30 リンク部材、40 油圧シリンダ、50 コントローラ、50a 姿勢検出部、50b 距離算出部、50c 最大高さ位置判定部、50d 作業機駆動制御部、50e 警告制御部、50f 記憶部、50g 制限高さ設定部、60 リンク部動作制御ユニット、61 停止リレー、62 ロック弁、63 ロックレバー、64 ロックスイッチ、65 ポンプコントローラ、100,100A 作業機械、200 制御システム、A3,RWA,RWC,Rca,Rcb,Rcc 寸法、BMang,Kca,Kcb,Kcc,MDang,TPang,fca,fcb,fcc,fwka,fwkc 角度、GL グランドライン、HL 水平線、L1,L2,L2a,L3,La,Lb,Lc 直線。
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