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特許7491794インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240521BHJP
   B41J 11/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B41J2/01 103
B41J2/01 401
B41J2/01 305
B41J11/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020156801
(22)【出願日】2020-09-17
(65)【公開番号】P2022050284
(43)【公開日】2022-03-30
【審査請求日】2023-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】大崎 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貢市
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-67039(JP,A)
【文献】特開2012-58417(JP,A)
【文献】実開昭51-158090(JP,U)
【文献】実公昭50-41660(JP,Y1)
【文献】特開2012-71469(JP,A)
【文献】特開2019-155622(JP,A)
【文献】特開2017-7259(JP,A)
【文献】特開2021-66042(JP,A)
【文献】特開2021-126825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 11/06
B41J 3/407
B41M 5/00
B05D 1/26
C09F 9/00
B65H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の第一記録面と、前記第一記録面とは表裏の関係となる前記記録媒体の第二記録面と、の第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けてインクを吐出する、インクジェットヘッドと、
第一載置面を含み、前記第二記録面が前記第一載置面の側を向いて前記記録媒体が前記第一載置面に載せ置かれる、第一載置台と、
第二載置面を含み、前記第一記録面が前記第二載置面の側を向いて前記記録媒体が前記第二載置面に載せ置かれ、前記第一方向に直交する第二方向に前記第一載置台と並んで設けられる、第二載置台と、
前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に直交し且つ前記第二方向に沿った第一状態とし、前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に沿い且つ前記第二方向に向かい合った第二状態とする、反転機構と、を備え、
前記第一載置台は、前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体を支持する第一支持機を備え、
前記第二載置台は、前記第二載置面に載せ置かれた前記記録媒体を支持する第二支持機を備え、
前記第一載置台及び前記第二載置台は、前記第二状態である場合、前記第一載置面と前記第二載置面との間に前記記録媒体を含み、
前記インクジェットヘッドは、
前記記録媒体が前記第一状態の前記第一載置台の前記第一載置面に載せ置かれている場合、前記第一記録面の前記第一方向の第一側で前記第一記録面にインクを吐出し、
前記記録媒体が前記第一状態の前記第二載置台の前記第二載置面に載せ置かれている場合、前記第二記録面の前記第一方向の第一側で前記第二記録面にインクを吐出する、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記反転機構は、
前記第一状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第二状態とする場合、
前記第一状態の前記第一載置台で前記第一状態の前記第二載置台の側となる前記第一載置台の前記第二方向の第三側の第一端部と、前記第一状態の前記第二載置台で前記第一状態の前記第一載置台の側となる前記第二載置台の前記第二方向の第四側の第二端部と、を前記第一方向の第二側に移動させ、
前記第一端部を前記第一方向の第二側に移動させる場合、前記第一端部とは反対側の前記第一載置台の第三端部を前記第二方向の第三側に移動させ、
前記第二端部を前記第一方向の第二側に移動させる場合、前記第二端部とは反対側の前記第二載置台の第四端部を前記第二方向の第四側に移動させ、
前記第二状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一状態とする場合、
前記第一端部と、前記第二端部と、を前記第一方向の第一側に移動させ、
前記第一端部を前記第一方向の第一側に移動させる場合、前記第三端部を前記第二方向の第四側に移動させ、
前記第二端部を前記第一方向の第一側に移動させる場合、前記第四端部を前記第二方向の第三側に移動させる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第一支持機は、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第一載置面に対する前記記録媒体の支持を終了し、
前記第二支持機は、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第二載置面に対する前記記録媒体の支持を開始する、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
インクジェット記録装置の第一載置台と、第一方向に直交する第二方向に前記第一載置台と並んで設けられる前記インクジェット記録装置の第二載置台と、を前記第一載置台の第一載置面及び前記第二載置台の第二載置面が前記第一方向に直交し且つ前記第二方向に沿った第一状態から、前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に沿い且つ前記第二方向に向かい合った第二状態とし、更に、前記第二状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一状態とする、反転工程と、
前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第一状態である場合、記録媒体の第一記録面とは表裏の関係となる前記記録媒体の第二記録面が前記第一載置面の側となり且つ前記第一記録面が前記第一方向の第一側を向いて前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体の前記第一記録面の前記第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けて前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドからインクを吐出する、第一記録工程と、
前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第一状態である場合、前記第一記録面が前記第二載置面の側となり且つ前記第二記録面が前記第一方向の第一側を向いて前記第二載置面に載せ置かれた前記記録媒体の前記第二記録面の前記第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けて前記インクジェットヘッドからインクを吐出する、第二記録工程と、を含み、
前記反転工程は、
前記第一記録工程後で且つ前記第二記録工程前に実行され、
前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体を前記第二載置面に受け渡す受渡工程を含む、インクジェット記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、インクジェット記録装置を開示する。インクジェット記録装置は、カードの表面及び側面に同時に画像を形成する。表面記録用ヘッドのインク吐出方向は、カード表面に対して略直角になる。側面記録用ヘッドのインク吐出方向は、表面記録用ヘッドのインク吐出方向よりカード側面に対してより直角に近い角度となる。表面記録用ヘッド及び側面記録用ヘッドは、プラテン上でカードの送り方向と略直角方向にスキャンしながらインクを吐出する。
【0003】
特許文献2は、板状建材の塗装方法を開示する。塗装方法では、塗装ユニットを用いてインクジェット塗装が行われる。塗装ユニットでは、カラーインクヘッド、クリアインクヘッド、紫外線ライトが順に並べて配置される。塗装方法では、板状建材の表面に着弾したカラーインクの上にクリアインクが吐出される。クリアインクは、カラーインクを覆う。その後、紫外線ライトが照射され、クリアインクが硬化する。塗装ユニットは、板状建材の下方に配置される。塗装ユニットは、板状建材の下面を下方より、カラーインクヘッド及びクリアインクヘッドによるインクジェット塗装及び紫外線ライトによる紫外線照射を順次行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-136459号公報
【文献】特許第5156363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェット記録装置は、各種の記録媒体に柄を高品質に記録することができる。柄は、表裏の関係にある記録媒体の第一記録面及び第二記録面に記録されることがある。例えば、第一記録面が記録媒体の表面である場合、第二記録面は、記録媒体の裏面である。発明者は、記録媒体の第一記録面及び第二記録面にそれぞれ柄が記録された記録媒体をインクジェット記録装置で効率的に生産することができる技術を検討した。その際、発明者は、各種の形状及び特性を有する記録媒体を対象として、これを表裏反転させることができる機構を考えた。即ち、発明者は、記録媒体を変形させることなく記録媒体の表裏を反転可能な機構を考えた。
【0006】
本発明は、表裏の関係にある記録媒体の第一記録面及び第二記録面に柄を記録することができる、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、記録媒体の第一記録面と、前記第一記録面とは表裏の関係となる前記記録媒体の第二記録面と、の第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けてインクを吐出する、インクジェットヘッドと、第一載置面を含み、前記第二記録面が前記第一載置面の側を向いて前記記録媒体が前記第一載置面に載せ置かれる、第一載置台と、第二載置面を含み、前記第一記録面が前記第二載置面の側を向いて前記記録媒体が前記第二載置面に載せ置かれ、前記第一方向に直交する第二方向に前記第一載置台と並んで設けられる、第二載置台と、前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に直交し且つ前記第二方向に沿った第一状態とし、前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に沿い且つ前記第二方向に向かい合った第二状態とする、反転機構と、を備え、前記第一載置台は、前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体を支持する第一支持機を備え、前記第二載置台は、前記第二載置面に載せ置かれた前記記録媒体を支持する第二支持機を備え、前記第一載置台及び前記第二載置台は、前記第二状態である場合、前記第一載置面と前記第二載置面との間に前記記録媒体を含み、前記インクジェットヘッドは、前記記録媒体が前記第一状態の前記第一載置台の前記第一載置面に載せ置かれている場合、前記第一記録面の前記第一方向の第一側で前記第一記録面にインクを吐出し、前記記録媒体が前記第一状態の前記第二載置台の前記第二載置面に載せ置かれている場合、前記第二記録面の前記第一方向の第一側で前記第二記録面にインクを吐出する、インクジェット記録装置である。
【0008】
このインクジェット記録装置によれば、第一記録面に柄を記録した後、記録媒体を表裏反転させ、第二記録面に柄を記録することができる。即ち、記録媒体を第一状態の第一載置台の第一載置面に載せ置き、第一記録面に柄を記録することができる。次に、第一載置台及び第二載置台を第二状態とし、第一載置面に載せ置かれた記録媒体を第二載置面に載せ置くことができる。その後、第一載置台及び第二載置台を第一状態とし、第二載置面に載せ置かれた記録媒体の第二記録面に柄を記録することができる。
【0009】
前記反転機構は、前記第一状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第二状態とする場合、前記第一状態の前記第一載置台で前記第一状態の前記第二載置台の側となる前記第一載置台の前記第二方向の第三側の第一端部と、前記第一状態の前記第二載置台で前記第一状態の前記第一載置台の側となる前記第二載置台の前記第二方向の第四側の第二端部と、を前記第一方向の第二側に移動させ、前記第一端部を前記第一方向の第二側に移動させる場合、前記第一端部とは反対側の前記第一載置台の第三端部を前記第二方向の第三側に移動させ、前記第二端部を前記第一方向の第二側に移動させる場合、前記第二端部とは反対側の前記第二載置台の第四端部を前記第二方向の第四側に移動させ、前記第二状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一状態とする場合、前記第一端部と、前記第二端部と、を前記第一方向の第一側に移動させ、前記第一端部を前記第一方向の第一側に移動させる場合、前記第三端部を前記第二方向の第四側に移動させ、前記第二端部を前記第一方向の第一側に移動させる場合、前記第四端部を前記第二方向の第三側に移動させる、ようにしてもよい。
【0010】
この構成によれば、第一状態の第一載置台及び第二載置台を第二状態とし、第二状態の第一載置台及び第二載置台を第一状態とすることができる。第一載置台及び第二載置台を第二状態とした場合、第二状態の第一載置台及び第二載置台の第一方向の位置が第一状態の第一載置台及び第二載置台に対して第一方向の第一側に移動することを抑制することができる。インクジェットヘッドの第一方向の位置を第一側に移動させることなく、第二状態の第一載置台及び第二載置台とインクジェットヘッドとの接触を防止することができる。
【0011】
前記第一支持機は、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第一載置面に対する前記記録媒体の支持を終了し、前記第二支持機は、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第二載置面に対する前記記録媒体の支持を開始する、ようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、第二状態の第一載置台及び第二載置台で、記録媒体を第一載置面から第二載置面に自動的に受け渡すことができる。
【0013】
本発明の他の側面は、インクジェット記録装置の第一載置台と、第一方向に直交する第二方向に前記第一載置台と並んで設けられる前記インクジェット記録装置の第二載置台と、を前記第一載置台の第一載置面及び前記第二載置台の第二載置面が前記第一方向に直交し且つ前記第二方向に沿った第一状態から、前記第一載置面及び前記第二載置面が前記第一方向に沿い且つ前記第二方向に向かい合った第二状態とし、更に、前記第二状態の前記第一載置台及び前記第二載置台を前記第一状態とする、反転工程と、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第一状態である場合、記録媒体の第一記録面とは表裏の関係となる前記記録媒体の第二記録面が前記第一載置面の側となり且つ前記第一記録面が前記第一方向の第一側を向いて前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体の前記第一記録面の前記第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けて前記インクジェット記録装置のインクジェットヘッドからインクを吐出する、第一記録工程と、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第一状態である場合、前記第一記録面が前記第二載置面の側となり且つ前記第二記録面が前記第一方向の第一側を向いて前記第二載置面に載せ置かれた前記記録媒体の前記第二記録面の前記第一方向の第一側で前記第一方向の第二側に向けて前記インクジェットヘッドからインクを吐出する、第二記録工程と、を含み、前記反転工程は、前記第一記録工程後で且つ前記第二記録工程前に実行され、前記第一載置台及び前記第二載置台が前記第二状態である場合、前記第一載置面に載せ置かれた前記記録媒体を前記第二載置面に受け渡す受渡工程を含む、インクジェット記録方法である。
【0014】
このインクジェット記録方法によれば、第一記録面に柄を記録した後、記録媒体を表裏反転させ、第二記録面に柄を記録することができる。即ち、記録媒体を第一状態の第一載置台の第一載置面に載せ置き、第一記録面に柄を記録することができる。次に、第一載置台及び第二載置台を第二状態とし、第一載置面に載せ置かれた記録媒体を第二載置面に載せ置くことができる。その後、第一載置台及び第二載置台を第一状態とし、第二載置面に載せ置かれた記録媒体の第二記録面に柄を記録することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、表裏の関係にある記録媒体の第一記録面及び第二記録面に柄を記録することができる、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録方法の第一記録工程を示す。
図2】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録方法の反転工程を示す。
図3】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。反転工程を示す。
図4】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録方法の第三記録工程を示す。
図5】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。反転工程を示す。
図6】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。インクジェット記録方法の第二記録工程を示す。
図7】第一載置台、第二載置台及び反転機構の概略構成の一例を示す斜視図である。第一載置台の第一支持機の第一吸着パッド及び第二載置台の第二支持機の第二吸着パッドを示す。記録媒体の第二記録面に対して吸着状態である第一吸着パッドを示す。記録媒体の第一記録面に対して非吸着状態である第二吸着パッドを示す。
図8】反転工程の受渡工程の概略構成の一例を示す側面断面図である。記録媒体が第一支持機によって支持されている状態を示す。
図9】受渡工程の概略構成の一例を示す側面断面図である。記録媒体が第一載置面から第二載置面に受け渡され、第二支持機によって支持されている状態を示す。
図10】反転機構の第一移動機の概略構成の他の例を一部を省略して示す平面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。各図面は、他の図面との対応が正確ではない場合もある。ハッチングは、切断面を示す。一点鎖線は中心線であり、二点鎖線は想像線である。
【0018】
<インクジェット記録装置10>
インクジェット記録装置10について、図1~9を参照して説明する。実施形態では、インクジェット記録装置10を特定するための方向を、第一方向、第二方向及び第三方向という。第二方向は、第一方向に直交する。第三方向は、第一方向及び第二方向の両方向に直交する。第一方向を鉛直方向とする。この場合、第二方向及び第三方向は水平方向となる。第一方向の一方側を「第一側」といい、第一方向の他方側を「第二側」という。第一方向の第一側を鉛直方向の上側とし、第一方向の第二側を鉛直方向の下側とする。第二方向の一方側を「第三側」といい、第二方向の他方側を「第四側」という。第三方向の一方側を「第五側」といい、第三方向の他方側を「第六側」という。
【0019】
インクジェット記録装置10は、インクジェット記録方法を実行する(図1~6,8,9参照)。インクジェット記録装置10は、インクジェット記録方法を実行することで、記録媒体90に柄を記録する(図1,4,6参照)。インクジェット記録方法については後述する。記録媒体90は、プレート材又はボード材であってもよい。記録媒体90の材質は、樹脂、金属、石膏又は木(木質)であってもよく、又は前述の材料のうちの2種以上の複合材であってもよい。記録媒体90の例としては、建築用資材が挙げられる。建築用資材の例としては、建物の内装材及び外装材が挙げられる。
【0020】
実施形態では、記録媒体90として、直方体形状の記録媒体を例示する。柄が記録される記録媒体90の面を「第一記録面91」、「第二記録面92」及び「第三記録面93」という。第二記録面92は、第一記録面91と表裏の関係にある。例えば、第一記録面91は、記録媒体90の表面であり、第二記録面92は、記録媒体90の裏面である。記録媒体90が直方体形状を有する場合、第三記録面93は、記録媒体90の4つある外周面のうちの1面である。第三記録面93は、第一記録面91と第二記録面92とに繋がる。記録媒体90は、直方体形状とは異なる形状であってもよい。例えば、記録媒体90は、少なくとも第一記録面91及び第二記録面92を有し、且つこれらの外形が三角形、長方形以外の四角形又は五角形以上の多角形、円形、半円形、楕円形及び半楕円形である形状であってもよい。即ち、インクジェット記録装置10は、少なくとも第一記録面91及び第二記録面92を有し、且つこれらの外形が任意の形状である記録媒体90を対象とすることができる。
【0021】
インクジェット記録装置10は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のインクを用いて柄を記録する。但し、柄の記録には、これら各色のインクとは異なる色のインクを用いてもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。図1で第一記録面91の一部に示す模様、図2で第一記録面91の全面に示す模様、図4で第三記録面93の一部に示す模様、及び図6で第二記録面92の一部に示す模様は、記録済みの柄に対応する。
【0022】
インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kと、キャリッジ22と、第一載置台25と、第二載置台30と、反転機構50と、走査機構70と、搬送機構80とを備える(図1~6参照)。
【0023】
インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、第一記録面91、第二記録面92及び第三記録面93の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクを吐出する(図1,4,6参照)。インクジェットヘッド20Yは、イエローインクを吐出し、イエローインクによって第一記録面91、第二記録面92及び第三記録面93に柄を記録する。インクジェットヘッド20Mは、マゼンタインクを吐出し、マゼンタインクによって第一記録面91、第二記録面92及び第三記録面93に柄を記録する。インクジェットヘッド20Cは、シアンインクを吐出し、シアンインクによって第一記録面91、第二記録面92及び第三記録面93に柄を記録する。インクジェットヘッド20Kは、ブラックインクを吐出し、ブラックインクによって第一記録面91、第二記録面92及び第三記録面93に柄を記録する。
【0024】
インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、同様の構成を有する。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、複数のノズルを有する。複数のノズルは、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの吐出面に設けられる。吐出面は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの第一方向の第二側の面である。複数のノズルは、第二方向に配列される。吐出面の第一方向の位置は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kで同じとなる。図1~6では、ノズル及び吐出面の図示は省略する。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kとしては、公知のインクジェットヘッドを採用することができる。従って、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kに関するこの他の説明は省略する。
【0025】
キャリッジ22には、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kが搭載される(図1~6参照)。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、キャリッジ22上で第三方向に隣り合う。第三方向におけるインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの配列順序は、図1~6とは異なっていてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0026】
第一載置台25は、第一載置面26を含む(図1,2,5~9参照)。第一載置面26には、第二記録面92が第一載置面26の側を向いて記録媒体90が載せ置かれる(図1,2,8参照)。第二載置台30は、第二載置面31を含む(図1~9参照)。第二載置面31には、第一記録面91が第二載置面31の側を向いて記録媒体90が載せ置かれる(図5,6,9参照)。第二載置台30は、第二方向に第一載置台25と並んで設けられる(図1~9参照)。第一載置台25及び第二載置台30は、第一状態及び第二状態となる。第一状態では、第一載置面26及び第二載置面31は、第一方向に直交し且つ第二方向に沿う(図1,6,7参照)。更に、第一状態では、第一載置面26及び第二載置面31は、第三方向に沿う(図1,6,7参照)。第二状態では、第一載置面26及び第二載置面31は、第一方向に沿い且つ第二方向に向かい合う(図3,4,8,9参照)。実施形態では、第一状態では、第一載置面26及び第二載置面31は水平面となり、第二状態では、第一載置面26及び第二載置面31は鉛直面となる。第一載置台25及び第二載置台30は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第一載置面26と第二載置面31との間に記録媒体90を含む(図3,4,8,9参照)。
【0027】
第一載置台25は、第一本体27と、第一支持機35とを備え、第二載置台30は、第二本体32と、第二支持機40とを備える(図7~9参照)。第一本体27は、第一支持機35を除く第一載置台25の部分である。第二本体32は、第二支持機40を除く第二載置台30の部分である。第一本体27は、第一載置面26を含み、第二本体32は、第二載置面31を含む。第一状態の第一載置台25及び第二載置台30を基準とする。この場合、第一本体27の第一方向の第一側の面が第一載置面26となり、第二本体32の第一方向の第一側の面が第二載置面31となる(図7参照)。図1~6では、第一支持機35及び第二支持機40の図示は省略し、第一載置台25及び第二載置台30(第一本体27及び第二本体32)の図示は簡略化する。
【0028】
第一支持機35は、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を支持する(図1,7,8参照)。第二支持機40は、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90を支持する(図6,9参照)。第一載置台25及び第二載置台30は、吸引方式の第一支持機35及び第二支持機40を採用する。但し、第一支持機35及び第二支持機40は、吸引方式とは異なる支持方式を採用してもよい。吸引方式とは異なる支持方式の例としては、静電方式が挙げられる。この他、支持方式は、次のような機械的方式であってもよい。機械的方式の例としては、ベルトのような締結具を用いた方式、及び爪状のチャッキング部材を用いた方式が挙げられる。第一支持機35及び第二支持機40が採用する支持方式は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0029】
第一支持機35は、第一吸着パッド36と、第一流路39とを備え、第二支持機40は、第二吸着パッド41と、第二流路44とを備える(図7~9参照)。第一支持機35及び第二支持機40は、吸引装置45と、共通流路46と、切換弁47とを備える(図8,9参照)。第一支持機35及び第二支持機40は、吸引装置45、共通流路46及び切換弁47を共有する。図8,9では、単一の吸引装置に対し2つの符号「45」を付し、また、単一の共通流路に対し2つの符号「46」を付し、更に、単一の切換弁に対し2つの符号「47」を付している。このような符号の付し方は、吸引装置45、共通流路46及び切換弁47が第一支持機35及び第二支持機40で共有されていることを示す。
【0030】
第一支持機35は、4個の第一吸着パッド36を備え、第二支持機40は、4個の第二吸着パッド41を備える(図7参照)。但し、第一吸着パッド36の数及び第二吸着パッド41の数は、3個以下又は5個以上としてもよい。第二吸着パッド41の数は、第一吸着パッド36の数と異ならせてもよい。第二支持機40での第二吸着パッド41の配置は、第一支持機35での第一吸着パッド36の配置と対称とされる(図7~9参照)。但し、第二支持機40での第二吸着パッド41の配置は、第一支持機35での第一吸着パッド36の配置と同じとしてもよく又は異ならせてもよい。第二吸着パッド41は、第一吸着パッド36と同じ吸着パッドである(図7~9参照)。但し、第二吸着パッド41は、第一吸着パッド36とは異なる吸着パッドであってもよい。第一吸着パッド36の数、配置及び種類(例えば、形状)及び第二吸着パッド41の数、配置及び種類(例えば、形状)は、諸条件を考慮して適宜決定される。例えば、前述の決定には、記録媒体90の形状及び質量の一方又は両方が考慮される。図7では、第一流路39、第二流路44、吸引装置45、共通流路46及び切換弁47の図示は省略する。
【0031】
第一吸着パッド36は、第一本体27に設けられ、第二吸着パッド41は、第二本体32に設けられる(図7~9参照)。第一吸着パッド36は、第一吸着端37で第二記録面92に接し、これに吸着する(図7,8参照)。第二吸着パッド41は、第二吸着端42で第一記録面91に接し、これに吸着する(図9参照)。第一吸着パッド36が第二記録面92に吸着していない場合、第一吸着端37は、第一載置面26から突出する(図9参照)。第二吸着パッド41が第一記録面91に吸着していない場合、第二吸着端42は、第二載置面31から突出する(図7,8参照)。第一吸着パッド36は、第一吸着端37に第一吸引口38を有し、第二吸着パッド41は、第二吸着端42に第二吸引口43を有する(図7~9参照)。
【0032】
第一吸着パッド36及び第二吸着パッド41の材質の例としては、ゴムが挙げられる。但し、第一吸着パッド36及び第二吸着パッド41は、ゴムとは異なる弾性体製であってもよい。ゴムとは異なる弾性体の例としては、エラストマーが挙げられる。第一吸着パッド36は、第一本体27の厚さ方向に変形する。第二吸着パッド41は、第二本体32の厚さ方向に変形する。第一本体27及び第二本体32の厚さ方向は、第一載置台25及び第二載置台30が第一状態である場合、第一方向に一致し(図1,6,7参照)、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第二方向に一致する(図3,4,8,9参照)。実施形態では、第一本体27及び第二本体32の厚さ方向を単に「厚さ方向」という。第一吸着パッド36が厚さ方向に変形することで、第二記録面92は、第一載置面26に接する(図7,8参照)。第二吸着パッド41が厚さ方向に変形することで、第一記録面91は、第二載置面31に接する(図9参照)。
【0033】
吸引装置45は、エアを吸引する。吸引装置45は、電動機を備える。電動機の回転軸には、ファンが取り付けられる。ファンは、電動機の駆動に伴い回転する。これに伴い、吸引装置45は、エアを吸引する。吸引装置45としては、公知の吸引装置を採用することができる。従って、吸引装置45に関するこの他の説明は省略する。
【0034】
第一流路39は、複数の第一吸着パッド36と切換弁47とを接続する。第二流路44は、複数の第二吸着パッド41と切換弁47とを接続する。共通流路46は、切換弁47と吸引装置45とを接続する。
【0035】
切換弁47は、スリーブ48内でスプール49を移動させることで、次の第一態様又は第二態様へと切り換わる(図8,9参照)。第一態様では、第一流路39が共通流路46と通じ、第二流路44は共通流路46と通じない(図8参照)。第二態様では、第二流路44が共通流路46と通じ、第一流路39は共通流路46と通じない(図9参照)。切換弁47としては、公知の電磁弁を採用することができる。実施形態では、第一支持機35及び第二支持機40は、切換弁47として公知の3方電磁弁を採用する(図8,9参照)。但し、切換弁47は、3方電磁弁とは異なる公知の電磁弁としてもよい。切換弁47として採用する電磁弁は、諸条件を考慮して適宜決定される。図8,9では、切換弁47の図示は簡略化する。
【0036】
実施形態では、第一支持機35は、4個の第一吸着パッド36を備え、第二支持機40は、4個の第二吸着パッド41を備える。第一流路39及び第二流路44は、次の側から切換弁47の側に、4本-2本-1本の態様で順次合流する構造としてもよく、又は4本-1本の態様で合流する構造としてもよい。前述の側は、第一流路39では第一吸着パッド36の側であり、第二流路44では第二吸着パッド41の側である。第一流路39の構造及び第二流路44の構造は、諸条件を考慮して適宜決定される。但し、第一流路39及び第二流路44は、同一構造とすることが好ましい。第一流路39及び第二流路44は、流路径及び流路長を等しくすることが好ましい。第一流路39及び第二流路44を同じ流路とすることで、次の第一吸引力及び第二吸引力を等しくすることができる。第一吸引力は、第一載置面26上の記録媒体90に作用する。第一支持機35は、第一吸引力を発生する。第二吸引力は、第二載置面31上の記録媒体90に作用する。第二支持機40は、第二吸引力を発生する。
【0037】
第一載置台25は、第一回転軸28と、第三回転軸29とを備える。第一回転軸28は、第三方向に沿った回転軸心L1を軸心とする。第三回転軸29は、第三方向に沿った回転軸心L3を軸心とする。第一回転軸28は、第一載置台25(第一本体27)の第一端部に設けられる。第一載置台25(第一本体27)の第一端部は、第一状態の第一載置台25で第一状態の第二載置台30の側(第二方向の第三側)となる。更に、第一回転軸28は、第一載置台25(第一本体27)の第三方向の第五側及び第六側に設けられる。第三回転軸29は、第一載置台25(第一本体27)の第三端部に設けられる。第一載置台25(第一本体27)の第三端部は、第一端部とは反対側となる。更に、第三回転軸29は、第一載置台25(第一本体27)の第三方向の第五側及び第六側に設けられる。
【0038】
第二載置台30は、第二回転軸33と、第四回転軸34とを備える。第二回転軸33は、第三方向に沿った回転軸心L2を軸心とする。第四回転軸34は、第三方向に沿った回転軸心L4を軸心とする。第二回転軸33は、第二載置台30(第二本体32)の第二端部に設けられる。第二載置台30(第二本体32)の第二端部は、第一状態の第二載置台30で第一状態の第一載置台25の側(第二方向の第四側)となる。更に、第二回転軸33は、第二載置台30(第二本体32)の第三方向の第五側及び第六側に設けられる。第四回転軸34は、第二載置台30(第二本体32)の第四端部に設けられる。第二載置台30(第二本体32)の第四端部は、第二端部とは反対側となる。更に、第四回転軸34は、第二載置台30(第二本体32)の第三方向の第五側及び第六側に設けられる。
【0039】
反転機構50は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とし、第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とする(図1~6参照)。反転機構50は、第一移動機51と、第一ガイド60と、第二ガイド65とを備える。反転機構50は、第一移動機51、第一ガイド60及び第二ガイド65として後述する直動機構を採用する。
【0040】
第一移動機51は、第一載置台25及び第二載置台30を第一方向に往復移動させる。第一移動機51は、この往復移動のための駆動力を発生する。第一移動機51は、第一載置台25及び第二載置台30に対して次の位置に設けられる(図1~7参照)。前述の位置は、第一載置台25の第二方向の第三側で且つ第二載置台30の第二方向の第四側である。更に、前述の位置は、第一載置台25及び第二載置台30の第三方向の第五側及び第六側である。
【0041】
第一移動機51は、ボールねじ52と、第一モータ55とを備える(図1~7参照)。ボールねじ52は、ねじ軸53と、ナット54とを備える。ねじ軸53は、第一方向に沿って設けられる。ナット54は、ねじ軸53の回転に応じて第一方向に往復移動する。実施形態では、ボールねじ52は、右ねじとする。ねじ軸53の回転方向に関し、「右回り」及び「左回り」は、第一方向の第二側(第一モータ55の側)からねじ軸53を見た場合を基準とする。
【0042】
第一モータ55は、ねじ軸53に連結される。第一モータ55は、ねじ軸53を回転させる。第一モータ55の例としては、エンコーダ付のサーボモータが挙げられる。ナット54は、第一モータ55がねじ軸53を右回りに回転させた場合、第一方向の第二側に移動し、第一モータ55がねじ軸53を左回りに回転させた場合、第一方向の第一側に移動する。2個の第一モータ55は、同期駆動される。2個のナット54は、第一方向の同じ側に同じ量だけ移動し、第一方向の同じ位置に配置される。
【0043】
第一移動機51は、第一部品56と、第二部品57とを備える。第一部品56は、ナット54の第二方向の第四側に設けられる。第二部品57は、ナット54の第二方向の第三側に設けられる。第一部品56及び第二部品57は、別部材であってもよく(図1~7参照)、又は単一部材であってもよい(不図示)。第一部品56は、第一回転軸28を回転自在に支持する。第二部品57は、第二回転軸33を回転自在に支持する。第一移動機51は、ナット54と共に第一部品56及び第二部品57を第一方向に往復移動させることで、第一載置台25及び第二載置台30を第一方向に往復移動させる。
【0044】
ボールねじ52としては、公知のボールねじを採用することができる。第一モータ55としては、上述したような公知のモータを採用することができる。従って、第一移動機51に関するこの他の説明は省略する。第一移動機51は、ボールねじ52及び第一モータ55とは異なる直動機構としてもよい。ボールねじ52及び第一モータ55とは異なる直動機構の例としては、油圧シリンダ、電動シリンダ、エアシリンダ及びリニアモータが挙げられる。
【0045】
第一ガイド60は、第一移動機51による第一載置台25の第一方向への往復移動に従動する第一載置台25の第二方向への往復移動をガイドする。第一ガイド60は、第一載置台25に対して次の位置に設けられる(図1~7参照)。前述の位置は、第一載置台25の第三方向の第五側及び第六側である。第一ガイド60は、リニアガイドであり、第一ガイドレール61と、第一ブロック62とを備える(図1~7参照)。第一ガイドレール61は、第一載置台25の第三方向の第五側及び第六側に第二方向に沿って設けられる。第一ブロック62は、第一ブロック62に作用する第二方向の外力に従って第一ガイドレール61上を第二方向に往復移動する。第一ガイド60は、第三部品63を備える。第三部品63は、第一ブロック62の第一方向の第一側に設けられる。第三部品63は、第二回転軸33を回転自在に支持する。
【0046】
第一ガイド60としては、公知のリニアガイドを採用することができる。従って、第一ガイド60に関するこの他の説明は省略する。第一ガイド60は、リニアガイドとは異なる直動機構としてもよい。リニアガイドとは異なる直動機構の例としては、シャフト及びリニアブッシュの組み合わせが挙げられる。
【0047】
第二ガイド65は、第一移動機51による第二載置台30の第一方向への往復移動に従動する第二載置台30の第二方向への往復移動をガイドする。第二ガイド65は、第二載置台30に対して次の位置に設けられる(図1~7参照)。前述の位置は、第二載置台30の第三方向の第五側及び第六側である。第二ガイド65は、リニアガイドであり、第二ガイドレール66と、第二ブロック67とを備える(図1~7参照)。第二ガイドレール66は、第二載置台30の第三方向の第五側及び第六側に第二方向に沿って設けられる。第二ブロック67は、第二ブロック67に作用する第二方向の外力に従って第二ガイドレール66上を第二方向に往復移動する。第二ガイド65は、第四部品68を備える。第四部品68は、第二ブロック67の第一方向の第一側に設けられる。第四部品68は、第四回転軸34を回転自在に支持する。
【0048】
第二ガイド65としては、公知のリニアガイドを採用することができる。従って、第二ガイド65に関するこの他の説明は省略する。第二ガイド65は、リニアガイドとは異なる直動機構としてもよい。リニアガイドとは異なる直動機構の例としては、シャフト及びリニアブッシュの組み合わせが挙げられる。
【0049】
第一載置台25及び第二載置台30が第一状態であるとする(図1参照)。第一移動機51でナット54が第一方向の第二側に移動するとする(図1~3参照)。この場合、第一載置台25には、水平成分の力として第二方向の第三側向きの力が作用し、第二載置台30には、水平成分の力として第二方向の第四側向きの力が作用する。第一載置台25に作用する第二方向の第三側向きの力は、第三部品63を介して第一ブロック62にも作用する。第一ブロック62は、第三部品63と共に第一ガイドレール61上を第二方向の第三側に移動する。第二載置台30に作用する第二方向の第四側向きの力は、第四部品68を介して第二ブロック67にも作用する。第二ブロック67は、第四部品68と共に第二ガイドレール66上を第二方向の第四側に移動する。第一載置台25は、第一方向の第二側に移動しつつ、第一ガイド60にガイドされた状態で第二方向の第三側に移動し、第二載置台30は、第一方向の第二側に移動しつつ、第二ガイド65にガイドされた状態で第二方向の第四側に移動する(図2参照)。これに伴い、第一状態の第一載置台25及び第二載置台30は、第二状態となる(図3参照)。
【0050】
第一載置台25及び第二載置台30が第二状態であるとする(図3,4参照)。第一移動機51でナット54が第一方向の第一側に移動するとする(図4~6参照)。この場合、第一載置台25には、水平成分の力として第二方向の第四側向きの力が作用し、第二載置台30には、水平成分の力として第二方向の第三側向きの力が作用する。第一載置台25に作用する第二方向の第四側向きの力は、第三部品63を介して第一ブロック62にも作用する。第一ブロック62は、第三部品63と共に第一ガイドレール61上を第二方向の第四側に移動する。第二載置台30に作用する第二方向の第三側向きの力は、第四部品68を介して第二ブロック67にも作用する。第二ブロック67は、第四部品68と共に第二ガイドレール66上を第二方向の第三側に移動する。第一載置台25は、第一方向の第一側に移動しつつ、第一ガイド60にガイドされた状態で第二方向の第四側に移動し、第二載置台30は、第一方向の第一側に移動しつつ、第二ガイド65にガイドされた状態で第二方向の第三側に移動する(図5参照)。これに伴い、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30は、第一状態となる(図6参照)。
【0051】
走査機構70は、キャリッジ22を第三方向に往復移動させる。走査機構70は、プーリ71,72と、タイミングベルト73と、第二モータ74とを備える(図1~6参照)。プーリ71は、第三方向の第五側に設けられる。プーリ72は、第三方向の第六側に設けられる。タイミングベルト73は、張力が作用した状態でプーリ71,72に架け渡される。タイミングベルト73には、キャリッジ22がステー23を介して取り付けられる。第二モータ74は、プーリ71に連結される。第二モータ74の例としては、エンコーダ付のサーボモータが挙げられる。第二モータ74は、プーリ71を回転させる。図1でプーリ71の外周に示す右回りの矢印は、プーリ71が右回転していることを示す。図4,6でプーリ71の外周に示す左回りの矢印は、プーリ71が左回転していることを示す。走査機構70は、第五部品75と、第六部品76とを備える。第五部品75は、第二モータ74を支持する。第六部品76は、プーリ72を回転自在に支持する。
【0052】
走査機構70は、プーリ71,72、タイミングベルト73及び第二モータ74とは異なる機構であってもよい。プーリ71,72、タイミングベルト73及び第二モータ74とは異なる機構の例としては、リニアモータが挙げられる。走査機構70がリニアモータであるとする。この場合、リニアモータの固定子は、プーリ71,72及びタイミングベルト73と同様、第三方向に設けられる。リニアモータの可動子には、キャリッジ22が所定のステーを介して取り付けられる。
【0053】
搬送機構80は、第一載置台25及び第二載置台30とインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kとを第二方向に相対移動させる。但し、実施形態では、搬送機構80は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kを第二方向に移動させる。搬送機構80は、第二移動機81と、第三ガイド85とを備える(図1~6参照)。搬送機構80は、インクジェット記録装置10の架台15,16に設けられる。第二移動機81は、架台15上に設けられ、第三ガイド85は、架台16上に設けられる。架台15は、第三方向の第五側で第二方向に沿って設けられる。架台16は、第三方向の第六側で第二方向に沿って設けられる。架台16は、架台15と所定の距離離間して第三方向に隣り合う。従って、第三ガイド85は、第二移動機81と第三方向に並んで設けられる。架台15,16の間には、第一載置台25、第二載置台30及び反転機構50が設けられる。
【0054】
第二移動機81は、リニアモータであり、固定子82と、可動子83とを備える(図1~6参照)。固定子82は、架台15の第一方向の第一側に第二方向に沿って設けられる。可動子83は、固定子82との間で可動子83に作用する推進力によって固定子82上を第二方向に往復移動する。第三ガイド85は、リニアガイドであり、第三ガイドレール86と、第三ブロック87とを備える(図1~6参照)。第三ガイドレール86は、架台16の第一方向の第一側に第二方向に沿って設けられる。第三ブロック87は、第三ブロック87に作用する第二方向の外力に従って第三ガイドレール86上を第二方向に往復移動する。
【0055】
可動子83の第一方向の第一側に第五部品75が設けられ、第三ブロック87の第一方向の第一側に第六部品76が設けられる。搬送機構80は、走査機構70の第三方向の第五側を支持し、走査機構70の第三方向の第六側を支持する。第二移動機81は、可動子83の第二方向への移動に伴い走査機構70を第二方向に移動させる。第三ガイド85は、この走査機構70の第二方向への移動をガイドする。搬送機構80は、走査機構70を第二方向の第三側及び第四側に移動させることができる。搬送機構80は、走査機構70を第二方向に移動させることで、タイミングベルト73に取り付けられたキャリッジ22と共にインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kを第二方向に移動させる。搬送機構80による走査機構70の第二方向への移動は、搬送機構80によるインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの第二方向への移動を含む。
【0056】
第二移動機81としては、公知のリニアモータを採用することができる。従って、第二移動機81に関するこの他の説明は省略する。第二移動機81は、リニアモータとは異なる直動機構としてもよい。リニアモータとは異なる直動機構の例としては、ボールねじ及びモータの組み合わせが挙げられる。第三ガイド85としては、公知のリニアガイドを採用することができる。従って、第三ガイド85に関するこの他の説明は省略する。第三ガイド85は、リニアガイドとは異なる直動機構としてもよい。リニアガイドとは異なる直動機構の例としては、シャフト及びリニアブッシュの組み合わせが挙げられる。
【0057】
<インクジェット記録方法>
インクジェット記録方法について、図1~9を参照して説明する。インクジェット記録方法は、反転工程(図2,3,5参照)と、第一記録工程(図1参照)と、第二記録工程(図6参照)とを含む。反転工程は、第一記録工程後で且つ第二記録工程前に実行される。この他、インクジェット記録方法は、第三記録工程(図4参照)を含む。第三記録工程は、反転工程の途中に実行される。但し、第三記録工程は省略してもよい。柄の記録対象が第一記録面91及び第二記録面92である場合、第三記録工程は省略される。実施形態では、説明の便宜上、第一記録工程後で且つ第三記録工程前に実行される反転工程を「第一反転工程」(図1~3参照)といい、第三記録工程後で且つ第二記録工程前に実行される反転工程を「第二反転工程」(図4~6参照)という。
【0058】
反転工程は、受渡工程を含む(図8,9参照)。受渡工程は、第一反転工程後で且つ第二反転工程前に実行される。受渡工程は、第三記録工程後で且つ第二反転工程前に実行されてもよく、又は第一反転工程後で且つ第三記録工程前に実行されてもよい。第三記録工程に対する受渡工程の実行順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0059】
第一記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態として実行される(図1参照)。記録媒体90は、第二記録面92が第一載置面26の側となり且つ第一記録面91が第一方向の第一側を向いて第一載置面26に載せ置かれる。
【0060】
インクジェット記録装置10では、インクジェット記録方法の開始前、第一載置台25及び第二載置台30が第一状態とされる。続けて、記録媒体90が第一状態の第一載置台25にセットされる。4個の第一吸着パッド36は、第一吸着端37で第一載置台25にセットされた記録媒体90の第二記録面92に接する。記録媒体90は、4個の第一吸引口38を塞ぐ。切換弁47は、上述した第一態様となる(図8参照。但し、図8は第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合を示す)。吸引装置45は、駆動し、次の第一空間内のエアの吸引を開始する。第一空間は、4個の第一吸着パッド36の内部空間と、切換弁47を介して通じる第一流路39及び共通流路46内の空間とを含む。第一空間内の圧力は低下する。
【0061】
4個の第一吸着パッド36は、吸引装置45によるエアの吸引開始に伴い第二記録面92に吸着する。4個の第一吸着パッド36は、第二記録面92への吸着に伴い第一方向の第二側に圧縮する(図7,8参照。但し、図8は第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合を示す)。第一吸着パッド36が第一方向の第二側に圧縮することで、記録媒体90は、第一方向の第二側に引き寄せられる。第一支持機35は、第一載置面26に対する記録媒体90の支持を開始する(図8参照)。第一吸着パッド36は、第一吸着端37が第一載置面26と一致する位置まで圧縮させることが好ましい(図7,8参照。但し、図8は前述の通りである)。第一吸着パッド36を第一方向の第二側に前述の位置まで圧縮させることで、第二記録面92を第一載置面26に接させることができる。
【0062】
その後、インクジェット記録方法が開始される。第一記録工程は、記録媒体90の第一記録面91の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する。即ち、インクジェットヘッド20Yは、イエローインクを吐出する。インクジェットヘッド20Mは、マゼンタインクを吐出する。インクジェットヘッド20Cは、シアンインクを吐出する。インクジェットヘッド20Kは、ブラックインクを吐出する。各色のインクは、第一記録面91に着弾する。これに伴い、第一記録面91に柄が記録される。第一記録工程の開始前、インクジェット記録装置10は、走査機構70及び搬送機構80を駆動させ、キャリッジ22を第一記録工程の開始位置として設定した位置へと移動させる。
【0063】
第一反転工程は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態から第二状態とする(図1~3参照)。第一反転工程では、インクジェット記録装置10は、第一移動機51を駆動する。即ち、第一モータ55は、ねじ軸53を右回りに回転させる。第一モータ55によるねじ軸53の回転量は、次の第一回転量に設定される。第一回転量は、第一載置面26及び第二載置面31を水平面から鉛直面とするのに必要な右回りの値である。前述の値の例としては、回転角が挙げられる。
【0064】
ナット54は、第一モータ55によるねじ軸53の右回りの回転に応じて第一方向の第二側に移動する。第一載置台25は、第一部品56に対して第一回転軸28が回転しつつ、ナット54の第一方向の第二側への移動に伴い第一方向の第二側に移動する。更に、第一載置台25は、第三部品63に対して第三回転軸29が回転しつつ、ナット54の第一方向の第二側への移動に従動して第二方向の第三側に移動する。第二載置台30は、第二部品57に対して第二回転軸33が回転しつつ、ナット54の第一方向の第二側への移動に伴い第一方向の第二側に移動する。更に、第二載置台30は、第四部品68に対して第四回転軸34が回転しつつ、ナット54の第一方向の第二側への移動に従動して第二方向の第四側に移動する。
【0065】
即ち、反転機構50は、第一反転工程で、第一載置台25の第一端部と第二載置台30の第二端部とを第一方向の第二側に移動させる。更に、反転機構50は、第一載置台25の第一端部を第一方向の第二側に移動させる場合、第一載置台25の第三端部を第二方向の第三側に移動させ、第二載置台30の第二端部を第一方向の第二側に移動させる場合、第二載置台30の第四端部を第二方向の第四側に移動させる。
【0066】
第一反転工程の開始前、インクジェット記録装置10は、搬送機構80を駆動させ、走査機構70及びキャリッジ22を第一載置台25及び第二載置台30から離間する第二方向の所定の位置に移動させてもよい(図2,3参照)。
【0067】
第三記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30を第二状態として実行される(図4参照)。記録媒体90は、第一載置面26と第二載置面31との間に含まれる。第二状態での第一載置台25、第二載置台30及び記録媒体90の第一方向の配置に関し、記録媒体90は、第三記録面93が第一本体27の第一方向の第一側の面及び第二本体32の第一方向の第一側の面より第一方向の第一側となる位置に設けてもよい(図8,9参照)。第三記録工程は、記録媒体90の第三記録面93の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する。即ち、インクジェットヘッド20Yは、イエローインクを吐出する。インクジェットヘッド20Mは、マゼンタインクを吐出する。インクジェットヘッド20Cは、シアンインクを吐出する。インクジェットヘッド20Kは、ブラックインクを吐出する。各色のインクは、第三記録面93に着弾する。これに伴い、第三記録面93に柄が記録される。第三記録工程の開始前、インクジェット記録装置10は、走査機構70及び搬送機構80を駆動させ、キャリッジ22を第三記録工程の開始位置として設定した位置へと移動させる。
【0068】
第二反転工程は、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とする(図4~6参照)。第二反転工程では、インクジェット記録装置10は、第一移動機51を駆動する。即ち、第一モータ55は、ねじ軸53を左回りに回転させる。第一モータ55によるねじ軸53の回転量は、次の第二回転量に設定される。第二回転量は、第一載置面26及び第二載置面31を鉛直面から水平面とするのに必要な左回りの値である。前述の値の例としては、第一反転工程の第一回転量と同様、回転角が挙げられる。第二回転量は、第一回転量とは逆方向の同一値である。
【0069】
ナット54は、第一モータ55によるねじ軸53の左回りの回転に応じて第一方向の第一側に移動する。第一載置台25は、第一部品56に対して第一回転軸28が回転しつつ、ナット54の第一方向の第一側への移動に伴い第一方向の第一側に移動する。更に、第一載置台25は、第三部品63に対して第三回転軸29が回転しつつ、ナット54の第一方向の第一側への移動に従動して第二方向の第四側に移動する。第二載置台30は、第二部品57に対して第二回転軸33が回転しつつ、ナット54の第一方向の第一側への移動に伴い第一方向の第一側に移動する。更に、第二載置台30は、第四部品68に対して第四回転軸34が回転しつつ、ナット54の第一方向の第一側への移動に従動して第二方向の第三側に移動する。
【0070】
即ち、反転機構50は、第二反転工程で、第一載置台25の第一端部と第二載置台30の第二端部とを第一方向の第一側に移動させる。更に、反転機構50は、第一載置台25の第一端部を第一方向の第一側に移動させる場合、第一載置台25の第三端部を第二方向の第四側に移動させ、第二載置台30の第二端部を第一方向の第一側に移動させる場合、第二載置台30の第四端部を第二方向の第三側に移動させる。
【0071】
第二反転工程の開始前、インクジェット記録装置10は、搬送機構80を駆動させ、走査機構70及びキャリッジ22を第一載置台25及び第二載置台30から離間する第二方向の所定の位置に移動させてもよい(図5参照)。
【0072】
受渡工程は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を第二載置面31に受け渡す(図8,9参照)。第一反転工程の終了時、4個の第二吸着パッド41は、第二吸着端42で第一支持機35に支持された記録媒体90の第一記録面91に接する(図8参照)。記録媒体90は、4個の第二吸引口43を塞ぐ。反転工程では、切換弁47は、第一態様(図8参照)から第二態様(図9参照)へと切り換わる。
【0073】
吸引装置45は、上述した第一空間内のエアの吸引を終了し、次の第二空間内のエアの吸引を開始する。第二空間は、4個の第二吸着パッド41の内部空間と、切換弁47を介して通じる第二流路44及び共通流路46内の空間とを含む。第一空間内の圧力は上昇し、第二空間内の圧力は低下する。
【0074】
4個の第一吸着パッド36は、吸引装置45によるエアの吸引終了に伴い第二記録面92に吸着しない。4個の第一吸着パッド36は、第二方向の第三側に膨張する(図9参照)。4個の第二吸着パッド41は、吸引装置45によるエアの吸引開始に伴い第一記録面91に吸着する。4個の第二吸着パッド41は、第一記録面91への吸着に伴い第二方向の第三側に圧縮する(図9参照)。第二吸着パッド41が第二方向の第三側に圧縮することで、記録媒体90は、第二方向の第三側に引き寄せられる。第二吸着パッド41は、第二吸着端42が第二載置面31と一致する位置まで圧縮させることが好ましい(図9参照)。第二吸着パッド41を第二方向の第三側に前述の位置まで圧縮させることで、第一記録面91を第二載置面31に接させることができる。
【0075】
受渡工程では、第一支持機35は、第一載置面26に対する記録媒体90の支持を終了し、第二支持機40は、第二載置面31に対する記録媒体90の支持を開始する(図9参照)。これにより、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90は、第二載置面31に受け渡される(図8,9参照)。換言すれば、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90は、第二載置面31に載せ替えられる。
【0076】
第二記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態として実行される(図6参照)。記録媒体90は、第一記録面91が第二載置面31の側となり且つ第二記録面92が第一方向の第一側を向いて第二載置面31に載せ置かれる。第二記録工程は、記録媒体90の第二記録面92の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する。即ち、インクジェットヘッド20Yは、イエローインクを吐出する。インクジェットヘッド20Mは、マゼンタインクを吐出する。インクジェットヘッド20Cは、シアンインクを吐出する。インクジェットヘッド20Kは、ブラックインクを吐出する。各色のインクは、第二記録面92に着弾する。これに伴い、第二記録面92に柄が記録される。第二記録工程の開始前、インクジェット記録装置10は、走査機構70及び搬送機構80を駆動させ、キャリッジ22を第二記録工程の開始位置として設定した位置へと移動させる。
【0077】
第一記録工程、第三記録工程及び第二記録工程では、走査機構70、搬送機構80及びインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、次のように動作する。
【0078】
走査機構70では、第二モータ74が時計回り及び反時計回りに往復して回転する。第二モータ74の回転に伴い、プーリ71が左右両側に往復して回転する。プーリ71が左回転すると、タイミングベルト73も左回転する。プーリ72は、左回転するタイミングベルト73に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ22は、第三方向の第六側から第五側に移動する。キャリッジ22が第三方向の第五側の移動端に到達すると、第二モータ74の回転方向は反転し、プーリ71は右回転する。プーリ71が右回転すると、タイミングベルト73も右回転する。プーリ72は、右回転するタイミングベルト73に従動して回転する。これに伴い、キャリッジ22は、第三方向の第五側から第六側に移動する。キャリッジ22が第三方向の第六側の移動端に到達すると、第二モータ74の回転方向は再度反転し、プーリ71は再度左回転する。
【0079】
搬送機構80は、キャリッジ22の第三方向の第六側から第五側への移動と、キャリッジ22の第三方向の第五側から第六側への移動とに対応させて走査機構70を第二方向に移動させる。即ち、搬送機構80による走査機構70の移動は、キャリッジ22の第三方向の第五側の移動端への到達と、キャリッジ22の第三方向の第六側の移動端への到達とに応じて間欠的に行われる。
【0080】
搬送機構80による走査機構70の移動は、第二方向の第四側から第三側に行われてもよく(図1,6参照)、又は第二方向の第三側から第四側に行われてもよい(不図示)。搬送機構80による走査機構70の移動は、第一記録工程、第三記録工程及び第二記録工程のうちの1つの工程では他の工程と逆向きとしてもよい。例えば、搬送機構80は、第一記録工程では、走査機構70を第二方向の第三側から第四側に移動させてもよく、第二記録工程では、走査機構70を第二方向の第四側から第三側に移動させてもよい。キャリッジ22を第三方向の第六側から第五側又は第三方向の第五側から第六側に1回移動させることで、第三記録面93の全面に柄を記録することができるとする。この場合、第三記録工程では、搬送機構80は、第三記録面93への柄の記録中、走査機構70を第二方向に移動させない。
【0081】
インクジェットヘッド20Yは、キャリッジ22の第三方向の第六側から第五側への移動中、及びキャリッジ22の第三方向の第五側から第六側への移動中、イエローインクを吐出する(図1,4,6参照)。インクジェットヘッド20Mは、キャリッジ22の第三方向の第六側から第五側への移動中、及びキャリッジ22の第三方向の第五側から第六側への移動中、マゼンタインクを吐出する(図1,4,6参照)。インクジェットヘッド20Cは、キャリッジ22の第三方向の第六側から第五側への移動中、及びキャリッジ22の第三方向の第五側から第六側への移動中、シアンインクを吐出する(図1,4,6参照)。インクジェットヘッド20Kは、キャリッジ22の第三方向の第六側から第五側への移動中、及びキャリッジ22の第三方向の第五側から第六側への移動中、ブラックインクを吐出する(図1,4,6参照)。
【0082】
第一記録工程、第三記録工程及び第二記録工程は、次の第一間隔、第三間隔及び第二間隔を同一として行うことが好ましい。第一間隔は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの吐出面と第一記録面91との第一方向の距離である。第三間隔は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの吐出面と第三記録面93との第一方向の距離である。第二間隔は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kの吐出面と第二記録面92との第一方向の距離である。第一記録面91、第三記録面93及び第二記録面92に記録される柄を一定の品質とすることができる。
【0083】
走査機構70及び搬送機構80は、第一記録工程では、第一記録面91への柄の記録が終了するまで動作し、第三記録工程では、第三記録面93への柄の記録が終了するまで動作し、第二記録工程では、第二記録面92への柄の記録が終了するまで動作する。従って、走査機構70によるキャリッジ22の第二方向への移動(往復移動)及び搬送機構80による走査機構70の第三方向への移動は、第一記録工程では第一記録面91への柄の記録が終了するまで繰り返され、第三記録工程では第三記録面93への柄の記録が終了するまで繰り返され、第二記録工程では、第二記録面92への柄の記録が終了するまで繰り返される。
【0084】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0085】
(1)インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kと、第一載置台25と、第二載置台30と、反転機構50とを備える(図1~6参照)。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、第一記録面91及び第二記録面92の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクを吐出する(図1,6参照)。第一載置台25は、第一載置面26を含む。第一載置面26には、第二記録面92が第一載置面26の側を向いて記録媒体90が載せ置かれる。第二載置台30は、第二載置面31を含む。第二載置面31には、第一記録面91が第二載置面31の側を向いて記録媒体90が載せ置かれる。第二載置台30は、第二方向に第一載置台25と並んで設けられる。反転機構50は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とし、第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とする(図1~9参照)。第一状態では、第一載置面26及び第二載置面31は、第一方向に直交し且つ第二方向に沿う(図1,6,7参照)。第二状態では、第一載置面26及び第二載置面31は、第一方向に沿い且つ第二方向に向かい合う(図3,4,8,9参照)。
【0086】
第一載置台25は、第一支持機35を備える(図8,9参照)。第一支持機35は、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を支持する(図1,7,8参照)。第二載置台30は、第二支持機40を備える(図8,9参照)。第二支持機40は、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90を支持する(図6,9参照)。第一載置台25及び第二載置台30は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第一載置面26と第二載置面31との間に記録媒体90を含む(図3,4,8,9参照)。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、記録媒体90が第一状態の第一載置台25の第一載置面26に載せ置かれている場合、第一記録面91の第一方向の第一側で第一記録面91にインクを吐出する(図1参照)。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、記録媒体90が第一状態の第二載置台30の第二載置面31に載せ置かれている場合、第二記録面92の第一方向の第一側で第二記録面92にインクを吐出する(図6参照)。
【0087】
そのため、第一記録面91に柄を記録した後、記録媒体90を表裏反転させ、第二記録面92に柄を記録することができる。即ち、記録媒体90を第一状態の第一載置台25の第一載置面26に載せ置き、第一記録面91に柄を記録することができる。次に、第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とし、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を第二載置面31に載せ置くことができる。その後、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とし、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90の第二記録面92に柄を記録することができる。
【0088】
更に、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、第三記録面93の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクを吐出する(図4参照)。即ち、インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kは、記録媒体90が第二状態の第一載置台25の第一載置面26と第二状態の第二載置台30の第二載置面31との間に含まれている場合、第三記録面93の第一方向の第一側で第三記録面93にインクを吐出する。そのため、記録媒体90の表裏反転中に第三記録面93に柄を記録することができる。
【0089】
(2)反転機構50は、第一状態の第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とする場合(第一反転工程)、第一載置台25の第一端部と第二載置台30の第二端部とを第一方向の第二側に移動させる(図1~3参照)。更に、反転機構50は、第一載置台25の第一端部を第一方向の第二側に移動させる場合、第一載置台25の第三端部を第二方向の第三側に移動させ、第二載置台30の第二端部を第一方向の第二側に移動させる場合、第二載置台30の第四端部を第二方向の第四側に移動させる(図1~3参照)。
【0090】
反転機構50は、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とする場合(第二反転工程)、第一載置台25の第一端部と第二載置台30の第二端部とを第一方向の第一側に移動させる(図4~6参照)。更に、反転機構50は、第一載置台25の第一端部を第一方向の第一側に移動させる場合、第一載置台25の第三端部を第二方向の第四側に移動させ、第二載置台30の第二端部を第一方向の第一側に移動させる場合、第二載置台30の第四端部を第二方向の第三側に移動させる(図4~6参照)。
【0091】
そのため、第一状態の第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とし、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とすることができる。第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とした場合、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30の第一方向の位置が第一状態の第一載置台25及び第二載置台30に対して第一方向の第一側に移動することを抑制することができる。インクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kを搭載するキャリッジ22の第一方向の位置を第一側に移動させることなく、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30とインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20K及びキャリッジ22との接触を防止することができる。
【0092】
(3)第一支持機35は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第一載置面26に対する記録媒体90の支持を終了する(図8,9参照)。第二支持機40は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第二載置面31に対する記録媒体90の支持を開始する(図8,9参照)。
【0093】
そのため、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30で、記録媒体90を第一載置面26から第二載置面31に自動的に受け渡すことができる。
【0094】
(4)インクジェット記録装置10は、インクジェット記録方法を実行する(図1~6,8,9参照)。インクジェット記録方法は、反転工程と、第一記録工程と、第二記録工程とを含む。反転工程は、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態から第二状態とし(図1~3参照)、更に、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とする(図4~6参照)。反転工程は、第一記録工程後で且つ第二記録工程前に実行される。反転工程は、受渡工程を含む(図8,9参照)。受渡工程は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を第二載置面31に受け渡す。
【0095】
第一記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30が第一状態である場合、次の記録媒体90の第一記録面91の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する(図1参照)。前述の記録媒体90は、第二記録面92が第一載置面26の側となり且つ第一記録面91が第一方向の第一側を向いて第一載置面26に載せ置かれる。第二記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30が第一状態である場合、次の記録媒体90の第二記録面92の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する(図6参照)。前述の記録媒体90は、第一記録面91が第二載置面31の側となり且つ第二記録面92が第一方向の第一側を向いて第二載置面31に載せ置かれる。
【0096】
そのため、第一記録面91に柄を記録した後、記録媒体90を表裏反転させ、第二記録面92に柄を記録することができる。即ち、記録媒体90を第一状態の第一載置台25の第一載置面26に載せ置き、第一記録面91に柄を記録することができる。次に、第一載置台25及び第二載置台30を第二状態とし、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を第二載置面31に載せ置くことができる。その後、第一載置台25及び第二載置台30を第一状態とし、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90の第二記録面92に柄を記録することができる。
【0097】
更に、インクジェット記録方法は、第三記録工程を含む(図4参照)。第三記録工程は、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、次の記録媒体90の第三記録面93の第一方向の第一側で第一方向の第二側に向けてインクジェットヘッド20Y,20M,20C,20Kからインクを吐出する。前述の記録媒体90は、第一載置面26と第二載置面31との間に含まれる。そのため、反転工程の実行途中で第三記録面93に柄を記録することができる。
【0098】
第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合、記録媒体90を、第三記録面93が第一本体27の第一方向の第一側の面及び第二本体32の第一方向の第一側の面より第一方向の第一側となる位置に設けることで、第三記録工程の実行時、キャリッジ22と第一載置台25及び第二載置台30(第一本体27及び第二本体32)との接触を防止することができる。第三間隔を狭くすることができる。第三記録面93に高品質な柄を記録することができる。第三間隔は上述した通りである。
【0099】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0100】
(1)インクジェット記録装置10が厚さの異なる複数の記録媒体90に柄を記録する場合、第一移動機51は、調整器を備えることが好ましい。調整器は、第一移動機51の第一部品56及び第二部品57の一方又は両方に設けられる。図10の第一移動機51は、第一部品56に第一調整器95を備え、第二部品57に第二調整器96を備える。図10では、図1~7の第一移動機51との対応を明らかにするため、各部に対する符号は、上記と同様としている。
【0101】
第一調整器95は、第一部品56に対する第一回転軸28の位置を調整する。第二調整器96は、第二部品57に対する第二回転軸33の位置を調整する。第一調整器95及び第二調整器96は、板状の部材によって形成される。第一調整器95は、第一部品56に固定され、第一回転軸28を回転自在に支持する。第二調整器96は、第二部品57に固定され、第二回転軸33を回転自在に支持する。図10の第一移動機51は、前述の固定にねじ止めを採用する。第一調整器95及び第二調整器96は、3個のねじ孔T1,T2,T3を含む。第一部品56及び第二部品57は、2個の貫通孔H1,H2を含む。
【0102】
第一状態の第一載置台25及び第二載置台30を基準とする。第一調整器95及び第二調整器96では、ねじ孔T1,T2,T3は、第二方向に一定の間隔Wで整列する。第一部品56及び第二部品57では、貫通孔H1,H2は、第二方向にねじ孔T1,T2,T3と同じ間隔Wで整列する。
【0103】
第一調整器95と第一部品56との固定では、貫通孔H1,H2を第一調整器95の側に通過した2本のボルト97の先端がねじ孔T1,T2,T3のうちの隣り合う2個のねじ孔にねじ込まれる。第二調整器96と第二部品57との固定では、貫通孔H1,H2を第二調整器96の側に通過した2本のボルト97の先端がねじ孔T1,T2,T3のうちの隣り合う2個のねじ孔にねじ込まれる。図10では、貫通孔H1,H2及びねじ孔T1,T2,T3を明示するため、第三方向の第五側のボルト97の図示は省略する。
【0104】
2本のボルト97が第一調整器95のねじ孔T1,T2にねじ込まれた態様を「第三態様」という(図10参照)。2本のボルト97が第一調整器95のねじ孔T2,T3にねじ込まれた態様を「第四態様」という(不図示)。第三態様と第四態様とを比較すると、第三態様では、第一回転軸28は第一部品56から離間し、第四態様では、第一回転軸28は第一部品56に接近する。
【0105】
2本のボルト97が第二調整器96のねじ孔T1,T2にねじ込まれた態様を「第五態様」という(不図示)。2本のボルト97が第二調整器96のねじ孔T2,T3にねじ込まれた態様を「第六態様」という(図10参照)。第五態様と第六態様とを比較すると、第五態様では、第二回転軸33は第二部品57から離間し、第六態様では、第二回転軸33は第二部品57に接近する。
【0106】
第一移動機51を第三態様又は第五態様に設定することで、第一移動機51が第四態様及び第六態様である場合と比較し、次の離間距離Dを長くすることができる。離間距離Dは、第一載置台25及び第二載置台30が第二状態である場合の第一載置面26と第二載置面31との第二方向の間隔である(図8参照)。第一移動機51を第三態様及び第五態様に設定することで、離間距離Dを最も長くすることができる。
【0107】
第一移動機51を第四態様又は第六態様に設定することで、第一移動機51が第三態様及び第五態様である場合と比較し、離間距離Dを短くすることができる。第一移動機51を第四態様及び第六態様に設定することで、離間距離Dを最も短くすることができる。
【0108】
第一調整器95及び第二調整器96の一方又は両方によれば、第二状態の第一載置台25及び第二載置台30で離間距離Dを変化させることができる。インクジェット記録装置10は、厚さの異なる複数の記録媒体90を柄の記録対象とすることができる。離間距離Dを変化させるための調整器は、図10の第一調整器95及び第二調整器96とは異なる機構としてもよい。
【0109】
(2)反転機構50は、第一載置台25及び第二載置台30の第三方向の第五側及び第六側に同様の第一移動機51を備える(図1~7参照)。第三方向の第五側及び第六側の第一移動機51は共に、ボールねじ52と、第一モータ55とを備える(図1~7参照)。2台の第一移動機51は、第一載置台25及び第二載置台30を第一方向に往復移動させる駆動力を発生する。第一移動機51は、次の第一直動機構及び第二直動機構の組み合わせとしてもよい。第一直動機構は、上記同様、駆動力を発生する。第二直動機構は、上記とは異なり、駆動力を発生しない。第二直動機構の例としては、シャフト及びリニアブッシュの組み合わせが挙げられる。第一移動機51として採用する直動機構は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0110】
(3)第一支持機35は、第一吸着パッド36と、第一流路39とを備え、第二支持機40は、第二吸着パッド41と、第二流路44とを備える(図7~9参照)。第一支持機35及び第二支持機40は、吸引装置45と、共通流路46と、切換弁47とを備える(図8,9参照)。第一支持機35及び第二支持機40は、吸引装置45、共通流路46及び切換弁47を共有する。第一支持機及び第二支持機は、それぞれ独立した支持機としてもよい。
【0111】
第一支持機が第二支持機とは独立した支持機である場合、第一支持機は、第一吸着パッド36と、第三流路と、第一吸引装置と、第一切換弁とを備える。第一支持機は、図7~9の第一支持機35と同様、複数の第一吸着パッド36を備えてもよい。第三流路は、第一吸着パッド36と第一吸引装置とを接続する。第一吸引装置は、次の第三空間内のエアを吸引する。第三空間は、全ての第一吸着パッド36の内部空間と、第三流路内の空間とを含む。第一切換弁は、第三流路に設けられ、第三流路を開閉する。第一支持機が複数の第一吸着パッド36を備える場合、第一切換弁は、複数の第一吸着パッド36と繋がる複数の支流部分が合流した第三流路の共通部分に設けてもよい。
【0112】
第一切換弁が開状態であるとする。この場合、第三流路は開放状態となり、第一吸引装置は、第三空間内のエアを吸引する。第一吸着パッド36は、第二記録面92に吸着する。第一支持機は、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を支持する。第一切換弁が閉状態であるとする。この場合、第三流路は閉鎖状態となり、第一吸引装置は、第三空間内のエアを吸引しない。第一吸着パッド36は、第二記録面92に吸着しない。第一支持機は、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90を支持しない。
【0113】
第二支持機が第一支持機とは独立した支持機である場合、第二支持機は、第二吸着パッド41と、第四流路と、第二吸引装置と、第二切換弁とを備える。第二支持機は、図7~9の第二支持機40と同様、複数の第二吸着パッド41を備えてもよい。第四流路は、第二吸着パッド41と第二吸引装置とを接続する。第二吸引装置は、次の第四空間内のエアを吸引する。第四空間は、全ての第二吸着パッド41の内部空間と、第四流路内の空間とを含む。第二切換弁は、第四流路に設けられ、第四流路を開閉する。第二支持機が複数の第二吸着パッド41を備える場合、第二切換弁は、複数の第二吸着パッド41と繋がる複数の支流部分が合流した第四流路の共通部分に設けてもよい。
【0114】
第二切換弁が開状態であるとする。この場合、第四流路は開放状態となり、第二吸引装置は、第四空間内のエアを吸引する。第二吸着パッド41は、第一記録面91に吸着する。第二支持機は、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90を支持する。第二切換弁が閉状態であるとする。この場合、第四流路は閉鎖状態となり、第二吸引装置は、第四空間内のエアを吸引しない。第二吸着パッド41は、第一記録面91に吸着しない。第二支持機は、第二載置面31に載せ置かれた記録媒体90を支持しない。
【0115】
受渡工程では、第一切換弁が開状態から閉状態へと切り換わる。更に、この切り換えに同期して第二切換弁が閉状態から開状態へと切り換わる。これに伴い、上記同様(図8,9参照)、第一載置面26に載せ置かれた記録媒体90は、第二載置面31に受け渡される。例えば、第一切換弁及び第二切換弁としては、公知の2方電磁弁を採用することができる。
【0116】
(4)受渡工程では、切換弁47が第一態様(図8参照)から第二態様(図9参照)へと切り換わる。この場合、次の第一動作及び第二動作は、同じタイミングで実行される。第一動作は、第一支持機35による第一載置面26に対する記録媒体90の支持の終了である。第二動作は、第二支持機40による第二載置面31に対する記録媒体90の支持の開始である。
【0117】
受渡工程では、第一動作の実行タイミングは、第二動作後としてもよい。この場合、所定の期間、第一支持機は第一載置面26に対して記録媒体90を支持しつつ、第二支持機も第二載置面31に対して記録媒体90を支持する。その後、第一支持機は、第一載置面26に対する記録媒体90の支持を終了する。換言すれば、所定の期間、4個の第一吸着パッド36が第二記録面92に吸着している状態で、4個の第二吸着パッド41も第一記録面91に吸着する。その後、4個の第一吸着パッド36は、第二記録面92に吸着しなくなる。
【0118】
この場合、切換弁は、第一態様(図8参照)及び第二態様(図9参照)に加え、第三態様へと切り換わる。第三態様では、第一流路39が共通流路46と通じ、且つ第二流路44が共通流路46と通じる。第一支持機及び第二支持機は、切換弁として前述の3態様への切り換えが可能な公知の電磁弁を採用する。受渡工程では、切換弁は、第一態様から第三態様へと切り替わり、その後、第三態様から第二態様へと切り換わる。上述した通り、第一支持機及び第二支持機がそれぞれ独立した支持機であるとする。この場合、受渡工程では、第一切換弁が開状態のまま、第二切換弁が閉状態から開状態へと切り換わる。所定の期間、第一切換弁及び第二切換弁は開状態となる。その後、開状態の第一切換弁は、閉状態へと切り換わる。第二切換弁は、開状態を維持する。
【0119】
この他、第一支持機及び第二支持機は、次の態様としてもよい。即ち、第一流路、第二流路及び共通流路は、切換弁47に代えて公知の管継手によって上記同様(図8,9参照)に接続される。第一流路には第三切換弁が設けられ、第二流路には第四切換弁が設けられる。第三切換弁は、第一流路を開閉する。第四切換弁は、第二流路を開閉する。第一態様(図8参照)は、第三切換弁を開状態とし、且つ第四切換弁を閉状態とすることで実現される。第二態様(図9参照)は、第三切換弁を閉状態とし、且つ第四切換弁を開状態とすることで実現される。第三態様は、第三切換弁を開状態とし、且つ第四切換弁を開状態とすることで実現される。受渡工程では、第三切換弁が開状態のまま、第四切換弁が閉状態から開状態へと切り換わる。所定の期間、第三切換弁及び第四切換弁は開状態となる。その後、開状態の第三切換弁は、閉状態へと切り換わる。第四切換弁は、開状態を維持する。例えば、第三切換弁及び第四切換弁としては、公知の2方電磁弁を採用することができる。
【0120】
(5)インクジェット記録装置を、第一載置台25、第二載置台30、反転機構50、走査機構70及び搬送機構80を備えるシリアル型のインクジェット記録装置10とした(図1~6参照)。インクジェット記録装置としては、インクジェット記録装置10とは異なるタイプが実用化されている。この異なるタイプのインクジェット記録装置は、ライン型と称されるインクジェットヘッドを備える。第一載置台25、第二載置台30及び反転機構50(図7参照)は、ライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置に採用することもできる。このインクジェット記録装置は、柄の記録に用いる色数分のインクジェットヘッドを備える。ライン型のインクジェットヘッドでは、複数のノズルは、第三方向に配列される。各色のインクジェットヘッドは、キャリッジに第二方向に並んで搭載される。走査機構70は省略される。搬送機構80は、キャリッジの第三方向の第五側を可動子83で支持し、キャリッジの第三方向の第六側を第三ブロック87で支持する。搬送機構80は、柄の記録時、キャリッジを第二方向に連続的に移動させる。換言すれば、搬送機構80は、柄の記録時、各色のライン型のインクジェットヘッドを第二方向に連続的に移動させる。ライン型のインクジェットヘッド及びこれを備えるインクジェット記録装置は、既に実用化され公知である。従って、これらに関するこの他の説明は省略する。
【符号の説明】
【0121】
10 インクジェット記録装置、 15,16 架台
20Y,20M,20C,20K インクジェットヘッド、 22 キャリッジ
23 ステー、 25 第一載置台、 26 第一載置面、 27 第一本体
28 第一回転軸、 29 第三回転軸、 30 第二載置台、 31 第二載置面
32 第二本体、 33 第二回転軸、 34 第四回転軸、 35 第一支持機
36 第一吸着パッド、 37 第一吸着端、 38 第一吸引口、 39 第一流路
40 第二支持機、 41 第二吸着パッド、 42 第二吸着端
43 第二吸引口、 44 第二流路、 45 吸引装置、 46 共通流路
47 切換弁、 48 スリーブ、 49 スプール、 50 反転機構
51 第一移動機、 52 ボールねじ、 53 ねじ軸、 54 ナット
55 第一モータ、 56 第一部品、 57 第二部品、 60 第一ガイド
61 第一ガイドレール、 62 第一ブロック、 63 第三部品
65 第二ガイド、 66 第二ガイドレール、 67 第二ブロック
68 第四部品、 70 走査機構、 71,72 プーリ
73 タイミングベルト、 74 第二モータ、 75 第五部品
76 第六部品、 80 搬送機構、 81 第二移動機、 82 固定子
83 可動子、 85 第三ガイド、 86 第三ガイドレール
87 第三ブロック、 90 記録媒体、 91 第一記録面、 92 第二記録面
93 第三記録面、 95 第一調整器、 96 第二調整器、 97 ボルト
D 離間距離、 H1,H2 貫通孔、 L1,L2,L3,L4 回転軸心
T1,T2,T3 ねじ孔、 W 間隔
図1
図2
図3
図4
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図8
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図10