(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 51/30 20230101AFI20240521BHJP
【FI】
H10B51/30
(21)【出願番号】P 2020188455
(22)【出願日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸山 隆弘
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0179657(US,A1)
【文献】特開平09-307072(JP,A)
【文献】特開2019-201172(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0355584(US,A1)
【文献】特開2014-053568(JP,A)
【文献】米国特許第9853150(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 51/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板上に、第1絶縁膜および第1強誘電体膜を順に形成する工程、
(c)前記第1強誘電体膜上に第1金属膜を形成する工程、
(d)
前記(c)工程の後、前記第1絶縁膜および前記第1強誘電体膜をパターニングし、これにより露出した前記半導体基板の上面に複数の溝を形成する工程、
(e)前記複数の溝のそれぞれの内側に、素子分離領域を埋め込む工程、
(f)前記(c)工程および前記(e)工程の後、前記第1金属膜上にゲート電極を形成する工程、
(g)平面視で前記ゲート電極を挟むように、前記半導体基板の前記上面にソース領域およびドレイン領域を形成する工程、
(h)前記(e)工程の後、前記複数の溝同士の間において前記素子分離領域よりも上方に突出する前記半導体基板の一部である突出部の側面を覆う第2絶縁膜を形成する工程、
(i)前記(h)工程の後、前記半導体基板上に、第2強誘電体膜および第2金属膜を順に形成する工程、
(j)前記(i)工程の後、前記第2強誘電体膜および前記第2金属膜をエッチバックすることで、前記素子分離領域の上面を露出させる工程、
(k)前記(j)工程の後、前記(f)工程の前に、前記半導体基板上に第3金属膜を形成する工程、
を有
し、
前記(d)工程では、前記複数の溝同士の間において上方に突出する前記突出部を形成し、
前記(e)工程では、前記突出部の上端を含む一部を前記上面上に露出する前記素子分離領域を形成し、
前記(f)工程では、前記第1金属膜上および前記第3金属膜上に、前記ゲート電極を形成することで、前記突出部の上面および側面を前記ゲート電極により覆う、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項
1記載の半導体装置の製造方法において、
前記(b)工程では、前記半導体基板上に、前記第1絶縁膜、第
4金属膜および前記第1強誘電体膜を順に形成し、
前記(d)工程では、前記第1絶縁膜、前記第
4金属膜および前記第1強誘電体膜をパターニングし、これにより露出した前記半導体基板の前記上面に前記複数の溝を形成する、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
(a)半導体基板を用意する工程、
(b)前記半導体基板の上面に複数の溝を形成し、前記複数の溝内に素子分離領域を形成する工程、
(c)前記半導体基板上に、絶縁膜、強誘電体膜および第1金属膜を順に形成する工程、
(d)前記素子分離領域の直上の前記強誘電体膜および前記第1金属膜を除去する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記第1金属膜上にゲート電極を形成する工程、
(f)平面視で前記ゲート電極を挟むように、前記半導体基板の前記上面にソース領域およびドレイン領域を形成する工程、
を有
し、
前記(b)工程では、前記素子分離領域から露出する前記半導体基板の前記上面よりも最上面の高さが高い前記素子分離領域を形成し、
前記(d)工程では、研磨法により、前記素子分離領域の直上の前記強誘電体膜および前記第1金属膜を除去する、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、強誘電体膜を用いた記憶素子として用いられる半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、低電圧で動作する半導体記憶素子として、強誘電体を用いた強誘電体メモリが開発されている。強誘電体メモリは、強誘電体の分極の方向を制御することで、情報の書込み状態および消去状態を変化させる不揮発性記憶素子である。
【0003】
また、動作速度が速く、リーク電流および消費電力の低減および微細化が可能な電界効果トランジスタとして、フィン型のトランジスタが知られている。フィン型のトランジスタ(FINFET:Fin Field Effect Transistor)は、例えば、基板上に突出する板状(壁状)の半導体層のパターンをチャネル層として有し、当該パターン上を跨ぐように形成されたゲート電極を有する半導体素子である。
【0004】
非特許文献1には、シリコン基板(S)上に絶縁膜(I)、下部金属膜(M)、強誘電体膜(F)および上部金属膜(M)を順に積層したMFMIS構造の強誘電体メモリが記載されている。ここでは、絶縁膜と下部金属膜との界面の面積に対する強誘電体膜と上部金属膜との界面の面積の比率を小さくすることで、強誘電体膜に掛かる電界を強くすることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】第79回応用物理学会秋季学術講演会(2018年秋季)20p-141-11、右田真司 他
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
強誘電体メモリでは、素子分離領域上の強誘電体膜に掛かる電界が弱いため、素子分離領域上の強誘電体膜では分極が反転し難い。そのため、素子分離領域上の分極が、活性領域上の分極と反転している場合がある。このような場合、活性領域上の分極状態を保持し難いため、保持特性(リテンション)の悪化が起こり得る。
【0007】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0009】
一実施の形態である半導体装置は、半導体基板の上面上の素子分離領域の直上に強誘電体膜を形成せず、活性領域に強誘電体膜を形成するものである。
【発明の効果】
【0010】
本願において開示される一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態1である半導体装置が搭載された半導体チップのレイアウト構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態1である半導体装置を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態1である半導体装置を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図7】
図6に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図8】
図7に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図9】
図8に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態1の変形例1である半導体装置を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態1の変形例1である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図12】
図11に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図13】
図12に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図14】
図13に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図15】
図14に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図16】
図15に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図17】本発明の実施の形態1の変形例2である半導体装置を示す断面図である。
【
図18】本発明の実施の形態1の変形例2である半導体装置を示す断面図である。
【
図19】本発明の実施の形態1の変形例2である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図20】
図19に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図21】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図22】
図21に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図23】
図22に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図24】
図23に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図25】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図26】
図25に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図27】
図26に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図28】
図27に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図29】本発明の実施の形態3の変形例である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図30】
図29に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図31】
図30に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図32】
図31に続く半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【
図36】比較例である半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その言及した数に限定されるものではなく、言及した数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0014】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0015】
(実施の形態1)
<改善の余地>
以下に、
図33~
図35を用いて、比較例の強誘電体メモリが有する改善の余地について説明する。
図33は、比較例の強誘電体メモリを示す斜視図である。
図34は、比較例の強誘電体メモリを示す平面図である。
図35は、
図34のA-A線における断面図である。
【0016】
図33~
図35に示すように、比較例の強誘電体メモリは、半導体基板SBの上部に形成されている。半導体基板SBの上面には、複数の溝が形成されており、それらの溝内には、絶縁体から成る素子分離領域EIが埋め込まれている。2つ素子分離領域同士の間には、活性領域である半導体基板SBの上面が素子分離領域EIから露出している。活性領域はX方向に延在している。2つの素子分離領域EI上と、活性領域上を跨ぐように、Y方向に制御ゲート電極CGが延在している。X方向およびY方向は、互いに直交する方向であり、いずれも半導体基板SBの上面に沿う方向である。
【0017】
制御ゲート電極CGの直下の活性領域の半導体基板SB上面上には、ゲート絶縁膜である絶縁膜IF1が形成されている。制御ゲート電極CGと、絶縁膜IF1および素子分離領域EIとの間の半導体基板SB上には、強誘電体膜FEおよび金属膜MFが順に形成されている。平面視において、活性領域の半導体基板SBの上面には、制御ゲート電極CGを挟むように、例えばn型の半導体領域であるソース領域SRおよびドレイン領域DRが形成されている。
【0018】
制御ゲート電極CGに電圧を印加させることで強誘電体膜FEに電場(電界)を印加すると、強誘電体膜FEに誘電分極が生じ、電場(電界)を取り去ってもその分極は0にならない。このようにして、強誘電体膜FEの分極の向きを制御することで、ソース領域SRとドレイン領域DRとの間で所定の電流が流れだす電圧(しきい値電圧)を制御することで、強誘電体メモリは記憶素子として使用できる。
【0019】
図35では、制御ゲート電極CGに0Vより大きい電圧を印加した際の、活性領域上の強誘電体膜FE内における分極の様子を示している。
図35に示すように、活性領域上の強誘電体膜FE内では、半導体基板SB側の部分が正の電気を帯び、制御ゲート電極CG側の部分が負の電気を帯び、このようにして分極が起こる。しかし、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEに掛かる電界は活性領域上に比べて弱い。このため、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEでは分極が反転し難い。その結果、素子分離領域EI上の分極が、活性領域上の分極に対して反転している場合がある。このような場合、活性領域上の分極状態を保持し難いため、保持特性(リテンション)の悪化が起こり得る。また、このような場合、誤書き込みおよび誤消去(ディスターブ)が起こり易い問題がある。
【0020】
図35では、制御ゲート電極CGに正電圧を印加した際の分極の様子を示した。これに対し、制御ゲート電極CGに負電圧を印加した際には、
図35とは逆に、活性領域上の強誘電体膜FE内において、半導体基板SB側の部分が負の電気を帯び、制御ゲート電極CG側の部分が正の電気を帯び、このようにして分極が起こる。しかし、この場合も、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEでは分極が反転し難い。そのため、素子分離領域EI上の分極は、活性領域上の分極に対して反転し易い。
【0021】
このように、強誘電体膜FEが素子分離領域EI上に亘って形成されている強誘電体メモリでは、素子分離領域EI上の分極状態を制御するのが困難であり、それに起因して強誘電体メモリの性能が低下する改善の余地が存在する。
【0022】
<半導体チップのレイアウト構成例>
本実施の形態における不揮発性メモリである強誘電体メモリを有する半導体装置について
図1~
図5を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置が搭載された半導体チップのレイアウト構成例を示す概略図である。
図2は、本実施の形態の半導体装置を示す斜視図である。
図3は、本実施の形態の半導体装置を示す平面図である。
図4は、
図3のA-A線における断面図である。
図5は、
図3のB-B線における断面図である。つまり、
図4は、メモリセルのゲート幅方向に沿う断面図であり、
図5は、メモリセルのゲート長方向に沿う断面図である。
【0023】
まず、不揮発性メモリを含むシステムが形成された半導体装置(半導体チップ)のレイアウト構成について説明する。
図1において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)回路C1、RAM(Random Access Memory)回路C2、アナログ回路C3を有している。また、半導体チップCHPは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)回路C4、強誘電体メモリC5およびI/O(Input/Output)回路C6を有している。半導体チップCHPは、半導体装置を構成している。
【0024】
CPU回路C1は、中央演算処理装置とも呼ばれ、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算および制御などを行うものである。
【0025】
RAM回路C2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出すこと、および、記憶情報を新たに書き込めるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。RAMとしては、スタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)を用いる。
【0026】
アナログ回路C3は、時間的に連続して変化する電圧および電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。
【0027】
EEPROM回路C4および強誘電体メモリC5は、書き込み動作および消去動作において、記憶情報を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このEEPROM回路C4のメモリセルは、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型トランジスタなどから構成される。EEPROM回路C4には、書き換え頻度の高い各種データが記憶されている。EEPROM回路C4または強誘電体メモリC5は、複数の不揮発性メモリセルが行列状に配置されたメモリセルアレイと、それ以外の、アドレスバッファ、行デコーダ、列デコーダ、ベリファイセンスアンプ回路、センスアンプ回路および書込み回路などとを有している。
【0028】
I/O回路C6は、入出力回路であり、半導体チップCHP内から半導体チップCHPの外部に接続された機器へのデータの出力、または、半導体チップCHPの外部に接続された機器から半導体チップ内へのデータの入力などを行うための回路である。
【0029】
本実施の形態の半導体装置は、メモリセル領域とロジック回路領域とを有している。メモリセル領域には、複数の不揮発性メモリセルが行列状に配置されたメモリセルアレイが形成されている。ロジック回路領域には、CPU回路C1、RAM回路C2、アナログ回路C3、I/O回路C6、および、EEPROM回路C4または強誘電体メモリC5のアドレスバッファ、行デコーダ、列デコーダ、ベリファイセンスアンプ回路、センスアンプ回路または書込み回路などが形成されている。
【0030】
<半導体装置の構造>
図2~
図5には、本実施の形態の強誘電体メモリのメモリセルを示している。このメモリセルは、
図1の強誘電体メモリC5に形成されている。
【0031】
本実施の形態においては、メモリセル領域のメモリセルを構成するトランジスタとして、nチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、MIS型電界効果トランジスタ)を形成する場合について説明する。ただし、導電型を逆にしてpチャネル型のMISFETから成る強誘電体メモリを形成することもできる。
【0032】
本実施の形態の半導体装置は、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコン(Si)などから成る半導体基板SBを有する。半導体基板SBは、上面(主面)と、当該上面の反対側の下面(裏面)とを備えており、メモリセルは、半導体基板SBの上面側に形成されている。半導体基板SBの上面には複数の溝D1が形成され、それらの溝D1内には、活性領域を規定する絶縁膜から成る素子分離領域EIが形成されている。素子分離領域EIは、酸化シリコンなどの絶縁体から成り、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成できる。ここでは、素子分離領域EIはSTI法により形成されている。
【0033】
強誘電体メモリのメモリセルは、半導体基板SB上の活性領域上に順に形成された絶縁膜IF1、強誘電体膜FEおよび金属膜MFから成る積層膜を有している。また、強誘電体メモリのメモリセルは、強誘電体膜FEおよび金属膜MFと、当該積層膜上に形成された制御ゲート電極CGと、制御ゲート電極CGの横の半導体基板SBの活性領域の上面に形成された一対のソース領域SRおよびドレイン領域DRとにより構成されている。強誘電体メモリのメモリセルは、不揮発性記憶素子である。メモリセルの下の半導体基板SBの上面には、p型の不純物(例えばB(ホウ素))が比較的低い濃度で導入されたp型ウェル(図示しない)が形成されている。制御ゲート電極CGは、例えばポリシリコン膜から成る。
【0034】
ソース領域SRおよびドレイン領域DRのそれぞれは、n型の不純物(例えばAs(ヒ素)若しくはP(リン)またはそれらの両方)が所定の濃度で導入されたn型半導体領域である。なお、ここでは図示していないが、ソース領域SRおよびドレイン領域DRは、上記所定の濃度よりも低い濃度で半導体基板SBの上面に導入されたn-型半導体領域であるエクステンション領域EX1を有していてもよい。ソース領域SRおよびドレイン領域DRのそれぞれは、半導体基板SBの上面から、半導体基板SB内の途中深さに亘って所定の深さで形成されている。p型ウェルの深さは、ソース領域SRおよびドレイン領域DRのそれぞれの深さよりも深い。
【0035】
本願でいう深さとは、半導体基板SBの上面に形成された半導体領域の場合、半導体基板SBの上面に対して垂直な方向(高さ方向、深さ方向、垂直方向、縦方向)における距離である。つまり、ここでいう深さとは、半導体基板SBの上面から、当該半導体領域の最も下側(半導体基板SBの裏面側)に位置する下面までの距離を指す。
【0036】
平面視において、制御ゲート電極CGはY方向に延在しており、複数の素子分離領域EI上と、それらの素子分離領域EI同士の間の活性領域上に跨っている。つまり、制御ゲート電極CGは、Y方向で活性領域を挟む2つの素子分離領域EIのそれぞれの直上同士の間に亘って形成されている。ソース領域SRおよびドレイン領域DRは、X方向で制御ゲート電極CGを挟むように活性領域に形成されている。制御ゲート電極CGの直下の半導体基板SBの上面には、ソース領域SRおよびドレイン領域DRのいずれも形成されていない領域(チャネル領域)が存在する。X方向およびY方向は、互いに直交する方向であり、いずれも半導体基板SBの上面に沿う方向である。X方向は、メモリセルを構成するMISFETのチャネル長方向であり、Y方向は、当該MISFETのチャネル幅方向である。
【0037】
ここで、本実施の形態の強誘電体メモリの特徴の一つとして、強誘電体膜FEは、素子分離領域EIの直上に形成されていない。具体的には、強誘電体膜FEは、Y方向に並ぶ2つの素子分離領域EI同士の間において、活性領域の半導体基板SBの直上にのみ形成されている。このため、素子分離領域EIの上面は、強誘電体膜FEから露出している。すなわち、制御ゲート電極CGの直下において、素子分離領域EIの上面は、強誘電体膜FEから露出している。ここでは、制御ゲート電極CGと素子分離領域EIの上面とが互いに接している。また、強誘電体膜FEの両端のそれぞれは、素子分離領域EIの側面に接している。
【0038】
図示していないが、半導体基板SB上には、メモリセルを覆う層間絶縁膜が形成されている。制御ゲート電極CG、ソース領域SRおよびドレイン領域DRのそれぞれの上面上には、シリサイド層を介してプラグ(コンタクトプラグ)が接続されている。プラグは、層間絶縁膜を貫通する接続用金属膜(導電性接続部)である。プラグは、層間絶縁膜上で配線に接続されている。
【0039】
強誘電体膜FEは、電場(電界)を印加すると誘電分極が生じ、電場(電界)を取り去っても分極が0にならない物質、つまり強誘電体により構成されている絶縁膜である。すなわち、常誘電体と異なり、電界が印加されていない状態でも、強誘電体膜FEに分極が残る。強誘電体は、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ双極子の方向が電場によって変化できる物質である。
【0040】
当該high-k膜の結晶層が直方晶であるときに強誘電体膜の性質が現れることが知られている。強誘電体メモリでは、強誘電体膜の残留分極の増大、強誘電体としての性能の向上、および、強誘電体メモリの駆動電力の低減を実現するために、強誘電体膜FEを構成する結晶を直方晶で形成している。
【0041】
強誘電体膜FEは、例えば、HfO2(ハフニア)から成る膜である。つまり、強誘電体膜FEは、酸化ハフニウム(HfXOY)膜である。
【0042】
強誘電体膜FEは、メモリセルの低電圧動作などを目的として膜厚が薄いことが望ましい。強誘電体膜FEの膜厚は、例えば10nm以下であることが望ましい。
【0043】
金属膜MFは、例えばTiN(窒化チタン)膜などから成る導電膜である。
【0044】
<半導体装置の動作>
次に、不揮発性メモリの動作例について説明する。本実施の形態では、強誘電体膜FEの分極が上向きとなり、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値電圧が比較的高い状態にすることを「書込」と定義する。強誘電体膜FEの分極が下向きとなり、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値電圧が比較的低い状態にすることを「消去」と定義する。
【0045】
本実施の形態のメモリセルにおいて、書込みは制御ゲート電極CGに負の電圧を印加し、選択したメモリセルの強誘電体膜FEを上向きに分極することで行う。その結果、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値電圧が上昇する。すなわち、メモリセルは書込み状態となる。
【0046】
本実施の形態のメモリセルにおいて、消去は制御ゲート電極CGに正の電圧を印加し、選択したメモリセルの強誘電体膜FEを下向きに分極することで消去を行う。その結果、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値電圧を下降させる。すなわち、メモリセルは消去状態となる。
図5では、消去時の強誘電体膜FEの分極の様子を示している。すなわち、強誘電体膜FE内では、半導体基板SB側の部分が正の電気を帯び、制御ゲート電極CG側の部分が負の電気を帯びている。
【0047】
読出し時には、制御ゲート電極CGに印加する電圧を、書込み状態における上記トランジスタのしきい値電圧と消去状態における上記トランジスタのしきい値電圧との間の値にすることで、書込み状態と消去状態とを判別できる。
【0048】
<本実施の形態の効果>
次に、本実施の形態の半導体装置の効果について説明する。
図33~
図35を用いて上述したように、強誘電体膜FEが素子分離領域EI上に亘って形成されている強誘電体メモリでは、素子分離領域EI上の分極状態を制御するのが困難であり、それに起因して強誘電体メモリの性能が低下するという改善の余地が存在する。
【0049】
そこで、本実施の形態では、素子分離領域EIの直上に強誘電体膜FEを形成せず、強誘電体膜FEを活性領域上にのみ形成している。これにより、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEと活性領域上の強誘電体膜FEとで分極状態が異なる状況が生じることを防げる。したがって、メモリセルの保持特性の低下、並びに、誤書き込みおよび誤消去の増大を防げる。その結果、半導体装置の性能を向上できる。
【0050】
<半導体装置の製造工程>
以下に、
図6~
図9および
図2~
図5を用いて、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。
図6~
図9は、本実施の形態の半導体装置の形成工程中の断面図である。
図6~
図9は、
図4と同様に、
図3のA-A線における断面と同じ箇所を示す断面図である。つまり、
図6~
図9は、メモリセルのゲート幅方向に沿う断面図である。
【0051】
ここではまず、
図6に示すように、半導体基板SBを用意する。半導体基板SBは、例えば1~10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどから成る。続いて、図示はしないが、イオン注入法を用いて半導体基板SBの上面に不純物を導入することにより、半導体基板SBの上面から半導体基板SBの途中深さに亘ってp型半導体領域であるp型ウェルを形成する。p型ウェルは、p型の不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込むことで形成する。続いて、半導体基板SB上に、絶縁膜IF1、強誘電体膜FE、金属膜MFおよび絶縁膜IF2を形成する。絶縁膜IF1は、例えば酸化シリコン膜であり、例えば熱酸化法により形成できる。強誘電体膜FEは、例えばHfO
2(ハフニア)膜であり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法などにより形成できる。また、強誘電体膜FEは、ALD(Atomic Layer Deposition)法により形成することもできる。金属膜MFは、例えばTiN(窒化チタン)膜であり、例えばCVD法またはスパッタリング法を用いて形成できる。絶縁膜IF2は、例えば窒化シリコン膜から成り、例えばCVD法により形成できる。
【0052】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜IF1、強誘電体膜FE、金属膜MFおよび絶縁膜IF2から成る積層膜の上面から、半導体基板SBの途中深さに亘って複数の溝(分離溝)D1を形成する。このエッチング工程では、フォトレジスト膜(図示しない)をマスクとして用いて当該積層膜の上面から半導体基板SBの途中深さに亘ってエッチングを行って複数の溝D1を形成できる。また、フォトレジスト膜(図示しない)をマスクとして用いて絶縁膜IF2をパターニングし、絶縁膜IF2をハードマスクとして用いてエッチングを行って半導体基板SBの途中深さに至る複数の溝D1を形成してもよい。つまり、ここでは、絶縁膜IF1、強誘電体膜FE、金属膜MFおよび絶縁膜IF2から成る積層膜をパターニングし、これにより露出した半導体基板SBの上面に複数の溝D1を形成する。
【0053】
次に、
図7に示すように、複数の溝D1のそれぞれを埋め込む絶縁膜IF3(例えば酸化シリコン膜)を、例えばCVD法を用いて形成する。その後、複数の溝D1のそれぞれの外の絶縁膜IF3を除去する。つまり、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法による研磨処理を行うことで、絶縁膜IF3から絶縁膜IF2の上面を露出させる。
【0054】
次に、
図8に示すように、エッチバックを行うことで、絶縁膜IF2を除去して金属膜MFの上面を露出させ、かつ、絶縁膜IF3の上面を後退させる。これにより、各溝D1内に残された絶縁膜IF3から成る素子分離領域EIを形成する。素子分離領域EIは、主に酸化シリコンなどの絶縁体から成り、例えばSTI構造を有している。
【0055】
次に、
図9に示すように、半導体基板SB上(素子分離領域EI上および金属膜MF上)に、ポリシリコン膜SFを形成する。ポリシリコン膜SFは、素子分離領域EIおよび金属膜MFのそれぞれの上面を覆って形成される。これにより、
図9に示す構造を得る。
【0056】
次に、ポリシリコン膜SFをパターニングして制御ゲート電極CGを形成し、活性領域の半導体基板SBの上面にソース領域SRおよびドレイン領域DRを形成することで、
図2~
図5に示す強誘電体メモリのメモリセルを形成する。
【0057】
すなわち、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、ポリシリコン膜SF、金属膜MF、強誘電体膜FEおよび絶縁膜IF1を加工し、これにより半導体基板SBの上面および素子分離領域EIの上面を露出させる。このパターニング工程により、ポリシリコン膜SFから成る制御ゲート電極CGを形成する。すなわち、半導体基板SBの上面上に順に積層された絶縁膜IF1、強誘電体膜FE、金属膜MFおよび制御ゲート電極CGから成る積層体が形成される。続いて、制御ゲート電極CGをマスク(イオン注入阻止マスク)として用いて、半導体基板SBの上面に対しイオン注入を行う。これにより、活性領域の半導体基板SBの上面に、n型の半導体領域である一対のソース領域SRおよびドレイン領域DRを形成する。ソース領域SRおよびドレイン領域DRのそれぞれは、半導体基板SBの上面から所定の深さで形成され、その深さは素子分離領域EIおよびp型ウェルのそれぞれの深さよりも浅い。
【0058】
これにより、強誘電体膜FE、金属膜MF、制御ゲート電極CG、ソース領域SRおよびドレイン領域DRを含むMISFET(MIS型電界効果トランジスタ)から成る強誘電体メモリのメモリセルが形成される。その後、図示しないが、強誘電体メモリを覆う層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通するプラグと、プラグ上の配線とを形成することで、本実施の形態の半導体装置が略完成する。
【0059】
<半導体装置の製造方法の効果>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法の効果について説明する。
【0060】
本実施の形態では、
図6~
図8を用いて説明したように、強誘電体膜FEを形成した後に、強誘電体膜FEを分離する複数の溝D1および素子分離領域EIを形成している。これにより、素子分離領域EI上には強誘電体膜FEが形成されない。
【0061】
本実施の形態の半導体装置の効果について上述したように、本実施の形態では、素子分離領域EIの直上に強誘電体膜FEを形成せず、強誘電体膜FEを活性領域上にのみ形成している。これにより、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEと活性領域上の強誘電体膜FEとで分極状態が異なる状況が生じることを防げる。したがって、メモリセルの保持特性の低下、並びに、誤書き込みおよび誤消去の増大を防げる。その結果、半導体装置の性能を向上できる。
【0062】
また、本実施の形態では、溝D1の形成と同時に、強誘電体膜FEおよび金属膜MFのそれぞれを部分的に除去しているため、
図33に示す比較例のメモリセルを製造する場合に比べ、フォトリソグラフィ用のマスクを追加で用意する必要がない。よって、半導体装置の製造工程の煩雑化および製造コストの増大を防げる。
【0063】
また、素子分離領域EIと強誘電体膜FEとの境界はセルフアラインで決まるため、フォトリソグラフィにおける露光のずれなどを考慮する必要がない。
【0064】
ここでは、金属膜MFを形成した後に素子分離領域EIを形成することについて説明した。この場合、金属膜MFは素子分離領域EI上に形成されないが、後述する本実施の形態の変形例2のように、素子分離領域EI上に金属膜を形成してもよい。その場合、
図6を用いて説明した工程では、強誘電体膜FEの上面に接する絶縁膜IF2を形成し、
図8を用いて説明したエッチバック工程では、強誘電体膜FEの上面を露出させる。次に、
図9を用いて説明した工程で、強誘電体膜FEおよび素子分離領域EIの上に金属膜MFおよびポリシリコン膜SFを順に形成する。
【0065】
<変形例1>
本実施の形態は、フィン構造を有する強誘電体メモリにも適用可能である。
図10は、本変形例の半導体装置である強誘電体メモリのメモリセルの斜視図である。
【0066】
図10に示すように、メモリセル領域には、X方向に延在する複数のフィンFAが、Y方向に等間隔に配置されている。ただし、
図10ではフィンFAを1つのみ示している。フィンFAは、例えば、半導体基板SBの上面から選択的に突出した直方体の突出部(凸部)であり、板状の形状を有している。フィンFAの下端部分は、半導体基板SBの上面を覆う素子分離領域EIで囲まれている。つまり、フィンFAは素子分離領域EIの上面より上に突出している。フィンFAは、半導体基板SBの一部であり、半導体基板SBの活性領域である。平面視において、隣り合うフィンFA同士の間は、素子分離領域EIで埋まっており、フィンFAの周囲は、素子分離領域EIで囲まれている。
【0067】
複数のフィンFA上には、Y方向に延在する複数の制御ゲート電極CGが配置されている。制御ゲート電極CGは、複数のフィンFAを跨ぐように形成されている。制御ゲート電極CGに覆われた領域において、フィンFAの上面および側面には、絶縁膜IF4、強誘電体膜FE1および金属膜MF4が順に形成されている。絶縁膜IF4および強誘電体膜FE1は素子分離領域EIの上面を露出しているが、金属膜MF4は素子分離領域EIの上面を覆っている。すなわち、金属膜MF4は制御ゲート電極CGの下において、制御ゲート電極CGと同様に複数のフィンFAを跨ぐように形成されている。よって、制御ゲート電極CGと素子分離領域EIの上面との間には金属膜MF4が介在している。
【0068】
フィンFA内には、制御ゲート電極CGを平面視で挟むように、n型の半導体領域であるソース領域およびドレイン領域が形成されているが、ここではそれらの図示を省略している。ソース領域およびドレイン領域のそれぞれは、フィンFAの上面および側面から所定の深さに亘ってフィンFA内(半導体基板SB内)に形成されている。また、ソース領域およびドレイン領域は、制御ゲート電極CGから露出するフィンFAの上面および側面のそれぞれの上にエピタキシャル成長法により形成されたエピタキシャル層(半導体層)内に形成されていてもよい。なお、図示していないが、フィンFA内には、p型ウェルが形成されている。
【0069】
制御ゲート電極CG、ソース領域およびドレイン領域を含むフィン型のFET(FINFET)は、フィンFAの上面に加えてフィンFAの側面にもチャネルが形成される。このため、FINFETは、平面視における面積が小さくても、大きいチャネル幅を有し、半導体装置の微細化に有利である。
【0070】
フィンFAは、半導体基板SBの上面から、上面に対して垂直な方向(上方)に突出する、例えば、直方体の突出部である。フィンFAは、必ずしも直方体である必要はなく、短辺方向における断面視にて、長方形の角部が丸みを帯びていてもよい。また、フィンFAの側面は半導体基板SBの上面に対して垂直であってもよいが、垂直に近い傾斜角度を有していてもよい。つまり、フィンFAの断面形状は、直方体であるか、または台形である。
【0071】
次に、
図11~
図16および
図10を用いて、本変形例の半導体装置の製造方法について説明する。
図11~
図16は、本変形例の半導体装置の形成工程中の断面図である。
図11~
図16は、メモリセルのゲート幅方向、つまり、フィンの短手方向(制御ゲート電極の延在方向)に沿う断面図である。
【0072】
まず、
図11に示すように、
図6を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、半導体基板SB上に、絶縁膜IF1、強誘電体膜FE、金属膜MFおよび絶縁膜IF2を順に形成した後、複数の溝D1を形成する。これにより、2つの溝D1同士の間においてX方向に延在するフィンFAを形成する。ここでは、フィンFAをY方向に並べて複数形成する。
【0073】
次に、
図12に示すように、
図7を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、各溝D1内に埋め込まれた絶縁膜IF3を形成する。続いて、エッチバックを行うことで、絶縁膜IF2を除去し、さらにエッチバックを行うことで、絶縁膜IF3の上面をフィンFAの上面より低い位置まで後退させる。これにより、絶縁膜IF3から成る素子分離領域EIを形成する。すなわち、ここで形成する素子分離領域EIは、その上面上に、フィンFAの上端を含む一部を露出している。
【0074】
次に、
図13に示すように、酸化処理を行うことで、素子分離領域EI上において露出するフィンFAの側面に酸化シリコン膜である絶縁膜IF4を形成する。ここでは、フィンFAの側面に形成された当該酸化シリコン膜は、フィンFAの上面に接する絶縁膜IF1と一体化するため、当該酸化シリコン膜と絶縁膜IF1とをまとめて絶縁膜IF4と呼ぶ。
【0075】
次に、
図14に示すように、半導体基板SB上に強誘電体膜および金属膜MF3を順に積層する。当該強誘電体膜は、例えばCVD法などにより形成でき、金属膜MF3は、例えばスパッタリング法により形成できる。当該強誘電体膜は、フィンFAの直上の強誘電体膜FEと一体化するため、当該強誘電体膜とフィンFAの直上の強誘電体膜FEとをまとめて強誘電体膜FE1と呼ぶ。強誘電体膜FE1および金属膜MF3から成る積層膜は、隣り合うフィンFA同士の間を完全には埋め込んでいない。強誘電体膜FE1および金属膜MF3のそれぞれは、例えば、強誘電体膜FEおよび金属膜MFと同じ材料から成る。
【0076】
次に、
図15に示すように、強誘電体膜FE1および金属膜MF3から成る積層膜をエッチバックすることで、隣り合うフィンFA同士の間の素子分離領域EIの上面を露出させる。つまり、各フィンFAの表面を覆う強誘電体膜FE1同士を分離させる。
【0077】
次に、
図16に示すように、金属膜MF4およびポリシリコン膜SFを順に積層する。これにより、隣り合うフィンFA同士の間は、絶縁膜IF4、強誘電体膜FE1、金属膜MF4およびポリシリコン膜SFにより埋め込まれる。つまり、ポリシリコン膜SFはフィンFAの上面および側面を覆うように形成される。ここでは、金属膜MF4を形成する前に、金属膜MF、MF3を除去してもよい。
図10では、金属膜MF、MF3を残した場合であって、それらの金属膜が、金属膜MF4と一体化している様子を示している。
【0078】
次に、
図10に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、ポリシリコン膜SF、金属膜MF4、強誘電体膜FE1および絶縁膜IF4から成る積層膜をパターニングする。これにより、Y方向に延在する当該積層膜のパターンを形成し、当該パターンから素子分離領域EIの上面を露出させる。これにより、ポリシリコン膜SFから成る制御ゲート電極CGを形成する。
【0079】
続いて、図示は省略するが、当該パターンから露出し、平面視で制御ゲート電極CGをX方向において挟むフィンFAにn型不純物を導入することで、ソース領域およびドレイン領域を形成する。これにより、制御ゲート電極CG、金属膜MF4、強誘電体膜FE1、ソース領域およびドレイン領域を備えた強誘電体メモリのメモリセルを形成する。なお、ソース領域およびドレイン領域は、当該パターンから露出するフィンFAの表面上に、エピタキシャル成長法によりエピタキシャル層を形成し、当該エピタキシャル層内にn型不純物を導入することで形成してもよい。
【0080】
上記のように、FINFETである強誘電体メモリのメモリセルにおいても、素子分離領域EI上に強誘電体膜FE1を形成しないことで、上述した本実施の形態の効果を得られる。
【0081】
<変形例2>
本実施の形態は、シリコン基板(S)上に絶縁膜(I)、下部金属膜(M)、強誘電体膜(F)および上部金属膜(M)を順に積層したMFMIS構造の強誘電体メモリにも適用可能である。
図17および
図18は、本変形例の半導体装置である強誘電体メモリのメモリセルの断面図である。
図17は、
図4と同様にメモリセルのゲート幅方向に沿う断面図である。
図18は、
図5と同様にメモリセルのゲート長方向に沿う断面図である。
【0082】
図17および、
図18に示すように、半導体基板SBの上面には複数の溝が形成されており、それらの溝内には、素子分離領域EIが形成されている。隣り合う素子分離領域EI同士の間、つまり活性領域の半導体基板SBの上面上には、絶縁膜IF1、金属膜MF1、強誘電体膜FE、金属膜MF2および制御ゲート電極CGが形成されている。ここで、絶縁膜IF1、金属膜MF1および強誘電体膜FEは、隣り合う素子分離領域EI同士の間のみに形成されており、金属膜MF2および制御ゲート電極CGは、強誘電体膜FE上および素子分離領域EI上においてX方向に延在している。その他、ソース領域SRおよびドレイン領域DRの構造は、
図2~
図5を用いて説明したメモリセルと同様である。強誘電体メモリのメモリセルは、金属膜MF1、強誘電体膜FE、金属膜MF2、制御ゲート電極CG、ソース領域SRおよびドレイン領域DRにより構成されている。
【0083】
次に、本変形例の半導体装置の製造方法について
図19および
図20を用いて説明する。
図19および
図20は、
図17に対応する箇所における断面図、つまり、形成するメモリセルのゲート幅方向に沿う断面図である。
【0084】
まず、
図19に示すように、半導体基板SBを用意する。続いて、図示はしないが、イオン注入法を用いて半導体基板SBの上面に不純物を導入することにより、半導体基板SBの上面から半導体基板SBの途中深さに亘ってp型半導体領域であるp型ウェルを形成する。p型ウェルは、p型の不純物(例えばB(ホウ素))を打ち込むことで形成する。続いて、半導体基板SB上に、絶縁膜IF1、金属膜MF1、強誘電体膜FEおよび絶縁膜IF2を形成する。金属膜MF1は、例えばTiN(窒化チタン)膜であり、例えばCVD法またはスパッタリング法を用いて形成できる。
【0085】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜IF1、金属膜MF1、強誘電体膜FE、および絶縁膜IF2から成る積層膜の上面から、半導体基板SBの途中深さに亘って複数の溝(分離溝)D1を形成する。
【0086】
次に、
図20に示すように、複数の溝D1のそれぞれを埋め込む絶縁膜を形成する。その後、複数の溝D1のそれぞれの外の当該絶縁膜を除去する。つまり、例えばCMP法による研磨処理を行うことで、当該絶縁膜から絶縁膜IF2の上面を露出させる。続いて、エッチバックを行うことで、絶縁膜IF2を除去して強誘電体膜FEの上面を露出させ、かつ、絶縁膜IF3の上面を後退させる。これにより、各溝D1内に残された上記絶縁膜から成る素子分離領域EIを形成する。
【0087】
次に、
図17および
図18に示すように、半導体基板SB上(素子分離領域EI上および金属膜MF上)に、金属膜MF2およびポリシリコン膜を順に形成する。金属膜MF2は、例えばTiN(窒化チタン)膜であり、例えばCVD法またはスパッタリング法を用いて形成できる。ポリシリコン膜は、素子分離領域EIおよび金属膜MF2のそれぞれの上面を覆って形成される。
【0088】
次に、金属膜MF2およびポリシリコン膜をパターニングして制御ゲート電極CGを形成し、続いて、活性領域の半導体基板SBの上面にソース領域SRおよびドレイン領域DRを形成することで、強誘電体メモリのメモリセルを形成する。当該パターニングにより、金属膜MF2および制御ゲート電極CGから成る積層膜はY方向に延在するパターンとして形成される。当該積層膜は、Y方向において並ぶ素子分離領域EIと、それらの素子分離領域EIの間の活性領域の半導体基板SBのそれぞれの上に亘って延在している。
【0089】
これにより、強誘電体膜FE、金属膜MF1、制御ゲート電極CG、金属膜MF2、ソース領域SRおよびドレイン領域DRを含むMISFET(MIS型電界効果トランジスタ)から成る強誘電体メモリのメモリセルが形成される。その後、図示しないが、強誘電体メモリを覆う層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通するプラグと、プラグ上の配線とを形成することで、本変形例の半導体装置が略完成する。
【0090】
本変形例のように、MFMIS構造の強誘電体メモリのメモリセルにおいても、素子分離領域EI上に強誘電体膜FE1を形成しないことで、上述した本実施の形態の効果を得られる。
【0091】
また、MFMIS構造の強誘電体メモリでは、制御ゲート電極CGを作成する際、非特許文献1で述べられている様に、上部の金属膜MF2および強誘電体膜FEを、下部の金属膜MF1および絶縁膜IF1と比較して細く作成することで、さらに容量カップリングを改善できる。
【0092】
また、MFIS構造ではなくMFMIS構造の強誘電体メモリを採用することで、絶縁膜IF1に掛かる電界を均一化することができる。
【0093】
(実施の形態2)
以下では、
図21~
図24を用いて、活性領域上および素子分離領域上に強誘電体膜を形成した後、研磨法により素子分離領域上の強誘電体膜を除去する場合について説明する。
図21~
図24は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図21~
図24は、形成するメモリセルのゲート幅方向に沿う断面である。
【0094】
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、まず、
図21に示すように、半導体基板SBを用意した後、半導体基板SBの上面に複数の溝D1を形成し、それらの溝D1内に素子分離領域EIを形成する。素子分離領域EIは、周知の方法により形成できる。
【0095】
すなわち、例えば、半導体基板SBの上面上に順に成膜した酸化シリコン膜および窒化シリコン膜から成る積層膜を形成した後、当該積層膜をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いてパターニングする。次に、当該積層膜から露出する半導体基板SBの上面をドライエッチングにより掘り下げることで、複数の溝D1を形成した後、溝D1内に酸化シリコン膜を埋め込む。続いて、当該酸化シリコン膜の上面をCMP法などにより研磨して当該窒化シリコン膜の上面を露出させた後、ウェットエッチング法により当該酸化シリコン膜の上面を選択的に下方に後退させる。ここで、後退させた当該酸化シリコン膜の上面の高さは、当該窒化シリコン膜の下面よりも高くする。これにより、当該酸化シリコン膜から成る素子分離領域EIを形成する。その後、当該窒化シリコン膜と、その下の酸化シリコン膜とを除去することで、活性領域の半導体基板SBの上面を露出させる。
【0096】
図21に示すように、素子分離領域EIの上面の高さは、活性領域の半導体基板SBの上面の高さよりも高い。ここでは、素子分離領域EIの上面と、活性領域の半導体基板SBの上面との高さの差が一定以上の大きさを有している必要がある。具体的には、当該高さの差は、
図22を用いて後述する工程で形成する強誘電体膜FEと金属膜MFとの合計の膜厚より大きい必要がある。
【0097】
次に、
図22に示すように、活性領域の半導体基板SBの上面を酸化することで絶縁膜IF1を形成する。続いて、半導体基板SB上、つまり絶縁膜IF1および素子分離領域EIのそれぞれの上に、順に強誘電体膜FEと金属膜MFとを成膜する。このとき、活性領域の金属膜MF、つまり、素子分離領域EIから露出する半導体基板SBの上面の直上の金属膜MFの上面の高さは、素子分離領域EIの最上面の高さよりも低い。
【0098】
次に、
図23に示すように、例えばCMP法などにより研磨を行うことで、強誘電体膜FEと金属膜MFとのそれぞれの一部を除去し、これにより素子分離領域EIの上面を露出させる。つまり、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEおよび金属膜MFを除去する。ただし、隣り合う素子分離領域EI同士の間の活性領域の半導体基板SB上には、強誘電体膜FEおよび金属膜MFから成る積層膜が残る。
【0099】
次に、
図24に示すように、半導体基板SB上、つまり当該積層膜および素子分離領域EIのそれぞれの上に、ポリシリコン膜を形成する。続いて、当該ポリシリコン膜をパターニングすることで制御ゲート電極CGを形成する。
【0100】
その後、図示は省略するが、平面視で制御ゲート電極CGを挟むように、活性領域の半導体基板SBの上面にソース領域およびドレイン領域を形成することで、メモリセルを形成できる。
【0101】
本実施の形態では、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEおよび金属膜MFを研磨法により除去し、活性領域にのみ強誘電体膜FEおよび金属膜MFを残している。これにより、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEと活性領域上の強誘電体膜FEとで分極状態が異なる状況が生じることを防げる。したがって、メモリセルの保持特性の低下、並びに、誤書き込みおよび誤消去の増大を防げる。その結果、半導体装置の性能を向上できる。
【0102】
また、本実施の形態では、素子分離領域EIを形成した後に強誘電体膜FEを形成している。このため、強誘電体膜FEが素子分離領域EIを形成する際に行う熱処理の影響を受けることを防げる。
【0103】
また、本実施の形態では、研磨工程により強誘電体膜FEおよび金属膜MFのそれぞれを部分的に除去しているため、
図33に示す比較例のメモリセルを製造する場合に比べ、フォトリソグラフィ用のマスクを追加で用意する必要がない。よって、半導体装置の製造工程の煩雑化および製造コストの増大を防げる。
【0104】
また、素子分離領域EIと強誘電体膜FEとの境界はセルフアラインで決まるため、フォトリソグラフィにおける露光のずれなどを考慮する必要がない。
【0105】
(実施の形態3)
以下では、
図25~
図28を用いて、活性領域上および素子分離領域上に強誘電体膜を形成した後、強誘電体膜をパターニングすることにより素子分離領域上の強誘電体膜を除去する場合について説明する。
図25~
図28は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図25~
図28は、形成するメモリセルのゲート幅方向に沿う断面である。
【0106】
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、まず、
図25に示すように、半導体基板SBを用意した後、半導体基板SBの上面に複数の溝D1を形成し、それらの溝D1内に素子分離領域EIを形成する。素子分離領域EIは、周知の方法により形成できる。
【0107】
次に、
図26に示すように、活性領域の半導体基板SBの上面を酸化することで絶縁膜IF1を形成する。続いて、半導体基板SB上、つまり絶縁膜IF1および素子分離領域EIのそれぞれの上に、順に強誘電体膜FEと金属膜MFとを成膜する。
【0108】
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、金属膜MF上にレジストパターンRPを形成する。レジストパターンRPは、フォトレジスト膜から成り、活性領域の半導体基板SBの上面を覆い、平面視で活性領域に隣接する素子分離領域EIの上面を除き、素子分離領域EIの上面を露出するパターンである。ここでは、レジストパターンRPは、活性領域のうち、後に制御ゲート電極CGを形成する領域のみでなく、後にソース領域およびドレイン領域を形成する領域も覆っている。すなわち、レジストパターンRPは、Y方向で隣り合う素子分離領域EI同士の間に亘って活性領域の半導体基板SBの上面を連続的に覆っており、活性領域近傍以外の素子分離領域EIの上面を露出している。
【0109】
次に、
図27に示すように、レジストパターンRPをマスク(エッチング防止マスク)として用いてドライエッチングを行うことで、金属膜MFおよび強誘電体膜FEをパターニングし、その後レジストパターンRPを除去する。このパターニングにより、素子分離領域EIの上面は金属膜MFおよび強誘電体膜FEから露出する。
【0110】
次に、
図28に示すように、半導体基板SB上、つまり金属膜MFおよび素子分離領域EIのそれぞれの上に、ポリシリコン膜を形成する。続いて、当該ポリシリコン膜をパターニングすることで制御ゲート電極CGを形成する。このパターニング工程では、当該ポリシリコン膜をパターニングした後、金属膜MFおよび強誘電体膜FEをパターニングし、これにより、平面視で制御ゲート電極CGを挟む活性領域の半導体基板SBの上面を露出させる。
【0111】
その後、図示は省略するが、平面視で制御ゲート電極CGを挟むように、活性領域の半導体基板SBの上面にソース領域およびドレイン領域を形成することで、メモリセルを形成できる。
【0112】
本実施の形態では、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEおよび金属膜MFをレジストパターンRPを用いたエッチングにより除去し、活性領域にのみ強誘電体膜FEおよび金属膜MFを残している。これにより、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEと活性領域上の強誘電体膜FEとで分極状態が異なる状況が生じることを防げる。したがって、メモリセルの保持特性の低下、並びに、誤書き込みおよび誤消去の増大を防げる。その結果、半導体装置の性能を向上できる。
【0113】
また、本実施の形態では、素子分離領域EIを形成した後に強誘電体膜FEを形成している。このため、強誘電体膜FEが素子分離領域EIを形成する際に行う熱処理の影響を受けることを防げる。
【0114】
また、本実施の形態では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いて素子分離領域EI上の強誘電体膜FEおよび金属膜MFを除去しており、一般的に用いられている技術のみで所望の形状の強誘電体膜FEおよび金属膜MFを得ることができる。このように、一般的な技術によりパターニングを行うため、CPU回路などに形成される低耐圧トランジスタ、および、I/O回路に形成される高耐圧トランジスタなどの形成が容易である。
【0115】
<変形例>
本実施の形態をMFMIS構造の強誘電体メモリに適用しようとする場合には、次のような工程を行うことが考えられる。つまり、
図25を用いて説明したように素子分離領域EIを形成した後、比較例として
図36に示すように、素子分離領域EIおよび半導体基板SBの上に順に成膜した金属膜MF1、強誘電体膜FEおよび金属膜MF2から成る積層膜を形成する。続いて、当該積層膜をパターニングして素子分離領域EI上の当該積層膜を除去した後、当該積層膜上および素子分離領域EI上に制御ゲート電極CGを形成する。このような場合、制御ゲート電極CGの一部が、当該積層膜の側面において金属膜MF1に接触し、金属膜MF1、MF2が互いに短絡する。その結果、強誘電体メモリのメモリセルは、所望の特性を得られなくなる。したがって、MFMIS構造の強誘電体メモリにおいては、金属膜MF1、MF2が互いに短絡しないように工夫する必要がある。
【0116】
そこで、本変形例では、
図21~
図24を用いて説明した製造方法と、
図25~
図28を用いて説明した製造方法とを組み合わせることで、上記短絡を防ぎ、かつ、素子分離領域EI上に強誘電体膜FEを形成しないことによる半導体装置の性能向上効果を得ることについて説明する。
【0117】
以下では、
図29~
図32を用いて、MFMIS構造の強誘電体メモリを形成する際、素子分離領域上の強誘電体膜を除去する場合について説明する。
図29~
図32は、本変形例の半導体装置の製造工程中の断面図である。
図29~
図32は、形成するメモリセルのゲート幅方向に沿う断面である。
【0118】
本変形例の半導体装置の製造工程では、まず、
図21を用いて説明した工程と同様の工程を行うことで、活性領域の半導体基板SBの上面よりも高い位置に上面が位置する素子分離領域EIを形成する。素子分離領域EIの上面と、活性領域の半導体基板SBの上面との高さの差は、
図29を用いて後述する工程で形成する金属膜MF1の膜厚より大きい必要がある。
【0119】
次に、
図29に示すように、活性領域の半導体基板SBの上面を酸化することで絶縁膜IF1を形成する。続いて、半導体基板SB上、つまり絶縁膜IF1および素子分離領域EIのそれぞれの上に、金属膜MF1を成膜する。このとき、活性領域の金属膜MF1の上面の高さは、素子分離領域EIの最上面の高さよりも低い。
【0120】
次に、
図30に示すように、例えばCMP法などにより研磨を行うことで、金属膜MF1の一部を除去し、これにより素子分離領域EIの上面を露出させる。つまり、素子分離領域EI上の金属膜MF1を除去する。ただし、隣り合う素子分離領域EI同士の間の活性領域の半導体基板SB上には金属膜MF1が残る。
【0121】
次に、
図31に示すように、半導体基板SB上、つまり金属膜MF1および素子分離領域EIのそれぞれの上に、強誘電体膜FEおよび金属膜MF2を順に形成する。
【0122】
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて、金属膜MF2上にレジストパターンRPを形成する。レジストパターンRPは、フォトレジスト膜から成り、活性領域の半導体基板SBの上面を覆い、平面視で活性領域に隣接する素子分離領域EIの上面を除き、素子分離領域EIの上面を露出するパターンである。ここでは、レジストパターンRPは、活性領域のうち、後に制御ゲート電極CGを形成する領域のみでなく、後にソース領域およびドレイン領域を形成する領域も覆っている。すなわち、レジストパターンRPは、Y方向で隣り合う素子分離領域EI同士の間に亘って活性領域の半導体基板SBの上面および金属膜MF1の上面を連続的に覆っており、活性領域近傍以外の素子分離領域EIの上面を露出している。レジストパターンRPのY方向における両端のそれぞれは、金属膜MF1のY方向における両端のそれぞれより外側で終端している。
【0123】
次に、
図32に示すように、レジストパターンRPをマスク(エッチング防止マスク)として用いてドライエッチングを行うことで、金属膜MF2および強誘電体膜FEをパターニングし、その後レジストパターンRPを除去する。このパターニングにより、素子分離領域EIの上面は金属膜MF2および強誘電体膜FEから露出する。このとき、金属膜MF2および強誘電体膜FEのそれぞれのY方向における両端のそれぞれは、金属膜MF1のY方向における両端のそれぞれより外側で終端している。つまり、強誘電体膜FEは、金属膜MF1のY方向における一方の端部から他方の端部に亘って、金属膜MF1を覆っている。このため、金属膜MF1は、後述する制御ゲート電極CGに対して絶縁される。
【0124】
続いて、半導体基板SB上、つまり金属膜MF2および素子分離領域EIのそれぞれの上に、ポリシリコン膜を形成する。続いて、当該ポリシリコン膜をパターニングすることで制御ゲート電極CGを形成する。このパターニング工程では、当該ポリシリコン膜をパターニングした後、金属膜MF2、強誘電体膜FEおよび金属膜MF1をパターニングし、これにより、平面視で制御ゲート電極CGを挟む活性領域の半導体基板SBの上面を露出させる。
【0125】
その後、図示は省略するが、平面視で制御ゲート電極CGを挟むように、活性領域の半導体基板SBの上面にソース領域およびドレイン領域を形成することで、メモリセルを形成できる。
【0126】
本変形例では、素子分離領域EI上の金属膜MF1を研磨法で除去し、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEおよび金属膜MF2をレジストパターンRPを用いたエッチングにより除去している。ここでは、素子分離領域EI上の金属膜MF1を研磨法で除去しているため、その後形成する強誘電体膜FEおよび金属膜MF2から成る積層パターンから金属膜MF1は露出していない。したがって、制御ゲート電極CGを介した金属膜MF1と金属膜MF2との短絡を防げる。以上により、活性領域にのみ強誘電体膜FEおよび金属膜MFを残すことができる。これにより、素子分離領域EI上の強誘電体膜FEと活性領域上の強誘電体膜FEとで分極状態が異なる状況が生じることを防げる。したがって、メモリセルの保持特性の低下、並びに、誤書き込みおよび誤消去の増大を防げる。その結果、半導体装置の性能を向上できる。
【0127】
また、MFMIS構造の強誘電体メモリでは、制御ゲート電極CGを作成する際、非特許文献1で述べられている様に、上部の金属膜MF2および強誘電体膜FEを、下部の金属膜MF1および絶縁膜IF1と比較して細く作成することで、さらに容量カップリングを改善できる。
【0128】
また、MFIS構造ではなくMFMIS構造の強誘電体メモリを採用することで、絶縁膜IF1に掛かる電界を均一化することができる。
【0129】
また、本実施の形態では、素子分離領域EIを形成した後に強誘電体膜FEを形成している。このため、強誘電体膜FEが素子分離領域EIを形成する際に行う熱処理の影響を受けることを防げる。
【0130】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0131】
例えば、前記実施の形態1~3では、n型トランジスタから成るメモリセルについて説明したが、当該トランジスタをp型トランジスタとして形成してもよい。その場合は、トランジスタを構成するウェルおよびソース・ドレイン領域などの導電型を逆にすればよい。
【符号の説明】
【0132】
CG 制御ゲート電極
D1 溝
EI 素子分離領域
FE、FE1 強誘電体膜
IF1~IF4 絶縁膜
MF、MF1~MF4 金属膜
RP レジストパターン
SB 半導体基板