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特許7491816パッケージ品の検査装置およびパッケージ品の検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】パッケージ品の検査装置およびパッケージ品の検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 25/72 20060101AFI20240521BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20240521BHJP
【FI】
G01N25/72 E
G01J5/48 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020188679
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077714
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 太郎
(72)【発明者】
【氏名】込谷 太一
(72)【発明者】
【氏名】谷本 尚之
(72)【発明者】
【氏名】岩本 百合奈
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-41840(JP,A)
【文献】特開平10-311811(JP,A)
【文献】特開昭62-28650(JP,A)
【文献】特開2005-164428(JP,A)
【文献】特開2018-80920(JP,A)
【文献】特開昭63-193052(JP,A)
【文献】特開昭63-52048(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104535616(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 25/00-25/72
G01J 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内容物の収容口として機能する開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口の外周を囲う範囲をシール面として密接されて当該開口を閉塞するフィルム状の蓋部材と、を備えるパッケージ品の検査装置であって、
前記パッケージ品の少なくとも前記容器本体における前記シール面に位置する前記蓋部材を加熱対象として加熱する第1加熱手段および第2加熱手段と、
赤外線カメラを用いて前記蓋部材の表面温度の分布を表すサーモグラフィ画像を撮影して出力する撮影手段と、を有して、
前記第1加熱手段は、加熱する光を前記加熱対象に照射する熱光源により構成されているとともに、前記第2加熱手段は、加熱する温風を前記加熱対象に吹き付ける温風機により構成され、
前記第2加熱手段は、前記加熱対象への加熱を、前記第1加熱手段と同時に終了し、または、前記第1加熱手段の終了後に遅れて終了し、あるいは、前記第1加熱手段の終了後に開始して終了し、
前記撮影手段は、前記第2加熱手段による加熱中または加熱後の前記パッケージ品の前記蓋部材表面の前記サーモグラフィ画像を撮影するように設置されている
ことを特徴とするパッケージ品の検査装置。
【請求項2】
前記パッケージ品を搬送して検査経路を通過させる搬送手段を備え、
前記第1加熱手段は、前記検査経路上を搬送されて前記第2加熱手段による第2加熱領域と重なる、または当該第2加熱領域よりも上流側にずれる、第1加熱領域に位置する前記パッケージ品の前記蓋部材を前記加熱対象として加熱するように設置され、
前記第2加熱手段は、前記検査経路上を搬送されて前記第1加熱手段による前記第1加熱領域と重なる、または当該第1加熱領域よりも下流側にずれる、前記第2加熱領域に位置する前記パッケージ品の前記蓋部材を前記加熱対象として加熱するように設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項3】
前記第1加熱領域は、前記検査経路において、下流側が前記第2加熱領域よりも下流側にずれることなく、前記第2加熱領域に一致または完全に含まれて重なる、または、下流側が前記第2加熱領域の上流側に重なる、あるいは、下流側が前記第2加熱領域よりも上流側に位置することを特徴とする請求項2に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項4】
前記第1加熱手段および前記第2加熱手段のうちの少なくとも該第1加熱手段は、前記パッケージ品の前記シール面における前記蓋部材の表面に対して当該パッケージ品の搬送方向の上流側に斜め方向から照射光が向かうように設置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項5】
前記撮影手段は、前記パッケージ品の前記シール面における前記第1加熱手段の照射光の反射光が入射しないように設置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項6】
前記撮影手段は、前記パッケージ品の前記シール面における前記蓋部材の表面に対する直交方向から撮影するように設置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項7】
前記撮影手段により撮影された前記サーモグラフィ画像を入力されて前記パッケージ品の前記シール面における前記蓋部材の密接状態を表示出力する表示手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項8】
前記撮影手段により撮影された前記サーモグラフィ画像を入力されて前記パッケージ品の前記シール面における前記蓋部材の密接状態の良否検査をして結果出力する検査手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のパッケージ品の検査装置。
【請求項9】
少なくとも内容物の収容口として機能する開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口の外周を囲う範囲をシール面として密接されて当該開口を閉塞するフィルム状の蓋部材と、を備えるパッケージ品の検査方法であって、
前記パッケージ品の少なくとも前記容器本体における前記シール面に位置する前記蓋部材を熱光源および温風機により同時に加熱、あるいは、該熱光源による加熱の終了後に該温風機のみにより加熱して、当該蓋部材の表面温度の分布を表すサーモグラフィ画像を赤外線カメラにより撮影して出力する
ことを特徴とするパッケージ品の検査方法。
【請求項10】
前記熱光源および前記温風機のいずれか一方または双方は、前記パッケージ品の前記蓋部材への加熱を実行または中止して、当該蓋部材を同時に、あるいは、該熱光源による加熱の終了後に該温風機のみにより加熱することを特徴とする請求項9に記載のパッケージ品の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に内容物を収容してなる製品であるパッケージ品の検査装置および検査方法に関し、特に、容器本体の開口を覆う蓋部材のシール不良の有無を検査するのに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋部材とがヒートシールなどにより密接に接着接合されるシール部(シール面)には、内容物またはその一部が介在してしまうことで、シール不良が生じ得る。シール不良が生じると、パッケージ品の密封性を阻害し、品質低下や、食品の場合には腐敗の原因ともなるので、出荷前に検査を行い、シール不良が生じているパッケージ品は確実に排除されなければならない。
【0003】
シール不良の検出技術としては、特許文献1や特許文献2に開示されたものを利用することができる。特許文献1には、食品を包装した製品の包装材(蓋部材)に外部より熱変化を与え、内容物の付着部が他部と異なる熱容量のため生じる温度差を赤外線検出器で測定し、包装材への内容物の付着の有無を判定する技術が開示されており、この技術はシール部への内容物の付着の検査にも応用できるとされている。また、特許文献2には、主として、一様な外気温度など第1温度にあるパッケージ品を第1温度とは異なる第2温度の条件に曝し、その後の内容物からの熱伝導や輻射伝熱に起因した包装材の表面温度の分布に基づいて、内容物の形状、大きさおよび個数などの少なくとも1つを検査する技術が開示されている。また、この技術を適用し、包装材に対して内容物がどの位置にあるかを判定することで、シール部への内容物の噛み込みが生じているか否かを検査することが可能であることも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-28650号公報
【文献】特開2018-155648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなパッケージ品の検査にあっては、表面における温度差によりシール不良の有無を検査することから、その検査品質や検査速度を向上させるためには、そのシール不良の個所に明確な温度差を生じさせる必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、シール不良の発生個所に明確な温度差を生じさせて、検査品質や検査速度を向上させることのできるパッケージ品の検査装置やパッケージ品の検査方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するパッケージ品の検査装置の発明の一態様は、少なくとも内容物の収容口として機能する開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口の外周を囲う範囲をシール面として密接されて当該開口を閉塞するフィルム状の蓋部材と、を備えるパッケージ品の検査装置であって、前記パッケージ品の少なくとも前記容器本体における前記シール面に位置する前記蓋部材を加熱対象として加熱する第1加熱手段および第2加熱手段と、赤外線カメラを用いて前記蓋部材の表面温度の分布を表すサーモグラフィ画像を撮影して出力する撮影手段と、を有して、前記第1加熱手段は、加熱する光を前記加熱対象に照射する熱光源により構成されているとともに、前記第2加熱手段は、加熱する温風を前記加熱対象に吹き付ける温風機により構成され、前記第2加熱手段は、前記加熱対象への加熱を、前記第1加熱手段と同時に終了し、または、前記第1加熱手段の終了後に遅れて終了し、あるいは、前記第1加熱手段の終了後に開始して終了し、前記撮影手段は、前記第2加熱手段による加熱中または加熱後の前記パッケージ品の前記蓋部材表面の前記サーモグラフィ画像を撮影するように設置されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記課題を解決するパッケージ品の検査装置の発明の一態様は、少なくとも内容物の収容口として機能する開口を有する容器本体と、前記容器本体の開口の外周を囲う範囲をシール面として密接されて当該開口を閉塞するフィルム状の蓋部材と、を備えるパッケージ品の検査方法であって、前記パッケージ品の少なくとも前記容器本体における前記シール面に位置する前記蓋部材を熱光源および温風機により同時に加熱、あるいは、該熱光源による加熱の終了後に該温風機のみにより加熱して、当該蓋部材の表面温度の分布を表すサーモグラフィ画像を赤外線カメラにより撮影して出力することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
このように本発明の一態様によれば、パッケージ品は容器本体とのシール面に位置する蓋部材が熱光源および温風機により同時に、あるいは、熱光源の加熱終了後に温風機により順次に加熱され、その加熱中あるいは加熱後の蓋部材の表面温度分布を表すサーモグラフィ画像が撮影されて出力される。
【0010】
この検査処理では、熱光源および温風機による同時加熱、あるいは熱光源よりも遅れる温風機による追加加熱によって、色により生じる温度差を少なく、かつ、シール不良による生じる温度差への影響を少なくしつつ、蓋部材を加熱することができ、高品質かつ高速に検査可能に蓋部材の表面に明確な温度差を生じさせることができる。
【0011】
したがって、検査品質や検査速度を向上させることのできるパッケージ品の検査を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明のパッケージ品の検査方法を実施する検査装置に係る第1実施形態の概略全体構成を示す概念図である。
図2図2は、搬送されるパッケージ品を示す平面図である。
図3図3は、その加熱処理を説明する搬送方向の側方から見た概念構成図である。
図4図4は、搬送時の加熱領域を説明する平面図である。
図5図5は、パッケージ品の蓋部材表面の模様の一例を示す平面図である。
図6図6は、その熱光源による加熱時のサーモグラフィ画像の一例を示す平面図である。
図7図7は、その温風機による加熱時のサーモグラフィ画像の一例を示す平面図である。
図8図8は、その熱光源の後に温風機で加熱した時のサーモグラフィ画像の一例を示す平面図である。
図9図9は、図4と異なる不適切な加熱領域を説明する平面図である。
図10図10は、本発明のパッケージ品の検査方法を実施する検査装置に係る第2実施形態の概略全体構成を示す概念図である。
図11図11は、搬送時の加熱領域を説明する平面図である。
図12図12は、図11と異なる不適切な加熱領域を説明する平面図である。
図13図13は、本発明のパッケージ品の検査方法を実施する検査装置に係る第3実施形態の概略全体構成を示す概念図である。
図14図14は、搬送時の加熱領域を説明する平面図である。
図15図15は、その第1の他の態様を示す搬送時の加熱領域を説明する平面図である。
図16図16は、その第2の他の態様を示すパッケージ品の検査装置の概念図である。
図17図17は、その第3の他の態様を示すパッケージ品の検査装置の概念図である。
図18図18は、その課題を説明する処理時のパッケージ品の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図9は本発明のパッケージ品の検査方法を実施するパッケージ品の検査装置の第1実施形態を説明する図である。
【0014】
図1および図2において、検査装置1は、検査対象の複数個のパッケージ品Pを連続的に検査経路上を経由して通過するように搬送しつつ、そのパッケージ品Pの容器本体Bの蓋部材Cにおける接合(封止)品質を検査することを目的にして構築されている。検査装置1は、パッケージ品Pを直線的に搬送するコンベア(搬送手段)10と、搬送されるパッケージ品Pの上面(後述の蓋部材)Cを加熱する加熱ユニット(加熱手段)20と、そのパッケージ品Pの上面Cのサーモグラフィ画像を撮影するカメラ(撮影手段)30と、これら装置各部を統括制御するコントローラ100と、を備えている。
【0015】
ここで、パッケージ品Pは、インスタント食品等の内容物Fが容器本体B内に開口部(収容口)Boから収容されて、その開口部Boの周縁部Beにフィルム状の蓋部材Cが密着接合して密封されている。パッケージ品Pは、容器本体Bの周縁部Beをシール面としてフィルム状の蓋部材Cがヒートシールなどにより接着接合されることにより高品質に外気等から遮断して内容物Fの品質劣化を未然に防止する。
【0016】
容器本体Bは、例えば、発泡または非発泡のプラスチック類,紙類,アルミニウム,アルミニウムラミネートなどの材料(材質)を用いて作製することができる。蓋部材Cは、例えば、プララスチックや紙、あるいは、これらとアルミニウム箔とをラミネート加工により積層したキャップシールのフィルム状の材料(材質)を用いて作製することができる。なお、特に、蓋部材Cとしては、これらに限らず、特に可視光および赤外線不透過性のものに対して本発明は有効に適用できる。内容物Fは、固形物に限るものではなく、流動物またはそれらの混在物などの形態でもよく、また、麺などの固形食品に限らず、ゼリー,プリン,飲料などの流動食品でもよく、さらに、粉体食品でもよい。
【0017】
本実施形態では、検査対象とするパッケージ品Pとして、例えば、カップ麺Pを一例にして説明する(他の包装製品でもよいことは言うまでもない)。一般に、パッケージ品のカップ麺Pは、内容物Fとして、乾燥麺および加薬や、粉末または液体状のつゆを収納したプラスチック袋などを収容し、上面に開口部Boを有する発泡スチロールなどで形成された容器本体Bと、開口部Bo全体を覆うアルミニウムラミネートフィルムなどで形成された蓋部材Cと、から構成される。容器本体Bの開口部Boは上面側の全体にわたって開口されており、その開口部Boの周縁部Beがシール面Sとしてフィルム状の蓋部材Cの周縁部Ceが密着接合されて密封されている。
【0018】
このパッケージ品Pは、内容物Fを容器本体B内に収容する際、内容物Fの一部(乾燥麺の欠片,加薬,プラスチック袋の縁や角など)が容器本体Bの周縁部Beに位置した(噛み込んだ)状態となることがあり、図2に示すように、このままシール面Sに蓋部材Cを密着接合させるシール作業を行うと異物Feを挟み込んだ状態になってシール不良を引き起こしてしまう。
【0019】
このことから、本実施形態の検査装置1は、容器本体Bのシール面Sとの間に挟み込んだ状態の蓋部材Cの接合不良の有無を確認する高品質かつ高速度の検査を実現する。なお、以下の説明において、シール面Sに位置する(実際に容器本体Bと蓋部材Cとの間における噛み込んでいる)内容物Fの一部を、外来のものではないが便宜上「異物Fe」として説明する。
【0020】
そして、検査装置1のコンベア10は、無端状の搬送ベルト11が駆動ローラ13と従動ローラ15とに巻き掛けられて周回回転駆動することにより載置されているパッケージ品Pを矢印D方向に搬送して加熱ユニット20による加熱領域からカメラ30による撮影位置を経由する検査経路を通過させる。ここで、パッケージ品Pは、図示することは省略するが、コンベア10の上流側からパーツフィーダなどにより1つずつ所定間隔に供給すればよく、後述するように、コントローラ100により接合品質の検査結果の良否判定に応じて搬送先を振り分けるように構築されている。
【0021】
加熱ユニット20は、搬送ベルト11の駆動(搬送)方向上流側の上方にハロゲンヒータ(第1加熱手段)21および温風ヒータ(第2加熱手段)23が設置されて構築されている。ハロゲンヒータ21および温風ヒータ23は、コンベア10により下方の検査経路上を通過するように搬送されるパッケージ品Pの上面C側に位置して容器本体Bを封止する蓋部材Cの全面を主に加熱するようにそれぞれ機能する。
【0022】
カメラ30は、搬送ベルト11の上方に位置するハロゲンヒータ21および温風ヒータ23よりもパッケージ品Pの搬送方向下流側に設置されている。カメラ30は、コンベア10により鉛直下方の検査経路上を通過するように搬送されるパッケージ品Pの上面C側に位置して容器本体Bを封止する蓋部材Cの全面における表面温度分布を表す赤外線画像、所謂、サーモグラフィ画像を遠赤外線で撮影する赤外線カメラ機能を備えている。
【0023】
このカメラ30は、例えば、7~14μmの波長を含む遠赤外線に感度を有する汎用の所謂、ボロメータ方式の遠赤外線カメラなどを用いることができる。ここで、パッケージ品Pの蓋部材Cは、後述するように、濃淡色のモノクロ印刷あるいはカラー印刷などが施されている場合があり、近赤外線よりも遠赤外線の方が濃い色でも透過し易く、後述の異物Feなど蓋部材Cの内部の検査に適している。また、遠赤外線を用いる装置は、近赤外線を用いる装置よりも概して小型かつ安価な設備とすることができるという利点がある。なお、カメラ30は、可視光線でカラー写真画像を撮影する通常のカメラ機能を備えていてもよい。
【0024】
コントローラ100は、コンベア10の駆動ローラ13と、加熱ユニット20のハロゲンヒータ21および温風ヒータ23と、カメラ30とを含む検査装置1の装置各部に各種情報をやり取り可能に接続されて各種動作を統括制御するように構築されている。コントローラ(検査手段)100は、CPU101がメモリ103内に予め格納されている制御プログラムを実行して上記の装置各部を統括制御し、また、カメラ30の撮影するサーモグラフィ画像に基づいて加熱ユニット20により加熱されたパッケージ品Pの蓋部材Cにおける容器本体Bの周縁部Beとの接合(封止)品質を検査(判定)して良否判定に応じた搬送先にパッケージ品Pを振り分けるように搬送する検査処理(検査方法)を実行する。このコントローラ100は、各種設定情報の入力操作等をする操作部105と共に、その設定情報やパッケージ品Pの蓋部材Cのサーモグラフィ画像や温度分布等の検査情報や検査結果を表示出力するモニタ(表示手段)107を備えている。
【0025】
具体的に、加熱ユニット20のハロゲンヒータ21は、加熱対象のパッケージ品Pの上面Cに向けて鉛直直下の方向に、例えば、波長7μm以上の出射光を放出(照射)して加熱する熱光源であり、通電と概略同時に輻射熱を対象物に照射して加熱することができ、その加熱対象の温度上昇を迅速に開始させることができる。温風ヒータ23は、同じパッケージ品Pの上面Cに向けて鉛直直下の方向に温風を吹き付けて加熱する温風機であり、その温風は熱源周囲の空気を伝熱(熱交換)により加熱して吹き付けることから、熱源の温度上昇に時間が掛かると共に温風を吹き付けられる加熱対象が伝熱により温度上昇するのにも時間が掛かって、加熱対象の加熱された熱量は周囲に伝達分布されて全体的にゆっくりと均等に温度上昇することになる。ここで、加熱ユニット20の熱光源としてはハロゲンランプを熱源とするハロゲンヒータ21に限るものではなく、例えば、電熱線のニクロム線やフィラメントなどのように通電して発光・発熱させることにより加熱対象に照射する輻射熱を発生する熱源であってもよい。温風ヒータ23は、例えば、ニクロム線などの電熱線を熱源として周囲を通過させる空気を伝熱加熱させて加熱対象の頭髪等に吹き付けて乾燥させる、所謂、ドライヤとしてもよい。
【0026】
この加熱ユニット20は、カメラ30による撮影領域よりも上流側に設置されてコンベア10により搬送されるパッケージ品Pに対する最適な加熱処理を完了するようにレイアウトされており、ハロゲンヒータ21が温風ヒータ23の上流側に配置されてパッケージ品Pの上面Cを輻射熱で加熱した後に温風ヒータ23の熱風で加熱するようになっている。
【0027】
詳細には、図3および図4に示すように、ハロゲンヒータ21および温風ヒータ23は、コンベア10の搬送するパッケージ品Pの上面C側を加熱対象として、その搬送ベルト11の上面側に、それぞれの光源加熱領域(第1加熱領域)21hおよび温風加熱領域(第2加熱領域)23hが設定されており、その光源加熱領域21hは温風加熱領域23hと重なることなく上流側にずれた隣接位置に配置されている。これにより、温風ヒータ23は、ハロゲンヒータ21が光源加熱領域21hを搬送されるパッケージ品Pの蓋部材Cに熱光源光(輻射熱)を照射する加熱処理が終了した後に、温風ヒータ23が温風加熱領域23hを搬送されるパッケージ品Pの蓋部材Cに温風を吹き付ける加熱処理を完了する。すなわち、温風ヒータ23は、ハロゲンヒータ21による加熱処理の終了後に加熱処理を開始して終了することになる。
【0028】
このとき、パッケージ品Pの蓋部材Cは、内容物Fに応じた文字を含む各種模様などの装飾が施されて流通するのが一般的であり、図5に可視光によるカラー写真画像で示すように、異なる色による模様等が蓋部材Cに印刷などされている場合、その色や表面状態などに応じて加熱の種別で異なる熱的影響を受ける。例えば、模様Cd、Cm、Cwの色の濃淡に応じて反射する光の周波数が異なっており、薄い色では広い範囲の周波数の光を反射するが、濃い色では反射する光の周波数の範囲が狭く光を吸収することになる。
【0029】
このため、例えば、蓋部材Cは、ハロゲンヒータ21のみにより輻射熱が照射されて加熱される場合には、図6にサーモグラフィ画像で示すように、白色模様Cwが最も低い温度で、濃い色の模様Cdが最も高い温度まで蓄熱上昇して、淡い色の模様Cpが中間温度となる温度分布に迅速に到達される。
【0030】
ところで、パッケージ品Pの容器本体Bを蓋部材Cで封止する際に、これらの周縁部Ce、Beの間のシール面Sに異物Feが挟み込まれている場合には、加熱処理を主に受ける蓋部材Cの全体と容器本体Bの上部における熱容量や熱伝達特性が異物Feによる熱的影響を受けることになる。要するに、容器本体Bと蓋部材Cとの間のシール面S付近における熱容量に異物Feの影響がある。また、その異物Feが容器本体Bと蓋部材Cとの間に挟まって熱伝達(熱流)にも影響を与えることもある。ここで、パッケージ品Pの容器本体Bは、熱容量が小さく熱伝導率の低い発泡スチロールなどが多用されており、蓋部材Cもアルミニウム製のラミネートフィルムなどで作製されるなど熱容量が小さく形成されている。これに対して、異物Feは、内容物Fの一部などであって、熱容量が大きい場合があることから、この場合には、その異物Feの周辺と異なる熱量を蓄熱して蓋部材C付近における熱分布に差を与えて温度分布を生じさせることになる。
【0031】
すると、パッケージ品Pの容器本体Bと蓋部材Cとのシール面Sに異物Feを挟み込んでいる状態で、ハロゲンヒータ21の輻射熱の照射のみにより迅速に温度上昇させる加熱処理の場合には、同図6に示すように、例えば、白色模様Cwの低温から濃色模様Cdの高温の温度上昇が生じて色の濃度に応じた温度分布が迅速に形成される。この場合、異物Feの表面側は蓋部材Cであることから該当色に応じた同様の温度上昇に留まることから、異物Feによってサーモグラフィ画像の設定温度閾値による画像処理で抽出して判定可能に温度差を生じさせることは難しい。
【0032】
これに対して、例えば、蓋部材Cは、温風ヒータ23のみにより温風が吹き付けられて加熱される場合には、図7にサーモグラフィ画像で示すように、色の濃淡に応じた温度差が生じる程度は小さく、部材の熱容量や熱伝達特性に応じて温度上昇しつつ全体に広がる。この場合、白色模様Cw、濃色模様Cd、および淡色模様Cpの区別は少なく、ゆっくりと温度上昇することから、異物Feでの蓄熱や伝熱などによって温度差を生じさせることができる。
【0033】
すると、パッケージ品Pの容器本体Bと蓋部材Cとのシール面Sに異物Feを挟み込んでいる状態で温風ヒータ23の温風の吹き付けのみによりゆっくりと温度上昇する加熱処理の場合には、同図7に示すように、白色模様Cw、淡色模様Cp、濃色模様Cdの領域毎に応じた個別の温度特性による境界はなく均等な温度分布になる。この場合、異物Feの位置のみをサーモグラフィ画像の設定温度閾値による画像処理により抽出して異物Feの有無を判断して接合品質の良否判定をすることができる。
【0034】
そして、蓋部材Cは、本実施形態のように、ハロゲンヒータ21から輻射熱が照射されて迅速に温度上昇させる加熱処理の後に、温風ヒータ23から温風が吹き付けられてじっくりと蓄熱させる加熱処理をする場合には、図8にサーモグラフィ画像で示すように、色の濃淡に応じて生じる温度差を抑えつつ、部材の熱容量や熱伝達特性に応じて全体に広がる温度上昇を確保することができる。
【0035】
このことから、パッケージ品Pの容器本体Bと蓋部材Cとのシール面Sに異物Feを挟み込んでいる状態でハロゲンヒータ21の輻射熱の照射と共に温風ヒータ23の温風の吹き付けにより迅速に温度上昇させた後にゆっくりと温度上昇させる加熱処理の場合には、同図8に示すように、白色模様Cw、淡色模様Cp、濃色模様Cdの領域毎に応じた個別の温度特性による境界をあいまいにして均等な温度分布になる。このため、異物Feの位置のみをサーモグラフィ画像の設定温度閾値による画像処理により抽出して異物Feの有無を判断して接合品質の良否判定することが可能になる。
【0036】
要するに、検査装置1は、異物Feの位置を以外の領域よりも温度上昇させるハロゲンヒータ21および温風ヒータ23による加熱処理条件(時間・温度)と、その異物Feの位置をサーモグラフィ画像から抽出可能な温度閾値とをコントローラ100に設定して検査制御処理を実行することにより、異物Feの有無を信頼性高く判定して容器本体Bを封止する蓋部材Cによる接合品質を迅速かつ高精度に検査することができ、パッケージ品Pの効率よく品質検査することができる。
【0037】
ここで、本実施形態のパッケージ品Pは、蓋部材Cに、ハロゲンヒータ21による加熱処理後に温風ヒータ23により加熱処理される検査方法を施す場合の一例を説明するが、例えば、図9に示すように、ハロゲンヒータ21および温風ヒータ23を入れ替えるのは不適当である。
【0038】
この場合には、搬送ベルト11により搬送されるパッケージ品Pは、上面C側の蓋部材Cが温風加熱領域23hを通過する際には温風ヒータ23から温風が吹き付けられて加熱された後に、光源加熱領域21hを通過する際にハロゲンヒータ21から輻射熱が照射されて加熱される。
【0039】
すると、まずは、蓋部材Cは、温風ヒータ23の温風により加熱されて白色模様Cw、濃色模様Cd、および淡色模様Cpの区別は少なく、ゆっくりと異物Feによる温度差が生じる程度の温度分布を生じさせた後に(図7を参照)、ハロゲンヒータ21の輻射熱により加熱されて白色模様Cwが最も低い温度で、濃い色の模様Cdが最も高い温度まで蓄熱上昇して濃淡色に応じた温度差の生じている温度分布が迅速に出現される(図6を参照)。
【0040】
このため、パッケージ品Pの容器本体Bと蓋部材Cとのシール面Sに異物Feを挟み込んでいる状態で温風ヒータ23から温風を吹き付けて概略均等に全体を温度上昇させたとしても、ハロゲンヒータ21から輻射熱を照射すると色の濃度に応じた温度分布が迅速に出現してしまい、異物Feにより生じる温度差をサーモグラフィ画像の設定温度閾値による画像処理で抽出して判定することを難しくしてしまう。
【0041】
ところで、本実施形態のパッケージ品Pは、検査装置1の設置環境や保管環境に応じた周辺温度から加熱されることから、例えば、別個の温風ヒータにより検査毎に温度差(温度分布)を生じさせないように予め予備的に加熱保持してから、ハロゲンヒータ21の輻射熱により所望の検査温度程度に加熱する処理を開始するのがより検査品質を上場させるのに効果的である。
【0042】
このように、本実施形態の検査装置1においては、パッケージ品Pの蓋部材Cにおける濃淡色の模様による温度分布への影響を少なくするように、ハロゲンヒータ21で加熱した後に温風ヒータ23で加熱することができ、挟み込む異物Feの位置に温度差を生じさせて迅速に、かつ信頼性高く画像処理により抽出することができる。
【0043】
したがって、容器本体Bおよび蓋部材Cのシール面Sに異物Feが挟み込まれているか否かの封止検査を高品質かつ高速に行う検査方法を実施する検査装置1を提供することができる。
【0044】
次に、図10図12は本発明のパッケージ品の検査方法を実施するパッケージ品の検査装置の第2実施形態を説明する図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されていることから、同様の構成には同一の符号を付して説明を省略しつつ特徴部分を説明する(以下で説明する他の実施形態においても同様)。
【0045】
図10および図11において、検査装置1の加熱ユニット20は、コンベア10の搬送するパッケージ品Pの上面C側を加熱対象とするハロゲンヒータ41および温風ヒータ43を備えて構築されている。ハロゲンヒータ41および温風ヒータ43は、搬送ベルト11の上面側の光源加熱領域41hの下流側と温風加熱領域43hの上流側とが重なるように、輻射熱の照射方向と温風の吹き付け方向とが互いに向き合って内側に向くように傾斜する姿勢で設置されている。
【0046】
これにより、ハロゲンヒータ41および温風ヒータ43は、パッケージ品Pの蓋部材Cを、それらの輻射熱の照射および温風の吹き付けのうちの前者のみで加熱した後に双方で加熱し、この後に後者のみで加熱して、一連の加熱処理を終了する。すなわち、温風ヒータ23は、ハロゲンヒータ21による加熱処理の終了前から加熱処理を開始して、そのハロゲンヒータ21による加熱処理後から遅れて加熱処理を終了する。
【0047】
したがって、蓋部材Cは、第1実施形態と同様に、ハロゲンヒータ21の輻射熱の照射による加熱処理が開始された後に温風ヒータ23の温風の吹き付けによる加熱処理が重ねられ、この後には、その温風の吹き付けによる加熱のみにされる。
【0048】
このため、検査装置1は、搬送ベルト11上の狭い加熱領域の範囲内で、ハロゲンヒータ41の輻射熱の照射による迅速な温度上昇で色の濃淡に応じた加熱状況に差が生じた後でも、その後の温風ヒータ43の温風の吹き付けによる全体への熱伝達により温度差の境界をあいまいにして蓋部材Cを均等な温度分布になるように加熱することができ、異物Feの有無を迅速かつ容易に判断して接合品質の良否判定を信頼性高く効率よく行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態でも、例えば、図12に示すように、ハロゲンヒータ41および温風ヒータ43を入れ替えるのは不適当であり、この場合には、パッケージ品Pの蓋部材Cの全体を概略均等に温度上昇させたとしても、色の濃度に応じた温度分布をその上に出現させてしまい、異物Feを抽出して判定することが難しくなってしまう。
【0050】
このように、本実施形態の検査装置1においても、上述の実施形態と同様の作用効果をえることができ、これに加えて、ハロゲンヒータ41および温風ヒータ43を互いに向き合うように傾斜する姿勢で設置しているので、光源加熱領域41hおよび温風加熱領域43hを長め(広め)に設定しつつ、コンパクトにレイアウトすることができる。
【0051】
次に、図13および図14は本発明のパッケージ品の検査方法を実施するパッケージ品の検査装置の第3実施形態を説明する図である。
【0052】
図13および図14において、検査装置1の加熱ユニット20は、コンベア10の搬送するパッケージ品Pの上面C側を加熱対象とするハロゲンヒータ51および温風ヒータ53を備えて構築されている。ハロゲンヒータ51および温風ヒータ53は、搬送ベルト11の上面側の温風加熱領域53hの範囲内に光源加熱領域51hが重なるように設置されている。ハロゲンヒータ51は、パッケージ品Pの搬送方向Dの下流側から上流側に向かって輻射熱を照射するように傾斜し、また、温風ヒータ53は、同様の方向から温風を吹き付けるようにさらに大きく傾斜する姿勢で設置されている。なお、ハロゲンヒータ51は鉛直方向上方から輻射熱を照射するように設置してもよく、また、温風ヒータ53は逆方向から温風を吹き付けるように設置してもよい。
【0053】
これにより、ハロゲンヒータ51および温風ヒータ53は、パッケージ品Pの蓋部材Cを、広い範囲の温風加熱領域53hで温風の吹き付けにより加熱しつつ、その中間に位置する光源加熱領域51hにおいて輻射熱を重ねるように照射して一連の加熱処理を終了する。すなわち、温風ヒータ53は、ハロゲンヒータ51による加熱処理の開始前から加熱処理を開始して、そのハロゲンヒータ51による加熱処理後に遅れて加熱処理を終了する。このとき、ハロゲンヒータ51は、パッケージ品Pの搬送方向Dの下流側から上流側に向かって輻射熱を照射するので、より下流側に設置されているカメラ30に赤外線を入射させてしまうことを未然に防止するレイアウトになっている。
【0054】
したがって、蓋部材Cは、温風ヒータ23の温風の吹き付けによる均等な温度分布にするゆっくりとした加熱処理が長期間にわたって継続されつつ、ハロゲンヒータ21の輻射熱の照射による加熱処理がその途中で重ねられて迅速に温度上昇される。
【0055】
このため、検査装置1は、搬送ベルト11上の広い加熱領域の範囲内で温風ヒータ53の温風の吹き付けによる加熱処理を継続しつつ、ハロゲンヒータ51の輻射熱の照射による加熱処理をその途中で重ねることができ、温風の吹き付けによる全体への熱伝達により温度差の境界を生じさせることなく蓋部材Cを均等な温度分布になるように加熱しつつ輻射熱の照射により迅速に温度上昇させて、異物Feの有無を迅速かつ容易に判断して接合品質の良否判定を信頼性高く効率よく行うことができる。
【0056】
ここで、本実施形態では、温風加熱領域53hの中間に光源加熱領域51hを位置させるようにハロゲンヒータ51および温風ヒータ53を設置するが、これに限るものではなく、これらの加熱領域の範囲を重ねるようにして同時に加熱処理が終了するようにしてもよい。この場合にも、ハロゲンヒータ51により迅速に温度上昇させる加熱処理と共に、温風ヒータ53で均等な温度分布になるように全体をゆっくりと加熱されて、輻射熱による色の濃淡に応じて生じる温度差を緩くするように加熱することができる。
【0057】
なお、本実施形態でも、図示することは省略するが、ハロゲンヒータ51および温風ヒータ53を入れ替えるのは不適当であることは言うまでもない。
【0058】
このように、本実施形態の検査装置1においても、上述の実施形態と同様の作用効果をえることができ、これに加えて、ハロゲンヒータ51の輻射熱をカメラ30の反対側に向くように傾斜させているので、そのハロゲンヒータ51の輻射熱の反射光がカメラ30に入光してしまうことを未然に防止することができる。また、温風ヒータ53の温風加熱領域53hを長め(広め)にしてハロゲンヒータ51の光源加熱領域41hも重なるように傾斜させているので、ゆっくりと信頼性高く効果的に加熱することができ、コンパクトにレイアウトすることができる。
【0059】
上述実施形態の第1の他の態様として、加熱ユニット20は、検査処理中に常時稼働している必要はなく、加熱効果に応じて断続的に通電稼働させるようにしてもよい。例えば、ハロゲンヒータおよび温風ヒータは同時に通電稼働させる必要はなく、通電・遮断を繰り返して加熱処理のタイミングを制御するようにしてもよい。具体的には、温風ヒータよりも起動・停止の容易なハロゲンヒータを点灯・消灯して温風による加熱処理に輻射熱による加熱処理を重ねてもよい。上述の第3実施形態を一例とすると、図15に示すように、温風ヒータ53による加熱範囲の温風加熱領域53hでは常時稼働させつつ、その中間位置のハロゲンヒータ51を点灯・消灯して光源加熱領域51fで所望の加熱効果を得られるようにしてもよい。また、パッケージ品Pを搬送ベルト11により搬送して加熱処理領域での加熱時間を調整するのに代えて、ハロゲンヒータや温風ヒータを断続的に通電稼働させつつ、これらの加熱位置にパッケージ品を入れ替え停止させて所望のタイミングや期間の加熱処理を行うようにしてもよい。
【0060】
上述実施形態の第2の他の態様としては、図16に示すように、コンベア10の下方に温風機61を設置して、温風ヒータよりも低温であるが全体を包み込んで安定した所望の環境範囲に保持する温風を送風するようにしてもよい。この温風機61がない場合には、ハロゲンヒータや温風ヒータによるパッケージ品Pへの加熱処理が繰り返されることにより搬送ベルト11と共に周囲温度が徐々に上昇して検査処理の開始時から終了時まで検査条件を安定させることが難しい。
【0061】
しかしながら、この温風機61を設置する場合には、検査処理の開始前から温風機61を稼働させて周囲温度と共に、特にパッケージ品P下の搬送ベルト11の表面温度をある程度の温度に上昇させておくことができる。
【0062】
これにより、この第2の他の態様では、検査装置1の周囲を検査の開始から終了まで安定した検査環境温度範囲にして、サーモグラフィ画像における蓋部材Cの輪郭に対する搬送ベルト11表面を含む周囲の温度変化を小さくすることができ、その蓋部材Cを明確に識別して内部の異物Fe等を確実に抽出して検査品質や検査精度を向上させることができる。
【0063】
上述実施形態の第3の他の態様としては、図17に示すように、コンベア10の搬送方向の後退側に温風機71を設置して、搬送ベルト11の上面側にパッケージ品Pの周囲を安定した所望の環境範囲に保持する温風をその搬送方向Dから送風するようにしてもよい。この温風機71がない場合、図18に示すように、コンベア10による搬送速度が高速化されるほど、パッケージ品Pの周囲の空気がその搬送方向Dの逆方向に相対移動する気流Afのように挙動することになり、そのパッケージ品Pの先行部Phに突き当たって側部Psに逃げるようにして流速が早くなるとともに、その後部Peの空気が多少薄くなる現象が発生する。すると、パッケージ品Pの周囲の部位に応じて熱の奪われる程度に差が生じて加熱処理効果に応じた温度分布になるはずのサーモグラフィ画像にムラが生じてしまう。
【0064】
しかしながら、この温風機71を設置する場合には、そのパッケージ品Pの搬送方向Dの後方から温風を送って、図18に示す相対気流Afの発生を相殺しつつ周囲温度を上昇させることができ、パッケージ品Pの周囲の部位によってムラが生じることを防止しつつ所望温度近くに加温することができる。
【0065】
これにより、この第3の他の態様では、パッケージ品Pの周囲を安定した環境温度範囲の検査環境として、サーモグラフィ画像における蓋部材C内の温度ムラを小さくすることができ、その蓋部材C内の温度差を明確に識別して内部の異物Fe等を確実に抽出して検査品質や検査精度を向上させることができる。
【0066】
ここで、温風機71は、パッケージ品Pの供給搬送を妨げないように設置すればよく、例えば、送風の向きを適宜に調整したり、搬送ベルトを供給位置から屈曲させて搬送方向に障害なく送風可能にしてもよく、さらに、搬送ベルト11上のパッケージ品Pを個々に斜め上方から送風して温めるようにしてもよい。
【0067】
ところで、上述実施形態では、パッケージ品Pの蓋部材Cとのシール面Sでの封止品質を検査する場合を一例にして説明するが、本実施形態は、部材同士の全面あるいは所定領域における密着接合品質を検査する装置として一般化させてもよいことは言うまでもない。例えば、フィルム状のシール部材を相手部材とのシール面に密接させた接合品の検査装置に適用して、接合品の少なくとも相手部材とのシール面を検査対象として、そのシール部材を加熱対象とすることになる。
【0068】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0069】
1……検査装置
10……コンベア
11……搬送ベルト
20……加熱ユニット
21、41、51……ハロゲンヒータ
21h、41h、51f、51h……光源加熱領域
23、43、53……温風ヒータ
23h、43h、53h……温風加熱領域
30……カメラ
61、71……温風機
100……コントローラ
107……モニタ
B……容器本体
Be、Ce……周縁部
Bo……開口部
C……蓋部材
Cd……濃色模様
Cp……淡色模様
Cw……白色模様
F……内容物
Fe……異物
P……パッケージ品
S……シール面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18