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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020195152
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083682
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 拓馬
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-185088(JP,A)
【文献】特開2020-058881(JP,A)
【文献】特開2021-058374(JP,A)
【文献】特開2021-194360(JP,A)
【文献】特開昭62-286495(JP,A)
【文献】特表2017-506959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0084253(US,A1)
【文献】特開2002-159788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F39/00-39/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗剤を投入する洗剤投入部を備えた洗濯機であって、
洗剤を収容する洗剤タンクと、
前記洗剤タンクが着脱自在に取り付けられる本体筐体とを備え、
前記洗剤タンクは、
収容した洗剤を排出するタンク排出部と、
揺動自在に取り付けられた揺動アームと、
前記揺動アームの端部に設けられた受け皿部とを有し、
前記揺動アームは、前記洗剤タンクを前記本体筐体から取り外す際、前記受け皿部が前記タンク排出部の下方を覆う被覆方向に揺動し、前記洗剤タンクを前記本体筐体に取り付ける際、前記被覆方向とは反対の開放方向に揺動して、前記受け皿部が前記タンク排出部の下方から離れること
を特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記洗剤タンクに設けられ、前記揺動アームを前記被覆方向に付勢する付勢部材と、
前記本体筐体に設けられ、前記揺動アームに当接するガイド部とを有し、
前記揺動アームは、前記洗剤タンクを前記本体筐体に取り付ける際、前記ガイド部に導かれて前記開放方向に揺動すること
を特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗濯機であって、
周囲よりも下方へ突出したタンク載置部が前記洗剤タンクの底面に設けられ、
前記洗剤タンクは、前記本体筐体から取り外した際、前記受け皿部と前記タンク載置部とが載置面に当接すること
を特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機であって、
前記洗剤タンクは、上面視した状態で、長方形状に形成されており、
前記タンク載置部は、前記洗剤タンクの長手方向での一方の端部に設けられ、
前記受け皿部は、前記長手方向での他方の端部に設けられていること
を特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載の洗濯機であって、
前記受け皿部は、前記被覆方向側の端部に液受け部が設けられ、
前記液受け部は、前記揺動アームが前記被覆方向に揺動した状態において、周囲よりも上方へ突出していること
を特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1つに記載の洗濯機であって、
前記洗剤タンクは、上面視した状態で、長方形状に形成されており、
前記揺動アームは、軸支されたアーム軸を支点にして回動する構成とされ、
前記アーム軸は、前記洗剤タンクの短手方向に沿って配置されていること
を特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤を投入する洗剤投入部を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、洗濯機においては、洗剤を洗濯槽へ自動投入するものが広まっている。このような洗濯機では、着脱自在な洗剤タンクを設けたものが提案されており、洗剤タンクには、予め洗剤を収容しておくことで、洗濯時には、ユーザの手を煩わせることなく、洗剤が自動投入される(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-58881号公報
【文献】特表2017-506959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の洗濯機は、筐体と、水槽と、水槽内に洗濯処理液を供給する洗濯処理液供給手段とを有し、洗濯処理液供給手段は、洗濯処理液を内部に保持するタンクを備え、筐体は、タンクの上方に設けた蓋を有し、タンクは、蓋を開いて上方へ取り出される。
【0005】
特許文献2に記載の洗濯機は、添加剤自動投入装置と、液体添加剤を入れる添加剤ケース(タンクに相当)とを備え、添加剤ケースは、密封のインクカートリッジ式構造とされており、洗濯機の筐体に設けた開口内に、添加剤ケースが引出可能に設置されている。
【0006】
上述した洗濯機のように、タンクを着脱可能な構成とした場合、タンクには、洗剤を吐出するための接続部を設ける必要があるが、接続部に付着した洗剤が垂れ落ちるといった液垂れが生じることがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、筐体から洗剤タンクを取り外した際、液垂れを防ぐことができる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る洗濯機は、洗剤を投入する洗剤投入部を備えた洗濯機であって、洗剤を収容する洗剤タンクと、前記洗剤タンクが着脱自在に取り付けられる本体筐体とを備え、前記洗剤タンクは、収容した洗剤を排出するタンク排出部と、揺動自在に取り付けられた揺動アームと、前記揺動アームの端部に設けられた受け皿部とを有し、前記揺動アームは、前記洗剤タンクを前記本体筐体から取り外す際、前記受け皿部が前記タンク排出部の下方を覆う被覆方向に揺動し、前記洗剤タンクを前記本体筐体に取り付ける際、前記被覆方向とは反対の開放方向に揺動して、前記受け皿部が前記タンク排出部の下方から離れることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る洗濯機は、前記洗剤タンクに設けられ、前記揺動アームを前記被覆方向に付勢する付勢部材と、前記本体筐体に設けられ、前記揺動アームに当接するガイド部とを有し、前記揺動アームは、前記洗剤タンクを前記本体筐体に取り付ける際、前記ガイド部に導かれて前記開放方向に揺動する構成としてもよい。
【0010】
本発明に係る洗濯機は、周囲よりも下方へ突出したタンク載置部が前記洗剤タンクの底面に設けられ、前記洗剤タンクは、前記本体筐体から取り外した際、前記受け皿部と前記タンク載置部とが載置面に当接する構成としてもよい。
【0011】
本発明に係る洗濯機では、前記洗剤タンクは、上面視した状態で、長方形状に形成されており、前記タンク載置部は、前記洗剤タンクの長手方向での一方の端部に設けられ、前記受け皿部は、前記長手方向での他方の端部に設けられている構成としてもよい。
【0012】
本発明に係る洗濯機では、前記受け皿部は、前記被覆方向側の端部に液受け部が設けられ、前記液受け部は、前記揺動アームが前記被覆方向に揺動した状態において、周囲よりも上方へ突出している構成としてもよい。

【0013】
本発明に係る洗濯機では、前記洗剤タンクは、上面視した状態で、長方形状に形成されており、前記揺動アームは、軸支されたアーム軸を支点にして回動する構成とされ、前記アーム軸は、前記洗剤タンクの短手方向に沿って配置されている構成としてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、本体筐体から洗剤タンクを取り外した際、受け皿部によって洗剤タンクから垂れた洗剤を受け止め、液垂れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る洗濯機の概略断面図である。
図2図1に示す洗濯機の概略上面図である。
図3図2に示す洗濯機のタンク収容部蓋を開いた状態を示す概略上面図である。
図4】本体筐体のタンク収容部近傍を拡大して示す拡大上面図である。
図5図4の第1収容部近傍をさらに拡大して示す拡大斜視図である。
図6】洗剤タンクを示す上面図である。
図7】開放状態の洗剤タンクを示す側面図である。
図8】開放状態の洗剤タンクを示す下面図である。
図9】被覆状態の洗剤タンクを示す側面図である。
図10】被覆状態の洗剤タンクを示す下面図である。
図11】揺動アームを示す斜視図である。
図12】受け皿部の断面を示す断面図である。
図13】タンク収容部のガイド部近傍での断面を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る洗濯機の概略断面図であって、図2は、図1に示す洗濯機の概略上面図であって、図3は、図2に示す洗濯機のタンク収容部蓋を開いた状態を示す概略上面図である。
【0018】
本発明の第1実施形態に係る洗濯機1は、金属、または合成樹脂などで形成された本体筐体10を備えている。本体筐体10は、直方体形状とされ、上面には、洗濯物を投入するための洗濯物投入口10aが設けられている。洗濯物投入口10aは、回動可能に支持された上蓋11に覆われており、上蓋11を開くことで、洗濯物投入口10aが露出される。
【0019】
本体筐体10の内部には、洗濯槽12および水槽13が収容されている。洗濯槽12および水槽13は、上側が開口した有底筒状のカップの形状をしており、各々中心軸を垂直にして、水槽13を外側とし、洗濯槽12を内側とする形で同軸に配置されている。
【0020】
洗濯槽12内の底面には、撹拌翼14が回転可能に配置されている。また、水槽13の下側には、制動機構21と駆動モータ22とを有する駆動ユニット20が取り付けられている。駆動ユニット20には、洗濯槽12および撹拌翼14が接続されており、クラッチの切り替えによって、回転させる対象を選択でき、工程に応じて、撹拌翼14のみを回転させたり、洗濯槽12と撹拌翼14との両方を回転させたりできる。
【0021】
洗濯機1は、洗濯槽12への給水を行う給水部30を備えている。給水部30は、給水管31を介して水道と接続されている。また、給水部30には、洗濯槽12に洗剤(および仕上げ剤)を投入する洗剤投入部32が接続されている。洗剤投入部32では、洗剤タンク50から洗剤が供給され、給水部30から供給される水に、洗剤を混ぜて一緒に洗濯槽12へ投入する。また、洗剤投入部32は、少なくとも仕上げ剤を計量する計量部を有しており、制御部によって指示された仕上げ剤の投入量を計量する。なお、給水部30と洗剤投入部32とは、弁を介して接続されており、弁の開閉を制御することで、洗剤や仕上げ剤を投入するタイミングを調整できる。
【0022】
水槽13には、排水管40が接続されており、排水管40には、排水弁41が設けられている。排水弁41を閉じた状態で給水することで、洗濯槽12に水を溜めることができ、排水弁41を開くことで、洗濯槽12内の水を排水できる。
【0023】
洗濯機1は、本体筐体10の上面後部にタンク収容部蓋15が設けられている。タンク収容部蓋15は、タンク収容部60(図4参照)の上方を覆っており、これを開くことで、タンク収容部60に収容した洗剤タンク50が露出される。本実施の形態では、2つの洗剤タンク50を収容する構成とされており、横方向に並べて第1タンク50aと第2タンク50bとが収容されている。第1タンク50aおよび第2タンク50bは、洗濯槽12へ自動投入される洗剤を収容しており、本体筐体10に対して着脱することができる。
【0024】
洗濯機1では、洗剤タンク50の他に、洗剤を収容する部分として、手動投入部が設けられている。手動投入部には、洗濯の際、ユーザによって1回分の洗剤が投入され、給水部30から供給される水が手動投入部を経由することで、洗濯槽12に洗剤が投入される。本実施の形態において、給水部30では、洗剤投入部32を経由して洗濯槽12へ水を供給する経路と、手動投入部を経由して洗濯槽12へ水を供給する経路とを有している。なお、これに限定されず、洗剤投入部32および手動投入部の両方を経由して洗濯槽12へ水を供給する経路とされていてもよい。
【0025】
また、本体筐体10の上面後部であって、タンク収容部60よりもさらに後方には、給水管31を水道と接続するための給水接続部33が設けられている。給水接続部33に水道を接続することで、給水管31へ水を供給することができる。なお、洗濯機1では、水道以外から水を供給するための補助接続部が設けられていてもよい。補助接続部には、例えば、ポンプ付きのホースなどを接続し、風呂の残り湯を取り込むようにしてもよい。補助接続部については、給水接続部33と同様に、タンク収容部60よりもさらに後方に配置してもよい。
【0026】
図4は、本体筐体のタンク収容部近傍を拡大して示す拡大上面図であって、図5は、図4の第1収容部近傍をさらに拡大して示す拡大斜視図である。
【0027】
図4は、本体筐体10のうち、上面後部であって、タンク収容部60近傍を占める一部の部材を抜き出して示している。また、図4では、タンク収容部蓋15や洗剤タンク50などを取り外した状態とされている。
【0028】
本体筐体10には、タンク収容部60として、下方へ凹んだ第1収容部60aおよび第2収容部60bが設けられている。洗濯機1では、第1収容部60aに第1タンク50aが収容され、第2収容部60bに第1タンク50aが収容される構成とされている。第1収容部60aおよび第1タンク50aに対して、第2収容部60bおよび第2タンクは、略線対称な形状となっていることが主な相違点であり、両者の機能については大きな相違がない。つまり、第1収容部60aおよび第1タンク50aに設けられた各部については、略同様にして、第2収容部60bおよび第2タンクにも設けられている。そのため、以下では、第1収容部60aおよび第1タンク50aについて詳細に説明することで、第2収容部60bおよび第2タンクに関する説明を省略する。
【0029】
上述したように、洗剤タンク50は、タンク収容部60の収容底面61に載置して本体筐体10に取り付けられる。洗剤タンク50の底面には、内部に収容した洗剤を排出するタンク排出部51e(後述する図8参照)が設けられており、タンク収容部60に設けられた本体引込口62に接続される。図4などでは省略しているが、本体引込口62およびタンク排出部51eには、逆止弁が設けられており、洗剤タンク50から洗剤投入部32へ供給した洗剤が逆流しない構成とされている。また、本体引込口62では、接続されたタンク排出部51eが意図しない弱い力によって外れたり、隙間ができて洗剤が漏れたりしないように、圧力を加えてタンク排出部51eを押さえる構成とされている。
【0030】
収容底面61は、洗剤タンク50の底面に応じた形状とされており、本実施の形態では、上面視した状態で、略長方形状とされている。収容底面61の短手方向は、洗濯機1の前部と後部とが対向する方向(図4では、上下方向)に沿っており、収容底面61の長手方向は、洗濯機1の左右の側面が対向する方向(図4では、左右方向)に沿っている。第1収容部60aと第2収容部60bとは、両者の長手方向に沿って並べて設けられている。
【0031】
タンク収容部60の外周の一部には、収容底面61よりも高い位置に、取っ手収容部63が設けられている。取っ手収容部63には、洗剤タンク50に取り付けられた取っ手54(後述する図6参照)が収まる。
【0032】
収容底面61の長手方向に沿った側辺であって、角に近い位置には、収容底面61よりも上方へ突出したガイド部64が設けられている。ガイド部64は、頂点が収容底面61よりも高く、角に向かうに従って低くなるように傾斜した斜面を有している。ガイド部64と洗剤タンク50との関係については、後述する図13を参照して説明する。
【0033】
図6は、洗剤タンクを示す上面図であって、図7は、開放状態の洗剤タンクを示す側面図であって、図8は、開放状態の洗剤タンクを示す下面図である。なお、図6ないし図8では、洗剤タンク50の1つである第1タンク50aを示している。
【0034】
洗剤タンク50は、タンク本体51、タンク蓋52、取っ手54、および小窓カバー53で構成されている。
【0035】
タンク本体51は、上面全体が開口した略直方体状の容器であって、上面視した状態では、略長方形状とされており、角が丸みを帯びている。タンク本体51の底面には、長手方向での端部寄りにタンク排出部51eが設けられており、タンク排出部51eは、上述した本体引込口62と重なる位置に設けられている。
【0036】
タンク蓋52は、タンク本体51に応じた形状とされており、タンク本体51に取り付けることで、タンク本体51の上面を覆う。タンク蓋52とタンク本体51とでは、両者の間にパッキンを挟んで、隙間を塞いでいる。パッキンについては特に限定されず、タンク蓋52の外周を覆うように取り付けてもよいし、タンク本体51の上端に沿って取り付けてもよい。
【0037】
タンク蓋52には、一部を開口させて小窓が設けられており、小窓カバー53は、小窓を上方から覆っている。小窓カバー53は、タンク蓋52に対して開閉および着脱可能な構成とされており、ユーザは、小窓カバー53を開く(または外す)ことで、洗剤の補充を行える。
【0038】
タンク本体51の長手方向で対向する両側面には、それぞれ取っ手軸51aが設けられている。取っ手54は、タンク本体51に対して、一方の側面に設けた取っ手軸51aに一端が係止され、他方の側面に設けた取っ手軸51aに他端が係止されており、係止した箇所を支点にして回動する構成とされている。取っ手54は、回動させることで、一端から他端まで延びた部分(以下では、握り手と呼ぶことがある)が、洗剤タンク50の上方と側方との間を可動する。洗剤タンク50をタンク収容部60に収容した際、握り手を洗剤タンク50の側方に移動させると、取っ手54が取っ手収容部63に収まる。
【0039】
タンク本体51の底面には、周囲よりも下方へ突出したタンク載置部51cが設けられている。タンク載置部51cは、洗剤タンク50を本体筐体10から取り外して、台などタンク収容部60以外の箇所(以下では、載置面100と呼ぶことがある)に載置する際、直に当接する部分とされている。タンク載置部51cは、長手方向での一方の端部(図7では、左端)に設けられている。洗剤タンク50を載置面100に載置した状態については、後述する図9を参照して説明する。
【0040】
タンク本体51には、さらに、揺動アーム55が取り付けられている。揺動アーム55に応じて、タンク本体51には、短手方向で対向する両側面にそれぞれアーム軸51bが設けられている。揺動アーム55は、一端がアーム軸51bに軸支されており、他端に受け皿部56が設けられている。つまり、タンク本体51の両側面に沿って延びた2本の揺動アーム55は、先端に設けた受け皿部56を介して繋がっている。揺動アーム55は、アーム軸51bを支点にして回動することで、受け皿部56を移動させる。
【0041】
タンク本体51の側面には、回動した揺動アーム55を受け止める揺動規制部51dが設けられており、揺動規制部51dに当たると、揺動アーム55の回動が止まる。アーム軸51bには、揺動アーム55を付勢する付勢部材57が取り付けられており、付勢部材57は、揺動アーム55が揺動規制部51dに向かう方向(図9の被覆方向R2)へ付勢している。なお、揺動アーム55を被覆方向R2へ揺動させた揺動状態については、後述する図9および図10を参照して説明する。
【0042】
揺動アーム55は、洗剤タンク50をタンク収容部60に収容する際、ガイド部64に当たって押され、揺動規制部51dから離れる方向(図7の開放方向R1)へ揺動する。揺動アーム55が開放方向R1に揺動すると、受け皿部56は、タンク排出部51eの下方から離れる。図7および図8は、揺動アーム55が開放方向R1に揺動した開放状態を示しており、受け皿部56は、タンク本体51の底面と側面との間の角近傍に位置している。受け皿部56が移動したことで、タンク排出部51eが露出し、本体引込口62に接続することができる。
【0043】
図9は、被覆状態の洗剤タンクを示す側面図であって、図10は、被覆状態の洗剤タンクを示す下面図である。
【0044】
図9および図10は、図7および図8に対し、揺動アーム55が被覆方向R2に揺動し、取っ手54の握り手を洗剤タンク50の上方に移動させた状態を示している。洗剤タンク50をタンク収容部60から取り外す際には、取っ手54の握り手を洗剤タンク50の上方に移動させると、ユーザは、取っ手54を持って洗剤タンク50を吊り下げ、洗剤タンク50を容易に持ち運ぶことができる。この際、洗剤タンク50が持ち上げられると、揺動アーム55は、ガイド部64から離れ、付勢部材57から受けた力によって、被覆方向R2に揺動する。そして、揺動アーム55が揺動規制部51dに受け止められた状態では、受け皿部56がタンク排出部51eの直下に位置している。このように、本体筐体10から洗剤タンク50を取り外した際、受け皿部56によって洗剤タンク50から垂れた洗剤を受け止め、液垂れを防ぐことができる。なお、受け皿部56は、被覆状態において、タンク排出部51eの下方に位置するように構成されていればよく、タンク排出部51eとの間に隙間が設けられていてもよい。本実施の形態において、受け皿部56の上方には、1cm程度の隙間が設けられており、ユーザが指を差し入れて、受け皿部56を清掃することができる。また、タンク排出部51eがタンク本体51の側面から側方に延びる構成としてもよい。この場合も、受け皿部56は、被覆状態において、タンク排出部51eの下方に位置するように構成されていればよい。
【0045】
洗剤タンク50を載置面100に載置する際には、上述したタンク載置部51cと共に、受け皿部56が載置面100に当接する。図9に示すように、受け皿部56は、長手方向において、タンク載置部51cと対向する端部側(図9では、右端側)に設けられている。このように、脱着した洗剤タンク50を、受け皿部56とタンク載置部51cとの2箇所で支持することで、安定した状態で載置面100に載置することができる。また、洗剤タンク50を支持する箇所をできるだけ離して配置することで、載置した際の安定性を高めることができる。
【0046】
図10に示すように、アーム軸51bは、洗剤タンク50の短手方向(図10では、上下方向)に沿って配置されている。従って、揺動アーム55は、短手方向に沿ったアーム軸51bの軸回りに回動する。洗剤タンク50の幅が狭い短手方向においては、洗剤タンク50の側面からタンク排出部51eまでの長さが短く、受け皿部56を小さくでき、各部を効率よく配置できる。
【0047】
揺動規制部51dは、揺動アーム55を垂直よりも少し内側に回転させた状態で受け止めている。図9では、アーム軸51bから載置面100に向かって延ばした垂線SLを一点鎖線で示している。図9に示すように、揺動アーム55は、下端が垂線SLよりもタンク載置部51c寄りに位置している。
【0048】
被覆状態において、洗剤タンク50が不意に衝撃を受け、この衝撃により揺動アーム55が揺動してバランスが崩れ、洗剤タンク50が転倒することが懸念される。これに対し、本実施の形態では、揺動アーム55が垂直よりも少し内側に回転して止まっており、例えば、洗剤タンク50を上から押すような衝撃が、揺動アーム55をさらに内側に回転させる力となった結果、揺動規制部51dによって揺動アーム55の動きを止めるので、洗剤タンク50の転倒を防ぐことができる。
【0049】
図11は、揺動アームを示す斜視図であって、図12は、受け皿部の断面を示す断面図である。
【0050】
図11は、洗剤タンク50から取り外した揺動アーム55を示しており、図12は、図11の一点鎖線に沿った断面を矢符Aの方向から見た状態を示している。
【0051】
受け皿部56には、被覆状態において、載置面100に当接する主面部56aと、被覆方向R2側の端部(図12では、左端)に設けられ、主面部56aよりも上方へ突出した液受け部56bとを有している。なお、これに限定されず、受け皿部56については、開放方向R1側の端部(図12では、右端)を、主面部56aよりも上方へ突出した形状としてもよい。つまり、主面部56aの周りに高い部分を設けることで器のような形状となり、少量の洗剤であれば、受け皿部56に溜めて垂れ落ちることを防げる。また、受け皿部56に溜まった洗剤を液受け部56bによって受け止めることで、洗剤タンク50を装着した際に、受け皿部56から洗剤が垂れることを防止できる。液受け部56bは、例えば、リブのような突起であってもよいし、主面部56aよりも狭い面であってもよい。液受け部56bを面とした際には、開放状態において、水平になるか、それよりも、主面部56a側が低く傾斜した状態になるように、揺動アーム55の可動範囲を設定してもよい。
【0052】
図13は、タンク収容部のガイド部近傍での断面を示す模式断面図である。
【0053】
図13は、ガイド部64を通り、洗剤タンク50の外形に沿ったタンク収容部60の断面を模式的に示している。以下では説明のため、洗剤タンク50の端部側(図13では、左側)を単に端部側と呼び、洗剤タンク50の中央部側(図13では、右側)を単に中央部側と呼ぶことがある。図13に示すように、ガイド部64は、アーム軸51bの直下付近に頂点があり、収容底面61の短手方向に沿った側辺(図13では、収容底面61の左端)に向かうに従って、低くなるように傾斜した斜面とされている。つまり、ガイド部64は、中央部側が高く、端部側が低くなっている。
【0054】
洗剤タンク50をタンク収容部60に収容する際には、先ず、揺動アーム55の先端(下端)がガイド部64の頂点近傍に当接する。そして、洗剤タンク50をさらに下方へ下げると、揺動アーム55は、ガイド部64の傾斜に沿って、先端が端部側に押される。タンク収容部60に収容されるまで洗剤タンク50を下げると、揺動アーム55は、ガイド部64に導かれて開放方向R1に揺動し、図7および図8と同じ位置まで移動する。このように、付勢部材57とガイド部64とを設けることで、洗剤タンク50の着脱に応じて揺動アーム55が揺動し、液垂れの防止と洗剤の投入とに適した位置に受け皿部56を移動させることができる。
【0055】
なお、今回開示した実施の形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施の形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 洗濯機
10 本体筐体
50 洗剤タンク
51 タンク本体
51a 取っ手軸
51b アーム軸
51c タンク載置部
51d 揺動規制部
51e タンク排出部
52 タンク蓋
53 小窓カバー
54 取っ手
55 揺動アーム
56 受け皿部
56a 主面部
56b 液受け部
57 付勢部材
60 タンク収容部
61 収容底面
62 本体引込口
63 取っ手収容部
64 ガイド部
100 載置面
R1 開放方向
R2 被覆方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13