(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/38 20200101AFI20240521BHJP
D06F 33/70 20200101ALI20240521BHJP
【FI】
D06F58/38
D06F33/70
(21)【出願番号】P 2020204991
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】本村 隆行
(72)【発明者】
【氏名】温 召航
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-150659(JP,A)
【文献】特開2011-244979(JP,A)
【文献】特開2018-148966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/38
D06F 33/70
D06F 58/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱内に設けられて乾燥室を構成し、内部に衣類を収容可能である回転槽と、
前記回転槽を回転駆動するモータと、
前記外箱内に設けられて前記乾燥室と接続されて内部に循環空気を通す循環風路と、
前記循環風路中に設けられて前記乾燥室に空気を送風する送風装置と、
前記循環空気を加熱する加熱装置と、
前記乾燥室の前部又は後部に設けられて前記循環風路と前記乾燥室とを接続する空気入口と、
前記モータと前記送風装置と前記加熱装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記送風装置を駆動させて前記乾燥室内に前記加熱装置により加熱した前記循環空気を供給しながら前記モータを駆動させて前記回転槽を回転させる乾燥運転を実行可能であり、
前記乾燥運転の実行期間は、第1期間と、前記第1期間よりも後の期間である第2期間とを含み、
前記制御装置は、
前記
第1期間及び前記第2期間において、少なくとも、所定の範囲に設定される回転数と、前記所定の範囲に設定される回転数よりも高速である高速回転数と、を含んだ回転数で前記回転槽を回転させる制御を行い、
前記
第2期間における前記高速回転数を
前記第1期間における前記高速回転数よりも高く設定する、
衣類乾燥機。
【請求項2】
外箱と、
前記外箱内に
設けられて乾燥室を構成し、内部に衣類を収容可能である回転槽と、
前記回転槽を回転駆動するモータと、
前記外箱内に設けられて前記乾燥室と接続されて内部に循環空気を通す循環風路と、
前記循環風路中に設けられて前記乾燥室に空気を送風する送風装置と、
前記循環空気を加熱する加熱装置と、
前記乾燥室の前部又は後部に設けられて前記循環風路と前記乾燥室とを接続する空気入口と、
前記モータと前記送風装置と前記加熱装置とを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記送風装置を駆動させて前記乾燥室内に前記加熱装置により加熱した前記循環空気を供給しながら前記モータを駆動させて前記回転槽を回転させる乾燥運転を実行可能であり、
前記乾燥運転は、
前記乾燥運転の初期の期間を含む期間であり、前記制御装置が、少なくとも、前記回転槽内で遠心力によって前記回転槽の壁面側に前記衣類が偏らない所定の範囲に設定される回転数と、前記所定の範囲に設定される回転数よりも大きく遠心力によって前記回転槽の壁面に押し付けられた前記衣類が前記回転槽内で持ち上げられ重力によって落下する第2回転数と、を含んだ回転数で、前記回転槽を回転させる制御を行う第1期間と、
前記第1期間の後の期間であり、前記制御装置が、少なくとも、前記所定の範囲に設定される回転数と、前記第2回転数よりも大きく遠心力によって前記回転槽の壁面に押し付けられた前記衣類が前記回転槽内で持ち上げられ重力によって落下しない第3回転数と、を含んだ回転数で、前記回転槽を回転させる制御を行う第2期間と、を含む、
衣類乾燥機。
【請求項3】
前記第2期間において、前記回転槽の回転数を前記第3回転数に維持する期間は1周期の1/3~1/2に設定された、
請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記第1期間において、前記回転槽の回転数を前記第2回転数に維持する期間は1周期の1/5以上に設定された、
請求項2又は3に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記循環風路中に設けられて前記循環空気を前記循環風路外部に排出する排気口と、
前記排気口を開閉する開閉装置と、
前記空気入口から前記回転槽に供給される前記循環空気の温度を検知する検知部と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1期間において、前記検知部が検知した前記循環空気の温度が所定の温度以上となった時に前記開閉装置を閉じる閉処理を行う、
請求項2から4のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記所定の範囲に設定される回転数は、40~60rpmの範囲内に設定される、請求項2から5のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
前記第2回転数は、65~85rpmの範囲内に設定される、請求項2から6のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項8】
前記第3回転数は、90rpm以上に設定される、請求項2から7のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥機としては、例えば衣類の洗濯機能と乾燥機能を備えた洗濯乾燥機が知られている。この洗濯乾燥機においては、乾燥室として機能する水槽の外側に循環風路が設けられ、その循環風路内に、加熱装置、除湿装置、および送風機が設けられている。そして、乾燥運転時には、送風機の送風作用により、乾燥室内の空気を循環風路を通して循環させ、このとき、加熱装置により加熱した空気を乾燥室内に送ることで乾燥室内の衣類を加熱するとともに、湿気を含んだ空気を除湿装置にて除湿することを繰り返すことで、衣類を乾燥させるようになっている。
【0003】
乾燥運転時には、水槽内に設けられた回転槽を回転させることで衣類の相対的な位置の入れ替わりを促進して、乾燥空気を衣類全体に当てることで乾燥効率を上げることが知られている。しかしながら、衣類乾燥機の大容量化に伴い、大量の衣類を乾燥させる場合、従来の回転制御では衣類の入れ替わりが十分に促進されず衣類の一部が乾きにくくなる為に、乾燥時間が長期化する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
乾燥空気を乾燥室内の衣類に効率よく接触させることで、乾燥運転時間が低減された衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
衣類乾燥機は、外箱と、前記外箱内に設けられて乾燥室を構成し、前方が開口した有底筒状であり内部に衣類を収容可能である回転槽と、前記回転槽を回転駆動するモータと、前記外箱内に設けられて前記乾燥室と接続されて内部に循環空気を通す循環風路と、前記循環風路中に設けられて前記乾燥室に空気を送風する送風装置と、前記循環空気を加熱する加熱装置と、前記乾燥室の前部又は後部に設けられて前記循環風路と前記乾燥室とを接続する空気入口と、前記モータと前記送風装置と前記加熱装置とを制御する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記送風装置を駆動させて前記乾燥室内に前記加熱装置により加熱した前記循環空気を供給しながら前記モータを駆動させて前記回転槽を回転させる乾燥運転を実行可能である。前記制御装置は、前記乾燥運転において、少なくとも、所定の範囲に設定される回転数と、前記所定の範囲に設定される回転数よりも高速である高速回転数と、を含んだ回転数で前記回転槽を回転させる制御を行い、前記乾燥運転の進行に応じて前記高速回転数を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による洗濯乾燥機の概略構成を示す縦断側面図
【
図2】一実施形態による洗濯乾燥機の概略構成を示す縦断背面図
【
図3】一実施形態による洗濯乾燥機について、ヒートポンプユニットの概略構成を模式的に示す図
【
図4】一実施形態による洗濯乾燥機について、制御系の構成を示すブロック図
【
図5】一実施形態による洗濯乾燥機について、制御装置による乾燥運転の制御内容を示すタイミングチャート
【
図6】一実施形態による洗濯乾燥機について、第1期間における回転槽の回転数の制御を示すチャート
【
図7】一実施形態による洗濯乾燥機について、第1回転数で回転槽を回転した場合の水槽及び回転槽内部の状態を示す概念図
【
図8】一実施形態による洗濯乾燥機について、第2回転数で回転槽を回転した場合の水槽及び回転槽内部の状態を示す概念図
【
図9】一実施形態による洗濯乾燥機について、第2期間における回転槽の回転数の制御を示すチャート
【
図10】一実施形態による洗濯乾燥機について、第3回転数で回転槽を回転した場合の回転槽内部の状態を示す概念図
【
図11】一実施形態による洗濯乾燥機について、乾燥運転における制御装置の制御内容を示すフロチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態による洗濯乾燥機について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、衣類乾燥機としても機能する洗濯乾燥機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、回転槽モータ14、及び扉15を備えている。洗濯乾燥機10は、ヒートポンプ方式の乾燥機能を備え、例えば回転槽13の回転軸が地面に対して水平又は傾斜したいわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。
【0009】
外箱11は、鋼板などによってほぼ矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。
【0010】
同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12及び回転槽13は、洗濯物を収容する洗濯室及び乾燥室として機能する。
【0011】
水槽12は、空気出口16及び空気入口17を有している。空気出口16は、例えば水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。空気入口17は、水槽端板122にあって、該水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。空気出口16及び空気入口17は、水槽12の内部と外部とを連通している。
【0012】
水槽12は、重力方向の下方に位置する底部の後端側に排水部18を有している。排水部18は、空気出口16及び空気入口17の下方に位置している。排水部18は、排水口123、排水弁19、及び排水ホース20を有して構成されている。排水口123は、水槽12の底部に設けられており、水槽12の内部と外部とを連通している。排水弁19は、例えば電磁式の液体用の開閉弁で構成されており、排水口123と排水ホース20との間に設けられている。排水ホース20は、排水口123と機外とを繋いでおり、水槽12内の水を外部に排水するための排水経路として機能する。この場合、排水弁19は、排水口123と排水ホース20との間すなわち排水経路を開閉する。つまり、排水弁19が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁19及び排水ホース20を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0013】
回転槽13は、複数の孔21及び複数の連通口22を有している。孔21及び連通口22は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔21は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口22は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔21及び連通口22は、洗い工程、排水工程、すすぎ工程及び脱水工程を含む洗濯運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には主に空気が出入りする通風孔として機能する。なお、
図1では、簡単のため複数の孔21及び連通口22のうち一部のみを示している。また、詳細は図示しないが、回転槽13には、筒状部分の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽13の内部に収容された衣類等の洗濯物を撹拌する。
【0014】
回転槽モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。回転槽モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。回転槽モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、回転槽モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
【0015】
扉15は、図示しないヒンジを介して外箱11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、外箱11の前面に形成された図示しない開口部を開閉する。この外箱11に形成された開口部は、ベローズ111によって、水槽12の開口部121に接続されている。衣類などの洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0016】
洗濯乾燥機10は、
図4に示す制御装置23や操作パネル24、及び
図2に示す給水装置25を備えている。制御装置23は、例えばCPU231や、ROM、RAM、及び書き換え可能なフラッシュメモリ等の記憶領域232を備えるマイクロコンピュータを主体に構成されており、洗濯乾燥機10の動作全般の制御を行う。
【0017】
操作パネル24は、例えば
図1に示すように、外箱11の前面にあって扉15の上側に設けられている。操作パネル24は、
図4に示すように、制御装置23に接続されており、ユーザは、操作パネル24を操作することによって洗濯運転、乾燥運転等の運転コースの選択等の各種設定を行う。
【0018】
給水装置25は、
図2に示すように、給水ケース26、給水弁27、及び給水ホース28等を有している。給水弁27は、制御装置23に接続されており、制御装置23の制御を受けて開閉駆動される。給水ホース28は、一端が給水弁27に接続され、他端が水道などの外部の水源に接続されている。制御装置23は、給水弁27を開閉駆動することにより、水源からの水を、給水ホース28、給水弁27、及び給水ケース26を介して水槽12内へ供給する。
【0019】
洗濯乾燥機10は、
図3にも示すように循環風路30及びヒートポンプユニット40を備えている。循環風路30は、水槽12の外側に設けられており、空気出口16と空気入口17とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35を有して構成されている。詳細は後述するが、空気は循環風路30内を
図1~
図3の矢印Aの方向に循環する。
【0020】
排気ダクト31は、
図1にも示すように、水槽12の空気出口16とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、外箱11の内側上部にあって、水槽12及び回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、フィルタ321が設けられている。フィルタ装置32は、空気出口16から排気された空気をフィルタ321に通過させることで、空気出口16から排気された空気に含まれるリント等の異物を取り除く。フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。接続ダクト33は、フィルタ装置32の後方において概ね水平に延びる第1部分331と、それに引き続いて設けられた下方に延びて熱交換部34に接続する第2部分332とを有する。熱交換部34は、外箱11の内側下部にあって、水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。
【0021】
循環風路30は、
図1に示すように排気口36と、開閉装置37と、吸気口38と、を有する。排気口36は、接続ダクト33の第1部分331に設けられている。排気口36は、接続ダクト33の上部を例えば複数のスリット形状に開口して形成されていて、接続ダクト33ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37は、排気口36の外部側に設けられている。開閉装置37は、一端を支点に図示しないモータにより回動して排気口36を開閉することができる。開閉装置37は、制御装置23に接続されており、制御装置23の制御を受けて開閉駆動される。
【0022】
吸気口38は、熱交換部34の上部に設けられている。吸気口38は、熱交換部34の一部を開口して形成されていて、熱交換部34ひいては循環風路30の内部と外部とを接続する。開閉装置37を開いて開状態とすると、
図1に矢印A1で示すように循環風路30内の空気の一部は排気口36を通って循環風路30外に排出される。すると、循環風路30内が減圧となるため、吸気口38を通して循環風路30外の空気が循環風路30に吸入される。この場合、循環風路30内に負圧が発生することにより、ベルヌーイの定理により循環風路30内の風量が増加する。つまり、水槽12及び回転槽13に供給される乾燥空気の風量が増加する。一方、排気口36から温められた空気の一部を排出して、吸気口38から循環風路30外部の空気を取り入れることは、循環風路30内の空気の温度を下げる要因となる。
【0023】
ヒートポンプユニット40は、循環風路30のうち熱交換部34の内部を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する機能を有する。つまり、ヒートポンプユニット40は、水槽12から循環風路30内に流入した空気を、除湿及び加熱して温風にし、再び水槽12及び回転槽13内に供給するための加熱装置として機能する。熱交換部34内には、ヒートポンプユニット40の一部を構成する蒸発器41及び凝縮器42が設けられている。蒸発器41は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに関して、凝縮器42よりも上流側に設けられている。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器41によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器41によって除湿された空気は、その後、凝縮器42によって加熱されて温風になる。
【0024】
ヒートポンプユニット40は、
図3に示すように、蒸発器41及び凝縮器42の他、圧縮機43及び減圧装置44を備えている。圧縮機43及び減圧装置44は、熱交換部34の外側に設けられている。ヒートポンプユニット40は、圧縮機43を基準とした冷媒が流れる方向に対して順に、凝縮器42、減圧装置44、及び蒸発器41を環状に接続して構成されている。つまり冷媒は、
図3の矢印Bの方向に流れる。蒸発器41及び凝縮器42は、例えば微小な間隔で設けられた多数のフィンを有する管で構成されており、この管の内部に冷媒を通すことで、フィン間を通る空気と冷媒との熱交換を行う。蒸発器41及び凝縮器42は、熱交換器として機能する。
【0025】
圧縮機43は、圧送により冷媒を凝縮器42へ供給する。圧縮機43は、制御装置23に接続され、制御装置23の制御により駆動及び停止される。また、圧縮機43の吸込み側431には、アキュムレータ45が設けられている。アキュムレータ45は、圧縮機43に流入する冷媒の圧力変動を抑制する。減圧装置44は、凝縮器42から吐出された押圧で液状の冷媒を、減圧して低圧の気液混合状態にする。この場合、減圧装置44は、例えばキャピラリチューブなどで構成されているが、制御装置23の制御によって開閉可能な電磁開閉式の膨張弁等であっても良い。
【0026】
熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の空気入口17に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、送風装置39が設けられている。送風装置39は、
図2に示すように、ファンモータ391とファン392とを有して構成されている。送風装置39は、制御装置23の制御によってファンモータ391の回転数つまりファン392の回転数が変更可能に構成されている。なお、以下の説明では、ファンモータ391及びファン392の回転数を、送風装置39の回転数と称する。
【0027】
送風装置39は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、
図1、
図2、及び
図3の矢印Aで示すように、水槽12及び循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについてみると、空気出口16が最上流側となり、空気入口17が最下流側となる。
【0028】
この構成において、圧縮機43及び送風装置39を駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風は、送風装置39の送風作用により、給気ダクト35を介して空気入口17から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口22から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物の温度を上昇させると共に洗濯物から湿気を奪った後、主に孔21から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、空気出口16から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。その後、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、水槽12から循環風路30に入った空気は、循環風路30内で除湿及び加熱された後、再び水槽12内に供給される。
【0029】
洗濯乾燥機10は、
図1から
図4に示すように、検知部としての給気温度検知部51を備えている。給気温度検知部51は、制御装置23に接続されている。給気温度検知部51は、
図3等に示すように、循環風路30内に設けられ、循環風路30内の空気の温度を検出する。具体的には、給気温度検知部51は、凝縮器42と空気入口17との間でかつ空気入口17の近傍に設けられている。給気温度検知部51は、給気ダクト35を通って乾燥室である水槽12及び回転槽13内へ供給される空気、つまり熱交換部34で熱せられて乾燥室内へ供給される空気の温度である給気温度xを検出する。
【0030】
洗濯乾燥機10は、
図4に示すように、モータ速度検知部52、ファン回転数検知部53を備える。モータ速度検知部52は、回転槽モータ14の回転数を検知する。モータ速度検知部52は、例えば回転槽モータ14のベクトル制御におけるq軸電流を測定することで回転槽モータ14の回速度を検知しても良いし、回転槽モータ14に回転センサを設け、回転センサにより回転槽モータ14の回転数を検知しても良い。
【0031】
ファン回転数検知部53は、送風装置39の回転状態を検知する。ファン回転数検知部53は、例えば送風装置39のファンモータ391の誘起電圧を検出することで、送風装置39の回転数nxを検知することができる。なお、送風装置39のファンモータ391にエンコーダ等の回転検出器を設けて、この回転検出器によって、送風装置39の回転状態をハードウェア的に検出するようにしても良い。
【0032】
制御装置23は、洗濯運転と乾燥運転と洗濯乾燥運転とを選択的に実行可能である。洗濯乾燥運転は、洗濯運転の後に続けて乾燥運転を行う態様である。
【0033】
上記構成において回転槽13内に衣類を収容した状態でユーザにより操作パネル24に対して洗濯乾燥運転を含む乾燥運転が設定されると、制御装置23は単独で又は洗濯運転に続けて乾燥運転を実行する。乾燥運転では、回転槽モータ14により回転槽13を適宜回転させると共に、ヒートポンプユニット40の圧縮機43を駆動させ、また送風装置39を駆動させる。
【0034】
乾燥運転において、制御装置23は、回転槽モータ14を駆動することにより回転槽13を時計回りである正回転と反時計回りである逆回転とを周期的に繰り返して回転させる制御を行う。これにより、例えば正回転のみ実行する場合と比較して、衣類の攪拌が促進されて、乾燥効率が上昇する。本実施形態では、正回転で回転する場合の1周期の長さと逆回転で回転する場合の1周期の長さとは同一に設定されている。つまり、正回転又は逆回転のいずれか一方を含む1周期の長さをu0とすると、正回転で1周期及び逆回転で1周期回転した場合の期間の長さは、u0x2となる。また、この場合、正回転又は逆回転のいずれか一方を含む1周期の長さu0は、例えば60秒~120秒に設定することができる。本実施形態では、1周期の長さu0は90秒に設定されている。
【0035】
乾燥運転は、
図5に示すように、第1期間T1と、第2期間T2とを含んで構成される。第1期間T1は、乾燥運転の全工程のうち前半の期間に当たる。第2期間T2は、第1期間T1に続く期間であって、乾燥運転の全工程の期間Tのうち後半の期間に当たる。この場合、乾燥運転の全工程の期間Tは、制御装置23が、例えばユーザによって設定された運転コース、衣類の重量、機外温度などに基づいて予め定められた乾燥運転時間のデータテーブルに従って設定する。この場合、制御装置23は、乾燥運転時間のデータテーブルを記憶領域232に記憶している。
【0036】
第1期間T1において、洗濯乾燥機10は、主に空気入口17の近くに位置する衣類、つまりこの場合回転槽13の回転槽端板132側に位置する衣類を乾燥させることができる。第2期間T2において、洗濯乾燥機10は、主に空気入口17から離れた場所に位置する衣類、つまりこの場合回転槽13の開口部131側に位置する衣類を乾燥させることができる。
【0037】
まず、第1期間T1において、制御装置23は、回転槽13を少なくとも2種類の回転数nで回転させる制御を行う。第1期間T1は、制御装置23が、第1回転数n1と、第2回転数n2とで、周期的に回転槽13を回転させる制御を行う期間である。この場合、回転数nは、正回転の回転数と逆回転の回転数とを含む。つまり、特に断らない限り、回転数nは、回転槽13の回転数の絶対値を意味する。本実施形態では、制御装置23は、
図6に示すように回転槽13を第1回転数n1と、第2回転数n2とで回転させる制御を行う。第2回転数n2は、第1回転数n1よりも大きく設定されている。
【0038】
具体的には、第1回転数n1は、回転槽13に収容された衣類が、遠心力によって回転槽13の壁面に偏りすぎない程度の回転数である。第1回転数n1は、例えば40rpm~60rpmの範囲内で設定することができる。本実施形態において、第1回転数n1は、例えば50rpmに設定されている。
【0039】
第2回転数n2は、回転槽13に収容された衣類が、遠心力によって回転槽13の壁面に偏るものの、重力によって落下する程度の回転数である。第2回転数n2は、例えば65rpm~85rpmの範囲内で設定することができる。本実施形態の場合、第2回転数n2は、例えば75rpmに設定されている。
【0040】
回転槽13が第1回転数n1で回転している間、
図7に示すように回転槽13内に衣類が充満して、回転槽13に収容された衣類間での相対的な移動が起こりにくい。そのため、
図7の矢印A2で示す、空気入口17から供給された乾燥空気は、比較的同じ衣類にあたり続ける。回転槽13が第2回転数n2で回転している間、遠心力によって回転槽13の壁部に押し付けられた衣類の一部は、
図8の矢印C1で示すように重力によって落下する。そのため、衣類の入れ替わりが促進されて、乾燥空気を新たな衣類にあてることができる。第1回転数n1での回転と第2回転数n2での回転とを周期的に繰り返すことにより、特に空気入口17付近に位置する衣類をまんべんなく乾燥させることができる。
【0041】
第1期間T1において、1周期のうち、制御装置23が回転槽13を第2回転数n2で回転させる期間u1は、1周期の長さu0の1/5以上に設定されている。換言すると、第1期間T1全体の内、回転槽13の回転数nが第2回転数n2である期間は、T1の長さの1/5以上に設定されている。これにより、回転槽13の壁部に押し付けられた衣類の一部が重力によって落下する期間すなわち、衣類の入れ替わりが促進される期間が十分に確保される。
【0042】
更に、制御装置23は、乾燥運転の間に、開閉装置37の開閉を制御する。具体的には、制御装置23は、第1期間T1において、給気温度xに基づいて開閉装置37の開閉を制御する。乾燥運転開始時には、制御装置23は、開閉装置37が開いた開状態にする処理を実行する。これにより、循環風路30内の風量が上がり、乾燥室に供給される乾燥空気の風量が上昇する。そのため、制御装置23は、風量を上げることで衣類の乾燥を促進することができる。排気口36から循環風を排出して吸気口38から吸気すると、ヒートポンプユニット40で加熱した空気の一部を排出し加熱されていない外部の空気を取り入れるため、循環風路30内の循環空気の温度は下がる傾向となる。しかし、乾燥運転の初期段階においては、衣類に含まれる水分が多いため、ヒートポンプの機能によって乾燥空気が比較的低温であっても衣類の乾燥を促進することができる。なおこの場合、開閉装置37を開状態にすることには、もともと閉状態であった開閉装置37を開く処理と、もともと開状態であった開閉装置37を開状態に維持することとが含まれる。
【0043】
乾燥運転が進むにつれて、
図5に示すように給気温度検知部51が検知する給気温度xが上昇する。給気温度検知部51が検知した給気温度xが、所定の温度x0以上である場合、制御装置23は、開閉装置37を閉じる処理を実行する。この場合、所定の温度x0は、例えば55℃~70℃に設定することができる。本実施形態では、所定の温度x0は、60℃に設定されている。これにより、循環風路30内の風量は下がるが、排気によって熱を外部に逃がさないため、循環空気の温度が高温に維持されやすくなる。
【0044】
続いて、第2期間T2において、制御装置23は、回転槽13を少なくとも2種類の回転数で回転させる制御を行う。第2期間T2は、第1期間T1の後の期間であり、制御装置23が、第1回転数n1と、第3回転数n3とで、周期的に回転槽13を回転させる制御を行う期間である。この場合、制御装置23は、
図9に示すように回転槽13を第1回転数n1と、第3回転数n3とで回転させる制御を行う。第3回転数n3は、第1回転数n1よりも大きくかつ第2回転数n2よりも大きく設定されている。
【0045】
第3回転数n3は、回転槽13に収容された衣類が、遠心力によって回転槽13の壁面に偏り、重力によって落下しない程度の回転数である。第3回転数n3は、例えば90rpm~110rpmに設定することができる。第3回転数n3は、例えば100rpmに設定することができる。
【0046】
回転槽13が第3回転数n3で回転している間、
図10の矢印C2で示すように衣類は遠心力によって回転槽13の壁部に押し付けられる。この場合衣類は重力によって落下しないため、回転槽13の中央部つまり回転軸とその周囲に、衣類が存在しない空間が発生する。すなわち、衣類の間に乾燥空気が進むことができるトンネルが発生する。そのため、空気入口17から供給された乾燥空気の一部は、
図10の矢印A3に示すように、空気入口17付近の衣類に邪魔されずに空気入口17の反対側つまり開口部131に向かって進むことができる。したがって、乾燥空気を開口部131側に位置する衣類にあてることができる。第1回転数n1での回転と第3回転数n3での回転とを周期的に繰り返すことにより、特に開口部131側に位置する衣類も乾燥させることができる。
【0047】
第2期間T2において、1周期のうち、制御装置23が回転槽13を第3回転数n3で回転させる期間u2は、1周期の長さu0の1/3~1/2の範囲内に設定されている。換言すると、第2期間T2全体の内、回転槽13の回転数nが第3回転数n3である期間は、T1の長さの1/3~1/2の範囲内に設定されている。これにより、衣類の間に乾燥空気を通すトンネルが発生する期間すなわち、空気入口17から離れて位置する衣類にまで乾燥空気が届けられる期間が十分に確保される。
【0048】
制御装置23は、
図5に示すように第2期間T2において、開閉装置37を閉状態に維持する。これにより、衣類の水分が少なくなりヒートポンプの機能が発揮され難くなる乾燥運転の後半において、乾燥空気の温度を高温に維持して乾燥を促進しやすくなる。なお、別の実施形態では、第2期間T2において、給気温度検知部51が検知した給気温度xが、所定の温度x1以上となった場合、開閉装置37を開く処理を実行しても良い。この場合、所定の温度x1は、例えば70℃~80℃に設定することができる。これにより、循環風路30内の循環空気の温度が過度に高温となり圧縮機43に負荷がかかりすぎることを抑制することができる。
【0049】
以下では、乾燥運転について、
図11も参照して説明する。制御装置23は、乾燥運転が開始されると(
図11のスタート)、ステップS11において記憶領域232に記憶されたデータテーブルに基づいて乾燥運転の全工程の期間Tを設定する。これにより、それぞれ第1期間T1と第2期間T2とが設定される。また、制御装置23は、ステップS12において送風装置39及び圧縮機43を駆動する。この場合、送風装置39又は圧縮機43を駆動することには、駆動されていなかった送風装置39又は圧縮機43の駆動を開始することと、既に駆動されていた送風装置39又は圧縮機43の駆動を維持することとが含まれる。例えば、乾燥運転に先じて回転槽13に温風を供給しながら脱水を行うプレヒート脱水運転が実行されていた場合、乾燥運転の開始時に送風装置39及び圧縮機43の少なくともいずれか一方が既に駆動されていても良い。
【0050】
次に、ステップS13において、制御装置23は、開閉装置37を開状態にする開処理を実行する。これにより、排気口36から循環風路30内の空気の一部が排出されると共に、吸気口38から循環風路30外の空気が供給され、循環風路30内の風量が増加する。
【0051】
続いて、ステップS14において、制御装置23は、第1工程を開始する。第1工程は、制御装置23が、回転槽13の回転数nを第1回転数n1と第2回転数n2とで周期的に正逆回転させる処理を実行する工程である。第1工程では、主に乾燥室において空気入口17付近に位置する衣類の乾燥が促進される。
【0052】
更に、ステップS15において、制御装置23は、給気温度検知部51の検知した給気温度xが所定の温度x0以上であるか否かを判定する。給気温度検知部51の検知した給気温度xが所定の温度x0未満であった場合、制御装置23は、ステップS15を繰り返す。給気温度検知部51の検知した給気温度xが所定の温度x0以上であった場合、制御装置23は、処理をステップS16に進める。制御装置23は、ステップS16において、開閉装置37を閉状態とする閉処理を実行する。これにより、循環風路30内の空気が排気口36から外部に排出されなくなり、循環風路30内の空気の温度が高温に維持しやすくなる。
【0053】
続いて、制御装置23は、ステップS17において、第1工程の開始から第1期間T1が経過したか否かを判定する。第1工程の開始から第1期間T1が経過していない場合、制御装置23は、ステップS17を繰り返す。第1工程の開始から第1期間T1が経過した場合、制御装置23は、処理をステップS18に進める。
【0054】
制御装置23は、ステップS18において、第2工程を開始する。第2工程は、制御装置23が、回転槽13の回転数nを第1回転数n1と第3回転数n3とで周期的に正逆回転させる処理を実行する工程である。第2工程では、主に乾燥室において空気入口17から離れて位置する衣類の乾燥が促進される。
【0055】
次に、制御装置23は、ステップS19において、第2工程の開始から第2期間T2が経過したか否かを判定する。第2期間T2が経過していない場合、制御装置23は、ステップS19を繰り返す。第2期間T2が経過している場合、制御装置23は、ステップS20に処理を進める。
【0056】
制御装置23は、ステップS20において、送風装置39及び圧縮機43の駆動を停止する。続いて、制御装置23は、ステップS21において、回転槽モータ14の駆動を停止して、回転槽13の回転を停止する。そして、乾燥運転が終了する(エンド)。
【0057】
なお、乾燥運転に引き続いて、制御装置23は、例えば衣類の絡まり抑制のための運転や、乾燥室内を冷却する運転を実行しても良い。衣類の絡まり抑制のための運転を実行する場合、制御装置23は、ステップS21において回転槽モータ14の駆動を停止させずに、例えば回転数を低下させるなどして引き続いて回転槽13を回転させたり、ステップS21において送風装置39の駆動を停止させずに、引き続いて乾燥室内に空気を送風したりしても良い。また、乾燥室内を冷却する運転を実行する場合、制御装置23は、ステップS21において送風装置39の駆動を停止させずに、引き続いて乾燥室内に空気を送風しても良い。
【0058】
ここで、とりわけ定格容量いっぱいの衣類を投入している場合、乾燥運転中や特に乾燥が進む後半には嵩が増えて、回転槽13内部に衣類が充満するため、空気の通り道が塞がれがちである。また、回転槽13内に衣類が自在に動き回るスペースも少ないため、衣類間の相対的な移動が起こりにくい。そのため、従来の衣類乾燥機では、空気入口17に近い衣類ばかりが先に乾燥して、空気入口17から遠い衣類は乾燥しづらくなり、衣類全体を乾燥させるのにかかる時間が長期化しがちであり、また乾燥ムラを生じる要因ともなるという問題があった。
【0059】
それに対し、以上説明した実施形態によれば、衣類乾燥機としての洗濯乾燥機10は、外箱11と、水槽12と、回転槽13と、回転槽モータ14と、循環風路30と、送風装置39と、加熱装置としてのヒートポンプユニット40と、空気入口17と、制御装置23と、を備える。水槽12は、外箱11内に設けられている。回転槽13は、水槽12内に設けられて水槽12と共に乾燥室を構成し、前方が開口した有底筒状であり内部に衣類を収容可能である。回転槽モータ14は、回転槽13を回転駆動することができる。循環風路30は、乾燥室と接続されて内部に循環空気を通すことができる。送風装置39は、循環風路30中に設けられて乾燥室に空気を送風することができる。ヒートポンプユニット40は、循環風路30中に設けられて循環空気を加熱することができる。空気入口17は、乾燥室の前部又は後部に設けられて循環風路30と乾燥室とを接続する。制御装置23は、回転槽モータ14と送風装置39とヒートポンプユニット40とを制御する。
【0060】
制御装置23は、送風装置39を駆動させて乾燥室内にヒートポンプユニット40により加熱した循環空気を供給しながら回転槽モータ14を駆動させて回転槽13を回転させる乾燥運転を実行可能である。乾燥運転は、第1期間T1と、第2期間T2とを含んで構成されている。第1期間T1は、制御装置23が、回転槽13内で遠心力によって衣類が偏らない程度の第1回転数n1と、第1回転数n1よりも大きく遠心力によって偏った衣類が回転槽13内で重力によって落下する程度の第2回転数n2とで、回転槽13を回転させる制御を行う期間である。第2期間T2は、第1期間T1の後の期間であり、制御装置23が、第1回転数n1と、第2回転数n2よりも大きく遠心力によって偏った衣類が回転槽13内で重力によって落下しない程度の第3回転数n3とで、回転槽13を回転させる制御を行う期間である。
【0061】
これによれば、本実施形態では、第1期間T1においては、送風装置39からの風が当たりやすい部分つまり空気入口17付近の衣類を主に乾燥させることができる。また、第2期間T2においては、第3回転数n3で回転する際に遠心力により衣類が回転槽13に押し付けられるので、衣類の間に乾燥空気の通り道ができる。そのため、空気入口17から離れた部分である開口部131側に位置する衣類にも乾燥空気が届きやすくなる。したがって、衣類全体の乾燥効率が向上し、乾燥時間を短縮させることができ乾燥ムラの発生も抑制することができる。また、回転槽13内に収容された衣類つまり乾燥室内に収容された衣類が多い場合例えば洗濯乾燥機10の定格容量の8割以上である場合、特にこの効果が著しくなる。
【0062】
ここで、第2期間T2において、回転槽13の回転数nを第3回転数n3に維持する期間u2が短すぎると、衣類が回転槽13の壁部に短期間押し付けられるだけで、乾燥空気を通すトンネルが形成されないか、形成されてもすぐに消滅してしまう。その場合、乾燥空気を空気入口17から離れた位置まで届けることが難しくなる。
【0063】
それに対し、本実施形態によれば、第2期間T2において、回転槽13の回転数nを第3回転数n3に維持する期間u2は1周期u0の1/3~1/2に設定されている。
【0064】
これによれば、乾燥空気を通すトンネルが形成される期間を確保することで、空気入口17から離れた位置にある衣類に乾燥空気が当たる期間を確保することができる。そのため、空気入口17から離れた位置にある衣類も乾燥しやすくなり、衣類全体の乾燥効率が向上し、乾燥時間を短縮させることができる。
【0065】
ここで、第1期間T1において、第2回転数n2に維持する期間u1が短すぎると、衣類が回転槽13の壁に短期間押し付けられるだけで、衣類の相対的な移動つまり衣類の入れ替わりが起こりにくい。その場合、同じ衣類にばかり乾燥空気が当たりがちとなるため、一部の衣類は過乾燥になり、一部の衣類は乾燥されないという虞がある。
【0066】
それに対して、本実施形態によれば、第1期間T1において、回転槽13の回転数nを第2回転数n2に維持する期間u2は1周期u0の1/5以上に設定されている。
【0067】
これによれば、ある程度の期間、衣類が回転槽13の壁に押し付けられて重力によって落下することが繰り返されるので、衣類の相対的な移動つまり入れ替わりが起こりやすくなる。そのため、第1期間T1において乾燥空気と接触して乾燥する衣類の量を多くすることができる。したがって、衣類全体の乾燥効率が向上し、乾燥時間を短縮させることができる。
【0068】
更に、本実施形態によれば、衣類乾燥機としての洗濯乾燥機10は、排気口36と、開
閉装置37と、検知部としての給気温度検知部51と、を備える。排気口36は、循環風
路30中に設けられて循環空気を循環風路30の外部に排出する機能を有する。開閉装置
37は、排気口36を開閉する。給気温度検知部51は、空気入口17から回転槽13に
供給される循環空気の温度を検知する機能を有する。制御装置23は、第1期間T1にお
いて、給気温度検知部51が検知した循環空気の給気温度xが所定の温度x0以上となっ
た時に開閉装置37を閉じる閉処理を行う。
【0069】
これによれば、開閉装置37を開くと循環風路30内の空気の一部が排出されることで、循環風路30内が減圧となり、循環風路30外部から空気を取り込みやすくなる。その結果、循環風路30内の風量が増加する。乾燥運転の前半である第1期間T1の初期においては、衣類に含まれる水分が多いので、循環空気の温度が低くてもヒートポンプの機能により衣類の乾燥を促進させることができる。つまり、第1期間T1の初期においては、制御装置23は、循環空気の温度を上昇させることよりも風量を増加させることを重視した制御を行うことで衣類の乾燥を進める。
【0070】
ここで、開閉装置37を開状態にして温めた循環空気を外部に排出してしまうと、その分循環風路30内内部の熱を逃がしてしまうことになる。乾燥運転がある程度進行してからは、衣類に含まれる水分が第1期間T1の初期よりも少なくなっているため、循環空気の温度が低いとヒートポンプの機能によって乾燥させることが難しくなる。そのため、給気温度検知部51が検知する給気温度xがx0以上となったら、制御装置23は開閉装置37を閉めて排気量を抑制して、循環空気の温度を上げやすくする。循環空気の風量は落ちてしまうが、第2期間T2では回転槽13の回転数nを上げて空気の通り道を作るので、乾燥後半の乾燥効率を上げることができる。したがって、乾燥運転の全期間にわたって衣類全体の乾燥効率が向上し、乾燥時間を短縮させることができる。
【0071】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
10…洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、11…外箱、12…水槽、13…回転槽、14…回転槽モータ(モータ)、16…空気出口、17…空気入口、23…制御装置、30…循環風路、36…排気口、37…開閉装置、39…送風装置、40…ヒートポンプユニット(加熱装置)、51…給気温度検知部(検知部)