(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】鉄道線路上の関心点または線を位置特定し、鉄道線路上に介入マシンを位置決めし、かつ駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
B61L25/02 G
(21)【出願番号】P 2020541511
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2019052441
(87)【国際公開番号】W WO2019154718
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-16
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】508306439
【氏名又は名称】マティサ マテリエル アンデュストリエル ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Matisa Materiel Industriel S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ストッパー,ミラン
(72)【発明者】
【氏名】シヌーネ,ユセフ
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/215777(WO,A2)
【文献】特開2006-176071(JP,A)
【文献】特開2016-133857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(22A、22B)が設けられた鉄道線路(22)を進行方向(100)に進行する介入マシン(10)を位置決めするための位置決め方法であって、前記介入マシン(10)は、位置特定システム(12)及び転置システム(16)を備えた測定アセンブリを備え、前記位置特定システム(12)は、前記鉄道線路(22)に位置決めされたリニアカメラ(26)と、走行距離計(28)とを備え、前記転置システム(16)は、前記進行方向(100)において前記位置特定システム(12)の前記リニアカメラ(26)の後方かつ少し離れて位置決めされた1つ以上の転置マトリックスカメラ(44A、44B)を備え、
前記位置決め方法は、前記位置特定システム(12)によって実行される位置特定段階と、続いて、前記転置システム(16)によって実行される転置段階とを含み、
前記位置特定段階は、以下のアクション、すなわち、
前記走行距離計(複数可)(28)を用いて、前記進行方向(100)への前記鉄道線路(22)上の鉄道位置特定システム(12)の進行データを繰り返し取得することと、
前記鉄道線路(22)を向く前記リニアカメラ(26)を用いて、瞬時測定線(50)に沿った瞬時線形光学データを繰り返し取得することと、
少なくとも前記瞬時線形光学データを処理することによって、前記鉄道線路(22)の表面の領域のビットマップ画像を構築することと、
前記構築されたビットマップ画像を処理することによって、前記構築されたビットマップ画像において、所定のシグネチャーの少なくとも1つの空間インデックスマーカ(56)を識別することと、少なくとも前記進行データを処理することによって、前記空間インデックスマーカ(56)の曲線横座標および前記鉄道線路(22)の基準線(122A、122B、222)に対する前記空間インデックスマーカ(56)の位置決めを決定することと、
関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)を前記構築されたビットマップ画像において識別することと、
前記空間インデックスマーカ(56)および前記基準線(122A、122B、222)にリンクされた2次元位置特定基準系において、前記関心点または線の座標を決定することと、を含み、
前記転置段階は、以下のアクション、すなわち、
前記転置マトリックスカメラ(44A、44B)を用いて、前記転置システムの空間基準系における1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットを取得することと、
前記走行距離計(28)によって取得された進行データの関数として、前記1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットにおいて、前記空間インデックスマーカ(56)を識別し、前記転置システムの前記空間基準系における前記空間インデックスマーカ(56)の座標および前記基準線(122A、122B、222)のデータ特性を決定することと、
前記転置システムの前記空間基準系における前記空間インデックスマーカ(56)の座標および前記基準線(122A、122B、222)のデータ特性の関数として、前記転置システムの前記空間基準系における前記関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)の転置座標、ならびに、前記位置特定基準系(O、x、y)における前記関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)の前記座標を計算することと、を含む、位置決め方法。
【請求項2】
前記瞬時線形光学データの前記取得が、進行データの前記取得によってトリガされることを特徴とする、請求項1に記載の位置決め方法。
【請求項3】
前記瞬時線形光学データおよび前記進行データが同期された方式で取得されることを特徴とする、請求項1に記載の位置決め方法。
【請求項4】
前記進行データおよび前記瞬時線形光学データがタイムスタンプされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項5】
前記ビットマップ画像が前記タイムスタンプの関数として構築されていることを特徴とする、請求項4に記載の位置決め方法。
【請求項6】
前記関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)が
関心領域の境界を構成することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項7】
前記基準線(122A、122B、222)が、前記鉄道線路(22)のレール(22A、22B)のうちの1つの中立線、または、前記鉄道線路(22)の前記レール(22A、22B)の前記中立線から構築された線であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項8】
前記鉄道位置特定システム(12)の配向デバイス(52)が、前記基準線(122A、122B、222)に対する前記鉄道位置特定システム(12)の角度配向データを繰り返し決定し、前記関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)の前記座標が、前記配向データの関数として決定されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項9】
前記位置特定システムの前記配向デバイス(52)が、前記鉄道線路の第1のレール(22A)に対する前記位置特定システム(12)の配向を検出するための少なくとも1つの第1のセンサを備えることを特徴とする、請求項8に記載の位置決め方法。
【請求項10】
前記位置特定システムの前記配向デバイス(52)が、前記鉄道線路の第2のレール(22B)に対する前記位置特定システム(12)の配向を検出するための第2のセンサを備えることを特徴とする、請求項9に記載の位置決め方法。
【請求項11】
前記位置特定システムの前記配向デバイス(52)が、前記鉄道線路の前記レールのうちの第1のものに面して配設された少なくとも1つの第1の配向マトリックスカメラ(54A)を備え、前記配向デバイス(52)が、前記第1の配向マトリックスカメラでショットを撮り、前記ショットの中で前記第1の配向マトリックスカメラ(54A)のターゲットに対する前記第1のレール(22A)の配向を検出するような方式で前記ショットを処理することを特徴とする、請求項8に記載の位置決め方法。
【請求項12】
前記位置特定システムの前記配向デバイス(52)が、前記鉄道線路の前記レールのうちの第2のものに面して配設された、第2の配向マトリックスカメラ(54B)を備え、前記配向デバイス(52)が、前記第2の配向マトリックスカメラでショットを撮り、前記ショットの中で前記第2の配向マトリックスカメラ(54B)のターゲットに対する前記第2のレール(22A)の配向を検出するような方式で前記ショットを処理することを特徴とする、請求項11に記載の位置決め方法。
【請求項13】
前記位置特定システム(12)が、枕木(62、64)を備えた前記鉄道線路(22)の前記表面の前記領域、および、前記線路(22)の前記表面の枕木間領域を区別し、前記配向デバイスが、前記枕木間領域の各々について一度だけ前記配向データを配信するのみであることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項14】
前記配向データが前記基準線を決定するために使用されることを特徴とする、請求項8~13のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項15】
前記方法が、前記位置特定システム(12)の表示画面(38)上での前記ビットマップ画像の再生を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項16】
前記方法が、関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)の前記表示画面(38)上での視覚的識別を含むことを特徴とする、請求項15に記載の位置決め方法。
【請求項17】
前記方法が、少なくとも、ヒューマンマシン入力インターフェイス(40)での入力に続く、前記関心点もしくは線または前記関心領域のうちの少なくともいくつかの有効化および/または無効化、あるいは潜在的な介入または禁止領域としての前記関心領域の認定を含むことを特徴とする、請求項6と組み合わせた、請求項15または16に記載の位置決め方法。
【請求項18】
前記鉄道線路の表面のゾーンの前記ビットマップ画像を構築するアクションは、少なくとも前記瞬時線形光学データおよび前記進行データを処理することにより実行される、請求項1~17のいずれか1項に記載の位置決め方法。
【請求項19】
レール(22A、22B)が設けられた鉄道線路(22)上を進行方向(100)に進行する介入マシン(10)を駆動する駆動方法であって、
前記介入マシン(10)は、
介入シャーシ(48)上に取り付けられた介入ツール(20)と、
鉄道位置特定システム(12)及び転置システム(16)を備えた測定アセンブリと、を備え、
前記鉄道位置特定システム(12)は、少なくとも1つのリニアカメラ(26)と、走行距離計(28)とを備え、
前記転置システム(16)が、前記進行方向(100)において前記鉄道位置特定システム(12)の前記リニアカメラ(26)の後方かつ少し離れて位置決めされた少なくとも1つの転置マトリックスカメラ(44A、44B)を備え、
前記転置マトリックスカメラ(44A、44B)が、前記介入ツール(20)の前記介入シャーシ(48)と一体であり、
前記駆動方法は、
請求項1~18の何れか1項に記載の位置決め方法を実行することと、
前記
転置システム(16)の空間基準系における、関心点または線(A、B、C、D、A’、B’、C’、D’、162、163、164)の座標の関数としての前記介入ツール(20)の前記位置決めを含む介入手順を実行することと、
を含む、駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にその建設、その維持、その保守、その修理、そのリニューアルまたはその解体のための、鉄道線路の聴診のための、または鉄道線路上の作業のための鉄道車両の使用に関する。それはまた、鉄道線路上で関心点を早期に位置特定すること、および、鉄道線路上を走行するマシンによって運ばれ、操縦される、鉄道線路上の介入ツールのその後の介入のための適切な関心領域を区切ることにも関する。それはまた、特に聴診装置による後の線路の聴診のための、または介入ツールによる後の線路への介入のための、その後の使用のためのそのような位置特定の転置にも関する。
【0002】
先行技術
文書US4986189は、鉄道線路の保守または修理のための介入マシンを説明しており、これは、マシンが鉄道線路上を作業の進行方向に走行しながら前進する間に作動するように意図された介入ツールを備える。障害物の存在を予測し、かつツールの位置決めの自動化されたコマンドを可能にするために、測定ビームがマシンの前面に配設されている。この測定ビームは、線路の方向に対して水平かつ垂直に配設されており、レールの横方向の位置決めを検出できるように整列されたセンサを備える。カメラによって構築された別のセンサは、線路上の障害物を監視する。測定ビームはさらに走行距離計を搭載している。センサの信号は、走行距離計の信号と、測定ビームとツールとの間の所定の距離と、の関数である遅延を有するツールに命令するための回路に送信される。したがって、測定ビームを、それらとの干渉のリスクなしに、ツールから少し離して配設することが可能である。ただし、この動作モードでは、測定ビームとツールとの間の所定の距離が正確にわかっていることを前提としている。ツールの位置決めの望ましい精度がセンチメートルである限り、共通の基準系を作成するために、介入ツールと測定ビームを支持するための非常に剛性の高い共通のシャーシを提供する必要がある。また、線路に対する測定ビームの垂直性が正確であることも前提としている。さらに、レールの中立線に対するフィーラホイールのスライドまたは角度内接などにリンクされた走行距離誤差は累積される。最後に、このシステムは曲線線路を管理しない。
【0003】
Masato UkaiおよびNobuhiko Nagaharaによる文書「A High-Performance Inspection and Maintenance System of Track using Continuous Scan Image」、11th WCRR 2016は、保守車両による後の介入を目的とした鉄道線路の早期分析システムについて説明している。この分析システムは、45km/hの最高速度で線路を循環できる専用の鉄道車両に取り付けられている。分析システムは、走行距離計に結合され、線路を横切って車両上に配設されたリニアカメラを利用して、走行距離計のパルスをリニアカメラによるリニアショットと同期させる。本システムは、鉄道線路の連続ビットマップ画像(2次元)の構築を可能にする。リアルタイムでは実行されないビットマップ画像の分析により、所定のシグネチャーを有するオブジェクト、特に障害物を検出して、介入が可能である線路の領域、および、自動化された介入が不可能である「禁止された」領域を決定できる。走行距離計の測定誤差を、特に曲線において補正するために、線路上に配設された、かつ絶対位置が既知である所定のマーカを認識することにより、走行距離計の信号を定期的にリセットすることが提案されている。分析システムは、鉄道線路上を循環する保守車両によって運ばれる保守マシンツールによって後で実行され得る介入プログラムを生成することを可能にする。しかし、保守車両による後の測定の使用は、後者が線路に対するそれ自体の位置決め手段を利用可能にすることを必要とする。さらに、リニアカメラと線路との間の潜在的な垂直性の欠陥は考慮されない。
【背景技術】
【0004】
本発明は、特に、先行技術の欠点を克服すること、および、鉄道線路上の関心点または線の正確な早期位置特定を可能にし、適切な場合には、鉄道線路上を走行する介入マシンによって運ばれ、かつ駆動されるツールの後の介入のために関心領域を区切る手段を提案することを目的とする。
【0005】
この目的のために、本発明の第1の態様による、鉄道線路を位置特定するための方法であって、鉄道線路を向く少なくとも1つのリニアカメラと、1つまたは複数の走行距離計と、を備えた鉄道位置特定システムによって実行され、鉄道位置特定システムが、鉄道線路上を進行方向に進行し、位置特定方法は、以下のアクション:
-走行距離計(複数可)を用いて、進行方向への鉄道線路上の鉄道位置特定システムの進行データを繰り返し取得することと、
-鉄道線路を向くリニアカメラを用いて、瞬時測定線に沿った瞬時線形光学データを繰り返し取得することと、
-少なくとも瞬時線形光学データを処理し、かつ、適切な場合には進行データを処理することによって、鉄道線路の表面の領域のビットマップ画像を構築することと、
-構築されたビットマップ画像を処理することによって、構築されたビットマップ画像において、所定のシグネチャーの少なくとも1つの空間インデックスマーカを識別することと、少なくとも進行データを処理することによって、空間インデックスマーカの曲線横座標および鉄道線路の基準線に対する空間インデックスマーカの位置決めを決定することと、
-関心点または線を、構築されたビットマップ画像において識別することと、空間インデックスマーカおよび基準線にリンクされた2次元位置特定基準系において、関心点または線の座標を決定することと、を含む。
【0006】
リニアカメラは、寄生運動、特に鉄道線路上で進行する位置特定システムが受ける振動に非常に鈍感であるという利点を提供し、この利点は、位置特定システムが鉄道線路上で介入マシンに固定されるか、または引っ掛けられる場合にさらに強調され得る。さらに、線形画像のピクセルの形成時間は、マトリックス技術と比べて短い。したがって、長時間の露出および長すぎる形成時間によって生じる可能性のある位置決めの待ち時間および不確実性が低減される。
【0007】
空間インデックスマーカおよび基準線を局所基準系として使用して、関心点または線の座標を定義することにより、データセットが構築され、データセットは搭載された転置システム自体によって後に活用され、空間インデックスマーカおよび基準線を識別することができる。
【0008】
所与の瞬間に取得された線形光学データは、ビットマップ画像の線に対応する。マトリックスカメラによる取得に固有であろう連続する画像間でオーバーラップの問題が発生しないため、線形光学データからのビットマップ画像の構築は簡単である。曲線はまた、リニアカメラの瞬時線形データから構築されたビットマップ画像で「自然に」修正される。これにより、簡略化された、それにもかかわらずオペレータにとって適切な表現が可能になる。
【0009】
一実施形態によれば、瞬時線形光学データの取得は、進行データの受信によってトリガされる。
【0010】
走行距離計の空間解像度が高い場合、走行距離計の各パルス、または、ゼロ以外の整数であるN個のすべてのパルスで線形光学データの取得線をトリガすることが可能であり、これにより、線形光学データの線の連続した取得のための一定の空間ステップを有することが可能になる。
【0011】
一実施形態によれば、瞬時線形光学データおよび進行データは、同期された方式で取得される。
【0012】
特に、走行距離計の空間解像度がビットマップ画像の構築の所望の解像度を下回っている場合、例えば走行距離計の2つの連続するパルスI-1とIとの間の時間間隔Tを観測して、所定の非ゼロ整数Nによってこの時間間隔を分割し、走行距離計のパルスIとパルスI+1との間の一定の時間間隔T/Nで線形光学データの取得線をトリガすることが可能である。測定線の数はパルスI+1までカウントされ、事後的に、パルスIとI+1との間の進行方向への線形光学データの空間取得ステップがそこから推論される。実際には、位置特定システムの進行速度の変動は観測スケールでは低く、走行距離計の2つの連続するパルス間の一定速度の仮説は、ビットマップ画像のごくわずかな変形につながる。より一般的には、アルゴリズムが何を保持したとしても、例えばパルス列を生成するための電子カードまたは専用のソフトウェアブロックによって、リニアカメラをトリガすることが可能である。
【0013】
一実施形態によれば、進行データおよび瞬時線形光学データがタイムスタンプされ、ビットマップ画像が好ましくはタイムスタンプの関数として構築されている。したがって、走行距離計の空間解像度と走行距離計の2つのパルス間およびリニアカメラの2つの測定線間で観測された時間間隔の知識から、線形光学データの2つの連続する線間の、潜在的に可変である空間ステップを決定できる。
【0014】
一実施形態によれば、関心点または線が関心領域、好ましくは関心領域を構成する四辺形の頂点の境界を構成する。好ましくは、位置特定システムは、ビットマップ画像において、一方では枕木または枕木の中立線と、他方では鉄道線路のレールまたは中立レール線との間の交点を識別することができ、これらの交点は関心点または線の少なくとも一部を構成している。
【0015】
関心点の座標は、X軸を基準線とし、Y軸を基準線に垂直な軸として、空間インデックスマーカを原点とする基準系のデカルト座標であり得る。この仮説では、座標は、基準線に対して垂直に測定された基準線に対する距離および基準線に平行に測定された空間インデックスマーカに対する距離を含む。
【0016】
基準線は、少なくとも2つの点のデータによって、または点のデータおよびステアリングベクトルによって、または任意の他の同等の手段によって局所的に決定され得る。一実施形態によれば、基準線は、鉄道線路のレールのうちの1つの中立線、または鉄道線路のレールの中立線から構築された線、例えば、鉄道線路の2つのレール間の中央線である。実際には、例えば、瞬時線形データから構築されたビットマップ画像上にレールの縁を位置特定することにより、レールの中立線を決定することが可能である。以下で説明するように、配向マトリックスカメラに頼ることも可能である。
【0017】
優先的には、鉄道位置特定システムの配向デバイスが、基準線に対する鉄道位置特定システムの角度配向データを繰り返し決定し、関心点または線の座標が、配向データの関数として決定される。ビットマップ画像の投影面におけるリニアカメラと基準線との間の角度の知識により、関心点および空間インデックスマーカの座標を修正することが可能である。実際、リニアカメラと基準線との間に直角でない角度が存在する場合、関心点とレールとの間のリニアカメラから見た距離は、基準線に垂直に測定された実際の距離よりも大きくなる。当然、リニアカメラの2つの隣接するピクセル間の距離は既知であり、キャリブレーションパラメータによって指定される。
【0018】
一実施形態によれば、位置特定システムの配向デバイスが、第1の配向レールを構成する、鉄道線路の第1のレールに対する位置特定システムの配向を検出するための少なくとも1つの第1のセンサを備え、好ましくは、第2の配向レールを構成する、鉄道線路の第2のレールに対する位置特定システムの配向を検出するための第2のセンサを備える。
【0019】
別の実施形態によれば、位置特定システムの配向デバイスが、第1の配向レールを構成する、鉄道線路のレールのうちの第1のものに面して配設された少なくとも1つの第1の配向マトリックスカメラを備え、配向デバイスが、第1の配向マトリックスカメラでショットを撮り、ショットの中で第1の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第1の配向レールの配向を検出するためにショットを処理し、好ましくは第2の配向レールを構成する、鉄道線路のレールのうちの第2のものに面して配設された、第2の配向マトリックスカメラを備え、配向デバイスが、第2の配向マトリックスカメラでショットを撮り、ショットの中で第2の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第2の配向レールの配向を検出するためにショットを処理する。線形配向カメラ(複数可)のショットにより、基準線を決定することも可能になる。リニアカメラと配向カメラ(複数可)からのデータを近づけ、調整するための様々なオプションが用意されている。第1の方法によれば、リニアカメラおよび配向カメラ(複数可)によって構成された配向デバイスとの相対的位置決めをキャリブレーションパラメータによって特徴付けるような方式で、鉄道位置特定システムのキャリブレーションを実行することが可能である。これらのキャリブレーションデータから、配向カメラの画像において検出されたレールのガイド線を、瞬時線形光学データから構築されたビットマップ画像に転置することが可能になる。この第1の方法は、瞬時線形光学データから構築されたビットマップ画像において、レールの中立線、またはより一般的には基準線を検出することなく実装され得る。逆に、配向デバイスによって提供される角度配向データのみを活用することが可能であり、基準線は、瞬時線形データから構築されたビットマップ画像のデータのみから計算される。
【0020】
適切な場合には、補正は、ビームの中間点で実行される慣性測定によって、または光学速度測定技術によって行われ得る(これは、配向カメラで近接したマトリックス画像を撮ることを意味する)。これらのアプローチを使用して、(低い特定の比回転動力)好適な画像を選択し、レールに対するビームの内接の平均角度も決定し得る。
【0021】
適切な場合には、同じレール上または2つの異なるレール上でカメラとセンサを混在させることが可能である。したがって、2つの配向マトリックスカメラによって配信される配向データ間の補間を実行して、リニアカメラの配向を推定することが可能である。鉄道線路の各レールの上方に少なくとも1つのセンサ(センサまたはマトリックスカメラ)が存在することにより、特に位置特定システムが線路装置、例えば点に沿って進行するときに、鉄道線路のセクションにレールがないことを相殺することも可能である。曲線における特定のレール配向、例えば、曲線の内側に位置するレールを選択することも可能である。
【0022】
好ましくは、配向データはタイムスタンプされている。
【0023】
一実施形態によれば、位置特定システムが、線路の表面の枕木と、枕木間領域とを備える鉄道線路の表面の領域を区別し、配向デバイスが、枕木間領域の各々について一度だけ配向データを配信するのみである。2つの枕木間の配向の変動は小さいため、処理するデータの量を制限するのが最善である。
【0024】
好ましくは、配向データは、基準線を決定するために使用される。
【0025】
識別された関心点または関心領域上の人間の介入を可能にするために、位置特定システムの表示画面上にビットマップ画像の再生を提供することが可能である。好ましくは、関心点または線の表示画面上の視覚的識別が提供される。
【0026】
ヒューマンマシン入力インターフェイス上の入力に続く、関心点もしくは線または関心領域のうちの少なくともいくつかの有効化および/または無効化、あるいは潜在的な介入または禁止領域としての関心領域の認定を提供することが可能である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、本発明は、位置特定システムと、転置システムと、を備えた測定アセンブリによって実行される位置決め方法であって、位置特定システムがリニアカメラと、走行距離計と、を備え、転置システムが、進行方向において位置特定システムのリニアカメラの後方かつ少し離れて位置決めされた1つまたは複数の転置マトリックスカメラを備え、方法が、位置特定システムによって実行され、前述の位置特定方法を実施する位置特定段階と、次に、転置システムによって実行され、以下のアクション:
-転置マトリックスカメラ(複数可)を用いて、転置システムの空間基準系における1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットを取得することと、
-走行距離計によって取得された進行データの関数として、1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットにおいて、空間インデックスマーカを識別することと、転置システムの空間基準系における空間インデックスマーカの座標および基準線のデータ特性を決定することと、
-空間インデックスマーカおよび転置システムの空間基準系における基準線のデータ特性の座標の関数として、転置システムの空間基準系における関心点または線の転置座標、ならびに、位置特定基準系における関心点または線の座標を計算することと、を含む、転置段階と、を含む、方法に関する。
【0028】
本発明の別の態様によれば、本発明は、鉄道線路上を進行方向に進行し、位置特定システムと、転置システムと、を備えた測定アセンブリによって、介入シャーシに取り付けられた介入ツールを備えた介入マシンを駆動する方法であって、位置特定システムが少なくとも1つのリニアカメラと、走行距離計とを備え、転置システムが、進行方向において位置特定システムのリニアカメラの後方かつ少し離れて位置決めされた少なくとも1つの転置マトリックスカメラを備え、転置マトリックスカメラが、介入ツールの介入シャーシと一体であり、方法が、前述のような位置決め手順と、転置基準系における、関心点または線の座標の関数としての介入ツールの位置決めを含む介入手順と、を含む、方法に関する。
【0029】
介入ツールは、任意のタイプ、例えばタンピングツールまたはラミングツールであり得る。
【0030】
本発明のこの態様による方法は、本発明の第1の態様に関連して説明した実施形態のすべてまたは一部の特性を再現する様々な実施形態を含み得る。
【0031】
本発明の別の態様によれば、本発明は、リニアカメラおよび走行距離計を備えた位置特定システムを備える鉄道車両に関し、位置特定システムは、前述の方法のうちの1つを、代替案の一方または他方で実行することができる。
【0032】
本発明の別の態様によれば、本発明は、鉄道線路上を進行方向に進行する鉄道位置特定システムによって実行される、鉄道線路を位置特定する方法であって、位置特定方法は、以下のアクション:
-鉄道線路を向く鉄道位置特定イステムのリニアカメラを用いて、瞬時測定線に沿った瞬時線形光学データを繰り返し取得することと、
-鉄道位置特定システムの配向デバイスを用いて、鉄道線路の基準線に対する鉄道位置特定システムの配向データを繰り返し取得することと、
-少なくとも瞬時線形光学データを処理することによって、鉄道線路の表面の領域の潜在的に歪んだビットマップ画像を構築することと、
-潜在的に歪んだビットマップ画像における関心点または線を識別することと、
-潜在的に歪んだビットマップ画像の基準系における関心点または線および配向データの潜在的に歪んだ座標の関数として、関心点または線の修正された座標を決定することと、を含む、方法に関する。
【0033】
リニアカメラは、鉄道線路上で進行する位置特定システムが受ける振動に非常に鈍感であるという利点を提供し、この利点は、位置特定システムが鉄道線路上で介入マシンに固定されるか、または引っ掛けられる場合にさらに強調され得る。
【0034】
所与の瞬間に取得された瞬時線形光学データは、ビットマップ画像の線に対応する。位置特定システムが進行するにつれて、瞬時測定線は鉄道線路に対して変位する。
【0035】
ビットマップ画像の投影面におけるリニアカメラと基準線との間の角度の知識により、関心点および空間インデックスマーカの座標を修正することが可能である。実際、リニアカメラと基準線との間に直角でない角度が存在する場合、関心点とレールとの間のリニアカメラから見た距離は、基準線に垂直に測定された実際の距離よりも大きくなる。
【0036】
一実施形態によれば、配向データを取得するために、配向デバイスの第1のセンサは、第1の配向レールを構成する、鉄道線路の第1のレールに対する位置特定システムの配向を検出し、好ましくは、配向デバイスの第2のセンサは、第2の配向レールを構成する、鉄道線路の第2のレールに対する位置特定システムの配向を検出するものとする。
【0037】
別の実施形態によれば、配向データを取得するために、第1の配向レールを構成する、鉄道線路のレールのうちの第1のものに面して配設された、配向デバイスの第1の配向マトリックスカメラは、配向デバイスによって処理されるショットを撮って、ショットの中で第1の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第1の配向レールの配向を検出し、好ましくは、第2の配向レールを構成する、鉄道線路のレールのうちの第2のものに面して配設された第2の配向マトリックスカメラは、配向デバイスによって処理されるショットを撮って、ショットの中で、第2の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第2の配向レールの配向を検出するものとする。
【0038】
適切な場合には、同じレール上または2つの異なるレール上でカメラとセンサを混在させることが可能である。したがって、2つの配向マトリックスカメラによって配信された配向データ間の補間を実行して、リニアカメラの配向を推定することが可能である。鉄道線路の各レールの上に少なくとも1つのセンサ(センサまたはマトリックスカメラ)が存在することにより、特に位置特定システムが線路装置、例えば点に沿って進行するときに、鉄道線路のセクションにレールがないことを相殺することも可能である。曲線における特定のレール配向、例えば、曲線の内側に位置するレールを選択することも可能である。
【0039】
好ましくは、配向データはタイムスタンプされている。
【0040】
一実施形態によれば、位置特定システムが、枕木を備えた鉄道線路の表面の領域、および、線路の表面の枕木間領域を検出し、配向デバイスが、枕木間領域の各々について一度だけ配向データを配信するのみである。2つの枕木の間の方向の変動は小さいため、処理するデータの量を制限するのが最善である。
【0041】
好ましくは、基準線は、鉄道線路のレールのうちの1つの中立線、または鉄道線路のレールの中立線から構築された線である。好ましくは、配向データは、鉄道線路のレールの中立線から基準線を構築するために使用される。
【0042】
特に有利な実施形態によれば、鉄道位置特定システムの1つまたは複数の走行距離計は、進行方向への鉄道線路上の鉄道位置特定システムの進行データを繰り返し取得する。
【0043】
この実施形態の第1の実装によれば、瞬時線形光学データの取得は、進行データの受信によってトリガされる。
【0044】
走行距離計の空間解像度が高い場合、走行距離計の各パルス、または、ゼロ以外の整数であるN個のすべてのパルスで線形光学データの取得の線をトリガすることが可能であり、これにより、線形光学データの線の連続した取得のための一定の空間ステップを有することが可能になる。
【0045】
この実施形態の第2の実装によれば、瞬時線形光学データおよび進行データは、同期された方式で取得される。
【0046】
特に、走行距離計の空間解像度がビットマップ画像の構築の所望の解像度未満である場合、走行距離計の2つの連続するパルスI-1とIとの間の時間間隔Tを観測して、所定の非ゼロ整数Nによってこの時間間隔を分割し、走行距離計のパルスIとパルスI+1との間の一定の時間間隔T/Nで線形光学データの取得の線をトリガすることが可能である。パルスI+1までの測定値の線の数がカウントされ、事後的に、パルスIとI+1との間の進行方向への線形光学データの空間取得ステップがそこから推論される。実際には、位置特定システムの進行速度の変動は観測スケールでは小さく、走行距離計の2つの連続するパルス間の一定速度の仮説は、ビットマップ画像のごくわずかな変形につながる。
【0047】
一実施形態によれば、進行データおよび瞬時線形光学データがタイムスタンプされ、ビットマップ画像が好ましくはタイムスタンプの関数として構築されている。したがって、走行距離計の空間解像度と走行距離計の2つのパルス間およびリニアカメラの2つの測定線間で観測された時間間隔の知識から、線形光学データの2つの連続する線間の、潜在的に可変である空間ステップを決定できる。
【0048】
特に有利な実施形態によれば、位置特定方法としては、
-潜在的に歪んだビットマップ画像を処理することによって、潜在的に歪んだビットマップ画像において、所定のシグネチャーの少なくとも1つの空間インデックスマーカが識別され、
-進行データおよび配向データを処理することによって、鉄道線路の基準線に対する空間インデックスマーカの曲線横座標が決定され、
-関心点または線の修正された座標は、空間インデックスマーカおよび基準線にリンクされた局所2次元位置特定基準系において決定される。
【0049】
空間インデックスマーカおよび基準線を局所基準系として使用して、関心点または線の座標を定義することにより、データセットが構築され、データセットは搭載された転置システム自体によって後に活用され、空間インデックスマーカおよび基準線を識別することができる。
【0050】
一実施形態によれば、関心点または線が関心領域、好ましくは関心領域を構成する四辺形の頂点の境界を構成する。好ましくは、位置特定システムは、ビットマップ画像において、一方では枕木または枕木の中立線と、他方では鉄道線路のレールまたはレールの中立線との間の交点を識別することができ、これらの交点は関心点または線の少なくとも一部を構成している。
【0051】
関心点の座標は、X軸を基準線とし、Y軸を基準線に垂直な軸として、空間インデックスマーカを原点とする基準系のデカルト座標であり得る。この仮説では、座標は、基準線に対して垂直に測定された基準線に対する距離および基準線に平行に測定された空間インデックスマーカに対する距離を含む。
【0052】
識別された関心点または関心領域上の人間の介入を可能にするために、位置特定システムの表示画面上にビットマップ画像の再生を提供することが可能である。好ましくは、関心点または線の表示画面上の視覚的識別が提供される。
【0053】
関心点もしくは線、または関心領域、またはヒューマンマシン入力インターフェイス上の入力に続く、潜在的な介入もしくは禁止領域としての関心領域の資格の有効化および/または無効化を提供することが可能である。
【0054】
本発明の別の態様によれば、本発明は、リニアカメラ、少なくとも1つのマトリックスカメラ、および、好ましくは走行距離計を備えた位置特定システムを備える鉄道車両に関し、位置特定システムは、前述の方法のうちの1つを、その代替案の一方または他方で実行することができる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、本発明は、リニアカメラおよび走行距離計を備えた位置特定システム、ならびに特にセンサまたはマトリックスカメラを備え得る配向デバイスを備えた鉄道車両に関する。この車両は、自律型であり得、または介入ツールもしくは線路の聴診ユニットを支持する介入車両に引っ掛けられ得る。
【0056】
本発明の別の態様によれば、本発明は、車両の第1の部分に位置決めされた位置特定システム、および車両の進行方向において第1の部分の後方かつ第1の部分から少し離れたところにある車両の第2の部分に位置決めされた転置システムを搭載した鉄道車両に関し、位置特定システムは、リニアカメラおよび走行距離計、ならびに潜在的には、特にセンサまたはマトリックスカメラを備え得る配向デバイスを備え、転置システムは、少なくとも1つの転置マトリックスカメラを備える。
【0057】
好ましい実施形態によれば、鉄道車両は、鉄道線路を構築または保守するためのマシンであり、車両の進行方向において第2の部分の後方かつ少し離れたところにある車両の第3の部分に配設された、鉄道線路上に介入するための少なくとも1つのツールをさらに備える。
【0058】
本発明はまた、特に位置特定基準系における関心点または線の位置決めに関する、以前に取得されたデータから、鉄道介入車両によって運ばれた1つまたは複数のツールのセットの位置決めを決定することを可能にする手段を提案することを目的とする。
【0059】
この目的のために、本発明の別の態様によれば、鉄道線路上を進行方向に進行している鉄道介入車両に取り付けられた1つまたは複数のツールのセットに命令するための方法が提案され、鉄道介入車両に取り付けられた転置シャーシ、および転置シャーシに固定された1つまたは複数の転置マトリックスカメラを備えた転置システムによって実行され、方法は以下のアクション:
-既知のシグネチャーの空間インデックスマーカの曲線横座標を特徴付けるデータの受信、ならびに鉄道線路の基準線に対する空間インデックスマーカ、ならびに空間インデックスマーカおよび基準線にリンクされた2次元位置特定基準系における関心点または線の座標の位置決め、
-転置シャーシに対して固定された、転置システムの空間基準系における1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットの転置マトリックスカメラ(複数可)を用いた取得、
-鉄道線路に対する転置システムの進行データの走行距離計を用いた取得、
-進行データおよび曲線横座標データの関数としての1つまたは複数の転置マトリックス画像のセットにおける空間インデックスマーカの識別、
-転置シャーシの空間基準系における空間インデックスマーカおよび基準線に特徴的なデータの決定、
-空間インデックスマーカおよび転置システムの空間基準系における基準線のデータ特性の座標としての、転置システムの空間基準系における関心点または線の転置座標、ならびに、位置特定基準系における関心点または線の座標の計算、を含む。
【0060】
転置シャーシは、好ましくは、鉄道車両のメインシャーシに対して固定され、適切な場合には、このメインシャーシのみを用いて形成し得る。鉄道車両は、好ましくは、メインシャーシを支持しながら鉄道線路上を走行するいくつかの車台を備える。
【0061】
関心点の座標は、X軸を基準線とし、Y軸を基準線に垂直な軸として、空間インデックスマーカを原点とする基準系のデカルト座標であり得る。この仮説では、座標は、基準線に対して垂直に測定された基準線に対する距離および基準線に平行に測定された空間インデックスマーカに対する距離を含む。
【0062】
好ましくは、方法は、転置基準系における関心点または線の座標の関数としての1つまたは複数のツールのセットの位置決め、および、転置シャーシに対する1つまたは複数のツールのセットの位置決めデータを含む介入手順をさらに含む。
【0063】
1つまたは複数のツールのセットは、任意のタイプ、例えば、タンピングツール、ラミングツール、またはボルト締めツールであり得る。
【0064】
一実施形態によれば、1つまたは複数のツールのセットは、転置シャーシに対して移動可能であり、介入手順は、位置測定デバイスによる、転置シャーシに対する1つまたは複数のツールのセットの位置決めデータの取得を含む。
【0065】
介入ツールに特に好適な実施形態によれば、介入手順は、転置シャーシに対して1つまたは複数のツールのセットを変位させるためのコマンドを含む。
【0066】
一実施形態によれば、関心点または線は、関心領域、好ましくは関心領域を構成する四辺形の頂点または側面の境界または特性を構成する。好ましくは、空間インデックスマーカおよび基準線にリンクされた二次元位置特定基準系における関心点または線の座標の受信は、関心領域を潜在的な介入領域または禁止領域として認定するためのデータの受信を含み、関心領域が潜在的な介入領域である場合に、1つまたは複数のツールのセットの位置決めが一意に実行される。
【0067】
一実施形態によれば、基準線は、鉄道線路のレールの1つの中立線、または鉄道線路のレールの中立線から構築された線である。
【0068】
一実施形態によれば、空間インデックスマーカおよび基準線に特徴的なデータの決定は、基準線に対する鉄道位置特定システムの角度配向データを繰り返し決定する転置システムの配向デバイスを含む。
【0069】
特に、位置特定システムの配向デバイスが、第1の配向レールを構成する、鉄道線路の第1のセンサに対する位置特定システムの配向を検出するための少なくとも1つの第1のセンサを備え、好ましくは、第2の配向レールを構成する、鉄道線路の第2のレールに対する位置特定システムの配向を検出するための第2のセンサを備えることとし得る。
【0070】
また、転置システムの配向デバイスが、第1の配向レールを構成する、鉄道線路の第1のレールに面して配設された少なくとも1つの第1の配向マトリックスカメラを備えることとし得る。第1の配向マトリックスカメラは、好ましくは、転置カメラ(複数可)のうちの第1の転置カメラによって構成されている。配向デバイスは、第1の配向マトリックスカメラを用いてショットを撮り、ショットを処理して、第1の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第1の配向レールの配向をショットの中で検出する。
【0071】
転置システムの配向デバイスは、好ましくは、第2の配向レールを構成する、鉄道線路のレールのうちの第2のものに面して配設された第2の配向マトリックスカメラを備える。第2の配向マトリックスカメラは、好ましくは、転置カメラ(複数可)のうちの第2の転置カメラによって構成されている。配向デバイスは、第2の配向マトリックスカメラでショットを撮り、そのショットを処理して、第2の配向マトリックスカメラのターゲットに対する第2の配向レールの方向をショットの中で検出する。
【0072】
適切な場合には、同じレール上または2つの異なるレール上でカメラとセンサを混在させることが可能である。したがって、2つの配向マトリックスカメラによって配信される配向データ間の補間を実行して、転置シャーシの配向を推定することが可能である。鉄道線路の各レールの上方に少なくとも1つのセンサ(センサまたはマトリックスカメラ)が存在することにより、特に転置システムが線路装置、例えば点に沿って進行するときに、鉄道線路のセクションにレールがないことを相殺することも可能である。曲線における特定のレール配向、例えば、曲線の内側に位置するレールを選択することも可能である。
【0073】
本発明の別の態様によれば、本発明は、鉄道線路に介入するための1つまたは複数のツールのセット、ならびに鉄道介入車両によって支持された転置シャーシおよび転置シャーシに固定された1つまたは複数の転置マトリックスカメラを備えた、転置システムを備えた、鉄道介入車両に関する。
【0074】
本発明の様々な態様は、様々な実施形態と同様に当然組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明を行う添付の図面を参照して、以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【
図1】本発明の実施形態による方法を実施するための位置特定システムおよび転置システムを搭載した鉄道介入マシンの概略側面図である。
【
図2】
図1の鉄道介入マシンの特定の要素の概略上面図である。
【
図3】
図1の車両の位置特定システムの概略図である。
【
図5】
図3の位置特定システムと直接一致する鉄道線路の領域の概略図である。
【0076】
より明確にするために、同一または類似の要素は、すべての図において同一の参照記号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1および
図2には、ここでも牽引機能を有する第1の鉄道位置特定車両2および第2の牽引鉄道介入車両3からなる、鉄道介入マシン1が示されている。鉄道位置特定車両2は、鉄道車両2の長手方向に互いに離間したいくつかの車台5によって支持されたメインシャーシ4を備え、一方、鉄道介入車両3は、メインシャーシ6が一端で鉄道位置特定車両2の締結具7に間接接合され、他端で車台8によって支持されている、セミトレーラーである。鉄道介入車両3のメインシャーシ6上には、車台10を介して線路上を走行し、1つまたは複数の介入ツール11のセットを支持するシャトル9が取り付けられている。1つまたは複数のアクチュエータ(図示せず)のセットは、メインシャーシ6に対してシャトル9をメインシャーシ6の長手方向に平行に変位させることを可能にする。鉄道介入マシン1は、鉄道位置特定車両2に位置付けられた位置特定システム12、および、鉄道介入車両3のシャトル9上に、介入マシン1の進行方向100において位置特定システムの後方かつ少し離れて位置決めされた転置システム16を搭載しており、鉄道線路22上の1つまたは複数の介入ツール11のセットは、鉄道介入車両3のシャトル9上に、進行方向100において転置システム16の後方かつ少し離れて配設されている。
【0078】
位置特定システム12は、処理ユニット30に接続されたリニアカメラ26および走行距離計28を備える。リニアカメラ26は、適切な場合には、同じ測定線に沿って整列されたいくつかのセンサユニットで構成され得る。リニアカメラ26は、鉄道位置特定車両2のメインシャーシ4の下に取り付けられた位置特定シャーシ32に取り付けられている。走行距離計28は、車台11.1のうちの1つに取り付けられている。
【0079】
図3に示すように、位置特定システム12は、介入マシン1の制御キャビン36に配設されたヒューマンマシンインターフェイス34をさらに備える。このヒューマンマシンインターフェイス34は、画面38およびヒューマンマシン入力インターフェイス40を備え、当該画面がタッチ画面である場合、または例えばキーボードまたは制御レバーによって構成されている場合に、画面に統合され得る。
【0080】
図4に概略的に示されている転置システム16は、少なくとも1つの転置マトリックスカメラ44A、および1つまたは複数のツール11のセットを命令するためのコントローラ46に接続されたコマンドユニット42を備える。転置マトリックスカメラ44Aは、ここでは、鉄道介入車両3のシャトル9のシャーシ45によって支持されている。適切な場合に、転置システム16および位置特定システム12のコマンドユニット42、30は、同じユニットに組み合わされ得る。1つまたは複数のツール11のセットは、任意のタイプ、特に、タンピングツール、ラミングツール、またはボルト締めツールであり得る。
【0081】
構築により、鉄道線路22のレールは、線路の傾斜に従って、水平または傾斜した基準面を局所的に定義する。鉄道位置特定車両2が鉄道線路22上を走行する限り、位置特定デバイスのシャーシ4は、この基準面に平行であると考えられ、これは、鉄道線路22および1つまたは複数のツール11のセットのコマンドの位置特定の必要性に対する許容可能な近似を構成する。リニアカメラ26の感光セルは、基準面に垂直な方向に沿って向けられている。
【0082】
基準面では、
図5に示すように、リニアカメラ26によって定義された測定線50の配向が、線路の基準面において、基準線122Aに対する垂線200に対して角度δだけ測定され、これは、この第1の実施形態では、基準レール22Aとして取られた鉄道線路22のレール22A、22Bのうちの1つの中立線である。この配向は不明とみなされる。これは、鉄道線路22の曲率半径の関数、鉄道位置特定車両2の車台に対するリニアカメラ26の位置決めとして、かつ、鉄道線路22に対する鉄道位置特定車両2のヨーの関数として変動し得る。
【0083】
走行距離計28の各パルスにおいて、基準線122Aに沿った位置特定システム12の曲線横座標が決定される。
【0084】
所与の瞬間に、リニアカメラ26は、適切な場合には、枕木の幅を含む、鉄道線路22の全幅をカバーする、測定値の線を構成する瞬時線形光学データを捕捉する。この入力が繰り返され、連続する測定線により、2つの測定値間を移動する距離の関数であるステップを有する2次元ビットマップ画像を構築することが可能である。
【0085】
第1の実施形態によれば、走行距離計28は、既知の基本距離が鉄道線路22上の鉄道位置特定車両2の進行方向100に移動するたびにパルスを供給し、これらの連続するパルスは、リニアカメラ26をトリガするために使用される。ビットマップ画像の2つの連続する線間の空間間隔は既知であり、一定である。
【0086】
別の実施形態によれば、リニアカメラ26は、走行距離計28の2つの連続するパルス間の観測された時間間隔を分割することによって決定された時間間隔でトリガされる。したがって、走行距離計のパルスI-1とIとの間で経過した時間Tが観測され、この時間Tは、所定の非ゼロ整数Nで除算され、走行距離計のパルスIとパルスI+1を分離する時間間隔で、周期T/Nは、リニアカメラの2つのトリガ間の時間間隔として使用される。事後的に、走行距離計のパルスIとI+1との間でトリガが観測され、パルスIとI+1との間のリニアカメラの2つのトリガ間の空間ステップがそこから推定される。進行速度がこのスケールでほとんど変動しないと推定される場合、ステップは2つの連続するパルス間で一定であるという仮説が立てられ得る。他の仮説も、例えば、速度の変動(加速または減速)が2つのパルス間で一定であり、その結果、2つのパルスIとI+1との間の線形的に変動可能な空間ステップであると考えることにより、想定され得る。
【0087】
別の実施形態によれば、リニアカメラ26は規則的な間隔でトリガされ、視覚画像データはタイムスタンプされる。走行距離計28のパルスもタイムスタンプされ、変動する可能性のある、ビットマップ画像の2つの連続する線の間を移動する経路を補間によって決定することが可能である。
【0088】
この後者の実施形態の代替案によれば、リニアカメラ26は、必ずしも規則的ではない間隔でトリガされ、それにより、向上した精度が有用であることが判明する関心領域の測定値を高密度化し、非関心領域内においてそれらをより離し、データの量の最適化を可能にする。
【0089】
リニアカメラ26の連続した入力から生じるビットマップ画像は、基準線122Aに対する垂線とリニアカメラ26との間の角度δのために歪んでいる。基準面で、X軸が基準線122Aに平行であり、かつY軸がX軸に垂直であるデカルト基準系が考慮される場合、互いに少し離れたリニアカメラ26によって同時に測定された鉄道線路22の2つの点P1、P2が、歪んだビットマップ画像において同じ横座標を有しているように見えるが、実際には、以前に定義したデカルト基準系では、2点間の距離および角度δの正弦に比例する差異を有することが観測される。さらに、以前に定義されたデカルト基準系において同じ縦座標を有する鉄道線路22の2つの点P1、P3は、歪んだビットマップ画像においては互いに離れて見え、それらの見かけの距離は角度δの余弦の関数である。
【0090】
角度δを推定することにより、歪んだ画像を「修正」することが可能である。
【0091】
角度δの第1の推定は、リニアカメラの所与の測定線において、2つの既知の関心点の間で測定された距離を、これらの点の間の既知の間隔と比較することによって得られ得る。したがって、所与の測定線において、一方が基準レール22Aの中心に位置し、他方が鉄道線路22の他方のレール22Bの中心に位置する2点間で測定された距離を評価することが可能である。レールEの間隔と測定距離Dの比率は、絶対値で角度δの余弦と等しい。
【数1】
【0092】
しかし、角度δのこの推定ではその符号を決定することができないという事実は別として、推定の精度は、角度δの小さな値では低く、余弦関数の導関数はゼロに近い値を有する。また、レール間の実際の間隔は一定であり、所望の精度で既知であることを想定している。
【0093】
線路上に存在し、輪郭または特定の寸法が既知である所定のオブジェクトを歪んだビットマップ画像においてマークすることによって、かつ歪んだビットマップ上で測定された見かけの輪郭または寸法を既知の輪郭または実際の寸法を持つ画像と比較することによって、マトリックス画像から第2の推定方法が実装され得る。しかし、実際には、比較として機能し得るオブジェクトは十分に近い間隔で鉄道線路上に存在しない。言い換えると、この方法を使用すると、角度δの推定が互いに離れすぎてしまう可能性がある。
【0094】
角度δを推定するために、好ましくは、位置特定シャーシ32に接続された配向デバイス52に頼る。
【0095】
一実施形態によれば、配向デバイス52は、位置特定シャーシに固定されたセンサを備える。
【0096】
別の実施形態によれば、配向デバイス52は、位置特定シャーシ32に固定され、2つのレール22A、22Bのうちの1つ、例えば、基準レール22Aに面する、鉄道線路22の基準面に垂直な視線方向を有する、少なくとも1つの第1の配向マトリックスカメラ54Aを備える。配向マトリックスカメラによって配信された方向ビットマップ画像は、画像処理によって、基準線122Aの配向を識別し、配向ビットマップ画像において、その配向を決定することを可能にし、それにより、シャーシ32の配向への、したがって、リニアカメラ26の角度δへの直接のアクセスを提供することを可能にする。
【0097】
第1の配向マトリックスカメラ54Aの配向画像の処理に必要な計算能力を制限するために、必要なとき、特にそれが推定されるとき、または角度δが変化しやすいことが決定されるときに、角度δの測定のみを実行することが可能である。
【0098】
実際には、観測された角度δの変動は、枕木間空間では小さいことがわかる。したがって、所定の距離が基準レール22A上を移動するたびに第1の配向マトリックスカメラ54Aをトリガするために走行距離計28を使用することが有利に可能であり、この距離は、好ましくは枕木間空間に等しい。さらに、リニアカメラ26によって配信された歪んだビットマップ画像上で実行された画像処理操作を使用し、歪んだビットマップ画像上で新しい枕木間空間が検出されるたびに、第1の配向マトリックスカメラ54Aによってショットをトリガすることも可能である。
【0099】
別の測定データのおかげで、角度δが修正された可能性が高いと決定されたときに、第1の配向マトリックスカメラ54Aをトリガすることを選択することも可能である。この目的のために、例えば、位置特定シャーシ32上に位置決めされた加速度計を使用することが可能である。リニアカメラ26によってレール22A、22B間で測定された、上述の距離Dの変動を使用することも可能である。例えば、走行距離計28による系統的なトリガと、さらに測定または監視されたデータの関数としての追加のトリガとを組み合わせることにより、トリガモードを組み合わせることも当然可能である。
【0100】
角度δの振幅および正弦は既知であるので、リニアカメラ26の連続するショットおよび走行距離計28によって配信された移動距離の測定値から推定された、歪んだビットマップ画像を「修正」することが可能である。
【0101】
この補正を、所与の枕木間空間上の歪んだ画像上で識別されたいくつかの関心点に制限することも可能である。さらに、これは、歪んだ画像上で観測された歪みが、補正されていない歪んだ画像上で画像を処理することによって関心点を位置特定することを妨げない限り、必要な計算能力を制限するための好ましい解決策である。
【0102】
実際には、角度δの測定値が事前にトリガされていると仮定すると、歪んだビットマップ画像上には、所定のシグネチャーの空間インデックスマーカ、例えば、基準レール22Aの所定の側の近くおよびその上に位置するボルト中心56、または、任意の他の事前定義された線路コンポーネント、例えば、締結要素または点コアが位置特定されている。この位置特定は、特に、歪んだビットマップ画像を、角度δに従って歪んだ、事前定義された線路コンポーネントの様々な所定の形状と比較するか、または、人工ニューラルネットワークもしくはより一般的には、受信された事前学習、特に、例えば、ピクセル単位のピクセル画像セグメンテーション手法(タイプSegNet)、またはオブジェクト検出手法(タイプRFCN)による深層学習を有する人工知能ユニットによって、行われ得る。この空間インデックスマーカ56が識別されると、基準線122Aに対するその見かけの距離が歪んだ画像上で読み取られ、角度δの関数として、空間インデックスマーカ56と基準線122Aとの間の実際の距離が計算され、基準線122Aに対して垂直に測定される。次に、これは、空間インデックスマーカ56および基準線122A(枕木間空間のスケールで直線であると想定される)を用いて、考慮される枕木間空間の局所的な2次元位置特定基準系を与える。アイデアを得るために、この基準系は、原点に対しては、基準線122Aに垂直な、基準線122A上の空間インデックスマーカの投影Oを、X軸に対しては、車両2の進行方向100に配向された基準線122Aを有し得、かつ、X軸に垂直なY軸に対しては、原点Oを通過する(かつ空間インデックスマーカ56を通過する)。
【0103】
次に、2つの連続する枕木62、64の横縁58、60および2つのレール22A、22Bの内縁66、68によって区切られた関心領域に焦点が当てられる(その潜在的な曲率はこのスケールでは無視され得る)。線路上で、この領域は、枕木58、60の縁と2つのレール22A、22Bの内縁66、68との間の交点A、B、C、Dによって定義され得る四辺形を構成する。歪んだビットマップ画像では、四辺形の画像自体が歪んでいるが、それでもその頂点で位置特定可能である。次に、歪んだ画像内の頂点の座標を特定し、必要な修正を角度δの関数として適用して、位置特定基準系内の頂点A、B、C、Dの座標を取得するだけで十分である。
【0104】
実際には、画像のコントラストは、歪んだビットマップ画像上で、交点A、B、C、Dのすぐ近接した枕木とレールの縁を決定できるほど常に十分ではない。代替によれば、したがって、関心領域を、枕木62、64の各々に対して構築された中立線162、164と、レール22A、22Bの各々に対して構築された中立線122A、122Bとの間の交点A’、B’、C’、D’によって区切られた四辺形として定義することが好ましい。中立線は、枕木間空間全体にわたって画像を処理することによって構築される。
【0105】
四角形関心領域<A、B、C、D>または<A’、B’、C’、D’>の潜在的な障害物の識別にも焦点が当てられる。このような障害物の存在または不在により、関心領域を潜在的な介入領域(許可領域)または潜在的な除外領域(禁止領域)として認定することが可能である。障害物の検出とは無関係に、関心領域の寸法を使用して、関心領域を潜在的な介入領域(枕木間空間が後の介入を可能にするのに十分である場合)または禁止領域として認定し得る。
【0106】
上記の操作(角度δの計算、空間インデックスマーカ56の位置特定および基準線122Aまでのその距離の計算、関心点の四辺形<A、B、C、D>または<A’、B’、C’、D’>の位置特定ならびに空間インデックスマーカ56および潜在的な障害物を位置特定する基準線122Aによって定義された位置特定基準系O、x、yにおけるそれらの座標の計算)は、各枕木間空間に対して周期的に実行され、走行距離計28により、または歪んだビットマップ画像における枕木の縁の認識により開始される。実際には、指図番号が各サイクルおよび各枕木間空間に割り当てられる。
【0107】
これらの処理操作は、形状認識アルゴリズムによって実行される。ヒューマンマシンインターフェイス34は、適切な場合に、それらを無効にする(デフォルトで自動認識が有効であるとみなされている場合)またはそれらを有効化する(少なくとも学習モードでは、形状認識の信頼性のレベルが不十分である限り)。この目的のために、オペレータは、ヒューマンマシンインターフェイス34の制御画面38上に表示される歪んだ画像を見ることができる。四辺形の<A、B、C、D>または<A’、B’、C’、D’>は、例えば四角形によって画面上に重ねられて実現され、識別された潜在的な障害物は、適切な場合に、所定の視覚的慣習(矢印、輪郭など)に応じてマークされる。検証モードにある場合、オペレータが関心領域におけるポインターでクリックしてそのステータスを確認することとする。逆に、サービスモードにある場合、オペレータが関心領域におけるポインターでクリックしてそのステータスを通知することもできる。当然のことながら、所望の人間工学および目的に従って、オペレータと位置特定システム12との間の相互作用に多数の代替案を提供することが可能である。
【0108】
前述の位置特定手順の最後に、局所基準系<O、x、y>において、位置特定の枕木間空間ごとに、関心点の座標A、B、C、DまたはA’、B’、C’、D’が利用可能であり、許可または禁止として認定された関心領域の区切り[A、B、C、D]または[A’、B’、C’、D’]を区切る。枕木間線などの他のデータを利用可能にすることも可能である。
【0109】
これらのデータは、転置システム16の制御ユニット42に送信され、それにより、鉄道介入車両3の連続した前進に続いて、転置システム16が位置特定システム12によって事前に位置特定された所定の空間の高さに位置決めされる瞬間に、そこから利益を得ることができる。鉄道線路22の曲率のために、転置システム16のマトリックスカメラ44Aが枕木間空間の上方に位置決めされているときに、所与の枕木間空間と比較したシャトル9の位置決めは、リニアカメラ26が同じ枕木間空間の上方に位置決めされたときに、位置特定システム12のシャーシ4によって以前に取られた位置決めとは異なる。
【0110】
転置システム16は、所与の枕木間空間にリンクされた位置特定基準系<O、x、y>における位置特定システム12によって決定された座標間の、特に1つまたは複数のツール11のセットのコマンドのための特に転置システム16のレベルで使用できる座標への転置、すなわちデカルト基準系の変更を可能にすることを目的とする。
【0111】
この目的のために、転置システム16のマトリックスカメラ44Aは、基準レール22Aに面して配設され、基準レール22Aと空間インデックスマーカ56の両方を捕捉するのに十分な視野幅を有し、これは基準レール22Aの近くに選択されたことが想起される。
【0112】
転置システム16は、まず、所与の瞬間に、転置システム16のマトリックスカメラ44Aによって見られる枕木間空間に起因する位置特定データがどれであるかを決定できなければならない。
【0113】
しかし、介入マシン1の幾何学の知識は、シャトル9が鉄道介入車両3のメインシャーシ6に対して移動可能であると想定される限り、位置特定システム12の走行距離計28と転置システム16のマトリックスカメラ44Aとの間の距離を大まかにさえ推定するには不十分であることが判明し得る。したがって、メインシャーシ6に対するシャトル9の位置センサによって、またはシャトル2の車台10と一体の任意選択的な走行距離計70によって供給され得る追加の測定値が要求される。
【0114】
シャトル9の位置センサとおよび位置特定システム12の走行距離計28の組み合わせた測定値、または代替として、転置システム16の走行距離計70の測定値は、十分なレベルの信頼性で、どれが所与の瞬間に転置システム16のマトリックスカメラ44Aによって見られる枕木間空間に起因する位置特定データであるかを決定することを可能にする。
【0115】
転置マトリックスカメラ44Aは、シャトル9に対して固定された転置基準系に接続されている。転置マトリックスカメラ44のビットマップ画像を処理することにより、転置ユニット42は、基準レール22Aを識別し、基準線を構成する中立線122Aを構築し、ビットマップ画像におけるその配向を決定し、それにより、転置基準系に対する位置特定基準系O、x、yの配向の度γへの直接のアクセスが与えられる。転置ユニット42はまた、空間インデックスマーカ56を識別し、基準レール22A上に空間インデックスマーカ56の投影を後者に対して垂直に構築し、これは、位置特定基準系<O、x、y>の原点Oおよびその転置基準系の座標を定義する。次に、転置ユニット42は、位置特定システム12が位置特定基準系<O、x、y>においてそこに送信した関心点A、B、C、Dの座標を転置基準系に転置し得る。
【0116】
これに基づいて、1つまたは複数のツール11のセットに命令するためのコントローラ46に、関心領域の転置座標およびその資格(潜在的な介入領域として)を送信することが可能である。次に、コントローラ46は、1つまたは複数のツール11のセットが、このように区切られた関心領域A、B、C、Dに介入するかまたは介入しないことを可能にするコマンドを生成する。適切な場合に、転置カメラ(複数可)44A、44Bを支持する転置シャーシ45に対する1つまたは複数のツール20のセットの1つまたは複数の自由度の運動が存在し得る。コマンドは、枕木間間隔に対する1つまたは複数のツール20のセットの位置決めを最適化するために、1つまたは複数のツール20のセットの基準平面に垂直な軸を中心とした回転、および1つまたは複数のツール20のセットの横方向平行移動を含み得る。コマンドはまた、潜在的な介入領域、または禁止領域としての関心領域の資格による、1つまたは複数のツール20のセットの上昇または下降も含み得る。
【0117】
当然のことながら、図に示され、上で論じられた例は、例示的かつ非限定的な目的でのみ与えられている。図示された異なる実施形態をそれらの間で組み合わせて、他の実施形態を提案することが可能であることが明示的に規定される。
【0118】
位置特定段階で選択された基準線は、必ずしも角度δの推定が実行される線ではない。適切な場合に、基準線としてレール22Bの中立線122Bを選択し、レール22Aに対する角度δを測定することが可能である。
【0119】
代替案によれば、位置特定システム12によって構築された基準線は、特定のレール122A、122Bにリンクされていないという意味で、仮想である。それは、例えば、鉄道線路22のレール22A、22Bの中立線122Aおよび122Bから構築された鉄道線路の中央線222であり得る。したがって、いくつかの線路装置のレベルでのレールの1つの中断などの特異点がなくなる。
【0120】
歪んだビットマップ画像を処理することによって、2つのレール22A、22Bの中心によって区切られたセグメントの中央でリニアカメラ26の各測定線を1点ずつ検索することによって、または、好ましくは、最初に、各レール22A、22Bの中立線122A、122B、次に、中立線122A、122Bから中距離に位置する線を構築することによって、この中央線は構築され得る。
【0121】
位置特定システム12によって構築され、かつ使用される仮想基準線のこの仮説では、転置システム16はまた、仮想基準線を再構築できなければならない。この目的のために、転置システムは、好ましくは、第2のレール22Bの上方に配設され、それに面する第2の転置マトリックスカメラ44Bを備える。
【0122】
第2の転置マトリックスカメラ44Bは、2つの転置マトリックスカメラ44A、44Bの相対的な位置が既知であり、かつキャリブレーションされるように、シャトル9の転置シャーシ45に固定されている。各転置マトリックスカメラ44A、44Bは、フィールド幅が狭くなっていることから、その上方に位置決めされているレール22A、22Bを表示することしかできないが、第1の転置カメラ44Aのビットマップ画像における第1のレール22Aの中立線122Aの位置決めを決定することによって、第2の転置カメラ44Bのビットマップ画像における第2のレール22Bの中立線122Bの位置決めを決定することによって、かつ、2つの中立線122A、122B間の直線のセグメントの中心を、2つの転置カメラ44A、44B間の距離のこれらの測定値およびキャリブレーションデータから計算することによって、中立線122A、122B間の中央線222の位置決めを決定することが可能である。
【0123】
位置特定システム12の代替案によれば、後者は、位置特定車両4のシャーシ4に固定され、かつ他のレール22Bに面し、鉄道線路22の基準面に垂直な視線方向を有する第2の配向マトリックスカメラ54Bを備える。第2の配向マトリックスカメラ54Bは、第2のレール22Bに対して測定された角度δの第2の値を与えるために使用されてもよい。これらのデータを活用するために、様々なアルゴリズムが実装され得る。例えば、すべてが各枕木間空間について、最も信頼できるインデックスを有する角度δの測定値を保持するために、画像のコントラスト、画像におけるレールの有無、または任意の他の基準の関数として、1つまたは他の配向マトリックスカメラによって配信された各ビットマップ画像に信頼できるインデックスを割り当てることが可能である。「平均」角度δを計算するために実行された測定値を組み合わせることも可能である。2つの配向マトリックスカメラ54A、54B間の距離が既知であり、キャリブレーションされている限り、これらのカメラを使用して、前述の仮想基準線222を決定することも可能である。最後に、2つの独立した測定および計算線路を想定できる。一方は第1の配向マトリックスカメラ54Aおよび第1の基準線122Aに対する第1の転置マトリックスカメラ44Aを使用し、他方は第2の配向マトリックスカメラ54Bおよび第1の基準線122Bに対する第2の転置マトリックスカメラ44Bを使用する。適切な場合に、監視システムのレベルで2つの走行距離計を提供することも可能である。一方は各レール22A、22Bに関し、各々が2つの測定および計算線路のうちの1つに専用である。
【0124】
位置特定段階では、関心点の識別は、潜在的な介入の四辺形の頂点A、B、C、DまたはA’、B’、C’、D’の識別に限定されない。他のタイプの関心点、例えば、ねじ締めまたは変更するためのねじ頭の中心の座標が識別され得る。介入領域は必ずしも四辺形である必要はなく、任意の多角形であり得る。関心点A、B、C、Dの代わりに、またはそれに加えて、関心線、例えば枕木62、64の中立線162、164を構成する直線を識別することを求めることも可能である。各々が枕木62、64、または枕木間線を構成する直線163の対応する中心に位置し、これは、2つの枕木62、64間の中距離に位置する先行する直線162、164の対称軸である。局所基準系<O、x、y>において、そのような直線の座標は、例えば、それに属する2つの点の座標、または線の点および角度の座標であり得る。
【0125】
上記の説明は、枕木間空間に焦点を合わせたが、枕木を備えた鉄道線路の部分を位置特定システムにおいて分析して、特に介入を必要とする関心点をそこに検出することも可能である。
【0126】
位置特定システム12による走行距離計28、リニアカメラ26および配向デバイス52のデータの処理は、リアルタイムで、または非常にわずかに遅れて行われ、同じ継続的に前進する介入マシン10に属する転置システム16がそれを使用する可能性がある。一方では進行方向100において位置特定車両2の前部領域14に位置する位置特定システム12と、他方では、車両の後方かつ車両から少し離れて位置する転置システム16との間の距離は、特に、オペレータが関心点A、B、C、Dまたはそれらの資格の有効化または無効化を可能にすることから、恩恵を受ける。
【0127】
あるいは、介入マシン10を位置特定のための方向に前進させ、次に、第2の通過中に、転置および1つまたは複数のツールのセットのコマンドを実行するために介入マシン10を後退させることが可能である。転置の間、車両は、位置特定中の進行方向とは反対の方向に、または同じ方向に進行し得る。
【0128】
問題となっている鉄道介入マシン10は、それらの間に間接接合された1つまたは複数の車両で構成し得る。したがって、適切な場合に、位置特定システム12、転置システム16、および1つまたは複数のツール11のセットは、単一の同じ車両上にあり得る。別の実施形態によれば、位置特定システム12は、線路上を走行する戦車に取り付けられ、転置システム16および1つまたは複数のツール11のセットを担持するローリングユニットによって前部で関節運動され得る。
【0129】
位置特定システム12が、1つまたは複数のツール11のセットを担持する介入マシン10とは無関係に自律型位置特定車両に取り付けられることを想定することも可能である。この後者の仮説では、位置特定車両に絶対位置決めユニット、例えばGPSユニットを提供して、各枕木間隔に絶対位置決め基準系における座標を割り当てることを可能にすることが有利であり、後者は2つの連続する枕木間空間を区別する。
【0130】
適切な場合に、1つまたは複数のツール20のセットは、介入車両3のメインシャーシ6に対して固定され得る。次に、位置特定システム12の走行距離計28の唯一のデータから1つまたは複数のツール20のセットの位置決めを概算して、所与の瞬間に、転置に関連する位置特定データがどれであるかを決定することが可能である。
【0131】
説明は、介入ツールのコマンドの転置手順の使用に特に焦点を当てているが、転置は、位置特定シャーシから離れたシャーシによって担持された聴診機器によって線路の正確な聴診を操作することからも恩恵を受け得る。
【0132】
ヒューマンマシンインターフェイス34は、車両10に対して離れて、例えば、遠隔制御ポストに位置し得る。