(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】表示素子及び投射型表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240521BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20240521BHJP
G02B 3/08 20060101ALI20240521BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240521BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240521BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240521BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240521BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G03B21/14 Z
G02B3/00 A
G02B3/08
G02F1/13 505
G02F1/1335
G03B21/00 E
G09F9/30 349Z
H04N5/74 K
(21)【出願番号】P 2020566174
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050514
(87)【国際公開番号】W WO2020149115
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2019005410
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】神山 佳明
【審査官】新井 重雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0357023(US,A1)
【文献】特開平09-297208(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0624409(KR,B1)
【文献】特開2005-208644(JP,A)
【文献】特開2002-122709(JP,A)
【文献】特開2001-059963(JP,A)
【文献】特開2000-305472(JP,A)
【文献】特開平11-127390(JP,A)
【文献】米国特許第05977535(US,A)
【文献】米国特許第05796522(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139637(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0127030(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0168820(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G02B 3/00
G02B 3/08
G02F 1/13
G02F 1/1335
G03B 21/00
G09F 9/30
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光を画素ごとに変調する光学制御層と、
入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射するレンズ層と
を具備する表示素子。
【請求項2】
請求項1に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、前記複数の屈折レンズが2次元的に配置された屈折レンズアレイと、前記複数の回折レンズが2次元的に配置された回折レンズアレイとを有する
表示素子。
【請求項3】
請求項2に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、前記入射面とは反対側の出射面とを有し、
前記屈折レンズアレイ及び前記回折レンズアレイは、いずれか一方が前記入射面側に配置され、他方が前記出射面側に配置される
表示素子。
【請求項4】
請求項1に記載の表示素子であって、
前記光学制御層は、入射する光を変調する液晶層と、前記液晶層に接合され前記画素ごとに前記液晶層による光の変調を制御する制御基板とを有し、
前記レンズ層は、前記液晶層及び前記制御基板のいずれか一方に対向して配置される
表示素子。
【請求項5】
請求項4に記載の表示素子であって、
前記制御基板は、各々が前記画素となる複数の開口部が形成された遮光部を有し、
前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光を集めて前記開口部を通過させる
表示素子。
【請求項6】
請求項5に記載の表示素子であって、
前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光の光路を平行化して前記開口部に出射する
表示素子。
【請求項7】
請求項5に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、第1の開口部に対応して配置された第1の回折レンズと、前記第1の開口部と隣り合う第2の開口部に対応して配置された第2の回折レンズとを有し、前記第1及び前記第2の回折レンズの境界部分に入射する光を前記第1の開口部または前記第2の開口部の少なくとも一方に向けて出射する
表示素子。
【請求項8】
請求項5に記載の表示素子であって、
前記制御基板は、前記画素ごとに前記液晶層を制御する制御素子を有し、
前記遮光部は、前記制御素子を遮光する
表示素子。
【請求項9】
請求項1に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、高屈折率層と、前記高屈折率層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有する
表示素子。
【請求項10】
請求項9に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層が前記入射面と平行な面方向に交互に配置された回折パターンを有する
表示素子。
【請求項11】
請求項10に記載の表示素子であって、
前記回折パターンは、前記入射面から見て、パターンの中心となる中心領域と、中心領域の周りに同心状に配置された複数の帯状領域とを有する
表示素子。
【請求項12】
請求項11に記載の表示素子であって、
前記光学制御層は、入射する光を変調する液晶層と、前記液晶層に接合され前記画素ごとに前記液晶層による光の変調を制御する制御基板とを有し、
前記制御基板は、各々が前記画素となる複数の開口部が形成された遮光部を有し、
前記中心領域は、前記入射面から見て、前記開口部の中心に対して偏心して配置される
表示素子。
【請求項13】
請求項11に記載の表示素子であって、
前記中心領域は、円形、楕円形、多角形、または角丸の多角形のいずれか1つである
表示素子。
【請求項14】
請求項9に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層に前記低屈折率層が埋め込まれて形成される、または前記低屈折率層に前記高屈折率層が埋め込まれて形成される
表示素子。
【請求項15】
請求項9に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の接合部に形成される
表示素子。
【請求項16】
請求項9に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の厚さの割合が前記入射面に平行な面方向に沿って階段状に変化する厚さ変化領域を含む
表示素子。
【請求項17】
請求項1に記載の表示素子であって、さらに、
前記光学制御層を挟んで前記レンズ層とは反対側に配置され、前記光学制御層から出射された光の光路を制御するマイクロレンズアレイを具備する
表示素子。
【請求項18】
請求項17に記載の表示素子であって、
前記マイクロレンズアレイは、前記光学制御層から出射された光の光路を平行化する
表示素子。
【請求項19】
光源と、
入射する光を画素ごとに変調する光学制御層と、
前記光学制御層の前記光源側に配置されたレンズ層とを有する表示素子と、
前記画素ごとに変調された光に基づいて画像を投射する投射光学系と
を具備
し、
前記レンズ層は、前記光源から出射された光が入射する入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射する
投射型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、入射する光を変調して画像を表示する表示素子及び投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶等により光を変調して画像を表示する表示素子が広く用いられている。このような表示素子は、プロジェクタやディスプレイ等に搭載される。例えば液晶を用いた表示素子には、液晶を制御するスイッチング素子や配線等が設けられ、液晶を通過する光の強度が画素ごとに変調される。
【0003】
また表示素子には、スイッチング素子や配線等を遮光する遮光部が設けられる。この遮光部により表示素子に入射する光の一部が遮断される場合がある。このため、マイクロレンズ等を用いて光の利用効率の低下を抑制する方法が考案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、マイクロレンズアレイ基板を備えた液晶装置について記載されている。マイクロレンズアレイ基板は、入射する光を2段階で屈折する第1及び第2のマイクロレンズを備える。各マイクロレンズを通過した光は、液晶層を通過し遮光層を避けて画素の中央に集光される。また第2のマイクロレンズの周辺部の曲率は中央部に比べ大きく設定される。これにより、各マイクロレンズの間の距離が小さくなり、それまで利用されていなかった斜め光を利用することが可能となっている(特許文献1の明細書段落[0045][0069][0074][0092]
図3、5等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、表示素子に入射する光を効率的に利用して画像の輝度を高める技術が開発されている。近年では、プロジェクタやディスプレイ等の高輝度化に加え画質の向上が期待されており、明るく高品質な画像表示を実現することが可能な技術が求められている。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、明るく高品質な画像表示を実現することが可能な表示素子及び投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る表示素子は、光学制御層と、レンズ層とを具備する。
前記光学制御層は、入射する光を画素ごとに変調する。
前記レンズ層は、入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射する。
【0009】
この表示素子では、光学制御層に入射する光が画素ごとに変調される。光学制御層には、レンズ層の入射面に入射して、画素ごとに配置された屈折レンズ及び回折レンズを通過した光が出射される。このように光の屈折と回折とを組み合わせることで、光の波長に依存した収差等が抑制される。この結果、光学制御層に入射する光の光路を波長に係りなく制御することが可能となり、明るく高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0010】
前記レンズ層は、前記複数の屈折レンズが2次元的に配置された屈折レンズアレイと、前記複数の回折レンズが2次元的に配置された回折レンズアレイとを有してもよい。
【0011】
前記レンズ層は、前記入射面とは反対側の出射面とを有してもよい。この場合、前記屈折レンズアレイ及び前記回折レンズアレイは、いずれか一方が前記入射面側に配置され、他方が前記出射面側に配置されてもよい。
【0012】
前記光学制御層は、入射する光を変調する液晶層と、前記液晶層に接合され前記画素ごとに前記液晶層による光の変調を制御する制御基板とを有してもよい。この場合、前記レンズ層は、前記液晶層及び前記制御基板のいずれか一方に対向して配置されてもよい。
【0013】
前記制御基板は、各々が前記画素となる複数の開口部が形成された遮光部を有してもよい。この場合、前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光を集めて前記開口部を通過させてもよい。
【0014】
前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光の光路を平行化して前記開口部に出射してもよい。
【0015】
前記レンズ層は、第1の開口部に対応して配置された第1の回折レンズと、前記第1の開口部と隣り合う第2の開口部に対応して配置された第2の回折レンズとを有し、前記第1及び前記第2の回折レンズの境界部分に入射する光を前記第1の開口部または前記第2の開口部の少なくとも一方に向けて出射してもよい。
【0016】
前記制御基板は、前記画素ごとに前記液晶層を制御する制御素子を有してもよい。この場合、前記遮光部は、前記制御素子を遮光してもよい。
【0017】
前記回折レンズは、高屈折率層と、前記高屈折率層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有してもよい。
【0018】
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層が前記入射面と平行な面方向に交互に配置された回折パターンを有してもよい。
【0019】
前記回折パターンは、前記入射面から見て、パターンの中心となる中心領域と、中心領域の周りに同心状に配置された複数の帯状領域とを有してもよい。
【0020】
前記中心領域は、前記入射面から見て、前記開口部の中心に対して偏心して配置されてもよい。
【0021】
前記中心領域は、円形、楕円形、多角形、または角丸の多角形のいずれか1つであってもよい。
【0022】
前記回折レンズは、前記高屈折率層に前記低屈折率層が埋め込まれて形成される、または前記低屈折率層に前記高屈折率層が埋め込まれて形成されてもよい。
【0023】
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の接合部に形成されてもよい。
【0024】
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の厚さの割合が前記入射面に平行な面方向に沿って階段状に変化する厚さ変化領域を含んでもよい。
【0025】
前記表示素子は、さらに、前記光学制御層を挟んで前記レンズ層とは反対側に配置され、前記光学制御層から出射された光の光路を制御するマイクロレンズアレイを具備してもよい。
【0026】
前記マイクロレンズアレイは、前記光学制御層から出射された光の光路を平行化してもよい。
【0027】
本技術の一形態に係る投射型表示装置は、光源と、表示素子と、投射光学系とを具備する。
前記表示素子は、入射する光を画素ごとに変調する光学制御層と、前記光源から出射された光が入射する入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射するレンズ層とを有する。
前記投射光学系は、前記画素ごとに変調された光に基づいて画像を投射する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本技術の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】液晶ライトバルブの構成例を示す模式図である。
【
図3】液晶ライトバルブの構成例を模式的に示す断面図である。
【
図4】屈折レンズ及び回折レンズの特性を説明するための模式図である。
【
図5】液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
【
図6】液晶ライトバルブに入射する光の光路の他の一例を示す模式図である。
【
図7】回折レンズの配置パターンの一例を示す模式図である。
【
図8】回折レンズの構成例を模式的に示す断面図である。
【
図9】回折レンズの構成例を模式的に示す断面図である。
【
図10】回折レンズの回折パターンの一例を示す模式図である。
【
図11】回折レンズの他の構成例を模式的に示す断面図である。
【
図12】液晶ライトバルブの他の構成例を模式的に示す断面図である。
【
図13】比較例として挙げる液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
【
図14】第2の実施形態に係る液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
【
図15】比較例として挙げる液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
【
図16】第3の実施形態に係る液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
【
図17】他の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。
【
図18】他の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。
【
図19】他の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。
【
図20】他の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0030】
<第1の実施形態>
[画像表示装置]
図1は、本技術の第1の実施形態に係る画像表示装置の構成例を示す概略図である。画像表示装置500は、例えばプレゼンテーション用、もしくはデジタルシネマ用のプロジェクタとして用いられる。その他の用途に用いられる画像表示装置にも、以下に説明する本技術は適用可能である。本実施形態では、画像表示装置500は、投射型表示装置に相当する。
【0031】
画像表示装置500は、光源装置510と、画像生成システム511と、投射システム512とを有する。
【0032】
光源装置510は、白色光W1を画像生成システム511に出射する。光源装置510としては、例えばレーザダイオードや発光ダイオード等の固体光源が用いられる。また水銀ランプ等を用いて光源装置が構成されてもよい。本実施形態では、光源装置510は、光源に相当する。
【0033】
画像生成システム511は、光源装置510から出射された白色光W1をもとに、画像を生成する。画像生成システム511は、光学フィルタ520と、インテグレータ光学系521と、照明光学系522と、液晶ライトバルブ100とを有する。
【0034】
光学フィルタ520は、誘電体多層膜を有する誘電体多層膜フィルタであり、波長選択フィルタとして機能する。光学フィルタ520により、光源装置510から出射された白色光W1がフィルタリングされ、白色光W1のスペクトル(波長特性)が調整される。フィルタリングされた白色光W2は、インテグレータ光学系521に出射される。なお誘電体多層膜の具体的な材料は限定されず、例えば酸化チタンや酸化シリコン等、所望のフィルタ特性が発揮されるように適宜材料が選択されてよい。
【0035】
インテグレータ光学系521は、インテグレータ素子523と、偏光変換素子524と、集光レンズ525とを有する。
【0036】
インテグレータ素子523は、二次元に配列された複数のマイクロレンズを有する第1のフライアイレンズ526と、その複数のマイクロレンズに一つずつ対応するように配列された複数のマイクロレンズを有する第2のフライアイレンズ527とを含んでいる。
【0037】
インテグレータ素子523に入射した白色光W2は、第1のフライアイレンズ526のマイクロレンズによって複数の光束に分割され、第2のフライアイレンズ527に設けられた対応するマイクロレンズにそれぞれ結像される。第2のフライアイレンズ527のマイクロレンズのそれぞれが二次光源として機能し、輝度が揃った複数の平行光を、後段の偏光変換素子524に出射する。
【0038】
偏光変換素子524は、インテグレータ素子523を介して入射する入射光の、偏光状態を揃える機能を有する。偏光変換素子524を通った光は、集光レンズ525を介して照明光学系522に出射される。
【0039】
インテグレータ光学系521は、全体として、光学フィルタ520から照明光学系522へ向かう白色光W2を均一な輝度分布に整え、偏光状態の揃った光に調整する機能を有する。インテグレータ光学系521の具体的な構成は限定されない。
【0040】
照明光学系522は、ダイクロイックミラー530及び531、ミラー532、533及び534、フィールドレンズ540R、540G及び540B、リレーレンズ541及び542、各色光を変調する液晶ライトバルブ100(液晶ライトバルブ100R、100G、100B)、及びダイクロイックプリズム543を含んでいる。
【0041】
ダイクロイックミラー530及び531は、所定の波長域の色光を選択的に反射し、それ以外の波長域の光を透過させる性質を有する。ダイクロイックミラー530は、白色光W2に含まれる緑色光G1及び青色光B1を選択的に反射し、白色光W2に含まれる赤色光R1を透過させる。ダイクロイックミラー531は、ダイクロイックミラー530により反射された緑色光G1を選択的に反射し、青色光B1を透過させる。これにより異なる色光は、それぞれ異なる光路に分離される。なおRGBの各色光を分離するための構成や、用いられるデバイス等は限定されない。
【0042】
分離された赤色光R1は、ミラー532により反射され、フィールドレンズ540Rにより平行化された後、赤色光の変調用の液晶ライトバルブ100Rに入射する。緑色光G1は、フィールドレンズ540Gにより平行化された後、緑色光の変調用の液晶ライトバルブ100Gに入射する。青色光B1はリレーレンズ541を通ってミラー533によって反射され、さらにリレーレンズ542を通ってミラー534によって反射される。ミラー534により反射された青色光B1は、フィールドレンズ540Bにより平行化された後、青色光の変調用の液晶ライトバルブ100Bに入射する。
【0043】
液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bは、透過型の液晶表示素子であり、画像情報を含んだ画像信号を供給する図示しない信号源(例えばPC等)と電気的に接続されている。例えば、液晶ライトバルブ100は、互いにクロスニコルとなる一対の偏光板の間に配置される。液晶ライトバルブ100は、透過する光の偏光方向を適宜回転させることで、各偏光板を通過する光の光量を画素ごとに変調することが可能である。なお予め偏光した光が入射するような構成では、入射側の偏光板は設けられなくてもよい。
【0044】
液晶ライトバルブ100R、100G及び100Bは、供給される各色の画像信号に基づき、入射光を画素毎に変調し、それぞれ赤色画像、緑色画像及び青色画像を生成する。本実施形態では、液晶ライトバルブ100(100R、100G、100B)は、表示素子に相当する。液晶ライトバルブ100については、後に詳しく説明する。
【0045】
各液晶ライトバルブ100により変調された各色の光(形成された画像)は、ダイクロイックプリズム543に入射して合成される。ダイクロイックプリズム543は、3つの方向から入射した各色の光を重ね合わせて合成し、投射システム512に向けて出射する。
【0046】
投射システム512は、液晶ライトバルブ100により生成された画像を投射する。投射システム512は、複数のレンズ545等を有し、ダイクロイックプリズム543によって合成された光を図示しないスクリーン等に投射する。このように、投射システム512は、液晶ライトバルブ100により画素ごとに変調された光に基づいて画像を投射する。これによりフルカラーの画像が表示される。投射システム512の具体的な構成は限定されない。本実施形態では、投射システムは、投射光学系に相当する。
【0047】
[液晶ライトバルブ]
図2は、液晶ライトバルブ100の構成例を示す模式図である。液晶ライトバルブ100は、例えばモジュールとして構成され、画像表示装置500に組み込まれる。
図2には、光が入射する入射側から見た液晶ライトバルブ100の平面図が模式的に図示されている。液晶ライトバルブ100は、パッケージ10と、表示領域11と、駆動回路12と、外部配線13とを有する。
【0048】
パッケージ10は、液晶ライトバルブ100の本体を格納するための筐体である。パッケージ10の入射側及び出射側には、液晶ライトバルブ100の本体を露出させるための窓が設けられる。パッケージ10を設けることで、液晶ライトバルブ100を容易にモジュール化することが可能となる。
【0049】
表示領域11は、液晶ライトバルブ100において実質的に表示に寄与する領域である。表示領域11は、液晶ライトバルブ100の入射側に設けられた第1の面14と出射側に設けられた第2の面15とを有する。すなわち表示領域11は、第1の面14及び第2の面15に挟まれた領域であるとも言える。第1の面14(第2の面15)は、典型的には、所定のアスペクト比に設定された長方形である。上記したパッケージ10の窓は、第1の面14(第2の面15)と重なるように形成される。
【0050】
以下では、第1の面14の長手方向(図中の左右方向)に平行な方向をX方向と記載し、第1の面14の短手方向(図中の上下方向)に平行な方向をY方向と記載する。またXY平面に垂直な方向をZ方向と記載する。
【0051】
図2に示すように、表示領域11には、複数の画素16がX方向及びY方向に沿って格子状に配置される。これら複数の画素16は、後述するように複数の開口部28により形成される。また表示領域11には、Y方向に延在する複数のデータ線及びX方向に延在する複数の走査線(ともに図示省略)が配置される。これらデータ線及び走査線の交点に対応して、各画素16がそれぞれ配置される。また表示領域11には、各走査線と平行に複数の容量線(図示省略)が配置される。
【0052】
例えば表示領域11の第1の面14に入射した光は、各画素16ごとに変調され、第2の面15から出射される。表示領域11(第1の面14及び第2の面15)の形状やサイズ、画素数(画像の解像度)等は限定されない。
【0053】
駆動回路12は、画素16ごとに設けられた制御素子23(
図3参照)を駆動するための信号を生成する。駆動回路12は、例えば表示領域11の外側となるように液晶ライトバルブ100の本体に形成される。また駆動回路12の配線が延長されることで、図示しない外部接続端子が形成される。外部接続端子には、フレキシブルプリント配線基板等の外部配線13が接続される。この外部配線13により、液晶ライトバルブ100の本体と信号源とが電気的に接続される。
【0054】
駆動回路12は、走査線駆動回路12aとデータ線駆動回路12bとを有する。データ線駆動回路12bは、信号源から供給される輝度情報に応じた画像信号の信号電圧を、信号線を介して選択された、画素ごとに設けられた制御素子23に供給する。走査線駆動回路12aは、入力されるクロックパルスに同期してスタートパルスを順にシフト(転送)するシフトレジスタなどによって構成されている。走査線駆動回路12aは、各画素16への画像信号の書き込みに際して行単位でそれらを走査し、各走査線に走査信号を順次供給する。
【0055】
図3は、液晶ライトバルブ100の構成例を模式的に示す断面図である。
図3には、
図2に示すAA'線に沿った液晶ライトバルブ100における表示領域11の断面の一部が模式的に図示されている。液晶ライトバルブ100は、さらに、制御基板20と、対向基板30と、制御基板20及び対向基板30に挟まれた液晶層40とを有する。本実施形態では、液晶ライトバルブ100の入射側に対向基板30が配置され、出射側に制御基板20が配置される。
【0056】
制御基板20は、液晶層40に接合され画素16ごとに液晶層40による光の変調を制御する。制御基板20は、透明基板21と、回路層22と、制御素子23と、遮光部24と、画素電極25と、配向膜26とを有する。
【0057】
透明基板21は、例えば石英やガラス等の透明性を有する基板である。透明基板21の一方の面は、上記した表示領域11の出射側(第2の面15)となる。また透明基板21の第2の面15とは反対側には、回路層22が形成される。
【0058】
回路層22は、制御素子23及び遮光部24を含む層である。例えば制御素子23や遮光部24を形成する過程で積層される透明な絶縁膜(SiO
X膜やアモルファスSi膜)等により回路層22が構成される。
図3には、平坦化された回路層22が模式的に図示されているが、これに限定されず、制御素子23や遮光部24の形状に応じて厚み方向(Z方向)に凹凸のある回路層22等が構成されてもよい。
【0059】
制御素子23は、画素16ごとに液晶層40を制御する素子である。具体的には、制御素子23は、走査線及びデータ線に入力される信号に基づいて、後述する画素電極25に印加する電圧を制御する。制御素子23としては、典型的には薄膜トランジスタ(TFT27:Thin Film Transistor)が用いられる。TFT27は、スイッチング素子として機能する。
【0060】
TFT27は、図示を省略したソース端子、ドレイン端子、及びゲート端子を有する。ソース端子はデータ線に接続され、ドレイン端子は後述する画素電極25に接続され、ゲート端子は走査線に接続される。またドレイン端子(画素電極25)と容量線との間には、キャパシタ(図示省略)が接続される。
【0061】
例えばソース端子には輝度情報に応じた信号電圧(画像信号)が供給される。またゲート端子には走査信号が供給され、TFT27は一定期間だけON状態となる。これにより、画素電極25には、ドレイン端子を介して信号電圧が印加される。この信号電圧は、キャパシタにより一定期間保持される。画素電極25に信号電圧を印加することで、画素16に対応する液晶の配向状態が変化する。これにより、液晶層40を通過する光を変調することが可能となる。
【0062】
遮光部24は、制御素子23であるTFT27を遮光する。遮光部24は、例えばAlやAu等の金属や他の金属化合物等を用いて形成される。また上記したデータ線、走査線、容量線等を利用して遮光部24が形成されてもよい。この他、入射する光を遮断する任意の材料が用いられてよい。
【0063】
遮光部24は、TFT27の入射側に設けられた入射側遮光層24aと、TFT27の出射側に設けられた出射側遮光層24bとを有する。入射側遮光層24a及び出射側遮光層24bは、Z方向から見てTFT27と重なるように形成される。また入射側遮光層24a及び出射側遮光層24bは、キャパシタや他の配線等を遮光するように構成されてもよい。
【0064】
入射側遮光層24a及び出射側遮光層24bを設けることで、TFT27や配線等に対して入射側及び出射側からの光入射を遮ることが可能となる。これにより、TFT27や配線等に光が入射することで生じる誤作動等に伴う画質の低下を抑制することが可能となる。
【0065】
また遮光部24には、各々が画素16となる複数の開口部28が形成される。開口部28は、遮光部24に設けられた窓であり、入射する光を遮ることなく通過させることが可能な部位である。例えば
図3に示すように、入射側遮光層24a及び出射側遮光層24bには、光を通過させる窓がZ方向から見て重なるようにそれぞれ形成される。これら窓の間の領域が開口部28となる。なお開口部28の周りには、上記したTFT27等が配置されることになる。
【0066】
遮光部24(回路層22)には、複数の開口部28がXY平面方向に沿って格子状に形成される。これにより、格子状に配列された複数の画素16が構成される。開口部28の形状やサイズ等は限定されない。例えば表示領域11のサイズや、画素数等に応じて開口部28の形状やサイズ等が適宜設定されてよい。
【0067】
画素電極25は、画素16(開口部28)に対応して回路層22の入射側に配置された透明電極である。画素電極25は、例えばZ方向から見て開口部28を覆うように開口部28よりも広い範囲に形成される。画素電極25としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電膜が用いられる。
【0068】
配向膜26は、画素電極25を覆うように回路層22の入射側に形成される。配向膜26は、液晶層40に含まれる液晶を配向させる溝が刻まれた膜である。この溝の方向により、例えば電圧が印加されていない状態での液晶の配向方向が設定される。配向膜26としては、例えば配向用の溝が形成されたポリイミド樹脂やSiO2等が用いられる。この他、配向膜26の具体的な構成は限定されない。
【0069】
対向基板30は、透明基板31と、レンズ層32と、共通電極33と、配向膜34とを有する。透明基板31は、例えば石英やガラス等の透明性を有する基板である。透明基板31の一方の面は、上記した表示領域11の入射側(第1の面14)となる。また透明基板31の第1の面14とは反対側には、透明基板31を加工してレンズ層32が形成される。従って透明基板31は、レンズ層32の入射側を構成する基板であると言える。
【0070】
レンズ層32は、入射面35と、出射面36と、屈折レンズアレイ37と、回折レンズアレイ38とを有する。入射面35は、光が入射する面であり、レンズ層32の入射側に向けられた面である。本実施形態では、透明基板31の第1の面14が、レンズ層32の入射面35となる。出射面36は、入射面35とは反対側の面である。本実施形態では、レンズ層32は、出射面36を液晶層40に向けて、液晶層40に対向して配置される。
【0071】
屈折レンズアレイ37は、複数の屈折レンズ50が2次元的に配置されたレンズアレイである。具体的には、複数の屈折レンズ50は、Z方向から見て複数の開口部28(複数の画素16)と重なるようにXY平面に沿って格子状に配置される。
【0072】
図3に示す例では、屈折レンズアレイ37は、レンズ層32の入射面35側に配置される。すなわち、屈折レンズアレイ37は、透明基板31の出射側に形成される。例えば、透明基板31の出射側に凹部を形成し、透明基板31とは屈折率の異なる透明材料を用いて凹部を埋めることで、屈折レンズ50が構成される。
【0073】
屈折レンズ50を構成する透明材料は限定されない。例えば透明基板31が、SiO2等で構成されている場合には、SiONやAl2O3等の透明基板31よりも屈折率の高い透明材料が用いられる。もちろん、透明基板31よりも屈折率の低い透明材料が用いられてもよい。この他、透明基板31とは異なる屈折率を有する任意の材料が用いられてよい。
【0074】
回折レンズアレイ38は、複数の回折レンズ51が2次元的に配置されたレンズアレイである。具体的には、複数の回折レンズ51は、Z方向から見て複数の開口部28(複数の画素16)と重なるようにXY平面に沿って格子状に配置される。すなわち、複数の回折レンズ51は、屈折レンズアレイ37の複数の屈折レンズ50と対向して配置されることになる。
【0075】
図3に示す例では、回折レンズアレイ38は、レンズ層32の出射面36側に配置される。例えば屈折レンズアレイ37を形成した後に、屈折レンズアレイ37の出射側が平坦化される。この平坦化された面に、互いに屈折率の異なる材料を用いて所定の回折パターンを形成することで、回折レンズ51が構成される。
【0076】
回折レンズ51を構成する材料等は限定されない。例えば屈折率の異なる材料として、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(SiN)、金属酸化膜(TiO2、Nb2O3、Ta2O5、ZrO2)等を用いることが可能である。この他、屈折率の異なる任意の材料の組み合わせにより、回折レンズ51を構成することが可能である。回折レンズ51の具体的な構成については、後に詳しく説明する。
【0077】
このようにレンズ層32は、画素16ごとに配置された複数の屈折レンズ50と、複数の屈折レンズ50と対向して画素16ごとに配置された複数の回折レンズ51とを有する。すなわち、レンズ層32には、1つの画素16に対応して屈折レンズ50及び回折レンズ51からなるマイクロレンズのペアが形成されるとも言える。
【0078】
共通電極33は、レンズ層32の出射面36を覆うように形成された透明電極である。共通電極33は、全ての画素16に共通の電極として機能し、例えばGND等に接続される。この共通電極33と上記した画素電極25とにより、液晶層40に対して電圧が印加される。共通電極33としては、例えば、ITOやIZOなどの透明導電膜が用いられる。
【0079】
配向膜34は、共通電極33を覆うように共通電極33の出射側に形成される。配向膜34には、典型的には液晶層40を挟んで反対側の配向膜26に刻まれた溝と直交する方向に液晶を配向させる溝が刻まれる。これにより、電圧が印加されていない状態では、入射する光の偏光方向を90°回転させることが可能となる。配向膜34としては、例えば配向用の溝が形成されたポリイミド樹脂やSiO2等が用いられる。
【0080】
液晶層40は、制御基板20と対向基板30との間に液晶を充填して形成される。例えば制御基板20及び対向基板30が所定の間隔を空けて配置された状態で、各基板が図示しないシール材等を介して接着される。そして制御基板20、対向基板30、及びシール材により囲まれた空間に液晶が封入される。液晶層40を構成する液晶材料の種類等は限定されず、ネマティック液晶やコレスティック液晶等が適宜用いられてよい。
【0081】
液晶層40を構成する液晶は、印加される電圧に応じて分子集合の配向や秩序が変化する。これにより、液晶層40は、入射する光を変調することが可能である。なお、液晶層40に印加される電圧は、共通電極33を基準として各画素電極25により画素16ごとに制御される。これにより、画素16ごとに光の強度を変化させた諧調表示が可能となる。
【0082】
本実施形態では、制御基板20と、液晶層40と、対向基板30に設けられた配向膜34及び共通電極33により、入射する光を画素16ごとに変調する光学制御層41が構成される。すなわち、液晶ライトバルブ100は、レンズ層32と、光学制御層41とが接合された構成となっているとも言える。
【0083】
また上記したように、レンズ層32には、屈折レンズ50及び回折レンズ51のペアが画素ごとに配置される。従ってレンズ層32は、入射面35から入射して屈折レンズ50及び回折レンズ51を通過した光を光学制御層41に出射する。言い換えれば、光学制御層41には、屈折及び回折により光路が制御された光が入射する。以下では、屈折レンズ50及び回折レンズ51の特性について詳しく説明する。
【0084】
図4は、屈折レンズ50及び回折レンズ51の特性を説明するための模式図である。
図4Aには、光を屈折する屈折レンズ50に入射した光の光路の一例が模式的に図示されている。また
図4Bには、光を回折する回折レンズ51に入射した光の光路の一例が模式的に図示されている。なお屈折レンズ50及び回折レンズ51は、ともに正の屈折率を有し、光を集光するように屈折及び回折する。
【0085】
一般に、光が屈折される場合、光の波長が長波長であるほど、その屈折角は小さくなる。例えば
図4Aに示すように、屈折レンズ50の光軸Oと平行に白色光が入射した場合、白色光に含まれる青色光B1(実線)、緑色光G1(点線)、赤色光R1(一点鎖線)の屈折角は、この順番で小さくなる。この結果、青色光B1は屈折レンズ50に最も近い位置で焦点を結び、赤色光R1は屈折レンズ50から最も遠い位置で焦点を結ぶ。また緑色光G1の焦点は、青色光B1及び赤色光R1の各焦点の間に形成される。
【0086】
また光が回折される場合、光の波長が長波長であるほど、その回折角は大きくなる。例えば
図4Bに示すように、回折レンズ51の光軸Oと平行に白色光が入射した場合、白色光に含まれる青色光B1(実線)、緑色光G1(点線)、赤色光R1(一点鎖線)の回折角は、この順番で大きくなる。この結果、青色光B1は屈折レンズ50に最も遠い位置で焦点を結び、赤色光R1は屈折レンズ50から最も近い位置で焦点を結ぶ。また緑色光G1の焦点は、青色光B1及び赤色光R1の各焦点の間に形成される。
【0087】
このように、光を屈折する、あるいは光を回折する場合には、光の波長(色)ごとに光を曲げる曲げ角度(屈折角、あるいは回折角)がずれるために、各色光の焦点位置がずれるといった色収差が生じる。このため、光を屈折する(回折する)レンズのみを用いて光の光路を制御するような構成では、色収差の影響により、光の集光等を適正に行うことができない場合があり得る(
図13参照)。
【0088】
一方で、
図4A及び
図4Bに示すように、光を屈折する場合と、光を回折する場合とでは、波長に対する曲げ角度のずれは逆の関係となる。従って、このような波長に対する屈折角の違いを利用し、屈折を用いた屈折レンズ50と回折を用いた回折レンズ51とを適宜組み合わせることで、波長に依存しない高効率な集光特性を実現することが可能である。
【0089】
図5は、液晶ライトバルブに入射する光の光路の一例を示す模式図である。
図5A~
図5Cには、液晶ライトバルブ100に入射した緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の各式光の光路の一例が模式的に図示されている。なお、
図5A~
図5Cでは、屈折レンズ50及び回折レンズ51以外の界面等で生じる屈折等の図示が省略されている。
【0090】
本実施形態では、屈折レンズ50及び回折レンズ51は、入射面35に入射する光を集めて開口部を通過させる。すなわち、屈折レンズ50及び回折レンズ51は、液晶ライトバルブ100に入射する光を集光し、遮光部24等により遮られないよう出射する。これにより、光の利用効率を十分に高めることが可能である。
【0091】
また本実施形態では、屈折レンズ50の収差(色収差)が回折レンズ51により補正されるように、屈折レンズ50及び回折レンズ51が構成される。例えば、入射面35から入射して屈折レンズ50及び回折レンズ51を通過した光の焦点位置が、光の波長に寄らず一致するように、屈折レンズ50及び回折レンズ51が構成される。なお焦点位置は、例えば開口部28の中央等に設定される。
【0092】
屈折レンズ50及び回折レンズ51の焦点位置や間隔等は限定されない。例えば入射面35から入射する光が対応する開口部28を通過可能となるように、各レンズが適宜構成されてよい。またレンズ層32には、屈折レンズ50及び回折レンズ51の他に、焦点位置等を調整するためのスペース等が適宜設けられてもよい。
【0093】
図5Aでは屈折レンズ50の入射位置Pに第1~第3の光路5a~5cに沿って緑色光G1が入射する。第1の光路5aは、屈折レンズ50の中央から周縁(図中の左側から右側)に向かうように光軸Oに対して傾いた光路である。第2の光路5bは、光軸Oと平行な光路である。第3の光路5cは、屈折レンズ50の周縁から中央(図中の右側から左側)に向かうように光軸Oに対して傾いた光路である。
【0094】
各光路5a~5bに沿って入射した緑色光G1は、屈折レンズ50により屈折された後、回折レンズ51により回折され、液晶層40に入射する。液晶層40を通過した各緑色光G1は、画素電極25を介して開口部28に入射し、そのまま開口部28を通過する。
【0095】
図5Bでは屈折レンズ50の入射位置Pに
図5Aと同様の第1~第3の光路5a~5cに沿って赤色光R1が入射する。各光路5a~5cに沿って入射した赤色光R1は、屈折レンズ50により屈折された後、回折レンズ51により開口部28を通過するように回折される。
【0096】
ここで第1の光路5aに沿って入射する赤色光R1に着目する。例えば
図5Bの白抜きの矢印で示すように、回折レンズ51での回折角が小さい場合には、第1の光路5aに沿って入射する赤色光R1は、開口部28の右側の遮光部24(入射側遮光層24a)に入射する可能性がある。この場合、集光効率が低下する可能性がある。実際には、回折レンズ51は、波長の長い赤色光R1の光路を十分に大きく曲げることが可能であるため、第1の光路5aに沿って入射する赤色光R1も開口部28を通過することが可能である。
【0097】
図5Cでは屈折レンズ50の入射位置Pに
図5Aと同様の第1~第3の光路5a~5cに沿って青色光B1が入射する。各光路5a~5cに沿って入射した青色光B1は、屈折レンズ50により屈折された後、回折レンズ51により開口部28を通過するように回折される。
【0098】
ここで第3の光路5cに沿って入射する青色光B1に着目する。例えば
図5Cの白抜きの矢印で示すように、回折レンズ51での回折角が大きい場合には、第3の光路5cに沿って入射する青色光B1は、開口部28の左側のTFT27に入射する可能性がある。この場合、集光効率が低下するとともに、TFT27の誤作動等が発生する可能性がある。実際には、回折レンズ51は、波長の短い青色光B1の光路を十分に小さく曲げることが可能であるため、第3の光路5cに沿って入射する青色光B1も開口部28を通過することが可能である。
【0099】
このように、光を屈折する屈折レンズ50と、光を回折する回折レンズ51とを組み合わせることで、色収差に伴う光利用効率の低下やTFT27の誤作動等を十分に抑制することが可能となる。この結果、液晶ライトバルブ100は、画素16ごとに変調された明るい光を精度よく出射することが可能となり、明るく高品質な画像表示を実現することが可能となる
【0100】
なお、
図5A~
図5Cでは、説明を簡単にするため、緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の光路を略同様の光路を用いて記載した。実際には、各色光は波長に応じた光路に沿って進行することになる。この場合であっても、光の屈折及び回折を組み合わせて用いることで、各色光の光路のずれ等が補正され、遮光部24やTFT27等に入射する光を十分に低減可能である。
【0101】
図6は、液晶ライトバルブ100に入射する光の光路の他の一例を示す模式図である。
図6には、互いに隣合う屈折レンズ50の境界部分に光軸Oと平行に光が入射した場合の光路が模式的に図示されている。
【0102】
以下では、図中の中央に配置される開口部28を第1の開口部28aと記載し、第1の開口部28aの右側の開口部28を第2の開口部28bと記載する。また第1の開口部28aに対応して配置された屈折レンズ50及び回折レンズ51を第1の屈折レンズ50a及び第1の回折レンズ51aと記載する。また第2の開口部28bに対応して配置された屈折レンズ50及び回折レンズ51を第2の屈折レンズ50b及び第2の回折レンズ51bと記載する。
【0103】
図6では、第1及び第2の屈折レンズ50a及び50bの境界部分に光軸Oと平行に光が入射する。各屈折レンズ50a及び50bの境界部分に入射した光は、屈折をほとんど受けることなく直進して、第1及び第2の回折レンズ51a及び51bの境界部分に入射する。
【0104】
本実施形態では、隣接する回折レンズ51の境界部分に回折格子が形成される。すなわち、第1及び第2の回折レンズ51a及び51bの境界部分は、回折格子となる。回折格子は、例えば入射する光を分割して第1及び第2の開口部28a及び28bに出射するように構成される。なお回折格子を適宜構成することで、光を分割する割合を設定することや、第1及び第2の開口部28a及び28bのどちらか一方に光を出射させるといったことが可能である。
【0105】
このように、レンズ層32では、第1及び第2の回折レンズ51a及び51bの境界部分に入射する光が第1の開口部28または第2の開口部28の少なくとも一方に向けて出射される。
【0106】
例えば、回折格子等が設けられない場合には、屈折レンズ50の境界部分に入射した光はそのまま直進して遮光部24により遮られる可能性がある。これに対し、本実施形態では、屈折レンズ50の境界部分に入射する光であっても、その後に配置される回折レンズ51の効果によって、光線角度(光路)を変えることが可能である。これにより遮光される光を低減することが可能となり、光利用効率を向上することが可能となる。
【0107】
図7は、回折レンズ51の配置パターンの一例を示す模式図である。
図7には、入射面35から見た3×3の格子状に配置された回折レンズ51(回折レンズアレイ38)が図示されている。
図3を参照して説明したように、回折レンズ51は、互いに屈折率の異なる材料を用いて構成される。本実施形態では、屈折率の高い高屈折率層52と、高屈折率層52よりも屈折率の低い低屈折率層53とを用いて回折レンズ51が構成される。
【0108】
なお、高屈折率層52は、相対的に屈折率の高い層であり、低屈折率層53は、相対的に屈折率の低い層である。高屈折率層52及び低屈折率層53の一例としては、例えばSiN(屈折率n=2.0)及びSiO2(屈折率n=1.46)が挙げられる。もちろんこれに限定されるわけではない。
【0109】
図7では、屈折レンズ50の高屈折率層52がグレーの領域で示されており、低屈折率層53が白色の領域で示されている。
図7に示すように、回折レンズ51は、光軸O(Z軸方向)に対して横方向に高屈折率層52及び低屈折率層53が交互に配置されて構成される。すなわち、回折レンズ51は、高屈折率層52及び低屈折率層53が入射面35と平行な面方向(XY平面方向)に交互に配置された回折パターン54を有する。
【0110】
高屈折率層52と低屈折率層53とを交互に配列することにより、各層の間に位相差が生じるため、回折レンズ51を容易に構成することができる。なお、以下で説明するように、各層の間には目的の位相差が発生する配列が成されていれば良いため、高屈折率層52と低屈折率層53との位置関係が入れ替わっていてもよい。
【0111】
図8及び
図9は、回折レンズの構成例を模式的に示す断面図である。
図8A~
図8D及び
図9A~
図9Dには、
図7に示す3×3の回折レンズ51の配置パターンを斜めに切断するBB'線での断面の例が模式的に図示されている。各図面には、それぞれ3つの画素16に対応する3つの回折レンズ51の断面が含まれる。
【0112】
図8A及び
図8Bでは、回折レンズ51は、低屈折率層53に高屈折率層52が埋め込まれて形成される。すなわち、回折レンズ51は、低屈折率層53の内部に形成された島状の高屈折率層52により構成される。
【0113】
図8Aに示す回折パターン54では、パターンの中心に高屈折率層52が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が遅れるため、入射する光を集光する集光効果を実現することが可能である。
【0114】
図8Bに示す回折パターン54は、
図8Aに示す回折パターン54における高屈折率層52と低屈折率層53との位置関係を反転させたパターンであり、パターンの中心に低屈折率層53が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が進むため、入射する光を発散する発散効果を実現することが可能である。
【0115】
図8C及び
図8Dでは、回折レンズ51は、高屈折率層52に低屈折率層53が埋め込まれて形成される。すなわち、回折レンズ51は、高屈折率層52の内部に形成された島状の低屈折率層53により構成される。
【0116】
図8Cに示す回折パターン54では、パターンの中心に低屈折率層53が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が進むため、入射する光を発散する発散効果を実現することが可能である。
【0117】
図8Dに示す回折パターン54は、
図8Cに示す回折パターン54における高屈折率層52と低屈折率層53との位置関係を反転させたパターンであり、パターンの中心に高屈折率層52が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が遅れるため、入射する光を集光する集光効果を実現することが可能である。
【0118】
図9A~
図9Dでは、回折レンズは、高屈折率層52及び低屈折率層53の接合部に形成される。例えば一方の層の表面に回折パターン54に応じた凹凸を形成し、その凹凸を埋めるように他方の層が形成される。すなわち、回折レンズ51は、高屈折率層52及び低屈折率層53の2層がかみ合った状態により形成されるとも言える。
【0119】
図9Aでは、入射側に高屈折率層52が配置され出射側に低屈折率層53が配置される。またパターンの中心には高屈折率層52が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が遅れるため、入射する光を集光する集光効果を実現することが可能である。
【0120】
図9Bに示す回折パターン54は、
図9Aに示す回折パターン54(接合部)における高屈折率層52と低屈折率層53との位置関係を反転させたパターンであり、パターンの中心に低屈折率層53が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が進むため、入射する光を発散する発散効果を実現することが可能である。
【0121】
図9Cでは、入射側に低屈折率層53が配置され出射側に高屈折率層52が配置される。またパターンの中心には高屈折率層52が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が遅れるため、入射する光を集光する集光効果を実現することが可能である。
【0122】
図9Dに示す回折パターン54は、
図9Cに示す回折パターン54(接合部)における高屈折率層52と低屈折率層53との位置関係を反転させたパターンであり、パターンの中心に低屈折率層53が形成される。この場合、パターンの中心では、隣接する部分よりも光の位相が進むため、入射する光を発散する発散効果を実現することが可能である。
【0123】
図10は、回折レンズ51の回折パターン54の一例を示す模式図である。
図10には、入射面35から見た単一の回折レンズ51の回折パターン54a~54fが図示されている。各回折パターン54a~54fは、入射面35から見て、パターンの中心となる中心領域55と、中心領域55の周りに同心状に配置された複数の帯状領域56とを有する。これにより、低屈折率層53と高屈折率層52とを光軸Oに対して横方向に交互に配列することが可能となる。また光軸Oを基準として光を集光または発散する機能等を容易に実現することが可能である。
【0124】
回折パターン54aの中心領域55は円形である。この円形の中心領域55は、例えば画素16(開口部28)の中心と重なるように配置される。また中心領域55の周辺には、同心状に配置された円弧状の複数の帯状領域56が形成される。なお回折パターン54aは、
図7に示す回折パターン54と同様のパターンである。このように円形のパターンを用いることで、集光精度を高めることが可能である。
【0125】
回折パターン54bの中心領域55楕円形であり、その周りには楕円型の外形を備えた帯状領域56が形成される。楕円形のパターンを用いることで、例えば細長い領域に光を集光するといったことが可能となる。これにより、開口部28の形状に合わせて集光効率を高めるといったことが可能となる。
【0126】
回折パターン54c及び54dの中心領域55は、多角形であり、その周りには中心領域55と相似な外形を備えた帯状領域56が形成される。回折パターン54cでは四角形の形状が用いられる。これにより例えば四角形状に光を集光する回折レンズ等を構成することが可能となり、輝度むら等を改善することが可能である。回折パターン54dでは、8角形の形状が用いられる。このように、任意の多角形を用いて回折パターン54を構成可能である。
【0127】
回折パターン54eの中心領域55は、角に丸みのある角丸の多角形(四角形)である。このように多角形の角を丸くすることで、例えばエッジでの光の干渉等を抑制することが可能となり、光を精度よく集光するといったことが可能となる。このように、回折パターン54の形状としては、パネル平面視で円、楕円、多角形、角丸の多角形等が用いられる。もちろん、これに限定されず、任意の形状の回折パターン54が用いられてよい。
【0128】
回折パターン54fの中心領域55は、回折レンズ51が設けられる範囲の中心からずれて配置される。すなわち中心領域55は、入射面35から見て、開口部28の中心に対して偏心して配置される。
図10に示す例では、回折パターン54fは、円形の中心領域55がパターンの中心から図中の右側にずれた状態で形成される。従って中心領域55の右側では高屈折率層52と低屈折率層53との間隔が短くなり、左側では各層の間隔が広くなる。
【0129】
従って回折パターン54fでは、右側に入射する光は、左側に入射する光と比べて大きな回折角度で曲げられる。例えば、表示領域11の周縁(第1の面14の周縁)において、入射面35に入射する光の角度が光軸Oからずれるといった場合が考えられる。このような場合であっても、回折パターン54fのように偏心したパターンを用いることで、入射する光を所望の方向に回折することが可能となる。これにより、周縁で輝度が低下するといった事態を十分に回避することが可能となる。
【0130】
図11は、回折レンズ51の他の構成例を模式的に示す断面図である。
図11に示す回折レンズ51には、回折レンズ51を構成する高屈折率層52の厚さと低屈折率層53の厚さと割合が変化する領域(厚さ変化領域57)が設けられる。
【0131】
図11では、低屈折率層53に埋め込まれた高屈折率層52の周縁の厚さが変化する。この場合高屈折率層52の周縁が厚さ変化領域57に相当する。例えばパターンの中心(中心領域55)を形成する高屈折率層52では、周縁から中心にかけて高屈折率層52の厚さが階段状に増加し、低屈折率層53の厚さが階段状に減少する。このように、回折レンズ51は、高屈折率層52及び低屈折率層53の厚さの割合が入射面35に平行な面方向に沿って階段状に変化する厚さ変化領域57を含む。
【0132】
厚さ変化領域57に設けられる階段形状は、ブレーズド回折格子と呼ばれる。例えば、階段形状を構成する各層の屈折率差により複数の位相差が生まれ、特定の角度方向に効率良く回折させることが可能となる。これにより、所望の方向に光を曲げることが可能となり、集光効率等を向上することが可能である。
【0133】
図11に示す例は、高屈折率層52の厚さが0段から3段までの4レベルの階段形状である。この階段のステップ数が大きくなるほど、特定の角度方向に曲がる効率は高くなる。階段のステップ数等は限定されず、例えば回折レンズ51は、2つ以上の異なる厚みの高屈折率層と低屈折率層の積み重ねにより構成することが可能である。
【0134】
なお階段形状は、例えばフォトリソグラフィーの手法等を用いて実現することが可能である。例えば1段目の高屈折率層52を積層した後に、1段目よりも開口の大きいマスクを用いて2段目の高屈折率層52のリソグラフィー及び成膜等を行う。このような工程を繰り返すことで、階段形状を容易に形成することが可能である。
【0135】
図12は、液晶ライトバルブの他の構成例を模式的に示す断面図である。
図12に示す液晶ライトバルブ110では、
図3等を参照して説明した液晶ライトバルブ100と比べて、屈折レンズアレイ37と回折レンズアレイ38との配置が入れ替えられている。具体的には、屈折レンズアレイ37は、レンズ層32の出射面36側に配置され、回折レンズアレイ38は、レンズ層32の入射面35側に配置される。
【0136】
このようにレンズ層32を構成した場合であっても、回折レンズ51及び屈折レンズ50を適宜構成することで、入射面35に入射する光を集めて開口部28を通過させることが可能である。また、屈折レンズ50は、回折レンズ51による色収差を補正するように構成される。これにより屈折レンズ50から出射される光の色収差を十分に抑制することが可能となり、開口部28への集光効率等を十分に向上させることが可能となる。
【0137】
以上、本実施形態に係る液晶ライトバルブ100では、光学制御層41に入射する光が画素16ごとに変調される。光学制御層41には、レンズ層32の入射面35に入射して、画素16ごとに配置された屈折レンズ50及び回折レンズ51を通過した光が出射される。このように光の屈折と回折とを組み合わせることで、光の波長に依存した収差等が抑制される。この結果、光学制御層41に入射する光の光路を波長に係りなく制御することが可能となり、明るく高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0138】
液晶表示素子等において、光の利用効率を高める方法として、屈折を利用した単一のマイクロレンズを設ける方法等が挙げられる。この方法では、マイクロレンズを用いて画素開口に光が集光される。一方で、マイクロレンズが屈折を利用していることから、波長による収差の違いを受ける。そのため、波長によってマイクロレンズから出射される光路等が異なってしまい、遮光層やTFT等に光が入射してしまうといった可能性がある。
【0139】
図13は、比較例として挙げる液晶ライトバルブ150に入射する光の光路の一例を示す模式図である。液晶ライトバルブ150は、光を屈折するマイクロレンズ151が複数配置されたレンズアレイを備える。なお液晶ライトバルブ150には、回折レンズ等の回折手段は設けられない。
【0140】
図13A~
図13Cには、液晶ライトバルブ150に入射した緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の各式光の光路の一例が模式的に図示されている。また
図13A~
図13Cでは、マイクロレンズ151の入射位置Pに対して3種類の光路に沿って光が入射する。これらの光路は、例えば
図5を参照して説明した3つの光路と同様の光路である。
【0141】
液晶ライトバルブ150のように、単一のマイクロレンズ151(レンズアレイ)が用いられる構成では、例えば特定の波長において効率が最大となるようにレンズ形状等を最適化される。例えばマイクロレンズ151は、緑色光G1の光路が開口部28を通過するように最適化される。これは緑色光G1が最も明るく見えるためである。例えば
図13Aに示すように、3種類の光路に沿って入射した緑色光G1は、マイクロレンズ151により屈折されて開口部28を通過する。
【0142】
図13Bでは、
図13Aの3種類の光路と同様の光路に沿ってマイクロレンズ151の入射位置Pに赤色光R1が入射する。このとき各赤色光R1の屈折角は緑色光G1と比べて小さくなる。このため、例えば一部の赤色光R1は、遮光部24に入射して遮光される。この結果、開口部28を通過する光の光量が低下し、光の利用効率が低下する。
【0143】
また
図13Cでは、
図13Aの3種類の光路と同様の光路に沿ってマイクロレンズ151の入射位置Pに青色光B1が入射する。このとき各青色光B1の屈折角は緑色光G1と比べて大きくなる。このため、例えば一部の青色光B1は、遮光部24やTFT27に入射する。この結果、光の利用効率の低下やTFT27の誤作動による画質の劣化等を招く恐れがある。
【0144】
また、屈折を利用したマイクロレンズ151を2段にして、入射光の光路を制御する方法が考えられる。この場合、マイクロレンズ151はいずれも屈折を利用して光を集光することから、波長による収差の影響を受けてしまい、波長によっては効率改善が十分できない。すなわち光利用効率に波長依存性が生じてしまう。
【0145】
本実施形態では、レンズ層32に屈折レンズ50及び回折レンズ51が設けられる。そして屈折レンズ50及び回折レンズ51を通過した光が、開口部28を備える光学制御層41に出射される。
【0146】
このように、レンズの一方は屈折を利用し、もう一方は回折を利用して光角度を制御することで、レンズ層32から出射される光の色収差等の影響を十分に抑制することが可能である。これにより、開口部28を通過する光の量を増加させることが可能となり、光の波長に依存しない光利用効率の改善を実現することが可能である。
【0147】
また色収差等の影響が抑制されるため、波長に係らず光量を増大させることが可能である。従って、例えば特定の波長に最適化された構成と比べて、RGBの各波長の色をバランスよく増大させることが可能となる。これにより、高品質なカラー画像を表示するといったことが可能となる。
【0148】
開口部28を通過する光量の増加に伴い、遮光部24に入射する光の量が低減されるため、遮光部24が受ける熱の影響を抑制することが可能である。この結果、素子全体の温度を低下させることが可能となる。また温度の上昇に伴う、各素子の故障等のリスクを十分に回避することが可能となる。
【0149】
また開口部28の周辺に配置されるTFT27等に入射する光リーク等を十分に抑制可能である。これにより、TFT27等の誤作動を回避することが可能となり、光リークによる画質の低下を抑制することが可能である。
【0150】
このように、光の回折及び屈折を組み合わせて、光学制御層41に入射する光の光路を制御することで、光利用効率とともに、画質を向上することが可能となる。これにより明るく高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0151】
また
図8及び
図9等を参照して説明したように、回折レンズ51は薄膜状の回折パターン54により構成することが可能であるため、薄型化に優れている。例えば屈折レンズ50と回折レンズ51との組み合わせは、屈折レンズ同士の組み合わせと比べ、基板そのものを薄く構成することが可能である。このようにレンズの薄型化により、基板が反ってしまう状態を抑制することが可能となる。この結果、パネル面内の均一性を改善することが可能となり、画質や装置の信頼性等を向上することが可能となる。
【0152】
<第2の実施形態>
本技術に係る第2の実施形態の液晶ライトバルブについて説明する。これ以降の説明では、上記の実施形態で説明した液晶ライトバルブ100における構成及び作用と同様な部分については、その説明を省略又は簡略化する。
【0153】
図14は、第2の実施形態に係る液晶ライトバルブ200に入射する光の光路の一例を示す模式図である。本実施形態では、レンズ層232に設けられる屈折レンズ250及び回折レンズ251が入射する光を平行化して出射するように構成される。なお液晶ライトバルブ200の光学制御層241は、例えば
図3を参照して説明した液晶ライトバルブ100の光学制御層41と同様に構成される。
【0154】
レンズ層232には、入射面235側に複数の屈折レンズ250が配置された屈折レンズアレイ237が配置され、出射面236側に複数の回折レンズ251が配置された回折レンズアレイ238が配置される。なお、入射面側235に回折レンズアレイ238が配置され、出射面236側に屈折レンズアレイ237が配置される場合であっても、以下の説明は適用可能である。
【0155】
本実施形態では、屈折レンズ250及び前記回折レンズ251は、入射面235に入射する光の光路を平行化して開口部28に出射する。屈折レンズ250及び回折レンズ251は、典型的には、光軸Oに平行な平行光を出射可能となるように構成される。
【0156】
例えば屈折レンズ250及び回折レンズ251のいずれか一方が、正の屈折力を有する集光レンズとして構成され、他の一方が、負の屈折力を有する発散レンズとして構成される。これら集光レンズと発散レンズとの組み合わせにより、入射する光を平行化するレンズペアが構成される。これに限定されず、入射面235に入射する光を平行化することが可能な任意の構成が用いられてよい。
【0157】
図14A~
図14Cには、液晶ライトバルブ200に入射した緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の各色光の光路の一例が模式的に図示されている。
図14Aでは、光軸Oに平行な光路と、その光路から両側に離れる方向に進行する2つの光路との3種類の光路に沿って緑色光G1が屈折レンズ250に入射する。屈折レンズ250で屈折された緑色光G1は、回折レンズ251で回折され、平行光として出射面236から出射される。平行光となった緑色光G1は、光学制御層241に入射して開口部28を通過する。
【0158】
図14B及び
図14Cでは、赤色光R1及び青色光B1が、
図14Aに示す緑色光G1と同様の光路に沿って屈折レンズ250に入射する。赤色光R1及び青色光B1は、屈折レンズ250と回折レンズ251とを通過して平行光として出射され、そのまま開口部28を通過する。
【0159】
このように屈折レンズ250及び回折レンズ251を用いることで、光の波長に依存した屈折角や回折角のずれ等が抑制され、色収差を補正することが可能となる。この結果、レンズ層232は、光の波長に係らず入射する光を平行化して出射することが可能となる。
【0160】
図15は、比較例として挙げる液晶ライトバルブ160に入射する光の光路の一例を示す模式図である。液晶ライトバルブ160では、屈折を利用したマイクロレンズ161により入射する光が平行化される。なお液晶ライトバルブ160には、回折レンズ等の回折手段は設けられない。
【0161】
図15A~
図15Cには、液晶ライトバルブ160に入射した緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の各式光の光路の一例が模式的に図示されている。各色光は、3種類の光路に沿ってマイクロレンズ161に入射する。これらの光路は、例えば
図16を参照して説明した3つの光路と同様の光路である。
【0162】
マイクロレンズ161は緑色光G1を平行化するように最適化されている。
図15Aに示すように、マイクロレンズ161に入射した緑色光G1は、光軸Oに平行な光路に沿って液晶層40に向けて出射される。
【0163】
一方で赤色光R1及び青色光B1は、マイクロレンズ161の色収差の影響を受ける。例えば
図15Bに示すように、中央の光路の両側の光路に沿って入射した赤色光R1は、緑色光G1よりも屈折される角度が小さいために、開口部28の両側にそれぞれ入射することになる。また
図15Cに示すように、中央の光路の両側の光路に沿って入射した青色光B1は、緑色光G1よりも屈折される角度が小さいために開口部28に向けて集光するように出射される。
【0164】
このように、マイクロレンズ161を単体で用いる場合には、色収差の影響により、マイクロレンズ161に入射する光の一部が遮光されることがあり得る。また波長によっては、発散光や集光光に変換される可能性がある。
【0165】
例えば、液晶層40に対して、光軸Oと平行に入射する光と、光軸Oから傾いた状態で斜めに入射する光とでは、液晶による光の変調精度に差が生じる。具体的には、液晶層40を通過することで回転される偏光の角度に差が生じる。この結果、例えば斜めに入射する光は、各画素16における不要な漏れ光等の原因となり、画像表示のコントラストを低下させる可能性がある。
【0166】
本実施形態では、
図16に示すように、入射面235から入射した光が、波長に係らず平行化され光軸Oに沿って出射される。これにより、様々な色の平行光を光軸に沿って液晶層40に入射させることが可能となり、液晶層40に対して斜めに入射する光が十分に抑制される。この結果、各画素における不要な漏れ光等を十分に低減することが可能となり、画像表示のコントラストを向上することが可能となる。
【0167】
<第3の実施形態>
図16は、第3の実施形態に係る液晶ライトバルブ300に入射する光の光路の一例を示す模式図である。上記では、光学制御層の入射側にレンズ層が設けられ、開口部に入射する光の光路等が制御された。本実施形態では、光学制御層341の出射側に、レンズ層332とは異なるマイクロレンズアレイ310が形成される。
【0168】
図16A~
図16Cには、液晶ライトバルブ300に入射した緑色光G1、赤色光R1、青色光B1の各式光の光路の一例が模式的に図示されている。各色光は、3つの光路に沿ってマイクロレンズアレイ310の対応するマイクロレンズ311に入射する。これらの光路は、例えば
図7を参照して説明した3つの光路5a~5bと同様の光路である。
【0169】
図16Aに示すように、液晶ライトバルブ300は、レンズ層332と、光学制御層341と、マイクロレンズアレイ310とを有する。マイクロレンズアレイ310は、光学制御層341を挟んでレンズ層332とは反対側に配置され、光学制御層341から出射された光の光路を制御する。従って、液晶ライトバルブ300からは、マイクロレンズアレイ310により集光、発散、あるいは平行化された光が出射される。これにより、後段の光学系に合わせて光の光路を適宜設定するといったことが可能となる。
【0170】
マイクロレンズアレイ310は、例えば屈折レンズが格子状に配置されたレンズアレイである。あるいは、回折レンズが格子状に配置されたレンズアレイにより、回折型のマイクロレンズアレイ310が設けられてもよい。また例えば屈折レンズと回折レンズとの組み合わせによりマイクロレンズアレイ310が構成されてもよい。
【0171】
図16Aに示す例では、マイクロレンズアレイ310は、制御基板320の内部の回路層322と透明基板321との間に配置される。この他、透明基板321の出射側(第2の面)にマイクロレンズアレイ310が構成されてもよい。
【0172】
本実施形態では、マイクロレンズアレイ310は、光学制御層341から出射された光の光路を平行化する。すなわちマイクロレンズアレイ310は、液晶ライトバルブ300から平行光を出射させる。このように平行光を出射することで、液晶ライトバルブ300の後段の光学系(ダイクロイックミラーや投射システム等)が取り込む光量を増加させることが可能となる。
【0173】
例えば、入射側にレンズ(レンズ層332)を設ける場合、光学制御層341から出射される光の出射角度(光線角度)等が大きくなり、投射システムの投射レンズ等が取り込める光量が低下する可能性がある。このため、出射側にマイクロレンズ311を設けることで、広がって出射される光を平行化して光の発散を抑制することが可能である。これにより、投射レンズ等が取り込める光量を増加することができる。
【0174】
例えば
図16Aに示すように、3つの光路に沿って入射した緑色光G1は、入射側に設けられた屈折レンズ350及び回折レンズ351により開口部28を通過するように出射される。開口部28を通過した緑色光G1は、光学制御層341の出射側に設けられたマイクロレンズアレイ310(マイクロレンズ311)に入射し、平行光として出射される。同様に、
図16B及び
図16Cに示す赤色光R1及び青色光B1も、開口部28を通過して平行光として出射される。
【0175】
マイクロレンズ311に入射する光は、回折レンズ351及び屈折レンズ350を通過したことで、焦点距離の波長依存性等が抑制されている。このため、マイクロレンズアレイ310は、例えば回折レンズ351及び屈折レンズ350のペアを設けない場合の構成と比べて、効率的に光を取り出すことが可能となる。これにより、十分に明るく高品質な画像表示を実現することが可能となる。
【0176】
<その他の実施形態>
本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。
【0177】
上記では、レンズ層から入射した光が液晶層を通過して制御基板に入射される構成について説明した。これに限定されず、例えばレンズ層から入射した光が制御基板を通過して液晶層に入射するといった構成が採用されてもよい。すなわち制御基板に対向してレンズ層が配置されてもよい。
【0178】
例えばレンズ層は制御基板の一方の面に接合される。また制御基板の他方の面には、所定の間隔を空けて透明基板が配置され、制御基板と透明基板との間に液晶層が形成される。この場合、透明基板から画素ごとに変調された光が出射される。このような構成であっても、レンズ層に屈折レンズ及び回折レンズのペアを適宜設けることで、色収差を補正するとともに、光利用効率を向上することが可能である。
【0179】
図17~
図20は、他の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式図である。上記では、主に投射型表示装置(画像表示装置等)等に用いられる液晶ライトバルブについて説明した。本技術は、投射型表示装置の他、各種の表示装置に適用可能である。以下では
図17~
図18を参照して他の表示装置の一例について説明する。
【0180】
図17は、携帯端末の外観を表したものである。
図17(A)は、携帯端末400の正面図であり、
図17(B)は携帯端末400の背面図である。携帯端末400の正面には表示用のディスプレイ401が配置される。このディスプレイ401に液晶ライトバルブ等を適用される。この場合、例えば白色光を発するバックライトからの光が、屈折レンズ及び回折レンズを備えたレンズ層に入射される。このように白色光が入射される場合であっても、各色光の収差を適正に補正することが可能である。
【0181】
図18は、デジタルカメラの外観を表したものである。
図18(A)はデジタルカメラ410の正面図であり、
図18(B)はデジタルカメラ410の背面図である。このデジタルカメラ410は、ビューファインダ部411を有しており、このビューファインダ部411に上記した液晶ライトバルブ等が用いられる。またデジタルカメラ410は、背面ディスプレイ412を有する。この背面ディスプレイ412に液晶ライトバルブ等が用いられてもよい。
【0182】
図19は、メガネやゴーグル、サングラス等のアイウェア420に、アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール421を装着した外観を表したものである。アイウェア装着型の片目用ディスプレイモジュール421は、例えば光源と、液晶表示素子422とを有しており、この液晶表示素子422に上記した液晶ライトバルブ等が適用される。
【0183】
図20は、電子機器としてテレビジョン装置430の外観を表したものである。このテレビジョン装置430は、フラットパネル型の液晶ディスプレイ431を備える。この液晶ディスプレイ431を駆動する液晶素子(液晶表示素子)に、上記した液晶ライトバルブのレンズ層等の構成が適用される。この他、液晶等を用いて画像表示を行う任意の表示装置に対して本技術は適用可能である。
【0184】
以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。
【0185】
本開示において、「同じ」「等しい」「直交」等は、「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に直交」等を含む概念とする。例えば「完全に同じ」「完全に等しい」「完全に直交」等を基準とした所定の範囲(例えば±10%の範囲)に含まれる状態も含まれる。
【0186】
なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
(1)入射する光を画素ごとに変調する光学制御層と、
入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射するレンズ層と
を具備する表示素子。
(2)(1)に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、前記複数の屈折レンズが2次元的に配置された屈折レンズアレイと、前記複数の回折レンズが2次元的に配置された回折レンズアレイとを有する
表示素子。
(3)(2)に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、前記入射面とは反対側の出射面とを有し、
前記屈折レンズアレイ及び前記回折レンズアレイは、いずれか一方が前記入射面側に配置され、他方が前記出射面側に配置される
表示素子。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記光学制御層は、入射する光を変調する液晶層と、前記液晶層に接合され前記画素ごとに前記液晶層による光の変調を制御する制御基板とを有し、
前記レンズ層は、前記液晶層及び前記制御基板のいずれか一方に対向して配置される
表示素子。
(5)(4)に記載の表示素子であって、
前記制御基板は、各々が前記画素となる複数の開口部が形成された遮光部を有し、
前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光を集めて前記開口部を通過させる
表示素子。
(6)(5)に記載の表示素子であって、
前記屈折レンズ及び前記回折レンズは、前記入射面に入射する光の光路を平行化して前記開口部に出射する
表示素子。
(7)(5)又は(6)に記載の表示素子であって、
前記レンズ層は、第1の開口部に対応して配置された第1の回折レンズと、前記第1の開口部と隣り合う第2の開口部に対応して配置された第2の回折レンズとを有し、前記第1及び前記第2の回折レンズの境界部分に入射する光を前記第1の開口部または前記第2の開口部の少なくとも一方に向けて出射する
表示素子。
(8)(5)から(7)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記制御基板は、前記画素ごとに前記液晶層を制御する制御素子を有し、
前記遮光部は、前記制御素子を遮光する
表示素子。
(9)(1)から(8)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、高屈折率層と、前記高屈折率層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有する
表示素子。
(10)(9)に記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層が前記入射面と平行な面方向に交互に配置された回折パターンを有する
表示素子。
(11)(10)に記載の表示素子であって、
前記回折パターンは、前記入射面から見て、パターンの中心となる中心領域と、中心領域の周りに同心状に配置された複数の帯状領域とを有する
表示素子。
(12)(11)に記載の表示素子であって、
前記中心領域は、前記入射面から見て、前記開口部の中心に対して偏心して配置される
表示素子。
(13)(11)又は(12)に記載の表示素子であって、
前記中心領域は、円形、楕円形、多角形、または角丸の多角形のいずれか1つである
表示素子。
(14)(9)から(13)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層に前記低屈折率層が埋め込まれて形成される、または前記低屈折率層に前記高屈折率層が埋め込まれて形成される
表示素子。
(15)(9)から(13)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の接合部に形成される
表示素子。
(16)(9)から(15)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、
前記回折レンズは、前記高屈折率層及び前記低屈折率層の厚さの割合が前記入射面に平行な面方向に沿って階段状に変化する厚さ変化領域を含む
表示素子。
(17)(1)から(16)のうちいずれか1つに記載の表示素子であって、さらに、
前記光学制御層を挟んで前記レンズ層とは反対側に配置され、前記光学制御層から出射された光の光路を制御するマイクロレンズアレイを具備する
表示素子。
(18)(17)に記載の表示素子であって、
前記マイクロレンズアレイは、前記光学制御層から出射された光の光路を平行化する
表示素子。
(19)光源と、
入射する光を画素ごとに変調する光学制御層と、
前記光源から出射された光が入射する入射面と、前記画素ごとに配置された複数の屈折レンズと、前記複数の屈折レンズと対向して前記画素ごとに配置された複数の回折レンズとを有し、前記入射面から入射して前記屈折レンズ及び前記回折レンズを通過した光を前記光学制御層に出射するレンズ層と
を有する表示素子と、
前記画素ごとに変調された光に基づいて画像を投射する投射光学系と
を具備する投射型表示装置。
【符号の説明】
【0187】
11…表示領域
16…画素
20、320…制御基板
23…制御素子
24…遮光部
28、28a、28b…開口部
32、232、332…レンズ層
35、235…入射面
36、236…出射面
37、237…屈折レンズアレイ
38、238…回折レンズアレイ
40…液晶層
41、241、341…光学制御層
50、250、350…屈折レンズ
51、251、351…回折レンズ
52…高屈折率層
53…低屈折率層
54、54a~54f…回折パターン
55…中心領域
56…帯状領域
57…変化領域
100、100R、100G、100B、110、200、300…液晶ライトバルブ
500…画像表示装置