(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】界面活性剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09K 23/02 20220101AFI20240521BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240521BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240521BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240521BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240521BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240521BHJP
C09K 23/18 20220101ALI20240521BHJP
C09K 23/54 20220101ALI20240521BHJP
【FI】
C09K23/02
A61K8/41
A61K8/46
A61K8/891
A61Q5/00
A61Q5/12
C09K23/18
C09K23/54
(21)【出願番号】P 2020572293
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2020005436
(87)【国際公開番号】W WO2020166639
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019023705
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敦史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 知里
(72)【発明者】
【氏名】鐵 真希男
(72)【発明者】
【氏名】青柳 健介
(72)【発明者】
【氏名】横田 悠樹
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-001685(JP,A)
【文献】特開2014-076983(JP,A)
【文献】特開2010-168336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/00
C11D
C09K 3/00
A61K 8/00
A61Q
D06M 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、及びジメチルポリシロキサン(C)を含有する界面活性剤組成物であって、
下記モル比R
Aが0.10以上0.90以下であり、
下記モル比R
bが0.4以上であ
り、ジメチルポリシロキサン(C)を固体表面に残留させるために用いる、界面活性剤組成物。
R
A:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対するアニオン界面活性剤(A)の量、のモル比{(A)/〔(A)+(B)〕}
R
b:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対する分岐型アニオン界面活性剤(a1)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)との合計量のモル比{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}
【請求項2】
アニオン界面活性剤(A)が、スルホン酸塩型界面活性剤及び硫酸エステル塩型界面活性剤から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
分岐型アニオン界面活性剤(a1)が、下記一般式(1)で表される界面活性剤である、請求項1又は2に記載の界面活性剤組成物。
【化1】
〔式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、置換基又は連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示し、R
1とR
2の合計炭素数は、5以上29以下である。Yは、単結合又はフェニレン基を示し、Zは、-SO
3基及び-OSO
3基から選ばれる基を示す。Mは、陽イオンを示す。〕
【請求項4】
分岐型アニオン界面活性剤(a1)が、内部オレフィンスルホン酸塩である、請求項1~3のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項5】
内部オレフィンスルホン酸塩の炭素数が14以上22以下である、請求項4に記載の界面活性剤組成物。
【請求項6】
カチオン界面活性剤(B)が、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤である、請求項1~5のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項7】
第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤が、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表されるものから選ばれる1種以上を含有する、請求項6に記載の界面活性剤組成物。
【化2】
〔式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数6以上26以下の炭化水素基を示し、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X
-は陰イオンを示す。〕
【化3】
〔式中、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、炭素数8以上22以下のアシル基又は水素原子を示し、R
7、R
8及びR
9は同時に水素原子であることはなく、R
10は、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X
-は陰イオンを示す。〕
【請求項8】
アニオン界面活性剤(A)の含有量が0.2質量%以上20質量%以下である、請求項1~7のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項9】
カチオン界面活性剤(B)の含有量が0.2質量%以上20質量%以下である、請求項1~8のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項10】
ジメチルポリシロキサン(C)の含有量が0.5質量%以上60質量%以下である、請求項1~9のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項11】
アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との総量に対するジメチルポリシロキサン(C)の量、の質量比{(C)/〔(A)+(B)〕}が0.2以上10以下である、請求項1~10のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項12】
水の含有量が35質量%以上である、請求項1~11のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項13】
水の含有量が45質量%以上95質量%以下である、請求項1~12のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の界面活性剤組成物を固体表面に接触させる、ジメチルポリシロキサン(C)の残留方法。
【請求項15】
請求項1~
13のいずれかに記載の界面活性剤組成物の、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、又はヘアパックへの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活者の身の回りには、ガラス、金属、プラスチック、衣類、肌、頭髪等の様々な固体表面が存在している。それらの固体表面の感触、潤滑性、濡れ性、帯電性等は、その固体表面の性質により決まり、それらの制御には、一般的に、界面活性剤や油剤が用いられる。とりわけ、固体表面上に油剤を残留させることは、濡れ性等の固体表面の性質を大きく変えることができるため、極めて有効性の高い手法である。
【0003】
界面活性剤や油剤を含む洗浄剤やコンディショニング剤については、従来から種々の提案がなされている
例えば、特開2010-90278号(特許文献1)には、特定の第1及び第2の非イオン性界面活性剤、SO3基又はSO4基を有する陰イオン性界面活性剤、特定の第4級アンモニウム化合物、水不溶性シリコーン化合物を含有する衣類用液体洗浄剤組成物が開示されている。
特開2012-107104号(特許文献2)には、特定量のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、25℃での動粘度が400万mm2/s以上のジメチルポリシロキサン、及びマルトオリゴ糖を含有する毛髪・皮膚洗浄分野の洗浄剤組成物が開示されている。
特開2015-27977号(特許文献3)には、炭素数12~24の内部オレフィンスルホン酸塩を含有する皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物が開示されている。
特開2015-27974号(特許文献4)には、炭素数12~24の内部オレフィンスルホン酸塩、及び油剤を含有する皮膚又は毛髪用洗浄剤組成物が開示されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、アニオン界面活性剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、及びジメチルポリシロキサン(C)を含有する界面活性剤組成物であって、
下記モル比RAが0.10以上0.90以下であり、
下記モル比Rbが0.4以上である、界面活性剤組成物に関する。
RA:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対するアニオン界面活性剤(A)の量、のモル比{(A)/〔(A)+(B)〕}
Rb:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対する分岐型アニオン界面活性剤(a1)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)との合計量のモル比{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}
【発明を実施するための形態】
【0005】
固体表面の性質を大きく変えるためには、油剤を固体表面上に高残留させることが望ましい。しかしながら、特許文献1~4のような従来の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤では、ジメチルポリシロキサンのような油剤を固体表面上に高残留させることが困難であった。
本発明は、固体表面上にジメチルポリシロキサンを高残留させることができる界面活性剤組成物に関する。
【0006】
本発明者らは、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及びジメチルポリシロキサンを含有する界面活性剤組成物において、分岐型のアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を特定割合で配合することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、アニオン界面活性剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、及びジメチルポリシロキサン(C)を含有する界面活性剤組成物であって、
下記モル比RAが0.10以上0.90以下であり、
下記モル比Rbが0.4以上である、界面活性剤組成物に関する。
RA:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対するアニオン界面活性剤(A)の量、のモル比{(A)/〔(A)+(B)〕}
Rb:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対する分岐型アニオン界面活性剤(a1)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)との合計量のモル比{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}
【0008】
本発明によれば、固体表面上にジメチルポリシロキサンを高残留させることができる界面活性剤組成物を提供することができる。
【0009】
[界面活性剤組成物]
本発明の界面活性剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、及びジメチルポリシロキサン(C)を含有する界面活性剤組成物であって、
下記モル比RAが0.10以上0.90以下であり、
下記モル比Rbが0.4以上である。
RA:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対するアニオン界面活性剤(A)の量、のモル比{(A)/〔(A)+(B)〕}
Rb:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対する分岐型アニオン界面活性剤(a1)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)との合計量のモル比{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}
【0010】
本発明の界面活性剤組成物は、アニオン界面活性剤(A)(以下、「(A)成分」ともいう)とカチオン界面活性剤(B)(以下、「(B)成分」ともいう)のいずれか一方又は両方が、分岐型の界面活性剤を含む。すなわち、本発明の界面活性剤組成物は、分岐型アニオン界面活性剤(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)(以下、「(b1)成分」ともいう)のいずれか一方を含み、(a1)成分と(b1)成分の両方を含むことが好ましい。
ここで、「分岐型」とは、疎水基と親水基を有する界面活性剤において、疎水基が少なくとも1つの分岐した構造を有するか、直鎖又は分岐鎖の疎水基を複数有することを意味する。分岐型界面活性剤の疎水基としては、直鎖又は分岐鎖構造を有する炭化水素基、より好ましくは置換基又は連結基を含んでいてもよい直鎖又は分岐鎖構造を有するアルキル基又はアリール基が挙げられる。
【0011】
本発明において、(A)成分と(B)成分との合計量に対する(a1)成分と(b1)成分との合計量のモル比Rb:{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}は、0.4以上である。
前記モル比Rbは、組成物中でのジメチルポリシロキサン(C)(以下、「(C)成分」ともいう)の乳化安定性及び固体表面に(C)成分を高残留させる観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.0以下である。
(a1)成分の量は、カチオン界面活性剤による滴定、NMR、LC-MS等の分析法を組み合わせることにより、また、同一構造の標品と比較することにより求めることができる。また、(b1)成分の量は、アニオン界面活性剤による滴定、NMR、LC-MS等の分析法を組み合わせることにより、また、同一構造の標品と比較することにより求めることができる。
【0012】
本発明の界面活性剤組成物を固体表面上に適用することで、ジメチルポリシロキサン(C)を高残留させることができ、その結果、例えば、シャンプー洗髪後の毛髪に塗布し、すすぎ流して使用することにより、毛髪間に残留する水分を重力で可能な限り自然排水させることで毛髪の乾燥時間を短縮させることができる。換言すれば、本発明の界面活性剤組成物は、ジメチルポリシロキサン(C)を固体表面に高残留させるために用いられる。
ジメチルポリシロキサン(C)を高残留できる理由は定かではないが、本発明の界面活性剤組成物は、ジメチルポリシロキサンを水中に乳化でき、また、ジメチルポリシロキサンの乳化滴が、固体表面上に付着しやすいためであると考えられる。
また、(a1)成分と(b1)成分を特定割合で含有することにより、ジメチルポリシロキサン(C)の固体表面への残留性を効果的に向上させることができると考えられる。
本発明の界面活性剤組成物の形態に特に制限はないが、取扱い性の観点から、水系であることが好ましく、本発明の界面活性剤組成物を含有し、水を連続相とする水溶液であることが好ましい。
【0013】
<アニオン界面活性剤:(A)成分>
本発明の界面活性剤組成物に含まれる(A)成分に特に制限はないが、スルホン酸塩型界面活性剤及び硫酸エステル塩型界面活性剤から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0014】
〔スルホン酸塩型界面活性剤〕
スルホン酸塩型界面活性剤としては、炭素数6以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するスルホン酸塩型の界面活性剤が挙げられ、その好適例としては、炭素数6以上22以下のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホン酸塩等が挙げられる。炭素数6以上22以下のアルキル基とは、アルキルベンゼンスルホン酸塩の場合、ベンゼン環に置換するアルキル基を意味し、ベンゼン骨格は含まない。アルキル基は、固体表面への(C)成分の高残留性の観点から、その炭素数は好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
前記の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。それらの中では、上記と同様の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0015】
〔硫酸エステル塩型界面活性剤〕
硫酸エステル塩型界面活性剤としては、炭素数10以上18以下の脂肪族炭化水素基を有する硫酸エステル塩型の界面活性剤が挙げられる。前記硫酸エステル塩の好適例としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が挙げられる。
その具体例としては、アルキレンオキシ基の平均付加モル数mが0以上、好ましくは0.5以上、より好ましくは1以上であり、そして、該mが5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であり、かつ、炭素数が10以上、好ましくは12以上であり、そして、炭素数が18以下、好ましくは16以下のアルキル基を有するものが挙げられる。
前記アルキレンオキシ基は、エチレンオキシ基(EO基)を含むことが好ましく、平均付加モル数0.2~2モルの範囲でPO基を含んでいてもよい。
前記の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。それらの中では、上記と同様の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
【0016】
本発明の界面活性剤組成物は、分岐型アニオン界面活性剤(a1)を含む。
(a1)成分としては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0017】
【0018】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、置換基又は連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示し、R1とR2の合計炭素数は、5以上29以下である。Yは、単結合又はフェニレン基を示し、Zは、-SO3基及び-OSO3基から選ばれる基を示す。Mは、陽イオンを示す。
式(1)中、R1及びR2の炭素数は、上記と同様の観点から、それぞれ独立して、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上であり、そして、好ましくは28以下、より好ましくは26以下、更に好ましくは24以下である。
R1及びR2の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、アルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基がより好ましい。
R1とR2の合計炭素数は、上記と同様の観点から、好ましくは7以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは11以上であり、そして、好ましくは23以下、より好ましくは19以下、更に好ましくは17以下である。
R1、R2の炭化水素基は、水酸基等の置換基又はCOO基等の連結基を含んでいてもよい。前記置換基又は連結基の炭素数は、R1、R2の炭化水素基の炭素数には算入しない。
【0019】
Yは単結合又はフェニレン基であるが、単結合が好ましい。
式(1)中の陽イオンMとしては、アルカリ金属イオン、炭素数1以上6以下のアルカノールアンモニウムイオン等が挙げられる。それらの中では、ナトリウムイオン、カリウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、及びトリエタノールアンモニウムイオンから選ばれる1種以上が好ましい。
【0020】
(a1)成分としては、(C)成分の乳化安定性及び固体表面への高残留性の観点から、内部オレフィンスルホン酸塩(IOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる1種以上が好ましく、IOSがより好ましい。
【0021】
(内部オレフィンスルホン酸塩:IOS)
IOSは、二重結合がオレフィン鎖の内部(2位以上の位置)にある内部オレフィンをスルホン化、中和、及び加水分解すること等によって得ることができる。内部オレフィンをスルホン化すると、定量的にβ-サルトンが生成し、β-サルトンの一部は、γ-サルトン、オレフィンスルホン酸へと変化し、更にこれらは中和・加水分解工程においてヒドロキシアルカンスルホン酸塩(H体)と、オレフィンスルホン酸塩(O体)へと転換する(例えば、J. Am. Oil Chem. Soc. 69, 39(1992))。IOSは、これらの混合物であり、主に、スルホン酸基が炭素鎖(H体におけるヒドロキシアルカン鎖、又はO体におけるオレフィン鎖)の内部(2位以上の位置)に存在するスルホン酸塩である。
【0022】
IOSの炭素数は、上記と同様の観点から、好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。前記炭素数は、酸型化合物換算の炭素数である。
IOSの塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属(1/2原子)塩、アンモニウム塩又は有機アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。有機アンモニウム塩としては、炭素数2以上6以下のアルカノールアンモニウム塩が挙げられる。
【0023】
IOS中における、炭素数16の内部オレフィンスルホン酸塩(以下、「(16S)成分」ともいう)の含有量と、炭素数18の内部オレフィンスルホン酸塩(以下、「(18S)成分」ともいう)の含有量との質量比〔(16S)成分/(18S)成分〕は、上記と同様の観点から、好ましくは50/50~99/1、より好ましくは60/40~95/5、更に好ましくは70/30~90/10、より更に好ましくは75/25~85/15である。
IOS中における、(16S)成分と(18S)成分の合計含有量は、上記と同様の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、より更に好ましくは100質量%である。
【0024】
IOS中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量は、上記と同様の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは28質量%以下である。
IOSにおける、H体/O体の質量比、スルホン酸基の置換位置分布等の測定は、高速液体クロマトグラフィー質量分析計(HPLC-MS)、ガスクロマトグラフィー、核磁気共鳴スペクトル等により測定でき、より具体的には、特開2015-27977号公報や、特開2018-66102号公報に記載の方法により測定できる。
内部オレフィンスルホン酸塩の詳細、及びその製法については、特開2015-27977号公報、特許第1633184号公報、特許第2625150号公報、Tenside Surf.Det.31(5)299(1994)等を参照することができる。
【0025】
<カチオン界面活性剤:(B)成分>
本発明の界面活性剤組成物は、(C)成分の乳化安定性及び固体表面への高残留性の観点から、カチオン界面活性剤(B)を含有する。
(B)成分は、分岐型カチオン界面活性剤(b1)を含むことが好ましい。
(B)成分は、上記と同様の観点から、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有することが好ましく、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表されるものから選ばれる1種以上を含有することがより好ましい。上記と同様の観点から、(b1)成分は、下記一般式(2)及び(3)のいずれかで表されるものから選ばれる1種以上がより好ましい。
一般式(2)及び(3)のいずれかで表される第4級アンモニウム塩は、式(2)及び(3)のいずれかに含まれる具体的な化合物の1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。該成分は、通常、複数の化合物を含む混合物として用いられる。
【0026】
〔一般式(2)で表される第4級アンモニウム塩〕
【化2】
【0027】
〔式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数6以上26以下の炭化水素基を示し、R5及びR6は、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。〕
R3の炭化水素基としては、好ましくは脂肪族炭化水素基、より好ましくはアルキル基である。
R4の炭化水素基としては、好ましくは脂肪族炭化水素基又はアリール基、より好ましくはアルキル基又はベンジル基である。
【0028】
R3及びR4の脂肪族炭化水素基の炭素数は、上記と同様の観点から、好ましくは8以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは12以上であり、そして、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である。脂肪族炭化水素基としては、上記と同様の観点から、好ましくはアルキル基である。その具体例としては、各種オクチル基、各種デシル基、各種ドデシル基、各種テトラデシル基、各種ヘキサデシル基、各種オクタデシル基、各種イコシル基等が挙げられる。
R4のアリール基としては、上記と同様の観点から、好ましくはベンジル基である。
R5及びR6である炭素数1以上3以下のアルキル基は、入手容易性、及び上記と同様の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
【0029】
式(2)中、陰イオンであるX-としては、有機又は無機の陰イオンが挙げられる。陰イオンX-の具体例としては、ハロゲンイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上3以下のアルキルリン酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。これらの中では、好ましくはハロゲンイオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンであり、より好ましくは塩素イオン、臭素イオン、メチル硫酸エステルイオン、又はエチル硫酸エステルイオン、更に好ましくは塩素イオン、又はメチル硫酸エステルイオンである。
【0030】
式(2)で表される第4級アンモニウム塩の好適例としては、ジデシル(C10)ジメチルアンモニウム塩、ジラウリル(C12)ジメチルアンモニウム塩、ジココジメチルアンモニウム塩(C8~16)、ジミリスチル(C14)ジメチルアンモニウム塩、ジセチル(C16)ジメチルアンモニウム塩、ジステアリル(C18)ジメチルアンモニウム塩、ジアラキル(C20)ジメチルアンモニウム塩、ジベヘニル(C22)ジメチルアンモニウム塩、ステアリルラウリルジメチルアンモニウム塩、ジアルキル(C12~15)ジメチルアンモニウム塩、ジアルキル(C12~18)ジメチルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中では、上記と同様の観点から、ジアルキル(C12~15)ジメチルアンモニウム塩、ジセチル(C16)ジメチルアンモニウム塩、ジアルキル(C12~18)ジメチルアンモニウム塩が好ましく、これらの塩化物がより好ましい。
【0031】
式(2)で表される第4級アンモニウム塩の市販品例としては、花王株式会社製、「コータミン」シリーズ、EVONIK社製、VARISOFT 432PPG(ジセチルジモニウムクロリド)、AkzoNobel社製、rquad PC 2C-75(ジココジモニウムクロリド)、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、リポカード 2C-75(塩化ジヤシアルキルジメチルアンモニウム)等が挙げられる。
【0032】
〔一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩〕
【化3】
【0033】
〔式中、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、炭素数8以上22以下のアシル基又は水素原子を示し、R7、R8及びR9は同時に水素原子であることはなく、R10は、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。〕
【0034】
一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩は、式(3)中のR7、R8及びR9のうち2つがアシル基である化合物を含むことが好ましい。具体的には、式(3)中のR7がアシル基であり、R8及びR9が水素原子である化合物、R7及びR8がアシル基であり、R9が水素原子である化合物、並びに、R7、R8及びR9がアシル基である化合物から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
【0035】
R7~R9であるアシル基の炭素数は、(C)成分の乳化安定性及び固体表面への高残留性の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは14以上、更に好ましくは16以上であり、そして好ましくは20以下、より好ましくは18以下である。
R7~R9の具体例としては、上記と同様の観点から、好ましくは脂肪族アシル基、より好ましくは直鎖の脂肪族アシル基、更に好ましくは直鎖のアルカノイル基又は直鎖のアルケノイル基である。直鎖のアルカノイル基としては、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基等が挙げられる。直鎖のアルケノイル基としては、オレオイル基等が挙げられる。
アシル基は、R11-CO-(式中、R11は炭化水素基を示す)で表わされ、脂肪族アシル基とは、R11が脂肪族炭化水素基であるものであり、直鎖の脂肪族アシル基とは、R11が直鎖の脂肪族炭化水素基であるものであり、直鎖のアルカノイル基とは、R11が直鎖のアルキル基であるものであり、直鎖のアルケノイル基とは、R11が直鎖のアルケニル基であるものである。アシル基の炭素数は、R11の炭素数に1を加えた数である。
【0036】
式(3)におけるR10は、上記と同様の観点から、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
式(3)中、陰イオンであるX-としては、有機又は無機の陰イオンが挙げられる。陰イオンX-の具体例としては、ハロゲンイオン、炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1以上3以下のアルキルリン酸エステルイオン、炭素数12以上18以下の脂肪酸イオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル基が1個以上3個以下置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。これらの中では、好ましくはハロゲンイオン、又は炭素数1以上3以下のアルキル硫酸エステルイオンであり、より好ましくは塩素イオン、臭素イオン、メチル硫酸エステルイオン、又はエチル硫酸エステルイオン、更に好ましくは塩素イオン、メチル硫酸エステルイオンである。
【0037】
<ジメチルポリシロキサン:(C)成分>
本発明に用いられる(C)成分は、乳化安定性、及び固体表面への濡れ拡がり性の観点から、重量平均分子量が300以上6000以下の低分子量ジメチルポリシロキサンであることが好ましい。
(C)成分の重量平均分子量は、固体表面への高残留性の観点から、好ましくは350以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは3000以上であり、そして、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、更に好ましくは4000以下、より更に好ましくは3800以下である。また、固体表面への濡れ拡がり性の観点から、好ましくは320以上、より好ましくは330以上、更に好ましくは340以上であり、そして、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは1000以下、より更に好ましくは800以下である。
重量平均分子量の異なる2種以上のジメチルポリシロキサンを用いる場合は、(C)成分の重量平均分子量は、相加平均分子量を意味する。より具体的には、毛髪に適用する場合は、(C)成分の重量平均分子量は、好ましくは320以上2800以下であり、より好ましくは340以上2500以下であり、更に好ましくは360以上2300以下であり、より更に好ましくは360以上2000以下である。
【0038】
(C)成分中の分子量300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量は、上記と同様の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは55質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、より更に好ましくは85質量%以上であり、そして、好ましくは100質量%以下である。
なお、(C)成分の重量平均分子量、及び(C)成分中の分子量300以上6000以下に相当する量は、実施例に記載の方法により測定される。
【0039】
(C)成分としては、直鎖状ジメチルポリシロキサン及び環状ジメチルポリシロキサンから選ばれる1種以上が挙げられ、直鎖状ジメチルポリシロキサンがより好ましい。
(C)成分の25℃のおける動粘度は、高残留性の観点から、好ましくは2mm2/s以上、より好ましくは4mm2/s以上、更に好ましくは10mm2/s以上であり、そして好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは80mm2/s以下、更に好ましくは60mm2/s以下である。また、固体表面への濡れ拡がり性の観点から、好ましくは1mm2/s以上、より好ましくは2mm2/s以上であり、そして好ましくは100mm2/s以下、より好ましくは50mm2/s以下、更に好ましくは10mm2/s以下である。
動粘度は、実施例に記載の方法により測定される。
【0040】
直鎖状ジメチルポリシロキサンの市販品例としては、信越化学工業株式会社製のKF-96シリーズ、東レ・ダウコーニング株式会社製の SH200C シリーズ、2-1184 Fluid、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の Silsoft DML、Element14 PDMS 5-JC、Element14 PDMS 10-JC、Element14 PDMS 20-JC 等が挙げられる。
環状ジメチルポリシロキサンとしては、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンの市販品例としては、信越化学工業株式会社製のKF-995、東レ・ダウコーニング株式会社製の SH245 Fluid、DC345 Fluid、DC246 Fluid、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の TSF405、SF1258、Silsoft1217 等が挙げられる。
【0041】
(界面活性剤組成物中の各成分の含有量)
本発明の界面活性剤組成物中の各成分の含有量は、(C)成分の乳化安定性及び高残留性の観点から、以下のとおりである。
アニオン界面活性剤(A)の含有量は、界面活性剤組成物中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0042】
分岐型アニオン界面活性剤(a1)、好ましくは内部オレフィンスルホン酸塩(IOS)の含有量は、界面活性剤組成物中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは3質量%以下である。
【0043】
カチオン界面活性剤(B)、好ましくは分岐型カチオン界面活性剤(b1)の含有量は、界面活性剤組成物中、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは4質量%以下である。
【0044】
界面活性剤組成物中の(A)成分と(B)成分との合計量に対する(A)成分の量、のモル比RA:{(A)/〔(A)+(B)〕}は、0.10以上0.90以下である。
前記モル比RAは、(C)成分の乳化安定性及び高残留性の観点から、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上、更に好ましくは0.40以上、より更に好ましくは0.45以上であり、そして、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.70以下、更に好ましくは0.60以下、より更に好ましくは0.55以下である。
【0045】
界面活性剤組成物中のモル比Rb:{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}は、0.4以上であり、前記のとおり、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.8以上、より更に好ましくは0.9以上であり、そして、好ましくは1.0以下である。
【0046】
ジメチルポリシロキサン(C)の含有量は、界面活性剤組成物中、0.5質量%以上であり、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、60質量%以下であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0047】
界面活性剤組成物中のアニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との総量に対するジメチルポリシロキサン(C)の量、の質量比{(C)/〔(A)+(B)〕は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.6以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下である。
【0048】
水の含有量は、界面活性剤組成物中、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上、更に好ましくは55質量%以上、より更に好ましくは65質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0049】
(界面活性剤組成物中のその他の成分)
本発明の界面活性剤組成物には、その用途に併せて、前記以外の界面活性剤、(C)成分以外の油剤、無機ビルダー、可溶化剤、希釈剤、感触向上剤、キレート剤、酸化防止剤、保湿剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、香料等の任意成分を適宜添加することができる。
前記以外の界面活性剤としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等のベタイン系界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド等から選ばれる1種以上の脂肪酸モノアルカノールアミド等が挙げられる。
【0050】
(C)成分以外の油剤としては、室温で液状のものが好ましく、その具体例としては、エステル油、エーテル油、脂肪族高級アルコール、多価アルコール、α-オレフィンオリゴマー、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油、グリセリド、脂肪酸、鎖状ポリシロキサン、ポリエーテル変性、ポリアミノ変性、アルコール変性、フッ素変性、脂肪酸変性等の変性シリコーン等が挙げられる。
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル等が挙げられる。
エーテル油としては、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル、ジラウリルエーテル、等が挙げられる。
脂肪族高級アルコールとしては、好ましくは炭素数8以上26以下、より好ましくは炭素数12以上22以下、更に好ましくは炭素数16以上20以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール、数平均分子量1000未満のポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等が挙げられる。
(C)成分以外の油剤をあえて使用する必要はないが、使用する場合は、界面活性剤組成物中、0.1~20質量%程度の範囲で適宜調整して含有させることができる。
【0051】
無機ビルダーとしては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、結晶性層状珪酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ゼオライト等のアルミノ珪酸酸塩等のアルカリ性無機塩や、硫酸塩、亜流酸塩、硫酸水素塩、塩酸塩、リン酸塩等の水溶性無機塩類等が挙げられる。界面活性剤組成物中の無機ビルダーの含有量は、(C)成分を高残留させる観点から、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満、更に好ましくは5質量%未満、より更に好ましくは1質量%未満、より更に好ましくは0質量%(すなわち含まない)である。
【0052】
<界面活性剤組成物の製造>
本発明の界面活性剤組成物は、常法により製造することができる。例えば、イオン交換水等の精製水を好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは70℃以下に加熱し、各界面活性剤成分を均一に混合、放冷した後、(C)成分を添加する。必要に応じて、更に、任意成分を添加する。場合によっては、酸又は塩基を加え、pHを調整して本発明の界面活性剤組成物を得ることができる。
【0053】
(界面活性剤組成物の形態等)
本発明の界面活性剤組成物の剤型に特に制限はないが、液体状とすることが好ましい。
本発明の界面活性剤組成物を含有する製品の形態としては、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック等の浴室内でシャンプー洗髪後に使用されるもの、すなわち毛髪に塗布後、良くなじませて、洗い流して使用されるもの、繊維柔軟剤などの洗濯後のすすぎ時に使用されるもの、カーワックスなどの洗車後に使用されるもの等が好ましく挙げられる。これらの中では、ヘアコンディショナーとして使用することが本発明の界面活性剤組成物の効果を発揮させる観点からより好ましい。
本発明の界面活性剤組成物を含有する皮膚用洗浄剤、衣料用洗浄剤、食器用洗浄剤、住居用洗浄剤等の剤型についても特に制限はなく、常法により適宜調製することができる。
【0054】
[ジメチルポリシロキサン(C)の残留方法]
本発明のジメチルポリシロキサン(C)の残留方法は、本発明の界面活性剤組成物を固体表面に接触させる方法である。
ここで「固体表面」に特に制限はない。本発明方法を適用しうる好適な固体としては、毛髪が挙げられるが、天然繊維、合成繊維の他、ガラス、セラミックス、金属、合成樹脂等の疎水性固体にも適用できる。
接触方法も特に限定されず、例えば、本発明の界面活性剤組成物を含有する水溶液に固体を浸漬する方法、該水溶液を固体表面に噴霧又は塗布する方法、該水溶液で固体表面を洗浄する方法等が挙げられる。
【0055】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の界面活性剤組成物、その使用、洗浄剤、及び界面活性剤組成物の製造方法を開示する。
<1> アニオン界面活性剤(A)、カチオン界面活性剤(B)、及びジメチルポリシロキサン(C)を含有する界面活性剤組成物であって、
下記モル比RAが0.10以上0.90以下であり、
下記モル比Rbが0.4以上である、界面活性剤組成物。
RA:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対するアニオン界面活性剤(A)の量、のモル比{(A)/〔(A)+(B)〕}
Rb:アニオン界面活性剤(A)とカチオン界面活性剤(B)との合計量に対する分岐型アニオン界面活性剤(a1)と分岐型カチオン界面活性剤(b1)との合計量のモル比{〔(a1)+(b1)〕/〔(A)+(B)〕}
【0056】
<2> (a1)成分と(b1)成分のいずれか一方を含む、<1>に記載の組成物。
<3> (a1)成分と(b1)成分の両方を含む、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> (A)成分が、スルホン酸塩型界面活性剤及び硫酸エステル塩型界面活性剤から選ばれる1種以上を含む、<1>~<3>のいずれかに記載の組成物。
<5> (a1)成分が、下記式(1)で表される、<1>~<4>のいずれかに記載の組成物。
【化4】
〔式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、置換基又は連結基を含んでいてもよい炭化水素基を示し、R
1とR
2の合計炭素数は、5以上29以下である。Yは、単結合又はフェニレン基を示し、Zは、-SO
3基及び-OSO
3基から選ばれる基を示す。Mは、陽イオンを示す。〕
<6> R
1及びR
2が、脂肪族炭化水素基である、<5>に記載の組成物。
<7> R
1及びR
2が、アルキル基、アルケニル基又はヒドロキシアルキル基である、<5>又は<6>に記載の組成物。
<8> R
1及びR
2が、水酸基等の置換基又はCOO基等の連結基を含んでいてもよい、<5>~<7>のいずれかに記載の組成物。
<9> Yが、単結合である、<5>~<8>のいずれかに記載の組成物。
<10> Mが、ナトリウムイオン、カリウムイオン、モノエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオン、及びトリエタノールアンモニウムイオンから選ばれる1種以上である、<5>~<9>のいずれかに記載の組成物。
【0057】
<11> (a1)成分が、内部オレフィンスルホン酸塩(IOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、第二級アルカンスルホン酸塩及びジアルキルスルホコハク酸塩から選ばれる1種以上である、<1>~<10>のいずれかに記載の組成物。
<12> (a1)成分が、IOSである、<11>に記載の組成物。
<13> IOSの炭素数が、14以上である、<11>又は<12>に記載の組成物。
<14> IOSの炭素数が、16以上である、<11>~<13>のいずれかに記載の組成物。
<15> IOSの炭素数が、20以下である、<11>~<14>のいずれかに記載の組成物。
<16> IOSの炭素数が、18以下である、<11>~<15>のいずれかに記載の組成物。
<17> IOS中の炭素数16のIOS(16S)と、炭素数18のIOS(18S)の合計含有量({(16S+18S)/IOS})が、50質量%以上である、<11>~<16>のいずれかに記載の組成物。
<18> 前記{(16S+18S)/IOS}が、70質量%以上である、<17>に記載の組成物。
<19> 前記{(16S+18S)/IOS}が、90質量%以上である、<17>に記載の組成物。
<20> 前記{(16S+18S)/IOS}が、100質量%である、<17>に記載の組成物。
<21> IOS中における、スルホン酸基が2位に存在する内部オレフィンスルホン酸塩の含有量(2位スルホン酸率)が、5質量%以上である、<11>~<20>のいずれかに記載の組成物。
<22> 前記2位スルホン酸率が、7質量%以上である、<21>に記載の組成物。
<23> 前記2位スルホン酸率が、10質量%以上である、<21>に記載の組成物。
<24> 前記2位スルホン酸率が、35質量%以下である、<21>~<23>のいずれかに記載に記載の組成物。
<25> 前記2位スルホン酸率が、30質量%以下である、<21>~<23>のいずれかに記載に記載の組成物。
<26> 前記2位スルホン酸率が、28質量%以下である、<21>~<23>のいずれかに記載に記載の組成物。
【0058】
<27> (B)成分が、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を含有する、<1>~<26>のいずれかに記載の組成物。
<28> (B)成分が、分岐型カチオン界面活性剤(b1)を含む、<1>~<27>のいずれかに記載の組成物。
<29> (B)成分が、下記式(2)及び(3)のいずれかで表されるものから選ばれる1種以上を含有する、<1>~<28>のいずれかに記載の組成物。
【化5】
〔式中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数6以上26以下の炭化水素基を示し、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X
-は陰イオンを示す。〕
【化6】
〔式中、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、炭素数8以上22以下のアシル基又は水素原子を示し、R
7、R
8及びR
9は同時に水素原子であることはなく、R
10は、炭素数1以上3以下のアルキル基を示し、X
-は陰イオンを示す。〕
【0059】
<30> (b1)成分が、前記式(2)及び(3)のいずれかで表されるものから選ばれる1種以上を含有する、<1>~<29>のいずれかに記載の組成物。
<31> R3が、脂肪族炭化水素基である、<29>又は<30>に記載の組成物。
<32> R3が、アルキル基である、<29>~<31>のいずれかに記載の組成物。
<33> R4が、脂肪族炭化水素基又はアリール基である、<29>~<32>のいずれかに記載の組成物。
<34> R4が、アルキル基又はベンジル基である、<29>~<33>のいずれかに記載の組成物。
<35> R3及びR4の脂肪族炭化水素基の炭素数が、8以上である、<29>~<34>のいずれかに記載の組成物。
<36> R3及びR4の前記炭素数が、10以上である、<35>に記載の組成物。
<37> R3及びR4の前記炭素数が、12以上である、<35>に記載の組成物。
<38> R3及びR4の前記炭素数が、22以下である、<35>~<37>のいずれかに記載の組成物。
<39> R3及びR4の前記炭素数が、20以下である、<35>~<37>のいずれかに記載の組成物。
<40> R4が、ベンジル基である、<29>~<39>のいずれかに記載の組成物。
<41> R5及びR6が、メチル基である、<29>~<40>のいずれかに記載の組成物。
【0060】
<42> 式(2)中のX-が、塩素イオン、臭素イオン、メチル硫酸エステルイオン、又はエチル硫酸エステルイオンである、<29>~<41>のいずれかに記載の組成物。
<43> 前記X-が、塩素イオン又はメチル硫酸エステルイオンである、<42>に記載の組成物。
<44> R7、R8及びR9のうち2つが、アシル基である、<29>~<43>のいずれかに記載の組成物。
<45> 一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩が、R7がアシル基であり、R8及びR9が水素原子である化合物、R7及びR8がアシル基であり、R9が水素原子である化合物、並びに、R7、R8及びR9がアシル基である化合物から選ばれる1種以上を含有する、<29>~<44>のいずれかに記載の組成物。
<46> R7~R9であるアシル基の炭素数が、10以上である、<29>~<45>のいずれかに記載の組成物。
<47> R7~R9の前記炭素数が、14以上である、<46>に記載の組成物。
<48> R7~R9の前記炭素数が、16以上である、<46>に記載の組成物。
<49> R7~R9の前記炭素数が、20以下である、<46>~<48>のいずれかに記載の組成物。
<50> R7~R9の前記炭素数が、18以下である、<46>~<48>のいずれかに記載の組成物。
<51> R7~R9が脂肪族アシル基である、<29>~<50>のいずれかに記載の組成物。
<52> R7~R9が直鎖の脂肪族アシル基である、<29>~<51>のいずれかに記載の組成物。
<53> R7~R9が直鎖のアルカノイル基又は直鎖のアルケノイル基である、<29>~<52>のいずれかに記載の組成物。
<54> 直鎖のアルカノイル基が、ヘキサデカノイル基又はオクタデカノイル基である、<53>に記載の組成物。
<55> 直鎖のアルケノイル基がオレオイル基である、<53>に記載の組成物。
【0061】
<56> R10がメチル基又はエチル基である、<29>~<55>のいずれかに記載の組成物。
<57> R10がメチル基である、<29>~<56>のいずれかに記載の組成物。
<58> 式(3)中のX-が、が塩素イオン、臭素イオン、メチル硫酸エステルイオン、又はエチル硫酸エステルイオンである、<29>~<57>のいずれかに記載の組成物。
<59> 前記X-が、塩素イオン又はメチル硫酸エステルイオンである、<58>に記載の組成物。
<60> (C)成分の重量平均分子量が、300以上である、<1>~<59>のいずれかに記載の組成物。
<61> (C)成分の重量平均分子量が、320以上である、<1>~<60>のいずれかに記載の組成物。
<62> (C)成分の重量平均分子量が、330以上である、<1>~<61>のいずれかに記載の組成物。
<63> (C)成分の重量平均分子量が、340以上である、<1>~<62>のいずれかに記載の組成物。
<64> (C)成分の重量平均分子量が、350以上である、<1>~<63>のいずれかに記載の組成物。
<65> (C)成分の重量平均分子量が、1000以上である、<1>~<64>のいずれかに記載の組成物。
<66> (C)成分の重量平均分子量が、6000以下である、<1>~<65>のいずれかに記載の組成物。
<67> (C)成分の重量平均分子量が、5000以下である、<1>~<66>のいずれかに記載の組成物。
<68> (C)成分の重量平均分子量が、4000以下である、<1>~<67>のいずれかに記載の組成物。
<69> (C)成分の重量平均分子量が、3800以下である、<1>~<68>のいずれかに記載の組成物。
<70> (C)成分の重量平均分子量が、3000以下である、<1>~<69>のいずれかに記載の組成物。
【0062】
<71> (C)成分中の300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量が、50質量%以上である、<1>~<70>のいずれかに記載の組成物。
<72> (C)成分中の300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量が、55質量%以上である、<1>~<71>のいずれかに記載の組成物。
<73> (C)成分中の300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量が、75質量%以上である、<1>~<72>のいずれかに記載の組成物。
<74> (C)成分中の300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量が、85質量%以上である、<1>~<73>のいずれかに記載の組成物。
<75> (C)成分中の300以上6000以下のジメチルポリシロキサンの含有量が、100質量%である、<1>~<74>のいずれかに記載の組成物。
<76> (C)成分が直鎖のジメチルポリシロキサンである、<1>~<75>のいずれかに記載の組成物。
<77> (C)成分の25℃のおける動粘度が、2mm2/s以上である、<1>~<76>のいずれかに記載の組成物。
<78> (C)成分の前記動粘度が、4mm2/s以上である、<77>に記載の組成物。
<79> (C)成分の前記動粘度が、10mm2/s以上である、<77>に記載の組成物。
<80> (C)成分の前記動粘度が、100mm2/s以下である、<77>~<79>のいずれかに記載に記載の組成物。
<81> (C)成分の前記動粘度が、80mm2/s以下である、<77>~<79>のいずれかに記載に記載の組成物。
<82> (C)成分の前記動粘度が、60mm2/s以下である、<77>~<79>のいずれかに記載に記載の組成物。
【0063】
<83> (A)成分の含有量が、0.2質量%以上である、<1>~<82>のいずれかに記載の組成物。
<84> (A)成分の含有量が、0.5質量%以上である、<1>~<83>のいずれかに記載の組成物。
<85> (A)成分の含有量が、1質量%以上である、<1>~<84>のいずれかに記載の組成物。
<86> (A)成分の含有量が、20質量%以下である、<1>~<85>のいずれかに記載の組成物。
<87> (A)成分の含有量が、10質量%以下である、<1>~<86>のいずれかに記載の組成物。
<88> (A)成分の含有量が、5質量%以下である、<1>~<87>のいずれかに記載の組成物。
<89> (A)成分の含有量が、3質量%以下である、<1>~<88>のいずれかに記載の組成物。
【0064】
<90> (a1)の含有量が、0.2質量%以上である、<1>~<89>のいずれかに記載の組成物。
<91> (a1)成分の含有量が、0.5質量%以上である、<1>~<90>のいずれかに記載の組成物。
<92> (a1)成分の含有量が、1質量%以上である、<1>~<91>のいずれかに記載の組成物。
<93> (a1)成分の含有量が、1.5質量%以上である、<1>~<92>のいずれかに記載の組成物。
<94> (a1)成分の含有量が、20質量%以下である、<1>~<93>のいずれかに記載の組成物。
<95> (a1)成分の含有量が、10質量%以下である、<1>~<94>のいずれかに記載の組成物。
<96> (a1)成分の含有量が、5質量%以下である、<1>~<95>のいずれかに記載の組成物。
<97> (a1)成分の含有量が、3質量%以下である、<1>~<96>のいずれかに記載の組成物。
<98> IOSの含有量が、0.2質量%以上である、<1>~<97>のいずれかに記載の組成物。
<99> IOSの含有量が、0.5質量%以上である、<1>~<98>のいずれかに記載の組成物。
<100> IOSの含有量が、1質量%以上である、<1>~<99>のいずれかに記載の組成物。
<101> IOSの含有量が、1.5質量%以上である、<1>~<100>のいずれかに記載の組成物。
<102> IOSの含有量が、20質量%以下である、<1>~<101>のいずれかに記載の組成物。
<103> IOSの含有量が、10質量%以下である、<1>~<102>のいずれかに記載の組成物。
<104> IOSの含有量が、5質量%以下である、<1>~<103>のいずれかに記載の組成物。
<105> IOSの含有量が、3質量%以下である、<1>~<104>のいずれかに記載の組成物。
【0065】
<106> (B)成分の含有量が、0.2質量%以上である、<1>~<105>のいずれかに記載の組成物。
<107> (B)成分の含有量が、1質量%以上である、<1>~<106>のいずれかに記載の組成物。
<108> (B)成分の含有量が、2質量%以上である、<1>~<107>のいずれかに記載の組成物。
<109> (B)成分の含有量が、20質量%以下である、<1>~<108>のいずれかに記載の組成物。
<110> (B)成分の含有量が、10質量%以下である、<1>~<109>のいずれかに記載の組成物。
<111> (B)成分の含有量が、5質量%以下である、<1>~<110>のいずれかに記載の組成物。
<112> (B)成分の含有量が、4質量%以下である、<1>~<111>のいずれかに記載の組成物。
<113> (b1)成分の含有量が、0.2質量%以上である、<1>~<112>のいずれかに記載の組成物。
<114> (b1)成分の含有量が、1質量%以上である、<1>~<113>のいずれかに記載の組成物。
<115> (b1)成分の含有量が、2質量%以上である、<1>~<114>のいずれかに記載の組成物。
<116> (b1)成分の含有量が、20質量%以下である、<1>~<115>のいずれかに記載の組成物。
<117> (b1)成分の含有量が、10質量%以下である、<1>~<116>のいずれかに記載の組成物。
<118> (b1)成分の含有量が、5質量%以下である、<1>~<117>のいずれかに記載の組成物。
<119> (b1)成分の含有量が、4質量%以下である、<1>~<118>のいずれかに記載の組成物。
【0066】
<120> RAが、0.20以上である、<1>~<119>のいずれかに記載の組成物。
<121> RAが、0.30以上である、<1>~<120>のいずれかに記載の組成物。
<122> RAが、0.40以上である、<1>~<121>のいずれかに記載の組成物。
<123> RAが、0.45以上である、<1>~<122>のいずれかに記載の組成物。
<124> RAが、0.80以下である、<1>~<123>のいずれかに記載の組成物。
<125> RAが、0.70以下である、<1>~<124>のいずれかに記載の組成物。
<126> RAが、0.60以下である、<1>~<125>のいずれかに記載の組成物。
<127> RAが、0.55以下である、<1>~<126>のいずれかに記載の組成物。
<128> Rbが、0.5以上である、<1>~<127>のいずれかに記載の組成物。
<129> Rbが、0.7以上である、<1>~<128>のいずれかに記載の組成物。
<130> Rbが、0.8以上である、<1>~<129>のいずれかに記載の組成物。
<131> Rbが、0.9以上である、<1>~<130>のいずれかに記載の組成物。
<132> Rbが、1.0以下である、<1>~<131>のいずれかに記載の組成物。
【0067】
<133> (C)成分の含有量が、0.5質量%以上である、<1>~<132>のいずれかに記載の組成物。
<134> (C)成分の含有量が、1質量%以上である、<1>~<133>のいずれかに記載の組成物。
<135> (C)成分の含有量が、3質量%以上である、<1>~<134>のいずれかに記載の組成物。
<136> (C)成分の含有量が、6質量%以上である、<1>~<135>のいずれかに記載の組成物。
<137> (C)成分の含有量が、60質量%以下である、<1>~<136>のいずれかに記載の組成物。
<138> (C)成分の含有量が、40質量%以下である、<1>~<137>のいずれかに記載の組成物。
<139> (C)成分の含有量が、20質量%以下である、<1>~<138>のいずれかに記載の組成物。
<140> (C)成分の含有量が、10質量%以下である、<1>~<139>のいずれかに記載の組成物。
<141> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、0.2以上である、<1>~<140>のいずれかに記載の組成物。
<142> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、0.6以上である、<1>~<141>のいずれかに記載の組成物。
<143> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、1以上である、<1>~<142>のいずれかに記載の組成物。
<144> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、10以下である、<1>~<143>のいずれかに記載の組成物。
<145> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、6以下である、<1>~<144>のいずれかに記載の組成物。
<146> 質量比{(C)/〔(A)+(B)〕が、4以下である、<1>~<145>のいずれかに記載の組成物。
【0068】
<147> 水の含有量が35質量%以上である、<1>~<146>のいずれかに記載の界面活性剤組成物。
<148> 水の含有量が、45質量%以上である、<1>~<147>のいずれかに記載の組成物。
<149> 水の含有量が、55質量%以上である、<1>~<148>のいずれかに記載の組成物。
<150> 水の含有量が、65質量%以上である、<1>~<149>のいずれかに記載の組成物。
<151> 水の含有量が、75質量%以上である、<1>~<150>のいずれかに記載の組成物。
<152> 水の含有量が、95質量%以下である、<1>~<151>のいずれかに記載の組成物。
<153> 水の含有量が、90質量%以下である、<1>~<152>のいずれかに記載の組成物。
<154> 液体状である、<1>~<153>のいずれかに記載の組成物。
<155> ジメチルポリシロキサン(C)を固体表面に残留させるために用いる、<1>~<154>のいずれかに記載の組成物。
<156> <1>~<155>のいずれかに記載の組成物の、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアパック、繊維柔軟剤、又はカーワックスへの使用。
<157> <1>~<155>のいずれかに記載の組成物を含有する皮膚用洗浄剤、衣料用洗浄剤、食器用洗浄剤又は住居用洗浄剤。
<158> 水と界面活性剤と(C)成分とを混合する、界面活性剤組成物の製造方法。
<159> 前記<1>~<155>のいずれかに記載の組成物を固体表面に接触させる、ジメチルポリシロキサン(C)の残留方法。
【実施例】
【0069】
(1)ジメチルポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)の測定
ジメチルポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
カラムには、ミックスゲルカラム(昭和電工株式会社製、Shodex K-804L)を2本接続したものを用い、移動相及び希釈溶媒として、クロロホルム(関東化学株式会社製、高速液体クロマトグラフィー用)、検出器として、示差屈折率(RI)検出器を用いて、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いてMwを算出した。
また、積分分子量分布曲線から、ジメチルポリシロキサン中の分子量300~6000に相当する量を求めた。
【0070】
(2)ジメチルポリシロキサンの動粘度の測定
ジメチルポリシロキサンの動粘度は、日本工業規格JIS Z8803「液体の粘度測定方法」に基づき、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。
【0071】
(3)分岐型アニオン界面活性剤(a1)、分岐型カチオン界面活性剤(b1)の分岐率の測定
下記条件で1H-NMR測定又は高速液体クロマトグラフ測定を行い、分岐型構造に由来するピーク、直鎖型構造に由来するピークを検出し、分岐率を算出した。
<1H-NMR測定条件>
・Agilent Technologies社製、超伝導フーリエ変換核磁気共鳴装置「400-MR」
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:8回
・遅延時間:10秒
・パルス照射角:45°
<高速液体クロマトグラフ(HPLC)測定条件>
高速液体クロマトグラフ質量分析計(株式会社島津製作所製、LCMS-2020)
・カラム:インタクト株式会社製、UK-C18 HT、2×50mm、3μm
・溶離液:0.05%トリフルオロ酢酸―ヘキサン:メタノール:テトラヒドロフラン=85:10:5溶液
・流速:0.8mL/min(0-10min)→1.2mL/min(11-55min)
・検出:Range 500pA
【0072】
実施例1-1~1-6、比較例1-1~1-3
以下に示す界面活性剤とジメチルポリシロキサン(C)を用意した。
広口規格びん(東京硝子器械株式会社製、PS-No.6)に表1に記載の各界面活性剤原料と水を加え、70℃の温水浴中で1時間程度加温、混合、25℃に放冷後にジメチルポリシロキサンを添加した。目視により均一に乳化、分散するまで撹拌、振盪して界面活性剤組成物を得た。
得られた界面活性剤組成物を用いて、以下の方法で、各基板又は基材へのジメチルポリシロキサン(C)の残留量を測定し、評価した。結果を表1に示す。
【0073】
実施例2-1~2-6、実施例3-1、比較例1-4~1-5
実施例1-1において、表2~4に示す条件に変えた以外は、実施例1-1と同様に行った。結果を表2~4に示す。
【0074】
<アニオン界面活性剤(A)>
(1)a1-1:内部オレフィンスルホン酸ナトリウム(分岐率:98モル%)
(1-1)特開2015-27977号公報の製造例5の方法で製造した。
炭素数16の内部オレフィン11.9kgと、炭素数18の内部オレフィン3.1kgとを混合して炭素数16/18(質量比79.4/20.6)の内部オレフィン15.0kgを得た。得られた炭素数16/18の内部オレフィンを、薄膜式スルホン化反応器を使用してSO3濃度2.8容量%の三酸化硫黄ガスを通してスルホン化反応を行った。
得られたスルホン化物を中和、加水分解して、炭素数16/18の内部オレフィンスルホン酸ナトリウムを得た。得られた内部オレフィンスルホン酸ナトリウム中の分子量は347.1、H体/O体の質量比は87/13、原料内部オレフィンの含有量は100ppm未満(GC検出下限未満)であった。
(1-2)分岐率の算出
特開2018-66102公報の段落[0174]記載の方法〔高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC-MS)法〕で分岐スルホン酸の量を測定した。スルホン酸基が1位に存在するもの(直鎖型に相当)の含有量は2質量%、すなわち2モル%であった。
【0075】
(2)a1-2:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(分岐率:100モル%)
(2-1)花王株式会社製、商品名:ネオぺレックスG-15、有効分:16質量%、分子量:348.5
(2-2)分岐率の算出
1H-NMR測定により式(1)のR1、R2の末端メチル基(6H)のプロトンに由来するピーク(0.8ppm)と、R1、R2を連結するメチン基(1H)のプロトンに由来するピーク(2.6ppm)の面積比を算出すると、6:1であった。よって、これらのピークは分岐型構造に由来する。また、直鎖型構造に由来するピーク(例えば、R2を水素原子とした場合に生じるR1に隣接するメチレン基に由来するピーク)は検出されなかった。よって、分岐率は100モル%とした。
【0076】
(3)a1-3:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(分岐率:100モル%)
(3-1)富士フイルム和光純薬式会社製、商品名:Aerosol OT、主成分:ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、有効分:75質量%、分子量:444.6
(3-2)分岐率の算出
1H-NMR測定により式(1)のR1、R2の末端メチル基(12H)のプロトンに由来するピーク(0.8ppm)と、R1、R2を連結するメチン基(1H)のプロトンに由来するピーク(4.3ppm)の面積比を算出すると、12:1であった。よって、これらのピークは分岐型構造に由来する。また、直鎖型構造に由来するピークは検出されなかった。よって、分岐率は100モル%とした。
【0077】
(4)a1-4:第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(分岐率:86モル%)
(4-1)花王株式会社製、商品名:ラテムルPS、有効分:40質量%、分子量:314.5
(4-2)分岐率の算出
1H-NMR測定により式(1)のR1、R2の末端メチル基のプロトンに由来するピーク(0.9ppm)と、R1、R2を連結するメチン基もしくはメチレン基のプロトンに由来するピーク(2.6~2.8ppm)の面積比を算出すると、6:1とはならなかった。R1、R2を連結するメチン基(1H)のプロトンに由来するピーク(2.6ppm)と直鎖型構造(R2=H)のR1に隣接するメチレン基(2H)に由来するピーク(2.8ppm)の面積比は73:27であった。したがって、モル比は分岐型:直鎖型=86:14であり、分岐率は86モル%とした。
【0078】
(5)a51:ドデシル硫酸ナトリウム(分岐率:0モル%)
花王株式会社製、商品名:エマール0、有効分:99質量%、分子量:288.4
【0079】
<カチオン界面活性剤(B)>
(1)b1-1:ジアルキル(C12-18)ジメチルアンモニウムクロライド(分岐率:100モル%)
(1-1)花王株式会社製、商品名:コータミンD-2345P、式(2)の化合物、有効分:75質量%、分子量:474.3
(1-2)1H-NMR測定により、式(2)のR3、R4中の窒素の2つ隣のメチレン基(4H)のプロトンに由来するピーク(1.7ppm)と、R5、R6のメチル基(6H)のプロトンに由来するピーク(3.1ppm)の面積比を算出すると、4:6であった。よって、これらのピークは分岐型構造に由来する。また、直鎖型構造に由来するピークは検出されなかった。よって、分岐率100モル%とした。
【0080】
(2)b1-2:一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩(分岐率:63モル%)
(2-1)b1-2は、以下の方法で製造した。
1L反応容器に、トリエタノールアミン(1.0モル、株式会社日本触媒製、トリエタノールアミン-S)と半硬化パーム油脂肪酸(1.65モル、ACIDCHEM社製、Palmac605T)、BHT0.28gを仕込み、窒素置換を行った。次いで、窒素をバブリングしながら、170℃で常圧から13.3kPaに1時間かけて減圧して、7時間エステル化反応を行い、酸価2.0mgKOH/gのトリエタノールアミンエステル569gを得た。
得られたトリエタノールアミンエステル512g(0.9モル)とBHT0.7gを混合し、窒素雰囲気下、常圧、45~65℃でジメチル硫酸107.8g(0.855モル)を2時間かけて滴下した。60~65℃で1.5時間熟成した後、最終の第4級アンモニウム塩中の溶媒量が12質量%となるように、エタノール84.9gを加えて55~65℃で0.5時間混合し、第4級アンモニウム塩を得た。
得られた第4級アンモニウム塩を高速液体クロマトグラフ(HPLC)法により分析し、臭化テトラオクチルアンモニウムを内部標準物質として使用し定量した結果、反応物は、一般式(3)で表される第4級アンモニウム塩を88質量%、エタノールを12質量%含んでいた。分子量は716.2であった。
(2-2)分岐率の算出
高速液体クロマトグラフによる分析を行ったところ、モノエステル体(5min)とジエステル体(10min)とトリエステル体(23min)の混合物であった。これらのモル比は、37:52:11であった。ジエステル体とトリエステル体が分岐型にあたるため、分岐率は63モル%となる。
【0081】
(3)b1-3:ベンザルコニウム塩型第4級アンモニウム塩(分岐率:100モル%)
(3-1)花王株式会社製、商品名:サニゾールC、有効分:50質量%、分子量:368.1
(3-1)分岐率の算出
1H-NMR測定により、式(2)のR3中の窒素の2つ隣のメチレン基(2H)のプロトンに由来するピーク(1.9ppm)と、R4中の窒素の隣のベンジル位(2H)のプロトンに由来するピーク(4.5ppm)と、R5、R6のメチル基(6H)のプロトンに由来するピーク(3.0ppm)の面積比を算出すると、2:2:6であった。よって、これらのピークは分岐型構造に由来する。また、直鎖型構造に由来するピークは検出されなかった。よって、分岐率100モル%とした。
【0082】
<ジメチルポリシロキサン(C)>
・KF-96L-50cs:信越化学工業株式会社製、分子量:3500、動粘度:50mm2/s(25℃)、有効分:100質量%
・KF-96A-6cs:信越化学工業株式会社製、分子量:700、動粘度:6mm2/s(25℃)、有効分:100質量%
<両性界面活性剤>
・アンヒトール20AB:花王株式会社製、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、有効分:30質量%
【0083】
<界面活性剤組成物の各基板又は基材への残留量定量>
各界面活性剤組成物100mgを下記基板又は基材の表面に均一に塗布し、10mLの水道水ですすいだ後、その基板又は基材が完全に浸るまで重水素化クロロホルム(CDCl3)を入れた(ガラス基板、ポリプロピレン基板の場合は2mL、ステンレス基板、木綿・毛髪基材の場合は10mL)。
超音波を30分間かけて基板又は基材に残留したジメチルポリシロキサン(C)を抽出し、その抽出液に内部標準としてピラジンを加え、Agilent Technologies社製の超伝導フーリエ変換核磁気共鳴装置「400-MR」を用いて、1H-NMR測定を行った。
ジメチルポリシロキサン(C)の残留量は、ピラジン(8.6ppm)とシリコーン(0.0ppm)のピーク面積の積分比から算出した。
(基板又は基材)
・ガラス基板:松浪硝子工業株式会社、1×17×25mm
・ポリプロピレン(PP)基板:日本テストパネル株式会社、1×17×25mm
・ステンレス基板:株式会社スタンダードテストピース、1×20×50mm
・木綿基材:1×60×60mm
・毛髪基材:株式会社ビューラックス、1g
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
表1~4から、実施例の界面活性剤組成物は、比較例の界面活性剤組成物に比べて、固体表面上にジメチルポリシロキサンを高残留させることができることが分かる。
また、実施例3-1で得られた界面活性剤組成物を洗髪後の毛髪に塗布、すすぎ後の濡れた毛髪を静置すると、毛髪間に残留する水分が重力で迅速に自然排水され、毛髪中の水分量は、未処理のものよりも少なくなった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の界面活性剤組成物は、固体表面上にジメチルポリシロキサンを高残留させることができる界面活性剤組成物として有用である。