(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】複数の投資家への資金配当を衡平に割り当てる方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20240521BHJP
【FI】
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2020573305
(86)(22)【出願日】2019-07-05
(86)【国際出願番号】 US2019040735
(87)【国際公開番号】W WO2020010335
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-14
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520507553
【氏名又は名称】フェアシェアズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ボイデル,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ローズベリー,ジェレミー
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-319047(JP,A)
【文献】特開2004-362359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投資家に証券の配当総額を衡平に割り当てる方法であって、
支払いエージェント
デバイスが証券発行者から、前記配当総額が前記証券発行者によって発行される旨の宣言を受領するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記証券発行者に対して複数のインターバルからなる支払い期間の前記配当総額
を銀行に送るように指示するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記インターバルの終了時
における前記証券に対する前記投資家のロングポジションまたはショートポジションに関するデータ及び前記インターバル
の長さに関するデータを受信するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記データを用いて前記投資家に支払われる個別配当を計算するステップであって、前記個別配当は、少なくとも1つの前記インターバルの終了時に、前記証券を所有する投資家に前記配当総額の一部を衡平に割り当てるステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記銀行に対して、前記個別配当
を前記投資家に支払うように指示するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記
個別配当を支払うように指示するステップの後に実行されるステップであって、前記支払いエージェント
デバイスが、前記銀行が前記投資家に前記個別配当を支払ったことを確認するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記確認するステップは、前記支払いエージェント
デバイスと前記銀行とがコミュニケーションするステップを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記
個別配当を支払うように指示するステップは、前記支払い期間中にすべての証券投資家に対し個別配当を支払うように前記銀行に指示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データを受信するステップの後、かつ、前記計算するステップの前に、前記支払いエージェント
デバイスが、前記データを集約する追加のステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記データを集約するステップの後、かつ、前記計算するステップの前に、前記支払いエージェント
デバイスが前記配当総額の衡平な割り当てを計算するのに必要とするデータが欠落しているかを判定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記判定するステップの後、かつ、前記計算するステップの前に、前記支払いエージェント
デバイスが、前記衡平な割り当てを計算するのに必要とする欠落したデータを前記支払いエージェント
デバイスに提供するよう要求するステップとをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記要求するステップの後、かつ、前記計算するステップの前に、前記支払いエージェント
デバイスが、
前記支払いエージェントデバイスが前記衡平な割り当てを計算するのに必要
とする前
記データが前記支払いエージェント
デバイスに到着したのを判定することによって、データ集約期間を決定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記計算するステップは、前記投資家の
複数の株式保有期間
の合計を計算するステップを含み、
1つの株式保有期間は、前記インターバルの終わりに前記投資家が前記証券を所有し
ていた前記
1つのインターバルの長さと、
前記1つのインターバルの終了時に前記投資家によって所有される前記証券の株式数との積である
、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記計算するステップは、
前記投資家に支払われる前記個別配当を、前記投資家の株式保有期間の支払い期間の合計に等しいものとして計算
するステップ、
前記投資家の複数の株式保有期間にわたる合計を、前記支払い期間中の全投資家の株式保有期間の合計で除
算し、次いで、
前記除算した値を前記配当総額で乗ずるステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
投資家に証券の配当総額を衡平に割り当てる方法であって、
支払いエージェント
デバイスが、証券発行者から前記配当総額が前記証券発行者によって発行される旨の宣言を受領するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記証券発行者に対して、複数のインターバルからなる支払い期間の前記配当総額を銀行に送るように指示するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記インターバルの終了時
における前記証券に対する前記投資家のロングポジションまたはショートポジションに関するデータ及び前記インターバル
の長さに関するデータを受信するステップと、↓
前記支払いエージェント
デバイスが、前記データを集約するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記配当総額の衡平な割り当てを計算するために必要なデータが欠落していると判定するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、衡平な割り当ての計算に必要な欠落したデータを前記支払いエージェント
デバイスに提供するよう要求するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記衡平な割り当ての計算に必要な集約データが前記支払いエージェント
デバイスに到着したと判定することによって、データ集約期間を終えるステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記データを用いて、前記投資家に支払われる個別配当を計算するステップであって、前記個別配当は、少なくとも1つの前記インターバルの終わりに前記証券を所有する投資家に前記配当総額の一部を衡平に割り当てられ、前記計算するステップは、前記投資家の株式保有期間の前記支払い期間にわたる合計を計算するステップを含み、前記株式保有期間は、前記インターバルの終わりに前記投資家が前記証券を所有した前記インターバルの長さと、前記投資家によって所有される前記証券の株式数との積であり、前記計算するステップは、前記投資家の前記株式保有期間の合計を、前記支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で除し、次いで、前記配当総額を乗ずることを更に含むステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記銀行に対し
、前記全投資家に前記配当総額を送るように指示するステップと、
前記支払いエージェント
デバイスが、前記銀行が前記投資家に前記個別配当を支払ったことを前記支払いエージェント
デバイスが前記銀行とコミュニケーションすることによって確認するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本出願は、2018年7月5日に出願され、「Method and System for Equitably Allocating Financial Distributions」と題する米国仮特許出願第62/694,363号、2019年1月2日に出願され、「Investment Fund for Equitably Allocating Financial Distribution」と題する米国仮特許出願第62/787,563号、及び2019年5月30日に出願され、「System and Method for Removing a Distribution from a Value of a Security」と題する米国仮特許出願第62/854,886号のこれらの出願優先権の利益を主張し、引用することにより本明細書に援用される。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本出願は、本出願と同一の譲受人に譲渡される次の出願の主題に関する主題を含む。下記の出願は、本項に記載された限定を除き、その全体が引用により本明細書に援用される。以下の文献の参照による援用は、本明細書における明示的な開示に反する主題が援用されないように制限される。以下の文書の引用による援用は、文書に含まれるクレームが引用により本明細書に援用されないように、さらに制限される。上記の文献の引用による援用は、定義、否認ができるようにさらに制限される。文書に記載されている免責事項およびクレームは、本明細書に明示的に記載されていない限り、本明細書に引用として援用されない。
【0003】
Boydell氏とRoseberry氏による「INVESTMENR FUND FOR EQUITABLY ALLOCATING A FINANCIAL DISTRIBUTION TO MULTIPLE INVESTORS」。
【0004】
Boydell氏とRoseberry氏による「SYSTEM AND METHOD FOR EQUITABLY ALLOCATING A FINANCIAL DISTRIBUTION TO MULTIPLE INVESTORS USING A PAYMENT AGENT」。
【0005】
Boydell氏とRoseberry氏による「METHOD AND SYSTEM FOR ESTIMATING ACCRUED, EQUITABLY ALLOCATED DISTRIBUTION INCOME FROM A SECURITY」。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、一般に、資金配当を衡平に割り当てるための方法およびシステムに関する。本発明の実施形態は、証券所有時間、証券所有量、証券所有データ等のうちの1つ以上に基づいて、資金配当を衡平に割り当てるための方法およびシステムに関する。
【0007】
投資家に証券の配当総額を衡平に割り当てる方法は、証券発行者から支払いエージェントによって、配当総額が前記証券発行者によって発行される旨の宣言を受領するステップと、前記支払いエージェントによって、前記証券発行者に対して、複数のインターバルからなる支払い期間の前記配当総額を銀行に送るように指示するステップと、前記支払いエージェントによって、前記インターバルの終了時及び前記インターバル内における前記証券に対する前記投資家の1又は2以上のポジションに関するデータを受信するステップと、前記支払いエージェントによって、前記データを用いて前記投資家に支払われる個別配当を計算するステップであって、前記個別配当は、少なくとも1つの前記インターバルの終了時に、前記証券を所有する投資家に前記配当総額の一部を衡平に割り当てるステップと、前記銀行に対して、前記支払いエージェントによって、前記個別配当を前記投資家に支払うように指示するステップとを含む。
【0008】
投資家に証券の配当総額を衡平に割り当てる方法は、証券発行者から支払いエージェントによって配当総額が前記証券発行者によって発行される旨の宣言を受領するステップと、前記支払いエージェントから前記証券発行者に対して、複数のインターバルからなる支払い期間の前記配当総額を銀行に送るように指示するステップと、前記支払いエージェントによって、前記インターバルの終了時及び前記インターバル内における前記証券に対する前記投資家の1又は2以上のポジションに関するデータを受信するステップと、前記支払いエージェントによって前記データを集約するステップと、前記支払いエージェントが前記配当総額の衡平な割り当てを計算するために必要なデータが欠落していると前記支払いエージェントが判定するステップと、前記支払いエージェントが、衡平な割り当ての計算に必要な欠落したデータを前記支払いエージェントに提供するよう要求するステップと、前記支払いエージェントが、前記衡平な割り当ての計算に必要な集約データが前記支払いエージェントに届いたと判定するステップと、データ集約期間を終えるステップと、前記投資家に支払われる個別配当を、前記支払いエージェントが前記データを用いて計算するステップであって、前記個別配当は、少なくとも1つの前記インターバルの終わりに前記証券を所有する投資家に前記配当総額の一部を衡平に割り当てるステップとを含み、前記計算するステップは、前記投資家の株式保有期間の前記支払い期間にわたる合計を計算するステップを含み、前記株式保有期間は、前記投資家が前記証券を所有する前記インターバルの最後のインターバルの長さと前記投資家が前記インターバルの前記最後に所有する前記証券の株式の長さとの積から構成されるステップであり、前記計算するステップは、前記投資家の前記株式保有期間の合計を、前記支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で除し、次いで、前記配当総額を乗ずることを更に含むステップと、前記銀行に対し、前記支払いエージェントから、前記支払いエージェントに代わって、前記全投資家に前記配当総額を送金するように指示するステップと、前記銀行が前記投資家に前記個別配当を支払ったことを前記支払いエージェントが確認するステップとを含む。
【0009】
添付の図面は、様々な代表的な実施形態をより完全に説明するために用いられ、視覚的な表現を提供し、本明細書に開示される代表的な実施形態およびその固有の利点をよりよく理解するために当業者によって用いることができる。これらの図面において、同様の参照番号は対応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】資金配当を衡平に割り当てるためのシステムのブロック図である。
【
図2A】資金配当を衡平に割り当てるための方法の例を示す。
【
図2B】資金配当を衡平に割り当てるための方法の例を示す。
【
図2C】資金配当を衡平に割り当てるための方法の例を示す。
【
図2D】資金配当を衡平に割り当てるための方法の例を示す。
【
図3】資金配当を衡平に割り当てる方法のフローチャートである。
【
図4】資金配当を衡平に割り当てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、一般に、資金配当を衡平に割り当てるための方法およびシステムに関する。
【0012】
証券は、投資に対する金銭的リターンを期待する投資家によって取得することができる金融商品を含む。例えば、証券は、手形、普通株式、優先株、証券先物、証券スワップ、債券、社債、債券、負債の証拠、利益分配契約の利息証書、利益分配契約の参加証書、担保信託証書、事前組織証書、事前組織申込書、譲渡可能株式、投資契約書、議決権信託証書、証券のための預金証書、一又は二以上の鉱業権の端数持分、証券のプット、証券のコール、証券のストラドル、証券のオプション、証券の特権、預金証書、証券のグループ(それに関する利害を含む、またはその価値に基づく)、証券の指数(それに関する利害を含む、またはその価値に基づく)、外貨のプット、外貨のコール、外貨のストラドル、外貨のオプション、外貨に関する国家証券取引所に締結された特権、外国通貨に関する他の利息又は証券として一般に知られている証書、ブロックチェーンを含む投資契約、セキュリティトークン、スマート契約、分散型元帳システム、分配を発生させる可能性を有する契約のデジタル利息、不動産投資信託(REIT:Real Estate Investment Trust)、有限パートナーシップ利息、特別目的事業体、マスターリミテッドパートナーシップ(MLP:Master Limited Partnership)、クローズドエンド型投資信託、オープンエンド型投資信託、特別目的信託、米国預託証券(ADR:American Depository Receipt)、資産担保証券、抵当証券、不動産抵当証券担保債券、上場投資信託、短期金融資産、地方債、地方変動利付債、私募、ソブリン債、ユニット投資信託、投資会社の一又は二以上の持分証券及び投資会社への参加、投資ファンドであってプールされた投資ビークル、上場投資信託、投資信託、その他の証券。例えば、鉱業権は、ガス、石油及び他の鉱物の1又は2以上に対する権利を含む。
【0013】
証券はさらに、証券のための仮証明書、中間証明書、証券のための領収書、保証、出資するための令状、および証券のための出資および購入のための1つ以上の権利を含む。本発明の実施形態は、あらゆる収入を生み出す証券に適用することができる。
【0014】
資金配当(以下「配当」という)は、現金配当、利払い、元本、短期キャピタルゲイン、長期キャピタルゲイン、ADR証券に関連する権利の売却、資本の返還、オプション付き配当、株式分割、株式、自動配当再投資、スピンオフ、権利の分配、現物支払い、清算、税金イベント、および他の配当の一つ以上として定義することができる。株式配当は、普通株式配当、優先株配当、特別株式配当、および普通株式配当の1つまたは複数で構成される。例えば、配当は、株式非公開の1つまたは複数の配当と別の株式配当で構成される。配当金の再投資は、普通配当金の再投資の1つ以上と株式の増加から構成されている。現金配当は、通常の現金配当、外国税の納付の免除、税金の還付、特別配当、任意配当再投資、および別の現金配当のうちの1つ以上からなる。例えば、任意配当再投資は、配当を生成した証券の所有株式数の増加を含む。
【0015】
本出願の適用上、「配当総額」とは、支払い期間中に証券投資家に証券によって支払われる配当をいう。支払い期間は、投資家への支払いのために配当が計算される期間である。例えば、配当総額とは、証券によって支払い期間中にその証券のすべての投資家に支払われる配当である。本出願の適用上、「個別配当」とは、特定の支払い期間中に証券投資家に証券によって支払われる配当をいう。例えば、特定の支払い期間は、月、四半期、半年、年、および別の支払い期間の1つ以上で構成される。
【0016】
本出願の目的上、株式は、証券の所有単位を構成する。例えば、株式は、株式の1つまたは複数の株式、所有される複数の債券、および別の証券の別の所有単位で構成される。
【0017】
本出願の目的上、支払いエージェントは、証券発行者からの配当の1つ以上を受け取り、支払い期間の少なくとも一部の終了時に証券を所有する少なくとも1人の投資家への配当の衡平な割り当てを計算し、衡平に割り当てられた配当を投資家に支払うように構成されたエンティティを含む。
【0018】
好ましくは、必ずしも必要ではないが、支払いエージェントは、証券発行者からの配当を受け取るように構成されたエンティティと、インターバルの終わりにおける証券投資家のポジションに関するデータおよびインターバルの長さに関するデータを受け取るようにさらに構成されたエンティティと、支払い期間の少なくとも一部の終わりにおいて証券を所有する少なくとも1人の投資家への配当の衡平な割り当てを計算するようにさらに構成されたエンティティと、投資家に衡平に割り当てられた配当を支払うようにさらに構成されたエンティティとを含む。
【0019】
例えば、インターバルは1時間、1日、2日、3日、および7日のうちの1つ以上で構成される。例えば、インターバルは1つの曜日で構成される。例えば、インターバルは2日間の週末が含まれる。例えば、インターバルは3日間の週末が含まれる。
【0020】
衡平な割り当て方法
本発明の実施形態は、証券の保有者に資金配当を衡平に割り当てる方法を含む。例えば、本方法は、証券が所有されている期間のうちの1つ以上と、支払い期間の1つ以上の期間にわたって保有される潜在的に変動する量の証券とを考慮する。
【0021】
本発明の特定の実施形態によれば、株式の数は、ある期間を通して一定でなくてもよく、その場合、システムおよび方法は、ある期間の終わりに所有される株式の数を、所有される株式として使用することができる。
【0022】
システム及び方法は、証券の負債を割り当てるためにも使用することができる。当該方法はまた、有価証券によって生じた短期キャピタルゲイン、有価証券によって生じた長期キャピタルゲイン、有価証券によって生じた短期キャピタルロス、及び有価証券によって生じた長期キャピタルロスのうちの1つ以上を割り当てるために使用することができる。システムは、衡平に配当を割り当てる実施形態と同様に動作する。
【0023】
1つの例として、衡平な割り当てを計算するステップの一部として、システムは株式保有期間を合計し、株式保有期間は、支払い期間内の期間の終了時に保持されている株式数と期間の長さの積として定義される。
株式保有期間=[(保有株式数)*(株式を保有する期間の長さ)]
【0024】
本出願の目的上、個別配当は、配当が、支払い期間中の証券における株式保有期間の合計を、支払い期間中の証券における全投資家の株式保有期間の合計で除し、かつ、総分配を乗じたものに等しい場合に、衡平と定義される。
【0025】
たとえば、投資家に支払われる衡平な割り当ては、投資家の株式保有期間の支払い期間の合計を、支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で除算し、支払い期間中の証券の配当総額で乗算した値に等しくなる。
【0026】
システムは投資家に支払われる個別配当を計算し、個別配当は、投資家の株式保有期間の支払い期間の合計を、支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で除され、その後、配当総額で乗算されるのに等しい。
【0027】
この計算の結果は、証券投資家が資金配当を衡平に割り当てる方法に従って受け取る個別配当を表す。通常、必ずしも必要ではないが、結果は投資家の1つまたは複数の通貨と証券に用いられる通貨を表す通貨で計算される。たとえば、通貨は米ドルで構成される。投資家が現金ではなく株式を受け取ることを選択した場合、現金は、個別配当を株価で割ることによって株式に変換することができる。
【0028】
この例を見るための一つの方法は、支払い期間について、システムは本質的に、所定の投資家によって保有される株式の数の「時間を重みづけした合計」を計算し、全投資家によって保有される株式の数の「時間を重みづけした合計」で割って、その支払い期間中に支払われる配当総額で乗算することである。
【0029】
次の例では、インターバルを1日、支払い期間を90日としている。第1の投資家は18,000株の投資から始まり、第2の投資家は0株の投資から始まり、第3の投資家は0株の投資から始まる。投資家が保有する株式の数量は、支払い期間中に変更することができる。衡平な分配方法は、支払い期間中に保有する株式の数量の変動を考慮するように構成される。支払期間中の配当総額Dは18,000ドルであり、投資家の投資レベルに応じてシステムによって3つの投資家に衡平に分配される。
【0030】
支払い期間の配当総額Dが与えられると、システムは、第1の投資家への衡平な配当DP1-invention、第2の投資家へのDP2-invention、及び第3の投資家へのDP3-inventionを計算するが、この単純化された例では、合計3つの投資家を含む。まず、システムは、3つの投資家のそれぞれについて、株式保有期間の総数S1、S2、およびS3を計算する。
【0031】
したがって、例えば、第1の発明者について、本発明の実施形態に従って、支払い期間の1日目にx1株の証券を保有し、支払い期間の2日目にx2株の証券を保有し、支払い期間の3日目にx3株の証券を保有し、以下同様に、支払い期間のn日目まで、その証券を保有する第1の投資家について、合計数(株式保有期間)S1=[(最初の発明者が所有する株式数)*(最初の発明者が株式を保有する期間の長さ)]を計算するために使用可能な式は、以下の通りである
【0032】
【数1】
ここで、x
1は初日に第1の発明者が保有する証券の株式保有期間の数に等しく、x
2は2日目に第1の発明者が保有する証券の株式保有期間の数に等しく、一般的にx
nはn日目に第1の発明者が保有する証券の株式保有期間の数に等しい。n日目は、最初の投資家が証券の株式を所有していた支払い期間の最終日である。n日目は、支払い期間の最終日であってもなくてもよい。システムは、同様の式を使用して、第2の投資家についての株式保有期間の総数S
2と、第3の投資家についての株式保有期間の総数S
3とを計算する。
【0033】
この単純化された例では、すべてのインターバルは1日に等しいため、各日の所有株式数のすべての乗算に1が掛けられる。
【0034】
次に、システムは、S1、S2およびS3の合計に等しい株式保有期間Stotalの合計数を計算する。
【0035】
【0036】
次に、システムは、第1の投資家に対する第1の衡平な配当DP1-inventionを、第1の投資家の株式保有期間S1を3人の投資家全員の株式保有期間Stotalの総数で除した比率を計算することにより計算し、次いで、その積に、支払い期間中の証券の配当総額Dを乗算する。つまり、
【0037】
【数3】
ここで、Dは、前述のとおり、支払い期間にわたる配当総額である。システムは同様の式を使用して、次のことを行う。第2の投資家への第2の衡平な配当DP2および投資家への第3の衡平な配当DP3を計算する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表2】
【表3】
【0038】
この例では、証券発行者が支払い期間$18,000の配当総額Dを支払いエージェントに送信する。第1の投資家の株式保有期間S1は、表に示すように1,080,000と計算される。第2の投資家の株式保有期間S2は、表に示すように450,000と計算される。第3の投資家の株式保有期間S3は、表に示すように90,000と計算される。株式保有期間Stotal=S1+S2+S3=1,080,000+450,000+90,000=1,620,000がさらに計算される。
【0039】
式(3)を用いると、システムは計算し、
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
このシステムでは、投資家1が、この例の期間にわたって投資金額の合計の66.67%を所有しており、第1の配当支払DP1-inventionに対して$12,000の権利があると計算される。このシステムでは、第1の投資家に対して、衡平に配分された第1の配当支払DP1-inventionに対して$12,000が支払われる。これとは対照的に、従来のシステムでは、第1の投資家は$0を受け取る。従来のシステムでは、最後の記録保持者のみが配当を受け取る。第1の投資家は基準日よりも前に株式を売却しているため、第1の投資家は従来の制度による配当を受ける権利を有さない。
【0044】
このシステムでは、第2の投資家が、この例の期間にわたって投資金額の合計の27.78%を所有しており、5,000ドルの第2の配当支払DP2-inventionを受ける権利があると計算される。このシステムでは、投資家2に5,000ドルの衡平に配分された第2の配当支払DP2-inventionが支払われる。これとは対照的に、従来のシステムでは、第1の投資家と同様に、第2の投資家は0ドルを受け取る。従来のシステムでは、最後の記録保持者のみが配当を受け取る。第2の投資家は基準日よりも前に株式を売却したため、第2の投資家は従来の制度に基づく配当を受ける権利を有さない。
【0045】
このシステムでは、第3の投資家は、この例の期間中、投資金額の合計の5.56%を所有しており、1,000ドルの第3の配当金DP3-inventionを受け取る権利があると計算される。このシステムでは、第3の投資家に対して、衡平に配分された第3の配当金DP3-inventionに1,000ドルが支払われる。これとは対照的に、従来のシステムでは、支払い期間中の所有権が5.56%のみであった投資家3は、18,000ドルの配当金の全額を受け取る。従来のシステムでは、証券は、配当落ち日の配当額だけ下落する。したがって、最初は、第3の投資家が第1の投資家および第2の投資家より有利であるように見えるかもしれないが、投資家3の収益の大部分は、分配に対して負っている証券および税金の価値の低下によって相殺される。
【0046】
これらの配分は、配当総額に対する比率が投資家のそれぞれの投資水準と正確に一致しているため、衡平である。本発明の実施形態は、先行技術が配当落ち日に経験するような証券の価格のその後の下落を有さない。先行技術の投資家はより大きな分配を受けるが、これは、原証券の価値の低下によって相殺される。この資本の損失は、分配に対して支払われる税金と共に、本発明の投資家の実施形態よりも低いリターンを生成する。
【0047】
付録には、資金配当を衡平に割り当てる方法の擬似コードが記載されている。
【0048】
図1は、資金配当を衡平に割り当てるためのシステム100のブロック図である。システム100は、証券発行者110と、証券発行者110に動作可能に接続された支払いエージェント120と、支払いエージェント120に動作可能に接続された銀行130と、支払いエージェント120に動作可能に接続された投資家140A、140B、140Cとを含み、投資家140A、140B、140Cもそれぞれ銀行130に動作可能に接続される。
【0049】
例えば、証券発行者110は、投資ファンド、株式を発行したエンティティ、債券を発行したエンティティ、および別の証券発行者のうちの1つまたは複数を含む。支払いエージェント120は、証券発行者110から、配当総額が証券発行者によって発行されるという宣言を受領するように構成される。支払いエージェント120は、支払いエージェント120がデータソースから受信するレコードを使用して証券所有権データを集約するようにさらに構成される。通常、必ずしもそうではないが、支払いエージェント120は、複数のデータソースから受信したセキュリティ所有権データを集約する。たとえば、データソースは、預託信託会社(DTC;Depository Trust Company)、トランスファーエージェント、カストディアン、ブローカーディーラー、および別のデータソースの1つ以上を含む。
【0050】
証券発行者110は、支払いエージェント120に配当を送信し、投資家140A、140B、140Cに資金配当を衡平に割り当てるためのシステム100を使用して最終的に衡平に割り当てられるように構成される。証券発行者110は、支払い期間の配当総額を支払いエージェント120に送信する。例えば、証券発行者110は、配当総額を、支払い期間の終了時、支払い期間の終了前、および支払い期間の終了後に、毎晩、毎週、毎月、四半期ごとに一回以上支払いエージェント120に送信する。
【0051】
支払いエージェント120は、証券発行者110から受け取った配当総額を保持するように構成される。支払いエージェント120は、システム100および資金配当を衡平に割り当てる方法を使用して、支払い期間中の個々の投資家による個別配当を計算するようにさらに構成される。支払いエージェント120はさらに、証券発行者110に配当総額を銀行130に送信するように指示するように構成される。例えば、支払いエージェント120は、証券発行者110に、支払いエージェントが資金配分の衡平な割り当てを計算するまで、配当総額を保持するために銀行130に送信するように指示するようにさらに構成され、その時点で、支払いエージェント120は、銀行130に、配当総額を投資家140A、140B、140Cに送信するように指示する。あるいは、またはさらに、支払いエージェント120は、衡平な割り当てを計算するために必要な集約データが支払いエージェントに到着したと支払いエージェントが判断した後、投資家140A、140B、140Cへの資金分配の衡平な割り当てを計算し、それによってデータ集約を終了する。たとえば、データ集約には、必要なデータが支払いエージェントに到着したかどうか、あるいは、支払いエージェントが配当総額の衡平な割り当てを計算する必要があるデータが欠落しているかどうかを判断することが含まれる。
【0052】
例えば、データ集約期間はほぼゼロであり得る、すなわち、データ集約の終了は、衡平な割り当ての計算と一致し得る。たとえば、データの集約期間は約90日であり得る。たとえば、データの集計期間は約180日であり得る。例えば、データ集約期間は、ほぼゼロから約1年までの期間を含むことができる。
【0053】
支払いエージェント120は、銀行130に対して、投資家140A、140B、140Cに衡平に割り当てられた個別配当を支払うように指示する。あるいは、または加えて、支払いエージェント120は、銀行130に、1つまたは複数の仲介者(不図示)を介して1つまたは複数の投資家140A、140B、140Cに衡平に割り当てられた個別配当を支払うように指示する。その後、支払いエージェント120は、支払いが銀行によって適切に行われたことを確認する。例えば、支払いエージェント120は、銀行130とコミュニケーションすることによって支払いが行われたことを確認する。
【0054】
本発明の実施形態はまた、証券が保持されるインターバルに基づいて、収入を生み出す証券の将来の配当の推定値を生成するために使用することができる。この将来の配当の推定値は、1つ以上のブローカー、カストディアン、および投資マネージャーが1つ以上の財務諸表および報告ソフトウェアに含めることができる。将来の配当の推定値は、本発明の実施形態に従って、支払い期間の推定所得に基づいて計算された未収所得のリアルタイムでの計算である。
【0055】
図2A~2Dは、資金分配を衡平に割り当てるための方法の例を示している。この例は、従来技術の証券と比較して、本発明の実施形態に従って証券を購入することの経済的利点を示している。この例では、どちらも結果に影響を与えないため、所有期間中に市場の上昇または減価が発生しないことを前提とする。
【0056】
この例では、投資家は90日間の四半期の85日目に証券を購入する。この例では、配当落ち日の1日後または91日目の「評価日」における投資家への税引き後純利益を示している。この表は、この例での購入株式数、総投資収益率、およびその他の関連取引データを示している。
【表4】
【表5】
【表6】
【0057】
図2Aは、価格210対証券230の時間(日)220のチャート200であり、その価格は、資金分配を衡平に割り当てるための方法およびシステムを用いて計算される。
図2Aはまた、先行技術の証券240の価格対時間220(日)を示す。本発明の証券230は、支払い期間の間、配当を徐々に割り引く。システムは、予想される配当支払いと証券の価格の下落を説明するために、支払い期間中に支払われるべき負債を発生させることによって、証券の価格を割り引く。そして、証券が配当落ち日245にその証券の分配金を支払うと、その証券の価格は四半期の最終日に分配金と等しい差引額250だけ下落し、その後、従来技術の証券の価格設定はその日の本発明の実施形態の価格設定と同一である。
【0058】
図2Bは、購入価格260の棒グラフ255であり、先行技術のシステムの下で$100.93の購入価格を表す先行技術の購入価格バー265を示し、本発明の実施形態を使用して$100.00の購入価格を表す本発明の購入価格バー270を示す。
【0059】
図2Cは、購入株式数275の棒グラフ272であり、先行技術のシステムの下で購入株式数277が9,908に等しいことを示し、本発明の実施形態を使用して購入株式数275が10,000に等しいことを示す。
【0060】
図2Dは、リターン285の棒グラフ280であり、先行技術のリターン290を-0.3413%の先行技術のシステムの下で示し、本発明のリターン295を+0.0400%の本発明の実施形態を用いて示している。
【0061】
図3は、資金配当を衡平に割り当てるための方法300のフローチャートである。
【0062】
方法300におけるステップの順序は、
図3に示されるものまたは以下の議論において説明されるものに限定されない。最終結果に影響を与えずに、いくつかの手順を異なる順序で実行できる。
【0063】
ステップ305において、支払いエージェントは、証券発行者から、証券発行者が証券の配当総額を発行するという宣言を受領する。次に、ブロック305は、制御をブロック310に移す。
【0064】
ステップ310において、支払いエージェントは、複数のインターバルを含む支払い期間の配当総額を、支払いエージェントに代わって銀行に送るように証券発行者に指示する。例えば、指示するステップは、支払い期間中にすべての証券投資家に個別配当を支払うよう銀行に指示するステップをさらに含む。次に、ブロック310は、制御をブロック315に移す。
【0065】
ステップ315において、支払いエージェントは、複数のインターバルを含む支払い期間についての配当総額を銀行に送るように証券発行者に指示する。次に、ブロック315は、制御をブロック320に移す。
【0066】
ステップ320において、支払いエージェントは、インターバルの終了時およびインターバルの長さにおける証券投資家のポジションの一つまたは複数に関するデータを受信する。次に、ブロック320は、制御をブロック330に移す。
【0067】
ステップ330において、支払いエージェントは、そのデータを用いて、投資家に支払われる個別配当を計算し、その個別配当は、少なくとも一つのインターバルの終わりに、その証券を所有する投資家に配当総額の一部を衡平に割り当てる。例えば、計算するステップは、投資家の株式保有期間の支払い期間にわたる合計を計算することを含み、株式保有期間は、投資家がその証券を所有していたインターバルの長さと、当該インターバルの終了時に当該投資家が所有していた証券の株式との積からなり、計算するステップは、さらに、当該投資家の株式保有期間の合計を、支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で割ることと、その後、配当総額で乗算することとを含む。例えば、計算は、投資家の株式保有期間の支払い期間の合計に等しい投資家に支払われる個別配当を計算し、支払い期間中のすべての投資家の株式保有期間の合計で除算してから、配当総額で乗算することを含む。次に、ブロック330は、制御をブロック340に移す。
【0068】
ステップ340において、支払いエージェントは、銀行に対し、支払いエージェントに代わって個別配当を投資家に支払うように指示する。次に、ブロック340は、制御をブロック350に移す。
【0069】
ステップ350において、支払いエージェントは、銀行が投資家に個別配当を支払ったことを確認する。例えば、支払いエージェントは銀行とコミュニケーションすることによって確認を行う。次に、ブロック350は、プロセスを終了する。
【0070】
この方法は、オプションとして、データを受信するステップの後、かつ計算するステップの前に実行されるステップであって、支払いエージェントによってデータを集約する追加ステップを含む。
【0071】
この方法は、オプションとして、データを集約するステップの後、かつ計算するステップの前に実行されるステップであって、支払いエージェントが配当総額の衡平な割り当てを計算するために必要なデータが欠落しているかどうかを判断する追加のステップをさらに含む。
【0072】
この方法は、オプションとして、判断するステップの後、かつ計算するステップの前に実行されるステップであって、衡平な割り当てを計算するために必要な欠落データが支払いエージェントに提供されることを支払いエージェントによって要求する追加のステップを含む。
【0073】
この方法は、オプションとして、要求するステップの後、かつ計算するステップの前に実行されるステップであって、衡平な割り当てを計算するために必要な集約データが支払いエージェントに到着したことを支払いエージェントが判断し、それによってデータ集約期間を終了する追加のステップを含む。
【0074】
図4は、資金配当を衡平に割り当てるための方法400のフローチャートである。
【0075】
方法400におけるステップの順序は、
図4に示されるものまたは以下の議論において説明されるものに限定されない。最終結果に影響を与えずに、いくつかの手順を異なる順序で実行できる。
【0076】
ステップ405において、支払いエージェントは、証券発行者から、証券発行者が証券の配当総額を発行するという宣言を受領する。次に、ブロック405は、制御をブロック410に移す。
【0077】
ステップ410において、支払いエージェントは、複数のインターバルを含む支払い期間の配当総額を、支払いエージェントに代わって銀行に送るように証券発行者に指示する。次に、ブロック410は、制御をブロック430に移す。
【0078】
ステップ430において、支払いエージェントは、インターバルの終了時およびインターバルの長さにおける証券における投資家のポジションの一つまたは複数に関するデータを受信する。次に、ブロック430は、制御をブロック440に移す。
【0079】
ステップ440において、支払いエージェントはデータを集約する。次に、ブロック440は、制御をブロック450に移す。
【0080】
ステップ450において、支払いエージェントは、衡平な割り当てを計算するために必要な欠落データを支払いエージェントに提供するよう要求する。次に、ブロック450は、制御をブロック460に移す。
【0081】
ステップ460において、支払いエージェントは、衡平な割り当てを計算するために必要な集約データが支払いエージェントに到着したかどうかを照会し、それによってデータ集約期間を終了する。「yes」の場合、システムはブロック470に進み、「no」の場合、システムはステップ450にループバックする。
【0082】
ステップ470において、支払いエージェントは、当該データを用いて、投資家に支払われる個別配当を計算し、少なくとも一つのインターバルの終わりに当該証券を所有する投資家に配当総額の一部を衡平に割り当てる。計算するステップは、当該投資家の株式保有期間の支払い期間にわたる合計を計算することを含み、株式保有期間は、当該投資家が当該証券を所有するインターバルの終わりにおけるインターバルの長さと当該投資家が当該インターバルの終わりに所有する当該証券の株式との長さとの積からなり、計算するステップは、さらに、当該投資家の株式保有期間の合計を、支払い期間中に、すべての投資家の株式保有期間の合計で除し、次いで、配当総額を乗ずることを含む。次に、ブロック470は、制御をブロック480に移す。
【0083】
ステップ480において、支払いエージェントは、銀行に対して、支払いエージェントに代わって、すべての投資家に個別配当を支払うように指示する。次に、ブロック480は、制御をブロック490に移す。
【0084】
ステップ490において、支払いエージェントは、銀行とコミュニケーションすることによって、銀行が投資家に個別配当を支払ったことを確認する。次に、ブロック490は、プロセスを終了する。
【0085】
「ディストリビューションプレミアム」とは、投資家に対して支払われるべき配当の全部または実質的にすべての合計額であり、相殺債務を伴わない有価証券の価値まで発生する。ディストリビューションプレミアムは、証券の価値を公正価値以上に騰貴する。
【0086】
本発明の実施形態によれば、$1.00の配当が支払われるべき配当落ち日の前日に投資ファンドを購入した投資家は、原証券の正確な価値を反映する一株当たり100ドル(現行制度では101.00ドルではない)しか支払わず、支払い期間中に回収された配当は負債として計上することができるため、投資家はディストリビューションプレミアムを支払わない。代替的に、または追加的に、本発明の追加的な実施形態によれば、支払い期間中に回収された分配金は相殺負債を有する資産として記録されるので、投資家はディストリビューションプレミアムを支払わない。代替的に、または追加的に、投資家は実質的にディストリビューションプレミアムを支払わない。
【0087】
本発明の実施形態の利点は、投資家に支払うべき配当を負債として計上することにより、配当支払いをより正確に計上できることである。本発明の実施形態の利点は、確定利付商品を購入する際に累積利息を支払う必要がなくなることであり、それにより、1つ以上のより良い投資収益およびより効率的な市場を促進する。
【0088】
本発明の実施形態のさらなる利点は、証券の割引価格のために、投資家がより多くの株式を購入することができ、税投資リターンの前後でより高いことを達成できることである。本発明の実施形態のさらなる利点は、投資家が、配当に関連する個々の証券価格の下落に関連する1つ以上のボラティリティおよびキャピタルロスを回避できることである。
【0089】
本発明の実施形態の利点は、支払い期間の最終日に証券を保有する投資家のみが全体の配当を受け、他の投資家は何も受けない現在のシステムとは異なり、任意の期間の証券を保有する支払い期間中のすべての投資家が個別配当を受けることである。本発明の実施形態の利点は、投資家が、単一の証券の価格に埋め込まれたディストリビューションプレミアムの支払いを回避することを可能にし、それによって、増加した購買力、増加した税引前および税引後の投資リターン、および有害な税金イベントの回避の1つ以上を達成することである。本発明の実施形態のさらなる利点は、証券の価格はディストリビューションプレミアムなしで評価されるので、配当落ち日における証券価格の現在の必須の下落は必要ないということである。本発明の実施形態のさらなる利点は、配当落ち日の直前に証券を購入し、配当落ち日の直後に証券を販売することによって、投資家がシステムを利用する可能性を排除することである。本発明の実施形態のさらに別の利点は、より正確な証券の価格を提供することである。本発明の実施形態のさらに他の利点は、投資家にとってより有益な証券の価格を提供することである。
【0090】
本発明の実施形態のさらなる利点は、投資家が収入をもたらす証券を購入した瞬間から投資家が収入をもたらす証券を売却した瞬間まで、投資家が確実に支払いを受けることを含む。本発明の実施形態のさらなる利点は、別のファンドを含むファンドを保有する投資家が、各証券レベルで複数のディストリビューションプレミアムを支払うことを回避することを可能にすることである。本発明の実施形態のさらなる利点は、それによって、投資家が、基礎となる投資の価値を実質的に上回る金額を支払うことを妨げることである。
【0091】
本発明の実施形態の別の利点は、配当の頻度を変更できることである。
【0092】
本発明の実施形態のさらなる利点は、収益、利息および他の配当のより衡平な割り当てである。もう一つの利点は、個人が主たる当事者でない取引に対する課税を防ぐことである。本発明の実施形態の別の利点は、キャピタルゲインを分配するファンドの投資家は、利得の比例分配分についてのみ責任を負うことである。本発明の実施形態の別の利点は、本発明の実施形態が、証券を1年未満保有することを計画している投資家、および株式を1年未満保有することを計画している投資マネージャーのうちの1つ以上に適していることである。
【0093】
本発明の実施形態のさらなる利点は、1)本発明の実施形態に従って証券を購入することは、従来技術の証券と比較して投資収益率が向上することである。2)本発明の実施形態に従って証券を購入することは、1つ以上の先行技術の証券と比較して投資家の購買力も向上させる。したがって、投資家は、先行技術の証券の株式と比較してより多くの株式を蓄積することができる。3)本発明の実施形態に従って証券を購入することは、証券のボラティリティが低下し、リスク調整後のリターンが増加する。4)本発明の実施形態に従って証券を購入することは、投資家が、最大2倍の税金がかかるキャピタルゲインではなく、適格所得としてより多くの利益を実現することができる。5)本発明の実施形態に従って投資ファンドまたは単一の証券を購入することは、投資家は、証券を購入する際に、組込型の配当または利息の追加コストを支払うことを回避することができ、また、証券の価値が高くなったために増加した投資運用料を支払うことを回避することができる。
【0094】
本発明の実施形態のさらなる利点は、11ヶ月間ファンドを所有する投資家が短期および長期のゲインの配当に関連する課税対象事象を発生させず、配当落ち日の15日前にファンドを購入する投資家が年間の課税対象負債を負担するという非論理的な結果を回避することである。
【0095】
本発明の実施形態のさらなる利点は、証券の価値をその公正価値を超えて騰貴し、投資家に証券の割増金を支払わせる現在の会計処理を排除することである。ディストリビューションプレミアムは、投資家が証券を所有するために支払う運用報酬を増やし、投資家が購入できる証券の数を減らす。
【0096】
本発明の実施形態のさらなる利点は、投資ファンドのトラッキングエラーが低減されることである。
【0097】
本発明の実施形態のさらに別の利点は、投資家がより多くの利益を得ることができることである。本発明の実施形態のさらに別の利点は、証券の公正な価格設定を可能にすることである。
【0098】
例えば、資金配当を衡平に割り当てるための方法およびシステムによって使用されるソフトウェアは、それが装置によってアクセスされ得る任意の場所に配置され得ることが当業者によって理解されるであろう。方法および装置のバリエーションの数は実質的に無限であることが、当業者によってさらに理解されるであろう。したがって、上記記載の主題事項は例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。例えば、
図1のシステム図における異なる構成要素の相互接続は、本発明に従って一貫して動作している間に異なることができる。
【0099】
上記の代表的な実施形態は、例示的な構成における特定の構成要素を用いて説明されてきたが、他の代表的な実施形態が、異なる構成および/または異なる構成要素を用いて実施可能であることは、当業者には理解されよう。例えば、本発明の機能を実質的に損なうことなく、特定のステップおよび特定の構成要素の順序を変更することができることが当業者には理解されよう。
【0100】
本明細書に詳細に記載されている代表的な実施形態および開示された主題は、限定ではなく、例および例示として提示されている。本発明の範囲内に留まる等価な実施形態をもたらす、記載された実施形態の形態および詳細に様々な変更がなされ得ることは、当業者には理解されよう。したがって、上記記載の主題事項は例示的なものとして解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0101】
[補足]
以下は資金配当を衡平に割り当てるための方法の擬似コードである。
#ステップ1:希望する配当を定義する。
【0102】
【数7】
#ステップ2:全日において所有期間およびインターバルの間に全投資家が所有されたすべての配当を加える。
【0103】
【数8】
#ステップ3:所有期間の間に配当を受け取るすべての投資家のリストを作成する。
【0104】
【数9】
#ステップ4:それぞれの投資家について配当を計算する
【0105】