(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】頸椎牽引装置
(51)【国際特許分類】
A61F 5/01 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61F5/01 G
(21)【出願番号】P 2021027922
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】202010631822.5
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011467755.4
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520276844
【氏名又は名称】ホー,ホイ ミン マイケル
【氏名又は名称原語表記】Ho,Hoi Ming Michael
【住所又は居所原語表記】H2,The Terrace at The Bloomsway,28 Tsing Ying Road,Tuen Mun,NT.,Hong Kong
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ホイ ミン マイケル
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533744(JP,A)
【文献】登録実用新案第3164421(JP,U)
【文献】特開2006-141499(JP,A)
【文献】特開2005-124609(JP,A)
【文献】米国特許第06397415(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/00-6/24
A47G 9/10
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部、荷重部、第1のエアバッグ、2つの第2のエアバッグ及びインフレータブルデバイスを具備する、膨張式の頸椎牽引装置であって、
前記支持部は、
使用者の頸部を支持するための上面と第1の凹溝が設けられる底面とを有すると共に、前記支持部の中央部分に配置される頸部支持体と、
前記支持部の右側寄り及び前記支持部の左側寄りにそれぞれ位置して、前記支持部の前側面から伸び出すと共に、底面に第2の凹溝が配置され、前部が使用者の肩部を当たるように使用される、2つの肩当接部と、
を備え、
前記荷重部は、仰向けに寝る使用者の後頭部の位置を支持し得ると共に、前記荷重部の上面の高さは、前記支持部の上面の高さよりも低く構成され、
前記第1のエアバッグは、前記第1の凹溝に収容され、前記第1のエアバッグは、第1の軸に沿って膨張または収縮し、前記第1のエアバッグが前記第1の軸に沿って膨張または収縮することに連れて、前記頸部支持体の上部が前記第1の軸に沿って変位され、
2つの前記第2のエアバッグはそれぞれ対応的な前記第2の凹溝に収容され、前記第2のエアバッグは、第2の軸に沿って膨張または収縮し、複数の前記第2のエアバッグがそれぞれ前記第2の軸に沿って膨張または収縮することに連れて、複数の前記肩当接部の前部が前記第2の軸に沿って変位されるようになり、前記第2の軸が実質的に前記第1の軸に垂直となり、
前記インフレータブルデバイスは、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグと接続され、前記インフレータブルデバイスは、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグを膨らませるか、又はしぼませることにより、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグの膨張または収縮サイズを変化させることを特徴とする、頸椎牽引装置。
【請求項2】
前記頸椎牽引装置に2つの第3の凹溝及び2つの第3のエアバッグが配置され、前記第3の凹溝のそれぞれは前記第1の凹溝に関し反対側に位置し、前記各第3のエアバッグは対応的に前記第3の凹溝に収容され、前記第3のエアバッグは前記第1の軸に沿って膨張または収縮し、前記第3のエアバッグが前記第1の軸に沿って膨張または収縮するにつれて、前記頸椎牽引装置の頂部が前記第1の軸に沿って変位することを特徴とする、請求項1に記載の頸椎牽引装置。
【請求項3】
前記インフレータブルデバイスは、
複数の管体と、
複数の前記管体の中の1つ管体に取り付けられる、第1の空気弁と、
複数の前記管体の中の他の管体にそれぞれ取り付けられる、少なくとも1つの第2の空気弁と、
複数の前記管体を介して前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグとそれぞれ連通して、前記第1の空気弁が開けられた状態において、前記第1のエアバッグを膨らませたりしぼませたりすることができ、前記第2の空気弁が閉じられた状態において、複数の前記第2のエアバッグを膨らませたりしぼませたりすることができる、インフレータブル部と、を備えることを特徴とする、請求項1に記載の頸椎牽引装置。
【請求項4】
前記頸椎牽引装置に複数の理学療法部が設けられ、複数の前記理学療法部は、前記頸部支持体と対応的な位置に、前記使用者の頸部にフィットするように配置されることが可能であり、複数の前記理学療法部は、理学療法装置と電気的に接続されることにより、前記理学療法装置からの電力を受電することができることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の頸椎牽引装置。
【請求項5】
前記頸椎牽引装置に複数の理学療法部が設けられ、複数の前記理学療法部は、前記頸部支持体と対応的な位置に、前記使用者の頸部にフィットするように配置されることが可能であり、複数の前記理学療法部は、理学療法装置と電気的に接続されることにより、前記理学療法装置からの電力を受電することができ、
前記頸椎牽引装置は、少なくとも枕本体及び枕カバーで構成され、前記枕カバーは前記枕本体を包むように用いられ、前記頸部支持体及び複数の前記肩当接部が前記枕本体に配置され、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグが前記枕本体内に配置され、複数の前記理学療法部が前記枕カバーに配置され、前記インフレータブルデバイスが前記枕本体及び前記枕カバーの外部に位置し、複数の
前記管体は、前記枕カバーを通過して前記枕本体内に伸び込むことが可能であることを特徴とする、請求項
3に記載の頸椎牽引装置。
【請求項6】
複数の前記理学療法部において、少なくとも1つの前記理学療法部に電気治療ユニットが配置され、前記電気治療ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電して、前記使用者の頸部に電気刺激を与えることが可能であることを特徴とする、請求項
4または5に記載の頸椎牽引装置。
【請求項7】
複数の前記理学療法部において、少なくとも1つの前記理学療法部に温熱治療ユニットが配置され、前記温熱治療ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、熱量を生成して前記使用者の頸部を温熱することが可能であることを特徴とする、請求項
4または5に記載の頸椎牽引装置。
【請求項8】
複数の前記理学療法部において、少なくとも1つの前記理学療法部に電気治療ユニットが配置され、前記電気治療ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、前記使用者の頸部に電気刺激を与えるか、又は前記使用者の頸部を温熱することが可能であることを特徴とする、請求項
4または5に記載の頸椎牽引装置。
【請求項9】
複数の前記理学療法部において、少なくとも1つの前記理学療法部に温熱治療混合ユニットが配置され、前記温熱治療混合ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、前記使用者の頸部に電気刺激を与えるか、又は前記使用者の頸部を温熱することが可能であることを特徴とする、請求項
4または5に記載の頸椎牽引装置。
【請求項10】
複数の前記理学療法部において、少なくとも1つの前記理学療法部に電気治療ユニット及び温熱治療混合ユニットが配置され、前記電気治療ユニット及び前記温熱治療混合ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、前記使用者の頸部に電気刺激を与えるか、又は前記使用者の頸部を温熱することが可能であることを特徴とする、請求項
4または5に記載の頸椎牽引装置。
【請求項11】
前記第1のエアバッグは、第1の軸方向に第1の最大膨張状態となるように膨らませることが可能であり、前記第1のエアバッグが前記第1の軸方向での長さの最大値は、75mm~85mmであることを特徴とする、請求項1~
10のいずれか1項に記載の頸椎牽引装置。
【請求項12】
複数の前記第2のエアバッグのそれぞれは、第2の軸方向に、第2の最大膨張状態となるように膨らませることが可能であり、前記第2のエアバッグが第2の軸方向での長さの最大値は、55mm~65mmであることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の頸椎牽引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頸椎牽引装置に関し、特に、独立した3つのエアバッグが内蔵された膨張式の頸椎牽引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頸椎の上側は頭蓋骨に、下側は胸腔につながっているので、その重要性は自明となり、現代人は頚椎症(または頚椎症、頚椎症性関節症)に悩む人が増えていく。その原因の多くは、悪い習慣(長時間頭を下げたまま携帯電話やゲーム機、パソコンを操作する、間違った立ち姿勢や座り姿勢など)や、仕事上の要求(運転など)で首が長時間固定されたままになっていること、過度の心理的ストレスなどが原因となっている。前述した何れの状態も、使用者の首の筋肉が時間の経過とともに引き締まり、頸椎関節の変形や椎間板の変性や膨らみ(つまり過度の圧迫)の原因となることがあり、これにより、神経のインピンジメント(nerve impingement)、関節炎症、関節痛、椎間板の早期変性や菲薄化が起こり、最終的には腕の痙攣やしびれ、慢性的な頭痛、慢性的な首や肩の痛みなどの症状が出てくることになってしまうこともある。
【0003】
頚椎症、特に慢性的な首や肩の機能障害の多くは、首や肩上部の筋肉の引き締め、頚椎の関節や椎間板への過度の圧迫などが原因となり、前述のような状態になると神経の炎症(irritation)及び圧迫(impingements)が起こりやすくなり、その結果、患者はほぼ毎日、特に一日中首や肩の痛みに悩まされ、痛みを悪化させ、夜もリラックスして眠れない状態が続いている。また、市販の枕は、頚椎症の患者にはほとんど役に立たない。その代わり、市販の枕で長時間わたって寝ると、より激しい頸部や肩の痛み、頭痛または腕の痛みやしびれを引き起こすことがある。一般的に、慢性的な頸部や肩の機能障害を持つ患者に対しては、複数の椎間板間の圧迫を和らげ、頸部や肩の筋肉をリラックスさせるとともに、椎間神経への圧迫や刺激を軽減させ、頸部や肩の痛みを和らげるために、医師は頸椎牽引療法を推奨することが多い。なかでも、牽引(Traction)とは、外力で関節を引き離すことで、関節と関節の間でつながっている筋肉を緩めることを言い、牽引は、関節に効果があるだけでなく、引き締まった筋肉や腱または靭帯などを弛緩させる効果があり、また、脊椎傍神経への圧迫や刺激を軽減することで、痛みやしびれを解消し、関節の可動性を向上させることができる。
【0004】
実際には、ほとんどの患者さんは、従来の治療に必要な時間や費用を支払うことができず、そのような患者さんが実際に治療を受けられず、不必要に苦しむことになる。また、頚椎牽引にはフリーハンド牽引と機械牽引があるが、前者2つは高度な訓練を受けた医療従事者しか行うことができない。しかし、常に治療を受けている患者にとっては、必要に応じて適切な治療を行う医療提供者のケアーを受けられないことが多く、そのような患者の苦痛を効果的に和らげることができないという問題があった。治療が行われていない場合や、治療がうまくいかない場合には、鎮痛剤やクリーム、パッチなどを試す患者さんもいるが、前述した薬の効果は限定的であり、長期的に使用すると酷い副反応が出ることがある。
【0005】
また、既存の頸椎牽引装置には、他にも以下のような問題点がある。従来、既存の頸椎牽引装置は、典型的には、頸椎に対する牽引(Traction)操作を行うために、頭部または頸部ハーネスを使用して頭部を頸部から縦方向に引き離すようにしている。病院やクリニックでは、上記の既存の頸椎牽引装置をカウンターウエイトまたは電動モータで駆動して、牽引(Traction)動作を完了させる必要がある。さらに、これらの既存の頸椎牽引装置は、かさばることがあり、使用時に不快を感じると共に、利用するのが難しくなり、医療従事者の助けが必要になることも少なくない。また、従来の頸椎牽引装置は枕として使用することができないため、使用者が横になっているときや寝ているときには、この従来の頸椎牽引装置を使用することができない。
【0006】
上記のように、首の筋肉の引き締め、頸椎の関節への過度の圧迫、椎間板の変性や膨らみ、神経の圧迫や炎症などによる慢性的な頭痛、慢性的な首や肩の機能不全などの痛みが原因で、健康状態や生活の質が悪化する人は少なくないが、良い改善方法はない。したがって、多くの時間または費用を費やすことなく、使用者が自分で頸椎牽引を行うことができるように、上述した問題点を効果的に解決することは、本発明の重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の頸椎牽引装置が未だに欠陥を有しているという事実に鑑み、本発明者は、長年の勤勉な研究と実験を経て、ようやく本発明に係る膨張式頸椎牽引装置を開発した。本発明を導入することで、利用者経験が向上し、既存の課題を効果的に解決できるようになることが期待される。
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、頸部支持体と肩当接部が使用者の頸部または肩部にかける力を変化させ、頸椎を牽引する頸椎牽引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する技術的手段の1つとしては、支持部、荷重部、第1のエアバッグ、2つの第2のエアバッグ及びインフレータブルデバイスを含む膨張式頸椎牽引装置と提供することにある。なかでも、前記支持部は、頸部支持体及び2つの肩当接部を含む。前記頸部支持体は、前記支持部の中央に配置され、頸部支持体の上面に、使用者の頸部を支えるために用いられ、頸部支持体の底面に第1の凹溝が凹設される。2つの前記肩当接部はそれぞれ、前記支持部に、前記支持部の右側、左側よりに配置される、2つの前記肩当接部はそれぞれ、前記支持部の前側から伸びだす。2つの前記肩当接部の前部は、前記使用者の肩部に当たるために用いられ、前記肩当接部の底面のそれぞれに、第2の凹溝が凹設されている。前記荷重部は、仰向けに寝る使用者の後頭部を支持するために用いられ、かつ、前記荷重部における上面の高さは、前記支持部における上面の高さよりも低い。前記第1のエアバッグは、前記第1の凹溝に収容され、前記第1のエアバッグは、第1の軸に沿って膨張または収縮し得る。前記第1のエアバッグが前記第1の軸に沿って膨張または収縮する状態において、前記頸部支持体の上部は、前記第1の軸に沿って変位するようになる。複数の前記第2のエアバッグはそれぞれ対応的に前記第2の凹溝に収容される。前記第2のエアバッグは、第2の軸に沿って膨張または収縮し得る。複数の前記第2のエアバッグが前記第2の軸に沿って膨張または収縮する状態において、複数の前記肩当接部の前部は、前記第2の軸に沿って変位する。なかでも、前記第2の軸は、実質的に(substantially)前記第1の軸に垂直となる。前記インフレータブルデバイスは、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグのサイズを変更するように、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグを膨らませるか又はしぼませるために、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグと互いに接続される。そのように、前記インフレータブルデバイス(前記インフレータブルデバイスは手動または電気駆動のいずれかにしてもよい)を操作することにより、使用者は、頚椎牽引の効果を果たすために、自分の意志で、前記第1のエアバッグ及び前記第2のエアバッグの膨張サイズを調整することで、前記頸部支持体及び前記肩当接部が頸部または肩部にかける力を調整することができる。
【0009】
必要に応じて、前記頸椎牽引装置に2つの第3の凹溝及び2つの第3のエアバッグがさらに配置され、なかでも、前記第3の凹溝のそれぞれは前記第1の凹溝に関し反対側に位置し、前記第3のエアバッグのそれぞれは対応的に前記第3の凹溝に収容され、前記第3のエアバッグは前記第1の軸に沿って膨張または収縮し、前記第3のエアバッグが前記第1の軸に沿って膨張または収縮するにつれて、前記頸椎牽引装置の頂部が前記第1の軸に沿って変位する。
【0010】
必要に応じて、前記インフレータブルデバイスは、複数の管体、第1の空気弁、少なくとも1つの第2の空気弁及びインフレータブル部を含んでもよい。なかでも、前記第1の空気弁は複数の管体における一方の管体に取り付けられることができ、少なくとも1つの前記第2の空気弁は、複数の前記管体における他方の管体に取り付けられることができる。前記インフレータブル部は、複数の前記管体に介して、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグにそれぞれ連通し得る。前記第1の空気弁が開いているままの状態において、前記インフレータブル部は前記第1のエアバッグを膨らませたり、又はしぼませたりすることができる。前記第2の空気弁が開いているままの状態において、前記インフレータブル部は、複数の前記第2のエアバッグを膨らませたり、又はしぼませたりすることができる。
【0011】
必要に応じて、前記第1のエアバッグは、前記第1の軸に沿って、第1の最大膨張状態となるように膨らませることができる。かつ、前記第1のエアバッグが第1の軸方向での長さの最大値は、75mm~85mmである。
【0012】
必要に応じて、複数の前記第2のエアバッグは、前記第2の軸方向に、それぞれ第2の最大膨張状態となるように膨らませることができる。かつ、前記第2のエアバッグが第2の軸方向での長さの最大値は、55mm~65mmである。
【0013】
必要に応じて、前記頸椎牽引装置には、複数の理学療法部が設けられてもよい。複数の前記理学療法部は、前記頸部支持体と対応した位置に、前記使用者の頸部にフィットするように配置されることが可能である。かつ、複数の前記理学療法部は、前記理学療法装置からの電力を受電するために理学療法装置と互いに電気的に接続されてもよい。好ましい実施形態において、複数の前記理学療法部における少なくとも1つの前記理学療法部に電気治療ユニットが配置される。前記電気治療ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、さらにその電力で、前記使用者の頸部に電気刺激を与えるように構成される。好ましい実施形態において、複数の前記理学療法部における少なくとも1つの前記理学療法部に、温熱治療ユニットが配置される。前記温熱治療ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、その電力で熱量を生成し、前記使用者の頸部に熱を与えるように構成される。好ましい実施形態において、複数の前記理学療法部における少なくとも1つの前記理学療法部には、電気治療ユニットまたは/及び温熱治療混合ユニットが配置される。前記電気治療ユニットまたは/及び前記温熱治療混合ユニットは、前記理学療法装置からの電力を受電し、前記使用者の頸部に対して電気刺激又は熱量を与えるように構成される。
【0014】
必要に応じて、前記頸椎牽引装置は、少なくとも枕本体及び枕カバーで構成される。かつ、前記枕カバーは前記枕本体を包むように用いられる。なかでも、前記頸部支持体及び複数の2つの前記肩当接部は、前記枕本体に配置され、前記第1のエアバッグ及び複数の前記第2のエアバッグは、前記枕本体内に配置され、複数の前記理学療法部が前記枕カバーに設けられ、前記インフレータブルデバイスが、前記枕本体及び前記枕カバーに対して外部に配置され、複数の前記管体が前記枕カバーを介して前記枕本体内に伸び込むように構成される。
【0015】
本発明は、その目的、技術的特徴、及びその有効性をさらに説明するために、特定の実施形態を添付図面とともに以下に詳細に説明するが、添付図面は参考及び説明のためだけに提供されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る頸椎牽引装置の概念を示す斜視図である。
【
図2】使用者が本発明に係る頸椎牽引装置に寄りかかった状態を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る頸椎牽引装置を示す上方からみた分解斜視図である。
【
図4】本発明に係る頸椎牽引装置を示す下方からみた分解斜視図である。
【
図5】使用者が本発明に係る頸椎牽引装置に寄りかかった状態を示す底面図である。
【
図6A】本発明に係る頸椎牽引装置において、第1のエアバッグが膨らませて変化される前の状態を示す模式図である。
【
図6B】本発明に係る頸椎牽引装置において、第1のエアバッグが膨らませて変化される後の状態を示す模式図である。
【
図7A】本発明に係る頸椎牽引装置において、または第2のエアバッグが膨らませて変化される前の状態を示す模式図である。
【
図7B】本発明に係る頸椎牽引装置において、第2のエアバッグが膨らませて変化される後の状態を示す模式図である。
【
図8A】本発明に係る頸椎牽引装置において、第1のエアバッグまたは第2のエアバッグが膨らませて変化される前の状態を示す模式図である。
【
図8B】本発明に係る頸椎牽引装置において、第1のエアバッグまたは第2のエアバッグが膨らませて変化される後の状態を示す模式図である。
【
図9】本発明に係る複数のインフレータブル部を備える頸椎牽引装置を示す斜視図である。
【
図10】本発明は係る複数のインフレータブル部の頸椎牽引装置を示す上方からみた分解斜視図である。
【
図11】本発明に係る複数のインフレータブル部の頸椎牽引装置を示す下方からみた分解斜視図である。
【
図12】本発明に係る第3のエアバッグを備える頸椎牽引装置を示す上方からみた分解斜視図である。
【
図13】本発明に係る第3のエアバッグを備える頸椎牽引装置を示す下面分解図である。
【
図14】本発明に係る頸椎牽引装置において第1の、第2の、第3のエアバッグにかかる相対位置を示す平面図である。
【
図15】本発明に係る他の実施形態の頸椎牽引装置を示す底面図である。
【
図16】本発明に係る他の実施形態の頸椎牽引装置を示す左側面からみた斜視図である。
【
図17】本発明に係る他の実施形態の頸椎牽引装置を示す右側面からみた斜視図である。
【
図18】本発明に係る第一実施形態において、理学療法装置がリリースまたはロック機構を介して位置決め部に固定される状態を示す斜視図である。
【
図19】本発明に係る第一実施形態において、理学療法装置及び位置決め部を分解的に示す分解斜視図である。
【
図20】本発明に係る第一実施形態において、理学療法装置、リリースまたはロック機構及び位置決め部の詳細を示す分解斜視図である。
【
図21】本発明に係る第一実施形態において、理学療法装置、リリースまたはロック機構及び位置決め部の詳細を示す分解斜視図である。
【
図22】本発明に係る第二実施形態において、理学療法装置が位置決め部に固定される状態を示す斜視図である。
【
図23】本発明に係る第二実施形態において、理学療法装置及び位置決め部を示す正面からみた分解斜視図である。
【
図24】本発明に係る第二実施形態において、理学療法装置及び位置決め部を示す背面からみた分解斜視図である。
【
図25】本発明に係る第三実施形態において、理学療法装置が位置決め部に固定される状態を示す斜視図である。
【
図26】本発明に係る第三実施形態において、理学療法装置及び位置決め部を示す分解斜視図である。
【
図27】本発明に係る第三実施形態において、理学療法装置及び位置決め部を示す分解斜視図である。
【
図28A】本発明において、理学療法部に配置される電気治療ユニットを示す斜視図である。
【
図28B】本発明において、理学療法部に配置される温熱治療ユニットを示す斜視図である。
【
図28C】本発明において、理学療法部に配置される電気治療またはユニットまたは温熱治療混合ユニットを示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記より、具体的な実施形態により本発明が開示する「頸椎牽引装置」を説明する。当業者は本明細書の公開内容により本発明のメリット及び効果を理解し得る。本発明は他の異なる実施形態により実行又は応用できる。本明細書における各細節も様々な観点又は応用に基づいて、本発明の精神逸脱しない限りに、均等の変形と変更を行うことができる。また、本発明の図面は簡単で模式的に説明するためのものであり、実際的な寸法を示すものではない。以下の実施形態において、さらに本発明に係る技術事項を説明するが、公開された内容は本発明を限定するものではない。
【0018】
本明細書では、第1の、第2の等の用語は、様々な構成要素または信号を記述するために使用され得るが、構成要素または信号の各々は、用語によって制限されないことが理解されたい。前述の用語は、主に、ある構成要素を別の構成要素から、またはある信号を別の構成要素から区別するために使用される。また、その後の実験形態において言及されている「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」等の方向性用語は、添付図面の方向性を参照しているに過ぎない。したがって、使用される方向性用語は、例示のためのものであり、本発明の保護範囲を限定することを意図するものではない。さらに、本明細書で使用される「または」という用語には、場合によっては、関連して記載されたもののいずれかまたは複数のものの組み合わせが含まれるものとする。
【0019】
さらに、本明細書で使用される「実質的に」(substantially)または「約」という用語は、当該技術の当業者によって認識または決定され得る特定の値からの拡張の範囲内の値または複数の値の平均値を指すことができる。それは、測定システムまたは装置の限界を考慮して、その特定の値を測定する際に発生する可能性のある特定の誤差を含む。例えば、実質的に(substantially)記載された値は、±5%、±3%、±1%、±0.5%、±0.1%、またはその特定の値に対する1つ以上の標準偏差の範囲を含む。
【0020】
以下の実施形態では、本発明に係る技術的側面をさらに詳細に説明するが、本開示は、本発明に係る保護範囲を限定することを意図するものではない。
【0021】
本発明は、膨張式頸椎牽引装置を開示する。説明の便宜上、後続の文脈が逆な明示が示されない限り、後続の実施形態では、
図1の右下を組立体の前側位置として、
図1の左上を組立体の後側位置として、
図1の上を組立体の上側位置として、
図1の下を組立体の下側位置として、
図1の右上を組立体の右側位置として、
図1の左下を組立体の左側位置として説明する。なお、本発明は、その例に制限されない。特定の実施形態において、頸椎牽引装置Sは、前部から後部に渡って少なくとも支持部S1と荷重部S2が分割される。なかでも、支持部S1及び荷重部S2の上面形状は、人間工学的に頸椎の自然な湾曲に適合するように設計されており、荷重部S2の上面の高さが支持部S1の上面の高さよりも低くなるようになっている。
【0022】
以上のことを踏まえて、再度、
図1及び
図2を参照して、使用者が仰向けの姿勢で頸椎牽引装置Sに寄りかかった時、荷重部S2は、使用者の後頭部の位置(例えば、
図2に示すように)を支持できる。同時に、支持部S1は、対応的に使用者の頸部位置に位置し、人間の頸椎の生理的前弯(cervical lordosis)と対応する支持力を一致させ、使用者が頸椎を正しいアライメントと姿勢に戻すように支援を与える。また、頸椎牽引装置Sそのものは弾性力を備えるために、使用者が頸椎牽引装置Sに寄りかかった時、頸椎牽引装置Sは、上面が使用者の頭や頸部の表面形状にフィットするように変形し、所望の耐荷重・支持効果を発揮するようになる。
【0023】
図3及び
図4に示すように、本実施形態において、頸椎牽引装置Sは、枕本体1及び枕カバー2を含む。枕カバー2内に、枕本体1を包み込むために用いられる包み込む空間20が設けられる。そのように、枕本体1が包み込む空間20に位置決められる。なかでも、枕カバー2の形状は、枕本体1とマッチングされているため、枕本体1が枕カバー2に包み込まれたとしても、枕カバー2は、枕本体1の形状とぴったり合わせるようになり、枕本体1の形状はそのまま維持できるため、
図1において、後の説明に登場する枕本体1に係る各要素の位置が表示されている。
【0024】
また、再度、
図3及び
図4を参照する。実施形態において、枕本体1は、発泡体または他のエラストマーまたは充填材で構成されてもよい。枕本体1に、支持部S1及び荷重部S2が配置される。なかでも、支持部S1の中央部に、頸部支持体11が配置される。頸部支持体11の上面は使用者の頸部(例えば、
図2に示すように)を支持し得る。また、頸部を支持する効果をよりうまく果たせるために、使用者の頸部をほぼ完全に、しっかりと支持するように、頸部支持体11の前部が前方にある程度で延在する。そのように、頸部支持体11が使用者の頸部をフィットして支持している時、使用者の頭部が自然と後傾するので、使用者の頭部をより安定して荷重部S2に休ませることができる。
【0025】
また、再度、
図3及び
図4を参照する。支持部S1にはさらに2つの肩当接部12が配置される。2つの肩当接部12はそれぞれ頸部支持体11の両側に位置する。実施形態において、肩当接部12の一方が支持部S1に位置すると共に、支持部S1の左側よりも支持部S1の右側寄りの位置に配置される。肩当接部12の他方は、支持部S1に位置すると共に、支持部S1の右側よりも支持部S1の左側寄りの位置に配置される。2つの肩当接部12はそれぞれ、支持部S1の前部から伸び出してもよい。使用者の頭部が頸椎牽引装置Sに寄りかかった時、2つの肩当接部12の前部は対応的に使用者の肩部を当たるようになる(例えば、
図5に示すように)。
【0026】
また、再度、
図3及び
図4を参照する。頸部支持体11の底面に第1の凹溝110が凹設され、かつ、第1のエアバッグ13は、第1の凹溝110に収容され得る。なかでも、第1のエアバッグ13は、第1の軸(例えば、
図3における上下方向に沿うZ軸)に沿って膨張または収縮し得る。第1のエアバッグ13が第1の軸に沿って膨張または収縮する時、頸部支持体11の上面を第1の軸に沿って、例えば、上下方向に沿って変位させることができる。特定の実施形態において、第1のエアバッグ13は、第1の最大膨張状態に膨らませた時、第1のエアバッグ13における第1の軸方向での長さの最大値は、75mm~85mmとなるが、本発明は、この例に制限されない。ところで、第1のエアバッグ13が第1の凹溝110に収容され、かつ、第1のエアバッグ13が膨張または収縮する時の力が頸部支持体11の上面を変位させるのに十分であれば、第1の凹溝110の位置は、本発明における頸部支持体11の底面と呼ばれるものと相当する。
【0027】
また、再度、
図3及び
図4を参照する。2つの肩当接部12のそれぞれの底面に第2の凹溝120が凹設され、かつ、2つの第2のエアバッグ14がそれぞれ対応的な第2の凹溝120に配置される。なかでも、2つの第2のエアバッグ14は、第2の軸に沿って膨張または収縮する(例えば、
図3の前後方向に沿うX軸)。かつ、第2の軸は実質的に(substantially)第1の軸に垂直となる。ところで、「実質的に垂直」とは、垂直(第1の軸と第2の軸となす角度が90度である)、及び「垂直に近い」を含む。2つの第2のエアバッグ14がそれぞれ第2の軸に沿って膨張または収縮する時、2つの肩当接部12の前部を第2の軸に沿って、例えば、前後方向に変位させる。特定の実施形態において、第2のエアバッグが第2の最大膨張状態に膨らませた時、第2のエアバッグにおける第2の軸方向での長さの最大値は、55mm~65mmとなるが、本発明は、この例に制限されない。ところで、2つの第2のエアバッグ14がそれぞれ対応的な第2の凹溝120に収容され、2つの第2のエアバッグ14が膨張または収縮する時の力が、肩当接部12の前部を変位させるのに十分であれば、第2の凹溝120の位置は、本発明における肩当接部12の底面と呼ばれるものと相当する。
【0028】
また、再度、
図3及び
図4を参照する。インフレータブルデバイス15は、別々に独立した第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14とそれぞれ接続される。インフレータブルデバイス15が作動する時、第1のエアバッグ13と2つの第2のエアバッグ14を膨らませたり、又はしぼませたりし、それにより、第1のエアバッグ13と2つの第2のエアバッグ14の膨張または収縮サイズを変化させることができる。実施形態において、インフレータブルデバイス15は、インフレータブル部151、複数の管体152、第1の空気弁153、及び第2の空気弁154を含む。なかでも、インフレータブル部151は、手押し式インフレータブルギャングポンプの形態を例示されているが、これに限定されない。他の実施形態では、電動式インフレータブルギャングポンプを使用することもできる。複数の管体152は、枕カバー2と枕本体1に伸び込んでそれぞれ第1のエアバッグ13と2つの第2のエアバッグ14に連通するように構成されてもよい。そのように、インフレータブル部151は、複数の管体152を介して複数の第1のエアバッグ13または第2のエアバッグ14を膨らませたり、又はしぼませたりすることができる。また、第1の空気弁153は、複数の管体152の中の1つの管体152に取り付けられて、かつ、当該管体152が第1のエアバッグ13と連通するために用いられる。第2の空気弁154は、複数の管体152の中のもう1つの管体152に取り付けられ、かつ、当該管体152は、第2のエアバッグ14と連通するために用いられる。
【0029】
以上のことを踏まえて、再度、
図3及び
図4を参照して、第1の空気弁153が開けられると、インフレータブル部151は、第1のエアバッグ13を膨らませたり、又はしぼませたりすることができるようになる。逆に、第1の空気弁153が閉じられると、インフレータブル部151は、第1のエアバッグ13を膨らませたり、又はしぼませたりすることができなくなる。同様に、第2の空気弁154が開けられると、インフレータブル部151は、2つの第2のエアバッグ14を膨らませたり、又はしぼませたりすることができるようになる。逆に、第2の空気弁154が閉じられると、インフレータブル部151は、2つの第2のエアバッグ14を膨らませたり、又はしぼませたりすることができなくなる。実施形態において、2つの第2のエアバッグ14を膨らませたり又はしぼませたりするための第2の空気弁154は1つしか配置されていないが、本発明に係る他の実施形態において、何れかの第2のエアバッグ14の膨張または収縮を別々に行う2つの第2の空気弁154が配置されてもよい。また、実際に使用する場合、使用者は、第1の空気弁153及び第2の空気弁154の両方とも、開いた状態にして、それにより、インフレータブル部151が同時に第1のエアバッグ13及び2つの第2のエアバッグ14を膨らませることにしてもよい。しかし、第1のエアバッグ13による膨張させる効率を高めるために、第1の空気弁153のみを開けて、第2の空気弁154を閉じるようにしてもよい。同じように、第2のエアバッグ14による膨張させる効率を高めるために、第2の空気弁154のみを開けて、第1の空気弁153を閉じるようにしてもよい。
【0030】
図1、
図2、
図6A及び
図6Bを参照する。使用者は、頭部を頸椎牽引装置Sに預けた時、インフレータブル部151によって第1のエアバッグ13を膨らませるようにしてもよい。その時、第1のエアバッグ13が徐々に膨らませることによって、頸部支持体11の上面も徐々に上昇し、さらに使用者の頸部を連れて上昇させるようになり、そのように、使用者の頸椎が自然的な生理的前弯に戻されると予想される弓形状になる。頸部支持体11の上面が未だ第1のエアバッグ13の膨張で変位していない時、頸部支持体11の上面、もっと精確に言えば、
図3に示されたZ軸方向において、頸部支持体11における第1のエアバッグ13の最高点の位置と対応する位置が、頸部支持体11の底面に対応して、上面の高さがあり、それは、第1の高さN1として定義される。第1のエアバッグ13が第1の最大膨張状態に膨らませて頸部支持体11の上面が対応的な位置に変位された時、頸部支持体11の上面、或いはもっと精確に言えば、
図3に示されたZ軸方向において、頸部支持体11における第1のエアバッグ13の最高点の位置と対応する位置が、頸部支持体11の底面に対して、上面の高さがあり、それが第2の高さN2として定義されてもよい。また、特定の実施形態において、変位される前の頸部支持体11の第1の高さN1が、変位された頸部支持体11の第2の高さN2に相対する比は、およそ1:1.10~1:1.70である。かつ、特定の実施形態において、当該比は、およそ1:1.26~1:1.46となるのが好ましい。そのように、第1のエアバッグ13の構成によって、使用者が頸椎牽引装置Sに横たわっている間、頸椎牽引装置Sを調整して、使用者の頸部あたりのエリアに対して適当な高さ及び安定性を与えることができる。そのように、使用者の首を正しい位置に保ち、良い姿勢を保ち、使用者の頸椎を整えるのに役立つようになる。
【0031】
図5、
図7A及び
図7Bを参照する。インフレータブル部151が2つの第2のエアバッグ14を膨らませる時、2つの第2のエアバッグ14は徐々に膨らませていく。それにより、2つの肩当接部12の前部が徐々に前方に変位され、さらに使用者の肩部を押し付けるようになる、即ち、肩部を使用者の脚に向かむ方向に向かって押し付けるようになる。
再度、
図7A及び
図7Bを参照する。肩当接部12その前側面から枕本体1の後側面までの長さを有している。肩当接部12の前側面が未だ第2のエアバッグ14の膨張により変位されていない時、肩当接部12の前側面から枕本体1の後側面までの長さが第1の長さM1として定義される。対応した第2のエアバッグ14が第2の最大膨張状態まで膨張したのが原因で、肩当接部12の前側面が対応的な位置に変位された時、肩当接部12の前側面から枕本体1の後側面までの長さは、第2の長さM2として定義されてもよい。また、特定の実施形態において、変位される前の肩当接部12の第1の長さM1が、変位された第2の長さM2に相対する比は、およそ1:1.01~1:1.15であり、なお、特定の実施形態において、その比は、およそ1:1.04~1:1.12となるのが好ましい。
【0032】
図8A及び
図8Bに示すように、第1のエアバッグ13が膨張する時、頸部支持体11の上面が第1の軸に沿って(例えば、上向きに)変位される。一方、第2のエアバッグ14が膨張する時、肩当接部12のそれぞれの前部が第2の軸に沿って(例えば、前向きに)変位される。側面視において、頸椎牽引装置Sに対する使用者の頭頸部の位置は、頸椎牽引装置Sの2変位方向(第1軸及び第2軸に沿った方向、例えば上方向及び前方)に対して斜めにある。
図3及び
図12に示すように、頸部支持体11の上面が第1のエアバッグ13の膨張により変位されておらず、かつ、肩当接部12の前側面も第2のエアバッグ14の膨張により変位されていない時、頸部支持体11の上面における、第1のエアバッグ13のZ軸方向の最高点に対応する位置が、第1の軸と第2の軸(例えば、
図3に示されたZ軸とX軸)が定義した平面に対して投影した投影点と、肩当接部12の前側面の中心点が平面に投影した投影点とは、その間の距離が第1の距離T1と定義されてもよい。頸部支持体11の上面が、対応した第1のエアバッグ13が第1の最大膨張状態に膨張したことにより、対応的な位置に変位されて、かつ、肩当接部12の前側面が、対応した第2のエアバッグ14が第2の最大膨張状態に膨張したことにより、対応的な位置に変位された時、2つの投影点の間の距離が第2の距離T2と定義されてもよい。また、一部の実施形態において、第1の距離T1が第2の距離T2に相対する比は、およそ1:1.30~1:1.95である。かつ、特定の実施形態において、その比は、およそ1:1.55~1:1.75となるのが好ましい。
【0033】
上記を踏まえて、使用者の頭首部が頸椎牽引装置Sに寄りかかっている状態において、使用者の頭部が荷重部S2に沈み込み、かつ、頸部が頸部支持体11に支えられているため、その頭部と頸部がアンカー(anchor)として、頸椎牽引装置Sに位置決められる。その後、2つの第2のエアバッグ14が膨らませる時、それぞれが使用者の肩部を頭部から離れるように押し付けて、それにより、使用者の頸部と肩部の筋肉に対して引っ張る牽引力を作り、その結果、頸椎の複数の椎体の間の椎間板スペースが増加しこのような椎間板内の圧力を下げることができるだけでなく、神経穴径を大きくすることで、神経圧迫症状を改善し、首や肩の痛み、腕のけいれん、しびれなどの症状を回避したり、軽減したりすることができる。仕組みにより、使用者の頸部や肩上部の筋肉をストレッチし、頸椎に牽引治療を行うことで、頸椎の引き締まった筋肉をほぐし、頸椎の椎間板の圧迫を緩和することで、脊髄神経(spinal nerves)の圧迫、肩上部の痛み、腕のけいれん、しびれなどの頸部の痛みの原因となる症状を軽減または解消することが可能となる。そのように、使用者は、頸部支持体11と肩当接部12が使用者の頸部または肩部にかかる力を変更させるように、インフレータブルデバイス15を操作するのみで、頚椎牽引の効果を果たすことができる。
【0034】
図9から
図11に示すように、一部の実施形態において、インフレータブルデバイス15は複数のインフレータブル部151を含む。複数のインフレータブル部151は、手押しインフレータブルポンプの形態で構成されてもよい。複数のインフレータブル部151の中の1つは、少なくとも1つの管体152に接続されてもよい。インフレータブル部151は、それと対応する少なくとも1つの管体152を介して、第1のエアバッグ13を連通されてもよい。第1の空気弁153は、第1のエアバッグ13と連通されていないインフレータブル部151に対応した少なくとも1つの管体152に取り付けられてもよい。複数のインフレータブル部151の中のもう1つは、他の少なくとも1つの管体152に接続されてもよい。もう1つのインフレータブル部151は、それに対応したもう1つの管体152を介して、2つの第2のエアバッグ14と連通されてもよい。第2の空気弁154は、第2のエアバッグ14に連通されるインフレータブル部151と対応した少なくとも1つの管体152に取り付けられてもよい。
【0035】
図12から
図14を参照する。一部の実施形態において、頸椎牽引装置Sは、第1のエアバッグ13及び第2のエアバッグ14の他、膨張可能な第3のエアバッグ19を少なく2つ含んでもよい。枕本体1の底面に2つの第3の凹溝190が凹設されてもよい。第3の凹溝190のそれぞれは、第1の凹溝110に対して両側に配置されると共に、枕本体1における両端部に近接するように配置される。例えば、第3の凹溝190の一方は枕本体1の右側端に近接し、他方は枕本体1の左側端に近接するように配置されてもよい。第3のエアバッグ19はそれぞれ対応的に第3の凹溝190に収容されてもよい。第3のエアバッグ19は第1の軸(例えば、
図12における上下方向に沿ったZ軸)に沿って膨張または収縮できる。第3のエアバッグ19が第1の軸に沿って膨張または収縮するにしたがって、枕本体1の上面又は枕カバー2の上面は第1の軸に沿って上下方向に移動される。そのように、使用者が頸椎牽引装置Sの使用にあたり、第1のエアバッグ13または第2のエアバッグ14の作動が原因で使用者の頭部と肩部が頸部支持体11から側方向に滑って離れることを防ぐことが可能であるため、使用者の頭部と肩部をより安定的に頸椎牽引装置Sにおける第1のエアバッグ13に対応した位置に固定すると共に、使用者の肩部を頸椎牽引装置Sにおける第2のエアバッグ14のそれぞれに対応した正確な位置(例えば、
図14に示した位置)に保持できる。それで、優れた牽引、電気治療または温熱治療の効果が図れる。
【0036】
また、第3のエアバッグ19の配置によって、横向き寝に慣れた使用者(side sleeper)が、頸椎牽引装置Sの側部に頭を寝かせて休息や睡眠をとる際に、頸椎牽引装置Sの側部の高さや固さ(firmness)を調整できる。詳しくは、仰向け寝に慣れている使用者(back sleeper)には、頸椎に対応した領域の高さや固さに対応するように、頸椎牽引装置Sにおいては頸部支持体11と第1のエアバッグ13が利用されている。即ち、使用者の頸椎をより良く支持し、頚椎前弯を自然な状態に戻すために、第1のエアバッグ13の膨張または収縮の度合いを変化させる(すなわち、頸椎の正しいアライメントと姿勢を回復させる)。しかしながら、使用者の頭頸部の支持、頸椎のアライメントや姿勢への影響という点からみれば、頸椎牽引装置Sに対して横向きに寝ることに慣れている使用者にとっては、頸椎に対応した領域が、頸部支持体11と第1のエアバッグ13に対応した領域からさらに離れてしまうため、第1のエアバッグ13のみで頸部支持体11に対応する頸椎牽引装置Sの高さや硬さを調整しても、横向きに寝ている使用者にとってはまだ十分な満足感を得ることができない。また、横向き寝に慣れた使用者は、仰向け寝に慣れている使用者よりも頭部と肩部の支持、または頸椎の正しいアライメントの回復と維持が必要な場合がある。その理由は、側臥位の場合には、肩部と頭部または頸部(例えば、頭部の側面)との垂直方向の距離が、仰臥位の場合において背部と頭部または頸部との垂直方向の距離よりも、大きくなるからである。
再度、
図1から
図14を参照する。第3のエアバッグ19を備えた頸椎牽引装置Sは、横向き寝に慣れた使用者が必要とする頭部及び頸部のサポートを増加させるとともに、適切な頸部のアライメントを回復して維持できる。これは、横向き寝に慣れた使用者が頸椎牽引装置Sの側枕部に頭部の側面を載せる際に、頸椎牽引装置Sにおける頸部支持体11と第1のエアバッグ13に対応する側枕部の高さや固さに加えて、頸椎牽引装置Sの側枕部の高さや固さも調整することができる。例えば、枕本体1における左右両側に近接し第1のエアバッグ13に対応する上面、及び枕カバー2における左右両側に近接し第1のエアバッグ13に対応する上面は、第1のエアバッグ13を膨張又は収縮する程度に連れて変位される。即ち、側臥する際の頸椎牽引装置Sが頭部側面を支える高さと固さを調整することによって、脊椎を正しいアライメントと姿勢に維持または回復させることができる。そのため、第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14及び第3のエアバッグ19の特性及び利点を利用することで、頸椎牽引装置Sは、仰臥位でも側臥位でも毎日の枕として使用できる。
【0037】
再度、
図12及び
図13を参照する。第1のエアバッグ13を膨らませたりしぼませたりすることで第1のエアバッグ13の膨張程度を調整するために、インフレータブルデバイス15は第1のエアバッグ13に連通される。複数のインフレータブル部151において、三つ目のインフレータブル部151は少なくとも別の管体152に接続され、そのように、当該インフレータブル部151に対応する管体152を介して第3のエアバッグ19に連通する。第3の空気弁155は第3のエアバッグ19に対応的に連通したインフレータブル部151の管体152に対応的に組合せており、第3の空気弁155が開けられると、当該インフレータブル部151は第3のエアバッグ19を膨張又は収縮することが可能である。一方、第3の空気弁155が閉じられた時、インフレータブル部151は第3のエアバッグ19を膨張又は収縮できなくなる。一部の実施形態において、三つ目のインフレータブル部151は二つある場合、それらが別々に1つの第3のエアバッグ19の膨張又は収縮を調整するに担当してもよいが、本発明はこの例に制限されない。また、他の実施形態において、第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14及びまたは第3のエアバッグ19に対応するインフレータブル部151には、第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14及びまたは第3のエアバッグ19を別々に又は一緒に膨張又は収縮するかについて選択できる電気インフレータブルポンプを採用してもよい。
【0038】
ところで、本発明は、
図1に示した例に制限されない。
図1の実施形態において、第2のエアバッグ14が膨らませていない時、肩当接部12の前側面は前方に伸びて突起部として形成される。
図15から
図17に示すように、本発明に係る他の実施形態において、頸椎牽引装置Sにおける2つの肩当接部12はそれぞれ、頸部支持体11の左右側に配置されると共に、第2のエアバッグ14が膨らませていない時に、
図1のように支持部S1の前側面から伸びて突起部として形成されるようにはしない。また、頸椎牽引装置S内の第2のエアバッグ14が膨らませて膨張が始まると、2つの肩当接部12は、
図1に示すように、支持部S1から徐々に外方へ伸び出して、そして使用者の肩部を押し付けるように当接するようになる。再度、
図12から
図14を参照する。一部の実施形態において、第2の凹溝120を省略してもよい。その場合、第2のエアバッグ14は、第2の凹溝120ではなく、枕本体1の外側に、枕本体1が肩当接部12に対応する位置に配置されてもよい。さらに、頸椎牽引の効果を果すために、第2のエアバッグ14を膨張又は収縮することで、枕カバー2における対応的な表面を第2の軸に沿って変位させることができる。
【0039】
そして、再度、
図16を参照する。本発明に係る他の実施形態において、頸椎牽引装置Sの一方側に電気駆動インフレータブルデバイス18が設けられる。なかでも、電気駆動インフレータブルデバイス18は電気駆動インフレータブルポンプの形態で構成されてもよい。かつ、電気駆動インフレータブルデバイス18は、製品の見掛けのために、少なくとも1つの管体、第1の空気弁、第2の空気弁及び第3の空気弁はいずれも頸椎牽引装置Sに内蔵され、外部に露出されない。そのように、使用者は、電気駆動インフレータブルデバイス18の制御パネルを操作すれば、軽くに第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14及び第3のエアバッグ19を膨らませたり、又はしぼませたりすることができる。
【0040】
使用者が頸椎牽引装置Sを使用する時、第1のエアバッグ13及び第2のエアバッグ14の膨張により、頸部牽引療法の効果を得るために頚部や肩部の筋肉をストレッチするだけでなく、電気治療や温熱治療などの物理的な療法と組み合わせて、頚部や肩部の引き締まった筋肉をほぐしたり、局所の血行を良くして頭や首、肩の痛みを和らげたり、腕のひねりやしびれなどの症状を改善したりすることができる。
再度、
図1から
図5を参照する。頸椎牽引装置Sに、複数の理学療法部21が設けられる。かつ、複数の理学療法部21は実質的に頸部支持体11と対応する位置に配置される。使用者の頭部が頸椎牽引装置Sに寄りかかった時、複数の理学療法部21は、使用者の頸部にフィットされることが可能である。かつ、複数の理学療法部21は、電気治療または温熱治療の機能を果たすために、例えば、
図17に示すように、例えば、低周波治療器、または経皮的電気神経刺激装置(Transcutaneous electrical nerve stimulator、TENS)、電子筋肉刺激装置(electrical muscle stimulation,EMS)などの理学療法装置17からの電力を受電するために、理学療法装置17と電気的に接続されてもよい。理学療法装置17が異なる強度または周波数の電気パルスをオン、オフ、または出力するように理学療法装置17を制御すると使用者が操作するために、理学療法装置17には、少なくとも1つのボタンが配置されてもよい。また、理学療法装置17はワイアレス信号、例えば、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(登録商標)等を受信できる。使用者は、ワイアレス制御装置を操作することで、理学療法装置17が異なる強度または周波数の電気パルスをオン、オフ、または出力するように理学療法装置17を制御することができる。特定の実施形態において、複数の理学療法部21と理学療法装置17との少なくとも一方は、枕カバー2に自在に着脱可能に配置される。そのように、使用者は、理学療法部21及び理学療法装置17にダメージを与えずに、枕カバー2を洗浄することができる。なお、本発明に係る他の実施形態において、少なくとも1つの理学療法部21と理学療法装置17との少なくとも一方が枕本体1に配置されてもよい。その場合、理学療法装置17が露出するように、枕カバー2に穿孔を配置してもよいが、本発明は、上記の例に制限されない。
【0041】
また、
図18から
図27に示すように、理学療法装置17は、位置決め部Hによって、頸椎牽引装置Sに位置決められる。位置決め部Hは、リリースまたはロック機構Lを含む。リリースまたはロック機構Lは、理学療法装置17を位置決め部Hに固定するか、或いは、理学療法装置17を位置決め部Hから解放する(即ち、理学療法装置17は位置決め部Hから取り外し可能な状態にされる)ように機能されてもよい。そのように、使用者が頸椎牽引装置S(例えば、枕カバー2)を洗濯する時、位置決め部Hから理学療法装置17を取り外すことにより、理学療法装置17の故障を避けることができる。一部の実施形態において、リリースまたはロック機構Lとしては、例えば、ハーネス(harness)等バックル付き接続部品が挙げられる。また、位置決め部Hに導電部が設けられてもよい。それにより、理学療法装置17及びまたは携帯用電池から生成した電力を理学療法部21のそれぞれに送電できる。それで、各理学療法部21は電気治療及びまたは温熱治療を提供することができる。
【0042】
位置決め部Hの各実施形態について説明する。
図18から
図28に示すように、第一実施形態では、位置決め部Hは、基板H11、位置決め用本体H12、内板H13、複数の導電部H14、及び複数の導電線接続部H15を含む。なかでも、基板H11の後部にマジックテープ(登録商標)が配置されてもよい。マジックテープで、位置決め部Hは、頸椎牽引装置S(例えば、枕カバー2または枕本体1)に貼り付けることができる。位置決め用本体H12は少なくとも1つの弾性素材で作られてもよい。位置決め用本体H12の後部は、基板H11に固定されることが可能である。位置決め用本体H12の後部に、収容槽H120が配置される。内板H13は収容槽H120の槽底部に位置する。また、収容槽H120の内径は、理学療法装置17の外径より、例えば、0.1%~5%等、僅かに小さくなる。かつ、収容槽H120の槽側壁にリリースまたはロック機構Lが形成される。理学療法装置17が収容槽H120に放置されると、収容槽H120の槽側壁(リリースまたはロック機構L)は、自身の弾性力で略拡張され、理学療法装置17の外周縁をきつく包んで締めることにより、理学療法装置17を位置決め用本体H12に位置決める。理学療法装置17が外方に引っ張られている時、理学療法装置17に収容槽H120の槽側壁(リリースまたはロック機構L)がかかった固定力(即ち、摩擦力または挟持力)よりも、引張力が大きい場合には、理学療法装置17をリリースまたはロック機構Lから取り外すようになる。
【0043】
上記を踏まえて、再度、
図18から
図28を参照する。複数の導電部H14は、収容槽H120内に伸び込んで、順序に内板H13、収容槽H120の底部から、基板H11まで延伸することができる。複数の導電線接続部H15は、位置決め用本体H12と基板H11との間位置し、それぞれが対応的な導電部H14と電気的に接続される。各導電線接続部H15は外部導電線と電気的に接続されることが可能である。また、理学療法装置17の後部に複数の電力導電部171が配置される。理学療法装置17が収容槽H120に配置された後、電力導電部171のそれぞれが、対応的な導電部H14毎と電気的に接続されるようになり、それにより、理学療法装置17が出力する電流(電流パルス信号)は、順序に電力導電部171から導電部H14を介して、導電線接続部H15まで伝送される。なお、本発明に係る他の実施形態において、導電部H14のそれぞれが外部導電線と電気的に接続するために、導電部H14と導電線接続部H15は共に、単一組立体(即ち、導電線接続部H15を省略)として形成されてもよい。
【0044】
リリースまたはロック機構Lに係る変化の他、
図22から
図24に示すように、第二実施形態において、位置決め部Hは、基板H21、位置決め用本体H22及び複数の導電部H24を含む。なかでも、基板H21及び位置決め用本体H22は一体に形成されてもよい。複数の導電部H24は、位置決め用本体H22に固定されてもよい。また、位置決め用本体H22の前側面に少なくとも1つの凸状レールH211が配置される。凸状レールH211は、第二実施形態のリリースまたはロック機構Lである。理学療法装置17の後部に少なくとも1つの凹溝173が配置される。かつ、凹溝173の幅及びまたは長さは、それと対応した凸状レールH211の幅及びまたは長さよりも、例えば、0.1%~5%のように、僅かに小さく形成される。理学療法装置17が位置決め部Hに組み合わせた時、凸状レールH211は、対応的な凹溝173に嵌入されることが可能である。同時に、理学療法装置17の後部にある電力導電部171は、対応的な導電部H24に電気的に接続される。そのように、理学療法装置17が外方に引っ張られる時、凹溝173と凸状レールH211との互いの挟持力よりも、引張力が大きければ、理学療法装置17をリリースまたはロック機構Lから取り外すことができる。
【0045】
図25から
図27を参照する。第三実施形態において、位置決め部Hは、少なくとも1つの基板H31、位置決め用本体H32及び複数の導電部H34を含む。なかでも、各基板H31の前側面が位置決め用本体H32の後部にフィットし得て、各基板H31の後部が接続板H30(例えば、少なくとも1つのマジックテープ)にフィットし得る。位置決め用本体H32、基板H31及び接続板H30は、複数のバックルH36により一体に形成される。位置決め用本体H32の前側面に収容槽H320が設けられる。理学療法装置17は、収容槽H320に収容できる。かつ、収容槽H320の槽側壁は、リリースまたはロック機構Lとして形成される。位置決め用本体H32が基板H31と一体化として組み合わされた時、基板H31における位置決め用本体H32により遮蔽された箇所に、少なくとも1つの固定組立体H37(例えば、ボタン)が配置される。固定組立体H37は、頸椎牽引装置Sにおける対応的な他方の固定組立体と互いに付けあわせることにより、位置決め部Hはより安定的に頸椎牽引装置Sに位置決められる。
【0046】
言い換えれば、再度、
図18から
図27を参照する。位置決め部Hに、前述のように各種の導電用部材及び連接用部材を配置してもよい。そのように、理学療法装置17と各理学療法部21及びまたは頚部と肩部につけた電極と互いに電気的に接続させる。それで、本発明に係る理学療法装置17を固定するための構成、或いは、物理的な療法を提供し得る構成によって、頸椎牽引装置Sは、TENS、EMS又は他の電気治療または温熱治療装置によって、例えば、使用者の頭痛、頚部の痛み、肩部の痛み、腕のしびれや痛みなどを緩和するように、使用者の頸部または肩部に治療を与えることができる。
【0047】
上記のように、使用者が頸椎牽引装置Sを清掃する時、頸椎牽引装置Sが洗われる前、リリースまたはロック機構Lはまず、理学療法装置17を位置決め部Hから取り外し可能にするために、解錠される。それにより、理学療法装置17における感水性電子機器(water sensitive electronics)の水害を防止する。また、理学療法装置17が頸椎牽引装置Sに直接に配置されてもよい。すなわち、理学療法装置17が位置決め部Hを介さずに頸椎牽引装置Sに配置されると共に、理学療法部21のそれぞれに送電するために、理学療法部21のそれぞれと電気的に接続されてもよい。
図28Aを参照する。一部の実施形態において、理学療法部21には電気治療ユニットEUが配置されてもよい。電気治療ユニットEUに導電層211が配置されてもよいが、選択的に、さらにフィルム層212及び連接層213が配置されてもよい。なかでも、導電層211は、電性繊維、導電性フィルム、導電性布、アルミニウム箔、またはそれらの混合物、または他の導電性材料で形成するものであってもよい。かつ、導電層211の一方側に選択的にフィルム層212(例えば、導電性ゲル)が配置されてもよい。また、導電層211の他方側に連接層213が配置される。導電層211は、金属部品22と電気的に接続されてもよい。かつ、金属部品22はワイヤー215に電気的に接続されてもよい。実施形態において、ワイヤー215は、絶縁テープ217に巻き付けられ、金属部品22に固定される。また、連接層213(例えば、粘着剤)は枕カバー2に固定される。他の実施形態において、連接層213が枕本体1に固定されてもよい。それにより、使用者が理学療法部21を使用する時、導電層211またはフィルム層212(理学療法部21にフィルム層212が設けられている場合)は人の皮膚表面にフィットされる。かつ、ワイヤー215が理学療法装置17に電気的に接続された後、理学療法装置17(例えば、TENS又はEMS装置)からの電力を受電することにより、理学療法部21は、使用者の頸部に電気刺激を与えて、電気治療の効果を果たせることができる。しかし、理学療法部21は上記の構成に制限されない。本発明に係る他の実施形態において、フィルム層212を省略して、導電層211が直接に皮膚と接触するように構成されてもよい。連接層213としては、布(例えば、不織布、綿)であってもよく、枕本体1または枕カバー2とより良好に接着するように、導電性シート(例えば、アルミ箔)に貼り付けることができる。
【0048】
図28Bを参照する。一部の実施形態において、理学療法部21に温熱治療ユニットHUが配置されてもよい。温熱治療ユニットHUは、2つの分離層218(例えば、不織布,Non-wover fabric)及び発熱層219により構成されてもよい。なかでも、発熱層219としては、電流を流すと発熱するようなものであり、例えば、金属(例えば、鉄-クロム-アルミニウム合金線、ニッケル-クロム合金線)、グラフェン、炭素繊維等の電熱材料で構成されるものが挙げられる。また、発熱層219は、2つの分離層218の間に位置する。分離層218の一方の外面が対応的な枕カバー2に固定されてもよい。或いは、他の実施形態において、分離層218が枕本体1に固定されてもよい。発熱層219は金属部品22と電気的に接続されることにより、ワイヤー215を介して理学療法装置17からの電力を受電し、さらに理学療法部21に熱量を生成してから、各分離層218を経由して外部に発散することにより、使用者の頸部を温熱する。そのように、使用者の血管を弛緩させ、局所の血行を促進して代謝率を上げることで、炎症性物質(inflammatory substances)の体外への排出を促進し、筋肉組織の自己修復能力を向上させることが期待される。また、温湿布(温熱療法)は、筋肉の痙攣を抑えるために、身体の軟部組織の弾力性を高めることで、感情的にリラックスできるように身体が耐えている痛みを軽減できる。なお、本発明に係る他の実施形態において、理学療法部21は、分離層218が省略され、発熱層219が直接に皮膚と接触するように構成されてもよい。
図28Cを参照する。一部の実施形態において、理学療法部21は、電気治療または温熱治療混合ユニットであってもよい。それは、電気治療ユニットEUと温熱治療ユニットHUと組み合わせて構成されるものである。例えば、二層の分離層218の間に発熱層219を配置し、かつ、一方の分離層218の外面に導電層211(例えば、導電繊維)を被覆することで、発熱層219と導電層211は、同じ又は異なる金属部品22により理学療法装置17からの電力を受電することができる。なかでも、導電層211は、使用者の頸部に電気刺激を与えることができる。発熱層219は熱量を生成して、さらにその熱量によって、分離層218及び導電層211に経由して使用者の頸部を温熱することができる。
【0049】
なお、本発明は、上記の例に制限されない。理学療法部の構成としては、理学療法の効果を果たせれば、何れも本発明に定義される理学療法部21に属する。
【0050】
最後、再度、
図4及び
図13を参照する。底板16が枕本体1の底面に組み合わされることにより、第1の凹溝110と第3の凹溝190または第2の凹溝120とを遮蔽できると共に、第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14、第3のエアバッグ19及び複数の管体152が枕本体1から脱落するのを防止できる。しかし、本発明に係る他の実施形態において、底板16を配置せずに、枕本体1の弾性力によって第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14、第3のエアバッグ19及び複数の管体152を挟持するか、又は他の係合構成によって第1のエアバッグ13、第2のエアバッグ14及び複数の管体152を係合してもよい。
【0051】
上記に述べたのは、本発明に係る好ましい実施形態に過ぎず、それにより、本発明の特許請求の範囲の保護範囲が限定されるものではないので、本発明に開示された技術内容に基づいて当業者が創作的な作業を行わなくても考えられる同等の変形は、本発明の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0052】
S 頸椎牽引装置、
S2 荷重部、
S1 支持部、
1 枕本体、
2 枕カバー、
20 包み込む空間、
21 理学療法部、
11 頸部支持体、
12 肩当接部、
110 第1の凹溝、
13 第1のエアバッグ、
120 第2の凹溝、
14 第2のエアバッグ、
15 インフレータブルデバイス、
151 インフレータブル部、
152 管体、
153 第1の空気弁、
154 第2の空気弁、
190 第3の凹溝、
19 第3のエアバッグ、
N1 第1の高さ、
M1 第1の高さ、
N2 第2の高さ、
M2 第2の高さ。