(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】昇降機の保守作業を支援する方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240521BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20240521BHJP
【FI】
B66B5/00 G
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2021104068
(22)【出願日】2021-06-23
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】主税 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
(72)【発明者】
【氏名】星崎 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】神谷 駿
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-154106(JP,A)
【文献】特開2004-299902(JP,A)
【文献】特開2007-137657(JP,A)
【文献】特開2007-210767(JP,A)
【文献】特開2002-197215(JP,A)
【文献】特開2012-063842(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111448155(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0089938(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
G06Q 10/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機の保守作業を支援する方法であって、
(A)保守支援システムの通信部が、昇降機を保守する作業者の保守作業に伴うデータである実績データを当該作業者の保守作業に伴い送信するようにそれぞれなっている複数の保守端末のうち、複数の作業者のうちのいずれかの作業者の保守端末から送信された実績データを受信した場合、
(a1)前記保守支援システムの特定部が、当該受信した実績データが、昇降機の保守作業の複数の作業項目のうちのいずれの作業項目に該当するかを特定し、
(a2)前記保守支援システムの登録部が、前記複数の作業項目の各々についての作業状態を表す情報を含んだ進捗情報に、当該特定された作業項目について前記受信した実績データを登録し、
(a3)前記保守支援システムの比較部が、当該作業項目について前記進捗情報に登録されている全ての実績データと、当該作業項目の作業が完了したとみなされるために必要な条件である完了条件とを比較し、
(a4)前記登録部が、当該作業項目についての作業状態を、当該比較の結果に応じた作業状態とし、
(B)前記通信部が、前記複数の作業項目と各作業項目の作業状態とを含んだ保守作業進捗を表す情報であり前記進捗情報に基づく情報である進捗表示用情報を、前記複数の保守端末の各々に送信し、
各保守端末から送信される実績データは、前記昇降機から当該保守端末に読み出されたデータである第一種の実績データと、作業者による当該保守端末に対する操作の履歴を表すデータである第二種の実績データと、作業者の行動に伴い当該保守端末に取得されたデータである第三種の実績データとのうちのいずれかであり、
前記複数の作業項目の各々について、完了条件は、第一種ないし第三種の実績データのうちのいずれの種類の実績データが必要であるかを表す実績データ種を含む、
方法。
【請求項2】
(a1)において、前記特定部が、当該受信した実績データの送信元の保守端末に対応した作業者を特定し、
(a2)において、前記登録部が、(a1)で特定された作業者を前記進捗情報に登録し、
(a3)での比較の結果が、前記完了条件が満たされているとの結果の場合、(a4)において、前記登録部が、作業状態を、完了を意味する状態とし、且つ、当該完了条件が満たされた日時である完了日時を前記進捗情報に登録し、
前記進捗表示用情報は、実績データが受信された作業項目について作業者を表す情報を含み、作業状態が完了を意味する状態である作業項目について完了日時を表す情報を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記進捗表示用情報は、前記複数の作業者のうちの誰がリーダーであるかを表す情報を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の作業項目の各々に重要度が関連付けられており、
(C)前記保守支援システムの通信部が、前記複数の保守端末のうちの少なくとも一つから作業終了の通知を受信した場合、前記保守支援システムの作業終了制御部が、各作業項目の作業状態及び重要度に基づいて、作業終了の許否を判定し、当該判定の結果に応じた処理を行う、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a2)により、前記作業項目について、第一種の実績データと、第二種および第三種の実績データとのうちの少なくとも一つの実績データとが登録済となった場合、前記保守支援システムの信頼性判定部が、当該第一種の実績データを信頼できるか否かを、当該少なくとも一つの実績データを基に判定し、
当該判定の結果が真であり、且つ、(a3)での比較の結果が、前記完了条件が満たされているとの結果である場合、(a4)において、前記登録部が、作業状態を、完了を意味する状態とする、
請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、昇降機の保守作業の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降機の状態を維持するための保守作業は、一般に、昇降機の走行状態や、構成部品の劣化状態などを確認する作業と、必要に応じて調整作業や給油又は部品交換等の作業とを含む。作業者は、保守端末を携帯し、保守端末は、業務管理ツール(例えば、保守作業スケジュールや作業内容の管理と、作業実績の登録とを行うためのツール)や、保守ツール(例えば、保守対象となる昇降機の操作、調整又は測定を行うためのツール)を実装している。
【0003】
作業者が当日の作業内容を完了したか否かは、保守作業スケジュールにおいて指示されている作業内容と、保守ツールの利用ログや生成したデータファイル、作業データ(実績)の入力、などから判定される。そのため、複数の作業者で同時並行的に保守作業を実施する場合は、それぞれの作業者の進捗を総合して、作業の重複や作業の未実施を防ぐ必要がある。この課題に対して、各作業者の位置情報や撮影画像を一括管理し、情報を共有することで、互いに進捗の遅れを補うような作業分担変更をリアルタイムで行う技術が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前述の事例は、作業者が保守対象の機器が配置されている位置へ移動したことや、作業者の視野に点検対象の計器など入ったことで、作業を実施したとみなすものであり、実際に作業対象に対する具体的な保守作業の実施を担保するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
昇降機の保守作業を支援する方法が、下記(A)ないし(B)を含む。
(A)コンピュータが、昇降機を保守する作業者の保守作業に伴うデータである実績データを送信するようにそれぞれなっている複数の保守端末のうち、複数の作業者のうちのいずれかの作業者の保守端末から送信された実績データを受信した場合、下記(a1)乃至(a4)を行う。
(a1)コンピュータが、当該受信した実績データが、昇降機の保守作業の複数の作業項目のうちのいずれの作業項目に該当するかを特定する。
(a2)コンピュータが、複数の作業項目の各々についての作業状態を表す情報を含んだ進捗情報に、当該特定された作業項目について当該受信した実績データを登録する。
(a3)コンピュータが、当該作業項目について前記進捗情報に登録されている全ての実績データと、当該作業項目の作業が完了したとみなされるために必要な条件である完了条件とを比較する。
(a4)コンピュータが、当該作業項目についての作業状態を、当該比較の結果に応じた作業状態とする。
(B)コンピュータが、複数の作業項目と各作業項目の作業状態とを含んだ保守作業進捗を表す情報であり進捗情報に基づく情報である進捗表示用情報を、複数の保守端末の各々に送信する。
【0007】
各保守端末から送信される実績データは、昇降機から当該保守端末に読み出されたデータである第一種の実績データと、作業者による当該保守端末に対する操作の履歴を表すデータである第二種の実績データと、作業者の行動に伴い当該保守端末に取得されたデータである第三種の実績データとのうちのいずれかである。複数の作業項目の各々について、完了条件は、第一種ないし第三種の実績データのうちのいずれの種類の実績データが必要であるかを表す実績データ種を含む。
【発明の効果】
【0008】
各作業項目について作業状態が正確であることを担保し、以って、複数の作業者が保守作業の正確な進捗を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成を示す。
【
図3】昇降機、保守端末及び保守支援システム間のデータの流れの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上の通信インターフェースデバイスでよい。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイスであってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイスであってもよい。
【0011】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0012】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、又は、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0013】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくとも永続記憶装置でよい。
【0014】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0015】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られるデータ(情報)を説明することがあるが、当該データ(情報)は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxxデータ」(「xxx情報」)と言うことができる。また、以下の説明において、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部又は一部が一つのテーブルであってもよい。
【0016】
また、以下の説明では、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号のうちの共通符号を使用し、同種の要素を区別して説明する場合には、参照符号を使用することがある。
【0017】
また、以下の説明では、「保守支援システム」は、物理的な計算機システム(一つ以上の物理的な計算機)でもよいし、物理的な計算機システム(例えばクラウド基盤)上に実現される論理的な計算機システム(例えば、仮想計算機、コンテナ、又は、クラウドコンピューティングサービスとしてのシステム)でもよい。物理的な計算機システムは、インターフェース装置と、記憶装置と、それらに接続されたプロセッサとを備える。
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム全体の構成を示す。
【0020】
複数の作業者が昇降機3の保守作業を同時並行的に行う際に、保守支援システム1が、保守作業の進捗状況(作業項目毎の作業状態)を管理し各作業者の保守端末2に通知し、各作業者の保守端末2が、当該通知が表す進捗状況を表示する。これにより、各作業者が、保守作業の進捗状況を確認しながら作業を実施することができる。また、保守支援システム1は、昇降機3の制御盤31から保守端末2に読み出されたデータである第一種の実績データの他に、当該保守端末2を携帯する作業者が作業を実施することによって発生したデータ(例えば、保守端末2の操作履歴を表すデータである第二種の実績データ、及び、作業者の動作履歴を表すデータである第三種の実績データ)を保守端末2から受信し、第一種ないし第三種のデータのセットを基に、作業が確実に行われたことを確認する。これにより、作業の未実施を防止することができる。
【0021】
具体的には、保守支援システム1は、昇降機3を保守する各作業者が携帯する保守端末2から、作業者が保守端末2を用いて保守作業を実施することで保守端末2に入力されないし保守端末2により取得されるデータを保守端末2から受信し一括管理する。保守支援システム1は、保守端末2から受信するデータを格納し、当該データがいずれの作業項目且ついずれの種類に該当するかを判断し、当該作業項目について必要な全ての種類の実績データが得られたか否かに応じて、当該作業項目についての作業状態を更新する。各作業項目について、必要とされている全ての種類の実績データが格納された場合に作業状態は完了を意味する状態となる。保守支援システム1は、各作業項目の作業状態に従う進捗状況を表す進捗データを各作業者の保守端末2に通知する。保守端末2は、保守端末を携帯する作業者の位置や移動状態を把握するセンサー群(一つ以上のセンサー)を有し、当該センサー群により取得されたデータ又は当該データの分析結果としてのデータが、第三種の実績データ(作業者の動作履歴を表すデータ)でよい。さらに、作業項目毎に重要度が関連付けられていて、保守支援システム1は、各作業項目の作業状態と重要度とに基づいて、保守作業終了の是非を判定してもよい。
【0022】
このような構成や処理を行うことによって、複数の作業者が同時並行的に保守作業を実施した場合、各作業者が全体的な進捗を随時確認することができる。また、各作業項目について、必要とされている全ての種類の実績データが格納された場合に作業状態は完了を意味する状態となるため、作業が未実施又は作業中のままとなることを防止することができる。さらに、作業項目の重要度(例えば緊急度)に合わせて、重要度の高い作業項目の作業を確実に実施させると共に、重要度の低い作業項目の作業を状況に応じたスケジュール変更をするといった柔軟な対応が可能となる。
【0023】
以下、本実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1でのシステムは大きく分けて保守支援システム1、保守端末2、昇降機3の三つで構成される。
【0025】
保守支援システム1は、下記の要素、
・作業スケジュール(各作業者に割り当てられる作業の内容及び作業日等)を表す作業スケジュールテーブル11、
・作業者の属性や技量などを表す作業者テーブル12、
・作業者が行った作業によって入力ないし取得されたデータである実績データが登録される進捗テーブル13、
・顧客、保守契約、及び、昇降機3の情報を有する物件テーブル14、
・保守支援システム1から保守端末2へ出力されるデータや、保守端末2から受信されたデータを処理するデータ処理部15、及び、
・保守支援システム1と保守端末2との通信を処理する通信処理部16、
を備える。テーブル11ないし14は、保守支援システム1の記憶装置に格納される。通信処理部16は、インターフェース装置により実現される。データ処理部15は、プロセッサにより実現される。データ処理部15は、
図6に示すように、通信処理部16経由の通信を行う通信部61、作業項目や作業者を特定する特定部62、データをテーブル11ないし14の少なくとも一つに登録する登録部63、登録済の実績データ群と実績データ種とを比較する比較部64、作業終了の許否を判定する作業終了制御部65、および、登録された実績データの信頼性を判定する信頼性判定部66を有する。これらの機能61ないし66は、データ処理部15としてのプロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現されてよい。
【0026】
保守端末2として、例えば、作業者P用の保守端末2Pと、作業者Q用の保守端末2Qとがある。保守端末2α(αはP又はQ)が有する要素の参照符号の末尾には、αが付さされる。保守端末2は、モバイル型の情報処理端末であり、図示しないインターフェース装置、記憶装置及びそれらに接続されたプロセッサを備える。保守端末2は、下記の要素、
・保守支援システム1との通信を行う第一通信部21、
・昇降機3の制御盤31との通信を行う第二通信部22、
・保守端末2の移動、回転及び位置等を検知する一つ以上のセンサーであるセンサー群23、
・保守端末2を操作するための入力部と、第一通信部21又は第二通信部22から受信したデータとセンサー群23で検知されたデータとを出力する出力部とを含んだI/O(Input/Output)部24、
・データが格納される記憶部25、及び、
・保守端末2内のデータを処理する制御部26、
を備える。第一通信部21及び第二通信部22は、インターフェース装置により実現される。センサー群23は、プロセッサに接続され、位置センサー(例えばGPSモジュール)、気圧センサー、加速度センサー及びジャイロセンサーを含んでよい。また、センサー群23のうちの少なくとも一つのセンサーは、外付けのセンサー(例えば筋電計)を含んでもよい。I/O部24は、タッチパネルのようなUI(User Interface)部と、外部機器との間のデータ入出力のためのインターフェース(例えばポート)とを含んでよい。記憶部25は、記憶装置により実現される。制御部26は、プロセッサにより実現される。
【0027】
また、保守作業の対象である昇降機3は、制御盤31を有する。制御盤31は、保守端末2と通信し、保守端末2から出力される指令を受信して制御盤31内の各種データの返信や、昇降機3の運転制御を行う。なお、昇降機3は図示しない監視システムにより遠隔監視されてよいが、昇降機3の保守作業において保守端末2に制御盤31から送られるデータは、昇降機3の監視システムと送受信されるデータと異なるデータでよい。保守支援システム1が監視システムを兼ねてよい(つまり、昇降機3の遠隔監視を行ってよい)なお、昇降機3は、複数存在してよい。また、「昇降機」は、典型的にはエレベーター又はエスカレーターである。
【0028】
図2は、作業スケジュールテーブル11の一例を示す。
【0029】
作業スケジュールテーブル11は、保守作業の日(時分秒の細かい単位でもよい)、作業現場を示す現場番号、昇降機3の号機、及び、当該号機の保守作業を行う作業者のID(例えば、記号又は氏名)を表す。複数の作業者がいる場合には、誰がリーダーであるかを表す情報が作業スケジュールテーブル11(又は、作業者テーブル12)に含まれてよい。保守支援システム1の特定部62が、現場番号と昇降機3の号機とをキーに物件テーブル14を参照し、保守作業の対象となる昇降機3の詳細仕様を特定する。作業スケジュールテーブル11は、保守作業の複数の作業内容(複数の第1の作業項目の一例)を有する。各作業内容は、一つ又は複数の作業項目(一つ又は複数の第2の作業項目の一例)に細分化される。それぞれの作業項目は、その作業の重要度、手順、実績データ種(フォーマット)と紐づけられている。
【0030】
本事例では、2021年2月15日に、現場12345の01号機に対し、作業予定として作業A、作業B、作業Cが割りつけられている。この現場12345の01号機の詳細な仕様を、物件テーブル14を参照して明らかにした結果として、作業Aは作業項目A1及びA2の2項目に分解され、作業項目A1の重要度、手順、実績データ種はそれぞれW1、FA1、(DA1、LA1、SA1)、作業項目A2の重要度、手順、実績データ種はそれぞれW2、FA2、(DA2、LA2、SA2)と設定されている。同様に、作業B及び作業Cそれぞれに対しても作業項目が細分化され、それぞれの作業項目に対して重要度、手順、実績データ種が設定されている。
【0031】
ここで、実績データ種とは、作業項目の作業手順を実施することで得られるデータであり作業完了とみなされるために必要な実績データの種類を意味する。
【0032】
例えば、作業手順FA1及びFA2をそれぞれ進めるにしたがって、昇降機3から機器データ(第一種の実績データ)DA1及びDA2が得られ、保守端末2の操作により操作履歴データ(第二種の実績データ)LA1及びLA2が得られ、作業者の行動により行動履歴データ(第三種の実績データ)SA1及びSA2(例えば、センサー群23から取得されたデータ)が得られたとする。
【0033】
このように作業項目A1の作業が作業手順に従って実施されると、実績データとして(DA1、LA1、SA1)の3種類のデータが集まるはずであり、作業項目A2の作業が作業手順に従って実施されると、実績データとして(DA2、LA2、SA2)の3種類のデータが集まるはずであることが表現されている。
【0034】
したがって、実績データ種は作業手順の内容に依って異なり、例えば下記の場合がある。
・作業項目B1のように、作業手順FB1には保守端末操作を伴わず、昇降機3の目視確認などによる入力データDB1のみが実績データとして集まるはずである場合。
・作業項目B2のように、作業手順FB2によって、保守端末2の操作履歴データLB2と、昇降機3から複数種の機器データDB21及びDB22がそれぞれ実績データとして集まるはずである場合。
【0035】
そして、このような作業内容AないしCを含んだ保守作業に対して、例えば保守支援システム1の制御部26は、作業者テーブル12を参照して、適切な作業者を割り当ててよい。本事例では、作業者として作業者P及びQの2名が割り当てられている。
【0036】
以上のような作業スケジュールテーブル11が表す作業スケジュールの情報が各保守端末2に送信され表示されてよい。当該情報は、テーブル11が有する情報の少なくとも一部でよく、例えば、作業日、現場番号、号機、作業者リスト(誰がリーダーかを含んでよい)、作業内容、作業項目、重要度及び手順を含んでよい。これにより、各作業者に、作業スケジュールが共有される。
【0037】
図3は、昇降機3、保守端末2及び保守支援システム1の間のデータの流れの一例を示し、具体的には、
図2に示した現場12345の01号機に対する作業Aから作業Cのうちの作業Aについてのデータ流れを示している。
【0038】
作業者Pと作業者Qは、作業当日、作業内容や作業環境、技量などに応じて作業の分担を決め作業を実施する。ここでは、作業者Pがリーダーとなり、下記が行われるとする。
・作業者Pが保守端末2Pを用いて作業項目A1の作業を行うこと。
・作業者Qが保守端末2Qを用いて作業項目A2の作業を行うこと。
【0039】
まず、作業者Pは、作業項目A1の作業手順FA1に従って所定の動作を行い、作業者Pが携帯する保守端末2Pを用いて昇降機3の制御盤31に対して操作コマンドca1を出力すると、作業者Pが携帯する保守端末2Pには、制御部26Pにより操作履歴データla1が生成され記憶部25Pに格納される。
【0040】
一方、作業者Pの保守端末2Pから出力された操作コマンドca1を受けた昇降機3の制御盤31は、機器データda1を保守端末2Pに返信する。保守端末2Pが機器データda1を受信し、機器データda1が制御部26により記憶部25Pに格納される。
【0041】
さらに、作業者Pが作業手順FA1に従って所定の動作を行うと、保守端末2Pのセンサー群23Pにより行動履歴データsa1が得られ、制御部26により行動履歴データsa1が記憶部25Pに格納される。
【0042】
同様に、作業者Qは作業項目A2の作業手順FA2に従って作業を行うことで、操作履歴データla2、機器データda2及び行動履歴データsa2が得られ制御部26Qにより記憶部25Qに格納される。
【0043】
こうして、点検作業Aを実施することで得られた操作履歴データla1、操作履歴データla2、機器データda1、機器データda2、行動履歴データsa1、及び、行動履歴データsa2は、保守端末2P及び2Qから保守支援システム1に例えば即時的に送信される。保守支援システム1において、通信部61により受信処理が行われ、特定部62により受信データの判別が行われ、登録部63により進捗テーブル13に格納される。
【0044】
さらに、保守支援システム1の比較部64は、逐次、進捗テーブル13に格納されたデータを合成して、作業指示に対する作業完了判定処理(後述)を行う。当該処理の結果を表す情報が、例えば、通信部61から通信処理部16を通じて保守端末2P及び2Qにそれぞれ送信され、当該情報が、保守端末2PのI/O部24P、及び、保守端末2QのI/O部24Qにそれぞれ表示される。
【0045】
図4は、作業完了判定処理に従う更新後の進捗テーブル13の一例を示す。
【0046】
進捗テーブル13は、作業項目毎に、作業内容、作業項目、重要度、手順、実績データ種(必要な全ての実績データの種類)、アップロードデータ(受信した実績データ)、作業状態、完了日時、及び作業者を表す。進捗テーブル13は、例えば作業スケジュールテーブル11に基づき登録部63により作成され格納されてよい。進捗テーブル13における作業内容、作業項目、重要度、手順及び実績データ種は、作業スケジュールテーブル11から取得され進捗テーブル13に登録された情報でよい。また、実績データ種及びアップロードデータの実体は、進捗テーブル13の外に存在し、進捗テーブル13には、その実体へのポインタが登録されてもよい。実体としてのデータの登録も実体へのポインタの登録も、アップロードデータ(実績データ)の登録でよい。
【0047】
保守支援システム1では、
図2に示した作業スケジュールテーブル11に従い、現場12345の01号機の作業の進捗を常時監視する。
【0048】
すなわち、比較部64は、現場12345の01号機に対する保守作業を構成する作業A、作業B、作業Cの作業項目A1、A2、…について、実績データ種(DA1、LA1、SA1)(DA2、LA2、SA2)…に対して、保守端末2P及び2Qからの実績データ群(da1、la1、sa1)(da2、la2、sa2)…が合致するかどうか照合する。比較部64が合致する実績データ群を見つけた場合、登録部63が、当該実績データ群に対応した作業項目を完了したとみなし、当該作業項目の作業状態“完了”とし、実績データ群の受信日時や送信元保守端末2に従い、作業完了日時と作業者を進捗テーブル13に入力する。
【0049】
ここでは、作業者Pが保守端末2Pを用いて、手順FA1を行うことで、保守端末2Pが、操作履歴データla1、機器データda1、及び行動履歴データsa1を保守支援システム1に送信する。また、作業者Qが保守端末2Qを用い、手順FA2を行うことで、保守端末2Qが、操作履歴データla2、機器データda2、及び行動履歴データsa2を保守支援システム1に送信する。このため、保守支援システム1において、作業項目A1について、実績データ種(DA1、LA1、SA1)が満たされ、且つ、作業項目A2について、実績データ種(DA2、LA2、SA2)が満たされる。このため、比較部64が作業項目A1及びA2のそれぞれが完了したとみなし、登録部63が、作業状態を“完了”に更新し、実績データ群の受信日時を表す情報と、作業実施した作業者を表す情報とを、進捗テーブル13に登録する。なお、作業スケジュールテーブル11(又は作業者テーブル12)からリーダーと特定された作業者の情報は、強調されてよい。
【0050】
また、作業者Pは引き続き作業項目B2を実施中であり、すでに実績データ種DB22に相当する実績データdb22を保守端末2Pが保守支援システム1にアップロード済みである。このため、作業項目B2について、実績データdb22と作業者を表す情報は進捗テーブル13に登録される。しかし、実績データ種DB21やLB2に相当する実績データは未受信である。このため、登録部63は、作業項目B2の作業状態を“未完了”から“作業中”に更新する。
【0051】
作業項目A1、A2及びB2以外の各作業項目については、いずれも実績データ種に相当するデータが未受信である。このため、進捗テーブル13には、作業者の情報は登録されておらず、且つ、作業状態は“未完了”である。
【0052】
進捗テーブル13が表す作業進捗状況は、随時、保守端末2P及び2Qがそれぞれ保守支援システム1を参照し確認することができる。あるいは、保守支援システム1の通信部61が、通信処理部16を経て、保守端末2P及び2Qにそれぞれ、進捗テーブル13が表す情報(作業進捗状況を表す情報)を送信し、保守端末2P及び2Qは、それぞれ、第一通信部21にて当該情報を受信し、制御部26にて当該情報を処理し、その後、I/O部24に、作業進捗状況を表示してもよい。
【0053】
このように、予め設定された作業指示にしたがって作業を実施すると、作業に伴い得られたデータが逐次保守支援システム1の進捗テーブル13に格納され、作業の進捗を確認することができる。複数の作業者が特定の保守対象の保守作業を行っている場合も、それぞれの端末を用いて実施した作業結果を保守支援システム1に随時格納されるので、対象全体の保守作業の進捗状況が管理でき、作業者P及びQそれぞれが作業消化及び残件を把握することができる。そのため、重複作業や作業漏れを防止し、協調して効率的な作業を行うことができる。
【0054】
【0055】
作業者P及びQのいずれか、あるいは双方が当該現場の作業を終了する場合、保守端末2P及び2Qの少なくとも一つから作業終了を保守支援システム1の通信部61が受ける。作業終了制御部65が、作業当日のすべての作業項目が“完了”か否か(すなわち、すべての作業項目に対する実績データが進捗テーブル13に格納されているか否か)を判定する(S501)。すなわち、作業スケジュールテーブル11には、例えば、作業日のうちに実施されるべき作業項目が登録され、故に、進捗テーブル13にも、作業日のうちに実施されるべき作業項目が登録される。つまり、S501では、スケジュール通りに全ての作業項目が完了したかが判定される。
【0056】
S501の判定結果が真の場合(S501:YES)、すなわち、すべての作業項目に対する作業実績データが進捗テーブル13に格納されている場合は、すべての指示を完了しているとみなして、作業終了制御部65が、当日の保守作業の終了を許可する。例えば、作業終了制御部65が、通信部61を通じて、各作業者の保守端末2に、作業終了許可を通知する。
【0057】
S501の判定結果が偽の場合(S501:NO)、すなわち、作業項目に対する作業実績データの一部が進捗テーブル13に格納されていない場合は、作業終了制御部65が、未完了作業項目(作業状態が“未完了”又は“作業中”である作業項目)の重要度を確認する(S502)。以下の説明では、重要度が、W1>W2>W3とする(W1が最も重要度が高い)。
【0058】
重要度がW1である未完了作業項目がある場合は、作業終了制御部65が、当該現場の当日の作業を終了することを許可しない(S503)。例えば、作業終了制御部65が、通信部61を通じて、少なくとも保守端末2P(リーダーである作業者Pの保守端末2)に、重要度がW1である未完了作業項目と、当該作業項目の作業を当日中に終えることとを通知する。
【0059】
重要度がW1である未完了作業項目が無いが重要度がW2である未完了作業項目がある場合は、作業終了制御部65が、通信部61を通じて、上長に連絡して了承を得られれば終了可であることを、少なくとも保守端末2P(リーダーである作業者Pの保守端末2)に通知する(S504)。作業終了制御部65が、通信部61を通じて、通知先の保守端末2から上長の承認が得られたことを表す情報を受けた場合(又は、上長の情報処理端末から、承認を表す情報を受けた場合)(S505)、作業終了制御部65が、通信部61を通じて、各作業者の保守端末2に、作業終了許可を通知する。なお、作業終了の通知の送信元保守端末2の作業者の上長が誰であるか及び上長の連絡先は、特定部62により作業者テーブル12から特定される。作業者テーブル12が、作業者間の関係及び各作業者の連絡先を表す。
【0060】
重要度がW1又はW2である未完了作業項目が無いが重要度がW3である未完了項目がある場合は、作業終了制御部65が、重要度がW3である未完了項目の作業を次回の作業として引継ぎを行うことで終了可とすることを決定し(S506)、当該決定の通知を、通信部61を通じて、各作業者の保守端末2に送信する。
【0061】
このようにすることで、重要度の高い作業項目の作業を確実に実施させると共に、重要度の低い作業項目の作業を状況に応じたスケジュール変更することができる。作業の実施や再スケジュールを柔軟に対応できる一方で、作業手順に基づいたデータを直接的に確認するため、作業の未実施を防止することが可能となる。
【0062】
以上の説明を、例えば、以下のように総括することができる。以下の総括は、上述の説明の補足、及び、上述の実施形態の変形例を含んでよい。
【0063】
昇降機3を保守する各作業者の保守端末2が、保守作業に伴うデータである実績データを当該保守端末2の作業者の保守作業に伴い送信するようになっている。通信部61が、複数の保守端末2のうちのいずれかの保守端末2から送信された実績データを受信した場合、特定部62が、当該実績データが、昇降機の保守作業の複数の作業項目のうちのいずれの作業項目に該当するかを特定する。登録部63が、複数の作業項目の各々についての作業状態を表す情報を含んだ進捗テーブル13に、当該特定された作業項目について受信した実績データを登録する。比較部64が、当該作業項目について進捗テーブル13に登録されている全ての実績データと、当該作業項目の作業が完了したとみなされるために必要な条件である完了条件とを比較し、登録部63が、当該作業項目についての作業状態を、当該比較の結果に応じた作業状態とする。通信部61が、複数の作業項目と各作業項目の作業状態とを含んだ保守作業進捗を表す情報(進捗テーブル13に基づく情報)である進捗表示用情報を、複数の保守端末2の各々に送信する。各保守端末2では、I/O部24に、進捗表示用情報が表す保守作業進捗が表示される。各保守端末2から送信される実績データは、昇降機3から当該保守端末2に読み出されたデータである第一種の実績データ(機器データ)と、作業者による当該保守端末2に対する操作の履歴を表すデータである第二種の実績データ(作業履歴データ)と、作業者の行動に伴い当該保守端末2に取得されたデータである第三種の実績データ(行動履歴データ(典型的にはセンサーデータ))とのうちのいずれかである。複数の作業項目の各々について、完了条件は、第一種ないし第三種の実績データのうちのいずれの種類の実績データが必要であるかを表す実績データ種を含む。各作業項目について、実績データ種と登録済みの実績データの種類との比較の結果に応じた作業状態が維持されるので、各作業項目について作業状態が正確であることが担保され、以って、複数の作業者が保守作業の正確な進捗を共有することができる。特に、例えば、いずれの作業者が作業を行うかが決まっていない作業項目が作業スケジュール上存在する場合(例えば、作業進捗状況に応じてどの作業項目をどの作業者が担当するかが動的に例えばリーダーにより決められる場合)、「各作業項目について作業状態が正確であることが担保され、以って、複数の作業者が保守作業の正確な進捗を共有することができる」点は、作業進捗状況に応じてどの作業項目をどの作業者が担当するかを動的に決めることが採用される環境では有用である。また、複数の昇降機が保守対象であってよい。
【0064】
なお、受信された実績データが「昇降機の保守作業の複数の作業項目のうちのいずれの作業項目に該当するか」は、例えば、作業者が保守端末2に対して作業開始した作業項目を入力(例えば選択)し、当該作業項目が入力されている状態の間に当該保守端末2から受信された実績データは、当該作業項目に該当すると特定部62により判定されてよい。また、該当する作業項目の判定は、第三者の実績データに含まれる値(例えば、位置、移動方向等)に基づいて行われてもよい。
【0065】
また、第三種の実績データから、作業者の行動として、例えば、作業者の姿勢変化(例えば筋電計からのデータに基づく)や加速度(例えば加速度センサーからのデータに基づく)の特定が可能である。
【0066】
また、進捗表示用情報の送信先は、少なくともリーダーの保守端末2でよく、リーダー以外の作業者の保守端末2でなくてもよい。
【0067】
各保守端末2から送信される実績データは、当該保守端末2を持つ作業者を表す情報(例えばID)を含んでいて、実績データから作業者が特定部62により特定されてもよいし、送信元の保守端末2のIDをキーに作業者テーブル12(例えば、各作業者の保守端末2のIDを表す情報を含む)を参照することにより、作業者が特定部62により特定されてもよい。特定部62が、受信した実績データの送信元の保守端末2に対応した作業者を特定し、登録部63が、当該特定された作業者を進捗テーブル13に登録する。このように、作業項目について少なくとも一つの実績データが受信された場合に作業者を表す情報が進捗テーブル13に登録される。
【0068】
完了条件と登録済みの全実績データとの比較の結果が、当該完了条件が満たされているとの結果の場合、登録部63が、当該完了条件が関連付けられている作業項目の作業状態を、完了を意味する状態とし、且つ、当該完了条件が満たされた日時である完了日時を進捗テーブル13に登録する。進捗表示用情報は、実績データが受信された作業項目について作業者を表す情報を含み、作業状態が完了を意味する状態である作業項目について完了日時を表す情報を含む。これにより、どの作業項目がいつ完了したか、及び、どの作業項目が少なくとも開始されてどの作業者が担当しているのかを、各作業者が共有することができる。
【0069】
進捗表示用情報は、複数の作業者のうちの誰がリーダーであるかを表す情報を含んでよい。これにより、リーダー以外の各作業者が、誰がリーダーであるのかを特定し、必要に応じて作業指示をリーダーに問い合わせるといったことが期待できる。
【0070】
複数の作業項目の各々に重要度が関連付けられている。通信部61が、複数の保守端末2のうちの少なくとも一つから作業終了の通知を受信した場合、作業終了制御部65が、各作業項目の作業状態及び重要度に基づいて、作業終了の許否を判定し、当該判定の結果に応じた処理を行う。これにより、重要度と作業状態とに応じた柔軟な対応が期待できる。
【0071】
以上、一実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であって、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、他の種々の形態でも実行することが可能である。
【0072】
例えば、各作業項目について、第一種の実績データと、第二種および第三種の実績データとのうちの少なくとも一つの実績データとが登録済となった場合、保守支援システム1の信頼性判定部66が、当該第一種の実績データを信頼できるか否かを、当該少なくとも一つの実績データ(つまり、第二種及び/又は第三種の実績データ)を基に判定してよい。当該判定の結果が真であり、且つ、上記比較の結果が、完了条件が満たされているとの結果である場合、登録部63が、作業状態を、完了を意味する状態としてよい。これにより、実際に作業が行われたことの正確性がより担保される。具体的には、例えば、異なる場所(例えばフロア)にある複数の昇降機3について、得られた行動履歴データが表す作業者位置が同じである、或いは、一部の昇降機3については操作履歴データが表す操作内容が少ないといった場合には、いずれかの昇降機3の第一種の実績データが別の昇降機3の第一種の実績データの複製であるおそれがあるが、そういった場合に作業状態が完了を意味する状態となることを回避することが期待される。
【符号の説明】
【0073】
1 保守支援システム