(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】路上路盤再生工事のモニタリングシステムと情報通信型スタビライザ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240521BHJP
E01C 23/12 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06Q50/08
E01C23/12 B
(21)【出願番号】P 2021124422
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2020131830
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000233653
【氏名又は名称】ニチレキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】弁理士法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 要
(72)【発明者】
【氏名】若江 正幸
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 久史
(72)【発明者】
【氏名】伊沢 訓男
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-229005(JP,A)
【文献】特開2020-094358(JP,A)
【文献】国際公開第2016/208276(WO,A1)
【文献】特開2014-077344(JP,A)
【文献】特開2019-100136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
E01C 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステムであって、
前記サーバは、スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに送信されてくるモニタリング情報を受信する手段と、受信した前記モニタリング情報を当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する手段と、利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について、前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段とを有しており、
前記モニタリング情報が、施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む情報である、路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項2】
利用者のコンピュータからの工事の前記指定が、当該工事の認証情報によって行われる、請求項1記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項3】
前記認証情報が、スタビライザの識別情報と工事に付されたパスワードの組合わせを含むものである請求項2記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項4】
前記施工管理パラメータの設計値情報が、スタビライザによる破砕混合深さの設計値についての情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報が、スタビライザに装備されているセンサによって前記位置情報と同期した単位時間間隔で計測された当該スタビライザの破砕混合ロータの施工面からの沈降深さの実測値を含んでいる請求項1~3のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項5】
前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さの実測値が、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左側の沈降深さの実測値と右側の沈降深さの実測値を含んでいる請求項4記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項6】
前記施工管理パラメータの設計値情報が、単位面積あたりの添加材の散布量の設計値についての情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報が、単位面積あたりの前記添加材の散布量の実測値を含んでいる請求項1~5のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項7】
前記施工管理パラメータの設計値情報がスタビライザの速度情報を含み、前記施工管理パラメータの実測値情報がスタビライザの速度情報を含んでいる請求項1~6のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項8】
前記施工管理パラメータの実測値情報がスタビライザの左右方向の傾き角度情報を含んでいる請求項1~7のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項9】
前記施工管理パラメータの実測値情報が
、スタビライザの左右方向の傾き角度情報と、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左側の沈降深さの実測値と右側の沈降深さの実測値と、前記スタビライザの位置情報と、施工前の施工面についての三次元座標データとに基づいて求められたスタビライザの刃先面の三次元座標データを含んでいる請求項
5記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項10】
前記スタビライザの刃先面の三次元座標データと、施工後の施工面についての三次元座標データとに基づいて、構築された再生路盤層の厚さを求める手段を備えている請求項9記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項11】
前記構築された再生路盤層の厚さと、設計処理厚とを、施工後の施工面上の任意の大きさの桝目状に区切られた領域ごとに比較し、両者の乖離の程度を、乖離の程度に応じた異なる形態で前記桝目状に区切られた領域ごとに表示する手段を備えている請求項10記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項12】
利用者のコンピュータに送信される前記表示画面が、単位時間経過ごとのスタビライザの位置情報に基づいて求められた任意の原点からのスタビライザの移動距離又は任意の開始時刻からの経過時間と、前記施工管理パラメータの実測値情報とを対応づけて表示する表示画面である請求項1~11のいずれかに記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項13】
前記サーバが、利用者のコンピュータに送信される前記表示画面に、前記移動距離又は前記経過時間の表示単位を前記単位時間の整数倍で変更する表示単位選択ボタンを表示する手段と、
前記表示画面上で選択された表示単位に基づいて、前記表示画面に表示する前記移動距離又は前記経過時間の表示単位を前記単位時間の整数倍で変更する手段を備えている請求項12記載の路上路盤再生工事モニタリングシステム。
【請求項14】
破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータとを備えたスタビライザであって、
前記コントロールコンピュータが、施工対象工事の識別情報、当該工事についての施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含むモニタリング情報を、ネットワーク上に存在するサーバに送信する手段を有して
おり、さらに、
前記コントロールコンピュータが、前記スタビライザに装備された受信アンテナが受信する測位信号に基づいて、単位時間経過ごとの前記スタビライザの位置情報を取得する手段と、
前記スタビライザに装備された前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さを計測する沈降量センサから、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記破砕混合ロータの沈降深さ情報を取得する手段と、
前記散布装置に供給される前記添加材の単位時間当たりの流量を計測する流量計から、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとに前記添加材の単位時間あたりの流量情報を取得する手段と、
取得した前記流量情報と、前記位置情報又は当該スタビライザに搭載された速度センサから得られる速度情報と、別途入力される前記添加材の散布幅若しくは前記スタビライザに装備された散布ノズルの開閉状態に関する情報に基づいて、前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工面の単位面積あたりの前記添加材の散布量を求める手段を有しており、
前記施工管理パラメータの実測値情報が、前記沈降深さ情報、及び前記単位面積あたりの前記添加材の散布量を含んでいる、情報通信型スタビライザ。
【請求項15】
前記沈降量センサが、スタビライザ進行方向左右における前記破砕混合ロータの施工面からの沈降深さを計測する沈降量センサであり、前記沈降深さ情報が、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左右における沈降深さについての情報である、請求項1
4記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項16】
前記コントロールコンピュータが、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報又は当該スタビライザに搭載された速度センサに基づいて、当該スタビライザの速度を求める手段を有しており、前記施工管理パラメータの実測値情報が当該スタビライザの速度情報を含んでいる請求項14
又は15に記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項17】
当該スタビライザがスタビライザの進行方向左右の傾き角度を計測する角度センサを備えており、前記コントロールコンピュータが、前記角度センサが計測した傾き角度と、前記破砕混合ロータのスタビライザ進行方向左右における沈降深さと、当該スタビライザについての前記位置情報と、施工前の施工面についての三次元座標データとに基づいて、当該スタビライザの刃先面の三次元座標データを取得する手段を含んでいる請求項1
5記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項18】
前記コントロールコンピュータが、当該スタビライザの前記刃先面の三次元座標データと、施工後の施工面についての三次元座標データとに基づいて、構築された再生路盤層の厚さを求める手段を備えている請求項1
7記載の情報通信型スタビライザ。
【請求項19】
前記コントロールコンピュータが、前記構築された再生路盤層の厚さと、設計処理厚とを、施工後の施工面上の任意の大きさの桝目状に区切られた領域ごとに比較し、両者の乖離の程度を、乖離の程度に応じた異なる形態で前記桝目状に区切られた領域ごとに表示する手段を備えている請求項1
8記載の情報通信型スタビライザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は路上路盤再生工事のモニタリングシステムと情報通信型スタビライザに関する。
【背景技術】
【0002】
路上路盤再生工法は、老朽化したアスファルト舗装を現場において破砕し、セメント等の安定材やアスファルト又はアスファルト乳剤(以下、「アスファルト乳剤など」と呼ぶ。)を混合し、締め固めて、新たな路盤層として再生させる工法であり、既設舗装の既設路盤層、若しくは既設路盤層と既設アスファルト混合物層の双方を破砕しその場において再利用することができるので、省資源に寄与することは勿論、現場への材料の搬入や搬出が少なく、省エネルギーにも寄与する優れたリサイクリング工法である(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
路上路盤再生工法は、通常、既設アスファルト混合物層や既設路盤層を構成している材料の種類や性状、再生後の路盤層に求められる強度や層厚などに基づいて施工計画を設計し、施工管理パラメータの設計値に基づいて施工管理される。施工管理パラメータとしては、既設アスファルト混合物層や既設路盤層を破砕する深さや、破砕した材料と混合するアルファルト乳剤などの添加材の散布量などが用いられることが多い。
【0004】
例えば、破砕深さに関しては、スタビライザには、破砕混合ロータの路面からの沈降深さを示すインジケータが設けられており、施工中、オペレータがこのインジケータを目視で読み取ることによって破砕混合深さが設計値どおりであるかどうかが確認されている。
【0005】
また、アスファルト乳剤などの散布量に関しては、スタビライザには、単位時間あたりにスタビライザに供給されるアスファルト乳剤などの量を液体ポンプの回転数に基づいて一分間あたりの流量に演算して示す流量メータが備えられており、その流量メータの表示値をみながら、オペレータが、施工面単位面積あたりのアスファルト乳剤などの散布量が設計値どおりであるかどうかを確認しているが、スタビライザの速度が変わると流量メータの表示値が同じでも単位面積あたりのアスファルト乳剤などの散布量は変化するから、オペレータは、速度計の表示値と流量メータの表示値の双方を見比べながら、アスファルト乳剤などの散布量を設計値の範囲内に維持しなければならなかった。
【0006】
このように、本願出願前、路上路盤再生工法の施工においては、施工管理パラメータの管理はオペレータに任されており、設計値どおりに施工されているかどうかを、例えば、発注者が確認するには、実際に施工現場に立ち会うか、或いは、施工後、適宜の施工箇所をサンプリングするなどして破砕混合深さを確認するか、スタビライザに供給されたアスファルト乳剤などの総量と施工総面積とから、単位面積あたりのアスファルト乳剤などの散布量を事後的に確認する以外に方法がなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開昭59-224705号公報
【文献】特開2000-008317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて為されたもので、路上路盤再生工法において、施工時における施工管理パラメータの実測値とその推移を、スタビライザの運転席や現場周辺だけではなく、現場から離れた遠隔地からでも、実時間で、又は随時に確認することができる路上路盤再生工事モニタリングシステムと、それを可能にする情報通信型スタビライザを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決すべく研究努力を重ねた結果、本発明者らは、ネットワーク上にサーバを設け、当該サーバに、施工に携わったスタビライザから施工管理パラメータの実測値を送信し、当該サーバを介して、施工に係わる当事者に施工管理パラメータの実測値を開示することによって、施工管理パラメータとされる数値の実施工時における変化と推移を、当該工事に関与する誰でもが、どこからでも、実時間で又は随時確認することができることを見出し、また、それを可能にする情報通信機能を備えた情報通信型スタビライザを開発して、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、サーバを含む路上路盤再生工事モニタリングシステムであって、前記サーバは、スタビライザから対象とする工事の識別情報とともに送信されてくるモニタリング情報を受信する手段と、受信した前記モニタリング情報を当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する手段と、利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、当該工事について、前記モニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段とを有しており、前記モニタリング情報が、施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含む情報である、路上路盤再生工事モニタリングシステムを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【0011】
また、本発明は、破砕混合ロータと添加材の散布装置とコントロールコンピュータとを備えたスタビライザであって、前記コントロールコンピュータが、施工対象工事の識別情報、当該工事についての施工管理パラメータの設計値情報、単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、又は前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報のいずれか一つ又は複数を含むモニタリング情報を、ネットワーク上に存在するサーバに送信する手段を有している、情報通信型スタビライザを提供することによって、上記の課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の路上路盤再生工法モニタリング装置によれば、既に施工された路上路盤再生工事はもとより、現に施工されつつある路上路盤再生工事に関しても、その施工管理パラメータの実測値とその変化とを、ネットワークを介して、遠隔地からでもリアルタイムで確認することができるので、施工内容を「見える化」することができるという優れた利点が得られる。また、施工管理パラメータの実測値が、スタビライザの位置情報と同期したタイミングで得られるので、スタビライザの進行に即した施工管理パラメータの変化を、任意原点からのスタビライザの移動距離或いは移動経路と対応づけて、また、任意の開始時点からの施工時間の経過と対応づけて利用者のコンピュータに表示することができるので、施工の進行状況を施工対象区間や施工時間と対応づけて、具体的かつ詳細に見て取ることができるという利点がえられる。
【0013】
また、本発明の情報通信型スタビライザによれば、スタビライザのオペレータや現場に立ち会う以外には確認することが困難であった施工管理パラメータの実測値を、ネットワーク上のサーバに送信し、サーバを介して、関係者に開示することができるとともに、記憶装置に残すことができるという利点が得られる。また、個々のスタビライザが実施した施工記録をネットワーク上のサーバに残すことができるので、スタビライザの識別情報に基づいて、過去の施工実績はもとより、今後の施工予定に関する情報を、関係者で共有することが可能となり、現場の割り当て作業や、個々のスタビライザについてのメンテナンス時期の調整などを、効率的に行うことが可能になるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の路上路盤再生工事モニタリング装置の一例を示す概念図である。
【
図2】本発明の情報通信型スタビライザの一例を示す概略側面図である。
【
図3】コントロールコンピュータに表示される表示画面の一例を示す図である。
【
図4】コントロールコンピュータに表示される初期画面の一例を示す図である。
【
図5】コントロールコンピュータに表示される計画データ入力画面の一例を示す図である。
【
図6】計画データの入力を終えた計画データ入力画面の一例を示す図である。
【
図7】利用者のコンピュータに表示されるログイン画面の一例を示す図である。
【
図8】利用者のコンピュータに送信される表示画面の一例を示す図である。
【
図9】表示画面の下段の部分だけを拡大して示す部分拡大図である。
【
図10】表示画面の他の一例を示す部分拡大図である。
【
図11】表示画面の上段の部分だけを拡大して示す部分拡大図である。
【
図12】本発明の情報通信型スタビライザの他の一例を示す概略側面図である。
【
図13】
図12に示す情報通信型スタビライザの正面概略図である。
【
図14】
図12に示す情報通信型スタビライザの動作の説明図である。
【
図15】
図12に示す情報通信型スタビライザの動作の説明図である。
【
図16】
図15における破砕混合ロータ6だけを取り出して示す図である。
【
図17】
図16の一部だけを取り出して示す説明用の概略図である。
【
図18】刃先面の三次元データの取得方法の説明図である。
【
図19】施工後の施工面と刃先面との関係を示す斜視図である。
【
図21】集中モニタリング画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明が、図示のものに限られないことはいうまでもない。
【0016】
図1は、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムの一例を示す概念図である。
図1において、1はサーバである。サーバ1は、図示しない適宜の記憶装置を有しており、インターネットなどのネットワーク2と接続され、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムを構成している。好適な一例において、サーバ1はクラウド上に存在していてもよい。
【0017】
3A、3B、3C、3Dは本発明に係る情報通信型スタビライザであり、それぞれが通信機能を持ったコントロールコンピュータ(以下、単に「コントロールPC」ということがある。)を搭載しており、そのコントロールPCを介して、ネットワーク2に適宜接続可能である。4A、4Bは発注者のコンピュータ、5A、5Bは、例えば現場監督などの工事関係者のコンピュータであり、いずれもネットワーク2への接続手段を備えており、ネットワーク2に随時接続可能である。コンピュータ4A、4B、5A、5Bは、パーソナルコンピュータであっても良いし、タブレット端末や、スマートフォンなどの携帯端末であっても良い。また、図示したスタビライザの数や、発注者のコンピュータの数、及び工事関係者のコンピュータの数は、あくまでも例示であり、図示した台数に限定されるものではない。
【0018】
図2は、情報通信型スタビライザ(以下、単に「スタビライザ」と呼ぶことがある。)3Aの一例を示す概略側面図である。図に示すとおり、スタビライザ3Aは自走式の作業車であり、その前後方向中央には、破砕混合ロータ6が取り付けられている。Tはタイヤである。なお、図示の例では、スタビライザ3Aは四輪車であるが、四輪車に限られず、六輪車又はその他の輪数車であっても良いことは勿論である。7は破砕混合ロータ6のビットである。破砕混合ロータ6は、スタビライザ3Aの図示しないエンジンから動力を受けて、水平方向に伸びる回転軸の回りに高速で回転するとともに、同じくスタビライザ3Aのエンジンからの動力を受けて、鉛直方向上下に移動するように構成されている。破砕混合ロータ6が、回転しながら施工面Sよりも下方に沈下すると、破砕混合ロータ6に取り付けられている複数のビット7によって、既設路盤Rが破砕され、撹拌、混合されることになる。なお、図では単に既設路盤Rとしか示していないが、破砕混合ロータ6によって破砕される既設路盤はその上にアスファルト混合物層を有していても良く、その場合、図中Rで示される既設路盤は、路盤とその上に構築されている既設アスファルト混合物層とを含み、破砕混合ロータ6によって、既設路盤の一部又は全部が、その上に位置する既設アスファルト混合物層とともに、破砕、混合されることになる。
【0019】
8Lは、例えば赤外線、レーザ光、又はLEDなどの光を利用した非接触型の距離センサである。距離センサ8Lは投受光器8Laと反射板8Lbとで構成されている。投受光器8Laはスタビライザ3Aの本体に取り付けられており、施工面Sからの高さは、原則、変化することがない。一方、反射板8Lbは、破砕混合ロータ6に直接又は間接に連結された部材に取り付けられており、破砕混合ロータ6とともに上下方向に移動する。投受光器8La側から側距離用の光を反射板8Lbに向けて投射し、反射板8Lbで反射されて戻ってくる光を投受光器8Laで検知することによって、投受光器8Laと反射板8Lbとの距離を計測することができる。破砕混合ロータ6の最下端に位置するビット7の先端が施工面Sと接触する高さにあるときの投受光器8Laと反射板8Lb間の距離を零点としてセットしておくことにより、破砕混合ロータ6の施工面Sからの沈降深さを正確に計測することができる。なお、図中dで示すのが沈降深さであり、路上路盤再生工法でいう破砕混合深さに相当する。
【0020】
なお、図示の例では、スタビライザ3Aの進行方向左側に取り付けられている距離センサ8Lしか描かれていないけれども、スタビライザ3Aの進行方向右側にも同様の距離センサ8Rが設けられており、破砕混合ロータ6の沈降深さを左右別々に、独立して計測できるようになっている。
【0021】
また、距離センサ8L、8Rは、上述したタイプのものに限られるわけではなく、破砕混合ロータ6の施工面Sからの沈降深さを測定できるものであれば、その取り付け箇所を含めて、どのような測定原理、機構、構造のセンサを用いても良いことはいうまでもない。
【0022】
9はアスファルト乳剤などの添加材の散布ノズルである。散布ノズル9は、スタビライザ3Aの幅方向に複数個設けられており、個々の散布ノズル9にはノズル開閉弁が取り付けられている。このノズル開閉弁を個々に手動若しくは遠隔操作で開閉することによって、アスファルト乳剤などの添加材の散布幅(スタビライザ3Aの幅方向の長さ)Wを適宜変更することができるようになっている。10は吸引・吐出ポンプ、11はタンクローリーとの接続管、12は接続管11に取り付けられた流量計である。
【0023】
施工時には、スタビライザ3Aの前方を添加材を積載したタンクローリー(図示せず)が走行し、タンクローリーの供給管とスタビライザ3Aの接続管11とを接続し、タンクローリーから添加材の供給を受けながら、施工が進行する。すなわち、接続管11をタンクローリーの供給管と接続した状態で、タンクローリー側の弁を開とし、吸引・吐出ポンプ10を作動させ、添加材をスタビライザ3A内に吸引するとともに、散布ノズル9に向けて吐出して、施工面S上へと散布する。接続管11には流量計12が取り付けられており、接続管11内を通過する添加材の単位時間あたりの流量が計測される。
【0024】
なお、上記添加材としては、典型的にはアスファルト乳剤、アスファルトなどの液状の添加材が挙げられるが、液状の添加材に限られず、例えばセメントアスファルトペーストなどのペースト状の添加材であっても良いく、散布ノズル9から施工面上に散布することができる限り、路上路盤再生工法で用いられるその他の添加材であっても良い。
【0025】
13は、測位システムの電波信号を受信する測位アンテナである。利用する測位システムは、スタビライザ3Aの現在位置を一定時間間隔で正確に測定することができるものであれば良く、特定のものに限られる訳ではないが、例えば、衛星測位システム(GNSS(Global Nabigation Satellite System))が挙げられ、特に、高精度な測位が可能なRTK法を用いたRTK-GNSSが好適に利用される。
【0026】
測位アンテナ13が受信した信号は、コントロールPC14に送られ、コントロールPC14は送られてきた測位信号から、測位アンテナ13の位置の正確な緯度・経度情報を取得する。RTK-GNSSの場合、1秒毎に測位信号が送信されてくるので、これを測位アンテナ13で受信することによって、コントロールPC14は、1秒経過ごとの測位アンテナ13の位置情報、すなわち、緯度・経度情報を取得することができる。例えば、緯度・経度情報取得開始時点をt0とし、以降の単位時間経過ごとの時刻をt1、t2、t3・・・とすると、それぞれの時刻の測位アンテナ13の位置(緯度・経度)P0、P1、P2、P3・・・が求められることになる。このように、例えば、1秒を単位時間として、RTK-GNSSと測位アンテナ13とコントロールPC14とによって、単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの位置情報P0、P1、P2、P3・・・が得られることになる。
【0027】
測位アンテナ13は、情報通信型スタビライザ3Aのどの位置に取り付けても良いが、破砕混合ロータ6の回転軸と、スタビライザ3Aの左右方向中心面との交点の鉛直方向上方に取り付けるのが好ましい。
【0028】
コントロールPC14は、先に述べた左右の距離センサ8L、8Rとも接続されており、RTK-GNSSからの信号と同期した単位時間間隔で距離を計測する。これによって、先に述べた時刻t0、t1、t2、t3・・・における、破砕混合ロータ6の左右の施工面Sからの沈降深さdL0、dL1、dL2、dL3・・・、及びdR0、dR1、dR2、dR3・・・を求めることができる。
【0029】
コントロールPC14は、先に述べた流量計12とも接続されており、RTK-GNSSからの信号と同期した単位時間間隔で接続管11内を流れる添加材の単位時間あたりの流量を計測することによって、スタビライザ3Aの位置情報と同期した単位時間経過ごとに、散布ノズル9から散布される添加材の単位時間あたりの散布量Q0、Q1、Q2、Q3・・・を求めることができる。換言すれば、先に述べた時刻t0、t1、t2、t3・・・における、散布量Q0、Q1、Q2、Q3・・・が求められる。
【0030】
コントロールPC14は、さらに、先に述べた単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの位置情報P0、P1、P2、P3・・・に基づいて、スタビライザ3Aの位置情報と同期した単位時間経過ごとにスタビライザ3Aが進んだ距離、すなわち、単位時間あたりのスタビライザ3Aの速度V1、V2、V3・・・を求める手段を備えている。単位時間あたりのスタビライザ3Aの速度V1、V2、V3・・・は、コントロールPC14が、例えば下記の計算式を実行することによって求めることができる。
V1=(P1-Po)/(t1-to)
V2=(P2-P1)/(t2-t1)
V3=(P3-P2)/(t3-t2)
・
・
・
【0031】
なお、スタビライザ3Aに、例えば車輪の回転量に比例したパルスを出力するなどして、スタビライザ3Aの速度を計測する速度センサが搭載されている場合には、コントロールPC14は、単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの速度に関する情報を、その速度センサから受信しても良い。
【0032】
コントロールPC14は、さらに、単位時間あたりにスタビライザ3Aが進んだ距離に相当する先に述べた単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの速度情報V1、V2、V3・・・と、スタビライザ3Aに装備されている散布ノズル9の散布幅(スタビライザ3Aの幅方向の長さ)Wと、流量計12から得られる単位時間経過ごとの添加材の散布量Q0、Q1、Q2、Q3・・・に基づいて、施工面Sの単位面積あたりの添加材の散布量(L/m2)を、スタビライザ3Aの位置情報と同期した単位時間ごとに、求める手段を備えている。すなわち、単位時間経過ごとの単位面積あたりの添加材の散布量L1、L2、L3・・・は、コントロールPC14が、例えば下記の計算式を実行することによって求められる。
L1=Q1/(W×V1)
L2=Q2/(W×V2)
L3=Q3/(W×V3)
・
・
・
【0033】
なお、添加材の散布幅(スタビライザ3Aの幅方向の長さ)Wは、その値を予めコントロールPC14に入力しておいても良い。また、施工現場に応じて添加材の散布幅Wを変更する場合には、その変更に合わせて、その都度オペレータがコントロールPC14に変更後の散布幅Wを入力すれば良い。いずれにしても、添加材の散布幅Wを直接コントロールPC14に入力する場合には、コントロールPC14は、添加材の散布幅Wの入力を受け付ける手段を備えているということになる。
【0034】
或いは、個々の散布ノズル9に取り付けられているノズル開閉弁の開閉を、目標とする散布幅Wに合わせて、例えば、スタビライザ3Aの運転席などに設けられている開閉コントロールスイッチでコントロールする場合には、その開閉コントロールスイッチの動作状態に関する信号をコントロールPC14に入力し、入力を受けたコントロールPC14が、開状態にある散布ノズルの個数と個々の散布ノズルの散布幅とに基づいて、添加材の散布幅Wを求めるようにしても良い。目標とする散布幅Wが変わる場合には、それに合わせて、開閉コントロールスイッチの動作状態を変えればよい。いずれにせよ、開閉コントロールスイッチの動作状態に関する信号はコントロールPC14に入力されるので、コントロールPC14は添加材の散布幅Wを求めることができる。このように、コントロールPC14は、散布幅W若しくは複数存在する散布ノズル9の開閉状態に関する情報の入力を受け付ける手段を備えており、これによって、コントロールPC14は、常時、添加材の散布幅Wを認識することができ、適宜これを自身の表示画面に表示したり、サーバ1などへ送信することができる。
【0035】
以上のようにして求められた情報通信型スタビライザ3Aの各種の作動パラメータ、又は路上路盤再生工事の施工管理パラメータは、コントロールPC14の表示装置又はスタビライザ3Aの運転席近傍に設けられた適宜の表示装置に、リアルタイムで表示される。
図3に、コントロールPC14の表示装置に表示された表示画面15の一例を示す。
【0036】
図3に示すとおり、左右の破砕混合深さの実測値、及び単位面積あたりの添加材の散布量の実測値が、ライブデータとして画面に表示されている。なお、画面下方に表示されている設計値は、当該路上路盤再生工事について、予め定められた施工管理パラメータの設計値である。このように、コントロールPC14の表示装置又はスタビライザ3Aの運転席近傍に設けられた適宜の表示装置に、路上路盤再生工事の施工管理パラメータの実測値が設計値とともに表示されるので、スタビライザ3Aのオペレータは、表示画面15をみながら、スタビライザ3Aの各種の作動パラメータを変化させて、施工管理パラメータの実測値を設計値に近づけるようにスタビライザ3Aの動作を制御することが容易に行えるといる利点が得られる。また、表示画面15の上部に表示されている「幅 1.67m」は、コントロールPC14が認識している添加材の散布幅Wである。以上のようにして求められた情報通信型スタビライザ3Aの各種の作動パラメータ、又は路上路盤再生工事の施工管理パラメータは、コントロールPC14に接続された適宜の記憶装置に適宜記憶しても良い。
【0037】
次に、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムの動作をスタビライザがスタビライザ3Aである場合を例に説明する。
【0038】
情報通信型スタビライザ3Aを用いて新たに路上路盤再生工事を施工する場合、スタビライザ3Aのオペレータ又はその他の権限ある工事関係者は、スタビライザ3Aに搭載されているコントロールPC14を立ち上げ、コントロールPC14の表示画面に、例えば、
図4に示すような初期画面16を表示させる。
【0039】
図示のとおり、初期画面16には、「計画データ入力」、「計測開始」、及び「終了」の3つのメニューが示されている。工事の施工当初にあたって、オペレータが「計画データ入力」を選択すると、コントロールPC14の画面には、
図5に示すような、計画データ入力画面17が表示される。オペレータは、計画データ入力画面17をみながら、必要な情報を入力すれば良い。なお、計画データ入力画面17の最上段にはパスワードの入力を求める「パスワード要求」欄が設けられており、この欄に入力されたパスワードが、スタビライザ3Aの識別情報とセットになって、対象工事を指定する認証情報を構成するが、これについては後述する。
【0040】
図6は、オペレータによる入力が完了した状態の計画データ入力画面18を示している。
図6にみられるとおり、パスワードとともに、工事名、施工場所、工種、請負者、施工機械についての情報が入力されている。ここに記載されている「○○○○ 01号機」がスタビライザ3Aの番号であり、スタビライザ識別情報を構成している。なお、スタビライザ識別情報は個々のスタビライザを識別できる情報を含んでおれば良く、そのフォーマットは任意である。また、入力された「工事名」、「施工場所」、及び「工種」が、計画データが入力されている工事を他の工事から区別する工事識別情報として機能する。
【0041】
図6の計画データ入力画面18には、添加材についての「設計添加材添加量(1/m
2)」の数値とともに、社内規格で許容される上限値及び下限値の値も入力されている。加えて、
図6の計画データ入力画面18には、「処理厚」として「設計破砕混合深さ(mm)」の数値とともに、社内規格で許容される上限値及び下限値の値も入力されている。なお、
図5及び
図6に示した計画データ入力画面17、18は一例であって、入力項目は図示したものに限られるものではない。また破砕混合深さの単位も「mm」に限られず、「cm」であっても良い。
【0042】
計画データ入力画面18の入力が終わると、オペレータは計画データ入力画面18の右下に表示されている「保存」ボタンをクリックし、入力した計画データをコントロールPC14内の適宜の記憶装置に記憶させ、保存する。この操作によって、コントロールPC14の表示画面は
図4の初期画面16に戻る。因みに、計画データ18の左下に表示されている「読込」ボタンは、コントロールPC14内に既に保存してある計画データを読み込むときに使用するボタンである。
【0043】
次いで、オペレータが、初期画面14上で、「計測開始」をクリックすると、コントロールPC14は、コントロールPC14内に保存されている当該工事の計画データをサーバ1に送信する。当該工事の計画データは、通常、最も新しくコントロールPC14内に保存された工事の計画データであるが、「計測開始」をクリックする前に、コントロールPC14の画面上で、既に保存されている計画データの中から選択できるようにしても良い。
【0044】
コントロールPC14からサーバ1に送信される計画データは、工事の識別情報とともに施工管理パラメータの設計値情報を含んでおり、後述する単位時間経過ごとの当該スタビライザの位置情報、及び前記位置情報と同期した単位時間経過ごとの施工管理パラメータの実測値情報とともに、当該工事についてのモニタリング情報を構成している。
【0045】
計画データの送信とともに、コントロールPC14は、「計測開始」がクリックされた時刻から最も早くに受信した測位信号の受信時刻を開始時刻t0として、そこから単位時間経過ごとの情報通信型スタビライザ3Aの緯度・経度情報を取得し、位置情報としてサーバ1に送信を開始する。それとともにコントロールPC14は、スタビライザ3Aの位置情報と同期したタイミングで計測された、接続されている他のセンサからの信号を取得し、前記位置情報の取得時刻と対応づけて、サーバ1に送信する。
【0046】
接続されている他のセンサからの信号とは、左右の距離計8L、8Rで計測された破砕混合ロータ6の左右の施工面Sからの沈降深さであり、流量計12で計測された添加材の単位時間あたりの流量(l/秒)であり、さらには、単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの位置情報から求められたスタビライザ3Aの速度又は搭載されている適宜の速度センサから得られたスタビライザ3Aの速度であり、前記添加材の単位時間あたりの流量と、散布幅Wと、スタビライザ3Aの速度とを勘案して求められた、施工面Sの単位面積あたりの前記添加材の散布量(l/m2)である。
【0047】
これらの情報のうち、破砕混合ロータ6の左右の施工面Sからの沈降深さ(mm)と、施工面Sの単位面積あたりの添加材の散布量(l/m2)は、路上路盤再生工事の管理パラメータであるので、サーバ1に送信するのが好ましい。また、スタビライザ3Aの速度情報や、タンクローリーから供給される添加材の単位時間あたりの流量は、直接、路上路盤再生工事の管理パラメータに相当するものではないので必要に応じてサーバ1に送信すれば良いが、行われている路上路盤再生工事の全貌を開示するという観点からは、これらの情報もサーバ1に送信するのが望ましい。
【0048】
コントロールPC14からこれらの情報を受信したサーバ1は、受信した情報を自身の記憶装置に、当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶する。
【0049】
施工が完了するか、何らかの理由で停止する場合、オペレータは初期画面16上で、「終了」ボタンをクリックすれば良い。各種計測データのサーバ1への送信は終了する。このとき、スタビライザ3Aの各種センサによる計測動作も終了するようにしても良いが、完全に終了操作が行われるまで、計測動作は継続させておいても良い。
【0050】
なお、以上の説明では、コントロールPC14はオペレータが操作しているが、オペレータ以外の現場監督その他の権限ある工事関係者が操作しても良いことは勿論である。
【0051】
次に、工事の発注者又はその他の工事関係者が、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムを利用して、路上路盤再生工事をモニタリングする場合の当該システムの動作について説明する。
【0052】
発注者又は工事関係者がコンピュータ4A又は5Aから本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムが提供するサイトにアクセスすると、コンピュータ4A又は5Aには、
図7に示すようなログイン画面19が表示される。
【0053】
図7に示すとおり、ログイン画面19には、スタビライザ番号の入力欄と、パスワードの入力欄とが設けられている。このログイン画面19に、発注者又は工事関係者がモニタリングすることを希望する工事を施工するスタビライザの番号と、それに対応したパスワードを入力し、サーバ1に送信すると、サーバ1は、これを受信し、受信したスタビライザ番号とパスワードの組合わせによって指定される工事を特定し、その指定された工事について、モニタリング情報を表示する表示画面を発注者のコンピュータ4A又は工事関係者のコンピュータ5Aに送信する。
【0054】
本例においては、スタビライザ識別情報であるスタビライザの番号と、対象とする工事に付されたパスワードの組合わせが、当該工事の認証情報として機能しており、この組合わせを正しく入力したコンピュータ4A又は5Aの操作者には当該工事をモニタリングする権限があると認証される。ただし、これは一例であって、工事の認証情報としては、スタビライザの番号とパスワードの組合わせ以外の認証情報を用いても良いことは勿論である。例えば、利用者のID番号とパスワードの組合わせや、工事の識別情報とパスワードの組合わせなどを、当該工事の認証情報として使用しても良い。
【0055】
工事の認証情報は、例えば、サーバ1から、登録された利用者のコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンなどの携帯端末に事前に送信するなどして、利用者に知らせておくことができる。なお、パスワードは、必ずしも数字や文字の組合わせに限られず,例えば、二次元バーコードで表される二次元情報であっても良い。
【0056】
図8は、スタビライザの番号とパスワードの組合わせを認証情報として指定された工事について、サーバ1から発注者のコンピュータ4A又は工事関係者のコンピュータ5Aに送信される表示画面20の一例を示す図である。
【0057】
図8に示すとおり、表示画面20の上段左の標題欄21には、主たる工事識別情報である「工事名」及び「施工場所」が表示され、その下の右側には、「請負者」、「工種」、「施工機械」などの工事識別情報の一部と、「設計処理厚さ」、「設計添加材散布量」などの施工管理パラメータの設計値を表示する工事情報欄22が表示されている。これらの情報は、スタビライザに搭載されたコントロールPCからサーバ1に送信され、サーバ1が、当該情報を送信したスタビライザ及び対象とする工事と対応づけて記憶している情報である。また、施工管理パラメータの設計値についての情報はモニタリング情報の一部を構成している。サーバ1は、コントロールPC14に表示される初期画面16上で「計測開始」がクリックされると同時に、当該工事についてのこれらの情報を受信しており、当該工事が指定されたことにより、これらの既に受信している情報を自身の記憶装置から読み出して、表示画面20上に表示する。
【0058】
表示画面20の中央から下には、路上路盤再生工事の開始点を原点としたスタビライザの移動距離又は路上路盤再生工事の開始時刻からの経過時間を横軸に取り、経過時間又は移動距離とともに変化する添加材の単位面積あたりの散布量(l/m2)を表示するグラフ23、同じく、スタビライザ左側の破砕混合深さ(mm)を表示するグラフ24、さらに、スタビライザ右側の破砕混合深さ(mm)を表示するグラフ25が表示されている。
【0059】
図9は、
図8のグラフ部分だけを拡大して示す部分拡大図である。
図8及び
図9に示すとおり、各グラフ23、24、25中、縦の線で区切られた区間が単位時間に相当しており、例えば、単位時間を1秒とすると、各グラフの最も左の区間が00分00秒に、その右の区間が00分01秒、以下順次時間の経過を表すことになる。また、散布量のグラフ23の上には、原点からのスタビライザの移動距離が目盛られており、この例においては、移動距離が原点から1mを超えるまでは、「0-1m」と表示され、1mを超えて2mまでは「1-2m」と表示されるようになっている。
【0060】
各グラフ23、24、25には、表示画面20がコンピュータ4A又は5Aに送信される時点で既に得られている各実測値データが各区間ごとに1点ずつプロットされている。この各プロットが、単位時間の経過ごとに順次右方向に増えていき、グラフの右端に達すると、各グラフが左方向にスクロールされ、常に最新の実測値データが表示されることになる。併せて、移動距離及び時間の表示も1区間ごとに増えていき、グラフとともにスクロールされる。なお、これらの実測値のプロットやグラフのスクロールがサーバ1によって実行されることはいうまでもない。
【0061】
なお、
図8、
図9に示す表示画面20には、実測値データとして、添加材の散布量とスタビライザ左右の破砕混合深さがグラフ23、24、25として示されているが、これらに加えて、例えば
図10に示すように、スタビライザの移動速度の実測値を示すグラフ26を表示するようにしても良い。
【0062】
また、各グラフには、各施工管理パラメータの設計値に相当する縦軸位置に、設計値の目安となる設計基準線を表示したり、設計値からのズレの上下限の許容値に相当する縦軸位置に上下限の許容値の目安となる許容線を表示しておくのが良い。これにより、発注者又は工事関係者は、実測値の設計値との一致程度や、設計値からのズレの程度を、直感的に把握することができるので、極めて便利である。
【0063】
いずれにせよ、表示画面20には、工事開始の原点からの移動距離及び/又は工事開始からの経過時間に対応づけてプロットされた施工管理パラメータの実測値が逐次、表示されるので、発注者又は工事関係者は、現場とは離れた場所からでも、施工されている路上路盤再生工事の施工状況を、臨場感をもって、リアルタイムでモニタリングすることができる。
【0064】
図11は、表示画面20の上段の部分だけを取り出して拡大して示す部分拡大図である。図において、27は施工区間を示す地図であり、地
図27中、2本のフラッグで挟まれ、ハッチングを付された区間が施工対象区間であることを示している。工事が進行するに連れて、サーバ1は、スタビライザ3Aの位置情報に基づいて、スタビライザ3Aが既に通過したハッチング部分の色などを徐々に変化させていくので、工事の進行具合を地図上で直感的に把握することが可能である。
【0065】
28は工事の進捗状況を示すポインタであり、表示画面20に表示されている実測値データが工事全体の中で時間的又は距離的にどの位置のデータであるのかを示している。ポインタ28は、工事の進捗にともなって図中左方から右方へと移動していくが、表示画面20上で、ポインタ28にタッチしながら右方向に移動させると実測値データの表示が早送りされ、工事がより進捗した時点での実測値データを表示させることができる。また、表示画面20上で、ポインタ28にタッチしながら左方向に移動させると実測値データの表示が巻き戻され、工事のより早い時点での実測値データを表示させることができる。これにより、発注者又は工事関係者は、時間の経過とともに進行する工事全体の中から見たい部分を選択して素早く表示画面20に表示させたり、見たい部分に立ち戻って実測値データの推移を確認したりすることができる。
【0066】
なお、表示すべき実測値データをサーバ1が未だ受信していない場合には、ポインタ28を右方向に移動させる操作は無効とされるか、実測値のプロットのない各グラフ23~26が表示される。
【0067】
図11において、表示画面20の右上に示されているボタン29a、29b、29cは、グラフ23~27に表示される移動距離又は経過時間の表示単位を、単位時間の整数倍で変更する表示単位選択ボタンである。発注者又は工事関係者が、表示画面20上で、ボタン29a、29b、29cのいずれかにタッチすると、経過時間の表示単位を、1秒間隔、5秒間隔、又は10秒間隔へと、単位時間の整数倍で変化させることができる。それに伴い、移動距離も1秒毎、5秒後毎、又は10秒毎の移動距離に変更される。本例では、ボタン29a、29b、29cによって選択される経過時間の表示単位は1秒間隔、5秒間隔、10秒間隔の3種類だけであるが、それにとどまらず、30秒間隔、1分間隔等、単位時間の整数倍で表示単位を変更可能としても良い。
【0068】
なお、表示単位が変更されると、サーバ1は、その表示単位での実測値の平均値をグラフ23~27にプロットすることになる。例えば、添加材の散布量についていえば、表示単位が5秒間隔になると、サーバ1は、その5秒間における添加材の散布量の5個の実測値の平均値を求め、グラフ23にプロットする。破砕混合ロータの左右の破砕混合深さ、速度についても同様である。
【0069】
図12は、本発明に係る情報通信型スタビライザ3Aの他の一例を示す概略側面図である。先に説明した例におけると同じ部材には同じ符号を付してある。本例のスタビライザ3Aは、角度センサ30を備えている点において、先に説明したスタビライザ3Aとは異なっている。
【0070】
図13は、
図12に示すスタビライザ3Aを進行方向前方から見た正面図であり、便宜上、左右のタイヤTと、破砕混合ロータ6と、角度センサ30と、測位アンテナ13だけを取り出して示してある。図中、H
0は水平面、Xはスタビライザ3Aの左右方向中心面、h
R及びh
Lは、それぞれ、スタビライザ3Aの左右方向中心面Xから破砕混合ロータ6の右側端部及び左側端部までの長さである。本例のスタビライザ3Aにおいては、破砕混合ロータ6は、その回転軸方向の中心がスタビライザ3Aの左右方向中心面X上に位置するようにスタビライザ3Aに取り付けられているので、h
R=h
Lの関係にある。
【0071】
角度センサ30は、スタビライザ3Aの左右方向の傾きを検知するセンサであり、スタビライザ3Aの水平面H0からの傾き角度αを計測する。角度センサ30は、スタビライザ3Aの左右方向の傾き角度αを計測することができれば、スタビライザ3Aのどこに取り付けられていても良いが、測位アンテナ13と同様に、破砕混合ロータ6の回転軸と、スタビライザ3Aの左右方向中心面Xとの交点の鉛直方向上方に位置しているのが好ましい。角度センサ30は、スタビライザ3Aの水平面H0からの左右方向の傾きを角度αとして計測し、コントロールPC14へと送信する。
【0072】
次に、
図12及び
図13に示す角度センサ30を備えたスタビライザ3Aの動作について説明する。
図14は、破砕混合ロータ6が回転しながら施工面Sよりも下方に沈下し、既設路盤Rの破砕と添加材との混合が進行中の状態を示している。なお、図中Rで示す部分が、既設路盤とその上に構築されている既設アスファルト混合物層とを含んでいても良いことは先に述べたとおりである。
図14においては、施工面Sは水平であり、施工面Sは水平面H
0に対して傾斜していない。したがって、施工面S上を走行するスタビライザ3Aに搭載された角度センサ30が計測するスタビライザ3Aの傾き角度αは「0」である。d
L、d
Rは、スタビライザ3Aに搭載されている距離センサ8
L、8
Rによって計測された破砕混合ロータ6の施工面Sからの左右の沈降深さである。スタビライザ3Aの傾き角度αが「0」であるので、左右の沈降深さd
L、d
Rは、破砕混合ロータ6の左右端部におけるビット7の刃先の施工面Sからの鉛直方向深さと一致している。
【0073】
図15は、施工面Sが水平面H
0に対して角度αだけ傾斜しており、それに伴い、施工面S上を走行するスタビライザ3Aが、進行方向右下がりに水平面H
0から角度αだけ傾斜した状態を表している。このスタビライザ3Aの傾き角度αは角度センサ30によって計測され、コントロールPCに送信される。なお、角度センサ30によるスタビライザ3Aの傾き角度の計測は、任意の時間間隔で任意のタイミングで行われても良いが、測位アンテナ13とコントロールPC14とによって行われる単位時間経過ごとのスタビライザ3Aの位置情報の取得と同期した時間間隔で行われるのが好ましい。
【0074】
図16は、
図15における破砕混合ロータ6だけを取り出して示す図であり、
図17は、
図16における符号R及びLで示す円内の部分だけを取り出して拡大して示す説明用の概略図である。
図16及び
図17において、Vpは、破砕混合ロータ6に取り付けられている多数のビット7の各々が、破砕混合ロータ6の回転によって、破砕混合ロータ6の最下端に到達したときの各ビット7の先端部の位置を面状に連続させた刃先面であり、便宜上、ビット7が存在しない領域にまで延在させてある。S
R及びS
Lは破砕混合ロータ6の右側端点及び左側端点であり、共に、破砕混合ロータ6の回転軸を含む鉛直面と施工面Sとの交線上に位置している。S
Cは破砕混合ロータ6の中央点であり、前記交線と、スタビライザ3Aの左右方向中心面Xとの交点に位置している。V
Rは、破砕混合ロータ6の右側端点S
Rの位置における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さ、V
Lは、破砕混合ロータ6の左側端点S
Lの位置における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さである。
【0075】
図示のとおり、施工面Sが水平ではなく、その上を走行するスタビライザ3Aが傾いている場合には、先に
図14に示した場合とは違って、破砕混合ロータ6の左右の沈降深さd
L、d
Rは、破砕混合ロータ6の左右側端点S
L、S
Rにおけるビット7の刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さV
L、V
Rと一致しない。ただし、その不一致の程度は、スタビライザ3Aの傾き角度αに依存しており、
図17に示す幾何学的関係から明らかなとおり、V
Rとd
R、V
Lとd
Lとは、下記式で表される関係にある;
V
R=d
R/sin(90-α)
V
L=d
L/sin(90-α)
【0076】
したがって、角度センサ30を備えている本例のスタビライザ3Aにおいては、施工面Sが傾斜している場合であっても、その傾きの角度を角度センサ30で計測し、その計測された角度αと破砕混合ロータ6の左右の沈降深さdL及びdRとに基づいて、破砕混合ロータ6の左右の側端点SL及びSRの位置における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さVL及びVRを求めることができる。これにより、本例のスタビライザ3Aにおいては、施工面Sが傾斜している場合であっても、施工面Sからの鉛直方向における混合深さをより正確に把握することができるという利点が得られる。
【0077】
なお、破砕混合ロータ6の左側端点SL及び右側端点SRにおける刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さVL及びVRが分かると、破砕混合ロータ6をビット7を含めて剛性のある一体物とみなして、破砕混合ロータ6の左右の側端点SLとSR間の任意の位置における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さVnを比例配分で求めることができる。例えば、中央点SCにおける刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さVSCは、hR=hLであるので、VSC=(VR+VL)/2を計算することによって求めることができる。その他の点についても、その点と左右の側端点SL及びSRまでの距離が分かれば、同様にして、その位置における刃先面Vpの鉛直方向深さを求めることができる。
【0078】
施工面Sからの鉛直方向深さVL及びVRの計算は、どの機器がどのタイミングで行っても良いが、スタビライザ3Aによって実行される路上路盤再生工事をモニタリングするという観点からは、コントロールPC14において、角度センサ30による傾斜角αの計測と同期した時間間隔で行われるのが好ましい。計算された鉛直方向深さVL及びVRの値は、その時点でのスタビライザ3Aの位置情報と関連付けられて、コントロールPC14に記憶されるか、サーバ1に送信されるか、或いはその双方が行われる。その他の点についての鉛直方向深さについても同様である。
【0079】
なお、破砕混合ロータ6の刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さを求めることができると、施工前及び施工後の施工面についての測量データと組み合わせることによって、路上路盤再生工事によって再生されるべき路盤層の設計厚さと、実際に再生された路盤層の厚さとの一致の程度を、施工面の全域について、面的かつ定量的に把握し、且つ可視化することができるという利点が得られる。これは、従来は、施工後に設計厚との一致の程度を評価するには、施工箇所の一部を実際に掘り返して確認するしかなく面的な把握ができなかったことに比べると、極めて画期的なことである。以下、詳述する。
【0080】
まず、施工対象路面を事前測量し、施工前の施工面Sについて、その三次元座標データ(X、Y、Z)を取得しておく。このような三次元座標データを取得する測量は、例えば、レーザスキャナやトータルステーションを用いて行うことができる。対象とする施工面Sについて、既に取得している三次元座標データがある場合には、それを用いても良い。施工前の施工面Sについての三次元座標データ(X、Y、Z)は、スタビライザ3Aに装備されているコントロールPC14が持っていても良いし、サーバ1が持っていても良く、或いはその双方が持っていても良い。コントロールPC14が持っていない場合には、必要に応じて適宜サーバ1又はその他の記憶装置から取得すれば良い。
【0081】
続いて、スタビライザ3Aを用いて施工面Sについて路上路盤再生工事を実施する。工事中、コントロールPC14は、スタビライザ3Aの位置情報の取得並びに角度センサ30によるスタビライザ3Aの傾き角度αの計測を行い、それらと同期したタイミングで、
図17に示す幾何学的関係に基づいて、破砕混合ロータ6の左側端点S
L及び右側端点S
Rの施工面Sからの鉛直方向深さV
L及びV
Rを計算する。例えば、
図18に示すように、時刻t
nの時点で角度センサ30が計測したスタビライザ3Aの傾きを角度α
nとし、同じ時点での破砕混合ロータ6の左右の沈降深さをd
Ln及びd
Rnとすると、時刻t
nでの左側端点S
Lnにおける刃先面Vpの鉛直方向深さV
Lnは、V
Ln=d
Ln/sin(90-α
n)として求められ、同じく、時刻t
nでの右側端点S
Rnにおける刃先面Vpの鉛直方向深さV
Rnは、V
Rn=d
Rn/sin(90-α
n)として求められる。コントロールPC14は、必要であれば、時刻t
nにおけるこれらのデータと、同時刻におけるスタビライザ3Aの位置情報P
n(X
Pn、Y
Pn)とを対応づけて記憶する。
【0082】
さらに、コントロールPC14は、スタビライザ3Aの時刻tnにおける位置情報Pn(XPn、YPn)を破砕混合ロータ6の中央点SCの時刻tnにおける位置情報とみなして、中央点SCから左側端点SLまでの長さhLと、中央点SCから右側端点SRまでの長さhRと、時刻tnにおける傾き角度αnとに基づいて、時刻tnにおける左側端点SLnの位置情報(XSLn、YSLn)及び右側端点SRnの位置情報(XSRn、YSRn)を求める。このようにして求められた、時刻tnにおける左側端点SLnの位置情報(XSLn、YSLn)及び右側端点SRnの位置情報(XSRn、YSRn)は、先に求められた時刻tnでの左側端点SLnにおける刃先面Vpの鉛直方向深さVLn及び時刻tnでの右側端点SRnにおける刃先面Vpの鉛直方向深さVRnと、それぞれ対応づけてコントロールPC14に記憶される。
【0083】
左側端点SLと右側端点SR間に位置するその他の点についても同様であり、コントロールPC14は、スタビライザ3Aの時刻tnにおける位置情報Pn(XPn、YPn)と、中央点SCから左側端点SLと右側端点SRの間に位置する任意の点Smまでの長さと、時刻tnにおける傾き角度αnとに基づいて、時刻tnにおける点Smnの位置情報(XSmn、YSmn)を求める。さらにコントロールPC14は、時刻tnにおける左右側端点SLn、SRnの鉛直方向深さVLn及びVRnを中央点SCから点Smまでの距離に基づいて比例配分し、時刻tmでの点Smnにおける鉛直方向深さVmnを求め、これを時刻tnにおける点Smnの位置情報(XSmn、YSmn)と対応づけて記憶する。
【0084】
上述した作業を時刻t0、t1、t2・・・tn、t(n+1)、t(n+2)・・・について実行することにより、コントロールPC14には、破砕混合ロータ6の左右側端点SL及びSRを含む両点間の任意の点についての、時刻t0、t1、t2・・・tn、t(n+1)、t(n+2)・・・でのX、Y座標データと、当該各点における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さデータとが互いに関連付けられて記憶、蓄積される。
【0085】
記憶、蓄積される各点のX、Y座標データとその位置における刃先面Vpの鉛直方向深さデータは、例えば以下のようなものである。
<右側端点SRについて>
・
・
XSRn、 YSRn、 VRn
XSR(n+1)、YSR(n+1)、VR(n+1)
XSR(n+2)、YSR(n+2)、VR(n+2)
・
・
<中間点Smについて>・・・・・・
・
・
XSmn、 YSmn、 Vmn
XSm(n+1)、YSm(n+1)、Vm(n+1)
XSm(n+2)、YSm(n+2)、Vm(n+2)
・
・
<左側端点SLについて>
・
・
XSLn、 YSLn、 VLn
XSL(n+1)、YSL(n+1)、VL(n+1)
XSL(n+2)、YSL(n+2)、VL(n+2)
・
・
【0086】
なお、上述した例では、スタビライザ3Aの位置情報P(XP、YP)を、破砕混合ロータ6の中央点SCの位置情報(XSC、YSC)であるとみなしたが、スタビライザ3Aの左右方向の傾斜が大きく、測位アンテナ13と破砕混合ロータ6の中央点SCとの高さの違いによる位置情報の差が無視できない場合には、角度センサ30が計測する角度αと、測位アンテナ13と破砕混合ロータ6の中央点SCとの高さの差とに基づいて、中央点SCの位置情報(XSC、YSC)を補正するようにしても良い。スタビライザ3Aが前後方向に傾く場合も同様であり、スタビライザ3Aの前後方向の傾きを計測する第2の角度センサをスタビライザ3Aに取り付けて、第2の角度センサが計測する角度βと、測位アンテナ13と破砕混合ロータ6の中央点SCとの高さの差とに基づいて、中央点SCの位置情報(XSC、YSC)を補正するようにしても良い。
【0087】
上述したようにして取得された、破砕混合ロータ6の左右側端点SL及びSRを含む両点間の任意の点についての、時刻t0、t1、t2・・・における刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さデータと、施工面Sについて施工前に取得された三次元座標データ(X、Y、Z)とを、二次元座標データ(X、Y)をキーにして組み合わせることによって、対象とする施工面Sの全域において、破砕混合ロータ6の左右側端点SL及びSRを含む両点間の任意の点についての刃先面Vpの三次元データを求めることができる。
【0088】
すなわち、施工前に取得された施工面Sについての三次元座標データ(X、Y、Z)の中から、例えば、時刻t
nにおける右側端点S
Rnの二次元座標(X
SRn、Y
SRn)に対応するX、Y座標を有する三次元座標データを選び出す。そして、
図18に示すように、そのZ座標データZ
SRnから、時刻t
nにおける右側端点S
Rnの鉛直方向深さV
Rnを減算する。そして、減算後のZ座標データを、時刻t
nにおける右側端点S
Rnの刃先面VpのZ座標データZ
SRnVPとする。すなわち、Z
SRnVP=Z
SRn-V
Rnである。同様にして、左側端点S
Lnの刃先面VpのZ座標データZ
SLnVPは、時刻t
nにおける左側端点S
Lnの二次元座標(X
SLn、Y
SLn)に対応するX、Y座標を有する施工前の施工面Sについての三次元座標データ中、Z座標データをZ
SLnとすると、Z
SLnVP=Z
SLn-V
Lnとして求められる。これによって、時刻t
nの右側端点S
Rn及び左側端点S
Lnにおける刃先面Vpの三次元座標データ(X
SRn、Y
SRn、Z
SRnVP)及び(X
SLn、Y
SLn、Z
SLnVP)を得ることができる。
【0089】
左右側端点SL及びSR以外の点、時刻tn以外の時刻についても同様にして、刃先面Vpの三次元座標データ(XSmn、YSmn、ZSmnVP)・・・を得ることができる。なお、施工前に取得された施工面Sについての三次元座標データ(X、Y、Z)の中に、対象とする点の二次元座標(X、Y)とぴったり一致するX、Y座標を有する三次元座標データが存在しない場合には、最も近接するX、Y座標を有する点のZ座標を用いるか、近接するX、Y座標を有する複数の点のZ座標に基づいて、例えば比例配分によって、対象とする点のZ座標を求め、それを使用すれば良い。このような刃先面Vpの三次元座標データの取得は、コントロールPC14が行って、施工管理パラメータの実測値情報の一つとしてサーバ1に送信しても良いし、コントロールPC14から施工管理パラメータの実測値情報の一つとして送信されてくる刃先面Vpの施工面Sからの鉛直方向深さデータと、施工前の施工面Sについての三次元座標データ(X、Y、Z)とに基づいて、サーバ1が行っても良い。取得された刃先面Vpの三次元座標データは、サーバ1を介して、発注者及び工事関係者のコンピュータ4A、4B、5A、5Bに適宜提供される。
【0090】
以上のようにして、本例におけるスタビライザ3Aによれば、路上路盤再生工事の実施とともに、破砕混合ロータ6の刃先面Vpの三次元座標データを取得することができる。一方、スタビライザ3Aによって既設路盤若しくは既設路盤と既設アスファルト混合物層の破砕と添加材との混合が行われた施工箇所は、モーターグレーダやロードローラなどによる平坦化や締固めによって仕上げられるが、その後、適宜のタイミングで、仕上げられた施工面SSを測量し、施工後の施工面SSについての三次元座標データ(X、Y、Z)を取得する。このような三次元座標データを取得する測量は、施工前におけると同様に、例えば、レーザスキャナやトータルステーションを用いて行うことができる。
【0091】
そして、施工後の施工面SSについての三次元座標データ(X、Y、Z)が取得できると、このデータと、先にスタビライザ3Aによって得られた刃先面Vpの三次元座標データ(X、Y、Z)とから、施工面SS上の各点において、実施された路上路盤再生工事によって実際に構築された再生路盤層の厚さ、すなわち実際の処理厚を求めることができる。すなわち、施工後の施工面SS及び刃先面Vpの双方について三次元座標データ(X、Y、Z)が得られているので、施工後の施工面SS上の任意の地点のZ座標から、対応する二次元座標(X、Y)を有する刃先面VpのZ座標を減算することによって、当該地点における再生路盤層の厚さを知ることができる。
【0092】
図19は、施工後の再生路盤層の断面斜視図である。図に示すとおり、切断面に表れている施工面SS上の例えば5点(sm
1、sm
2、sm
3、sm
4、sm
5)のZ座標データが、それぞれ(Zsm
1、Zsm
2、Zsm
3、Zsm
4、Zsm
5)であり、前記5点に対応する二次元座標データ(X、Y)を有する刃先面Vpにおける対応する5点(Vpm
1、Vpm
2、Vpm
3、Vpm
4、Vpm
5)のZ座標データが、それぞれ(ZVpm
1、ZVpm
2、ZVpm
3、ZVpm
4、ZVpm
5)であるとすると、前者から対応する後者を減算することによって、施工面S上の5点(sm
1、sm
2、sm
3、sm
4、sm
5)における構築された再生路盤層の厚さ(Dsm
1、Dsm
2、Dsm
3、Dsm
4、Dsm
5)を求めることができる。すなわち、実際に構築された再生路盤層の厚さは下記式で求めることができる。
Dsm
1=Zsm
1-ZVpm
1
Dsm
2=Zsm
2-ZVpm
2
Dsm
3=Zsm
3-ZVpm
3
Dsm
4=Zsm
4-ZVpm
4
Dsm
5=Zsm
5-ZVpm
5
【0093】
なお、刃先面Vpについての三次元座標データ(X、Y、Z)の中に、施工面SS上の前記5点(sm1、sm2、sm3、sm4、sm5)とぴったり一致する二次元座標データ(X、Y)を有する点が存在しない場合には、最も近接するX、Y座標を有する点のZ座標を用いるか、近接するX、Y座標を有する複数の点のZ座標に基づいて、例えば比例配分によって、対象とする点のZ座標を求め、それを使用すれば良い。
【0094】
また、施工後の施工面SS上の点を基準として対応する二次元座標データ(X、Y)を有する刃先面Vpにおける対応点を探す代わりに、刃先面Vpにおける点を基準として、対応する二次元座標データ(X、Y)を有する施工後の施工面SS上の点を探しても良い。この場合においても、施工後の施工面SSについての三次元座標データ(X、Y、Z)の中に、刃先面Vpの選択された点とぴったり一致する二次元座標データ(X、Y)を有する点が存在しない場合には、最も近接するX、Y座標を有する点のZ座標を用いるか、近接するX、Y座標を有する複数の点のZ座標に基づいて、例えば比例配分によって、対象とする点のZ座標を求め、それを使用すれば良い。
【0095】
上記のようにして、路上路盤再生工事が実施されて新たに構築された施工面SSの全域について、施工面SSを掘り返すことなく、構築された再生路盤層の厚さを面的且つ定量的に求めることができる。これは、再生路盤層の厚さという施工面上からは見えない、いわば不可視部分にある施工データを、施工面SSを掘り返すことなく可視化できることを意味しており、極めて画期的なことである。なお、構築された再生路盤層の厚さの算出は、施工後の施工面SSについての測量データが入手できさえすれば、スタビライザ3Aに搭載されたコントロールPC14が行っても良いし、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムのサーバ1が行っても良い。このようにして得られた再生路盤層の厚さに関しての情報は、サーバ1を介して、発注者及び工事関係者のコンピュータ4A、4B、5A、5Bに適宜供給され、表示させることができる。
【0096】
さらに、例えば、
図19に示すとおり、施工後の施工面SSを適宜の大きさの桝目状の領域c
1、c
2、c
3・・・に区切り、桝目状の領域ごとに実際に構築された再生路盤層の厚さと、道路構造設計計算から求められる設計処理厚とを比較して、両者の一致又は不一致の程度を知り、桝目ごとに一致又は不一致の程度に応じて表示の異なるヒートマップとして表すことができる。
【0097】
図20はヒートマップ31の一例を示す図である。
図20に示すとおり、ヒートマップ31には、任意の大きさの桝目状に区切られた施工面SS上の各領域ごとに、実際に構築された再生路盤層の厚さが、道路構造設計計算から求められる設計処理厚と比較して、プラス・マイナス何%の範囲内に収まっているのかが色分けや濃淡などの表示上の区別を付して、直感的に把握し易い形態で表示されている。このように、構築された再生路盤層の厚さの設計処理厚からのズレの程度を、そのズレの程度に応じて異なる色彩や濃淡などを付してヒートマップとして表示すると、実施された路上路盤再生工事の処理厚についての精度の良否を、施工面SSの全体について一括して表示でき、場所的な違いなどの傾向も含めて、容易に把握、認識することができるという極めて優れた利点が得られる。
図20のヒートマップ31は一例にすぎず、具体的に何%を境に表示上の区別を付けるか、また、表示上の区別を付ける区分の数を幾つにするかは、適宜変更可能である。さらに、
図20では、施工面SS上をほぼ正方形の桝目状の領域に区分しているが、桝目状に区分される領域の形は正方形に限られず、長方形等、その他の形であっても構わない。
【0098】
なお、個々の桝目状の領域を代表する再生路盤層(実際に構築された再生路盤層)の厚さとしては、その領域に包含される施工面SS上の各点の再生路盤層の厚さの平均値を用いても良いし、例えば、その桝目状の領域の中心に最も近い施工面SS上の点の再生路盤層の厚さを用いても良い。個々の桝目状の領域を代表する再生路盤層の設計処理厚についても同様であり、もしも個々の桝目状の領域内で再生路盤層の設計処理厚が異なっている場合には、その領域に包含される各点における再生路盤層の設計処理厚の平均値を用いても良いし、例えば、その桝目状の領域の中心に最も近い点の設計処理厚を用いても良い。
【0099】
このようなヒートマップ31の作成と表示は、対象とする施工箇所についての道路構造設計計算から求められる再生路盤層の設計処理厚に関するデータと、実際に構築された再生路盤層の厚さについてのデータを所持していれば、コントロールPC14が行っても良いし、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムのサーバ1が行っても良い。また、サーバ1を介して、発注者及び工事関係者のコンピュータ4A、4B、5A、5Bに表示させることも適宜行えば良い。なお、桝目状の領域の大きさは、適宜変更可能であり、コントロールPC14のオペレータ又はサーバ1の使用者が適宜設定、変更すれば良い。
【0100】
以上のとおり、本発明は、スタビライザ3Aの少なくとも進行方向左右方向の傾き角度αを計測する手段又は工程と、計測された傾き角度αと、破砕混合ロータ6の施工面Sからの沈下量と、施工前の施工面Sについての三次元座標データとに基づいて、破砕混合ロータ6の刃先面Vpの三次元座標データを取得する手段又は工程とを備えた情報通信型スタビライザ又は刃先面Vpの三次元座標データ取得方法を提供するものでもある。
【0101】
さらに、本発明は、前記刃先面Vpの三次元座標データと、施工後の施工面SSについての三次元座標データとに基づいて、実際に構築された再生路盤層の厚さを求める手段又は工程とを有する情報通信型スタビライザ或いは路上路盤再生工事モニタリングシステム、又は再生路盤層の厚さデータ取得方法を提供するものでもある。加えて、本発明は、取得された再生路盤層の厚さデータと、対応する施工箇所についての再生路盤層の設計処理厚についてのデータとに基づいて、前者の後者からのズレの程度を、仕上がった施工面SSを任意の大きさの桝目状に区切られた領域ごとに、前記ズレの程度に応じて区別される形態で表示する手段又は工程を有する情報通信型スタビライザ或いは路上路盤再生工事モニタリングシステム、又は路上路盤再生工事における再生路盤の層厚分布の可視化方法を提供するものでもある。
【0102】
なお、上記の説明では、主として、現在進行しつつある工事をモニタリングする場合について説明したが、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムにおいては、過去に既に行われた施工済みの路上路盤再生工事をモニタリングすることも勿論可能である。その際の本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングシステムの動作は、対象とされる工事について、サーバ1が未だ受信していない実測値データが基本的に存在しない点を除けば、現在進行しつつある工事をモニタリングする場合の動作と何ら変わるとことがない。サーバ1は、利用者のコンピュータから、工事を指定してモニタリング要求を受信したとき、その工事が現在進行しつつある工事か、過去に既に施工された工事であるかにかかわりなく当該工事についてのモニタリング情報を表示する表示画面を利用者のコンピュータに送信する手段を有しており、利用者は、いつでも好きなときに、どこからでも、リアルタイムに、又は都合の良いときに、希望する路上路盤再生工事をモニタリングすることができる。
【0103】
なお、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリンスシステムによれば、スタビライザと、そのスタビライザが施工した路上路盤再生工事の識別情報とモニタリング情報とが、互いに関連づけられてサーバ1の記憶装置に記憶されるので、工事関係者は必要に応じてそれらの情報をサーバ1から取り出して、個々のスタビライザの稼働履歴を調べたり、取り出した情報を分析して個々のスタビライザのクセを把握したり、今後の施工予定や現場の割り当て作業の参考にしたり、個々のスタビライザについてのメンテナンス時期の調整などを、効率的に行うことが可能になる。
【0104】
図21は、集中モニタリング画面32の一例を示す図である。集中モニタリング画面32は、例えば、本発明に係る路上路盤再生工事モニタリンスシステムの中央管理室などに設置される大型表示画面で構成される画面であり、個々の情報通信型スタビライザについての稼働状況を表示するだけではなく、当該モニタリングシステムが管理している複数台の情報通信型スタビライザについてのその稼働状況や稼働場所、稼働時間などを一括して表示する画面である。
【0105】
すなわち、例えば、
図21において、33は地図であるが、地
図33上には現在稼働している情報通信型スタビライザが「●」で表示されており、現在、何台の情報通信型スタビライザがどこで稼働しているのかを一目で把握することができる。また、集中モニタリング画面32の左上に複数表示されている表示画面20は、先に説明した個々の情報通信型スタビライザの稼働状況(工事名、施工場所などの情報と、添加材の散布量、左右の混合深さなど)を表示する表示画面であり、それぞれが、地
図33上に稼働状態にあることが示されている個々の情報通信型スタビライザの稼働状況を表示している。中央管理室のオペレータが地
図33上で、又は、複数表示されている表示画面20の中から、拡大表示させたい一つを選択すると、その下に拡大された表示画面20として表示される。
【0106】
集中モニタリング画面32の右側に表示されている符号34で示される複数の画面は、情報通信型スタビライザが搭載しているカメラ若しくはビデオカメラ、又は現場にいる作業者のウエアラブルカメラなどによって撮影された施工現場の映像であり、地
図33上で対象とする情報通信型スタビライザを指定するか、複数表示されている表示画面20の中から対象とする一つの画面を指定するか、別途表示される情報通信型スタビライザ一覧の中から一つを選択することによって、指定又は選択された情報通信型スタビライザの施工現場の映像が表示される。
【0107】
集中モニタリング画面32には、現在稼働中の情報通信型スタビライザだけでなく、各々の情報通信型スタビライザの過去の稼働状況も表示させることが可能であり、過去の稼働状況の場合には、選択された路上路盤再生工事についての表示画面20や施工現場の映像だけでなく、例えば、先に説明したヒートマップ31を表示させることもできる。なお、集中モニタリング画面32の表示を制御するコンピュータは、中央管理室専用のID情報でサーバ1にログインし、サーバ1と常時又は随時接続されることによってサーバ1から表示情報を得るものである。本発明に係る路上路盤再生工事モニタリングスシステムが、このような集中モニタリング画面32を備えている場合には、日本のみならず全世界における情報通信型スタビライザの稼働状況を中央管理室で一括して把握することができ、資源の最適配分や、工事品質の維持、向上に資すること極めて大である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したとおり、本発明の路上路盤再生工事モニタリングシステムと、情報通信型スタビライザによれば、従来は困難であった路上路盤再生工事の実施状況のモニタリングが、過去に施工された工事はもとより、現に施工されつつある工事についても、遠隔地からでも、リアルタイムで可能となる。工事の実際の施工状態についての情報を、施工者だけでなく、発注者を含めて、共有し「見える化」することができ、大いなる産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0109】
1 サーバ
2 ネットワーク
3 情報通信型スタビライザ
4、5 コンピュータ
6 破砕混合ロータ
7 ビット
8 距離センサ
9 散布ノズル
10 吸引吐出ポンプ
11 接続管
12 流量計
13 測位アンテナ
14 コントロールコンピュータ
16 初期画面
17、18 計画データ入力画面
19 ログイン画面
20 表示画面
30 角度センサ
31 ヒートマップ
32 集中モニタリング画面
S 施工面
SS 施工後の施工面
Vp 刃先面