(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
G01R 19/00 20060101AFI20240521BHJP
G01R 35/00 20060101ALI20240521BHJP
G01R 15/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G01R19/00 M
G01R35/00 E
G01R15/00 500
G01R19/00 B
(21)【出願番号】P 2021132749
(22)【出願日】2021-08-17
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】根塚 智裕
(72)【発明者】
【氏名】古田 善一
(72)【発明者】
【氏名】和田 祥太郎
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-98343(JP,A)
【文献】特開2015-21731(JP,A)
【文献】特開2010-8121(JP,A)
【文献】特開2000-292463(JP,A)
【文献】特開2009-128285(JP,A)
【文献】特開2000-201074(JP,A)
【文献】特開2017-96628(JP,A)
【文献】特開2011-69809(JP,A)
【文献】特開昭61-3076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 35/00
G01R 15/00
G01R 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出電流が流れる経路に直列に設けられたシャント抵抗(4)の端子電圧と前記シャント抵抗の抵抗値に対応する検出用抵抗値とを用いて前記被検出電流を検出するものであり、前記検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路(25、75、95、106、116、126、136)を備えた電流センサであって、
前記抵抗値補正回路は、
前記被検出電流が流れる経路とは異なる経路において前記シャント抵抗とともに全てが直列接続されたものであり且つ前記シャント抵抗に比べて抵抗精度が高い複数の補正抵抗(5、6)と、
前記シャント抵抗および複数の前記補正抵抗の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加する信号印加部(15、15a、15b、15c、15d、74、74a、74b)と、
前記シャント抵抗を含む前記直列回路の一部に前記交流信号が印加される第1期間における前記シャント抵抗の端子電圧および一部の前記補正抵抗の端子電圧を検出するとともに、前記直列回路の全部に前記交流信号が印加される第2期間における全部の前記補正抵抗の端子電圧を検出する電圧検出部(22、102)と、
前記第1期間における前記電圧検出部による端子電圧の検出値および前記第2期間における前記電圧検出部による端子電圧の検出値に基づいて前記シャント抵抗の抵抗値を算出するとともに、その算出した前記シャント抵抗の抵抗値である算出抵抗値に基づいて前記検出用抵抗値を補正する補正部(24)と、
を備え、
複数の前記補正抵抗の抵抗値および抵抗精度は、前記直列回路において前記シャント抵抗から遠いものほど高くなっている電流センサ。
【請求項2】
前記電圧検出部は、前記シャント抵抗の端子電圧および前記補正抵抗の端子電圧を検出するためのA/D変換動作を行うことができる複数のA/D変換器(16、18、20)を備え、
前記抵抗値補正回路は、さらに、
前記複数のA/D変換器のそれぞれが前記シャント抵抗および前記複数の補正抵抗のそれぞれに接続することができるように接続状態を切り替えることができる切替部(92、103)と、
前記切替部の接続状態を切り替えることにより複数の前記A/D変換器のゲイン誤差を低減するゲイン誤差低減部(94、105)と、
を備える請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記抵抗値補正回路(116、126、136)は、さらに、
前記シャント抵抗の温度を検出する第1温度検出部(114)と、
前記第1温度検出部による温度の検出値に基づいて前記被検出電流の検出値を補正する電流値補正部(115、125、135)と、
を備える請求項1または2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記抵抗値補正回路(126、136)は、さらに、前記補正抵抗の温度を検出する第2温度検出部(124、134)を備え、
前記電流値補正部(125、135)は、前記第1温度検出部による温度の検出値および前記第2温度検出部による温度の検出値に基づいて前記被検出電流の検出値を補正する請求項3に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記信号印加部(15c、15d)は、
前記シャント抵抗を含む前記直列回路の一部に前記交流信号を印加する第1信号印加部(7c、7d)と、
前記直列回路の全部に前記交流信号を印加する第2信号印加部(8c、8d)と、
を備え、
前記第1信号印加部および前記第2信号印加部は、同一のアンプ(34)またはバッファ(41)を共有する構成となっている請求項1から4のいずれか一項に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記信号印加部は、パルス波または正弦波の前記交流信号を前記直列回路に対して印加するようになっている請求項1から5のいずれか一項に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記電圧検出部は、
前記シャント抵抗の端子の信号を入力するとともに前記交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号に基づいて前記シャント抵抗の端子電圧を検出する構成であり、
前記補正抵抗の端子の信号を入力するとともに前記交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出して出力し、その抽出した信号に基づいて前記補正抵抗の端子電圧を検出する構成である請求項1から6のいずれか一項に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出電流が流れる経路に直列に設けられたシャント抵抗の端子電圧とシャント抵抗の抵抗値に対応する検出用抵抗値とを用いて被検出電流を検出する電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に開示されるように、従来の電流センサでは、被検出電流が流れる経路に直列に設けられたシャント抵抗の端子電圧を測定し、その測定された電圧値とシャント抵抗の抵抗値に対応する検出用抵抗値とに基づいて計測対象の電流値を算出するようになっている。この場合、シャント抵抗の抵抗値が経年劣化などにより変化することから、電流値の算出に用いられる検出用抵抗値を随時補正する必要がある。なお、以下の説明では、特許文献1に開示される従来の電流センサのことを第1従来技術と称するとともに、特許文献2に開示される従来の電流センサのことを第2従来技術と称することとする。
【0003】
第1従来技術では、次のようにして検出用抵抗値の補正が行われる。すなわち、第1従来技術は、通常時にシャント抵抗と同様に被検出電流が流れるように設けられたサブ抵抗と、通常時に被検出電流が流れることがないように設けられた補正抵抗と、を備えている。上記構成によれば、サブ抵抗は、シャント抵抗と同様に劣化するものの、補正抵抗は、ほとんど劣化することがない。第1従来技術では、補正時、サブ抵抗および補正抵抗の各抵抗値を比較することにより、サブ抵抗、ひいてはシャント抵抗の劣化度合いを求め、それに基づいて検出用抵抗値を補正するようになっている。
【0004】
第2従来技術では、次のようにして検出用抵抗値の補正が行われる。すなわち、第2従来技術は、シャント抵抗を複数備え、それら複数のシャント抵抗の相互接続ノードから補正電流を流す構成、またはシャント抵抗の中央部分に入力端子を設け、その入力端子から補正電流を流す構成とされている。第2従来技術では、補正電流を流した際における各抵抗の端子電圧を測定し、その測定結果に基づいて個々の抵抗値を算出することで検出用抵抗値を補正するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8779777号明細書
【文献】米国特許第10473724号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1従来技術では、シャント抵抗を用いて直接的に補正を行っておらず、サブ抵抗がシャント抵抗と同様に劣化するものであると仮定したうえで、そのサブ抵抗を用いて間接的にシャント抵抗の抵抗値に対応する検出用抵抗値の補正を行っている。そのため、第1従来技術では、上記した仮定が成立しない場合には、検出用抵抗値の補正を精度良く行うことができなくなり、その結果、電流の検出精度が低下するおそれがある。
【0007】
第2従来技術では、シャント抵抗を複数設けるか、または、シャント抵抗の中央部分に入力端子を設ける必要があることから、構成が複雑化する問題が生じる。また、第2従来技術では、検出用抵抗値の補正についての精度が補正電流の精度に大きく依存することから、補正の精度を十分に高めることが困難であった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、構成の複雑化を招くことなく、検出用抵抗値の補正を精度良く行うことができる電流センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の電流センサは、被検出電流が流れる経路に直列に設けられたシャント抵抗(4)の端子電圧とシャント抵抗の抵抗値に対応する検出用抵抗値とを用いて被検出電流を検出するものであり、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路(25、75、95、106、116、126、136)を備えている。抵抗値補正回路は、複数の補正抵抗(5、6)、信号印加部(15、15a、15b、15c、15d、74、74a、74b)、電圧検出部(22、102)および補正部(24)を備えている。複数の補正抵抗は、被検出電流が流れる経路とは異なる経路においてシャント抵抗とともに全てが直列接続されたものであり且つシャント抵抗に比べて抵抗精度が高い。
【0010】
信号印加部は、シャント抵抗および複数の補正抵抗の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加する。電圧検出部は、シャント抵抗を含む直列回路の一部に交流信号が印加される第1期間におけるシャント抵抗の端子電圧および一部の補正抵抗の端子電圧を検出する。また、電圧検出部は、直列回路の全部に交流信号が印加される第2期間における全部の補正抵抗の端子電圧を検出する。補正部は、第1期間における電圧検出部による端子電圧の検出値および第2期間における電圧検出部による端子電圧の検出値に基づいてシャント抵抗の抵抗値を算出するとともに、その算出したシャント抵抗の抵抗値である算出抵抗値に基づいて検出用抵抗値を補正する。
【0011】
このような構成によれば、第1従来技術のようにサブ抵抗を用いて間接的に検出用抵抗値を補正することなく、シャント抵抗を用いて直接的に検出用抵抗値を補正することができる。また、上記構成によれば、第2従来技術のように、シャント抵抗を複数設けたり、シャント抵抗の中央部分に入力端子を設けたりする必要がなく、1つのシャント抵抗を設けるだけでよいことから、電流センサ全体の構成が複雑化することがない。
【0012】
さらに、上記構成によれば、算出抵抗値の算出精度、ひいては検出用抵抗値の補正の精度は、直列回路においてシャント抵抗から遠い補正抵抗の抵抗値の精度と、電圧検出部による端子電圧の検出精度とに大きく依存する。この場合、複数の補正抵抗の抵抗値および抵抗精度は、直列回路においてシャント抵抗から遠いものほど高くなっている。そして、一般に、抵抗値が小さい抵抗を精度良く作成することは難しいものの、抵抗値が大きい抵抗を精度良く作成することは比較的容易である。
【0013】
このようなことから、上記構成によれば、検出用抵抗値の補正の精度に大きく関係するシャント抵抗から遠い補正抵抗の抵抗値の精度を十分に高めることが可能となり、その結果、検出用抵抗値の補正の精度が十分に高められる。したがって、上記構成によれば、電流センサ全体の構成の複雑化を招くことなく、検出用抵抗値の補正を精度良く行うことができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図2】第1実施形態に係る信号印加部の具体的な第1構成例を示す図
【
図3】第1実施形態に係る信号印加部の具体的な第2構成例を示す図
【
図4】第1実施形態に係る各同期検波回路の具体的な構成例その1
【
図5】第1実施形態に係る各同期検波回路の具体的な構成例その2
【
図6】第2実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図7】第2実施形態に係る信号印加部の具体的な第1構成例を示す図
【
図8】第2実施形態に係る信号印加部の具体的な第2構成例を示す図
【
図9】第3実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図10】第4実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図11】第4実施形態に係る第1接続状態に切り替えられた電流センサの構成を模式的に示す図
【
図12】第4実施形態に係る第2接続状態に切り替えられた電流センサの構成を模式的に示す図
【
図13】第5実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図14】第6実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図15】第7実施形態に係る電流センサの構成を模式的に示す図
【
図16】第8実施形態に係る信号印加部の具体的な構成例を示す図その1
【
図17】第8実施形態に係る信号印加部の具体的な構成例を示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について
図1~
図5を参照して説明する。
【0016】
<全体構成>
図1に示す本実施形態の電流センサ1は、例えば自動車などの車両に搭載されるものであり、測定対象2に流れる電流である被検出電流を検出する。測定対象2としては、車両を走行させるための駆動部に電力を供給する主機バッテリや車両の補機に電力を供給する補機バッテリなどの電池、DC/DCコンバータなどが想定される。DC/DCコンバータは、車両を走行させるための駆動力を発生するモータに対して電力を供給するものであり、そのモータとともに上記した駆動部を構成する。
【0017】
この場合、測定対象2に対して負荷3が直列接続されており、測定対象2、負荷3および図示しないスイッチなどによりループ回路が構成される。負荷3としては、測定対象2が上記した電池である場合、例えば上記したモータ、上記したDC/DCコンバータ、電動コンプレッサなどが想定される。また、負荷3としては、測定対象2が上記したDC/DCコンバータである場合、例えば上記したモータなどが想定される。
【0018】
電流センサ1は、シャント抵抗4、補正抵抗5、6、第1信号印加部7、第2信号印加部8、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10、第3電圧検出部11および制御部12を備えている。シャント抵抗4の一方の端子は、負荷3を介して測定対象2の高電位側端子に接続され、その他方の端子は、回路の基準電位となるグランドに接続されるとともに測定対象2の低電位側端子に接続されている。つまり、シャント抵抗4は、被検出電流が流れる経路に直列に設けられている。電流センサ1は、このように設けられたシャント抵抗4の端子電圧と、シャント抵抗4の抵抗値に対応する検出用抵抗値と、を用いて被検出電流を検出する。
【0019】
補正抵抗5の一方の端子は、第1信号印加部7に接続され、その他方の端子はシャント抵抗4の一方の端子に接続されている。補正抵抗6の一方の端子は、第2信号印加部8に接続され、その他方の端子は補正抵抗5の一方の端子に接続されている。つまり、補正抵抗5、6は、被検出電流が流れる経路とは異なる経路においてシャント抵抗4とともに全てが直列接続されている。この場合、被検出電流は、比較的大きな電流となることから、シャント抵抗4の抵抗値は、例えばμΩオーダといった比較的小さい値となっている。
【0020】
一方、補正抵抗5、6には比較的大きい被検出電流が流れることがないため、それらの抵抗値は、例えばmΩオーダといった比較的大きい値となっている。一般に、抵抗値が小さい抵抗を精度良く作成することは難しいものの、抵抗値が大きい抵抗を精度良く作成することは比較的容易である。このようなことから、本実施形態において、補正抵抗5、6の抵抗精度は、シャント抵抗4の抵抗精度に比べて十分に高いものとなっている。このように、本実施形態の電流センサ1は、被検出電流が異なる経路においてシャント抵抗4とともに全てが直列接続されたものであり且つシャント抵抗4に比べて抵抗精度が高い補正抵抗を複数、具体的には2つ備えている。
【0021】
第1信号印加部7は、後述する検出用抵抗値の補正が行われる補正時、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路の一部、具体的にはシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対してパルス波または正弦波の交流信号を印加する。言い換えると、第1信号印加部7は、補正時、シャント抵抗4および補正抵抗5に対して同一の交流信号を印加する。この場合、第1信号印加部7は、電源電圧VDD1が供給される電源線13からシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対して交流の電流を供給する電流源として構成されている。
【0022】
第2信号印加部8は、補正時、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路の全てに対してパルス波または正弦波の交流信号を印加する。言い換えると、第2信号印加部8は、補正時、シャント抵抗4および補正抵抗5、6に対して同一の交流信号を印加する。この場合、第2信号印加部8は、電源電圧VDD1よりも高い電圧である電源電圧VDD2が供給される電源線14からシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に対して交流の電流を供給する電流源として構成されている。なお、本実施形態において、電源電圧VDD1は、例えば+1V程度の電圧とされており、また、電源電圧VDD2は、例えば+5V程度の電圧とされている。
【0023】
このように、本実施形態では、第1信号印加部7および第2信号印加部8は、シャント抵抗4および複数の補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加するものであり、信号印加部15として機能する。なお、以下では、第1信号印加部7によりシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対して交流信号が印加される期間のことを第1期間と称するとともに、第2信号印加部8によりシャント抵抗4および補正抵抗5、6に対して交流信号が印加される期間のことを第2期間と称することとする。
【0024】
第1電圧検出部9は、補正時の第1期間におけるシャント抵抗4の端子電圧を検出するものであり、第1A/D変換器16および第1同期検波回路17を備えている。なお、
図1などの図面では、A/D変換器のことをADCと省略している。第1A/D変換器16は、シャント抵抗4の端子電圧を検出するために次のようなA/D変換動作を行う。すなわち、第1A/D変換器16は、シャント抵抗4の各端子の信号を入力し、それら各信号をA/D変換することによりシャント抵抗4の各端子電圧の差、つまりシャント抵抗4の端子間電圧に対応したデジタル信号を出力する。このようにして第1A/D変換器16から出力されるデジタル信号は、シャント抵抗4の端子の信号に対応した信号となっている。
【0025】
第1同期検波回路17は、第1A/D変換器16から出力されるデジタル信号を入力するとともに第1信号印加部7における交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号を制御部12へと出力する。第1同期検波回路17の出力信号は、シャント抵抗4の端子電圧に対応した信号となる。このように、補正時の第1期間、第1電圧検出部9は、第1同期検波回路17の出力信号に基づいてシャント抵抗4の端子電圧を検出する構成となっており、その端子電圧の検出値を表す信号を制御部12へと出力する。
【0026】
第1電圧検出部9は、後述する検出用抵抗値の補正が行われないとき、つまり通常時、次のようにシャント抵抗4の端子電圧を検出する。すなわち、通常時、第1A/D変換器16は、補正時と同様にA/D変換動作を行う。この場合、第1A/D変換器16から出力されるデジタル信号は、第1同期検波回路17に入力されることなく、制御部12へと出力される。つまり、通常時、第1電圧検出部9は、第1A/D変換器16の出力信号に基づいてシャント抵抗4の端子電圧を検出するようになっており、その端子電圧の検出値を表す信号を制御部12へと出力する。
【0027】
第2電圧検出部10は、補正時の第1期間および第2期間における補正抵抗5の端子電圧を検出するものであり、第2A/D変換器18および第2同期検波回路19を備えている。第2A/D変換器18は、補正抵抗5の端子電圧を検出するために次のようなA/D変換動作を行う。すなわち、第2A/D変換器18は、補正抵抗5の各端子の信号を入力し、それら各信号をA/D変換することにより補正抵抗5の各端子電圧の差、つまり補正抵抗5の端子間電圧に対応したデジタル信号を出力する。このようにして第2A/D変換器18から出力されるデジタル信号は、補正抵抗5の端子の信号に対応した信号となっている。
【0028】
第2同期検波回路19は、第2A/D変換器18から出力されるデジタル信号を入力するとともに同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号を制御部12へと出力する。この場合、第2同期検波回路19は、第1期間には第1信号印加部7における交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波を行うとともに、第2期間には第2信号印加部8における交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波を行う。第2同期検波回路19の出力信号は、補正抵抗5の端子電圧に対応した信号となる。このように、補正時の第1期間および第2期間、第2電圧検出部10は、第2同期検波回路19の出力信号に基づいて補正抵抗5の端子電圧を検出する構成となっており、その端子電圧の検出値を表す信号を制御部12へと出力する。
【0029】
第3電圧検出部11は、補正時の第2期間における補正抵抗6の端子電圧を検出するものであり、第3A/D変換器20および第3同期検波回路21を備えている。第3A/D変換器20は、補正抵抗6の端子電圧を検出するために次のようなA/D変換動作を行う。すなわち、第3A/D変換器20は、補正抵抗6の各端子の信号を入力し、それら各信号をA/D変換することにより補正抵抗6の各端子電圧の差、つまり補正抵抗6の端子間電圧に対応したデジタル信号を出力する。このようにして第3A/D変換器20から出力されるデジタル信号は、補正抵抗6の端子の信号に対応した信号となっている。
【0030】
第3同期検波回路21は、第3A/D変換器20から出力されるデジタル信号を入力するとともに第2信号印加部8における交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号を制御部12へと出力する。第3同期検波回路21の出力信号は、補正抵抗6の端子電圧に対応した信号となる。このように、補正時の第2期間、第3電圧検出部11は、第3同期検波回路21の出力信号に基づいて補正抵抗6の端子電圧を検出する構成となっており、その端子電圧の検出値を表す信号を制御部12へと出力する。
【0031】
上記したように、本実施形態では、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11は、シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対して交流信号が印加される第1期間におけるシャント抵抗4の端子電圧および一部の補正抵抗5の端子電圧を検出するとともに、シャント抵抗4および補正抵抗5、6に対して交流信号が印加される第2期間における全部の補正抵抗5、6の端子電圧を検出するものであり、電圧検出部22として機能する。
【0032】
この場合、電圧検出部22は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の端子電圧を検出するためのA/D変換動作を行うことができる複数のA/D変換器、つまり第1A/D変換器16、第2A/D変換器18および第3A/D変換器20を備えている。また、この場合、電圧検出部22は、シャント抵抗4の端子の信号を入力するとともに同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号に基づいてシャント抵抗4の端子電圧を検出する構成であるとともに、補正抵抗5、6の端子の信号を入力するとともに同期検波して信号を抽出して出力し、その抽出した信号に基づいて補正抵抗5、6の端子電圧を検出する構成となっている。
【0033】
制御部12は、電圧検出部22とともに、同一のASICなどの半導体集積回路として構成されている。なお、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。制御部12は、電流検出部23および補正部24などの機能ブロックを備えている。これら各機能ブロックは、ハードウェアにより実現されている。なお、制御部12は、電圧検出部22とは別の半導体集積回路として構成することができる。例えば、制御部12は、CPU、RAM、ROMなどを備えたマイクロコンピュータにより構成することができる。この場合、上記した各機能ブロックは、制御部12のCPUがROMなどに格納されているコンピュータプログラムを実行してコンピュータプログラムに対応する処理を実行することにより実現されている、つまりソフトウェアにより実現されている。なお、この場合、各機能ブロックのうち少なくとも一部をハードウェアにより実現する構成としてもよい。
【0034】
電流検出部23は、通常時に第1電圧検出部9から出力されるシャント抵抗4の端子電圧に対応した信号と、シャント抵抗4の抵抗値に対応する検出用抵抗値とを用いて被検出電流を検出する。検出用抵抗値は、実際に用いられるシャント抵抗4の初期の抵抗値に基づいて設定されたものであり、制御部12が備えるメモリに予め記憶されている。ただし、シャント抵抗4は、通常時に比較的大きい電流である被検出電流が流れることから、その抵抗値が経年劣化などにより初期値から変化してゆく。
【0035】
そこで、上記した検出用抵抗値は、補正部24の動作によって随時補正されるようになっている。補正部24は、第1期間において電圧検出部22から出力されるシャント抵抗4の端子電圧の検出値を表す信号および補正抵抗5の端子電圧の検出値を表す信号と、第2期間において電圧検出部22から出力される補正抵抗5の端子電圧の検出値を表す信号および補正抵抗6の端子電圧の検出値を表す信号と、補正抵抗5の抵抗値に対応する第1補正抵抗値と、補正抵抗6の抵抗値に対応する第2補正抵抗値と、に基づいてシャント抵抗4の抵抗値を算出する。補正部24は、その算出したシャント抵抗4の抵抗値である算出抵抗値に基づいて検出用抵抗値を補正する。例えば、補正部24は、検出用抵抗値を算出抵抗値に一致させるように補正することができる。
【0036】
上記した第1補正抵抗値および第2補正抵抗値は、実際に用いられる補正抵抗5、6の初期の抵抗値であり、制御部12が備えるメモリに予め記憶されている。なお、補正抵抗5、6は、通常時に被検出電流が流れないことから、その抵抗値が経年劣化などにより初期値から変化することがほとんどない。このように、上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22および補正部24により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路25が構成されている。
【0037】
この場合、複数の補正抵抗5、6の抵抗値および抵抗精度は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路においてシャント抵抗4から遠いものほど高くなっている。すなわち、補正抵抗6の抵抗値は、補正抵抗5の抵抗値よりも高くなっている。また、補正抵抗6の抵抗精度は、補正抵抗5の抵抗精度よりも高くなっている。
【0038】
<信号印加部の具体的な構成>
信号印加部15の具体的な構成としては、例えば
図2に示す第1構成例、
図3に示す第2構成例などが挙げられる。
[1]第1構成例
図2に示すように、第1構成例の信号印加部15aにおける第1信号印加部7aは、トランジスタ31、抵抗32、信号生成部33、OPアンプ34などを備えている。トランジスタ31は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、そのドレインは抵抗32を介して電源線13に接続され、そのソースは補正抵抗5およびシャント抵抗4を介してグランドに接続されている。
【0039】
信号生成部33は、シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に印加する交流の電流と同じ周波数を有するパルス波または正弦波の信号を生成して出力する。信号生成部33の出力信号は、OPアンプ34の非反転入力端子に与えられている。OPアンプ34の反転入力端子は、トランジスタ31のドレインに接続され、その出力端子は、トランジスタ31のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ31がOPアンプ34により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流電流である交流信号が印加される。
【0040】
また、第1構成例の信号印加部15aにおける第2信号印加部8aは、トランジスタ35、抵抗36、信号生成部37、OPアンプ38などを備えている。トランジスタ35は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、そのドレインは抵抗36を介して電源線14に接続され、そのソースは補正抵抗6、補正抵抗5およびシャント抵抗4を介してグランドに接続されている。信号生成部37は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に印加する交流の電流と同じ周波数を有するパルス波または正弦波の信号を生成して出力する。
【0041】
信号生成部37の出力信号は、OPアンプ38の非反転入力端子に与えられている。OPアンプ38の反転入力端子は、トランジスタ35のドレインに接続され、その出力端子は、トランジスタ35のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ35がOPアンプ38により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流電流である交流信号が印加される。
【0042】
このように、第1構成例の信号印加部15aにおける第1信号印加部7aおよび第2信号印加部8aは、いずれもアンプ駆動の構成となっている。なお、この場合、トランジスタ31および抵抗32が第1信号印加部7aの電流源として機能するとともに、トランジスタ35および抵抗36が第2信号印加部8aの電流源として機能する。
【0043】
[2]第2構成例
図3に示すように、第2構成例の信号印加部15bにおける第1信号印加部7bは、
図2に示した第1構成例の第1信号印加部7aに対し、OPアンプ34に代えてバッファ41を備えている点などが異なっている。この場合、信号生成部33の出力信号は、バッファ41の入力端子に与えられている。バッファ41の出力端子は、トランジスタ31のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ31がバッファ41により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流電流である交流信号が印加される。
【0044】
また、第2構成例の信号印加部15bにおける第2信号印加部8bは、
図2に示した第1構成例の第2信号印加部8aに対し、OPアンプ38に代えてバッファ42を備えている点などが異なっている。この場合、信号生成部37の出力信号は、バッファ42の入力端子に与えられている。バッファ42の出力端子は、トランジスタ35のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ35がバッファ42により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流電流である交流信号が印加される。このように、第2構成例の信号印加部15aにおける第1信号印加部7bおよび第2信号印加部8bは、いずれもバッファ駆動の構成となっている。
【0045】
[3]各構成例の特徴
アンプ駆動の構成である第1構成例によれば、OPアンプ34、38の動作によりトランジスタ31、35のドレイン電圧が一定に制御されるため、バッファ駆動の構成である第2構成例に対し、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に印加する交流電流の精度を高めることができるというメリットがある。一方、第2構成例によれば、第1構成例に対し、OPアンプ34、38に代えてバッファ41、42を用いる分だけ、回路規模を小さく抑えることができるというメリットがある。
【0046】
<各同期検波回路の具体的な構成>
第1同期検波回路17および第2同期検波回路19の具体的な構成としては、例えば
図4に示すような構成が挙げられる。また、第2同期検波回路19および第3同期検波回路21の具体的な構成としては、例えば
図5に示すような構成が挙げられる。上記構成では、第1期間には第1同期検波回路17および第2同期検波回路19が動作するとともに、第2期間には第2同期検波回路19および第3同期検波回路21が動作する。そこで、以下では、第1期間および第2期間のそれぞれにおいて動作する各同期検波回路の構成および動作について説明する。
【0047】
[1]第1期間
補正時の第1期間における第1同期検波回路17および第2同期検波回路19の具体的な構成および動作は、
図4に示すようなものとなる。この場合、第1信号印加部7によりシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に印加される交流の電流である交流信号が「Ia・cos(ωt)」であり、シャント抵抗4の抵抗値がRであり、補正抵抗5の抵抗値がR1であるものとする。ただし、ωは角周波数であり、tは時間である。
【0048】
図4に示すように、第1同期検波回路17は、乗算器51、52、ローパスフィルタ53、54および演算器55を備えている。なお、本明細書では、ローパスフィルタのことをLPFと省略することがある。シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流信号が印加される補正時の第1期間、第1同期検波回路17の乗算器51、52の各一方の入力端子には、第1A/D変換器16から出力されるデジタル信号が入力される。このデジタル信号は、補正時の第1期間におけるシャント抵抗4の端子電圧に対応する信号であり、「R・Ia・cos(ωt+φ)」と表すことができる。
【0049】
乗算器51の他方の入力端子には、COS波信号「cos(ωt)」が入力されている。乗算器52の他方の入力端子には、SIN波信号「-sin(ωt)」が入力されている。これにより、乗算器51、52の各出力信号では、角周波数ωの信号がDC成分として取り出されるようになる。乗算器51、52の各出力信号は、それぞれLPF53、54に入力されている。
【0050】
LPF53の出力信号Iは、入力信号の同相成分に比例する低周波の信号となり、LPF54の出力信号Qは、入力信号の直交位相成分に比例する低周波の信号となる。演算器55は、信号Iと信号Qの二乗和の平方根を演算し、その演算結果を表す信号を出力する。演算器55の出力信号は、「R・Ia」と表すことができる。演算器55の出力信号は、第1同期検波回路17の出力信号となり、制御部12の補正部24に与えられる。
【0051】
第2同期検波回路19は、乗算器56、57、ローパスフィルタ58、59および演算器60を備えている。シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流信号が印加される補正時の第1期間、第2同期検波回路19の乗算器56、57の各一方の入力端子には、第2A/D変換器18から出力されるデジタル信号が入力される。このデジタル信号は、補正時の第1期間における補正抵抗5の端子電圧に対応する信号であり、「R1・Ia・cos(ωt+φ1)」と表すことができる。
【0052】
乗算器56の他方の入力端子には、COS波信号「cos(ωt)」が入力されている。乗算器57の他方の入力端子には、SIN波信号「-sin(ωt)」が入力されている。これにより、乗算器56、57の各出力信号では、角周波数ωの信号がDC成分として取り出されるようになる。乗算器56、57の各出力信号は、それぞれLPF58、59に入力されている。
【0053】
LPF58の出力信号I1は、入力信号の同相成分に比例する低周波の信号となり、LPF59の出力信号Q1は、入力信号の直交位相成分に比例する低周波の信号となる。演算器60は、信号I1と信号Q1の二乗和の平方根を演算し、その演算結果を表す信号を出力する。演算器60の出力信号は、「R1・Ia」と表すことができる。演算器60の出力信号は、第2同期検波回路19の出力信号となり、制御部12の補正部24に与えられる。
【0054】
[2]第2期間
補正時の第2期間における第2同期検波回路19および第3同期検波回路21の具体的な構成および動作は、
図5に示すようなものとなる。この場合、第2信号印加部8によりシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に印加される交流の電流である交流信号が「Ib・cos(ωt)」であり、補正抵抗6の抵抗値がR2であるものとする。
【0055】
図5に示すように、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流信号が印加される補正時の第2期間、第2同期検波回路19の乗算器56、57の各一方の入力端子には、第2A/D変換器18から出力されるデジタル信号が入力される。このデジタル信号は、補正時の第2期間における補正抵抗5の端子電圧に対応する信号であり、「R1・Ib・cos(ωt+φ1)」と表すことができる。
【0056】
乗算器56の他方の入力端子には、COS波信号「cos(ωt)」が入力されている。乗算器57の他方の入力端子には、SIN波信号「-sin(ωt)」が入力されている。これにより、乗算器56、57の各出力信号では、角周波数ωの信号がDC成分として取り出されるようになる。乗算器56、57の各出力信号は、それぞれLPF58、59に入力されている。
【0057】
LPF58の出力信号I1は、入力信号の同相成分に比例する低周波の信号となり、LPF59の出力信号Q1は、入力信号の直交位相成分に比例する低周波の信号となる。演算器60は、信号I1と信号Q1の二乗和の平方根を演算し、その演算結果を表す信号を出力する。演算器60の出力信号は、「R1・Ib」と表すことができる。演算器60の出力信号は、第2同期検波回路19の出力信号となり、制御部12の補正部24に与えられる。
【0058】
第3同期検波回路21は、乗算器61、62、ローパスフィルタ63、64および演算器65を備えている。シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流信号が印加される補正時の第2期間、第3同期検波回路21の乗算器61、62の各一方の入力端子には、第3A/D変換器20から出力されるデジタル信号が入力される。このデジタル信号は、補正時の第2期間における補正抵抗6の端子電圧に対応する信号であり、「R2・Ib・cos(ωt+φ2)」と表すことができる。
【0059】
乗算器61の他方の入力端子には、COS波信号「cos(ωt)」が入力されている。乗算器62の他方の入力端子には、SIN波信号「-sin(ωt)」が入力されている。これにより、乗算器61、62の各出力信号では、角周波数ωの信号がDC成分として取り出されるようになる。乗算器61、62の各出力信号は、それぞれLPF63、64に入力されている。
【0060】
LPF63の出力信号I2は、入力信号の同相成分に比例する低周波の信号となり、LPF64の出力信号Q2は、入力信号の直交位相成分に比例する低周波の信号となる。演算器65は、信号I2と信号Q2の二乗和の平方根を演算し、その演算結果を表す信号を出力する。演算器65の出力信号は、「R2・Ib」と表すことができる。演算器65の出力信号は、第3同期検波回路21の出力信号となり、制御部12の補正部24に与えられる。
【0061】
<補正部による具体的な動作>
補正部24は、上記したように第1期間および第2期間に第1同期検波回路17、第2同期検波回路19および第3同期検波回路21から与えられる各信号に基づいて、具体的には次のようにして算出抵抗値を算出する。すなわち、補正部24は、第1期間における第1同期検波回路17の出力信号「R・Ia」を第1期間における第2同期検波回路19の出力信号「R1・Ia」で除算することにより、シャント抵抗4および補正抵抗5の各抵抗値の比を表す値「R/R1」を求める。また、補正部24は、第2期間における第2同期検波回路19の出力信号「R1・Ib」を第2期間における第3同期検波回路21の出力信号「R2・Ib」で除算することにより、補正抵抗5および補正抵抗6の各抵抗値の比を表す値「R1/R2」を求める。
【0062】
さらに、補正部24は、値「R/R1」と値「R1/R2」とを乗算することにより、シャント抵抗4および補正抵抗6の各抵抗値の比を表す値「R/R2」を求める。ここで、補正抵抗6の抵抗値R2は、既知の値であり、制御部12のメモリなどに予め記憶されている。そのため、補正部24は、上述したようにして求めた値「R/R2」に対して予め記憶されている抵抗値R2を乗算することにより、現時点におけるシャント抵抗4の抵抗値R、つまり算出抵抗値を算出することができる。
【0063】
以上説明した本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
本実施形態の電流センサ1は、被検出電流が流れる経路に直列に設けられたシャント抵抗4の端子電圧とシャント抵抗4の抵抗値に対応する検出用抵抗値とを用いて被検出電流を検出するものであり、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路25を備えている。抵抗値補正回路25は、複数の補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22および補正部24を備えている。複数の補正抵抗5、6は、被検出電流が流れる経路とは異なる経路においてシャント抵抗4とともに全てが直列接続されたものであり且つシャント抵抗4に比べて抵抗精度が高い。
【0064】
信号印加部15は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加する。電圧検出部22は、シャント抵抗4および補正抵抗5に交流信号が印加される第1期間におけるシャント抵抗4の端子電圧および補正抵抗5の端子電圧を検出する。また、電圧検出部22は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6に交流信号が印加される第2期間における補正抵抗5、6の端子電圧を検出する。補正部24は、第1期間における電圧検出部22による端子電圧の検出値および第2期間における電圧検出部22による端子電圧の検出値に基づいてシャント抵抗4の抵抗値を算出するとともに、その算出したシャント抵抗4の抵抗値である算出抵抗値に基づいて検出用抵抗値を補正する。
【0065】
このような構成によれば、第1従来技術のようにサブ抵抗を用いて間接的に検出用抵抗値を補正することなく、シャント抵抗4を用いて直接的に検出用抵抗値を補正することができる。また、上記構成によれば、第2従来技術のように、シャント抵抗を複数設けたり、シャント抵抗の中央部分に入力端子を設けたりする必要がなく、1つのシャント抵抗4を設けるだけでよいことから、電流センサ1全体の構成が複雑化することがない。
【0066】
さらに、上記構成によれば、算出抵抗値の算出精度、ひいては検出用抵抗値の補正の精度は、複数の補正抵抗5、6のうち直列回路においてシャント抵抗4から遠い補正抵抗6の抵抗値R2の精度と、電圧検出部22による端子電圧の検出精度とに大きく依存する。この場合、複数の補正抵抗5、6の抵抗値および抵抗精度は、直列回路においてシャント抵抗4から遠いものほど高くなっている。そして、一般に、抵抗値が小さい抵抗を精度良く作成することは難しいものの、抵抗値が大きい抵抗を精度良く作成することは比較的容易である。
【0067】
このようなことから、上記構成によれば、検出用抵抗値の補正の精度に大きく関係するシャント抵抗4から遠い補正抵抗6の抵抗値R2の精度を十分に高めることが可能となり、その結果、検出用抵抗値の補正の精度が十分に高められる。したがって、本実施形態によれば、電流センサ1全体の構成の複雑化を招くことなく、検出用抵抗値の補正を精度良く行うことができるという優れた効果が得られる。
【0068】
この場合、電圧検出部22は、シャント抵抗4の端子の信号を入力するとともに交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出し、その抽出した信号に基づいてシャント抵抗4の端子電圧を検出する構成であるとともに、補正抵抗5、6の端子の信号を入力するとともに交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出して出力し、その抽出した信号に基づいて補正抵抗5、6の端子電圧を検出する構成である。
【0069】
このような構成によれば、シャント抵抗4および補正抵抗5、6に印加する交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して取り出された信号によりシャント抵抗4の端子電圧および補正抵抗5、6の端子電圧が検出される。そのため、本実施形態によれば、熱起電力、回路側のオフセットなどのノイズの影響により電圧検出部22による各端子電圧の検出値の検出精度が低下することが抑制され、その結果、検出用抵抗値の補正の精度を一層高めることができる。
【0070】
信号印加部15は、パルス波または正弦波の交流信号をシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して印加するようになっている。信号印加部15が正弦波の交流信号を印加する場合、その交流信号を生成するための構成、具体的には信号生成部33、37の構成が複雑化するものの、交流信号として所望する周波数成分だけを含む信号とすることができることから電圧検出部22による各端子電圧の検出値の検出誤差を低く抑えること、言い換えると、検出用抵抗値の補正の精度を高めることができる。
【0071】
これに対し、信号印加部15がパルス波の交流信号を印加する場合、その交流信号に高調波成分が含まれることから電圧検出部22による各端子電圧の検出値に関して誤差が生じるおそれがあるものの、交流信号を生成するための構成、具体的には信号生成部33、37の構成を簡素化することができる。
【0072】
なお、本実施形態の電流センサ1は、複数の補正抵抗5、6を備えた構成であるが、本実施形態の電流センサ1から補正抵抗5、6のうち一方を削除するとともに、それに関連する構成を削除した構成、つまり1つの補正抵抗を備えた構成であっても、本実施形態と同様に検出用抵抗値の補正の精度を高めることが可能であると考えられる。以下、このような1つの補正抵抗を備えた構成のことを比較例と称することとする。ただし、本実施形態によれば、比較例では得られない次のような効果が得られる。
【0073】
すなわち、比較例では、補正時、シャント抵抗4の端子電圧の検出値を大きくして検出精度を高めようとした場合、シャント抵抗4および補正抵抗の各抵抗値の比を、例えば「1:1000」、「1:10000」など、非常に大きなものにせざるを得ない。ここで、電圧検出部22を構成する各ADCによる電圧の検出範囲が互いに同じ範囲であるとすると、その検出範囲を、補正抵抗の端子電圧を検出することができる範囲に合わせる必要がある。そのため、比較例では、ADCとして分解能が非常に高いものを採用しない限り、シャント抵抗4および補正抵抗の各端子電圧を精度良く検出することが困難となる。
【0074】
これに対し、本実施形態では、補正時、シャント抵抗4の端子電圧の検出値を大きくして検出精度を高めようとした場合、シャント抵抗4および補正抵抗5の各抵抗値の比および補正抵抗5、6の各抵抗値の比を例えば「1:100」、「1:10」など、比較的小さいものに抑えることができる。そのため、本実施形態では、ADCとして分解能が非常に高いものを採用しない場合でも、電圧検出部22を構成する各ADCとして同じADCを用いて、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の各端子電圧を精度良く検出することができるという優れた効果が得られる。
【0075】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について
図6~
図8を参照して説明する。
<全体構成>
図6に示すように、本実施形態の電流センサ71は、
図1に示した第1実施形態の電流センサ1に対し、第1信号印加部7および第2信号印加部8に代えて第1信号印加部72および第2信号印加部73を備えている点などが異なっている。
【0076】
第1信号印加部72は、第1信号印加部7と同様、補正時にシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対してパルス波または正弦波の交流信号を印加する。この場合、第1信号印加部72は、シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に対して交流の電圧を供給する電圧源として構成されている。第2信号印加部73は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に対して交流の電圧を供給する電圧源として構成されている。第2信号印加部73は、第2信号印加部8と同様、補正時にシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に対してパルス波または正弦波の交流信号を印加する。この場合、第2信号印加部73は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に対して交流の電圧を供給する電圧源として構成されている。
【0077】
このように、本実施形態では、第1信号印加部72および第2信号印加部73は、シャント抵抗4および複数の補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加するものであり、信号印加部74として機能する。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部74、電圧検出部22および補正部24により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路75が構成されている。
【0078】
<信号印加部の具体的な構成>
信号印加部74の具体的な構成としては、例えば
図7に示す第1構成例、
図8に示す第2構成例などが挙げられる。
[1]第1構成例
図7に示すように、第1構成例の信号印加部74aにおける第1信号印加部72aは、トランジスタ81、信号生成部82、OPアンプ83などを備えている。トランジスタ81は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、そのドレインは電源電圧VDD1が供給される電源線84に接続され、そのソースは補正抵抗5およびシャント抵抗4を介してグランドに接続されている。
【0079】
信号生成部82は、シャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に印加する交流の電圧と同じ周波数を有するパルス波または正弦波の信号を生成して出力する。信号生成部82の出力信号は、OPアンプ83の非反転入力端子に与えられている。OPアンプ83の反転入力端子は、トランジスタ81のソースに接続され、その出力端子は、トランジスタ81のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ81がOPアンプ83により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流電圧である交流信号が印加される。
【0080】
また、第1構成例の信号印加部74aにおける第2信号印加部73aは、トランジスタ85、信号生成部86、OPアンプ87などを備えている。トランジスタ85は、例えばNチャネル型のMOSFETであり、そのドレインは電源電圧VDD2が供給される電源線88に接続され、そのソースは補正抵抗6、補正抵抗5およびシャント抵抗4を介してグランドに接続されている。
【0081】
信号生成部86は、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に印加する交流の電圧と同じ周波数を有するパルス波または正弦波の信号を生成して出力する。信号生成部86の出力信号は、OPアンプ87の非反転入力端子に与えられている。OPアンプ87の反転入力端子は、トランジスタ85のソースに接続され、その出力端子は、トランジスタ85のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ85がOPアンプ87により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流電圧である交流信号が印加される。このように、第1構成例の信号印加部74aにおける第1信号印加部72aおよび第2信号印加部73aは、いずれもアンプ駆動の構成となっている。
【0082】
[2]第2構成例
図8に示すように、第2構成例の信号印加部74bにおける第1信号印加部72bは、
図7に示した第1構成例の第1信号印加部72aに対し、OPアンプ83に代えてバッファ89を備えている点などが異なっている。この場合、信号生成部82の出力信号は、バッファ89の入力端子に与えられている。バッファ89の出力端子は、トランジスタ81のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ81がバッファ89により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5の直列回路に交流電圧である交流信号が印加される。
【0083】
また、第2構成例の信号印加部74bにおける第2信号印加部73bは、
図7に示した第1構成例の第2信号印加部73aに対し、OPアンプ87に代えてバッファ90を備えている点などが異なっている。この場合、信号生成部86の出力信号は、バッファ90の入力端子に与えられている。バッファ90の出力端子は、トランジスタ85のゲートに接続されている。上記構成によれば、トランジスタ85がバッファ90により駆動されることでシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に交流電圧である交流信号が印加される。このように、第2構成例の信号印加部74bにおける第1信号印加部72bおよび第2信号印加部73bは、いずれもバッファ駆動の構成となっている。
【0084】
[3]各構成例の特徴
アンプ駆動の構成である第1構成例によれば、OPアンプ83、87の動作によりトランジスタ81、85のソース電圧が一定に制御されるため、バッファ駆動の構成である第2構成例に対し、シャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路に印加する交流電圧の精度を高めることができるというメリットがある。一方、第2構成例によれば、第1構成例に対し、OPアンプ83、87に代えてバッファ89、90を用いる分だけ、回路規模を小さく抑えることができるというメリットがある。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ71は、補正時にシャント抵抗4および補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して印加される交流信号が交流電流から交流電圧に変更されている点を除いて第1実施形態の抵抗値補正回路25と同様の動作を行うことができる抵抗値補正回路75を備えている。そのため、本実施形態によっても、第1実施形態と同様に検出用抵抗値の補正を行うことが可能となり、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について
図9を参照して説明する。
図9に示すように、本実施形態の電流センサ91は、
図1に示した第1実施形態の電流センサ1に対し、切替部92が追加されている点、制御部12に代えて制御部93を備えている点などが異なっている。切替部92は、例えばマルチプレクサなどにより構成されており、シャント抵抗4、補正抵抗5、6の各端子と電圧検出部22の各入力端子との間の接続状態を切り替える。切替部92の動作は、制御部93により制御される。
【0087】
切替部92の接続状態は、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11のそれぞれが、シャント抵抗4、補正抵抗5および補正抵抗6の各端子電圧のそれぞれを検出することができるように切り替え可能になっている。切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11が補正抵抗6の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗6の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0088】
また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11が補正抵抗6の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗6の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11がシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0089】
また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗6の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗6の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11がシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0090】
また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11のうち少なくとも2つがシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11のうち少なくとも2つが補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部92の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11のうち少なくとも2つが補正抵抗6の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0091】
制御部93は、制御部12に対し、ゲイン誤差低減部94という機能ブロックが追加されている点などが異なっている。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22、補正部24、切替部92およびゲイン誤差低減部94により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路95が構成されている。ゲイン誤差低減部94は、第1電圧検出部9の第1A/D変換器16、第2電圧検出部10の第2A/D変換器18および第3電圧検出部11の第3A/D変換器20、つまり各ADCのゲイン誤差を低減する。
【0092】
なお、以下の説明では、第1A/D変換器16、第2A/D変換器18および第3A/D変換器20について区別する必要がない場合、それらをADCと総称することがある。また、以下の説明では、第1電圧検出部9、第2電圧検出部10および第3電圧検出部11について区別する必要がない場合、それらを電圧検出部と総称することがある。
【0093】
ゲイン誤差低減部94は、ゲイン誤差低減のための動作を行わないとき、第1電圧検出部9がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第3電圧検出部11が補正抵抗6の端子電圧を検出するように切替部92の接続状態を切り替える。そして、ゲイン誤差低減部94は、切替部92の接続状態を次のように切り替えることにより、各ADCのゲイン誤差を低減することができる。
【0094】
すなわち、ゲイン誤差低減部94は、例えば、各電圧検出部のうちの2つが、いずれも、シャント抵抗4、補正抵抗5または補正抵抗6の端子電圧を検出するように切替部92の接続状態を切り替える。これにより、ゲイン誤差低減部94は、それら2つの電圧検出部のそれぞれにより検出されたシャント抵抗4、補正抵抗5または補正抵抗6の端子電圧の各検出値に基づいて、各ADCの相対的なゲイン誤差を低減することができる。この場合、ゲイン誤差低減部94は、例えば、各ADCのそれぞれのゲインが同じになるように補正を行うことができる。
【0095】
また、ゲイン誤差低減部94は、例えば、第1電圧検出部9がシャント抵抗4の端子電圧を検出するとともに第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切替部92の接続状態を切り替え、その後、第1電圧検出部9が補正抵抗5の端子電圧を検出するとともに第2電圧検出部10がシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切替部92の接続状態を切り替える。これにより、ゲイン誤差低減部94は、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10のそれぞれにより検出されたシャント抵抗4の端子電圧の各検出値に基づいて、第1A/D変換器16および第2A/D変換器18のゲイン誤差を低減することができる。
【0096】
また、ゲイン誤差低減部94は、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10のそれぞれにより検出された補正抵抗5の端子電圧の各検出値に基づいて、第1A/D変換器16および第2A/D変換器18のゲイン誤差を低減することができる。これらの場合、ゲイン誤差低減部94は、例えば、2つの検出値を平均化して各ゲイン誤差を打ち消すことにより、ゲイン誤差を低減することができる。
【0097】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ91の抵抗値補正回路95は、第1電圧検出部9の第1A/D変換器16、第2電圧検出部10の第2A/D変換器18および第3電圧検出部11の第3A/D変換器20の各ゲイン誤差を低減するゲイン誤差低減部94を備えている。このような構成によれば、第1A/D変換器16、第2A/D変換器18および第3A/D変換器20のゲイン誤差を例えば0.1%といった非常に小さい値に低減することができる。したがって、本実施形態によれば、電圧検出部22によるシャント抵抗4および補正抵抗5、6の端子電圧の検出精度が一層高められ、その結果、検出用抵抗値の補正の精度が一層向上するといった効果が得られる。
【0098】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について
図10~
図12を参照して説明する。
図10に示すように、本実施形態の電流センサ101は、
図1に示した第1実施形態の電流センサ1に対し、電圧検出部22に代えて電圧検出部102を備えている点、切替部103が追加されている点、制御部12に代えて制御部104を備えている点などが異なっている。
【0099】
電圧検出部102は、電圧検出部22に対し、第3電圧検出部11が省かれている点などが異なっている。切替部103は、第4実施形態の切替部92と同様、例えばマルチプレクサなどにより構成されており、シャント抵抗4、補正抵抗5、6の各端子と電圧検出部102の各入力端子との間の接続状態を切り替える。切替部103の動作は、制御部104により制御される。
【0100】
切替部103の接続状態は、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10のそれぞれが、シャント抵抗4、補正抵抗5および補正抵抗6の各端子電圧のそれぞれを検出することができるように切り替え可能になっている。切替部103の接続状態は、例えば、
図11に示すような第1接続状態、つまり第1電圧検出部9がシャント抵抗4の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部103の接続状態は、例えば、
図12に示すような第2接続状態、つまり第1電圧検出部9が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗6の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0101】
また、切替部103の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗5の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10がシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部103の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9が補正抵抗6の端子電圧を検出し、第2電圧検出部10が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0102】
また、切替部103の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9および第2電圧検出部1の双方がシャント抵抗4の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部103の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10の双方が補正抵抗5の端子電圧を検出するように切り替えることができる。また、切替部103の接続状態は、例えば、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10の双方が補正抵抗6の端子電圧を検出するように切り替えることができる。
【0103】
制御部104は、制御部12に対し、ゲイン誤差低減部105という機能ブロックが追加されている点などが異なっている。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部102、補正部24、切替部103およびゲイン誤差低減部105により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路106が構成されている。ゲイン誤差低減部105は、第4実施形態のゲイン誤差低減部94と同様、第1電圧検出部9の第1A/D変換器16および第2電圧検出部10の第2A/D変換器18、つまり各ADCのゲイン誤差を低減する。
【0104】
ゲイン誤差低減部105は、切替部103の接続状態を次のように切り替えることにより、各ADCのゲイン誤差を低減することができる。すなわち、ゲイン誤差低減部105は、例えば、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10の双方がシャント抵抗4、補正抵抗5または補正抵抗6の端子電圧を検出するように切替部103の接続状態を切り替える。これにより、ゲイン誤差低減部105は、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10のそれぞれにより検出されたシャント抵抗4、補正抵抗5または補正抵抗6の端子電圧の各検出値に基づいて、各ADCの相対的なゲイン誤差を低減することができる。この場合、ゲイン誤差低減部105は、例えば、各ADCのそれぞれのゲインが同じになるように補正を行うことができる。
【0105】
また、ゲイン誤差低減部105は、補正時の第1期間、切替部103の接続状態を
図11に示す第1接続状態に切り替える。そして、ゲイン誤差低減部105は、補正時の第2期間、切替部103の接続状態を
図12に示す第2接続状態に切り替える。第1接続状態では、第1電圧検出部9はシャント抵抗4の端子電圧を検出することができ、第2電圧検出部10は補正抵抗5の端子電圧を検出することができる。第2接続状態では、第1電圧検出部9は補正抵抗6の端子電圧を検出することができ、第2電圧検出部10は補正抵抗5の端子電圧を検出することができる。
【0106】
この場合、次のように第1A/D変換器16および第2A/D変換器18のゲイン誤差が低減される。すなわち、第1A/D変換器16のゲイン誤差をG1とし、第2A/D変換器18のゲイン誤差をG2とすると、第1期間に補正部24により求められるシャント抵抗4および補正抵抗5の各抵抗値の比を表す値は、「(G1×R)/(G2×R1)」となる。また、第2期間に補正部24により求められる補正抵抗5および補正抵抗6の各抵抗値の比を表す値は、「(G2×R1)/(G1×R2)」となる。そして、これら各値を乗算することにより求められるシャント抵抗4および補正抵抗6の各抵抗値の比を表す値は、「R/R2」となり、各ADCのゲイン誤差G1、G2が打ち消された値となる。このように、上記構成では、ゲイン誤差低減部105は、各ADCのゲイン誤差を平均化することにより打ち消すことができる。
【0107】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ101の抵抗値補正回路106は、第1電圧検出部9の第1A/D変換器16および第2電圧検出部10の第2A/D変換器18の各ゲイン誤差を低減するゲイン誤差低減部105を備えている。このような構成によれば、第1A/D変換器16および第2A/D変換器18のゲイン誤差を例えば0.1%といった非常に小さい値に低減することができる。したがって、本実施形態によれば、電圧検出部102によるシャント抵抗4および補正抵抗5、6の端子電圧の検出精度が一層高められ、その結果、検出用抵抗値の補正の精度が一層向上するといった効果が得られる。
【0108】
この場合、電圧検出部102は、上記各実施形態における電圧検出部22から第3電圧検出部11が省かれた構成となっている。ただし、この場合、電流センサ101は、シャント抵抗4、補正抵抗5、6の各端子と電圧検出部102の各入力端子との間の接続状態を切り替える切替部103を備えており、その切替部103の接続状態の切り替えることで、第1電圧検出部9および第2電圧検出部10という2つの電圧検出部により、第1期間におけるシャント抵抗4および補正抵抗5の各端子電圧を検出するとともに第2期間における補正抵抗5および補正抵抗6の各端子電圧を検出するようになっている。したがって、本実施形態によれば、第3電圧検出部11が省かれた分だけ、回路規模を小さく抑えつつ、上記各実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0109】
(第5実施形態)
以下、第5実施形態について
図13を参照して説明する。
図13に示すように、本実施形態の電流センサ111は、
図1に示した第1実施形態の電流センサ1に対し、温度センサ112が追加されている点、制御部12に代えて制御部113を備えている点などが異なっている。温度センサ112は、シャント抵抗4の近傍に設けられており、シャント抵抗4の温度に応じた温度検出信号を出力する。
【0110】
制御部113は、制御部12に対し、第1温度検出部114および電流値補正部115という機能ブロックが追加されている点などが異なっている。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22、補正部24、第1温度検出部114および電流値補正部115により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路116が構成されている。第1温度検出部114は、温度センサ112から出力される温度検出信号に基づいてシャント抵抗4の温度を検出する。
【0111】
電流値補正部115は、補正部24と協働して次のような動作を行う。すなわち、電流値補正部115は、算出抵抗値および第1温度検出部114による温度の検出値に基づいて検出用抵抗値を補正する。具体的には、電流値補正部115は、第1温度検出部114による温度の検出値に基づいてシャント抵抗4の温度を把握したうえで、算出抵抗値に基づく検出用抵抗値の補正、ひいては被検出電流の検出値の補正を行う。このように、電流値補正部115は、第1温度検出部114による温度の検出値に基づいて被検出電流の検出値を補正するようになっている。
【0112】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ111の抵抗値補正回路116は、シャント抵抗4の温度を検出する第1温度検出部114および第1温度検出部114による温度の検出値に基づいて検出用抵抗値、ひいては被検出電流の検出値を補正する電流値補正部115を備えている。このような構成によれば、シャント抵抗4の抵抗値の温度特性をも考慮したうえで、検出用抵抗値を精度良く補正すること、ひいては被検出電流を精度良く検出することができる。
【0113】
(第6実施形態)
以下、第6実施形態について
図14を参照して説明する。
図14に示すように、本実施形態の電流センサ121は、
図13に示した第5実施形態の電流センサ111に対し、温度センサ122が追加されている点、制御部113に代えて制御部123を備えている点などが異なっている。温度センサ122は、補正抵抗5の近傍に設けられており、補正抵抗5の温度に応じた温度検出信号を出力する。
【0114】
制御部123は、制御部113に対し、第2温度検出部124という機能ブロックが追加されている点、電流値補正部115に代えて電流値補正部125が設けられている点などが異なっている。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22、補正部24、第1温度検出部114、第2温度検出部124および電流値補正部125により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路126が構成されている。第2温度検出部124は、温度センサ122から出力される温度検出信号に基づいて補正抵抗5の温度を検出する。
【0115】
電流値補正部125は、電流値補正部115と同様の動作に加え、補正部24と協働して次のような動作を行う。すなわち、電流値補正部125は、第2温度検出部124による温度の検出値に基づいて補正抵抗値を補正し、その補正後の補正抵抗値を用いて算出抵抗値を算出する。言い換えると、電流値補正部125は、第2温度検出部124による温度の検出値に基づいて算出抵抗値を補正する。
【0116】
そして、電流値補正部125は、その補正後の算出抵抗値および第1温度検出部114による温度の検出値に基づいて検出用抵抗値を補正する、ひいては被検出電流の検出値を補正する。このように、電流値補正部125は、第1温度検出部114による温度の検出値および第2温度検出部124による温度の検出値に基づいて被検出電流の検出値を補正するようになっている。
【0117】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ121の抵抗値補正回路126は、シャント抵抗4の温度を検出する第1温度検出部114、補正抵抗5の温度を検出する第2温度検出部124および電流値補正部125を備えている。電流値補正部125は、第1温度検出部114による温度の検出値および第2温度検出部124による温度の検出値に基づいて検出用抵抗値、ひいては被検出電流の検出値を補正する。このような構成によれば、シャント抵抗4の抵抗値の温度特性だけでなく補正抵抗5の抵抗値の温度特性をも考慮したうえで、検出用抵抗値を精度良く補正すること、ひいては被検出電流を精度良く検出することができる。
【0118】
(第7実施形態)
以下、第7実施形態について
図15を参照して説明する。
図15に示すように、本実施形態の電流センサ131は、
図14に示した第6実施形態の電流センサ121に対し、温度センサ132が追加されている点、制御部123に代えて制御部133を備えている点などが異なっている。温度センサ132は、補正抵抗6の近傍に設けられており、補正抵抗6の温度に応じた温度検出信号を出力する。
【0119】
制御部133は、制御部123に対し、第2温度検出部124に代えて第2温度検出部134が設けられている点、電流値補正部125に代えて電流値補正部135が設けられている点などが異なっている。上記構成では、補正抵抗5、6、信号印加部15、電圧検出部22、補正部24、第1温度検出部114、第2温度検出部134および電流値補正部135により、検出用抵抗値を補正する抵抗値補正回路136が構成されている。第2温度検出部134は、第2温度検出部124と同様の機能に加え、温度センサ132から出力される温度検出信号に基づいて補正抵抗6の温度を検出する機能を有する。
【0120】
電流値補正部135は、補正部24と協働して次のような動作を行う。すなわち、電流値補正部135は、第2温度検出部134による各温度の検出値に基づいて各補正抵抗値を補正し、その補正後の各補正抵抗値を用いて算出抵抗値を算出する。言い換えると、電流値補正部135は、第2温度検出部134による各温度の検出値に基づいて算出抵抗値を補正する。
【0121】
そして、電流値補正部135は、その補正後の算出抵抗値および第1温度検出部114による温度の検出値に基づいて検出用抵抗値を補正する、ひいては被検出電流の電流値を補正する。このように電流値補正部135は、第1温度検出部114による温度の検出値および第2温度検出部134による各温度の検出値に基づいて被検出電流の検出値を補正するようになっている。
【0122】
以上説明したように、本実施形態の電流センサ131の抵抗値補正回路136は、シャント抵抗4の温度を検出する第1温度検出部114、補正抵抗5、6の温度を検出する第2温度検出部134および電流値補正部135を備えている。電流値補正部135は、第1温度検出部114による温度の検出値および第2温度検出部134による各温度の検出値に基づいて検出用抵抗値、ひいては被検出電流の検出値を補正する。このような構成によれば、シャント抵抗4の抵抗値の温度特性だけでなく補正抵抗5、6の各抵抗値の温度特性をも考慮したうえで、検出用抵抗値を精度良く補正すること、ひいては被検出電流を精度良く検出することができる。
【0123】
(第8実施形態)
以下、第8実施形態について
図16および
図17を参照して説明する。
上記各実施形態において説明した信号印加部15、74の具体的な構成例では、第1信号印加部7、72および第2信号印加部8、73は、それぞれが専用のアンプまたはバッファを備えた構成となっていたが、同一のアンプまたはバッファを共有する構成であってもよい。
【0124】
例えば、
図16に示すように、第1信号印加部7および第2信号印加部8が同一のアンプを共有する構成とすることができる。すなわち、
図16に示す信号印加部15cにおける第1信号印加部7cは、
図2に示した第1信号印加部7aに対し、スイッチS1、S2が追加されている点などが異なっている。この場合、OPアンプ34の反転入力端子は、スイッチS1を介してトランジスタ31のドレインに接続され、その出力端子は、スイッチS2を介してトランジスタ31のゲートに接続されている。
【0125】
信号印加部15cにおける第2信号印加部8cは、
図2に示した第2信号印加部8aに対し、信号生成部37およびOPアンプ38が省かれている点、スイッチS3、S4が追加されている点などが異なっている。この場合、信号生成部33およびOPアンプ34は、第1信号印加部7cだけでなく、第2信号印加部8cでも用いられる。そのため、OPアンプ34の反転入力端子は、スイッチS3を介してトランジスタ35のドレインに接続され、その出力端子は、スイッチS4を介してトランジスタ35のゲートに接続されている。
【0126】
上記構成では、スイッチS1、S2と、スイッチS3、S4とは、相補的にオンオフされる。具体的には、補正時の第1期間にはスイッチS1、S2がオンされるとともに、補正時の第2期間にはスイッチS3、S4がオンされるようになっている。これにより、第1期間には第1信号印加部7cがOPアンプ34を用いて動作することができ、第2期間には第2信号印加部8cがOPアンプ34を用いて動作することができる。
【0127】
また、例えば、
図17に示すように、第1信号印加部7および第2信号印加部8が同一のバッファを共有する構成とすることができる。すなわち、
図17に示す信号印加部15dにおける第1信号印加部7dは、
図3に示した第1信号印加部7bに対し、スイッチS5が追加されている点などが異なっている。この場合、バッファの出力端子は、スイッチS5を介してトランジスタ31のゲートに接続されている。
【0128】
信号印加部15dにおける第2信号印加部8dは、
図3に示した第2信号印加部8bに対し、信号生成部37およびバッファ42が省かれている点、スイッチS6が追加されている点などが異なっている。この場合、信号生成部33およびバッファ41は、第1信号印加部7dだけでなく、第2信号印加部8dでも用いられる。そのため、バッファ41の出力端子は、スイッチS6を介してトランジスタ35のゲートに接続されている。
【0129】
上記構成では、スイッチS5と、スイッチS6とは、相補的にオンオフされる。具体的には、補正時の第1期間にはスイッチS5がオンされるとともに、補正時の第2期間にはスイッチS6がオンされるようになっている。これにより、第1期間には第1信号印加部7dがバッファ41を用いて動作することができ、第2期間には第2信号印加部8dがバッファ41を用いて動作することができる。
【0130】
以上説明したように、本実施形態の第1信号印加部7c、7dおよび第2信号印加部8c、8dは、同一のアンプまたはバッファを共有する構成となっている。このような構成によれば、第1信号印加部7および第2信号印加部8が互いに異なる専用のアンプまたはバッファを備えた構成に比べ、アンプまたはバッファが1つ省かれる分だけ、回路規模を小さく抑えることができる。
【0131】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
【0132】
抵抗値補正回路25などは、2つの補正抵抗5、6を備えた構成となっていたが、補正抵抗の数は複数であればよく、3つ以上の補正抵抗を備えた構成であってもよい。
信号印加部15、74の具体的な構成としては、上記各実施形態において説明した構成に限らずともよく、シャント抵抗4および複数の補正抵抗5、6の直列回路の全部および一部に対して交流信号を印加することができる構成であればよい。
【0133】
第1同期検波回路17の具体的な構成としては、上記各実施形態において説明した構成に限らずともよく、シャント抵抗4の端子の信号を入力するとともに交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出して出力することができる構成であればよい。第2同期検波回路19の具体的な構成としては、補正抵抗5の端子の信号を入力するとともに交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出して出力することができる構成であればよい。第3同期検波回路21の具体的な構成としては、補正抵抗6の端子の信号を入力するとともに交流信号の周波数と同じ周波数で同期検波して信号を抽出して出力することができる構成であればよい。
【0134】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0135】
1、71、91、101、111、121、131…電流センサ、4…シャント抵抗、5、6…補正抵抗、7、7a、7b、7c、7d、72、72a、72b…第1信号印加部、8、8a、8b、8c、8d、73、73a、73b…第2信号印加部、9…第1電圧検出部、10…第2電圧検出部、11…第3電圧検出部、15、15a、15b、15c、15d、74、74a、74b…信号印加部、16…第1A/D変換器、17…第1同期検波回路、18…第2A/D変換器、19…第2同期検波回路、20…第3A/D変換器、21…第3同期検波回路、22、102…電圧検出部、24…補正部、25、75、95、106、116、126、136…抵抗値補正回路、92、103…切替部、94、105…ゲイン誤差低減部、114…第1温度検出部、115、125、135…電流値補正部、124、134…第2温度検出部。