(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-20
(45)【発行日】2024-05-28
(54)【発明の名称】食品保存容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240521BHJP
B65D 43/02 20060101ALI20240521BHJP
B65D 51/16 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D43/02
B65D51/16 300
(21)【出願番号】P 2021134991
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390035091
【氏名又は名称】スケーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】鴻池 良一
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-205203(JP,A)
【文献】特開2014-000981(JP,A)
【文献】中国実用新案第211996852(CN,U)
【文献】実開昭62-096343(JP,U)
【文献】特開2014-114063(JP,A)
【文献】特開2011-057291(JP,A)
【文献】国際公開第2008/104181(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0147848(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 43/02
B65D 51/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上部開口に蓋体を嵌着することにより容器本体を施蓋する食品保存容器であり、容器本体(11)の上部開口を形成する環状の外側周壁(16)に対して、蓋体(12)に垂設された環状の内側周壁(18)を嵌脱自在に嵌入する構成において、
前記外側周壁(16)の内周面に周設したリブ(20)と前記内側周壁(18)の外周面に周設した溝(21)を嵌合することにより蓋体を所定の施蓋位置(P1)に保持する嵌合手段(22)を
構成し、前記リブ(20)と溝(21)は、それぞれ外側周壁(16)と内側周壁(18)の全周にわたり周設されると共に、断面が円弧状に形成されており、相互に円弧面を嵌合することにより、容器本体の内部を水密的にシールするように構成され、
前記嵌合手段の上部から容器本体の上部開口に至り前記外側周壁(16)と内側周壁(18)の間に隙間から成る排気通路
(25)が形成されており、
更に、前記内側周壁(18)を貫通する排気孔(23)が設けられており、蓋体(12)が所定の施蓋位置(P1)から上昇することにより前記溝(21)がリブ(20)の上方に移動したとき、前記排気孔(23)が前記排気通路(25)に連通させられるように構成して成ることを特徴とする食品保存容器。
【請求項2】
容器本体の上部開口に蓋体を嵌着することにより容器本体を施蓋する食品保存容器であり、容器本体(11)の上部開口を形成する環状の外側周壁(16)に対して、蓋体(12)に垂設された環状の内側周壁(18)を嵌脱自在に嵌入する構成において、
前記外側周壁(16)の内周面に周設したリブ(20)と前記内側周壁(18)の外周面に周設した溝(21)を嵌合することにより蓋体を所定の施蓋位置(P1)に保持する嵌合手段(22)を構成すると共に、前記嵌合手段の上部から容器本体の上部開口に至り前記外側周壁(16)と内側周壁(18)の間に隙間から成る排気通路
(25)が形成されており、
更に、前記内側周壁(18)を貫通する排気孔(23)が
前記溝(21)の溝底に位置して設けられており、
前記溝(21)に前記リブ(20)を嵌合して蓋体を所定の施蓋位置(P1)に保持したとき、該リブ(20)が排気孔(23)を閉鎖しており、蓋体(12)が所定の施蓋位置(P1)から上昇することにより前記溝(21)がリブ(20)の上方に移動したとき、前記排気孔(23)が前記排気通路(25)に連通させられるように構成して成ることを特徴とする食品保存容器。
【請求項3】
容器本体(11)及び蓋体(12)は、それぞれ外側周壁及び内側周壁を含んで、平面視がほぼ矩形とされると共に四隅に弧状のコーナ部(C)を設けた形状に形成され、
蓋体(12)の内側周壁(18)は、少なくとも前記矩形の対角線上に対向する一対のコーナ部の領域内で、前記溝(21)の下方に位置する該内側周壁の外周面にストッパ(24)を突設しており、蓋体(12)が所定の施蓋位置(P1)から上昇することにより溝がリブの上方に移動して排気孔(23)が排気通路(25)に連通したとき、前記ストッパ(24)をリブ(20)に当接させるように構成されて成ることを特徴とする
請求項1又は2に記載の食品保存容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品保存容器に関し、特に、収容した食品を冷蔵庫や冷凍庫で長期保存できるだけでなく、食用に供する際は、食品を容器に収容したままの状態で電子レンジにより加熱できるように構成した食品保存容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製の食品保存容器として、食品を収容した状態で冷蔵庫や冷凍庫により長期保存できると共に、食用に供する際にも、他の食器に移しかえることなく、食品を収容したままの状態で、電子レンジにより加熱できるように構成した容器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような加熱処理を可能とした食品保存容器を提供するためには、第1条件として、通常の状態で密閉性に優れていること、第2条件として、加熱時の内部圧力により容器が爆発しないように減圧できることが必要であり、二律背反する条件を充足しなければならない。
【0005】
この点に関して、特許文献1(特開2014-981号公報)により提案された保存容器は、
図1及び
図2に示すように構成されている。
【0006】
図1に示すように、上部開口状の容器本体1は、本体側壁2の上部に摺動壁3を形成しており、該摺動壁3の内周面に本体リブ4を設けている。容器本体の上部開口を施蓋する蓋体6は、前記摺動壁3に嵌入される蓋側壁7を形成しており、該蓋側壁7の外周面に蓋リングリブ8を設けている。そして、前記摺動壁4の一部には上側の壁部を壁面から後退させるように凹陥形成したポケット状のエア抜き5が設けられている。
【0007】
従って、容器本体1の内部に食品を収容した状態で、
図2(A)に示すように、容器本体1の摺動壁3に蓋体6の蓋側壁7を嵌入すると、
図2(B)に示すように、蓋側壁7の蓋リングリブ8が摺動壁3の下部の内周面に嵌合し、摺動壁3の本体リブ4が蓋側壁7の上部の外周面に嵌合し、容器本体1の内部をほぼ気密状態に保持する。
【0008】
この状態から、容器を電子レンジにより加熱すると、食品から発生する水蒸気等により容器本体1の内部の圧力が高まる。このとき、
図2(C)に示すように、蓋体6は、蓋リングリブ8を摺動壁3に沿って摺動することにより、上昇させられる。そこで、蓋側壁7の下端がエア抜き5を横切る位置まで上昇すると、容器本体1の内部がエア抜き5に連通するので、矢印で示すように、内部の蒸気や気体が外部に排出され、内部の圧力が減じられる。尚、上昇した蓋体6は、蓋リングリブ8が本体リブ4に当接することにより停止させられる。
【0009】
しかしながら、
図1及び
図2に示す従来技術の場合、次のような問題がある。
【0010】
(1)蓋側壁7を摺動壁3に嵌入するときや、反対に、摺動壁3から蓋側壁7を抜き出すときに、ユーザの大きな力が必要であり、作業性が良くないという問題がある。その理由は、蓋リングリブ8が蓋側壁7の全周に設けられ、本体リブ4もエア抜き5を除く摺動壁3のほぼ全周に設けられており、相互にリブ4、8を乗り越えさせるために強い力を要するからである。
(2)この際、一対のリブ4、8は、相互に低く形成すれば、つまり係合部分を小さく形成すれば、乗り越え容易となるが、この場合は、嵌合による気密性ないしシール性が著しく低下することになる。
(3)そして、図示のような構成では、良好なシール性を確保することが困難であり、収容した食品が汁等の液体を含んでいる場合、容器を傾けると汁漏れを生じるという問題がある。その理由は、蓋リングリブ8と摺動壁3の構成に関して、蓋リングリブ8は、摺動壁3を摺動自在でなければならず、かつ、摺動壁3に対する嵌着によりシール性を確保しなければならないという二律背反する要件が課せられているからである。
(4)可撓性プラスチックにより成形した容器において、蓋リングリブ8は、容器が加熱されたとき蓋体6を上昇させるように摺動壁3を好適に摺動しなければならないから、設計上、蓋リングリブ8の摺動壁3に対する圧接力は、液密的なシール性を確保できるほど大きく設定することはできない。
(5)前述のように、蓋リングリブ8は、本体リブ4を乗り超える構成とされているので、乗り越え作用を繰り返すことにより、変形疲労しやすく、この点からも、摺動壁3に対する圧接力を維持することは困難である。
(6)そして、容器本体1の内部から蓋リングリブ8と摺動壁3の間を液体が通過すると、直ちにエア抜き5に進入可能となるように構成されているので、容易に外部に漏れることになる。
(7)更に、エア抜き5は、容器本体1の開口部の目立つ個所にポケット状の凹陥部として形成されているので、見栄えが悪く、ユーザが購入のために商品を選択する際、美的デザインの観点から好ましくない。
【0011】
本発明は、上記の問題を解決した食品保存容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明が手段として構成したところは、容器本体の上部開口に蓋体を嵌着することにより容器本体を施蓋する食品保存容器であり、容器本体の上部開口を形成する環状の外側周壁に対して、蓋体に垂設された環状の内側周壁を嵌脱自在に嵌入する構成において、前記外側周壁の内周面に周設したリブと前記内側周壁の外周面に周設した溝を嵌合することにより蓋体を所定の施蓋位置に保持する嵌合手段を構成すると共に、前記嵌合手段の上部から容器本体の上部開口に至り前記外側周壁と内側周壁の間に隙間から成る排気通路が形成されており、更に、前記内側周壁を貫通する排気孔が設けられており、蓋体が所定の施蓋位置から上昇することにより前記溝がリブの上方に移動したとき、前記排気孔が前記排気通路に連通させられるように構成して成る点にある。
【0013】
本発明の実施形態において、前記嵌合手段を構成するリブと溝は、それぞれ外側周壁と内側周壁の全周にわたり周設されると共に、断面が円弧状に形成されており、相互に円弧面を嵌合することにより、容器本体の内部を水密的にシールするように構成されている。
【0014】
好ましくは、前記内側周壁を貫通する排気孔は、前記溝の溝底に位置して設けられており、前記溝に前記リブを嵌合したとき、該リブにより排気孔が閉鎖されるように構成されている。
【0015】
更に、好ましい実施形態において、容器本体及び蓋体は、それぞれ外側周壁及び内側周壁を含んで、平面視がほぼ矩形とされると共に四隅に弧状のコーナ部を設けた形状に形成され、蓋体の内側周壁は、少なくとも前記矩形の対角線上に対向する一対のコーナ部の領域内で、前記溝の下方に位置する該内側周壁の外周面にストッパを突設しており、蓋体が所定の施蓋位置から上昇することにより溝がリブの上方に移動して排気孔が排気通路に連通したとき、前記ストッパをリブに当接させるように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、食品保存のため、容器本体11を蓋体12により施蓋するに際し、ユーザが比較的軽い力で施蓋することができ、しかも、蓋体12を所定の施蓋位置P1に保持させた状態で、容器本体11の内部を水密的にシールすることが可能であり、食品に含まれる汁等の液漏れを生じることがない。
【0017】
そして、所定の施蓋位置P1に保持された蓋体12により容器本体11を施蓋した状態のまま、食品保存容器を電子レンジに装入し、マイクロ波による加熱を行うことにより、食品を食用に供することができる。その際、容器本体11の内部の圧力が高まると、蓋体12が上昇すると共に所定の上昇位置P2に保持され、この状態で内部の圧力を外部に向けて好適に排出することができる。
【0018】
特に、従来技術のような見栄えの悪いポケット状のエア抜きを設けたものとは異なり、内側周壁18を貫通する排気孔25と、内側周壁18と外側周壁16の間の隙間による排気通路25により構成されているので、目立つことはなく、外部から視認し難く、美的デザインが優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来技術に係る食品保存容器に関して、容器本体と蓋体の分離状態を一部断面にて示す斜視図である。
【
図2】従来技術に係る食品保存容器の作用に関して、(A)は容器本体の本体側壁に蓋体の蓋側壁を嵌入するときの状態を示す断面図、(B)は嵌入後の状態を示す断面図、(C)は容器を加熱したときに蓋体が上昇した状態を示す断面図である。
【
図3】本発明の1実施形態に係る食品保存容器に関して、容器本体と蓋体を分離した状態の斜視図である。
【
図4】本発明の1実施形態に関して、容器本体を蓋体により施蓋した状態の平面図である。
【
図5】本発明の1実施形態における蓋体に関して、(A)は蓋体のコーナ部の下側を上向きとして示す部分斜視図、(B)はストッパが設けられた部分の断面図、(C)は排気孔が設けられた部分の断面図である。
【
図6】
図4のA1-A1線及びA2-A2線に沿う断面図を示しており、(A)は容器本体に対して蓋体を所定の施蓋位置に嵌合した状態の断面図、(B)は容器本体から蓋体を分離した状態の拡大断面図である。
【
図7】
図4のB1-B1線及びB2-B2線に沿う断面図を示しており、(A)は容器本体に対して蓋体を所定の施蓋位置に嵌合した状態の断面図、(B)は容器本体から蓋体を分離した状態の拡大断面図である。
【
図8】
図4のC1-C1線及びC2-C2線に沿う断面図を示しており、(A)は容器本体に対して蓋体を所定の施蓋位置に嵌合した状態の断面図、(B)は容器本体から蓋体を分離した状態の拡大断面図である。
【
図9】本発明の1実施形態の作用に関して、容器本体に対して蓋体を所定の施蓋位置に嵌合した状態を示しており、(A)は溝とリブの嵌合状態を示す断面図、(B)はストッパの位置を示す断面図、(C)は排気孔とリブの状態を示す断面図である。
【
図10】本発明の1実施形態の作用に関して、容器を加熱することにより蓋体が所定の施蓋位置から上昇した状態を示しており、(A)は溝とリブの離間状態を示す断面図、(B)はストッパとリブの係止状態を示す断面図、(C)は排気孔と排気通路の連通状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0021】
(容器の構成)
図3及び
図4に示すように、食品保存容器は、それぞれ電子レンジのマイクロ波に対する耐熱性を備えたポリプロピレン等の可撓性プラスチックの射出成形により一体成形された容器本体11と蓋体12により構成されている。
【0022】
この際、容器本体11及び蓋体12は、可及的薄肉に形成されており、電子レンジにより容器本体11の内部に収容した食材を効率的に加熱できるように構成されている。例えば、容器本体11の底壁13及び側壁14の肉厚は、1mm以下(好ましくは0.8mm)に形成され、蓋体12の天蓋壁15の肉厚は、1mm以下(好ましくは0.8mm)に形成されている。
【0023】
図3ないし
図6に示すように、容器本体11は、側壁14の上端部に該容器本体11の上部開口を区成する環状の外側周壁16を延設し、外側周壁16の上端縁に沿うフランジ17を周設しており、外側周壁16及びフランジ17は、側壁14よりも厚肉に形成されている。また、蓋体12は、天蓋壁15の周縁に上下方向に延びる環状の内側周壁18を垂設し、該内側周壁18の上端縁に沿うフランジ19を周設しており、内側周壁18及びフランジ19は、天蓋壁15よりも厚肉に形成されている。
【0024】
そこで、前記外側周壁16に対して内側周壁18を嵌脱自在に嵌入することにより、容器本体11の上部開口が蓋体12により施蓋される。
【0025】
図4に示すように、容器本体11及び蓋体12は、それぞれ外側周壁16及び内側周壁18を含んで、一対の対向する長辺部L及び短辺部Sを備えた平面視がほぼ矩形とされると共に、対角線上に位置する四隅に弧状のコーナ部Cを設けた形状となるように形成されている。
【0026】
そして、前記外側周壁16に内側周壁18を嵌入することにより容器本体11に蓋体12を施蓋したとき、容器本体11のフランジ17に蓋体12のフランジ19が被せられる。この際、容器本体11のフランジ17は、前記短辺部S、Sに位置して、蓋体12のフランジ19を超えて張り出す把手部17aを設けている。また、蓋体12のフランジ19は、対向する一対のコーナ部C、Cに位置して、摘み部19aを張出し状に形成している。
【0027】
図6ないし
図8に示すように、容器本体11の外側周壁16の内周面にはリブ20が周設されており、蓋体12の内側周壁18の外周面には溝21が周設されている。リブ20及び溝21は、それぞれ外側周壁16及び内側周壁18の全周にわたり周設されている。そこで、ユーザがフランジ17、19を重ね合わせる位置まで外側周壁16に内側周壁18を押し込むと、溝21がリブ20に嵌合することにより、蓋体12を所定の施蓋位置P1(
図6(A)参照)に保持する。ユーザが蓋体12のフランジ19及び摘み部19aを強く持ち上げると、溝21がリブ20から脱出し、蓋体12を離間させることにより容器本体11を開蓋することができる。このように、溝21とリブ20により嵌脱自在な嵌合手段22が構成されている。
【0028】
前記リブ20と溝21は、相互に密接させられるように断面が図示のような円弧状に形成されていることが好ましく、嵌合状態において、容器本体11の内部を水密的にシールすることができる。
【0029】
蓋体12の内側周壁18は、
図5に示すように、前記短辺部S、Sにおいて、溝21の溝底に位置して該内側周壁18を貫通する排気孔23を設けている。この排気孔23は、前述のように溝21にリブ20を嵌合したとき、該リブ20により閉鎖される。つまり、リブ20により水密的に塞がれる。
【0030】
更に、蓋体12の内側周壁18は、
図5に示すように、摘み部19a、19aが配置された一対のコーナ部C、Cのほぼ中央に位置して、内側周壁18の先端(下端)から外周方向に隆起するストッパ24を突設している。
【0031】
図9に示すように、前記嵌合手段22の溝21をリブ20に嵌合させ、これにより蓋体12を所定の施蓋位置P1に保持させた状態において、該嵌合手段22の上側において外側周壁16と内側周壁18は、相互に密接せず、相互間に、該嵌合手段22の上部から容器本体11の上部開口に至る隙間を形成しており、この隙間により排気通路25を構成している。尚、蓋体12が所定の施蓋位置P1に保持されているときは、溝21とリブ20の嵌合により、容器本体11の内部と排気通路25は遮断されており、連通していない。
【0032】
(作用)
上記構成の食品保存容器は、開蓋状態とした容器本体11に所望の食品ないし食材を収容し、内側周壁18を外側周壁16に押し込み、嵌合手段22のリブ20と溝21を嵌合させ、蓋体12を所定の施蓋位置P1に保持させた状態として、冷蔵庫や冷凍庫に入れることにより、食品を長期保存するために使用される。
【0033】
この際、嵌合手段22は、リブ20と溝21による凹凸嵌合を構成しているので、容器本体11の内部を好適に水密的にシールすることができ、収容した食品が汁等の液体を含んでいる場合でも、容器を傾けたときの汁漏れ等を生じることない。特に、リブ20と溝21を断面円弧状に形成し、円弧面が密接する構成とすることにより、高い水密的シールが可能になる。
【0034】
施蓋のための動作に関して、ユーザが内側周壁18を外側周壁16に押し込んだとき、内側周壁18のストッパ24を外側周壁16のリブ20に乗り越えさせることが必要である。しかしながら、ストッパ24は、内側周壁18の全周に設けられておらず、コーナ部C、Cのほぼ中央位置にのみ設けられているので、比較的、軽い力でリブ20を乗り越えさせることができる。
【0035】
しかも、ストッパ24が設けられたコーナ部C、Cは、円弧状に湾曲しているため、長辺部Aや短辺部Sよりも高剛性とされている。従って、ストッパ24は、外側周壁16の全周に周設されたリブ20のうち、コーナ部Cにおける部分においてのみ乗り越えさせられるので、リブ20の変形疲労を生じることはなく、全周にわたるリブ20と溝21の嵌合による水密的シール機能を持続することができる。
【0036】
ユーザが食品保存容器を冷蔵庫や冷凍庫から取り出し、内部の食品を食用に供するときは、容器本体11が所定の施蓋位置P1に保持された蓋体12により施蓋された状態のまま、食品保存容器を電子レンジに装入し、マイクロ波による加熱を行えば良い。
【0037】
加熱された食品や食材から発生する水蒸気等により、容器本体11の内部の圧力が高まると、
図10に示すように、内側周壁18の溝21が外側周壁16のリブ20から脱することにより嵌合手段22の嵌合を解き、これにより蓋体12が上昇するので、
図10(B)に示すように、ストッパ24がリブ20に係止する。このとき、
図10(C)に示すように、排気孔23が排気通路25に連通し、矢印で示すように、内部の圧力を外部に排出するので、蓋体12は、前記ストッパ24がリブ20に係止した所定の上昇位置P2に保持される。
【0038】
特に、上記構成の食品保存容器において、容器内部の圧力を減圧する手段は、従来技術のような見栄えの悪いポケット状のエア抜きを設けたものとは異なり、内側周壁18を貫通する排気孔25と、内側周壁18と外側周壁16の間の隙間による排気通路25により構成されており、視認し難く目立たないので、美的デザインの観点において優れている。
【符号の説明】
【0039】
11 容器本体
12 蓋体
13 底壁
14 側壁
15 天蓋壁
16 外側周壁
17 フランジ
17a 把手部
18 内側周壁
19 フランジ
19a 摘み部
20 リブ
21 溝
22 嵌合手段
23 排気孔
24 ストッパ
25 排気通路